(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】検査装置の制御方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2020202986
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】阿川 裕晃
(72)【発明者】
【氏名】小林 将人
(72)【発明者】
【氏名】河西 繁
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-129091(JP,A)
【文献】特開平10-135315(JP,A)
【文献】特開平10-214867(JP,A)
【文献】特開平07-263526(JP,A)
【文献】特開平11-145218(JP,A)
【文献】特開2019-102645(JP,A)
【文献】米国特許第06032724(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0033666(US,A1)
【文献】特開2019-204871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0208194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体を載置するチャックと、
前記被検査体に電力を供給して前記被検査体を検査するテスターと、
前記チャックの温度を制御する制御部と、を備える検査装置の制御方法であって、
前記被検査体の実温度のフィードバックができない場合、前記被検査体の発熱量に基づいて、前記チャックの温度と前記被検査体の温度との温度差を推定し、
前記被検査体の目標温度と前記温度差とに基づいて、前記チャックの目標温度を補正し、
補正された前記チャックの目標温度と前記チャックの実温度に基づいて、前記チャックの温度を制御する、
検査装置の制御方法。
【請求項2】
前記被検査体の実温度のフィードバックができる場合、前記被検査体の実温度と前記チャックの実温度とに基づいて、前記チャックの温度と前記被検査体の温度との温度差を算出し、
前記被検査体の目標温度と前記温度差とに基づいて、前記チャックの目標温度を補正し、
補正された前記チャックの目標温度と前記チャックの実温度に基づいて、前記チャックの温度を制御する、
請求項1に記載の検査装置の制御方法。
【請求項3】
前記被検査体の実温度のフィードバックができる場合、前記チャックの実温度と前記被検査体の実温度との温度差と、前記被検査体の発熱量と、に基づいて、前記発熱量と前記温度差との対応を示すパラメータを更新する、
請求項2に記載の検査装置の制御方法。
【請求項4】
前記パラメータは、前記発熱量と前記温度差とのゲイン係数である、
請求項3に記載の検査装置の制御方法。
【請求項5】
前記パラメータは、前記発熱量と前記温度差との一次遅れ関数の係数である、
請求項3に記載の検査装置の制御方法。
【請求項6】
前記パラメータは、前記チャックの温度を検出するセンサと前記被検査体の中心との距離の関数で定義される、
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の検査装置の制御方法。
【請求項7】
前記パラメータは、前記被検査体の位置ごとに定義される、
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の検査装置の制御方法。
【請求項8】
被検査体を載置するチャックと、
前記被検査体に電力を供給して前記被検査体を検査するテスターと、
前記チャックの温度を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記被検査体の実温度のフィードバックができない場合、前記被検査体の発熱量に基づいて、前記チャックの温度と前記被検査体の温度との温度差を推定し、
前記被検査体の目標温度と前記温度差とに基づいて、前記チャックの目標温度を補正し、
補正された前記チャックの目標温度と前記チャックの実温度に基づいて、前記チャックの温度を制御する、検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置の制御方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスが形成されたウエハや電子デバイスが配置されたキャリアを載置台に載置して、電子デバイスに対し、テスターからプローブ等を介して電流を供給することで、電子デバイスの電気的特性を検査する検査装置が知られている。載置台内の冷却機構や加熱機構によって、電子デバイスの温度が制御される。
