(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】化合物およびこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
H10K 50/00 20230101AFI20240806BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240806BHJP
H10K 50/14 20230101ALI20240806BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20240806BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20240806BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20240806BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20240806BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240806BHJP
C07C 255/50 20060101ALN20240806BHJP
C07C 255/51 20060101ALN20240806BHJP
C07C 255/52 20060101ALN20240806BHJP
C07C 255/54 20060101ALN20240806BHJP
C07D 213/84 20060101ALN20240806BHJP
C07D 239/74 20060101ALN20240806BHJP
C07D 307/91 20060101ALN20240806BHJP
C07D 209/88 20060101ALN20240806BHJP
C07D 405/14 20060101ALN20240806BHJP
C07D 239/28 20060101ALN20240806BHJP
C07D 251/24 20060101ALN20240806BHJP
C07D 237/24 20060101ALN20240806BHJP
C07D 405/10 20060101ALN20240806BHJP
C07D 333/76 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
H10K50/00
H10K50/10
H10K50/14
H10K50/16
H10K50/17 171
H10K50/18
H10K59/00
H10K59/10
H05B33/14 A
H05B33/22 B
C07C255/50
C07C255/51
C07C255/52
C07C255/54
C07D213/84
C07D239/74
C07D307/91
C07D209/88
C07D405/14
C07D239/28
C07D251/24
C07D237/24
C07D405/10
C07D333/76
(21)【出願番号】P 2022554503
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(86)【国際出願番号】 KR2021005434
(87)【国際公開番号】W WO2021241900
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0064408
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ミヨン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スン キル
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ドン ウク
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン、ジュン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒーキュン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0013339(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第106554320(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109535093(CN,A)
【文献】国際公開第2010/074087(WO,A1)
【文献】特開2003-105332(JP,A)
【文献】特開2014-096572(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139662(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0074449(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0044157(US,A1)
【文献】国際公開第2017/104767(WO,A1)
【文献】Xu, Shengjie et al,Stereocontrolled Synthesis of Benzo[k]fluoranthenes-An Unexpected Isomerization Mediated by Rhodacyclopentadiene,Chemistry - A European Journal,2014年,Vol.20(50),p.16442-16447
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
H10K
H05B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層は、電子注入および
電子輸送層を含み、前記電子注入および
電子輸送層は、下記化学式1で表される化合物を含む、有機発光素子:
【化1】
前記化学式1において、
nは、0または1であり、
nが0の場合、R1~R6、R9およびR10の少なくとも1つは、下記化学式Aで表される基であり、
nが1の場合、R1~R6、およびR9~R12の少なくとも1つは、下記化学式Aで表される基であり、
前記R1~R12のうち化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、R5~R10のうちの隣接した基は、互いに結合してベンゼン環を形成し、
[化学式A]
【化2】
前記化学式Aにおいて、
L1は、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
l1は、1~5の整数であり、
mは、1~3の整数であり、
前記l1が2以上の場合、前記2以上のL1は、互いに同一または異なり、
【化3】
は、前記化学式1のR1~R10の少なくとも1つ、またはR1~R12の少なくとも1つに直接結合する部位を意味し、
前記nが0または1であり、前記R1およびR2が前記化学式Aで表される基でない残りの基である場合、前記R1およびR2の少なくとも1つは、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であ
り、
前記nが0であり、前記R1またはR2が前記化学式Aで表される基であり、前記l1が1であり、前記mが1であり、前記L1がフェニレン基である場合、前記R1またはR2は、下記化学式A-1またはA-2で表される基であり、
[化学式A-1]
【化4】
[化学式A-2]
【化5】
前記化学式A-1およびA-2において、
【化6】
は、前記化学式1のR1またはR2に直接結合する部位を意味する。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式1-1または1-2で表される、請求項1に記載の有機発光素子:
[化学式1-1]
【化7】
[化学式1-2]
【化8】
前記化学式1-1および1-2において、
R1~R12の定義は、前記化学式1で定義したものと同じである。
【請求項3】
前記化学式Aは、下記化学式A-3~A-5のいずれか1つで表される、請求項1または2に記載の有機発光素子:
[化学式A-3]
【化9】
[化学式A-4]
【化10】
[化学式A-5]
【化11】
前記化学式A-3~A-5において、
xは、0または1であり、
L11~L13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
r101は、1~4の整数であり、
r102は、1~3の整数であり、
R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であ
り、
前記r101が2以上の場合、前記2以上のR101は、互いに同一または異なり、
前記r102が2以上の場合、前記2以上のR102は、互いに同一または異なり、
A1は、置換もしくは非置換の炭化水素環;または置換もしくは非置換のヘテロ環であり、
X1~X3の少なくとも1つは、Nであり、残りは、CRであり、
RおよびR103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であ
り、
m1~m3は、それぞれ1~3の整数であり、
l11は、1~4の整数であり、
l12は、1~4の整数であり、
l13は、1~4の整数であり、
前記l11が2以上の場合、前記2以上のL11は、互いに同一または異なり、
前記l12が2以上の場合、前記2以上のL12は、互いに同一または異なり、
前記l13が2以上の場合、前記2以上のL13は、互いに同一または異なる。
【請求項4】
前記R1~R12のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基、炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のハロアルキル基、炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基、または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、
R5~R10のうちの隣接した基は、互いに結合して
ベンゼン環を形成し、
前記L1は、直接結合;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基;またはシアノ基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリーレン基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項5】
第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層は、電子注入および
電子輸送層を含み、前記電子注入および
電子輸送層は、下記の構造の中から選択されるいずれか1つの化合物を含む、有機発光素子:
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
。
【請求項6】
前記有機物層は、正孔ブロック層をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月28日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0064408号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに変換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機発光素子は、通常、陽極と、陰極と、これらの間に有機物層とを含む構造を有する。ここで、有機物層は、有機発光素子の効率と安定性を高めるためにそれぞれ異なる物質で構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなる。このような有機発光素子の構造において、2つの電極の間に電圧をかけると、陽極からは正孔が、陰極からは電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子が接した時、エキシトン(exciton)が形成され、このエキシトンが再び基底状態に落ちる時、光を発する。
【0004】
上記のような有機発光素子のための新たな材料の開発が求められ続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、化合物およびこれを含む有機発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
nは、0または1であり、
nが0の場合、R1~R10の少なくとも1つは、下記化学式Aで表される基であり、
nが1の場合、R1~R12の少なくとも1つは、下記化学式Aで表される基であり、
