(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】炭素材料の調製方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/318 20170101AFI20240807BHJP
C01B 32/05 20170101ALI20240807BHJP
C01B 32/306 20170101ALI20240807BHJP
C01B 32/354 20170101ALI20240807BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20240807BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240807BHJP
H01G 11/42 20130101ALI20240807BHJP
C08G 8/08 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
C01B32/318
C01B32/05
C01B32/306
C01B32/354
B01J20/20 A
B01J20/30
H01G11/42
C08G8/08
(21)【出願番号】P 2020540805
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 US2019014984
(87)【国際公開番号】W WO2019147836
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-21
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】クロン ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】フィーバー アーロン
(72)【発明者】
【氏名】オニール ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ヘリック ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ウィドグレン ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】アラント トーマス
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-173505(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0081838(US,A1)
【文献】特表2014-511322(JP,A)
【文献】特表2015-507064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 8/00 - 8/38
C01B 32/00 - 32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)
水及び混和性酸を含む溶媒と、触媒と、
フェノール化合物である第1モノマーと、
アルデヒド化合物である第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)前記反応混合物の温度を、ある保持昇温速度で上昇し、前記反応混合物を、前記第1モノマーと前記第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度及び条件に保持するステップ、及び
c)前記ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、前記溶媒と、前記第1モノマーと前記第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップであって、前記硬化ポリマー組成物中の前記溶媒濃度は、前記硬化ポリマー組成物の全質量を基準にして少なくとも5質量%である、ステップ
を含み、
前記硬化ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって前記溶媒を実質的に除去すると共に前記ポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップ
を更に含み、
前記反応混合物は更にメタノールを含み、メタノールの濃度は、前記反応混合物の0.0質量%超~5.0質量%の範囲である、方法。
【請求項2】
前記硬化ポリマー組成物中の前記溶媒の濃度は、前記硬化ポリマー組成物の45質量%~90質量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化ポリマー組成物は、0.01質量%~0.95質量%の触媒を更に含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記保持温度は15℃~120℃の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記保持昇温速度は3℃/時を超える、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1モノマーは
、フェノール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノール、又はこれらの組合せである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2モノマーは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド又はこれらの組合せを含む、請求項1~6に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒は酢酸アンモニウムを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化温度は70℃~200℃の範囲である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化温度は、0時間超~96時間の範囲の時間にわたって維持される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱分解温度は750℃~1500℃の範囲である、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記硬化ポリマー組成物は、熱分解の間、不活性雰囲気下にある、又は、前記硬化ポリマー組成物は、熱分解の間、周囲雰囲気下にある、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記炭素材料は、少なくとも0.01cc/gの全細孔容積を有する、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記炭素材料は、少なくとも5m
2/gのBET比表面積を有する、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記炭素材料は、ミクロ細孔、メソ細孔及び全細孔容積を含む細孔構造を有し、前記全細孔容積の40%~90%はミクロ細孔に属し、前記全細孔容積の10%~60%はメソ細孔に属し、前記全細孔容積の10%未満は20nmを超える細孔に属する、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記炭素材料は、全反射蛍光X線によって測定したときに11~92の範囲の原子番号を有する元素の全不純物含有量が500ppm未満である、請求項1~
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記炭素材料の灰分は、全反射蛍光X線データから計算したときに0.03%未満である、請求項1~
16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、炭素材料を調製するための組成物及び方法、並びに当該炭素材料を含有するデバイスの作製方法に関する。本明細書に記載の組成物及び方法に従って調製された炭素材料は、強化された電気化学特性を有し、多数の電気デバイスに有用である。
【背景技術】
【0002】
炭素材料は、畜給電デバイスに一般的に使用される。活性炭の大きな表面積、高導電性及び多孔性は、他の材料を用いたデバイスよりも高いエネルギー密度を有する電気デバイスの設計を可能にする。電気二重層コンデンサ(EDLC又は「ウルトラキャパシタ」)は、かかるデバイスの一例である。EDLCは、多くの場合、活性炭材料から調製された電極と好適な電解質とを有し、より一般的なコンデンサと比較して極めて高いエネルギー密度を有する。EDLCの典型的な用途は、データ伝送のために電力のショートバーストを必要とするデバイスにおけるエネルギーの貯蔵及び分配、又は無線モデム、携帯電話、デジタルカメラ及び他の携帯型電子デバイス等のピーク電力機能を含む。EDLCは、例えば電気自動車、電車、バス等の電動輸送車両にも一般に使用される。
電池は、多くの場合に活性炭材料を(例えば、アノード材料、集電体、又は導電性向上剤として)含有する、もう1つの一般的なエネルギー貯蔵及び分配デバイスである。例えば、リチウムがインターカレーションされた炭素質アノードを有するリチウム/炭素電池は、有望なエネルギー蓄蔵デバイスの代表である。炭素含有電池の他の種類には、リチウム空気電池(これは、空気電極の集電体として多孔質炭素を用いる)及び鉛酸電池(これは、多くの場合、アノード又はカソードのいずれかに炭素添加物を含む)が含まれる。電池は、低い電流密度電力(EDLCの高い電流密度と比較して)を必要とするいくつものの電子デバイスに用いられている。
EDLC及び炭素を用いた電池の1つの公知の制約は、高温、高電圧操作、繰り返しの充放電サイクル、及び/又はエージング時に性能が低下することである。この低下した性能は、少なくとも部分的には、電解質の不純物又は炭素電極自体の不純物が電解質/電極界面において電極の破損を引き起こすことに起因していた。従って、より高純度の炭素材料から調製される電極を備えるEDLC及び/又は電池は、既存のデバイスよりも高い電圧で、且つより高温で、より長時間動作し得ることが示唆されている。
高パルス電力の電気化学用途に最適化された細孔構造を備える、改良された高純度炭素材料の必要性は認識されてきたが、かかる炭素材料は市販されておらず、かかる炭素材料が得られる調製方法は報告されていない。表面積が大きい活性炭材料を製造する一般的な方法の1つは、既存の炭素含有材料(例えば、ココナッツ繊維又はタイヤゴム)を熱分解することである。これは比較的小さい表面積を有するチャーをもたらし、これを次に過活性化して、所望の用途に必要な表面積及び多孔性を有する材料を製造できる。かかるアプローチは、前駆体材料の既存の構造によって本質的に制限され、典型的には、最適化されていない細孔構造及び1%以上の灰分(例えば金属不純物)を有する炭素材料をもたらす。
【0003】
活性炭材料は、化学的活性化でも調製できる。例えば、炭素含有材料を酸、塩基、又は塩(例えば、リン酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化亜鉛等)で処置してから加熱すると、活性炭材料が得られる。しかしながら、そのような化学的活性化で得られる活性炭材料も、高性能の電気デバイスでの使用に適したものではない。
表面積が大きい活性炭材料を製造する別のアプローチは、炭素含有有機ビルディングブロック(例えば、ポリマーゲル)から合成ポリマーを調製することである。既存の有機材料の場合と同様に、合成によって調製したポリマーを乾燥(例えば、蒸発又は凍結乾燥によって)熱分解し、活性化することによって、活性炭材料(例えば、エアロゲル又はキセロゲル)が製造される。上記の従来のアプローチとは対照的に、合成によって調製したポリマーに本来備わる多孔性は、活性化工程での材料損失がより少ないことから、より高いプロセス収率をもたらす。しかしながら、合成ポリマーから炭素材料を調製する公知の方法で製造される炭素材料は、細孔構造が最適化されておらず、不適切なレベルの不純物を有する。従って、これらの材料から調製される電極は、不適切な電気化学特性を示す。
一般に、炭素含有合成ポリマーを製造するためのポリマー組成物及び方法には、ポリマーを生成する初期反応、残留液体反応成分を除去するための乾燥工程、続いて熱分解の前の硬化又は炭化工程が含まれる。当該技術分野において公知の方法には、凍結乾燥、超臨界乾燥及び蒸発が含まれる。各乾燥方法は、製造プロセス全体に付与される追加のコスト、時間及び/又は労力に関して欠点がある。
【0004】
当該技術分野は大きく進歩してきたが、電気エネルギー貯蔵デバイスに使用するための高純度炭素材料を製造する方法の改善は、当該技術分野で必要とされ続けている。本発明はこれらの必要性を満たし、かつ更に関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大まかに言えば、本発明は、最適化された細孔構造を備えた炭素材料を調製する新規化合物及び方法に関する。最適化された細孔構造が有するメソ細孔体積、細孔容積分布及び表面積は、本開示の方法を使用して調製された炭素材料を有する電極において、電力密度を増やし、高いイオン移動度をもたらす。更に、本方法に従って調製された炭素材料を含む電極は、イオン抵抗が低く、周波数応答が高い。従って、これらの電極は、既知の方法を用いて調製された他の炭素材料を有する特定の電極に比べて、電力密度が高く、体積比容量が大きい。本方法に従って調製された炭素材料の高い純度は、多数の蓄電及び/又は配電デバイスの動作、寿命、及び性能の向上にも寄与すると同時に、材料、時間及び/又は労力の点で製造コストを最小限に抑える。
従って、本方法に従って調製された炭素材料は、多数の電気エネルギー貯蔵デバイス(例えば、ウルトラキャパシタの電極材料として)に有用である。本方法に従って調製された炭素材料を含有するかかるデバイスは、高パルス電力を必要とする用途等、多数の用途において有用である。本方法に従って調製された炭素材料独自の特性により、デバイスは、耐久性の向上、ひいては寿命の延長も期待される。上記の利点の全てが、製造の全体コストを削減しながら実現される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本開示の一実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーを共重合して樹脂混合物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、
c)上記樹脂混合物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含むポリマー組成物を形成するステップであって、ポリマー組成物中の溶媒濃度が、ポリマー組成物の全質量を基準にして少なくとも5質量%である、ステップ、及び
d)上記ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップ
を含む、方法に関する。
別の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物の温度を、ある保持昇温速度で上昇し、反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、及び
c)任意で、ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップであって、硬化ポリマー組成物中の溶媒濃度が、硬化ポリマー組成物の全質量を基準にして少なくとも5質量%である、ステップ
を含む、方法を提供する。
別の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るとともに、反応混合物を反応時間の間、反応温度に維持するステップ、
b)上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーを共重合して樹脂混合物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、
c)上記樹脂混合物を最高で硬化温度まで加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含むポリマー組成物を形成するステップ、及び
d)上記ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップ
を含む、方法を提供する。
一実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るとともに、反応混合物を反応時間の間、反応温度に維持するステップ、
b)上記反応混合物の温度を、ある保持昇温速度で上昇し、反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、及び
c)任意で、ポリマー組成物を最高で硬化温度まで加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップ
を含む、方法を提供する。
更に別の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーを共重合して樹脂混合物を得るのに十分な保持温度で、ある保持時間の間、保持するステップ、
c)上記樹脂混合物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含むポリマー組成物を形成するステップ、及び
d)上記ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップ
を含む、方法を提供する。
別の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物の温度を、ある保持昇温速度で上昇し、反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度で、ある保持時間の間保持するステップ、及び
c)任意で、ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップ
を含む、方法を提供する。
1つの他の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーを共重合して樹脂混合物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、
c)上記樹脂混合物を、初期温度から最高で硬化温度まで、少なくとも0.5℃/時の硬化昇温速度で上昇することによって加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含むポリマー組成物を形成するステップ、及び
d)上記ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップ
を含む、方法を提供する。
別の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)任意で、上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、
c)上記ポリマー組成物を、初期温度から最高で硬化温度まで、少なくとも0.5℃/時の硬化昇温速度で上昇することによって加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップ、を含む、方法を提供する。一実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)容積が10Lを超え、表面積対容積のアスペクト比が約3m2/m3を超える反応容器に、反応混合物を移すステップ、
c)上記反応混合物の温度を、ある保持昇温速度で上昇し、反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度で、ある保持時間の間保持するステップ、及び
d)任意で、ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップ
を含む、方法を提供する。
【0007】
別の実施形態は、ポリマー組成物の約10質量%を超える溶媒濃度と、0.5を超える相対的細孔完全性(relative pore integrity)を有するポリマーと、を有する、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物を提供する。
【0008】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明に対する参照時に明白となる。
