(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20240807BHJP
F21S 41/176 20180101ALI20240807BHJP
F21S 41/16 20180101ALN20240807BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240807BHJP
【FI】
H01S5/022
F21S41/176
F21S41/16
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2020123651
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼鶴 一真
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525836(JP,A)
【文献】特開2015-022954(JP,A)
【文献】特開2012-54272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0170314(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0307161(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0167905(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00- 3/30
H01S 5/00- 5/50
F21S 41/10-41/19
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1傾斜面、前記第1傾斜面の反対側に位置する第2傾斜面、および前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間に位置する頂部を有する基部と、
前記第1傾斜面に配され、第1出射端面を有する1以上の第1半導体レーザ素子と、
前記第2傾斜面に配され、第2出射端面を有する1以上の第2半導体レーザ素子と、
前記頂部の上方に位置する入射面を有する波長変換部材と、
を備え、
前記第1半導体レーザ素子における前記第1出射端面、および前記第2半導体レーザ素子における前記第2出射端面は、前記波長変換部材における前記入射面が位置する方向を向く、発光装置。
【請求項2】
前記入射面は、前記第1半導体レーザ素子および前記第2半導体レーザ素子から出射された光を透過させる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1出射端面から出射された光軸を通る光は、前記第1出射端面における出射位置と、前記入射面における所定の位置と、を結ぶ直線上を進み、前記入射面へと入射する、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面の各々と、前記波長変換部材における前記入射面とがなす角度は、40度以上80度以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記波長変換部材は、蛍光体を含む透光部、および前記透光部を囲む反射部を含み、
前記透光部は、前記入射面を有し、
前記第1半導体レーザ素子および前記第2半導体レーザ素子から出射された主要部分の光は、前記入射面に入射する、請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記波長変換部材における前記透光部は、上面視で、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面が並ぶ方向に長手方向を有する、請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記基部は、前記第1半導体レーザ素子および前記第2半導体レーザ素子を囲む側壁をさらに有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記側壁は、表面に設けられる第1導電領域および第2導電領域と、内部を通り前記第1導電領域から前記第2導電領域を結ぶビアと、で構成される導電性部材を有し、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面にそれぞれ配された前記第1半導体レーザ素子および前記第2半導体レーザ素子は、前記側壁の前記導電性部材に電気的に接続される、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記側壁の前記導電性部材を除く部分は、セラミックスから形成されている請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記側壁の上面に接合される透光性部材を備え、
前記透光性部材が接合される前記側壁の上面は、前記第1半導体レーザ素子および前記第2半導体レーザ素子よりも上方に位置し、かつ、上面視で前記第1半導体レーザ素子および前記第2半導体レーザ素子を囲み、
前記波長変換部材は、前記透光性部材の上に配され、
前記基部と、前記透光性部材と、により気密封止された空間に前記第1半導体レーザ素子および前記第2半導体レーザ素子が配される、請求項7から9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記基部の少なくとも一部に金属で形成される金属部を有し、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記金属部において形成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記基部は、前記第1傾斜面、前記第2傾斜面、および前記頂部を有する凸部を含み、
前記凸部は、前記波長変換部材における前記入射面に垂直な平面に対して対称であり、
前記1以上の第1半導体レーザ素子、および前記1以上の第2半導体レーザ素子は、前記平面に対して対称に配されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記基部は、前記第1傾斜面、前記第2傾斜面、および前記頂部を有する凸部を含み、前記頂部は、上面視で前記第1傾斜面および前記第2傾斜面が並ぶ方向に対して交差する方向に延びており、
前記凸部は、前記波長変換部材における前記入射面に垂直な平面に対して対称であり、
前記1以上の第1半導体レーザ素子、および前記1以上の第2半導体レーザ素子は、上面視で、前記頂部が延びる方向にずれて位置する、請求項1から11のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項14】
前記頂部は、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間に位置し、かつ、前記第1半導体レーザ素子から出射される光軸を通る光が前記入射面において全反射したと仮定した場合の反射光の進路上、および、前記第2半導体レーザ素子から出射される光軸を通る光が前記入射面において全反射したと仮定した場合の反射光の進路上に位置していない、請求項1から13のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項15】