前記R1~R12のうち下記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
[化学式A]
【化2】
前記化学式Aにおいて、
L1は、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
l1は、1~5の整数であり、
mは、1~3の整数であり、
前記l1が2以上の場合、前記2以上のL1は、互いに同一または異なり、
【化3】
は、前記化学式1のR1~R10の少なくとも1つ、またはR1~R12の少なくとも1つに直接結合する部位を意味し、
前記nが1であり、前記R1およびR2が前記化学式Aで表される基でない残りの基である場合、前記R1およびR2の少なくとも1つは、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
前記nが0であり、前記R1またはR2が前記化学式Aで表される基であり、前記l1が1であり、前記mが1であり、前記L1がフェニレン基である場合、前記R1またはR2は、下記化学式A-1またはA-2で表される基であり、
[化学式A-1]
【化4】
[化学式A-2]
【化5】
前記化学式A-1およびA-2において、
【化6】
は、前記化学式1のR1またはR2に直接結合する部位を意味する。
【0007】
また、本明細書は、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化合物を含む有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書の一実施態様に係る化合物は、有機発光素子の有機物層の材料として使用可能であり、これを使用することにより、有機発光素子において効率の向上、低い駆動電圧および/または寿命特性の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の例を示す図である。
【
図2】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0011】
本明細書は、前記化学式1で表される化合物を提供する。
【0012】
本明細書の一実施態様に係る化学式1は、フルオランテンまたはベンゾフルオランテンコアがシアノ基を含む化合物で、有機発光素子の有機物層に含まれることで、効率の向上、低い駆動電圧および寿命特性の向上などが可能である。具体的には、前記化学式1のコア構造であるフルオランテンまたはベンゾフルオランテン構造は、立体障害によりフィルムの形成時に発生する結晶化を防止し、高い熱安定性を維持して高い蒸着温度にも非常に限定した効果がある。また、シアノ基は、電子吸引性基で分子の極性(dipole moment)を高められるため、前記化学式1で表される化合物を含む有機発光素子の作製時、電子移動度を円滑に調節して、前記化学式1で表される化合物を含む有機発光素子の効率および寿命を向上させることができる。
【0013】
さらに、前記化学式1のnが0であり、前記R1またはR2が前記化学式Aで表される基であり、前記l1が1であり、前記mが1であり、前記L1がフェニレン基である場合、前記化学式Aが前記化学式A-1(シアノ基がフェニレン基のmeta位に連結)またはA-2(シアノ基がフェニレン基のortho位に連結)で表される構造を含むので、シアノ基がフェニレン基のpara位に連結された構造をR1またはR2に含む化合物より立体障害が大きくて構造的な平坦性(flatness)を低減し、結合に柔軟性を与えて化合物の積層が容易であり、これによって電子伝達が容易になり、これを含む有機発光素子の効率および電圧特性が改善される。
【0014】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0015】
本明細書において、
【化7】
は、連結される部位を意味する。
【0016】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0017】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;アルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;アルケニル基;ハロアルキル基;シリル基;ホウ素基;アミン基;アリール基;およびヘテロアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されているか、前記例示された置換基のうちの2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味する。
【0018】
本明細書において、2以上の置換基が連結されるというのは、いずれか1つの置換基の水素が他の置換基と連結されたことをいう。例えば、2個の置換基が連結されることは、フェニル基とナフチル基とが連結されて
【化8】
または
【化9】
の置換基になってもよい。また、3個の置換基が連結されることは、(置換基1)-(置換基2)-(置換基3)が連続して連結されることのみならず、(置換基1)に(置換基2)および(置換基3)が連結されることも含む。例えば、フェニル基、ナフチル基、およびイソプロピル基が連結されて
【化10】
の置換基になってもよい。4以上の置換基が連結されることにも、前述した定義が同一に適用される。
【0019】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素がある。
【0020】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~30のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本明細書において、前記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30のものが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本明細書において、前記アルケニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~30のものが好ましい。具体例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本明細書において、前記ハロアルキル基は、前記アルキル基の定義のうち、アルキル基の水素の代わりに少なくとも1つのハロゲン基が置換されるものを意味する。
【0025】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、炭素数6~30のものが好ましく、前記アリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。
【0026】
前記アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30のものが好ましい。具体的には、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0027】
前記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10~30のものが好ましい。具体的には、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、ピレン基、フェナレン基、ペリレン基、クリセン基、フルオレン基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、前記フルオレン基は置換されていてもよいし、隣接した基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0029】
前記フルオレン基が置換される場合、
【化11】
などがあるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環におけるオルト(ortho)位に置換された2個の置換基、および脂肪族環における同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈される。
【0031】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には、前記異種原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30のものが好ましく、前記ヘテロアリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジン基、ピリダジン基、ピラジン基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、フタラジン基、ピリドピリミジン基、ピリドピラジン基、ピラジノピラジン基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、フェナントリジン基(phenanthridine)、フェナントロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾール基、チアジアゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾシロール基、フェノキサチイン基(phenoxathiine)、フェノキサジン基(phenoxazine)、フェノチアジン基(phenothiazine)、ジヒドロインデノカルバゾール基、スピロフルオレンキサンテン基、およびスピロフルオレンチオキサンテン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、前記シリル基は、アルキルシリル基、アリールシリル基、ヘテロアリールシリル基などであってもよい。前記アルキルシリル基中のアルキル基は、前述したアルキル基の例示が適用可能であり、前記アリールシリル基中のアリール基は、前述したアリール基の例示が適用可能であり、前記ヘテロアリールシリル基中のヘテロアリール基は、前記ヘテロアリール基の例示が適用可能である。
【0033】
本明細書において、ホウ素基は、-BR100R101であってもよいし、前記R100およびR101は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;ニトリル基;置換もしくは非置換の炭素数3~30の単環もしくは多環のシクロアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;および置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。前記ホウ素基は、具体的には、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などがあるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において、アミン基は、-NH2、アルキルアミン基、N-アルキルアリールアミン基、アリールアミン基、N-アリールヘテロアリールアミン基、N-アルキルヘテロアリールアミン基、およびヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよいし、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、N-フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、N-フェニルビフェニルアミン基、N-フェニルナフチルアミン基、N-ビフェニルナフチルアミン基;N-ナフチルフルオレニルアミン基、N-フェニルフェナントレニルアミン基、N-ビフェニルフェナントレニルアミン基、N-フェニルフルオレニルアミン基、N-フェニルターフェニルアミン基、N-フェナントレニルフルオレニルアミン基、N-ビフェニルフルオレニルアミン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、N-アルキルアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびアリール基が置換されたアミン基を意味する。前記N-アルキルアリールアミン基中のアルキル基とアリール基は、前述したアルキル基およびアリール基の例示の通りである。
【0036】
本明細書において、N-アリールヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアリール基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。前記N-アリールヘテロアリールアミン基中のアリール基とヘテロアリール基は、前述したアリール基およびヘテロアリール基の例示の通りである。
【0037】
