(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】フッ素樹脂の表面改質方法
(51)【国際特許分類】
C08F 259/08 20060101AFI20240806BHJP
C08F 2/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C08F259/08
C08F2/00 C
(21)【出願番号】P 2021549074
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2020036399
(87)【国際公開番号】W WO2021060511
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2019177652
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 隆一
(72)【発明者】
【氏名】星野 泰輝
(72)【発明者】
【氏名】室谷 英介
(72)【発明者】
【氏名】音澤 信行
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0303702(US,A1)
【文献】OKAMURA, Hirokazu et. al.,Generation of Radical Species on Polypropylene by Alkylborane-Oxygen System and Its Application to Graft Polymerization,Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry,2009年11月05日,Vol. 47, No. 22,6163-6167
【文献】ZHAO Chao et. al.,Surface modification of polypropylene with poly(metyl methacrylate) initiated by a diethylzinc and 1,10-phenanthroline complex,Reactive and Functional Polymers,2018年09月20日,Vol. 132,127-132
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 259/08
C08F 2/00
C08J 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1~6のアルキル基を有する、ジアルキル亜鉛1,10-フェナントロリン錯体、ジアルキル亜鉛2,2’-ビピリジン錯体及びトリアルキルホウ素からなる群から選択される少なくとも1種の有機金属化合物の存在下で
、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体及びビニリデンフルオリド重合体からなる群から選択される少なくとも1種のフッ素樹脂を
、ラジカル反応性化合物と
5~65℃の反応温度で反応させる、フッ素樹脂の表面改質方法。
【請求項2】
前記フッ素樹脂がフィルム状又は粒子状である、請求項1に記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
【請求項3】
前記有機金属化合物が、ジエチル亜鉛1,10-フェナントロリン錯体、ジエチル亜鉛2,2’-ビピリジン錯体及びトリブチルホウ素からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1
又は2に記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
【請求項4】
前記ラジカル反応性化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、N-置換(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、ビニルエーテル、芳香族系ビニル化合物及び複素環系ビニル化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~
3のいずれか1項に記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
【請求項5】
前記有機金属化合物及び助触媒の存在下で、前記フッ素樹脂を前記ラジカル反応性化合物と反応させる、請求項1~
4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
【請求項6】
前記助触媒が分子状酸素である、請求項
5に記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素樹脂の表面改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂は、化学的安定性及び熱的安定性に優れるとともに、摩擦係数が低いという特徴を有する。これらの特徴から、フッ素樹脂は、エレクトロニクス分野、バイオテクノロジー分野及び医療分野を初めとする様々な分野での応用が期待されている。
フッ素樹脂は他の材料と複合化して用いることがある。しかし、フッ素樹脂は表面エネルギーが低く、化学的に安定であるため、他の材料との接着性が低い。フッ素樹脂の性能を最大限に引き出すためには、使用目的に適した表面改質技術の開発が不可欠である。
【0003】
非特許文献1には、物理吸着フリーラジカルグラフト技術により、両性イオンモノマーであるスルホベタインメタクリレート(SBMA)をポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜の表面にグラフトして、親水性を向上することが記載されている。
