IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

特許7532733フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法
<>
  • 特許-フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法 図1
  • 特許-フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法 図2
  • 特許-フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法 図3
  • 特許-フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法 図4
  • 特許-フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法 図5
  • 特許-フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法 図6
  • 特許-フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240806BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240806BHJP
   B32B 37/16 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
B32B37/16
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023527468
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2022002492
(87)【国際公開番号】W WO2022182075
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0025030
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、フイ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒュン チェオル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、イン フワン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、サ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジン ホ
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/105953(WO,A1)
【文献】特開2020-034623(JP,A)
【文献】特開2009-160869(JP,A)
【文献】特開2011-221131(JP,A)
【文献】特開2020-033400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/38
C09J 201/00
B32B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム及び前記基材フィルムの一面に備えられた粘着層を含むフォルダブルバックプレートを準備する段階と、
前記粘着層の前記基材フィルムと接する面の反対面に第1の離型フィルムを貼り付ける段階と、
前記基材フィルムの前記粘着層が接する面の反対面に保護フィルムを貼り付ける段階と、
前記フォルダブルバックプレートを本体部とパッド部に区画する裁断ラインに沿って前記第1の離型フィルムから前記保護フィルムの方向にハーフカットする段階と、
前記ハーフカットする段階後に前記第1の離型フィルムを剥離する段階と、
前記第1の離型フィルムが剥離された位置に非カットされた第2の離型フィルムを貼り付けてフォルダブルバックプレートフィルムを製造する段階と、を含み、
前記第2の離型フィルムの少なくとも1つの幅は、前記フォルダブルバックプレートフィルムの幅より大きい、フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記第2の離型フィルムと前記フォルダブルバックプレートの少なくとも1つの幅の差は、0.1mm~20mmの範囲内である、請求項1に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記第2の離型フィルムは、縁が前記フォルダブルバックプレートの外側に拡張するように取り付けられ、拡張長さは、0.1mm~10mmの範囲内である、請求項1または2に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項4】
ハーフカットされた状態で前記第1の離型フィルム、前記基材フィルム及び前記粘着層は、前記裁断ラインに沿って貫通された貫通領域を含み、
前記保護フィルムは前記裁断ラインに沿って溝が形成された、請求項1から3のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記フォルダブルバックプレートフィルムは、前記第2の離型フィルム、前記粘着層、前記基材フィルム及び前記保護フィルムが順次積層された構造を有し、
前記第2の離型フィルムは、貫通領域及び溝が形成されず、
前記粘着層及び前記基材フィルムは、前記裁断ラインに沿って貫通領域を含み、
