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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ニッケル酸化鉱石の製錬方法、還元炉
(51)【国際特許分類】
   C22B 23/02 20060101AFI20240806BHJP
   C22B 5/10 20060101ALI20240806BHJP
   C22C 33/04 20060101ALI20240806BHJP
   F27B 17/00 20060101ALI20240806BHJP
   F27D 15/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C22B23/02
C22B5/10
C22C33/04 H
F27B17/00 B
F27D15/02 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020165881
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057560
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】井関 隆士
(72)【発明者】
【氏名】丹 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】山内 逸平
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-127695(JP,A)
【文献】特開2018-197384(JP,A)
【文献】特開2014-015655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00 - 61/00
C22C 33/04
F27B 17/00
F27D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、
前記ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、
前記混合物を還元炉内に装入し、該混合物を加熱して還元処理を施す還元工程と、
を有し、
前記還元工程では、前記還元炉として、不活性ガスである冷却用ガスが流通する冷却室が接続され、内部を不活性ガスでガス置換可能な構造により構成された還元炉を用い、
前記冷却室は、該冷却室の側から開閉可能な仕切り板を介して前記還元炉と接続されており、
前記還元炉において、前記仕切り板は、前記混合物を装入する又は取り出す試料装入取出口を構成するものであり、
前記還元工程では、
前記混合物を前記還元炉内に装入するにあたり、前記冷却室を経由し、該冷却室の内部から前記仕切り板を開き、該仕切り板により構成される前記試料装入取出口から該混合物を該還元炉内の所定の位置に装入し、
前記還元処理の終了後、前記冷却室の内部から前記仕切り板を開き、前記試料装入取出口から還元物を前記還元炉内から該冷却室を経由して取り出す、
ニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【請求項2】
前記還元炉は、箱型炉である、
請求項1に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【請求項3】
前記還元工程では、
柄と、該柄の先端に連結された試料載置部とを有する試料用柄杓を用い、該試料載置部に前記混合物を載置させた状態で、前記冷却室を経由して、前記還元炉内に該混合物を装入する、
請求項又はに記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【請求項4】
前記還元工程では、
前記還元炉内にて、還元温度を1200℃以上1500℃以下として還元処理を施す、
請求項1乃至のいずれかに記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元することによりフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用してフェロニッケルを製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用してミックスサルファイドを製造する湿式製錬方法等が知られている。
【0003】
ニッケル酸化鉱石を製錬する場合、まず、その原料鉱石を塊状物化、スラリー化等するための処理(還元処理に先立つ「前処理」)が行われる。具体的に、その前処理では、ニッケル酸化鉱石を塊状物化、すなわち粉や微粒の形状から塊状にするにあたり、まず、ニッケル酸化鉱石以外の成分、例えばバインダーや還元剤と混合して混合物とし、水分調整等を行った後に塊状物製造機に装入して、例えば10mm~30mm程度の塊状物(ペレット、ブリケット等を指す。以下、単に「ペレット」という)とするのが一般的である。
