(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】逐次浸透合成装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20240805BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240805BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/31 A
H01L21/30 564
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187094
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2019531204の分割
【原出願日】2017-12-08
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ラエイメーカーズ,イーボ・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】メイズ,ヤン・ビレム
(72)【発明者】
【氏名】クナプエン,ベルナー
(72)【発明者】
【氏名】カヘル,クシシュトフ・カミル
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-070177(JP,A)
【文献】特開2006-124832(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040385(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/114156(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/455
H01L 21/31
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逐次浸透合成装置であって、
少なくとも一つの基材を保持するための基材ホルダーを備えた反応チャンバーと、
前駆体分配および除去システムであって、
気体状の第一および/または第二の前駆体を前記反応チャンバーに提供および前記反応チャンバーから除去する一つまたは複数の反応チャンバーバルブ、
上流側の反応チャンバーバルブと前駆体バルブとの間に配置された少なくとも一つの分配バッファタンクであって、前記分配バッファタンクは、前記気体状の第一および/または第二の前駆体を一定量保存するように構成および配置される、分配バッファタンク、および
下流側の反応チャンバーバルブとガス除去ポンプとの間に配置された除去バッファタンクであって、前記除去バッファタンクの容積は、前記反応チャンバーの容積よりも大きく、前記除去バッファタンクおよび前記ガス除去ポンプは、前記下流側の反応チャンバーバルブを開くと、前記除去バッファタンクが前記反応チャンバー内から一つまたは複数の気体を吸引するように構成および配置される、除去バッファタンク、
を備える、前駆体分配および除去システムと、
前記一つまたは複数の反応チャンバーバルブに動作可能に接続され、前記反応チャンバー内の前記基材上に提供された浸透材料の前記気体状の第一および
/または第二の前駆体との逐次浸透を可能とするようにプログラムされた逐次制御器と、を備える、装置。
【請求項2】
前記装置が、前記反応チャンバー内の前記第一または第二の前駆体の圧力を0.001~1000Torrの間に維持するように構成および配置され、第一の加熱システムが、前記反応チャンバーの温度を、少なくとも一つの前記反応チャンバーバルブまで、浸透中、前記反応チャンバー内の前記第一または第二の前駆体の圧力で、少なくとも前記第一または第二の前駆体の沸騰温度まで、20~450℃の間に制御するように構成および配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも一つの反応チャンバーバルブがゲートバルブ、圧力リリーフバルブ、またはガス流を制御するポンプを備え、第一の加熱システムが前記反応チャンバーバルブまで前記反応チャンバー内の温度を制御するように構成および配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記前駆体分配および除去システムが、気体状の前駆体を提供または除去するための、前記反応チャンバーと少なくとも一つの反応チャンバーバルブとの間のダクトを備え、第一の加熱システムが、前記ダクトの周りに提供されて前記ダクトの温度を制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記前駆体分配および除去システムが、前記反応チャンバー内に前記第一または第二の前駆体を提供する前に、前記前駆体の温度を前記反応チャンバーの温度より0~50℃高い予熱温度に制御するように構成および配置される第二の加熱システムを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記前駆体分配および除去システムが、前記反応チャンバーをパージガスでパージするパージシステムを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記逐次制御器が、前記装置に、
前記前駆体分配および除去システムによって、前記反応チャンバー内に前記第一の前駆体を提供し、第一の期間T1の間、前記反応チャンバーに前記第一の前駆体を提供および維持することと、
少なくとも第二の期間T2の間、前記前駆体分配および除去システムを起動することによって、前記基材から前記第一の前駆体の一部を除去することと、
前記前駆体分配および除去システムを起動させることによって、第二の前駆体を前記反応チャンバーに提供し、第三の期間T3の間、前記反応チャンバー内に前記第二の前駆体を提供および維持することと、を含む、N回の浸透サイクル中、浸透を実行させるようにプログラムされたメモリを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記逐次制御器が、
負荷期間LPの間、いずれの前駆体も除去しないまま、前記前駆体分配および除去システムを用いて前記第一前駆体を前記反応チャンバーに提供し、
浸漬期間SPの間、前記前駆体分配および除去システムを停止させた状態で、前記第一の前駆体を前記反応チャンバー内に留めるようにプログラムされる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記逐次制御器が、
負荷期間LPの前および/または後、洗浄期間FPの間、前駆体を除去しながら、前記前駆体分配および除去システムを用いて前記第一前駆体を前記反応チャンバーに提供するようにプログラムされる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記逐次制御器が、
前記反応チャンバー内の前記第一または第二の前駆体の圧力が所望の浸透圧に達するとき、負荷期間LPを終了するようにプログラムされる、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記逐次制御器が、前記前駆体分配および除去システムを制御して、前記第一の前駆体を提供するT1の期間を、前記基材から前記第一の前駆体の部分を除去する前記第二の期間T2より長くするようにプログラムされる、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
逐次浸透合成装置であって、
少なくとも一つの基材を保持するための基材ホルダーを備えた反応チャンバーと、
気体状の第一または第二の前駆体を前記反応チャンバーに提供および前記反応チャンバーから除去する一つまたは複数の反応チャンバーバルブを備える、前駆体分配および除去システムと、
前記一つまたは複数の反応チャンバーバルブに動作可能に接続され、前記反応チャンバー内の基材上に提供された浸透材料の前記気体状の第一
または第二の前駆体との逐次浸透を可能にするようにプログラムされる逐次制御器と、
前記前駆体分配および除去システム内に提供された少なくとも一つのバッファタンクであって、前記バッファタンクが、前記バッファタンク内に前記それぞれの前駆体を直接注入するための直接液体インジェクタ(DLI)気化器を備える、バッファタンクと、を備える、装置。
【請求項13】
