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特許7533151画像形成装置、画像形成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/16 20060101AFI20240806BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240806BHJP
   G03G 15/36 20060101ALI20240806BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B41J21/16
B41J21/00 Z
G03G15/36
H04N1/387 110
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020191225
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022080194
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木下 豪規
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-074508(JP,A)
【文献】特開平02-098465(JP,A)
【文献】特開2000-177195(JP,A)
【文献】国際公開第2004/107257(WO,A1)
【文献】特開平11-237965(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0098143(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/16
B41J 21/00
G03G 15/36
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、前記第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録媒体における前記第1パターンを読み取る読取部と、
前記第2パターンのうち、前記読取部による読取データに含まれる前記第1パターンに重なる重複パターンの、前記印刷データ内での位置を補正する補正部と、を有し、
前記読取部は、前記記録媒体を供給する供給部と、前記記録媒体に前記画像を形成する画像形成位置と、の間に設けられ、搬送される前記記録媒体に形成された前記第1パターンを読み取る
画像形成装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記記録媒体に前記第1パターンが形成されている場合にのみ、前記重複パターンの前記印刷データ内での位置を補正する
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、前記第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録媒体における前記第1パターンを読み取る読取部と、
前記第2パターンのうち、前記読取部による読取データに含まれる前記第1パターンに重なる重複パターンの、前記印刷データ内での位置を補正する補正部と、を有し、
前記補正部は、前記読取データに含まれる前記第1パターンと、前記第2パターンとの重なり量に応じて、前記重複パターンの前記印刷データ内での位置を補正する
画像形成装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記重複パターンのみ、前記重複パターンを含む複数のパターン、前記重複パターンを含む複数のパターンからなるパターン行又はパターン列、若しくは前記印刷データの全体の少なくとも1つの単位で、前記重複パターンの前記印刷データ内での位置を補正する
請求項1又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、前記第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録媒体における前記第1パターンを読み取る読取部と、
前記第2パターンのうち、前記読取部による読取データに含まれる前記第1パターンに重なる重複パターンの、前記印刷データ内での位置を補正する補正部と、を有し、
前記読取データに含まれる前記第1パターンと、前記印刷データと、を合成した合成データを表示させる表示制御部をさらに有する
画像形成装置。
【請求項6】
前記第1パターンは、帳票用紙に形成された枠図形であり、
前記補正部は、前記読取データに含まれる前記枠図形に重なる前記重複パターンの前記印刷データ内での位置を補正する
請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2パターンは、前記第1パターンである前記帳票用紙に形成された前記枠図形に対して印刷する、文字または記号を含む印刷データである
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、前記第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録媒体における前記第1パターンを読み取る読取部と、
前記第2パターンのうち、前記読取部による読取データに含まれる前記第1パターンに重なる重複パターンの、前記印刷データ内での位置を補正する補正部と、を有し、
前記補正部は、
前記読取部により前記第1パターンを読み取った読取データが、前記第1パターンに含まれる文字を前記文字のサイズと同じサイズの四角形で表示した四角パターンを含む場合には、前記重複パターンが前記四角パターンに重ならないように前記重複パターンの位置を補正し、
前記読取データが、帳票用紙に形成された枠図形を含む場合には、前記重複パターンが前記枠図形の内側に収まるように前記重複パターンの位置を補正する
画像形成装置。
【請求項9】
第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、前記第2パターンを含む画像を形成する画像形成方法であって、
読取部により、前記記録媒体における前記第1パターンを読み取る工程と、