【0003】
特許文献1には、被検査チップにおける温度測定用の素子と接続された電極パッドにプローブ針を接触させ、温度測定用の素子の各電極に対応する電極パッド間の電位差に基づいて被検査チップの温度を検出する温度検出部を備えるプローバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、テストフローとの兼ね合いから温度測定用の素子を用いて電子デバイスの温度を常時検出することは困難である。また、電子デバイスの発熱量が大きい場合、電子デバイスと載置台との温度差が大きくなり、載置台に設けられた温度センサで電子デバイスの温度を制御することは困難である。
【0006】
一の側面では、本開示は、被検査体の温度制御性を向上する検査装置の検査方法及び検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、被検査体を載置するチャックと、前記被検査体に電力を供給して前記被検査体を検査するテスターと、前記チャックの温度を制御する制御部と、を備える検査装置の制御方法であって、前記被検査体の実温度のフィードバックができない場合、前記被検査体の発熱量に基づいて、前記チャックの温度と前記被検査体の温度との温度差を推定し、前記被検査体の目標温度と前記温度差とに基づいて、前記チャックの目標温度を補正し、補正された前記チャックの目標温度と前記チャックの実温度に基づいて、前記チャックの温度を制御する、検査装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
一の側面によれば、被検査体の温度の均一性を向上させる検査装置及び検査装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る検査装置の構成を説明する断面模式図。
【
図2】チャックの温度制御を説明するブロック図の一例。
【
図4】パラメータの調整方法を説明するグラフの一例。
【
図6】無駄時間補償部を説明するブロック図の一例。
【
図7】電子デバイスの温度及びチャックの温度の時間変化を示すグラフの一例。
【
図8】パラメータの構成を説明するブロック図の一例。
【
図9】電子デバイスの温度及びチャックの温度の時間変化を示すグラフの他の一例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
<検査装置>
本実施形態に係る検査装置10について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る検査装置10の構成を説明する断面模式図の一例である。
【0012】
検査装置10は、ウエハ(基板)Wに形成された複数の電子デバイス(被検査体、DUT;Device Under Test)の各々の電気的特性の検査を行う装置である。なお、被検査体を有する基板は、ウエハWに限られるものではなく、電子デバイスが配置されたキャリア、ガラス基板、チップ単体などを含む。検査装置10は、ウエハWを載置するチャック11を収容する収容室12と、収容室12に隣接して配置されるローダ13と、収容室12を覆うように配置されるテスター14と、を備える。
【0013】
収容室12は、内部が空洞の筐体形状を有する。収容室12の内部には、ウエハWを載置するチャック11と、チャック11に対向するように配置されるプローブカード15と、が収容される。プローブカード15は、ウエハWの各電子デバイスの電極に対応して設けられた電極パッドや半田バンプに対応して配置された多数の針状のプローブ(接触端子)16を有する。
【0014】
チャック11は、ウエハWをチャック11へ固定する固定機構(図示せず)を有する。これにより、チャック11に対するウエハWの相対位置の位置ずれを防止する。また、収容室12には、チャック11を水平方向及び上下方向に移動させる移動機構(図示せず)が設けられる。これにより、プローブカード15及びウエハWの相対位置を調整して各電子デバイスの電極に対応して設けられた電極パッドや半田バンプをプローブカード15の各プローブ16へ接触させる。また、チャック11には、温度センサ11cが設けられている。また、チャック11には、ヒータ、冷却器等の温度制御器11dを備える。温度センサ11cで検出したチャック11の温度の情報は、制御部20に送信される。温度制御器11dは、制御部20によって制御される。