【0004】
ペレットは、例えば、水分を飛ばすためにある程度の通気性が必要となる。また、ペレット内で還元が均一に行われないと、組成が不均一になってメタルが分散、偏在してしまうことがある。そのため、混合物を均一混合したり、ペレット還元時に可能な限り均一な温度と保持することが重要となる。
【0005】
加えて、還元されて生成したフェロニッケルを粗大化させることも重要となる。生成したフェロニッケルが、例えば数10μm~数100μm以下程度の大きさである場合では、スラグと分離することが困難となり、フェロニッケルの収率が大きく低下してしまう。このことから、還元後に生成したフェロニッケルを有効に粗大化する技術が必要となる。
【0006】
さて、このような製錬方法において、還元炉での処理温度は1000℃を超えるような高温であるため、例えばペレットを還元炉に装入する、あるいは取出しする操作は、決して容易なことではない。特に、サンプリング等の作業では、比較的高温に耐えられる金属で作製した還元処理専用の「杓」等を用いてペレットを還元炉内に装入する、あるいは取出しする操作を行うが、処理温度が高いためにその杓が曲がって変形してしまい、取出しに際して炉壁に引っかかる等の不具合が生じてうまく取り出せないことがある。
【0007】
また、還元炉内で還元反応を行うとき、炉内の雰囲気を精度よく維持できなければ品質を安定化させることが難しくない、また効率よく還元反応を進めることも困難になる。一方で、還元炉を用いた反応では高温の炉内への原料供給やその炉からの反応物の取り出し、さらに反応中のサンプリング等で、還元炉を開ける操作が欠かせなくなる。このような場合、室温に近く酸素を含む空気が存在する炉外の雰囲気と、高温で酸素が事実上存在しない還元雰囲気である炉内とが、一時的にせよ繋がる。このことは、炉外の酸素が炉内に入ってメタルの酸化を進行させたり、炉内と炉外との急激な温度差により取り出した還元物に亀裂が生じたり等、製錬処理、特に状態を確認し制御するためのサンプリングに際して、好ましくない状態の発生が避けられなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-178252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元することによりフェロニッケルを製造する製錬方法において、得られる還元物の品質の低下を抑え、効率的な操作によりフェロニッケルを製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、冷却用ガスが流通する冷却室が接続された還元炉を用いて還元処理を行うことで、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
(1)本発明の第1の発明は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、前記ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、前記混合物を還元炉内に装入し、該混合物を加熱して還元処理を施す還元工程と、を有し、前記還元工程では、前記還元炉として、冷却用ガスが流通する冷却室が接続された還元炉を用いる、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0012】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記冷却室は、前記冷却用ガスとして不活性ガスを流通させ、内部を不活性ガスでガス置換可能な構造により構成されている、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0013】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記還元炉は、箱型炉である、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0014】
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記冷却室は、該冷却室の側から開閉可能な仕切り板を介して前記還元炉と接続されており、前記還元炉において、前記仕切り板は、前記混合物を装入する又は取り出す試料装入取出口を構成するものである、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0015】
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記還元工程では、前記混合物を前記還元炉内に装入するにあたり、前記冷却室を経由し、該冷却室の内部から前記仕切り板を開き、該仕切り板により構成される前記試料装入取出口から該混合物を該還元炉内の所定の位置に装入する、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0016】
