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特許7534048プラズマ処理システム及びプラズマ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】プラズマ処理システム及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240806BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L21/302 101M
H01L21/68 R
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021007413
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111771
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】曽根 一朗
(72)【発明者】
【氏名】長▲崎▼ 秀昭
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-024109(JP,A)
【文献】特開2019-160914(JP,A)
【文献】特開2020-145333(JP,A)
【文献】特開2020-096149(JP,A)
【文献】特開2018-010992(JP,A)
【文献】特開2019-186400(JP,A)
【文献】特開2017-050535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理システムであって、
内部に消耗部材が取り付けられるチャンバと、
前記チャンバに接続される真空搬送室と、
前記真空搬送室内に設けられ、前記チャンバとの間で前記消耗部材を搬送する搬送装置と、
当該プラズマ処理システム内の前記チャンバ外に設けられ、前記消耗部材の状態を検出する測定器と、
当該プラズマ処理システムの各要素を制御する制御部と、
を備え
前記測定器は、前記チャンバ外である前記真空搬送室に設けられ、前記消耗部材の厚さを検出する厚さ検出センサを含む、
プラズマ処理システム。
【請求項2】
前記測定器は、前記搬送装置が前記消耗部材を搬送する搬送経路において前記消耗部材の状態を検出する、
請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項3】
前記測定器は、前記搬送装置に保持された前記消耗部材の状態を検出する、
請求項1又は2に記載のプラズマ処理システム。
【請求項4】
前記測定器は、前記チャンバと前記真空搬送室との間に設けられるゲートバルブに隣接して設けられる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項5】
前記測定器は、前記真空搬送室の1箇所に設けられる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項6】
前記測定器は、基準位置に対する前記消耗部材の位置ずれを検出する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項7】
前記測定器は、非接触で前記消耗部材の状態を検出する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記チャンバ内に搬入する前の未使用の前記消耗部材の状態を検出するように前記搬送装置及び前記測定器を制御する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記プラズマ処理を経た使用中の前記消耗部材の状態を検出するように前記搬送装置及び前記測定器を制御する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記測定器が検出した前記消耗部材の状態に基づき前記プラズマ処理の条件を変更する、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項11】
前記消耗部材は、前記基板の周囲に配置されるエッジリングである、
請求項10に記載のプラズマ処理システム。
【請求項12】
前記プラズマ処理の条件は、前記エッジリングの持ち上げ量を含む、
請求項11に記載のプラズマ処理システム。
【請求項13】
前記プラズマ処理の条件は、前記エッジリングの裏面に供給される伝熱ガスの供給圧及び供給流量の少なくとも1つを含む、
請求項11又は12に記載のプラズマ処理システム。
【請求項14】
前記プラズマ処理の条件は、前記エッジリングに供給されるバイアス電圧の大きさを含む、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項15】
前記基板の中心部を加熱する第1のヒータと、前記基板の周縁部を加熱する第2のヒータとを含む加熱部を更に備え、
前記プラズマ処理の条件は、前記第2のヒータの設定温度を含む、
請求項11乃至14のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項16】
前記消耗部材の状態は、前記消耗部材の厚さである、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【請求項17】
基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法であって、
(a)消耗部材が取り付けられたチャンバ内において第1の条件で基板にプラズマ処理を施す工程と、
(b)前記プラズマ処理を経た前記消耗部材を前記チャンバに接続された真空搬送室内に搬送する工程と、
(c)前記真空搬送室内に搬送された前記消耗部材の状態を検出する工程と、
(d)状態の検出が行われた前記消耗部材を前記チャンバ内に搬送する工程と、
(e)前記工程(d)の後に前記チャンバ内において前記消耗部材の状態に基づいて設定される第2の条件で基板にプラズマ処理を施す工程と、
を有
前記工程(c)において検出される前記消耗部材の状態は、前記チャンバ外である前記真空搬送室に設けられた厚さ検出センサにより検出される前記消耗部材の厚さを含む、
プラズマ処理方法。
【請求項18】
前記工程(c)の前に、(f)基準位置に対する前記真空搬送室内に搬送された前記消耗部材の位置ずれの有無を判定する工程を更に有し、
