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特許7531981領域選択的堆積における横方向のフィルム成長を緩和するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】領域選択的堆積における横方向のフィルム成長を緩和するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20240805BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20240805BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240805BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/285 C
H01L21/31 C
C23C16/04
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022503017
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2020042305
(87)【国際公開番号】W WO2021011761
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】62/875,882
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】タピリー,カンダバラ
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-46279(JP,A)
【文献】特開2009-256796(JP,A)
【文献】特表2018-512504(JP,A)
【文献】特表2013-508989(JP,A)
【文献】特開2017-222928(JP,A)
【文献】国際公開第2019/055508(WO,A1)
【文献】特開2019-96877(JP,A)
【文献】特開2017-84948(JP,A)
【文献】特開2016-25315(JP,A)
【文献】特開2008-171978(JP,A)
【文献】特表2016-513594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0277612(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/285
H01L 21/31
C23C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフィルム、第2のフィルム及び第3のフィルムを含む基板を提供する工程であって、前記第1のフィルム、前記第2のフィルム及び前記第3のフィルムは異なる化学組成を有する、工程と、
前記第1のフィルム上に第1のブロック層を形成する工程と、
前記第2のフィルム上に第2のブロック層を形成する工程であって、前記第2のブロック層は、前記第1のブロック層と異なり、前記第1のブロック層及び前記第2のブロック層は自己組織化単分子層(SAM)を含む、工程と、
前記第3のフィルム上に材料フィルムを選択的に形成する工程と
を含む基板処理方法。
【請求項2】
前記第1のフィルム、前記第2のフィルム及び前記第3のフィルムは、金属フィルム、金属含有ライナー及び誘電性フィルムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属含有ライナーは、金属化合物又は前記金属フィルムと異なる第2の金属フィルムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属化合物は、TiN、TaN、MnO又はAlを含み、及び前記第2の金属フィルムは、Co又はRuを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記金属フィルムは、Cu、Al、Ta、Ti、W、Ru、Co、Ni、Pt又はMoを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記誘電性フィルムは、SiO、Al、HfO、TiO、ZrO、SiN、SiCN、SiCOH又はこれらの組み合わせを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記SAMは、チオール、シラン、カルボキシレート又はホスホネートを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記材料フィルムは、SiO、金属、金属酸化物又は金属窒化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記金属酸化物は、HfO、ZrO又はAlを含有し、及び前記金属窒化物は、HfN、ZrN又はAlNを含有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1のフィルム、第2のフィルム及び第3のフィルムを含む基板を提供する工程であって、前記第1のフィルム、前記第2のフィルム及び前記第3のフィルムは異なる化学組成を有する、工程と、
