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特許7534050プラズマ支援低真空荷電粒子顕微鏡法のための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】プラズマ支援低真空荷電粒子顕微鏡法のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/244 20060101AFI20240806BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20240806BHJP
   H01J 37/08 20060101ALI20240806BHJP
   H01J 27/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01J37/244
H01J37/28 B
H01J37/08
H01J27/02
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021043245
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2021150288
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】16/823,140
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ビショップ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル トトンジアン
(72)【発明者】
【氏名】クリス エルバダウィ
(72)【発明者】
【氏名】チャーリーン ロボ
(72)【発明者】
【氏名】ミロス トス
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0380207(US,A1)
【文献】特開2019-032940(JP,A)
【文献】特開2007-280737(JP,A)
【文献】特開2014-089936(JP,A)
【文献】米国特許第05466929(US,A)
【文献】米国特許第06105589(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01J 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを画像化するための方法であって、
検出空間にガスを提供することと、
前記検出空間に磁場を提供することと、
前記検出空間にプラズマを提供しながら荷電粒子ビームを前記サンプルに照射することと、
前記照射に応答して前記サンプルから前記検出空間に放出された荷電粒子を検出することと、
前記検出された荷電粒子に基づいて画像を形成することと、を含み、
前記サンプルが、0.05トル未満の圧力を有するサンプル室内に配置される、方法。
【請求項2】
前記ガスが複数のガス種の混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマが、5未満のモル重量を有する少なくとも1つのガス分子種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマが水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマが、前記検出空間に提供される前記ガスの少なくとも1つの種をイオン化することによって提供される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプルが前記磁場の中に浸漬される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプルから放出された前記荷電粒子が検出器によって検出され、前記検出空間が前記検出器の位置および構造によって画定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記荷電粒子ビームが電子ビームであり、前記検出された荷電粒子が二次電子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記形成された画像に基づいて、前記検出空間に提供される前記ガスの量および前記プラズマの量を調整することをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
サンプルを画像化するための方法であって、
検出空間に磁場を提供することと、
前記検出空間にガスおよびプラズマを提供しながら電子ビームで前記サンプルを走査することと、
前記サンプルから放出された荷電粒子を検出することと、
前記検出された荷電粒子に基づいてサンプル画像を形成することと、を含み、
前記電子ビームが光学カラムを介して前記サンプルに向けられ、前記検出空間の中の圧力が前記光学カラムの一部分の中の圧力と同一である、方法。
【請求項11】
試料電流を記録することによって第2のサンプル画像を形成することをさらに含む、請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
サンプルを画像化するための方法であって、
検出空間に磁場を提供することと、
前記検出空間にガスおよびプラズマを提供しながら電子ビームで前記サンプルを走査することと、