補正部により、前記第2パターンのうち、前記読み取る工程での読取データに含まれる前記第1パターンに重なる重複パターンの、前記印刷データ内での位置を補正する工程と、を行い、
前記読取部は、前記記録媒体を供給する供給部と、前記記録媒体に前記画像を形成する画像形成位置と、の間に設けられ、搬送される前記記録媒体に形成された前記第1パターンを読み取る
画像形成方法。
【請求項10】
第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、前記第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置で動作するプログラムであって、
読取部により、前記記録媒体における前記第1パターンを読み取り、
補正部により、前記第2パターンのうち、読取データに含まれる前記第1パターンに重なる重複パターンの、前記印刷データ内での位置を補正し、
前記読取部は、前記記録媒体を供給する供給部と、前記記録媒体に前記画像を形成する画像形成位置と、の間に設けられ、搬送される前記記録媒体に形成された前記第1パターンを読み取る
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成装置、画像形成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠や文字、ロゴ、模様等の第1パターンが事前に形成されている振込伝票用紙等の記録媒体に、文字等の第2パターンを含む印刷データに基づき、第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
また、記録媒体に事前に形成された基準マークの検出結果に基づいて位置を補正し、第1パターンが事前に形成されている記録媒体に画像を形成する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、記録媒体に形成された第1パターン、又は印刷データに含まれる第2パターンが所定位置からずれていると、正確に補正できず、記録媒体上で第1パターンと第2パターンが重なる場合がある。
【0005】
本発明は、記録媒体に形成された第1パターン、又は印刷データに含まれる第2パターンが所定位置からずれていても、記録媒体上で第1パターンと第2パターンが重ならないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、前記第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置であって、前記記録媒体における前記第1パターンを読み取る読取部と、前記第2パターンのうち、前記読取部による読取データに含まれる前記第1パターンに重なる重複パターンの、前記印刷データ内での位置を補正する補正部と、を有し、前記読取部は、前記記録媒体を供給する供給部と、前記記録媒体に前記画像を形成する画像形成位置と、の間に設けられ、搬送される前記記録媒体に形成された前記第1パターンを読み取る
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録媒体に形成された第1パターン、又は印刷データに含まれる第2パターンが所定位置からずれていても、記録媒体上で第1パターンと第2パターンが重ならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係るDFEのハードウェア構成例のブロック図である。
図3】実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成例のブロック図である。
図4】実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る制御部の機能構成例のブロック図である。
図6】第1パターンが形成された用紙例を示す図である。
図7】第2パターンを含む印刷データ例を示す図である。
図8】パターンデータと印刷データの合成の図であり、(a)は読取データに含まれるパターンデータの抽出例の図、(b)パターンデータと印刷データの合成例の図である。
図9】重複パターンを示す図であり、(a)は第1例の図、(b)は第2例の図である。
図10】重なり量に基づく補正例を説明する図であり、(a)は重なり量を示す図、(b)は補正量を示す図である。
図11】日付け文字パターンの位置補正例を示す図であり、(a)は補正前の第1例の図、(b)は(a)の補正後の図、(c)は補正前の第2例の図、(d)は(c)の補正後の図である。
図12】金額文字パターンの位置補正例を示す図であり、(a)は補正前の図、(b)は(a)の補正後の図である。
図13】第1実施形態に係る制御部による処理例のフローチャートである。
図14】第2実施形態に係る制御部の機能構成例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための画像形成装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の形状、その相対的配置、パラメータの値等は特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
実施形態に係る画像形成装置は、第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置である。記録媒体は、例えば振込伝票用紙等、所定の情報を記入するための定形フォーマットがあらかじめ印刷(プレプリント)された用紙である。また、第1パターンは文字や枠図形を含み、振込伝票等の用紙に印刷されている定型フォーマット等である。また第2パターンは、振込伝票等の定形フォーマットにおける枠図形に対して、そのなかに記入されるように、画像形成し印刷する、日付けや金額、氏名や住所等の文字や、チェックマークや記号等の印刷データである。
【0012】
振込伝票用紙に形成された日付や金額、チェックマーク等は、例えば用紙を提出された者が、記載されている日付や金額、チェックマークなどの内容を電子データにして処理を自動化するために、OCR(Optical Character Recognition;光学的文字認識)等を利用して自動認識される場合がある。しかし、金額記入欄の枠図形に文字が重なったり、チェック欄の枠図形にチェックマークが重なったりすると、正しく認識されない場合がある。
