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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】基板及び基板検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20240806BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240806BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20240806BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G01N21/85 B
G01N21/88 Z
B41J2/14 605
B41J2/01 451
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020035016
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021139645
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 佑
(72)【発明者】
【氏名】三輪 圭史
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2008/117651(JP,A1)
【文献】特開平10-288580(JP,A)
【文献】特開2014-008729(JP,A)
【文献】特開2018-094744(JP,A)
【文献】特開2008-111695(JP,A)
【文献】特開2005-225186(JP,A)
【文献】特開2006-145450(JP,A)
【文献】特開2003-025584(JP,A)
【文献】特開平8-118648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
B41J 2/00- 2/525
G01N 35/00-37/00
B01J 19/00-19/32
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路または凹部が設けられた第1の面を有する被接着基板と、
前記被接着基板に設けられる前記流体流路または前記凹部の平面視の形状に対応する形状を示す識別部が設けられる第2の面に、前記第1の面が接着される接着基板と、
を備え、
前記識別部は、
前記流体流路または凹部の平面視における外縁の形状より、平面視の外縁の形状の大きさが小さ、前記識別部の中に付着した異物の大きさの許容範囲を、前記識別部の外に付着した異物の大きさの許容範囲より緩和して検査ができる形状を有する基板。
【請求項2】
前記識別部は、
溝部である請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記識別部は、
凸部である請求項1または2に記載の基板。
【請求項4】
流体流路または凹部が設けられた第1の面を有する被接着基板と、
前記被接着基板に設けられる前記流体流路または前記凹部の平面視の形状に対応する形状を示す識別部が設けられる第2の面に、前記第1の面が接着される接着基板と、
を備え、
前記識別部は、
前記流体流路または前記凹部の形状に対応する形状に外接する複数の凹部であ、前記識別部の中に付着した異物の大きさの許容範囲を、前記識別部の外に付着した異物の大きさの許容範囲より緩和して検査ができる形状を有する基板。
【請求項5】
流体流路または凹部が設けられた第1の面を有する被接着基板と、
前記被接着基板に設けられる前記流体流路または前記凹部の平面視の形状に対応する形状を示す識別部が設けられる第2の面に、前記第1の面が接着される接着基板と、
を備え、
前記識別部は、
前記流体流路または前記凹部の形状に対応する形状に内接する複数の凹部であ、前記識別部の中に付着した異物の大きさの許容範囲を、前記識別部の外に付着した異物の大きさの許容範囲より緩和して検査ができる形状を有する基板。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基板と、
ノズルを有するノズル板と、
前記ノズル板に連通する液室と、
前記液室内の液体を加圧するアクチュエータと、
を備える液体吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させるキャリッジと、
記録媒体を前記主走査方向に対して垂直方向に搬送する搬送部と、
を備える液体吐出装置。
【請求項8】
制御部及び撮像部を備える基板検査装置の制御部が、
前記撮像部によって、被接着基板に設けられた流体流路に対応する位置に、前記流体流路に対応する形状を示す識別部を備える基板を撮像し、
