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  • 特許-撮像ユニットおよび車両制御ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】撮像ユニットおよび車両制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/55 20210101AFI20240806BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240806BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240806BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240806BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20240806BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20240806BHJP
【FI】
G03B17/55
G03B15/00 V
G03B17/02
B60R11/02 Z
H04N23/51
H04N23/52
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020101630
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021021939
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019140072
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】足達 雅史
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109724(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163584(WO,A1)
【文献】特開2016-177257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/55
G03B 15/00
G03B 17/02
G03B 19/07
B60R 11/02
H04N 23/45 - 25/698
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの撮像装置と、
前記2つの撮像装置の動作に係る発熱部品が少なくとも2つ以上配置されている回路基板と、
前記回路基板を保持する筐体と、
前記筐体における前記2つの撮像装置の光軸間の中央部をはさむように前記筐体に設けられ、前記回路基板側に突出している2つの凸形状部と、
前記2つの凸形状部にそれぞれ設けられ、前記発熱部品とそれぞれ接触して放熱する2つの放熱部材と、
を備え、
前記2つの発熱部品は、前記2つの撮像装置の光軸間の中央部に対して、位置関係が線対称ではなく、
前記2つの撮像装置の光軸間の中央部に対する前記2つの凸形状部の形状は、同形状であり、かつ、前記2つの発熱部品の配置位置とサイズの差に基づいて、前記筐体が左右非対称に変形するのを防ぐように、線対称に近くなるような配置位置として、前記2つの凸形状部のサイズが決定され、
前記2つの放熱部材は、前記発熱部品のそれぞれに、前記発熱部品の位置関係よりも線対称に近くなるように設けられる、
ことを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
2つの撮像装置と、
前記2つの撮像装置の動作に係る発熱部品が少なくとも2つ以上配置されている回路基板と、
前記回路基板を保持する筐体と、
前記筐体における前記2つの撮像装置の光軸間の中央部に対して線対称の位置に設けられ、前記回路基板側に突出している2つの凸形状部と、
前記2つの凸形状部にそれぞれ設けられ、前記発熱部品とそれぞれ接触して放熱する2つの放熱部材と、
を備え、
前記2つの発熱部品は、前記2つの撮像装置の光軸間の中央部に対して、位置関係が線対称ではなく、
前記2つの凸形状部は、前記2つの発熱部品の配置位置とサイズの差に基づいて、前記筐体が左右非対称に変形するのを防ぐように、線対称に近くなるような配置位置として、サイズが決定され、
前記2つの放熱部材は、前記発熱部品のそれぞれに、前記発熱部品の位置関係よりも線対称に近くなるように設けられる、
ことを特徴とする撮像ユニット。
【請求項3】
前記放熱部材は、TIM(Thermal Interface Material)と称されるものである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記発熱部品は、前記2つの撮像装置により撮影された撮影画像を処理する画像処理回路である、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記発熱部品は、前記2つの撮像装置により撮影された撮影画像から視差演算を行う処理回路である、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