前記バッファタンクが、前記気体状の第一または第二の前駆体を保存し、前記反応チャンバーの容積の0.1~15倍の容積を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、前記反応チャンバーの温度を加工温度に制御するように構成および配置される第一の加熱システムを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記バッファタンクの温度が、加工温度より0~50℃高い、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
加工温度が20~450℃であり、前記逐次制御器が、前記反応チャンバー内の圧力を0.001~1000Torrに維持するように構成および配置される、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
逐次浸透合成装置であって、
少なくとも一つの基材を保持するための基材ホルダーを備えた反応チャンバーと、
気体状の第一または第二の前駆体を前記反応チャンバーに提供および前記反応チャンバーから除去する一つまたは複数の反応チャンバーバルブを備える、前駆体分配および除去システムと、
前記一つまたは複数の反応チャンバーバルブに動作可能に接続され、前記反応チャンバー内の基材上に提供された浸透材料の前記気体状の第一
または第二の前駆体との逐次浸透を可能にするようにプログラムされる逐次制御器と、
前記前駆体分配および除去システム内に提供された少なくとも一つのバッファタンクと、
0.5~20
秒間の前記第一の前駆体のパルスを有する不連続な第一の前駆体流を提供するためのバブラーであって、第一の期間T1の間、0.1~5秒間、不活性ガスのパルスと交互となる、バブラーと、を備える、装置。
【請求項18】
前記反応チャンバーが、前記反応チャンバーの上部に設けられ、前記前駆体分配および除去システムと接続して、前記第一または第二の前駆体を前記基材の表面に提供する、シャワーヘッドを備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記前駆体分配および除去システムが、前記シャワーヘッドと接続可能なパージシステムを備え、前記反応チャンバーをパージする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
加工温度が20~450℃であり、前記逐次制御器が、前記反応チャンバー内の圧力を0.001~1000Torrに維持するように構成および配置される、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね、電子デバイスを製造するための装置および方法に関する。より具体的には、本開示は、浸透装置を用いて基材上に構造を形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
トレンドが半導体デバイスをより小さいサイズに推し進めるにしたがい、種々のパターニング技術が生まれてきた。これらの技術には、スペーサー法クオドパターニング(spacer defined quadruple patterning)、極紫外線リソグラフィー(EUV)、およびスペーサー法ダブルパターニング(Spacer Defined Double patterning)と組合せたEUVが含まれる。更に、誘導自己組織化(DSA)は、将来のリソグラフィー用途の選択肢と考えられている。DSAは、自己集合のためのパターンを画定するためにブロックコポリマーの使用を含む。使用されるブロックコポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリスチレン、またはポリ(スチレン-ブロック-メチルメタクリレート)(PS-b-PMMA)を含み得る。他のブロックコポリマーは、潜在的に小さな寸法を可能にし得る新たな「高χ(high-Chi)」ポリマーを含み得る。
【0003】
上記のパターニング技術は、基材の高解像度パターニングを可能にするために、基材上に配置されるEUVポリマーまたはDSAブロックコポリマーレジストなどの浸透材料を利用することができる。高解像度およびラインエッジラフネスの両方の要求を満たすために、ポリマーレジストは通常薄い層であることができる。しかしながら、このような薄いポリマーレジスト層はいくつかの欠点を有することがある。特に、高解像度ポリマーレジストは、エッチング耐性が低く、高いラインエッジラフネスに悩まされる場合がある。この低いエッチング抵抗および高いラインエッジラフネスは、正しいパターン付けの下にある層への転写をより困難にし得る。
【0004】
したがって、浸透材料、例えばパターン付き材料レジストなど、を浸透させて、浸透材料の属性を変化させることが有利であり得る。パターン付き材料の浸透を実施するために、最適化された浸透装置を有することが有利であり得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、
少なくとも一つの基材を保持するための基材ホルダーを備えた反応チャンバーと、
気体状の第一および/または第二の前駆体を反応チャンバーに提供および反応チャンバーから除去する一つまたは複数の反応チャンバーバルブを備える、前駆体分配および除去システムと、
一つまたは複数の反応チャンバーバルブに動作可能に接続され、反応チャンバー内の基材上に提供された浸透材料の気体状の第一および第二の前駆体との逐次浸透を可能にするようにプログラムされる逐次制御器と、を備える、逐次浸透装置が提供される。
【0006】
装置は、凝縮を避けるために反応チャンバーバルブの少なくとも一つまで、反応チャンバーからの温度を制御するよう構成および配置された加熱システムを備えてもよい。加熱システムは、反応チャンバーを加熱するための発熱体と、反応チャンバーと反応チャンバーバルブとの間の少なくとも一つのダクトを備え、当該チャンバーバルブの少なくとも一つまで、反応チャンバーからの温度を制御してもよい。温度は、反応チャンバー内の第一または第二の前駆体の圧力で、第一または第二の前駆体の少なくとも沸騰温度に制御され得る。
【0007】
例えば、不活性ガスなどの混合ガスを有する第一または第二の前駆体の混合物が使用される場合、反応チャンバー内の第一または第二の前駆体の圧力は、当該前駆体の部分圧力としてもよい。部分圧力は、第一および/または第二の前駆体の浸透の間に到達し得る所望の最大圧力とし得る。
【0008】
浸透プロセスの速度は、前駆体の(部分)圧力によって上昇し得る。したがって、高圧での加工は、有利なことに、スループットを最大化するが、反応チャンバーの非加熱部分および反応チャンバーと反応チャンバーバルブの間のダクト上の凝縮リスクを増加させ得る。反応チャンバーの気体状の第一または第二の前駆体の温度を反応チャンバーバルブまで制御することによって、反応チャンバーの凝縮リスクを最小化することができる。
【0009】
加熱システムは、反応チャンバーおよび反応チャンバーから少なくとも一つの反応チャンバーバルブへのダクトの温度を、20~450℃、好ましくは50~150℃、より好ましくは60~110℃、最も好ましくは65~95℃に制御するように構成され、かつ配置され得る。逐次制御器は、浸透中、反応チャンバーの第一および第二の前駆体の(部分)圧力が、0.001~1000Torr、好ましくは0.1~400Torr、より好ましくは1~100Torr、および最も好ましくは2~50Torrに到達および/またはそれを維持するように構成され、かつ配置され得る。
【0010】
さらなる実施形態によれば、
少なくとも一つの基材を保持するための基材ホルダーを備えた反応チャンバーと、
気体状の第一または第二の前駆体を反応チャンバーに提供および反応チャンバーから除去する一つまたは複数の反応チャンバーバルブを備える、前駆体分配および除去システムと、
一つまたは複数の反応チャンバーバルブに動作可能に接続され、反応チャンバー内の基材上に提供された浸透材料の気体状の第一および第二の前駆体との逐次浸透を可能にするようにプログラムされる逐次制御器と、を備える、逐次浸透装置が提供される。装置は、前駆体分配および除去システム内に提供されたバッファタンクを備え得る。
【0011】
バッファタンクは、第一または第二の前駆体を貯蔵するために、反応チャンバーの上流に位置付けられてもよい。バッファタンクは、反応チャンバーの0.1~15倍、好ましくは0.3~3倍、さらにより好ましくは0.5~2倍の容積を有し得る。バッファタンクは、反応チャンバーが第一または第二の前駆体で充填される時、より迅速に充填されるため、それによってツールのスループットが増大するように、第一または第二の前駆体で充填されてよい。
