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特許7532754画像解析装置、細胞培養観察装置、画像解析方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】画像解析装置、細胞培養観察装置、画像解析方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240806BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240806BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240806BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C12M1/34 A
C12Q1/02
G01N33/48 M
G01N33/483 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019161011
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021036830
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】市橋 徹
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 洋一
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-229276(JP,A)
【文献】特開2014-075999(JP,A)
【文献】国際公開第2007/066684(WO,A1)
【文献】特開2009-207416(JP,A)
【文献】特開2014-179061(JP,A)
【文献】特開2018-014991(JP,A)
【文献】特開2011-229413(JP,A)
【文献】特開2011-229409(JP,A)
【文献】特開2019-017316(JP,A)
【文献】特開2018-099058(JP,A)
【文献】特開2013-057636(JP,A)
【文献】特開2010-181402(JP,A)
【文献】特開2017-099405(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0051651(US,A1)
【文献】PLOS ONE,2014年,Vol. 9, No. 9,e107317
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-1/42
C12Q 1/00-1/70
G01N 33/00-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を時系列で撮像した複数の画像から、前記細胞の培養領域に形成された間隙であるスクラッチ領域を設定するために用いられる基準画像を選択する基準画像選択部と、
前記基準画像から前記スクラッチ領域を抽出するスクラッチ領域抽出部と、
記スクラッチ領域に対応する基準領域を前記複数の画像に共通して設定する領域設定部と、
前記複数の画像のうち前記基準領域内に位置する前記細胞の領域である細胞領域に所定の色を設定した画像を表示装置に出力する動作を制御する制御部と、
を備える画像解析装置。
【請求項2】
前記基準領域内に占める前記細胞領域の面積を時系列で撮像された前記複数の画像に含まれる前記細胞領域に基づいて算出する算出部
をさらに備える請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項3】
前記基準領域の面積を算出する基準領域面積算出部と、
前記基準領域面積算出部が算出した前記基準領域の前記面積と、前記算出部が算出した前記細胞領域の前記面積とに基づいて前記基準領域内に占める前記細胞領域の面積の割合を算出する面積割合算出部と
をさらに備える請求項2に記載の画像解析装置。
【請求項4】
時系列で撮像された前記複数の画像に含まれる前記細胞領域を判定する細胞領域判定部
をさらに備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像解析装置。
【請求項5】
前記基準画像の輝度値に基づいて前記基準画像から前記スクラッチ領域が抽出され、
前記領域設定部は、抽出された前記スクラッチ領域を前記基準領域として設定する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像解析装置。
【請求項6】
前記基準画像においてユーザによって操作部を介して入力され指定された前記基準領域を示す操作情報を取得する操作情報取得部をさらに備える
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像解析装置。
【請求項7】
記細胞領域の面積の時系列の変化に基づいて前記細胞の遊走能を評価する評価部
をさらに備える請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像解析装置。
【請求項8】
前記細胞領域は、前記複数の画像において所定の閾値処理が実行された画像に対して前記細胞領域と前記細胞領域でない領域との境界を滑らかにする画像処理が行われることで抽出される
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像解析装置。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像解析装置と、
培養容器に収納された前記細胞を培養する培養装置と、
前記複数の画像を撮像する顕微鏡と、
を備える細胞培養観察装置。
【請求項10】
細胞を時系列で撮像した複数の画像から、前記細胞の培養領域に形成された間隙であるスクラッチ領域を設定するために用いられる基準画像を選択する基準画像選択過程と、
前記基準画像から前記スクラッチ領域を抽出するスクラッチ領域抽出過程と、
記スクラッチ領域に対応する基準領域を前記複数の画像に共通して設定する領域設定過程と、
前記複数の画像のうち前記基準領域内に位置する前記細胞の領域である細胞領域に所定の色を設定した画像を表示装置に出力する動作を制御する制御過程と、
を有する画像解析方法。
【請求項11】
コンピュータに、
細胞を時系列で撮像した複数の画像から、前記細胞の培養領域に形成された間隙であるスクラッチ領域を設定するために用いられる基準画像を選択する基準画像選択ステップと、
前記基準画像から前記スクラッチ領域を抽出するスクラッチ領域抽出ステップと、
記スクラッチ領域に対応する基準領域を前記複数の画像に共通して設定する領域設定ステップと、
前記複数の画像のうち前記基準領域内に位置する前記細胞の領域である細胞領域に所定の色を設定した画像を表示装置に出力する動作を制御する制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像解析装置、細胞培養観察装置、画像解析方法、及びプログラに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞の遊走能は、各種の疾患と深く関連している。そのため、細胞の遊走能を定量的に評価することが求められている。細胞の遊走能を評価する解析方法として、スクラッチアッセイが知られている。また例えば、画像解析に基づいて脳の神経細胞の遊走能を評価することによって、遊走障害を伴う疾患を判定する装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-150734号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様は、細胞を時系列で撮像した複数の画像から、前記細胞の培養領域に形成された間隙であるスクラッチ領域を設定するために用いられる基準画像を選択する基準画像選択部と、
前記基準画像から前記スクラッチ領域を抽出するスクラッチ領域抽出部と、前記スクラッチ領域に対応する基準領域を前記複数の画像に共通して設定する領域設定部と、前記複数の画像のうち前記基準領域内に位置する前記細胞の領域である細胞領域に所定の色を設定した画像を表示装置に出力する動作を制御する制御部と、を備える画像解析装置である。
【0005】
本発明の一態様は、上記の画像解析装置と、培養容器に収納された前記細胞を培養する培養装置と、前記複数の画像を撮像する顕微鏡と、を備える細胞培養観察装置である。
【0006】
本発明の一態様は、細胞を時系列で撮像した複数の画像から、前記細胞の培養領域に形成された間隙であるスクラッチ領域を設定するために用いられる基準画像を選択する基準画像選択過程と、
前記基準画像から前記スクラッチ領域を抽出するスクラッチ領域抽出過程と、前記スクラッチ領域に対応する基準領域を前記複数の画像に共通して設定する領域設定過程と、前記複数の画像のうち前記基準領域内に位置する前記細胞の領域である細胞領域に所定の色を設定した画像を表示装置に出力する動作を制御する制御過程と、を有する画像解析方法である。
【0007】
本発明の一態様は、コンピュータに、細胞を時系列で撮像した複数の画像から、前記細胞の培養領域に形成された間隙であるスクラッチ領域を設定するために用いられる基準画像を選択する基準画像選択ステップと、