【0015】
ローダ13は、搬送容器であるFOUP(図示せず)から電子デバイスが配置されたウエハWを取り出して収容室12の内部のチャック11へ載置し、また、検査が行われたウエハWをチャック11から除去してFOUPへ収容する。
【0016】
プローブカード15は、インターフェース17を介してテスター14へ接続され、各プローブ16がウエハWの各電子デバイスの電極に対応して設けられた電極パッドや半田バンプに接触する際、各プローブ16はテスター14からインターフェース17を介して電子デバイスへ電力を供給し、若しくは、電子デバイスからの信号をインターフェース17を介してテスター14へ伝達する。
【0017】
テスター14は、電子デバイスが搭載されるマザーボードの回路構成の一部を再現するテストボード(図示しない)を有し、テストボードは電子デバイスからの信号に基づいて電子デバイスの良否を判断するテスターコンピュータ18に接続される。テスター14ではテストボードを取り替えることにより、複数種のマザーボードの回路構成を再現することができる。
【0018】
テスター14は、プローブ16を介して電子デバイスに電力を供給する電力供給部14aを有する。テスター14は、電子デバイスに供給する電力の情報を制御部20に送信する。
【0019】
テスター14は、電子デバイスの温度を検出する温度検出部14bを有する。ウエハWには、温度測定用の素子14cが設けられている。温度測定用の素子14cは、例えばダイオード等であって、温度に応じて電位差が変位する素子である。温度検出部14bは、プローブ16を介して素子14cの両端子間の電位差を測定し、電位差に基づいて素子14cの温度を検出する。テスター14は、素子14cで検出した電子デバイスの温度の情報を制御部20に送信する。
【0020】
制御部20は、チャック11の温度制御器11dを制御することで、チャック11の温度を制御する。
【0021】
次に、制御部20について
図2を用いて説明する。
図2は、チャック11の温度制御を説明するブロック図の一例である。
【0022】
制御部20は、目標温度生成部21と、温度差推定部22と、無駄時間補償部24と、セレクタ25と、モデル追従コントローラ27と、を有する。ここで、制御部20には、温度センサ11cで検出したチャック11の実温度(チャック温度Tchuck)が入力される。また、制御部20には、温度検出部14bで検出した検査対象の電子デバイス(DUT)の実温度(DUT温度T
DUT)が入力される。ただし、DUT温度T
DUTは、テストフローによっては取得不能な温度である。また、制御部20には、電力供給部14aから検査対象の電子デバイスに供給した電力に関する情報が入力される。ここで、供給した電力に基づいて、検査対象の電子デバイスの発熱量(DUT発熱量H
DUT)を推定することができる。
図2の例では、DUT発熱量H
DUTが制御部20に入力されるものとして説明する。
【0023】
制御部20には、電子デバイスの設定温度が入力される。例えば、テスターコンピュータ18から制御部20に設定温度が入力される。また、制御部20には、切替信号が入力される。切替信号は、DUT温度TDUTが取得できるテストフローであるか否かを示す信号である。例えば、テスターコンピュータ18から制御部20に切替信号が入力される。
【0024】
目標温度生成部(デバイス目標温度生成部)21は、電子デバイスの目標温度T0を生成する。具体的には、目標温度生成部21には、テスターコンピュータ18から電子デバイスの設定温度が入力される。また、目標温度生成部21は、設定温度と、目標温度T0の時間変化と、を対応付けした参照モデルを有する。目標温度生成部21は、入力される電子デバイスの設定温度及び参照モデルに基づいて、電子デバイスの目標温度T0を生成する。
【0025】
温度差推定部22は、電子デバイスとチャック11との温度差の推定値(温度差推定値ΔT1)を推定する。具体的には、温度差推定部22は、DUT発熱量HDUTに基づいて、電子デバイスとチャック11との温度差推定値ΔT1を推定する。
【0026】
図3は、温度差推定部22を説明するブロック図の一例である。
図3(a)に示すように、温度差推定部22は、DUT発熱量にパラメータ(定常ゲイン)Kを掛けることで温度差推定値ΔT1を推定する構成であってもよい。また、