【0013】
実施形態では、記録媒体における第1パターンを読み取り、印刷データに含まれる第2パターンのうち、読取データに含まれる第1パターンに重なる重複パターンの、印刷データ内での位置を補正する。これにより、第1パターンと第2パターンとの重なりをなくし、OCR等による認識エラーを防止する。
【0014】
以下では、実施形態に係る画像形成装置を備える画像形成システムを一例として、実施形態を説明する。この画像形成システムは、記録媒体の一例としての請求書用紙又は振込伝票用紙等の用紙に、画像形成システムで日付けや金額等の文字、チェックマーク等の画像を形成するものである。但し、記録媒体は用紙に限定されるものではなく、画像を形成(記録)可能な媒体であれば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、プリプレグ、及び銅箔等であってもよい。
【0015】
また以下では、文字や枠図形を含む定型フォーマットを第1パターンと称し、定型フォーマットに記入されるように印刷する日付けや金額等の文字、チェックマーク等のパターンを第2パターンと称する。なお、実施形態の用語における印刷、画像形成、及び印字は何れも同義とする。
【0016】
<画像形成システム100の全体構成例>
まず図1を参照して、実施形態に係る画像形成装置103を備える画像形成システム100の構成の一例を説明する。図1は、画像形成システム100の構成の一例を説明する図である。図1に示すように、画像形成システム100は、クライアントPC(Personal Computer)101と、DFE(Digital Front End)102と、画像形成装置103と、管理サーバ104とを有する。これらはインターネット等を介して相互に通信可能に接続している。
【0017】
クライアントPC101は、ユーザが印刷したい印刷ジョブを作成し、DFE102又は管理サーバ104へ印刷ジョブを送信する。液晶ディスプレイである表示部や、マウスやキーボードなどの入力装置を備えている。
【0018】
DFE102は、クライアントPC101又は管理サーバ104から印刷ジョブを受け取り、受け取った印刷ジョブに基づいて、RIP(Raster Image Processor)エンジンにより描画データを作成し、画像形成装置103へ描画データを送信する。
【0019】
画像形成装置103は、DFE102から受け取った描画データに基づいて、記録媒体に画像形成を行う。
【0020】
管理サーバ104は、クライアントPC101から受け取った印刷ジョブを管理する。また、DFE102からの要求により、印刷ジョブをDFE102へ送信する。
【0021】
なお、画像形成システム100は、複数の画像形成装置や複数のクライアントPCを通信可能に接続してもよい。
【0022】
<DFE102のハードウェア構成例>
次に図2を参照して、DFE102のハードウェア構成を説明する。図2は、DFE102のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【0023】
図2に示すように、DFE102は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、HDD(Hard Disk)/SSD(Solid State Drive)204と、I/F(Interface)205とを有する。
【0024】
これらのうち、CPU201は、RAM203を作業領域として使用し、ROM202に格納されているプログラムを実行することで、DFE102全体の動作を制御する。
【0025】
HDD/SSD204は、記憶部として使用され、予め設定された設定値を格納している。HDD/SSD204に格納されている情報は、CPU201が読み出しプログラム実行時に使用することもある。
【0026】
I/F205は、DFE102と、クライアントPC101、画像形成装置103及び管理サーバ104とを通信可能にするインターフェースである。
【0027】
<画像形成装置103のハードウェア構成例>
次に図3を参照して、画像形成装置103のハードウェア構成を説明する。図3は、画像形成装置103のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【0028】
図3に示すように、画像形成装置103は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、HDD/SSD304と、I/F305と、画像形成部306と、読取部307とを有する。
【0029】
これらのうち、CPU301は、RAM303を作業領域として使用し、ROM302に格納されているプログラムを実行することで、画像形成装置103全体の動作を制御する。
【0030】
HDD/SSD304は、記憶部として使用され、予め設定された設定値を格納している。HDD/SSD304に格納されている情報は、CPU301が読み出しプログラム実行時に使用することもある。
【0031】
I/F305は、画像形成装置103と、DEF102、クライアントPC101及び管理サーバ104とを通信可能にするインターフェースである。
【0032】
画像形成部306は、用紙に画像を形成する印刷エンジンである。読取部307は用紙に形成された画像を読み取る読取装置である。
【0033】
<画像形成装置103の構成例>
次に図4を参照して、画像形成装置103の構成を説明する。図4は、画像形成装置103の構成の一例を説明する図である。図4に示すように、画像形成装置103は、タンデム式の電子写真方式の感光体ドラム403K,403C,403M,403Yと、中間転写ベルト402と、二次転写ローラ404と、給紙部400と、搬送ローラ対401と、定着ローラ405と、インラインセンサ406と、反転パス407と、搬送経路408とを有する。また画像形成装置103は、制御部200を有する。
【0034】
図3の画像形成部306は、感光体ドラム403K,403C,403M,403Y、中間転写ベルト402、二次転写ローラ404及び定着ローラ405を含んでいる。また図3の読取部307は、インラインセンサ406を含んでいる。
【0035】
