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特許7533001情報処理装置、コンテンツ配信方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、コンテンツ配信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/568 20220101AFI20240806BHJP
   H04L 65/401 20220101ALI20240806BHJP
【FI】
H04L67/568
H04L65/401
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020134546
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030475
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】千田 進
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-003390(JP,A)
【文献】特開2018-049653(JP,A)
【文献】特開2010-182243(JP,A)
【文献】特開2019-016085(JP,A)
【文献】特開2017-154387(JP,A)
【文献】特開2019-160184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
電子黒板のコンテンツを記憶する記憶部と、
端末装置からのコンテンツ取得要求を受信する受信部と、
受信したコンテンツ取得要求に基づき、外部装置に記憶されているコンテンツと前記記憶部に記憶されたコンテンツとの比較結果に応じて、前記記憶部からコンテンツを取得するか、または前記外部装置からコンテンツを取得するかを判断する判断部と、
前記判断部による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、前記端末装置に送信する送信部と
を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記比較結果は、前記外部装置に記憶されている前記コンテンツに関する情報と前記記憶部に記憶された前記コンテンツに関する情報とに基づくものであり、前記比較結果が前記コンテンツ間の一致を示す場合に前記記憶部からコンテンツが取得される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
情報処理装置であって、
電子黒板のコンテンツを記憶する記憶部と、
端末装置からのコンテンツ取得要求を受信する受信部と、
受信したコンテンツ取得要求に基づき、外部装置に記憶されているコンテンツと、前記記憶部に記憶されたコンテンツとに差がないという関係が満たされた場合に、前記記憶部からコンテンツを取得するものと判断し、前記差がないという関係が満たされない場合に、前記外部装置からコンテンツを取得するものと判断する判断部と、
前記判断部による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、前記端末装置に送信する送信部と
を含む、情報処理装置。
【請求項4】
前記関係が満たされるか否かは、コンテンツ間のサイズ、更新日時およびハッシュからなる群から選択された少なくとも1つの種類の情報の差異に基づく、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置であって、
電子黒板のコンテンツを記憶する記憶部と、
端末装置からのコンテンツ取得要求を受信する受信部と、
受信したコンテンツ取得要求に基づき、前記記憶部にコンテンツが記憶された時間と、前記コンテンツ取得要求を受信した時間とが時間内である場合に前記記憶部からコンテンツを取得すると判断し、前記時間内ではない場合にさらに、前記記憶部からコンテンツを取得するか、または外部装置からコンテンツを取得するかを判断する判断部と、
前記判断部による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、前記端末装置に送信する送信部と
を含む、情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置であって、
電子黒板のコンテンツを記憶する記憶部と、
スケジュールに基づいて、外部装置に対しコンテンツに関する情報を照会する照会部と、
前記コンテンツに関する情報が、前記外部装置に記憶されたコンテンツが前記記憶部に記憶された後に更新されたことを示す場合、前記記憶部に記憶されるコンテンツを更新するために前記外部装置から最新のコンテンツを取得する取得部と
端末装置からのコンテンツ取得要求を受信する受信部と、
受信したコンテンツ取得要求に基づき、前記記憶部からコンテンツを取得するか、または前記外部装置からコンテンツを取得するかを判断する判断部と、
前記判断部による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、前記端末装置に送信する送信部と
を含む、情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置であって、
電子黒板のコンテンツを記憶する記憶部と、
端末装置からのコンテンツ取得要求を受信する受信部と、
受信したコンテンツ取得要求に基づき、前記記憶部からコンテンツを取得するか、または外部装置からコンテンツを取得するかを判断する判断部と、
前記判断部による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、前記端末装置に送信する送信部と
を含み、前記外部装置は、前記電子黒板であり、前記情報処理装置は、前記外部装置としての前記電子黒板と接続されており、かつ、前記電子黒板に対して子の関係にある他の電子黒板に接続された他の情報処理装置と通信可能であり、前記他の情報処理装置からの要求に応答して、前記送信部は、前記判断部による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、さらに前記他の情報処理装置に送信することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置であって、
電子黒板のコンテンツを記憶する記憶部と、
端末装置からのコンテンツ取得要求を受信する受信部と、
受信したコンテンツ取得要求に基づき、前記記憶部からコンテンツを取得するか、または外部装置からコンテンツを取得するかを判断する判断部と、
前記判断部による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、前記端末装置に送信する送信部と