前記サンプルから放出された荷電粒子を検出することと、
前記検出された荷電粒子に基づいてサンプル画像を形成することと、
試料電流を記録することによって第2のサンプル画像を形成すること、を含む方法。
【請求項13】
サンプルを画像化するためのシステムであって、
サンプル室と、
前記サンプルを保持するために前記サンプル室の中に配置されたサンプルステージと、
前記サンプルステージに向けて荷電粒子ビームを生成するための、前記サンプル室に結合されたカラムと、
前記サンプル室に結合されたガス源と、
検出空間の中の荷電粒子を検出するための検出器と、
非一時的メモリに命令が格納された制御部であって、前記制御部が、
前記ガス源を用いて前記検出空間にガスを提供し、
前記検出空間に磁場を提供し、
前記検出空間にプラズマを提供しながら前記荷電粒子ビームを前記サンプルに照射し、
前記検出器を介して、前記照射に応答して前記サンプルから前記検出空間に放出された荷電粒子を検出し、かつ
前記検出された荷電粒子に基づいて画像を形成するように構成された制御部と、を含み、
圧力制限絞りが、前記カラムと前記サンプル室との間に結合されておらず、
前記検出空間が、前記荷電粒子ビームによって照射されたサンプル表面から前記カラムの中に延在する、システム。
【請求項14】
前記サンプル室に結合されたプラズマ発生器をさらに含み、前記検出空間に前記プラズマを提供することが、前記提供されたガスの少なくとも1つのガス種を、前記プラズマ発生器を用いてイオン化することを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記検出器が、前記カラムと前記サンプルステージとの間に配置される、請求項13~14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記磁場が、前記荷電粒子ビームを前記サンプルステージに向けて集束させるために前記カラムの中に配置された磁気レンズによって提供される、請求項13~14のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記検出器が、前記検出空間に電場を提供し、前記検出空間の中の前記荷電粒子の軌道が、前記磁場および前記電場によって制御される、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、低真空荷電粒子顕微鏡法のための方法およびシステムに関し、より詳細には、ガス環境において検出された二次電子に基づいて高品質のサンプル画像を生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
低真空走査型電子顕微鏡(SEM)または環境SEMにより、ガス二次電子検出器(GSED)を使用して、ガス環境において非導電性サンプルを画像化することを可能にする。低真空SEMは、サンプルの帯電を安定させ、SEM設定値内で動的化学実験を実行する手段を提供する。ただし、低真空SEMでは、検出器の設計が異なること、およびガス環境で電子ビーム散乱が増加することから、その分解能およびコントラストは高真空SEMよりも劣る。
【0003】
低真空SEMにおいて画像品質を改善する1つの方法が、US6972412で紹介されている。その方法では、サンプル上方の検出空間に電場および磁場が提供される。電磁場により、サンプルから放出された二次電子は検出空間内をらせん状に移動し、検出器の陽極によって捕獲される。検出空間における二次電子の長い軌道により、ガスのイオン化が増大し、その結果、検出器の利得が増大する。検出器の利得を改善するための別の方法が、US7541580で紹介されている。その方法では、検出空間は圧力制限絞りの上方に広がり、ガスのイオン化をさらに増大させる。ただし、ガス環境で電子ビームが散乱するため、SEM画像の信号対雑音比は低い状態にとどまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許登録第6972412号公報
【文献】米国特許登録第7541580号公報
【発明の概要】
【0005】
一実施形態において、サンプルを画像化するための方法は、検出空間にガスを提供することと、検出空間に磁場を提供することと、検出空間にプラズマを提供しながらサンプルに荷電粒子ビームを照射することと、照射に応答してサンプルから検出空間に放出された荷電粒子を検出することと、検出された荷電粒子に基づいて画像を形成することとを含む。検出空間にプラズマを提供することにより、ガス二次電子検出器は、低い室圧力で画像化を実行することができる。画像品質は、検出器利得の増大およびビーム散乱の減少によって改善される。
【0006】
上記の概要は、発明を実施するための形態でさらに説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供されていることを理解されたい。特許請求される主題の主要なまたは本質的な特徴を特定することを意味するものではなく、その範囲は、発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲によって一意に定義される。さらに、特許請求される主題は、上記または本開示の任意の部分で言及された任意の欠点を解決する実装に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】低真空画像化のための荷電粒子顕微鏡システムの概略図である。
