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特許7533895ガラス製品の製造装置、ガラス製品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ガラス製品の製造装置、ガラス製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/085 20060101AFI20240806BHJP
   C03B 5/182 20060101ALI20240806BHJP
   C03B 37/092 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C03B37/085
C03B5/182
C03B37/092
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021071377
(22)【出願日】2021-04-20
(65)【公開番号】P2022165839
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】305040569
【氏名又は名称】ユニチカグラスファイバー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509352945
【氏名又は名称】田中貴金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176337
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】澤井 陸
(72)【発明者】
【氏名】関田 知喜
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 崇治
(72)【発明者】
【氏名】長沼 努
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純平
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-131363(JP,A)
【文献】特表2001-513478(JP,A)
【文献】特開平11-79779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0146351(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 37/00-37/16,5/182
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス材料が投入される投入口と、
前記投入口と繋がり、前記投入口に投入された前記ガラス材料を溶融することによって溶融ガラスを生成するガラス溶融炉と、
前記ガラス溶融炉の下方に設けられ、前記溶融ガラスを吐出するノズルと、
前記ガラス溶融炉の内部空間を上下方向に仕切る仕切部材と、
前記ガラス溶融炉を介して対向するように前記ガラス溶融炉の壁部に設けられ、前記ガラス溶融炉、前記ノズル、および、前記仕切部材を加熱する一対の加熱部と、を備え、
前記仕切部材は、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられ、上方仕切部材、および、前記上方仕切部材よりも下方に設けられる下方仕切部材を含み、
前記上方仕切部材は、板状であり、長手方向の両端部が前記壁部に接合され、中央部から前記両端部に向かうにつれて上方に傾斜するように構成され、
前記下方仕切部材は、板状であり、中央部、長手方向の端部を含む長手端部領域、ならびに、前記中央部および前記長手端部領域に設けられ、前記下方仕切部材を貫通する下方開口部を含み、
前記長手端部領域における前記下方開口部の開口率は、前記中央部における前記下方開口部の開口率よりも高い
ガラス製品の製造装置。
【請求項2】
前記下方開口部は、平面視において、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って延びる第1種下方開口部、および、前記一対の加熱部が並ぶ方向と交差する方向に延びる第2種下方開口部を含む
請求項1に記載のガラス製品の製造装置。
【請求項3】
前記上方仕切部材は、前記上方仕切部材を貫通する複数の上方開口部を含み、
前記複数の上方開口部は、平面視において、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられる
請求項1または2に記載のガラス製品の製造装置。
【請求項4】
前記上方仕切部材は、前記中央部を含んで長手方向に延びる上方中央領域を含み、平面視における前記一対の加熱部が並ぶ方向と垂直な方向において、前記複数の上方開口部の開口率は、前記上方中央領域から短手方向の端部に向かうにつれて減少するように設定される
請求項3に記載のガラス製品の製造装置。
【請求項5】
前記下方仕切部材は、前記中央部を含んで長手方向に延びる下方中央領域を含み、平面視における前記一対の加熱部が並ぶ方向と垂直な方向において、前記下方開口部の開口率は、前記下方中央領域から短手方向の端部に向かうにつれて減少するように設定される
請求項1~4のいずれか一項に記載のガラス製品の製造装置。
【請求項6】
ガラス材料が投入される投入口と、
前記投入口と繋がり、前記投入口に投入された前記ガラス材料を溶融することによって溶融ガラスを生成するガラス溶融炉と、
前記ガラス溶融炉の下方に設けられ、前記溶融ガラスを吐出するノズルと、
前記ガラス溶融炉の内部空間を上下方向に仕切る仕切部材と、
前記ガラス溶融炉を介して対向するように前記ガラス溶融炉の壁部に設けられ、前記ガラス溶融炉、前記ノズル、および、前記仕切部材を加熱する一対の加熱部と、を備え、
前記仕切部材は、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられ、上方仕切部材、および、前記上方仕切部材よりも下方に設けられる下方仕切部材を含み、
前記上方仕切部材は、板状であり、長手方向の両端部が前記壁部に接合され、中央部から前記両端部に向かうにつれて上方に傾斜するように構成され、前記上方仕切部材を貫通する複数の上方開口部を含み、
前記複数の上方開口部は、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられる
ガラス製品の製造装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のガラス製品の製造装置を用いる、ガラス製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製品の製造装置、および、これを用いるガラス製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製品を製造する製造装置が知られている。例えば、特許文献1は、ガラス製品の一例であるガラス繊維を製造する製造装置を開示している。特許文献1に記載の製造装置は、ガラス材料が投入される投入口、投入口と繋がり、投入口に投入されたガラス材料を溶融することによって溶融ガラスを生成するガラス溶融炉、および、ガラス溶融炉の下方に設けられ、溶融ガラスを吐出するノズルを備える。特許文献1に記載の製造装置は、さらに、ガラス溶融炉の内部空間を上下方向に仕切る仕切部材、および、ガラス溶融炉を介して対向するようにガラス溶融炉の壁部に設けられ、ガラス溶融炉、ノズル、および、仕切部材を加熱する一対の加熱手段を備える。仕切部材は、一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられ、第1部材、および、第1部材よりも下方に設けられる第2部材を備える。第1部材の長手方向の両端部は、開口が設けられる。第2部材は、長手方向に沿って複数の開口が設けられる。投入口から投入されたガラス材料は、溶融ガラスとなり、第1部材の開口、および、第2部材の開口を通過して、ノズルから吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-131363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ガラス製品の製造装置では、第2部材の長手方向の両端部は、中央よりも一対の加熱手段との距離が近いため、中央よりも温度が高くなりやすい、換言すれば、第2部材の温度が不均一となりやすい。溶融ガラスの繊維径の分布のばらつきが発生するため、より品質の高いガラス製品を製造する点において、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、より品質の高いガラス製品を製造できるガラス製品の製造装置、および、ガラス製品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に関するガラス製品の製造装置は、ガラス材料が投入される投入口と、前記投入口と繋がり、前記投入口に投入された前記ガラス材料を溶融することによって溶融ガラスを生成するガラス溶融炉と、前記ガラス溶融炉の下方に設けられ、前記溶融ガラスを吐出するノズルと、前記ガラス溶融炉の内部空間を上下方向に仕切る仕切部材と、前記ガラス溶融炉を介して対向するように前記ガラス溶融炉の壁部に設けられ、前記ガラス溶融炉、前記ノズル、および、前記仕切部材を加熱する一対の加熱部と、を備え、前記仕切部材は、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられ、上方仕切部材、および、前記上方仕切部材よりも下方に設けられる下方仕切部材を含み、前記上方仕切部材は、板状であり、長手方向の両端部が前記壁部に接合され、中央部から前記両端部に向かうにつれて上方に傾斜するように構成され、前記下方仕切部材は、板状であり、中央部、長手方向の端部を含む長手端部領域、ならびに、前記中央部および前記長手端部領域に設けられ、前記下方仕切部材を貫通する下方開口部を含み、前記長手端部領域における前記下方開口部の開口率は、前記中央部における前記下方開口部の開口率よりも高い。
【0007】
上記ガラス製品の製造装置によれば、投入口から投入されたガラス材料は、溶融ガラスに変化し、上方仕切部材および下方仕切部材を通過してノズルから吐出される。下方仕切部材の中央部および長手端部領域に設けられる下方開口部の開口率が上記のように設定されているため、中央部よりも一対の加熱部に近い長手端部領域の発熱量が高くなりにくい。また、長手端部領域における溶融ガラスの流れ抵抗が大きくなりにくいため、長手端部領域に溶融ガラスが滞留しにくい。下方仕切部材の温度分布が均一になりやすいため、溶融ガラスの繊維径の分布のばらつきが抑制される。このため、より品質の高いガラス製品を製造できる。
【0008】
(2)好ましい例では(1)に記載のガラス製品の製造装置において、前記下方開口部は、平面視において、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って延びる第1種下方開口部、および、前記一対の加熱部が並ぶ方向と交差する方向に延びる第2種下方開口部を含む。
上記ガラス製品の製造装置によれば、下方開口部は、平面視において異なる方向に延びる第1種下方開口部および第2種下方開口部を含むため、第1種下方開口部または第2種下方開口部の一方のみが設けられる場合よりも、下方仕切部材の強度が低下しにくい。
【0009】
(3)好ましい例では(1)または(2)に記載のガラス製品の製造装置において、前記上方仕切部材は、前記上方仕切部材を貫通する複数の上方開口部を含み、前記複数の上方開口部は、平面視において、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられる。
【0010】
溶融ガラスが流れる過程で気泡が発生した場合、この気泡が溜まった部分において局所的に温度が高くなる。典型的な例では、気泡は、溶融ガラスの流速が速くなることによって発生しやすい。
【0011】
上記ガラス製品の製造装置によれば、上方仕切部材を通過する溶融ガラスは、上方仕切部材の長手方向、換言すれば、一対の加熱部が並ぶ方向における様々な箇所から上方開口部を通過できる。溶融ガラスの流れる方向は、一対の加熱部が並ぶ方向、および、一対の加熱部が並ぶ方向と交差する方向に分散される。このため、上方仕切部材を流れる溶融ガラスの流速が速くなりにくく、気泡が発生しにくい。また、上方仕切部材を流れる溶融ガラスに気泡が発生した場合であっても、気泡を含む溶融ガラスが上方開口部を通過した後、溶融ガラスから分離して上昇した気泡は、上方開口部を通過するため、上方仕切部材に気泡が付着しにくい。このように、上記ガラス製品の製造装置によれば、上方仕切部材に気泡が付着した状態が形成されにくいため、局所的に温度が高くなりにくい。上方仕切部材の温度分布が均一になりやすいため、溶融ガラスの繊維径の分布のばらつきが抑制される。このため、品質の高いガラス製品を製造できる。
【0012】
(4)好ましい例では(3)に記載のガラス製品の製造装置において、前記上方仕切部材は、前記中央部を含んで長手方向に延びる上方中央領域を含み、平面視における前記一対の加熱部が並ぶ方向と垂直な方向において、前記複数の上方開口部の開口率は、前記上方中央領域から短手方向の端部に向かうにつれて減少するように設定される。
【0013】
上方仕切部材の短手方向における溶融ガラスの流速は上方中央領域から短手方向の端部に向かうにつれて遅くなる。換言すれば、上方仕切部材の短手方向において、端部よりも上方中央領域の方が溶融ガラスに気泡が発生しやすい。上記ガラス製品の製造装置によれば、複数の上方開口部の開口率が上記のように設定されているため、上方中央領域において溶融ガラスに気泡が発生しにくい。
【0014】
(5)好ましい例では(1)~(4)のいずれか一項に記載のガラス製品の製造装置において、前記下方仕切部材は、前記中央部を含んで長手方向に延びる下方中央領域を含み、平面視における前記一対の加熱部が並ぶ方向と垂直な方向において、前記下方開口部の開口率は、前記下方中央領域から短手方向の端部に向かうにつれて減少するように設定される。
【0015】
