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  • 特許-研削装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/04 20060101AFI20240807BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20240807BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B24B7/04 A
B24B55/02 B
H01L21/304 631
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020206680
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022093942
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣居 豊
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217443(JP,A)
【文献】特開2015-217444(JP,A)
【文献】登録実用新案第3151669(JP,U)
【文献】特開2005-349523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0207108(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 7/00 - 7/30
B24B 55/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面に被加工物を保持するチャックテーブルと、スピンドルの先端に装着した回転可能な環状の研削砥石の下面を該保持面に保持された被加工物の中心を通り外周から中心に至る円弧の研削エリアに接触させ該被加工物を研削する研削手段と、該環状の研削砥石の内側に配置された噴射口から該研削エリアに研削水を供給するノズルと、を備える研削装置であって、
該研削砥石の内周側には、該チャックテーブルの外周より外側にはみ出すはみ出し部を備え、
該はみ出し部に配置され、該研削砥石の回転に伴って該研削砥石の内側面に沿って形成された連れ回りエア層を破壊するエア層破壊板を備える研削装置。
【請求項2】
該エア層破壊板を、該研削砥石の磨耗状態に応じて該保持面に垂直な方向に移動させる昇降手段を備える請求項1記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に開示のように被加工物の回転中心を通過可能な回転する環状の研削砥石を被加工物の半径エリアに接触させて研削する研削装置は、ノズルから研削砥石が被加工物に接触する半径エリアに研削水を供給している。回転する研削砥石の側面付近には、研削砥石の回転によって周囲の空気が連れ回され研削砥石の側面に平行な連れ回りエア層が形成されている。
【0003】
そのため、ノズルから供給される研削水の着水点が連れ回りエア層によって移動し研削砥石が被加工物に接触する該半径エリアに行き渡らないことがある。その対策として、供給する研削水の水量を多くすることで該半径エリアに研削水を行き渡らせることが可能であるが、研削水量を多くすることは不経済であり好ましくない。
また、別の対策として、ノズルから噴射する研削水の方向を変更することによって着水点を該半径エリアになるようにすることが可能になるが、噴射方向の調整は、装置を一時停止させ、作業者が行わなければならない。そのため、時間がかかる。
そして、連れ回りエアの速度は、研削砥石の回転速度に比例して変化するし、研削砥石の砥粒径によって変化する研削砥石の側面の凹凸の大きさに比例して変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-119785号公報