【0004】
非特許文献1に記載されたフッ素樹脂の表面改質方法は、アゾイソブチルニトリル(AIBN)の存在下で、フッ素樹脂フィルムの表面に親水性基を有するラジカル反応性化合物をグラフトするものである。この方法は、(1)親水性基を有する含フッ素ポリマーを用いてフィルムを構成する場合に比べて、フッ素樹脂の性能を損ないにくい、(2)フッ素樹脂フィルムの表面にコーティングを施す場合に比べて、耐久性が優れ、かつ、プラズマ処理、コロナ処理等のコーティングの前処理を行う必要がないので、生産性が高い、(3)電子線、放射線等を用いるグラフト重合を行う場合に比べて、人体及び環境への負荷が小さく、かつ、フッ素樹脂フィルムの劣化を抑制できる、などの利点を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Li, Mi-Zi、外6名、Grafting zwitterionic brush on the surface of PVDF membrane using physisorbed free radical grafting technique、Journal of Membrane Science、2012年7月、第405-406巻、p.141-148
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、非特許文献1に記載されたフッ素樹脂の表面改質方法は、70℃以上の高温でグラフト重合を行うため、副反応を起こしやすい。
【0007】
本発明は、従来よりも低温でグラフト重合が可能な、フッ素樹脂の表面改質方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 有機金属化合物の存在下でフッ素樹脂をラジカル反応性化合物と反応させる、フッ素樹脂の表面改質方法。
[2] 前記フッ素樹脂がフィルム状又は粒子状である、[1]に記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
[3] 前記フッ素樹脂が、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)-テトラフルオロエチレン共重合体、ビニリデンフルオリド重合体、ビニルフルオリド重合体、ビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリド共重合体、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ビニリデンフルオリド-プロピレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、及びプロピレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
[4] 前記有機金属化合物が、12族元素、13族元素及び15族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
[5] 前記有機金属化合物が、ジアルキル亜鉛錯体及びトリアルキルホウ素からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
[6] 前記有機金属化合物が、ジエチル亜鉛1,10-フェナントロリン錯体、ジエチル亜鉛2,2’-ビピリジン錯体及びトリブチルホウ素からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[5]のいずれか1つに記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
[7] 前記ラジカル反応性化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、N-置換(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、ビニルエーテル、芳香族系ビニル化合物及び複素環系ビニル化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
[8] 前記フッ素樹脂と前記ラジカル反応性化合物とを、5~65℃の反応温度で反応させる、[1]~[7]のいずれか1項に記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
[9] 前記有機金属化合物及び助触媒の存在下で、前記フッ素樹脂を前記ラジカル反応性化合物と反応させる、[1]~[8]のいずれか1つに記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
[10] 前記助触媒が分子状酸素である、[9]に記載のフッ素樹脂の表面改質方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来よりも低温でグラフト重合が可能な、フッ素樹脂の表面改質方法を提供できる。
【0010】
また、本発明によれば、フッ素樹脂の表面へのラジカル反応性化合物のグラフト率を、より適切な範囲内に制御できる。
また、本発明によれば、フッ素樹脂フィルムの変形を抑制しつつ、フッ素樹脂フィルムの表面を改質できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、例3のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図2】
図2は、例6のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図3】
図3は、例7のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図4】
