(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20240807BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240807BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B41J2/17 205
B41J2/175 151
B41J2/17 203
B41J2/175 301
B41J2/175 175
B41J2/01 401
B41J2/175 501
B41J2/175 119
(21)【出願番号】P 2020195096
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】藤田 厚
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-313126(JP,A)
【文献】特開2006-248188(JP,A)
【文献】特開2007-290395(JP,A)
【文献】特開平02-016057(JP,A)
【文献】特開2006-035867(JP,A)
【文献】特開2016-137656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに液体を供給する液体カートリッジを着脱可能な液体供給部と、
前記液体カートリッジを着脱可能に設けられ、前記液体吐出ヘッドからの廃液を収容する廃液収容部と、
表示部と
、
制御部と、
前記液体カートリッジ内の液体を装置内へ供給する供給ポンプと、を備えた画像形成装置であって、
前記液体供給部に取り付けられた前記液体カートリッジ内の液体の残量が所定以下になった際に、前記表示部が、前記液体カートリッジの前記廃液収容部への取り付けを促す表示を行
い、
前記液体カートリッジは、自身の状態を記憶する記憶部を備え、
前記記憶部は、前記液体カートリッジの前記廃液収容部への取り付けの履歴を記憶し、
前記制御部は、前記記憶部の情報に基づいて、前記廃液収容部へ取り付けられたことのある前記液体カートリッジが前記液体供給部に取り付けられた際に、前記供給ポンプに前記液体カートリッジ内へ吸気する動作を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記廃液収容部に取り付けられた前記液体カートリッジに挿入され、前記液体カートリッジに廃液を供給する挿入
部をさらに備え、
前記挿入部は、前記廃液収容部に取り付けられた前記液体カートリッジに対して挿抜移動可能に設けられ、
前記制御部は、前記記憶部の情報に基づいて、前記挿入部に前記挿抜移動をさせる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記液体カートリッジの収容可能容量と、前記液体カートリッジ内の液体量とを記憶し、
前記廃液収容部に前記液体カートリッジを取り付けた状態で、前記制御部は、前記記憶部の情報に基づいて、前記液体カートリッジへの前記廃液の供給を停止する請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記憶部の情報に基づいて、前記廃液収容部へ取り付けられたことのある前記液体カートリッジが前記液体供給部に取り付けられたと判断した際に、前記表示部に、前記液体供給部で使用できない液体カートリッジであることを報知する表示を行わせる請求項
1から3いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記廃液を収容する固定廃液収容部と、
前記廃液を、前記固定廃液収容部から前記廃液収容部に取り付けられた前記液体カートリッジへ排出する排出部と、
外部から操作可能で、前記排出部を駆動できる操作部とをさらに備えた請求項1から
4いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記固定廃液収容部内の
廃液量を算出できると共に、前記記憶部の情報により前記液体カートリッジの廃液収容可能量を算出でき、
前記操作部が操作された時に、前記制御部は、前記固定廃液収容部内の前記廃液量が前記液体カートリッジの廃液収容可能量を上回る際には、前記表示部に、前記廃液の収容に他の液体カートリッジが必要である旨の表示を行わせる請求項
3に係る5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス部を備えた画像形成装置であって、
前記メンテナンス部からの前記廃液を、前記廃液収容部に取り付けられた前記液体カートリッジに直に収容する請求項1から
4いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記液体カートリッジの収容可能容量と、前記液体カートリッジ内の液体量とを記憶し、
前記制御部は、前記メンテナンス部から排出される
廃液量が、前記記憶部の情報により算出した前記液体カートリッジの廃液収容可能量を超える場合、前記表示部に、前記廃液収容部に取り付けられた前記液体カートリッジの交換を促す表示を行わせる請求項