撮像して得られた画像から識別部を抽出し、
前記画像から異物の位置及び大きさを抽出し、
前記異物が前記識別部の内部にあると判定し、かつ、前記異物の大きさが前記識別部の内部にある場合に許容される前記異物の大きさの許容最大値を示す閾値以下であると判定した場合、前記基板は良品であると判定する基板検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板及び基板検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を輸送する微細な流路を複数の基板を接合して構成する場合がある。例えば、インクジェットプリンタのヘッドのような液体吐出装置のヘッドにおいては、ノズルを備える圧力室の体積をピエゾ素子に電圧を印加して変えることにより、インクなどの液体を吸入、吐出を行う。この圧力室などの流体の流路は、幅が数十μm程度と微細である。
【0003】
この流路は、一方の基板に流路を形成し、この基板に他方の基板を接着剤によって接着して形成される。接着剤の層厚は数μmである。
【0004】
このように精度を要する基板の接着形成において、基板に異物が付着していると封止不良や部品の破壊の可能性がある。しかし、数ミクロンサイズの異物を、基板の損傷なしに取り除くことは困難であるため、異物が付着した基板は不良品として廃棄する他はない。従って、歩留まりが良くなかった。
【0005】
この点に関し、基板に流路以外の微細な凹部を設け、接着剤の凝集を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1。)。
【0006】
しかし、この技術によっても微小な異物が付着している場合には不良品として扱う他はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、複数の基板を接着して流路を形成する際に、不良品と判定されることが少ない基板が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、流体流路または凹部が設けられた第1の面を有する被接着基板と、前記被接着基板に設けられる前記流体流路または前記凹部の平面視の形状に対応する形状を示す識別部が設けられる第2の面に、前記第1の面が接着される接着基板と、を備え、前記識別部は、前記流体流路または凹部の平面視における外縁の形状より、平面視の外縁の形状の大きさが小さ、前記識別部の中に付着した異物の大きさの許容範囲を、前記識別部の外に付着した異物の大きさの許容範囲より緩和して検査ができる形状を有する基板を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の基板を接着して流路を形成する際に、不良品と判定されることが少ない基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ヘッドの外観斜視図である。
図2】ヘッドの長手方向に沿った縦断の部分拡大図である。
図3図2におけるヘッドのAA線断面図である。
図4】第1の実施形態の基板を示す図である。
図5】第2の実施形態の基板を示す図である。
図6】第3の実施形態の基板を示す図である。
図7】第4の実施形態の基板を示す図である。
図8】第5の実施形態の基板を示す図である。
図9】基板が良品か不良品かを検査する基板検査装置の構成を示す図である。
図10】基板検査装置の制御部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態の基板及び基板検査方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
本実施形態の基板及び基板検査方法は、複数の基板を接着して流体の流路を形成する場合に、特に好適である。流路の大きさや基板の厚さを問わない。また、本実施形態の基板及び基板検査方法は、複数の基板を接着する場合に、被接着基板に接着剤の逃げ場としての凹部を設ける場合にも好適である。この場合の凹部は基板を貫通していなくてもよい。以下、本実施形態の基板及び基板検査方法が適用される一例として、インクジェットプリンタなどの液体吐出装置の液体吐出ヘッド(以下、ヘッドという。)を例に説明する。
【0013】
[液体吐出ヘッド]
図1は、本発明の実施形態にかかるヘッド100の外観斜視図である。図2は、ヘッド100の長手方向に沿った縦断の部分拡大図である。図3は、図2におけるヘッド100のAA線断面図である。
【0014】
図1から図3に示すように、ヘッド100は、本体部29と、フレーム20と、振動部3と、流路部2と、吐出部1と、を備える。
【0015】
フレーム20は、本体部29の底面側に配置され、液体を供給する供給ポート71と、液体を循環回収する回収ポート72が設置される。
【0016】
振動部3は、フレーム20の本体部29に対向する面に配置される第2振動部材3Bと、第2振動部材3Bの底面側に配置される第1振動部材3Aと、を有する。
【0017】
流路部2は、振動部3の底面側に配置される第2流路部材2Bと、第2流路部材2Bの底面側に配置される第1流路部材2Aと、を有する。
【0018】
吐出部1は、流路部2の底面側に配置され、吐出孔4を有する。
【0019】
フレーム20は、内部に液体を収容する共通流路10を有する。
【0020】
共通流路10は、振動部3、流路部2によって形成され、開口部9を有し、中間供給流路8に連通する。
【0021】
中間供給流路8は、第1振動部材3A及び第1流路部材2Aによって形成される個別供給流路7(7A、7B、7C)に連通する。
【0022】
個別供給流路7は、第1振動部材3A、流路部2、及び吐出部1によって形成され、吐出孔4が連通して配置される圧力室6に連通する。
【0023】
圧力室6を形成する第1振動部材3Aの吐出孔4に対向する面には、第2振動部材3Bを挟み、アクチュエータ11が配置される。
【0024】
アクチュエータ11は、櫛の歯状にハーフカットされた圧電素子12を備える。圧電素子12はフレキシブル配線部材15を介して外部電極に接続される。圧電素子12はベース部材13によって支持される。
【0025】
圧電素子12と第1振動部材3Aの間には、圧電素子12の部分の周囲が切り欠かれた肉厚部30aが配置され、肉厚部30aに対応する第1振動部材3Aの部分は、圧電素子12に電圧が印加されることによって振動するのに従って振動する振動領域30となる。
【0026】
圧電素子に12に印加される電圧が基準電圧より下がると圧電素子12は収縮し、振動領域30の第1振動部材3Aが上方に引かれて圧力室6の容積が増加し、流体が圧力室6の内部に流入する。
【0027】
圧電素子に印加される電圧が上がると、圧電素子は積層方向に伸長し、圧力室6の容積が減少し、流体が吐出孔4から吐出される。
【0028】
本実施形態は、特に第1流路部材2Aと、吐出部1との接着において好適である。
【0029】
[液体吐出装置]
本実施形態のヘッド100が適用される液体吐出装置について説明する。
【0030】
液体吐出装置は、ヘッド100を有する液体吐出ユニットと、液体吐出ユニットを主走査方向に往復搬送するキャリッジと、記録媒体を主走査方向に対して垂直方向に搬送する搬送部と、を備える。
【0031】
ヘッド100には液体タンクから、ヘッド100から吐出される液体が供給される。
【0032】
ヘッド100からは、主走査方向に液体吐出ユニットが搬送されるのに合わせて液体が記録媒体に向けて吐出される。
【0033】
ヘッド100から吐出される液体は、その種類を問わない。また、記録媒体は紙に限定されず、液体が付着するものであればどのようなものでもよい。
【0034】
[基板]
以下、本実施形態の基板211について説明する。基板211は上述の例において吐出部1に相当する。
【0035】
(第1の実施形態)
図4は、本実施形態の基板211を示す平面図である。図4(A)は基板211接着される他の基板である被接着基板201の平面視を、図4(B)は基板211の被接着基板201との接着面の平面視を、図4(C)は接着された基板211と被接着基板201の縦断面図を、それぞれ示す。
【0036】
本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202(以下、流体流路ともいう。)に対応する位置に、凹部202の平面視の形状に対応する形状、つまりほぼ同形状の凹部によって示される識別部212を被接着基板201との接着面に備える。
【0037】
識別部212は、凹部202の平面視の外縁の形状より、平面視の外縁の形状の大きさが小さくてもよい。
【0038】
識別部212の外に付着している異物は、その許容範囲は異物の断面の最大直径が第1の閾値以下、例えば接着剤層220の厚みより十分に小さい直径以下であることが求められる。この点は、従来技術と変わりはない。
【0039】
識別部212の中に付着している異物は、その許容範囲は異物の断面の最大直径が第1の閾値より大きい第2の閾値以下、例えば凹部202の深さより十分に小さい直径以下であればよい。
【0040】
従って、識別部212の中に異物が付着し、その大きさが第2の閾値以下であれば、基板211は良品であるとして扱うことができ、歩留まりがその分向上する。
【0041】
なお、識別部212は、接着剤層220の厚みより十分に薄ければ、凹部202に対応する形状の凸部であってもよい。
【0042】
また、凹部202は、被接着基板201を貫通する貫通孔であってもよい。
【0043】
識別部212はエッチングにより形成できる。
【0044】
以上述べたように、本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202に対応する位置に、凹部202に対応する形状を示す識別部212を備える。