前記保護フィルムは前記裁断ラインに沿って溝を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記基材フィルムの20℃における破断伸び率(elongation at break)が20%以上200%以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記基材フィルムの200℃における熱収縮率が0.1%以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記基材フィルムはポリイミド基材フィルムである、請求項1から7のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記基材フィルムの厚さが20μm以上120μm以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項10】
前記第1の離型フィルムの前記粘着層からの剥離力は、23℃で12gf/inch(4.63309・・・N/m)以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項11】
前記第1の離型フィルム及び第2の離型フィルムは、シリコーン系である、請求項1から10のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項12】
前記第1の離型フィルム及び前記第2の離型フィルムの表面抵抗は、500V以下の条件で1010Ω/sq以下である、請求項1から11のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【請求項13】
前記保護フィルムは、前記裁断ラインに沿って溝が形成されている、請求項1から4、及び請求項5を引用しない請求項6から12のいずれか1項に記載のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2021年2月24付の韓国特許出願第10-2021-0025030号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ディスプレイ関連技術の発達に伴い、たたんだり、ロール(Roll)形状に巻いたり、ゴムひものように伸びるなど、使用段階で変形可能なディスプレイ装置が研究及び開発されている。
【0004】
変形可能なディスプレイ装置は、予め設定された形態に変形できるだけでなく、ユーザの要求に応じて、またはディスプレイ装置が使用される状況のニーズに応じて様々な形態に変形できる。したがって、ディスプレイの変形された形態を認識し、認識した形態に応じてディスプレイ装置を制御する必要がある。
【0005】
一方、変形可能なディスプレイ装置は、変形によってディスプレイ装置の各構成が損傷する問題があるので、このようなディスプレイ装置の各構成は、フォールディング(Folding)信頼性及び安定性を満たさなければならない。
【0006】
特に最近ではディスプレイの薄膜化のためにフレキシブル(Flexible)基板が主に使用されており、フレキシブル基板が使用された表示パネルは薄すぎるため、表示パネルを支持できるフォルダブルバックプレートフィルムをフレキシブル基板の下部に貼り付けて使用している。
【0007】
図1は、従来のフォルダブルバックプレートフィルムを示す縦断面図であり、図2は、従来のフォルダブルバックプレートフィルムの平面図であり、図3は、従来のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法を例示的に説明する図であり、図4は、従来のフォルダブルバックプレートフィルムの粘着剤流出現象を説明するための図である。
【0008】
従来のフォルダブルバックプレートフィルムは、離型フィルム1/粘着層2/フォルダブルバックプレート3/保護フィルム4の構造を有し、フォルダブルバックプレートフィルムの製造工程は、パネルの画面部に取り付けられる本体部S1と、DIボンディングを行う下端部に取り付けられるパッド部S3から構成されるように、裁断ラインS2に沿ってフォルダブルバックプレートフィルムを2-ピースセルサイズに裁断する裁断過程を行う。
【0009】
図3を参照すると、従来の裁断過程は、フォルダブルバックプレートから離型フィルム方向にハーフカットを行った後、保護フィルムを貼り付ける方式で行った。このように従来のハーフカットで製造されたフォルダブルバックプレートフィルムは、離型フィルムに溝H1が形成される。
【0010】
しかし、このような裁断過程を経て製造されたフォルダブルバックプレートフィルムは、製品の取り扱い及び運送時に粘着剤の流出(図4のA参照)によって離型フィルムが剥離しないか、または離型フィルムの剥離工程時にフォルダブルバックプレートの本体部またはパッド部が付いてくるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願は、ハーフカット段階を改善し、製品の取り扱い及び運送時に粘着剤の流出により離型フィルムが剥離しないか、または離型フィルムの剥離工程時にバックプレートが付いてくるという問題を防止できるフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本出願の一実施形態は、基材フィルム及び前記基材フィルムの一面に備えられた粘着層を含むフォルダブルバックプレートを準備する段階、前記粘着層の前記基材フィルムと接する面の反対面に第1の離型フィルムを貼り付ける段階、前記基材フィルムの前記粘着層が接する面の反対面に保護フィルムを貼り付ける段階、前記フォルダブルバックプレートを本体部とパッド部に区画する裁断ラインに沿って前記第1の離型フィルムから保護フィルム方向にハーフカットする段階、ハーフカット段階後に第1の離型フィルムを剥離する段階及び第1の離型フィルムの剥離された位置に非カットされた第2の離型フィルムを貼り付けてフォルダブルバックプレートフィルムを製造する段階を含む、フォルダブルバックプレートフィルムの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本出願の一実施例によるフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法は、ハーフカット時に離型フィルムから保護フィルム方向にカットし、その後に離型フィルムを拡張された離型フィルムに離型交替する方法でフォルダブルバックプレートフィルムを製造することにより、製品の取り扱い及び運送時に粘着剤の流出により離型フィルムが剥離せず、また離型フィルムの剥離時にバックプレートが付いてくるという問題を防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来のフォルダブルバックプレートフィルムを示す縦断面図である。
図2】従来のフォルダブルバックプレートフィルムの平面図である。
図3】従来のフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法を例示的に説明する図である。
図4】従来のフォルダブルバックプレートフィルムの粘着剤流出現象を説明するための図である。
図5】本発明によるフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法を例示的に説明する図である。
図6図5に示す製造方法で製造されたフォルダブルバックプレートフィルムを示す図である。
図7図6に示すフォルダブルバックプレートフィルムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0016】
本明細書においてある部分がある構成要素を「含む」とする場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0017】
本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について添付の図面を参考して詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現でき、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0018】
図5は、本発明によるフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法を例示的に説明する図であり、図6は、図5に示す製造方法で製造されたフォルダブルバックプレートフィルムを示す図であり、図7は、図6に示すフォルダブルバックプレートフィルムの平面図である。
【0019】
本出願の一実施例によるフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法は、基材フィルム100及び前記基材フィルム100の一面に備えられた粘着層200を含むフォルダブルバックプレートフィルムを準備する段階、前記粘着層200の前記基材フィルム100と接する面の反対面に第1の離型フィルム300を貼り付ける段階、前記基材フィルム100の前記粘着層200が接する面の反対面に保護フィルム400を貼り付ける段階、前記フォルダブルバックプレートを本体部とパッド部に区画する裁断ラインに沿って前記第1の離型フィルム300から保護フィルム400方向にハーフカットする段階、前記ハーフカット段階後に第1の離型フィルム300を剥離する段階、及び第1の離型フィルム300が剥離した位置に非カットされた第2の離型フィルム500を貼り付けてフォルダブルバックプレートフィルムを製造する段階を含む。
【0020】
また、前記第2の離型フィルム500の少なくとも1つの幅L1は、前記フォルダブルバックプレートフィルムの幅(L2)より大きい。
【0021】
従来の製造方法は、バックプレートから離型フィルム方向にハーフカットした後、保護フィルムを貼り付ける工程を行うのに対し、本発明による製造方法は、離型フィルム方向から保護フィルム方向にハーフカットを行い、その後、カットされた第1の離型フィルム300を剥離した後、第1の離型フィルム300から拡張されて非カットされた第2の離型フィルム500に離型交替することにより、製品の取り扱い及び運送時に粘着剤の流出を防止し、これによる離型フィルムの剥離を防止し、さらに製品適用のための離型フィルムの剥離時にバックプレートが付いてくるという問題を防止しうる。
【0022】
このような製造方法上の差により、従来の製造方法によって製造されたフォルダブルバックプレートフィルムは、ハーフカットにより離型フィルム1上に溝H1が形成されるが、本発明の製造方法により製造されたフォルダブルバックプレートフィルムは、ハーフカットによって保護フィルム400上に溝H2が形成されるという差がある。
【0023】
前記第2の離型フィルム500とフォルダブルバックプレートの少なくとも1つの幅の差(L1~L2)は、0.1mm~20mmの範囲内であってもよい。第2の離型フィルム500とフォルダブルバックプレートの少なくとも1つの幅の差が前記範囲を満たすことにより、粘着剤の流出(粘着剤の一部が離脱する)防止及び第2の離型フィルム500の浮き上がりによるトンネリング問題を解決しうる。
【0024】
例えば、前記第2の離型フィルム500は、第1の離型フィルム300において4面がそれぞれ拡張されたものであってもよい。前記第2の離型フィルムは、それぞれの縁がフォルダブルバックプレートの外側に拡張されるように取り付けられ、拡張長さL3は、0.1mm~10mmの範囲内であってもよい。前記拡張長さは、フォルダブルバックプレートの端から第2の離型フィルムの端までの最短距離を意味する。