7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記廃液収容部は、複数の前記液体カートリッジを取り付け可能である請求項1から
8いずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置では、液体吐出ヘッドのノズル内やノズル面に残された液体としてのインクを、負圧ポンプなどによって、廃液として回収することが行われている。
【0003】
そして、この廃液を収容する廃液収容部として、使用済みのインクカートリッジを用いることが既になされている(例えば特許文献1)。
【0004】
特許文献1のように、使用済みのインクカートリッジを廃液収容部として使用する場合、ユーザーが、インクがなくなったインクカートリッジを廃液収容部に取り付けることになる。
【0005】
しかしこの場合、ユーザーが使用済みのインクカートリッジを廃液収容部に取り付けずにメーカーに戻してしまう等、ユーザーの誤った使用による不具合が生じるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液体カートリッジの誤った使用を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する液体カートリッジを着脱可能な液体供給部と、前記液体カートリッジを着脱可能に設けられ、前記液体吐出ヘッドからの廃液を収容する廃液収容部と、表示部と、制御部と、前記液体カートリッジ内の液体を装置内へ供給する供給ポンプと、を備えた画像形成装置であって、前記液体供給部に取り付けられた前記液体カートリッジ内の液体の残量が所定以下になった際に、前記表示部が、前記液体カートリッジの前記廃液収容部への取り付けを促す表示を行い、前記液体カートリッジは、自身の状態を記憶する記憶部を備え、前記記憶部は、前記液体カートリッジの前記廃液収容部への取り付けの履歴を記憶し、前記制御部は、前記記憶部の情報に基づいて、前記廃液収容部へ取り付けられたことのある前記液体カートリッジが前記液体供給部に取り付けられた際に、前記供給ポンプに前記液体カートリッジ内へ吸気する動作を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
液体カートリッジの誤った使用を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】メンテナンス部周辺の構成を示す概略図である。
【
図5】(a)~(d)は、ノズル面を払拭する払拭動作の過程を示す図である。
【
図7】
図6から挿入針を退避させた状態を示す図である。
【
図8】インクカートリッジ内のインクが無くなった場合の表示部の表示を示す図で、(a)図が従来の表示、(b)図が本実施形態の表示を示す図である。
【
図9】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図10】供給スロットにインクカートリッジを取り付けた状態を示す図である。
【
図11】誤セット時の表示部の表示を示す図である。
【
図12】廃液排出ボタンおよび表示部を示す図である。
【
図13】廃液スロットに取り付けたインクカートリッジの容量が不足した場合の、表示部の表示を示す図である。
【
図14】インクカートリッジを示す斜視図であり、(a)図は外観図、(b)図はその内部を示した図である。
【
図15】本実施形態の廃液の排出構成を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
図1は本実施形態の画像形成装置の上面概略図、
図2は正面概略図、
図3は右側面概略図をそれぞれ示している。下記の実施形態では、画像を形成する記録媒体の一例として、用紙を用いて説明している。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置1は、印刷部2と、用紙積載部3と、ヘッドユニット4と、インク搬送部5と、液体供給部としての供給スロット6とを備えている。また、
図3に示すように、画像形成装置1は、メンテナンス部7と、固定廃液収容部としての固定廃液タンク8と、廃液収容部としての廃液スロット9と、表示部10とを備えている。
【0013】
用紙積載部3は、画像を形成する用紙を収容する部分であり、給紙カセットや給紙ローラなどを備える。
【0014】
ヘッドユニット4は、後述するインク吐出ヘッドを複数備える。またヘッドユニットを移動させる移動機構が設けられる。
【0015】
供給スロット6は、複数の、液体カートリッジとしてのインクカートリッジ20を備える。これらのインクカートリッジは、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)の各種インクを着脱できる。
【0016】
インク搬送部5は、インクカートリッジ内の液体としてのインクを、インク吐出ヘッドに搬送する部分であり、供給ポンプやチューブ等を備える。
【0017】