下方仕切部材の短手方向における溶融ガラスの流速は下方中央領域から短手方向の端部に向かうにつれて遅くなる。換言すれば、下方仕切部材の短手方向において、端部よりも下方中央領域の方が溶融ガラスに気泡が発生しやすい。上記ガラス製品の製造装置によれば、複数の下方開口部の開口率が上記のように設定されているため、下方中央領域において溶融ガラスに気泡が発生しにくい。
【0016】
(6)本発明に関するガラス製品の製造装置は、ガラス材料が投入される投入口と、前記投入口と繋がり、前記投入口に投入された前記ガラス材料を溶融することによって溶融ガラスを生成するガラス溶融炉と、前記ガラス溶融炉の下方に設けられ、前記溶融ガラスを吐出するノズルと、前記ガラス溶融炉の内部空間を上下方向に仕切る仕切部材と、前記ガラス溶融炉を介して対向するように前記ガラス溶融炉の壁部に設けられ、前記ガラス溶融炉、前記ノズル、および、前記仕切部材を加熱する一対の加熱部と、を備え、前記仕切部材は、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられ、上方仕切部材、および、前記上方仕切部材よりも下方に設けられる下方仕切部材を含み、前記上方仕切部材は、板状であり、長手方向の両端部が前記壁部に接合され、中央部から前記両端部に向かうにつれて上方に傾斜するように構成され、前記上方仕切部材を貫通する複数の上方開口部を含み、前記複数の上方開口部は、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられる。
【0017】
溶融ガラスが流れる過程で気泡が発生した場合、この気泡が溜まった部分において局所的に温度が高くなる。典型的な例では、気泡は、溶融ガラスの流速が速くなることによって発生しやすい。
【0018】
上記ガラス製品の製造装置によれば、溶融ガラスは、複数の上方開口部のうちの任意の上方開口部を通過できる。溶融ガラスの流れる方向が一対の加熱部が並ぶ方向、および、一対の加熱部が並ぶ方向と交差する方向に分散されるため、上方仕切部材を流れる溶融ガラスの流速が速くなりにくく、気泡が発生しにくい。また、上方仕切部材を流れる溶融ガラスに気泡が発生した場合であっても、気泡を含む溶融ガラスが上方開口部を通過した後、溶融ガラスから分離して上昇した気泡は、上方開口部を通過するため、上方仕切部材に気泡が付着しにくい。このように、上記ガラス製品の製造装置によれば、上方仕切部材に気泡が付着した状態が形成されにくいため、局所的に温度が高くなりにくい。上方仕切部材の温度分布が均一になりやすいため、溶融ガラスの繊維径の分布のばらつきが抑制される。このため、品質の高いガラス製品を製造できる。
【0019】
(7)本発明に関するガラス製品の製造方法は、(1)~(6)のいずれか一項に記載のガラス製品の製造装置を用いる。
【0020】
上記ガラス製品の製造方法によれば、(1)~(6)のいずれか一項に記載のガラス製品の製造装置と同様の効果が得られる。
【0021】
(8)本発明に関するガラス製品の製造装置は、ガラス材料が投入される投入口と、前記投入口と繋がり、前記投入口に投入された前記ガラス材料を溶融することによって溶融ガラスを生成するガラス溶融炉と、前記ガラス溶融炉の下方に設けられ、前記溶融ガラスを吐出するノズルと、前記ガラス溶融炉の内部空間を上下方向に仕切る仕切部材と、前記ガラス溶融炉を介して対向するように前記ガラス溶融炉の壁部に設けられ、前記ガラス溶融炉、前記ノズル、および、前記仕切部材を加熱する一対の加熱部と、を備え、前記仕切部材は、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられ、上方仕切部材、および、前記上方仕切部材よりも下方に設けられる下方仕切部材を含み、前記下方仕切部材は、前記ガラス溶融炉と接合される被接合部、および、前記下方仕切部材を貫通する複数の下方開口部を含み、前記複数の下方開口部は、前記被接合部に沿って設けられる部分を含む。
【0022】
投入口から投入されたガラス材料は、溶融ガラスに変化し、上方仕切部材および下方仕切部材を通過してノズルから吐出される。溶融ガラスが流れる過程で気泡が発生した場合、この気泡が溜まった部分において局所的に温度が高くなる。典型的な例では、仕切部材とガラス溶融炉とが接合される部分において、気泡が溜まりやすい。
【0023】
上記ガラス製品の製造装置によれば、複数の下方開口部が被接合部に沿って設けられるため、下方仕切部材を流れる溶融ガラスに気泡が発生した場合であっても、気泡を含む溶融ガラスが下方開口部を通過した後、溶融ガラスから分離して上昇した気泡は、下方開口部を通過するため、下方仕切部材に気泡が付着しにくい。このように、上記ガラス製品の製造装置によれば、下方仕切部材に気泡が付着した状態が形成されにくいため、局所的に温度が高くなりにくく、下方仕切部材の温度分布が均一になりやすい。溶融ガラスの繊維径の分布のばらつきが抑制されるため、より品質の高いガラス製品を製造できる。
【0024】
(9)本発明に関するガラス製品の製造装置は、ガラス材料が投入される投入口と、前記投入口と繋がり、前記投入口に投入された前記ガラス材料を溶融することによって溶融ガラスを生成するガラス溶融炉と、前記ガラス溶融炉の下方に設けられ、前記溶融ガラスを吐出するノズルと、前記ガラス溶融炉の内部空間を上下方向に仕切る仕切部材と、前記ガラス溶融炉を介して対向するように前記ガラス溶融炉の壁部に設けられ、前記ガラス溶融炉、前記ノズル、および、前記仕切部材を加熱する一対の加熱部と、を備え、前記仕切部材は、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って設けられ、上方仕切部材、および、前記上方仕切部材よりも下方に設けられる下方仕切部材を含み、前記下方仕切部材は、板状であり、前記下方仕切部材を貫通する複数の下方開口部を含み、前記下方開口部は、平面視において、前記一対の加熱部が並ぶ方向に沿って延びる第1種下方開口部、および、前記一対の加熱部が並ぶ方向と交差する方向に延びる第2種下方開口部を含む。
【0025】
上記ガラス製品の製造装置によれば、投入口から投入されたガラス材料は、溶融ガラスに変化し、上方仕切部材および下方仕切部材を通過してノズルから吐出される。下方仕切部材に設けられる下方開口部の形状が一方向のみに延びる形状である場合、下方仕切部材の強度が低下するおそれがある。上記ガラス製品の製造装置によれば、下方開口部は、平面視において異なる方向に延びる第1種下方開口部および第2種下方開口部を含むため、第1種下方開口部または第2種下方開口部の一方のみが設けられる場合よりも、下方仕切部材の強度が低下しにくい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に関するガラス製品の製造装置によれば、より品質の高いガラス製品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態のガラス製品の製造装置の側面図。
図2図1のガラス製品の製造装置の平面図。
図3図1の上方仕切部材の平面図。
図4図3の上方仕切部材の側面図。
図5図1の下方仕切部材の平面図。