前記第1のフィルム上に第1のブロック層を形成する工程と、
前記第2のフィルム上に第2のブロック層を形成する工程であって、前記第2のブロック層は、前記第1のブロック層と異なる、工程と、
前記第3のフィルム上に材料フィルムを選択的に形成する工程であって、
前記第3のフィルム上に前記材料フィルムを選択的に形成する前記工程は、
前記第3のフィルム上に前記材料フィルムを堆積させる工程と、
前記第1のフィルム、前記第2のフィルム又は前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとの両方の上に材料フィルム核を堆積させる工程と、
エッチングにより、前記材料フィルム核を除去する工程と、を含む工程と
を含む基板処理方法。
【請求項11】
金属フィルムを含む基板、前記金属フィルムを取り囲む金属含有ライナー及び前記金属含有ライナーを取り囲む誘電性フィルムを提供する工程と、
前記金属フィルム上において、第1の自己組織化単分子層(第1のSAM)を含む第1のブロック層を形成する工程と、
前記金属含有ライナー上において、第2の自己組織化単分子層(第2のSAMを含む第2のブロック層を形成する工程であって、前記第2のSAMは、前記第1のSAMと異なる、工程と、
前記誘電性フィルム上に材料フィルムを選択的に形成する工程と
を含む基板処理方法。
【請求項12】
前記金属含有ライナーは、金属化合物又は前記金属フィルムと異なる第2の金属フィルムを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属化合物は、TiN、TaN、MnO又はAlを含み、及び前記第2の金属フィルムは、Co又はRuを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属フィルムは、Cu、Al、Ta、Ti、W、Ru、Co、Ni、Pt又はMoを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電性フィルムは、SiO、Al、HfO、TiO、ZrO、SiN、SiCN、SiCOH又はこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のSAMは、チオールを含み、及び前記第2のSAMは、ホスホネートを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記材料フィルムは、SiO、金属、金属酸化物又は金属窒化物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記誘電性フィルム上に前記材料フィルムを選択的に形成する前記工程は、
前記誘電性フィルム上に前記材料フィルムを堆積させる工程と、
前記金属フィルム、前記金属含有ライナー又は前記金属フィルムと前記金属含有ライナーとの両方の上に材料フィルム核を堆積させる工程と、
エッチングにより、前記材料フィルム核を除去する工程と
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
金属フィルムと、金属化合物を含有しつ前記金属フィルムを取り囲む金属含有ライナーと、前記金属含有ライナーを取り囲む誘電性フィルムとを含む基板を提供する工程と、
前記金属フィルム上において、第1の自己組織化単分子層(第1のSAM)を含む第1のブロック層を形成する工程と、
前記金属含有ライナー上において、第2の自己組織化単分子層(第2のSAMを含む第2のブロック層を形成する工程と、
前記誘電性フィルム上において、材料フィルムを選択的に形成する工程であって
前記誘電性フィルム上に前記材料フィルムを堆積させることと、
前記金属フィルム、前記金属含有ライナー又は前記金属フィルムと前記金属含有ライナーフィルムとの両方の上に材料フィルム核を堆積させることと、
エッチングにより、前記材料フィルム核を除去することと
により、選択的に形成する工程と
を含む基板処理方法。
【請求項20】
前記第1のSAMは、チオールを含み、及び前記第2のSAMは、ホスホネートを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のSAMは、ホスホネート又はカルボキシレートを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第2のSAMを形成する工程は、前記第1のSAMを高密度化する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のフィルム、前記第2のフィルム及び前記第3のフィルムは、金属フィルム、金属含有ライナー及び誘電性フィルムからなる群から選択される、請求項10記載の方法。
【請求項24】
前記材料フィルムはSiO 、金属、金属酸化物又は金属窒化物を含む、請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月18日に出願された米国仮特許出願第62/875,882号明細書に関連し、且つそれに対する優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、半導体処理、より具体的には、横方向のフィルム成長を低減するために複数のブロック層を使用する、領域選択的フィルム堆積のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