メンテナンス部7は、インク吐出ヘッドのメンテナンスを行う部分である。
【0018】
固定廃液タンク8および廃液スロット9は、メンテンナンス部7によりインク吐出ヘッドから取り除かれた廃液を収容する部分である。廃液スロット9には、使用済みのインクカートリッジ20を取り付けることができる。画像形成装置に設けられた収容カバーを開くことで、廃液スロット9にインクカートリッジ20を着脱できる。
【0019】
表示部10は、ユーザーに対して必要な情報を表示する液晶パネルと、印刷開始などのユーザーからの操作を受け付ける操作部分を有する。表示部分と操作部分とが一体化したタッチパネルであってもよい。
【0020】
印刷動作時には、用紙積載部3から印刷部2へ、給紙ローラなどの複数のローラにより用紙が供給される。そして、ヘッドユニット4のインク吐出ヘッドが、印刷部2へ移動し、印刷部2の用紙上にインクを吐出する。これにより、用紙上に画像が形成される。画像が形成された用紙は、その後、排紙トレイへ排出される。
【0021】
次に、メンテナンス部7の動作について詳細に説明する。
【0022】
図4に示すように、ヘッドユニット4は、複数の、液体吐出ヘッドとしてのインク吐出ヘッド11を有する。各インク吐出ヘッド11は、そのノズル面11aに複数のノズル孔が開口している。
【0023】
ヘッドユニット4の下方には、メンテナンス部7が設けられる。メンテナンス部7は、払拭部材としてのワイパー12と、印写受け13と、吸引キャップ14と、吸引ポンプ15と、保湿キャップ16等を有する。
【0024】
ワイパー12は弾性変形可能な部材により構成される。ワイパー12はノズル面11aを払拭する。印写受け13は、ワイパー12がノズル面11aから拭き取った廃液を受ける部分である。印写受け13は、ワイパー12の側に、上方に向けて鋭角状に尖った上端部13aを有する。
【0025】
印写受け13の下方には、固定廃液タンク8が設けられる。固定廃液タンク8は、印写受け13側に開口し、印写受け13の直下に設けられる開口部8aを有する。
【0026】
次に、インク吐出ヘッド11のノズル面11aを払拭する払拭動作について説明する。
【0027】
払拭動作時には、
図5(a)に示すように、まずヘッドユニット4を移動させて、払拭対象となるインク吐出ヘッド11を払拭開始位置に移動させる。そして、ワイパー12を払拭動作位置に移動させる。この状態で、ヘッドユニット4をワイパー12側へ移動させることで、
図5(b)に示すように、ワイパー12の端部が弾性変形しながらノズル面11aと摺動し、ノズル面11aに付着したインクがワイパー12によって廃液として掻き取られる。そして、
図5(c)に示すように、払拭対象のインク吐出ヘッド11がワイパー12を通過し、ワイパー12によるノズル面11aの払拭動作が終了すると、ワイパー12はその復元力により元の形状に復帰する。そして、ワイパー12を下降させることにより、ワイパー12の端部に付着した廃液Aが印写受け13の上端部13aによって掻き取られる。上端部13aにより掻き取られた廃液Aは、
図5(d)に示すように、印写受け13に転写される。そして、廃液Aは自重によって落下し、開口部8aを介して固定廃液タンク8に収容される。またヘッドユニット4は、払拭動作時と逆方向へ移動し、元の位置に戻る。
【0028】
次に、インク吐出ヘッド11のノズルに残ったインクを吸引する吸引動作について説明する。
【0029】
図6に示すように、吸引動作時には、インク吐出ヘッド11のノズル面11aに吸引キャップ14を装着し、吸引キャップ14により各ノズル孔を覆う。吸引キャップ14は、ノズル面11a側とは反対側で、チューブ16を介して吸引ポンプ15に接続される。また吸引ポンプ15は、吸引キャップ14側とは反対側で、チューブ16を介して固定廃液タンク8の回収側開口部8bに接続される。
【0030】
吸引キャップ14をノズル面11aに装着した状態で、吸引ポンプ15を駆動する。これにより、吸引ポンプ15はノズルに残留したインクを吸引し、このインクを廃液として固定廃液タンク8に収容する。
【0031】
ところで、近年では、画像形成装置に設けられた各部品の長寿命化により、装置内に収容された廃液の量が機械寿命を決定する場合もある。つまり、画像形成装置に固定廃液タンクのみが設けられた構成の場合、この固定廃液タンクがいっぱいになった時が機械寿命となる場合もある。そこで本実施形態では、前述のように、廃液スロット9に使用済みのインクカートリッジ20を取り付け可能とした。そして、このインクカートリッジ20により固定廃液タンク8内の廃液を回収することで、固定廃液タンク8がいっぱいになることを防止する、あるいは、いっぱいになるまでの時間を延ばすことができる。あるいは、固定廃液タンク8を交換することなく画像形成装置を長寿命化できるため、固定廃液タンクの交換によるメンテナンスや輸送の手間を削減できる。
【0032】
また、廃液スロット9のインクカートリッジ20に直に廃液を貯めるのではなく、まず固定廃液タンク8に貯める構成とする。これにより、使用済みのインクカートリッジ20が廃液スロット9に装着されていなかったり、廃液スロット9に装着されたインクカートリッジ20の容量が十分でない場合にも、前述のメンテナンス動作や画像形成装置動作を実施できる。