前記工程(f)において前記消耗部材の位置ずれが無いと判定された場合に前記工程(c)を行う、
請求項17に記載のプラズマ処理方法。
【請求項19】
前記工程(f)において前記消耗部材の位置ずれが有ると判断された場合に、(g)前記位置ずれが補正可能であるか否かを判定する工程を更に有し、
前記工程(g)において前記位置ずれが補正可能であると判定された場合に前記工程(c)を行う、
請求項18に記載のプラズマ処理方法。
【請求項20】
前記工程(b)の後かつ前記工程(d)の前に、(h)前記チャンバ内をクリーニングする工程を更に有する、
請求項17乃至19のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項21】
前記工程(c)の後に、(i)前記工程(c)において検出された前記消耗部材の状態が許容範囲内か否かを判定する工程を更に有し、
前記工程(i)において前記消耗部材の状態が許容範囲内である場合に前記工程(d)を行う、
請求項17乃至20のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項22】
前記消耗部材の状態は、前記消耗部材の厚さである、
請求項17乃至21のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理システム及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
処理室の内部に設けられた載置台に基板を載置してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置が知られている。プラズマ処理装置においては、プラズマ処理を繰り返し行うことにより徐々に消耗するような消耗部材が存在する(例えば、特許文献1参照)。消耗部材としては、例えば載置台の上面における基板の周囲に設けられるフォーカスリング(エッジリング)が挙げられる。エッジリングは、プラズマに曝されることにより削られるため、定期的に交換する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-10992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、消耗部材の状態を検出できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるプラズマ処理システムは、基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理システムであって、内部に消耗部材が取り付けられるチャンバと、前記チャンバに接続される真空搬送室と、前記真空搬送室内に設けられ、前記チャンバとの間で前記消耗部材を搬送する搬送装置と、当該プラズマ処理システム内の前記チャンバ外に設けられ、前記消耗部材の状態を検出する測定器と、当該プラズマ処理システムの各要素を制御する制御部と、を備え、前記測定器は、前記チャンバ外である前記真空搬送室に設けられ、前記消耗部材の厚さを検出する厚さ検出センサを含む
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、消耗部材の状態を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態のプラズマ処理システムの一例を示す図
図2】第1の実施形態のプラズマ処理システムのハード構成例を示す図
図3】厚さ検出センサの一例を示す図
図4】実施形態のプラズマ処理装置の一例を示す縦断面図
図5】エッジリングを昇降させる昇降ピンを説明するための図
図6】エッジリングの裏面に供給される伝熱ガスを説明するための図
図7】エッジリングに直流電圧を印加する直流電源を説明するための図
図8】多ゾーンヒータを説明するための図
図9】第1の実施形態の搬送方法の一例を示すフローチャート
図10】第1の実施形態の搬送方法の別の一例を示すフローチャート
図11】第2の実施形態のプラズマ処理システムの一例を示す図
図12】第3の実施形態のプラズマ処理システムの一例を示す図
図13】第4の実施形態のプラズマ処理システムの一例を示す図
図14】第5の実施形態のプラズマ処理システムの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔第1の実施形態〕
(プラズマ処理システム)
図1図3を参照し、第1の実施形態のプラズマ処理システムの一例について説明する。第1の実施形態のプラズマ処理システムPS1は、基板にプラズマ処理等の各種の処理を施すことが可能なシステムである。
【0010】
プラズマ処理システムPS1は、真空搬送室TM、プロセスモジュールPM1~PM4、ロードロック室LL1,LL2、大気搬送室LM、制御部CU等を備える。
【0011】
真空搬送室TMは、平面視において略五角形状を有する。真空搬送室TMは、対向する2つの側面にプロセスモジュールPM1~PM4が接続されている。真空搬送室TMの他の対向する2つの側面のうち、一方の側面にはロードロック室LL1,LL2が接続され、他方の側面の近傍には厚さ検出センサS11及び位置検出センサS12が設けられている。真空搬送室TMは、真空室を有し、内部に搬送ロボットTRが配置されている。
【0012】
搬送ロボットTRは、旋回、伸縮、昇降自在に構成されている。搬送ロボットTRは、先端に配置されたフォークFKに搬送対象物を載置して、ロードロック室LL1,LL2及びプロセスモジュールPM1~PM4の間で搬送対象物を搬送する。搬送対象物は、基板及び消耗部材を含む。基板は、例えば半導体ウエハであってよい。消耗部材は、プロセスモジュールPM1~PM4内に交換可能に取り付けられる部材であり、プロセスモジュールPM1~PM4内でプラズマ処理等の各種の処理が行われることで消耗する部材である。消耗部材は、例えばエッジリングFR、カバーリング、上部電極の天板を含む。エッジリングFRは、プロセスモジュールPM1~PM4内において基板の周囲に配置される環状部材である。カバーリングは、エッジリングFRの外周に載置され、石英等により形成される環状部材である。上部電極の天板は、複数のガス導入口(図示せず)が形成された板状部材である。
【0013】