画像形成装置103は、無端状移動手段である中間転写ベルト402に沿って各色の感光体ドラム403Y、403M、403C、403K(以降、総じて感光体ドラム403とする)が並べられた構成を備える、いわゆるタンデムタイプの画像形成装置である。給紙部400から給紙され、搬送ローラ対401により搬送される用紙に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルト402に沿って、この中間転写ベルト402の搬送方向の上流側から順に、感光体ドラム403Y、403M、403C、403Kが配列している。
【0036】
画像形成装置103は、各色の感光体ドラム403の表面においてトナーにより現像された各色の画像を、中間転写ベルト402に重ね合わせられて転写することで、フルカラーの画像を形成する。
【0037】
画像形成装置103は、図中に破線で示す用紙の搬送経路408と最も接近する二次転写位置409で、搬送経路408上を搬送されてきた用紙の紙面上に、中間転写ベルト402上に形成されたフルカラー画像を二次転写ローラ404の機能によって転写する。
【0038】
画像形成装置103は、紙面上に画像が形成された用紙を更に搬送し、定着ローラ405により画像を定着(画像形成)させる。定着ローラ405は、フルカラーのトナー像が転写された用紙を加熱及び加圧することで、フルカラーのトナー像を用紙に定着させる。定着ローラ405は、内蔵するハロゲンヒータ等のヒータにより発熱し、用紙を加熱することができる。
【0039】
画像形成装置103は、両面印刷を行う場合は、表面に画像形成を行った後、用紙を搬送経路408中の反転パス407に搬送し、表裏を反転した後、再度二次転写ローラ404の位置まで搬送する。
【0040】
給紙部400は、記録媒体を供給する供給部の一例であり、複数の用紙を重ね合わされて収容している。給紙部400は、積載して収容される用紙を最上部から順にピックアップローラで拾い上げ、一対のローラである給紙ローラを用いて搬送ローラ対401に供給する。
【0041】
また画像形成装置103は、給紙部400と、二次転写位置409との間にインラインセンサ406を設けている。二次転写位置409は、記録媒体に画像を形成する画像形成位置の一例である。
【0042】
インラインセンサ406は、受光した光強度に応じた電気信号を出力する画素が一次元アレイ状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサである。画素の配列方向は、用紙の搬送方向に交差している。また、インラインセンサ406は、赤色の光(R)を受光する画素アレイと、緑色の光(G)を受光する画素アレイと、青色の光(B)を受光する画素アレイとを含んでいる。
【0043】
インラインセンサ406は、各色の画素アレイによって、用紙に形成された画像による反射光の光強度に応じた電気信号を出力する。より詳しくは、インラインセンサ406は、用紙に含まれる第1パターンの画像を、二次転写位置409でトナー像が転写される前に読み取り、読取データを制御部200に出力する。
【0044】
なお、インラインセンサ406は、それぞれ用紙に光を照射する光源を備えてもよい。光源から用紙に光を照射することで、インラインセンサ406による読み取りの明るさを確保できる。また、インラインセンサ406は、CCDに代えて、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やPD(Photo Diode)アレイ等で構成されてもよい。
【0045】
<制御部200の機能構成例>
次に図5を参照して、画像形成装置103が備える制御部200の機能構成について説明する。図5は、制御部200の機能構成の一例を説明するブロック図である。図5に示すように、制御部200は、印刷データ入力部211と、読取データ入力部212と、抽出部213と、合成部214と、特定部215と、補正部216と、出力部217とを有する。
【0046】
これらの各機能は、図3のCPU301が所定のプログラムを実行すること等により実現される。なお、図5では主要な構成部のみを示しているが、制御部200はこれら以外の構成部を備えることもできる。
【0047】
制御部200は、印刷データ入力部211を介してDFE102から印刷データを入力し、また読取データ入力部212を介して読取部307から読取データを入力する。抽出部213は、読取データの中から第1パターンのパターンデータを抽出する。合成部214は印刷データとパターンデータを合成する。
【0048】
特定部215は、合成部214による合成結果から、印刷データに含まれる第2パターンのうち、読取データに含まれる第1パターンに重なる重複パターンの位置を特定する。第1パターンと第2パターンが複数箇所で重なり、複数の重複パターンが存在する場合には、特定部215は全ての重複パターンの位置を特定する。
【0049】
補正部216は、重複パターンが第1パターンに重なる重なり量を検出する。補正部216は、検出した重なり量に応じて重複パターンを移動させ、第1パターンに重ならないように重複パターンの位置を補正する。重複パターンが複数存在する場合には、補正部216は全ての重複パターンの重なり量を検出し、全ての重複パターンの位置を補正する。 なお、特定部215及び補正部216による処理には、各種の画像処理を適用できる。
【0050】
制御部200は、重複パターンの位置を補正した後の印刷データを、出力部217を介して制御部200外に出力する。画像形成装置103は、補正後の印刷データに基づいて、用紙に第2パターンの画像を形成できる。
【0051】
<第1パターンが形成された用紙例>
ここで、図6は、第1パターンが形成された用紙の一例を示す図である。図6に示すように、用紙Pは、「納品書・請求書」の定型フォーマットである第1パターン500を含んでいる。また第1パターン500は、日付け記入欄501と、金額記入欄502とを含んでいる。
【0052】
画像形成装置103は、用紙Pの日付け記入欄501の位置に日付けを示す文字の画像を形成し、用紙Pの金額記入欄502の位置に請求書で請求する金額を示す文字の画像を形成することができる。
【0053】
<第2パターンを含む印刷データ例>