前記頂部の外縁を構成する複数の辺に関し、前記第1傾斜面と交わる辺は、前記第2傾斜面と交わる辺と同じ長さであり、かつ、前記第1傾斜面と交わる辺の隣の辺よりも長い、請求項1から14のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項16】
前記1以上の第1半導体レーザ素子は、2つの第1半導体レーザ素子から構成されており、
前記1以上の第2半導体レーザ素子は、2つの第2半導体レーザ素子から構成されており、
前記2つの第1半導体レーザ素子は、前記波長変換部材に近づくにつれて前記2つの第1半導体レーザ素子の間隔が狭まるように配されており、
前記2つの第2半導体レーザ素子は、前記波長変換部材に近づくにつれて前記2つの第2半導体レーザ素子の間隔が狭まるように配されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、励起光を出射する発光素子と、励起光の照射によって蛍光を発する蛍光体と、を備える発光装置が提案されている。そのような発光装置は、例えば、自動車などの移動体用ヘッドランプ、または照明器具などの光源に利用されている。
【0003】
特許文献1には、そのような発光装置の構成例として、複数の励起光源を対向して配置し、励起光源の間に設けられた蛍光部材に斜め上方に出射された励起光の反射光を照射して、上方から光を取り出す光源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される発光装置では、対向する励起光源の反射光を蛍光部材に照射させるため、蛍光部材のために確保すべき領域が大きくなり、装置が大型化する。一方で、発光装置には小型化が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の発光装置は、一実施形態において、第1傾斜面、前記第1傾斜面の反対側に位置する第2傾斜面、および前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間に位置する頂部を有する基部と、前記第1傾斜面に配され、第1出射端面を有する1以上の第1半導体レーザ素子と、前記第2傾斜面に配され、第2出射端面を有する1以上の第2半導体レーザ素子と、前記頂部の上方に位置する入射面を有する波長変換部材と、を備え、前記第1半導体レーザ素子における前記第1出射端面、および前記第2半導体レーザ素子における前記第2出射端面は、前記波長変換部材における前記入射面が位置する方向を向く。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光装置の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1における例示的な発光装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aの上中下に分離された構成要素のうち下側の構成要素の分解斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、
図2Bの上下に分離された構成要素のうち上側の構成要素を下方から見た斜視図である。
【
図2D】
図2Dは、
図2Aの上中下に分離された構成要素のうち下側の構成要素の上面図である。
【
図3A】
図3Aは、
図1の発光装置のYZ平面に平行なIIIA-IIIA線断面図である。
【
図3B】
図3Bは、
図1の発光装置のXZ平面に平行なIIIB-IIIB線断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の変形例における発光装置の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態2における例示的な発光装置の構成の分解斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、
図6の発光装置のYZ平面に平行なVIIA-VIIA線断面図である。
【
図7B】
図7Bは、
図6の発光装置のXZ平面に平行なVIIB-VIIB線断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2の変形例における発光装置の分解斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、
図8の発光装置のYZ平面に平行なIXA-IXA線断面図である。
【
図9B】
図9Bは、
図8の発光装置のXZ平面に平行なIXB-IXB線断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態3における例示的な発光装置の構成の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態における発光装置を説明する。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分または部材を示す。
【0010】
さらに以下は、本開示の技術思想を具体化するために例示しているのであって、本開示を以下に限定しない。また、構成要素の寸法、材質、形状、その相対的配置などについては、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図している。各図面が示す部材の大きさや位置関係などは、理解を容易にするなどのために誇張している場合がある。
【0011】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書および特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
【0012】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0013】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素に関し、これに該当するものが複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象や観点が異なる場合、本明細書と特許請求の範囲との間で、同一の付記が、同一の対象を指さない場合がある。
【0014】
例えば、本明細書において“第1”、“第2”、“第3”と付記されて区別される対象があり、本明細書の“第1”および“第3”のみを対象として特許請求の範囲を記載する場合に、特許請求の範囲において“第1”、“第2”と付記された対象が、本明細書において“第1”“第3”と付記された対象を指すことがある。
【0015】
(実施形態1)
まず、
図1を参照して、本開示の実施形態1における発光装置の構成例を説明する。
【0016】