前記基準画像から前記スクラッチ領域を抽出するスクラッチ領域抽出ステップと、前記スクラッチ領域に対応する基準領域を前記複数の画像に共通して設定する領域設定ステップと、前記複数の画像のうち前記基準領域内に位置する前記細胞の領域である細胞領域に所定の色を設定した画像を表示装置に出力する動作を制御する制御ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る画像解析装置を含むインキュベータの概要を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係るインキュベータの正面図の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係るインキュベータの平面図の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係るスクラッチ領域の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係るインキュベータでの観察動作の一例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る演算部の機能構成の一例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る画像解析処理の一例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る細胞に浸潤されたスクラッチ領域の一例を示す図である。
図9】第1の実施形態に係る基準領域内における細胞領域の面積の時系列の変化の一例を示す図である。
図10】第2の実施形態に係る演算部の機能構成の一例を示す図である。
図11】第2の実施形態に係る画像解析処理の一例を示す図である。
図12】第2の実施形態に係るスクラッチ領域の面積の一例を示す図である。
図13】第2の実施形態に係る基準領域内における細胞領域の面積の割合の時系列の変化の一例を示す図である。
図14】第3の実施形態に係る演算部の機能構成の一例を示す図である。
図15】第3の実施形態に係る遊走能評価処理の一例を示す図である。
図16】第4の実施形態に係るGUIの画面の一例を示す図である。
図17】第4の実施形態に係るGUIの画面の一例を示す図である。
図18】第4の実施形態に係るGUIの画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、第1の実施形態について説明する。図1は、実施形態の画像解析装置を含むインキュベータ11の概要を示すブロック図である。また、図2及び図3は、本実施形態のインキュベータ11の正面図および平面図の一例を示す図である。
このインキュベータ11とは、細胞培養観察装置の一例である。
【0011】
実施形態のインキュベータ11は、上部ケーシング12と下部ケーシング13とを有している。インキュベータ11の組立状態において、上部ケーシング12は下部ケーシング13の上に載置される。なお、上部ケーシング12と下部ケーシング13との内部空間は、ベースプレート14によって上下に仕切られている。
【0012】
まず、上部ケーシング12の構成の概要を説明する。上部ケーシング12の内部には、細胞の培養を行う恒温室15が形成されている。この恒温室15は温度調整装置15aおよび湿度調整装置15bを有しており、恒温室15内は細胞の培養に適した環境(例えば温度37℃、湿度90%の雰囲気)に維持されている(なお、図2図3での温度調整装置15a、湿度調整装置15bの図示は省略する)。つまり、恒温室15は、内部を所定の環境条件に維持可能である。
【0013】
恒温室15の前面には、大扉16、中扉17、小扉18が配置されている。大扉16は、上部ケーシング12および下部ケーシング13の前面を覆っている。中扉17は、上部ケーシング12の前面を覆っており、大扉16の開放時に恒温室15と外部との環境を隔離する。小扉18は、細胞を培養する培養容器19を搬出入するための扉であって、中扉17に取り付けられている。この小扉18から培養容器19を搬出入することで、恒温室15の環境変化を抑制することが可能となる。なお、大扉16、中扉17、小扉18は、パッキンSL1、パッキンSL2、パッキンSL3によりそれぞれ気密性が維持されている。培養容器19は、例えば、ウェルプレート(例、6ウェルを有するプレートなど)である。
【0014】
また、恒温室15には、ストッカー21、観察ユニット22、容器搬送装置23、搬送台24が配置されている。ここで、搬送台24は、小扉18の手前に配置されており、培養容器19を小扉18から搬出入する。
【0015】
ストッカー21は、上部ケーシング12の前面(図3の下側、大扉16などの扉側)からみて恒温室15の左側に配置される。ストッカー21は複数の棚を有しており、ストッカー21の各々の棚には複数の培養容器19を収納することができる。なお、各々の培養容器19には、培養の対象となる細胞が培地とともに収容されている。このように恒温室15は、細胞を培養する培養容器19を収納する。恒温室15は、培養容器19に収納された細胞を培養する培養装置の一例である。
【0016】
観察ユニット22は、上部ケーシング12の前面(図3の下側、大扉16などの扉側)からみて恒温室15の右側に配置される。この観察ユニット22は、培養容器19内の細胞のタイムラプス観察を実行することができる。ここで、タイムラプス観察とは、予め設定されている撮像スケジュールに基づいて、所定の時間毎にサンプル(例、細胞)を撮像することにより、撮像した複数の画像(タイムラプス画像)をもとにサンプルの時系列の変化を観察する手法のことである。サンプルの撮像は一定の時間間隔で行われてよいし、異なる時間間隔で行われてもよい。
【0017】
ここで、観察ユニット22は、上部ケーシング12のベースプレート14の開口部に嵌め込まれて配置される。観察ユニット22は、試料台31と、試料台31の上方に張り出したスタンドアーム32と、位相差観察用の顕微光学系および撮像装置34を内蔵した本体部分33とを有している。そして、試料台31およびスタンドアーム32は恒温室15に配置される一方で、本体部分33は下部ケーシング13内に収納される。
【0018】
試料台31は透光性の材質で構成されており、その上に培養容器19を載置することができる。この試料台31は水平方向に移動可能に構成されており、上面に載置した培養容器19の位置を調整できる。また、スタンドアーム32にはLED光源35が内蔵されている。そして、撮像装置34は、スタンドアーム32によって試料台31の上側から透過照明された培養容器19の細胞を、顕微光学系を介して撮像することで細胞の顕微鏡画像を取得できる。撮像装置34は、恒温室15内で培養容器に収容されている細胞を所定時間毎に撮像する。
【0019】
以下の説明では、細胞のタイムラプス観察が実行されて得られる時系列の画像データ(複数の画像)をタイムラプス画像TPという。タイムラプス画像TPには、細胞が撮像された複数の画像が含まれる。観察ユニット22は、タイムラプス画像TPを撮像する顕微鏡の一例である。
【0020】
上述したように本実施形態では、観察ユニット22の顕微光学系は、一例として位相差観察によって培養容器19の細胞を観察する。つまり、観察ユニット22の顕微光学系は、位相差顕微鏡である。したがって、本実施形態のタイムラプス観察によって得られるタイムラプス画像TPは位相差画像である。
なお、タイムラプス画像TPは位相差画像に限らない。タイムラプス画像TPは、例えば、観察ユニット22の顕微光学系が微分干渉顕微鏡である場合、微分干渉画像であってもよいし、観察ユニット22の顕微光学系が蛍光顕微鏡である場合、蛍光画像であってもよい。
【0021】
容器搬送装置23は、上部ケーシング12の前面からみて恒温室15の中央に配置される。この容器搬送装置23は、ストッカー21、観察ユニット22の試料台31および搬送台24との間で培養容器19の受け渡しを行う。
【0022】
図3に示すように、容器搬送装置23は、多関節アームを有する垂直ロボット38と、回転ステージ39と、ミニステージ36と、アーム部37とを有している。回転ステージ39は、垂直ロボット38の先端部に回転軸35aを介して水平方向に180°回転可能に取り付けられている。そのため、回転ステージ39は、ストッカー21、試料台31および搬送台24に対して、アーム部37をそれぞれ対向させることができる。
【0023】
また、ミニステージ36は、回転ステージ39に対して水平方向に摺動可能に取り付けられている。ミニステージ36には培養容器19を把持するアーム部37が取り付けられている。
【0024】
次に、図2に示す下部ケーシング13の構成の概要を説明する。下部ケーシング13の内部には、観察ユニット22の本体部分33や、インキュベータ11の制御装置41が収納されている。
【0025】
制御装置41は、図1に示す通り、温度調整装置15a、湿度調整装置15b、観察ユニット22および容器搬送装置23とそれぞれ接続されている。この制御装置41は、演算部(プロセッサ)42と、記憶部43とを備えており、所定のプログラムに従ってインキュベータ11の各部を統括的に制御する。
【0026】
一例として、制御装置41は、温度調整装置15aおよび湿度調整装置15bをそれぞれ制御して恒温室15内を所定の環境条件に維持する。また、制御装置41は、所定の観察スケジュールに基づいて、観察ユニット22および容器搬送装置23を制御して、培養容器19の観察シーケンスを自動的に実行する。
【0027】
また、制御装置41は、演算部42に、撮像装置34が撮像したタイムラプス画像TPの画像解析を実行させる。この演算部42によって実行される画像解析には、例えば、タイムラプス画像TPの基準画像PSから細胞の培養領域に形成されたスクラッチ領域を基準領域RSとして設定し、設定した基準領域内における細胞の細胞領域の面積を、タイムラプス画像TPからそれぞれ算出する処理が含まれる。演算部42は、画像解析装置の一例である。
【0028】
ここで図4を参照し、スクラッチ領域について説明する。図4は、本実施形態に係るスクラッチ領域の一例を示す図である。図4では、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pの一例として画像P1が示されている。画像P1には、細胞の培養領域として、培養領域R11が示されている。培養領域R11は、培養領域R11-1と培養領域R11-2とからなり、培養領域R11-1と培養領域R11-2との間にはスクラッチ領域R12が形成されている。