次に図7は、第2パターンを含む印刷データの一例を示す図である。図7に示すように、印刷データDは、日付けや金額の数字である第2パターン600を含んでいる。第2パターン600は、図6に示した「納品書・請求書」の定型フォーマットである第1パターン500に記入するためのものである。また第2パターン600は、日付け記入欄501に記入する日付け文字パターン601と、金額記入欄502に記入する金額文字パターン602とを含んでいる。
【0054】
第2パターン600は、用紙Pに画像形成されることを想定し、第1パターン500における各記入欄の位置に合わせて、数字等の位置が調整されている。画像形成システム100のユーザは、コンピュータ等を操作して、このような印刷データDを作成し、また第2パターン600における数字等の位置を調整できる。但し、画像形成システム100のユーザ以外の者が作成及び調整してもよいし、コンピュータ等が自動作成及び自動調整してもよい。
【0055】
画像形成装置103は、印刷データDに基づき、用紙Pの日付け記入欄501の位置に日付け文字の画像を形成し、用紙Pの金額記入欄502の位置に請求書で請求する金額を示す金額文字の画像を形成することができる。
【0056】
<パターンデータと印刷データの合成例>
次に図8は、パターンデータと印刷データの合成を説明する図である。(a)は読取データに含まれるパターンデータの抽出例を示す図、(b)はパターンデータと印刷データの合成例を示す図である。
【0057】
図8(a)は、読取部307(図3参照)が読み取った用紙Pの読取データ(読取画像)から、定型フォーマットである第1パターン500に対応するデータのみを、抽出部213が抽出したパターンデータPdを示している。抽出部213は、例えば読取データを二値化することでパターンデータPdを抽出できる。なお、パターンデータPdは第1パターン500と第2パターン600の重なりを検出するためのものであり、第1パターン500に含まれる文字を簡略化しても目的を達成できる。そのため、本実施形態では、パターンデータPdにおける文字を、文字のサイズと同じサイズの四角パターンで表示している。
【0058】
図8(b)は、パターンデータPdと図7の印刷データDとを合成部214が重ね合わせて合成した結果を示している。印刷データD内の所定の正しい位置に第2パターン600が配置され、また用紙Pに第1パターン500の所定の正しい位置に形成されていれば、図8(b)に示すように、パターンデータPdに含まれる第1パターン500の各記入欄に第2パターン600の各文字のパターンが配置され、第1パターン500と第2パターン600は重ならない。
【0059】
しかし、印刷データDの作成ミスがあると、印刷データD内で第2パターン600が所定位置からずれて配置される場合がある。また用紙Pに第1パターン500の画像を形成する際に形成位置がずれると、第1パターン500が用紙Pの所定位置に形成されない場合がある。
【0060】
さらに、画像形成装置103による画像形成の位置ずれ、給紙部400への用紙Pの配置位置のばらつき等により、同じ印刷データDを同じ種類の用紙Pに複数枚画像形成した際に、各用紙Pに対する画像形成位置が0乃至±2mm程度の範囲内で変動し、用紙Pにおける第1パターン500が所定位置からずれる場合がある。また用紙Pの切断位置のずれ等によっても、用紙Pにおける第1パターン500が所定位置からずれる場合がある。
【0061】
第1パターン500、又は第2パターン600が所定位置からずれると、第2パターン600内で、パターンデータPdに含まれる第1パターン500に重なる重複パターンが生じる場合がある。
【0062】
<重複パターン例>
ここで図9は、重複パターンを例示する図であり、(a)は第1例の図、(b)は第2例の図である。図9は、用紙Pにおける日付け記入欄501の部分を拡大表示したものである。
【0063】
図9における四角パターン510は、用紙Pでは「年」の文字が配置される部分であり、四角パターン511は、用紙Pでは「月」の文字が配置される部分であり、四角パターン512は、用紙Pでは「日」の文字が配置される部分である。図9では、「年」、「月」及び「日」の文字を何れも四角のパターンに置き換えて表示している。
【0064】
また、「2011」を示す日付け文字パターン610は、「年」を示す四角パターン510に対応するものであり、「5」を示す日付け文字パターン611は、「月」を示す四角パターン511に対応するものである。「8」を示す日付け文字パターン612は「日」を示す四角パターン512に対応するものである。
【0065】
図9(a)の例では、日付け文字パターン611が四角パターン511に重なっており、日付け文字パターン611は重複パターンに対応する。この状態で印刷データDに基づき用紙Pに画像を形成すると、日付け文字パターン611に対応する「5」と四角パターン511に対応する「月」が重なり、OCR等で「5」を認識できない場合がある。
【0066】
一方、図9(b)の例では、日付け文字パターン610が四角パターン510に重なっており、日付け文字パターン610は重複パターンに対応する。この状態で印刷データDに基づき用紙Pに画像を形成すると、日付け文字パターン610に対応する「2011」と四角パターン511に対応する「年」が重なり、OCR等で「2011」を認識できない場合がある。
【0067】
<重なり量と補正量の例>
次に図10は、重なり量に基づく補正の一例を説明する図であり、(a)は重なり量を示す図、(b)は補正量を示す図である。図10(a)及び(B)は、図9(a)で日付け文字パターン611が四角パターン511に重なる部分を拡大表示したものである。
【0068】
補正部216は、日付け文字パターン611と四角パターン511との重なり方向が日付け文字パターン611の中心700からどの方向であるかを算出する(図10(a))。算出した方向を180度回転することで、補正部216は、補正のために印刷データD内で日付け文字パターン611を移動させる方向である補正方向vを取得できる(図10(b))。
【0069】