図4は、例3、6、7のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図5】
図5は、例8のグラフト重合前後のPVDFフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図6】
図6は、例9のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図7】
図7は、例10のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図8】
図8は、例12のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図9】
図9は、例13のグラフト重合前後のPVDFフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図10】
図10は、例14のグラフト重合前後のPFAフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図11】
図11は、例15のグラフト重合前後のETFE粒子のFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図12】
図12は、例17のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図13】
図13は、例17のグラフト重合前後のETFEフィルムの外観を示す写真である(左:グラフト重合前、右:グラフト重合後)。
【
図14】
図14は、例18のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図15】
図15は、例18のグラフト重合後のETFEフィルムの外観を示す写真である。
【
図16】
図16は、例20のグラフト重合前後のPFAフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図17】
図17は、例21のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【
図18】
図18は、例22(トルエン使用)、例23(溶媒不使用)のグラフト重合前後のPTFEフィルムのFT-IR測定結果を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の両側の数値を含むものとする。
「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルを包含する。同様に、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートを包含する。また、同様に、「(メタ)アクリロニトリル」はアクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包含する。
【0013】
[フッ素樹脂の表面改質方法]
本発明のフッ素樹脂の表面改質方法は、有機金属化合物の存在下でフッ素樹脂をラジカル反応性化合物と反応させることを特徴とする。
【0014】
<フッ素樹脂>
前記フッ素樹脂は、フッ素原子を含むオレフィンに由来する単位を含むポリマーである。
前記フッ素樹脂の具体例は、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)-テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)、ビニリデンフルオリド重合体(PVDF)、ビニルフルオリド重合体、ビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリド共重合体、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ビニリデンフルオリド-プロピレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びプロピレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体である。
【0015】
前記フッ素樹脂としては、これらのフッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ETFE、PFA、PVDF及びPTFEからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、ETFEが特に好ましい。
ETFE、PFA及びPVDFは、機械強度、耐熱性及び成形性に優れており、広範な用途に使用できる。なかでも、ETFEは、優れた耐薬品性と電気的性質を保持しつつ、機械的特性と成形加工性を兼ね備え、バランスのとれたフッ素樹脂である。
【0016】
前記フッ素樹脂の形状は、フィルム状又は粒子状のいずれでもよい。
前記フッ素樹脂がフィルム状である場合、フィルムの厚みは、10~1000μmが好ましく、12~500μmがより好ましく、15~200μmがさらに好ましい。フィルムの厚みがこの範囲内であると、フィルムの強度と柔軟性のバランスが良いために取り扱いやすく、フッ素樹脂の特性をより発揮しやすい。
ここで、フッ素樹脂のフィルムの厚みは、マイクロメーターによる測定値である。
【0017】
前記フッ素樹脂が粒子状である場合、粒子の平均粒子径は、0.1~1000μmが好ましく、0.5~500μmがより好ましく、1~200μmがさらに好ましい。粒子の平均粒子径がこの範囲内であると、加工性や取り扱いやすさに優れ、フッ素樹脂の特性をより発揮しやすい。
ここで、フッ素樹脂の粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱法等によって測定される。