【文献】特開2011-025380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、環状の研削砥石の内側に研削水を供給しながら被加工物を研削する研削装置は、研削砥石の側面側に連れ回りエア層が形成されていても、研削水の量や噴射方向を変えずに研削エリアに研削水を供給するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、保持面に被加工物を保持するチャックテーブルと、スピンドルの先端に装着した回転可能な環状の研削砥石の下面を該保持面に保持された被加工物の中心を通り外周から中心に至る円弧の研削エリアに接触させ該被加工物を研削する研削手段と、該環状の研削砥石の内側に配置された噴射口から該研削エリアに研削水を供給するノズルと、を備える研削装置であって、該研削砥石の内側には、該チャックテーブルの外周より外側にはみ出すはみ出し部を備え、該はみ出し部に配置され、該研削砥石の回転に伴って該研削砥石の内側面に沿って形成された連れ回りエア層を破壊するエア層破壊板を備える研削装置である。
上記の研削装置は、該エア層破壊板を、該研削砥石の磨耗状態に応じて該保持面に垂直な方向に移動させる昇降手段を備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
研削砥石の回転に伴って形成された連れ周りエア層がエア層破壊板によって破壊されるため、ノズルから研削水を研削エリアに適切に供給することができる。
また、昇降手段を用いてエア層破壊板を昇降させることにより、エア層破壊板を適宜の高さ位置に位置づけることができ、これによりエア層破壊板を用いて連れ回りエア層を確実に破壊できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】研削装置の斜視図である。
図2】被加工物を研削加工する際の研削装置の断面図である。
図3】チャックテーブル、研削手段及びエア層破壊板を示す平面図である。
図4】エア層破壊板の別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 研削装置の構成
図1に示す研削装置1は、研削手段3を用いて被加工物17を研削加工する研削装置である。図1の例における被加工物17の下面には保護テープ172が貼着されているが、保護テープ172が貼着されない場合もある。以下、研削装置1の構成について説明する。
【0010】
研削装置1は、図1に示すようにY軸方向に延設されたベース10とベース10の+Y方向側に立設されたコラム11とを備えている。
【0011】
コラム11の-Y方向側の側面には、研削手段3を昇降可能に支持する研削送り手段4が配設されている。研削送り手段4は、Z軸方向の回転軸45を有するボールネジ40と、ボールネジ40に対して平行に配設された一対のガイドレール41と、回転軸45を軸にしてボールネジ40を回転させるZ軸モータ42と、Z軸モータ42の回転動作の制御等に用いられるエンコーダ420と、内部のナットがボールネジ40に螺合して側部がガイドレール41に摺接する昇降板43と、昇降板43に連結され研削手段3を支持するホルダ44とを備えている。
【0012】
ホルダ44は、図2に示すように例えば側板440、底板441及び留め具442から構成される。留め具442は例えばボルトであり、側板440と底板441とは留め具442によって連結されている。また、側板440と底板441との間には研削砥石340にかかる荷重を測定する荷重センサ9が配設されている。
【0013】
Z軸モータ42によってボールネジ40が駆動されてボールネジ40が回転軸45を軸にして回転すると、これに伴って昇降板43がガイドレール41に案内されながらZ軸方向に昇降移動するとともに、研削手段3がZ軸方向に昇降移動する構成となっている。
【0014】
図1に戻って研削手段3の構成について説明する。研削手段3は、Z軸方向の回転軸35を有するスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31と、回転軸35を軸にしてスピンドル30を回転駆動するスピンドルモータ32と、スピンドル30の下端に接続されたマウント33と、マウント33の下面に着脱可能に装着された研削ホイール34とを備えている。研削ホイール34は、ホイール基台341とホイール基台341の下面に環状に配列された略直方体状の複数の研削砥石340とを備えている。研削砥石340の下面342は被加工物17の上面170に接触する研削面である。
【0015】
スピンドルモータ32を用いてスピンドル30を回転させることにより、スピンドル30に接続されたマウント33及びマウント33の下面に装着された研削ホイール34が一体的に回転することとなる。
【0016】
ベース10には被加工物17を保持するチャックテーブル2が配設されている。チャックテーブル2は吸引部20と吸引部20を支持する枠体21とを備えている。吸引部20の上面は被加工物17を保持する保持面200であり、枠体21の上面210は保持面200に面一に形成されている。