【0012】
またさらなる実施形態によれば、
少なくとも一つの基材を保持するための基材ホルダーを備えた反応チャンバーと、
気体状の第一または第二の前駆体を前記反応チャンバーに提供および前記反応チャンバーから除去する一つまたは複数の反応チャンバーバルブを備える、前駆体分配および除去システムと、
一つまたは複数のバルブに動作可能に接続され、反応チャンバー内の基材上に提供された浸透材料の気体状の第一および第二の前駆体との逐次浸透を可能とするようにプログラムされた逐次制御器と、を備える逐次浸透装置であって、それぞれ単一の基材を収容するように構成されおよび配置される少なくとも二つの反応チャンバーを備え、前駆体分配および除去システムは、少なくとも二つの反応チャンバーに第一または第二の前駆体を同時に供給する、および少なくとも二つの反応チャンバーから第一または第二の前駆体を同時に除去する部分的に共通の前駆体分配である、逐次浸透装置が提供される。
【0013】
少なくとも二つの反応チャンバーを有することにより、装置のスループットが増大し得る。部分的に共通の第一または第二の前駆体流路および前駆体分配および除去システムによって提供される部分的に共通の除去流路を有することにより、装置内のハードウェアは簡略化され、より効率的に使用され得る。
【0014】
従来の技術を超えて達成される本発明および利点を要約するために、本発明のある目的および利点について、本明細書において上に記載してきた。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点の全てが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それゆえ、例えば、本明細書に教授または示唆する通り、一つの利点または利点の一群を達成または最適化する形式で、本明細書に教授または示唆されてもよい、他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本発明が具体化または実行されてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0015】
これらの実施形態の全ては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図されている。当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のいくつかの実施形態の発明を実施するための形態から容易に明らかとなり、本発明は、開示される全ての特定の実施形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面の要素は、簡潔かつ明瞭にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。例えば、図内の要素のうちいくつかの寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0017】
【
図1】一実施形態による逐次浸透合成装置を図示する。
【
図2A】逐次浸透合成装置で使用するための本発明の少なくとも一つの実施形態による浸透方法を図示する。
【
図2B】逐次浸透合成装置で使用するための本発明の少なくとも一つの実施形態による浸透方法を図示する。
【
図3】
図3は、一実施形態による逐次浸透装置の反応チャンバーを図示する。
【
図4】
図4は、さらなる実施形態による逐次浸透装置の反応チャンバーを図示する。
【
図5】
図5は、バッチ式反応器を備える、一実施形態による逐次浸透装置の反応チャンバーを図示する。
【
図10】
図10a、10bおよび10cは、逐次浸透合成装置の異なる構成を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
いくつかの実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明が、具体的に開示する本発明の実施形態および/または用途、並びにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それゆえ、開示する本発明の範囲は、以下に記載し具体的に開示する実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。
【0019】
図1は、一実施形態による逐次浸透合成装置を図示する。装置は、鋼、アルミニウムまたは石英などの適切な材料で作製された反応チャンバー2を備える。上部に浸透材料を備えた基材12は、基材開口部(図示せず)を介して基板ハンドラーによって基材ホルダー
10上の反応チャンバー2内に配置されてもよい。反応チャンバー2は、フランジによって一方の端で閉じられたチャンバーを形成し、それを通して、開口部の開閉を制御する少なくとも一つまたは複数の(分配)反応チャンバーバルブ19を備える一つまたは複数の開口部を介してガスが導入される。
【0020】
分配反応チャンバーバルブ19は、反応チャンバー2への前駆体分配および除去システムの流体分配部分のアクセスを提供する。前駆体分配および除去システムは、分配反応チャンバーバルブ19を介して反応チャンバーに第一または第二の前駆体28、29を提供し得る。第一の前駆体28は、第一の前駆体ヒーター32によって容器30に含まれる液体または固体を蒸発させることにより、反応チャンバー2内へ気体として導入され、チャンバー2内への送達のために適切な蒸気圧を提供し得る。第一の前駆体ヒーター32は、容器30内の第一の前駆体に熱を提供し得る。同様に、第二の前駆体29は、第二の前駆体ヒーター33によって容器31に含まれる液体または固体を蒸発させることにより、反応チャンバー2内へ気体として導入され、反応チャンバー2内への送達のために適切な蒸気圧を提供し得る。
【0021】
分配バッファタンク18は、ガスを貯蔵するために反応チャンバーバルブ19の上流のガス分配および除去システムに提供されてもよい。バッファタンクは、反応チャンバー2の0.1~15倍、好ましくは0.3~3倍、さらにより好ましくは0.5~2倍の容積を有し得る。バッファタンクは、反応チャンバーが第一または第二の前駆体で充填される時、より迅速に充填されるため、それによって装置のスループットが増大するように、第一または第二の前駆体で充填される。分配バッファタンク18は加熱されてもよい。
【0022】
図示した通り、第一および第二の前駆体用の流路およびバッファタンクは部分的に共通であってもよいが、それらはまた分離されていてもよい。別個のバッファタンクを備えた分離した流路により、両方のバッファタンクを独立して充填することが可能になり、装置のスループットおよび前駆体の使用効率が向上する。分離した流路の場合、各流路は別個の分配反応チャンバーバルブ19を備えていてもよい。
【0023】
前駆体分配および除去システムは、パージガス34をパージバルブ24および分配反応チャンバーバルブ19を介して反応チャンバー2に供給するパージシステムを備えてもよい。図示した通り、パージガス、第一および第二の前駆体用の流路は部分的に共通であってもよいが、それらは部分的にまたは完全に分離されていてもよい。分離した流路の場合、各流路は別個の分配反応チャンバーバルブ19を備えていてもよい。
【0024】
パージガスは、窒素などの不活性ガスであってもよく、反応チャンバー2をパージするために使用され得る。また、パージガスを使用してバッファタンク18をパージし得る。
【0025】
随意に、バッファタンク18と分配反応チャンバーバルブ19との間の別個の排気(図示せず)は、分配反応チャンバーバルブ19が閉じている間、バッファタンク18をより効果的にパージするために、ポンプ39に接続されてもよい。
【0026】
別の方法としてまたは追加的に、パージシステムは、反応チャンバー2内にパージガスを直接提供するパージ反応チャンバーバルブ(図示せず)を介して、パージガスを反応チャンバー2に直接供給するよう構成および配置されてもよい。反応チャンバー内に直接パージガスを供給することにより、反応チャンバーがパージされる間、前駆体分配および除去システムを使用して前駆体で充填することが可能になる。このようにして、スループットを向上させることが可能になる。パージシステムはパージガスバッファチャンバーを備え、より効果的に駆動することができる。
【0027】