【0045】
従って、識別部212内に付着した異物の大きさの許容範囲を緩和することができ、不良品と判定されることが少ない基板211を提供することができるため、歩留まりを向上させることが可能となるという効果がある。
【0046】
(第2の実施形態)
図5は、本実施形態の基板211を示す平面図である。図5(A)は基板211接着される他の基板である被接着基板201の平面視を、図5(B)は基板211の被接着基板201との接着面の平面視を、図5(C)は接着された基板211と被接着基板201の縦断面図を、それぞれ示す。
【0047】
本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202に対応する位置に、凹部202の平面視の形状に対応する形状の溝部によって示される識別部213を被接着基板201との接着面に備える。
【0048】
識別部213は、凹部202の平面視の外縁の形状より、平面視の外縁の形状の大きさが小さくてもよい。
【0049】
識別部213の中に付着している異物は、その許容範囲は異物の断面の最大直径が第1の閾値より大きい第2の閾値以下、例えば凹部202の深さより十分に小さい直径以下であればよい。
【0050】
従って、識別部213の中に異物が付着し、その大きさが第2の閾値以下であれば、基板211は良品であるとして扱うことができ、歩留まりがその分向上する。
【0051】
なお、識別部213は、接着剤層220の厚みより十分に薄ければ、凹部202に対応する形状の凸部であってもよい。
【0052】
また、凹部202は、被接着基板201を貫通する貫通孔であってもよい。
【0053】
識別部213はエッチングにより形成できる。
【0054】
以上述べたように、本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202に対応する位置に、凹部202に対応する形状を示す溝部である識別部213を備える。
【0055】
従って、凹部202の容積の増減を小さくして、識別部212内に付着した異物の大きさの許容範囲を緩和することができ、不良品と判定されることが少ない基板211を提供することができるため、歩留まりを向上させることが可能となるという効果がある。
【0056】
(第3の実施形態)
図6は、本実施形態の基板211を示す平面図である。図6(A)は基板211接着される他の基板である被接着基板201の平面視を、図6(B)は基板211の被接着基板201との接着面の平面視を、図6(C)は接着された基板211と被接着基板201の縦断面図を、それぞれ示す。
【0057】
本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202に対応する位置に、凹部202の平面視の形状に対応する形状の凸部によって示される識別部214を被接着基板201との接着面に備える。
【0058】
識別部214は、凹部202の平面視の外縁の形状202Aより、平面視の外縁の形状の大きさが小さくてもよい。
【0059】
識別部214の中に付着している異物は、その許容範囲は異物の断面の最大直径が第1の閾値より大きい第2の閾値以下、例えば凹部202の深さより十分に小さい直径以下であればよい。
【0060】
従って、識別部214の中に異物が付着し、その大きさが第2の閾値以下であれば、基板211は良品であるとして扱うことができ、歩留まりがその分向上する。
【0061】
なお、凹部202は、被接着基板201を貫通する貫通孔であってもよい。
【0062】
識別部214はエッチングにより形成できる。
【0063】
以上述べたように、本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202に対応する位置に、凹部202に対応する形状を示す凸部である識別部214を備える。
【0064】
従って、さらに異物の位置を識別しやすくしながら、識別部212内に付着した異物の大きさの許容範囲を緩和することができ、不良品と判定されることが少ない基板211を提供することができるため、歩留まりを向上させることが可能となるという効果がある。
【0065】
また、識別部214が、凹部202の外縁の形状202Aより外縁の形状の大きさが小さい場合には、被接着基板201との接着位置が少しずれた場合であっても凹部202の容積を変化させることなく、異物を識別部214の中にトラップすることができるという効果がある。
【0066】
(第4の実施形態)
図7は、本実施形態の基板211を示す平面図である。図7(A)は基板211接着される他の基板である被接着基板201の平面視を、図7(B)は基板211の被接着基板201との接着面の平面視を、図7(C)は接着された基板211と被接着基板201の縦断面図を、それぞれ示す。