を含み、前記情報処理装置は、前記電子黒板に対して子の関係にある他の電子黒板と接続されており、かつ、前記電子黒板に接続された他の情報処理装置と通信可能であり、前記外部装置は、前記他の情報処理装置であり、前記判断部は、受信したコンテンツ取得要求に基づき、前記記憶部からコンテンツを取得するか、または前記外部装置としての前記他の情報処理装置から前記電子黒板のコンテンツを取得するかを判断することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理装置は、該情報処理装置に接続された電子黒板の他の電子黒板に対する関係に基づいて、親になるかまたは子になるかを決定することを特徴とする、請求項7または8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
電子黒板のコンテンツを配信するためのコンテンツ配信方法であって、コンピュータが、
端末装置からのコンテンツ取得要求を受信するステップと、
受信したコンテンツ取得要求に基づき、外部装置に記憶されているコンテンツと記憶部に記憶されたコンテンツとの比較結果に応じて、前記記憶部からコンテンツを取得するか、または前記外部装置からコンテンツを取得するかを判断するステップと、
前記記憶部から取得するとの判断に応じて、前記コンテンツ取得要求にかかるコンテンツを記憶部から取得するステップと、
前記外部装置から取得するとの判断に応じて、前記コンテンツ取得要求にかかるコンテンツ前記外部装置から取得するステップと、
取得されたコンテンツを前記端末装置に送信するステップと
実行する、コンテンツ配信方法。
【請求項11】
コンピュータを、
電子黒板のコンテンツを記憶する記憶部、
端末装置からのコンテンツ取得要求を受信する受信部、
受信したコンテンツ取得要求に基づき、外部装置に記憶されているコンテンツと前記記憶部に記憶されたコンテンツとの比較結果に応じて、前記記憶部からコンテンツを取得するか、または前記外部装置からコンテンツを取得するかを判断する判断部、および
前記判断部による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、前記端末装置に送信する送信部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、コンテンツ配信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方改革や教育分野へのICT(Information and Communication Technology)の導入に伴って、会議や授業を行う際に電子黒板(インタラクティブ・ホワイトボードとも呼ばれる。)を利用することが多くなっている。電子黒板との間でコンテンツをやりとりする際には、専用のドライバまたはアプリケーションを利用して、電子黒板のコンテンツを取得する。
【0003】
ネットワークの仕組み上、コンテンツを取得する際には、コンテンツの取得要求を行う。電子黒板のコンテンツ配信を行うにあたっては、配信先クライアントは、配信元サーバに対し、コンテンツ取得要求を送信し、コンテンツの鮮度を維持する。しかしながら、従来技術の仕組みでは、配信先クライアントから配信元サーバへ電子黒板のコンテンツを要求するたびに、配信元サーバは、電子黒板にアクセスし、コンテンツを取得する必要があり、通信負荷が増大してしまうという点から充分ではなかった。例えば、要求を行ったタイミングで未だコンテンツが更新されていない場合に、コンテンツが更新されていないのにも関わらず再度の同一のコンテンツの取得が発生してしまうと、要求パケットおよびコンテンツデータを伝送するパケットがネットワーク帯域を圧迫することになる。
【0004】
上記通信負荷に関連して、特開2013-97749号公報(特許文献1)の従来技術が知られている。特許文献1には、複数の授業進捗データの夫々について、学習者用端末がキャッシュ化する教材データの範囲を定めるキャッシュ化制御部を備えた教材保存サーバを開示する。しかしながら、特許文献1の従来技術では、キャッシュの制御ポリシーが不十分であるため、情報処理端末が処理する計算量が増加してしまい、充分ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記点に鑑みてなされたものであり、本開示は、電子黒板のコンテンツを端末装置に配信する際のネットワーク上のデータ通信量を削減することが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示では、上記課題を解決するために、下記特徴を有する情報処理装置を提供する。本情報処理装置は、電子黒板のコンテンツを記憶する記憶部と、端末装置からのコンテンツ取得要求を受信する受信部と、受信したコンテンツ取得要求に基づき、記憶部からコンテンツを取得するか、または外部装置からコンテンツを取得するかを判断する判断部と、判断部による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、端末装置に送信する送信部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、電子黒板のコンテンツを端末装置に配信する際のネットワーク上のデータ通信量を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態における電子黒板のコンテンツを配信するシステムが構築されたネットワーク環境を示す概略図である。
図2図2は、本実施形態における電子黒板のハードウェア構成図である。
図3図3は、本実施形態において情報処理装置として用いることができる、パーソナル・コンピュータのハードウェア構成図である。
図4図4は、本実施形態における情報処理装置の機能ブロックを示す図である。
図5図5は、本実施形態によるネットワーク環境において実行される、コンテンツのキャッシュ定期更新処理の流れを説明するシーケンス図である。
図6図6は、本実施形態によるネットワーク環境において実行される、コンテンツ取得要求に応答した処理の流れを説明するシーケンス図である。
図7図7は、本実施形態において電子黒板間の親子関係を情報処理装置間に反映させるための設定画面を例示する図である。
図8図8は、本実施形態において情報処理装置が実行する親子関係の判別処理を示すフローチャートである。
図9図9は、本実施形態において設定画面に表示されるボタンで表されるステータスを説明する図である。