【0033】
図6に示すように、固定廃液タンク8は、排出側開口部8c、チューブ28や吸引ポンプ17、そして、挿入部としての挿入針18を介して、廃液スロット9に接続される。挿入針18は、廃液スロット9内に取り付けられたインクカートリッジ20内のインク袋20aに挿入される。インク袋20a内には、インクを吸収するインク吸収体が設けられる。
【0034】
固定廃液タンク8に回収された廃液は、吸引ポンプ17の駆動力により、排出側開口部8c、チューブ28、そして、挿入針18を介して、インク袋20aに回収される。これにより、固定廃液タンク8内の廃液を廃液スロット9のインクカートリッジ20へ放出できる。このように、吸引ポンプ17、チューブ28、挿入針18等は、固定廃液タンク8から廃液スロット9のインクカートリッジ20へ廃液を排出する排出部29として機能する。
【0035】
ところで、使用済みのインクカートリッジ20を廃液スロット9に装着する作業は、インクカートリッジ20のインクがなくなった際に(インクの残量が所定以下になったタイミングで)、ユーザーが行う。しかし、ユーザーが使用済みのインクカートリッジ20を廃液スロット9に装着することがわからずに、使用済みのインクカートリッジ20をメーカーに返却してしまったり、廃液を収容後のインクカートリッジ20を再び供給スロット6に誤装着してしまい、装置の破損につながってしまうといった、インクカートリッジの誤った使用による問題があった。
【0036】
これに対して本実施形態では、現在使用しているインクカートリッジ20のインクがなくなった(あるいは残量が所定以下になった)場合に、表示部10に、インクカートリッジ20の廃液スロット9への取り付けを促す表示を行うようにした。従来は、一例として
図8(a)に示すように、表示部10に「Kインクが無くなりました。交換してください。」のように、単にインクカートリッジ20の交換を促す表示を行うのみであった。これに対して本実施形態では、
図8(b)に示すように、表示部10に「Kインクが無くなりました。Kインクカートリッジを廃液スロットにセットし、新しいKインクカートリッジを供給スロットにセットしてください。」と表示するようにした。これにより、ユーザーにインクカートリッジ20の廃液スロット9への取り付けを促すことができ、ユーザーが使用済みのインクカートリッジ20を廃液スロット9に取り付けずにメーカーに戻してしまうということを防止できる。
【0037】
ここで、
図9に示すように、画像形成装置1は、制御部50と、検知部51とを備える。またインクカートリッジ20は、記憶部201を備える。
【0038】
記憶部201はIDチップからなり、インクカートリッジ20の表面に露出している(後述の
図14a参照)。記憶部201はインクカートリッジ20のインク袋20a内の各種情報を記憶する部分である。記憶部201が記憶する情報としては、インク残量や使用履歴(供給スロット6での使用の有無および廃液スロット9での使用の有無)等がある。
【0039】
検知部51は、インクカートリッジ20のインク袋20a内のインク残量を検知する部分である。検知部51は、その検知結果を制御部50に入力する。
【0040】
制御部50は、画像形成装置1内の各種制御を行う部分である。制御部50は、検知部51から入力された検知結果をインクカートリッジ20の記憶部201に入力する。記憶部201は、入力された情報をインク残量として記憶する。
【0041】
また制御部50は、検知部51の検知結果によりトナーがなくなっている(あるいは残量が所定以下)と判断された場合には、表示部10に上記
図8(b)の表示をさせ、ユーザーに新しいインクカートリッジ20の供給スロット6への装着および使用済みのインクカートリッジ20の廃液スロット9への装着を促す。
【0042】
また上記と異なる問題として、ユーザーが、未使用のインクカートリッジ20を誤って廃液スロット9に装着してしまう場合がある。この場合、
図6のように、挿入針18がインクカートリッジ20のインク袋20aに挿入されると、固定廃液タンク8内の廃液や挿入針18に付着した廃液がインク袋20aに混入してしまう。廃液には長時間放置されて粘度が増加したインクも含まれており、このような廃液が混入したインクカートリッジ20を供給スロット6に装着してしまうと、画像形成装置1内でインクが詰まって吐出不良を起こしてしまう。
【0043】
そこで本実施形態では、挿入針18を可動式とした。具体的には、
図6に示すように、挿入針18を駆動させる、駆動部としての駆動ギヤ19が設けられる。駆動部には適宜の駆動機構を採用できる。
【0044】
図7に示すように、駆動ギヤ19による駆動により、挿入針18を廃液スロット9から退避した状態にすることができる。この状態で、廃液スロット9にインクカートリッジ20が装着されると、画像形成装置1の制御部50(