デバイスのサイズが小さくなるにつれて、半導体デバイスの製造は、一層複雑になっている。半導体デバイスの製造費用も増加しており、費用効果の高い解決策及び新しい手法が必要とされている。製造されるトランジスタが小型化するにつれて、パターン形成される形体の限界寸法(CD)又は解像度の実現は、一層困難になっている。薄いフィルムの選択的堆積は、高度に小型化されたテクノロジーノードでのパターン形成における重要な工程である。横方向の成長を制御し、選択的に堆積された材料の欠陥密度を低減するための新しい堆積方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、複数のブロック層を使用する、選択的材料フィルム形成のための方法を提供する。
【0005】
一実施形態によれば、基板処理方法は、第1のフィルム、第2のフィルム及び第3のフィルムを含む基板を提供する工程と、第1のフィルム上に第1のブロック層を形成する工程と、第2のフィルム上に第2のブロック層を形成する工程であって、第2のブロック層は、第1のブロック層と異なる、工程と、第3のフィルム上に材料フィルムを選択的に形成する工程とを含む。
【0006】
別の実施形態によれば、基板処理方法は、金属フィルムを含む基板、金属フィルムを取り囲む金属含有ライナー及び金属含有ライナーを取り囲む誘電性フィルムを提供する工程と、金属フィルム上において、第1の自己組織化単分子層(SAM)を含む第1のブロック層を形成する工程と、金属含有ライナー上において、第2のSAMを含む第2のブロック層を形成する工程であって、第1のSAMは、第2のSAMと異な、工程と、誘電性フィルム上に材料フィルムを選択的に形成する工程とを含む。
【0007】
別の実施形態によれば、基板処理方法は、金属フィルムを含む基板、金属化合物を含有し、且つ金属フィルムを取り囲む金属含有ライナー及び金属含有ライナーを取り囲む誘電性フィルムを提供する工程と、金属フィルム上において、第1の自己組織化単分子層(SAM)を含む第1のブロック層を形成する工程と、金属含有ライナー上において、第2のSAMを含む第2のブロック層を形成する工程とを含み、この場合、第1のSAMは、チオールを含み、及び第2のSAMは、ホスホネートを含む。この方法は、誘電性フィルム上において、材料フィルムを、誘電性フィルム上に材料フィルムを堆積させることと、金属フィルム、金属含有ライナー又は金属フィルムと金属含有ライナーフィルムとの両方の上に材料フィルム核を堆積させることと、エッチングにより、材料フィルム核を除去することとにより、選択的に形成する工程を更に含む。
【0008】
以下の詳細な説明を参照して、特に添付図面と併せて検討すると、本発明の実施形態のより詳細な理解及びそれらの付随する利点の多くが容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による、基板上に材料フィルムを選択的に形成する方法のプロセスの流れ図である。
図2A-2F】本発明の実施形態による、基板上に材料フィルムを選択的に形成する方法の概略断面図を示す。
図3】本発明の実施形態による、基板上に材料フィルムを選択的に形成する方法のプロセスの流れ図である。
図4A-4F】本発明の実施形態による、基板上に材料フィルムを選択的に形成する方法の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、異なる基板材料における複数のブロック層を使用して、半導体デバイスの表面上に材料フィルムを選択的に形成するための方法を提供する。本発明の実施形態は、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)及びスピンオン堆積など、表面に敏感な堆積プロセスを使用する領域選択的堆積(ASD)に適用することができる。この方法は、従来のリソグラフィー及びエッチングプロセスと比較して、より少ない処理工程を必要とし、半導体デバイスにおけるライン間破壊及び漏電性能における改善されたマージンを更に提供することができる。
【0011】
ここで、図1及び図2A~2Fを参照すると、プロセスの流れ図1は、100において、第1の表面200Aを有する第1のフィルム200、第2の表面202Aを有する第2のフィルム202及び第3の表面204Aを有する第3のフィルム204を含む基板2を提供する工程を含む。図2Aの例では、新規の平坦化された基板2は、同じ水平面内に表面200A、202A及び204Aを有する。しかしながら、他の例では、表面200A、202A及び204Aの1つ以上は、垂直方向にオフセットされ得る。第1のフィルム200、第2のフィルム202及び第3のフィルム204は、異なる化学組成を有することができる。一例では、これらのフィルムの1つは、誘電性フィルムを含み、別のフィルムは、金属含有ライナーを含み、及び更に別のフィルムは、純粋な又は実質的に純粋な金属を含有する金属フィルムを含む。誘電性フィルムは、例えば、SiO、Al、HfO、TiO、ZrO、SiN、SiCN、SiCOH又はこれらの組み合わせを含有し得る。一例では、誘電性フィルムは、金属元素を含有しない低k材料(k<4)である。金属含有ライナーは、例えば、金属窒化物(例えば、TiN若しくはTaN)又は金属酸化物(例えば、MnO若しくはAl)、又はグラフェン或いは金属フィルムと異なる第2の金属フィルム(例えば、Co又はRu)などの金属化合物を含有し得る。金属フィルムは、例えば、Cu、Al、Ta、Ti、W、Ru、Co、Ni、Pt又はMoを含有し得る。