【0067】
本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202に対応する位置に、凹部202の平面視の形状に対応する形状に外接する複数の凹部によって示される識別部215を被接着基板201との接着面に備える。
【0068】
識別部215は、識別部215に内接する形状が凹部202とほぼ同じ形状をなすように配置される。
【0069】
識別部215の内接する形状の中に付着している異物は、その許容範囲は異物の断面の最大直径が第1の閾値より大きい第2の閾値以下、例えば凹部202の深さより十分に小さい直径以下であればよい。
【0070】
従って、識別部215の中に異物が付着し、その大きさが第2の閾値以下であれば、基板211は良品であるとして扱うことができ、歩留まりがその分向上する。
【0071】
なお、識別部215は、接着剤層220の厚みより十分に薄ければ、凹部202に対応する形状の凸部であってもよい。
【0072】
また、凹部202は、被接着基板201を貫通する貫通孔であってもよい。
【0073】
識別部215はエッチングにより形成できる。
【0074】
以上述べたように、本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202に対応する位置に、内接する形状が凹部202に対応する形状を示す複数の凹部である識別部215を備える。
【0075】
従って、凹部202の容積を変更せずに、識別部212内に付着した異物の大きさの許容範囲を緩和することができ、不良品と判定されることが少ない基板211を提供することができるため、歩留まりを向上させることが可能となるという効果がある。
【0076】
(第5の実施形態)
図8は、本実施形態の基板211を示す平面図である。図8(A)は基板211接着される他の基板である被接着基板201の平面視を、図8(B)は基板211の被接着基板201との接着面の平面視を、それぞれ示す。
【0077】
本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202に対応する位置に、凹部202の平面視の形状に対応する形状に内接する複数の凹部によって示される識別部217を被接着基板201との接着面に備える。
【0078】
識別部217は、識別部217に外接する形状が凹部202とほぼ同じ形状をなすように配置される。
【0079】
識別部217の外接する形状の中に付着している異物は、その許容範囲は異物の断面の最大直径が第1の閾値より大きい第2の閾値以下、例えば凹部202の深さより十分に小さい直径以下であればよい。
【0080】
従って、識別部217の中に異物が付着し、その大きさが第2の閾値以下であれば、基板211は良品であるとして扱うことができ、歩留まりがその分向上する。
【0081】
なお、識別部217は、接着剤層220の厚みより十分に薄ければ、凹部202に対応する形状の凸部であってもよい。
【0082】
また、凹部202は、被接着基板201を貫通する貫通孔であってもよい。また、基板211は貫通孔216を有していてもよい。
【0083】
識別部217はエッチングにより形成できる。
【0084】
以上述べたように、本実施形態の基板211は、被接着基板201に設けられた凹部202に対応する位置に、外接する形状が凹部202に対応する形状を示す複数の凹部である識別部217を備える。
【0085】
従って、凹部202の容積の増減を少なくして、識別部212内に付着した異物の大きさの許容範囲を緩和することができ、不良品と判定されることが少ない基板211を提供することができるため、歩留まりを向上させることが可能となるという効果がある。
【0086】
(凹部の深さ)
上記の各実施形態において、各識別部の深さは、基板211を貫通しない深さであることが望ましい。各識別部の深さは、後述の基板検査装置900によって識別できる限度において浅くすることが可能である。
【0087】
識別部の深さを浅くすると、凹部202の目標とする容積からの差が少なくなるという効果がある。また、識別部の深さを浅くすると、基板の剛性を維持できるという効果がある。
【0088】
さらに、第4の実施形態及び第5の実施形態のように、一つの凹部202の位置及び形状を識別するために複数の識別部を設ける場合、識別部の深さを浅くすると、基板211に形成する流体流路のパターンを形成するためのエッチング工程と同時に識別部も形成でき、工程数を減少させることができるという効果がある。
【0089】
これは、識別部が浅く、しかも平面視の面積が比較的小さい場合、エッチングの時間が伸びてもエッチング用のガスがマスクと基板211の間に入り込まないからである。
【0090】
[基板検査方法]
【0091】
(基板検査装置)
図9は、基板211が良品か不良品かを検査する基板検査装置900の構成を示す図である。