【0017】
吸引部20には図示しない吸引源が接続されている。該吸引源を作動させることにより、生み出された吸引力が保持面200に伝達されることとなる。例えば保持面200に被加工物17が載置されている状態で該吸引源を作動させることにより保持面200に被加工物17を吸引保持することができる。
【0018】
また、チャックテーブル2の周囲にはカバー27が配設されており、カバー27は蛇腹28に伸縮可能に連結されている。チャックテーブル2がY軸方向に水平移動すると、カバー27がチャックテーブル2と一体的にY軸方向に移動して蛇腹28が伸縮する構成となっている。
【0019】
ベース10の内部には内部ベース12が配設されている。内部ベース12の上には、チャックテーブル2をY軸方向に水平移動させる水平移動手段5が配設されている。水平移動手段5は、Y軸方向の回転軸55を有するボールネジ50と、回転軸55を軸にしてボールネジ50を回転させるY軸モータ52と、ボールネジ50に対して平行に配設された一対のガイドレール51と、底部のナット54(図1に図示せず、図2参照)がボールネジ50に螺合しガイドレール51に沿ってY軸方向に移動するスライド板53とを備えている。Y軸モータ52を用いてボールネジ50が回転することにより、スライド板53がガイドレール51に案内されてY軸方向に水平に移動する構成となっている。
【0020】
図2に示すように、チャックテーブル2の枠体21の下には枠体21を支持する基台22が配設されている。基台22は3つの連結部材24(図2においては2つが示されている)によってスライド板53に連結されている。3つの連結部材24の各々は例えばボルトであり、例えばそのうちの1つまたは2つがZ軸方向の高さの調整を行うことができる。そして、例えば該ボルトの高さを調整することによりチャックテーブル2の保持面200の傾きを変更することが可能となっている。
水平移動手段5を用いてスライド板53をY軸方向に水平移動させることによってチャックテーブル2をY軸方向に移動させることができる。
なお、水平移動手段は、チャックテーブル2を複数配設したターンテーブルであってもよい。
基台22には図1に示すケーシング23が連結されている。ケーシング23の内部には、チャックテーブル2を回転させる図示しない回転手段等が配設されている。該回転手段を用いることによりチャックテーブル2を回転させることができる。
【0021】
図2には、被加工物17が保持されたチャックテーブル2がY軸方向に移動して、チャックテーブル2が研削砥石340の下方に位置づけられている様子が示されている。このとき、被加工物17と研削砥石340との水平位置関係は研削砥石340の下面342が被加工物17の中心1700を通るような水平位置関係となっている。
研削砥石340の下面342が被加工物17の中心1700を通るように位置づけられている状態では、図3に示すように、研削砥石340の回転軌道の内周側の一部はチャックテーブル2の外周から+Y方向にはみ出したはみ出し部344を備えている。なお、はみだし部344がはみ出す方向は、チャックテーブル2と研削手段3との位置関係に応じて定まるものであり、+Y方向には限られない。
【0022】
図2に示すように、はみ出し部344には、エア層破壊板6とエア層破壊板6を保持面200に垂直な方向に移動させる昇降手段60とが配置されている。エア層破壊板6は、Z軸方向に起立し研削砥石340の回転軌道の半径方向に延設された板状に形成されており、エア層破壊板6の+Y方向側の部分はホイール基台341及び研削砥石340に沿うような階段状に形成されている。図2の例では、研削ホイール34のホイール基台341の内周に傾斜面が形成されているのに対応してエア層破壊板6にもその傾斜面に対面するテーパー面601が形成されている。また、エア層破壊板6には、テーパー面601の下端から下方に向けて、研削砥石340の内周に対面する垂下面602が形成されている。さらに、エア層破壊板6には、垂下面602の下端から研削砥石340の外周側に向けて、研削砥石340の下面342に対面する水平突出面603が形成されている。水平突出面603の水平方向の先端は、研削砥石340の外周よりも外側に位置している。
また、エア層破壊板6の-Y方向側の部分には、+Z方向に向けて突出してホイール基台341の下面に接触する凸状部分600が形成されている。凸状部分600は、図3に示すように、研削ホイール34の回転時に回転しない部分であるホイール基台341の下面の中心3415に接触している。研削送り手段4に駆動されて研削ホイール34が-Z方向に下降する際には、ホイール基台341の下面によってエア層破壊板6が保持面200に垂直な方向である-Z方向に押し下げられることとなる。凸状部分600とホイール基台341の下面とが接触する部分を除き、エア層破壊板6とホイール基台341及び研削砥石340との間には隙間604が形成されている。