図1は、本開示の実施形態1における例示的な発光装置100の構成を模式的に示す斜視図である。図面には、参考のため、互いに直交するX方向、Y方向、およびZ方向が示されている。本明細書では、位置関係の把握のしやすさのため、Z軸の矢印の方向を「上方」として説明する。この場合、Z軸の矢印と反対の方向は「下方」となる。なお、ここでの「上方」は、発光装置100の使用時における向きを制限するわけではなく、発光装置100の向きは任意である。
【0017】
発光装置100は、
図1に示すように、概略的に直方体の形状を有する。発光装置100のX方向、Y方向、およびZ方向の各サイズは、例えば1mm以上15mm以下であり得る。
【0018】
発光装置100は、基部10と、基部10内に収容される1または複数の半導体レーザ素子と、1または複数の半導体レーザ素子から出射された光の波長を変換する波長変換部材30と、波長変換部材30を支持する透光性部材40とを備える。
【0019】
また、発光装置100は、半導体レーザ素子から出射された光と、波長変換部材30において波長が変換された光との混合光を、波長変換部材30における透光部30tから出射する。また、半導体レーザ素子からの青色の光と、波長変換部材30による黄色の光の混色による白色光を出射する。なお、波長が変換された光のみを出射してもよい。また、発光装置100から出射される光は白色でなくてもよい。
【0020】
波長変換部材30および透光性部材40は、それぞれ、プレート形状を有している。
図1に示す例では、プレート形状の厚さ方向がZ方向に平行になるように配置されている。1または複数の半導体レーザ素子は、発光装置100の内部に気密に封止されている。気密封止によって、集塵の影響を低減できる。なお、実施形態における発光装置は、半導体レーザ素子が配置される空間が気密封止されていなくてもよい。
【0021】
さらに、
図2Aから
図2Dを参照して、発光装置100の構成を説明する。
図2Aは、
図1の発光装置100の分解斜視図である。
図2Bは、
図2Aの上中下に分離された構成要素のうち下側の構成要素の分離斜視図である。
図2Cは、
図2Bの上下に分離された構成要素のうち上側の構成要素を下方から見た斜視図である。
図2Dは、
図2Aの上中下に分離された構成要素のうち下側の構成要素の上面図である。
【0022】
発光装置100は、
図2Aに示すように、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2を備える。つまり、発光装置100が備える1または複数の半導体レーザ素子には、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2を含むことができる。
【0023】
基部10は、
図2Aに示すように、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2を支持する底部10bと、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2を囲む側壁10wと、を有する。基部10における底部10bおよび側壁10wは、
図2Bに示すように、別々に作製される。なお、一体的に作成されてもよい。
【0024】
基部10における底部10bは、XY平面に平行である下面10bLおよび上面10buを有する。また、底部10bは、下面10bLおよび上面10buと交わる側面を有する。また、底部10bは、上面10buから突出する凸部10pを有する。
【0025】
凸部10pは、上面10buに沿ってX方向に延びたリッジ形状を有する。凸部10pは、第1傾斜面10p1および第2傾斜面10p2を有する。第1傾斜面10p1および第2傾斜面10p2は、上面視でY方向に並ぶ。
【0026】
第1傾斜面10p1には第1半導体レーザ素子201が配される。第2傾斜面10p2には第2半導体レーザ素子202が配される。また、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202は、凸部10pを2等分するXZ平面に平行な対称面に対して対称に配される。また、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202はそれぞれ、第1サブマウント221および第2サブマウント222を介して配される。なお、第1半導体レーザ素子201または第2半導体レーザ素子202は、サブマウントを介さずに配されてもよい。基部10の底部10bは、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202を直接あるいは間接的に支持している。
【0027】
第1半導体レーザ素子201と第1サブマウント221は、例えばAuSn、Au、Agなどの接合材料で接合される。同様に、第1サブマウント221と第1傾斜面10p1は、例えばAuSn、Au、Agなどの接合材料で接合される。第1サブマウント221を介さない場合、第1半導体レーザ素子201は、当該接合材料で第1傾斜面10p1に接合される。第2半導体レーザ素子202が第2サブマウント222を介して、または第2サブマウント222を介さずに第2傾斜面10p2に配される場合についても同様である。
【0028】
凸部10pは、第1傾斜面10p1と第2傾斜面10p2との間に位置する頂部10p3を有する。頂部10p3は、X方向に延びた矩形形状を有する。頂部10p3は、上面視でX方向に延びる。凸部10pを2等分するXZ平面に平行な対称面は、頂部10p3と交わる。また、当該対称面は、第1傾斜面10p1および第2傾斜面10p2とは交わらない。
【0029】
頂部10p3の外縁は、X方向に平行な一対の第1辺を含んで構成される。また、頂部10p3の外縁は、Y方向に平行な一対の第2辺を含んで構成される。また、一対の第1辺は同じ長さ有し、一対の第2辺は同じ長さを有する。第1辺は第2辺よりも長い。また、一対の第1辺のうち、一方は第1傾斜面10p1に交わり、他方は第2傾斜面10p2に交わる。一対の第2辺はいずれも、一対の第1辺に交わる。言い換えれば、頂部10p3の外縁を構成する複数の辺に関し、第1辺の隣の辺が第2辺である。また、第1辺の両隣の辺が第2辺である。また、第2辺の両隣の辺が第1辺である。
【0030】
上面視で、頂部10p3のY方向の長さは、第1傾斜面10p1のY方向の長さよりも小さい。なお、「頂部10p3のY方向の長さ」を「第2辺の長さ」と置き換えても同様のことが言える。また、「第1傾斜面10p1」を「第2傾斜面10p2」と置き換えても同様のことが言える。
【0031】
また、上面視で、頂部10p3のY方向の長さは、第1半導体レーザ素子201のY方向の長さよりも小さい。なお、「頂部10p3のY方向の長さ」を「第2辺の長さ」と置き換えても同様のことが言える。また、「第1半導体レーザ素子201」を「第2半導体レーザ素子202」と置き換えても同様のことが言える。
【0032】
また、頂部10p3のY方向の長さは、第1サブマウント221の上面のうちの最短の辺の長さよりも小さい。なお、「頂部10p3のY方向の長さ」を「第2辺の長さ」と置き換えても同様のことが言える。また、「第1サブマウント221」を「第2サブマウント222」と置き換えても同様のことが言える。