厚さ検出センサS11は、例えば図3に示されるように、エッジリングFRに光Lを投射したときのエッジリングFRからの信号(例えば反射光)を検出する。また、厚さ検出センサS11は、検出信号を厚さコントローラCT11に送信する。厚さ検出センサS11は、真空搬送室TMの内部に設けられていてもよく、真空搬送室TMの外部に設けられていてもよい。厚さ検出センサS11は、非接触式のセンサであり、例えば分光干渉式厚みセンサ、変位センサであってよい。分光干渉式厚みセンサとしては、例えば波長掃引式干渉計、マルチチャンネル分光式干渉計が挙げられる。変位センサとしては、例えば三角測距方式(PSD方式、CMOS方式、CCD方式)、同軸共焦点方式、白色同軸共焦点方式、光切断方式のセンサが挙げられる。なお、図3の例では、厚さ検出センサS11によりエッジリングFRの上方から該エッジリングFRの厚さを検出する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、厚さ検出センサS11は、エッジリングFRの下方から該エッジリングFRの厚さを検出するように構成されていてもよい。また例えば、厚さ検出センサS11は、エッジリングFRの両側(上方及び下方)から該エッジリングFRの厚さを検出するように構成されていてもよい。エッジリングFRの両側から該エッジリングFRの厚さを検出することにより、検出されるエッジリングFRの厚さの精度が高くなる。
【0014】
厚さコントローラCT11は、厚さ検出センサS11の検出信号に基づいて、エッジリングFRの厚さを算出する。厚さコントローラCT11は、算出したエッジリングFRの厚さを制御部CUに出力する。
【0015】
位置検出センサS12は、フォークFKに保持された搬送対象物の位置を検出し、検出信号を位置コントローラCT12に送信する。位置検出センサS12は、例えば基板の外周縁部の複数箇所を検出することにより、フォークFKに保持された基板の位置を検出する。また、位置検出センサS12は、例えばエッジリングFRの内周縁部の複数箇所を検出することにより、フォークFKに保持されたエッジリングFRの位置を検出する。
【0016】
位置コントローラCT12は、位置検出センサS12により検出される搬送対象物の位置と予め定められた基準位置とに基づいて、搬送対象物の基準位置からのずれ量を算出し、算出したずれ量を制御部CUに送信する。制御部CUは、搬送ロボットTRにより、算出されたずれ量を補正するように搬送対象物を搬送先(例えばプロセスモジュールPM1~PM4)のステージに載置するように制御する。
【0017】
プロセスモジュールPM1~PM4は、処理室を有し、内部に配置されたステージを有する。プロセスモジュールPM1~PM4は、ステージに基板が載置された後、内部を減圧して処理ガスを導入し、RF電力を印加してプラズマを生成し、生成されたプラズマによって基板にプラズマ処理を施す。プラズマ処理の一例はエッチング処理を含む。真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1~PM4とは、開閉自在なゲートバルブG1で仕切られている。
【0018】
ロードロック室LL1,LL2は、真空搬送室TMと大気搬送室LMとの間に配置されている。ロードロック室LL1,LL2は、内部を真空と大気圧との間で切り換え可能な内圧可変室を有する。ここで、真空とは、大気圧よりも減圧された低圧状態を意味する。ロードロック室LL1,LL2は、内部に配置されたステージを有する。ロードロック室LL1,LL2は、基板を大気搬送室LMから真空搬送室TMへ搬入する際、内部を大気圧に維持して大気搬送室LMから基板を受け取り、内部を真空に切り替えて真空搬送室TMへ基板を搬入する。ロードロック室LL1,LL2は、基板を真空搬送室TMから大気搬送室LMへ搬出する際、内部を真空に維持して真空搬送室TMから基板を受け取り、内部を大気圧まで昇圧して大気搬送室LMへ基板を搬入する。ロードロック室LL1,LL2と真空搬送室TMとは、開閉自在なゲートバルブG2で仕切られている。ロードロック室LL1,LL2と大気搬送室LMとは、開閉自在なゲートバルブG3で仕切られている。
【0019】
大気搬送室LMは、真空搬送室TMに対向して配置されている。大気搬送室LMは、例えばEFEM(Equipment Front End Module)であってよい。大気搬送室LMは、直方体状であり、FFU(Fan Filter Unit)を備え、大気圧に保持された大気搬送室である。大気搬送室LMの長手方向に沿った一の側面には、2つのロードロック室LL1,LL2が接続されている。大気搬送室LMの長手方向に沿った他の側面には、ロードポートLP1~LP3が接続されている。ロードポートLP1~LP3には、搬送対象物を収容する容器が載置される。該容器は、例えば1又は2以上の基板を収容する容器、1又は2以上の消耗部材を収容する容器を含む。基板を収容する容器は、例えばFOUP(Front-Opening Unified Pod)であってよい。消耗部材を収容する容器は、例えばエッジリングFRを収容する容器、カバーリングを収容する容器、上部電極の天板を収容する容器を含む。大気搬送室LM内には、搬送ロボット(図示せず)が配置されている。搬送ロボットは、ロードポートLP1~LP3に載置される容器内とロードロック室LL1,LL2の内圧可変室内との間で搬送対象物を搬送する。なお、図1の例では、ロードポートLP3にエッジリングFRを収容した容器が載置されている場合を示す。
【0020】
制御部CUは、プラズマ処理システムPS1の各部、例えば真空搬送室TMに設けられた搬送ロボットTR、大気搬送室LMに設けられた搬送ロボット、ゲートバルブG1~G3を制御する。また、制御部CUは、プラズマ処理システムPS1の各部を制御し、後述する実施形態の測定方法を実行する。制御部CUは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROM又は補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、プラズマ処理システムPS1の各部を制御する。
【0021】
(プラズマ処理装置)
図4を参照し、図1のプラズマ処理システムPS1が備えるプロセスモジュールPM1~PM4として用いられるプラズマ処理装置の一例について説明する。
【0022】
プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0023】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウエハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。静電チャックは、例えば絶縁材の間に吸着電極111cが介在された構成となっている。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングFRである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、冷媒やガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0024】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0025】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0026】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0027】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0028】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0029】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0030】
(リフタ)
図5を参照し、プラズマ処理装置1におけるエッジリングFRを昇降させるリフタの一例について説明する。
【0031】
リフタ50は、エッジリングFRを昇降させる。リフタ50は、昇降ピン51、アクチュエータ52及びシール部材53を含む。
【0032】
昇降ピン51は、エッジリングFRの真下において本体部111を鉛直方向に貫通する貫通孔111hに挿通されている。昇降ピン51の先端(第一端)は、エッジリングFRの下面に当接される。昇降ピン51の基端(第二端)は、プラズマ処理チャンバ10の外に配置されるアクチュエータ52に支持されている。
【0033】
アクチュエータ52は、昇降ピン51を上下に移動させてエッジリングFRの高さ位置を調整する。
【0034】
シール部材53は、貫通孔111hの内壁と昇降ピン51との間に設けられている。シール部材53は、貫通孔111hの内壁と昇降ピン51との間の気密にシールする。シール部材53は、例えばOリングであってよい。
【0035】
エッジリングFRを搬出する際には、まず、アクチュエータ52により昇降ピン51を上下に移動させてエッジリングFRの高さ位置を調整する。続いて、ゲートバルブG1を開き、フォークFKをプラズマ処理チャンバ10内のエッジリングFRの下方に進入させる。続いて、昇降ピン51が降下することによりエッジリングFRがフォークFK上に載置される。
【0036】
エッジリングFRを搬入する際には、まず、ゲートバルブG1を開き、エッジリングFRを保持したフォークFKをプラズマ処理チャンバ10内に進入させる。続いて、アクチュエータ52により昇降ピン51を上昇させることにより、フォークFK上のエッジリングFRが昇降ピン51上に受け渡される。
【0037】
(吸着機構・伝熱ガス供給機構)
図6を参照し、プラズマ処理装置1におけるエッジリングFRを吸着させる吸着機構及びエッジリングFRの裏面に伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給機構の一例について説明する。
【0038】
吸着機構60は、直流電源61a,61b、スイッチ62a,62b及び電極板63a,63bを含む。吸着機構60は、直流電源61a,61bから電極板63a,63bに印加された電圧によりクーロン力等の静電力を発生させ、静電力により本体部111上にエッジリングFRを吸着させる。なお、図6では、電極板が双極の例を示したが、単極であってもよい。
【0039】
伝熱ガス供給機構70は、伝熱ガス供給源71及びガス供給ライン72を含む。伝熱ガス供給源71は、伝熱ガスをガス供給ライン72に供給する。伝熱ガスとしては、熱伝導性を有するガス、例えばヘリウム(He)ガス等が好適に用いられる。ガス供給ライン72は、一端が伝熱ガス供給源71に接続され、他端が本体部111の上面とエッジリングFRの下面との間に連通する。伝熱ガス供給機構70は、伝熱ガス供給源71からガス供給ライン72を介して、本体部111の上面とエッジリングFRの下面との間に伝熱ガスを供給する。
【0040】
(バイアス電源)
図7を参照し、プラズマ処理装置1におけるエッジリングFRにバイアス電圧を印加するバイアス電源の一例について説明する。
【0041】
バイアス電源80は、エッジリングFRに接続されている。バイアス電源80は、例えば10~500Vの大きさの直流電圧をエッジリングFRに印加できるように構成されている。バイアス電源80は、プラズマ処理の際に、エッジリングFRに対して所定の電圧を印加することにより、エッジリングFRの上方のプラズマシースの厚みを調節して、基板Wの端部におけるプラズマシースの歪みを是正できる。これにより、基板Wの面内におけるエッチング形状の均一性を高めることができる。また、バイアス電源80は、プラズマ処理の際に、後述する搬送方法において検出されるエッジリングFRの厚さに基づき、エッジリングFRに印加するバイアス電圧を変更する。これにより、エッジリングFRの消耗によりエッジリングFRの厚さが変わった場合でも、基板Wの端部におけるプラズマシースの歪みを是正できる。そのため、エッジリングFRの消耗によって基板Wの面内におけるエッチング形状が変化することを抑制できる。なお、バイアス電源80として直流電源の他、400kHz~100MHzの高周波電源を用いてもよい。
【0042】
(加熱機構)
図8を参照し、プラズマ処理装置1における基板Wを加熱する加熱機構の一例について説明する。
【0043】
加熱機構(ヒータ)90は、本体部111に埋め込まれている。加熱機構90は、複数のヒータ91a~91c、給電線92a~92c及び交流電源93を含む。例えば、ヒータ91a~91cは、それぞれ本体部111の中心領域、中間領域及び周縁領域に設けられている。給電線92a~92cは、それぞれ一端がヒータ91a~91cと接続され、他端が交流電源93と接続されている。交流電源93は、給電線92a~92cを介してヒータ91a~91cに所定の電流を供給する。これにより、本体部111の温度を領域ごとに上昇させることができる。
【0044】
なお、前述した吸着機構60、伝熱ガス供給機構70、バイアス供給(バイアス電源80によるエッジリングFRに対するバイアス電圧の印加)及び加熱機構90は、適宜組み合わせることができる。