図6図5の下方仕切部材の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るガラス製品の製造装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。ガラス製品の一例は、ガラス繊維である。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るガラス製品の製造装置1(以下では、「製造装置1」という)の側面図である。図2は、図1の製造装置1の平面図である。なお、図2では、製造装置1内を視認できるように、側壁の一部を省略している。
【0030】
製造装置1は、ガラス材料が投入される投入口10、投入されたガラス材料を溶融するガラス溶融炉20、および、溶融されたガラス材料を吐出する複数のノズル41が形成されたノズル部材40を備える。製造装置1は、ガラス溶融炉20、ノズル部材40、および、仕切部材50を加熱する一対の加熱部80A、80Bをさらに備える。以下では、図1等に示す方向、つまり上、下、前、後、右、左にしたがって説明を行う。具体的には、投入口10とノズル部材40との間の方向が上下方向である。また、ガラス溶融炉20を介して一対の加熱部80A、80Bが対向している方向が左右方向である。上下方向および左右方向と直交する方向が前後方向である。
【0031】
製造装置1に投入されるガラス材料には、粉末等のガラス原料(ガラス材料を構成するガラス組成物の成分、例えばSiO2、Al23、MgO等の各酸化物等、を含む。)、および、固形ガラス等が含まれる。固形ガラスは、粉末等のガラス原料を溶融して、例えば、棒状、球状、フレーク状、または、鱗片状等の所定の形状に成形したガラスである。また、ガラス製品がガラス繊維であって、所謂ダイレクトメルト方式により生産され、製造装置1をブッシングに適用する場合は、製造装置1に投入されるガラス材料として、流動可能な溶融状態の溶融ガラスとすることもできる。
【0032】
ガラス材料を構成するガラス組成物としては、公知のガラス組成物が使用でき、例えば、Eガラス、Tガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Lガラス、Cガラス、または、ARガラス等が挙げられる。好ましくは、溶融温度がより高温となるという観点から、Tガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、または、Lガラスが挙げられる。具体的には、例えば、1MHzの周波数において室温で5以下の誘電率および5×10-4以下の誘電正接を有する、低誘電ガラス組成物、または、質量%で表示して、45≦SiO2≦60、15≦B23≦35、10≦Al23≦20を含むガラス組成物が挙げられる。
【0033】
<1.投入口10>
投入口10は、製造装置1の上部に設けられ、ガラス材料が投入される。投入口10は、上下方向に貫通する筒体によって形成されており、ガラス溶融炉20の上端部に連結されている。また、投入口10は、上面視において例えばガラス溶融炉20よりも小さく形成されている。投入口10におけるガラス溶融炉20の開口を小さくすることができるため、ガラス溶融炉20内の温度の低下を抑制できる。投入口10の形状としては、円、楕円、三角形、四角形、または、五角形以上の多角形とすることができる。
【0034】
<2.ガラス溶融炉20>
ガラス溶融炉20は、投入口10と繋がり、投入口10に投入されたガラス材料を溶融することによって溶融ガラスを生成する。ガラス溶融炉20は、内部空間30Xを含む筐体30を備えている。筐体30は、概ね直方体状に形成されている。筐体30は、内部空間30Xを介して左右方向に対向する一対の側壁31、32と、内部空間30Xを介して前後方向に対向する正面壁33、背面壁34と、上部壁35とを備える。筐体30の下部には、ノズル部材40が配置される。ガラス溶融炉20の内部空間30Xには、ガラス溶融炉20の内部空間30Xを上下方向に仕切る仕切部材50が配置されている。仕切部材50は、上方仕切部材60、および、上方仕切部材60よりも下方に配置される下方仕切部材70を含む。内部空間30Xは、上方仕切部材60および下方仕切部材70によって、上から順に第1領域30A、第2領域30B、および、第3領域30Cに仕切られている。
【0035】
ガラス材料を溶融するため、少なくとも製造装置1のうちのガラス溶融炉20は、耐火材料で形成されている。耐火材料としては、例えば、白金元素単体からなる金属、ロジウム元素単体からなる金属、パラジウム元素単体からなる金属、金元素単体からなる金属、白金元素を含む金属化合物、ロジウム元素を含む金属化合物、パラジウム元素を含む金属化合物、金元素を含む金属化合物、白金元素、ロジウム元素、パラジウム元素、および、金元素からなる群より選ばれる2種以上からなる合金、ならびに、耐火煉瓦からなる群から選択される少なくとも1つが含まれる。また、耐火材料としては、その他、モリブデン、黒鉛、酸化スズ、セラミック、アルミナ、酸化クロム、マグネシア、ジルコン、ジルコニア、酸化イットリウムからなる群から選択される少なくとも1つが含まれる。また、耐火材料としては、上記に記載した材料の組み合わせも含まれ、例えば、複数の材料による合金を耐火材料として用いてもよい。また、複数の耐火材料を各層として組み合わせてもよく、例えば、耐火煉瓦を外壁とする炉において、その内壁に白金又は白金-ロジウム合金等の板材や被膜が形成されてもよい。また、耐火材料により形成されるのはガラス溶融炉20に限らない。例えば、ノズル部材40および仕切部材50の少なくとも一方を耐火材料によって構成してもよい。
【0036】
<3.ノズル部材40>
ノズル部材40は、ガラス溶融炉20の底部に設けられる。ノズル部材40は、複数のノズル41を含み、ノズル41から溶融ガラスを吐出する。
【0037】
<4.一対の加熱部80A、80B>
一対の加熱部80A、80Bのうち、一方の加熱部80Aは、筐体30の側壁31に設けられる。他方の加熱部80Bは、筐体30の側壁32に設けられる。図1および図2等に示される左右方向は、一対の加熱部80A、80Bが並ぶ方向と一致する。一対の加熱部80A、80Bは、電極の端子を含み、電源から電圧が印加される。これにより、製造装置1には、加熱部80A、80B間の方向、換言すれば、左右方向に沿った電流が流れ、ガラス溶融炉20、ノズル部材40、および、仕切部材50が加熱される。加熱部80は、ガラス溶融炉20を例えば、ガラス材料の粘度が400ポイズ以下となるように加熱する。ガラス溶融炉20の第1領域30A内のいずれかの地点は、製造装置1内で溶融ガラスが最高溶融温度となる高温領域となっている。また、一対の加熱部80A、80Bは、ノズル部材40を加熱することで、ノズル41から吐出されるガラス繊維の紡糸速度、繊維径、および、強度等を調整する。ノズル41の孔形状としては、円形状、楕円形状等が挙げられる。
【0038】
<5.仕切部材50>
<5-1.上方仕切部材60>
図3は、上方仕切部材60の平面図である。図4は、一対の加熱部80A、80B(図2参照)が並ぶ方向の側面視における上方仕切部材60の側面図である。
【0039】