【0012】
102では、基板2のための表面200A、202A及び204Aは、フィルム200、202及び204の1つ以上におけるASDの調製において、任意選択で洗浄、改質又は洗浄と改質との両方が行われる。例示的な平坦化された基板2を形成するために使用される平坦化プロセスは、回転研磨パッド及び化学スラリーを使用する化学機械研磨(CMP)プロセスを含み得る。CMPプロセスは、平坦化された基板2に研磨残留物及び酸化された材料を残す可能性があり、これらの汚染物質を除去するために表面洗浄プロセスを使用することができる。表面洗浄プロセスは、更なる処理のための所望の表面終端を提供することもできるか、又は別個の表面改質プロセスを実行して、所望の表面終端を達成することができる。表面洗浄プロセスは、基板2を、酸を含む液体(例えば、クエン酸若しくは酢酸)又はガス相プラズマ(例えば、プラズマ励起Hガス)に曝露する工程を含み得る。
【0013】
104では、この方法は、第1のフィルム200上に第1のブロック層201を形成する工程を含む。これは、図2Bに概略的に示されている。第1のブロック層201は、第1のフィルム200への材料フィルムのその後の堆積を物理的に防止又は低減することができる。一実施形態によれば、第1のブロック層201は、第2のフィルム202及び第3のフィルム204に対して第1のフィルム200上に選択的に形成される自己組織化単分子層(SAM)を含む。第1のブロック層201は、SAMを選択的に形成することができる分子を含有する反応ガスに基板2を曝露することによって形成することができる。SAMは、吸着によって基板表面上に自発的に形成され、多かれ少なかれ大きい秩序化されたドメインに組織化される分子集合体である。SAMは、先端基、末端基及び官能末端基を有する分子を含み得る。SAMは、室温の又は室温を超える気相からの基板表面に対する先端基の化学吸着、それに続く末端基のゆっくりとした組織化によって生成される。最初に、表面上の分子密度が小さいとき、吸着質分子は、無秩序な分子の塊を形成するか、又は秩序化された2次元の「横たわる相」を形成するかのいずれかであり、分子による被覆範囲が広くなると、数分~数時間にわたって基板表面上に3次元の結晶構造体又は半結晶構造体を形成し始める。先端基は、基板上に集合する一方、末端基は、基板から離れて集合する。
【0014】
SAMを形成する分子の先端基は、異なる表面の異なる化学種に化学的に結合する分子の能力を考慮して選択され得る。SAM分子の例には、チオール、シラン、カルボキシレート及びホスホネートが含まれる。例えば、チオールを使用して金属フィルム上にSAMを形成することができ、シランを使用して誘電性フィルム上にSAMを形成することができ、及びホスホネートを使用して金属含有ライナー上にSAMを形成することができる。カルボン酸は、金属フィルム又は酸化物誘電性フィルムのいずれかに合わせて調整することができる。シランの例には、C、H、Cl、F及びSi原子又はC、H、Cl及びSi原子を含む分子が含まれる。シランの非限定的な例には、パーフルオロデシルトリクロロシラン(CF(CFCHCHSiCl)、クロロデシルジメチルシラン(CH(CHCHSi(CHCl)、オクタデシルトリクロロシラン(CH(CH17SiCl)及びテルトブチル(クロロ)ジメチルシラン((CHCSi(CHCl))が含まれる。チオールの非限定的な例には、1-オクタデシルチオール(CH(CHCHSH)、1-ドデシルチオール(CH(CH10CHSH)及び1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ-1-デカンチオール(CF(CFCHCHSH)が含まれる。ホスホン酸の非限定的な例には、オクタデシルホスホン酸(C1839P)及びデシルホスホン酸(C1023P)が含まれる。カルボン酸の非限定的な例は、デカン酸(C1020)である。
【0015】
106では、この方法は、第2のフィルム202上に第2のブロック層203を形成する工程を更に含む。これは、図2Cに概略的に示されている。第2のブロック層203は、第1のブロック層201と化学的に異なるSAMを含み得る。一例では、第2のブロック層203は、第1のブロック層201を高密度化することができる。別の実施形態では、第2のブロック層203は、第1のブロック層201を形成する前に基板2上に形成され得る。更に別の実施形態では、第1のブロック層201及び第2のブロック層203の形成は、例えば、基板2を、2つの異なるSAM分子を含有する反応ガスに曝露することにより、時間的に重複し得る。
【0016】
108では、この方法は、基板2上に材料フィルム205を堆積させる工程を更に含み、この場合、第1のフィルム200における第1のブロック層201及び第2のフィルム202における第2のブロック層203のブロック効果のため、材料フィルム205は、第2のフィルム202及び第1のフィルム200に対して第3のフィルム204上に優先的に堆積される。図2Dに示されるように、材料フィルム205の堆積は、第1及び第2のブロック層201及び203の不完全なブロックのため、第3のフィルム204に対して完全に選択的ではない可能性があり、第1の材料200及び第2の材料202における材料フィルム核205Aの不要な堆積が発生する可能性がある。材料フィルム核205は、材料フィルム205と同じ又は類似の化学組成を有する。別の例では、フィルム核205Aは、第1のフィルム200、第2のフィルム202又はその両方の上に薄い完全な層を形成することができ、薄い完全な層は、第3のフィルム204における材料フィルム205よりも薄い。