【0045】
(搬送方法)
図9を参照し、実施形態の搬送方法の一例について説明する。以下では、図1に示されるプラズマ処理システムPS1において、エッジリングFRが設置されていないプロセスモジュールPM1内のステージにエッジリングFRを設置する場合を例に挙げて説明する。
【0046】
ステップST101では、制御部CUは、エッジリングFRの取付対象チャンバを選択する。例えば、制御部CUは、エッジリングFRの取付対象チャンバとしてプロセスモジュールPM1を選択する。
【0047】
ステップST102では、制御部CUは、エッジリングFRを選択し、選択したエッジリングFRの搬送を開始する。一実施形態において、まず、制御部CUは、大気搬送室LM内の搬送ロボット(図示せず)により、例えばロードポートLP3に載置された容器内に収容されたエッジリングFRを搬出するように制御する。続いて、制御部CUは、大気搬送室LMとロードロック室LL1との間のゲートバルブG3を開くように制御する。続いて、制御部CUは、該搬送ロボットにより、エッジリングFRをロードロック室LL1内のステージに載置するように制御する。続いて、制御部CUは、該ゲートバルブG3を閉じ、ロードロック室LL1内を減圧して真空に切り替えるように制御する。続いて、制御部CUは、ロードロック室LL1と真空搬送室TMとの間のゲートバルブG2を開くように制御する。続いて、制御部CUは、真空搬送室TM内に配置された搬送ロボットTRのフォークFKにより、ロードロック室LL1内のステージに載置されたエッジリングFRを受け取るように制御する。
【0048】
ステップST103では、制御部CUは、搬送途中で、エッジリングFRの位置を検出する。一実施形態において、制御部CUは、搬送ロボットTRを制御し、エッジリングFRを保持したフォークFKを、真空搬送室TMに設けられた位置検出センサS12の検出領域に移動させるように制御する。続いて、位置コントローラCT12は、位置検出センサS12によりエッジリングFRの位置を検出する。また、位置コントローラCT12は、検出したエッジリングFRの位置を記憶(保存)してもよい。
【0049】
ステップST104では、制御部CUは、ステップST103において検出されたエッジリングFRの位置に基づいて、エッジリングFRの位置ずれがあるか否かを判定する。一実施形態において、位置コントローラCT12は、位置検出センサS12により検出されるエッジリングFRの位置と予め定めれた基準位置とに基づいて、エッジリングFRの基準位置からのずれ量を算出し、算出したずれ量を制御部CUに送信する。制御部CUは、該ずれ量に基づきエッジリングFRの位置ずれがあるか否かを判定する。ステップST104において、エッジリングFRの位置ずれがあると判定した場合、制御部CUは処理をステップST105へ進める。一方、ステップST104において、エッジリングFRの位置ずれがないと判定した場合、制御部CUは処理をステップST107へ進める。
【0050】
ステップST105では、制御部CUは、ステップST104にて算出した位置ずれが補正可能であるか否かを判定する。ステップST105において、位置ずれが補正可能であると判定した場合、制御部CUは処理をステップST106へ進める。一方、ステップST105において、位置ずれが補正不可であると判定した場合、制御部CUは処理をステップST110へ進める。
【0051】
ステップS106では、制御部CUは、ステップST104にて算出した位置ずれ量に基づいて、エッジリングFRの位置ずれ量を補正するまたは補正値を算出する。
【0052】
ステップST107では、制御部CUは、エッジリングFRの厚みを検出する。一実施形態において、制御部CUは、搬送ロボットTRを制御し、エッジリングFRを保持したフォークFKを、真空搬送室TMに設けられた厚さ検出センサS11の検出領域に補正値を考慮して移動させるように制御する。なお、厚さ検出センサS11の検出領域は、位置検出センサS12の検出領域と同じ位置であってもよく、異なる位置であってもよい。厚さ検出センサS11の検出領域が位置検出センサS12の検出領域と同じ位置である場合、エッジリングFRの位置を検出した後、フォークFKを移動させることなく、エッジリングFRの厚さを検出できる。
【0053】
ステップST108では、制御部CUは、エッジリングFRの厚さが許容範囲内であるか否かを判定する。一実施形態において、制御部CUは、ステップST107において検出されたエッジリングFRの厚さに基づき、エッジリングFRの厚さが許容範囲内であるか否かを判定する。ステップST108において、エッジリングFRの厚さが許容範囲内であると判定した場合、制御部CUは処理をステップST109へ進める。一方、ステップST108において、エッジリングFRの厚さが許容範囲外であると判定した場合、制御部CUは処理をステップST110へ進める。
【0054】
ステップST109では、制御部CUは、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1に搬送する。一実施形態において、まず、制御部CUは、真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1との間のゲートバルブG1を開くように制御する。続いて、制御部CUは、搬送ロボットTRにより、位置コントローラCT12により算出されたずれ量を補正するようにエッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置するように制御する。その後、制御部CUは処理を終了する。
【0055】
また、制御部CUは、プロセスモジュールPM1のステージに新たなエッジリングFRを載置した後に基板Wにプラズマ処理を施す場合、厚さコントローラCT11が算出した該エッジリングFRの厚さに基づき設定される条件でプラズマ処理を施してもよい。これにより、プラズマ処理の均一性を向上させることができる。
【0056】
プラズマ処理の条件は、例えばバイアス電源80によりエッジリングFRに供給されるバイアス電圧の大きさであってよい。また、プラズマ処理の条件は、例えば昇降ピン51によるエッジリングFRの持ち上げ量であってもよい。また、プラズマ処理の条件は、例えば伝熱ガス供給機構70により本体部111の上面とエッジリングFRの下面との間に供給される伝熱ガスの供給圧や供給流量であってもよい。また、プラズマ処理の条件は、例えば本体部111の周縁領域を加熱するヒータ91cの設定温度であってもよい。
