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特許7534366ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスク
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/54 20120101AFI20240806BHJP
【FI】
G03F1/54
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022153409
(22)【出願日】2022-09-27
(65)【公開番号】P2023056485
(43)【公開日】2023-04-19
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0133001
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イ、ゴンゴン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ハヒョン
(72)【発明者】
【氏名】シン、インキュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンユン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、スクヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ミンギョ
(72)【発明者】
【氏名】キム、テワン
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-267091(JP,A)
【文献】特開2018-176483(JP,A)
【文献】国際公開第2012/086744(WO,A1)
【文献】特許第3276954(JP,B2)
【文献】特開2020-197566(JP,A)
【文献】特開2017-151427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光膜とを含み、
前記遮光膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
前記第2遮光層は、クロム及び窒素を含み、
前記遮光膜の表面のRsk値は-2以上0.1以下である、ブランクマスク。
【請求項2】
190nm以上550nm以下の波長の光に対する前記遮光膜の反射率が15%以上35%以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項3】
前記遮光膜の表面のRku値は3.5以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項4】
前記遮光膜の表面のRp値は4.7nm以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項5】
前記遮光膜の表面のRpv値は8.5nm以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項6】
前記遮光膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
前記第2遮光層の遷移金属の含量は、前記第1遮光層の遷移金属の含量よりもさらに大きい値を有する、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項7】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項8】
光透過性基板と、前記光透過性基板上に位置する遮光パターン膜とを含み、
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光パターン膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
前記第2遮光層は、クロム及び窒素を含み、
前記遮光パターン膜の上面のRsk値は-2以上0.1以下である、フォトマスク。
【請求項9】
光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含み、
前記フォトマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜とを含み、
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光パターン膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
前記第2遮光層は、クロム及び窒素を含み、
前記遮光パターン膜の上面のRsk値は-2以上0.1以下である、半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどの高集積化により、半導体デバイスの回路パターンの微細化が求められている。これにより、ウエハの表面上にフォトマスクを用いて回路パターンを現像する技術であるリソグラフィー技術の重要性が益々高まっている。
【0003】
微細化された回路パターンを現像するためには、露光工程で用いられる露光光源の短波長化が要求される。最近用いられている露光光源としてはArFエキシマレーザー(波長193nm)などがある。
【0004】
一方、フォトマスクにはバイナリマスク(Binary mask)と位相反転マスク(Phase shift mask)などがある。
【0005】
バイナリマスクは、光透過性基板上に遮光層パターンが形成された構成を有する。バイナリマスクは、パターンが形成された面において、遮光層を含まない透過部は露光光を透過させ、遮光層を含む遮光部は露光光を遮断することによって、ウエハ表面のレジスト膜上にパターンを露光させる。但し、バイナリマスクは、パターンが微細化されるほど、露光工程で透過部の縁部で発生する光の回折により微細パターンの現像に問題が発生することがある。
【0006】
位相反転マスクとしては、レベンソン型(Levenson type)、アウトリガー型(Outrigger type)、及びハーフトーン型(Half-tone type)がある。その中でハーフトーン型位相反転マスクは、光透過性基板上に半透過膜で形成されたパターンが形成された構成を有する。ハーフトーン型位相反転マスクは、パターンが形成された面において、半透過層を含まない透過部は露光光を透過させ、半透過層を含む半透過部は減衰された露光光を透過させる。前記減衰された露光光は、透過部を通過した露光光と比較して位相差を有するようになる。これにより、透過部の縁部で発生する回折光は、半透過部を透過した露光光によって相殺され、位相反転マスクは、ウエハの表面にさらに精巧な微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0060529号
【文献】韓国登録特許第10-1593390号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
具現例の目的は、遮光膜に光学特性の測定及び欠陥検査を行う場合にさらに正確な測定値を得ることができるブランクマスクなどを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光膜とを含む。
【0010】
前記遮光膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0011】
波長193nmの光で前記遮光膜の光学密度を10回測定したとき、測定された光学密度の値の標準偏差が0.009以下である。
【0012】
前記測定された光学密度の値の最大値から最小値を引いた値は0.03未満である。
【0013】
前記遮光膜の表面のRsk値は-2以上0.1以下である。
【0014】
前記測定された光学密度の値は、前記遮光膜の表面で特定した計49個の測定点でそれぞれ測定した光学密度の値の平均値である。
【0015】
前記10回の測定は、各回次において前記遮光膜の表面で特定した計49個の測定点でそれぞれ測定し、前記10回の測定において全て同じ測定点を適用する測定である。
【0016】
波長193nmの光で前記遮光膜の反射率を10回測定したとき、測定された反射率の値の標準偏差が0.032%以下であってもよい。
【0017】
前記測定された反射率の値の最大値から最小値を引いた値は0.09%以下であってもよい。
【0018】
190nm以上550nm以下の波長の光に対する前記遮光膜の反射率が15%以上35%以下であってもよい。
【0019】
前記遮光膜の表面のRku値は3.5以下であってもよい。
【0020】
前記遮光膜の表面のRp値は4.7nm以下であってもよい。
【0021】
前記遮光膜の表面のRpv値は8.5nm以下であってもよい。
【0022】