(6)本発明の第6の発明は、第5の発明において、前記還元工程では、前記還元処理の終了後、前記冷却室の内部から前記仕切り板を開き、前記試料装入取出口から還元物を前記還元炉内から該冷却室を経由して取り出す、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0017】
(7)本発明の第7の発明は、第5又は6の発明において、前記還元工程では、柄と、該柄の先端に連結された試料載置部とを有する試料用柄杓を用い、該試料載置部に前記混合物を載置させた状態で、前記冷却室を経由して、前記還元炉内に該混合物を装入する、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0018】
(8)本発明の第8の発明は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記還元工程では、前記還元炉内にて、還元温度を1200℃以上1500℃以下として還元処理を施す、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0019】
(9)本発明の第9の発明は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するために用いる還元炉であって、箱型炉であり、箱型の所定の面に、冷却用ガスが流通する冷却室が接続されており、前記冷却室は、該冷却室の内部から開閉可能な仕切り板を介して当該還元炉と接続され、該仕切り板は前記混合物を装入する又は取り出す試料装入取出口を構成する、還元炉である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元することによりフェロニッケルを製造する製錬方法において、得られる還元物の品質の低下を抑え、効率的な操作によりフェロニッケルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れを示す工程図である。
図2】還元炉の構成の一例を示す図である。
図3】還元炉におけるバーナーの設置面を正面として視たときの図であり、還元炉に接続された冷却室の構成を説明するための図である。
図4】試料用柄杓の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
【0023】
≪1.ニッケル酸化鉱石の製錬方法≫
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合し、その混合物に対して製錬炉(還元炉)内で還元処理を施すことによって、フェロニッケルのメタルとスラグとを生成させるものである。
【0024】
具体的に、ニッケル酸化鉱石の製錬方法では、少なくとも、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、得られた混合物を還元炉内に装入しその混合物を加熱して還元処理を施す還元工程と、を有する。
【0025】
このとき、本実施の形態に係る製錬方法では、還元工程において、その還元炉として冷却室が接続された還元炉を用いることを特徴としている。ここで、詳しくは後述するが、還元炉に接続された冷却室は、内部を不活性ガスでガス置換可能な構造により構成されている。また、例えば還元炉は、箱型形状の炉(箱型炉)であり、還元炉と冷却室とはその冷却室の内部から開閉可能な仕切り板を介して接続されている。
【0026】
このような構成からなる還元炉を用いて還元処理を施すようにすることで、還元処理により得られる還元物であるフェロニッケルメタルの品質低下を抑えながら、効率的な操作によってフェロニッケルを製造することができる。
【0027】
≪2.製錬方法のプロセスについて≫
上述したように、ニッケル酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物に対して、還元炉にてその混合物を加熱してニッケル(酸化ニッケル)と鉄(酸化鉄)を還元することで、鉄-ニッケル合金(フェロニッケル)のメタルを生成させるものである。なお、還元処理により得られた還元物からメタルを分離(スラグからメタルを分離)することで、フェロニッケルを得ることができる。
【0028】
具体的に、本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、図1に示すように、ニッケル酸化鉱石を含む原料と炭素質還元剤とを混合する混合処理工程S1と、得られた混合物を所定の形状に成形する混合物成形工程S2と、成形された混合物を還元炉にて所定の還元温度で還元加熱する還元工程S3と、還元工程S3にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する回収工程S4と、を有する。
【0029】
[混合処理工程]