本明細書において、N-アルキルヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。前記N-アルキルヘテロアリールアミン基中のアルキル基とヘテロアリール基は、前述したアルキル基およびヘテロアリール基の例示の通りである。
【0038】
本明細書において、アリールアミン基の例としては、置換もしくは非置換のモノアリールアミン基、または置換もしくは非置換のジアリールアミン基がある。前記アリール基が2以上を含むアリールアミン基は、単環式アリール基、多環式アリール基、または単環式アリール基と多環式アリール基を同時に含んでもよい。例えば、前記アリールアミン基中のアリール基は、前述したアリール基の例示の中から選択されてもよい。
【0039】
本明細書において、ヘテロアリールアミン基の例としては、置換もしくは非置換のモノヘテロアリールアミン基、または置換もしくは非置換のジヘテロアリールアミン基がある。前記ヘテロアリール基が2以上を含むヘテロアリールアミン基は、単環式ヘテロアリール基、多環式ヘテロアリール基、または単環式ヘテロアリール基と多環式ヘテロアリール基を同時に含んでもよい。例えば、前記ヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基は、前述したヘテロアリール基の例示の中から選択されてもよい。
【0040】
本明細書において、アルキルチオキシ基、およびアルキルスルホキシ基中のアルキル基は、前述したアルキル基の例示の通りである。具体的には、アルキルチオキシ基としては、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert-ブチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、オクチルチオキシ基などがあり、アルキルスルホキシ基としては、メチルスルホキシ基、エチルスルホキシ基、プロピルスルホキシ基、ブチルスルホキシ基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、具体的には、アルキルホスフィンオキシド基、アリールホスフィンオキシド基などがあり、さらに具体的には、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシド基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書において、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、アリールスルホキシ基、およびアリールホスフィン基中のアリール基は、前述したアリール基の例示の通りである。具体的には、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、3,5-ジメチル-フェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、p-tert-ブチルフェノキシ基、3-ビフェニルオキシ基、4-ビフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、5-メチル-2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、2-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントリルオキシ基、3-フェナントリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基などがあり、アリールチオキシ基としては、フェニルチオキシ基、2-メチルフェニルチオキシ基、4-tert-ブチルフェニルチオキシ基などがあり、アリールスルホキシ基としては、ベンゼンスルホキシ基、p-トルエンスルホキシ基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書において、置換基のうちの「隣接した2個は、互いに結合して環を形成する」との意味は、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環;または置換もしくは非置換のヘテロ環を形成することを意味する。
【0044】
本明細書において、互いに結合して形成される置換もしくは非置換の環において、「環」は、置換もしくは非置換の炭化水素環;または置換もしくは非置換のヘテロ環を意味する。
【0045】
本明細書において、炭化水素環は、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環、または芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素との縮合環であってもよいし、前記1価でないことを除き、前記シクロアルキル基またはアリール基の例示の中から選択されてもよい。
【0046】
本明細書において、ヘテロ環は、炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には、前記異種原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。前記ヘテロ環は、単環もしくは多環であってもよいし、芳香族、脂肪族、または芳香族と脂肪族との縮合環であってもよいし、前記芳香族ヘテロ環は、1価でないことを除き、前記ヘテロアリール基の例示の中から選択されてもよい。
【0047】
本明細書において、脂肪族ヘテロ環とは、ヘテロ原子のうちの1個以上を含む脂肪族環を意味する。脂肪族ヘテロ環の例としては、オキシラン(oxirane)、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン(morpholine)、オキセパン、アゾカン、チオカンなどがあるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。
【0049】
本明細書において、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0050】
以下、前記化学式1で表される化合物に関して詳しく説明する。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、前記nは、0である。
【0052】
本明細書の一実施態様によれば、前記nは、1である。
【0053】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式1-1または1-2で表される。
[化学式1-1]
【化12】
[化学式1-2]
【化13】
前記化学式1-1および1-2において、
R1~R12の定義は、前記化学式1で定義したものと同じである。
【0054】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式1-3または1-4で表される。
[化学式1-3]
【化14】
[化学式1-4]
【化15】
前記化学式1-3および1-4において、
R1、R2およびR5~R12の定義は、前記化学式1で定義したものと同じであり、
R13~R22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成する。
【0055】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式Aは、下記化学式A-3~A-5のいずれか1つで表される。
[化学式A-3]
【化16】
[化学式A-4]
【化17】
[化学式A-5]
【化18】
前記化学式A-3~A-5において、
xは、0または1であり、
L11~L13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
r101は、1~4の整数であり、
r102は、1~3の整数であり、
R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
前記r101が2以上の場合、前記2以上のR101は、互いに同一または異なり、
前記r102が2以上の場合、前記2以上のR102は、互いに同一または異なり、
A1は、置換もしくは非置換の炭化水素環;または置換もしくは非置換のヘテロ環であり、
X1~X3の少なくとも1つは、Nであり、残りは、CRであり、
RおよびR103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、前記R、R103およびL13のうちの隣接した2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
m1~m3は、それぞれ1~3の整数であり、
l11は、1~4の整数であり、
l12は、1~4の整数であり、
l13は、1~4の整数であり、
前記l11が2以上の場合、前記2以上のL11は、互いに同一または異なり、
前記l12が2以上の場合、前記2以上のL12は、互いに同一または異なり、
前記l13が2以上の場合、前記2以上のL13は、互いに同一または異なる。
【0056】
本明細書の一実施態様によれば、前記l1は、1である。
【0057】
本明細書の一実施態様によれば、前記l1は、2である。
【0058】
本明細書の一実施態様によれば、前記l1は、3である。
【0059】
本明細書の一実施態様によれば、前記l1は、4である。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、前記l1は、5である。
【0061】
本明細書において、前記化学式Aにおいて、l1が2以上の場合、2以上のL2は、互いに同一または異なり、それぞれのL2は、直列に連結されるものを意味する。例えば、l1が3であり、L1がそれぞれフェニレン基、ナフチレン基、およびフェニレン基である場合、下記のように連結されてもよいが、これのみに限定されるものではなく、各L1の順序または連結位置が異なっていてもよい。
【化19】
【0062】
また、前記化学式AのCNは、例えば、前記l1が3の場合、前記例示された構造において3番目に位置した末端の置換基すなわち、フェニレン基に結合するものを意味する。
【0063】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R12のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成する。
【0064】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R12のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0065】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R12のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0066】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R12のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;アルキル基;アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、アリール基、またはアリール基で置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアリール基;またはアリール基で置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して環を形成する。
【0067】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R12のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基、炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基、または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0068】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R12のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基、炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基、または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0069】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R12のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;エチル基;tert-ブチル基;n-ペンチル基;tert-ブチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、フェニル基、ナフチル基、ピリジン基、カルバゾール基、またはフェニル基で置換されたカルバゾール基で置換もしくは非置換のフェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;フェナレン基;フルオランテン基;トリフェニレン基;ピリジン基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のトリアジン基であり、隣接した基は、互いに結合してベンゼン環を形成する。