【0033】
また、第1半導体レーザ素子201と第2半導体レーザ素子202の間の距離は、第1傾斜面10p1のY方向の長さよりも小さい。なお、「第1傾斜面10p1」を「第2傾斜面10p2」と置き換えても同様のことが言える。
【0034】
なお、頂部10p3は凸部または凹部を有していてもよい。またあるいは、頂部10p3は、線形状であってもよい。例えば、第1傾斜面10p1と第2傾斜面10p2とが交わる辺であってもよい。頂部10p3が線であれば、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202の間隔を狭めることができ、発光装置100を小型化することができる。
【0035】
底部10bは、熱伝導率が比較的高い材料から形成されていることが望ましい。その結果、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202から発せられた熱を効率的に外部に伝えることができる。底部10bの主材料としては、例えば、Cu、Al、Fe、Ni、Moなどの金属、または、AlN、SiCなどのセラミックスが挙げられる。例えば、銅プレートをプレス加工することにより、凸部10pが一体的に形成される底部10bを作製することができる。
【0036】
底部10bが金属から形成される場合、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202から発せられた熱を、それぞれ、底部10bが有する第1傾斜面10p1および第2傾斜面10p2から下面10bLに亘って効率的に伝えることができる。基部10全体としてみれば、基部10は、少なくとも一部に、金属から形成された金属部を含む、といえる。また、金属部は、第1傾斜面10p1、第2傾斜面10p2、および下面10bLを有する部分であるのが好ましいといえる。また、金属部は、底部10bのうちの凸部10pからその直下の下面10bLに到達するまでの部分を含むのが好ましいといえる。
【0037】
基部10における側壁10wは、
図2Aに示すように、底部10bによって支持された第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2を囲む。側壁10wは、第1上面10u
1を有する。また、側壁10wは、さらに第2上面10u
2を有する。また、側壁10wは、さらに第3上面u
3を有する。第1上面10u
1は、側壁10wの最上面である。第2上面10u
2は第1上面10u
1よりも低い位置にある。第3上面10u
3は第2上面10u
2よりも低い位置にある。側壁10wにおいて、第1上面10u
1から第2上面10u
2へと続く段差が形成される。また、第2上面10u
2から第3上面10u
3へと続く段差が形成される。
【0038】
第1上面10u1は第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202よりも上方に位置する。また、第2上面10u2は、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202よりも上方に位置する。また、第3上面は、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202の光の出射端面よりも下方に位置する。
【0039】
第1上面10u1は、外部の制御回路に電気的に接続される第1導電領域501を有する。第2上面10u2は、透光性部材40が接合される接合領域60を有する。第3上面10u3は、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202に電気的に接続された第2導電領域502を有する。
【0040】
側壁10wは、第1導電領域501、第2導電領域502、およびビアによって構成される導電性部材を有する。ビアは、側壁10wの内部を通り、第1導電領域501および第2導電領域502に電気的に接続されている。第1導電領域501は封止空間の外側に、第2導電領域502は封止空間内に、それぞれ設けられる。また、側壁10wの導電性部材を除く部分は、AlN、SiC、AlO3などのセラミックスから形成されている。外部の制御回路は、導電性部材を介して、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202に電力を供給する。
【0041】
図2Bに示すように、側壁10wは開口10оを有する。第3上面10u
3は、上面視で、開口10оを囲む。
図2Cに示すように、側壁10wは、第1下面10wL
1、および第2下面10wL
2を有する。第1下面10wL
1は、側壁10wの最下面である。第2下面10wL
2は、第1上面10u
1よりも低い位置にある。側壁10wにおいて、第1下面10wL
1から第2下面10wL
2へと続く段差が形成される。下面視で、第1下面10wL
1は、第2下面10wL
2を囲む。
【0042】
下面側の段差によって形成された窪み10rは、下面視で、開口10оを囲む。基部10における底部10bは、凸部10pを開口10оにはめ込んだ状態で側壁10wにおける窪み10rに固定される。上面視で、凸部10pは、開口10оに重なる。つまり、底部10bは、下面側の開口10оを塞ぐ。底部10bのX方向におけるサイズは、開口10оのX方向におけるサイズと同じか、または開口10оのX方向におけるサイズよりも大きい。同様に、底部10bのY方向におけるサイズは、開口10оのY方向におけるサイズと同じか、または開口10оのY方向におけるサイズよりも大きい。
【0043】
底部10bの下面10bLは、側壁10wの第1下面10wL1と同じ高さに位置する、または、側壁10wの第1下面10wL1よりも下方に位置する。したがって、例えば、ヒートシンク上に発光装置100を配置する場合には、基部10における底部10bの下面10bLを、ヒートシンクに接触させやすくなる。その結果、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202から発せられた熱を、底部10bを介して効率的にヒートシンクに伝えることができる。
【0044】
第1半導体レーザ素子201は第1出射端面20e1を有し、第2半導体レーザ素子202は第2出射端面20e2を有する。第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202は、それぞれ、第1出射端面20e1および第2出射端面20e2から光を出射する。また、第1出射端面20e1および第2出射端面20e2から出射された光は、波長変換部材30における透光部30tに向かって進む。透光部30tがYAG蛍光体を含む場合、半導体レーザ素子から青色の光、例えばピーク波長が420nm以上480nm以下の範囲にある光が出射される形態が考えられる。なお、蛍光体の種類や、半導体レーザ素子から出射される光は、発光装置100から外部へと出射される光に応じて適宜選択される。
【0045】
第1サブマウント22
1の上面には、第1半導体レーザ素子20
