(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240807BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/01 307
(21)【出願番号】P 2020184854
(22)【出願日】2020-11-05
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】國岡 聡志
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-278251(JP,A)
【文献】特開2007-160913(JP,A)
【文献】特開2017-013496(JP,A)
【文献】米国特許第09156275(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体吐出体を並べて固定する固定部材と、
前記固定部材を脱着可能に保持する保持体と
を有する液体吐出装置であって、
前記液体吐出体は継手部材を介して接続した液体搬送部材をそれぞれ有し、
前記固定部材を前記保持体が保持しているとき、上方の液体吐出体から下方の液体吐出体へ向かうに従い、前記液体吐出体の並び方向と交差する方向において前記継手部材を前記液体吐出体から離れた位置に設け
、
前記保持体は、前記固定部材に固定した複数の液体吐出体のうち最も上方にある液体吐出体と対向する部位に開閉可能なカバー部材を有し、前記カバー部材を開いた状態において、少なくとも前記最も上方にある液体吐出体に接続した継手部材が露出することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記液体吐出体は、送信部材と接続可能なコネクタを有し、前記固定部材を前記保持体が保持しているとき、上方の液体吐出体から下方の液体吐出体へ向かうに従い、前記送信部材の長さを長くすることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、給送された記録媒体に、印字ヘッドに形成されたノズル面から吐出されたインクによって印字を行う印字装置と、ノズル面の余分なインクを除去するワイパブレードと、ワイパブレードをクリーニングする洗浄パッド部を備えるインクジェットプリンタを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、液体吐出体の脱着が容易な液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、複数の液体吐出体を並べて固定する固定部材と、前記固定部材を脱着可能に保持する保持体とを有する液体吐出装置であって、前記液体吐出体は継手部材を介して接続した液体搬送部材をそれぞれ有し、前記固定部材を前記保持体が保持しているとき、上方の液体吐出体から下方の液体吐出体へ向かうに従い、前記液体吐出体の並び方向と交差する方向において前記継手部材を前記液体吐出体から離れた位置に設け、前記保持体は、前記固定部材に固定した複数の液体吐出体のうち最も上方にある液体吐出体と対向する部位に開閉可能なカバー部材を有し、前記カバー部材を開いた状態において、少なくとも前記最も上方にある液体吐出体に接続した継手部材が露出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、液体吐出体の脱着が容易な液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係る液体吐出装置の全体斜視図。
【
図2】本実施形態におけるキャリッジの全体斜視図。
【
図3】本実施形態におけるヘッド保持体の全体斜視図。
【
図5】本実施形態におけるヘッド保持体の全体斜視図。
【
図6】本実施形態におけるヘッド保持体の要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る液体吐出装置の全体斜視図である。
【0009】
液体吐出装置1000は、対象物の一例である被描画物100に対向して設置している。液体吐出装置1000は、X軸レール101と、このX軸レール101と交差するY軸レール102と、X軸レール101およびY軸レール102と交差するZ軸レール103を備える。
【0010】
Y軸レール102は、X軸レール101がY軸方向に移動可能なように、X軸レール101を保持する。また、X軸レール101は、Z軸レール103がX軸方向に移動可能なように、Z軸レール103を保持する。そして、Z軸レール103は、キャリッジ1がZ軸方向に移動可能なように、キャリッジ1を保持する。ここで、キャリッジ1は、液体吐出ユニットの一例である。
【0011】