【0025】
そして、本発明の製造方法によるフォルダブルバックプレートフィルムは、製造過程において以下のような構造的特徴を示す。
【0026】
一例において、ハーフカットされた状態で、第1の離型フィルム300、基材フィルム100、及び粘着層200は、裁断ラインに沿って貫通された貫通領域を含み、前記保護フィルム400は、裁断ラインに沿って溝H2が形成されてもよい。
【0027】
裁断過程を経た前記フォルダブルバックプレートフィルムは、第2の離型フィルム500、粘着層200、基材フィルム100及び保護フィルム400が順次積層された構造を有し、前記第2の離型フィルム500は、貫通領域及び溝は形成されず、前記粘着層200及び基材フィルム100は、裁断ラインに沿って貫通領域を含み、前記保護フィルム400は、裁断ラインに沿って溝H2を含んでもよい。すなわち、前記フォルダブルバックプレートフィルムは、溝H2を有する保護フィルム400、前記溝H2を囲むように積層され、溝H2と連通する第1の貫通領域を有する基材フィルム100、基材フィルム上に積層され、前記第1の貫通領域と連通する第2の貫通領域を有する粘着層200、及び粘着層200上に積層された第2の離型フィルム500を含む。前記第2の離型フィルム500は、第2の貫通領域と連通する貫通領域を有していない。
【0028】
また、本出願は、以下に説明するように、各構成の材料選択及び物性調節を通じて優れた信頼性及び安定性を有するフォルダブルバックプレートフィルムを提供しうる。
【0029】
前記基材フィルムの20℃における貯蔵弾性率は、1GPa~5GPaであってもよく、例えば、1.5GPa~4GPaまたは2GPa~4GPaであってもよい。本出願による基材フィルムは、前記貯蔵弾性率の範囲を満たすことにより、その後、フォルダブルディスプレイのバックプレートに適用される場合、フォールディング(folding)を繰り返しても信頼性が維持され、フォールディング(folding)時に発生するストレス(stress)値を最小化し、表示パネルを支持できる程度の硬度を満たすことができる特徴を持つようになる。
【0030】
本出願の一実施例において、前記基材フィルムの20℃における破断伸び率(elongation at break)が20%以上200%以下のフォルダブルバックプレートを提供する。
【0031】
さらに他の一実施例において、前記基材フィルムの20℃における破断伸び率(elongation at break)が20%以上200%以下、好ましくは、40%以上180%以下、さらに好ましくは、70%以上150%以下であってもよい。
【0032】
前記ポリイミド基材の破断伸び率とは、基材フィルムの初期長さをL1、これを延伸により破断が発生する長さをL2とする場合(L2-L1)/L1*100(%)を意味する。
【0033】
前記貯蔵弾性率及び破断伸び率の測定は、KS M ISO527の方法で測定するためにZwick社のUTMを使用した。測定しようとするフィルムを横5mm、縦60mm以上に切った後、グリップ間の間隔は40mmに設定し、20mm/minの速度でサンプルフィルムを引っ張りながら測定される値でそれぞれ測定してもよい。
【0034】
本出願の一実施例において、前記基材フィルムの200℃における熱収縮率が0.1%以下のフォルダブルバックプレートフィルムを提供する。
【0035】
さらに他の一実施例において、前記基材フィルムの200℃における熱収縮率が0.03%以上であってもよい。
【0036】
前記熱収縮率は、前記基材フィルムに熱を加える場合、最大収縮力を有する方向に収縮する程度を意味するもので、基材フィルムの初期長さをM1、200℃で2時間加熱した後の収縮方向に収縮した長さをM2とする場合(M1-M2)/M1*100の値を意味する。
【0037】
前記基材フィルムが前記範囲の熱収縮力を有することにより、バックプレートコーティング工程において熱を加えても収縮力が低く、変形が発生しない特徴を持つことになる。
【0038】
一例において、前記基材フィルムは、ポリイミド基材フィルムであってもよい。例えば、前記基材フィルムは、前述した貯蔵弾性率、破断伸び率、熱収縮率のうち少なくとも1つ以上を満たすポリイミド基材フィルムであってもよい。
【0039】
本出願によるフォルダブルバックプレートフィルムの場合、前記条件を満たすポリイミド基材フィルムを使用することにより、フォルダブルディスプレイをたたんで広げる動作が繰り返される場合でもバックプレートに塑性変形(plastic deformation)が発生せず耐久性に優れており、フォールディング(folding)時に発生したストレイン(strain)をデフォールディング(defolding)時に永久変形なしに復元できるという特徴を持つようになる。
【0040】
また、前記基材フィルムの厚さは、20μm以上120μm以下であってもよく、例えば、30μm以上100μm以下、または40μm以上80μm以下であってもよい。前記基材フィルムが前記厚さ範囲を有することにより、その後、フォルダブルディスプレイのバックプレートとして使用される場合、支持体としての役割に優れており、ロールコーティング時にハンドリングの問題が発生せず、曲率半径の偏差が好適でフォールディング(folding)時にストレス(stress)値が最小化できるという特徴を持つようになる。
【0041】