1に電気的に接続される導電領域が設けられ、第2サブマウント22
2の上面には、第2半導体レーザ素子20
2に電気的に接続される導電領域が設けられる。
図2Dに示すように、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2は、ワイヤ20wを介して、第3上面10u
3上の第2導電領域50
2に電気的に接続される。
【0046】
波長変換部材30は、
図2Aに示すように、蛍光体を含む透光部30t、および透光部30tを囲む反射部30rを含む。波長変換部材30における透光部30tは、上面視で第1傾斜面10p
1および第2傾斜面10p
2が並ぶY方向に長手方向を有する。透光部30tは、頂部10p
3の上方に位置し、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2から出射された光が入射する入射面30s
1を有する。入射面30s
1は、入射した光を透過させる。透光部30tは、入射面30s
1とは反対側の面に出射面30s
2を有する。入射した光の一部によって励起された蛍光体から発せられた蛍光は出射面30s
2から出射される。また、入射した光の一部は出射面30s
2から出射される。波長変換部材30における反射部30rは、透光部30tから入射した光を反射する。
【0047】
波長変換部材30における透光部30tは、例えば、蛍光体を含むセラミックス、すなわち蛍光体セラミックスであり得る。蛍光体セラミックスは、例えば、無機材料の結着材および蛍光体から形成されている。反射部30rは、例えば、セラミックスから形成され得る。透光部30tは、YAG蛍光体およびAl2O3の結着材を主材料として形成され、反射部30rは、Al2O3を主材料として形成され得る。同じAl2O3を含む透光部30tおよび反射部30rは、高い密着性を有する。
【0048】
透光性部材40は、第2上面10u2における接合領域60に、例えば、AuSn、Au、Agなどの接合材料で接合される。透光性部材40の下面には、接合領域60と接合する接合領域が設けられる。透光性部材40は、波長変換部材30を支持する。波長変換部材30は、透光性部材40上に配されている。透光性部材40のX方向およびY方向におけるサイズは、それぞれ、波長変換部材30のX方向およびY方向におけるサイズよりも大きい。透光性部材40は、基部10とともに、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202が配された空間を気密封止する。
【0049】
透光性部材40は、
図2Aに示すように、波長変換部材30の側の表面上に、透光領域40tと、透光領域40tとを囲む遮光領域40sとを有する。透光領域40tは、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2から出射される光を透過させる。透光領域40tの少なくとも一部は、波長変換部材30の透光部30tにおける入射面30s
1全体の直下に位置する。透光領域40t全体は、波長変換部材30の一部で覆われている。遮光領域40sのうち、上面視で波長変換部材30に重ならない部分は露出している。遮光領域40sは、遮光領域40sに入射する光を反射および/または吸収するので、遮光領域40sが露出した部分から意図しない光が漏れることを抑制または防ぐことができる。遮光領域40sは、例えば、透光性部材40の表面に金属膜を設けることによって形成され得る。
【0050】
次に、
図3Aおよび
図3Bを参照して、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2から出射された光で透光部30tの入射面30s
1が照射される様子を説明する。
図3Aは、
図1の発光装置100のYZ平面に平行なIIIA-IIIA線断面図である。
図3Bは、
図1の発光装置100のXZ平面に平行なIIIB-IIIB線断面図である。
図3Aおよび
図3Bにおいて、破線によって表された領域は、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2から出射された光が拡がりながら進行する様子を表している。
図3Bにおいて、本来見えない第1半導体レーザ素子20
1および第1傾斜面10p
1が記載されている。これは、破線によって表された領域と半導体レーザ素子との関係を明確にするためである。なお、
図5B、
図7B、及び、
図9Bの断面図においても、同様の理由から、本来見えない半導体レーザ素子および斜面が記載されている。
【0051】
第1半導体レーザ素子201における第1出射端面20e1、および第2半導体レーザ素子202における第2出射端面20e2は、波長変換部材30における入射面30s1が位置する方向を向く。入射面30s1には、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202から出射された光の少なくとも主要部分が入射する。第1出射端面20e1から出射された光軸を通る光は、入射面30s1へと入射する。
【0052】
頂部10p3のY方向の長さは、上面視で、第1出射端面20e1から出射された光軸を通る光が入射面30s1に入射する位置と、第1出射端面20e1における出射位置との間の距離の2倍よりも小さい。なお、「頂部10p3のY方向の長さ」を「第2辺の長さ」と置き換えても同様のことが言える。また、「第1半導体レーザ素子201」を「第2半導体レーザ素子202」と置き換えても同様のことが言える。
【0053】
また、底部10bの上面10buから第1出射端面20e1における出射位置までの高さは、底部10bの上面10buから頂部10p3までの高さよりも大きい。なお、底部10bの上面10buから第1出射端面20e1における出射位置までの高さは、底部10bの上面10buから頂部10p3までの高さと同じであってもよい。
【0054】
また、頂部10p3のY方向の長さは、上面視で、第1出射端面20e1から出射された光軸を通る光が入射面30s1に入射する位置と、第1出射端面20e1における出射位置との間の距離と、第2出射端面20e2から出射された光軸を通る光が入射面30s1に入射する位置と、第2出射端面20e2における出射位置との間の距離と、の和よりも小さい。
【0055】
また、第1出射端面20e1から出射された光軸を通る光が入射面30s1で全反射された場合に、その反射光は頂部10p3には入射しない。また、その反射光は、頂部10p3の上方を通過し、頂部10p3の外側へと進む。なお、「第1出射端面20e1」を「第2出射端面20e2」と置き換えても同様のことが言える。
【0056】
つまり、頂部10p3は、第1傾斜面10p1と第2傾斜面10p2との間に位置し、かつ、第1半導体レーザ素子201から出射される光軸を通る光が入射面30s1において全反射したと仮定した場合の反射光の進路上に位置していない。またさらに、第2半導体レーザ素子202から出射される光軸を通る光が入射面30s1において全反射したと仮定した場合の反射光の進路上にも位置していない。
【0057】