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的には、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.2mm~0.8mm程度の粉末を混合して混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
【0030】
混合処理工程S1では、混合性を高めるために混練を行ってよい。例えば、二軸混練機等により混合物を混練することにより混合物にせん断力を加えることで、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いて、より均一に混合できる。また、各々の粒子の密着性を高めることができ、得られる混合物に対して均一な還元処理が行い易くなる。
【0031】
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されず、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。なお、ニッケル酸化鉱石は、構成成分として、酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe)とを含有する。
【0032】
上述したように、混合処理工程S1では、ニッケル酸化鉱石に対して特定量の炭素質還元剤を添加して混合し混合物とする。炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等が挙げられる。なお、炭素質還元剤としては、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と同等の粒度を有するものであることが好ましい。炭素質還元剤とニッケル酸化鉱石の粒度が同等であると、均一に混合し易くなり、その結果還元反応も均一に生じさせることができ好ましい。
【0033】
炭素質還元剤の混合量は、特に限定されないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量を100%としたとき、50.0%以下の割合とすることが好ましく、40.0%以下とすることがより好ましい。ここで、酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量とは、酸化ニッケルの全量をニッケルメタルに還元するのに必要な化学当量と、酸化鉄を鉄メタルに還元するのに必要な化学当量との合計値(以下、「化学当量の合計値」ともいう)と言い換えることができる。このように、炭素質還元剤の混合量を、化学当量の合計値を100%としたときに50.0%以下の割合とすることで、還元反応を効率的に進行させることができる。なお、炭素質還元剤の混合量の下限値としては、特に限定されないが、化学当量の合計値を100%としたときに、10.0%以上の割合とすることが好ましく、15.0%以上の割合とすることがより好ましい。
【0034】
ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤のほか、任意成分として添加する鉄鉱石としては、特に限定されないが、例えば鉄品位が50%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。
【0035】
下記表1に、混合処理工程S1にて混合する、一部の原料粉末の組成(重量%)の一例を示す。なお、原料粉末の組成としてはこれに限定されない。
【0036】
【表1】
【0037】
[混合物成形工程]
混合物成形工程S2は、混合処理工程S1で得られた混合物を成形する工程である。具体的には、原料粉末を混合して得られた混合物を、ある程度の大きさ以上の塊に成形し、次の還元工程S3での還元処理に際して、還元炉内に混合物を例えば積層して投入できるようにする。
【0038】
混合物を成形することで得られる塊状化物(ペレットとも称する)の形状としては、直方体状、円柱状、球状等とすることができる。このような形状であれば、混合物を成形し易く、成形にかかるコストを抑えることができる。また、これらの形状は、複雑なものではないため、不良品が出ることがほとんどなく成形における収率は極めて高い。また、直方体状、円柱状、球状の形状であれば、還元炉内で積層し易くなり、還元時に処理する量を多くすることが可能となる。そして、一つのペレットの形状を巨大化しなくても、還元時の処理量を増やすことができ、取り扱いも容易であり、また還元炉への装入時等に崩れ落ちたりすることがなく不良等が発生しづらい。
【0039】
成形(塊状化)した混合物のペレットの体積は、特に限定されず、例えば8000mm以上とすることができる。ペレットの体積が小さすぎると成形コストが高くなり、また還元炉に装入するのに手間がかかる可能性がある。さらに、ペレットの体積が小さい場合には、ペレット全体に占める表面積の割合が高くなるため、表面と内部とで還元の差の現れやすくなり、フェロニッケルの品質に影響を及ぼす可能性がある。混合物のペレットの体積を8000mm以上とすることで、成形コストを抑えることができ、取り扱いも容易なり好ましい。さらに、高い品質のフェルニッケルを製造することができる。