前記遮光膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含むことができる。
【0023】
前記第2遮光層の遷移金属の含量は、前記第1遮光層の遷移金属の含量よりもさらに大きい値を有することができる。
【0024】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。
【0025】
本明細書の他の実施例に係るフォトマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に位置する遮光パターン膜とを含む。
【0026】
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0027】
波長193nmの光で前記遮光パターン膜の上面の光学密度を10回測定したとき、測定された光学密度の値の標準偏差が0.009以下である。
【0028】
前記測定された光学密度の値の最大値から最小値を引いた値は0.03未満である。
【0029】
前記遮光パターン膜の上面のRsk値は-2以上0.1以下である。
【0030】
本明細書の更に他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0031】
前記フォトマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜とを含む。
【0032】
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0033】
波長193nmの光で前記遮光パターン膜の上面の光学密度を10回測定したとき、測定された光学密度の値の標準偏差が0.009以下である。
【0034】
前記測定された光学密度の値の最大値から最小値を引いた値は0.03未満である。
【0035】
前記遮光パターン膜の上面のRsk値は-2以上0.1以下である。
【発明の効果】
【0036】
具現例のブランクマスクなどは、遮光膜の光学特性の測定及び欠陥検査を行う場合、さらに正確な測定値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本明細書が開示する一実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
図2】遮光膜の光学密度の測定方法を説明する概念図である。
図3】本明細書が開示する他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
図4】本明細書が開示する更に他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
図5】本明細書が開示する更に他の実施例に係るフォトマスクを説明する概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、具現例の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、実施例について詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0039】
本明細書で使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質の許容誤差が提示されるとき、その数値で又はその数値に近接した意味で使用され、具現例の理解を助けるために正確又は絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0040】
本明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0041】
本明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、または、A及びB」を意味する。
【0042】
本明細書全体において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0043】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上にBが位置したり、それらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置したりすることができることを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0044】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0045】
本明細書において、表面プロファイル(surface profile)は、表面で観察される輪郭形状を意味する。
【0046】
Rsk値は、ISO_4287に準拠して評価される値である。Rsk値は、測定対象の表面プロファイル(surface profile)の歪度(skewness)を示す。
【0047】
Rku値は、ISO_4287に準拠して評価される値である。Rku値は、測定対象の表面プロファイルの尖度(kurtosis)を示す。
【0048】
ピーク(peak)は、遮光膜の表面プロファイルにおいて基準線(表面プロファイルにおける高さの平均線を意味する)の上部に位置した部分である。
【0049】
バレー(valley)は、遮光膜の表面プロファイルにおいて基準線の下部に位置した部分である
【0050】
Rp値は、ISO_4287に準拠して評価される値である。Rp値は、測定対象の表面プロファイル内の最大ピーク高さである。
【0051】
Rv値は、ISO_4287に準拠して評価される値である。Rv値は、測定対象の表面プロファイル内の最大バレー深さである。
【0052】
Rpv値は、測定対象の表面のRp値とRv値を合わせた値である。
【0053】
本明細書において、標準偏差は標本標準偏差を意味する。
【0054】
本明細書において、擬似欠陥とは、遮光膜の表面に位置し、ブランクマスクの解像度の低下を誘発しないので実際の欠陥には該当しないが、高感度の欠陥検査装置で検査する場合に欠陥として判定されるものを意味する。
【0055】
半導体の高集積化に伴い、半導体ウエハ上にさらに微細化された回路パターンを形成することが要求される。半導体ウエハ上に現像されるパターンの線幅がさらに減少するに伴い、フォトマスクの解像度の低下に関連する問題も増加する傾向にある。
【0056】
半導体ウエハ上に微細回路パターンを精巧に現像するためには、フォトマスクの遮光パターン膜が目的とする光学特性を有するように制御されること、及び遮光パターン膜が予め設計されたパターン形状通りに精巧にパターニングされることが要求され得る。
【0057】
ブランクマスク内の遮光膜をパターニングする前に、分光エリプソメータ(Spectroscopic ellipsometer)を用いて遮光膜の光学密度、反射率などを測定する光学特性検査が行われ得る。また、遮光膜の成膜後及び遮光パターン膜の形成後に欠陥検査が行われ得る。光学特性検査過程において、測定回次に応じて測定値が変動して遮光膜の光学密度、反射率などを正確に測定するのに困難があり得る。また、欠陥検査過程において、遮光膜の表面特性に応じて擬似欠陥が多数検出されたり、フレアー(flare)現象が発生したりして、実際の欠陥を検出するのに困難が発生し得る。
【0058】
具現例の発明者らは、遮光膜の光学密度などを複数回測定する場合に、測定値が調節された標準偏差などを示し、遮光膜の表面の歪度などが制御されたブランクマスクなどを適用することでこのような問題を解決できることを確認し、具現例を完成した。
【0059】
以下、具現例を具体的に説明する。
【0060】
図1は、本明細書が開示する一実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。前記図1を参照して、具現例のブランクマスクを説明する。
【0061】
ブランクマスク100は、光透過性基板10と、前記光透過性基板10上に位置する遮光膜20とを含む。
【0062】
光透過性基板10の素材は、露光光に対する光透過性を有し、ブランクマスク100に適用できる素材であれば制限されない。具体的には、光透過性基板10の波長193nmの露光光に対する透過率は85%以上であってもよい。前記透過率は87%以上であってもよい。前記透過率は99.99%以下であってもよい。例示的に、光透過性基板10は合成クォーツ基板が適用されてもよい。このような場合、光透過性基板10は、前記光透過性基板10を透過する光の減衰(attenuated)を抑制することができる。
【0063】
また、光透過性基板10は、平坦度及び粗さなどの表面特性を調節して光学歪みの発生を抑制することができる。
【0064】
遮光膜20は、光透過性基板10の上面(top side)上に位置することができる。
【0065】