【0057】
ステップST110では、制御部CUは、アラームを発報し、搬送ロボットTRによるエッジリングFRの搬送を停止する。
【0058】
ステップST111では、制御部CUは、エッジリングFRをロードポートLP1~LP3に搬送する。一実施形態において、まず、制御部CUは、ロードロック室LL2内を減圧して真空に切り替えるように制御する。続いて、制御部CUは、ロードロック室LL2と真空搬送室TMとの間のゲートバルブG2を開くように制御する。続いて、制御部CUは、搬送ロボットTRのフォークFKに保持されたエッジリングFRを、ロードロック室LL2内のステージに載置するように制御する。続いて、制御部CUは、該ゲートバルブG2を閉じ、ロードロック室LL2内を大気に切り替えるように制御する。続いて、制御部CUは、大気搬送室LMとロードロック室LL2との間のゲートバルブG3を開くように制御する。続いて、制御部CUは、大気搬送室LM内の搬送ロボット(図示せず)により、ロードロック室LL2内のステージに載置されたエッジリングFRを受け取り、例えばロードポートLP3に載置された容器内にエッジリングFRを収容するように制御する。また、制御部CUは、該ゲートバルブG3を閉じるように制御する。
【0059】
ステップST112では、制御部CUは、プラズマ処理システムPS1の状態をオペレータ指示待ち状態に移行させる。
【0060】
ステップST113では、制御部CUは、オペレータにより「再試行する」又は「再試行しない」のいずれが選択されたかを判定する。ステップST113において、「再試行する」が選択されたと判定した場合、制御部CUは処理をステップST114へ進める。一方、ステップST113において、「再試行しない」が選択されたと判定した場合、制御部CUは処理を終了する。
【0061】
ステップST114では、制御部CUは、使用可能な別のエッジリングFRがあるか否かを判定する。ステップST114において、使用可能な別のエッジリングFRがあると判定した場合、制御部CUは処理をステップST102へ戻す。一方、ステップST114において、使用可能な別のエッジリングFRがないと判定した場合、制御部CUは処理を終了する。
【0062】
図10を参照し、実施形態の搬送方法の別の一例について説明する。以下では、図1に示されるプラズマ処理システムPS1において、プロセスモジュールPM1内のステージに設置されたエッジリングFRの定期点検及び交換を実施する場合を例に挙げて説明する。
【0063】
ステップST201では、制御部CUは、エッジリングFRの点検対象チャンバを選択する。例えば、制御部CUは、エッジリングFRの点検対象チャンバとしてプロセスモジュールPM1を選択する。
【0064】
ステップST202では、制御部CUは、ステップST201にて選択されたチャンバにおいてクリーニング処理を実行する。例えば、制御部CUは、吸着機構60の直流電源61a,61bから電極板63a,63bに印加されている電圧をオフにすることにより、本体部111に対するエッジリングFRの吸着を解除するように制御する。続いて、制御部CUは、プロセスモジュールPM1内のステージに載置されたエッジリングFRを昇降ピン51により持ち上げ、ステージの載置面から離間させた状態でクリーニング処理を実行するように制御することが好ましい。これにより、エッジリングFRの裏面にプラズマ処理により堆積した反応生成物を除去できる。ただし、制御部CUは、エッジリングFRをステージの載置面から離間させずにクリーニング処理を実行するように制御してもよい。クリーニング処理とは、プラズマ処理によって発生したプロセスモジュールPM1内の堆積物を処理ガスのプラズマ等により除去し、プロセスモジュールPM1内をクリーンな状態で安定させる処理である。クリーニング処理を行うことにより、プロセスモジュールPM1内からエッジリングFRを搬出する際、プロセスモジュールPM1内の堆積物が巻き上がることを抑制できる。処理ガスとしては、例えば、酸素(O)ガス、フッ化炭素(CF)系ガス、窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガス、Heガス、あるいは、これらの二種以上の混合ガスを用いることができる。また、プロセスモジュールPM1のクリーニング処理を行う際、処理条件によってはステージの静電チャックを保護するために、静電チャックの上面にダミーウエハ等の基板Wを載置した状態でクリーニング処理を行ってもよい。なお、プロセスモジュールPM1内に堆積物が存在しない場合、またはエッジリングの搬送に影響しない場合等には、クリーニング処理を行わなくてもよい。すなわち、ステップST202を省略してもよい。
【0065】
ステップST203では、制御部CUは、プロセスモジュールPM1内からエッジリングFRを取り出す。一実施形態において、まず、制御部CUは、真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1との間のゲートバルブG1を開くように制御する。続いて、制御部CUは、真空搬送室TM内に配置された搬送ロボットTRのフォークFKにより、プロセスモジュールPM1内のステージに載置されたエッジリングFRを受け取るように制御する。より具体的には、まず、アクチュエータ52により昇降ピン51を上昇させることにより、昇降ピン51の先端でエッジリングFRを持ち上げる。続いて、フォークFKをプロセスモジュールPM1内のエッジリングFRの下方に進入させる。続いて、昇降ピン51が降下することによりエッジリングFRがフォークFK上に載置される。続いて、制御部CUは、エッジリングFRを真空搬送室TMに搬送し、該ゲートバルブG1を閉じるように制御する。
【0066】
ステップST204~ステップST215は、前述のステップST103~ステップST114と同じであってよい。また、ステップST216は、前述のステップST102と同じであってよい。
【0067】
以上に説明した第1の実施形態によれば、プラズマ処理システムPS1のプロセスモジュールPM1~PM4外である真空搬送室TMにエッジリングFRの厚さを検出する厚さ検出センサS11が設けられている。これにより、プラズマに曝されない環境下でエッジリングFRの消耗量を検出できる。その結果、精度よくエッジリングFRの厚さを検出できる。
【0068】