【0040】
混合物を成形した後には、乾燥処理を施すようにしてもよい。混合物中の水分により、還元処理における急激な昇温によって混合物中の水分が一気に気化、膨張して、混合物が粉々になってしまうこともある。そのため、混合物成形工程の後に乾燥工程を設け、混合物を乾燥するようにしてもよい。例えば、乾燥工程では、混合物の固形分が70重量%程度で、水分が30重量%程度となるように乾燥処理を施すことができる。
【0041】
混合物に対する乾燥処理の方法は、特に限定されず、例えば150℃~400℃の熱風を塊状物に対して吹き付けて乾燥させることができる。なお、比較的大きな塊状の混合物である場合、乾燥前や乾燥後の混合物にひびや割れが入っていてもよい。塊が大きい場合は、割れ等によって表面積が大きくなってもその影響は僅かである。
【0042】
下記表2に、混合物(乾燥処理後)における固形分中組成(重量部)の一例を示す。なお、混合物の組成としては、これに限定されるものではない。
【0043】
【表2】
【0044】
[還元工程]
還元工程S3では、混合物成形工程S2で得られた混合物(成形物)を、還元炉内において所定の還元温度に還元加熱する。このような還元処理により、ニッケル酸化鉱石を含む混合物に対する製錬反応(還元反応)が進行して、メタルとスラグとが生成する。
【0045】
還元処理の温度(還元温度)としては、1200℃以上1500℃以下とすることが好ましく、1250℃以上1450℃以下とすることがより好ましい。このような範囲の還元温度とすることで、効率的にかつ確実に還元反応を進行させて、所望とする特性のフェロニッケルを得ることができる。
【0046】
なお、還元処理においては、混合物中のスラグは半熔融して液相と固相が混在した状態となるが、既に分離して生成したメタルとスラグとは混ざり合うことがなく、その後の冷却によってメタル固相とスラグ固相との別相として混在する混合物となる。この混合物の体積は、装入する混合物と比較すると50%~60%程度の体積に収縮している。
【0047】
さて、本実施の形態においては、還元処理にて用いる還元炉として、冷却用ガスが流通する冷却室が接続された還元炉を用いることを特徴としている。
【0048】
図2は、還元炉の構成の一例を示す模式図である。
【0049】
図2に示すように、還元炉1は、炉本体11が箱型形状(直方体形状)を有する箱型炉とすることができる。また、還元炉1は、特に限定されないが、所定の位置にバーナー12が備えられ、バーナーによる加熱によって還元処理を実行するバーナー炉とすることができる。還元炉1の加熱方式としてバーナー加熱(バーナー炉)を採用することで、優れた燃焼性により炉内を加熱することができ、好ましい。なお、バーナーの燃料は、特に限定されず、LPG等の気体燃料、重油等の液体燃料、石炭やコークス等の固体燃料のいずれであってもよいが、その中でもより燃焼性に優れている点でLPGが好ましい。
【0050】
また、還元炉1は、箱型の炉本体11の内部であって、その箱型の所定の面(炉本体11の内面)に接して配置される試料台13を備える。試料台13は、還元処理対象である混合物を載置するための台である。試料台13の上面には、炭素質還元剤等の還元剤を敷いておいてもよい。
【0051】
また、還元炉1は、例えばその上部面(天井面)に、炉内のガスを排気する排気口14を備える。
【0052】
図3は、還元炉1のバーナー12の設置面を正面として視たときの図であり、還元炉1に接続された冷却室の構成を説明するための図である。
【0053】
図3に示すように、還元炉1は、冷却室2が接続されている。冷却室2は、還元炉1と同様に箱型形状を有するものであり、炉本体11の所定の面に接続されている。ここで、冷却室2が接続されている還元炉1の所定の面とは、還元炉1の炉本体11内部に設置された試料台13が内面で接する面である。すなわち、冷却室2と試料台13とは、還元炉1の炉本体11における同じ面で接して配置されている。
【0054】
冷却室2は、冷却用ガスが流通されており、還元処理により得られた還元物を冷却する。上述したように、冷却室2は、還元炉1に接続して設けられていることから、還元処理後の還元物を炉外に取り出すことなく、換言すると大気雰囲気に晒すことなく、冷却することができる。これにより、還元物が大気によって酸化されることを防ぐことができ、生成したフェロニッケルメタルの品質低下を抑えることができる。
【0055】
また、より好ましくは、冷却室2内に流通する冷却用ガスは不活性ガスであり、冷却室2は内部を不活性ガスでガス置換可能な構造により構成されている。このように、冷却用ガスを不活性ガスとすることで、冷却室2の内部を不活性雰囲気とすることができ、還元物の酸化等をより効果的に防ぐことができる。なお、不活性ガスとして、特に限定されないが、比較的安価で、入手も容易である点から、窒素、アルゴン等とすることができ、また二酸化炭素でもよい。
【0056】