【0017】
いくつかの例では、材料フィルム205は、SiO、金属、金属酸化物又は金属窒化物を含み得る。金属は、例えば、Cu、Al、Ta、Ti、W、Ru、Co、Ni、Pt又はMoから選択される純粋な又は実質的に純粋な金属を含み得る。金属酸化物は、例えば、HfO、ZrO又はAlを含み得る。金属窒化物は、例えば、HfN、ZrN又はAlNを含み得る。例えば、金属酸化物フィルムは、金属含有前駆体及び酸化剤(例えば、HO、H、プラズマ励起O又はO)の交互の曝露を使用して、ALD又はプラズマ強化ALD(PEALD)によって堆積され得、金属窒化物フィルムは、金属含有前駆体及び窒素含有ガス(例えば、NH、N又はプラズマ励起N)の交互の曝露を使用して、ALD又はPEALDよって堆積され得る。
【0018】
一実施形態によれば、プロセスの矢印110によって示されるように、工程102~108は、第3のフィルム204における材料フィルム205の厚さを増加させるために少なくとも1回繰り返され得る。工程102が繰り返されるとき、第1及び第2のブロック層201及び203が除去され得、次いで工程104及び106において再形成され得る。
【0019】
112では、この方法は、任意選択で、第1のフィルム100及び第2のフィルム102から不要な材料フィルム核205Aを除去する工程を更に含む。これは、図2Eに概略的に示されている。エッチングプロセスは、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセス又はこれらの組み合わせを含み得る。一例では、エッチングプロセスは、原子層エッチング(ALE)プロセスを含み得る。いくつかの例では、材料フィルム核205Aは、例えば、Al(CH)、BCl、TiCl又はSiClを使用して、エッチングガスのガス曝露を使用して除去され得る。
【0020】
一実施形態によれば、プロセスの矢印114によって示されるように、工程102~108及び112は、第3のフィルム204上に選択的に形成される材料フィルム205の厚さを増加させるために少なくとも1回繰り返され得る。
【0021】
一例では、工程112での材料フィルム核205の除去はまた、基板2からの第1及び第2のブロック層201及び203の除去をもたらし得る。別の例では、材料フィルム205の所望の厚さに達したとき、第1及び第2のブロック層201及び203は、例えば、加熱によって除去される。得られた基板2を図2Fに概略的に示す。
【0022】
ここで、図3及び図4A~4Dを参照すると、プロセスの流れ図3は、300では、第1の表面400Aを有する金属フィルム400を含む基板4、金属フィルム400を取り囲み、且つ第2の表面402Aを有する金属含有ライナー402及び金属含有ライナー402を取り囲み、且つ第3の表面404Aを有する誘電性フィルム404を提供する工程を含む。このフィルム構造体及び他の同様のフィルム構造体は、金属含有ライナー402が金属フィルム400と誘電性フィルム404との間の拡散バリアとして機能する集積回路に一般的に見られる。誘電性フィルム404は、例えば、SiO、Al、HfO、TiO、ZrO、SiN、SiCN、SiCOH又はこれらの組み合わせを含有し得る。一例では、誘電性フィルム404は、金属元素を含有しない低k材料(k<4)である。金属含有ライナー402は、例えば、金属窒化物(例えば、TiN若しくはTaN)又は金属酸化物(例えば、MnO若しくはAl)、又はグラフェン或いは金属フィルム404と異なる第2の金属フィルム(例えば、Co又はRu)などの金属化合物を含有し得る。金属フィルム404は、例えば、Cu、Al、Ta、Ti、W、Ru、Co、Ni、Pt又はMoを含む純粋な又は実質的に純粋な金属を含有し得る。
【0023】
302では、表面400A、402A及び404Aは、誘電性フィルム404への材料フィルムの領域選択的堆積の調製において、任意選択で洗浄、改質又は洗浄と改質との両方が行われる。表面洗浄プロセスは、例えば、基板4を、酸(例えば、クエン酸若しくは酢酸)を含む液体又はガス相プラズマ(例えば、プラズマ励起Hガス)に曝露する工程を含み得る。
【0024】
304では、この方法は、金属フィルム400上に第1のブロック層401を形成する工程を含む。これは、図4Bに概略的に示されている。第1のブロック層201は、金属フィルム400への材料フィルムのその後の堆積を物理的に防止又は低減することができる。一実施形態によれば、第1のブロック層401は、金属含有ライナー402及び誘電性フィルム404に対して金属フィルム400上に選択的に形成されるSAMを含む。第1のブロック層401は、金属フィルム400上にSAMを選択的に形成することができるチオールを含有する反応ガスに基板4を曝露することによって形成することができる。チオールの非限定的な例には、1-オクタデシルチオール(CH(CHCHSH)、1-ドデシルチオール(CH(CH10CHSH)及び1H、1H、2H、2H-ペルフルオロ-1-デカンチオール(CF(CFCHCHSH)が含まれる。