車両に搭載され、当該車両の動きを制御する車両制御ユニットにおいて、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の撮像ユニットと、
前記撮像ユニットからの視差画像に基づく被写体までの距離情報により各種車両制御を実行する制御装置と、
を備えることを特徴とする車両制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像ユニットおよび車両制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人間の目のように目標物までの距離を算定することができる撮像ユニットとして、いわゆるステレオカメラが知られている。ステレオカメラは、2つの単眼カメラを備えるものである。例えば、車両を制御する車両制御ユニットにステレオカメラを連動させることで、当該車両の前方にある物体との距離を算出し、この距離に応じた車両の動作制御をすることができる。
【0003】
ステレオカメラが備える2つの単眼カメラは、同一平面上に配置され、かつ、双方の光軸が平行になるように固定される。これら2つの単眼カメラが同時に同一の被写体を撮影することで被写体の視差量を検出し、この視差量に基づいて当該被写体までの距離を算定することができる。
【0004】
ステレオカメラにおいて正確な距離の算定を行うには、2つの単眼カメラに用いるレンズの特性を合わせて焦点距離を同じにし、2つの単眼カメラの光軸間の距離である「基線長」を設計値どおりに固定し続けられることが重要である。さらに、2つの単眼カメラの光軸の平行度が組み立て時から精度良く設定され、かつ、これが維持し続けられることが重要である。
【0005】
そこで、特許文献1には、ステレオカメラとしての性能低下を抑制する目的で、温度により筐体が熱変形する際に左右対称の変形にさせるために、複数の発熱構造を、2つの単眼カメラの光軸間の中央部に対して対称の位置に設ける技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ステレオカメラには、高温を発する発熱部品が複数搭載される。例えば、制御部であるCPU(Central Processing Unit)の他、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)のような画像処理や視差演算を行う部品である。これらの複数の発熱部品は、種類、基板上の配置位置、サイズなどが異なるものである。そのため、特許文献1に開示された技術のように、複数の発熱部品を2つの単眼カメラの光軸間の中央部に対して対称の位置に設けることは、非常に難しいという課題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、温度変化による筐体の形状変化に際し、熱膨張時の筐体の左右非対称な変形を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、2つの撮像装置と、前記2つの撮像装置の動作に係る発熱部品が複数配置されている回路基板と、前記回路基板を保持する筐体と、前記筐体における前記2つの撮像装置の光軸間の中央部をはさむように前記筐体に設けられ、前記回路基板側に突出している2つの凸形状部と、前記2つの凸形状部にそれぞれ設けられ、前記発熱部品とそれぞれ接触して放熱する2つの放熱部材と、を備え、前記2つの発熱部品は、前記2つの撮像装置の光軸間の中央部に対して、位置関係が線対称ではなく、前記2つの撮像装置の光軸間の中央部に対する前記2つの凸形状部の形状は、同形状であり、かつ、前記2つの発熱部品の配置位置とサイズの差に基づいて、前記筐体が左右非対称に変形するのを防ぐように、線対称に近くなるような配置位置として、前記2つの凸形状部のサイズが決定され、前記2つの放熱部材は、前記発熱部品のそれぞれに、前記発熱部品の位置関係よりも線対称に近くなるように設けられる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、温度変化による筐体の形状変化に際し、熱膨張時の筐体の左右非対称な変形を抑えることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施の形態にかかるステレオカメラの概要を示す分解斜視図である。
図2図2は、ステレオカメラの筐体を裏側から見た状態を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示したステレオカメラのA-A´縦断断面図である。
図4図4は、図1に示したステレオカメラ1における迎え形状部と発熱部品と放熱部材との位置関係を示す図である。