図2図1の顕微鏡システムにおけるガス二次電子検出器(GSED)を示す。
図3】プラズマ支援低真空画像化を実行するためのフロー図である。
図4A】サンプル室の中でそれぞれプラズマを使用した場合と使用しない場合で取得された走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図4B】サンプル室の中でそれぞれプラズマを使用した場合と使用しない場合で取得された走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図5】GSED出力に対するプラズマの影響を示すプロット図である。
図6A】水素イオンの分圧を変えて取得されたSEM画像である。
図6B】水素イオンの分圧を変えて取得されたSEM画像である。
図6C】水素イオンの分圧を変えて取得されたSEM画像である。
図7】GSED出力および試料電流に対するプラズマの影響を示すプロット図である。
図8A】低い室圧力を有するサンプル室の中でプラズマを使用した場合と使用しない場合で取得されたSEM画像である。
図8B】低い室圧力を有するサンプル室の中でプラズマを使用した場合と使用しない場合で取得されたSEM画像である。
図8C】それぞれ図8Aを正規化したSEM画像である。
図8D】それぞれ図8Bを正規化したSEM画像である。
図9図8Aおよび図8Bの画像から得られたパワースペクトル図である。 図面全体にわたって、同一の参照番号は対応する部分を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明は、図1の低真空走査型電子顕微鏡(SEM)などの低真空顕微鏡を使用して、ガス環境で荷電粒子顕微鏡法を実行するためのシステムおよび方法に関する。サンプル室内に配置されたサンプルは、サンプル室に結合された粒子光学カラムの中で形成される荷電粒子ビームで照射される。サンプル室の真空度は、粒子光学カラムの中の真空度よりも低い。例えば、カラム、特に電子源は、電子ビームを生成するために、10-5トルよりも高い真空度などの高真空度にポンピングされる。サンプル室は、0.01トルから50トルまでポンピングされ得る。サンプル室からカラム内の電子源までの真空度の較差は、ポンピングの様々な段階、およびカラムに沿って配置された複数の圧力制限絞り(PLA)を介して達成され得る。
【0009】
低真空顕微鏡法システムは、プラズマ支援低真空顕微鏡法のための図3の方法にしたがって操作され得る。プラズマ支援低真空顕微鏡では、荷電粒子ビームがサンプルに照射される。この放射線に応答して、サンプルから放出された荷電粒子は検出空間に移動し、粒子光学カラムとサンプルとの間に配置された検出器によって検出される。サンプル照射および荷電粒子検出の間に、ガスおよびプラズマが検出空間に提供される。いくつかの実施例において、検出器は、サンプルから放出された二次電子を検出するための、図2に示されたガス二次電子検出器(GSED)であり得る。検出空間は、サンプル表面の上方にあって、カラムの中に延在し得る。サンプル室内のサンプルは磁場の中に浸漬される。磁場は、粒子光学カラム内に配置された磁気浸漬レンズによって生成され得る。あるいは、磁場は、カラムの中のレンズとは異なる光源によって生成され得る。例えば、磁場は、検出器によって生成され得る。放出された荷電粒子は、ガス分子と衝突して多くの荷電粒子を生成するまで、検出空間を移動する際に増幅される(すなわち、カスケード増幅)。検出空間の中の荷電粒子の軌道は、検出器によって生成される磁場および電場によって画成される。
【0010】
プラズマを検出空間に提供することにより、図4A図4Bに示すように、信号対ノイズ比(SNR)の改善された、かつコントラストの改善されたSEM画像が得られ得る。これらは低圧で最大限の改善であり、したがって、本発明は、従来の低真空SEM画像化よりも低い真空度での顕微鏡操作を可能にする。従来の低真空SEMは、0.1トル~50トルのサンプル室真空度で、より一般的には1トル~10トルのサンプル室真空度で画像化を実行する。一方、プラズマ支援低真空SEMは、図8A図8Dおよび図9に示すように、0.01トルという低いサンプル室圧力での操作を可能にする。図5および図7に示されるように、プラズマはGSED検出器の最大利得を増大させる。投入されたプラズマは、低いガス圧力で低真空SEMの電荷軽減効果を増大させ、高い真空度レベルでの非導電性サンプルの高品質SEM画像化を可能にする。サンプル室内のガス圧力が低下すると、粒子光学カラム内および検出空間内での入射ビームの散乱も減少し、画像のSNRを増大させる。また、サンプル室の真空度が高くなると、粒子光学カラムとサンプル室との間のPLA(粒子光学カラムの最後のPLA)の絞りが大きくなり得る。いくつかの実施形態において、カラムとサンプル室との間にPLAは必要とされない。PLA絞りが増大する、またはカラムの最後のPLAが欠落することにより、SEM画像化の視野(FOV)、特に低倍率画像化のFOVを増大させることができる。
【0011】
プラズマは、サンプル室に流入したガスをイオン化することによって、またはプラズマ源によってサンプル室に投入され得る。例えば、サンプル室に流入したガスは、水、大気ガス、およびアルゴンないしはヘリウムなどの不活性ガスのうちの1つまたは複数であり得る。図6A図6Cに示されるように、低分子量のイオンを有するプラズマは、SEM画像の中のノイズをさらに低減し得る。