【0018】
<ラジカル反応性化合物>
前記ラジカル反応性化合物は、ラジカル連鎖反応によって重合反応が進行する化合物である。
前記ラジカル反応性化合物の具体例は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、N-置換(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、ビニルエーテル、芳香族系ビニル化合物及び複素環系ビニル化合物である。
【0019】
前記ラジカル反応性化合物としては、これらの化合物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン及びN-ビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、 (メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート及びN-ビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましく、メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
アクリル系の化合物、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル及びN-置換(メタ)アクリルアミドは、多様な化合物を入手しやすいとともに重合も容易であることから、求める表面状態に応じた化合物を適宜選択することが容易であるため好ましい。
【0020】
前記ラジカル反応性化合物の使用量は、フッ素樹脂がフィルム状である場合、被処理面の表面積1m2あたり、0.001~1000モルが好ましく、0.01~500モルが好ましく、0.05~400モルがさらに好ましい。なお、製造時のスケールが大きい場合等は、0.001~50モルが好ましく、0.01~20モルがより好ましく、0.05~10モルがさらに好ましい。フッ素樹脂が粒子状である場合、例えば平均粒子径が1~100μmの粒子である場合は、被処理面の表面積1m2あたり、0.0001~100モルが好ましく、0.001~50モルが好ましく、0.01~10モルがさらに好ましい。
前記ラジカル反応性化合物の使用量がこの範囲内であると、より短時間でグラフト重合を行える。
【0021】
<有機金属化合物>
前記有機金属化合物は、本発明のフッ素樹脂の改質方法において、ラジカル開始剤として機能する。前記有機金属化合物は、従来よりも低温、具体的には65℃以下の温度でラジカルを発生させられるものである。
前記有機金属化合物としては、IUPAC(国際純正・応用化学連合)周期表の12族元素、13族元素及び15族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むものが好ましい。前記12族元素の例は亜鉛、カドミウム及び水銀であり、前記13族元素の例はホウ素及びアルミニウムであり、前記15族元素の例はアンチモンである。
【0022】
前記有機金属化合物としては、ジアルキル亜鉛錯体及びトリアルキルホウ素からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。ジアルキル亜鉛錯体及びトリアルキルホウ素のアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、中でもエチル基及びブチル基が好ましい。ジアルキル亜鉛錯体及びトリアルキルホウ素としては、ジエチル亜鉛1,10-フェナントロリン錯体、ジエチル亜鉛2,2’-ビピリジン錯体及びトリブチルホウ素からなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましく、ジエチル亜鉛1,10-フェナントロリン錯体が特に好ましい。
ジアルキル亜鉛錯体及びトリアルキルホウ素は、アルキル基の炭素数や温度域により状態が異なる。例えば反応温度域において、ジエチル亜鉛1,10-フェナントロリン錯体は固体、トリブチルホウ素は液体である。液体の場合はそのまま反応に用いてもよく、溶媒で希釈して反応に用いてもよい。固体の場合は溶媒で希釈して反応に用いてもよく、ラジカル反応性化合物が液体である場合はそのまま反応に用いてもよい。そのまま反応に用いる場合、希釈されないため反応が進みやすい。
ジアルキル亜鉛錯体及びトリアルキルホウ素は、50℃以下の低温であっても、24時間以下の短時間で、グラフト重合を行える。
また、トリアルキルホウ素は、ラジカル反応性化合物やフッ素樹脂の種類を変えてもグラフト重合を行いやすいため、ラジカル開始剤として好ましい。
【0023】
有機金属化合物は、市販品を購入して使用するか、又は従来公知の合成方法によって合成して使用できる。例えば、ジエチル亜鉛1,10-フェナントロリン錯体(Phen-DEZ)は、後述する実施例に記載する方法によって、合成できる。
【0024】
前記有機金属化合物の使用量は、前記ラジカル反応性化合物の1molに対して、0.001~1モルが好ましく、0.001~0.5モルがより好ましく、0.005~0.05モルがさらに好ましい。
【0025】
<助触媒>
本発明のフッ素樹脂の改質方法は、前記有機金属化合物及び助触媒の存在下で、前記フッ素樹脂を前記ラジカル反応性化合物と反応させてもよい。
前記助触媒を用いると、前記有機金属化合物からのラジカル生成を促進又は調整できる。
前記助触媒の例は、金属酸化物、アルコール、キノン類、ヒドロキノン類、酸素、二硫化炭素、アミン、水及び過酸化水素である。
前記助触媒としては、これらの化合物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、酸素がより好ましく、分子状酸素(O2)がさらに好ましい。