【0092】
図9に示すように、基板検査装置900は、CPU(central processing unit)などの演算装置を含む制御部901と、メモリなどの記憶装置を含む記憶部902と、ディスプレイ、キーボード、マウス、或いはタッチパネルなどの入出力装置を含む入出力部903と、基板を拡大するレンズ群及びカメラなどの撮像装置を含む撮像部904と、外部装置と通信する通信部と、を備える。
【0093】
基板検査装置900は、基板211を1枚ずつ取り出し、検査を行う。
【0094】
(基板検査方法)
本発明の基板検査方法は、制御部及び撮像部を備える基板検査装置の制御部が、前記撮像部によって、被接着基板に設けられた流体流路に対応する位置に、前記流体流路に対応する形状を示す識別部を備える基板を撮像し、撮像して得られた画像から識別部を抽出し、前記画像から異物の位置及び大きさを抽出し、前記異物が前記識別部の内部にあると判定し、かつ、前記異物の大きさが前記識別部の内部にある場合に許容される前記異物の大きさの許容最大値を示す閾値以下であると判定した場合、前記基板は良品であると判定することを特徴とする。その一例を次に述べる。
図10は、基板検査装置900の制御部901の動作を示す図である。図10に示しように、ステップS001において、制御部901は、検査する基板211の接着面を撮像する。
【0095】
ステップS002において、制御部901は、撮像して得られた画像から識別パターンを抽出する。
【0096】
ステップS003において、制御部901は、撮像して得られた画像から異物の位置と大きさを抽出する。制御部901は、あらかじめ記憶部902に格納してある識別パターンの形状と、撮像して得られた画像とを比較することにより、異物の有無、位置、大きさを抽出する。
【0097】
ステップS004において、制御部901は、異物が識別パターンによって示される形状の内部にあるか、否かを判定する。制御部901は、異物が識別パターンによって示される形状の内部にない場合(ステップS004のN)、ステップS005に進み、異物が識別パターンによって示される形状の内部にある場合(ステップS004のY)、ステップS006に進む。
【0098】
ステップS005において、制御部901は、異物の大きさが第1の閾値以下であるか否かを判定する。制御部901は、異物の大きさが第1の閾値以下である場合(ステップS005のY)、ステップS008に進み、その基板211は良品であると判定し、異物の大きさが第1の閾値以下でない場合(ステップS005のN)、ステップS009に進み、その基板211は不良品であると判定する。
【0099】
ステップS006において、制御部901は、異物の大きさが第1の閾値より大きい第2の閾値以下であるか否かを判定する。制御部901は、異物の大きさが第2の閾値以下である場合(ステップS006のY)、ステップS008に進み、その基板211は良品であると判定し、異物の大きさが第2の閾値以下でない場合(ステップS006のN)、ステップS009に進み、その基板211は不良品であると判定する。
【0100】
以上述べたように、本実施形態の基板検査方法は、基板検査装置900の制御部901が、撮像部904によって識別部を備える基板211を撮像し、撮像して得られた画像から識別部を抽出し、この画像から異物の位置及び大きさを抽出し、異物が識別部の内部にあると判定した場合、異物が識別部の外部にある場合に許容される異物の大きさの許容最大値を示す第1の閾値より大きい第2の閾値以下である場合、その基板211は良品であると判定する。
【0101】
従って、第1の閾値によって一律に基板の良否を判定するよりも、歩留まりを向上させることができるという効果がある。
【符号の説明】
【0102】
1 吐出部
2 流路部
2A 第1流路部材
2B 第2流路部材
3 振動部
3A 第1振動部材
3B 第2振動部材
4 吐出孔
6 圧力室
7 個別供給流路
7A 個別供給流路
7B 個別供給流路
7C 個別供給流路
8 中間供給流路
9 開口部
10 共通流路
11 アクチュエータ
12 圧電素子
13 ベース部材
15 フレキシブル配線部材
20 フレーム
29 本体部
30 振動領域
30a 肉厚部
71 供給ポート
72 回収ポート
100 ヘッド
201 被接着基板
202 凹部
202A 凹部の外縁の形状
211 基板
212 識別部
213 識別部
214 識別部
215 識別部
216 貫通孔
217 識別部
220 接着剤層
900 基板検査装置
901 制御部
902 記憶部
903 入出力部
904 撮像部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【文献】特開2019-150991号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10