図9参照)が、インクカートリッジ20の記憶部201に記憶された情報を読み取る。そして、インクカートリッジ20が使用済みの状態であることがわかると、制御部50は駆動ギヤ19を駆動させて
図6のように挿入針18をインク袋20aに挿入する。これにより、インク袋20aに廃液が収容可能な状態になる。一方、インクカートリッジ20が未使用(つまり、以前に供給スロット6に装着されておらず、インク袋20aに使用前のインクが残っている)状態であることがわかると、制御部50は挿入針18を駆動させず
図7の状態を維持する。そして制御部50は、表示部10に廃液スロット9に装着されたインクカートリッジ20が未使用であることを表示する。これにより、未使用のインクカートリッジ20に誤って廃液が混入することを防止できる。また、誤って廃液スロット9に装着したインクカートリッジ20であっても、供給スロット6に装着してインクを供給するカートリッジとして使用できる。
【0045】
次に、制御部50がインクカートリッジ20の状態を判断するための、記憶部201に記憶された各項目についてより詳細に説明する。
【0046】
下記の表1は、インクカートリッジ20の記憶部201(
図9参照)に記憶させる各項目を示したものである。表1の各列は記憶部201に書き込む各項目を示し、各行はインクカートリッジ20の各使用状態を示している。表1の「カートリッジ」あるいは「カートリッジとして使用」とは、インクカートリッジ20を供給スロット6に装着して使用する、インクカートリッジ20の本体の使用状態のことを指す。また、表1で「交換廃液タンク」あるいは「交換廃液タンクとして使用」とは、インクカートリッジ20を廃液スロット9に装着して使用する状態のことを指す。
【0047】
【0048】
表1に示すように、記憶部201に書き込む項目として、「使用フラグ1」、「充填量」、「残量」、「使用フラグ2」、「廃液量」がある。「使用フラグ1」は供給スロット6への装着や供給スロット6での使用の履歴を判断するフラグである。「充填量」は、最初にインク袋20aにインクを充填した際のインク量を記憶したものであり、インク袋20aの液体の収容可能量とも言うことができる。なお、この収容可能な液体とは、インクと廃液の両方を指す。液体量としての「残量」は、インク袋20a内の使用前のインクの残量である。「使用フラグ2」は廃液スロット9への装着や廃液スロット9での使用の履歴を判断するフラグである。液体量としての「廃液量」はインク袋20a内に収容された廃液量である。表1では、一例として、「充填量」を50とした場合を示している。
【0049】
カートリッジとして「未使用時」(表1の左から第3列目)では、「使用フラグ1」は0、「充填量」は50、「残量」は最大の50である。そして、インクカートリッジ20を供給スロット6にセットした「セット時」(表1の左から第4列目)では、「使用フラグ1」が0から1になる。これにより、インクカートリッジ20が供給スロット6に装着されたことを記憶部201に記憶させる。この状態で、インクカートリッジ20内のインクが使用される毎に「残量」の数字が減っていく。そして、「残量」が0になると(あるいは設定された所定の値以下になると)、カートリッジとして使用済みになった「使用済み時」(表1の左から第5列目)になり、「使用フラグ1」が1から2になる。これにより、インクカートリッジ20がカートリッジとして使用済みであることを記憶部201に記憶させる。なお、これらの状態では、インクカートリッジ20は交換廃液タンクとしてはまだ使用されていないため、「使用フラグ2」および「廃液量」は常に0である。
【0050】
そして、供給スロット6において使用済みで、まだ廃液スロット9に装着されていない状態である、交換廃液タンクとしての「未使用時」(表1の左から第6列目)では、カートリッジの「使用済み時」と項目に変化はない。そして、インクカートリッジ20を廃液スロット9にセットした「セット時」(表1の左から第7列目)では、「使用フラグ2」が0から1になる。これにより、インクカートリッジ20が廃液スロット9に装着されたことを記憶部201に記憶させる。この状態で、インク袋20aに廃液が収容される毎に「廃液量」の数字が増えていく。そして、「廃液量」が50になり、「充填量」と同じ値になると(あるいはそれに近い所定の値以上になると)、インク袋20aがいっぱいになったと判断される。これにより、「使用済み時」(表1の左から第8列目)となり、「使用フラグ2」が1から2に変わる。
【0051】
以上の各項目、特に「使用フラグ1」および「使用フラグ2」により、インクカートリッジ20の上記各状態を制御部50が判別できる。また制御部50は、「充填量」から「廃液量」を差し引いた数字を、インクカートリッジ20に収容できる残りの廃液量とする。なお、インクの「残量」が所定以下でインクカートリッジ20を交換する構成の場合、「充填量」から「廃液量」および「残量」を差し引いた数字をインクカートリッジ20に収容できる残りの廃液量としてもよい。
【0052】
そして本実施形態では、インク袋20aの廃液がいっぱいになった場合に(つまり、「使用フラグ2」が2になった場合に)、制御部50が廃液スロット9に装着されたインクカートリッジ20の交換を促す表示を行う。これにより、適切なタイミングで廃液スロット9に装着されたインクカートリッジ20の交換ができる。