図10図10は、従来技術のコンテンツ配信方法および本実施形態によるコンテンツ配信方法を比較して説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の実施形態は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に説明する実施形態では、情報処理装置の一例として、電子黒板24,54に接続される情報処理装置26,56を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本実施形態による、電子黒板のコンテンツを配信するシステムが構築された、ネットワーク環境10の全体構成の概略を示す。図1に示すネットワーク環境10には、例えばそれぞれゲートウェイなどの用いてインターネット12に接続され、インターネット12を介して相互に接続された複数の拠点20,50が含まれている。各拠点20(または50)(以下、第1の拠点20について代表して説明するが、特段の断りがない限り、第2の拠点50についても同様である。)には、拠点内ネットワーク22(または52)を介して互いに接続された、電子黒板24(または54)と、情報処理装置26(または56)と、ユーザ端末装置28(または58)とが設置されている。
【0011】
電子黒板24は、所定のコンテンツの画像を表示しながら、その表示エリアの画像上にタッチペンや手で書き込みを行うことが可能な、いわゆるインタラクティブ・ホワイトボードである。なお、電子黒板24は、手書きされた文字をテキストに変換する手書き文字認識(OCR)機能や、スタンプ、直線、円、楕円などの図形を書き込む描画編集機能、表示領域上の所定範囲をコピーし、別の場所にペースとするコピー・アンド・ペースト機能など各種機能を備えてもよい。書き込まれたコンテンツは、ユーザからの指示があったタイミングや所定の時間が経過したタイミングで、電子黒板24が備える記憶領域や電子黒板24に装着されたデバイスの記憶領域にデータとして保存されたり、他の装置に送信されたりする。
【0012】
情報処理装置26は、電子黒板24のコンテンツを、同一ネットワーク22上の1または複数のユーザ端末装置28に配信する装置である。本実施形態による情報処理装置26は、適切なタイミングで、電子黒板24から最新のコンテンツを取得し、同一の拠点内ネットワーク22に存在する1または複数のユーザ端末装置28に対し、電子黒板24のコンテンツを配信する。情報処理装置26は、特に限定されるものではないが、パーソナル・コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどの汎用なコンピュータや、電子黒板のコンテンツの配信処理を行う専用デバイスとして構成される。
【0013】
また、情報処理装置26は、電子黒板24に表示用のコンテンツを送信(アップロード)する仕組みを有していてもよい。通常、電子黒板24に表示用のコンテンツを送信するためには、専用のソフトウェアを用いることになるが、表示用のコンテンツを送信する機能を情報処理装置26が備えることで、ゲストでも専用ソフトウェアを入れる手間なく、電子黒板24に表示用のコンテンツを送信することが可能となる。このように、電子黒板24に表示用のコンテンツを送信する場合、配信されるコンテンツは、当初は、表示用コンテンツのままとなるが、会議の進行により、表示用コンテンツ上に書き込みが行われると、元の表示用コンテンツと書き込み結果とを合わせて出力されたファイルが、配信されるコンテンツなる。また、電子黒板24に保存されているコンテンツ(例えば過去の書き込みを保存したコンテンツ)を表示用とする場合は、配信されるコンテンツは、当初は、その過去の書き込み結果を含む表示用コンテンツとなり、会議の進行により、さらなる書き込みが行われると、元の表示用コンテンツと新規の書き込み結果とを合わせて出力されたファイルが、配信されるコンテンツなる。
【0014】
ユーザ端末装置28は、情報処理装置26から配信される電子黒板24のコンテンツを、自身のディスプレイなどの表示装置に表示させる端末装置である。ユーザ端末装置28は、特に限定されるものではないが、パーソナル・コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどとして構成される。
【0015】
ユーザ端末装置28には、電子黒板24のコンテンツを表示するためのアプリケーションがインストールされていて、ユーザ端末装置28は、アプリケーションを用いて電子黒板24のコンテンツを表示するようにしてもよい。あるいは、ユーザ端末装置28は、汎用なブラウザを用いて電子黒板24のコンテンツを表示するようにしてもよい。なお、図1に示す例では、ユーザ端末装置28は、拠点ごとに2台示されているが、端末の台数は、1台であってもよいし、3台以上であってもよいし、拠点間で台数が、同じであっても、異なってもよい。
【0016】
ネットワーク22は、典型的には、有線または無線のLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)であり、ここで、電子黒板24、情報処理装置26およびユーザ端末装置28は、同一ネットワークに接続されている。
【0017】
図1には、複数の拠点20,50が示されている。第1の使用態様では、各拠点20(または50)において、それぞれ独立して、同一ネットワーク22(または52)内で、電子黒板24(または54)のコンテンツを、情報処理装置26(または56)を介して、ユーザ端末装置28(または58)に配信することができる。
【0018】
第2の使用態様では、複数の拠点20,50間で、画面を共有して投影することができる。例えば、第1の拠点20の電子黒板24を「親」として、第2の拠点50の電子黒板54を「子」として、親電子黒板24のコンテンツを、子電子黒板54の表示エリア上に表示することができる。そして、親電子黒板24の同一ネットワーク22上にあるユーザ端末装置28に対しては、親電子黒板24の同一ネットワーク22上にある情報処理装置26が親電子黒板24のコンテンツを取得して配信する。一方で、子電子黒板54の拠点内ネットワーク52にある情報処理装置56は、インターネット12を介して親電子黒板24のコンテンツを取得し、自身と同一ネットワーク52上にあるユーザ端末装置58に対し配信する。なお、複数の拠点間で親子関係を形成する場合に、1つの親電子黒板に対して1または複数の子電子黒板を設けることができる。
【0019】
上述したように構築された電子黒板のコンテンツを配信するシステムにおいては、電子黒板のコンテンツを、場合によっては拠点が異なり得る、複数のユーザ端末装置に対し、いかに効率よく配信するかが課題である。これに対し、本実施形態による情報処理装置26,56は、適切なタイミングで、電子黒板24,54の最新のコンテンツを取得し、できる限り重複するデータ伝送を低減しながら、自身に紐付けられたユーザ端末装置28,58にコンテンツを配信する仕組みを備える。
【0020】