第1の離型フィルムの前記粘着層からの剥離力は、23℃で12gf/inch(4.63309・・・N/m)以下であってもよく、例えば、11gf/inch(4.24700・・・N/m)以下、または10gf/inch(3.86091・・・N/m)以下であってもよい。前記第1の離型フィルムの前記粘着層からの剥離力は、180°の角度及び2400mm/分の剥離速度でテクスチャーアナライザ(Texture analyzer(Stable Micro Systems社)を用いて測定し、本発明により製造されたフォルダブルバックプレートフィルムを23℃でそれぞれ測定した値である。
【0042】
前記第1の離型フィルム及び第2の離型フィルムは、シリコーン系であってもよい。
【0043】
前記第1及び第2の離型フィルムは、厚さが非常に薄い第1及び第2の粘着層を保護するための層であって、第1及び第2の粘着層の一面に付着する透明層を意味するものであり、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れたフィルムを使用してもよい。例えば、トリアセチルセルロース(TAC)などのアセテート系、ポリエステル系、ポリエーテルスルホン系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、シクロオレフィン系、ポリウレタン系、シリコーン系及びアクリル系樹脂フィルムなどを使用してもよいが、市販のシリコーン系離型フィルムであれば、これに限定されるものではない。
【0044】
本出願の一実施例において、前記第1の離型フィルム及び第2の離型フィルムは、表示パネルの下部に付着時、静電気による表示パネルの損傷を防止するために帯電放置処理をさらに含んでもよい。
【0045】
本出願の一実施例において、前記粘着剤層は、アクリル系粘着層、ゴム系粘着層及びシリコーン系粘着層からなる群から選ばれる1以上を使用してもよい。
【0046】
さらに他の一実施例において、前記粘着剤層は、アクリル系粘着層を使用してもよい。
【0047】
一例において、前記第1の離型フィルム及び前記第2の離型フィルムの表面抵抗は、500V以下の条件で1010Ω/sq以下であってもよく、3×109Ω/sq以下、または1×109Ω/sq以下であってもよい。前記第1の離型フィルム及び前記第2の離型フィルムの表面抵抗は、試験片PET背面上に同心円電極を用いて測定してもよく、MCT-HT800(三菱社)の印加電圧500V、印加時間10秒間25℃、55RH%で測定してもよい。
【0048】
前記第1の離型フィルム及び前記第2の離型フィルムは、帯電放置処理により前記範囲の表面抵抗値を有し、その後、第1の離型フィルムの剥離後、表示パネルの下部に付着時に静電気による表示パネルの損傷を防止できる特徴を持つようになる。
【0049】
本出願の一実施例において、前記第1の離型フィルム及び第2の離型フィルムは、表示パネルの下部に付着時、静電気による表示パネルの損傷を防止するために帯電放置処理をさらに含んでもよい。
【0050】
前記保護フィルムは、ラミネーションなどの工程で貼り付けてもよく、保護フィルムの種類は、特に制限されず、通常の製品を使用してもよい。例えば、保護フィルムは、PET/PSAから構成されたEPDC、LCFPなどの製品を使用してもよい。
【0051】
一具体例において、前記保護フィルムは、裁断ラインに沿って溝が形成されてもよい。本出願による製造方法は、第1の離型フィルムにおいて保護フィルム方向にハーフカットすることにより、保護フィルムに溝が形成されるのに対し、従来の裁断工程は、バックプレートから離型フィルム方向にハーフカットするため、離型フィルムに溝が形成される点で異なる。
【0052】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現でき、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0053】
実施例
図5に示す製造方法によってフォルダブルバックプレートフィルムを製造した。このとき、第2の離型フィルムの幅とフォルダブルバックプレートの幅の差(L1-L2)は、1.5mm~3mmの範囲内であった。
【0054】
比較例1
図3に示す製造方法によってフォルダブルバックプレートフィルムを製造した。
【0055】
比較例2
第2の離型フィルムの幅とフォルダブルバックプレートの幅の差(L1-L2)が0.1mm未満であることを除いて、実施例と同様にフォルダブルバックプレートフィルムを製造した。
【0056】
比較例3
第2の離型フィルムの幅とフォルダブルバックプレートの幅の差(L1-L2)が10mm超過であることを除いて、実施例と同様にフォルダブルバックプレートフィルムを製造した。
【0057】
実験例
前記実施例及び比較例で製造されたフォルダブルバックプレートフィルムを常温で30分間放置した後、流出の有無を目視で観察し、その結果、実施例では流出による不良品が観察されず、比較例1で流出が発生した。
【0058】
また、比較例2のフォルダブルバックプレートフィルムは、粘着剤の流出が発生し、比較例3のフォルダブルバックプレートフィルムは、第2の離型フィルムの浮き上がりによりトンネリングが発生した。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本出願の一実施例によるフォルダブルバックプレートフィルムの製造方法は、ハーフカット時に離型フィルムから保護フィルム方向にカットし、その後に離型フィルムを拡張された離型フィルムに離型交替する方法でフォルダブルバックプレートフィルムを製造することにより、製品の取り扱い及び運送時に粘着剤の流出により離型フィルムが剥離せず、また離型フィルムの剥離時にバックプレートが付いてくるという問題を防止しうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7