助触媒として酸素を用いると、ラジカル生成反応がより効率的に進行し、65℃以下の低温でも、より短時間でグラフト反応を行える。
【0026】
<溶媒>
本発明のフッ素樹脂の改質方法では、溶媒を用いてもよい。
前記溶媒は、前記有機金属化合物、前記ラジカル反応性化合物、使用する場合には前記助触媒、を溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。
前記溶媒としては、前記有機金属化合物を溶解又は分散できるものが好ましく、前記有機金属化合物の種類に応じて、適宜選択できる。
【0027】
例えば、前記有機金属化合物がジアルキル亜鉛錯体である場合は、トルエン、キシレン等の非極性溶媒が好ましい。
溶媒を用いる場合のジアルキル亜鉛錯体の濃度は、特に限定されないが、0.01~5.0Mが好ましく、0.02~3.0Mがより好ましく、0.05~2.0Mがさらに好ましい。
【0028】
また、例えば、前記有機金属化合物がトリアルキルホウ素である場合は、前記トリアルキルホウ素をヘキサン等の非極性の有機溶媒に溶解した後、界面活性剤を含む水と混合して、水中油型エマルションとして用いることが好ましい。前記界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)等を使用できる。前記界面活性剤の濃度は、特に限定されないが、0.001~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましく、0.01~1.0質量%がさらに好ましい。
溶媒を用いる場合のトリアルキルホウ素の濃度は、特に限定されないが、0.01~5.0Mが好ましく、0.02~3.0Mがより好ましく、0.05~2.0Mがさらに好ましい。
【0029】
前記溶媒の使用量は、特に限定されないが、多すぎると前記有機金属化合物及び前記ラジカル反応性化合物の濃度が低下するため、反応速度が小さくなり、好ましくない。
本発明のフッ素樹脂の改質方法においては、前記有機金属化合物が反応温度域で液体であれば、溶媒を使用しないことが望ましい。
【0030】
<反応条件>
反応温度は、65℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましく、55℃以下がさらに好ましい。反応温度の下限は、特に限定されないが、通常、0℃であり、好ましくは5℃である。
【0031】
反応時間は、0.1~36時間が好ましく、0.2~24時間がより好ましく、0.5~18時間がさらに好ましく、1~12時間が特に好ましい。反応時間は、前記有機金属化合物及び前記ラジカル反応性化合物の種類及び量、反応温度等によって、適宜設定できる。
【0032】
反応雰囲気は、非酸化的雰囲気が好ましい。非酸化的雰囲気は、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気又は水素ガス雰囲気が好ましい。非酸化的雰囲気でグラフト反応を行うことによって、副生物の生成をより抑制できる。
【0033】
<グラフト率>
本発明のフッ素樹脂の表面改質方法によって達成されるグラフト率は、通常、0.0005~25%であり、0.001~20%が好ましく、0.001~10%がより好ましい。
ここで、グラフト率は、以下の式によって求めたものである。
グラフト率(%)={(表面改質後のフッ素樹脂の質量-表面改質前のフッ素樹脂の質量)/表面改質前のフッ素樹脂の質量}×100(%)
【0034】
[表面改質フッ素樹脂]
本発明のフッ素樹脂の表面改質方法によって得られる表面改質フッ素樹脂(以下「本発明の表面改質フッ素樹脂」という。)は、フッ素樹脂の表面にラジカル反応性化合物がグラフトしたものである。
【0035】
本発明の表面改質フッ素樹脂の表面は、未処理のフッ素樹脂の表面に比べて、表面特性が変化する。
具体的には、本発明の表面改質フッ素樹脂の表面の水に対する接触角(以下、単に「水接触角」という場合がある。)は、未処理のフッ素樹脂の表面の水接触角よりも小さい。
本発明の表面改質フッ素樹脂の表面の水接触角は、通常、95°未満であり、90°以下が好ましく、80°以下がより好ましく、70°以下がさらに好ましい。
ここで、水接触角は、基材表面に置いた、約2μLの蒸留水の接触角を、25℃、50%RHの条件下にて、接触角測定装置(Testing Machines Inc.社製PGX)を用いて測定して得られた値である。
【0036】
また、本発明の表面改質フッ素樹脂の吸水量は、未処理のフッ素樹脂の吸水量よりも大きい。
本発明の表面改質フッ素樹脂の吸水量は、本発明の表面改質樹脂の1gが吸水できる水のグラム数で表し、0.05g/g以上が好ましく、0.1g/g以上がより好ましく、0.4g/g以上がさらに好ましい。吸水量の上限は、特に限定されないが、通常、1g/gである。
吸水量(g/g)は以下の式により算出する。
吸水量(g/g)=(吸水後のフッ素樹脂の質量-吸水前のフッ素樹脂の質量)/吸水前のフッ素樹脂の質量 (g/g)
本発明のフッ素樹脂の表面改質方法では、フッ素樹脂の表面にラジカル反応性化合物をグラフトするため、吸水量を大きくするためには、フッ素樹脂の1kgあたりの表面積を大きくすることが好ましい。例えば、粒子状のフッ素樹脂を用いて、粒子の平均粒子径を小さくすると、1kgあたりの表面積を大きくできる。
【実施例】
【0037】
以下では、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明は、後述する実施例
に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変形が可能である。
なお、例1~13、15、21は実施例に相当し、例14、19、20、22、23は参考例に相当し、例16~18は比較例に相当する。