図5図5は、第2の実施の形態にかかる車両制御ユニットを概略的に示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、撮像ユニットおよび車両制御ユニットの実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
ここで、図1は第1の実施の形態にかかるステレオカメラ1の概要を示す分解斜視図、図2はステレオカメラ1の筐体10を裏側から見た状態を示す斜視図、図3図1に示したステレオカメラ1のA-A´縦断断面図、図4図1に示したステレオカメラ1における迎え形状部と発熱部品と放熱部材との位置関係を示す図である。
【0013】
図1に示すように、撮像ユニットであるステレオカメラ1は、2つの撮像装置(単眼カメラ)100を保持する撮像装置保持部である筐体10と、筐体10が固定される回路基板20と、を備える。
【0014】
図2に示すように、筐体10は、回路基板20側に突出形成されている同形状であって、位置が左右対称な迎え形状部11を備えている。迎え形状部11は、筐体10の上方から見て凹形状に形成されている。なお、迎え形状部11は、筐体10と一体で形成されていても、別体で形成されていてもよい。また、迎え形状部11は、回路基板20の方に突出していればよく、筐体10の外部からは凹形状が見えないように形成してもよい。
【0015】
以下、ステレオカメラ1の構成を説明するときに用いる3次元直交座標系における軸について定義する。図1に示すように、2つの撮像装置100(レンズ101)が並んでいる方向をX軸とする。撮像装置100が備えるイメージセンサー102(図2参照)の結像の法線の方向をZ軸とする、X軸とZ軸に直交するステレオカメラ1の高さ方向をY軸とする。
【0016】
2つの撮像装置100はそれぞれ、レンズ101と、イメージセンサー102と、センサー基板103と、を有する。レンズ101は、筐体10のカメラステー部10aの前面においてX軸方向に設けられている孔10bに嵌め込まれる。カメラステー部10aに嵌め込まれた状態において各レンズ101の光軸Lxは、距離の算出に必要となる基線長(2つの撮像装置100の光軸Lx間の距離)が確保された状態になる。また、各レンズ101の光軸Lxは、Z軸と平行な状態が保持されていて、同一方向に向いている。
【0017】
各レンズ101の裏面側、すなわち、Z軸方向にはイメージセンサー102が固定されていて、各レンズ101の光軸Lxとイメージセンサー102の結像面の中心が合致するように構成されている。イメージセンサー102は、個別のセンサー基板103に固定されている撮像素子であって、対応するレンズ101を介して結像面に結像した被写体像に係る信号を出力する。
【0018】
すなわち、撮像装置100は、カメラステー部10aの前面の孔10bのそれぞれにレンズ101を嵌め込んで、このレンズ101のそれぞれの光軸Lxに合わせてイメージセンサー102を固定することで構成される。これによって、ステレオカメラ1は、2つのイメージセンサー102によって取得した画像から視差量を検出し、距離の算定をすることができる。
【0019】
距離の算定を正確におこなうために重要な要素の一つである「基線長」をもって2つのレンズ101を正確に固定するためには、レンズ101が所定の位置に所定の姿勢をもって精度よく維持されなければならない。そのためには、たとえば、カメラステー部10aにおけるレンズ101の突き当て面を精度よく加工し、かつ、レンズ101側におけるカメラステー部10aへの突き当て部を精度よく加工する。また、カメラステー部10aにおいて、レンズ101を嵌めこむ孔10bの位置、大きさなどを正確に加工し、ここにレンズ101を嵌めこむ。なお、距離の算定における重要な要素の一つである焦点距離を合わせるには、同じ光学特性を有するレンズ101を用いる。また、カメラ特性を左右するイメージセンサー102においても、特性が同じイメージセンサーを用いる。なお、同じ特性を有するレンズ/センサーに限定されるものではなく、特性が異なるレンズ/センサーを用いるようにしてもよい。
【0020】
さらに、距離の算定を正確におこなうには、2つのレンズ101の光軸Lxの平行度を維持できなければならない。これらの平行度を維持するには、やはり、カメラステー部10aにおいて、精度良く加工されたレンズ101の突き当て面と、精度よく加工されたレンズ101側におけるカメラステー部10aへの突き当て部とを形成することが重要となる。また、カメラステー部10aにおける孔10bを精度よく加工して形成することになる。
【0021】
回路基板20には、撮像装置100の動作の制御や2つの画像の視差量から距離を算定する演算素子や、または、電源制御用の素子など、撮像装置100の動作に係る部品が配置されている。図1に示すように、回路基板20には、制御部であるCPU(Central Processing Unit)21の他に、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)のような画像処理や視差演算を行う処理回路22、CPU21等の動作電源を供給する電源部23、などが配置されている。なお、回路基板20と撮像装置100との間には配線が施されているが図示を省略する。これら部品の中には、高温を発する発熱部品が含まれている。図1において例示する発熱部品は、CPU21や処理回路22である。