液体吐出装置1000は、キャリッジ1をZ軸レール103に沿ってZ軸方向に動かす第1のZ方向駆動部92と、Z軸レール103をX軸レール101に沿ってX軸方向に動かすX方向駆動部72を備える。また、液体吐出装置1000は、X軸レール101をY軸レール102に沿ってY軸方向に動かすY方向駆動部82を備える。さらに、液体吐出装置1000は、キャリッジ1に対してヘッド保持体70をZ軸方向に動かす第2のZ方向駆動部93を備える。ここで、ヘッド保持体70は、保持体の一例である。
【0012】
上記構成の液体吐出装置1000は、キャリッジ1をX軸、Y軸およびZ軸の方向に動かしながら、ヘッド保持体70に設けたヘッド(図示せず)から液体の一例であるインクを吐出し、被描画物100に描画を行う。ここで、キャリッジ1およびヘッド保持体70のZ軸方向への移動は、Z軸方向と平行である必要はなく、少なくともZ軸方向の成分を含んでいれば斜めの移動であってもよい。
【0013】
なお、
図1において被描画物100の表面形状は平面として示しているが、被描画物100の表面形状は、車やトラックの車体、航空機の機体などのように鉛直に近い面、もしくは曲率半径の大きい面でもよい。
【0014】
次に、キャリッジ1の構成を説明する。
【0015】
図2は、本実施形態におけるキャリッジの全体斜視図である。
【0016】
液体吐出ユニットの一例であるキャリッジ1は、保持体の一例であるヘッド保持体70を備えている。キャリッジ1は、
図1に示した第1のZ方向駆動部92からの動力によりZ軸レール103に沿ってZ軸方向へ移動可能である。また、ヘッド保持体70は、
図1に示した第2のZ方向駆動部93からの動力によりキャリッジ1に対してZ軸方向へ移動可能である。
【0017】
また、ヘッド保持体70は、ヘッド300を取り付けるためのヘッド固定板70aを備えている。ここで、ヘッド300は液体吐出体の一例であり、ヘッド固定板70aは固定部材の一例である。次に、ヘッド保持体70の構成を詳細に説明する。
【0018】
図3は、本実施形態におけるヘッド保持体の全体斜視図である。
【0019】
ヘッド保持体70は、直方体状に組み立てたフレーム70cと、フレーム70cに対して開閉(脱着)可能な上カバー70bと、ヘッド300を取り付けるためのヘッド固定板70a等を備える。
【0020】
本実施形態では、ヘッド固定板70aに6つのヘッド300a~300fを積層状に並べて設けた構成を例示している。なお、以下の説明において、これらのヘッドを総称する場合は、ヘッド300と記す。
【0021】
ヘッド300a~300fは、それぞれ複数のノズル302を備えている。なお、ヘッド300a~300fで用いるインクの色は、各ヘッド毎に異なる色としてもよいし、すべて同じ色としてもよい。また、ヘッド300を構成するヘッドの数は、6つに限るものではない。6つより多くてもよく、また、6つより少なくてもよい。
【0022】
ヘッド300は、図示のように各ヘッドのノズル列が水平面(X-Z面)と交差し、かつ複数のノズル302の配列方向をX軸に対して傾けた状態でヘッド固定板70aに固定する。これにより、ノズル302は、重力方向と交差する方向(Z方向)にインクを吐出する。なお、上カバー70bはカバー部材の一例である。
【0023】
図4は、本発明の実施形態におけるヘッドの断面図である。
【0024】
図3に示した各ヘッド300a~300fは、
図4に示すようにハウジング310aと、ハウジング310aに接合して設けたハウジング310bとを備える。ハウジング310aおよびハウジング310bは金属または樹脂からなる。両者は同じ材質で形成してもよいし、一方のハウジングを金属で形成し、他方のハウジングを樹脂で形成してもよい。また、ハウジング310bは、その上部に電気信号の通信のためのコネクタ350を備える。なお、以下の説明において2つのハウジングを総称する場合はハウジング310と記す。
【0025】
ハウジング310aは、インクを吐出するノズル302を備えたノズル板301を保持する。また、ハウジング310aは、供給ポート311からのインクをノズル板301上を経て回収ポート313へ送る流路312を備える。
【0026】
ハウジング310bは、ハウジング310aの流路312と接続する供給ポート311および回収ポート313を備える。供給ポート311と回収ポート313との間には、流路312内のインクをノズル302から吐出するための吐出モジュール330を配置している。吐出モジュール330は、ハウジング310aに設けたノズル302の数に対応しており、本例では1列に並べた8個のノズル302に対応する8個の吐出モジュール330を備えた構成を示している。なお、ノズル302および吐出モジュール330の数および配列は上記に限るものではない。例えば、ノズル302および吐出モジュール330の数は複数ではなく1個であってもよい。また、ノズル302および吐出モジュール330の配列は1列ではなく複数列で配置してもよい。