反応チャンバーは、例えば、ゲートバルブなどの一つまたは複数の反応チャンバーバルブ36を備えた一つまたは複数の開口部を介して前駆体分配および除去システムのガス除去部分に接続するフランジによって他の端で閉じられる。ガス除去ポンプ39および随意に除去バッファタンク38は、前駆体分配および除去システムのガス除去部分の一部とし得る。
【0028】
除去バッファタンク38は、ゲートバルブ36の下流にあるガス除去システム内に提供され得る。除去バッファタンク38は、反応チャンバーバルブ36が開かれた時に除去バッファタンク内のガスを吸引するために、反応チャンバーの容積の1~30倍、好ましくは5~15倍の容積を有し得る。300mmの直径を有する基材用の反応チャンバー2の容積は、単一の基材反応チャンバーで容積0.5~1リットル、基材の上方にシャワーヘッドを備えた単一基材用の反応チャンバーで容積3~5リットル、および25~250の基材用のバッチ式反応チャンバーで容積50~200リットルであってもよい。
【0029】
反応チャンバー2は、基材を基材ホルダー10に提供する開口部(図示せず)を備えていてもよい。ドアが備えられて、開口部を開閉し、基材ホルダー12への基材ハンドラーによるアクセスが提供されてもよい。基材ホルダーはまた、反応チャンバー壁の一部を形成してもよく、基材ホルダー10へのアクセスを提供するように可動であってもよい。
【0030】
第一の前駆体28は、基材12上の浸透材料内に形成される浸透材料の要素を有する化合物であってもよい。第一の前駆体28は、第一の前駆体バルブ20、バッファタンク18および分配反応チャンバーバルブ19を介して反応チャンバー2に提供されてもよい。
図1は、それぞれ第一および第二の前駆体28および29を含む二つの容器30および31を備えたシステムを示す。しかしながら、形成される浸透材料のタイプは、前駆体および容器の数を決定する。例えば、三元浸透材料が望ましい場合、装置は三つの容器および三つの前駆体バルブを含み得る。
【0031】
また、容器30および31は、必要に応じてその他の適切な前駆体貯蔵手段と置き換えられてもよい。例えば、前駆体のうちの一つが固体であり得る場合、固体前駆体の昇華を促進するために特別に適合された容器が提供されてもよい。容器30、31のうちの一つは、加熱の必要のないように気体状の前駆体を備えていてもよい。
【0032】
逐次制御器40、例えばマイクロコントローラは、一つまたは複数の反応チャンバーバルブ19、36、前駆体バルブ20、22およびパージバルブ24に動作可能に接続されてもよい。逐次制御器40は、装置に、反応チャンバー2内の基材12上に提供された浸透材料の第一および第二の前駆体28、29との浸透を実行させるようにプログラムされたプログラムを保存するためのメモリMを備え得る。圧力センサーおよび/または温度センサー26は、チャンバーの圧力および温度を監視してもよく、浸透のプロセス条件を最適化するために、動作中に逐次制御器40と動作可能に接続されてもよい。逐次制御器40のメモリMに保存されたプログラムは、第一および第二の前駆体を反応チャンバー2に提供およびそこから除去するのに適切な時点で、バルブ19、20、22、24および36を逐次開閉するようにプログラムされてもよい。前駆体バルブ20、22は加熱され得る。
【0033】
装置は、例えば加熱抵抗ワイヤなどの第一の発熱体14および温度センサー26に動作可能に接続された加熱制御器16を備える加熱システムを備えてもよい。一つまたは複数の温度センサー26も圧力センサーを備えてもよい。加熱制御器16は、逐次制御器40に動作可能に接続されてもよい。温度センサー26を使用して、反応チャンバー2内の温度を測定し、この温度について加熱制御器16にフィードバックを提供し、反応発熱体14の温度を調節してチャンバー2の温度を調節することができる。
【0034】
加熱システム16は、反応チャンバー2からの温度を反応チャンバーバルブ19または36のうちの少なくとも一つまで制御してもよい。したがって、第一の発熱体14は、反応チャンバー2に沿って前述の反応チャンバーバルブ19または36の少なくとも一つまで延在し、反応チャンバー2を加熱することし得る。第一の発熱体14は、反応チャンバー2および反応チャンバー2と前述の反応チャンバーバルブ19または36のうちの少なくとも一つとの間の少なくとも一つのダクトを加熱してもよい。第一の発熱体はまた、反応チャンバーバルブ19、36の一つを加熱して、前述のバルブ上の凝縮を回避し得る。
【0035】
(分配)反応チャンバーバルブ19と反応チャンバー2との間の前駆体流入ダクトは、第一の発熱体14の一部を備えてもよい。前駆体流入ダクトに沿った第一の発熱体14のこの部分は、流入ダクト内に延在する温度センサー26と、前駆体流入ダクトの温度を調節する加熱制御器16とにより個別に制御され得る。
【0036】
反応チャンバー2と(除去)反応チャンバーバルブ36との間の前駆体除去フローダクトは、第一の発熱体14の一部を備えてもよい。前駆体除去フローダクトに沿った第一の発熱体14のこの部分は、前駆体除去フローダクト内に延在する温度センサー26と加熱制御器16とにより個別に制御され得る。
【0037】
このようにして、反応チャンバー2における凝縮を引き起し得るコールドスポットは、前駆体流入ダクトおよび前駆体除去フローダクトを回避し得る。前駆体の凝縮によって、前駆体のタイムリーな反応チャンバーからの効果的な除去ができなくなり、したがって、凝縮物はその後前駆体と反応して反応チャンバーおよび基材12を汚染し得る粒子となり得る。前駆体を送達する流入ダクト内の粒子は特に多くの問題を引き起こし得る。
【0038】
温度は、最適化された加工温度に設定され得る。浸透プロセスの速度は、圧力によって上昇し得る。したがって、より高い圧力での加工は有利なことに、スループットを最大化するが、凝縮のリスクを増加させる。反応チャンバー2内の第一または第二の前駆体の最大圧力における第一または第二の前駆体の沸騰温度は、凝縮を避けるために所望の最適化された加工温度より低くあるべきである。反応チャンバー2からの温度を、反応チャンバーバルブ19、36のうちの少なくとも一つまで制御することによって、凝縮のリスクが最小化され得る。また、容器30および31から反応チャンバーバルブ36までの流路全体の温度を制御することが有利であり得る。
【0039】
例えば、第一または第二の前駆体がトリメチルアルミニウム(TMA)である場合、蒸気圧は次のようになる:
20℃ 約9 Torr
40℃ 約25 Torr
60℃ 約64 Torr
80℃ 約149 Torr
100℃ 約313 Torr
128℃ 約760 Torr
これらの値から分かるように、加工圧力は、反応チャンバー内の温度を上昇させることによって実質的に上昇させることができる。しかしながら、前駆体と接触する装置に小さな部分があり、かつそれがわずかに低い温度を有する場合、望ましくない前駆体の凝縮の直接的なリスクがある。
【0040】
例えば浸透材料を有するTMAなどの前駆体の相互作用は、主に吸着および拡散を通してもよい。吸着および拡散の速度および吸着反応における平衡は、温度変化によって影響を受け得るため、温度は浸透に対して顕著な効果を有し得る。
【0041】
浸透プロセスは、90℃で最適であってもよく、120℃~150℃では、浸透はTMAに対して良好でなくなる。これは、吸着ベースのプロセスに予期され得る。より高い温度では、吸着反応の平衡は、別々のTMAおよびポリマー種の方にシフトし得る。20~400、好ましくは50~150、より好ましくは60~110、最も好ましくは65~95℃の加工温度が、したがって好ましい。
【0042】
加熱システムは、したがって、反応チャンバーおよび反応チャンバーからのダクトの温度を、少なくともそれらのそれぞれの反応チャンバーバルブまで、20~450℃に、好ましくは50~150℃、より好ましくは60~110℃、最も好ましくは65~95℃に制御するように構成され、かつ配置され得る。逐次制御器内のメモリMは、装置が、浸透中、凝縮を回避するため、反応チャンバーの第一および第二の前駆体の圧力を、0.001~1000Torr、好ましくは0.1~400Torr、より好ましくは1~100Torr、および最も好ましくは2~50Torrに到達させおよび/またはそれを維持するプログラムによってプログラムされ得る。このようにして、前駆体TMAの使用に関して最適な加工温度および圧力を有しながら、装置の凝縮を回避するための十分な安全マージンを作り出す。
【0043】