【0022】
なお、CPU21や処理回路22などの発熱部品は、種類、回路基板20上の配置位置、サイズなどが異なるものである。
【0023】
以下の説明において、本実施形態に係るステレオカメラ1における発熱部品をCPU21に限って説明する。なお、発熱部品をCPU21に限る必要はない。例えば、回路基板20に実装される他の部品、FPGAや電源ICなども発熱部品に該当する。発熱部品が回路基板20に複数配置されているときは、各発熱部品に対して、以下において説明する放熱部材40を設ければよい。
【0024】
発熱部品は、動作中において周囲に熱を放出する部品をいう。例えば、CPU21のような発熱部品は、放熱できないと熱暴走して異常な動作をすることがある。そこで、CPU21には、放熱を促進させる放熱部材40が取り付けられている。
【0025】
放熱部材40は、TIM(Thermal Interface Material)と称されるものである。TIMは、効果的に熱伝導率を高めるものである。TIMは、例えば、金属のほか、熱伝導グリースやグラファイトシートなどが適用される。
【0026】
放熱部材40は、一端がCPU21側に接して熱を集め、他端は筐体10と接している。放熱部材40とCPU21との固定は、例えば両面テープなどで行われる。
【0027】
放熱部材40の他端が接触する筐体10の位置は、例えば、図2に示す迎え形状部11である。より詳細には、図1ないし図4に示すように、2つ設けられた迎え形状部11と放熱部材40とは、各々接している。また、各放熱部材40は、回路基板20側に突出した2つの迎え形状部11にそれぞれ設けられ、2つの発熱部品(CPU21や処理回路22)とそれぞれ接触して放熱する。
【0028】
すなわち、迎え形状部11は、回路基板20の方向(発熱部品接触方向)側に突出している形状である凸形状部である。また、より詳細には、迎え形状部11は、2つの撮像装置100の光軸Lx間の中央部Cに対して、放熱部材40よりも線対称に近い形状及び位置関係で設けられている。なお、中央部Cは、2つの撮像装置100(レンズ101)の光軸Lxを含む面において光軸Lxに平行な中央線を含む面である。
【0029】
上述のように、CPU21や処理回路22などの発熱部品からの熱は、放熱部材40を介して、2つの撮像装置100の光軸Lx間の中央部Cに対して放熱部材40よりも線対称に近い位置に設けられた2つの迎え形状部11の何れかへと伝わり、2つの迎え形状部11から筐体10全体に伝わっていく。
【0030】
ところで、前述したように、CPU21や処理回路22などの発熱部品は、種類、回路基板20上の配置位置、サイズなどが異なるものである。そのため、複数の発熱部品を2つの撮像装置100の光軸Lx間の中央部Cに対して対称の位置に設けることは、非常に難しいものとなっている。
【0031】
しかしながら、本実施形態においては、2つの撮像装置100の光軸Lx間の中央部Cに対してCPU21や処理回路22などの発熱部品が線対称となっていなくても、発熱部品がそれぞれ接触する2つの迎え形状部11の2つの撮像装置100の光軸Lx間の中央部Cに対する形状及び位置関係は、2つの撮像装置100の光軸Lx間の中央部Cに対する2つの発熱部品(CPU21や処理回路22など)の位置関係よりも線対称に近くなるように設けられる。これにより、温度変化による筐体10の形状変化に際し、熱膨張時の左右非対称な変形を抑えることができ、熱膨張によるステレオカメラ1の性能低下を抑制することができる。また、発熱部品がそれぞれ接触する2つの迎え形状部11が、同形状であり、かつ、線対称となっているとより熱膨張に対する効果を得ることができる。
【0032】
このように本実施形態によれば、温度変化による筐体10の形状変化に際し、熱膨張時の10の左右非対称な変形を抑えることができ、熱膨張によるステレオカメラ1の性能低下を抑制することができる。
【0033】
なお、上述したように、迎え形状部11は、基本的に完全に左右対称であることが好ましい。一方で、2つの発熱部品(CPU21や処理回路22など)の配置位置やサイズが大きく異なる場合は、迎え形状部11を完全に左右対称にするのではなく、2つの発熱部品(CPU21や処理回路22など)の配置位置とサイズの差に基づき、迎え形状部11の配置位置とサイズを決定することで、筐体10が左右非対称に変形するのを防ぐことに効果がある場合がある。
【0034】