図3(b)に示すように、温度差推定部22は、一次遅れ関数により温度差推定値ΔT1を推定する構成であってもよい。即ち、パラメータは定常ゲインKに加え、時定数1/aも指定する。一次遅れを使うことにより、温度変化の動特性を考慮した制御ができる。
【0027】
図4は、パラメータの調整方法を説明するグラフの一例である。ここで、定常ゲインKは、チャック11上の電子デバイスの位置に依存する。また、
図4の横軸は電子デバイスの中心からの距離を示し、縦軸はパラメータKを示す。
【0028】
ここで、電子デバイスが発熱することにより生じる温度変化は、概ね電子デバイスの中心からの距離に反比例する。したがって、チャック11内の温度センサ11cの位置と検査対象の電子デバイスの中心との距離をrとして、パラメータKは、
K=a/r+b
の式で表すことができる。なお、a,bは装置に固有のパラメータである。また、距離rが小さい範囲(r<rc)では、
K=a/rc+b
の式で表すことができる。
【0029】
図5は、パラメータKの調整方法を説明する図の一例である。
図4に示す方法では、定常ゲインKは距離rで推定するものとして説明したが、
図5に示すように、各電子デバイスの位置ごとに、パラメータK1、K2、K3、…をあらかじめ設定してもよい。これにより、温度差推定部22で推定される温度差推定値ΔT1の推定精度を向上させることができる。
【0030】
図2に戻り、減算器(実温度差算出部)23は、電子デバイスとチャック11との温度差(温度差実測値ΔT2)を算出する。具体的には、減算器23は、電子デバイスの実温度(DUT温度T
DUT)と、チャック11の実温度(チャック温度T
chuck)との温度差実測値ΔT2を算出する。
【0031】
無駄時間補償部24は、温度差実測値ΔT2を無駄時間補償した電子デバイスとチャック11との温度差(温度差補償値ΔT2a)を推定する。
【0032】
図6は、無駄時間補償部24を説明するブロック図の一例である。
図6に示す無駄時間補償部24は、一般的なスミス補償器と同様である。スミス補償を行うことで、外乱が入力され応答するまでの間の温度差ΔTを推定値で補うことができる。
【0033】
無駄時間補償部24は、温度差推定部241と、遅れ処理部242と、減算器243と、加算器244と、を有する。温度差推定部241は、DUT発熱量HDUTに基づいて、電子デバイスとチャック11との温度差を推定する。遅れ処理部242は、温度差推定部241で推定された電子デバイスとチャック11との温度差をnステップ遅れで出力する。減算器243は、温度差実測値ΔT2と遅れ処理部242の出力値との差を算出する。加算器244は、温度差推定部241の出力値と減算器243の出力値との和を算出し、温度差補償値ΔT2aとして出力する。
【0034】
このような構成により、電子デバイスに電源供給を開始してからnステップの間においては、遅延により温度差実測値ΔT2は変化しない。このため、無駄時間補償部24は、温度差推定部241の温度差推定値を温度差補償値ΔT2aとして出力する。そして、電子デバイスの温度が定常状態となると、減算器243で減算される遅れ処理部242の出力値と加算器244で加算される温度差推定部241の出力値とが打ち消し合う。このため、無駄時間補償部24は、温度差実測値ΔT2を温度差補償値ΔT2aとして出力する。
【0035】
図2に戻り、セレクタ25は、温度差推定部22の温度差推定値ΔT1と、無駄時間補償部24の温度差補償値ΔT2aとが入力され、いずれか一方の値を出力する。セレクタ25は、切替信号が入力される。温度検出部14bでDUT温度が検出できる場合、セレクタ25は、無駄時間補償部24の温度差補償値ΔT2aを出力する。一方、温度検出部14bでDUT温度が検出できない場合、セレクタ25は、温度差推定部22の温度差推定値ΔT1を出力する。
【0036】
図2に戻り、減算器(チャック目標温度生成部)26は、電子デバイスの目標温度T0から電子デバイスとチャック11との温度差(ΔT1またはΔT2a)を減算することにより、チャック11の目標温度を算出する。
【0037】
モデル追従コントローラ27は、チャック11の目標温度(減算器26の出力値)とチャック11の実温度(チャック温度Tchuck)に基づいて、チャック11の温度制御器11dをモデル追従制御する。
【0038】
次に、本実施形態に係る検査装置10を用いた電子デバイスの温度制御について、