【0029】
スクラッチ領域は、例えば、100パーセントコンフルエントの状態において、培養容器19において細胞の培養領域が棒状の部材などを用いて引っ掻かれることによって形成される細胞の無い領域である。換言すれば、スクラッチ領域は、培養領域に形成される間隙である。スクラッチ領域は、細胞の培養領域が引っ掻かれることによって形成される創傷パターンともいえる。
【0030】
ここでスクラッチ領域は、観察者(例、ユーザ)によって例えばピペットチップなどを用いて細胞の培養領域が引っ掻かれて形成される。スクラッチ領域の形状は特に限定されないが、本実施形態では、一例として、スクラッチ領域の形状は、図4に示すスクラッチ領域R12のように帯状の形状である。
スクラッチ領域は、細胞が遊走や増殖に伴い、時間が経過するにつれて細胞によって徐々に埋められてゆく。スクラッチ領域が細胞によって埋められることを、細胞によって浸潤されるともいう。
【0031】
次に、図1に戻ってインキュベータ11の説明を続ける。
タイムラプス観察において、撮像装置34は、上記スクラッチ領域の位置がタイムラプス画像TPにおいて共通の位置となるように撮像する。撮像装置34は、例えば、培養容器であるウェルプレートのマーカー(アライメントマーク)で位置合わせを行う。撮像装置34は、スクラッチ領域の位置が最初の位置からずれた場合、制御装置41によって試料台31を水平方向に移動させて位置の補正を行う。
【0032】
表示部44は、各種の画像を含む情報を表示する。例えば、表示部44は、演算部42による画像解析処理の結果を表示する。表示部44は、ディスプレイを備えている。
操作部45は、タッチパネル、マウス、又はキーボードなどを備えている。なお、操作部45がタッチパネルである場合、操作部45と表示部44とは一体となって構成されてよい。また、操作部45と表示部44とは、上部ケーシング12または下部ケーシング13に備えられたタッチパネルとして構成してもよい。
また、観察者は、この操作部45を操作することにより、恒温室15の環境条件を設定する。
【0033】
[観察動作の例]
次に、図5のフローチャート図を参照しつつ、インキュベータ11での観察動作の一例を説明する。
図5は、本実施形態のインキュベータ11での観察動作の一例を示す図である。同図は、恒温室15内に搬入された培養容器19を、登録された観察スケジュールに従ってタイムラプス観察する動作例を示している。ここで培養容器19における各ウェル内には、該ウェルの細胞の培養領域にスクラッチ領域が観察者によってそれぞれ予め形成されている。以下の説明においては、スクラッチ領域が形成された培養容器19において細胞を観察し分析する手法をスクラッチアッセイともいう。
【0034】
ステップS101:演算部42は、記憶部43の管理データの観察スケジュールと現在日時とを比較して、観察対象の培養容器19の観察開始時間が到来したか否かを判定する。観察開始時間となった場合(ステップS101:YES)、演算部42はS102に処理を移行させる。一方、培養容器19の観察時間ではない場合(ステップS101:NO)、演算部42は次の観察スケジュールの時刻まで待機する。
【0035】
ステップS102:演算部42は、観察スケジュールに対応する観察対象の培養容器19の搬送を容器搬送装置23に指示する。そして、容器搬送装置23は、指示された培養容器19をストッカー21から搬出して観察ユニット22の試料台31に載置する。なお、培養容器19が試料台31に載置された段階で、スタンドアーム32に内蔵されたバードビューカメラ(不図示)によって培養容器19の全体観察画像が撮像される。
【0036】
ステップS103:演算部42は、観察ユニット22に対して細胞の顕微鏡画像(例、位相差画像)の撮像を指示する。観察ユニット22は、LED光源35を点灯させて培養容器19を照明するとともに、撮像装置34を駆動させて培養容器19内の細胞の顕微鏡画像を撮像する。
【0037】
このとき、撮像装置34は、記憶部43に記憶されている管理データに基づいて、観察者の指定した撮像条件(対物レンズの倍率、容器内の観察地点)に基づいて顕微鏡画像を撮像する。例えば、培養容器19内の複数のポイントを観察する場合、観察ユニット22は、試料台31の駆動によって培養容器19の位置を逐次調整し、各々のポイントでそれぞれ顕微鏡画像を撮像する。なお、S103で取得された顕微鏡画像のデータは、制御装置41に読み込まれるとともに、演算部42の制御によって記憶部43に記録される。
【0038】
ステップS104:演算部42は、観察スケジュールの終了後に培養容器19の搬送を容器搬送装置23に指示する。そして、容器搬送装置23は、指示された培養容器19を観察ユニット22の試料台31からストッカー21の所定の収納位置に搬送する。その後、演算部42は、観察シーケンスを終了してS101に処理を戻す。
【0039】
上述した手順により、インキュベータ11によって観察された時系列の画像データが、タイムラプス画像TPとして記憶部43に記憶される。以下の説明において、タイムラプス画像TPを得ることをタイムラプス撮像ともいう。
【0040】
[画像解析処理]
次に図6から図9を参照して、演算部42の構成、及び演算部42による画像解析処理について説明する。
図6は、本実施形態の演算部42の機能構成の一例を示す図である。演算部42は、画像取得部(取得部)420と、画像処理部421と、基準画像選択部422と、細胞領域判定部423と、スクラッチ領域抽出部424と、領域設定部425と、算出部426と、表示制御部(制御部)427とを備える。
演算部42は、一例として、CPU(Central Processing Unit)により実現され、画像取得部420と、画像処理部421と、基準画像選択部422と、細胞領域判定部423と、スクラッチ領域抽出部424と、領域設定部425と、算出部426と、表示制御部427とはそれぞれ、CPUがROM(Read Only Memory)からプログラムを読み込んで処理を実行することにより実現される。
【0041】
画像取得部420は、撮像装置34が撮像したタイムラプス画像TPを取得する。ここで画像取得部420は、記憶部43からタイムラプス画像TPを取得する。
画像処理部421は、タイムラプス画像TPに対して各種の画像処理(例、ノイズ除去処理など)を実行する。
【0042】
基準画像選択部422は、タイムラプス画像TPのなかから所定の基準画像PSを選択し、記憶部43に基準画像PSを記憶する。ここで基準画像PSとは、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pのうち、スクラッチ領域を設定するために用いられる画像である。なお、基準画像PSの選択は、後述するが、基準画像選択部422による自動選択でもよいし、観察者による選択でもよい。
【0043】
細胞領域判定部423は、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pにおける細胞の細胞領域を判定する。細胞領域とは、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pにおいて細胞が撮像されている領域である。細胞領域には、複数の細胞からなる細胞群の画像、または1個の細胞の画像が含まれる。
スクラッチ領域抽出部424は、基準画像PSからスクラッチ領域を抽出する。
【0044】
領域設定部425は、基準画像PSからスクラッチ領域を基準領域RSとして設定し、記憶部43に基準領域RSを記憶する。基準領域RSとは、スクラッチ領域内における細胞領域の面積を算出するための基準となる領域である。
算出部426は、基準領域RS内における細胞の細胞領域の面積を、タイムラプス画像TPからそれぞれ算出する。そして、算出部426は、算出した基準領域RS内における細胞の細胞領域の面積(解析情報)を、算出に用いたタイムラプス画像TPの各画像と関連付けて記憶部43に記憶する。
【0045】
表示制御部427は、表示部44の画面表示を制御する。ここで例えば、表示制御部427は、算出部426によって算出された細胞領域の面積の時系列の変化を解析情報(解析データ)として表示部44に出力して表示させる。
【0046】
次に図7を参照し、演算部42の画像解析処理について説明する。図7は、本実施形態に係る画像解析処理の一例を示す図である。図7に示す画像解析処理は、一例として、図5において説明したような観察スケジュールにしたがってインキュベータ11によって観察動作が実行された後(例、観察動作の終了後、観察動作中など)に実行される。
【0047】
ステップS200:画像取得部420は、撮像装置34が撮像したスクラッチ領域を含む培養容器19のタイムラプス画像TPを取得する。ここで画像取得部420は、記憶部43からタイムラプス画像TPを取得する。画像取得部420は、取得したタイムラプス画像TPを基準画像選択部422に供給する。
【0048】
本実施形態では、画像取得部420が取得するタイムラプス画像TPは、一例として、観察スケジュールが示す観察時間毎に撮像された複数の画像である。例えば、画像取得部420は、タイムラプス画像TPを観察が終了した後に一度に取得する。なお、画像取得部420は、観察スケジュールが示す観察時間に細胞の画像が撮像される度に、撮像された画像をタイムラプス画像TPとして取得してもよい。
また、画像取得部420は、記憶部43の代わりに撮像装置34からタイムラプス画像TPを直接取得してもよい。
【0049】
ステップS202:画像処理部421は、画像取得部420が取得したタイムラプス画像TPに対してフィルタリング処理を実行する。画像処理部421は、フィルタリング処理によってタイムラプス画像TPをぼかしてタイムラプス画像TPに含まれる局所の輝度変化量を減少させる。
画像処理部421は、一例として平均値フィルターを用いてフィルタリング処理を実行する。平均値フィルターでは、処理対象の画素の輝度値とその近傍の画素の輝度値との平均値が、処理対象の画素の輝度値とされる。ここで処理対象の画素は、画像に含まれる全ての画素である。