図中で、同一の参照番号は、同一の要素を特定する。図中の要素の大きさ及び相対位置は、必ずしも正確な縮尺である必要はなく、これらの要素のいくつかは、図の視認性を改善するように、拡大及び配置されている。更に、描かれた要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する何らかの情報を伝えること意図するものではなく、単に図の認識を容易にするために選択されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】0~12時間の範囲の保持時間について、例示的な炭素材料の細孔容積を示す。
【
図2】0~12時間の範囲の保持時間について、例示的な炭素材料の細孔容積分布を示す。
【
図3】例示的な炭素材料について、0、1.7、3及び5日の保持時間に対して細孔容積をグラフ表示したグラフである。
【
図4】0~5日の範囲の保持時間で調製された例示的な炭素材料の細孔容積分布を示す。
【
図5】1、3、10及び110℃/時の硬化昇温速度を用いて調製された炭素材料試料の細孔容積を示す。
【
図6】1~110℃/時の硬化昇温速度を用いて調製された炭素材料試料の細孔容積分布を示す。
【
図7】熱分解の前に凍結乾燥あり(試料5A)及び凍結乾燥なし4(試料5B)で処理した例示的な炭素材料の細孔容積分布を示す。
【
図8】熱分解の前に凍結乾燥あり(試料8A)及び凍結乾燥なし4(試料8B)で処理した例示的な炭素材料の細孔容積分布を示す。
【
図9】炭素材料の相対的細孔完全性の値を最大保持温度に対してプロットした分布図を示す。
【
図10】実施例11に従って調製された材料のメソ細孔性炭素の孔径分布を示す。
【
図11】実施例12に従って調製された材料(活性化されていない)のメソ細孔性炭素の孔径分布を示す。
【
図12】実施例12に従って調製された材料(活性化されている)のメソ細孔性炭素の孔径分布を示す。
【
図13】熱分解炭素材料(試料13a)及び非熱分解炭素材料(試料l3b)の細孔容積分布を示す。
【
図14】細孔容積が相対的に高いポリマー組成物(試料14a)及び細孔容積が相対的に低いポリマー組成物(試料14b)の窒素吸着データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、様々な実施形態の十分な理解をもたらすために、特定の明確な詳細が記載される。しかしながら、当業者には当然のことながら、本発明はそれらの詳細無しでも実施され得る。他の場合では、周知の構造は、実施形態の不必要に不明瞭な記載を回避するために、示されないか又は詳述されない。文脈上他に要求されない限り、続く本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、語「含む、有する(comprise)」及びその変形である「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」等は、オープンな、包括的意味、即ち、「包含するが、これらに限定されない」を包含すると解釈されるべきである。更に、本明細書に提示される見出しは、単に便宜上のものであり、特許請求された本発明の範囲又は意味を解釈するものではない。
本明細書の全体を通して、「一実施形態」又は「(ある)実施形態」への言及は、その実施形態と関連して記載される特有の特色、構造又は特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書の全体を通して様々な場所における語句「一実施形態では」又は「(ある)実施形態では」の出現は、必ずしも全てが同一の実施形態を指していない。更に、特有の特色、構造、又は特徴は、任意の好適な手法で、1つ又はそれより多くの実施形態と組合せられ得る。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「1つの」、「ある」、「その」(「a」「an」及び「the」)は、内容による別段の明確な指示がない限り、複数の指示内容を含む。用語「又は」は、内容による別段の明確な指示がない限り、「及び/又は」を含むその意味で、一般に利用されることに留意されたい。
【0011】
定義
本明細書で使用するとき、文脈が別段に示していない限り、以下の用語は下に規定される意味を有する。
【0012】
「炭素材料」は、実質的に炭素からなる材料又は物質を指す。炭素材料は、超高純度並びに非晶質及び結晶性の炭素材料を含む。炭素材料の例としては、活性炭、熱分解乾燥炭素、熱分解ポリマー組成物等が挙げられるがこれらに限定されない。
「非晶質」は、その構成原子、分子、又はイオンが、規則的な繰り返しパターンを伴うことなく不規則に配置している、例えば非晶質炭素材料のような材料を指す。非晶質材料は、いくらかの局在する結晶化度(即ち、規則性)を有し得るが、原子位置の長範囲の秩序は欠如している。熱分解炭素材料及び/又は活性炭材料は、一般に非晶質である。
「結晶性」は、その構成原子、分子、又はイオンが、秩序ある繰り返しパターンに配置している材料を指す。結晶性炭素材料の例として、ダイヤモンド及びグラフェンが挙げられるが、これらに限定されない。
「合成(の)」は、天然供給源からではなく、化学的手段により調製された物質を指す。例えば、合成炭素材料は、モノマーから合成されたものであり、天然供給源から単離されたものではない。
「不純物」又は「不純物元素」は、主材料の化学的組成物とは異なる、材料内の望ましくない外来物質(例えば、化学元素)を指す。例えば、炭素材料中の不純物とは、炭素材料中に存在する炭素以外の任意の元素又は元素の組合せを指す。不純物レベルは、典型的には百万分率(ppm)で表される。
「PIXE不純物」又は「PIXE元素」は、11~92(即ち、ナトリウムからウランまで)の範囲の原子番号を有する任意の不純物元素である。語句「全PIXE不純物含有量」及び「全PIXE不純物レベル」は両方とも、試料(例えば、ポリマー組成物、硬化ポリマー組成物、又は炭素材料)中に存在する全てのPIXE不純物の総計を指す。PIXE不純物濃度及び同定は、プロトン励起X線放射(PIXE)により決定され得る。
「TXRF不純物」又は「TXRF元素」は、11~92(即ち、ベリリウムからウランまで)の範囲の原子番号を有する任意の不純物元素である。語句「全TXRF不純物含有量」及び「全TXRF不純物レベル」は両方とも、試料(例えば、ポリマー組成物、硬化ポリマー組成物、又は炭素材料)中に存在する全てのTXRF不純物の総計を指す。TXRF不純物濃度及び同定は、全反射蛍光X線分析(TXRF)により決定され得る。
「超高純度」は、全PIXE又は全TXRF不純物含有量が0.050%未満の物質を指す。例えば、「超高純度炭素材料」は、全PIXE又は全TXRF不純物含有量が0.050%(即ち、500ppm)未満の炭素材料である。
「灰分」は、物質を高い分解温度で処理した後に残存する不揮発性無機物を指す。本明細書では、炭素材料の灰分は、不揮発性元素が予期される燃焼生成物(即ち、酸化物)に完全に変換すると仮定して、プロトン励起X線放射又は全反射蛍光X線により測定された全PIXE又は全TXRF不純物含有量から算出される。
「ポリマー」は、2つ以上の構造的繰り返し単位から構成される巨大分子を指す。
「ポリマー組成物」及び「樹脂混合物」への言及は、本開示全体を通して、互換可能に使用される。「ポリマー組成物」及び「樹脂混合物」は、固体、ゲル、エマルション、懸濁液、液体、又はこれらの任意の組合せであり得る。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は樹脂混合物は固体である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は樹脂混合物はゲルである。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は樹脂混合物は液体(例えば、溶媒及び/又は触媒)を含む固体である。
「モノマー」又は「ポリマー前駆体」は、合成ポリマーの調製に使用される化合物を指す。本明細書に開示される調製の特定の実施形態で使用され得るモノマーの例として、アルデヒド(即ち、HC(=O)R、式中、Rは有機基である)、例えば、メタナール(ホルムアルデヒド);エタナール(アセトアルデヒド);プロパナール(プロピオンアルデヒド);ブタナール(ブチルアルデヒド);グルコース;ベンズアルデヒド及びシンナムアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的なモノマーとして、フェノール等のフェノール化合物並びにジヒドロキシベンゼン又はトリヒドロキシベンゼン等のポリヒドロキシベンゼン、例えば、レゾルシノール(即ち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノン、及びフロログルシノールが挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物も、モノマーの意味に含まれると想到される。
【0013】
「相対的細孔完全性」は、温度約0℃超の温度及び大気圧若しくは大気圧に近い圧力で(例えば、キルン又は熱分解オーブン内で)熱分解中に溶媒が除去されたときに、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物が細孔構造を維持する度合いを、同じポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物から、凍結乾燥、超臨界CO2乾燥、溶媒交換プロセス等の乾燥法を用いて、熱分解の前に溶媒を除去したときに維持される全細孔容積又はメソ細孔構造を基準にして示した値を指す。「相対的細孔完全性」は、熱分解のみを用いて得られた生成物(即ち、炭素材料)が維持する全細孔容積又はメソ細孔容積を、凍結乾燥、超臨界CO2乾燥、溶媒交換プロセス等の乾燥法を用いて得られた生成物と比較した比として表される(即ち、相対的細孔完全性の値が1.00であることは、いずれのプロセスから得られた炭素材料も、同じ全細孔容積又はメソ細孔容積を有することを意味する)。例えば、いくつかの実施形態では、相対的細孔完全性は、0.00超~1.00の範囲、例えば0.022である。いくつかの実施形態では、相対的細孔完全性は0.4超、例えば0.96である。いくつかの実施形態では、相対的細孔完全性は、0.05超~1.00、0.10超~1.00、0.15超~1.00、0.20超~1.00、0.25超~1.00、0.30超~1.00、0.35超~1.00、0.40超~1.00、0.45超~1.00、0.50超~1.00、0.50超~1.00、0.60超~1.00、0.70超~1.00、0.75超~1.00、0.80超~1.00、0.85超~1.00、0.90超~1.00、又は0.95超~1.00の範囲である。
【0014】
「モノリシック」は、本来は粒子状ではない固体の三次元構造を指す。
「ゾル」は、前駆体粒子(例えば、モノマー)のコロイド懸濁液を指し、用語「ゲル」は、モノマーの濃縮又は反応により得られる湿潤した三次元多孔質ネットワークを指す。
「ポリマーゲル」は、その中でネットワーク成分がポリマーであるゲルを指し;一般に、ポリマーゲルは、モノマーから形成されるポリマーを含む湿潤(水性又は非水性の)三次元構造である。
「ゾルゲル」は、ポリマーゲルの下位分類で、ポリマーが、モノマーの反応により得られる湿潤三次元多孔質ネットワークを形成するコロイド懸濁液のものを指す。
「ポリマーヒドロゲル」又は「ヒドロゲル」は、ポリマーゲル又はゲルの下位分類で、合成前駆体又はモノマー用の溶媒が、水又は水と1つ以上の水混和性溶媒との混合物のものを指す。
「RFポリマーヒドロゲル」は、ポリマーゲルの下位分類で、ポリマーが、水又は水と1つ以上の水混和性溶媒との混合物中でのレゾルシノールとホルムアルデヒドとの触媒反応から形成されたものを指す。
「RFポリマー」は、ポリマーの下位分類で、ポリマーが、水又は水と1つ以上の水混和性溶媒との混合物中でのレゾルシノールとホルムアルデヒドとの触媒反応から形成されたものを指す。
「酸」は、溶液のpHを低下させることができる任意の物質を指す。酸は、アレニウス酸、ブレンステッド酸及びルイス酸を含む。「固体酸」は、溶媒に溶解すると酸性溶液を生じる、乾燥した又は顆粒状の化合物を指す。用語「酸性」は、酸の特性を有することを意味する。
「塩基」は、溶液のpHを上昇させることができる任意の物質を指す。塩基は、アレニウス塩基、ブレンステッド塩基及びルイス塩基を含む。「固体塩基」は、溶媒に溶解すると塩基性溶液を生じる、乾燥した又は顆粒状の化合物を指す。用語「塩基性」は、塩基の特性を有することを意味する。
「混合溶媒系」は、2つ以上の溶媒、例えば2つ以上の混和性溶媒からなる溶媒系を指す。二元溶媒系(即ち、2つの溶媒を含有する)の例として、水と酢酸、水とギ酸、水とプロピオン酸、水と酪酸が挙げられるが、これらに限定されない。三元溶媒系(即ち、3つの溶媒を含有する)の例として、水と酢酸とエタノール、水と酢酸とアセトン、水と酢酸とギ酸、水と酢酸とプロピオン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態は、2つ以上の溶媒を含む全ての混合溶媒系を想定している。
「混和性」は、混合物が特定範囲の温度、圧力、及び組成にわたって単相を形成する場合の混合物の特性を指す。
「触媒」は、化学反応の速度を変える物質である。触媒は、循環して反応に関与し、その結果触媒は循環的に再生される。本開示は、ナトリウムを含まない触媒を想定している。本明細書に記載のポリマー組成物(例えば、超高純度ポリマー組成物)の調製に使用される触媒は、モノマーの共重合を促進する任意の化合物であることができる。「揮発性触媒」は、大気圧以下で蒸発する傾向を有する触媒である。例示的な揮発性触媒として、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、及びこれらの組合せ等のアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
「溶媒」は、反応物(例えば、第1及び第2モノマー)を溶解又は懸濁し、その中で反応が起こり得る媒体を提供する物質を指す。本明細書に開示されるゲル、樹脂混合物、ポリマー組成物、硬化ポリマー組成物、超高純度ポリマー組成物、炭素材料、超高純度炭素材料及び超高純度合成非晶質炭素材料の調製において有用な溶媒の例として、水、アルコール及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルコールとして、エタノール、t-ブタノール、メタノール及びこれらの混合物が挙げられる。かかる溶媒は、モノマーの溶解、例えばフェノール化合物又はアルデヒド化合物の溶解に有用である。加えて、いくつかのプロセスでは、かかる溶媒はポリマー組成物における溶媒交換に用いられ、この場合、モノマーの共重合からの溶媒(例えばレゾルシノール及びホルムアルデヒド)は、純アルコールと交換される。本出願の一実施形態では、炭素材料は溶媒交換を含まないプロセスによって調製される。
【0015】
「乾燥ゲル」又は「乾燥ポリマーゲル」は、それぞれ、溶媒(一般的には、水、又は水と1つ以上の水混和性溶媒との混合物)が実質的に除去されたゲル又はポリマーゲルを指す。
「熱分解乾燥ポリマーゲル」は、熱分解されたがまだ活性化されていない乾燥ポリマーゲルを指し、「活性化乾燥ポリマーゲル」は、活性化された乾燥ポリマーゲルを指す。
「熱分解クリオゲル」は、熱分解されたがまだ活性化されていないクリオゲルである。
「活性化クリオゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたクリオゲルである。
「キセロゲル」は、例えば大気圧以下で、空気乾燥により乾燥された乾燥ゲルを指す。
「熱分解キセロゲル」は、熱分解されたがまだ活性化されていないキセロゲルである。
「活性化キセロゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたキセロゲルである。
「エアロゲル」は、例えば超臨界二酸化炭素を使用して、超臨界乾燥により乾燥された乾燥ゲルを指す。
「熱分解エアロゲル」は、熱分解されたがまだ活性化されていないエアロゲルである。
「活性化エアロゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたエアロゲルである。
「有機抽出溶媒」は、モノマーの重合(例えば、共重合)開始後、一般的にはポリマー組成物の重合完了後に、ポリマー組成物に添加される有機溶媒を意味する。
「高速多方向凍結」は、モノリシックポリマーゲルからポリマーゲル粒子を作製し、このポリマーゲル粒子を好適な冷媒で処理することによって、ポリマーゲルを凍結するプロセスを指す。冷媒は、例えば液体窒素、窒素ガス、又は固体二酸化炭素であり得る。高速多方向凍結の間は、氷の核生成が氷の結晶成長よりも優位である。好適な冷媒は、例えば約-10℃未満の温度の気体、液体、又は固体であり得る。あるいは、好適な冷媒は、約-20℃未満の温度の気体、液体、又は固体であり得る。あるいは、好適な冷媒は、約-30℃未満の温度の気体、液体、又は固体であり得る。
【0016】
「活性化する」及び「活性化」は各々、原材料又は炭化/熱分解された物質を、酸化雰囲気(例えば、二酸化炭素、酸素、蒸気又はこれらの組合せ)に曝露しながら活性化滞留温度に加熱して、「活性化」物質(例えば、活性炭材料)を製造するプロセスを指す。活性化プロセスは、一般に、粒子表面を剥がし、表面積の増加をもたらす。あるいは、活性化は、化学的手段により達成でき、例えば、炭素含有前駆体材料に、リン酸のような酸又は水酸化カリウム、水酸化ナトリウムのような塩基又は塩化亜鉛のような塩等の化学物質を含浸させ、その後炭化することで達成できる。「活性化(された)」とは、活性化プロセスを経た材料又は物質、例えば炭素材料を指す。
「炭化する」、「熱分解する」、「炭化」及び「熱分解」は各々、プロセスの最後に収集される標的材料が主に炭素となるように、所望により活性雰囲気下(例えば、アルゴン、窒素又はこれらの組合せ)又は真空下で、炭素含有物質をある温度で加熱するプロセスを指す。「熱分解(された)」は、熱分解プロセスを経た材料又は物質、例えば炭素材料を指す。
【0017】
「滞留温度」は、プロセスのうち、相対的に一定の温度を維持する(即ち、昇温も降温もしない)ために用意された部分の間の炉、オーブン又は他の加熱チャンバの温度を指す。例えば、熱分解滞留温度は、熱分解中の炉、オーブン又は加熱チャンバの相対的に一定の温度を指し、炭化滞留温度は、硬化中の炉、オーブン又は加熱チャンバの相対的に一定の温度を指す。
「昇温速度」は、プロセスの様々なステップの間の温度変化の速度を指し、保持昇温速度及び/又は硬化昇温速度等がある。本明細書で使用するとき、ある範囲及び/又は閾値(例えば、それぞれ、約3℃/時~約100℃/時の範囲、及び約3℃/時を超える)は、昇温速度が、0秒を超える期間にわたって特定の範囲内にあるか又は値を超えることを意味する。例えば、昇温速度は、本明細書で使用するとき、例えば線形速度、指数関数的速度を含み、横這い又は増加し得るという点で動的である。
「細孔」は、炭素材料(例えば、熱分解炭素材料、熱分解ポリマー組成物、活性炭材料、活性化ポリマー組成物等)にある、表面の開口又はくぼみ、又は貫通孔を指す。細孔は、単一の貫通孔でもよく、又は構造の全体を通して連続的なネットワークにおいて他の貫通孔と連結していてもよい。
「細孔構造」は、活性炭材料等の炭素材料内の内部細孔の表面の配置を指す。細孔構造の成分として、孔径、メソ細孔容積、表面積、密度、孔径分布及び細孔長さが挙げられる。一般に、活性炭材料の細孔構造は、ミクロ細孔及びメソ細孔を含む。例えば、特定の実施形態では、メソ細孔に対するミクロ細孔の比が、電気化学的性能の向上のために最適化されている。
「メソ細孔」は、通常は、2ナノメートル~50ナノメートルの範囲の直径を有する細孔を指し、一方、用語「ミクロ細孔」は、2ナノメートル未満の直径を有する細孔を指す。
「表面積」は、BET技術により測定可能な、物質の全比表面積を指す。表面積は、典型的にはm2/gの単位で表される。BET(ブルナウアー/エメット/テラー)技術は、不活性ガス(例えば、窒素)を利用して、材料上に吸着されたガスの量を測定するもので、当技術分野において材料の接触可能な表面積を決定するために一般的に使用される。
「連結した」は、メソ細孔及びミクロ細孔に関連して使用されるとき、このような細孔の空間的方向性を指す。
「有効長さ」は、細孔の長さのうち、電解質から塩イオンを受け取るために利用できる十分な直径の部分の長さを指す。
「電極」は、活性材料を含む、セルの正又は負の構成要素(例えば、コンデンサ、電池等)を指す。電極は、一般に、電気が電極を出入りする際に通る1つ以上の金属リードを備える。