以下、本実施形態によるコンテンツを配信する仕組みを説明する前に、ネットワーク環境10に設けられた電子黒板24,54および情報処理装置26,56それぞれのハードウェア構成について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態における電子黒板のハードウェア構成図である。図2に示されているように、電子黒板2(図1における電子黒板24,54に対応する。)は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、SSD(Solid State Drive)204、ネットワークI/F(Interface)205、及び、外部機器接続I/F(Interface)206を備えている。
【0022】
これらのうち、CPU201は、電子黒板2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201やIPL(Initial Program Loader)等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。SSD204は、電子黒板用のプログラム等の各種データを記憶する。ネットワークI/F205は、通信ネットワークとの通信を制御する。外部機器接続I/F206は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ230、外付け機器(カメラ240、スピーカ242、マイクロフォン244)である。
【0023】
また、電子黒板2は、キャプチャデバイス211、GPU(Graphics Processing Unit)212、ディスプレイコントローラ213、接触センサ214、センサコントローラ215、電子ペンコントローラ216、近距離通信回路219、及び近距離通信回路219のアンテナ219a、電源スイッチ222および選択スイッチ類を備えている。
【0024】
これらのうち、キャプチャデバイス211は、外付けのPC(Personal Computer)のディスプレイに対して映像情報を静止画または動画として表示させる。GPU212は、グラフィクスを専門に扱う半導体チップである。ディスプレイコントローラ213は、GPU212からの出力画像をディスプレイ220等へ出力するために画面表示の制御及び管理を行う。接触センサ214は、ディスプレイ220上に電子ペンPやユーザの手H等が接触したことを検知する。センサコントローラ215は、接触センサ214の処理を制御する。接触センサ214は、赤外線遮断方式による座標の入力及び座標の検出を行う。この座標の入力及び座標の検出する方法は、ディスプレイ220の上側両端部に設置された2つ受発光装置が、ディスプレイ220に平行して複数の赤外線を放射し、ディスプレイ220の周囲に設けられた反射部材によって反射されて、受光素子が放射した光の光路と同一の光路上を戻って来る光を受光する方法である。接触センサ214は、物体によって遮断された2つの受発光装置が放射した赤外線のIDをセンサコントローラ215に出力し、センサコントローラ215が、物体の接触位置である座標位置を特定する。電子ペンコントローラ216は、電子ペンPと通信することで、ディスプレイ220へのペン先のタッチやペン尻のタッチの有無を判断する。近距離通信回路219は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。電源スイッチ222は、電子黒板2の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。そのほか、例えば、ディスプレイ220の表示の明暗や色合い等を調整するためのスイッチ群が設けられてもよい。
【0025】
更に、電子黒板2は、バスライン210を備えている。バスライン210は、図2に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0026】
なお、接触センサ214は、赤外線遮断方式に限らず、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネル、対向する2つの抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネル、接触物体が表示部に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルなどの種々の検出手段を用いてもよい。また、電子ペンコントローラ216が、電子ペンPのペン先およびペン尻だけでなく、電子ペンPのユーザが握る部分や、その他の電子ペンの部分のタッチの有無を判断するようにしてもよい。
【0027】
以下、情報処理装置26,56のハードウェア構成ついて説明する。図3は、本実施形態による情報処理装置26,56として用いることができるパーソナル・コンピュータのハードウェア構成を示す。ここでは、パーソナル・コンピュータ500のハードウェア構成について説明する。
【0028】
図3に示されているように、パーソナル・コンピュータ500は、汎用なコンピュータによって構築されており、図3に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HDD(Hard Disk Drive)504、HDDコントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0029】
これらのうち、CPU501は、パーソナル・コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HDD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHDD504に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USBメモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0030】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RWメディア513に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御する。
【0031】
なお、図3を参照して、情報処理装置26,56として用いることができるパーソナル・コンピュータについて説明したが、ユーザ端末装置28、58についても、適宜ハードウェア・コンポーネントの追加および削除を行って、図3で示したものと同様に構成することができる。
【0032】
以下、図4を参照しながら、電子黒板のコンテンツを配信するための本実施形態による情報処理装置の機能について、より詳細に説明する。図4は、本実施形態における情報処理装置26の機能ブロック100を示す。
【0033】