上方仕切部材60は、直方体状のガラス溶融炉20の形状に対応して、板状に形成されている。上方仕切部材60の長手方向は、左右方向と一致する。上方仕切部材60の短手方向は、前後方向と一致する。上方仕切部材60は、板状面が左右方向に沿うように、ガラス溶融炉20の側壁31、32、正面壁33、および、背面壁34に接合される。上方仕切部材60の右端部62は、ガラス溶融炉20の側壁31(図2参照)と例えば、挟み込み溶接によって接合される。上方仕切部材60の左端部63は、ガラス溶融炉20の側壁32(図2参照)と例えば、挟み込み溶接によって接合される。上方仕切部材60の短手方向の一方の端部60Xは、ガラス溶融炉20の正面壁33(図2参照)と例えば、溶接によって接合される。上方仕切部材60の短手方向の他方の端部60Yは、ガラス溶融炉20の背面壁34(図2参照)と例えば、溶接によって接合される。また、上方仕切部材60は、上下方向において、ガラス投入口10の直下に配置することができる。すなわち、上下方向において、上方仕切部材60とガラス投入口10との間には、他の仕切部材50が存在しないものとすることができる。
【0040】
図4に示されるように、上方仕切部材60は、側面視において、V字状に形成されている。換言すれば、上方仕切部材60は、左右方向に沿う中心軸XA(図3参照)と前後方向に沿う中心軸XB(図3参照)とが交差する部分PAを含む中央部61から右端部62および左端部63に向かうにつれて上方に傾斜している。上方仕切部材60は、側面視において、一部が下方に凸状となる部分を有することができ、例えば、上記V字状のほか、W字状等とすることができる。また、上方仕切部材60の厚さ(上下方向における厚さ)は、左右方向または前後方向において、均一とすることができるし、一部厚さを変更すること、すなわち、左右方向または前後方向において厚さが異なる部分を有するものとすることができる。
【0041】
上方仕切部材60は、中央部61から右端部62および左端部63に向かう傾斜によって、第1領域30A(図1参照)の溶融ガラス内の固形ガラスを完全に溶解させる。上方仕切部材60において、左右方向を基準とし、中央部61を中心とした左右の傾斜角度θA、θBは、溶融ガラス内の固形ガラスを十分に堰止められる程度に調整されている。換言すれば、傾斜角度θA、θBは、第1領域30A内の溶融ガラスが、中央部61から右端部62および左端部63に向かって徐々に流れ、滞留することで固形ガラスを十分に溶解させる時間を確保できる程度に調整されている。本実施形態では、傾斜角度θAと傾斜角度θBとは、等しい。溶融ガラスの粘度は、ガラス材料の種類および温度等によって異なるため、例えば、ガラス材料の種類および最高溶融温度等によって傾斜角度θA、θBを調整することが好ましい。
【0042】
中央部61から、右端部62の中央部61側の端辺までの距離LA、および、左端部63の中央部61側の端辺までの距離LBは、溶融ガラスを滞留させて固形ガラスを十分に溶解させることができるように調整されている。本実施形態では、距離LAと距離LBとは、等しい。
【0043】
上方仕切部材60は、上方仕切部材60を貫通する複数の上方開口部64を含む。第1領域30A(図1参照)内の溶融ガラスは、中央部61から右端部62および左端部63に向かって徐々に流れる過程において、複数の上方開口部64を通過して第2領域30Bに移動する。複数の上方開口部64は、左右方向に沿って設けられる。上方開口部64は、第1種上方開口部64A、第2種上方開口部64B、第3種上方開口部64C、第4種上方開口部64D、および、第5種上方開口部64Eを含む。
【0044】
第1種上方開口部64Aは、中心軸XA上に設けられる。第1種上方開口部64Aの形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、第1種上方開口部64Aは、左右方向に延びる長孔である。別の例では、第1種上方開口部64Aは、円、楕円、三角形、四角形、または、五角形以上の多角形である。上方仕切部材60に設けられる第1種上方開口部64Aの数は、任意に選択可能である。本実施形態では、上方仕切部材60には、6個の第1種上方開口部64Aが設けられる。
【0045】
第2種上方開口部64B、第3種上方開口部64C、および、第4種上方開口部64Dは、第1種上方開口部64Aの周囲に設けられる。第2種上方開口部64B、第3種上方開口部64C、および、第4種上方開口部64Dの形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、第2種上方開口部64B、第3種上方開口部64C、および、第4種上方開口部64Dの形状は、円である。別の例では、第2種上方開口部64B、第3種上方開口部64C、および、第4種上方開口部64Dの形状は、長孔、楕円、三角形、四角形、または、五角形以上の多角形である。第2種上方開口部64B、第3種上方開口部64C、および、第4種上方開口部64Dの形状は、互いに異なる形状であってもよい。第2種上方開口部64B、第3種上方開口部64C、および、第4種上方開口部64Dの直径は、任意に選択可能である。本実施形態では、第2種上方開口部64B、第3種上方開口部64C、および、第4種上方開口部64Dの順に直径が大きい。上方仕切部材60に設けられる第2種上方開口部64B、第3種上方開口部64C、および、第4種上方開口部64Dの数は、任意に選択可能である。本実施形態では、上方仕切部材60には、12個の第2種上方開口部64Bが設けられる。本実施形態では、上方仕切部材60には、17個の第3種上方開口部64Cが設けられる。本実施形態では、上方仕切部材60には、26個の第4種上方開口部64Dが設けられる。
【0046】
第5種上方開口部64Eは、右端部62および左端部63に設けられる。第5種上方開口部64Eの形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、第5種上方開口部64Eは、長方形である。別の例では、第5種上方開口部64Eは、円、楕円、三角形、四角形、または、五角形以上の多角形である。上方仕切部材60に設けられる第5種上方開口部64Eの数は、任意に選択可能である。本実施形態では、上方仕切部材60には、2個の第5種上方開口部64Eが設けられる。なお、図3において、2個の第5種上方開口部64Eのそれぞれの前後方向に設けられる上方仕切部材60の領域は、側壁31および32と挟み込み溶接される領域であり、側壁31および32を構成することから第1領域30Aには存在しない領域である。
【0047】