【0012】
図1を参照すると、荷電粒子顕微鏡100の概略図が示されている。荷電粒子顕微鏡は、SEMなどの非透過型顕微鏡の1つである。顕微鏡100は、サンプル室120に取り付けられた粒子光学カラム110を含む。粒子光学カラム110は、主軸110に沿って電子ビームを生成する。粒子光学カラム110内において、電子源102によって生成された電子は、複合レンズシステム103によって修正された後に、レンズシステム104によってサンプル124に集束される。入射ビーム106は、走査コイル105を操作することによってサンプル124全体を走査することができる。複数のポンプ(図示せず)がカラム110に結合されて、カラム内のビーム経路に沿って差動ポンピングを提供する。例えば、真空度は、サンプル室に近づくほど低くなり、電子源102に近づくほど高くなる。レンズシステム104は、電子ビームをサンプルに集束させるための磁気浸漬レンズを含み得る。磁気浸漬レンズは、カラム110の最後のレンズであり得る。サンプル124は、磁気浸漬レンズによって生成された磁場の中に浸漬される。圧力制限絞り(PLA)は、電子ビームがサンプルを照射する前に、任意選択的に光学カラムの最後のレンズ(磁気浸漬レンズなど)に組み込まれ得る。PLAは、カラムに入るサンプル室からのガスの量を制限するため、サンプル室と比較してカラムの中の真空度を高く維持する。
【0013】
サンプル124は、サンプル室120の中のサンプルステージ125によって保持される。ガス源127は、1つまたは複数のガス種をサンプル室に提供するためにサンプル室に結合される。プラズマ源126は、1つまたは複数のプラズマ種をサンプル室に提供するためにサンプル室に結合される。プラズマ源126は、プラズマ清浄器であり得る。サンプル室に供給されるプラズマは、プラズマ清浄器を介して、ガス源127によって提供されるガスと同一のガスをイオン化することによって生成され得る。
【0014】
顕微鏡100は、電子源102から生成された電子が入射されたことに応答して、サンプル124からの放出を検出するための複数の検出器を含む。検出器123は、シンチレータ/光電子増倍管またはEDS(エネルギー分散型X線分光法)モジュールを組み合わせものであり得る。検出器128は、サンプルから放出された後方散乱電子または二次電子を検出するために、カラム110とサンプル124との間に配置される。検出器128は、電子ビームの通過を可能にする中央絞りの周りに配置された複数の独立した検出セグメント(例えば、四分円)を有するセグメント化された電子検出器であり得る。検出器128は、サンプル上方の検出空間に移動する二次電子を検出するGSEDであり得る。例示的なGSED検出器の詳細な構成が図2に示される。検出器128から受信された信号は、増幅器129によって増幅され、制御部130に転送されて、サンプル画像を形成する。サンプルステージ125は、接続部141によってサンプル室120と接地され得る。試料電流は、接続部141を介してサンプルステージに結合されたピコ電流計142によって測定され得る。ピコ電流計142は、サンプルが荷電粒子ビームで走査される間に、測定された試料電流を制御部130に送信する。サンプル画像は、試料電流に基づいて生成され得る。
【0015】
制御部130は、プロセッサ131および命令を格納するための非一時的メモリ132を含む。制御部は、オペレータの指示を受信するため、および/または画像、測定値、および操作パラメータを含む情報を出力するために、入力/出力デバイス107に結合される。制御部130は、プロセッサ131を用いてメモリ132に格納された命令を実行することにより、顕微鏡の様々な構成要素を操作して、サンプルを画像化または処理する。例えば、電子ビームエネルギーは、電子源102への電力供給を調整することによって調整され得る。倍率、ビーム位置、画像化領域、およびビーム滞在時間などを含む画像化パラメータは、レンズシステム103、104、および走査コイル105のうちの1つまたは複数を調整することによって調整され得る。制御部はまた、顕微鏡の中の様々な検出器(123、128、および142)から受信した信号に基づいてサンプルの画像を形成する。制御部は、画像をメモリ132に格納し、および/または入力/出力デバイス107を介して画像を出力し得る。
【0016】
SEMシステムが実施例として説明されているが、顕微鏡は、透過型電子顕微鏡法(TEM)システムなどの透過モードでサンプルを画像化するように構成され得ることを理解されたい。例えば、GSEDは、プラズマが存在する透過モードで薄片サンプルから散乱電子を取得するために使用され得る。他の実施例において、プラズマ支援画像化は、デュアルビーム顕微鏡システムで実行され得る。SEM画像化の本考察は、単に1つの好適な画像化モダリティの実施例として提供される。
【0017】
図2は、サンプルから放出された後方散乱電子または二次電子を取得するための顕微鏡システム(図1の顕微鏡100など)におけるGSED200の例示的構成を示す。サンプル室120に結合するカラム110の一部分が図2に示される。電子ビーム201は、カラム110に沿って移動し、サンプルステージ125上に配置されたサンプル124を照射する。電子レンズ202は、検出空間210に磁場を提供する磁気浸漬レンズである。磁場の強度は0.01~0.1テスラであり得る。電子レンズ202は、電子ビームがサンプル124に衝突する前に通過するカラム110の最後のレンズである。サンプル124は、最後のレンズによって生成される磁場の中に浸漬される。作動距離211は、カラム110とサンプル表面との間の距離によって決定される。作動距離は、入射ビームの散乱を低減するために、低真空SEMでは狭いことが好ましい。