【0070】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R10のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成する。
【0071】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R10のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0072】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R10のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0073】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R10のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;アルキル基;アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、アリール基、またはアリール基で置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアリール基;またはアリール基で置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して環を形成する。
【0074】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R10のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基、炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基、または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0075】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R10のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基、炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基、または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0076】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R10のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;エチル基;tert-ブチル基;n-ペンチル基;tert-ブチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、フェニル基、ナフチル基、ピリジン基、カルバゾール基、またはフェニル基で置換されたカルバゾール基で置換もしくは非置換のフェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;フェナレン基;フルオランテン基;トリフェニレン基;ピリジン基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のトリアジン基であり、隣接した基は、互いに結合してベンゼン環を形成する。
【0077】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリーレン基である。
【0078】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロアリーレン基である。
【0079】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;アルキル基、またはアリール基で置換もしくは非置換のアリーレン基;またはシアノ基で置換もしくは非置換のアリール基で置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基である。
【0080】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基;またはシアノ基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリーレン基である。
【0081】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;またはシアノ基で置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロアリーレン基である。
【0082】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;フェニレン基;ビフェニリレン基;ターフェニリレン基;ナフチレン基;2価のフェナントレン基;2価のトリフェニレン基;2価のフルオランテン基;メチル基またはフェニル基で置換された2価のフルオレン基;フェニル基で置換もしくは非置換の2価のピリジン基;シアノ基で置換もしくは非置換のフェニル基で置換もしくは非置換の2価のピリミジン基;2価のピリダジン基;フェニル基で置換もしくは非置換の2価のトリアジン基;フェニル基で置換もしくは非置換の2価のカルバゾール基;2価のキナゾリン基;2価のジベンゾフラン基;または2価のジベンゾチオフェン基である。
【0083】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R12のうち前記化学式Aで表される基でない残りの基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基、炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のハロアルキル基;炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基、または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基;または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、隣接した基は、互いに結合して炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成し、前記L1は、直接結合;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基;またはシアノ基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリーレン基である。
【0084】
本明細書の一実施態様によれば、前記A1は、置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロ環である。
【0085】
本明細書の一実施態様によれば、前記A1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロ環である。
【0086】
本明細書の一実施態様によれば、前記A1は、炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環;または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロ環である。
【0087】
本明細書の一実施態様によれば、前記A1は、炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環;または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロ環である。
【0088】
本明細書の一実施態様によれば、前記A1は、ベンゼン;ナフタレン;フェナントレン;メチル基、またはフェニル基で置換もしくは非置換のインデン;フェニル基で置換もしくは非置換のベンズイミダゾール;フルオレン;ベンゾフラン;またはベンゾチオフェンである。
【0089】
本明細書の一実施態様によれば、前記Rは、水素である。
【0090】
本明細書の一実施態様によれば、前記RおよびR103は、互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成する。
【0091】
本明細書の一実施態様によれば、前記RおよびR103は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0092】
本明細書の一実施態様によれば、前記RおよびR103は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0093】
本明細書の一実施態様によれば、前記RおよびR103は、互いに結合して炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0094】
本明細書の一実施態様によれば、前記RおよびR103は、互いに結合して炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0095】
本明細書の一実施態様によれば、前記RおよびR103は、互いに結合してベンゼン環を形成する。
【0096】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記の構造の中から選択されるいずれか1つである。
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
。
【0097】
本明細書は、前記化学式1で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0098】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0099】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0100】
本明細書において、前記「層」は、本技術分野にて主に用いられる「フィルム」と互換される意味であり、目的の領域を覆うコーティングを意味する。前記「層」の大きさは限定されず、それぞれの「層」は、その大きさが同一でも異なっていてもよい。一実施態様によれば、「層」の大きさは、全体素子と同一でもよく、特定の機能性領域の大きさに相当してもよいし、単一のサブピクセル(sub-pixel)だけ小さくてもよい。
【0101】
本明細書において、特定のA物質がB層に含まれるとの意味は、i)1種以上のA物質が1つのB層に含まれることと、ii)B層が1層以上から構成され、A物質が多層のB層のうちの1層以上に含まれることをすべて含む。
【0102】
本明細書において、特定のA物質がC層またはD層に含まれるとの意味は、i)1層以上のC層のうちの1層以上に含まれるか、ii)1層以上のD層のうちの1層以上に含まれるか、iii)1層以上のC層および1層以上のD層にそれぞれ含まれることをすべて意味するのである。
【0103】
本明細書は、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0104】
本明細書の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、正孔ブロック層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少数の有機層を含むことができる。
【0105】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、電子注入層、電子輸送層、または電子注入および輸送層を含み、前記電子注入層、電子輸送層、または電子注入および輸送層は、前記化合物を含む。
【0106】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、正孔ブロック層を含み、前記正孔ブロック層は、前記化合物を含む。