上方仕切部材60は、中央部61を含んで長手方向に延びる上方中央領域60Aを含む。図3に示される二点鎖線は上方中央領域60Aの範囲の一例を示している。上方仕切部材60の単位面積あたりの上方開口部64が設けられる面積である開口率は、任意に設定可能である。本実施形態では、平面視における一対の加熱部80A、80B(図2参照)が並ぶ方向と垂直な方向、換言すれば、前後方向において、複数の上方開口部64の開口率は、上方中央領域60Aから端部60Xおよび端部60Yに向かうにつれて減少するように設定される。また、短手方向において端部60Xから端部60Yまでの距離をL60Tとし、端部60Xから短手方向にL60Tの15%の距離までの領域を上方仕切部材第1測定領域(側壁と挟み込み溶接される領域は含まない)、端部60Yから短手方向にL60Tの15%の距離までの領域を上方仕切部材第2測定領域(側壁と挟み込み溶接される領域は含まない)、上方仕切部材第1測定領域および上方仕切部材第2測定領域以外の領域を上方仕切部材第3測定領域(側壁と挟み込み溶接される領域は含まない)、と定義した場合、上方仕切部材第3測定領域の開口率は、上方仕切部材第1測定領域の開口率および上方仕切部材第2測定領域の開口率よりも高くすることができる。好ましい例では、上方仕切部材第3測定領域の開口率は、上方仕切部材第1測定領域の開口率および上方仕切部材第2測定領域の開口率の、105~200%である。より好ましい例では、上方仕切部材第3測定領域の開口率は、上方仕切部材第1測定領域の開口率および上方仕切部材第2測定領域の開口率の、120~160%である。本実施形態では、上方仕切部材第1測定領域の開口率と上方仕切部材第2測定領域の開口率とは、等しい。上方仕切部材第1測定領域の開口率と上方仕切部材第2測定領域の開口率は、異なっていてもよい。上方仕切部材第1測定領域の開口率および上方仕切部材第2測定領域の開口率としては、例えば、10~25%程度、好ましくは16~24%程度が挙げられる。また、上方仕切部材第3測定領域の開口率としては、例えば、20~35%程度、好ましくは25~35%程度が挙げられる。また、上方仕切部材第1測定領域、上方仕切部材第2測定領域、および、上方仕切部材第3測定領域を合わせた領域における開口率としては、例えば、20~35%程度、好ましくは20~30%程度が挙げられる。
【0048】
<5-2.下方仕切部材70>
図5は、下方仕切部材70の平面図である。図6は、一対の加熱部80A、80B(図2参照)が並ぶ方向の側面視における下方仕切部材70の側面図である。
【0049】
下方仕切部材70は、直方体状のガラス溶融炉20の形状に対応して、板状に形成されている。下方仕切部材70の長手方向は、左右方向と一致する。下方仕切部材70の短手方向は、前後方向と一致する。
【0050】
下方仕切部材70は、板状面が左右方向に沿うように配置される。下方仕切部材70は、溶融ガラスが流れる基部91、および、基部91の周囲に設けられる被接合部92を備える。被接合部92は、ガラス溶融炉20の側壁31、32、正面壁33、および、背面壁34と例えば、挟み込み溶接によって接合される。被接合部92は、第1被接合部92A、第2被接合部92B、第3被接合部92C、および、第4被接合部92Dを含む。第1被接合部92Aおよび第2被接合部92Bは、基部91の短手方向の端部91X、91Yに設けられ、長手方向に沿って延びる。第1被接合部92Aは、ガラス溶融炉20の正面壁33(図2参照)と接合される。第2被接合部92Bは、ガラス溶融炉20の背面壁34(図2参照)と接合される。第3被接合部92Cおよび第4被接合部92Dは、基部91の長手方向の右端部72および左端部73に設けられ、短手方向に沿って延びる。第3被接合部92Cは、ガラス溶融炉20の側壁31(図2参照)と接合される。第4被接合部92Dは、ガラス溶融炉20の側壁32(図2参照)と接合される。また、下方仕切部材70は、上下方向において、1枚設けてもよく、複数枚設けてもよい。
【0051】
図6に示されるように、下方仕切部材70は、側面視において、V字状に形成されている。換言すれば、下方仕切部材70は、左右方向に沿う中心軸XC(図5参照)と前後方向に沿う中心軸XD(図5参照)とが交差する部分PBを含む中央部71から基部91の右端部72、および、左端部73に向かうにつれて上方に傾斜している。このため、下方仕切部材70の中央部71は、基部91の右端部72および左端部73よりも下部のノズル部材40(図1参照)に近い。ノズル部材40の左右方向の中央部は、ノズル部材40の左右方向の両端部よりも一対の加熱部80A、80Bから離れているため、電圧降下の影響によって、両端部よりも温度が低くなりやすい。下方仕切部材70の中央部71は、右端部72および左端部73よりも下方に位置しているため、ノズル部材40に近い。このため、下方仕切部材70の中央部71の熱がノズル部材40の中央部に伝わりやすく、ノズル部材40の中央部の温度が低下することを抑制できる。このため、ノズル部材40全体の温度を概ね均一に保つことができる。下方仕切部材70は、側面視において、V字状に形成されていることに限定されず、例えば、上記V字状のほか、平板、波状、W字状、円弧状、M字状、逆V字状等とすることができるが、V字状が好ましい。また、下方仕切部材70の厚さ(上下方向における厚さ)は、左右方向または前後方向において、均一とすることができるし、一部厚さを変更する、すなわち、左右方向または前後方向において厚さが異なる部分を有するものとすることができる。
【0052】
下方仕切部材70は、中央部71から右端部72および左端部73に向かう傾斜によって、第2領域30B(図1参照)の溶融ガラスを概ね均一に混ざり合わせる。下方仕切部材70において、左右方向を基準とし、中央部71を中心とした左右の傾斜角度θC、θDは、第2領域30B内の溶融ガラスが、右端部72および左端部73から中央部71に向かって流れるにつれて、概ね均一に混ざり合うことができる程度に調整されている。本実施形態では、傾斜角度θCと傾斜角度θDとは、等しい。溶融ガラスの粘度は、ガラス材料の種類および温度等によって異なるため、例えば、ガラス材料の種類および最高溶融温度等によって傾斜角度θC、θDを調整することが好ましい。
【0053】
中央部71から、基部91の右端部72までの距離LC、および、基部91の左端部73までの距離LDは、溶融ガラスを概ね均一に混ざり合わせることができるように調整されている。本実施形態では、距離LCと距離LDとは、等しい。
【0054】
基部91は、右端部72を含む所定領域である第1長手端部領域91A、および、左端部73を含む所定領域である第2長手端部領域91Bを含む。第1長手端部領域91Aおよび第2長手端部領域91Bは、中央部71よりも一対の加熱部80A、80Bとの距離が近いため、中央部71よりも高温となりやすい領域である。
【0055】
下方仕切部材70は、基部91を貫通する複数の下方開口部74を含む。第2領域30B(図1参照)内の溶融ガラスは、右端部72および左端部73から中央部71に向かって徐々に流れる過程において、複数の下方開口部74を通過して第3領域30Cに移動する。複数の下方開口部74は、左右方向に沿って設けられる。下方開口部74は、第1種下方開口部74A、第2種下方開口部74B、第3種下方開口部74C、第4種下方開口部74D、第5種下方開口部74E、第6種下方開口部74F、および、第7種下方開口部74Gを含む。
【0056】
第1種下方開口部74Aは、中心軸XC上に設けられる。第1種下方開口部74Aの形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、第1種下方開口部74Aは、左右方向に延びる長孔である。別の例では、第1種下方開口部74Aは、円、楕円、三角形、四角形、または、五角形以上の多角形である。下方仕切部材70に設けられる第1種下方開口部74Aの数は、任意に選択可能である。本実施形態では、下方仕切部材70には、6個の第1種下方開口部74Aが設けられる。
【0057】