「バインダー」は、バインダーと粒子を共に混合した後、得られた混合物が、シート、ペレット、ディスク又は他の形状に形成できるように、物質(例えば、炭素材料)の個々の粒子を共に保持することが可能な材料を指す。特定の実施形態では、電極は、本明細書に記載の方法の実施形態に従って調製された炭素材料と、バインダーとを含み得る。バインダーの非限定的な例として、フルオロポリマー、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、Teflon)、PFA(ペルフルオロアルコキシポリマー樹脂、Teflonとしても公知)、FEP(フッ化エチレンプロピレン、Teflonとしても公知)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン、Tefzel及びFluonとして販売)、PVF(フッ化ポリビニル、Tedlarとして販売)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン、Halarとして販売)、PVDF(フッ化ポリビニリデン、Kynarとして販売)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン、Kel-F及びCTFEとして販売)、トリフルオロエタノール並びにこれらの組合せ等が挙げられる。
「不活性」は、電気エネルギー貯蔵装置の電解質中で活性ではない、即ち、大量のイオンを吸収しないか、又は化学的に変化しない(例えば、分解しない)材料を指す。
「導電性」は、緩く保持された価電子の伝達によって材料が電子を伝導する能力を指す。
「集電体」は、電気エネルギー貯蔵及び/又は分配デバイスのうち、デバイスに出入りする電気の流れを促進する電気的接続を提供する部分を指す。集電体は、金属及び/又は他の導電性材料を含むことが多く、電極に出入りする電気の流れを促進するための、電極のバッキングとして使用可能である。
「電解質」は、物質が導電性となるような自由イオンを含有する物質を意味する。電解質は、電気的エネルギー貯蔵デバイスに一般的に利用される。電解質の例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、又はこれらの混合物等の溶媒を、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、TEATFB(テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラート)、MTEATFB(メチルトリエチルアンモニウムテトラフルオロボラート)、EMITFB(1-エチル-3-メチルイミドアゾリウムテトラフルオロボラート)、テトラエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等をベースとする塩、又はこれらの混合物)等の溶質と組合せたものが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、電解質は、水性酸又は水性塩基の電解質、例えば、希硫酸水溶液又は水酸化カリウム水溶液であり得る。
【0018】
A.炭素材料の調製
電気化学的変性剤を含み、かつ表面積が大きく、多孔度が高く、不要な不純物のレベルが低い炭素材料を、ある種の乾燥プロセス(例えば凍結乾燥、超臨界乾燥又は空気乾燥)を使用することなく調製する方法の実施形態は、当該技術分野において公知ではない。表面積が大きく、多孔度が高い炭素材料を調製する現在の方法では、不要な不純物のレベルが高い、及び/又はコストのかかる乾燥処理を含む、炭素材料が得られる。これらの炭素材料に電気化学的変性剤を組み込むことによって調製される電極は、製造コストが実質的に多くかかる、及び/又は残留不純物により電気的性能が低い。
【0019】
従って、一実施形態では、本開示は
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーを共重合して樹脂混合物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、
c)上記樹脂混合物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含むポリマー組成物を形成するステップであって、ポリマー組成物中の溶媒濃度が、ポリマー組成物の全質量を基準にして少なくとも5質量%である、ステップ、及び
d)上記ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップ
を含む、方法を提供する。
いくつかのより具体的な実施形態では、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物の温度を、ある保持昇温速度で上昇し、反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、及び
c)任意で、ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップであって、硬化ポリマー組成物中の溶媒濃度が、硬化ポリマー組成物の全質量を基準にして少なくとも5質量%である、ステップ
を含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、方法は、硬化ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップを更に含む。別の実施形態では、方法は、ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップであって、硬化ポリマー組成物中の溶媒濃度が、硬化ポリマー組成物の全質量を基準にして少なくとも5質量%であるステップを更に含む。
【0020】
いくつかの具体的な実施形態では、硬化ポリマー組成物中の溶媒の濃度は、硬化ポリマー組成物の10質量%超である。いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物中の溶媒の濃度は、ポリマー組成物の20質量%超である。いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物中の溶媒の濃度は、硬化ポリマー組成物の約45質量%~約90質量%の範囲である。より具体的な実施形態では、硬化ポリマー組成物中の溶媒の濃度は、約50質量%~約75質量%である。より具体的な実施形態では、硬化ポリマー組成物中の溶媒の濃度は、約35質量%~約80質量%、約35質量%~約75質量%、約30質量%~約90質量%、約30質量%~約85質量%、約30質量%~約70質量%、約60質量%~約90質量%、又は約65質量%~約80質量%の範囲である。
従って、いくつかの実施形態では、熱分解の前に、硬化ポリマー組成物中の水分は、硬化ポリマー組成物の50質量%~約99質量%の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物中の溶媒の濃度は、約0質量%超~99質量%、約5質量%超~99質量%、約10質量%超~99質量%、約15質量%超~99質量%、約20質量%超~99質量%、約25質量%超~99質量%、約30質量%超~99質量%、約35質量%超~99質量%、約40質量%超~99質量%、約45質量%超~99質量%、約50質量%超~99質量%、約55質量%超~99質量%、約60質量%超~99質量%、約65質量%超~99質量%、約70質量%超~99質量%、約75質量%超~99質量%、約80質量%超~99質量%、約85質量%超~99質量%、約90質量%超~99質量%、約0質量%超~95質量%、約0質量%超~90質量%、約0質量%超~85質量%、約0質量%超~80質量%、約0質量%超~75質量%、約0質量%超~70質量%、約0質量%超~65質量%、約0質量%超~60質量%、約0質量%超~55質量%、約0質量%超~50質量%、約0質量%超~45質量%、約0質量%超~40質量%、約0質量%超~35質量%、約0質量%超~30質量%、約0質量%超~25質量%、約0質量%超~20質量%、約0質量%超~15質量%、約0質量%超~10質量%、約0質量%超~5質量%、約0質量%超~2.5質量%、又は約0質量%超~1質量%の範囲である。
【0021】
特定の具体的な実施形態では、硬化ポリマー組成物中の溶媒の濃度は、質量/質量、体積/体積又は質量/体積で測定したときに、硬化ポリマー組成物の約0.0超%~約90%の範囲である。他の実施形態では、硬化ポリマー組成物中の溶媒の濃度は、質量/質量、体積/体積又は質量/体積で測定したときに、硬化ポリマー組成物の約0.0超%~約88%、約0.0超%~約85%、約0.0超%~約82.5%、約0.0超%~約80%、約0.0超%~約77.5%、約0.0超%~約75%、約0.0超%~約72.5%、約0.0超%~約70%、約0.0超%~約67.5%、約0.0超%~約65%、約0.0超%~約62.5%、約0.0超%~約60%、約0.0超%~約57.5%、約0.0超%~約55%、約0.0超%~約52.5%、約0.0超%~約50%、約0.0超%~約47.5%、約0.0超%~約45%、約0.0超%~約42.5%、約0.0超%~約40%、約0.0超%~約37.5%、約0.0超%~約35%、約0.0超%~約32.5%、約0.0超%~約30%、約0.0超%~約27.5%、約0.0超%~約25%、約0.0超%~約22.5%、約0.0超%~約20%、約0.0超%~約17.5%、約0.0超%~約15%、約0.0超%~約12.5%、約0.0超%~約10%、約0.0超%~約7.5%、約0.0超%~約5%、約0.0超%~約2.5%、約0.0超%~約1%、約1%超~約90%、約2.5%超~約90%、約5%超~約90%、約7.5%超~約90%、約10%超~約90%、約12.5%超~約90%、約15%超~約90%、約17.5%超~約90%、約20%超~約90%、約22.5%超~約90%、約25%超~約90%、約27.5%超~約90%、約30%超~約90%、約32.5%超~約90%、約35%超~約90%、約37.5%超~約90%、約40%超~約90%、約42.5%超~約90%、約45%超~約90%、約47.5%超~約90%、約50%超~約90%、約52.5%超~約90%、約55%超~約90%、約57.5%超~約90%、約60%超~約90%、約62.5%超~約90%、約65%超~約90%、約67.5%超~約90%、約70%超~約90%、約72.5%超~約90%、約75%超~約90%、約77.5%超~約90%、又は約80%超~約90%の範囲である。
特定の実施形態では、硬化ポリマー組成物中の溶媒の濃度は、硬化ポリマー組成物の0.5質量%超、1質量%超、2質量%超、3質量%超、4質量%超、5質量%超、6質量%超、7質量%超、8質量%超、9質量%超、10質量%超、15質量%超、20質量%超、22.5質量%超、25質量%超、27.5質量%超、30質量%超、35質量%超、37.5質量%超、40質量%超、45質量%超、50質量%超、55質量%超、60質量%超、65質量%超、70質量%超、75質量%超、80質量%超、85質量%超、90質量%超、95質量%超又は99質量%超である。
【0022】
いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、約0.25質量%~約0.95質量%の触媒を更に含む。いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、約0.30質量%~約0.90質量%の触媒を更に含む。いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、約0.01質量%~約0.95質量%の触媒を更に含む。いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、約0.10質量%~約0.90質量%の触媒を更に含む。他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、約0.35質量%~約0.85質量%の触媒を更に含む。他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、約0.25質量%~約0.85質量%の触媒を更に含む。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、第1モノマー対触媒のモル比は約5:1~約2000:1であり、又は第1モノマー対触媒のモル比は約20:1~約200:1である。更なる実施形態では、第1モノマー対触媒のモル比は、約25:1~約100:1である。更なる実施形態では、第1モノマー対触媒のモル比は約25:1~約50:1である。更なる実施形態では、第1モノマー対触媒のモル比は約100:1~約5:1である。
第1モノマーがレゾルシノールであり、第2モノマーがホルムアルデヒドである特定の実施形態では、レゾルシノール対触媒の比は、得られる硬化ポリマー組成物及び炭素材料に所望の特性を得るために変動し得る。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、レゾルシノール対触媒のモル比は約10:1~約2000:1であり、又はレゾルシノール対触媒のモル比は約20:1~約200:1である。更なる実施形態では、レゾルシノール対触媒のモル比は約25:1~約100:1である。更なる実施形態では、レゾルシノール対触媒のモル比は約25:1~約50:1である。更なる実施形態では、レゾルシノール対触媒のモル比は約100:1~約5:1である。
【0023】
いくつかの具体的な実施形態では、反応混合物は、質量/質量、体積/体積又は質量/体積として測定して、反応混合物の約0.01%超の触媒濃度を有する。他の実施形態では、反応混合物は、質量/質量、体積/体積又は質量/体積として測定して、約0.02%超、約0.03%超、約0.04%超、約0.05%超、約0.10%超、約0.15%超、約0.20%超、約0.25%超、約0.30%超、約0.35%超、約0.37%超、約0.40%超、約0.42%超、約0.45%超、約0.47%超、約0.50%超、約0.52%超、約0.55%超、約0.57%超、約0.60%超、約0.62%超、約0.65%超、約0.67%超、約0.70%超、約0.72%超、約0.75%超、約0.77%超、約0.80%超、約0.82%超、約0.85%超、約0.90%超、約0.95%超、約1.0%超、約2.5%超、約5%超又は約10%超の触媒濃度を有する。
いくつかのより具体的な実施形態では、反応混合物は、質量/質量、体積/体積又は質量/体積として測定して、約0.01%超~約10%、約0.05%超~約8%、約0.10%超~約6%、約0.20%超~約5%、約0.20%超~約1%、約0.20%超~約0.95%、約0.20%超~約0.90%、約0.20%超~約0.85%、約0.25%超~約1%、約0.25%超~約0.95%、約0.25%超~約0.90%、約0.25%超~約0.90%、約0.30%超~約1%、約0.30%超~約0.95%、約0.30%超~約0.90%、約0.30%超~約0.85%、約0.35%超~約1%、約0.35%超~約0.95%、約0.35%超~約0.90%、約0.35%超~約0.85%又は約0.20%超~約0.35%の触媒濃度を有する。
【0024】
特定の実施形態では、硬化ポリマー組成物は更に、20質量%超の溶媒濃度を有し、触媒濃度は硬化ポリマー組成物の0.20質量%~約1質量%の範囲である。他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は更に、20質量%超の溶媒濃度を有し、触媒濃度は硬化ポリマー組成物の0.20質量%~約0.85質量%の範囲である。特定の実施形態では、硬化ポリマー組成物は更に、15質量%超の溶媒濃度を有し、触媒濃度は硬化ポリマー組成物の0.20質量%~約1質量%の範囲である。特定の実施形態では、硬化ポリマー組成物は更に、10質量%超の溶媒濃度を有し、触媒濃度は硬化ポリマー組成物の0.20質量%~約1質量%の範囲である。特定の実施形態では、硬化ポリマー組成物は更に、15質量%超の溶媒濃度を有し、触媒濃度は硬化ポリマー組成物の0.20質量%~約0.85質量%の範囲である。特定の実施形態では、硬化ポリマー組成物は更に、10質量%超の溶媒濃度を有し、触媒濃度は硬化ポリマー組成物の0.20質量%~約0.85質量%の範囲である。
【0025】
別の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るとともに、反応混合物を反応時間の間、反応温度に維持するステップ、
b)上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーを共重合して樹脂混合物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、
c)上記樹脂混合物を最高で硬化温度まで加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含むポリマー組成物を形成するステップ、及び
d)上記ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップ
を含む、方法を提供する。
追加の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るとともに、反応混合物を反応時間の間、反応温度に維持するステップ、
b)上記反応混合物の温度を、ある保持昇温速度で上昇し、反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、及び
c)任意で、ポリマー組成物を最高で硬化温度まで加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップ
を含む、方法を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、硬化ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップを更に含む。他の実施形態では、方法は、ポリマー組成物を最高で硬化温度まで加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップを更に含む。
【0027】
理論に束縛されるものではないが、出願人は、パラメータ(例えば、保持昇温速度、保持時間、保持温度、硬化昇温速度等)が、所望の特性を有する炭素材料を得るために必要な反応時間に影響することを発見した。従って、反応時間を、具体的な実施形態における他のパラメータを考慮して選択してもよい。例えば、具体的な一実施形態では、相対的に長い保持時間(例えば、7日)及び高い保持温度(例えば、130℃)が、比較的短い反応時間(例えば、約0時間超~約1時間)の根拠となり得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、反応温度は約15℃超、約20℃超、約25℃超、約30℃超、約31℃超、約32℃超、約33℃超、約33℃超、約34℃超、約35℃超、約36℃超、約37℃超、約38℃超、約39℃超、約40℃超、約41℃超、約42℃超、約43℃超、約44℃超、約45℃超、約46℃超、約47℃超、約48℃超、約49℃超、約50℃超、約52.5℃超、約55℃超、約57.5℃超、約60℃超、約62.5℃超、約65℃超、約67.5℃超、約70℃超、約72.5℃超、約75℃超、約77.5℃超、約80℃超、約82.5℃超、約85℃超、約87.5℃超、約90℃超、約95℃超、約100℃超、約105℃超、約110℃超、約115℃超、約120℃又は約125℃超である。
いくつかの実施形態では、反応温度は特定の範囲内である。例えば、いくつかの実施形態では、反応温度は約5℃~約80℃、約20℃~約60℃、約30℃~約50℃、約30℃~約45℃、約30℃~約40℃、約35℃~約50℃、約35℃~約45℃、約35℃~約40℃、約40℃~約60℃、約40℃~約55℃、約40℃~約50℃、約40℃~約45℃又は約45℃~約65℃の範囲である。
【0029】
いくつかの実施形態では、反応時間は、1日超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、8日超、9日超、10日超、11日超、12日超、13日超又は14日超である。