【0107】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、発光層を含む。
【0108】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、または正孔注入および輸送層を含む。
【0109】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、電子ブロック層を含む。
【0110】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、正孔ブロック層を含む。
【0111】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入および輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子注入および輸送層、正孔ブロック層、並びに電子ブロック層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含む。
【0112】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた発光層と、前記発光層と前記第1電極との間、または前記発光層と前記第2電極との間に備えられた2層以上の有機物層とを含む。
【0113】
本明細書の一実施態様によれば、前記2層以上の有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入および輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子注入および輸送層、正孔ブロック層、並びに電子ブロック層からなる群より2以上が選択されてもよい。
【0114】
本明細書の一実施態様によれば、前記発光層と前記第1電極との間に2層以上の正孔輸送層を含む。前記2層以上の正孔輸送層は、互いに同一または異なる物質を含むことができる。
【0115】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極は、陽極または陰極である。
【0116】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2電極は、陰極または陽極である。
【0117】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、基板上に、陽極、1層以上の有機物層、および陰極が順次に積層された構造(normal type)の有機発光素子であってもよい。
【0118】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、基板上に、陰極、1層以上の有機物層、および陽極が順次に積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であってもよい。
【0119】
例えば、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の構造が
図1および
図2に例示されている。前記
図1および
図2は、有機発光素子を例示したものであり、これに限定されるものではない。
【0120】
図1には、基板101上に、第1電極102、有機物層111、および第2電極110が順次に積層された有機発光素子の構造が例示されている。前記化学式1で表される化合物は、有機物層に含まれる。
【0121】
図2には、基板101上に、第1電極102、正孔注入層103、第1正孔輸送層104、第2正孔輸送層105、発光層106、電子注入および輸送層107、並びに第2電極110が順次に積層された有機発光素子の構造が例示されている。前記化学式1で表される化合物は、電子注入および輸送層に含まれる。
【0122】
本明細書の有機発光素子は、電子注入層、電子輸送層、電子注入および輸送層、または正孔ブロック層が前記化合物、すなわち前記化学式1で表される化合物を含むことを除けば、当技術分野にて知られている材料と方法で製造できる。
【0123】
前記有機発光素子が複数の有機物層を含む場合、前記有機物層は、同一の物質または異なる物質で形成される。
【0124】
例えば、本明細書の有機発光素子は、基板上に、第1電極、有機物層、および第2電極を順次に積層させることにより製造することができる。この時、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(e-beam evaporation)のようなPVD(Physical Vapor Deposition)方法を利用して、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物、またはこれらの合金を蒸着させて陽極を形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上に陰極として使用可能な物質を蒸着させることにより製造できる。このような方法以外にも、基板上に陰極物質、有機物層、および陽極物質を順に蒸着させて有機発光素子を製造することができる。
【0125】
また、前記化学式1で表される化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法のみならず、溶液塗布法によって有機物層に形成される。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらに限定されるものではない。
【0126】
このような方法以外にも、基板上に、陰極物質から有機物層、陽極物質を順に蒸着させて有機発光素子を作ることもできる。ただし、製造方法がこれに限定されるものではない。
【0127】
前記陽極物質としては、通常、有機物層への正孔注入が円滑となるように仕事関数の大きい物質が好ましい。例えば、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
前記陰極物質としては、通常、有機物層への電子注入が容易となるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。例えば、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alのような多層構造の物質などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0129】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含むことができる。ホスト材料は、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などがある。具体的には、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0130】
本明細書の一実施態様によれば、前記ホストは、下記化学式H-1で表される化合物を含むが、これのみに限定されるものではない。
[化学式H-1]
【化31】
前記化学式H-1において、
L20およびL21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
Ar20およびAr21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
R201は、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
r201は、1~8の整数であり、前記r201が2以上の場合、2以上のR201は、互いに同一または異なる。
【0131】
本明細書の一実施態様において、前記L20およびL21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;炭素数6~30の単環もしくは多環のアリーレン基;または炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリーレン基である。
【0132】
本明細書の一実施態様において、前記L20およびL21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;重水素で置換もしくは非置換のフェニレン基;重水素で置換もしくは非置換のビフェニリレン基;重水素で置換もしくは非置換のナフチレン基;2価のジベンゾフラン基;または2価のジベンゾチオフェン基である。
【0133】
本明細書の一実施態様において、前記Ar20およびAr21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロ環基である。
【0134】
本明細書の一実施態様において、前記Ar20およびAr21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環~4環のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環~4環のヘテロ環基である。
【0135】
本明細書の一実施態様において、前記Ar20およびAr21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素、または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換のフェニル基;重水素、または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換のビフェニル基;炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換のナフチル基;炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換のナフトベンゾフラン基;炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換のナフトベンゾチオフェン基である。
【0136】
本明細書の一実施態様において、前記Ar20およびAr21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素で置換もしくは非置換のフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のビフェニル基;ターフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のナフチル基;フェナントレン基;ジベンゾフラン基;ナフトベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;またはナフトベンゾチオフェン基である。
【0137】
本明細書の一実施態様において、前記Ar20は、置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、前記Ar21は、置換もしくは非置換のアリール基である。
【0138】
本明細書の一実施態様によれば、前記R201は、水素である。
【0139】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式H-1は、下記の化合物で表される。
【化32】
【0140】
前記ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などがある。具体的には、芳香族アミン誘導体としては、置換もしくは非置換のアリールアミン基を有する縮合芳香族環誘導体であって、アリールアミン基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどがある。また、スチリルアミン化合物は、置換もしくは非置換のアリールアミンに少なくとも1個のアリールビニル基が置換されている化合物で、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基、およびアリールアミン基からなる群より1または2以上選択される置換基が置換もしくは非置換である。具体的には、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどがあるが、これらに限定されない。また、金属錯体としては、イリジウム錯体、白金錯体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
本明細書の一実施態様によれば、前記ドーパントは、下記化学式D-1で表される化合物を含むが、これのみに限定されるものではない。
[化学式D-1]
【化33】
前記化学式D-1において、
T1~T5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアミン基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
t3およびt4は、それぞれ1~4の整数であり、