第1傾斜面10p1および第2傾斜面10p2の各々と、波長変換部材30における入射面30s1とがなす角度は、40度以上80度以下であり得る。別の言い方をすれば、第1傾斜面10p1および第2傾斜面10p2の各々と、基部10における底部10bの下面10bLとがなす角度が、40度以上80度以下であり得る。当該角度は、第1傾斜面10p1および第2傾斜面10p2の各々を含む平面と、入射面30s1または底部10bの下面10bLを含む平面とが交差して形成される鋭角によって規定される。当該角度は、第1傾斜面10p1および第2傾斜面10p2の各々の、入射面30s1を基準とした傾斜角に相当する。傾斜角が40度以上である場合、第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202から出射された光は入射面30s1では反射されにくくなる。入射面30s1に対する光の入射角が小さくなるからである。一方、傾斜角が80度以下である場合、凸部10pの高さが低くなるために、基部10の高さを低くすることができる。その結果、発光装置100を小型化することができる。
【0058】
第1半導体レーザ素子201から出射された光の主要部分の一部と、第2半導体レーザ素子202から出射された光の主要部分の一部とは、透光部30tの入射面30s1において重なる。また、第1半導体レーザ素子201から出射された主要部分の光は、透光部30tの入射面30s1において、第2半導体レーザ素子202から出射された主要部分の光と重ならない部分を有する。また、第2半導体レーザ素子202から出射された主要部分の光は、透光部30tの入射面30s1において、第1半導体レーザ素子201から出射された主要部分の光と重ならない部分を有する。
【0059】
なお、第1半導体レーザ素子201から出射された主要部分の光の全てが、透光部30tの入射面30s1において、第2半導体レーザ素子202から出射された光と重なってもよい。また、第2半導体レーザ素子202から出射された主要部分の光の全てが、透光部30tの入射面30s1において、第1半導体レーザ素子201から出射された光と重なってもよい。
【0060】
次に、発光装置100の各構成要素の形状、材料、および構造の詳細を説明する。
【0061】
[基部10]
基部10の底部10bのうち、凸部10p以外の部分は、直方体の形状を有する。この直方体のX方向におけるサイズは、例えば2mm以上10mm以下であり、Y方向におけるサイズは、例えば2mm以上10mm以下であり、Z方向におけるサイズは、例えば0.1mm以上3.0mm以下であり得る。
【0062】
凸部10pは、波長変換部材30における入射面30s1に垂直な平面に対して対称である。凸部10pのX方向におけるサイズは、例えば1mm以上10mm以下であり、凸部10pのYZ平面に平行な断面における概略的に台形形状の下底は、例えば1mm以上10mm以下であり、頂部10p3と上面10buとのZ方向における間隔は、例えば1mm以上10mm以下であり得る。
【0063】
凸部10pにおける頂部10p3の第2辺の長さは、例えば、第1サブマウント221または第2サブマウント222の1つの上面のうちの最短の辺よりも短くてもよい。第2対辺の長さは、例えば、0.1mm以上1.0mm以下であり得る。
【0064】
側壁10wのYZ平面に平行な一対の外壁面のX方向における間隔は、例えば2mm以上10mm以下である。側壁10wのXZ平面に平行な一対の外壁面のY方向における間隔は、例えば2mm以上10mm以下である。第1上面10u1と第1下面10wL1とのZ方向における間隔、は、例えば1mm以上10mm以下であり得る。
【0065】
[第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202]
第1半導体レーザ素子201および第2半導体レーザ素子202は、青色の光を出射する。青色光の発光ピーク波長は、420nm以上480nm以下の範囲内にあることが望ましく、440nm以上460nm以下の範囲内にあることがより望ましい。青色の光を出射するレーザダイオードとしては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNを用いることができる。なお、青色以外の色の光を出射してもよい。窒化物半導体を含む半導体レーザ素子から出射される光の波長は、組成を変えることによって紫外領域から可視領域まで選択することが可能である。
【0066】
次に、半導体レーザ素子の構成を説明する。半導体レーザ素子は、例えば、n型半導体層、活性層、およびp型半導体層をこの順にZ方向に積層した構造を備える。半導体レーザ素子は、n型半導体層側に位置する電極と、p型半導体側に位置する電極とをさらに備える。本明細書では、n型半導体層側に位置する電極を「n側の電極」と称し、p型半導体側に位置する電極を「p側の電極」と称する。n側の電極とp側の電極とに電圧を印加してしきい値以上の電流を流すことにより、活性層の出射端面から光が出射される。
【0067】
半導体レーザ素子から出射される光は拡がりを有し、光の出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布である。この光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e2以上の強度を有する光を、主要部分の光とする。
【0068】
半導体レーザ素子から出射される光のFFPの形状は、活性層の出射端面が延びる方向よりも、活性層を含む複数の半導体層の積層方向の方が長い楕円形状である。活性層の出射端面が延びる方向をFFPの水平方向、積層方向をFFPの垂直方向とする。
【0069】
また、FFPの光強度分布に基づいて、光強度分布の半値全幅に相当する角度を、その半導体レーザ素子の光の拡がり角とする。FFPの垂直方向における光の拡がり角を垂直方向の拡がり角、FFPの水平方向における光の拡がり角を水平方向の拡がり角とする。
【0070】
[第1サブマウント221および第2サブマウント222]
第1サブマウント221は、下面と、上面と、側面とを有し、その形状は直方体である。第1サブマウント221は、それぞれ、上下方向の幅が最も小さい。第1サブマウント221の形状は直方体に限らなくてよい。第1サブマウント221は、例えば、SiN、AlN、およびSiCの少なくとも1つから形成され得る。また、サブマウント22の上面、および、下面には、金属膜が設けられ得る。第2サブマウント222についても第1サブマウント221と同様である。
【0071】
[波長変換部材30]
波長変換部材30は下面と、上面と、側面とを有し、その形状は直方体である。波長変換部材30における透光部30tの入射面30s1および出射面30s2は矩形形状を有しているが、多角形状、円形状、楕円形状、またはこれらに近似する形状を有していてもよい。
【0072】
波長変換部材30における透光部30tは、青色光によって励起されて黄色の蛍光を発するYAG蛍光体を含む。なお、これに限らず、他の蛍光体を含んでいてもよい、また、複数の蛍光体を含んでいてもよい。例えば、青色光によって励起されて黄色または緑色の蛍光を発する第1蛍光体および赤色の蛍光を発する第2蛍光体を含んでいてもよい。