いくつかの実施形態では、反応時間は、約0時間超~約120時間、約0時間超~約110時間、約0時間超~約100時間、約0時間超~約90時間、約0時間超~約72時間、約0時間超~約60時間、約0時間超~約48時間、約0時間超~約36時間、約0時間超~約24時間、約0時間超~約12時間、約0時間超~約10時間、約0時間超~約8時間、約0時間超~約6時間、約0時間超~約5時間、約0時間超~約4時間、約0時間超~約3時間、約0時間超~約2時間、約0時間超~約1時間、約1時間超~約120時間、約2時間超~約120時間、約3時間超~約120時間、約4時間超~約120時間、約4時間超~約120時間、約5時間超~約120時間、約6時間超~約120時間、約8時間超~約120時間、約10時間超~約120時間、約12時間超~約120時間、約24時間超~約120時間、約36時間超~約120時間、約48時間超~約120時間、約60時間超~約120時間、約72時間超~約120時間又は約90時間超~約120時間の範囲である。
いくつかのより具体的な実施形態では、反応時間は、約0分超~約480分、約0分超~約240分、約0分超~約180分、約0分超~約120分、約0分超~約90分、約0分超~約60分、約0分超~約30分、約0分超~約20分、約0分超~約10分、約5分超~約480分、約10分超~約480分、約20分超~約480分、約30分超~約480分、約40分超~約480分、約60分超~約480分、約90分超~約480分、約120分超~約480分、約180分超~約480分又は約240分超~約480分の範囲である。
他の関連実施形態では、反応時間は約0時間超~約120時間の範囲である。より具体的な実施形態では、反応時間は約0時間超~約6時間の範囲である。より具体的な実施形態では、反応時間は約3時間超~約6時間の範囲である。
【0030】
特定の実施形態では、反応温度は約20℃~約130℃の範囲である。いくつかの実施形態では、反応温度は約38℃~約42℃の範囲である。いくつかの他の実施形態では、反応温度は約48℃~約52℃の範囲である。
他の具体的な実施形態では、反応温度は約20℃超~約150℃の範囲であり、保持温度は約20℃超~約150℃の範囲である。より具体的な実施形態では、反応温度は約25℃超~約80℃の範囲であり、保持温度は約40℃超~約120℃の範囲である。いくつかの実施形態では、反応温度は約25℃超~約50℃の範囲であり、保持温度は約60℃超~約120℃の範囲である。
いくつかの実施形態では、反応温度は約20℃~約30℃、約25℃~約35℃、約30℃~約40℃、約35℃~約40℃、約30℃~約35℃、約35℃~約45℃、約30℃~約50℃又は約45℃~約50℃の範囲である。
【0031】
更に別の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーを共重合して樹脂混合物を得るのに十分な保持温度で、ある保持時間の間、保持するステップ、
c)上記樹脂混合物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含むポリマー組成物を形成するステップ、及び
d)上記ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップ
を含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、方法は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物の温度を、ある保持昇温速度で上昇し、反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度で、ある保持時間の間保持するステップ、及び
c)任意で、ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップ
を含む。
いくつかのより具体的な実施形態では、方法は、硬化ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップを更に含む。他の実施形態では、方法は、ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップを更に含む。
【0032】
特定の実施形態では、反応混合物の屈折率が測定される。例えば、いくつかの実施形態では、反応混合物は約1.42~約1.46の範囲の屈折率を有する。いくつかの実施形態では、反応混合物は、約1.00超、約1.05超、約1.10超、約1.15超、約1.20超、約1.25超、約1.30超、約1.35超、約1.40超、約1.415超、約1.420超、約1.425超、約1.430超、約1.435超、約1.440超、約1.421超、約1.422超、約1.423超、約1.424超、約1.425超、約1.426超、約1.427超、約1.428超、約1.429超、約1.431超、約1.432超、約1.433超、約1.434超、約1.436超、約1.437超、約1.438超、約1.439超、約1.441超、約1.442超、約1.443超、約1.444超、又は約1.445超の屈折率を有する。
特定の実施形態では、屈折率は、約1.300~約1.500、約1.410~約1.450、約1.420~約1.440、約1.420~約1.439、約1.420~約1.438、約1.420~約1.437、約1.420~約1.436、約1.420~約1.435、約1.420~約1.434、約1.420~約1.433又は約1.425~約1.437の範囲である。
【0033】
ポリマー組成物及び/又は硬化ポリマー組成物を形成するための重合(例えば、共重合)は、当該技術分野において記載されている様々な手段によって達成でき、電気化学的変性剤の添加を含み得る。例えば、共重合は、好適なモノマー(例えば、第1及び第2モノマー)又はポリマー組成物と、任意で電気化学的変性剤とを、好適な触媒の存在下で、十分な時間にわたってインキュベートすることによって達成できる。反応時間及び/又は保持時間は、温度に応じて、数分又は数時間~数日の範囲の期間であり得る(温度が高いほど反応速度が速く、それに応じて必要な時間が短い)。反応温度及び/又は保持温度は、室温(例えば、1atmで25℃)から、出発溶液の沸点に近い(ただし、沸点より低い)温度までの範囲をとることができる。例えば、反応温度及び/又は保持温度は、約20℃~約90℃の範囲をとり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、保持温度は約15℃超、約20℃超、約25℃超、約30℃超、約31℃超、約32℃超、約33℃超、約33℃超、約34℃超、約35℃超、約36℃超、約37℃超、約38℃超、約39℃超、約40℃超、約41℃超、約42℃超、約43℃超、約44℃超、約45℃超、約46℃超、約47℃超、約48℃超、約49℃超、約50℃超、約52.5℃超、約55℃超、約57.5℃超、約60℃超、約62.5℃超、約65℃超、約67.5℃超、約70℃超、約72.5℃超、約75℃超、約77.5℃超、約80℃超、約82.5℃超、約85℃超、約87.5℃超、約90℃超、約95℃超、約100℃超、約105℃超、約110℃超、約115℃超、約120℃又は約125℃超である。
いくつかの実施形態では、保持温度は特定の範囲内である。例えば、いくつかの実施形態では、保持温度は約5℃~約150℃、約10℃~約140℃、約10℃~約130℃、約15℃~約120℃、約20℃~約120℃、約25℃~約120℃、約30℃~約110℃、約40℃~約100℃、約50℃~約90℃、約55℃~約85℃、約60℃~約80℃、約20℃~約70℃、又は約65℃~約85℃の範囲である。いくつかの具体的な実施形態では、保持温度は約20℃~約80℃の範囲である。特定の実施形態では、保持温度は約15℃~約120℃、約15℃~約80℃、約15℃~約40℃、約20℃~約30℃又は約20℃~約25℃の範囲である。
【0035】
いくつかの実施形態では、保持時間は約0時間超、約1時間超、約2時間超、約3時間超、約4時間超、約5時間超、約6時間超、約7時間超、約8時間超、約9時間超、約10時間超、約11時間超、約12時間超、約24時間超、約40時間超、約48時間超、約60時間超、約72時間超、約100時間超、約120時間超である。
いくつかの実施形態では、保持時間は1日超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、8日超、9日超、10日超、11日超、12日超、13日超又は14日超である。
いくつかの実施形態では、保持時間は1週間超、2週間超、3週間超、4週間超、1カ月超、2カ月超、3カ月超、4カ月超、5カ月超、6カ月超、7カ月超、8カ月超、9カ月超、10カ月超、11カ月超、12カ月超、18カ月超、24カ月超又は5年超である。
理論に束縛されるものではないが、出願人は、パラメータ(例えば、反応時間、反応温度、保持昇温速度、保持温度、硬化昇温速度等)が、所望の特性を有する炭素材料を得るために必要な保持時間に影響することを発見した。従って、保持時間を、具体的な実施形態における他のパラメータを考慮して選択してもよい。例えば、具体的な一実施形態では、相対的に長い反応時間(例えば、6時間)及び高い反応温度(例えば、85℃)が、比較的短い保持時間(例えば、約0時間超~約1時間)の根拠となり得る。
従って、いくつかの実施形態では、保持時間は約0時間超~約120時間、約0時間超~約110時間、約0時間超~約100時間、約0時間超~約90時間、約0時間超~約72時間、約0時間超~約60時間、約0時間超~約48時間、約0時間超~約36時間、約0時間超~約24時間、約0時間超~約12時間、約0時間超~約10時間、約0時間超~約8時間、約0時間超~約6時間、約0時間超~約5時間、約0時間超~約4時間、約0時間超~約3時間、約0時間超~約2時間、約0時間超~約1時間、約1時間超~約120時間、約2時間超~約120時間、約3時間超~約120時間、約4時間超~約120時間、約4時間超~約120時間、約5時間超~約120時間、約6時間超~約120時間、約8時間超~約120時間、約10時間超~約120時間、約12時間超~約120時間、約24時間超~約120時間、約36時間超~約120時間、約48時間超~約120時間、約60時間超~約120時間、約72時間超~約120時間又は約90時間超~約120時間の範囲である。
【0036】
いくつかのより具体的な実施形態では、反応時間は約0分超~約240分の範囲であり、保持時間は約0時間超~約240時間の範囲である。他の実施形態では、反応時間は約0分超~約120分の範囲であり、保持時間は約0時間超~約90時間の範囲である。いくつかの実施形態では、反応時間は約10分超~約180分の範囲であり、保持温度は約2時間超~約12時間の範囲である。他の実施形態では、反応時間は約30分超~約180分の範囲であり、保持時間は約2時間超~約8時間の範囲である。
いくつかの実施形態では、保持時間は約0時間超~約120時間の範囲である。より具体的な実施形態では、保持時間は約0時間超~約40時間の範囲である。いくつかの実施形態では、保持時間は約0時間超~約3時間の範囲である。いくつかの実施形態では、保持時間は約0時間超~約1カ月の範囲である。
特定の実施形態では、保持温度は約15℃~約120℃の範囲である。他の実施形態では、保持温度は約20℃~約80℃の範囲である。
【0037】
更に別の実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーを共重合して樹脂混合物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、
c)上記樹脂混合物を、初期温度から最高で硬化温度まで、少なくとも0.5℃/時の硬化昇温速度で上昇することによって加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含むポリマー組成物を形成するステップ、及び
d)上記ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップ
を含む、方法を提供する。
一実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)任意で、上記反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度に保持するステップ、
c)組成物を、初期温度から最高で硬化温度まで、少なくとも0.5℃/時の硬化昇温速度で上昇することによって加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップ
を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、方法は、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度に保持するステップを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、反応混合物の温度を保持昇温速度で上昇させるステップを更に含む。いくつかのより具体的な実施形態では、方法は、硬化ポリマー組成物を熱分解温度で熱分解し、それによって溶媒を実質的に除去すると共にポリマーを熱分解して、炭素材料を得るステップを更に含む。更に他の実施形態では、方法は、ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップを更に含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、硬化昇温速度は約0.5℃/時を超える。他の実施形態では、硬化昇温速度は約110℃/時を超える。他の実施形態では、硬化昇温速度は約0.75℃/時を超え、約0.9℃/時を超え、約1℃/時を超え、約2℃/時を超え、約3℃/時を超え、約4℃/時を超え、約5℃/時を超え、約10℃/時を超え、約15℃/時を超え、約20℃/時を超え、約25℃/時を超え、約30℃/時を超え、約35℃/時を超え、約40℃/時を超え、約45℃/時を超え、約50℃/時を超え、約55℃/時を超え、約60℃/時を超え、約65℃/時を超え、約70℃/時を超え、約75℃/時を超え、約80℃/時を超え、又は約100℃/時を超える。
いくつかの実施形態では、初期温度は約15℃~約30℃の範囲である。例えば、いくつかの実施形態では、初期温度は10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、37℃、38℃、39℃、又は40℃である。
【0039】
更に、硬化昇温速度は、炭素材料の最終組成に影響するパラメータである。従って、硬化昇温速度は、本開示の方法に使用される他のパラメータを考慮して選択される。いくつかの実施形態では、硬化昇温速度は約0.1℃/時を超え~約200℃/時、約0.5℃/時を超え~約150℃/時、約1℃/時を超え~約120℃/時、約3℃/時を超え~約120℃/時、約5℃/時を超え~約120℃/時、約10℃/時を超え~約120℃/時、約25℃/時を超え~約200℃/時、約40℃/時を超え~約200℃/時、約50℃/時を超え~約200℃/時、約60℃/時を超え~約200℃/時、約70℃/時を超え~約200℃/時、約80℃/時を超え~約200℃/時、約90℃/時を超え~約200℃/時、約100℃/時を超え~約200℃/時、約100℃/時を超え~約190℃/時、約100℃/時を超え~約180℃/時、約100℃/時を超え~約170℃/時、約100℃/時を超え~約160℃/時、約100℃/時を超え~約150℃/時、約100℃/時を超え~約140℃/時、約100℃/時を超え~約130℃/時、約100℃/時を超え~約120℃/時又は約100℃/時を超え~約110℃/時の範囲である。
【0040】
いくつかの実施形態では、保持昇温速度はポリマー及び/又は炭素材料の最終組成に影響するパラメータである。保持昇温速度は、本開示の方法に使用される他のパラメータを考慮して選択される。いくつかの実施形態では、保持昇温速度は、約0.1℃/時を超え~約200℃/時、約0.5℃/時を超え~約150℃/時、約1℃/時を超え~約120℃/時、約3℃/時を超え~約120℃/時、約5℃/時を超え~約120℃/時、約10℃/時を超え~約120℃/時、約25℃/時を超え~約200℃/時、約40℃/時を超え~約200℃/時、約50℃/時を超え~約200℃/時、約60℃/時を超え~約200℃/時、約70℃/時を超え~約200℃/時、約80℃/時を超え~約200℃/時、約90℃/時を超え~約200℃/時、約100℃/時を超え~約200℃/時、約100℃/時を超え~約190℃/時、約100℃/時を超え~約180℃/時、約100℃/時を超え~約170℃/時、約100℃/時を超え~約160℃/時、約100℃/時を超え~約150℃/時、約100℃/時を超え~約140℃/時、約100℃/時を超え~約130℃/時、約100℃/時を超え~約120℃/時又は約100℃/時を超え~約110℃/時の範囲である。
いくつかのより具体的な実施形態では、保持昇温速度は約3℃/時を超える。いくつかの実施形態では、保持昇温速度は約10℃/時を超える。いくつかの具体的な実施形態では、保持昇温速度は約100℃/時を超える。
【0041】
いくつかの実施形態では、温度及び昇温速度は、内部測定デバイス(例えば、温度計又は熱電対)を用いて決定される。従って、いくつかの実施形態では、温度及び/又は昇温速度は、内部温度読取を用いて(即ち、反応混合物、樹脂混合物、ポリマー組成物、及び/又は硬化ポリマー組成物の内部温度を決定することによって)決定される。従って、いくつかの実施形態では、保持昇温速度は、反応混合物内の内部温度読取(例えば、熱電対による)から決定される。いくつかの他の実施形態では、保持温度は、反応混合物内の内部温度読取(例えば、熱電対による)から決定される。特定の実施形態では、硬化温度は、樹脂混合物内の内部温度読取(例えば、熱電対による)から決定される。特定の実施形態では、硬化温度は、ポリマー組成物内の内部温度読取(例えば、熱電対による)から決定される。いくつかの実施形態では、熱分解温度は、硬化ポリマー組成物内の内部温度読取(例えば、熱電対による)から決定される。
【0042】
有利には、本明細書に開示される方法の実施形態は、表面積が大きく、多孔度が高く、及び/又は不要な不純物のレベルが低い炭素材料を得るように修正できる。いくつかの実施形態では、方法は、熱分解後の炭素材料の活性化を更に含む。本方法の実施形態は、電気化学的変性剤を任意の数のステップで組み込むことができる大きな柔軟性を提供する。他の実施形態では、第2の炭素材料又は他の供給源由来の材料(例えば、カーボンナノチューブ、炭素繊維等)に電気化学的変性剤を含浸し、本明細書に開示される方法によって調製された炭素材料と組合せることができる。一実施形態では、方法は、炭素材料を電気化学的変性剤と組合せるステップを更に含む。本開示の方法の様々な実施形態の可変プロセスパラメータの詳細を、以下に記載する。
【0043】
最終的な炭素材料組成物及び特徴に影響する別のパラメータは、硬化温度である。特定の実施形態では、硬化温度は約80℃~約300℃の範囲である。いくつかのより具体的な実施形態では、硬化温度は約50℃超、約55℃超、約60℃超、約65℃超、約70℃超、約75℃超、約80℃超、約85℃超、約90℃超、約95℃超、約100℃超、約105℃超、約110℃超、約120℃超、約130℃超、約135℃超、約140℃超、約150℃超、約160℃超、約170℃超、約180℃超、約190℃、約200℃超、約250℃超又は約300℃超である。
いくつかの実施形態では、硬化温度は約70℃~約200℃、約80℃~約150℃、約80℃~約120℃又は約80℃~約110℃の範囲である。
特定の実施形態では、硬化温度は約50℃超~約500℃、約60℃超~約500℃、約70℃超~約500℃、約80℃超~約500℃、約90℃超~約500℃、約95℃超~約500℃超、約100℃~約500℃超、約120℃~約500℃超、約150℃~約500℃超、約180℃~約500℃、約80℃超~約400℃、約80℃超~約300℃、約80℃超~約200℃、約80℃超~約150℃、約80℃超~約120℃、約85℃超~約115℃、約85℃超~約110℃、約85℃超~約105℃又は約85℃超~約100℃の範囲である。
【0044】
いくつかの具体的な実施形態では、硬化昇温速度は約3℃/時を超え、硬化温度は約50℃超~約500℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化昇温速度は約10℃/時を超え、硬化温度は約75℃超~約150℃の範囲である。別の実施形態では、硬化昇温速度は約80℃/時を超え、硬化温度は約75℃超~約150℃の範囲である。別の実施形態では、硬化昇温速度は約100℃/時を超え、硬化温度は約75℃超~約150℃の範囲である。
【0045】