【0027】
なお、
図4において符号315は、ハウジング310aとハウジング310bとの接合部に設けたシール部材である。本例ではシール部材としてOリングを用いており、ハウジング310aとハウジング310bとの接合部からのインク漏れを防ぐ。
【0028】
上記の構成により、供給ポート311は、加圧した状態のインクを外部から取り込み、インクを矢印a1方向へ送り、インクを流路312に供給する。流路312は、供給ポート311からのインクを矢印a2方向へ送る。そして、回収ポート313は、ノズル302から吐出しなかったインクを矢印a3方向へ回収する。
【0029】
吐出モジュール330は、ノズル302を開閉するニードル弁331と、ニードル弁331を駆動する圧電素子332を備える。ハウジング310bは、圧電素子332の上端部と対向する位置に規制部材314を備えている。規制部材314は、圧電素子332の上端部に当接して、圧電素子332の固定点を成す。
【0030】
上記の構成において、圧電素子332を作動してニードル弁331を上方向へ動かした場合は、ニードル弁331によって閉じていたノズル302が開いた状態となり、ノズル302からインクを吐出する。また、圧電素子332を作動してニードル弁331を下方向へ動かした場合は、ニードル弁331の先端部がノズル302に当接してノズル302が閉じた状態となり、ノズル302からインクは吐出しなくなる。
【0031】
図5は、本実施形態におけるヘッド保持体において、上カバー70bを開いた状態の全体斜視図である。
【0032】
ヘッド保持体70において、上カバー70bは、フレーム70cに設けたピン701と係合する穴702と、フレーム70cに設けたピン703と係合する穴704を備えている。また、上カバー70bは、上カバー70bとフレーム70cとをネジ(図示せず)で固定するためのネジ穴705を備えている。ピン701と係合する穴702は丸穴であり、フレーム70cに対する上カバー70bの位置を決める。一方、ピン703と係合する穴704は長穴になっており、上カバー70bをフレーム70cに取り付けた際の誤差を吸収する。
【0033】
このように、ヘッド保持体70は、ヘッド固定板70aに設けたヘッド300のうち、最も上方にあるヘッドと対向する部位に、上カバー70bを開閉(脱着)可能に設けている。
【0034】
また、ヘッド保持体70において、ヘッド固定板70aは、フレーム70cに設けたピン(図示せず)と係合する穴706および穴707を備えている。また、ヘッド固定板70aは、ヘッド固定板70aとフレーム70cとをネジ708で固定するためのネジ穴709を備えている。ヘッド固定板70aも、上カバー70bと同様、穴706は丸穴であり、フレーム70cに対するヘッド固定板70aの位置を決める。一方、穴707は長穴になっており、ヘッド固定板70aをフレーム70cに取り付けた際の誤差を吸収する。
【0035】
このように、ヘッド保持体70は、ヘッド固定板70aをフレーム70cに対して脱着可能に設けている。
【0036】
図6は、本実施形態におけるヘッド保持体の要部斜視図である。
【0037】
図6は、ヘッド保持体70のフレーム70cから上カバー70bを取り外し、さらにヘッド固定板70aをフレーム70cに固定しているネジ708を外した状態を示している。なお、ここではヘッド保持体70の内部構成を説明する関係上、フレーム70cの側板を削除している。実際は、上カバー70bを取り外した部分だけが露出することになる。
【0038】
ヘッド固定板70aに装着した各ヘッド300a~300fは、供給ポート311にインクを供給するためのインク供給チューブ311a、および各ヘッドの駆動制御のための電気信号を送受信するコネクタ350を備えている。なお、各ヘッド300a~300fは、供給ポート311と反対側にインクを排出するための回収ポート313を備えており、各回収ポート313にも図示しないがインク回収チューブを設けている。ここで、インク供給チューブ311aおよびインク回収チューブは、液体搬送部材の一例である。
【0039】
各ヘッド300a~300fに設けたチューブ311aは、ワンタッチで脱着操作が可能なカップリング311bを介して、その先のチューブ(図示せず)と接続している。そして、本発明は、図示のようにヘッド固定板70aに固定した複数のヘッド300a~300fにおいて、上方のヘッドから下方のヘッドへ向かうに従い、カップリング311bをヘッド300から離れた位置に設けている。すなわち、積層状に並べたヘッド300a~300fにおいて、ヘッド300aよりもヘッド300bの方がチューブ311aの長さが長く、ヘッド300bよりもヘッド300cの方がチューブ311aの長さが更に長い。
【0040】