【0073】
波長変換部材30における反射部30rは、Al2O3の他に、ZrO2、またはTiO2を主材料として形成されていてもよい。反射部30rは、光透過率を低下させるために、Y2O3、ZrO2、Lu2O3、またはLa2O3などの添加剤を含んでいてもよい。反射部30rがセラミックスである場合は、反射部30rの空孔率が高いほど光反射率が向上する傾向にある。このため、反射部30rのうち、透光部30tの周辺における空孔率を、それより外側の部分の空孔率よりも高くしてもよい。これにより、透光部30t内で発せられ、反射部30rに向かう蛍光を反射部30rによって効率よく反射させることができる。反射部30rは、セラミックスを主材料としてもよく、金属を主材料としてもよい。また、波長変換部材30は、少なくとも透光部30tを有していればよく、反射部30rを設けなくてもよい。
【0074】
波長変換部材30における透光部30tのX方向およびY方向におけるサイズは例えば0.1mm以上5mm以下であり、Z方向における厚さは例えば0.1mm以上10mm以下である。
【0075】
波長変換部材30のX方向のサイズは例えば0.1mm以上10mm以下であり、Y方向におけるサイズは、例えば0.1mm以上10mm以下であり、Z方向におけるサイズは、例えば0.1mm以上10mm以下であり得る。
【0076】
[透光性部材40]
透光性部材40は下面と、上面40aと、側面とを有し、その形状は直方体である。透光性部材40は、光を透過する透光性を有する。ここで、透光性とは、光に対する透過率が80%以上であることとする。なお、形状は直方体に限らない。透光性部材40は、少なくとも主要部分の光が通過する部分に透光性を有していればよく、それ以外の部分には透光性を有する必要はない。
【0077】
透光性部材40は、サファイアを母材として形成することができる。サファイアは、比較的屈折率が高く、比較的強度が高く、比較的熱伝導率が高い材料である。サファイアの高い熱伝導率により、光の照射によって透光部30tにおいて発せられる熱を効率的に外部に伝えることができる。なお、母材には、サファイアの他に、例えばガラスまたはセラミックスなどを用いることもできる。
【0078】
透光性部材40のX方向におけるサイズは、例えば3mm以上15mm以下であり、Y方向におけるサイズは、例えば3mm以上15mm以下であり、Z方向におけるサイズは、例えば0.1mm以上2.0mm以下であり得る。
【0079】
(実施形態1の変形例)
次に、
図4を参照して、本開示の実施形態1における発光装置100の変形例を説明する。実施形態1による発光装置100の説明と重複する説明は省略することがある。
図4は、実施形態1の変形例における発光装置110の分解斜視図である。
図4において、第1導電領域50
1、第2導電領域50
2、接合領域60、およびワイヤ20wの記載は、実施形態1による発光装置100と重複するため省略されている。実施形態1の変形例における発光装置110は、実施形態1における発光装置100とは以下の点で異なる。第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2は、XZ平面に平行な平面に対して非対称に配されており、上面視で、頂部10p
3が延びる方向にずれて位置している。この配置は、
図2Aに示す第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2を、頂部10p
3が延びる方向に沿って互いに反対の方向にシフトさせた配置である。波長変換部材30における透光部30tは、上面視で、頂部10p
3が延びる方向に長手方向を有する。
【0080】
次に、
図5Aおよび
図5Bを参照して、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2から出射された光で透光部30tの入射面30s
1が照射される様子を説明する。
図5Aは、
図4の発光装置110のYZ平面に平行なVA-VA線断面図である。
図5Bは、
図4の発光装置110のXZ平面に平行なVB-VB線断面図である。入射面30s
1におけるX方向に連続的に並ぶ2つの領域が、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2から出射された2つの主要部分の光でそれぞれ照射される。当該2つの主要部分の光の一部は、当該2つの領域の境界で重なっていてもよい。当該2つの領域は等しい面積を有する。当該2つの領域は異なる面積を有してもよい。透光部30tにおける入射面30s
1に形成される2つの照射スポットが、X方向に沿って隣接して並んでいる。一例として、第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2のX方向における中心間距離は、1つの照射スポットのX方向におけるサイズに等しい。
【0081】
実施形態1の変形例における発光装置110によれば、実施形態1における発光装置100とは異なり、2つの主要部分の光が、透光部30tの入射面30s1において重なる部分は存在しない、または十分に小さい。入射面30s1における単位面積あたりの照射パワーは低減されるものの、透光部30tにおける発熱が低減され、蛍光体の劣化を抑制することができる。実施形態1の変形例における発光装置110によれば、2つの重ならない主要部分の光で透光部30tの入射面30s1のほぼ全体を照射するので、より広い出射面30s2から光(例えば、白色光)が出射される。
【0082】
(実施形態2)
次に、
図6を参照して、本開示の実施形態2における発光装置の基本的な構成例を説明する。
図6は、本開示の実施形態2における例示的な発光装置200の構成の分解斜視図である。実際には、分解された構成要素は接合されている。実施形態2における発光装置200は、実施形態1における発光装置100とは以下の点で異なる。2つの第1半導体レーザ素子20
1が第1傾斜面10p
1に配され、2つの第2半導体レーザ素子20
2が第2傾斜面10p
2に配されている。
【0083】
2つの第1半導体レーザ素子201は、波長変換部材30に近づくにつれて2つの第1半導体レーザ素子201の間隔が狭まるように配されている。第1半導体レーザ素子201は、第1サブマウント221上に設けられている。2つの第2半導体レーザ素子202は、波長変換部材30に近づくにつれて2つの第2半導体レーザ素子202の間隔が狭まるように配されている。第2半導体レーザ素子202は、第2サブマウント222上に設けられている。
【0084】
2つの第1半導体レーザ素子201が延びる方向は平行ではない。2つの第2半導体レーザ素子202が延びる方向は平行ではない。2つの第1半導体レーザ素子201と、2つの第2半導体レーザ素子202とは、XZ平面に平行な平面に対して対称に配されている。なお、第1半導体レーザ素子201の個数または第2半導体レーザ素子202の個数は、2つ以上であってもよい。つまり、複数の第1半導体レーザ素子201および複数の第2半導体レーザ素子202がそれぞれ、第1傾斜面10p1および第2傾斜面10p2に配置される。
【0085】