【0053】
次に、供給スロット6側の動作と、上記使用フラグによる誤セットの判断とについて、
図10を用いて説明する。
【0054】
図10に示すように、インクカートリッジ20が供給スロット6に装着されると、インク搬送部5の挿入針21がインクカートリッジ20内のインク袋に挿入される。これにより、供給ポンプ22によって、インクカートリッジ20内のインクをインク吐出ヘッドへ供給(図の矢印B1方向参照)できる状態になる。
【0055】
インクカートリッジ20を供給スロット6に装着した際に、制御部50(
図9参照)はインクカートリッジ20の記憶部201の情報を読み取る。そして、記憶部201の「使用フラグ2」が1または2であった場合には、制御部50は、供給スロット6に装着されたインクカートリッジ20が既に交換廃液タンクとして使用されたことを認識する。この場合、制御部50は、供給ポンプ22をインク供給方向へ駆動しない。そして、制御部50は、
図11に示すように、表示部10に「このカートリッジは使用できません。交換してください。」のように、使用できないインクカートリッジであることをユーザーに報知し、インクカートリッジ20の交換を促す表示を行う。これにより、使用済みのインクカートリッジ20の誤セットにより、インクカートリッジ20のインク袋内の廃液がインク吐出ヘッドに供給されることを防止できると共に、正しいインクカートリッジ20への交換を促すことができる。
【0056】
ところで、本実施形態では、供給スロット6にインクカートリッジ20を装着すると、挿入針21がインクカートリッジ20のインク袋に挿入される構成となっている。このため、既に廃液スロット9に装着した後の、つまり、その供給口20bに廃液が付着したり、インク袋内に廃液が収容された状態のインクカートリッジ20を供給スロット6に装着すると、挿入針21内に廃液が残ってしまう場合がある。この状態で、その後に正しいインクカートリッジ20が装着されると、インクカートリッジ20内のインクがインク吐出ヘッドへ供給された際に(
図10の矢印B1方向参照)、挿入針21に残留した廃液もインク吐出ヘッド側へ供給され、装置内でのつまりの原因となってしまうおそれがある。
【0057】
そこで本実施形態では、交換廃液タンクとして使用済みのインクカートリッジ20が、誤って供給スロット6にセットされたことを制御部50が認識した場合には、制御部50が供給ポンプ22を逆方向へ駆動させる。つまり、供給スロット6にセットされたインクカートリッジ20から見て、吸気する方向(
図10の矢印B2方向参照)へ供給ポンプ22を駆動させる。これにより、挿入針21に残留した廃液をインクカートリッジ20に戻すことができる。従って、廃液の装置内での詰まりを防止できる。
【0058】
また、
図12に示すように、画像形成装置1に、操作部としての廃液排出ボタン23を設けてもよい。
図12では一例として、廃液排出ボタン23を表示部10の隣に設けている。廃液排出ボタン23は、固定廃液タンク8に残された廃液を廃液スロット9内のインクカートリッジ20へ手動で排出するためのボタンであり、外部から操作可能である。なお、固定廃液タンク8から廃液スロット9内のインクカートリッジ20への排出は、前述の排出部29(
図6参照)により行われる。
【0059】
例えば、画像形成装置1を移動させる場合等に、固定廃液タンク8に廃液が残っていると、移動時に廃液がこぼれる等の不具合が生じる。また、長時間画像形成動作を行わないなどにより、固定廃液タンク8に長時間廃液が残ったままになると、固定廃液タンク8に廃液が固着してしまう場合がある。廃液排出ボタン23を設けることで、任意のタイミングで固定廃液タンク8内の廃液を排出することができ、上記のような不具合を防止できる。
【0060】
なお、インクカートリッジ20への廃液の排出は、インクカートリッジ20が収容可能な廃液の量だけ行われる。インクカートリッジ20が収容可能な廃液の量は、前述のように、インクカートリッジ20の記憶部201の情報により判断される。
【0061】
また、廃液スロット9に装着されたインクカートリッジ20に固定廃液タンク8内の廃液すべてを収容できない場合に、制御部50が表示部10に、廃液スロット9に装着されたインクカートリッジ20、つまり交換廃液タンクの交換を促す表示をさせてもよい。例えば
図13に示すように、表示部10に「交換廃液タンク容量が不足しています。廃液タンクを交換してください。」と表示させることができる。
【0062】
インクカートリッジ20に固定廃液タンク8内の廃液すべてを収容できるか否かを判断する「収容可否判断」は、下記表2に示す式で判断できる。表2のCは、表1で示したインクカートリッジ20の「充填量」から「廃液量」を差し引いた値であり、Dは固定廃液タンク8内の廃液量である。表2の「収容可否判断」が〇の場合が収容可、×の場合がすべてを収容することはできない、ということである。
【0063】
【0064】