【0025】
306では、この方法は、金属含有ライナー402上に第2のブロック層403を形成する工程を更に含む。これは、図4Cに概略的に示されている。第2のブロック層403は、第1のブロック層401と化学的に異なる。一実施形態によれば、ホスホネート先端基を含む反応ガスを使用して、金属含有ライナー402の表面402A上において、SAMを含むブロック層403を選択的に形成することができる。ホスホン酸の非限定的な例には、オクタデシルホスホン酸(C1839P)及びデシルホスホン酸(C1023P)が含まれる。カルボン酸の非限定的な例には、デカン酸(C1020)が含まれる。
【0026】
別の実施形態では、第2のブロック層403は、金属フィルム400上に第1のブロック層401を形成する前に金属含有ライナー402上に形成され得る。更に別の実施形態では、第1のブロック層401及び第2のブロック層403の形成は、例えば、基板4を、2つの異なるSAM分子を含有する反応ガスに曝露することにより、時間的に重複し得る。
【0027】
408では、この方法は、基板4上に材料フィルム405を堆積させる工程を更に含み、この場合、金属フィルム400における第1のブロック層401及び金属含有ライナー402における第2のブロック層403のブロックのため、材料フィルム405は、金属含有ライナー402及び金属フィルム400に対して誘電性フィルム404上に優先的に堆積される。図4Dに示すように、材料フィルム405の堆積は、第1及び第2のブロック層401及び403の不完全なブロックのため、誘電性フィルム404に対して完全に選択的ではない可能性があり、金属フィルム400及び金属含有ライナー402への材料フィルム核405Aの望ましくない堆積が発生する可能性がある。
【0028】
いくつかの例では、材料フィルム405は、SiO、金属酸化物又は金属窒化物を含み得る。金属酸化物は、例えば、HfO、ZrO又はAlを含み得る。金属窒化物は、例えば、HfN、ZrN又はAlNを含み得る。例えば、金属酸化物フィルムは、金属含有前駆体及び酸化剤(例えば、HO、H又はプラズマ励起O若しくはO)の交互の曝露を使用して、ALD又はPEALDによって堆積され得、金属窒化物フィルムは、金属含有前駆体及び窒素含有ガス(例えば、NH、N又はプラズマ励起N)の交互の曝露を使用して、ALD又はPEALDによって堆積され得る。
【0029】
一実施形態によれば、プロセスの矢印410によって示されるように、工程402~408は、誘電性フィルム204における材料フィルム405の厚さを増加させるために少なくとも1回繰り返され得る。工程402が繰り返されるとき、第1及び第2のブロック層401及び403が除去され得、次いで工程404及び406で再形成され得る。
【0030】
412では、この方法は、任意選択で、金属フィルム100及び金属含有ライナー102から不要な材料フィルム核405Aを除去する工程を更に含む。これは、図4Eに概略的に示されている。エッチングプロセスは、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセス又はこれらの組み合わせを含み得る。一例では、エッチングプロセスは、ALEプロセスを含み得る。いくつかの例では、材料フィルム核405Aは、例えば、Al(CH)、BCl、TiCl又はSiClを使用して、エッチングガスのガス曝露を使用して除去され得る。
【0031】
一実施形態によれば、プロセスの矢印414によって示されるように、工程402~408及び412は、誘電性フィルム404上に選択的に形成される材料フィルム405の厚さを増加させるために少なくとも1回繰り返され得る。
【0032】
一例では、工程412での材料フィルム核405の除去はまた、基板2からの第1及び第2のブロック層401及び403の除去をもたらし得る。別の例では、材料フィルム405の所望の厚さに達したとき、第1及び第2のブロック層401及び403は、例えば、加熱によって除去される。得られた基板4を図4Fに概略的に示す。一例では、図4Fのフィルム構造は、材料フィルム405によって金属フィルム400及び金属含有ライナー402上に形成された自己整合ビアを含み得る。
【0033】
複数のブロック層を使用する、領域選択的フィルム形成のための方法が様々な実施形態で開示されてきた。本発明の実施形態の上述の説明は、例示及び説明を目的として提示されている。この説明は、網羅的であること又は開示されているまさにその形態に本発明を限定することを意図するものではない。本明細書及び以下の特許請求の範囲は、説明目的でのみ使用され、限定するものとして解釈されるべきではない用語を含む。関連する技術分野の当業者であれば、上記の教示に照らして多くの修正形態及び変形形態が可能であることを理解し得る。当業者は、図に示されている様々な構成要素の様々な均等な組み合わせ及び置換形態を認識するであろう。従って、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されることを意図している。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F