なお、図1図3に示した例におけるエア層破壊板6は、長手方向がY軸方向に平行となるように配設されているが、研削砥石340の回転軌道の半径方向に向いていれば、図示の例には限られない。図4に示すように、エア層破壊板6は、エアが研削砥石340の外に排出しやすいようにチャックテーブル2の外周に沿って円弧に形成されていてもよい。
【0023】
図2に示すように昇降手段60は、スライド板53の側面に連結された支持板61と、支持板61の上に配設されたシリンダ62と、シリンダ62に収容されたピストンロッド63とを備えており、ピストンロッド63はエア層破壊板6を昇降可能に支持している。
なお、昇降手段60は、ボールネジを回転させる機構を備え、ボールネジを回転させエア層破壊板6を昇降可能にしてもよい。
【0024】
シリンダ62には図示しないエア供給手段が接続されている。該エア供給手段を用いてシリンダ62の内部にエアを供給することによりピストンロッド63が+Z方向に押し上げられてシリンダ62から突出し、またシリンダ62へのエアの供給を停止することによってピストンロッド63が-Z方向に下降することとなる。該エア供給手段を用いてピストンロッド63をZ軸方向に昇降させることにより、ピストンロッド63に支持されたエア層破壊板6を保持面200に垂直な方向に移動させることができる。
例えば、研削送り手段4に駆動されて研削ホイール34が-Z方向に下降し、ホイール基台341の下面によってエア層破壊板6が保持面200に垂直な方向である-Z方向に押し下げられると、これに伴ってピストンロッド63が-Z方向に下降することとなる。
なお、該エア供給手段は、ピストンロッド63を+Z方向に上昇させる力が研削ホイール34を-Z方向に下降させる力より小さくなるようシリンダ62に供給するエアの供給圧力を調整する電空レギュレータを備えていてもよい。
【0025】
支持板61の上にはノズル8が配設されている。ノズル8は-Y方向に向けられて形成された噴射口80を備えている。ノズル8には図示しない研削水供給源が接続されており、該研削水供給源からノズル8に水を供給することによってノズル8の噴射口80から-Y方向に研削水を噴射することができる。
【0026】
研削装置1は厚み測定手段7を備えている。厚み測定手段7は被加工物17の上面170の高さを測定する上面ハイトゲージ70と保持面200の高さを測定する保持面ハイトゲージ71とを備えている。
上面ハイトゲージ70は、例えば被加工物17の上面170にレーザー光線を投光して被加工物17の上面170において反射した反射光を受光することによって被加工物17の上面170の高さを測定する非接触式のハイトゲージである。また、保持面ハイトゲージ71は、枠体21の上面210にレーザー光線を投光して枠体21の上面210において反射した反射光を受光することによって枠体21の上面210に面一な保持面200の高さを測定する非接触式のハイトゲージである。
厚み測定手段7は厚み算出手段72を備えている。上面ハイトゲージ70によって測定された被加工物17の上面170の高さの情報と保持面ハイトゲージ71によって測定された保持面200の高さの情報とは厚み算出手段72に伝達され、厚み算出手段72において被加工物17の上面170の高さから保持面200の高さが差し引かれることによって被加工物17の厚みが算出される構成となっている。
【0027】
2 研削装置の動作
研削装置1を用いて被加工物17を研削加工する際の研削装置1の動作について説明する。研削装置1を用いて被加工物17を研削加工する際には、まず図1に示した被加工物17をチャックテーブル2の保持面200に保持してから、水平移動手段5を用いてチャックテーブル2を+Y方向に水平移動させ、チャックテーブル2に保持された被加工物17を研削手段3の下方に位置づける。
このとき、図2及び図3に示すように研削砥石340の下面342が被加工物17の中心1700を通るように被加工物17の水平位置を調整する。
【0028】
また、チャックテーブル2に接続された図示しない回転手段を用いてチャックテーブル2を回転させるとともに、スピンドルモータ32を用いて回転軸35を軸にして研削砥石340を回転させておく。
【0029】