装置は、液体流量調節器および気化器を備える直接液体インジェクタ(DLI)を備え得る。液体流量調節器は、気化器への液体の流れを制御して、第一または第二の前駆体を蒸発させ得る。流量調節器と気化器との間を流れる液体を加熱する必要がない場合がある。気化器は、第一または第二の前駆体を蒸発させるために加熱され得る。加熱システムは、反応チャンバー2からの温度を、気化器まで、少なくとも反応チャンバー2内の第一および第二の前駆体の圧力での第一または第二の前駆体の沸騰温度に制御し、凝縮を回避するように構成され、かつ配置され得る。気化器は、反応チャンバー内で、反応チャンバー内の蒸発した前駆体を直接提供するように構成および配置され得る。気化器はまた、装置の前駆体分配および除去システム内に構成および配置されてもよい。
【0044】
装置の前駆体分配および除去システムは、前駆体分配および除去システムに提供される少なくとも一つのバッファタンク18、38を備え得る。バッファタンクは、気体状の第一または第二の前駆体28、29を貯蔵するために反応チャンバー2の上流に位置付けられた分配バッファタンク18であってもよく、反応チャンバー2の容積の0.1~10倍、好ましくは0.3~3倍、さらにより好ましくは0.5~2倍の容積を有する。300mmの直径を有する基材用の反応チャンバー2の容積は、単一の基材反応チャンバーで容積0.5~1リットル、基材の上方にシャワーヘッドを備えた単一基材用の反応チャンバーで容積3~5リットル、および25~250の基材用のバッチ式反応チャンバーで容積50~200リットルであってもよい。
【0045】
分配バッファタンク18は、直接液体インジェクタ(DLI)気化器を備え、バッファタンク内の気体状の前駆体を直接注入してもよい。分配バッファタンク18は、バッファタンク内に異なる容積を収容する可撓性ベローズを備え得る。分配バッファタンク18は、反応チャンバー2の上部またはその近くに提供され、反応チャンバー2への短い送達ラインを有し、同時に反応チャンバーによって加熱されてもよい。
【0046】
装置は、第二の発熱体17を備え、バッファタンク18および/または前駆体分配および除去システムの液体分配部分のダクトの温度を制御してもよい。これらの部分の温度は、反応チャンバー2の温度より0~50、より好ましくは0.1~20、さらに最も好ましくは0.2~10℃高く制御され得る。第二の発熱体17は、加熱制御器16によって制御され得る。第二の温度/圧力センサー(図示せず)は、前駆体バッファタンク18および/または流体分配部分内のダクトに提供され、加熱制御器16に動作可能に接続され
て制御を向上させ得る。バッファタンク18を反応チャンバー2より高温で有することにより、分配反応チャンバーバルブ19を開いた後、より小さいサイズのバッファタンクが短期間に反応チャンバー2を充填する必要があるように、前駆体のバッファタンク18のより高い蒸気圧を維持することが可能になる。
【0047】
第一および第二の発熱体14および17は、装置の関連する部分の周りに巻かれる抵抗ワイヤであってもよい。良好な温度断熱および、約90℃の比較的低い動作温度では、そのような実施形態が有効である。第一および第二の発熱体14、17は、複数の温度センサーを有するマルチゾーン発熱体であり、ツールのあらゆる部分の温度をより正確に制御してもよい。
【0048】
前駆体分配および除去システムは、前駆体を提供するためのバブラーを備え得る。バブラーは、0.1~200の第一の前駆体のパルスを有する不連続な前駆体流を提供し得、好ましくは1~3秒間と混合ガスのパルスを0.01~2、好ましくは0.3~1秒間とを交互に行う。
【0049】
前駆体分配および除去システムは、直接液体インジェクタ(DLI)気化器を備え、反応チャンバー2内、分配バッファタンク18内、または分配反応チャンバーバルブ19の上流の前駆体分配および除去システムのその他のダクト内に、気体状の前駆体を直接注入してもよい。
【0050】
前駆体分配および除去システムは、除去反応チャンバーバルブ36の後、しかし除去ポンプ39の前、反応チャンバーの下流の前駆体分配および除去システムに提供される、除去バッファタンク38を有し得る。除去バッファタンクは、除去反応チャンバーバルブ36が開かれた時にバッファタンク内のガスを吸引するために、反応チャンバーの容積の1~20倍、好ましくは5~15倍の容積を有し得る。
【0051】
図1を参照すると、典型的な動作中に、第一の前駆体28は、容器30からの気相の第一の前駆体28への曝露によって、基材上の浸透材料内に浸透される。第一の前駆体28は、基材上の浸透材料と反応して、基材上の浸透材料中に浸透された化学吸着性または物理吸着性の誘導体となり得る。その後、第二の前駆体29は、容器31からの気相の第二の前駆体29への曝露によって、基材上の浸透材料内に浸透される。第二の前駆体29は、基材上の浸透材料中に浸透された第一の前駆体28の化学吸着性または物理吸着性の誘導体と反応して、最終浸透材料となり得る。
【0052】
第一または第二の前駆体を貯蔵するための容器30、31は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、およびジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)からなる群から選択されるアルミニウムのアルキル化合物を貯蔵するよう構成および配置される。
【0053】
容器30、31は、塩化チタン(IV)(TiCl)、タンタル(V)ペンタクロリド(TaCl5)、および/または五塩化ニオブ(NbCl5)などの第一または第二の前駆体を貯蔵するように構成および配置され得る。
【0054】
ジルコニウムまたはハフニウムの浸透のため、容器30、31は、ZrまたはHf前駆体を貯蔵するよう構成および配置され得る。ZrまたはHfを浸透させる場合、ZrまたはHf前駆体は、有機金属の(metalorganic)前駆体、有機金属の(organometallic)前駆体、またはハライド前駆体を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前駆体はハライドである。いくつかの他の実施形態では、前駆体はHfまたはZrのアルキルアミン化合物、例えばTEMAZまたはTEMAHである。
【0055】
容器30、31は、水、オゾン、過酸化水素、アンモニア、およびヒドラジンからなる群から選択される酸化剤などの第一または第二の前駆体を貯蔵するように構成および配置され得る。
【0056】
装置は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)ジメチルエチルアミンアラン(DMEAA)、トリメチルアミンアラン(TEAA)、N-メチルピロリジンアラン(MPA)、トリ-イソブチルアルミニウム(TIBA)、トリtertブチルアルミニウム(TTBA)トリメチルホウ素およびトリエチルホウ素からなる群から好ましくは選択されるアルミニウムまたはホウ素炭化水素化合物である第一または二の前駆体を収容するための第一の容器31、および塩化チタン(IV)(TiCl)、タンタル(V)ペンタクロリド(TaCl5)、および五塩化ニオブ(NbCl5)からなる群から好ましくは選択される金属ハライドなどの第一および第二の前駆体の他方を収容するための第二の容器31を備え得る。後者は、金属炭化物材料の浸透に好ましい場合がある。
【0057】
図2aおよび
図2bは、
図1の装置で使用するための本発明の少なくとも一つの実施形態による浸透方法を示す。方法は、基材を基材ハンドラーを用いて反応チャンバーに提供する第一の工程50を含み、基材は基材上に少なくとも一つの浸透材料を有する。
【0058】
浸透材料は多孔性であってもよい。気孔率は、浸透材料の全体積の一部分として浸透材料の空隙を測定することによって測定され得、それは0~1の値を有し得る。浸透材料は、全体積における空隙の部分が0.1より大きい、0.2より大きい、または0.3よりも大きい場合に、多孔性として認定され得る。
【0059】
浸透材料はハードマスク材料であってもよく、例えば、スピンオンガラス、またはスピンオンカーボン層、窒化ケイ素層、反射防止コーティングまたはアモルファルカーボン膜を含む。ガラスまたはカーボン層を基材上にスピニングすることにより、スピンオンガラスまたはスピンオンカーボン層を設け、ハードマスク材料を提供することができる。さらに、ハードマスク材料は、SicOH、またはSiOCを含み得る。
【0060】