これに対し、プロセスモジュールPM1~PM4内に厚さ検出センサを設ける場合、例えばプロセスモジュールPM1の天板や側壁に光を透過する透過窓(View Port)を設け、透過窓を介してエッジリングFRに光を照射して厚さを検出することになる。この場合、透過窓がプラズマによりエッチングされ得るため、該透過窓が新たな消耗部材となる。そうすると、該透過窓を定期的に交換するメンテナンスが新たに発生し、生産性が低下し、またコストが増加する。また、透過窓の表面が消耗したり、透過窓の表面にエッチング生成物が付着したりすると、検出値のSN比の低下を招き、検出精度が悪化する。
【0069】
また、第1の実施形態によれば、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する前に、エッジリングFRの厚さを検出する。そして、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲内である場合、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する。一方、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲外である場合、エッジリングFRの回収及び交換を行う。これにより、エッジリングFRの取り付け間違いを防止できる。
【0070】
〔第2の実施形態〕
図11を参照し、第2の実施形態のプラズマ処理システムの一例について説明する。第2の実施形態のプラズマ処理システムPS2は、厚さ検出センサS11及び位置検出センサS12がゲートバルブG1の近傍に設けられている点で、第1の実施形態のプラズマ処理システムPS1と異なる。なお、その他の点については、第1の実施形態のプラズマ処理システムPS1と同じであってよい。
【0071】
厚さ検出センサS11は、真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1~PM4との間のゲートバルブG1の近傍に設けられている。厚さ検出センサS11は、搬送ロボットTRのフォークFKが真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1~PM4との間でエッジリングFRを搬送する搬送経路において、エッジリングFRの厚さを検出する。
【0072】
位置検出センサS12は、真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1~PM4との間のゲートバルブG1の近傍に設けられている。位置検出センサS12は、搬送ロボットTRのフォークFKが真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1~PM4との間でエッジリングFRを搬送する搬送経路において、エッジリングFRの位置を検出する。
【0073】
第2の実施形態によれば、プラズマ処理システムPS2のプロセスモジュールPM1~PM4外である真空搬送室TMにエッジリングFRの厚さを検出する厚さ検出センサS11が設けられている。これにより、プラズマに曝されない環境下でエッジリングFRの消耗量を検出できる。その結果、精度よくエッジリングFRの厚さを検出できる。
【0074】
また、第2の実施形態によれば、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する前に、エッジリングFRの厚さを検出する。そして、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲内である場合、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する。一方、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲外である場合、エッジリングFRの回収及び交換を行う。これにより、エッジリングFRの取り付け間違いを防止できる。
【0075】
また、第2の実施形態によれば、厚さ検出センサS11及び位置検出センサS12が真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1~PM4との間のゲートバルブG1の近傍に設けられている。これにより、搬送ロボットTRにより、エッジリングFRを、真空搬送室TMからプロセスモジュールPM1~PM4に搬送しながらエッジリングFRの厚さ及び位置ずれを算出できる。そのため、プラズマ処理システムPS1に比べてエッジリング搬送のスループットが向上する。
【0076】
〔第3の実施形態〕
図12を参照し、第3の実施形態のプラズマ処理システムの一例について説明する。第3の実施形態のプラズマ処理システムPS3は、厚さ検出センサS11の機能が位置検出センサS12に統合されている点で、第2の実施形態のプラズマ処理システムPS2と異なる。なお、その他の点については、第2の実施形態のプラズマ処理システムPS2と同じであってよい。
【0077】
プラズマ処理システムPS3は、真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1~PM4との間のゲートバルブG1の近傍の各々に設けられた、位置検出センサS12及び複合検出センサS13を有する。
【0078】
複合検出センサS13は、エッジリングFRの位置を検出する機能と、エッジリングFRの厚さを検出する機能とを有する。
【0079】
第3の実施形態によれば、プラズマ処理システムPS3のプロセスモジュールPM1~PM4外である真空搬送室TMにエッジリングFRの厚さを検出する厚さ検出センサS11が設けられている。これにより、プラズマに曝されない環境下でエッジリングFRの消耗量を検出できる。その結果、精度よくエッジリングFRの厚さを検出できる。
【0080】
また、第3の実施形態によれば、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する前に、エッジリングFRの厚さを検出する。そして、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲内である場合、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する。一方、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲外である場合、エッジリングFRの回収及び交換を行う。これにより、エッジリングFRの取り付け間違いを防止できる。
【0081】