遮光膜20は、光透過性基板10の下面(bottom side)側に入射する露光光を少なくとも一定部分遮断する特性を有することができる。また、光透過性基板10と遮光膜20との間に位相反転膜30(図4参照)などが位置する場合、遮光膜20は、前記位相反転膜30などをパターンの形状通りにエッチングする工程でエッチングマスクとして使用され得る。
【0066】
遮光膜20は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0067】
遮光膜の光学特性
波長193nmの光で前記遮光膜20の光学密度を10回測定したとき、測定された光学密度の値の標準偏差が0.009以下である。
【0068】
前記測定された光学密度の値の最大値から最小値を引いた値は0.03未満である。
【0069】
分光エリプソメータを用いて、成膜を終えた遮光膜20の光学密度、反射率などを測定することができる。測定過程において、遮光膜20を同じ方法で複数回測定する場合、測定値の偏差がかなり大きく示され得る。これは、遮光膜20の表面で検査光の乱反射が発生して正確な測定を妨げるためであると考えられる。
【0070】
具現例は、同じ測定方法で光学密度を複数回測定して得た測定値の標準偏差などが調節された遮光膜20を適用することで、遮光膜20の光学密度の値を正確に測定することが容易になるようにすることができる。
【0071】
遮光膜20の光学密度の値の標準偏差などを測定する方法は、以下の通りである。
【0072】
図2は、遮光膜の光学密度の測定方法を説明する概念図である。前記図2を参照して、具現例のブランクマスクを説明する。
【0073】
遮光膜20において、遮光膜20の中心に位置する横132mm、縦132mmの測定領域daを特定する。前記測定領域daを横6等分、縦6等分して形成される計36個のセクタdsを特定する。前記各セクタdsの計49個の頂点を測定点dpとして特定し、前記測定点dpで遮光膜20の透過率の値を測定する。前記透過率の値から下記式1の光学密度を算出する。
【0074】
[式1]
【0075】
前記測定点dp別の光学密度の値の平均値を算出し、その算出された値を遮光膜20の光学密度の値とする。
【0076】
光学密度の値の標準偏差及び最大値から最小値を引いた値を算出するために、遮光膜20の光学密度を計10回測定する。遮光膜20の光学密度を10回測定する過程は、全て同じ測定点dpで同じ測定条件で行う。
【0077】
光学密度は、分光エリプソメータを用いて測定することができる。検査光の波長は193nmを適用する。分光エリプソメータは、例示的にナノビュー社のMG-Proを用いることができる。
【0078】
波長193nmの光で前記遮光膜20の光学密度を10回測定したとき、測定された光学密度の値の標準偏差が0.009以下であってもよい。前記標準偏差は0.006以下であってもよい。前記標準偏差は0.0055以下であってもよい。前記標準偏差は0以上であってもよい。
【0079】
前記測定された光学密度の値の最大値から最小値を引いた値は0.03未満であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値は0.025以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値は0.02以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値は0以上であってもよい。
【0080】
このような場合、遮光膜20の光学密度をさらに正確に測定することができる。
【0081】
波長193nmの光に対する遮光膜の光学密度の値は1.5以上3以下であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜の光学密度の値は1.7以上2.8以下であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜の光学密度の値は1.8以上2.5以下であってもよい。このような場合、遮光膜が位相反転膜と積層構造を形成する際に、露光光を効果的に遮断することができる。
【0082】
波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率は1%以上であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率は1.3%以上であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率は1.4%以上であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率は2%以下であってもよい。このような場合、遮光膜20は、位相反転膜上に積層されて露光光を効果的に遮断することを助けることができる。
【0083】
波長193nmの光で遮光膜20の透過率を10回測定したとき、測定された透過率の値の標準偏差が0.0018%以下であってもよい。前記測定された透過率の値の最大値から最小値を引いた値が0.0055%以下であってもよい。
【0084】
前記透過率の値の標準偏差及び最大値から最小値を引いた値を測定する方法は、前述した光学密度の値の標準偏差及び最大値から最小値を引いた値を測定する方法と同一である。
【0085】
波長193nmの光で遮光膜20の透過率を10回測定したとき、測定された透過率の値の標準偏差が0.0018%以下であってもよい。前記標準偏差が0.0015%以下であってもよい。前記標準偏差が0.001%以下であってもよい。前記標準偏差が0%以上であってもよい。
【0086】
波長193nmの光で遮光膜20の透過率を10回測定したとき、測定された透過率の値の最大値から最小値を引いた値は0.0055%以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値は0.0045%以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値は0.0035%以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値は0%以上であってもよい。
【0087】
このような場合、分光エリプソメータを用いて遮光膜20から正確な透過率を測定することが容易であり得る。
【0088】
波長193nmの光で前記遮光膜20の反射率を10回測定したとき、測定された反射率の値の標準偏差が0.032%以下である。
【0089】
前記測定された反射率の値の最大値から最小値を引いた値は0.09%以下である。
【0090】
反射率の値を測定する方法は、前述した光学密度の値を測定する方法と同一である。
【0091】
波長193nmの光で前記遮光膜20の反射率を10回測定したとき、測定された反射率の値の標準偏差が0.032%以下であってもよい。前記標準偏差は0.03%以下であってもよい。前記標準偏差は0.028%以下であってもよい。前記標準偏差は0%以上であってもよい。
【0092】
前記測定された反射率の値の最大値から最小値を引いた値は0.09%以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値は0.0855%以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値は0.083%以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値は0%以上であってもよい。
【0093】
このような場合、遮光膜20の表面からさらに正確な反射率の値を測定することができる。
【0094】
190nm以上550nm以下の波長の光に対する遮光膜20の反射率が15%以上35%以下であってもよい。
【0095】
遮光膜20の表面を欠陥検査する過程において、検査光が遮光膜20の表面に入射して遮光膜20の表面で反射光を形成する。欠陥検査機は、前記反射光を分析して欠陥の有無を判定することができる。具現例は、欠陥検査機の検査光の波長の範囲で、遮光膜20の表面の反射率を、具現例で予め設定した範囲内に制御することができる。これを通じて、欠陥検査過程において、制御されていない反射光の光強度により欠陥検査機の正確度が低下することを抑制することができる。
【0096】
遮光膜20の反射率は、分光エリプソメータを通じて測定する。遮光膜20の反射率は、例示的にナノビュー社のMG-Proモデルを用いて測定することができる。
【0097】
190nm以上550nm以下の波長の光に対する遮光膜20の反射率が15%以上35%以下であってもよい。前記反射率が17%以上30%以下であってもよい。前記反射率が20%以上28%以下であってもよい。このような場合、遮光膜20の表面の欠陥検査の正確度をさらに向上させることができる。
【0098】
遮光膜の表面粗さ関連の特性
遮光膜20の表面のRsk値は-2以上0.1以下であってもよい。
【0099】
遮光膜20の表面粗さ特性に応じて、測定回次別の遮光膜20の光学特性の測定値が変動し得る。検査光が遮光膜20の表面で反射及び透過される過程で、遮光膜20の表面に分布したピークは検査光の乱反射を誘発し得る。これは、光学特性の測定値の正確度に影響を及ぼすことがある。