【0038】
実施例において使用する略語は以下のとおりである。
・フッ素樹脂
ETFE・・・エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体
PVDF・・・ビニリデンフルオリド重合体
PFA ・・・ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)-テトラフルオロエチレン共重合体
PTFE・・・ポリテトラフルオロエチレン
・開始剤
Phen-DEZ・・・ジエチル亜鉛1,10-フェナントロリン錯体
TBB ・・・トリブチルホウ素
BPO ・・・リン酸ホウ素
AIBN ・・・アゾビスイソブチロニトリル
・ラジカル反応性化合物
MMA・・・メチルメタクリレート
GMA・・・グリシジルメタクリレート
VP ・・・ビニルピロリドン
AA ・・・アクリル酸
【0039】
[Phen-DEZの合成]
アルゴン雰囲気下、50mLの二つ口フラスコに1,10-フェナンスロリンの1.08g及びヘキサンの15mLを加え、23℃で撹拌した。次いで、フラスコ内にジエチル亜鉛の0.7mLを滴下し、さらに24時間撹拌した。撹拌後、析出した赤橙色の粉末状固体をろ取し、12時間真空乾燥して、1,10-フェナンスロリンージエチル亜鉛錯体(Phen-DEZ)の1.64g(収率85%)を得た。
【0040】
[例1]
グラフト重合はアルゴンガス雰囲気で行った。10mm×10mmのETFEフィルム(Fluon(登録商標) ETFE、AGC社製;厚み100μm)を、Phen-DEZの0.40mmol(120mg)及びMMAの40mmolを混合した反応液に浸漬した。撹拌しながら、Phen-DEZと等モル(0.40mmol)の分子状酸素(O2)を加え、23℃で18時間撹拌を続けた。ETFEフィルムを引き上げ、グラフトしていないMMAを除去するため、クロロホルムを用いて12時間ソックスレー抽出を行った。フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)による測定(測定条件は後述する)で、MMA由来のC=O吸収ピークが確認できた。また、走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)による測定で、ポリマー表面にO原子のピークが確認できた。
グラフト率は、FT-IRによる測定で、MMA由来のC=Oの吸収ピークを確認したうえで、下記式によって算出した。
グラフト率(%)={(表面改質後のフッ素樹脂の質量-表面改質前のフッ素樹脂の質量)/表面改質前のフッ素樹脂の質量}×100(%)例1において、「表面改質後のフッ素樹脂」はグラフト重合後のETFEフィルムを、「表面改質前のフッ素樹脂」はグラフト重合前のETFEフィルムを意味する。
FT-IRの測定は、日本分光社製FT/IR-480 plusを用い、透過法により測定した。
【0041】
[例2~4]
反応温度及び反応時間を表1に示すように変更した点を除いて、例1と同様にして、グラフト重合を行った。
グラフト率を算出して、表1の「グラフト率」の欄に示した。
例4について、表面改質を行ったETFEフィルムの表面の水接触角を求めた。結果を表1の「水接触角」の欄に示した。
水接触角の測定方法は、上述した方法に従った。
図1~4に、例3、6、7のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示す。
【0042】
[例5]
溶媒としてトルエンの2.0mLを使用した点を除いて、例4と同様にして、グラフト重合を行った。
グラフト率を算出して、表1の「グラフト率」の欄に示した。
【0043】
[例6、7]
ラジカル反応性化合物を表1に示すとおりGMA又はVPに変更し、反応温度及び反応時間を表1に示すように変更した点を除いて、例1と同様にして、グラフト重合を行った。
グラフト率を算出して、表1の「グラフト率」の欄に示した。
【0044】
[例8]
ETFEフィルムに代えて、PVDFフィルム(Kynar(登録商標) PVDF、ARKEMA社製;厚み130μm)を使用し、反応温度及び反応時間を表1に示すように変更した点を除いて、例1と同様にして、グラフト重合を行った。
グラフト率を算出して、表1の「グラフト率」の欄に示した。
例8では、PVDFフィルムの厚みは、グラフト重合前は120μmであったが、グラフト重合後には130μmに増加していた。
図5に、例8のグラフト重合前後のPVDFフィルムのFT-IR測定結果を示す。
【0045】
[例9~11]
Phen-DEZに代えて、TBB(濃度0.1Mのヘキサン溶液)を表1に示す量で用いた点、ラジカル反応性化合物としてVPを表1に示す量で用いた点、溶媒としてSDS水溶液(20gのSDSを100mLの水溶液中に含む)を表1に示す量で用いた点、反応温度及び反応時間を表1に示すように変更した点を除いて、例1と同様にしてグラフト重合を行った。
例11について算出したグラフト率を表1の「グラフト率」の欄に示す。
図6に、例9のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示す。
図7に、例10のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示す。
【0046】
[例12~14]
表1に示すようにETFEフィルム、PVDFフィルム又はPFAフィルム(Fluon(登録商標) PFA、AGC社製;厚み100μm)を用いた点、Phen-DEZに代えて、TBB(濃度1.0Mのヘキサン溶液)を表1に示す量で用いた点、反応温度及び反応条件を表1に示すように変更した点を除いて、例1と同様にしてグラフト重合を行った。
算出したグラフト率を表1の「グラフト率」の欄に示す。