いくつかの実施形態では、硬化温度は約0時間超~約96時間の範囲の期間にわたって維持される。例えば、いくつかの実施形態では、硬化温度は約0時間超~約48時間、約0時間超~約24時間の範囲の期間にわたって維持される。いくつかの実施形態では、硬化温度は、約0時間超~約480時間、約0時間超~約240時間、約0時間超~約120時間、約0時間超~約90時間、約0時間超~約84時間、約0時間超~約72時間、約0時間超~約60時間、約0時間超~約36時間、約0時間超~約22時間、約0時間超~約20時間、約0時間超~約18時間、約0時間超~約16時間、約0時間超~約14時間、約0時間超~約12時間、約0時間超~約10時間、約0時間超~約8時間、約0時間超~約7時間、約0時間超~約6時間、約0時間超~約5時間、約0時間超~約4時間、約0時間超~約3時間、約0時間超~約2時間、約0時間超~約1時間、約0時間超~約0.5時間、約0.5時間超~約480時間、約1時間超~約480時間、約2時間超~約480時間、約3時間超~約480時間、約4時間超~約480時間、約5時間超~約480時間、約6時間超~約480時間、約7時間超~約480時間、約8時間超~約480時間、約10時間超~約480時間、約12時間超~約480時間、約14時間超~約480時間、約16時間超~約480時間、約18時間超~約480時間、約20時間超~約480時間、約22時間超~約480時間、約24時間超~約480時間、約36時間超~約480時間、約48時間超~約480時間、約60時間超~約480時間、約72時間超~約480時間、約84時間超~約480時間、約96時間超~約480時間又は約120時間超~約480時間の範囲の期間にわたって維持される。
いくつかの実施形態では、硬化温度は、約0時間超、約0.5時間超、約0.75時間超、約1時間超、約1.5時間超、約1.75時間超、約2時間超、約3時間超、約4時間超、約5時間超、約6時間超、約7時間超、約8時間超、約9時間超、約10時間超、約11時間超、約12時間超、約14時間超、約16時間超、約18時間超、約20時間超、約22時間超、約24時間超、約26時間超、約28時間超、約30時間超、約36時間超、約48時間超、約60時間超、約72時間超、約84時間超、約96時間超、約120時間超、約240時間超又は約480時間超の期間にわたって維持される。
【0046】
いくつかの実施形態では、樹脂混合物は、加熱の間、周囲雰囲気下にある。いくつかの実施形態では、方法は、熱分解の前に乾燥ステップを含まない。いくつかのより具体的な実施形態では、乾燥ステップは、凍結乾燥、超臨界乾燥、又はこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、乾燥ステップは蒸発を含む。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、加熱の間、周囲雰囲気下にある。いくつかの実施形態では、方法は、熱分解の前に乾燥ステップを含まない。いくつかのより具体的な実施形態では、乾燥ステップは、凍結乾燥、超臨界乾燥、又はこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、乾燥ステップは蒸発を含む。
特定の実施形態では、炭素材料は、改良されたゾルゲルプロセスによって調製される。例えば、いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、1つ以上のモノマーを、適切な溶媒中で組合せて、溶媒(例えば、水)を含む硬化ポリマー組成物をもたらすことによって調製できる。一実施形態では、硬化ポリマー組成物は、酸性条件下で合成される。別の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、塩基性条件下で合成される。
【0047】
特定の実施形態では、炭素材料は、改良されたゾルゲルプロセスによって調製される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、1つ以上のモノマーを、適切な溶媒中で組合せて、溶媒(例えば、水)を含むポリマー組成物をもたらすことによって調製できる。一実施形態では、ポリマー組成物は、酸性条件下で合成される。別の実施形態では、ポリマー組成物は、塩基性条件下で合成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1モノマーはフェノール化合物である。いくつかの実施形態では、第2モノマーはアルデヒド化合物である。一実施形態では、フェノール化合物は、フェノール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノール、又はこれらの組合せである。いくつかの実施形態では、アルデヒド化合物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、又はこれらの組合せである。更なる実施形態では、フェノール化合物はレゾルシノール、フェノール、又はこれらの組合せであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。更なる実施形態では、フェノール化合物は、レゾルシノールであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。
いくつかの実施形態では、第1モノマーはレゾルシノールである。いくつかの実施形態では、第1モノマーはフェノールとレゾルシノールの組合せである。いくつかの実施形態では、第2モノマーは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド(butyradehyde)又はこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、第2モノマーはホルムアルデヒドである。
いくつかの具体的な実施形態では、フェノール化合物は以下の構造を有し:
【化1】
式中、
R
1、R
2、R
3及びR
4は各々独立して、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アシル、カルボキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、メタクリレート、アクリレート、シリルエーテル、シロキサン、アラルキル又はアルカリールであり、R
1、R
2及びR
4のうちの少なくとも2つはHである。
【0049】
特定の実施形態では、触媒対第1モノマー(例えば、フェノール化合物)のモル比は、ポリマー組成物の最終特性及び炭素材料の最終特性に影響し得る。従って、いくつかの実施形態では、かかる触媒は、フェノール化合物:触媒のモル比が5:1~2000:1の範囲で使用される。いくつかの実施形態では、かかる触媒は、フェノール化合物:触媒のモル比が20:1~200:1の範囲で使用できる。例えば、他の実施形態では、かかる触媒は、フェノール化合物:触媒のモル比が5:1~100:1の範囲で使用できる。
第1モノマーがレゾルシノールであり、第2モノマーがホルムアルデヒドである具体的な実施形態では、保持温度は約20℃~約100℃、典型的には約25℃~約90℃の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、保持温度は、触媒の存在下、好適なモノマーを約90℃で少なくとも24時間インキュベーションすることによって達成できる。一般的に、共重合は、約90℃で約6~約24時間、例えば約90℃で約18~約24時間の保持時間で達成できる。
【0050】
本明細書に開示されるモノマーとしては、(a)アルコール、フェノール化合物、及び他のモノ-又はポリヒドロキシ化合物(例えば、第1モノマー)及び(b)アルデヒド、ケトン、及びこれらの組合せ(例えば、第2モノマー)が挙げられる。この文脈における代表的なアルコールとしては、直鎖及び分枝の、飽和及び不飽和のアルコールが挙げられる。好適なフェノール化合物として、ジヒドロキシベンゼン又はトリヒドロキシベンゼン等のポリヒドロキシベンゼンが挙げられる。代表的なポリヒドロキシベンゼンとして、レゾルシノール(即ち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノン、及びフロログルシノールが挙げられる。2つ以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物も使用できる。フェノール(モノヒドロキシベンゼン)も使用できる。代表的なポリヒドロキシ化合物として、グルコース等の糖、及びマンニトール等の他のポリオールが挙げられる。この文脈におけるアルデヒドとしては、メタナール(ホルムアルデヒド)、エタナール(アセトアルデヒド)、プロパナール(プロピオンアルデヒド)、及びブタナール(ブチルアルデヒド)等の直鎖飽和アルデヒド;エテノン及び他のケテン、2-プロペナール(アクリルアルデヒド)、2-ブテナール(クロトンアルデヒド)、及び3ブテナール等の直鎖不飽和アルデヒド;分枝の飽和及び不飽和アルデヒド;並びにベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、及びヒドロシンナムアルデヒド等の芳香族型アルデヒドが挙げられる。好適なケトンとしては、プロパノン及び2ブタノン等の直鎖飽和ケトン;プロペノン、2ブテノン、及び3-ブテノン(メチルビニルケトン)等の直鎖不飽和ケトン;分枝の飽和及び不飽和ケトン;並びにメチルベンジルケトン(フェニルアセトン)、エチルベンジルケトン等の芳香族型ケトンが挙げられる。第1モノマー及び第2モノマーは、上記のモノマーの組合せであってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1モノマーはアルコール含有種であり、第2モノマーはカルボニル含有種である。カルボニル含有種(例えば、アルデヒド、ケトン又はこれらの組合せ)と反応するアルコール含有種(例えば、アルコール、フェノール化合物及びモノ-若しくはポリ-ヒドロキシ化合物又はこれらの組合せ)の相対量は、実質的に変化し得る。いくつかの実施形態では、アルコール含有種のアルデヒド種に対する比は、アルコール含有種中の反応性アルコール基の全モル数が、アルデヒド種中の反応性カルボニル基の全モル数とほぼ同じであるように選択される。同様に、アルコール含有種のケトン種に対する比は、アルコール含有種中の反応性アルコール基の全モル数が、ケトン種中の反応性カルボニル基の全モル数とほぼ同じであるように選択され得る。カルボニル含有種が、アルデヒド種とケトン種の組合せを含む場合、同じく概ね1:1のモル比が当てはまる。
【0052】
いくつかの実施形態では、モル比は変動する。例えば、いくつかの実施形態では、反応混合物の第1モノマー対第2モノマーの比は約1超:1である。例えば、いくつかの具体的な実施形態では、反応混合物は、第1モノマー対第2モノマーの比が約1.09超:1である。いくつかの実施形態では、反応混合物は、第1モノマー対第2モノマーの比が約1.2:1である。いくつかの具体的な実施形態では、第1モノマー対第2モノマーの比は約1:1~約3:1の範囲である。いくつかの実施形態では、第1モノマー対第2モノマーの比は約1:1~約2:1の範囲である。いくつかの実施形態では、第1モノマー対第2モノマーの比は約1.01超:1、約1.02超:1、約1.03超:1、約1.04超:1、約1.05超:1、約1.06超:1、約1.07超:1、約1.08超:1、約1.10超:1、約1.11超:1、約1.12超:1、約1.13超:1、約1.14超:1、約1.15超:1、約1.16超:1、約1.17超:1、約1.18超:1、約1.19超:1、又は約1.20超:1である。
いくつかの実施形態では、反応混合物は、第1モノマー対第2モノマーの比が約1.6:1である。いくつかの具体的な実施形態では、第1モノマー対第2モノマーの比は約1:1~約3:1の範囲である。いくつかの実施形態では、第1モノマー対第2モノマーの比は約1:1~約2:1の範囲である。いくつかの実施形態では、第1モノマー対第2モノマーの比は約1.1超:1、約1.2超:1、約1.3超:1、約1.4超:1、約1.45超:1、約1.50超:1、約1.55超:1、約1.6超:1である。
いくつかの実施形態では、第1モノマー対第2モノマーの比は約1:1~約2:1、約1.4:1~約2:1、約1.3:1~約2:1、約1.4:1~約2:1、約1.5:1~約2:1、約1.5:1~約1.9:1、約1.5:1~約1.8:1、約1.4:1~約1.9:1、約1.4:1~約1.8:1、又は約1.5:1~約1.7:1の範囲である。
【0053】
モノマー濃度は、反応速度論、反応によって生じる熱の度合い、並びにポリマー及び/又は最終的な炭素材料に影響する。モノマー濃度は、所望のプロセス又は最終生成物の要求に適合するように選択できる。更に、モノマー濃度は、他の選択された方法パラメータに基づいて変化し得ることから、大きく変動し得る。
【0054】
従って、特定の実施形態では、第1モノマーの濃度は、質量/質量、体積/体積又は質量/体積として測定して、反応混合物の約0%を超え約99%未満である。より具体的な実施形態では、第1モノマーの濃度は、質量/質量、体積/体積又は質量/体積として測定して、反応混合物の約0.1%超、約0.5%超、約1.0%超、約2.0%超、約5.0%超、約10.0%超、約15.0%超、約20.0%超、約25.0%超、約30.0%超、約32.5%超、約35.0%超、約37.5%超、約40.0%超、約42.5%超、約45.0%超、約47.5%超、約50.0%超、約52.5%超、約55.0%超、約57.5%超、約60.0%超、約65.0%超、約67.5%超、約70.0%超、約75.0%超、約80.0%超、約85.0%超、約90.0%超又は約95.0%超である。
いくつかのより具体的な実施形態では、第1モノマーの濃度は、反応混合物の約0質量%超~99質量%、約5質量%超~99質量%、約10質量%超~99質量%、約15質量%超~99質量%、約20質量%超~99質量%、約25質量%超~99質量%、約30質量%超~99質量%、約35質量%超~99質量%、約40質量%超~99質量%、約45質量%超~99質量%、約50質量%超~99質量%、約55質量%超~99質量%、約60質量%超~99質量%、約65質量%超~99質量%、約70質量%超~99質量%、約75質量%超~99質量%、約80質量%超~99質量%、約85質量%超~99質量%、約90質量%超~99質量%、約0質量%超~95質量%、約0質量%超~90質量%、約0質量%超~85質量%、約0質量%超~80質量%、約0質量%超~75質量%、約0質量%超~70質量%、約0質量%超~65質量%、約0質量%超~60質量%、約0質量%超~55質量%、約0質量%超~50質量%、約0質量%超~45質量%、約0質量%超~40質量%、約0質量%超~35質量%、0質量%超~30質量%、約0質量%超~25質量%、約0質量%超~20質量%、約0質量%超~15質量%、約0質量%超~10質量%、約0質量%超~5質量%、約0質量%超~2.5質量%又は約0質量%超~1質量%である。
【0055】
特定の実施形態では、第2モノマーの濃度は、質量/質量、体積/体積又は質量/体積として測定して、反応混合物の約0%を超え約99%未満である。より具体的な実施形態では、第1モノマーの濃度は、質量/質量、体積/体積又は質量/体積として測定して、反応混合物の約0.1%超、約0.5%超、約1.0%超、約2.0%超、約5.0%超、約10.0%超、約15.0%超、約20.0%超、約25.0%超、約30.0%超、約32.5%超、約35.0%超、約37.5%超、約40.0%超、約42.5%超、約45.0%超、約47.5%超、約50.0%超、約52.5%超、約55.0%超、約57.5%超、約60.0%超、約65.0%超、約67.5%超、約70.0%超、約75.0%超、約80.0%超、約85.0%超、約90.0%超又は約95.0%超である。
いくつかのより具体的な実施形態では、第2モノマーの濃度は、反応混合物の約0質量%超~99質量%、約5質量%超~99質量%、約10質量%超~99質量%、約15質量%超~99質量%、約20質量%超~99質量%、約25質量%超~99質量%、約30質量%超~99質量%、約35質量%超~99質量%、約40質量%超~99質量%、約45質量%超~99質量%、約50質量%超~99質量%、約55質量%超~99質量%、約60質量%超~99質量%、約65質量%超~99質量%、約70質量%超~99質量%、約75質量%超~99質量%、約80質量%超~99質量%、約85質量%超~99質量%、約90質量%超~99質量%、約0質量%超~95質量%、約0質量%超~90質量%、約0質量%超~85質量%、約0質量%超~80質量%、約0質量%超~75質量%、約0質量%超~70質量%、約0質量%超~65質量%、約0質量%超~60質量%、約0質量%超~55質量%、約0質量%超~50質量%、約0質量%超~45質量%、約0質量%超~40質量%、約0質量%超~35質量%、0質量%超~30質量%、約0質量%超~25質量%、約0質量%超~20質量%、約0質量%超~15質量%、約0質量%超~10質量%、約0質量%超~5質量%、約0質量%超~2.5質量%又は約0質量%超~1質量%の範囲である。
いくつかのより具体的な実施形態では、第1モノマーの濃度は反応混合物の約10.0質量%~約50.0質量%の範囲であり、第2モノマーの濃度は約5.0質量%~約50.0質量%の範囲である。別の実施形態では、第1モノマーの濃度は反応混合物の約10.0質量%~約50.0質量%の範囲であり、第2モノマーの濃度は約5.0質量%~約35.0質量%の範囲である。別のより具体的な実施形態では、第1モノマーの濃度は反応混合物の約15.0質量%~約40.0質量%の範囲であり、第2モノマーの濃度は約10.0質量%~約25.0質量%の範囲である。具体的な一実施形態では、第1モノマーの濃度は反応混合物の約25.0質量%~約35.0質量%の範囲であり、第2モノマーの濃度は約10.0質量%~約20.0質量%の範囲である。
【0056】
反応混合物、樹脂混合物、ポリマー組成物、及び/又は硬化ポリマー組成物中の総固形分は変動し得る。いくつかの実施形態では、反応混合物中の固体(例えば、レゾルシノール)対液体(例えば、溶媒)の質量比は、約0.05対1~約0.70対1、約0.15対1~約0.6対1、約0.15対1~約0.35対1、約0.25対1~約0.5対1、約0.3対1~約0.4対1、約1対1~約4対1、約1対1~約3対1、約1対1~約2対1、約1.1対1~約3対1、約1.2対1~約3対1、約1.4対1~約2対1、約1.3対1~約2対1、約1.4対1~約3対1、約1.5対1~約2対1、約1.5対1~約3対1、約1.5対1~約2.5対1、又は約1.5対1~約4対1の範囲である。
【0057】
上記の他のいくつかの実施形態では、溶媒は酸性である。例えば、特定の実施形態では、溶媒は酢酸を含む。例えば、一実施形態では、溶媒は100%酢酸である。本開示の方法のいくつかの実施形態は、溶媒交換ステップ(例えば、t-ブタノールを水と交換する)を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物中の固体対液体(例えば、溶媒)の質量比は、約0.05対1~約0.70:1、約0.15対1~約0.6対1、約0.15対1~約0.35対1、約0.25対1~約0.5対1、又は約0.3対1~約0.4対1の範囲である。
【0059】
本明細書に開示される炭素材料の調製に有用な溶媒の例としては、水、又はアルコール、例えば、エタノール、tブタノール、メタノール若しくはこれらの組合せ、並びにこれらの混合水溶液が挙げられるがこれらに限定されない。かかる溶媒は、モノマーの溶解、例えばフェノール化合物の溶解に有用である。加えて、いくつかのプロセスでは、かかる溶媒はポリマー組成物における溶媒交換(熱交換の前の)に用いられ、この場合、反応混合物又はポリマー組成物からの溶媒(例えば水及び酢酸)は、純アルコールと交換される。
炭素材料の調製において好適な触媒としては、ポリマー組成物から硬化ポリマー組成物への共重合を促進する揮発性塩基触媒が挙げられる。触媒は、上記の触媒の様々な組合せも含むことができる。フェノール化合物を含む実施形態では、かかる触媒は、フェノール化合物:触媒のモル比が5:1~200:1、10:1~150:1、15:1~100:1、20:1~90:1、25:1~150:1、30:1~120:1、又は40:1~110:1の範囲で使用できる。例えば、いくつかの具体的な実施形態では、かかる触媒は、フェノール化合物:触媒のモル比が25:1~100:1の範囲で使用できる。
特定の実施形態では、触媒は塩基性である。より具体的な実施形態では、触媒は酢酸アンモニウムを含む。いくつかの実施形態では、触媒は塩基性揮発性触媒を含む。例えば、一実施形態では、塩基性揮発性触媒は、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、又はこれらの組合せを含む。更なる実施形態では、塩基性揮発性触媒は炭酸アンモニウムである。別の更なる実施形態では、塩基性揮発性触媒は酢酸アンモニウムである。