上述のように、本実施形態は、複数のヘッド300a~300fを並べて固定するヘッド固定板70aと、ヘッド固定板70aを脱着可能に保持するヘッド保持体70とを有する液体吐出装置1000であって、ヘッド300a~300fは、カップリング311bを介して接続したインク供給チューブ311aをそれぞれ有し、ヘッド固定板70aをヘッド保持体70が保持しているとき、上方のヘッドから下方のヘッドへ向かうに従い、ヘッドの並び方向と交差する方向においてカップリング311bをヘッド300から離れた位置に設ける。
【0041】
ここで、例えばすべてのカップリング(継手部材)をヘッドとかなり近い位置に配置しても、カップリングの脱着は可能である。しかし、上述のように上方のヘッドから下方のヘッドへ向かうに従い、カップリング311bをヘッド300から離れた位置に設けることにより、上方のカップリングと下方のカップリングとの垂直方向における重複が低くなる。そのためカップリングを視認しやすくなり、脱着が容易になる。また、下方のカップリングと下方のヘッドとの距離を長く取っているため、ヘッド保持体70からヘッド固定板70aを開いたときに、下方のカップリングをより上方へ押し出すような形となり、カップリングの脱着が容易になる。
【0042】
これにより、キャリッジ1に対するヘッド300の脱着が容易な液体吐出装置を提供することができる。
【0043】
また、本実施形態において、ヘッド保持体70は、ヘッド固定板70aに固定した複数のヘッド300a~300fのうち最も上方にあるヘッド300aと対向する部位に開閉可能な上カバー70bを有し、上カバー70bを開いた状態において、少なくとも最も上方にあるヘッド300aに接続したカップリング311bが露出する。
【0044】
これにより、カップリング311bへのアクセスを容易にすることができる。
【0045】
また、本実施形態において、カップリング311bは、ワンタッチで操作可能なカップリングとしている。
【0046】
これにより、インク供給チューブ311aとカップリング311bとの脱着を簡単に行うことができる。
【0047】
前述のコネクタ350については、カップリング311bと同様に上方のヘッドから下方のヘッドへ向かうに従い、コネクタ350をヘッド300から離れた位置に設けてもよい。また、ヘッド毎にコネクタ350の位置を変えずに、各ヘッドとも同じ位置にコネクタ350を設ける場合などは、通信ケーブル350a(
図8参照)の長さを、上方のヘッドから下方のヘッドへ向かうに従い長くする。ここで、通信ケーブルは送信部材の一例である。
【0048】
上述のように、本実施形態において、ヘッド300は、通信ケーブル350aと接続可能なコネクタ350を有し、ヘッド固定板70aをヘッド保持体70が保持しているとき、上方のヘッドから下方のヘッドへ向かうに従い、通信ケーブル350aの長さを長くする。
【0049】
これにより、ヘッド保持体70に対してヘッド固定板70aを開く際のヘッド固定板70aの動作に、通信ケーブルも追従できる。
【0050】
【0051】
ヘッド300を固定したヘッド固定板70aをヘッド保持体70から取り外す場合、作業者は上カバー70bの取り外しが可能な位置までヘッド保持体70をキャリッジ1に対してZ軸方向へ動かし、
図2のような状態にする。次に、作業者はヘッド保持体70から上カバー70bおよびヘッド固定板70aを固定しているネジ708を外す。これによって作業者はヘッド300の上方にできた開口部L1から最も上方にあるヘッド300aのカップリング311bを目視できるようになる。
【0052】
この状態において、作業者は開口部L1からヘッド300aのカップリング311bにアクセスし、カップリング311bからチューブ311aを外すことができる。カップリング311bはワンタッチで操作可能なカップリングであるため、アクセス位置でチューブ311aからの取り外しが可能である。ヘッド300aからのカップリング311bの取り外しが済んだのであれば、作業者は
図7(a)に示すように、ヘッド固定板70aを少しだけ引き出す。
【0053】
前述のようにチューブ311aの長さは、上方のヘッドから下方のヘッドへ向かうに従い長くなっており、上方のヘッドから下方のヘッドへ向かうに従いカップリング311bがヘッドから離れた位置になるように設けている。そのため、ネジ708を外して固定を解除すると、ヘッド固定板70aは、チューブ311aの長さの差分(撓み分)によって回動が可能になる。
【0054】
ヘッド300aおよびヘッド300bのチューブ311aからカップリング311bを外すと、作業者はヘッド固定板70aをさらに開くことが可能になる。そして、開口部L1には
図7(b)に示すように、ヘッド300cおよびヘッド300dのカップリング311bが露出するようになる。この状態において、作業者は開口部L1からヘッド300cおよびヘッド300dのカップリング311bにアクセスし、カップリング311bからチューブ311aを外すことができる。