一実施形態では、浸透材料は、パターン付き(フォト)レジスト層などのパターン付き層であってもよい。レジスト層はアニールされてもよい。アニール工程は、レジストから水分または他の汚染物質を脱気する、レジストを硬化させる、レジストの部分を基材表面から選択的に焼失させる、または必要な気孔率を設ける目的を有してもよい。
【0061】
一実施形態では、ブロックコポリマー膜を有すること、およびブロックコポリマー膜の誘導自己組織化を促進してパターン付き層を形成することによって、パターン付き層が提供され得る。こうしたパターン付き層の浸透は、こうしたパターン付き層の品質を改善し得る。ブロックコポリマー膜は、例えば、低いエッチング抵抗を有してもよく、またコポリマーにパターンを浸透することによって、パターンのエッチング抵抗が改善され得る。
【0062】
一実施形態では、パターン付き層は、リソグラフィー装置で曝露されるフォトレジストを有することによって提供され得る。こうしたパターン付き層の浸透は、こうしたパターン付き層の品質を改善し得る。パターン付きフォトレジスト層は、例えば、低いエッチング抵抗を有してもよく、またパターン付きフォトレジストを浸透させることにより、パターンのエッチング抵抗が改善され得る。
【0063】
図2の工程50の間、基材が
図1の反応チャンバー2内に位置付けられた後、反応チャンバーおよび基材は、除去ポンプ39によって反応チャンバー2から排除され得る。任意
で、パージガス34は、パージバルブ24および分配反応チャンバーバルブ19を介して反応チャンバー2を洗浄するためにパージシステムを備えてもよい。反応チャンバー2は、脱ガス強化のために加熱されてもよい。
【0064】
メモリMのプログラムは、浸透が開始される前に、反応チャンバー2からガスを除去するための前駆体分配および除去システムを起動するようにプログラムされ、パージシステムによりパージガスを提供して反応チャンバーを1~4000秒間、好ましくは100~2000秒パージするようにプログラムされてもよい。メモリMのプログラムは、汚染物質の脱ガス強化のために、反応チャンバー2を20~450℃、好ましくは50~150℃、最も好ましくは70~100℃の温度に加熱するようにヒーターシステム16を起動するようにプログラムされてもよい。
【0065】
その後、方法は、一つまたは複数の浸透サイクル中に、浸透材料が浸透材料で浸透され得る浸透方法51を含む。各浸透サイクルは、以下の工程を含み得る。
【0066】
工程52は、第一の期間T1の間、第一の前駆体を反応チャンバー内の基材上の浸透材料に提供することを含む。逐次制御器40のメモリMには、逐次制御器40のプロセッサ上で実行されたときに、第一の前駆体バルブ20を開く事によって、および容器32を加熱するように起動された第一の前駆体温度制御器32を有することによって第一の容器30から第一の前駆体28を蒸発させることによって、浸透装置が、パージングバルブ24と、分配反応チャンバーバルブ19とを閉じるように、および第一の前駆体を、分配反応チャンバーバルブ19の上流にある前駆体分配および除去システムのダクトに構築するようにするプログラムが提供されてもよい。第一の前駆体は、バッファタンク18内に貯蔵されてもよい。発熱体17は、加熱制御器16によって制御されて、ダクトを十分に加熱して、第一の前駆体のダクトおよびバッファタンク18内の高蒸気濃度を保つことができる。
【0067】
次いで、逐次制御器40のメモリMのプログラムは、バルブ20を短時間開いて、第一の前駆体28を反応チャンバー2に送達するようにプログラムされてもよい。これは、洗浄期間FPに、反応チャンバー2を第一の前駆体で洗浄するように、除去反応チャンバーバルブ36を開くことで、および除去ポンプを起動することで行われてもよい。洗浄期間FPも省略することができる。反応チャンバー2が単一の基材を収容するように構成され、配置された時、メモリ内のプログラムは、1~60秒の間の、好ましくは2~30秒の間の洗浄期間FPの間、第一の前駆体流制御器を起動するようプログラムされてもよい。反応チャンバーが2~25の基材を収容するように構成され、配置された時、メモリ内のプログラムは、1~100の間、好ましくは2~50秒間の洗浄期間を持つように、プログラムされうる。反応チャンバーが26~200の基材を収容するように構成され、配置された時、メモリ内のプログラムが1~100の間、好ましくは5~50秒の間の洗浄期間FPを持つようにプログラムされる。
【0068】
第一の前駆体はまた、逐次制御器40のメモリMにインストールされたプログラムによって除去反応チャンバーバルブ36を閉じることによって、負荷期間LPに、除去ポンプ39でいかなる前駆体も除去しない一方で、反応チャンバー2に、前駆体分配および除去システムによって提供されうる。これにより、反応チャンバー2内の第一の前駆体の圧力蓄積が生じる。この蓄積は、反応チャンバー2内の第一または第二の前駆体の圧力が最大の所望浸透圧に達するとき、逐次制御器40によって終了され得る。別の方法として、反応チャンバーの圧力が所定の所望の加工圧力よりも上に増加した時に開かれる、圧力放出バルブがあってもよいが、それは負荷期間LPを終了することもあり得る。
【0069】
続いて、第一の前駆体は、前駆体分配および除去システムに浸漬期間SPの間、いかな
る前駆体の提供も除去もさせない一方で、反応チャンバー2内で静止している状態を維持されてもよい。これは、メモリMに保存されたプログラムに従って、逐次制御器40が反応チャンバーバルブ19および36を閉じることによってなされ得る。反応チャンバー12が単一の基材を収容するように構成され、配置された時、メモリM内のプログラムは、負荷期間LPの1~3000、好ましくは3~1000、より好ましくは5~500秒の間、および浸漬期間SPは10~9000、好ましくは50~5000秒、より好ましくは100~1000秒の間、第一の前駆体流制御器を起動するようプログラムされることができる。反応チャンバー12が2~25の基材を収容するように構成され、配置された時、メモリ逐次制御器内のプログラムは、負荷期間LPの1~3000、好ましくは3~1000、より好ましくは5~500秒で、および浸漬期間SPは10~12000、好ましくは15~6000秒、より好ましくは20~1000秒の間でプログラムされることができる。反応チャンバー12が26~200の基材を収容するよう構成され、配置された時、メモリM内のプログラムは、負荷期間LPを1~3000、好ましくは3~1000、より好ましくは5~500秒持つように、および浸漬期間SPを10~14000、好ましくは50~9000秒、より好ましくは100~5000秒、最も好ましくは100~800秒持つようにプログラムされ得る。
【0070】
したがって、第一の期間T1は、洗浄期間FP、負荷期間LP、および/または浸漬期間SPを含み得る。全期間T1の間、第一の前駆体は浸透し、浸透材料内に吸収され得る。
【0071】
逐次制御器40のメモリMは、逐次制御器のプロセッサ上で実行されるときにプログラムでプログラムされてもよく、これにより工程52で、浸透装置が、第一の期間T1の間1~20000、好ましくは20~6000の間、より好ましくは50と4000の間、最も好ましくは100~2000秒の間で、第一の前駆体を提供する。このようにして、浸透材料に第一の前駆体を深く浸透することが確保され得る。
【0072】
工程53では、第二の期間T2の間、第一の前駆体の一部が除去される。逐次制御器40は、除去反応チャンバーバルブ36を開いて、反応チャンバー2から真空ポンプ38を用いて第一の前駆体を除去し得る。さらに、パージガス34は、パージバルブ24および分配反応チャンバーバルブ19を開いて、逐次制御器40を用いて反応チャンバー2を洗浄するためにパージシステムを備えてもよい。バッファタンク18は、バッファタンク内にパージガスを貯蔵することによって、反応チャンバー2内でより迅速にパージガスを提供するために使用され得る。
【0073】
逐次流量調節器40のメモリMのプログラムは、逐次調節器40のプロセッサ上で実行された時にプログラムでプログラムされてもよく、これによって浸透装置は第一の前駆体の部分を除去する第二の期間T2を制御する。メモリMのプログラムは、1~20000、好ましくは20~6000、より好ましくは50~4000、最も好ましくは100~2000秒の第二の期間T2でプログラムされ得る。
【0074】