【0050】
ステップS204:画像処理部421は、差分画像を生成する。ここで画像処理部421は、画像取得部420が取得したタイムラプス画像TPに含まれる画像Pと、この画像にフィルタリング処理を実行して得られる画像との画素値の画素毎の差の絶対値を差分画像の画素値として算出する。
【0051】
ステップS206:画像処理部421は、閾値処理を実行する。画像処理部421は、閾一例として、二値化処理によって閾値処理を実行する。画像処理部421は、生成した差分画像の各画素について、画素値が所定の閾値以上の画素に二値のうち一方の値を対応させ、画素値が所定の閾値以下である画素に二値のうち他方の値を対応させた画像を生成する。
図7の画像解析処理の以下のステップの説明においては、ステップS202、ステップS204、及びステップ206において説明した画像処理が施された画像を、改めてタイムラプス画像TPという。
【0052】
ステップS208:細胞領域判定部423は、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pにおける細胞領域を判定する。ここで細胞領域判定部423は、一例としてモルフォロジー処理を用いて細胞領域を判定する。細胞領域判定部423は、上述のステップS207の閾値処理が実行された所定の閾値以上の画素について、境界を滑らかにすることによって細胞領域を判定する。なお、画像Pにおける細胞領域を判定することは、画像Pにおける細胞領域を抽出するともいう。
【0053】
なお、画像処理部421と細胞領域判定部423によって細胞領域を判定する手法は例に示したに限らない。画像処理部421と細胞領域判定部423は、機械学習やパターンマッチングなどを用いて細胞領域を判定してもよい。
細胞領域判定部423は、判定した細胞領域を示す細胞領域情報をスクラッチ領域抽出部424と、算出部426とに供給する。
【0054】
ステップS210:スクラッチ領域抽出部424は、細胞領域判定部423によって得られえた基準画像PSにおける細胞領域に対して反転処理を実行する。反転処理において、スクラッチ領域抽出部424は、基準画像PSの各画素について二値化された輝度値を反転させる。
【0055】
ここで基準画像PSは、基準画像選択部422によってタイムラプス画像TPのなかから自動的に選択される。基準画像選択部422は、一例として、タイムラプス画像TPのなかから撮像時刻が最も早い画像を選択する。また、例えば、基準画像選択部422は、タイムラプス画像TPのなかから上記スクラッチ領域が形成された後の画像P、又はタイムラプス画像TPのなかから上記スクラッチ領域が形成され、該スクラッチ領域に細胞が遊走されていない状態の画像Pを選択する。基準画像選択部422は、選択された基準画像PSを示す情報である基準画像情報をスクラッチ領域抽出部424に供給する。スクラッチ領域抽出部424は、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pのうち、基準画像選択部422から供給される基準画像情報が示す画像Pを基準画像PSとして用いる。
【0056】
ステップS212:スクラッチ領域抽出部424は、ステップS210の結果をスクラッチ領域とする。スクラッチ領域抽出部424は、細胞領域が抽出された画像を反転処理によって反転された輝度値に基づいて、基準画像PSに含まれる全体の領域のうち、細胞領域判定部423から供給される細胞領域情報が示す細胞領域以外の領域をスクラッチ領域として抽出する。つまり、スクラッチ領域抽出部424は、基準画像PSの輝度値に基づいて抽出された細胞領域を反転することによってスクラッチ領域と認識する。
スクラッチ領域抽出部424は、抽出したスクラッチ領域を示す情報であるスクラッチ領域情報を領域設定部425に供給する。
【0057】
ステップS214:領域設定部425は、スクラッチ領域抽出部424によって得られたスクラッチ領域を基準画像PSから抽出された基準領域RSとして設定する。基準領域RSを設定するとは、細胞領域とスクラッチ領域をそれぞれの画素として持つ画像(例、タイムラプス画像TP)において、基準画像PSにおけるスクラッチ領域の画素値の領域を基準領域RSとすることである。
【0058】
本実施形態では、基準画像PSは、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pのうち撮像時刻が最も早い画像であるから、領域設定部425は、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pのうち撮像時刻が最も早い画像から抽出したスクラッチ領域を、基準領域RSとする。
領域設定部425は、基準領域RSとタイムラプス画像TPから得られた細胞領域を算出部426に供給する。
【0059】
上述したように、領域設定部425は、タイムラプス画像TPの基準画像PSから細胞の培養領域に形成されたスクラッチ領域を基準領域RSとして設定する。ここで領域設定部425は、スクラッチ領域抽出部424が抽出したスクラッチ領域を基準領域RSとして設定する。
【0060】
ステップS216:算出部426は、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pそれぞれにおける細胞領域について、基準領域RSに含まれる細胞領域を判定する。ここで算出部426は、領域設定部425から供給される基準領域RSと、細胞領域判定部423から供給される細胞領域情報が示す細胞領域とに基づいて判定を行う。算出部426は、基準領域RSと、細胞領域に共通する領域を、基準領域RSに含まれる細胞領域として判定する。
基準領域RSに含まれると判定された細胞領域は、細胞の遊走によってスクラッチ領域を浸潤した細胞に対応する。
【0061】
ここで図8を参照し、細胞に浸潤されたスクラッチ領域(基準領域RS)をについて説明する。図8は、本実施形態に係る細胞に浸潤されたスクラッチ領域の一例を示す図である。画像P1-1から画像P1-5は、間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell:MSC)が1時間毎に2日間撮影されたタイムラプス画像から抜粋された画像である。画像P1-1から画像P1-5は、左から右へ撮像時刻の順に並べられている。
【0062】
画像P1-1は、撮像時刻が最も早く、スクラッチ領域が形成された直後(例、培養開始から数分以内など)に撮像された画像であり、スクラッチ領域は細胞によって浸潤されていない。画像P1-2から画像P1-5へと時間が経過するにつれてスクラッチ領域に細胞が遊走し、スクラッチ領域が浸潤されている面積(この場合、スクラッチ領域における細胞領域の面積)が増加している様子がわかる。
【0063】
なお、算出部426は、スクラッチ領域において「飛び地」となっている細胞領域を含めて、基準領域RSに含まれる細胞領域を判定してよい。ここで「飛び地」となっている細胞領域とは、スクラッチ領域に含まれる細胞領域であって、スクラッチ領域に含まれていない細胞領域と接していない領域である。換言すれば、「飛び地」となっている細胞領域とは、スクラッチ領域に含まれる細胞領域であって、スクラッチ領域に含まれていない細胞領域とは連結していない領域である。つまり、算出部426は、スクラッチ領域に含まれる細胞領域であって、スクラッチ領域に含まれていない細胞領域とは連結していない領域を含めて、基準領域RSに含まれる細胞領域を判定してよい。
【0064】
図7に戻って画像解析処理の説明を続ける。
ステップS218:算出部426は、基準領域RS内における細胞領域の面積を、タイムラプス画像TPからそれぞれ算出する。ここで算出部426は、ステップS216において判定した基準領域RSに含まれる細胞領域の画素の数を計測することによって基準領域RS内における細胞領域の面積を算出する。算出部426は、算出した基準領域RS内における細胞領域の面積を表示制御部427に供給する。
【0065】
ここで上述したように基準領域RS内における細胞領域は、算出部426によって、基準領域RSにおいて、基準領域RSと、細胞領域情報が示す細胞領域とに共通して含まれる領域として判定される。つまり、基準領域RS内における細胞領域は、画像Pにおける予め判定された細胞領域に基づいて判定される。したがって、算出部426は、基準領域RS内における細胞領域の面積を、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pにおける細胞領域に基づいて算出する。
【0066】
ステップS220:表示制御部427は、算出部426によって算出された基準領域RS内における細胞領域の面積の時系列の変化を解析情報として表示部44に出力して表示させる。
以上で、演算部42は、画像解析処理を終了する。
【0067】
ここで図9を参照し、基準領域RS内における細胞領域の面積の時系列の変化について説明する。図9は、本実施形態に係る基準領域RS内における細胞領域の面積の時系列の変化の一例を示す図である。図9に示すグラフでは、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pについて、基準領域RS内における細胞領域の面積が撮像時刻に対してプロットされている。図9に示すグラフから撮像時刻の経過とともに基準領域RS内における細胞領域の面積は増加する傾向にあることがわかる。基準領域RS内における細胞領域の面積の時系列の変化は、例えば、細胞の遊走能の定量的な評価に用いられる。
【0068】