また、第3の実施形態によれば、位置検出センサS12及び複合検出センサS13が真空搬送室TMとプロセスモジュールPM1~PM4との間のゲートバルブG1の近傍に設けられている。これにより、搬送ロボットTRにより、エッジリングFRを、真空搬送室TMからプロセスモジュールPM1~PM4に搬送しながらエッジリングFRの厚さ及び位置ずれを算出できる。そのため、プラズマ処理システムPS1に比べてエッジリング搬送のスループットが向上する。
【0082】
また、第3の実施形態によれば、厚さ検出センサS11の機能が位置検出センサS12に統合されている。これにより、センサの数を削減できる。
【0083】
〔第4の実施形態〕
図13を参照し、第4の実施形態のプラズマ処理システムの一例について説明する。第4の実施形態のプラズマ処理システムPS4は、大気搬送室LM内にエッジリングFRを保管するバッファBFが設けられている点で、第1の実施形態のプラズマ処理システムPS1と異なる。
【0084】
バッファBFは、大気搬送室LM内に設けられている。バッファBFは、内部に複数のエッジリングFRを多段に収容する。バッファBFは、大気搬送室LM内の搬送ロボット(図示せず)によりアクセス可能な位置に設けられている。該搬送ロボットは、バッファBFとロードロック室LL1,LL2との間でエッジリングFRを搬送する。
【0085】
このように、エッジリングFRの収容場所がバッファBFであることを除けば、他はプラズマ処理システムPS1~PS3と同じであってよい。
【0086】
第4の実施形態によれば、プラズマ処理システムPS4のプロセスモジュールPM1~PM4外である真空搬送室TMにエッジリングFRの厚さを検出する厚さ検出センサS11が設けられている。これにより、プラズマに曝されない環境下でエッジリングFRの消耗量を検出できる。その結果、精度よくエッジリングFRの厚さを検出できる。
【0087】
また、第4の実施形態によれば、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する前に、エッジリングFRの厚さを検出する。そして、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲内である場合、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する。一方、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲外である場合、エッジリングFRの回収及び交換を行う。これにより、エッジリングFRの取り付け間違いを防止できる。
【0088】
〔第5の実施形態〕
図14を参照し、第5の実施形態のプラズマ処理システムの一例について説明する。第5の実施形態のプラズマ処理システムPS5は、真空搬送室TMに、エッジリングFRを保管する保管チャンバSCが接続されている点で、第1の実施形態のプラズマ処理システムPS1と異なる。
【0089】
保管チャンバSCは、真空搬送室TMにゲートバルブG4を介して接続されている。保管チャンバSCは、内部に複数のエッジリングFRを多段に収容する。保管チャンバSCは、搬送ロボットTRによりアクセス可能な位置に設けられている。該搬送ロボットTRは、保管チャンバSCとプロセスモジュールPM1,PM2,PM4との間でエッジリングFRを搬送する。
【0090】
このように、エッジリングFRの収容場所が保管チャンバSCであることを除けば、他はプラズマ処理システムPS1~PS3と同じであってよい。
【0091】
第5の実施形態によれば、プラズマ処理システムPS5のプロセスモジュールPM1,PM2,PM4外である真空搬送室TMにエッジリングFRの厚さを検出する厚さ検出センサS11が設けられている。これにより、プラズマに曝されない環境下でエッジリングFRの消耗量を検出できる。その結果、精度よくエッジリングFRの厚さを検出できる。
【0092】
また、第5の実施形態によれば、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する前に、エッジリングFRの厚さを検出する。そして、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲内である場合、エッジリングFRをプロセスモジュールPM1のステージに載置する。一方、検出したエッジリングFRの厚さが許容範囲外である場合、エッジリングFRの回収及び交換を行う。これにより、エッジリングFRの取り付け間違いを防止できる。
【0093】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0094】
上記の実施形態では、エッジリングFRの厚さを検出する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、エッジリングFRに代えて、プロセスモジュールPM内に取り付けられる別の消耗部材、例えばカバーリング、上部電極の天板等の厚さを検出する場合についても同様に適用できる。
【0095】
上記の実施形態では、プラズマ処理システムPS1~PS5内のチャンバ外に消耗部材の厚さを検出する厚さ検出センサS11を配置する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、厚さ検出センサS11に代えて、例えば消耗部材の表面状態等、消耗部材の状態を検出する状態検出センサを配置してもよい。
【0096】
また、状態検出センサによって消耗部材の状態を検出する際、スポット(1点)ではなくエリア(直線または面)で消耗部材の状態を検出することにより、消耗部材の形状(傾き、凹凸、歪み、たわみ、反り等)を検出できる。一例としては、エッジリングFRを回転させることにより複数点(又は線)におけるエッジリングFRの状態を検出できる。また、ラインセンサのようなセンサを用いることにより複数点(又は線)におけるエッジリングFRの状態を検出できる。また、これらを組み合わせてもよい。これらにより、エッジリングFRの全周にわたって、傾き、凹凸、歪み、たわみ、反り等の形状を検出できる。
【符号の説明】
【0097】
CU 制御部
PS1~PS5 プラズマ処理システム
PM1~PM4 プロセスモジュール
S11 厚さ検出センサ
TM 真空搬送室
TR 搬送ロボット
FR エッジリング
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