反応溶媒は、硬化ポリマー組成物及び炭素材料の所望の特性(例えば、表面積、多孔度、純度等)を得るために変えてもよい別のプロセスパラメータである。いくつかの実施形態では、溶媒は、水及び混和性共溶媒の混合溶媒系である。例えば、特定の実施形態では、溶媒は水及び混和性酸を含む。より具体的な実施形態では、混和性酸は酢酸である。水混和性酸の他の例として、プロピオン酸及びギ酸が挙げられるが、これらに限定されない。更なる実施形態では、溶媒は、水混和性酸の水に対する比が99:1、90:10、75:25、50:50、25:75、10:90又は1:90である。他の実施形態では、酸性度は、反応溶媒に固体酸を添加することによって付与される。
いくつかの実施形態では、反応混合物は更にメタノールを含む。いくつかのより具体的な実施形態では、メタノールの濃度は、反応混合物の約0.0質量%超~約5.0質量%の範囲である。
【0060】
理論に束縛されるものではないが、出願人は、反応容器は、方法の異なる部分がどのように進行するか、即ち、異なる構成成分(例えば、反応混合物、ポリマー組成物、硬化ポリマー組成物、及び/又は炭素材料)の品質に、重大な影響を及ぼし得ることを発見した。具体的には、反応容器の「アスペクト比」又は表面積対容積の比を、所望の生成物の特性を改善するように選択できる。
【0061】
従って、一実施形態は、
a)溶媒と、触媒と、第1モノマーと、第2モノマーとを組合せて反応混合物を得るステップ、
b)容積が10Lを超え、表面積対容積のアスペクト比が約3m2/m3を超える反応容器に、反応混合物を移すステップ、
c)上記反応混合物の温度を、ある保持昇温速度で上昇し、反応混合物を、第1モノマーと第2モノマーとを共重合してポリマー組成物を得るのに十分な保持温度で、ある保持時間の間保持するステップ、及び
d)任意で、ポリマー組成物を硬化温度で加熱し、それによって、溶媒と、第1モノマーと第2モノマーとの共重合から形成されたポリマーと、を含む硬化ポリマー組成物を形成するステップ
を含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、反応容器は約50L超の容積を有する。特定の実施形態では、反応容器は約75L超の容積を有する。いくつかの実施形態では、反応容器は約150L超の容積を有する。特定の実施形態では、反応容器は約190L超の容積を有する。いくつかの他の実施形態では、反応容器は約1900L超の容積を有する。いくつかの具体的な実施形態では、反応容器は約0.240L超、約0.500L超、約1L超、約5L超、約10L超、約20L超、約30L超、約40L超、約50L超、約60L超、約70L超、約80L超、約90L超、約100L超、約110L超、約120L超、約130L超、約140L超、約200L超、約250L超、約300L超、約350L超、約400L超、約450L超、約500L超、約600L超、約700L超、約800L超、約900L超、約1000L超、又は約1500L超の容積を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、アスペクト比は約5m2/m3超である。いくつかの実施形態では、アスペクト比は約7.5m2/m3超である。いくつかの具体的な実施形態で、アスペクト比は約50m2/m3超である。特定の実施形態では、アスペクト比は約100m2/m3超である。他の実施形態では、アスペクト比は約200m2/m3である。
いくつかの実施形態では、保持するステップは、表面積対容積比(アスペクト比)が0.5m2/m3~約15m2/m3の範囲の反応容器内で行われる。いくつかの実施形態では、表面積対容積比(アスペクト比)は約0.1m2/m3~約30m2/m3、約0.5m2/m3~約30m2/m3、約1m2/m3~約30m2/m3、約5m2/m3~約30m2/m3、約10m2/m3~約30m2/m3、約11m2/m3~約30mm2/m3、約12m2/m3~約30m2/m3、約13m2/m3~約30m2/m3、約14m2/m3~約30m2/m3、約15m2/m3~約30m2/m3、約0.1m2/m3~約25m2/m3、約0.1m2/m3~約20m2/m3、約0.1m2/m3~約19m2/m3、約0.1m2/m3~約18m2/m3、約0.1m2/m3~約17.5m2/m3、約0.1m2/m3~約17m2/m3、約0.1m2/m3~約16.5m2/m3、約0.1mm2/m3~約16mm2/m3、約0.1m2/m3~約15.5m2/m3、約0.1m2/m3~約15m2/m3、約0.1m2/m3~約14.5m2/m3、約0.1m2/m3~約14m2/m3、約0.1m2/m3~約13.5m2/m3、約0.1m2/m3~約13m2/m3、約10m2/m3~約15m2/m3又は約5m2/m3~約15m2/m3の範囲である。
いくつかの実施形態では、保持するステップは、表面積対容積比(アスペクト比)が0.1m2/m3超、0.2m2/m3超、0.3m2/m3超、0.4m2/m3超、0.5m2/m3超、0.6m2/m3超、0.75m2/m3超、1m2/m3超、1.5m2/m3超、2m2/m3超、2.5m2/m3超、3m2/m3超、3.5m2/m3超、4m2/m3超、4.5m2/m3超、5m2/m3超、5.5m2/m3超、6m2/m3超、6.5m2/m3超、7m2/m3超、7.5m2/m3超、8m2/m3超、8.5m2/m3超、9m2/m3超、9.5m2/m3超、10m2/m3超、10.5m2/m3超、11m2/m3超、11.5m2/m3超、12m2/m3超、12.5m2/m3超、13m2/m3超、13.5m2/m3超、14m2/m3超、14.5m2/m3超、14.5m2/m3超、15m2/m3超、20m2/m3超、25m2/m3超、30m2/m3超、35m2/m3超、40m2/m3超、45m2/m3超、50m2/m3超、55m2/m3超、60m2/m3超、65m2/m3超、70m2/m3超、75m2/m3超、80m2/m3超、85m2/m3超、90m2/m3超、95m2/m3超、100m2/m3超、125m2/m3超、150m2/m3超、又は175m2/m3超の反応容器内で行われる。
【0063】
有利には、本明細書の実施形態は、製造の需要に従って大規模に実施できる。例えば、いくつかの実施形態では、大規模反応容器が使用される(例えば、2,000L~20,000Lの範囲の反応器)。特定の実施形態では、反応温度は30℃~40℃の範囲であり、その後15℃~25℃に冷却し、保持用200Lドラムにデカンテーションする。特定の実施形態では、材料は、平板式熱交換器を通して熱を放出することによって冷却される。製造の変形は当業者に明らかであると考えられ、本開示の範囲内であると想到される。
【0064】
いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物はポリマー粒子を含む。いくつかの実施形態では、炭素材料は炭素粒子を含む。特定の実施形態では、粒子(即ち、ポリマー粒子又は炭素粒子のいずれか)を、水で濯ぐ。一実施形態では、粒子の平均直径は25mm未満、例えば、0.001mm~25mm、0.01mm~15mm、1.0mm~15mm、0.05mm~25mm、0.05~15mm、0.5~25mm、0.5mm~15mm又は1mm~10mmである。
【0065】
有利には、本方法の実施形態は熱分解の前に乾燥ステップを必要とせず、それでもなお所望の特徴(例えば、多孔度、純度、表面積等)を有する炭素材料をもたらす。具体的には、いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、約-10℃未満、例えば、約-20℃未満、又はあるいは約-30℃未満の温度を有する媒体への浸漬によって凍結されない。例えば、媒体は、液体窒素、又はドライアイス中エタノール(又は他の有機溶媒)若しくは別の手段で冷却されたエタノールであってもよい。いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は約3000mTorr、約1000mTorr、約300mTorr又は約100mTorr未満の減圧下で乾燥されない。
加えて、いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、好適な冷却固体、例えば、ドライアイス(固体二酸化炭素)と混ぜ合わせる又は物理的混合を行うことによる急速凍結が行われない。別の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、その表面に散らばった硬化ポリマー組成物(例えば、ポリマー粒子を含む)から熱を急速に除去するための、ブラストフリーザを用いた-60℃の金属板との接触が行われない。
【0066】
硬化ポリマー組成物中の水を急速冷却する別の方法は、非常に急速に高真空を引くことによって粒子をスナップ凍結することである(この真空の度合いは、平衡蒸気圧に対応する温度で凍結が可能となるようなものである)。急速凍結の更に別の方法は、硬化ポリマー組成物を好適な低温ガスと混和するステップを含む。いくつかの実施形態では、低温ガスは約-10℃未満の温度を有し得る。いくつかの実施形態では、低温ガスは約-20℃未満の温度を有し得る。いくつかの実施形態では低温ガスは約-30℃未満の温度を有し得る。更に他の実施形態では、ガスは約-196℃の温度を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ガスは窒素である。更に他の実施形態では、ガスは約-78℃の温度を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ガスは二酸化炭素である。いくつかの実施形態では、方法は、上記のような好適な冷媒を用いた硬化ポリマー組成物のスナップ凍結又は混和を含まない。
他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、凍結乾燥機の棚で、例えば-20℃以下の温度で凍結されない。例えば、いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、凍結乾燥機の棚で、-30℃以下の温度で凍結されない。いくつかの他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、凍結融解サイクル(室温から-20℃以下へ、再び室温へ)、粒子を作製するための凍結融解組成物の物理的粉砕、その後の更なる凍結乾燥処理を施されない。例えば、いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、凍結融解サイクル(室温から-30℃以下へ、再び室温へ)、粒子を作製するための凍結融解組成物の物理的破砕、その後の更なる凍結乾燥処理を施されない。
【0067】
モノリシック硬化ポリマー組成物又は炭素材料を、当該技術分野において公知の様々な技法に従って物理的に粉砕して、より小さい粒子を作製できる。得られる硬化ポリマー組成物又は炭素材料粒子は、一般に、約30mm未満、約25mm未満、約20mm未満、約15mm未満、約10mm未満、約9mm未満、約8mm未満、約7mm未満、約6mm未満、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満又は約1mm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、粒径は約1mm~約25mm、約1mm~約5mm、約0.5mm~約10mmの範囲である。
あるいは、いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物又は炭素材料粒子の粒径は、約10~1000ミクロン、10~500ミクロン、10~400ミクロン、10~300ミクロン、10~200ミクロン、10~100ミクロン、100~1000ミクロン、200~1000ミクロン、300~1000ミクロン、400~1000ミクロン又は500~1000ミクロンの範囲である。
モノリシック材料から硬化ポリマー組成物又は炭素材料粒子を作製する手法には、手動又は機械的破砕法、例えば、篩、粉砕、ミル加工又はこれらの組合せが含まれる。かかる方法は、当業者に周知である。これに関して、例えば、ローラーミル、ビーズミル、及びボールミル等の様々な種類のミル、並びに回転式粉砕機等の当該技術分野において公知の粒子作製装置を用いることが可能である。
特定の実施態様では、ローラーミルが用いられる。ローラーミルは、3段階にわたって、粒子のサイズを徐々に小さくしていく。炭素材料は、一般的に非常に脆く、手触りが湿っぽくない。従って、炭素材料はこの方法で容易に粉砕される。しかし、目標とする最終メッシュを達成するためには、各段階の幅を適切に設定しなければならない。この調節は、反応レシピ及びメッシュサイズの組合せごとに行い、検証する。各材料は、既知のメッシュサイズの篩を通って粉砕される。篩分けされた粒子は、一時的に密閉容器に格納できる。
一実施形態では、回転式粉砕機が用いられる。回転式粉砕機は、約3.18mm(約1/8インチ)の篩メッシュサイズを有する。別の実施形態では、回転式粉砕機は、約9.53mm(約3/8インチ)の篩メッシュサイズを有する。別の実施形態では、回転式粉砕機は、約15.88mm(約5/8インチ)の篩メッシュサイズを有する。
当該技術分野において既知の炭素材料の調製方法は、典型的には、熱分解の前に硬化ポリマー組成物を乾燥するプロセスを含む。有利には、本出願人は、具体的な方法パラメータ(例えば、反応時間/温度、保持時間/温度、硬化昇温速度等)を選択することで、熱分解の前に凍結及び/又は乾燥処理を必要としない硬化ポリマー組成物が得られることを発見した。具体的には、本出願人は、反応パラメータは、所望の特徴(例えば、メソ細孔容積、細孔分布、高表面積)を有する炭素材料が製造されるが、コストのかかる乾燥処理(例えば、凍結乾燥、超臨界乾燥、オーブン乾燥、蒸発乾燥等)の必要性は排除されることを確実とするように選択できる。
【0068】
従って、一実施形態では、硬化ポリマー組成物は凍結又は凍結乾燥されず、材料の崩壊を避け、炭素材料における微細表面構造及び多孔度を維持する。一般的に、乾燥は熱分解中に達成され、硬化ポリマー組成物の温度は、溶媒を凍結する温度(即ち、約0℃)を決して下回らず、なおも炭素材料はきわめて大きい表面積と所望の細孔特性を維持する。
理論に束縛されるものではないが、最終的な炭素材料の構造は、硬化ポリマー組成物の構造に反映され、それは次にポリマー組成物及び反応混合物並びに方法パラメータの関数(例えば、プロセスの様々なステップに使用される温度及び時間)によって確立されると考えられる。有利には、本出願人は、炭素材料構造を保つために溶媒の除去に注意を要する既知のポリマーゲルプロセス(例えば、ゾルゲル処理法)を必要とすることなく、上記の特徴が得られることを発見した。既知の方法は、ポリマーゲルの当初の構造を維持し、凍結プロセスの制御に基づく氷晶形成によってその構造を変えるために最適化を必要とした。対照的に、本明細書の実施形態は、硬化ポリマー組成物の熱分解によって溶媒を除去し、より直接的なアプローチで(即ち、熱分解前に凍結又は乾燥を行うことなく)貴重な炭素材料を得るための、確固たる方法を提供する。
特定の実施形態では、硬化ポリマー組成物及び/又は炭素材料は、凍結乾燥機のチャンバ内に配置される。
【0069】
上記の硬化ポリマー組成物を更に処理して炭素材料を得ることができる。かかる処理は、例えば熱分解及び/又は活性化を含む。一般的に、熱分解プロセスにおいて、乾燥ポリマーゲルは秤量されてロータリーキルン中に入れられる。対照的に、本開示の実施形態は、湿式硬化ポリマー組成物をロータリーキルンに入れることによって、相対的に湿潤した硬化ポリマー組成物(例えば、>5質量%の溶媒を含む)を直接熱分解することを可能にする。
【0070】
特定の実施形態では、熱分解昇温速度は5℃毎分に設定され、熱分解時間及び熱分解温度が設定され、冷却は炉の自然冷却速度によって決定される。いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物は、熱分解の間、不活性雰囲気下にある。他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、熱分解の間、周囲雰囲気下にある。次いで、熱分解された炭素材料を取り出し、秤量する。他の熱分解プロセスは当業者に周知である。
いくつかの実施形態では、熱分解昇温速度は、1℃毎分を超え、2℃毎分を超え、3℃毎分を超え、4℃毎分を超え、5℃毎分を超え、6℃毎分を超え、7℃毎分を超え、8℃毎分を超え、9℃毎分を超え、10℃毎分を超え、11℃毎分を超え、12℃毎分を超え、13℃毎分を超え、14℃毎分を超え、15℃毎分を超え、16℃毎分を超え、17℃毎分を超え、18℃毎分を超え、19℃毎分を超え、20℃毎分を超え、又は25℃毎分を超える。
【0071】
出願人は、いくつかの実施形態において、不活性雰囲気が熱分解に必要ではないことを発見した。理論に束縛されるものではないが、本明細書に開示される方法の実施形態のパラメータにより、不活性雰囲気を必要とせず、それでもなお最適な孔径、表面積及び/又は純度を有する炭素材料が得られると考えられる。
【0072】
いくつかの実施形態では、熱分解時間(試料が熱分解温度にある期間)は、約0分~約120分、約0分~約60分、約0分~約30分、約0分~約10分、約0~5分、又は約0~1分である。いくつかの実施形態では、熱分解時間は、15分超、20分超、30分超、45分超、60分超、75分超、90分超、105分超、120分超、150分超、180分超、240分超、300分超、360分超又は480分超である。
いくつかの実施形態では、熱分解は上記よりも低速で実施される。例えば、一実施形態では、熱分解は約120~480分で実施される。別の実施形態では、熱分解は約120~240分で実施される。
【0073】
いくつかの実施形態では、熱分解温度は約500℃~2400℃の範囲である。いくつかの実施形態では、熱分解温度は約650℃~1800℃の範囲である。他の実施形態では、熱分解温度は約700℃~約1200℃、約750℃~約1500℃又は約850℃~約950℃の範囲である。他の実施形態では、熱分解温度は約850℃~約1050℃の範囲である。他の実施形態では、熱分解温度は約550℃~約2400℃の範囲である。他の実施形態では、熱分解温度は約600℃~約2400℃、約700℃~約2400℃、約800℃~約2400℃、約850℃~約2400℃、約890℃~約2400℃、約890℃~約2000℃、約890℃~約1900℃、約890℃~約1800℃、約890℃~約1600℃、約890℃~約1500℃、約890℃~約1300℃、約890℃~約1200℃、約890℃~約1100℃、約890℃~約1050℃、約890℃~約1000℃、約910℃~約1050℃、約920℃~約1050℃、約930℃~約1050℃、約940℃~約1050℃、約950℃~約1050℃、約960℃~約1050℃、約970℃~約1050℃、約980℃~約1050℃、約990℃~約1050℃、又は約1000℃~約1050℃の範囲である。
いくつかの実施形態では、熱分解温度は約250℃超である。いくつかの実施形態では、熱分解温度は約350℃超である。いくつかの実施形態では、熱分解温度は約450℃超である。いくつかの実施形態では、熱分解温度は約500℃超である。いくつかの実施形態では、熱分解温度は約550℃超である。いくつかの実施形態では、熱分解温度は約600℃超である。いくつかの実施形態では、熱分解温度は約650℃超である。いくつかの実施形態では、熱分解温度は約850℃超である。いくつかの実施形態では、熱分解温度は約500℃超、約550℃超、約600℃超、約650℃超、約700℃超、約750℃超、約800℃超、約850℃超、約860℃超、約870℃超、約880℃超、約890℃超、約900℃超、約910℃超、約920℃超、約930℃超、約940℃超、約950℃超、約1000℃超、約1050℃超、約1100℃超、約1150℃超、約1200℃超、約1250℃超、約1300℃超、約1350℃超、約1400℃超、約1450℃超、又は約1500℃超である。
いくつかの実施形態では、熱分解温度は熱分解の過程で変動する。一実施形態では、熱分解は、別々の明確な複数の加熱ゾーンを有するロータリーキルン内で実施される。いくつかのより具体的な実施形態では、各ゾーンの熱分解温度は、ロータリーキルン管の入口から出口端まで連続的に低下する。一実施形態では、熱分解は、別々の明確な複数の加熱ゾーンを有するロータリーキルンで実施され、各ゾーンの温度はロータリーキルン管の入口から出口端まで連続的に上昇する。