本実施形態では、制御部50が、メンテナンス部によるメンテナンスの回数や固定廃液タンク8からの廃液の排出量などをカウントし、固定廃液タンク8内の廃液量Dを算出する。廃液スロット9に装着されたインクカートリッジ20が交換されたタイミングで、制御部50が、表示部10に、固定廃液タンク8内の残りの廃液を交換後のインクカートリッジ20に排出するか否かを確認する表示をさせることもできる。また、画像形成装置に固定廃液タンク8内の廃液量Dを検知する第2の検知部を設けることもできる。
【0065】
次に、誤セットによる廃液の混入を防止するインクカートリッジについて説明する。
【0066】
図14(a)および
図14(b)に示すように、本実施形態のインクカートリッジ20は、インク供給袋20a1および廃液回収袋20cと、インク供給口20b1およびインク排出口20b2とを有する。インク供給袋20a1は、未使用の液体を収容するカートリッジ液体収容部である。廃液回収袋20cは廃液を収容するカートリッジ廃液収容部である。インク供給口20b1はインク供給袋20a1に連通し、インク排出口20b2は廃液回収袋20cに連通する。
【0067】
本実施形態では、インクカートリッジ20を供給スロット6に装着した場合は、インク供給口20b1を介してインク供給袋20a1に挿入針21が挿入され(
図10参照)、インク供給袋20a1内のインクがインク吐出ヘッドへ供給される。また、インクカートリッジ20を廃液スロット9に装着した場合は、インク排出口20b2を介して廃液回収袋20cに挿入針18が挿入され(
図6参照)、廃液回収袋20cに固定廃液タンク8からの廃液が収容される。
【0068】
このように、インク供給時と廃液回収時とで、挿入針を刺す開口部および袋をそれぞれ分けることで、未使用のインクカートリッジ20の廃液スロット9への装着による未使用のインクカートリッジ20への廃液の混入、および、廃液収容後のインクカートリッジ20の供給スロット6への装着による装置側への廃液の混入を防止できる。
【0069】
またインクカートリッジ20には、挿入針が異なる開口部および袋に挿入されることを防止するための誤組み防止機構が設けられていてもよい。誤組み防止機構としては、インク供給口20b1とインク排出口20b2との配置を上下で非対称にする、誤組み防止の突起を設ける、など、適宜の方法を採用できる。これにより、インク供給口20b1あるいはインク排出口20b2の誤った方の口に挿入針が挿入されることを、より確実に防止できる。
【0070】
これまでの実施形態では、メンテンナンス部7のメンテナンスにより排出された廃液を、一度、固定廃液タンク8で回収し(
図4参照)、その後、廃液スロット9内のインクカートリッジ20へ排出する構成を示した。しかし、直に廃液スロット9内のインクカートリッジ20へ排出する構成であってもよい。
【0071】
例えば、
図15に示すように、本実施形態では、吸引キャップ14が、チューブおよび吸引ポンプ15を介して、廃液スロット9(内のインクカートリッジ20)に接続される。また、印写受け13が、チューブおよび吸引ポンプ24を介して、廃液スロット9に接続される。これらにより、メンテナンスにより排出された廃液が、吸引ポンプ15あるいは吸引ポンプ24の駆動力により、チューブを介して廃液スロット9内のインクカートリッジ20に収容される。
【0072】
このような構成により、画像形成装置1内の固定廃液タンク8を省略することができ、画像形成装置の低コスト化および小型化を実現できる。
【0073】
上記実施形態では、インクカートリッジ20の廃液収容可能量(表2のC)がメンテナンスにより排出されると予想される廃液量を下回る場合には、メンテナンスを実施しない制御とする。この場合、制御部50は、表示部10に、廃液スロット9に装着されたインクカートリッジ20を交換する旨の表示を行わせる。これにより、上記メンテナンスを実施可能な状態へ誘導することができる。
【0074】
以上の実施形態において、廃液スロット9には複数のインクカートリッジ20を装着できる構成とすることができる。これにより、廃液スロット9へ排出可能な廃液量を増やすことができる。
【0075】
次に、上記のヘッドユニットやメンテナンス部を備えた画像形成装置について、その構成の一例を説明する。
【0076】
図16はシリアル型のヘッドユニット(液滴吐出装置)を備えたものである。
図16に示すように、画像形成装置1は、主ガイド部材61および従ガイド部材により、キャリッジ63を主走査方向E1に移動可能に保持している。主ガイド部材61および従ガイド部材は左右の側板に横架されている。
【0077】
タイミングベルト68が、駆動プーリ66と従動プーリ67との間に架け渡しされている。主走査モータ65の駆動力により、駆動プーリ66が回転すると、タイミングベルト68が周回走行し、従動プーリ67が従動回転する。このタイミングベルト68の周回走行により、キャリッジ63が主走査方向E1(キャリッジ移動方向)に往復移動する。
【0078】