t5は、1~3の整数であり、
前記t3が2以上の場合、前記2以上のT3は、互いに同一または異なり、
前記t4が2以上の場合、前記2以上のT4は、互いに同一または異なり、
前記t5が2以上の場合、前記2以上のT5は、互いに同一または異なる。
【0142】
本明細書の一実施態様によれば、前記T1~T5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリールアミン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0143】
本明細書の一実施態様によれば、前記T1~T5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;炭素数6~30の単環もしくは多環のアリールアミン基;または炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0144】
本明細書の一実施態様によれば、前記T1~T5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;メチル基;tert-ブチル基;またはtert-ブチル基で置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0145】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式D-1は、下記の化合物で表される。
【化34】
【0146】
前記正孔注入層は、電極から正孔を受け取る層である。正孔注入物質は、正孔を輸送する能力を有し、陽極から正孔受取効果および発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有することが好ましい。また、発光層で生成されたエキシトンの電子注入層または電子注入材料への移動を防止できる能力の優れた物質が好ましい。また、薄膜形成能力の優れた物質が好ましい。さらに、正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)が陽極物質の仕事関数と周辺の有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物;ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物;キナクリドン(quinacridone)系の有機物;ペリレン(perylene)系の有機物;アントラキノン、ポリアニリンのようなポリチオフェン系の導電性高分子などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
本明細書の一実施態様によれば、前記正孔注入層は、下記化学式HI-1で表される化合物を含むが、これのみに限定されるものではない。
[化学式HI-1]
【化35】
前記化学式HI-1において、
R301~R308は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
r301およびr302は、それぞれ1~4の整数であり、
r303およびr304は、それぞれ1~3の整数であり、
前記r301が2以上の場合、前記R301は、互いに同一または異なり、
前記r302が2以上の場合、前記R302は、互いに同一または異なり、
前記r303が2以上の場合、前記R303は、互いに同一または異なり、
前記r304が2以上の場合、前記R304は、互いに同一または異なる。
【0148】
本明細書の一実施態様によれば、前記R301~R304は、水素である。
【0149】
本明細書の一実施態様によれば、前記R300は、置換もしくは非置換のアリール基である。
【0150】
本明細書の一実施態様によれば、前記R300は、炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0151】
本明細書の一実施態様によれば、前記R300は、フェニル基である。
【0152】
本明細書の一実施態様によれば、前記R305~R308は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0153】
本明細書の一実施態様によれば、前記R305~R308は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基である。
【0154】
本明細書の一実施態様によれば、前記R305~R308は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のカルバゾール基である。
【0155】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式HI-1は、下記の化合物で表される。
【化36】
【0156】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層である。正孔輸送物質としては、陽極や正孔注入層から正孔を受け取って発光層に移し得る物質で、正孔に対する移動性の大きい物質が好ましい。具体例としては、アリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共にあるブロック共重合体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0157】
本明細書の一実施態様によれば、前記正孔輸送層は、下記化学式HT-1で表される化合物を含むが、これのみに限定されるものではない。
[化学式HT-1]
【化37】
前記化学式HT-1において、
X'1~X'6の少なくとも1つは、Nであり、残りは、CHであり、
R309~R313は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成する。
【0158】
本明細書の一実施態様によれば、前記X'1~X'6は、Nである。
【0159】
本明細書の一実施態様によれば、前記R309~R314は、シアノ基である。
【0160】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式HT-1は、下記の化合物で表される。
【化38】
【0161】
本明細書の一実施態様によれば、前記正孔輸送層は、下記化学式HT-2で表される化合物を含むが、これのみに限定されるものではない。
[化学式HT-2]
【化39】
前記化学式HT-2において、
R314~R316は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか1つであるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
r315は、1~4の整数であり、前記r315が2以上の場合、2以上の前記R315は、互いに同一または異なり、
r316は、1~4の整数であり、前記r316が2以上の場合、2以上の前記R316は、互いに同一または異なる。
【0162】
本明細書の一実施態様によれば、前記R314は、置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか1つである。
【0163】
本明細書の一実施態様によれば、前記R314は、カルバゾール基;フェニル基;ビフェニル基;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか1つである。
【0164】
本明細書の一実施態様によれば、前記R315およびR316は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基である。
【0165】
本明細書の一実施態様によれば、前記R315およびR316は、フェニル基である。
【0166】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式HT-2は、下記の化合物で表される。
【化40】
【0167】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取って発光層まで電子を輸送する層である。本明細書の一実施態様に係る有機発光素子が前記化学式1を含む電子輸送層以外の追加の電子輸送層を含む場合、電子輸送物質としては、陰極から電子注入をきちんと受けて発光層に移し得る物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好ましい。具体例としては、8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alq3を含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン-金属錯体などがあるが、これらに限定されるものではない。電子輸送層は、従来技術により使用されているような、任意の所望する陰極物質と共に使用可能である。特に、適切な陰極物質は、低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く通常の物質である。具体的には、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウム、およびサマリウムなどがあり、各場合、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く。
【0168】
前記電子注入層は、電極から電子を受け取る層である。本明細書の一実施態様に係る有機発光素子が前記化学式1を含む電子注入層以外の追加の電子注入層を含む場合、電子注入物としては、電子を輸送する能力に優れ、第2電極からの電子受取効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有することが好ましい。また、発光層で生成されたエキシトンが正孔注入層に移動するのを防止し、薄膜形成能力の優れた物質が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体、金属錯体化合物および含窒素5員環誘導体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0169】
前記金属錯体化合物としては、8-ヒドロキシキノリナトリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナト)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(2-ナフトラート)ガリウムなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0170】
前記電子ブロック層は、電子注入層から注入された電子が発光層を経て正孔注入層に入るのを防止して素子の寿命と効率を向上させることができる層である。公知の材料は制限なく使用可能であり、発光層と正孔注入層との間に、または発光層と正孔注入および正孔輸送を同時に行う層との間に形成される。
【0171】
前記正孔ブロック層は、正孔が陰極への到達を阻止する層で、一般的に、電子注入層と同一の条件で形成される。本明細書の一実施態様に係る有機発光素子が前記化学式1を含む正孔ブロック層以外の追加の正孔ブロック層を含む場合、具体的には、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体(aluminum complex)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0172】
本明細書に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0173】
本明細書に係る有機発光素子は、多様な電子装置に含まれて使用可能である。例えば、前記電子装置は、ディスプレイパネル、タッチパネル、太陽光モジュール、照明装置などであってもよく、これに限定されない。
【実施例】
【0174】
以下、本明細書を具体的に説明するために、実施例および比較例などを挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例および比較例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に詳述する実施例および比較例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例および比較例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0175】
合成例
<化合物1-1の合成>
【化41】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluoranthene(20g、39.36mmol)をDMAc(N,N-Dimethylacetamide)200mLに入れて、温度を高めた。還流が始まると、Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)(1.36g、1.18mmol)を入れて、30分間撹拌した後、Zn(CN)