【0074】
活性化時間及び活性化温度はいずれも、得られる活性炭材料の性能、並びにその製造コストに大きな影響を及ぼす。活性化温度及び活性化時間を増大させることは、より高い活性化率をもたらし、これは一般的に、活性化温度が低く滞留時間が短い場合と比較して、より多くの材料の除去に対応する。活性化温度は炭素の細孔構造を変えることもでき、その場合、低い活性化温度はミクロ細孔性の大きい炭素をもたらし、高い活性化温度はメソ細孔性をもたらす。これは、より高い活性化温度で起こる活性化ガスの拡散律速反応と、より低い活性化温度で起こる反応速度論で進められる反応との結果であり得る。活性化率が高いことは、多くの場合に最終的な活性炭の性能を増大させるが、全収率を低下することよってコストも増大させる。活性化のレベルを改善することは、より低コストでより高性能の生成物を得ることに相当する。
従って、いくつかの実施形態では、活性化時間は1分~48時間である。他の実施形態では、活性化時間は1分~24時間である。他の実施形態では、活性化時間は5分~24時間である。他の実施形態では、活性化時間は1時間~24時間である。更なる実施形態では、活性化時間は12時間~24時間である。特定の他の実施形態では、活性化時間は30分~4時間である。いくつかの更なる実施形態では、活性化時間は1時間~2時間である。
いくつかの実施形態では、活性化時間は0分超、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、1時間、90分、2時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間、又は96時間である。
【0075】
本明細書に開示される実施形態の一部では、活性化温度は800℃~1300℃の範囲であってもよい。別の実施形態では、活性化温度は800℃~1050℃の範囲であってもよい。別の実施形態では、活性化温度は約850℃~約950℃の範囲であってもよい。当業者は、より低い又はより高い他の活性化温度を用いてもよいことを認識するであろう。
【0076】
熱分解炭素材料は、熱分解炭素材料を活性化剤と接触させることによって活性化されてもよい。例えば酸素を含有するガス等、多くのガスが活性化に適している。活性化ガスの非限定的な例としては、二酸化炭素、一酸化炭素、蒸気、酸素、及びこれらの組合せが挙げられる。活性化剤は、酸、塩基、又は塩等の腐食性化学物質(例えば、リン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、乳酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化亜鉛等)も含み得る。他の活性化剤は当業者に公知である。
熱分解炭素材料は、当業者に公知のいくつもの適した装置、例えば流動床、ロータリーキルン、エレベーターキルン、ローラーハースキルン、プッシャーキルン等を用いて活性化され得る。活性化プロセスの一実施形態では、試料が秤量されてロータリーキルン内に置かれ、その自動ガス制御マニホルドが20℃/分の昇温速度に設定される。いくつかの実施形態では、活性化温度に到達した後、二酸化炭素がある時間にわたってキルン環境に導入される。いくつかの実施形態では、活性化が起こった後に二酸化炭素は窒素と交換され、キルンは冷却される。通常は、活性化プロセスの終了時に試料を秤量して、活性化のレベルを評価する。他の活性化プロセスは当業者に周知である。
【0077】
活性化度は、活性化ステップの間に失われた熱分解炭素材料の質量パーセントで測定される。本明細書に記載の方法の一実施形態では、活性化は5%~90%の活性化度、又は10%~80%の活性化度を含む。いくつかの実施形態では、活性化度は、40%~70%、45%~65%、5%~95%、5%~80%、5%~75%、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~95%、15%~95%、20%~95%、25%~95%、30%~95%、35%~95%、40%~95%、45%~95%、50%~95%、55%~95%、60%~95%、65%~95%、70%~95%、75%~95%、80%~95%、85%~95%又は90%~95%の範囲である。
【0078】
B.最適化された孔径分布を有する炭素材料
本開示の特定の実施形態は、最適化された孔径分布を有する炭素材料をもたらす。最適化された孔径分布は、炭素材料を含む電気デバイスの相対的に優れた性能に寄与する。例えば、いくつかの実施形態では、炭素材料は、ミクロ細孔とメソ細孔との最適化されたブレンドを含み、かつ熱分解及び/又は活性化時に低い表面官能性も有し得る。他の実施形態では、炭素材料は、全反射蛍光X線分析によって測定したときに、11~92の範囲の原子番号を有する全ての元素を合計で500ppm未満含む。高純度及び最適化されたミクロ細孔/メソ細孔分布は、炭素材料を、蓄給電デバイス(例えばウルトラキャパシタ)への使用に理想的なものとする。有利には、本明細書に開示される方法の実施形態は、高純度及び最適化されたミクロ細孔/メソ細孔分布を有するこのような炭素材料を、従来方法で一般的に使用されるコストのかかるプロセス(即ち、凍結乾燥又は超臨界乾燥)を用いることなく提供する。
炭素材料の最適化された孔径分布並びに高純度は、本開示の方法の実施形態及び後続の炭素材料の処理(例えば、活性化)から得ることができる。モノマー(例えばフェノール化合物及びアルデヒド)は、揮発性塩基性触媒の存在する酸性条件下で共重合して、超高純度のポリマー組成物を生成し、これを次に、組成物を乾燥せずに熱分解できる。これは、熱分解の前に乾燥ステップを必要とするキセロゲル、クリオゲル又はエーロゲルの調製に関して報告されている他の方法と対照的である。特定の実施形態では、開示条件下での超高純度ポリマー組成物の熱分解及び/又は活性化は、最適化された孔径分布を有する超高純度炭素材料を生じる。
開示される炭素材料の特性、並びにそれらの調製方法を、以下により詳細に説明する。
【0079】
1.ポリマー組成物
本明細書に開示の方法の実施形態では、ポリマー組成物は、熱分解して炭素材料を生じる中間体である。従って、ポリマー組成物の物理的及び化学的特性は、最終的な炭素材料の特性に寄与する。
他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、11~92の範囲の原子番号を有する全ての他の原子(即ち、溶媒、触媒、及び任意選択の電気化学的変性剤を除く)を合計で500ppm未満含む。例えば、いくつかの他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、11~92の範囲の原子番号を有する全ての他の元素を200ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、又は1ppm未満含む。いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物の電気化学的変性剤含有量及び不純物含有量は、プロトン励起X線放射(PIXE)又は全反射蛍光X線(TXRF)分析によって決定できる。
【0080】
いくつかの実施形態では、硬化ポリマー組成物はフェノール化合物とアルデヒド化合物とから調製され;例えば、一実施形態では、硬化ポリマー組成物はレゾルシノールとホルムアルデヒドとから製造できる。他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は、酸性条件下で製造され(例えば、反応混合物及び/又はポリマー組成物)、他の実施形態では、硬化ポリマー組成物は電気化学的変性剤を更に含む。いくつかの実施形態では、酸性度は、固体酸化合物を溶解することによって、溶媒として酸を用いることによって、又は溶媒の1つが酸である混合溶媒系を用いることによって、提供できる。
開示される方法は、塩基性揮発性触媒の存在下でポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物を形成する共重合を含む。従って、いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は1つ以上の塩を含み、例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の塩は塩基性揮発性塩である。塩基性揮発性塩の例としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。従って、いくつかの実施形態では、本開示は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、又はこれらの組合せを含むポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物を提供する。更なる実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は炭酸アンモニウムを含む。更なる実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は酢酸アンモニウムを含む。
【0081】
ポリマー組成物はまた、灰分が低くてもよく、これは当該組成物から調製される炭素材料の低灰分に寄与し得る。従って、いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物の灰分は0.1%~0.001%の範囲である。別の実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物の灰分は、0.1%未満、0.08%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満、又は0.001%未満である。
他の実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、全ての他の元素の全PIXE不純物含有量が500ppm未満であり、灰分が0.08%未満である。更なる実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、全ての他の元素の全PIXE不純物含有量が300ppm未満であり、灰分が0.05%未満である。別の更なる実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、全ての他の元素の全PIXE不純物含有量が200ppm未満であり、灰分が0.02%未満である。別の更なる実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、全ての他の元素の全PIXE不純物含有量が200ppm未満であり、灰分が0.01%未満である。
他の実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、全ての他の元素の全TXRF不純物含有量が500ppm未満であり、灰分が0.08%未満である。更なる実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、全ての他の元素の全TXRF不純物含有量が300ppm未満であり、灰分が0.05%未満である。別の更なる実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、全ての他の元素の全TXRF不純物含有量が200ppm未満であり、灰分が0.02%未満である。別の更なる実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、全ての他の元素の全TXRF不純物含有量が200ppm未満であり、灰分が0.01%未満である。
【0082】
上記のように、不純物を含むポリマー組成物を製造する方法は、一般に、同じく不純物を含む炭素材料を生じる。従って、本方法の一態様は、残留する不要な不純物が低レベルであるポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物をもたらす。ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物中に存在する個々のPIXE不純物の量は、プロトン励起X線放射によって測定できる。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物中に存在するナトリウムのレベルは、1000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物中に存在するマグネシウムのレベルは、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満である。上述のように、いくつかの実施形態では、水素、酸素及び/又は窒素等の他の不純物は、10%未満~0.01%未満の範囲のレベルで存在し得る。
上記のように、不純物を含むポリマー組成物を製造する方法は、一般に、同じく不純物を含む炭素材料を生じる。従って、本方法の一態様は、残留する不要な不純物が低レベルであるポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物をもたらす。ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物中に存在する個々のTXRF不純物の量は、全反射蛍光X線によって測定できる。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物中に存在するナトリウムのレベルは、1000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物中に存在するマグネシウムのレベルは、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満である。上述のように、いくつかの実施形態では、水素、酸素及び/又は窒素等の他の不純物は、10%未満~0.01%未満の範囲のレベルで存在し得る。
いくつかの具体的な実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、40ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、及び5ppm未満の亜鉛を含む。他の具体的な実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、50ppm未満のナトリウム、100ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロム、及び2ppm未満の亜鉛を含む。
他の具体的な実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロム、及び1ppm未満の亜鉛を含む。
いくつかの他の具体的な実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロム、及び1ppm未満のマンガンを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、方法は、高い比表面積を有するポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物を生成する。理論に束縛されるものではないが、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物の表面積は、炭素材料の所望の表面積特性に少なくとも部分的に寄与すると考えられる。表面積は、当業者に周知のBET技術を用いて測定できる。一実施形態では、方法は、少なくとも150m2/g、少なくとも250m2/g、少なくとも400m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも600m2/g又は少なくとも700m2/gのBET比表面積を有するポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物をもたらす。
一実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は100m2/g~1000m2/gのBET比表面積を有する。あるいは、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は150m2/g~900m2/gのBET比表面積を有する。あるいは、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は400m2/g~800m2/gのBET比表面積を有する。
【0084】
一実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は0.10g/cc~0.60g/ccのタップ密度を有する。一実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は0.15g/cc~0.25g/ccのタップ密度を有する。一実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、少なくとも150m2/gのBET比表面積及び0.60g/cc未満のタップ密度を有する。あるいは、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は少なくとも250m2/gのBET比表面積及び0.4g/cc未満のタップ密度を有する。別の実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は少なくとも500m2/gのBET比表面積及び0.30g/cc未満のタップ密度を有する。
【0085】
一実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、500オングストローム以下の細孔の細孔容積率が、全細孔容積の少なくとも25%、全細孔容積の50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%である。別の実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、20nm未満の細孔の細孔容積率が、全細孔容積の少なくとも50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%である。
【0086】
いくつかの実施形態では、0.11の相対圧力におけるポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物の単位質量当たりの窒素吸着量は、最大0.99の相対圧力での全窒素吸着量の少なくとも10%、又は最大0.99の相対圧力での全窒素吸着量の少なくとも20%である。別の実施形態では、0.11の相対圧力におけるポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物の単位質量当たりの窒素吸着量は、最大0.99の相対圧力での全窒素吸着量の10%~50%、最大0.99の相対圧力での全窒素吸着量の20%~40%、又は最大0.99の相対圧力での全窒素吸着量の20%~30%である。
一実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、100nm以下の細孔の細孔表面積率が、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%である。別の実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、20nm以下の細孔の細孔表面積率が、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%である。
【0087】
いくつかの実施形態では、熱分解炭素材料は約100~約1200m2/gの表面積を有する。他の実施形態では、熱分解炭素材料は約500~約800m2/gの表面積を有する。他の実施形態では、熱分解炭素材料は約500~約700m2/gの表面積を有する。
いくつかの実施形態では、炭素材料は少なくとも0.01cc/gの全細孔容積を有する。特定の実施形態では、炭素材料は少なくとも0.05cc/gの全細孔容積を有する。いくつかのより具体的な実施形態では、炭素材料は少なくとも0.10cc/gの全細孔容積を有する。特定のより具体的の実施形態では、炭素材料は少なくとも0.40cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、炭素材料は少なくとも1.00cc/gの全細孔容積を有する。