【0100】
検査光の乱反射現象を抑制するために、遮光膜20の表面粗さを単純に低下させる方法を考慮し得る。但し、このような場合、遮光膜20の表面の欠陥検出過程において検査機のレンズに過度の強度の反射光が入射するフレアー(flare)現象が発生し得る。フレアー現象は、測定された遮光膜の表面イメージの歪みを誘発し、遮光膜20の実際の欠陥検出を困難にすることがある。
【0101】
具現例は、遮光膜20の組成、層構造、表面処理工程の条件などを制御することができる。これと同時に、遮光膜20の表面プロファイル、特に歪度特性を、具現例で予め設定した範囲内に制御することができる。これを通じて、光学特性値の測定時にさらに正確な測定値を得るのに有利なように反射光の経路を制御することができる。また、欠陥検出過程において、遮光膜の表面イメージの歪みが発生することを効果的に抑制することができる。
【0102】
遮光膜20の表面のRsk値を測定する方法は、以下の通りである。
【0103】
Rsk値は、遮光膜20の表面の中心部(中央部)に位置した横1μm、縦1μmの領域で測定する。2次元粗さ測定器を用いて、前記領域で、スキャン速度を0.5Hzに設定し、非接触モード(Non-contact mode)でRsk値を測定する。例示的に、探針としてPark System社のカンチレバー(Cantilever)モデルであるPPP-NCHRを適用したPark System社のXE-150モデルを適用して、Rsk値を測定することができ。
【0104】
遮光膜20の表面のRsk値は-2以上0.1以下であってもよい。前記Rsk値は-1以上であってもよい。前記Rsk値は-0.9以上であってもよい。前記Rsk値は-0.88以上であってもよい。前記Rsk値は-0.8以上であってもよい。前記Rsk値は-0.7以上であってもよい。前記Rsk値は0以下であってもよい。前記Rsk値は-0.15以下であってもよい。前記Rsk値は-0.2以下であってもよい。このような場合、遮光膜20の表面で検査光の乱反射が発生する程度を効果的に減少させることができる。
【0105】
遮光膜20の表面のRku値は3.5以下であってもよい。
【0106】
具現例は、遮光膜20の表面に分布するピークの尖度を制御することができる。このような場合、光学特性の測定過程において、遮光膜の表面で反射された検査光が目的とする光経路から離脱することを抑制することができる。また、遮光膜20の表面の反射率が過度に高くなることを抑制して、欠陥検査の正確度をさらに向上させることができる。
【0107】
遮光膜20の表面のRku値を測定する方法は、前述したRsk値を測定する方法と同一である。
【0108】
遮光膜20の表面のRku値は3.5以下であってもよい。前記Rku値は3.2以下であってもよい。前記Rku値は3以下であってもよい。前記Rku値は1以上であってもよい。前記Rku値は2以上であってもよい。このような場合、遮光膜20の表面で乱反射が発生することを抑制するように助けることができ、遮光膜が欠陥の検査に適した反射率を示すように助けることができる。
【0109】
具現例は、遮光膜20の表面に位置する最大ピーク高さまたは最大バレー深さを制御することができる。これを通じて、欠陥検査過程において、遮光膜20の表面で反射された検査光が欠陥を検出するのに十分な強度を有するようにして、擬似欠陥の検出頻度を著しく低減することができる。また、光学特性値の測定時に測定値の偏差を減少させることができる。
【0110】
遮光膜20の表面のRp値、Rv値を測定する方法は、前述したRsk値を測定する方法と同一である。Rpv値は、Rp値とRv値を合わせて算出する。
【0111】
遮光膜20の表面のRp値は4.7nm以下であってもよい。前記Rp値は4.65nm以下であってもよい。前記Rp値は4.5nm以下であってもよい。前記Rp値は1nm以上であってもよい。
【0112】
遮光膜20の表面のRv値は3.9nm以下であってもよい。前記Rv値は3.6nm以下であってもよい。前記Rv値は3.5nm以下であってもよい。前記Rv値は1nm以上であってもよい。
【0113】
遮光膜20の表面のRpv値は8.5nm以下であってもよい。前記Rpv値は8.4nm以下であってもよい。前記Rpv値は8.3nm以下であってもよい。前記Rpv値は8nm以下であってもよい。前記Rpv値は7.9nm以下であってもよい。前記Rpv値は1nm以上であってもよい。
【0114】
このような場合、遮光膜20の表面の欠陥測定及び光学特性測定の正確度を向上させることができる。
【0115】
遮光膜の層構造及び組成
図3は、本明細書の他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。前記図3を参照して具現例を説明する。
【0116】
遮光膜20は、第1遮光層21と、前記第1遮光層21上に配置される第2遮光層22とを含むことができる。
【0117】
第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含むことができる。第2遮光層22は遷移金属を35at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を40at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を45at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を50at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を75at%以下含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を70at%以下含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を65at%以下含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を60at%以下含んでもよい。
【0118】
第2遮光層22の酸素又は窒素に該当する元素の含量は15at%以上であってもよい。前記含量は20at%以上であってもよい。前記含量は25at%以上であってもよい。前記含量は55at%以下であってもよい。前記含量は50at%以下であってもよい。前記含量は45at%以下であってもよい。
【0119】
第2遮光層22は酸素を5at%以上含んでもよい。第2遮光層22は酸素を10at%以上含んでもよい。第2遮光層22は酸素を25at%以下含んでもよい。第2遮光層22は酸素を20at%以下含んでもよい。
【0120】
第2遮光層22は窒素を10at%以上含んでもよい。第2遮光層22は窒素を15at%以上含んでもよい。第2遮光層22は窒素を30at%以下含含んでもよい。第2遮光層22は窒素を25at%以下含んでもよい。
【0121】
第2遮光層22は炭素を1at%以上含んでもよい。第2遮光層22は炭素を3at%以上含んでもよい。第2遮光層22は炭素を10at%以下含んでもよい。第2遮光層22は炭素を8at%以下含んでもよい。
【0122】
このような場合、遮光膜20が位相反転膜30と共に積層体を形成して露光光を実質的に遮断することを助けることができる。
【0123】
第1遮光層21は、遷移金属と、酸素及び窒素を含むことができる。第1遮光層21は遷移金属を20at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を25at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を30at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を55at%以下含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を50at%以下含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を45at%以下含んでもよい。
【0124】
第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は22at%以上であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は30at%以上であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は40at%以上であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は70at%以下であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は60at%以下であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は50at%以下であってもよい。