また補正部216は、日付け文字パターン611の端部701と四角パターン511の端部702との距離を算出することで、日付け文字パターン611と四角パターン511との重なり量sを検出する(図10(a))。重なり量sに余白量を加算することで、補正部216は、補正のために印刷データD内で日付け文字パターン611を移動させる量である補正量cを取得できる(図10(b))。なお、余白量は、OCR等による認識時に、重なっていると判断されない距離を意味する。この余白量は、OCR等の認識性能に応じて適宜設定可能である。
【0070】
<重複パターンの位置補正例>
次に、補正部216による重複パターンの位置補正について説明する。図11は、日付け文字パターンの位置補正の一例を示す図であり、(a)は補正前の第1例を示す図、(b)は(a)の補正後を示す図である。また図11(c)は補正前の第2例を示す図、図11(d)は図11(c)の補正後を示す図である。なお、図11(a)及び(c)は、補正後と対比しやすいように示したものであり、図11(a)は図9(a)と同じ図、図11(c)は図9(b)と同じ図である。
【0071】
日付け文字パターン611の位置が補正されることで、図11(b)では、日付け文字パターン621が四角パターン511に対して重ならないようになっている。また日付け文字パターン610の重複した文字のみではなく重複のパターンからなる日付け文字パターン610をまとめて位置が補正されることで、図11(d)では、日付け文字パターン620が四角パターン510に対して重ならないようになっている。
【0072】
このように補正部216は、図11(a)における日付け文字パターン611等のように、重複パターンのみの単位で位置を補正し、重複パターンの印刷データD内での位置を補正することができる。また補正部216は、図11(c)における日付け文字パターン610のように、重複パターンを含む複数のパターンの単位で位置を補正し、重複パターンの印刷データD内での位置を補正することができる。
【0073】
なお、補正部216は、重複パターンのみの単位及び重複パターンを含む複数のパターンの単位及びパターン行の単位以外にも、重複パターンを含む複数のパターンからなるパターン列の単位で補正を行うことができ、また印刷データ全体の単位で補正を行うこともできる。
【0074】
次に図12は、金額文字パターンの位置補正の一例を示す図である。図12(a)は補正前を示す図、図12(b)は図12(a)の補正後を示す図である。
【0075】
図12の例では、帳票用紙P1は、振込伝票の定型フォーマットである第1パターン800を含んでいる。第1パターン800は、金額文字記入欄810乃至814と、チェック欄815とを含んでいる。金額文字記入欄810乃至814及びチェック欄815は、それぞれ枠図形の一例である。
【0076】
金額文字記入欄810は、「万」桁の数字が記入される矩形の枠図形であり、金額文字記入欄811は、「千」の桁の数字が記入される矩形の枠図形であり、金額文字記入欄812は、「百」の桁の数字が記入される矩形の枠図形である。また金額文字記入欄813は、「十」の桁の数字が記入される矩形の枠図形であり、金額文字記入欄814は「一」の桁の数字が記入される矩形の枠図形である。
【0077】
図12(a)では、金額文字記入欄810の枠図形と金額文字パターン910とが重なり、金額文字記入欄814の枠図形と金額文字パターン914とが重なっている。またチェック欄815の枠図形と、チェックマーク915が重なっている。これらはそれぞれ重複パターンに対応する。金額文字パターン911、912及び913のそれぞれは、金額文字記入欄811、812及び813に対して重なっていない。従って、この例では3つの重複パターンが存在する。
【0078】
図12(b)では、金額文字パターン910及び914の各位置が補正され、金額文字記入欄810及び814の各枠図形に重ならなくなっている。またチェックマーク915の位置が補正され、チェック欄815の枠図形に重ならなくなっている。なお、金額文字記入欄810及び814の位置、またチェック欄815の位置は変わっていない。
【0079】
<制御部200による処理例>
次に図13を参照して、制御部200による処理について説明する。図13は、制御部200による処理の一例を示すフローチャートである。なお、図13は、制御部200がDFE102から印刷データを入力したタイミングを起点にした処理を示している。以下では図5の機能構成等も適宜参照して説明する。
【0080】
まず、ステップS131において、制御部200は、読取データ入力部212を介して読取部307から読取データを入力する。
【0081】
続いて、ステップS132において、制御部200は、読取データ内に第1パターンがあるか否かを判定する。
【0082】
ステップS132で、第1パターンがないと判定された場合には(ステップS132、No)、制御部200は処理を終了する。一方、ステップS132で、第1パターンがあると判定された場合には(ステップS132、Yes)、ステップS133において、抽出部213は、読取データの中から第1パターンのパターンデータを抽出する。
【0083】
続いて、ステップS134において、合成部214は印刷データとパターンデータを合成する。
【0084】
続いて、ステップS135において、特定部215は、合成部214による合成結果から、印刷データに含まれる第2パターンのうち、読取データに含まれる第1パターンに重なる重複パターンの位置を特定する。第1パターンと第2パターンが複数箇所で重なり、複数の重複パターンが存在する場合には、特定部215は全ての重複パターンの位置を特定する。
【0085】
続いて、ステップS136において、補正部216は、特定した重複パターンのうち、補正する重複パターンを選択する。
【0086】
続いて、ステップS137において、補正部216は、選択した重複パターンが補正可能であるか否かを判定する。
【0087】
ステップS137で、補正可能でないと判定された場合には(ステップS137、No)、制御部200は処理を終了する。一方、補正可能であると判定された場合には(ステップS137、Yes)、ステップS138において、補正部216は、重複パターンが第1パターンに重なる重なり量を検出する。
【0088】
続いて、ステップS139において、補正部216は、検出した重なり量に応じて重複パターンを移動させ、第1パターンに重ならないように重複パターンの位置を補正する。
【0089】