2(2.3g、19.68mmol)を入れて、追加的に1時間さらに撹拌した。反応終結後、冷却およびエタノールスラリーの精製により[化合物1-1](15g、収率84%)を製造した。
[M+H]
+=456
【0176】
<化合物1-2の合成>
【化42】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに8-(3,5-dibromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneを用いたことを除き、[化合物1-1]の合成方法と同様の方法により[化合物1-2]を製造した。
[M+H]
+=481
【0177】
<化合物1-3の合成>
【化43】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに8-(4-bromophenyl)-9-(4-chlorophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneを用いたことを除き、[化合物1-1]の合成法と同様の方法により[化合物1-3-A]を製造した。
[M+H]
+=566
【0178】
[化合物1-3-A](20g、35.39mmol)と2-(tert-butyl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolane(7.4g、40.25mmol)をTetrahydrofuran200mLに溶かした後、撹拌した。Potassium carbonate(9.8g、70.78mmol)水溶液を入れて、温度を高めた。還流が始まると、Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)(1.2g、1.06mmol)触媒を入れて、3時間撹拌した。反応終結後、冷却およびエタノールスラリーの精製により[化合物1-3](17g、収率82%)を製造した。
[M+H]+=588
【0179】
<化合物1-4の合成>
【化44】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに8-(4-bromophenyl)-9-(4-chlorophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneを用いたことを除き、[化合物1-1]の合成法と同様の方法により[化合物1-4-A]を製造した。
[M+H]
+=566
【0180】
2-(tert-butyl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりにpyridin-4-ylboronic acidを用いたことを除き、[化合物1-3]の合成方法と同様の方法により[化合物1-4]を製造した。
[M+H]+=609
【0181】
<化合物1-5の合成>
【化45】
[化合物1-3-A]の代わりに8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneを用い、2-(tert-butyl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに(3-cyanophenyl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-3]の合成法と同様の方法により[化合物1-5]を製造した。
[M+H]
+=532
【0182】
<化合物1-6の合成>
【化46】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに8-(4-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(4-cyanonaphthalen-1-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-6]を製造した。
[M+H]
+=582
【0183】
<化合物1-7の合成>
【化47】
8-(4-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに8-bromo-7,10-diphenylfluorantheneを用い、(4-cyanonaphthalen-1-yl)boronic acidの代わりに9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileを用いたことを除き、[化合物1-6]の合成法と同様の方法により[化合物1-7]を製造した。
[M+H]
+=572
【0184】
<化合物1-8の合成>
【化48】
9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileの代わりに(7-cyanophenanthren-2-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-7]の合成法と同様の方法により[化合物1-8]を製造した。
[M+H]
+=556
【0185】
<化合物1-9の合成>
【化49】
9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileの代わりに(7-cyanotriphenylen-2-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-7]の合成法と同様の方法により[化合物1-9]を製造した。
[M+H]
+=556
【0186】
<化合物1-10の合成>
【化50】
9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileの代わりに(8-cyanofluoranthen-3-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-7]の合成法と同様の方法により[化合物1-10]を製造した。
[M+H]
+=580
【0187】
<化合物1-11の合成>
【化51】
9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileの代わりに(4-(4-cyanophenyl)quinazolin-2-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-7]の合成法と同様の方法により[化合物1-11]を製造した。
[M+H]
+=584
【0188】
<化合物1-12の合成>
【化52】
(4-cyanonaphthalen-1-yl)boronic acidの代わりに(7-cyanodibenzo[b,d]furan-3-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-6]の合成法と同様の方法により[化合物1-12]を製造した。
[M+H]
+=622
【0189】
<化合物1-13の合成>
【化53】
9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileの代わりに(6-cyano-9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-7]の合成法と同様の方法により[化合物1-13]を製造した。
[M+H]
+=621
【0190】
<化合物1-14の合成>
【化54】
9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileの代わりに3-(4-phenyl-6-(4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-1,3,5-triazin-2-yl)benzonitrileを用いたことを除き、[化合物1-7]の合成法と同様の方法により[化合物1-14]を製造した。
[M+H]
+=687
【0191】
<化合物1-15の合成>
【化55】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに7,10-di([1,1'-biphenyl]-3-yl)-8-(3-bromophenyl)fluorantheneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(3,5-dicyanophenyl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-15]を製造した。
[M+H]
+=709
【0192】
<化合物1-16の合成>
【化56】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに8-(3-bromophenyl)-7,10-bis(4-methoxyphenyl)fluorantheneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(4-cyanonaphthalen-1-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-16]を製造した。
[M+H]
+=642
【0193】
<化合物1-17の合成>
【化57】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに7,9,12-tris(4-bromophenyl)benzo[k]fluorantheneを用いたことを除き、[化合物1-1]の合成法と同様の方法により[化合物1-17]を製造した。
[M+H]
+=556
【0194】
<化合物1-18の合成>
【化58】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに7-(4-bromophenyl)-9,12-diphenylbenzo[k]fluorantheneを用いたことを除き、[化合物1-1]の合成法と同様の方法により[化合物1-18]を製造した。
[M+H]
+=506
【0195】
<化合物1-19の合成>
【化59】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに3-bromo-7,9,10-triphenylfluorantheneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(4-cyanophenyl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-19]を製造した。
[M+H]
+=532
【0196】
<化合物1-20の合成>
【化60】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに9-(4-bromophenyl)-7,10-diphenylfluoranthene-8-carbonitrileを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-20]を製造した。
[M+H]
+=697
【0197】
<化合物1-21の合成>
【化61】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに(4-(8,10-diphenylfluoranthen-7-yl)phenyl)boronic acidを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに3'-(6-chloro-2-phenylpyrimidin-4-yl)-[1,1'-biphenyl]-4-carbonitrileを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-21]を製造した。
[M+H]
+=762
【0198】
<化合物1-22の合成>
【化62】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに3,4-dibromo-7,8,10-triphenylfluorantheneを用いたことを除き、[化合物1-1]の合成法と同様の方法により[化合物1-22]を製造した。
[M+H]
+=481
【0199】
<化合物1-23の合成>
【化63】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに2-bromo-7,8,10-triphenylfluorantheneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(4-cyanonaphthalen-1-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-23]を製造した。