なお、表示制御部427は、基準領域RS内における細胞領域の面積の時系列の変化に加えて、上述の図8に示したように、画像Pにおいて基準領域RS内における細胞領域に対応する画素に所定の色を設定して、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pを表示部44に表示させてもよい。ここで所定の色とは、例えば、緑色や黄緑色など、所定の色が設定されていない画素と視覚的に区別がつきやすい色であることが好ましい。表示制御部427が、細胞領域に対応する画素に所定の色を設定して画像Pを表示部44に表示させる場合、算出部426は、タイムラプス画像TPと、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pについて基準領域RS内における細胞領域を示す情報とを表示制御部427に供給する。
【0069】
なお、本実施形態では、基準領域RS内における細胞領域は、基準領域RSと、細胞領域情報が示す細胞領域とに共通して含まれる領域として判定される場合の一例について説明した、つまり、基準領域RS内における細胞領域は、画像Pにおける予め判定された細胞領域に基づいて判定される場合の一例について説明したが、これに限らない。画像Pにおいて細胞領域が予め判定されずに、基準領域RS内において細胞領域が直接に判定されてもよい。
基準領域RS内において細胞領域が直接に判定される場合、例えば、細胞領域判定部423は、基準領域RS内において細胞領域を判定する。つまり、細胞領域判定部は、スクラッチ領域抽出部424が抽出したスクラッチ領域に基づいて細胞領域を判定してもよい。
【0070】
なお、本実施形態では、基準領域RS内における細胞領域の面積は、細胞領域に基づいて算出される場合の一例について説明したが、これに限らない。基準領域RS内における細胞領域の面積は、スクラッチ領域に基づいて算出されてもよい。
基準領域RS内における細胞領域の面積がスクラッチ領域に基づいて算出される場合、例えば、スクラッチ領域抽出部424は、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pそれぞれについてスクラッチ領域を抽出する。ここでスクラッチ領域は、例えば、機械学習による画像認識によって抽出される。算出部426は、ある撮像時刻に撮像された画像Pから抽出されるスクラッチ領域の面積と、基準画像PSから抽出されるスクラッチ領域の面積との差に基づいて、ある撮像時刻に撮像された画像Pについて基準領域RS内における細胞領域の面積を算出する。
【0071】
なお、本実施形態では、スクラッチ領域抽出部424が基準画像PSからスクラッチ領域を抽出し、領域設定部425は、スクラッチ領域抽出部424が抽出したスクラッチ領域を基準領域RSとして設定する場合の一例について説明したが、これに限らない。スクラッチ領域は、観察者によって指定されてもよい。
【0072】
スクラッチ領域が観察者によって指定される場合、演算部42は、例えば、操作情報取得部を備える。この操作情報取得部は、基準画像PSにおいて観察者によって指定されたスクラッチ領域を示す操作情報を取得する。ここで観察者は、操作部45を介してスクラッチ領域を指定する。観察者は、例えば、表示部44に表示される基準画像PSにマウスやタッチペンなどを用いて線を描くことによってスクラッチ領域を指定する。観察者は、表示部44に表示される基準画像PSにおいて、多角形などの形状を指定するための複数の座標を操作部45から入力することによってスクラッチ領域を指定してもよい。領域設定部425は、操作情報取得部が受け付けた操作情報が示すスクラッチ領域を基準領域RSとして設定する。
【0073】
なお、本実施形態では、基準画像PSとして、タイムラプス画像TPのなかから撮像時刻が最も早い画像が選択される場合の一例について説明したが、これに限らない。基準画像PSは、スクラッチ領域が形成された後、スクラッチ領域に細胞が遊走していない時期に撮像された画像であれば、撮像時刻が最も早い画像以外の画像が選択されてもよい。例えば、基準画像選択部422は、基準画像PSとして、スクラッチ領域に細胞が遊走していなければ撮像時刻が2番目又は3番目などに早い画像を選択してもよい。
【0074】
以上に説明したように、本実施形態に係る画像解析装置(本実施形態において演算部42を備える装置)は、領域設定部425と、算出部426とを備える。領域設定部425は、タイムラプス画像TPの基準画像PSから細胞の培養領域に形成されたスクラッチ領域を基準領域RSとして設定する。算出部426は、基準領域RS内における細胞の細胞領域の面積を、タイムラプス画像TPからそれぞれ算出する。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、細胞によって浸潤されるスクラッチ領域における細胞領域の面積の時系列の変化(例、増減)を算出できるため、細胞の遊走能を定量的に評価できる。
【0075】
また、本実施形態に係る画像解析装置は、制御部(本実施形態において表示制御部427)を備える。制御部(本実施形態において表示制御部427)は、算出部426によって算出された基準領域RS内における細胞の細胞領域の面積の時系列の変化を表示装置(本実施形態において表示部44)に表示させる。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、スクラッチ領域内における細胞領域の面積の時系列の変化を表示できるため、細胞の遊走能を可視化できる。
【0076】
また、本実施形態に係る画像解析装置では、算出部426は、基準領域RS内に占める細胞領域の面積をタイムラプス画像TPに含まれる画像Pにおける細胞領域に基づいて算出する。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、スクラッチ領域における細胞領域の面積を細胞領域に基づいて算出できるため、スクラッチ領域に基づいてスクラッチ領域における細胞領域の面積が算出される場合に比べて簡易な解析によって細胞の遊走能を定量的に評価できる。クラッチ領域に基づいてスクラッチ領域における細胞領域の面積が算出される場合、スクラッチ領域は、例えば、機械学習に基づいて判定される。上述したように本実施形態に係る画像解析装置では、細胞領域はエッジ検出によって判定されるため、機械学習を用いてスクラッチ領域を抽出する場合に比べて解析が簡易である。
【0077】
また、本実施形態に係る画像解析装置では、細胞領域判定部423を備える。細胞領域判定部423は、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pにおける細胞の細胞領域を判定する。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pにおける細胞の細胞領域を判定できるため、細胞の遊走能を定量的に評価する解析に加えて細胞について各種の解析を実行できる。ここで細胞についての各種の解析には、例えば、細胞のトラッキングや、細胞の密度に基づく細胞の成熟度合いの解析や、細胞の画像から抽出される特徴量に基づく解析などが含まれる。
【0078】
また、本実施形態に係る画像解析装置では、スクラッチ領域抽出部424を備える。スクラッチ領域抽出部424は、基準画像PSの輝度値に基づいて基準画像PSからスクラッチ領域を抽出する。領域設定部425は、スクラッチ領域抽出部424が抽出したスクラッチ領域を基準領域RSとして設定する。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、基準画像から抽出されたスクラッチ領域が基準領域RSとして設定されるため、ユーザが基準領域を指定する手間を省くことができる。
【0079】
また、本実施形態に係る画像解析装置では、操作情報取得部を備えてよい。操作情報取得部は、基準画像PSにおいてユーザ(本実施形態において観察者)によって指定されたスクラッチ領域を示す操作情報を取得する。領域設定部425は、操作情報取得部が受け付けた操作情報が示すスクラッチ領域を基準領域RSとして設定する。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、ユーザが基準領域を設定できるため、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pの画像解析処理においてスクラッチ領域を抽出する精度が十分に高くない場合であっても、ユーザが設定した基準領域に基づいて細胞の遊走能を定量的に評価できる。
【0080】
また、本実施形態に係る画像解析装置では、基準画像選択部422を備える。基準画像選択部422は、タイムラプス画像TPのなかから基準画像PSを選択する。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、タイムラプス画像TPのなかから基準画像PSが選択できるため、ユーザが基準画像PSを選択する手間を省くことができる。
【0081】
また、本実施形態に係る細胞培養観察装置(本実施形態においてインキュベータ11)では、上述した画像解析装置と、培養装置(本実施形態において恒温室15)と、顕微鏡(本実施形態において観察ユニット22)とを備える。培養装置(本実施形態において恒温室15)は、培養容器に収納された細胞を培養する。顕微鏡(本実施形態において観察ユニット22)は、タイムラプス画像TPを撮像する。
この構成により、本実施形態に係る細胞培養観察装置(本実施形態においてインキュベータ11)では、細胞によって浸潤されるスクラッチ領域の面積の時系列の変化を算出できるため、細胞の遊走能を定量的に評価できる。
【0082】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら第2の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、画像解析装置は、タイムラプス画像においてスクラッチ領域における細胞領域の面積を算出する場合について説明をした。本実施形態では、画像解析装置が、タイムラプス画像においてスクラッチ領域における細胞領域の面積の割合を算出する場合について説明をする。以下では、スクラッチ領域における細胞領域の面積の割合をスクラッチ領域閉鎖率ともいう。