なお、本実施形態においては、迎え形状部11、発熱部品(CPU21や処理回路22など)、放熱部材40をそれぞれ2つ設けるようにしたが、これに限るものではなく、それぞれ少なくとも2つ以上設けられるものであってもよい。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0036】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態のステレオカメラ1を備えた車両制御ユニットについて説明するものである。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0037】
図5は、第2の実施の形態にかかる車両制御ユニットを概略的に示す全体構成図である。図5に示すように、車両制御ユニット300は、車両500に搭載され、当該車両500の動きを制御する。車両制御ユニット300は、すでに説明をしたステレオカメラ1を用いて、車両500の進行方向に存在する物体との距離を算出し、この距離に応じて当該車両の動きを制御する。
【0038】
図5に示すようにステレオカメラ1が備えるレンズ101は、車両500の進行方向前方の光景を撮影することができるように設置されている。ステレオカメラ1は、車両500のフロントガラスの内側(車室側)上部のインナーリアビューミラー付近に搭載される。ステレオカメラ1の取付位置は、上述の位置に限定されず、車両500の進行方向前方の車両外の状況を検知することができる位置であればよい。
【0039】
ステレオカメラ1は、撮影した被写体を含む画像データから被写体(測定対象)までの距離を求める(距離情報を取得する)。ステレオカメラ1の測定対象は、他の移動体や人物や動物などである。
【0040】
車両制御ユニット300は、居室空間である車室において設置されたステレオカメラ1と、制御装置310と、ステアリングホイール320と、ブレーキペダル330と、を備えている。ステレオカメラ1は、車両500の進行方向を撮影する撮影機能を有し、例えば、車両500のフロントウィンドウ内側のバックミラー近傍に設置される。
【0041】
ここで、ステレオカメラ1と車両制御ユニット300との関係について説明する。車両制御ユニット300の制御装置310は、ステレオカメラ1から受信した視差画像に基づいて求まるステレオカメラ1から被写体までの距離情報により、各種車両制御を実行する。
【0042】
制御装置310は、車両制御の例として、ステレオカメラ1から受信した視差画像に基づいて、ステアリングホイール320を含むステアリング系統(制御対象)を制御して障害物を回避するステアリング制御を実行する。制御装置310は、また、ステレオカメラ1から受信した視差画像に基づいて、ブレーキペダル330(制御対象)を制御して車両500を減速および停止させるブレーキ制御等を実行する。このようなステレオカメラ1および制御装置310を含む車両制御ユニット300のように、ステアリング制御またはブレーキ制御等の車両制御が実行されることによって、車両500の運転の安全性を向上することができる。
【0043】
なお、上述のように、ステレオカメラ1は、車両500の前方を撮影するものとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、ステレオカメラ1は、車両500の後方または側方を撮影するように設置されるものとしてもよい。この場合、ステレオカメラ1は、車両500の後方の後続車、または側方を並進する他の車両等の位置を検出することができる。そして、制御装置310は、車両500の車線変更時または車線合流時等における危険を検知して、上述の車両制御を実行することができる。
【0044】
また、制御装置310は、車両500の駐車時等におけるバック動作において、ステレオカメラ1によって検出された車両500の後方の障害物の視差画像に基づいて、衝突の危険があると判断した場合に、上述の車両制御を実行することができる。
【0045】
このように本実施形態によれば、2つの撮像装置100の光軸Lx間の中央部Cに対してCPU21や処理回路22などの発熱部品が線対称となっていなくても、発熱部品がそれぞれ接触する2つの迎え形状部11がより線対称に近い形状及び位置関係となっていることにより、温度変化による筐体10の形状変化に際し、熱膨張時の筐体10の左右非対称な変形を抑えることができる。これにより、熱膨張によるステレオカメラ1の性能低下を抑制することができるので、ステレオカメラ1から被写体までの距離情報の算出に与える誤差影響を小さくすることができる。
【0046】
なお、ステレオカメラ1は、測定対象との距離が変化する物体に設置されるものであればよい。したがって、ステレオカメラ1は、車両500に限定されず、船舶、鉄道等の移動体、FA(Factory Automation)用途の場合には建物などの固定物にも設置することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 撮像ユニット
10 筐体
11 迎え形状部
20 回路基板
40 放熱部材
100 撮像装置
300 車両制御ユニット
310 制御装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【文献】国際公開第2017/163584号
図1
図2
図3
図4
図5