【0125】
第1遮光層21は酸素を20at%以上含んでもよい。第1遮光層21は酸素を25at%以上含んでもよい。第1遮光層21は酸素を30at%以上含んでもよい。第1遮光層21は酸素を50at%以下含んでもよい。第1遮光層21は酸素を45at%以下含んでもよい。第1遮光層21は酸素を40at%以下含んでもよい。
【0126】
第1遮光層21は窒素を2at%以上含んでもよい。第1遮光層21は窒素を5at%以上含んでもよい。第1遮光層21は窒素を20at%以下含んでもよい。第1遮光層21は窒素を15at%以下含んでもよい。
【0127】
第1遮光層21は炭素を5at%以上含んでもよい。第1遮光層21は炭素を10at%以上含んでもよい。第1遮光層21は炭素を25at%以下含んでもよい。第1遮光層21は炭素を20at%以下含んでもよい。
【0128】
このような場合、第1遮光層21は、遮光膜20が優れた消光特性を有するように助けることができる。
【0129】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。前記遷移金属はCrであってもよい。
【0130】
第1遮光層21の厚さは250~650Åであってもよい。第1遮光層21の厚さは350~600Åであってもよい。第1遮光層21の厚さは400~550Åであってもよい。このような場合、第1遮光層21は、遮光膜20が露光光を効果的に遮断することを助けることができる。
【0131】
第2遮光層22の厚さは30~200Åであってもよい。第2遮光層22の厚さは30~100Åであってもよい。第2遮光層22の厚さは40~80Åであってもよい。このような場合、第2遮光層22は、遮光膜20の消光特性を向上させ、遮光膜20のパターニング時に形成される遮光パターン膜の側面の表面プロファイルをさらに精巧に制御することを助けることができる。
【0132】
第1遮光層21の厚さに対する第2遮光層22の厚さの比率は0.05~0.3であってもよい。前記厚さの比率は0.07~0.25であってもよい。前記厚さの比率は0.1~0.2であってもよい。このような場合、遮光膜20は、十分な消光特性を有しながらも、遮光膜20のパターニング時に形成される遮光パターン膜が垂直に近い側面の表面プロファイルを形成することができる。
【0133】
第2遮光層22の遷移金属の含量は、第1遮光層21の遷移金属の含量よりもさらに大きい値を有することができる。
【0134】
遮光膜20のパターニング時に形成される遮光パターン膜の側面の表面プロファイルを精巧に制御し、欠陥の検査に適した反射率を確保するために、第2遮光層22は、第1遮光層21と比較して遷移金属の含量がさらに大きい値を有することができる。但し、このような場合、遮光膜20を熱処理することによって、第2遮光層22で遷移金属の回復、再結晶及び結晶粒の成長が発生し得る。遷移金属が高い含量で含まれた第2遮光層22で結晶粒の成長が制御されない場合、遮光膜20の表面は、過度に成長した遷移金属粒子により、熱処理前と比較して変形された輪郭を形成し得る。これは、遮光膜20の粗さ特性の変動を誘発し得、遮光膜20の光学特性の測定及び欠陥検査の正確度に影響を及ぼし得る。
【0135】
具現例は、第2遮光層22の遷移金属の含量が第1遮光層21の遷移金属の含量よりもさらに大きい値を有するように制御すると同時に、遮光膜20の粗さ特性、熱処理、冷却処理及び表面処理などでの工程条件などを制御することができる。これを通じて、遮光膜20が目的とする光学特性及びエッチング特性を有しながらも、遮光膜20の表面からさらに正確な光学特性測定値及び欠陥検査結果を得ることができるようにすることができる。
【0136】
その他の薄膜
図4は、本明細書の更に他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。前記図4を参照して、具現例のブランクマスクを説明する。
【0137】
本明細書の他の実施例に係るブランクマスク100は、光透過性基板10と、前記光透過性基板10上に配置される位相反転膜30と、前記位相反転膜30上に配置される遮光膜20とを含む。
【0138】
位相反転膜30は、遷移金属及び珪素を含む。
【0139】
遮光膜20についての説明は、前述した内容と重複するので省略する。
【0140】
位相反転膜30は、光透過性基板10と遮光膜20との間に位置することができる。位相反転膜30は、前記位相反転膜30を透過する露光光の光強度を減衰し、位相差を調節して、パターンの縁部に発生する回折光を実質的に抑制する薄膜である。
【0141】
位相反転膜30は、波長193nmの光に対する位相差が170~190°であってもよい。位相反転膜30は、波長193nmの光に対する位相差が175~185°であってもよい。位相反転膜30は、波長193nmの光に対する透過率が3~10%であってもよい。位相反転膜30は、波長193nmの光に対する透過率が4~8%であってもよい。このような場合、前記位相反転膜30が含まれたフォトマスクの解像度が向上することができる。
【0142】
位相反転膜30は、遷移金属及び珪素を含んでもよい。位相反転膜30は、遷移金属、珪素、酸素及び窒素を含んでもよい。前記遷移金属はモリブデンであってもよい。
【0143】
光透過性基板10と遮光膜20の物性及び組成などについての説明は、それぞれ、前述した内容と重複するので省略する。
【0144】
遮光膜20上にハードマスク(図示せず)が位置することができる。ハードマスクは、遮光膜20のパターンエッチング時にエッチングマスク膜の機能を行うことができる。ハードマスクは、珪素、窒素及び酸素を含むことができる。
【0145】
フォトマスク
図5は、本明細書の更に他の実施例に係るフォトマスクを説明する概念図である。前記図5を参照して、具現例のフォトマスクを説明する。
【0146】
本明細書の更に他の実施例に係るフォトマスク200は、光透過性基板10と、前記光透過性基板10上に配置される遮光パターン膜25とを含む。
【0147】
遮光パターン膜25は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0148】
波長193nmの光で前記遮光パターン膜25の上面の光学密度を10回測定したとき、測定された光学密度の値の標準偏差は0.009以下である。
【0149】
前記測定された光学密度の値の最大値から最小値を引いた値は0.03未満である。
【0150】
遮光パターン膜25の上面のRsk値は-2以上0.1以下である。
【0151】
遮光パターン膜25は、前述したブランクマスク100の遮光膜20をパターニングして形成することができる。
【0152】
遮光パターン膜25の光学密度を測定する方法は、前述した遮光膜20において光学密度を測定する方法と同一である。但し、測定点が遮光パターン膜25の上面に位置しない場合、前記測定点の近傍に位置した遮光パターン膜25の上面で測定点の位置を再設定した後、光学密度を測定する。
【0153】
遮光パターン膜25の上面でRsk値を測定する方法は、前述した遮光膜20の表面のRsk値を測定する方法と同一である。但し、フォトマスク200の表面の中心部(中央部)に位置した横1μm、縦1μmの領域に遮光パターン膜25の上面が位置しない場合、前記領域の近傍に位置した遮光パターン膜25の上面で測定する。
【0154】
遮光パターン膜25の物性、組成及び構造などについての説明は、ブランクマスク100の遮光膜20についての説明と重複するので省略する。
【0155】
遮光膜の製造方法
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、スパッタリングチャンバ内に光透過性基板及びスパッタリングターゲットを設置する準備ステップ;を含むことができる。
【0156】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、スパッタリングチャンバ内に雰囲気ガスを注入し、スパッタリングターゲットに電力を加えて、光透過性基板上に遮光膜を成膜する成膜ステップ;を含むことができる。
【0157】
成膜ステップは、光透過性基板上に第1遮光層を成膜する第1遮光層の成膜過程と、前記第1遮光層上に第2遮光層を成膜する第2遮光層の成膜過程とを含むことができる。
【0158】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、150℃以上300℃以下の雰囲気で5分以上30分以下の時間熱処理する熱処理ステップ;を含むことができる。
【0159】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、前記熱処理ステップを経た遮光膜を冷却させる冷却ステップ;を含むことができる。
【0160】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、冷却ステップを経たブランクマスクを10℃以上60℃以下の雰囲気で安定化させる安定化ステップ;を含むことができる。