本実施形態に係る演算部を演算部42aという。本実施形態における画像解析装置は、演算部42aを備える装置である。
【0083】
図10は、本実施形態の演算部42aの機能構成の一例を示す図である。演算部42aは、画像取得部420と、画像処理部421と、基準画像選択部422と、細胞領域判定部423と、スクラッチ領域抽出部424と、領域設定部425と、算出部426と、表示制御部427と、基準領域面積算出部428aと、面積割合算出部429aとを備える。
本実施形態に係る演算部42a(図10)と第1の実施形態に係る演算部42(図6)とを比較すると、基準領域面積算出部428aと、面積割合算出部429aとが異なる。ここで、他の構成要素(画像取得部420、画像処理部421、基準画像選択部422、細胞領域判定部423、スクラッチ領域抽出部424、領域設定部425、算出部426、及び表示制御部427)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略し、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0084】
基準領域面積算出部428aは、基準領域RSの面積を算出する。
面積割合算出部429aは、基準領域RSの面積と、基準領域RSにおける細胞領域の面積とに基づいて基準領域RS内に占める細胞領域の面積の割合を算出する。つまり、面積割合算出部429aは、スクラッチ領域閉鎖率を算出する。
【0085】
次に図11を参照し、演算部42aの画像解析処理について説明する。図11は、本実施形態に係る画像解析処理の一例を示す図である。
なお、ステップS300、ステップS302、ステップS304、ステップS306、ステップS308、ステップS310、ステップS312、ステップS314、ステップS316、及びステップS318の各処理は、図7におけるステップS200、ステップS202、ステップS204、ステップS206、ステップS208、ステップS210、ステップS212、ステップS214、ステップS216、及びステップS218の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
ステップS320:基準領域面積算出部428aは、基準画像PSに基づいて基準領域RSの面積を算出する。基準画像PSは、例えば、タイムラプス画像TPのうち撮像時刻が最も早い画像Pであるため、換言すれば、基準領域面積算出部428aは、タイムラプス画像TPのうち撮像時刻が最も早い画像Pにおけるスクラッチ領域の面積を算出する。
【0087】
ここで基準領域面積算出部428aは、基準画像PSにおける基準領域RSの画素の数を計測することによって基準領域RSの面積を算出する。基準領域面積算出部428aは、一例として、スクラッチ領域抽出部424が抽出したスクラッチ領域に基づいて基準画像PSにおけるスクラッチ領域の面積を算出する。なお、基準領域面積算出部428aは、細胞領域判定部423が判定した細胞領域に基づいて、判定された細胞領域以外の領域をスクラッチ領域として基準領域RSの面積を算出してもよい。
基準領域面積算出部428aは、算出した基準領域RSの面積を面積割合算出部429aに供給する。
【0088】
ここで図12を参照し、スクラッチ領域の面積について説明する。図12は、本実施形態に係るスクラッチ領域の面積の一例を示す図である。図12では、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pの一例として画像P2が示されている。画像P2は、スクラッチ領域が形成されてから所定の時間が経過して撮像された画像である。
画像P2には、細胞の培養領域として、培養領域R21が示されている。培養領域R21は、培養領域R21-1と培養領域R21-2とからなり、培養領域R21-1と培養領域R21-2との間にはスクラッチ領域R22が形成されている。図12に示す通り、スクラッチ領域R22の形状は、スクラッチ領域が左右の細胞領域の細胞によって浸潤されて帯状の形状から変形を受けている。
【0089】
図11に戻って画像解析処理の説明を続ける。
ステップS322:面積割合算出部429aは、基準領域面積算出部428aが算出した基準領域RSの面積と、算出部426が算出した基準領域RSにおける細胞領域の面積とに基づいて基準領域RS内に占める細胞領域の面積の割合を算出する。ここで面積割合算出部429aは、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pそれぞれについて基準領域RS内に占める細胞領域の面積の割合を算出する。なお、細胞領域の面積は、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pそれぞれについて算出部426から面積割合算出部429aに供給される。
面積割合算出部429aは、算出した面積の割合を解析情報として表示制御部427に供給する。
【0090】
ステップS324:表示制御部427は、面積割合算出部429aによって算出された基準領域RS内に占める細胞領域の面積の割合の時系列の変化を解析情報として表示部44に出力して表示させる。
以上で、演算部42は、画像解析処理を終了する。
【0091】
ここで図13を参照し、基準領域RS内における細胞領域の面積の割合の時系列の変化について説明する。図13は、本実施形態に係る基準領域RS内における細胞領域の面積の割合の時系列の変化の一例を示す図である。図13に示すグラフでは、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pについて、基準領域RS内における細胞領域の面積の割合が撮像時刻に対してプロットされている。図13に示すグラフから撮像時刻の経過とともに基準領域RS内における細胞領域の面積の割合は増加する傾向にあることがわかる。基準領域RS内における細胞領域の面積の割合の時系列の変化は、例えば、細胞の遊走能の定量的な評価に用いられる。
【0092】
以上に説明したように、本実施形態に係る画像解析装置(本実施形態において演算部42aを備える装置)は、基準領域面積算出部428aと、面積割合算出部429aとを備える。基準領域面積算出部428aは、基準領域RSの面積を算出する。面積割合算出部429aは、基準領域面積算出部428aが算出した基準領域RSの面積と、算出部426が算出した細胞領域の面積とに基づいて基準領域RS内に占める細胞領域の面積の割合を算出する。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、スクラッチ領域閉鎖率を算出できるため、スクラッチ領域閉鎖率に基づいて細胞の遊走能の定量的な評価ができる。
【0093】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら第3の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態や第2の実施形態では、画像解析装置が、タイムラプス画像においてスクラッチ領域における細胞領域の面積や面積の割合を算出する場合について説明をした。本実施形態では、画像解析装置が、スクラッチ領域における細胞領域の面積や面積の割合に基づいて細胞の遊走能を評価する場合について説明をする。
本実施形態に係る演算部を演算部42bという。本実施形態における画像解析装置は、演算部42bを備える装置である。
【0094】
図14は、本実施形態の演算部42bの機能構成の一例を示す図である。演算部42bは、画像取得部420と、画像処理部421と、基準画像選択部422と、細胞領域判定部423と、スクラッチ領域抽出部424と、領域設定部425と、算出部426と、表示制御部427と、基準領域面積算出部428aと、面積割合算出部429aと、遊走能評価部430bとを備える。
本実施形態に係る演算部42b(図14)と第2の実施形態に係る演算部42a(図10)とを比較すると、遊走能評価部430bが異なる。ここで、他の構成要素(画像取得部420、画像処理部421、基準画像選択部422、細胞領域判定部423、スクラッチ領域抽出部424、領域設定部425、算出部426、表示制御部427、基準領域面積算出部428a、及び面積割合算出部429a)が持つ機能は第1の実施形態及び第2の実施形態と同じである。第1の実施形態及び第2の実施形態と同じ機能の説明は省略し、第3の実施形態では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0095】
遊走能評価部430bは、基準領域RSにおける細胞領域の面積の時系列の変化、及びまたは面積の割合の時系列の変化に基づいて細胞の遊走能を評価する。
【0096】
次に図15を参照し、演算部42bの遊走能評価処理について説明する。図15は、本実施形態に係る遊走能評価処理の一例を示す図である。
なお、ステップS400、ステップS402、ステップS404、ステップS406、ステップS408、ステップS410、ステップS412、ステップS414、ステップS416、ステップS418、ステップS420、ステップS422の各処理は、図11におけるステップS300、ステップS302、ステップS304、ステップS306、ステップS308、ステップS310、ステップS312、ステップS314、ステップS316、ステップS318、ステップS320、及びステップS322の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
ステップS424:遊走能評価部430bは、算出部426によって算出された基準領域RSにおける細胞領域の面積の時系列の変化、及び/または面積割合算出部429aによって算出された面積の割合の時系列の変化に基づいて細胞の遊走能を評価する。遊走能評価部430bは、遊走能の評価結果を解析情報として表示制御部427に供給する。
【0098】