工程54では、逐次制御器40が前駆体分配および除去システムを起動して、反応チャンバーに第三の期間T3の間、第二の前駆体を提供および維持することにより、第二の前駆体が反応チャンバー2に提供される。逐次制御器40のメモリは、パージバルブ24および分配反応チャンバーバルブ19を閉じ、第二の前駆体バルブ22を開いて分配反応チャンバーバルブ19の上流にある前駆体分配および除去システムのダクトに第二の前駆体を構築するように、および第二の前駆体温度制御器33を起動させて第二の容器31を加熱することによって第二の容器31から第二の前駆体29を蒸発させるようにプログラムされてもよい。第二の前駆体は、バッファタンク28内に貯蔵されてもよい。発熱体17は、加熱制御器16によって制御されて、ダクトを十分に加熱して、ダクトおよびバッフ
ァタンク18内の高蒸気濃度を保つことができる。次いで、逐次制御器40のメモリMは、バルブ20を短時間開いて、第二の前駆体28を反応チャンバー2に送達するようにプログラムされてもよい。
【0075】
洗浄期間FP、負荷期間LP、及び浸漬期間SPを、第一の前駆体と共に説明する。逐次制御器のメモリMは、逐次制御器40のプロセッサ上で実行された時に、浸透装置が、
図2bで説明したように、洗浄期間FP、負荷期間LP、および/または第二の前駆体の浸漬期間SPで第三の期間54を実行するプログラムを備えてもよい。第三の期間T3全体の間、第二の前駆体は浸透材料を浸透し、浸透材料中の吸着した第一の前駆体誘導体と反応し得る。吸着した第一の前駆体誘導体との反応によって、浸透材料の浸透した材料の強化が得られる。
【0076】
任意で、浸透サイクルは、第四の期間T4の間、第二の前駆体の一部を除去する工程55を有してもよい。逐次制御器40は、除去反応チャンバーバルブ36を開いて、反応チャンバー2から真空ポンプ38を用いて第一の前駆体を除去し得る。さらに、パージガス34は、パージバルブ24および分配反応チャンバーバルブ19を開いて、逐次制御器40を用いて反応チャンバー2を洗浄するためにパージシステムを備えてもよい。
【0077】
逐次的制御器のメモリMは、プログラムが浸透装置の逐次制御器40のプロセッサ上で実行されるとき、浸透シーケンスはN回繰り返すことができ、Nは1~20、好ましくは3~15、最も好ましくは6~12であるようにプログラムされ得る。前駆体28および29は、前駆体が浸透材料内の金属または誘電性浸透材料を形成するように選択されてもよい。
【0078】
第一の前駆体および第二の前駆体は、
図1の装置において一緒に利用されて、
図2aおよび2bのプログラムに従って、酸化アルミニウム(Al2O3)酸化シリコン、(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、オキシ窒化シリコン(SiON)、炭窒化ケイ素(SiCN)、炭化ケイ素(SiC)、炭化チタン(TiC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、コバルト(Co)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、または酸化ハフニウム(HfO2)を用いて浸透材料を浸透させることができる。
【0079】
任意で、金属または誘電体などの浸透材料も、浸透装置で浸透材料の全体積上に堆積され得る。これは、例えば、浸透材料がパターンをより広く、かつよりエッチング耐性とするためにパターン化される場合に行われ得る。
【0080】
図3は、さらなる実施形態による逐次浸透装置を図示する。反応チャンバー2は基材ホルダー10上に基材12を備える。前駆体分配および除去システムは、第一または第二の前駆体を、エントリーポート66を介して反応チャンバー2の一方の側面から基材12へ提供する。入口ポート66はバッファタンク18を備えてもよく、バルブ19で閉じることができる。出口ポート67は、もう一方の側面上に、反応チャンバー2から前駆体を除去するために分配および除去システムに提供される。この構成では、反応チャンバー2は、前駆体が横方向に基材上に流れるクロスフローチャンバーである。
【0081】
基材12を保持するための基材ホルダー10は、上下に可動であってもよい。基材ホルダー10は、反応チャンバー2の上部の縁部68の下に可動であり、基材ハンドラー(図示せず)を基材ホルダー10から提供または除去することができる。反応チャンバーを動かすことによって、再び閉じることができる。基材ホルダー10は、基材12の加熱のための第三の発熱体を備えてもよい。
【0082】
図3による実施形態の利点は、反応チャンバー2が、単一の基材反応チャンバー2のための0.5~1リットルの小容量を有し得ることである。小容量はより低量の前駆体の使用を可能にする。基材と反応チャンバーの上部の間の空間は、したがって、1センチメートル未満、好ましくは5mm未満、最も好ましくは3mm未満であり得る。
【0083】
図4は、さらなる実施形態による逐次浸透装置を図示する。反応チャンバー2はシャワーヘッド69を備える。シャワーヘッド69は、反応チャンバー2の上部に提供されてもよい。シャワーヘッド61は、前駆体分配および除去システムと接続して、第一または第二の前駆体28、29を基材12の表面に直接提供することができる。前駆体分配および除去システムは、開口部67によって第一または第二の前駆体28、29を除去してもよい。パージシステムはまた、反応チャンバー2をパージするためにシャワーヘッド69に接続されてもよい。
【0084】
シャワーヘッド69はまた、第一または第二の前駆体を反応チャンバー2から除去するために、前駆体分配および除去システムと接続されてもよい。そのような場合、開口部67は、反応チャンバー2をパージするためにパージシステムに接続されてもよい。
【0085】
基材12を保持するための基材ホルダー10は、上下に可動であってもよい。基材ホルダー10は、基材12の加熱のための第三の発熱体を備えてもよい。この実施形態の利点は、容積が2~5リットル、好ましくは3~4リットルであることが許容される一方で、シャワーヘッドが基材表面に前駆体を迅速に提供し、かつ前駆体から前駆体を除去することである。
【0086】
図5、6、7、8および10a~10cは、逐次浸透合成装置の異なる構成を示す。
図5、6、7、8、および10による逐次浸透合成装置は、
図1および2と併せて説明されるように、同じ前駆体分配および除去システムを使用し得る。
【0087】
図5は、さらなる実施形態による逐次浸透装置を図示する。装置は、50~200リットルの容積を有する25~250の基材用のバッチ式反応チャンバー70を備える。基材を基材ハンドラーを用いて25~250基材を収容するために、基材ホルダーを備えるボート71に基材を充填してもよい。基材を有するボート71は、反応チャンバー70内に下から一度に移動されてもよい。ボート70の底部71Aは、反応チャンバー70を封止し得る。発熱体40は、反応チャンバー70の温度を制御するために提供され得る。第一および第二の前駆体は、入口72を備えてもよく、前駆体分配および除去システムの出口73を介して除去されてもよい。バルブを使用してガス流を制御することができ、蒸発した前駆体が反応チャンバー70内の沸騰温度より高い温度に保たれるようにして注意すべきである。これは、入口72および出口73の温度をバルブ(例えば、反応チャンバーバルブ36)に制御するために発熱体を有することによって実施され得る。
【0088】
装置が液体流量調節器および気化器を備える直接液体インジェクタ(DLI)を備える場合、液体流量調節器は、第一または第二の前駆体を蒸発させる気化器への液体の流れを制御し得る。流量調節器と気化器との間を流れる液体を加熱する必要がない場合がある。気化器は、第一または第二の前駆体を直接蒸発させるために加熱され得る。
【0089】
気化器は、バッチ式反応チャンバー内に提供されて、チャンバー内に第一または第二の前駆体を直接提供してもよい。バッチ式反応器は、同時に多数の基材を浸透させることができ、装置のスループットを改善し得る。
【0090】
図6、7、8および10a~10cは、逐次浸透合成装置の異なる構成を示す。
図6、7、および8による逐次浸透合成装置は、
図3または
図4と併せて説明した通り、反応チ
ャンバー2を使用し得る。
【0091】
カセットを充填するためのカセットローディングステーション74(例えば、フロントオープニングユニファイドポッド「FOUP」)が複数の基材とともに示される。第一の基材ハンドラー75は、カセットから中間ローディングステーション76へ基材を移動させるために使用される。その後、第二の基材ハンドラー77は、基材を中間ローディングステーション76から基材ホルダー10を備えた加工ステーションに移動させるために使用される。