隣接する2つの第1半導体レーザ素子201の最も近い部分の中心間距離は、例えば0.35mm以上である。これにより、互いの発光素子が及ぼす発熱の影響を低減することができる。一方で、発光装置100の小型化を考えれば、最も遠い部分の中心間距離は、例えば2.5mm以下であることが望ましい。2つの第2半導体レーザ素子202の最も近い部分の距離および最も遠い部分の距離についても同様である。
【0086】
次に、
図7Aおよび
図7Bを参照して、2つの第1半導体レーザ素子20
1および2つの第2半導体レーザ素子20
2から出射された光で透光部30tの入射面30s
1が照射される様子を説明する。
図7Aは、
図6の発光装置200のYZ平面に平行なVIIA-VIIA線断面図である。
図7Bは、
図6の発光装置200のXZ平面に平行なVIIB-VIIB線断面図である。2つの第1半導体レーザ素子20
1および2つの第2半導体レーザ素子20
2の前述の配置により、一方の第1半導体レーザ素子20
1から出射された光の主要部分の一部と、他方の第1半導体レーザ素子20
1から出射された光の主要部分の一部と、一方の第2半導体レーザ素子20
2から出射された光の主要部分の一部と、他方の第2半導体レーザ素子20
2から出射された光の主要部分の一部とは、透光部30tの入射面30s
1において重なる。上記の4つの主要部分を、順に「第1主要部分」、「第2主要部分」、「第3主要部分」、および「第4主要部分」と称する。第1主要部分の光は、透光部30tの入射面30s
1において、第2主要部分、第3主要部分、および第4主要部分の光の少なくとも1つと重ならない部分を有する。第2主要部分の光は、透光部30tの入射面30s
1において、第1主要部分、第3主要部分、および第4主要部分の光の少なくとも1つと重ならない部分を有する。第3主要部分の光は、透光部30tの入射面30s
1において、第1主要部分、第2主要部分、および第4主要部分の光の少なくとも1つと重ならない部分を有する。第4主要部分の光は、透光部30tの入射面30s
1において、第1主要部分、第2主要部分、および第3主要部分の光の少なくとも1つと重ならない部分を有する。実施形態2における発光装置200によれば、第1主要部分の光の一部から第4主要部分の光の一部が透光部30tの入射面30s
1において重なるので、出射面30s
2から出射される光の出力をさらに高めることができる。
【0087】
(実施形態2の変形例)
次に、
図8を参照して、実施形態2における発光装置200の変形例を説明する。
図8は、実施形態2の変形例における発光装置210の分解斜視図である。実施形態2の変形例における発光装置210は、実施形態2における発光装置200とは以下の点で異なる。2つの第1半導体レーザ素子20
1、および2つの第2半導体レーザ素子20
2は、頂部10p
3が延びる方向にずれて位置する。2つの第1半導体レーザ素子20
1および2つの第2半導体レーザ素子20
2は、XZ平面に平行な平面に対して非対称に配されている。2つの第1半導体レーザ素子20
1が延びる方向は平行である。2つの第2半導体レーザ素子20
2が延びる方向は平行である。波長変換部材30における透光部30tは、上面視で、頂部10p
3が延びる方向に長手方向を有する。
【0088】
次に、
図9Aおよび
図9Bを参照して、2つの第1半導体レーザ素子20
1および2つの第2半導体レーザ素子20
2から出射された光で透光部30tの入射面30s
1が照射される様子を説明する。
図9Aは、
図8の発光装置210のYZ平面に平行なIXA-IXA線断面図である。
図9Bは、
図8の発光装置210のXZ平面に平行なIXB-IXB線断面図である。入射面30s
1においてX方向に連続的に並ぶ4つの領域が、2つの第1半導体レーザ素子20
1および2つの第2半導体レーザ素子20
2から出射された4つの主要部分の光でそれぞれ照射される。互いに隣接する2つの主要部分の光の一部は、互いに隣接する2つの領域の境界で重なっていてもよい。当該4つの領域は、等しい面積を有し得る。当該4つの領域の少なくとも1つは、異なる面積を有していてもよい。透光部30tにおける入射面30s
1に形成される4つの照射スポットがX方向に沿って隣接して並んでいる。一例として、最近接の第1半導体レーザ素子20
1および第2半導体レーザ素子20
2のX方向における間隔は、1つの照射スポットのX方向におけるサイズに等しい。
【0089】
実施形態2の変形例における発光装置210によれば、実施形態2における発光装置200とは異なり、4つの主要部分の光が透光部30tの入射面30s1において重なる部分は存在しない、または十分に小さい。したがって、透光部30tにおける発熱が低減され、蛍光体の劣化を抑制することができる。実施形態2の変形例における発光装置210によれば、4つの重ならない主要部分の光で透光部30tの入射面30s1のほぼ全体を照射するので、より広い出射面30s2から光が出射される。
【0090】
(実施形態3)
次に、
図10を参照して、本開示の実施形態3における発光装置を説明する。
図10は、本開示の実施形態3における例示的な発光装置300の構成の分解斜視図である。実際には、分解された構成要素は接合されている。実施形態3における発光装置300は、実施形態2における発光装置200とは以下の点で異なる。第2半導体レーザ素子20
2が、基部10内に配されていない。凸部10pの片側の第1傾斜面10p
1にだけ2つの第1半導体レーザ素子20
1が配されているので、凸部10pは、底部10bにおける下面10bLに対して傾斜する1の平面である第1傾斜面10p
1を有していればよく、第2傾斜面10p
2および頂部10p
3を有する必要はない。2つの第1半導体レーザ素子20
1の配置については前述した通りである。実施形態3における発光装置300によれば、一方の第1半導体レーザ素子20
1から出射された光の主要部分の一部と、他方の第1半導体レーザ素子20
1から出射された光の主要部分の一部とは、透光部30tの入射面30s
1において重なるので、出射面30s
2から出射される光の出力を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示の発光装置は、自動車などの移動体用ヘッドランプ、照明器具、プロジェクタ光源、内視鏡用光源など、各種の光源に利用され得る。
【符号の説明】
【0092】
10 基部
10b 底部
10p 凸部
10p1 第1傾斜面
10p2 第2傾斜面
10p3 頂部
10r 窪み
10u1 第1上面
10u2 第2上面
10u3 第3上面
10о 開口
10w 側壁
10wL1 第1下面
10wL2 第2下面
201 第1半導体レーザ素子
202 第2半導体レーザ素子
20e1 第1出射端面
20e2 第2出射端面
20w ワイヤ
30 波長変換部材
30r 反射部
30s1 入射面
30s2 出射面
30t 透光部
40 透光性部材
40s 遮光領域
40t 透光領域
501 第1導電領域
502 第2導電領域
60 接合領域
221 第1サブマウント
222 第2サブマウント
100、110、200、210、300 発光装置