【0018】
電極205は、磁極片203を支持する磁極片支持体204に取り付けられる。一実施例において、破線で示されるように、電極205は、サンプル室と結合するカラムの遠位端の開口部212よりも小さい開口を有し得る。電極205は、小さな開口を有することによって、サンプル室の中のガスがカラムに入るのを防止し、カラム内の高い真空度を維持するためのPLAとして機能する。別の実施例において、サンプル室に結合されるカラムの端にPLAは存在しない。カラムの遠位端は、サンプル室と同一の真空度レベルを有する。例えば、電極205は、実線で示されるように、カラム110の遠位端と同一の開口を有し得る。あるいは、電極205は省略され得る。従来の低真空SEMと比較してプラズマ支援低真空SEMのガス圧力が低いため、カラムの遠位端とサンプル室の真空度レベルが同一でも高品質の画像を得ることができる。
【0019】
GSED200は、カラム110とサンプル124との間に配置される。GSEDは、互いに分離され、かつ絶縁スペーサー208によって電極205から分離された、陽極206およびイオントラップ207を含む。荷電粒子照射に応答してサンプルから放出された二次電子などの電子は、検出空間において増幅された後に陽極206によって検出される。検出空間は、GSEDの位置と構造によって画定される。検出空間は、GSEDの中央絞りによって閉塞される。一実施例において、PLAがカラムとサンプル室との間に配置される場合、検出空間はサンプル124の表面からPLAまで延在する。別の実施例において、プラズマ支援低真空顕微鏡法ではカラム110と検出器200との間のPLA開口が増大するため、検出空間(斜線領域210)は、電子ビーム201とは反対の方向に、サンプル表面からカラムの中に延在する。この構成では、PLAは、任意選択的に開口部212の上流に配置され得る。検出空間210の高さ(z方向に)は、作動距離211よりも大きくなり得る。また、検出空間の高さは、提供される磁場および電場によって求められ得る。磁場は、磁気浸漬レンズまたはGSEDによって提供され得る。電界はGSEDによって提供される。検出空間の容積が増大すると、二次電子のカスケード増幅を増大させ、受信信号強度を増大させる。ガスおよびプラズマは、検出器200とサンプルステージ125との間のギャップ220を介して検出空間210に送達され得る。検出領域の真空度レベルは、0.01トル~10トルであり得る。
【0020】
一実施例において、電極205は、電極片203から電気的に絶縁され、 -1000ボルト~2000ボルトの電位に維持され、接地電位が一般的な電位である。陽極206は、0ボルト~2000ボルトの範囲内でバイアスされ、約400ボルトの電位が最も好ましい。イオントラップ207は、-1000ボルト~2000ボルトの範囲内でバイアスされ、接地電位が最も好ましい。サンプルステージ125は、-1000ボルト~1000ボルトの範囲内でバイアスされ、接地電位が最も好ましい。
【0021】
別の実施例において、サンプル画像は、検出領域においてガスカスケード増幅によって生成されたイオンまたは光子に基づいて形成され得る。イオンまたは光子は、検出器200とは異なる1つまたは複数の検出器によって検出され得る。
【0022】
図3は、プラズマ支援低真空SEM画像化のための方法300を示す。SEM画像は、検出器によって画定される検出空間(図2のGSED200など)内で取得された二次電子に基づいて形成される。二次電子の捕捉中に、ガスおよびプラズマが同時に検出空間に提供される。図3は、制御部(図1の制御部130など)の非一時的メモリに保存された命令を実行することによって実装され得る。
【0023】
302において、顕微鏡がSEM画像化のために準備される。準備は、サンプルをサンプル室に装填し、顕微鏡の様々な部分を適切な真空度レベルにポンピングすることを含み得る。このステップは、顕微鏡の操作パラメータを設定することをさらに含み得る。操作パラメータは、ビームエネルギー、倍率、および視野などのカラムパラメータを含み得る。操作パラメータはまた、ガスタイプ、ガス圧力、プラズマタイプおよびプラズマ圧力などのサンプル室パラメータを含み得る。サンプル室パラメータは、サンプルのタイプに基づいて決定され得る。例えば、ガスはサンプルと反応してはならない。ガスは、1つまたは複数のガス種を含み得る。例えば、ガスはArとHの混合物であり得る。別の実施例において、ガスは空気であり得る。プラズマは、1つまたは複数のイオンタイプを含み得る。一実施例において、プラズマは、5未満のモル重量を有する少なくとも1つのガス分子種を含む。別の実施例において、少なくとも1つのガス分子種のモル重量は1である。
【0024】
304において、ガスが検出空間に提供される。一実施例において、ガスがサンプル室に送達され得る。ガスは、GSED検出器とサンプルステージとの間の隙間を通じて検出空間に流入する。別の実施例において、ガスは、ガス源に結合されたノズルを通じて検出空間に直接送達される。検出空間のガス圧力は0.005~0.5トルであり得る。いくつかの実施例において、ガス圧力は0.05トル未満である。
【0025】