遊走能評価部430bは、例えば、基準領域RSにおける細胞領域の面積の時系列の変化に基づいて、タイムラプス画像TPの撮像が開始されてから所定の時間までに、基準領域RSにおける細胞領域の面積が所定の閾値以上となるか否かに基づいて遊走能を判定する。遊走能評価部430bは、所定の時間までに基準領域RSにおける細胞領域の面積が所定の閾値以上となると判定する場合、遊走能が高いと判定する。一方、所定の時間までに基準領域RSにおける細胞領域の面積が所定の閾値未満であると判定する場合、遊走能が低いと判定する。
【0099】
遊走能評価部430bは、基準領域RSにおける細胞領域の面積の割合の時系列の変化に基づいて、タイムラプス画像TPの撮像が開始されてから所定の時間までに、基準領域RSにおける細胞領域の面積の割合が所定の閾値以上となるか否かに基づいて、遊走能を判定してもよい。遊走能評価部430bは、所定の時間までに基準領域RSにおける細胞領域の面積の割合が所定の閾値以上となると判定する場合、遊走能が高いと判定する。一方、所定の時間までに基準領域RSにおける細胞領域の面積の割合が所定の閾値未満であると判定する場合、遊走能が低いと判定する。
【0100】
なお、遊走能評価部430bは、異なる種類の細胞が同一の条件において培養されてタイムラプス撮像によって撮像されたタイムラプス画像TPに基づいて、基準領域RSにおける細胞領域の面積、及びまたは面積の割合の時系列の変化を異なる種類の細胞間において比較することによって異なる種類の細胞について遊走能を評価してもよい。ここで異なる種類の細胞は、例えば、培養容器であるウェルプレートにおいて異なるウェルにおいてそれぞれ培養される。同一の条件とは、例えば、培養領域に形成される帯状のスクラッチ領域の幅を同じにすることである。
遊走能評価部430bは、例えば、所定の時間後に所定の割合以上のスクラッチ領域閉鎖率を示す細胞を遊走能が高いと判定する。ここで所定の時間とは、例えば、24時間である。
【0101】
ここで細胞の種類は、例えば、由来の違いや継代数の違いによる種類である。
由来の違いによる細胞の種類には、例えば、脂肪由来のMSCや骨髄由来のMSCがある。また、由来の違いによる細胞の種類には、例えば、ドナーによるロット差による種類がある。細胞は培養状態が良好であるほど遊走能が高くなるため、スクラッチ領域が浸潤される速度は速くなる。つまり、スクラッチ領域閉鎖率の時系列の変化が大きいほど、培養状態が良好であると考えられる。
【0102】
継代数の違いによる細胞の種類には、継代数が少ない若い細胞と、継代数が多い老化した細胞とがある。若い細胞の方が老化した細胞に比べて遊走能が高くなるため、スクラッチ領域が浸潤される速度は速くなる。つまり、スクラッチ領域閉鎖率の時系列の増加の割合が大きいほど、継代数が少ない若い細胞であると考えられる。
【0103】
遊走能評価部430bは、遊走能の評価結果に基づいて、培養状態が良好であるか否か、若い細胞であるか否かなどを判定して、遊走能の評価結果にそれらの判定結果を含めて表示制御部427に供給してもよい。
【0104】
ステップS426:表示制御部427は、遊走能評価部430bによって評価された遊走能の評価結果を解析情報として表示部44に出力して表示させる。ここで表示制御部427は、例えば、遊走能の評価結果をテキストとして表示部44に表示させる。このテキストは、遊走能が高いことを評価結果が示す場合、例えば「遊走能:高」などである。
以上で、演算部42は、遊走能評価処理を終了する。
【0105】
以上に説明したように、本実施形態に係る画像解析装置(本実施形態において演算部42bを備える装置)は、評価部(本実施形態において遊走能評価部430b)を備える。評価部(本実施形態において遊走能評価部430b)は、算出部426によって算出された細胞領域の面積の時系列の変化に基づいて細胞の遊走能を評価する。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、スクラッチ領域における細胞領域の面積の時系列の変化に基づいて細胞の遊走能を評価できるため、細胞の遊走能の定量的な評価を行うことができる。
【0106】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照しながら第4の実施形態について詳しく説明する。
本実施形態では、画像解析装置が、上記スクラッチ領域における細胞領域の面積や面積の割合に基づいてグラフィカルユーザインタフェース(Graphical User Interface:GUI)を用いて細胞の遊走能を可視化する場合について説明をする。
本実施形態に係る演算部を演算部42cという。本実施形態における画像解析装置は、演算部42cを備える装置である。なお、演算部42cと、上記第1の実施形態の演算部42(図6)、第2の実施形態の演算部42a(図10)、及び第3の実施形態の演算部42b(図14)とでは、表示制御部427の機能が異なる。ここで他の構成要素(画像取得部420、画像処理部421、基準画像選択部422、細胞領域判定部423、スクラッチ領域抽出部424、領域設定部425、算出部426、表示制御部427、基準領域面積算出部428a、面積割合算出部429a、及び遊走能評価部430b)が持つ機能は第1の実施形態、第2の実施形態、及び第3の実施形態と同じである。演算部42cの機能構成の説明は省略し、第4の実施形態では、表示制御部427が表示部44に表示させるGUIの画面を中心に説明する。
【0107】
以下では、図16から図18を参照し、表示制御部427が表示部44に表示させるGUIの画面D1、画面D2、及び画面D3について説明する。なお、GUIの画面D1、画面D2、及び画面D3は、専用のアプリケーションを用いて表示部44に表示される、又はウェブブラウザを用いて表示部44に表示される。
図16は、本実施形態に係るGUIの画面D1の一例を示す図である。表示制御部427は、基準領域RSにおける細胞領域の面積に基づいて画面D1を表示させる。画面D1は、複数の表示欄として、画面D11と、画面D12と、テキストD13と、テキストD14と、表示窓D15と、テキストD16とを含んで構成される。
【0108】
画面D11には、基準画像PSが表示される。基準画像PSは、上述したとおりタイムラプス画像TPに含まれる画像Pのうち撮像時刻が最も早い画像であり、スクラッチ領域は細胞によって浸潤されていない。テキストD13は、画面D11に表示される基準画像PSの経過時間又は撮像時刻の時間情報を示す。
【0109】
画面D12には、例えば、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pのうち最新の撮像時刻において撮像された画像が表示される。つまり、表示制御部427は、画面D12にタイムラプス撮像によって撮像された画像を即時に表示させる。
【0110】
ここで表示制御部427は、画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域を示して画像Pを表示する。例えば、表示制御部427は、画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域に対応する画素に所定の色を設定して細胞領域を示す。表示制御部427は、タイムラプス撮像が行われ新たに画像Pが撮像される度に画面D12に表示する画像Pを更新する。
テキストD14は、画面D12に表示される画像Pの経過時間又は撮像時刻の時間情報を示す。表示窓D15は、画面D12に表示される画像Pにおける基準領域RSにおける細胞領域の面積の値を示す。
【0111】
テキストD16は、画面D1のタイトルを示す。図16に示す例では、画面D1は基準領域RSにおける細胞領域の面積に基づいて表示されるため、テキストD16は「面積の画像」と表示されている。
【0112】
なお、表示制御部427は、基準領域RSにおける細胞領域の面積の割合に基づいて画面D1を表示してもよい。この場合、表示制御部427は、画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域以外の領域を示して画像Pを表示する。例えば、表示制御部427は、画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域以外の領域に対応する画素に所定の色を設定して表示する。この場合、表示窓D15は、画面D12に表示される画像Pにおける基準領域RSにおける細胞領域の面積の割合(つまり、スクラッチ領域閉鎖率)を示す。
【0113】
なお、表示制御部427は、基準領域RSにおける細胞領域の面積と、基準領域RSにおける細胞領域の面積の割合との両方に基づいて画面D1を表示してもよい。この場合、表示制御部427は、画面D12に、画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域が示された画像と、画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域以外の領域が示された画像との両方を並べて表示する。
表示制御部427が画面D12に表示する画像の種類は、画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域が示された画像と、画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域以外の領域が示された画像とからユーザによって選択されてよい。
【0114】
図17は、本実施形態に係るGUIの画面D2の一例を示す図である。表示制御部427は、基準領域RSにおける細胞領域の面積に基づいて画面D2を表示させる。画面D2は、複数の表示欄として、画面D21と、画面D22と、画面D23と、バーD24と、バーD25と、ボタンD26とを含んで構成される。
【0115】
画面D21には、基準領域RS内における細胞領域の面積の時系列の変化を示すグラフが表示される。この画面D21に表示されるグラフは、例えば図9に示したようなグラフである。