なお、図4には、情報処理装置26の周辺の構成として、電子黒板24およびユーザ端末装置28の機能ブロック140、150も示されている。また、図4には、それぞれ異なる拠点に設けられた電子黒板140、情報処理装置100およびユーザ端末装置150からなる複数のセット(第1のセット(100A,140A,150A)および第2のセット(100B,140B,150B))が示されているが、以下、まず、第1のセット(100A,140A,150A)に注目して説明を行う。また、第2のセット(100B,140B,150B)についての機能ブロックが一部省略されているものがある点に留意されたい。
【0034】
図4に示すように、情報処理装置26の機能ブロック100は、ウェブ・サーバ110と、判断部116と、照会部118と、取得部120と、記憶部130とを含み構成される。
【0035】
記憶部130は、電子黒板140のコンテンツを記憶する。記憶部130は、1または複数のユーザ端末装置150に配信するコンテンツのキャッシュとして動作する。記憶部130は、図3に示したHDD504、RAM503やそのほかSSDなどのストレージ・デバイスにより提供される記憶領域である。
【0036】
照会部118および取得部120は、所定のスケジュールに基づいて、電子黒板140に問い合わせて、電子黒板140の最新のコンテンツを取得するよう構成されている。所定のスケジュールとしては、特に限定されるものではないが、一定時間ごとごとなどである。
【0037】
照会部118は、キャッシュするコンテンツ自体を要求する前に、電子黒板140に対し、電子黒板140のコンテンツに関する情報を照会する。ここで、コンテンツに関する情報とは、電子黒板140の最新のコンテンツと、自身が記憶部130にキャッシュとして保持しているコンテンツとの同一性を判定するための情報である。コンテンツに関する情報は、特に限定されるものではないが、電子黒板140に記憶されているコンテンツのサイズ、該コンテンツの更新日時、該コンテンツのハッシュおよびこれらの比較結果からなる群から選択された少なくとも1つの種類の情報を含むことができる。
【0038】
情報処理装置100から電子黒板140にサイズ、更新日時またはハッシュを照会する場合は、情報処理装置26側では、電子黒板140から照会結果として取得したサイズ、更新日時またはハッシュと、記憶部130に記憶されたコンテンツのサイズ、更新日時またはハッシュとを比較し、差があるかまたは一致しているかの比較結果を得る。一方、情報処理装置100から電子黒板140に、記憶部130に記憶されたコンテンツのサイズ、更新日時またはハッシュを与えて照会を行う場合は、電子黒板140側で比較処理が行われ、情報処理装置100は、得られた比較結果を得る。
【0039】
取得部120は、コンテンツに関する情報が、電子黒板140に記憶されたコンテンツが、自身が以前に取得して記憶部130に記憶した後に更新されたことを示す場合に、電子黒板140から最新のコンテンツを取得し、記憶部130に記憶する。上述した比較結果が、後に更新されたか否かを示し、コンテンツ間でサイズ、更新日時またはハッシュに差がある場合は、更新されたことを示し、一致する場合は、更新されていないことを示す。
【0040】
ウェブ・サーバ110は、ブラウザなどのウェブ・クライアントからHTTPリクエストを受信して、対応する処理を行い、HTTPレスポンスを送信するサーバ機能である。ウェブ・サーバ110は、より詳細には、送信部112および受信部114を含み構成される。
【0041】
受信部114は、ユーザ端末装置150が備えるブラウザ152から送信される電子黒板140のコンテンツ取得要求を受信する。送信部112は、所定の処理の結果、取得された電子黒板140のコンテンツを要求元のユーザ端末装置150に送信する。
【0042】
判断部116は、受信したコンテンツ取得要求に基づいて、上述した送信を行うために、内部の記憶部130からコンテンツを取得するか、または外部の電子黒板24から改めてコンテンツを取得するかを判断する。
【0043】
ここで、判断部116による判断は、電子黒板140に記憶されているコンテンツと、記憶部130に記憶されたコンテンツとが所定の関係を満たすか否かに基づくことができる。所定の関係は、電子黒板140に記憶されているコンテンツと、記憶部130に記憶されたコンテンツとに差がないという関係である。判断部116は、差がないという関係が満たされた場合には、記憶部130に記憶されたコンテンツを読みだして取得するものと判断し、一方で、差がないという関係が満たされない場合には、改めて電子黒板140に記憶されているコンテンツを取得するものと判断する。差があるか否かを判定するために、照会部118は、電子黒板140に対し、コンテンツに関する情報を照会し、判断部116は、得られたコンテンツに関する情報に基づいて上記判断を行う。取得部120は、判断部116による判定の結果、所定の関係が満たされない場合に、電子黒板140に要求し、記憶されているコンテンツを取得する。
【0044】
スケジュールによる更新と同様に、所定の関係を満たすか否かは、コンテンツ間のサイズ、更新日時およびハッシュからなる群から選択された少なくとも1つ種類の情報の差異に基づくことができる。また、判断部116による判断は、このコンテンツ間の差異に加えて、さらに、記憶部130にコンテンツが記憶された時間(または時刻)と、コンテンツ取得要求を受信した時間(または時刻)とに基づくことができる。例えば、記憶部130にコンテンツが記憶された時刻と、コンテンツ取得要求を受信した時刻とが所定の時間内であれば、更新されている可能性が低いため、あるいは、更新されているとしても小さな差異である可能性が高いため、記憶部130のコンテンツが最新の状態を維持しているとみなして、記憶部130に記憶されたコンテンツを読みだして取得するものと判断することができる。
【0045】
送信部112は、判断部116による判断の結果に応じて取得されたコンテンツを、ユーザ端末装置150に送信する。
【0046】
ユーザ端末装置150のブラウザ152は、特に限定されるものではないが、一般的なウェブ・ブラウザとすることができる。また、説明する実施形態では、ブラウザ152を用いて、電子黒板140のコンテンツを表示するものとして説明するが、専用のアプリケーションによってコンテンツの表示が行われることを妨げるものではない。ブラウザ152は、ユーザからの操作に応答して、情報処理装置100に対し、コンテンツ取得要求を送信し、その応答として、コンテンツを受信する。受信されたコンテンツは、ユーザ端末装置150が備える保存領域154に保存される。このように、本実施形態においては、情報処理装置100が、電子黒板140からのコンテンツの取得およびキャッシュをし、ユーザ端末装置150では、ブラウザ152でコンテンツ取得要求を送信するだけでよい。そのため、ユーザ端末装置150側では、専用のドライバやアプリケーションをインストールする必要がなく、ドライバレスでコンテンツの取得を行うことができる。
【0047】