【0161】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、安定化ステップを経たブランクマスクの遮光膜を表面処理する表面処理ステップ;を含むことができる。
【0162】
表面処理ステップは、遮光膜の表面に酸化剤溶液を適用する表面酸化処理過程を含むことができる。
【0163】
表面処理ステップは、遮光膜の表面にリンスを行うリンス過程を含むことができる。
【0164】
準備ステップにおいて、遮光膜の組成を考慮して、遮光膜を成膜する際のターゲットを選択することができる。スパッタリングターゲットは、遷移金属を含有する一つのターゲットを適用してもよい。スパッタリングターゲットは、遷移金属を含有する一つのターゲットを含めて2以上のターゲットを適用してもよい。遷移金属を含有するターゲットは、遷移金属を90at%以上含んでもよい。遷移金属を含有するターゲットは、遷移金属を95at%以上含んでもよい。遷移金属を含有するターゲットは、遷移金属を99at%含んでもよい。
【0165】
遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。遷移金属はCrを含むことができる。遷移金属はCrであってもよい。
【0166】
スパッタリングチャンバ内に配置される光透過性基板については、前述した内容と重複するので省略する。
【0167】
準備ステップにおいて、スパッタリングチャンバ内にマグネットを配置することができる。マグネットは、スパッタリングターゲットにおけるスパッタリングが発生する一面に対向する面に配置され得る。
【0168】
遮光膜の成膜ステップにおいて、遮光膜に含まれた各層別の成膜時に、成膜工程の条件を異なって適用することができる。特に、遮光膜の表面粗さ特性、消光特性及びエッチング特性などを考慮して、雰囲気ガスの組成、スパッタリングターゲットに加える電力、成膜時間などの各種工程条件を遮光膜内の各層別に異なって適用することができる。
【0169】
雰囲気ガスは、不活性ガス、反応性ガス及びスパッタリングガスを含むことができる。不活性ガスは、成膜された薄膜を構成する元素を含まないガスである。反応性ガスは、成膜された薄膜を構成する元素を含むガスである。スパッタリングガスは、プラズマ雰囲気でイオン化してターゲットと衝突するガスである。
【0170】
不活性ガスはヘリウムを含むことができる。
【0171】
反応性ガスは、窒素元素を含むガスを含むことができる。前記窒素元素を含むガスは、例示的にN、NO、NO、NO、N、N、Nなどであってもよい。反応性ガスは、酸素元素を含むガスを含むことができる。前記酸素元素を含むガスは、例示的にO、COなどであってもよい。反応性ガスは、窒素元素を含むガス、及び酸素元素を含むガスを含むことができる。前記反応性ガスは、窒素元素と酸素元素の両方を含むガスを含むことができる。前記窒素元素と酸素元素の両方を含むガスは、例示的にNO、NO、NO、N、N、Nなどであってもよい。
【0172】
スパッタリングガスは、アルゴン(Ar)ガスであってもよい。
【0173】
スパッタリングターゲットに電力を加える電源は、DC電源を使用してもよく、またはRF電源を使用してもよい。
【0174】
第1遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.5kW以上2.5kW以下として適用してもよい。第1遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.6kW以上2kW以下として適用してもよい。
【0175】
第1遮光層の成膜過程において、雰囲気ガスの不活性気体の流量に対する反応性気体の流量の比率は1.5以上3以下であってもよい。前記流量の比率は1.8以上2.7以下であってもよい。前記流量の比率は2以上2.5以下であってもよい。
【0176】
反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は1.5以上4以下であってもよい。反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は2以上3以下であってもよい。反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は2.2以上2.7以下であってもよい。
【0177】
このような場合、第1遮光層は、遮光膜が十分な消光特性を有することを助けることができ、第1遮光層のエッチング特性を制御して、パターニング後の遮光パターン膜の側面の表面プロファイルが光透過性基板から垂直に近い形状を有するように助けることができる。
【0178】
第1遮光層の成膜時間は200秒以上300秒以下であってもよい。第1遮光層の成膜時間は210秒以上240秒以下であってもよい。このような場合、第1遮光層は、遮光膜が十分な消光特性を有するように助けることができる。
【0179】
第1遮光層の成膜を行った後、5秒以上10秒以下の時間の間、スパッタリングチャンバに電力及び雰囲気ガスを供給することを中断し、第2遮光層の成膜過程で電力及び雰囲気ガスを再び供給することができる。
【0180】
第2遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1kW以上2kW以下として適用してもよい。第2遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.2kW以上1.7kW以下として適用してもよい。
【0181】
第2遮光層の成膜過程において、雰囲気ガスの不活性気体の流量に対する反応性気体の流量の比率は0.3以上0.8以下であってもよい。前記流量の比率は0.4以上0.6以下であってもよい。
【0182】
第2遮光層の成膜過程において、反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は0.3以下であってもよい。反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は0.1以下であってもよい。反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は0.001以上であってもよい。
【0183】
このような場合、遮光膜の表面粗さ特性を具現例が目的とする範囲内に制御するのに寄与することができ、遮光膜が安定した消光特性を有するのに寄与することができる。
【0184】
第2遮光層の成膜時間は10秒以上30秒以下であってもよい。第2遮光層の成膜時間は15秒以上25秒以下であってもよい。このような場合、第2遮光層は、遮光膜に含まれて露光光の透過を抑制することを助けることができる。
【0185】
熱処理ステップにおいて、成膜ステップを終えた遮光膜を熱処理することができる。具体的には、前記遮光膜の成膜を終えた基板を熱処理チャンバ内に配置した後、熱処理を行うことができる。
【0186】
遮光膜を熱処理して前記遮光膜に形成された応力を除去し、遮光膜の密度をさらに向上させることができる。遮光膜に熱処理が適用される場合、遮光膜に含まれた遷移金属は回復(recovery)及び再結晶(recrystallization)を経るようになり、遮光膜に形成された応力は効果的に除去され得る。但し、熱処理ステップにおいて、熱処理温度及び時間などの工程条件が制御されない場合、遮光膜に結晶粒の成長(grain growth)が発生し、大きさが制御されていない遷移金属の結晶粒により、遮光膜の表面プロファイルが熱処理前に比べて相当に変形することがある。これは、遮光膜の表面粗さ特性に影響を及ぼし得、遮光膜の表面の光学特性及び欠陥の測定過程において問題を発生させ得る。
【0187】
具現例は、熱処理ステップでの熱処理時間及び温度を制御し、以下で詳述する冷却ステップでの冷却速度、冷却時間、冷却時の雰囲気ガスなどを制御することで、遮光膜に形成された内部応力を効果的に除去すると共に、遮光膜の表面が、具現例で予め設定した粗さ特性を有するようにし、遮光膜から正確な光学特性測定値及び欠陥検査を得ることを助けることができる。
【0188】
熱処理ステップは160~300℃で行われてもよい。熱処理ステップは180~280℃で行われてもよい。
【0189】
熱処理ステップは5~30分間行われてもよい。熱処理ステップは10~20分間行われてもよい。
【0190】
このような場合、遮光膜に形成された内部応力を効果的に除去することができ、熱処理による遷移金属粒子の過度の成長を抑制することを助けることができる。
【0191】
冷却ステップにおいて、熱処理を終えた遮光膜を冷却させることができる。熱処理ステップを終えたブランクマスクの基板側に、具現例で予め設定した冷却温度に調節された冷却プレートを配置し、ブランクマスクを冷却させることができる。冷却ステップにおいて、ブランクマスクと冷却プレートとの間隔を調節し、雰囲気ガスを導入するなどの工程条件を適用して、ブランクマスクの冷却速度を制御することができる。