続いて、ステップS140において、制御部200は、全ての重複パターンを補正したか否かを判定する。この判定は、補正部216が行ってもよいし、特定部215が行ってもよい。
【0090】
ステップS140で、全ての重複パターンを補正したと判定された場合には(ステップS140、Yes)、制御部200は処理を終了する。一方、全ての重複パターンを補正していないと判定された場合には(ステップS140、No)、ステップS136に戻り、補正部216は、特定した重複パターンのうち、まだ補正を行っていない重複パターンを選択する。その後、制御部200は、ステップS137以降の処理を再度行う。
【0091】
このようにして、制御部200は、重複パターンを特定し、第1パターンに重ならないようにその位置を補正することができる。制御部200は、重複パターンの位置を補正後の印刷データを、出力部217を介して制御部200外に出力し、画像形成装置103は、補正後の印刷データに基づいて、用紙に第2パターンの画像を形成できる。
【0092】
<画像形成装置103の作用効果>
次に画像形成装置103の作用効果について説明する。
【0093】
従来から、枠や文字、ロゴ、模様等の第1パターンが事前に形成されている振込伝票用紙等の記録媒体に、文字等の第2パターンを含む印刷データに基づき、第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0094】
また、記録媒体に事前に形成された基準マークの検出結果に基づいて位置を補正し、第1パターンが事前に形成されている記録媒体に画像を形成する構成が開示されている。
【0095】
しかしながら、従来の構成では、基準マークの位置を基準に補正を行うため、記録媒体に形成された第1パターン、又は印刷データに含まれる第2パターンが基準マークの位置からずれていると、正確に補正できず、記録媒体上で第1パターンと第2パターンが重なる場合がある。このような重なりがあると、記録媒体上の画像をOCR等で認識した際に認識エラーが生じる場合がある。
【0096】
本実施形態では、第1パターンが形成された用紙P(記録媒体)における第1パターンを読み取り、第2パターンのうち、読取部307による読取データに含まれる第1パターンに重なる重複パターンの、印刷データD内での位置を補正する。
【0097】
用紙Pに形成された基準マークを用いず、読取データに含まれる第1パターンを基準に補正するため、用紙Pに形成された第1パターン、又は印刷データに含まれる第2パターンが所定位置からずれていても、第1パターンと第2パターンが重ならないようにすることができる。また、第1パターンと第2パターンが重ならないことで、用紙Pに形成された画像をOCR等で認識する際の認識エラーを防止することができる。
【0098】
なお、読取部307による読み取りの位置ずれは、画像形成装置103による画像形成の位置ずれに対して小さい。そのため、読取部307による読取データに含まれる第1パターンを基準にして重複パターンの位置を補正することが可能になる。
【0099】
また本実施形態では、読取部307に含まれるインラインセンサ406は、用紙Pを供給する給紙部400(供給部)と、用紙Pに画像を形成する二次転写位置409(画像形成位置)との間に設けられ、搬送される用紙Pに形成された第1パターンを読み取る。これにより、印刷データDに基づき用紙Pに画像形成する前に、第2パターンのうち、用紙Pに事前に形成された第1パターンに重なる重複パターンを特定し、印刷データD内での重複パターンの位置を補正できる。
【0100】
また本実施形態では、補正部216は、用紙Pに第1パターンが形成されている場合にのみ、重複パターンの印刷データ内での位置を補正する。これにより、用紙Pに第1パターンが形成されていない場合に不要な処理を省略できる。
【0101】
また本実施形態では、補正部216は、読取データに含まれる第1パターンと第2パターンとの重なり量に応じて、重複パターンの印刷データ内での位置を補正する。これにより最小限の補正処理で第1パターンと第2パターンが重ならないようにすることができる。
【0102】
また本実施形態では、補正部216は、重複パターンのみ、重複パターンを含む複数のパターン、重複パターンを含む複数のパターンからなるパターン行又はパターン列、若しくは印刷データ全体の少なくとも1つの単位で、重複パターンの印刷データ内での位置を補正する。これにより、補正処理のバリエーションを増やすとともに、第1パターンに重ならないように重複パターンの位置を確実に補正できる。
【0103】
また本実施形態では、読取データに含まれる帳票用紙の枠図形に重なる重複パターンの印刷データ内での位置を補正する。これにより、OCR等による帳票用紙の認識エラーを防止することができる。
【0104】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る画像形成装置103aについて説明する。本実施形態では、読取データに含まれる第1パターンと、印刷データとを合成した合成データを画像形成装置103aの操作パネルやクライアントPC101のディスプレイ等に表示させる。これにより、合成データを視認したユーザの判断に応じて補正可能にする。
【0105】
<制御部200aの機能構成例>
図14は、画像形成装置103aが備える制御部200aの機能構成の一例を示すブロック図である。図14に示すように、制御部200aは表示制御部218と、操作受付部219とを有する。
【0106】
表示制御部218は、読取データに含まれる第1パターンと印刷データとを合成部214が合成した合成データを、画像形成装置103aの操作パネルやクライアントPC101のディスプレイに表示させる。この合成データは、例えば図8(b)に示したパターンデータと印刷データの合成データ等である。画像形成システム100のユーザは、合成データを視認することで、重複パターンの補正を行うか否かを判断できる。
【0107】
操作受付部219は、重複パターンの補正を行うか否かの判断結果に応じてユーザが行う操作を受け付ける。制御部200aは、操作受付部219が受け付けた操作に応じて重複パターンの補正を行うことができる。
【0108】