【0055】
このように、ヘッド固定板70aを回動しながら上から順にカップリング311bを外していく。チューブ311aと接続しているカップリング311bの数が少なくなるに連れ、ヘッド固定板70aが回動できる範囲も増えていく。
【0056】
ヘッド300cおよびヘッド300dのチューブ311aからのカップリング311bの取り外しが済んだのであれば、作業者はさらにヘッド固定板70aを開くことが可能になる。そして、開口部L1には
図7(c)に示すように、ヘッド300eおよびヘッド300fのカップリング311bが露出するようになる。この状態において、作業者は開口部L1からヘッド300eおよびヘッド300fのカップリング311bにアクセスし、カップリング311bからチューブ311aを外すことができる。
【0057】
同様の作業を、回収ポート313に接続したインク回収チューブ313aおよびカップリング313bでも行う。なお、ヘッド固定板70aをヘッド保持体70に取り付ける場合は、取り外す場合と逆の手順で接続すればよい。
【0058】
図8は、コネクタと通信ケーブルの関係について一例を示した説明図である。
【0059】
各ヘッド300a~300fのコネクタ350は、通信ケーブル350aによって例えばキャリッジ1に設けた接続端子1aに接続している。通信ケーブル350aは、上方のヘッドから下方のヘッドへ向かうに従い、長くなっており、ヘッド固定板70aをフレーム70cに固定した際は
図8のように下方のヘッドほど通信ケーブル350aのたるみ量が大きくなる。
【0060】
これにより、
図7に示したヘッド固定板70aの回動動作に追従しながら、通信ケーブル350aについてもコネクタ350から取り外すことができる。
【0061】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0062】
(態様1)
態様1は、複数の液体吐出体(ヘッド300a~300f)を並べて固定する固定部材(ヘッド固定板70a)と、前記固定部材を脱着可能に保持する保持体(ヘッド保持体70)とを有する液体吐出装置(液体吐出装置1000)であって、前記液体吐出体は継手部材(カップリング311b、313b)を介して接続した液体搬送部材(インク供給チューブ311a、インク回収チューブ313a)をそれぞれ有し、前記固定部材を前記保持体が保持しているとき、上方の液体吐出体から下方の液体吐出体へ向かうに従い、前記液体吐出体の並び方向と交差する方向において前記継手部材を前記液体吐出体から離れた位置に設けることを特徴とするものである。
【0063】
態様1によれば、例えばキャリッジなどの液体吐出ユニットに対する液体吐出体の脱着が容易な液体吐出装置を提供することができる。
【0064】
(態様2)
態様2は、態様1において、前記保持体(ヘッド保持体70)は、前記固定部材(ヘッド固定板70a)に固定した複数の液体吐出体(ヘッド300a~300f)のうち最も上方にある液体吐出体(ヘッド300a)と対向する部位に開閉可能なカバー部材(上カバー70b)を有し、前記カバー部材を開いた状態において、少なくとも前記最も上方にある液体吐出体に接続した継手部材(カップリング311b、313b)が露出することを特徴とするものである。
【0065】
態様2によれば、継手部材へのアクセスを容易にすることができる。
【0066】
(態様3)
態様3は、態様1または態様2において、前記継手部材(カップリング311b、313b)は、ワンタッチで操作可能なカップリングであることを特徴とするものである。
【0067】
態様3によれば、インク供給チューブやインク回収チューブなどの液体搬送部材と継手部材との脱着を簡単に行うことができる。
【0068】
(態様4)
態様4は、態様1乃至態様3のいずれかにおいて、前記液体吐出体(ヘッド300a~300f)は、送信部材(通信ケーブル350a)と接続可能なコネクタ(コネクタ350)を有し、前記固定部材(ヘッド固定板70a)を前記保持体(ヘッド保持体70)が保持しているとき、上方の液体吐出体から下方の液体吐出体へ向かうに従い、前記送信部材の長さを長くすることを特徴とするものである。
【0069】
態様4によれば、保持体に対して固定部材を開く際の固定部材の動作に、送信部材も追従できる。
【符号の説明】
【0070】
1 キャリッジ
70 ヘッド保持体(保持体)
70a ヘッド固定板(固定部材)
300 ヘッド(液体吐出体)
311a インク供給チューブ(液体搬送部材)
311b カップリング(継手部材)
313a インク回収チューブ(液体搬送部材)
313b カップリング(継手部材)
350 コネクタ
350a 通信ケーブル(送信部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】