【0192】
ブランクマスクは、熱処理ステップを終えた後、2分内に冷却ステップを適用することができる。このような場合、遮光膜内の残熱による遷移金属粒子の成長を効果的に防止することができる。
【0193】
冷却プレートに、調節された長さを有するピンを各角部に設置し、前記ピン上に基板が冷却プレートに向かうようにブランクマスクを配置して、ブランクマスクの冷却速度を制御することができる。
【0194】
冷却プレートによる冷却方法に加え、冷却ステップが行われる空間に非活性ガスを注入してブランクマスクを冷却させることができる。このような場合、冷却プレートによる冷却効率が多少劣るブランクマスクの遮光膜側の残熱をさらに効果的に除去することができる。
【0195】
非活性気体は、例示的にヘリウムであってもよい。
【0196】
冷却ステップにおいて、冷却プレートに適用された冷却温度は10~30℃であってもよい。前記冷却温度は15~25℃であってもよい。
【0197】
冷却ステップにおいて、ブランクマスクと冷却プレートとの離隔距離は0.01~30mmであってもよい。前記離隔距離は0.05~5mmであってもよい。前記離隔距離は0.1~2mmであってもよい。
【0198】
冷却ステップにおいて、ブランクマスクの冷却速度は30~80℃/minであってもよい。前記冷却速度は35~75℃/minであってもよい。前記冷却速度は40~70℃/minであってもよい。
【0199】
このような場合、熱処理後に遮光膜に残っている熱による遷移金属の結晶粒の成長を抑制することで、遮光膜の表面が具現例で予め設定した範囲内の表面粗さ特性を有することを助けることができる。
【0200】
安定化ステップにおいて、冷却ステップを経たブランクマスクを安定化させることができる。これを通じて、急激な温度変化によるブランクマスクの損傷を防止することができる。
【0201】
冷却ステップを経たブランクマスクを安定化させる方法は様々であり得る。一例として、冷却ステップを経たブランクマスクを冷却プレートから分離した後、常温の大気中に所定時間放置してもよい。他の一例として、冷却ステップを経たブランクマスクを冷却プレートから分離した後、15℃以上30℃以下の雰囲気で30分以上200分以下の時間安定化させてもよい。このとき、ブランクマスクを20rpm以上50rpm以下の速度で回転させることができる。更に他の一例として、冷却ステップを経たブランクマスクに、ブランクマスクと反応しない気体を5L/min以上10L/min以下の流量で1分以上5分以下の時間噴射してもよい。このとき、ブランクマスクと反応しない気体は、20℃以上40℃以下の温度を有することができる。
【0202】
表面処理ステップにおいて、遮光膜の表面に酸化剤溶液を噴射して遮光膜を表面処理することができる。酸化剤溶液は、遮光膜をはじめとする金属膜を酸化させることができる程度の反応性を有する溶液である。酸化剤溶液を遮光膜の表面に噴射すると、酸化剤溶液は遮光膜の表面と反応し、遮光膜の表面が具現例が目的とする粗さ特性を有するように助けることができる。特に、酸化剤溶液の組成、流量、噴射方法などを制御することで、遮光膜の表面に位置するピークの形状、大きさ及び分布などを具現例で予め設定した範囲内に調節することができる。
【0203】
以下、表面処理ステップについて具体的に説明する。
【0204】
表面処理ステップは、第1リンス過程、表面酸化処理過程、及び第2リンス過程を含むことができる。
【0205】
表面処理ステップにおいて、表面酸化処理過程を行う前に遮光膜の表面に第1リンス過程を行うことができる。具体的に、第1リンス過程において、ブランクマスクを低速回転させながら、遮光膜の表面に炭酸水を1000ml/min以上1800ml/min以下の流量で噴射することができる。これを通じて、遮光膜の表面に吸着されたパーティクルを効果的に除去することができる。
【0206】
表面酸化処理過程において、遮光膜の表面に酸化剤溶液を噴射することができる。
【0207】
酸化剤溶液は、金属膜に対する酸化力がある溶液であれば、制限されない。例示的に、酸化剤溶液は、水素水及びSC-1溶液のうちの少なくともいずれか1つを適用することができる。
【0208】
酸化剤溶液としてSC-1溶液を適用する場合、SC-1溶液中のアンモニア水(NHOH)の含量は0.02体積%以上であってもよい。前記アンモニア水の含量は0.05体積%以上であってもよい。前記アンモニア水の含量は0.1体積%以上であってもよい。前記アンモニア水の含量は2体積%未満であってもよい。
【0209】
酸化剤溶液としてSC-1溶液を適用する場合、SC-1溶液中の過酸化水素(H)の含量は1体積%以下であってもよい。前記過酸化水素の含量は0.5体積%以下であってもよい。前記過酸化水素の含量は0.1体積%以下であってもよい。前記過酸化水素の含量は0.01体積%以上であってもよい。前記過酸化水素の含量は0.05体積%以上であってもよい。
【0210】
前記SC-1溶液の電気伝導度は1000μS/cm以上であってもよい。前記SC-1溶液の電気伝導度は1500μS/cm以上であってもよい。前記SC-1溶液の電気伝導度は3000μS/cm以下であってもよい。前記SC-1溶液の電気伝導度は2500μS/cm以下であってもよい。
【0211】
このような場合、遮光膜の表面の歪度及び形状などを制御することで、光学特性の測定時の検査光の乱反射現象を効果的に抑制することができる。
【0212】
酸化剤溶液は、計500ml/min以上4000ml/min以下の流量で噴射されてもよい。酸化剤溶液は、計700ml/min以上3000ml/min以下の流量で噴射されてもよい。酸化剤溶液は、計1000ml/min以上2000ml/min以下の流量で噴射されてもよい。
【0213】
酸化剤溶液として互いに異なる2以上の溶液が適用される場合、各溶液は同時に噴射されてもよい。酸化剤溶液として互いに異なる2以上の溶液が適用される場合、各溶液は順次噴射されてもよい。
【0214】
酸化剤溶液は、100秒以上2000秒以下の時間噴射されてもよい。酸化剤溶液は、200秒以上1500秒以下の時間噴射されてもよい。酸化剤溶液は、300秒以上1000秒以下の時間噴射されてもよい。酸化剤溶液は、400秒以上700秒以下の時間噴射されてもよい。
【0215】
このような場合、遮光膜の表面粗さの制御を効率的に行うことができる。
【0216】
酸化剤溶液は、単一種類の溶液を適用してもよく、または2以上の溶液を適用してもよい。酸化剤溶液として2以上の溶液を適用する場合、各溶液は、別々のノズルを用いて遮光膜の表面に噴射することができる。
【0217】
酸化剤溶液として2以上の溶液を適用する場合、各溶液別の噴射時間は互いに同一であってもよい。各溶液別の噴射時間は互いに異なってもよい。
【0218】
遮光膜の全領域に均一な流量で酸化剤溶液を噴射するために、噴射過程中に遮光膜の領域内で噴射ノズルの位置を移動させながら酸化剤溶液を噴射することができる。
【0219】
表面酸化処理過程を終えた後、第2リンス過程を行うことができる。具体的に、第2リンス過程において、ブランクマスクを低速回転させながら、遮光膜の表面に炭酸水を1000ml/min以上1800ml/min以下の流量で噴射することができる。これを通じて、遮光膜の表面に残留する酸化剤溶液を効果的に除去することができる。
【0220】
半導体素子の製造方法
本明細書の他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0221】
フォトマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜とを含む。
【0222】
遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0223】
波長193nmの光で前記遮光パターン膜の上面の光学密度を10回測定したとき、測定された光学密度の値の標準偏差が0.009以下である。
【0224】
前記測定された光学密度の値の最大値から最小値を引いた値は0.03未満である。
【0225】
遮光パターン膜の上面のRsk値が-2以上0.1以下である。
【0226】
準備ステップにおいて、光源は、短波長の露光光を発生させることができる装置である。露光光は、波長200nm以下の光であってもよい。露光光は、波長193nmのArF光であってもよい。
【0227】
フォトマスクと半導体ウエハとの間にレンズがさらに配置されてもよい。レンズは、フォトマスク上の回路パターンの形状を縮小して半導体ウエハ上に転写する機能を有する。レンズは、ArF半導体ウエハ露光工程に一般に適用できるものであれば限定されない。例示的に、前記レンズは、フッ化カルシウム(CaF)で構成されたレンズを適用できる。
【0228】
露光ステップにおいて、フォトマスクを介して、半導体ウエハ上に露光光を選択的に透過させることができる。このような場合、レジスト膜中の露光光が入射した部分で化学的変性が発生することができる。