[M+H]
+=582
【0200】
<化合物1-24の合成>
【化64】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに8-(4-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(6-cyanopyridazin-3-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-24]を製造した。
[M+H]
+=534
【0201】
<化合物1-25の合成>
【化65】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに8-(3-bromophenyl)-2,5-di-tert-butyl-7,10-diphenylfluorantheneを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-25]を製造した。
[M+H]
+=644
【0202】
<化合物1-26の合成>
【化66】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに11-(4-bromophenyl)-12-pentyl-10,13-diphenyldibenzo[a,e]acephenanthryleneを用いたことを除き、[化合物1-1]の合成法と同様の方法により[化合物1-26]を製造した。
[M+H]
+=626
【0203】
<化合物1-27の合成>
【化67】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに8-bromo-7,10-di(naphthalen-1-yl)fluorantheneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(8-cyanodibenzo[b,d]thiophen-1-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-27]を製造した。
[M+H]
+=662
【0204】
<化合物1-28の合成>
【化68】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに3-bromo-7,10,12-triphenylbenzo[k]fluorantheneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(3'-cyano-[1,1'-biphenyl]-3-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-28]を製造した。
[M+H]
+=658
【0205】
<化合物1-29の合成>
【化69】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに7,10-bis(4-bromophenyl)-8-phenylfluorantheneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに(2-cyanophenyl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-29]を製造した。
[M+H]
+=633
【0206】
<化合物1-30の合成>
【化70】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに2-(4-(7,10-diphenylfluoranthen-8-yl)phenyl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに3'-(4-chloro-6-phenyl-1,3,5-triazin-2-yl)-[1,1'-biphenyl]-3-carbonitrileを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-30]を製造した。
[M+H]
+=763
【0207】
<化合物1-31の合成>
【化71】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに2-(fluoranthen-3-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに3'-(4-(4-chlorophenyl)-6-phenyl-1,3,5-triazin-2-yl)-[1,1'-biphenyl]-3-carbonitrileを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-31]を製造した。
[M+H]
+=611
【0208】
<化合物1-32の合成>
【化72】
8-(3-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneの代わりに2-(fluoranthen-3-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneを用い、(3-cyanophenyl)boronic acidの代わりに4'-(2-(6-(4-chlorophenyl)-2-phenylpyrimidin-4-yl)naphthalen-1-yl)-[1,1'-biphenyl]-4-carbonitrileを用いたことを除き、[化合物1-5]の合成法と同様の方法により[化合物1-32]を製造した。
[M+H]
+=736
【0209】
<化合物1-33の合成>
【化73】
[化合物1-3-A]の代わりに8-(4-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneを用い、2-(tert-butyl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに(4-cyanophenyl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-3]の合成法と同様の方法により[化合物1-33]を製造した。
[M+H]
+=532
【0210】
<化合物1-34の合成>
【化74】
[化合物1-3-A]の代わりに8-(4-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneを用い、2-(tert-butyl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに(3-cyanophenyl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-3]の合成法と同様の方法により[化合物1-34]を製造した。
[M+H]
+=532
【0211】
<化合物1-35の合成>
【化75】
[化合物1-3-A]の代わりに8-(4-bromophenyl)-7,10-diphenylfluorantheneを用い、2-(tert-butyl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに(5-cyano-[1,1'-biphenyl]-3-yl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-3]の合成法と同様の方法により[化合物1-35]を製造した。
[M+H]
+=608
【0212】
<化合物1-36の合成>
【化76】
[化合物1-3-A]の代わりに7,10-di([1,1'-biphenyl]-4-yl)-8-(4-bromophenyl)fluorantheneを用い、2-(tert-butyl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに(4-cyanophenyl)boronic acidを用いたことを除き、[化合物1-3]の合成法と同様の方法により[化合物1-36]を製造した。
[M+H]
+=684
【0213】
有機発光素子の作製
<実施例1>
ITO(indium tin oxide)が100nmの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を、洗剤を溶かした蒸留水に入れて超音波洗浄した。この時、洗剤としてはフィッシャー社(Fischer Co.)製品を使用し、蒸留水としてはミリポア社(Millipore Co.)製品のフィルタ(Filter)で2次濾過した蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返し超音波洗浄を10分間進行させた。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、プラズマ洗浄機に輸送させた。また、酸素プラズマを用いて前記基板を5分間洗浄した後、真空蒸着機に基板を輸送させた。
【0214】
このように用意されたITO透明電極上に、下記の化合物HI-Aを60nmの厚さに熱真空蒸着して正孔注入層を形成した。
【0215】
前記正孔注入層上に下記の化合物HATを真空蒸着して5nmの厚さの第1正孔輸送層を形成し、前記第1正孔輸送層上に下記の化合物HT-Aを真空蒸着して50nmの厚さの第2正孔輸送層を形成した。
【0216】
続いて、前記第2正孔輸送層上に化合物BHおよび化合物BDを25:1の重量比で真空蒸着して厚さ20nmの発光層を形成した。
【0217】
前記発光層上に前記[化合物1-1]と下記の化合物LiQを1:1の重量比で真空蒸着して、35nmの厚さの電子注入および輸送層を形成した。
【0218】
前記電子注入および輸送層上に1nmの厚さにリチウムフルオライド(LiF)を蒸着した後、続いて、100nmの厚さにアルミニウムを蒸着して陰極を形成して、有機発光素子を製造した。
【0219】
上記の過程で、有機物の蒸着速度は0.04nm/sec~0.09nm/secを維持し、リチウムフルオライドの蒸着速度は0.03nm/secを維持し、アルミニウムの蒸着速度は0.2nm/secを維持した。蒸着時の真空度は1×10
-7torr~5×10
-5torrを維持した。
【化77】
【0220】
<実施例2~36>
前記実施例1の[化合物1-1]の代わりに下記表1の化合物を用いることを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0221】
<比較例1~9>
前記実施例1の[化合物1-1]の代わりに下記表1の化合物を用いることを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【化78】
【0222】
前記実施例1~36および比較例1~9の有機発光素子の電圧および効率を10mA/cm2の電流密度下で測定し、寿命(LT95)を20mA/cm2の電流密度下で測定して、その結果を下記表1に示した。この時、LT95は、初期輝度対比、輝度が95%になる時間を意味する。色座標(x,y)は、CIE色座標を意味する。
【0223】
【0224】
【0225】
前記表1において、本明細書の一実施態様に係る化学式1を有機発光素子の電子注入および輸送層に使用した実施例1~36は、比較例1~9より駆動電圧が低く、効率が高く、寿命特性に優れていることを確認することができた。
【0226】
特に、本明細書の化学式1のR1またはR2が前記化学式Aで表され、前記l1が1であり、前記mが1であり、前記L1がフェニレン基であり、シアノ基がフェニレン基のmeta位に結合する化合物を有機発光素子に適用した実施例1は、シアノ基がフェニレン基のpara位に結合する化合物を有機発光素子に適用した比較例1より駆動電圧が低く、効率が高く、寿命特性に優れていることを確認することができた。これは、シアノ基がpara位に結合した化合物より、シアノ基がmetaまたはortho位に結合した場合、シアノ基とフェニル基との間の電子の移動距離が相対的に短くなって電子の移動が活発になるからである。
【0227】
また、前記実施例17、18および28は、前記R1およびR2が水素以外の置換基を含むことで電子移動度を円滑に調節するので、本明細書の化学式1のmが1であり、前記R1およびR2が水素である化合物である比較例7~9より駆動電圧が低く、効率が高く、寿命特性に優れていることを確認することができた。
【0228】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも発明の範疇に属する。
【符号の説明】
【0229】
101:基板
102:第1電極
111:有機物層
110:第2電極
103:正孔注入層
104:第1正孔輸送層
105:第2正孔輸送層
106:発光層
107:電子注入および輸送層