図7を用いて説明する。
図7は、電子デバイスの温度T
DUT及びチャック11の温度T
chuckの時間変化を示すグラフの一例である。なお、
図7のグラフにおいて、電子デバイスの温度T
DUTを破線で示し、チャック11の温度T
chuckを実線で示す。
【0039】
まず、チャック11及び電子デバイスは、設定温度まで昇温される。その後、電子デバイスに電力を供給(S101~S103)して検査を行う。
【0040】
ステップS101は、テストフローとの兼ね合いから温度測定用の素子14cを用いて電子デバイスの温度を検出することが困難(フィードバックができない)な検査である。この場合、制御部20は、温度差推定部22でDUT発熱量HDUTから温度差推定値ΔT1を推定して、温度差推定値ΔT1を用いてチャック11の温度を制御する。また、パラメータKは予め設定された値を用いる。このため、DUT温度TDUTは設定温度に対し、僅かにズレが生じるおそれがある。
【0041】
ステップS102は、テストフローとの兼ね合いから温度測定用の素子14cを用いて電子デバイスの温度を検出することが可能(フィードバックが可能)な検査である。この場合、制御部20は、無駄時間補償部24で温度差実測値ΔT2を無駄時間補償した温度差補償値ΔT2aを推定して、温度差補償値ΔT2aを用いてチャック11の温度を制御する。ここでは、電子デバイスの実温度(DUT温度TDUT)に基づいてチャック11の温度を制御するので、好適に電子デバイスの温度を制御することができる。
【0042】
また、ステップS102の際、パラメータKの調整を行う。
図8は、パラメータKの調整を説明するブロック図の一例である。制御部20は、減算器(実温度差算出部)28と、パラメータ生成部29と、を更に備える。減算器28は、電子デバイスとチャック11との温度差を算出する。具体的には、減算器28は、電子デバイスの実温度(DUT温度T
DUT)と、チャック11の実温度(チャック温度T
chuck)との温度差実測値ΔT2を算出する。パラメータ生成部29は、DUT温度T
DUTと減算器28で算出した温度差実測値ΔT2に基づいて、パラメータKを算出(調整)する。パラメータ生成部29で調整されたパラメータKは、温度差推定部22(
図2参照)に出力される。温度差推定部22のパラメータKが更新される。
【0043】
図7に戻り、ステップS103は、テストフローとの兼ね合いから温度測定用の素子14cを用いて電子デバイスの温度を検出することが困難(フィードバックができない)な検査である。この場合、制御部20は、温度差推定部22でDUT発熱量H
DUTから温度差推定値ΔT1を推定し、チャック11の温度を制御する。また、パラメータKはステップS102の際にパラメータ生成部29によって調整された値を用いる。このため、好適に電子デバイスの温度を制御することができる。
【0044】
図9は、電子デバイスの温度T
DUT及びチャック11の温度T
chuckの時間変化を示すグラフの他の一例である。
【0045】
図9(a)は、チャック11の温度を一定になるように制御した場合の電子デバイスの温度T
DUTとチャック11の温度T
chuckを示すグラフである。検査時に電子デバイスに電力を供給することで電子デバイスが発熱し、電子デバイスの温度T
DUTが上昇する。
【0046】
これに対し、
図9(b)は、本実施形態の制御をした場合の電子デバイスの温度T
DUTとチャック11の温度T
chuckを示すグラフである。電子デバイスのDUT発熱量H
DUTに基づいてチャック11の温度を下げることで、電子デバイスの温度T
DUTを一定とするように制御することができる。
【0047】
以上、検査装置10について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0048】
W ウエハ
10 検査装置
11 チャック
11c 温度センサ
11d 温度制御器
14 テスター
14a 電力供給部
14b 温度検出部
14c 素子
15 プローブカード
16 プローブ
17 インターフェース
18 テスターコンピュータ
20 制御部
21 目標温度生成部(デバイス目標温度生成部)
22 温度差推定部
23 減算器(実温度差算出部)
24 無駄時間補償部
25 セレクタ
26 減算器(チャック目標温度生成部)
27 モデル追従コントローラ
28 減算器(実温度差算出部)
29 パラメータ生成部