このキャリッジ63には、複数のインク吐出ヘッド11を備えたヘッドユニット4が搭載されている。インク吐出ヘッド11は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する。また、インク吐出ヘッド11は、複数のノズルからなるノズル列11nを主走査方向E1と直交する副走査方向E2に複数有する。各ノズルは下方(
図16の紙面垂直方向のおもて面から裏面側へ向かう方向)に向けて開口しており、この方向が滴吐出方向である。
【0079】
また、画像形成装置1は搬送手段である搬送ベルト69を備えている。搬送ベルト69は、用紙Pを静電吸着し、インク吐出ヘッド11に対向する位置で用紙Pを副走査方向E2へ搬送する。この搬送ベルト69は、無端状ベルトであり、搬送ローラ78とテンションローラ79との間に掛け渡されている。
【0080】
副走査モータ70の駆動力により、タイミングベルト71およびタイミングプーリ72を介して、搬送ローラ78が副走査方向E2に周回走行する。この搬送ベルト69は、周回移動しながら帯電ローラによって帯電(電荷付与)される。搬送ローラ78の周回走行により、搬送ローラ78上の用紙Pを副走査方向E2へ搬送することができる。
【0081】
さらに、画像形成装置1は、キャリッジ63の主走査方向E1の一方側で搬送ベルト69の側方に、メンテナンス部7を備える。メンテナンス部7は、前述のワイパー12や吸引キャップ14、保湿キャップ16等を備える。
【0082】
また、画像形成装置1は、エンコーダスケール73およびエンコーダセンサ74を有する。エンコーダスケール73は、キャリッジ63の主走査方向E1に沿って両側板間に張装されており、主走査方向E1に沿って所定のパターンを有する。エンコーダセンサ74は透過型フォトセンサを有し、エンコーダスケール73のこの所定のパターンを読み取ることができる。これらのエンコーダスケール73とエンコーダセンサ74によって、キャリッジ63の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)を構成している。
【0083】
また搬送ローラ78の軸には、所定のパターンを形成したコードホイール75と、エンコーダセンサ76とが設けられている。エンコーダセンサ76は透過型フォトセンサを有し、コードホイール75に形成したパターンを検出できる。これらのコードホイール75とエンコーダセンサ76によって、搬送ベルト69の移動量および移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)を構成している。
【0084】
このように構成した画像形成装置1において、給紙トレイから用紙Pが搬送されてくると、帯電された搬送ベルト69がその表面に用紙Pを吸着する。そして、搬送ベルト69の周回走行によって用紙Pが副走査方向E2に搬送される。これに連動して、キャリッジ63を主走査方向E1に移動させながら画像信号に応じてインク吐出ヘッド11を駆動することにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分を記録する。そして、用紙Pを所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙Pの後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙Pを排紙トレイに排紙する。
【0085】
また、インク吐出ヘッド11のクリーニングを行う場合は、印字(記録)待機中にキャリッジ63をメンテナンス部7に移動し、メンテナンス部7により前述したメンテナンス動作を実施する。また、インク吐出ヘッド11は移動せず、メンテナンス部7が移動してメンテナンス動作を実施するようにしてもよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0087】
本発明が適用可能な液体はインクには限られず、他の液体を払拭する構成に適用することが可能である。また、上述した各実施形態では、液体吐出装置としてインクジェット方式の画像形成装置であるカラープリンタを用いた例を示したが、画像形成装置としてはこれに限られず、プリンタ、ファクシミリ、複合機等にも本発明は適用可能である。
【0088】
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
【0089】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0090】
1 画像形成装置
4 ヘッドユニット
6 供給スロット(液体供給部)
8 固定廃液タンク(固定廃液収容部)
9 廃液スロット(廃液収容部)
10 表示部
11 インク吐出ヘッド(液体吐出ヘッド)
11a ノズル面
18 挿入針(挿入部)
20 インクカートリッジ(液体カートリッジ)
20a インク袋(カートリッジ液体収容部)
20c 廃液回収袋(カートリッジ廃液収容部)
201 記憶部
22 供給ポンプ
23 廃液排出ボタン(操作部)
29 排出部
50 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】