例12では、ETFEフィルムの厚みは、グラフト重合前は100μmであったが、グラフト重合後には120μmに増加していた。
例13では、PVDFフィルムの厚みは、グラフト重合前は120μmであったが、グラフト重合後には132μmに増加していた。
例14では、PFAフィルムの厚みは、グラフト重合前は100μmであったが、グラフト重合後には105μmに増加していた。
図8に、例12のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示す。
図9に、例13のグラフト重合前後のPVDFフィルムのFT-IR測定結果を示す。
図11に、例14のグラフト重合前後のPFAフィルムのFT-IR測定結果を示す。
【0047】
[例15]
グラフト重合はアルゴン雰囲気で行った。215mgのETFEパウダー(Fluon(登録商標) ETFE C-88AXX、AGC社製、平均粒子径100μm)をフラスコに入れ、Phen-DEZの120mg、MMAの3.77g、溶媒を加えた。撹拌しながらPhen-DEZと等モル量の酸素を加え、50℃で24時間撹拌を続けた。ETFEパウダーをろ取し、グラフトしていないポリマーを除くため、クロロホルムを用いて12時間ソックスレー抽出を行った。FT-IRの測定結果よりPMMA由来のC=O吸収ピークが確認できた。また、SEM-EDXの測定により、ポリマー表面にO原子のピークが確認できた。
図11に、例15のグラフト重合前後のETFE粒子のFT-IR測定結果を示す。
【0048】
[例16]
10mm×10mmのETFEフィルム(Fluon(登録商標) ETFE、AGC社製;厚み100μm)を、表面改質せずに用いた。
測定した水接触角を表1の「水接触角」の欄に示す。
以下の式によって算出した吸水量を表1の「吸水量」の欄に示す。
吸水量(g/g)=(吸水後のフッ素樹脂の質量-吸水前のフッ素樹脂の質量)/吸水前のフッ素樹脂の質量
【0049】
[例17、18]
開始剤として表1に示すとおりBPO又はAIBNを用いた点、ラジカル反応性化合物(MMA)及び溶媒(トルエン)の使用量を表1に示す量とした点、助触媒(O
2)を使用しなかった点及び表1に示すとおり反応温度及び反応時間を変更した点を除いて、例1と同様にしてグラフト重合を行った。
算出したグラフト率を表1の「グラフト率」の欄に示す。
図12に、例17のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示す。
図13に、例17のグラフト重合前後のETFEフィルムの外観を示す(左:グラフト重合前、右:グラフト重合後)。
図14に、例18のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示す。
図15に、例18のグラフト重合後のETFEフィルムの外観を示す。
【0050】
[例19、20]
例19は、助触媒(O2)を使用しなかった点を除いて、例14と同様にしてグラフト重合を行った。算出したグラフト率を表1の「グラフト率」の欄に示す。
例20は、溶媒としてトルエンの6.0mLを使用した点を除いて、例14と同様にしてグラフト重合を行った。算出したグラフト率を表1の「グラフト率」の欄に示す。
【0051】
[例21]
例21は、表1に示すようにラジカル反応性化合物を表1に示すとおりGMAに変更し、Phen-DEZに代えて、TBB(濃度1.0Mのヘキサン溶液)を表1に示す量で使用し、溶媒としてトルエンの4.0mLを使用し、反応温度及び反応時間を表1に示すように変更した点を除いて、例1と同様にして、グラフト重合を行った。算出したグラフト率を表1の「グラフト率」の欄に示す。
【0052】
[例22、23]
表1に示すようにPTFEフィルム(7-358-02 ナフロン(登録商標)テープ(PTFE)、ニチアス社製;厚み0.1mm))を用いた点、Phen-DEZに代えて、TBB(濃度1.0Mのヘキサン溶液)を表1に示す量で用いた点、反応温度及び反応条件を表1に示すように変更した点を除いて、例1と同様にしてグラフト重合を行った。
算出したグラフト率を表1の「グラフト率」の欄に示す。
【0053】
図16に、例20のグラフト重合前後のPFAフィルムのFT-IR測定結果を示す。
図17に、例21のグラフト重合前後のETFEフィルムのFT-IR測定結果を示す。
図18に、例22(トルエン使用)、例23(溶媒不使用)のグラフト重合前後のPTFEフィルムのFT-IR測定結果を示す。
【0054】
【0055】
なお、表1中の*1~*3は以下のとおりである。
TBB*1:TBBの0.1M濃度のn-ヘキサン溶液
TBB*2:TBBの1M濃度のn-ヘキサン溶液
SDS水溶液*3:SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の0.2質量%濃度の水溶液
【0056】
[結果の説明]
実施例に相当する例1~15、19~23は、65℃以下の低温でグラフト重合によるフッ素樹脂の表面改質を行うことができた。フッ素樹脂のフィルムに反り等の外観上の変化は認められなかった。
比較例に相当する例17、18は、70℃以上の高温でグラフト重合によるフッ素樹脂の表面改質を行ったが、グラフト率が高すぎたうえ、フィルムに反りが認められた。
比較例に相当する例16は、未処理のETFEフィルムである。水接触角は95°であり、表面の親水性が低かった。また、吸水量は0.029g/gであり、吸水性が低かった。
実施例に相当する例4では、水接触角を66°まで小さくでき、親水性が向上した。
実施例に相当する例11では、吸水量を0.473g/gまで大きくでき、吸水性が向上した。
【0057】
なお、2019年9月27日に出願された日本特許出願2019-177652号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。