チャックテーブル2及び研削砥石340が回転している状態で、研削送り手段4を用いて研削砥石340の-Z方向に下降させる。これにより、研削砥石340の下面342が被加工物17の上面170に接触する。このとき、研削砥石340の下面342は被加工物17の中心1700を通り被加工物17の外周1701から中心1700に至る円弧状の研削エリア1702に接触する。
被加工物17の上面170に研削砥石340の下面342が接触している状態で、研削送り手段4を用いてさらに研削砥石340を-Z方向に下降させていくことにより、被加工物17が研削加工される。
【0030】
被加工物17の研削加工中には厚み測定手段7を用いた被加工物17の厚みの測定が行われる。被加工物17が所望の厚みに研削されたら被加工物17の研削加工を終了する。
【0031】
また、被加工物17の研削加工中には研削砥石340と被加工物17とが接触する部分を冷却したり、研削加工によって生じる加工屑を洗い流したりするために、ノズル8の噴射口80から研削エリア1702に向かって研削水を供給する。ここで、研削砥石340が回転すると研削砥石340の回転に伴って研削砥石340の内側面に沿って連れ回りエア層が形成されるが、形成された連れ回りエア層は、はみ出し部344に配置されたエア層破壊板6によって破壊される。これによって、ノズル8の噴射口80から研削エリア1702に適切に研削水を供給することができる。
【0032】
図2に示したように、エア層破壊板6は、研削砥石340に近い側が研削ホイール341及び研削砥石340の形状に沿って階段状に形成されるとともに、研削ホイール341及び研削砥石340との間に隙間604が形成され、さらに水平突出面603を備えているため、エアを研削砥石340の回転軌道の外周側に円滑に排出することができる。
【0033】
また、被加工物17の研削加工によって研削砥石340は磨耗する。そして研削砥石340が磨耗するとそれに応じて研削ホイール34が-Z方向に下降していき、凸状部分600がホイール基台341によって押されることによってエア層破壊板6が-Z方向に押し下げられるとともに、エア層破壊板6を支持するピストンロッド63が-Z方向に移動する。このようにして、研削砥石340の磨耗状態に応じてエア層破壊板6をZ軸方向に昇降移動させることができる。なお、凸状部分600は、研削ホイール34が回転しても回転しないホイール基台341の下面の中心3415に接触しているため、エア層破壊板6に対して回転力が加わるのを防ぐことができる。
【0034】
例えば、被加工物17の研削加工中には荷重センサ9によって研削砥石340にかかる荷重が測定され、研削砥石340にかかる荷重に応じてエア供給手段からシリンダ62の内部に供給するエアの供給圧力が調整され、エア層破壊板6を下降させる構成であってもよい。
具体的には、研削ホイール34を-Z方向に下降させてホイール基台341の下面でエア層破壊板6を-Z方向に押し下げるときには、そのときに研削砥石340にかかる荷重が荷重センサ9によって測定される。そして、測定された研削砥石340にかかる荷重の大きさに応じて該エア供給手段からシリンダ62の内部に供給するエアの供給圧力を減少させることにより、ピストンロッド63がエア層破壊板6を+Z方向に付勢する力を小さくする。これにより、エア層破壊板6を容易に下降させることが可能になり好適である。
【符号の説明】
【0035】
1:研削装置 10:ベース 11:コラム 12:内部ベース 17:被加工物
170:上面 1700:中心 1701:外周 1702:研削エリア
172:保護テープ
2:チャックテーブル 20:吸引部 200:保持面
21:枠体 210:上面 22:基台 23:ケーシング 24:連結部材
3:研削手段 30:スピンドル 31:ハウジング 32:スピンドルモータ
33:マウント 34:研削ホイール 340:研削砥石 341:ホイール基台
342:下面 344:はみ出し部 35:回転軸
4:研削送り手段 40:ボールネジ 41:ガイドレール 42:Z軸モータ
420:エンコーダ 43:昇降板
44:ホルダ 440:側板 441:底板 442:留め具 45:回転軸
5:水平移動手段 50:ボールネジ 51:ガイドレール 52:Y軸モータ
53:スライド板 54:ナット 55:回転軸
6:エア層破壊板 60:昇降手段 600:凸状部分
61:支持板 62:シリンダ 63:ピストンロッド
7:厚み測定手段 70:上面ハイトゲージ 71:保持面ハイトゲージ
72:厚み算出手段
8:ノズル 80:噴射口 9:荷重センサ
図1
図2
図3
図4