<画像形成装置103aの作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、読取データに含まれる第1パターンと、印刷データとを合成した合成データを画像形成装置103aの操作パネルやクライアントPC101のディスプレイ等に表示させる。これにより、合成データを視認したユーザの判断に応じて補正可能にし、よりユーザの要望に沿って重複パターンを補正することができる。なお、これ以外の効果は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0109】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0110】
本実施形態では、第1パターンが印刷された用紙Pを事前に読取部で読み取り、第1パターンに含まれる枠線等に基づき、記録媒体における画像形成領域又は画像形成してはいけない領域を判断したマスターデータ、又は第1パターンの元となる画像データから記録媒体における画像形成領域又は画像形成してはいけない領域を判断したマスターデータを作成し、DFE102のHDD/SSD204(図2参照)等に記憶しておく。
【0111】
画像形成時に、HDD/SSD204等を参照して取得したマスターデータに基づき、第2パターンの画像データから文字又は画像等の位置及び配置を判断し、文字又は画像等が画像形成領域に入るように、或いは枠線等に重ならないように位置を調整してから、記録媒体に第2パターンの画像を形成する。
【0112】
例えば、事前に読取部307で読み取られた読取データに含まれる第1パターン又は第1パターンの元となる画像データから生成された第1パターンを、DFE102のHDD/SSD204等に記憶する。
【0113】
画像データに含まれる第2パターンと、画像データのファイル名等から選択した第1パターンとで、第2パターンのうち、第1パターンに重なる重複パターンの画像データ内における位置を補正する。
【0114】
このようにすることで、用紙Pに形成された第1パターン、又は印刷データに含まれる第2パターンが所定位置からずれていても、第1パターンと第2パターンが重ならないようにすることができる。また、第1パターンと第2パターンが重ならないことで、用紙Pに形成された画像をOCR等で認識する際の認識エラーを防止することができる。
【0115】
なお、第1パターンが印刷された用紙Pを事前に読み取る読取部は、画像形成装置103の読取部307であってもよいし、別の装置の読取部であってもよい。
【0116】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0117】
なお、上述した実施形態では、画像形成装置103が制御部200を備え、画像形成装置103aが制御部200aを備える構成を例示したが、これに限定されるものではない。制御部200、又は200aが備える機能の一部、又は全部をDFE102が備えるように構成することもできる。或いは制御部200、又は200aが備える機能の一部、又は全部を外部装置が備える構成にしてもよい。外部装置は例えばクラウドサーバである。
【0118】
また、上述した実施形態では、電子写真方式の画像形成装置を備える画像形成システムについて説明したが、インクジェット方式等の他方式の画像形成装置を備える画像形成システムにも適用可能である。
【0119】
また、実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0120】
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0121】
また、実施形態は、画像形成方法も含む。例えば画像形成方法は、第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、前記第2パターンを含む画像を形成する画像形成方法であって、前記記録媒体における前記第1パターンを読み取る工程と、前記第2パターンのうち、前記読み取る工程での読取データに含まれる前記第1パターンに重なる重複パターンの、前記印刷データ内での位置を補正する工程と、を行う。このような画像形成方法により、上述した画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0122】
また、実施形態は、プログラムも含む。例えばプログラムは、第1パターンが形成された記録媒体に、第2パターンを含む印刷データに基づき、前記第2パターンを含む画像を形成する画像形成装置で動作するプログラムであって、前記記録媒体における前記第1パターンを読み取り、前記第2パターンのうち、読取データに含まれる前記第1パターンに重なる重複パターンの、前記印刷データ内での位置を補正する処理をコンピュータに実行させる。このようなプログラムにより、上述した画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0123】
さらに、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0124】
100 画像形成システム
101 クライアントPC
102 DFE
103 画像形成装置
104 管理サーバ
200 制御部
211 印刷データ入力部
212 読取データ入力部
213 抽出部
214 合成部
215 特定部
216 補正部
217 出力部
218 表示制御部
219 操作受付部
307 読取部
406 インラインセンサ
500 第1パターン
501 日付け記入欄
502 金額記入欄
600 第2パターン
601 日付け文字パターン
602 金額文字パターン
610 日付け文字パターン(重複パターンの一例)
611 日付け文字パターン(重複パターンの一例)
810~814 金額文字記入欄(枠図形の一例)
815 チェック欄(枠図形の一例)
910 金額文字パターン(重複パターンの一例)
914 金額文字パターン(重複パターンの一例)
915 チェックマーク(重複パターンの一例)
P 用紙(記録媒体の一例)
P1 帳票用紙
D 印刷データ
Pd パターンデータ
s 重なり量
c 補正量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【文献】特開2006-051647号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14