【0116】
画面D22には、タイムラプス画像TPが動画として表示される。ここでタイムラプス画像TPに含まれる画像Pは、基準領域RSにおける細胞領域が示された画像として表示される。表示制御部427は、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pのうち画面D22に表示する画像を、時刻パラメータに基づいて選択する。時刻パラメータは、タイムラプス画像TPの撮像時刻と対応づけられている。時刻パラメータは、動画の再生が開始されると、再生速度に応じて時間とともに値が増加する。
【0117】
ここで画面D21に表示されるグラフには、バーD24が重ねて表示される。バーD24は、時刻パラメータが示す撮像時刻に応じた位置にグラフ上において表示される。一例として、バーD24は、画面D21に表示されるグラフの縦軸に平行な線分であって、線分の中点がグラフ上に乗るように表示される。
【0118】
画面D23には、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pが撮像時刻の順に左から右へと横に並べられて表示される。ここで画面D23に表示されるタイムラプス画像TPに含まれる画像Pは、基準領域RSにおける細胞領域が示された画像として表示される。画面D23には、バーD25が重ねて表示される。バーD25は、時刻パラメータが示す撮像時刻に応じた画像P上に重ねて表示される。
【0119】
観察者などのユーザが画面D21に表示されるグラフの部分を選択すると、時刻パラメータの値は、選択された部分に応じた撮像時刻に変更される。また、ユーザが画面D23に並べて表示される画像Pを選択すると、時刻パラメータの値は、選択された画像Pの撮像時刻に変更される。ユーザは、バーD24をマウスやタッチパネルによって画面D21に表示されるグラフ上で動かしてもよい。また、ユーザは、バーD25を画面D23に表示されるタイムラプス画像TP上において動かしてもよい。ユーザによるこれらの選択の操作は、操作部45のマウスやタッチパネルを介して実行される。
【0120】
時刻パラメータの値が変更されると、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pのうち画面D22に表示される画像は即時に変更される。また、時刻パラメータの値が変更されると、バーD24の画面D21に表示されるグラフ上の位置や、バーD25の画面D23に表示されるタイムラプス画像TP上の位置は即時に変更される。
【0121】
ボタンD26は、画面D22に表示されるタイムラプス画像TPの動画の再生及び逆再生の操作を行うためのボタンである。
【0122】
なお、表示制御部427は、基準領域RSにおける細胞領域の面積の代わりに、基準領域RSにおける細胞領域の面積の割合に基づいて画面D2を表示してもよい。この場合、画面D21には、基準領域RS内における細胞領域の面積の割合の時系列の変化を示すグラフが表示される。この画面D21に表示されるグラフは、例えば図13に示したようなグラフである。またこの場合、画面D22には、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pは、基準領域RSにおける細胞領域以外の領域が示されて動画として表示される。画面D23には、タイムラプス画像TPに含まれる画像Pが、基準領域RSにおける細胞領域以外の領域が示されて並べられて表示される。
【0123】
図18は、本実施形態に係るGUIの画面D3の一例を示す図である。表示制御部427は、基準領域RSにおける細胞領域の面積、及び面積の割合に基づいて画面D3を表示させる。画面D3は、複数の表示欄として、画面D31と、画面D32と、バーD33と、バーD34と、ボタンD35とを含んで構成される。
【0124】
画面D31には、基準領域RS内における細胞領域の面積の時系列の変化を示すグラフが表示される。この画面D31に表示されるグラフは、例えば図9に示したようなグラフである。
画面D32には、基準領域RS内における細胞領域の面積の割合の時系列の変化を示すグラフが表示される。この画面D32に表示されるグラフは、例えば図13に示したようなグラフである。
【0125】
バーD33、バーD34、及びボタンD35の機能は、図17のバーD24、及びボタンD26の機能と同様であるため説明を省略する。
なお、画面D32には、基準領域RS内における細胞領域の面積の割合の時系列の変化の代わりに、スクラッチ領域閉鎖率の時系列の変化を示すグラフが表示されてもよい。
【0126】
以上に説明したように、本実施形態に係る画像解析装置(本実施形態において演算部42c)は、制御部(本実施形態において表示制御部427)を備える。制御部(本実施形態において表示制御部427)は、算出部426が算出した画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域の面積の時系列の変化、及びまたは、面積割合算出部429aが算出した画像Pにおいて基準領域RSにおける細胞領域の面積の割合の時系列の変化を表示装置(本実施形態において表示部44)に表示させる。
この構成により、本実施形態に係る画像解析装置では、スクラッチ領域内における細胞領域の面積の時系列の変化を表示できるため、細胞の遊走能を可視化できる。
【0127】
なお、上述した各実施形態においては、画像解析装置がインキュベータ11に備えられる制御装置41の演算部42、演算部42a、演算部42b、または演算部42cとしてそれぞれ実現される場合の一例について説明したが、これに限らない。画像解析装置は、インキュベータ11とは別体であってもよい。画像解析装置がインキュベータ11と別体である場合、画像解析装置はタイムラプス画像TPを外部装置から取得して解析する。
【0128】
画像解析装置がタイムラプス画像TPを外部装置から取得して解析する場合、画像解析装置は、例えば、タイムラプス画像TPを解析するクラウドコンピューティングのサーバである。また、外部装置は、例えば、端末装置である。この場合、画像解析装置と外部装置とを備える情報処理システムが提供される。
そして、ユーザは、端末装置(ユーザの端末)においてウェブブラウザを起動し、該ウェブブラウザ上のGUIを操作することによってインターネットを介してタイムラプス画像TPを、識別情報(ユーザ又は端末の識別番号など)とともに、サーバである画像解析装置にアップロードする。画像解析装置は、アップロードされたタイムラプス画像TPに基づいて、上述した各実施形態の画像解析処理や、遊走能評価処理を実行する。画像解析装置は、それらの画像解析処理や、遊走能評価処理の解析結果(上記の解析情報)を、識別情報(ユーザ又は端末の識別番号など)とともに、端末装置に出力する。
【0129】
端末装置は、サーバである画像解析装置から出力されて受信した解析結果(上記の解析情報)をディスプレイ(例、表示部44)に表示する。端末装置は、画像解析装置の表示制御部427に制御されて解析結果を表示してもよいし、端末装置が表示制御部427と同様の機能を有する表示制御部を備えて、この表示制御部によって解析結果を表示させてもよい。例えば、端末装置は、上述の第4の実施形態の画面D1、画面D2、または画面D3を用いて解析結果を表示する。例えば、クラウドコンピューティングによりユーザの端末に解析情報を出力する情報処理システムは、サーバとして上記の画像解析装置を備え、サーバは、ネットワークを介して、細胞のタイムラプス画像TPを取得する取得部(画像取得部420)と、タイムラプス画像TPの基準画像PSから細胞の培養領域に形成されたスクラッチ領域を基準領域RSとして設定する領域設定部425と、基準領域RS内における細胞の細胞領域の面積を、タイムラプス画像TPからそれぞれ算出し、算出した面積をもとにユーザの端末におけるウェブブラウザに表示される上記解析情報を生成する算出部426と、該解析情報をユーザの端末に出力する制御部(例、表示制御部427)と、を備える。なお、サーバ(例、画像解析装置)は、上記の操作部45のようにユーザが情報を入力できる操作部(入力部)を備えていてもよい。
【0130】
なお、上述した実施形態における画像解析装置(一例として演算部42、演算部42a、演算部42b、または演算部42c)の一部、例えば、画像取得部420、画像処理部421、基準画像選択部422、細胞領域判定部423、スクラッチ領域抽出部424、領域設定部425、算出部426、表示制御部427、基準領域面積算出部428a、面積割合算出部429a、及び遊走能評価部430bをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、画像解析装置(一例として演算部42、演算部42a、演算部42b、または演算部42c)に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における画像解析装置(一例として演算部42、演算部42a、演算部42b、または演算部42c)の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。画像解析装置(一例として演算部42、演算部42a、演算部42b、または演算部42c)の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0131】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0132】
11…インキュベータ、42、42a、42b、42c…演算部、422…基準画像選択部、423…細胞領域判定部、424…スクラッチ領域抽出部、426…算出部、427…表示制御部、428a…基準領域面積算出部、429a…面積割合算出部、430b…遊走能評価部、TP…タイムラプス画像、P…画像、PS…基準画像、RS…基準領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18