より具体的に、冷却室2の構造について説明する。冷却室2には、その冷却室2の側から開閉可能な仕切り板21が設けられている。冷却室2と還元炉1(炉本体11)とは、その仕切り板21を介して接続されている。換言すると、冷却室2と還元炉1とは、仕切り板21によって仕切られている。仕切り板21は、冷却室2から還元炉1の内部へ混合物を装入する試料装入口のいわゆる開閉蓋を構成し、また、還元炉1の内部から冷却室2へ還元により生成した還元物を取り出す試料取出口のいわゆる開閉蓋を構成する。
【0057】
なお、このように、試料装入口と試料取出口は、仕切り板21により構成される同一のものであり、以下では「試料装入取出口」と称する。
【0058】
還元工程S3における還元処理では、まず、冷却室2の蓋22を開け、混合物を冷却室2に入れて載置し、蓋22を閉める。冷却室2では、常に不活性ガスを流しておき、不活性ガスで満たされているようにする。なお、冷却室2の蓋22は、仕切り板21と同様の材質、構造とすることができる。また、蓋22は、煉瓦を加工して構成してもよく、さらに、断熱材で栓をするような構成であってもよい。混合物を冷却室2に出し入れする際には、必ず蓋22を一旦取り外し、混合物の出し入れ作業後、必ず蓋22をする。これにより、冷却室2内部は、常に不活性ガスで満たされた状態となる。以下、蓋22の取り外しについては当然行うこととして説明を省略する。
【0059】
次に、処理対象の混合物を還元炉1内に装入するにあたり、冷却室2の内部から仕切り板21を開いて試料装入取出口を開口させる。そして、混合物を、冷却室2を経由して、試料装入取出口から還元炉1内に設置された試料台13の上に載置する。
【0060】
処理対象の混合物を還元炉1内に載置させた後、仕切り板21を閉めて試料装入取出口を閉口させる。これにより、還元炉1内を密閉空間として、バーナーによる加熱を開始して還元処理を行う。このように、冷却室2と還元炉1とが、開閉可能な仕切り板21により接続されているため、その仕切り板21の開閉という簡易な操作で、それぞれの空間を密閉空間とすることができ、例えば還元炉1内の温度低下や冷却室2内の温度上昇を防ぐことができる。
【0061】
また、還元処理の終了後には、冷却室2の内部から仕切り板21を開いて試料装入取出口を開口させ、還元処理により得られた還元物を、試料装入取出口から冷却室2を経由して取り出す。このとき、冷却室2を経由することになることから、高温を保持した還元物を急速にかつ効率的に冷却することができる。また、冷却室1では、好ましくはその冷却用ガスとして不活性ガスを流通させることで、還元物の酸化等を防ぐことができる。
【0062】
仕切り板21については、例えば、板状の断熱ボードやレンガ等により構成することができる。あるいは、断熱ウールを板状に構成したものであってもよい。
【0063】
ここで、処理対象の混合物の還元炉1内への装入や、還元炉1からの還元物の取出しは、試料用柄杓を用いて行うことができる。
【0064】
図4は、試料用柄杓の構成の一例を示す図である。図4に示すように、試料用柄杓3は、柄31と、柄31の先端に連結された試料載置部32と、を有している。試料用柄杓3において、柄31は、作業者がその手あるいは機械により把持する部分であり、棒状体により構成されている。試料載置部32は、柄31の先端に連結されており、その上面(載置面32a)に試料、すなわち還元処理対象の混合物を載置させる部分である。なお、図4では、試料載置部32として直方体状のもので構成されている例を示しているが、これに限られず、例えば試料である混合物の載置面が凹部を構成し、四方に壁面が立設され、上面が開口した容器のようなもので構成されていてもよい。
【0065】
還元処理においては、試料用柄杓3の試料載置部32に試料である混合物を載置し、その状態で、作業者の手あるいは機械により柄31を把持して、冷却室2に装入する。その後、上述したように、冷却室2の内部から仕切り板21を開いて試料装入取出口を開口し、試料用柄杓3の柄31を押し込むようにして、試料載置部32の部分を還元炉1内に入れる。
【0066】
このとき、還元炉1内に入れた試料用柄杓3を、試料台13の中央部付近まで移動させた後、試料載置部32の上面に置いた混合物をその試料台13に移し、試料用柄杓3を還元炉1から引き出したのちに、還元処理を開始するようにすることができる。
【0067】
あるいは、還元炉1内に入れた試料用柄杓3を、試料台13の中央部付近まで移動させた後、試料用柄杓3それ自体を試料台13上に置いて、その状態のまま(試料用柄杓3の混合物を載置させた状態のまま)、還元処理を開始するようにしてもよく、より好ましい態様である。すなわち、還元処理に際して、試料用柄杓3を還元炉1内に残したまま加熱を開始する。
【0068】
このような操作方法によれば、処理対象の混合物を試料用柄杓3に載置させ、あとはその試料用柄杓3を、冷却室2を経由して還元炉1に出し入れする操作を行うだけで、還元処理を実行することができる。これにより、試料用柄杓3から試料台13の移し載せる際に、試料である混合物が試料台13から落下する等の誤操作を防ぐことができ、バーナーによる加熱が均一に生じなくなるといった不具合を防止できる。