このように情報処理装置100は、ブラウザ152などからのコンテンツ取得要求に応答して、電子黒板140にコンテンツの確認を行う。その確認により更新内容が十分にあった場合は、情報処理装置100は、電子黒板140からコンテンツを取得し、記憶部130にキャッシュとして保存する。一方、コンテンツの更新が行われていない場合は、ブラウザ152は、情報処理装置100の記憶部130に既に保存されているコンテンツを取得することになる。これにより、更新がない場合に電子黒板140および情報処理装置100間の通信が行われなくなり、情報処理装置100とユーザ端末装置150間のみでの通信が行われ、ネットワーク上の通信量を削減することができる。ここで、ネットワークの距離が遠ければ遠いほど削減される通信量が大きくなる。
【0048】
なお、上述では、単一の拠点それぞれでの電子黒板140のコンテンツ配信について説明した。しかしながら、特定の実施形態においては、上述したように、複数の拠点の電子黒板140間で遠隔投影を行うことができる。ここで、電子黒板140Aが子電子黒板として動作し、電子黒板140Bが親電子黒板として動作するものとする。その場合、情報処理装置100Aは、子情報処理装置として動作し、情報処理装置100Bは親情報処理装置として動作することになる。そして、親情報処理装置100Bと、子情報処理装置100Aとは、インターネット12を介して通信可能である。
【0049】
この場合、親情報処理装置100Bは、単独で行われている場合と同様に、親電子黒板140Bのコンテンツを、記憶部130Bにキャッシュし、同一ネットワーク上のユーザ端末装置150Bにコンテンツを配信する。同時に、親情報処理装置100Bは、キャッシュしているコンテンツを、同一ネットワーク上のユーザ端末装置150Bだけでなく、インターネットを介して、子情報処理装置100Aに対しても、要求に応じて送信する。一方、子情報処理装置100Aは、親電子黒板140Bのコンテンツを配信するため、子電子黒板140Aではなく、また親電子黒板140Bに直接要求するのではなく、親情報処理装置100Bに対しコンテンツを要求し、親情報処理装置100Bから受信した親電子黒板140Bのコンテンツを記憶部130Aにキャッシュし、同一ネットワーク上のユーザ端末装置150Aにキャッシュしたコンテンツを配信する。
【0050】
このように、親電子黒板140Bのコンテンツを親情報処理装置100Bに保持する仕組みとすることにより、コンテンツが可能な限りユーザの近くに配置されることになり、このため、配信時間を短縮することが可能となる。また、子情報処理装置100Aの記憶部130Aには、親情報処理装置100Bが保持するコンテンツを保持する仕組みとしている。これにより、親電子黒板140Bへの要求数を減少させることができ、処理速度の低下を防ぐことが可能となる。なお、子情報処理装置100Aが、親情報処理装置100Bから親電子黒板140Bのコンテンツを取得する際には、親情報処理装置100Bにキャッシュされているコンテンツのサイズ、更新時間またはハッシュを取得し、これとの比較結果を用いることができる。
【0051】
また、電子黒板140A,140B間に親子関係が形成され、情報処理装置100A,100B間にも親子関係が形成されるが、この親子関係は、一致していることが望ましい。そのため、好ましくは、情報処理装置100は、自身と同一ネットワークで接続されている電子黒板140と、他の電子黒板140との親子関係に基づいて、自身が親になるかまたは子になるかを決定することができる。
【0052】
以下、図5および図6を参照しながら、本実施形態によるコンテンツ配信方法について、より詳細に説明する。
【0053】
図5は、本実施形態によるネットワーク環境10において実行される、コンテンツのキャッシュの定期更新処理の流れを説明するシーケンス図である。
【0054】
図5に示す処理において、「loop:ファイル定期更新」複合フラグメントで示す反復処理は、上述したスケジュールに従って繰り返し実行される定期更新処理を示す。ステップS101で、情報処理装置100は、電子黒板140に対し、コンテンツに関連する情報(コンテンツのファイル情報;更新日時、サイズおよびハッシュの少なくとも1つ)を照会する。ステップS102では、電子黒板140は、情報処理装置100に対し、照会にかかるコンテンツのファイル情報を応答する。
【0055】
「alt:ファイル送信要求」の複合フラグメントは、照会結果に基づく分岐処理を表す。照会の結果、情報処理装置100の記憶部130に記憶されたコンテンツと、電子黒板140に記憶されたのコンテンツとの間に差分があると判定された場合は、ステップS103へ処理が分岐される。
【0056】
ステップS103では、情報処理装置100は、電子黒板140に対し、コンテンツのファイル送信要求を発行する。ステップS104では、電子黒板140は、情報処理装置100に対し、ファイル送信を行い、ステップS105へ処理が進められる。一方、照会の結果、情報処理装置100の記憶部130に記憶されたコンテンツと、電子黒板140に記憶されたコンテンツとの間に差分がなく同一であると判定された場合は、記憶部130のコンテンツのキャッシュの更新は不要であるため、ステップS105へと直接処理が進められる。
【0057】
ステップS105では、所定時間(例えばN秒)待機する。その後、再び、「loop:ファイル定期更新」複合フラグメントで示す処理が反復して行われることになる。
【0058】
図6は、本実施形態によるネットワーク環境10において実行される、コンテンツ取得要求に応答した処理の流れを説明するシーケンス図である。なお、図6は、コンテンツ取得要求を受信したことに応答して、必要に応じて、自身の記憶部130に記憶されたコンテンツの更新を行いながら、コンテンツを配信する処理の流れを示す。
【0059】
図6に示す処理は、ステップS201で、ユーザ端末装置150からコンテンツのファイル取得要求が送信されたことに応答して開始される。「alt:ファイル更新確認」のフラグメントは、更新確認を行う条件が成立するか否かに応じた分岐処理を表す。ここで、更新確認を行う条件としては、例えば、前回の更新からm秒経過したことなどのような時間に基づく条件とすることができる。時間に基づく条件を用いることにより、キャッシュ更新直後に要求を受信した場合など、更新されている可能性が低い場合や、あるいは、更新されているとしても小さな差異である可能性が高い場合に、照会そのものによるデータ通信量を削減することができる。
【0060】
更新確認条件が満たされた場合はと、ステップS202へ処理が分岐される。ステップS202では、情報処理装置100は、電子黒板140に対し、コンテンツに関連する情報(コンテンツのファイル情報)を照会する。ステップS203では、電子黒板140は、情報処理装置100に対し、照会にかかるコンテンツのファイル情報を応答する。
【0061】