306において、プラズマが検出空間に提供される。一実施例において、プラズマは、304においてサンプル室に供給されたガスをイオン化することによって生成され得る。ガスは、サンプル室に結合されたプラズマ発生器によってイオン化され得る。プラズマ発生器に供給される電力は、ガスのタイプによって異なり得る。例えば、プラズマ清浄器に供給される電力は、プラズマを維持するための最小電力レベルである。サンプル室の中でプラズマ発生器によって生成されたプラズマは、GSED検出器とサンプルステージとの間の隙間を通じて検出空間に移動し得る。別の実施例において、プラズマは、プラズマ発生器に結合されたノズルを通じて検出空間に供給され得る。プラズマは、ガスとは異なる元素を含み得る。
【0026】
308において、電子ビームなどの荷電粒子ビームは、粒子光学カラムの中の荷電粒子源およびレンズを操作することによってサンプルに向けられる。荷電粒子ビームが、サンプルを照射する。荷電粒子ビームは、所定のパターンにしたがってサンプル表面の対象領域を走査し得る。
【0027】
310において、照射に応答してサンプルから放出された荷電粒子がGSEDによって検出される。例えば、検出空間の中の磁場および電場の影響を受けて移動する放出された二次電子は、ガス分子と衝突して多くの電子を生成することによってカスケード増幅される。検出空間の中の電子は、GSEDの陽極によって収集される。検出空間の中のプラズマは、ガスの分解を抑制し、GSEDの利得を増大させ得る。サンプルが電子ビームで走査されるのと同時に、放出された二次電子が検出される。
【0028】
312において、荷電粒子ビームがサンプル表面上の対象領域(ROI)全体を走査した後、ROIのSEM画像が検出器の出力に基づいて形成され得る。
【0029】
314において、312において形成された画像の品質が評価される。画像品質は、画像解像度、SNRおよびコントラストなどのうちの1つまたは複数を含み得る。画像品質は、オペレータによって評価され得る。あるいは、画像品質は制御部によって自動的に評価され得る。画像品質が良好な場合、画像は318において格納または表示される。良好ではない場合は、画像品質をさらに改善するために、ガスまたはプラズマの供給が316で調整され得る。例えば、形成された画像のノイズレベルが高いことに応答して、ノイズを低減するために軽量イオンが導入され得る。別の実施例において、形成された画像のノイズレベルが高いことに応答して、プラズマ発生器へのRF電力が低減され得る。プラズマ発生器へのRF電力が低減されることにより、イオン化される室ガスの量が減少する。さらに別の実施例において、サンプル室の真空度を下げてSNRを上昇させ得る。ガスの分圧および/またはプラズマの分圧を低下させることにより、サンプル室の真空度が低下され得る。
【0030】
このようにして、検出空間にガスおよびプラズマを提供するのと同時に、SEM画像が取得される。ガスもプラズマもサンプルと反応しない。低真空SEM画像化中にプラズマを検出空間に提供することにより、サンプル室の圧力が低下され得る。サンプル室の圧力が低下することにより、検出空間における入射ビームの散乱を減少させる。さらに、サンプル室の圧力が低下することによって、カラムとサンプル室との間の圧力制限絞りの開口が大きくなるか、または絞りが完全に除去され得る。
【0031】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、検出空間においてプラズマを使用した場合と使用しない場合に同一ビームパラメータの下で撮影されたSEM画像を示す。SEM画像は、GSEDを用い、磁気浸漬レンズを含むカラムを使用して撮影される。水が0.126トルの圧力でサンプル室に提供される。画像化中に、プラズマを維持するために必要な最小限のRF電力を用いて、提供された水をイオン化することによって、サンプル室の中のプラズマが生成される。図4Aおよび図4Bの検出器電圧(検出器の陽極に供給される電圧)は、それぞれ400ボルトおよび326ボルトである。検出器電圧が低いと、プラズマを使用しないで取得されたSEM画像(図4A)と比較して、プラズマの中で取得されたSEM画像(図4B)のSNRおよびコントラストは高くなる。
【0032】
特に、SNRとコントラストは、磁場と電場の両方がGSEDの検出空間に提供されている場合にのみ、プラズマによって高められる。例えば、非磁性浸漬モードにおいて、このモードでは操作圧力は比較的高くなければならず、ガス増幅はサンプルと検出器との間におけるガス分子と放出された電子の衝突回数によって制限されるものではないが、GSEDを使用して画像が取得される場合、SEMの画像品質はプラズマの投入に応答して変化しない。
【0033】
図5は、様々な検出器電圧におけるGSED出力を示す。2つの曲線501および502は、それぞれ検出空間にプラズマを使用した場合と使用しない場合に得られる。データは、0.4トルのサンプル室真空度と同一レベルで何の変哲もないシリコンサンプルを画像化することによって生成される。純粋なArがサンプル室の中に提供される。サンプル室の中のプラズマは、プラズマ発生器を用いてArをイオン化することによって生成される。GSED検出器に設定された各検出器電圧において、検出器出力信号が図1に示されたシステムを使用して記録される。プラズマを使用しないSEM画像化の場合、検出器の電圧によってガスが分解されるまで測定が実行される。プラズマを使用したSEM画像化の場合、検出器の電圧が検出器の出力に飽和を引き起こすまで測定が実行される。