第2種下方開口部74Bは、第1長手端部領域91Aおよび第2長手端部領域91Bに設けられる。第2種下方開口部74Bの形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、第2種下方開口部74Bは、前後方向に延びる長孔である。別の例では、第2種下方開口部74Bは、円、楕円、三角形、四角形、または、五角形以上の多角形である。下方仕切部材70に設けられる第2種下方開口部74Bの数は、任意に選択可能である。本実施形態では、下方仕切部材70には、6個の第2種下方開口部74Bが設けられる。
【0058】
第3種下方開口部74C~第7種下方開口部74Gは、第1種下方開口部74Aおよび第2種下方開口部74Bの周囲に設けられる。第3種下方開口部74C~第7種下方開口部74Gの形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、第3種下方開口部74C~第7種下方開口部74Gの形状は、円である。別の例では、第3種下方開口部74C~第7種下方開口部74Gの形状は、長孔、楕円、三角形、四角形、または、五角形以上の多角形である。第3種下方開口部74C~第7種下方開口部74Gの形状は、互いに異なる形状であってもよい。第3種下方開口部74C~第7種下方開口部74Gの直径は、任意に選択可能である。本実施形態では、第3種下方開口部74C、第4種下方開口部74D、第5種下方開口部74E、第6種下方開口部74F、および、第7種下方開口部74Gの順に直径が大きい。下方仕切部材70に設けられる第3種下方開口部74C~第7種下方開口部74Gの数は、任意に選択可能である。本実施形態では、下方仕切部材70には、5個の第3種下方開口部74Cが設けられる。本実施形態では、下方仕切部材70には、8個の第4種下方開口部74Dが設けられる。本実施形態では、下方仕切部材70には、2個の第5種下方開口部74Eが設けられる。本実施形態では、下方仕切部材70には、4個の第6種下方開口部74Fが設けられる。本実施形態では、下方仕切部材70には、20個の第7種下方開口部74Gが設けられる。第7種下方開口部74Gのうちの18個は、基部91において、被接合部92に沿って設けられる。
【0059】
下方仕切部材70の単位面積あたりの下方開口部74が設けられる面積である開口率は、下方仕切部材70の温度分布が均一になりやすいように設定される。本実施形態では、第1長手端部領域91Aの開口率RA、および、第2長手端部領域91Bの開口率RBは、中央部71の開口率RCよりも高い。好ましい例では、開口率RA、RBは、開口率RCの105~200%である。より好ましい例では、開口率RA、RBは、開口率RCの105~150%である。本実施形態では、開口率RAと開口率RBとは、等しい。開口率RAと開口率RBとは、異なっていてもよい。本実施形態では、開口率RAおよびRBとしては、例えば15~30%程度、好ましくは18~25%程度が挙げられる。また、開口率RCとしては、例えば、5~20%程度、好ましくは10~18%程度が挙げられる。さらに、下方仕切部材70全体の開口率としては、10~30%程度が挙げられ、好ましくは12~22%程度が挙げられる。なお、開口率RAおよびRBの測定領域(第1長手端部領域91Aおよび第2長手端部領域91B)は、基部91の長手方向の長さLtに対して、それぞれ基部91の端部72および73から20%の距離の領域とすることができる。また、開口率RCの測定領域(中央部71)は、上記開口率RAおよびRBの測定領域以外の領域(すなわち、端部72から長手方向にLtの20%の距離の位置から、端部73から長手方向にLtの20%の距離の位置までの領域)とすることができる。
【0060】
下方仕切部材70は、中央部71を含んで長手方向に延びる下方中央領域70Aを含む。図5に示される二点鎖線は下方中央領域70Aの範囲の一例を示している。本実施形態では、平面視における一対の加熱部80A、80B(図2参照)が並ぶ方向と垂直な方向、換言すれば、前後方向において、複数の下方開口部74の開口率は、下方中央領域70Aから端部91Xおよび端部91Yに向かうにつれて減少するように設定される。
【0061】
<6.ガラス繊維の製造方法>
投入口10にガラス材料が投入されてから、ノズル41からガラス繊維が吐出されるまでの流れについて説明する。ガラス溶融炉20の第1領域30Aには、投入口10から次々とガラス材料が投入され、ガラス材料が溶融される。そのため、第1領域30Aは、ガラス材料、溶融途中のガラス材料、および、溶融ガラスにより満たされている。なお、第1領域30Aは、ガラス材料を溶融するために、ガラス材料の溶融点以上の高温に加熱されている。ただし、第1領域30Aにおいて、投入口10付近においてガラスが次々と投入されている部分は、温度が低くなりやすく、ガラス材料の種類等によって異なるが、例えば、約1400°となっている。
【0062】
第1領域30Aで溶融された溶融ガラスは、第1領域30Aの下部に設けられる上方仕切部材60と接触して受け止められる。溶融ガラスは、例えば、溶融ガラスの自重に逆らいながら、上方仕切部材60の上り傾斜に沿って中央部61から右端部62および左端部63側に徐々に流れる。溶融ガラスは、中央部61から右端部62および左端部63側に徐々に流れる過程において、上方開口部64を通過して第2領域30Bに流れる。溶融ガラスが徐々に流れていくため、単に第5種上方開口部64Eから溶融ガラスが第2領域30Bに流れる場合よりも、上方仕切部材60上における溶融ガラスの滞留時間が長くなる。溶融ガラス内の固形ガラスを溶融させるための時間を確保できるため、溶融ガラス内の固形ガラスを完全に溶解できる。
【0063】
上方開口部64を通過した第1領域30Aの溶融ガラスは、第2領域30Bに流れ、下方仕切部材70の傾斜に沿って、右端部72および左端部73から中央部71に流れる。溶融ガラスは、下方仕切部材70の基部91上を流れる過程で混ざり合いながら、下方開口部74を通過して第3領域30Cに流れる。
【0064】
下方開口部74を通過した溶融ガラスは、第3領域30Cの下部のノズル部材40に供給され、ノズル部材40のノズル41から吐出される。ノズル部材40の温度は、一対の加熱部80A、80Bによって調整され、ガラス材料等によって異なるが、例えば、約1400°である。溶融ガラスは、上方仕切部材60において溶融ガラス内の固形成分が十分に少ない状態でノズル部材40に供給される。固形成分の少ない溶融ガラスをノズル41から吐出できるため、ガラス製品の強度が低下すること等を抑制できる。
【0065】
<7.本実施形態の効果>
以上のように構成された製造装置1では、次の効果を得ることができる。
<7-1>
投入口10から投入されたガラス材料は、溶融ガラスに変化し、上方仕切部材60および下方仕切部材70を通過してノズル41から吐出される。下方開口部74の開口率RA、RBは、開口率RCよりも高いため、中央部71よりも一対の加熱部80A、80Bに近い第1長手端部領域91Aおよび第2長手端部領域91Bの発熱量が高くなりにくい。また、第1長手端部領域91Aおよび第2長手端部領域91Bにおける溶融ガラスの流れ抵抗が大きくなりにくいため、第1長手端部領域91Aおよび第2長手端部領域91Bに溶融ガラスが滞留しにくい。下方仕切部材70の温度分布が均一になりやすいため、溶融ガラスの繊維径の分布のばらつきが抑制される。このため、より品質の高いガラス製品を製造できる。