「alt:ファイル送信要求」の複合フラグメントは、照会結果に基づく分岐処理を表す。照会の結果、情報処理装置100の記憶部130に記憶されたコンテンツと、電子黒板140に記憶されたコンテンツとの間に差分があると判定された場合は、ステップS204へ処理が分岐される。
【0062】
ステップS204では、情報処理装置100は、電子黒板140に対し、コンテンツのファイル送信要求を発行する。ステップS205では、電子黒板140は、情報処理装置100に対し、コンテンツのファイル送信を行い、ステップS206へ処理が進められる。一方、照会の結果、情報処理装置100の記憶部130に記憶されたコンテンツと、電子黒板140に記憶されたコンテンツとの間に差分がないと判定された場合は、記憶部130のコンテンツの更新は不要であるため、ステップS206へ直接処理が進められる。
【0063】
ステップS206では、情報処理装置100は、ユーザ端末装置150に対し、ステップS205で受信したコンテンツおよび記憶部130に記憶していたコンテンツのうちの適切な方のコンテンツのファイルを送信する。
【0064】
上述したように、利用者(のユーザ端末装置150)がコンテンツの取得を要求した時、情報処理装置100のコンテンツが更新されて直ぐの場合は、電子黒板140にコンテンツの要求を出さずに記憶部130からコンテンツを取得することができる。このため、短時間でコンテンツを取得することが可能となる。一方、情報処理装置100のコンテンツが更新された後所定の時間が経過していた場合は、情報処理装置100は、まず、コンテンツの差分があるかどうかを電子黒板140に問い合わせ、取得するかどうかを判断する。これによって、コンテンツの内容が同一でもあるのにかかわらず通信を発生させることがなくなるため、無駄な通信が発生するのを防ぐことができる。
【0065】
また、利用者(のユーザ端末装置150)がコンテンツの取得を要求した時、前回他の利用者からの要求に応答してキャッシュを更新した直後である場合、そのコンテンツをそのまま配信することができる。そのため、電子黒板140へ処理負荷および通信負荷を低下減しつつ、短時間でコンテンツを取得することが可能となる。
【0066】
さらに、情報処理装置100が、電子黒板140に定期的にコンテンツを取得しに行く構成を採用することで、ユーザに近い情報処理装置100に鮮度の高いコンテンツがキャッシュされるようになるため、応答速度を向上させることができる。
【0067】
以下、図7図9を参照しながら、上述した複数の拠点の電子黒板間で親子関係が形成された場合について、より詳細に説明する。
【0068】
上述したように、遠隔地間で電子黒板140による会議が行われる際には、電子黒板140同士の関係に親子関係が存在する。この電子黒板140同士の親子関係は、好ましくは、情報処理装置100A,100B間にの関係にも反映させること望ましい。一方で、情報処理装置100同士の間に親子関係を個別に設定するのは、煩雑であり、親子関係が電子黒板140側の関係と一致しなくなる虞もある。そこで、本実施形態においては、情報処理装置100は、自身と同一ネットワークで接続されている同一拠点の電子黒板140と、他拠点の他の電子黒板140との親子関係に基づいて、自身が親になるかまたは子になるかを決定することができる。
【0069】
図7は、本実施形態において電子黒板140間の親子関係を情報処理装置26間に反映させるための設定画面を例示する。図7に示す設定画面300は、外部の端末装置から、図3に示す情報処理装置100のウェブ・サーバ110にアクセスすることによって外部の端末装置のディスプレイ上に表示されるものである。複数の電子黒板140を連携させている場合に、図7に示す設定画面300を用いて、複数の情報処理装置100の連携を行うことができる。
【0070】
図7に示す設定画面300は、情報処理装置100間の連携(ボックス連携)の設定を呼び出すタブ302が選択された状態を示しており、さらに、相手方の情報処理装置100を登録する設定を呼び出すタブ304が選択されている。また、設定画面300には、情報処理装置100を登録するテーブル310が示されており、ラベル310a、IPアドレス310b、パスワード310c、詳細310dを入力するためのカラムが設けられている。
【0071】
図7に示す設定画面300では、電子黒板140の親子関係に関わらず、情報処理装置100の連携の設定は、上記テーブル310の1つのレコード312を設定するだけでよい。本設定画面300で、相手の情報処理装置100を識別するため、以下の表1に示す項目を設定する。
【0072】
【表1】
【0073】
設定画面300の詳細のカラム310dに配置されたボタンを押下することで、通信テストを行うことができる。通信テストを行うことで、電子黒板同士で通信が開始されたことに応答して、情報処理端末同士で電子黒板の親子関係を判定し、情報処理端末同士でも電子黒板の親子関係を反映させることができるようになる。なお、ここでいう親子関係とは、電子黒板で利用されている遠隔投影機能で保持しているステート(状態)を参照した際のパラメータをいう。ステートとしては、未使用/開催/参加があり、ここで、「親」は、ステート「開催」が対応し、子は、ステート「参加」が対応する。図7に示す設定画面において、設定ボタン320が押下されると、現在の設定内容が反映される。
【0074】
なお、情報処理装置100と電子黒板間の連携(ホワイトボード連携)の設定を呼び出すタブ301を選択することで、情報処理装置100自身に接続されている電子黒板との接続確認を行うことができる。
【0075】
図8は、本実施形態において情報処理装置100が実行する親子関係の判別処理を示すフローチャートである。図8に示す処理は、図7に示す設定画面300のテーブル310において、相手方の情報処理装置100のラベル、IPアドレスおよびパスワードが入力された後、カラム310dのボタンが押下されたことに応答して、ステップS300から開始される。
【0076】
ステップS301では、情報処理装置100は、入力されたラベル、IPアドレスおよびパスワードが存在するか否かを判定する。ステップS301で、入力されたラベル、IPアドレスおよびパスワードのいずれかに入力もれまたは誤りがあり、存在しないと判定された場合(NO)は、ステップS306へ分岐されて、「失敗」の結果を保持する。ステップS301で、入力されたラベル、IPアドレスおよびパスワードが存在すると判定された場合(YES)は、ステップS302へ分岐される。
【0077】
ステップS302では、情報処理装置100は、入力されたIPアドレスおよびパスワードに基づいて、接続確認を実行し、成功したかまたは失敗したかに応じて処理を分岐させる。ステップS302の接続確認が失敗した場合は、ステップS306へ処理が分岐されて、情報処理装置100は、ステップS206で、「失敗」の結果を保持する。一方、ステップS302の接続確認が成功した場合は、ステップS303へ処理が分岐される。
【0078】