【0229】
現像ステップにおいて、露光ステップを終えた半導体ウエハを現像溶液で処理して半導体ウエハ上にパターンを現像することができる。塗布されたレジスト膜がポジティブレジスト(positive resist)である場合、レジスト膜中の露光光が入射した部分が現像溶液によって溶解され得る。塗布されたレジスト膜がネガティブレジスト(negative resist)である場合、レジスト膜中の露光光が入射していない部分が現像溶液によって溶解され得る。現像溶液の処理によって、レジスト膜はレジストパターンとして形成される。前記レジストパターンをマスクとして半導体ウエハ上にパターンを形成することができる。
【0230】
フォトマスクについての説明は、前述の内容と重複するので省略する。
【0231】
以下、具体的な実施例についてより詳細に説明する。
【0232】
製造例:遮光膜の成膜
実施例1:DCスパッタリング装備のチャンバ内に、横6インチ、縦6インチ、厚さ0.25インチのクォーツ素材の光透過性基板を配置した。T/S距離が255mm、基板とターゲットとの間の角度が25°をなすようにクロムターゲットをチャンバ内に配置した。
【0233】
その後、Ar21体積%、N11体積%、CO32体積%、He36体積%が混合された雰囲気ガスをチャンバ内に導入し、スパッタリングターゲットに加える電力を1.85kWとして適用し、250秒間スパッタリング工程を行って第1遮光層を成膜した。
【0234】
第1遮光層の成膜を終えた後、第1遮光層上に、Ar57体積%とN43体積%が混合された雰囲気ガスをチャンバ内に導入し、スパッタリングターゲットに加える電力を1.5kWとして適用し、25秒間スパッタリング工程を行って第2遮光層を成膜したブランクマスク試験片を製造した。
【0235】
第2遮光層の成膜を終えた試験片を熱処理チャンバ内に配置し、200℃の雰囲気温度で15分間熱処理を行った。
【0236】
熱処理を経た試験片の基板側に、冷却温度が23℃として適用された冷却プレートを設置した。試験片の遮光膜の表面で測定した冷却速度が45℃/minになるように試験片の基板と冷却プレートとの離隔距離を調整した後、5分間冷却ステップを行った。
【0237】
冷却処理を終えた後、試験片を20℃以上25℃以下の雰囲気で大気中に保管する方式で120分間安定化させた。
【0238】
安定化を終えた試験片の遮光膜に第1リンス過程を行った。具体的には、低速回転させながら、試験片の遮光膜の表面に1000ml/min以上1800ml/min以下の流量が適用された炭酸水を80秒間噴射してリンスを行った。
【0239】
第1リンス過程を終えた後、試験片の遮光膜の表面に表面酸化処理過程を行った。具体的には、前記遮光膜の表面に、酸化剤溶液として、500ml/min以上1000ml/min以下の流量が適用されたSC-1溶液、及び500ml/min以上1500ml/min以下の流量が適用された水素水を504秒間同時に噴射した。その後、500ml/min以上1500ml/min以下の流量が適用された水素水を単独で遮光膜の表面に160秒間噴射した。
【0240】
前記SC-1溶液は、アンモニア水(NHOH)の含量が0.1体積%であり、過酸化水素(H)の含量が0.08体積%である。
【0241】
SC-1溶液及び水素水を噴射する過程で、噴射ノズルを試験片の遮光膜の領域内で対角線方向に繰り返して移動しながら噴射を行った。
【0242】
その後、試験片を低速回転させながら、1000ml/min以上1800ml/min以下の流量が適用された炭酸水を試験片の遮光膜の表面に88秒間噴射して、第2リンス過程を行った。
【0243】
実施例2:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、表面酸化処理過程において、SC-1溶液中のアンモニア水(NHOH)の含量を0.15体積%として適用した。
【0244】
実施例3:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、表面酸化処理過程において、SC-1溶液中のアンモニア水(NHOH)の含量を0.05体積%として適用した。
【0245】
実施例4:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、表面酸化処理過程において、SC-1溶液中のアンモニア水(NHOH)の含量を0.5体積%として適用した。
【0246】
実施例5:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、表面酸化処理過程において、SC-1溶液中のアンモニア水の含量を0.07体積%として適用した。
【0247】
比較例1:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、安定化処理後に第1リンス過程、表面酸化処理過程及び第2リンス過程を適用しなかった。
【0248】
比較例2:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、表面酸化処理過程において、酸化剤溶液の代わりに、1000ml/min以上2500ml/min以下の流量が適用された炭酸水を噴射した。
【0249】
比較例3:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、表面酸化処理過程において、SC-1溶液中のアンモニア水の含量を2体積%として適用した。
【0250】
比較例4:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、熱処理過程で熱処理温度を150℃として適用し、冷却過程で冷却温度を27℃として適用した。
【0251】
比較例5:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、安定化過程を20分間行った。
【0252】
実施例及び比較例別の工程条件について、下記表1に記載した。
【0253】
評価例:光学特性の偏差の評価
実施例及び比較例別の試験片の遮光膜の表面において、遮光膜の中心に位置する横132mm、縦132mmの測定領域を特定した。前記測定領域を横6等分、縦6等分して形成される計36個のセクタを特定した。前記各セクタの計49個の頂点を測定点として特定し、前記測定点で分光エリプソメータ(spectroscopic ellipsometer)を用いて透過率の値を測定し、前記透過率の値から式1の光学密度を算出した。前記測定点別の光学密度の値の平均値を算出し、その値をそれぞれ遮光膜の光学密度の値とした。
【0254】
光学密度の値の標準偏差及び最大値から最小値を引いた値を算出するために、遮光膜の光学密度を計10回測定した。遮光膜の光学密度を10回測定する過程は、全て同じ測定点で同じ測定条件で行った。
【0255】
分光エリプソメータはナノビュー社のMG-Proを使用し、検査光の波長は193nmを適用した。
【0256】
光学密度の値の標準偏差及び最大値から最小値を引いた値を算出する方法と同じ方法により、透過率及び反射率の標準偏差及び最大値から最小値を引いた値を算出した。
【0257】
実施例及び比較例別の測定値は、下記表2に記載した。
【0258】
評価例:表面粗さの評価
実施例及び比較例別の遮光膜の表面のRsk、Rku、Rp、Rv値をISO_4287に準拠して測定した。前記Rp値とRv値を合わせてRpv値を算出した。
【0259】
具体的には、遮光膜の中心部の横1μm、縦1μmの領域で、探針としてPark System社のカンチレバー(Cantilever)モデルであるPPP-NCHRを適用したPark System社のXE-150モデルを用いて、スキャン速度0.5Hz、非接触モード(Non-contact mode)でRsk、Rku、Rp、Rv及びRpv値を測定した。
【0260】
実施例及び比較例別の測定結果は、下記表3に記載した。
【0261】
【表1】
【0262】
【表2】
【0263】
【表3】
【0264】
前記表2において、実施例1~5の光学密度の標準偏差は0.009以下と測定されたのに対し、比較例1~5の光学密度の標準偏差は0.009超と測定された。
【0265】
実施例1~5の反射率の標準偏差は0.032%以下と測定されたのに対し、比較例1~5の反射率の標準偏差は0.032%超と測定された。
【0266】
実施例1~5の光学密度の値の最大値から最小値を引いた値は0.02以下と測定されたのに対し、比較例1~5は0.03超と測定された。
【0267】
実施例1~5の反射率の値の最大値から最小値を引いた値は0.09%以下と測定されたのに対し、比較例1~5は0.09%超と測定された。
【符号の説明】
【0268】
100 ブランクマスク
10 光透過性基板
20 遮光膜
21 第1遮光層
22 第2遮光層
30 位相反転膜
200 フォトマスク
25 遮光パターン膜
da 測定領域
dp 測定点
ds セクタ
図1
図2
図3
図4
図5