【0069】
また、このように試料用柄杓3を還元炉1内に残した状態は、その試料用柄杓3の柄31の部分は、冷却室2に位置するようになる。例えば、冷却室2に設けられた仕切り板21の下端部に、試料用柄杓3の柄31が貫通するような半円を形成させておくことで、試料用柄杓3を還元炉1内に残して仕切り板21を閉めた状態としても、その仕切り板21によって還元炉1内の密閉性を確保することができる。
【0070】
そして、このように試料用柄杓3を還元炉1内に残して、柄31の部分が冷却室2内に位置するようにして還元処理を開始することで、還元処理の加熱によって試料用柄杓3が熱変形してしまうことを防ぐことができる。還元処理は、例えば1200℃~1500℃程度の高温条件にて行うため、試料用柄杓3が熱により変形して曲がってしまうことがある。この点、その柄31の部分が冷却室2内に位置されるように保持しておくことで、熱変形を防ぐことができる。
【0071】
なお、このような態様の場合、試料用柄杓3の試料載置部32に、灰や炭素質還元剤等を敷いておいてもよい。これにより、その試料載置部32の載置面での混合物の融着を防ぐことができる。
【0072】
還元炉1内での還元処理の終了後、上述したように、還元処理により得られた還元物を、試料装入取出口から冷却室2を経由して取り出す。このとき、冷却室2を経由することになることから、高温を保持した還元物を急速にかつ効率的に冷却することができる。
【0073】
冷却室2での還元物の冷却は、冷却室2の内部から仕切り板21を閉めて試料装入取出口を閉口させた状態で行う。これにより、還元炉1からの高温の熱が入り込むことを防いで、効率的に冷却することができる。そして、冷却室2において、還元物の温度がある程度下がるまで冷却する。冷却時間としては、特に限定されないが、好ましくは10分以上の時間をかけて行う。10分以上の冷却により、還元物の温度を1000℃以下にまで低下させることができ、その後に冷却室2から還元物を取り出しても、生成したメタルの酸化を抑制することができる。
【0074】
上述したように、還元炉1は、冷却室2が接続された構成となっているため、還元処理により得られた還元物を大気中に取り出すことなく、冷却することができる。高温に加熱された状態の還元物をそのまま大気中に取り出した場合、生成したメタルの酸化が急速に進行して、メタル特性が低下するとともに、メタルの回収率が大きく低下する。この点、冷却室2が接続された還元炉1を用いて還元処理を行うようにすることで、高温の還元物に対する冷却操作を、その冷却室2にて効率的に行うことができ、メタルの酸化を効果的に防ぐことができる。
【0075】
また、冷却室2内に流通する冷却用ガスを不活性ガスとして、不活性ガスにより雰囲気ガスを置換することで、冷却室2内での酸化等も効果的に防ぐことができる。
【0076】
以上のような還元工程S3での還元処理を行うことで、精度よく確実に、かつ効率的にフェロニッケルを製造することができる。
【0077】
[回収工程]
回収工程S4では、還元工程S3にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する。具体的には、容器に充填させた状態の混合物に対する還元加熱処理によって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混合物(混在物)からメタル相を分離して回収する。
【0078】
固体として得られたメタル相とスラグ相との混在物からメタル相とスラグ相とを分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、比重による分離や、磁力による分離等の方法を利用することができる。
【0079】
また、得られたメタル相とスラグ相は、濡れ性が悪いことから容易に分離することができ、上述した還元工程S3における処理で得られた、大きな混在物に対して、例えば、所定の落差を設けて落下させる、あるいは篩い分けの際に所定の振動を与える等の衝撃を与えることで、その混在物からメタル相とスラグ相とを容易に分離することができる。
【0080】
このようにしてメタル相とスラグ相とを分離することによってメタル相、すなわちフェロニッケルを回収する。
【実施例
【0081】
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0082】
[実施例、比較例]
以下に示すような条件で、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元してフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法を実行した。
【0083】
(混合処理工程)