ステップS303では、情報処理装置100は、接続確認によって得られたステータス結果に応じて処理を分岐させる。ここでは、接続確認時に、相手方の情報処理装置100(それが接続される電子黒板140)のステータスを示す情報が取得されるものとする。ステップS303のステータス結果が「開催」を示す場合(開催)は、情報処理装置100は、ステップS304で、「成功」かつ「開催」の結果を保持する。ステップS303のステータス結果が「参加」を示す場合(参加)は、情報処理装置100は、ステップS304で、「成功」かつ「参加」の結果を保持する。一方、ステップS303のステータス結果がその他のステータスを示す場合(その他)は、ステップS306へ処理が分岐されて、情報処理装置100は、「失敗」の結果を保持する。
【0079】
ステップS305では、情報処理装置100は、結果表示を行い、ステップS307で、本処理を終了する。
【0080】
図9は、本実施形態において設定画面300に表示されるボタンで表されるステータスを説明する図である。図9に示す表は、図7に示したカラム310dのボタンを押下した際に、図8に示すステップ305で表示される結果表示状態を説明するものである。図9に示すように、接続確認に成功した場合は、ボタンの表記は、相手方の情報処理装置(と同一ネットワーク上の電子黒板)が親(「開催」のステータス)であるか子(「参加」のステータス)であるかに応じて表記が変化する。相手方の情報処理装置が、親である場合は、「接続済(ホスト)」という表記となり、一方、子の場合は、「接続済(ゲスト)」という表記となる。一方で、接続確認が未実施の場合は、「未接続」という表記となる。状態が開催/参加以外の場合、相手方の情報処理装置に接続されている電子黒板に接続できなかった場合には、「接続失敗」の表記となる。
【0081】
このように、設定画面300のテーブル310におけるカラム310dにある「ボタン」を押下することにより、接続対象の情報処理装置100(に接続される電子黒板140)のステータスを取得し、この接続確認で得られた「開催」であるか「参加」であるかのステータス結果をもって親子関係を判断することができる。
【0082】
以下、図10を参照しながら、従来技術のコンテンツ配信方法に対する、本実施形態によるコンテンツ配信方法の有利な点を説明する。図10は、(A)従来技術のコンテンツ配信方法および(B)本実施形態によるコンテンツ配信方法を比較して説明する図である。
【0083】
図10には、それぞれ、電子黒板、情報処理装置およびユーザ端末装置が示されている。図10(A)に示す従来技術のコンテンツ配信方法では、ユーザ端末装置928がコンテンツ取得を要求するたびに、電子黒板924は、コンテンツを情報処理装置926に送り、情報処理装置926は、受け取ったコンテンツをユーザ端末装置928に送る必要がある。従来のコンテンツ配信方法では、要求数と同じだけ電子黒板924は、コンテンツを配信する必要があるため、配信するべきユーザ端末装置数が増大した場合、その増大した分だけ電子黒板924の負荷およびネットワークの通信量が増大することになる。また、利用者の視点から見ると、電子黒板924と情報処理装置926を経由してコンテンツが配信されるため、経路上のネットワークが混雑していた場合、コンテンツを取得することができなかったり、または、取得に遅延が生じていしまう虞もある。また従来技術のコンテンツ配信方法では、コンテンツ取得要求が複数の拠点から行われる場合に、コンテンツのダウンロードにより回線が圧迫されてしまい、他の重要性や緊急性が高い通信でさえも要求を送ることが難しくなる虞もある。
【0084】
これに対し、図10(B)に示す本実施形態によるコンテンツ配信方法によれば、情報処理装置100にコンテンツがキャッシュされるため、ファイル内容が同じものを何度も送る手順がなくなるため、やり取りされる通信を削減することができる。ひいては、電子黒板の表示内容を共有しているネットワーク内に流れるデータ通信量削減し負荷削減することができる。また、キャッシュを行う際には、時間や、前回のファイルが更新されているかを判断し、更新が行われていた場合にだけコンテンツのファイルを取得しに行くというポリシーが適用される。すなわち、すべてのコンテンツをキャッシュするというのではなく、代わりに、不必要なだと考えられる通信を排除し、効率的にコンテンツをやり取りすることができるポリシーが通信の仕組みに導入されているといえる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によれば、電子黒板のコンテンツを端末装置に配信する際のネットワーク上のデータ通信量を削減することが可能な情報処理装置、コンテンツ配信方法およびプログラムを提供するができる。
【0086】
なお、上述した実施形態による装置は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理装置は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含み得る。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。情報処理装置の各要素は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0087】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0088】
以上、本発明の実施形態および実施例について説明してきたが、本発明の実施形態および実施例は上述した実施形態および実施例に限定されるものではなく、他の実施形態、他の実施例、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
10…ネットワーク環境、12…インターネット、20,50…拠点、22,52…拠点内ネットワーク、24,54…電子黒板、26,56…情報処理装置、28,58…ユーザ端末装置、100…情報処理装置の機能ブロック、110…ウェブ・サーバ、112…送信部、114…受信部、116…判断部、118…照会部、120…取得部、130…記憶部、140…電子黒板の機能ブロック、150…ユーザ端末装置の機能ブロック、152…ブラウザ、154…保存領域、300…設定画面、302、304…タブ、310…テーブル、312…レコード、320…設定ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【文献】特開2013-97749号公報
図1
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図4
図5
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図8
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