【0034】
プラズマを使用した場合と使用しない場合で取得された両方のデータにおいて、検出器電圧が増大すると信号振幅は増大する。特定の検出器電圧では、プラズマを使用して取得された信号の振幅は、プラズマを使用しない場合の信号振幅よりも大きくなる。検出器電圧が増大すると、プラズマを使用した場合と使用しない場合の信号振幅の較差は増大する。プラズマが存在する場合に信号強度が増大することは、検出空間でプラズマを使用すると検出器の利得が大幅に増加することを示している。検出器の利得が増大することは、プラズマが有効の場合にラジカル化(つまり励起)されるガス分子のイオン化しきい値が低くなり、イオン化断面積が大きくなることに関連している。
【0035】
図6A図6Cは、プラズマ支援低真空SEM画像化に対するガス環境におけるHの影響を示す。シリコンサンプルは、図1の顕微鏡システムで画像化される。ArとHの混合物がサンプル室に供給される。プラズマが、供給されたガス混合物に点火することによってサンプル室内で生成される。サンプル室の中のArの分圧は0.4トルである。サンプル室の中のHの分圧は、図6A図6B、および図6Cについて、それぞれ0.005トル、0.01トル、および0.011トルである。SEM画像は、Hの量(分圧)が異なることを除いて、同一の操作パラメータで取得される。サンプル室の中で Hを増大させることによって、画像のノイズは図6Aから図6Cまで減少する。Hの増大に伴う画像ノイズの減少は、検出空間への軽量イオンの寄与によるものであり得る。これらの軽イオンは、電磁場の変動に対して素早く応答し得るため、検出器の電磁シールドを増大することによってノイズを低減し得る。水素イオンの代わりに、他のタイプの軽量イオンがサンプル室に供給され得る。プラズマは、複数のタイプのイオンを含み得、少なくとも1つのイオンタイプは5未満のモル重量を有する。一実施例において、サンプル室に提供されるガスは複数のガス種の混合物であり、少なくとも1つのガス種は5未満のモル重量を有する。プラズマは、サンプル室の中のガスの一部分をイオン化することによって生成され得る。別の実施例において、サンプル室に提供されたガスはイオン化されて、モル重量が5未満のイオンを有するプラズマを生成し得る。プラズマは水素を含み得る。ガスは、Hおよび/または水を含み得る。ガスは、Heを含み得る。
【0036】
図7は、様々な検出器電圧値でプラズマを使用した場合と使用しない場合で測定されたGSED出力および試料電流を示す。検出器の電圧は、x軸において左から右に増大する。プロット701および702は、それぞれプラズマを使用した場合と使用しない場合のGSED出力からの信号振幅である。プロット703および704は、それぞれプラズマを使用した場合と使用しない場合で測定された試料電流である。ArおよびHの混合物がサンプル室に提供される。Arの分圧は0.22トルであり、Hの分圧は0.02トルである。
【0037】
図5と同様に、GSED信号振幅は、例えば、SEM画像の画素値に基づいて計算される。検出器電圧が増大し、プラズマが存在すると、GSED信号は増大する。GSEDから出力される最大信号振幅は、プラズマが存在すると大きくなる。すなわち、プロット701の最大値はプロット702の最大値よりも大きい。
【0038】
荷電粒子ビームでサンプルを走査すると同時に、試料電流が記録され、サンプル画像を生成するために使用され得る。試料電流は、検出空間の中のイオンがサンプルに向かって移動することによって生じる電流である。試料電流は、ステージに接続された別個のピコ電流計で直接測定される。試検出器電圧が増大すると、試料電流(プロット703および704)が増大する。同一の検出器電圧において、プラズマを使用した場合の試料電流(プロット703)は、プラズマを使用しない場合の試料電流(プロット704)よりも大きい。したがって、プラズマは、試料電流で形成されたサンプル画像のSNRを増大させることもできる。
【0039】
図8A図8Dは、0.014トルの室圧力で最大GSED利得で取得された錫ボールのSEM画像である。図8Aは、プラズマを使用して取得される。プラズマは、サンプル室に提供さられたHOをイオン化することによって提供される。HOの圧力は0.014トルである。図8Bは、プラズマを使用しないで取得される。図8Cおよび図8Dは、それぞれ図8Aおよび図8Bのデジタル正規化された画像である。使用された画像の正規化は、ヒストグラム均等化である。図8Aおよび図8Cの画像コントラストおよびSNRは、図8Bおよび図8DのコントラストおよびSNRよりも有意に高い。
【0040】
図9は、図8Aおよび8Bの異なる空間方向における一次元パワースペクトルである。y軸は信号電力である。x軸は空間周波数である。プロット901、902、および903は、図8Aのパワースペクトルである。プロット904、905、および906は、図8Bのパワースペクトルである。パワースペクトルは、SEM画像化信号におけるプラズマ誘起改善が周波数スペクトル全体にわたって存在することを示している。
【0041】
図8A図8Dおよび図9は、プラズマが、0.05トル未満の室圧力などの非常に低い室圧力においてGSEDで取得された画像の品質を向上させることができることを示している。プラズマ支援低真空SEMは、GSEDのみを最適化することでは得られない、非常に低い圧力で高いSNRと高いコントラストを達成することができる。プラズマ支援低真空SEMは、SEM画像化に低いビーム電流を使用することができるので、画像化解像度を改善することができる。