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:75重量%、平均粒径:約75μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量を100%としたときに36.0%の割合となる量で含有させた。
【0084】
(混合物成形工程)
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて造粒し、φ15.0±0.5mmの大きさに篩った。その後、試料については、還元前に、固形分が70重量%程度、水分が30重量%程度となるように170℃~250℃の熱風を吹き付けることで乾燥処理を施した。下記表3に、乾燥処理後の試料の固形分組成(炭素を除く)を示す。
【0085】
【表3】
【0086】
(還元工程)
次に、篩った試料(混合物試料)を14個に分け(実施例1~11、比較例1~3)、還元炉(バーナー炉)を用いて加熱して還元処理を施した。
【0087】
このとき、実施例では、還元炉として、図2及び図3に模式図を示したような冷却室が接続された還元炉を用いた。具体的には、還元炉として、箱型のバーナー炉であって、内部に冷却用ガスを流通させた冷却室が接続されている還元炉を用いた。冷却室と還元炉とは、板状の断熱ボードからなる仕切り板を介して接続されており、その仕切り板は冷却室の内部から開閉可能なものであった。なお、還元炉は、バーナーが備えられており、燃料には微粉炭、LPG、重油、及びコークスを用いた。
【0088】
また、試料である混合物の還元炉への装入は、図4に模式図を示したような試料用柄杓を用いて行った。試料用柄杓は、柄と、柄の先端部に試料載置部と、を備えるものであり、その試料載置部の上面に灰(主成分はSiO、その他の成分としてAl、MgO等の酸化物を少量含有する)を敷き詰め、その上に混合物試料を載置するようにした。
【0089】
そして、還元炉への装入に際しては、試料用柄杓に載置させた混合物試料を、まず冷却室の蓋を開けてその内部に装入し、次に、冷却室の側から仕切り板を開いて仕切り板により構成される試料装入取出口を開口させることによって、還元炉内に装入し試料台に置いた。試料台には、試料用柄杓に載置させたままの状態で置いた。その後、仕切り板を閉め、還元炉内を密閉空間としてバーナーによる加熱を開始し、還元処理を行った。
【0090】
所定の還元時間の終了後、冷却室の内部から仕切り板を開け、混合物(還元物)を載せた試料用柄杓を還元炉から取出した。このとき、還元物を大気に取出さずに、冷却室内にて所定の時間にわたり冷却した。冷却室においては、冷却用ガス(下記表4を参照)を20L/分の流量で流通させ続け、15分の冷却時間で冷却させた。
【0091】
冷却処理の終了後、冷却室から還元物を取出して、下記に示すニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率を測定した。
【0092】
一方、比較例では、実施例とは異なる還元炉、すなわち、冷却室が接続されていない、単なる箱型バーナー炉を用いて還元処理を行った。還元処理により得られた還元物については、還元処理の終了後、還元炉から大気中に取出して冷却(自然冷却)を行った。
【0093】
[評価]
各試料を冷却した後、下記式により定義される、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率について、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S-8100)により分析して算出した。
ニッケルメタル化率=混合物中のメタル化したNiの量÷(混合物中の全てNiの量)×100(%) ・・・[1]式
メタル中ニッケル含有率=混合物中のメタル化したNiの量÷(混合物中のメタルしたNiとFeの合計量)×100(%) ・・・[2]式
【0094】
下記表4に、還元処理の条件と、ニッケルメタル率、メタル中ニッケル含有率の算出結果をそれぞれ示す。
【0095】
【表4】
【0096】
表4に示されるように、冷却室が接続された還元炉を用いて還元処理を行った実施例1~11では、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率が共に良好な結果となった。これは、還元処理により得られた還元物を、大気中に取り出すことなく、冷却室にて即座にかつ効率的に冷却することができため、生成したメタルの酸化を有効に抑制できたことによると考えられる。また、このような還元炉を用いた処理は、複雑な操作を行うことなく、簡易な操作で効率的に行うことができた。
【0097】
一方で、冷却室が接続されていない還元炉を用いて還元処理を施し、得られた還元物を大気中に取出して自然冷却させた比較例1~3では、実施例と比べて、ニッケルメタル化率、メタル含有率が共に低くなる結果となった。
【符号の説明】
【0098】
1 還元炉
11 炉本体
12 バーナー
13 試料台
14 排気口
2 冷却室
21 仕切り板
22 (冷却室の)蓋
3 試料用柄杓
31 柄
32 試料載置部
図1
図2
図3
図4