図6では、単一の基材ホルダー12は、反応チャンバー2で加工できる単一の基材のための第二の基材ホルダー77によってアクセス可能である。
図6の実施形態では、四つの基材を同時に加工することができる。
【0092】
少なくとも二つの反応チャンバーに第一または第二の前駆体を提供する、また少なくとも二つの反応チャンバーから第一または第二の前駆体を除去するための、部分的に共通の前駆体分配および除去システムが提供される。部分的に共通の前駆体分配および除去システムは、反応チャンバーバルブを共有してもよい。反応チャンバーバルブはまた、各反応チャンバーに対して個別であってもよい。前駆体分配および除去システムの共通部分は、
図1と併せて説明されるように、(分配)反応チャンバーバルブ19の下流および(除去)反応チャンバーバルブ36の下流にさらに提供され得る。このようにして、前駆体分配および除去システムを経済的に使用することができる。
【0093】
発熱体は、反応チャンバー2、基材ホルダー10および/または前駆体分配および除去システム内のダクトを反応チャンバーバルブのいずれかまで加熱するために提供され得る。前駆体分配および除去システム内に少なくとも一つのバッファタンクが提供され得る。
【0094】
図7および8の実施形態では、加工ステーションは複数の基材ホルダー10を備え、可動(例えば、回転可能な)本体78(代替的に、回転可能な基材支持フレームを使用してもよい)を備え、この本体78(または支持フレーム)を回転することにより、すべての基材ホルダー10が第二の基材ハンドラー77によって基材を備えてもよい。基材ホルダー10を上向きに移動して反応チャンバー2を閉じ、形成することができる。別の方法としてまたは追加的に、ドア80が提供され、反応チャンバーとの空間を閉鎖することができる。
【0095】
図7の実施形態では、単一の基材を加工する八つの反応チャンバーを形成する八つの基材ホルダーであってもよく、四つの基材を加工する反応チャンバーをそれぞれ共有する二つの共有反応チャンバーを形成する八つの基材ホルダーであってもよい。
【0096】
図7の実施形態では、FOUP内のすべての基材が同じ本体78および反応チャンバー(それに関連する)上で加工されるように、カセットローディングステーション74上の特定のFOUP内の基材(通常25)を特定の本体78のみに提供することが可能であり得る。一つのFOUPの加工にエラーが発生した場合、浸透装置のどの部分で発生したかを知ることができるという利点がある。
図7の実施形態では、二×四つの基材を同時に加工することができる。
【0097】
図8の実施形態では、第一および第二の基材ハンドラー75、77は、二つの基材を同時に取扱い、スループットを向上させるデュアル基材サポートを備え得る。可動本体78は、軸82の周りを回転して、第二の基材ハンドラー78の異なる基材ホルダー10へのアクセスを提供し得る。
図8の実施形態では、単一の基材を加工する十六の反応チャンバーを形成する十六の基材ホルダー10であってもよく、四つの基材を加工する反応チャンバーをそれぞれ共有する四つの共有反応チャンバーを形成する十六の基材ホルダー10であってもよい。
図8の実施形態では、四回×四つ基材を同時に加工することができ、装置
に高生産性を付与する。
【0098】
図9は、
図7および8の実施形態の加工ステーションの断面を開示する。可動本体78は、二つ以上の(例えば、3、4、5、または6)基材12を保持するために提供される。可動本体78は、シーリング81に対して上向きに移動して、二つ以上の反応チャンバー2を閉じて作ることができる。可動本体78は、軸82の周りを回転して、第二の基材ハンドラー78の基材ホルダー10上の異なる基材12へのアクセスを提供し得る。
【0099】
少なくとも二つの反応チャンバーに第一または第二の前駆体を提供する、また少なくとも二つの反応チャンバー2から第一または第二の前駆体を除去するための、部分的に共通の前駆体分配および除去システムが提供される。部分的に共通の前駆体分配および除去システムは、反応チャンバーバルブ19および36を共有する。前駆体分配および除去システムの共通部分は、
図1と併せて説明されるように、(分配)反応チャンバーバルブ19の上流および(除去)反応チャンバーバルブ36の下流にさらに提供される。このようにして、前駆体分配および除去システムを経済的に使用することができる。
【0100】
発熱体は、反応チャンバー2、基材ホルダー10および/または前駆体分配および除去システム内のダクトを反応チャンバーバルブ19、36のいずれかまで加熱するために提供され得る。前駆体分配および除去システム内に少なくとも一つのバッファタンクが提供され得る。
【0101】
一実施形態では、五つの基材ホルダーをそれぞれ備えた図示されない五つの加工ステーションが提供され、25の基材を備える完全なFOUPを同時に加工することができ、完全なFOUPのための短い加工時間が保証される。
【0102】
図10a、10bおよび10cは、本発明によるさらなる実施形態を図示する。この実施形態では、加工ステーション90には、基材ホルダー10として機能できるスリット91が提供される(スリット91を通した断面を示す
図10cを参照)。カセットを充填するためにカセットローディングステーション74(例えば、フロントオープニングユニファイドポッド「FOUP」)が複数の基材とともに提供される。第一の基材ハンドラー(図示しないが、
図6および7の第一の基材ハンドラー75と類似する)が、基材をカセットから中間ローディングステーション(図示しないが、
図6および7の中間ローディングステーション76と類似する)に移動するために使用され得る。第二の基材ハンドラー(図示しないが、
図6および7の第二の基材ハンドラー77と類似する)は、基材を中間ローディングステーションからスリット91に提供し得る。ドアは、スリット91を閉じて反応チャンバーを作成し、基材を加工ステーション90で加工してもよい。
【0103】
部分的に共通の前駆体分配および除去システム93は、スリット91のすべての基材に第一または第二の前駆体を同時に提供、およびすべての基材から除去するように提供され得る。五つの基材は加工ステーション90で同時に加工され得るが、カセットステーション74において25の基材を有する完全なFOUPを五つの加工ステーション90で加工できるという利点を有する。装置は八つの加工ステーション90を有するため、四十の基材を同時に加工することができ、完全なFOUPのための短い加工時間が保証される。
【0104】
第一の発熱体は、加工ステーション90および/または前駆体分配および除去システム93のダクトのスリット91内の反応チャンバーを加熱するために提供されてもよい。有利なことに、これは前駆体分配および除去システム93の反応チャンバーバルブのいずれかまで行うことができる。前駆体分配および除去システム93内に少なくとも一つのバッファタンクが提供され得る。
【0105】
示され説明された特定の実施形態は、本発明およびその最良の形態を例示するものであり、態様および実施形態の範囲を何ら限定する意図はない。実際、簡潔さのために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細には説明しない場合がある。更に、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を表すことを意図する。多くの代替的もしくは追加の機能的関係、もしくは物理的接続が実際のシステムに存在してもよく、および/またはいくつかの実施形態では存在しなくてもよい。
【0106】
本明細書に記載される構成および/または方法は本質的に例示的であり、これらの特定の実施形態または実施例は、数多くの変形が可能であるので、限定的な意味で考慮されるべきではないことを理解されたい。本明細書に記載される特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理方策のうちの一つまたは複数を表す場合がある。それゆえ、例示された様々な動作は、例示されるシーケンスで実施されてもよく、他のシーケンスで実施されてもよく、または場合によっては省略されてもよい。
【0107】
本開示の主題は、本明細書で開示される様々なプロセス、装置、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性の、全ての新規かつ自明でない組合せおよび部分的組合せ、ならびにその任意のおよび全ての均等物を含む。