【0066】
<7-2>
下方開口部74は、平面視において異なる方向に延びる第1種下方開口部74Aおよび第2種下方開口部74Bを含むため、第1種下方開口部74Aまたは第2種下方開口部74Bの一方のみが設けられる場合よりも、下方仕切部材70の強度が低下しにくい。
【0067】
<7-3>
溶融ガラスが流れる過程で気泡が発生した場合、この気泡が溜まった部分において局所的に温度が高くなる。典型的な例では、気泡は、溶融ガラスの流速が速くなることによって発生しやすい。
【0068】
本実施形態では、上方仕切部材60を通過する溶融ガラスは、複数の上方開口部64のうちの任意の上方開口部64を通過できる。溶融ガラスの流れる方向が一対の加熱部80A、80Bが並ぶ方向、および、一対の加熱部80A、80Bが並ぶ方向と交差する方向に分散されるため、上方仕切部材60を流れる溶融ガラスの流速が速くなりにくく、気泡が発生しにくい。また、上方仕切部材60を流れる溶融ガラスに気泡が発生した場合であっても、気泡を含む溶融ガラスが上方開口部64を通過した後、溶融ガラスから分離して上昇した気泡は、上方開口部64を通過するため、上方仕切部材60に気泡が付着しにくい。このように、本実施形態によれば、上方仕切部材60に気泡が付着した状態が形成されにくいため、局所的に温度が高くなりにくい。上方仕切部材60の温度分布が均一になりやすいため、溶融ガラスの繊維径の分布のばらつきが抑制される。このため、品質の高いガラス製品を製造できる。
【0069】
<7-4>
上方仕切部材60の短手方向における溶融ガラスの流速は上方中央領域60Aから短手方向の端部60X、60Yに向かうにつれて遅くなる。換言すれば、上方仕切部材60の短手方向において、端部60X、60Yよりも上方中央領域60Aの方が溶融ガラスに気泡が発生しやすい。本実施形態によれば、前後方向において、複数の上方開口部64の開口率は、上方中央領域60Aから端部60X、60Yに向かうにつれて減少するように設定されているため、上方中央領域60Aにおいて溶融ガラスに気泡が発生しにくい。
【0070】
<7-5>
下方仕切部材70の短手方向における溶融ガラスの流速は下方中央領域70Aから短手方向の端部91X、91Yに向かうにつれて遅くなる。換言すれば、下方仕切部材70の短手方向において、端部91X、91Yよりも下方中央領域70Aの方が溶融ガラスに気泡が発生しやすい。本実施形態によれば、前後方向において、複数の下方開口部74の開口率は、下方中央領域70Aから端部91X、91Yに向かうにつれて減少するように設定されているため、下方中央領域70Aにおいて溶融ガラスに気泡が発生しにくい。
【0071】
<7-6>
上述したように、溶融ガラスが流れる過程で気泡が発生した場合、この気泡が溜まった部分において局所的に温度が高くなる。別の典型的な例では、仕切部材50とガラス溶融炉20とが接合される部分において、気泡が溜まりやすい。
【0072】
本実施形態によれば、第7種下方開口部74Gの一部が被接合部92に沿って設けられるため、下方仕切部材70を流れる溶融ガラスに気泡が発生した場合であっても、気泡を含む溶融ガラスが下方開口部74を通過した後、溶融ガラスから分離して上昇した気泡は、第7種下方開口部74Gを通過するため、下方仕切部材70に気泡が付着しにくい。このように、本実施形態によれば、下方仕切部材70に気泡が付着した状態が形成されにくいため、局所的に温度が高くなりにくく、下方仕切部材70の温度分布が均一になりやすい。溶融ガラスの繊維径の分布のばらつきが抑制されるため、より品質の高いガラス製品を製造できる。
【0073】
<8.変形例>
なお、上記実施形態は、本発明に関するガラス製品の製造装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関するガラス製品の製造装置は、実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0074】
<8―1>
上記実施形態では、上方仕切部材60は、側面視においてV字状の板状部材であるが、上方仕切部材60の形状は、任意に変更可能である。変形例の上方仕切部材60は、側面視において、中央部61が湾曲したU字状である。別の変形例の上方仕切部材60は、長手方向において中央部61から右端部62および左端部63まで実質的に傾斜しない。別の変形例の上方仕切部材60は、全体が一方向に傾斜する。
【0075】
<8―2>
上記実施形態では、下方仕切部材70は、側面視においてV字状の板状部材であるが、下方仕切部材70の形状は、任意に変更可能である。変形例の下方仕切部材70は、側面視において、中央部71が湾曲したU字状である。別の変形例の下方仕切部材70は、長手方向において中央部71から右端部72および左端部73まで実質的に傾斜しない。別の変形例の下方仕切部材70は、全体が一方向に傾斜する。
【0076】
<8―3>
上記実施形態では、第1種下方開口部74Aと第2種下方開口部74Bとは、平面視において直交する方向に延びているが、第1種下方開口部74Aおよび第2種下方開口部74Bの延びる方向は、任意に変更可能である。変形例の製造装置1では、第1種下方開口部74Aと第2種下方開口部74Bとは、平面視において交差する方向に延びる。
【0077】
<8―4>
仕切部材50の数は、任意に変更可能である。変形例の製造装置1は、上下方向において、上方仕切部材60と下方仕切部材70との間に設けられる、1または複数の仕切部材を備える。
【0078】
<8―5>
本実施形態では、投入口10は、製造装置1の最も高い位置に設けられているが、ガラス溶融炉20の側壁に投入口10が設けられていてもよい。また、ガラス溶融炉20に直接にガラス材料を投入する場合には、投入口10は、省略できる。
【0079】
<8―6>
製造装置1において製造されるガラス製品は、任意に選択可能である。製造装置1において製造されるガラス製品は、例えば、ガラス繊維、ガラスロービング、ガラスフレーク、ガラスペレット、ガラスビーズ、ガラスフィラー、または、ガラスマーブルが挙げられる。特に、製造装置1において製造されるガラス製品は、電子材料用ガラスクロスに用いられるガラス繊維であることが好ましい。
【符号の説明】
【0080】
1 :ガラス製品の製造装置
10 :投入口
20 :ガラス溶融炉
30X:内部空間
31 :側壁(壁部)
32 :側壁(壁部)
41 :ノズル
50 :仕切部材
60 :上方仕切部材
60A:上方中央領域
60X:端部
60Y:端部
61 :中央部
62 :右端部(端部)
63 :左端部(端部)
64 :上方開口部
70 :下方仕切部材
70A:下方中央領域
71 :中央部
72 :右端部(端部)
73 :左端部(端部)
74 :下方開口部
80 :加熱部
91A:第1長手端部領域(長手端部領域)
91B:第2長手端部領域(長手端部領域)
91X:端部
91Y:端部
92 :被接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6