【0042】
磁場および電場を検出空間に提供することの技術的効果は、サンプルから放出される二次電子のカスケード増幅を増大させることである。低真空SEM画像化中にプラズマをサンプル室に提供することの技術的効果は、低いガス圧力で高い検出器利得を維持することである。低いビーム電流を使用して所定のSNRを得ることができ、サンプル室の真空度が上昇するためにビーム散乱が減少するため、画像の解像度が改善され得る。
【0043】
一実施形態において、サンプルを画像化するための方法は、検出空間にガスを提供することと、検出空間に磁場を提供することと、検出空間にプラズマを提供すると同時に荷電粒子ビームをサンプルに照射することと、照射に応答してサンプルから検出空間に放出された荷電粒子を検出することと、検出された荷電粒子に基づいて画像を形成することとを含む。方法の第1の実施例において、ガスは複数のガス種の混合物である。方法の第2の実施例は、任意選択的に第1の実施例を含み、プラズマは、5未満のモル重量を有する少なくとも1つのガス分子種を含むことを、さらに含む。方法の第3の実施例は、任意選択的に第1および第2の実施例のうちの1つまたは複数を含み、プラズマは水素を含むことを、さらに含む。方法の第4の実施例は、任意選択的に第1および第3の実施例のうちの1つまたは複数を含み、検出空間に提供されるガス種の少なくとも1つをイオン化することによってプラズマが提供されることを、さらに含む。方法の第5の実施例は、任意選択的に第1および第4の実施例のうちの1つまたは複数を含み、サンプルが磁場の中に浸漬されることを、さらに含む。方法の第6の実施例は、任意選択的に第1および第5の実施例のうちの1つまたは複数を含み、サンプルから放出された荷電粒子が検出器によって検出され、検出空間が検出器の位置および構造によって画定されることを、さらに含む。方法の第7の実施例は、任意選択的に第1および第6の実施例のうちの1つまたは複数を含み、0.05トル未満の圧力を有するサンプル室内にサンプルが配置されることを、さらに含む。方法の第8の実施例は、任意選択的に第1および第7の実施例のうちの1つまたは複数を含み、荷電粒子ビームが電子ビームであり、検出された荷電粒子が二次電子であることを、さらに含む。方法の第9の実施例は、任意選択的に第1および第8の実施例のうちの1つまたは複数を含み、形成された画像に基づいて検出空間に提供されるガスの量およびプラズマの量を調整することを、さらに含む。
【0044】
一実施形態において、サンプルを画像化するための方法は、検出空間に磁場を提供することと、検出空間にガスおよびプラズマを提供しながら電子ビームでサンプルを走査することと、サンプルから放出された荷電粒子を検出することと、検出された荷電粒子に基づいてサンプル画像を形成することと、を含む。方法の第1の実施例において、電子ビームは光学カラムを通してサンプルに向けられ、検出空間の圧力は光学カラムの一部分の圧力と同一である。方法の第2の実施例は、任意選択的に第1の実施例を含み、サンプルを走査すると同時に試料電流を記録することと、記録された試料電流に基づいて第2のサンプル画像を形成することを、さらに含む。
【0045】
一実施形態において、サンプルを画像化するシステムは、サンプル室と、サンプルを保持するためにサンプル室の中に配置されたサンプルステージと、サンプルステージに向けて荷電粒子ビームを生成するための、サンプル室に結合されたカラムと、サンプル室に結合されたガス源と、検出空間の中の荷電粒子を検出する検出器と、非一時的メモリに命令が格納された制御部とを含み、制御部は、ガス源を用いて検出空間にガスを提供し、検出空間に磁場を提供し、検出空間にプラズマを提供すると同時に荷電粒子ビームをサンプルに照射し、照射に応答してサンプルから検出空間に放出された荷電粒子を検出器を介して検出し、検出された荷電粒子に基づいて画像を形成するように、構成される。システムの第1の実施例において、システムはサンプル室に結合されたプラズマ発生器をさらに含み、検出空間にプラズマを提供することが、提供されたガスのうちの少なくとも1つのガス種をプラズマ発生器でイオン化することを含む。システムの第2の実施例において、任意選択的に第1の実施例を含み、検出器がカラムとサンプルステージとの間に配置されることを、さらに含む。システムの第3の実施例は、任意選択的に第1および第2の実施例のうちの1つまたは複数を含み、サンプルステージに向けて荷電粒子ビームを集束させるためにカラムに配置された磁気レンズによって磁場が提供されることを、さらに含む。方法の第4の実施例は、任意選択的に第1および第3の実施例のうちの1つまたは複数を含み、圧力制限絞りがカラムとサンプル室との間に結合されていないことを、さらに含む。方法の第5の実施例は、任意選択的に第1および第4の実施例のうちの1つまたは複数を含み、検出空間が荷電粒子ビームによって照射されたサンプル表面からカラムの中に延在することを、さらに含む。方法の第6の実施例は、任意選択的に第1および第5の実施例のうちの1つまたは複数を含み、検出器が検出空間に電場を提供し、検出空間の中の荷電粒子の軌道が磁場および電界によって制御されることを、さらに含む。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9