いくつかの実施形態では、炭素材料は少なくとも5m2/gのBET比表面積を有する。特定の実施形態では、炭素材料は少なくとも10m2/gのBET比表面積を有する。いくつかのより具体的な実施形態では、炭素材料は少なくとも50m2/gのBET比表面積を有する。特定のより具体的な実施形態では、炭素材料は少なくとも100m2/gのBET比表面積を有する。特定のより具体的な実施形態では、炭素材料は少なくとも100m2/gのBET比表面積を有する。特定のより具体的な実施形態では、炭素材料は少なくとも150m2/gのBET比表面積を有する。特定のより具体的な実施形態では、炭素材料は少なくとも1500m2/gのBET比表面積を有する。
他の実施形態では、熱分解炭素材料は約0.1~約1.0g/ccのタップ密度を有する。他の実施形態では、熱分解炭素材料は約0.3~約0.6g/ccのタップ密度を有する。他の実施形態では、熱分解炭素材料は約0.3~約0.5g/ccのタップ密度を有する。
【0088】
ポリマー組成物(即ち、硬化又は非硬化)は、対応するモノマーを適切な溶媒系内で、触媒条件下で共重合することによって調製できる。任意選択の電気化学的変性剤を、共重合プロセスの最中又は後のいずれかに、組成物に組み込むこと(即ち、反応混合物又はポリマー組成物に添加すること)ができる。
いくつかの実施形態は、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物の約10質量%を超える溶媒濃度と、0.5を超える相対的細孔完全性を有するポリマーと、を有するポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、ポリマーは、レゾルシノール-ホルムアルデヒドポリマーである。例えば、ポリマーは、上記実施形態のいずれかに記載のように第1モノマーと第2モノマーとの共重合から合成される。
【0089】
いくつかの具体的な実施形態では、相対的細孔完全性は、約0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15又は1.20を超える。相対的細孔完全性は、炭素材料-1つは乾燥ステップ(例えば、凍結乾燥)なし、1つは乾燥ステップあり-を合成し、本明細書に記載の方法又は当該技術分野で公知の方法(例えば、窒素吸着)を用いてメソ細孔容積を測定することによって計算できる。いくつかの実施形態では、相対的細孔完全性は0.5超である。他の実施形態では、相対的細孔完全性は0.65超である。いくつかの実施形態では、相対的細孔完全性は0.80超である。特定の実施形態では、相対的細孔完全性は0.90超である。更に他の実施形態では、相対的細孔完全性は0.95超である。上記実施形態のいずれか1つにおいて、相対的細孔容積は、全細孔容積を使用して(即ち、式2に従って)計算され得る。
一実施形態では、相対的細孔完全性は、メソ細孔容積測定値を比較することによって計算できる。例えば、いくつかの実施形態では、相対的細孔完全性は、次式(式1)に従って計算される:
式中、炭素材料1は硬化ポリマー組成物の熱分解によって得られ、炭素材料2は硬化ポリマー組成物の凍結乾燥及び熱分解によって得られる。即ち、上記実施形態のいくつかにおいて、炭素材料1と炭素材料2は同じ出発材料から得られる。上記の式が示すように、炭素材料1が炭素材料2と同じメソ細孔容積を有する場合、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物のポリマーは1.00の相対的細孔完全性を有する。
一実施形態では、相対的細孔完全性は、全細孔容積測定値を比較することによって計算できる。例えば、いくつかの実施形態では、相対的細孔完全性は、次式(式2)に従って計算される:
式中、炭素材料1は硬化ポリマー組成物の熱分解によって得られ、炭素材料2は硬化ポリマー組成物の凍結乾燥及び熱分解によって得られる。即ち、上記実施形態のいくつかにおいて、炭素材料1と炭素材料2は同じ出発材料から得られる。上記の式が示すように、炭素材料1が炭素材料2と同じ全細孔容積を有する場合、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物のポリマーは1.00の相対的細孔完全性を有する。
【0090】
上記実施形態の一部では、溶媒濃度は、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物の約40質量%超である。いくつかの実施形態では、溶媒濃度は、ポリマー組成物の約10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、15質量%、25質量%、35質量%、45質量%、55質量%、65質量%、75質量%、8質量%、18質量%、28質量%、38質量%、48質量%、58質量%、68質量%、12質量%、22質量%、32質量%、42質量%、又は52質量%を超える。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、質量で約75%超の溶媒を含む。特定の実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、質量で約65%超の溶媒を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、質量で約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、約60%超、約67.5%超、約70%超、約72.5%超、約75%超、約77.5%超、約80%超、約82.5%超、約85%超、約87.5%超、約90%超、約92.5%超、約95%超、約97.5%超、又は約99%超の溶媒を含む。
上記実施形態の一部では、溶媒濃度は、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物の約45質量%~約65質量%の範囲である。いくつかの実施形態では、溶媒濃度は、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物の約10質量%~約65質量%、約15質量%~約65質量%、約25質量%~約65質量%、約35質量%~約65質量%、約55質量%~約65質量%、約10質量%~約60質量%、約10質量%~約55質量%、約10質量%~約45質量%、約10質量%~約35質量%、約10質量%~約25質量%、約10質量%~約15質量%、約25質量%~約65質量%、約40質量%~約65質量%、約40質量%~約70質量%、約48質量%~約65質量%、約50質量%~約55質量%、約45質量%~約55質量%、約35質量%~約55質量%又は約25質量%~約75質量%の範囲である。
【0091】
上記実施形態の一部では、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物は、0.35cm3/g超、0.20cm3/g超、又は0.50cm3/g超のメソ細孔容積を有する。いくつかのより具体的な実施形態では、ポリマーは、0.75cm3/g超のメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、少なくとも0.1cm3/g、少なくとも0.2cm3/g、少なくとも0.3cm3/g、少なくとも0.4cm3/g、少なくとも0.5cm3/g、少なくとも0.7cm3/g、少なくとも0.75cm3/g、少なくとも0.9cm3/g、少なくとも1.0cm3/g、少なくとも1.1cm3/g、少なくとも1.2cm3/g、少なくとも1.3cm3/g、少なくとも1.4cm3/g、少なくとも1.5cm3/g、又は少なくとも1.6cm3/gのメソ細孔容積を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも0.60cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、本方法のポリマーは、少なくとも1.00cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、炭素材料は少なくとも0.04cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも0.01cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも0.05cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも0.10cc/gの全細孔容積を有する。
いくつかの実施形態では、ポリマーは、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.55cc/g、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.45cc/g、少なくとも0.40cc/g、少なくとも0.35cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、又は少なくとも0.20cc/gの全細孔容積を有する。
【0093】
他の実施形態では、ポリマーは少なくとも500m2/gのBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも1500m2/gのBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも150m2/gのBET比表面積を有する。
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも100m2/g、少なくとも300m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも1000m2/g、少なくとも1500m2/g、少なくとも2000m2/g、少なくとも2400m2/g、少なくとも2500m2/g、少なくとも2750m2/g又は少なくとも3000m2/gのBET比表面積を有するポリマーを提供する。他の実施形態では、BET比表面積は約100m2/g~約3000m2/g、例えば約500m2/g~約1000m2/g、約1000m2/g~約1500m2/g、約1500m2/g~約2000m2/g、約2000m2/g~約2500m2/g又は約2500m2/g~約3000m2/gの範囲である。
特定の実施形態では、ポリマーはミクロ細孔、メソ細孔及び全細孔容積を含む細孔構造を有し、全細孔容積の40%~90%はミクロ細孔に属し、全細孔容積の10%~60%はメソ細孔に属し、全細孔容積の10%未満は20nmを超える細孔に属する。
更に他の実施形態では、ポリマーの細孔構造は、40%~90%のミクロ細孔と10%~60%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、ポリマーの細孔構造は、45%~90%のミクロ細孔と10%~55%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、ポリマーの細孔構造は、40%~85%のミクロ細孔と15%~40%のメソ細孔とを含む。更に他の実施形態では、ポリマーの細孔構造は、55%~85%のミクロ細孔と15%~45%のメソ細孔、例えば65%~85%のミクロ細孔と15%~35%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、ポリマーの細孔構造は、65%~75%のミクロ細孔と15%~25%のメソ細孔、例えば67%~73%のミクロ細孔と27%~33%のメソ細孔とを含む。いくつかの他の実施形態では、ポリマーの細孔構造は、75%~85%のミクロ細孔と15%~25%のメソ細孔、例えば83%~77%のミクロ細孔と17%~23%のメソ細孔とを含む。他の特定の実施形態では、ポリマーの細孔構造は、約80%のミクロ細孔と約20%のメソ細孔とを含み、又は他の実施形態では、ポリマーの細孔構造は、約70%のミクロ細孔と約30%のメソ細孔とを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、全反射蛍光X線分析によって測定したときに11~92の範囲の原子番号を有する元素の全不純物含有量が500ppm未満である。特定の実施形態では、ポリマーは、全反射蛍光X線分析によって測定したときに11~92の範囲の原子番号を有する元素の全不純物含有量が100ppm未満である。
【0095】
特定の実施形態は、ポリマーが本明細書に記載の実施形態のいずれか1つに従って調製された、ポリマー組成物又は硬化ポリマー組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも0.01cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも0.05cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも0.10cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも0.40cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも0.60cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも1.00cc/gの全細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.55cc/g、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.45cc/g、少なくとも0.40cc/g、少なくとも0.35cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、又は少なくとも0.20cc/gの全細孔容積を有する。
いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも5m2/gのBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも10m2/gのBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも50m2/gのBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも100m2/gのBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも150m2/gのBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも300m2/gのBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは少なくとも500m2/gのBET比表面積を有する。特定の実施形態では、ポリマーは少なくとも1500m2/gのBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、少なくとも100m2/g、少なくとも300m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも1000m2/g、少なくとも1500m2/g、少なくとも2000m2/g、少なくとも2400m2/g、少なくとも2500m2/g、少なくとも2750m2/g又は少なくとも3000m2/gのBET比表面積を有する。他の実施形態では、BET比表面積は約100m2/g~約3000m2/g、例えば約500m2/g~約1000m2/g、約1000m2/g~約1500m2/g、約1500m2/g~約2000m2/g、約2000m2/g~約2500m2/g又は約2500m2/g~約3000m2/gの範囲である。
【0096】
いくつかの実施形態では、ポリマーは第1モノマーを含む。いくつかの実施形態では、第1のモノマーはフェノールモノマーである。一実施形態では、フェノールモノマーは、フェノール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノール、又はこれらの組合せである。いくつかの実施形態では、フェノールモノマーは以下の構造を有し:
【化2】
式中、
R
1、R
2、R
3及びR
4は各々独立して、H、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、アシル、カルボキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、メタクリレート、アクリレート、シリルエーテル、シロキサン、アラルキル又はアルカリールであり、R
1、R
2及びR
4のうちの少なくとも2つはHである。
いくつかの実施形態では、フェノールモノマーはレゾルシノールである。いくつかのより具体的な実施形態では、フェノールモノマーはレゾルシノールとフェノールとの混合物である。
いくつかの実施形態では、ポリマーは第2モノマーを含む。いくつかの実施形態では、第2モノマーは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド(butyradehyde)又はこれらの組合せである。いくつかの実施形態では、第2モノマーはホルムアルデヒドである。
【0097】
2.炭素材料
本開示は、一般に、水を含むポリマー組成物から、熱分解炭素材料を調製する方法に関する。理論に束縛されるものではないが、炭素材料の細孔構造に加えて、純度特性、表面積、及びその他の特性は、その調製方法の関数であり、調製パラメータを変えることで種々の特性を有する炭素材料が生成し得る。従って、いくつかの実施形態では、炭素材料は、未乾燥の硬化ポリマー組成物の熱分解から製造される。他の実施形態では、炭素材料は熱分解され、かつ活性化される。
上記のように、活性炭素材料はエネルギー蓄蔵材料として広く用いられている。これに関して、高い電力密度を有する炭素材料を製造することは、本明細書に開示される方法の極めて重要な特徴である。本方法の実施形態にとって、例えば循環的な性能制約下で応答することが要求されるデバイスに使用するために、イオン抵抗の低い炭素材料を製造することは重要である。
加えて、製造コストを最小限に抑えるとともに、高品質の材料を大規模に提供することは極めて重要である。本開示の方法の実施形態は、電気エネルギー貯蔵及び分配デバイスの電力性能を最大にする電極配合物に最適化された炭素材料を製造するという問題を解決する。本炭素材料を含むデバイスは、長期安定性、高速応答時間、及び高いパルス電力性能を示す。
【0098】
開示される方法は、特定のミクロ細孔構造を有する炭素材料を生じ、それはミクロ細孔若しくはメソ細孔又はその両方に属する総細孔容積の割合(パーセント)によって通常は表される。従って、いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔構造は10%~90%のミクロ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は20%~80%のミクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は30%~70%のミクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~60%のミクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~50%のミクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は43%~47%のミクロ細孔を含む。特定の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約45%のミクロ細孔を含む。
いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は20%~50%のミクロ細孔を含む。更に他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は20%~40%のミクロ細孔、例えば25%~35%のミクロ細孔又は27%~33%のミクロ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は30%~50%のミクロ細孔、例えば35%~45%のミクロ細孔又は37%~43%のミクロ細孔を含む。いくつかの特定の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約30%のミクロ細孔又は約40%のミクロ細孔を含む。
具体的な一実施形態では、炭素材料は、ミクロ細孔、メソ細孔及び全細孔容積を含む細孔構造を有し、全細孔容積の40%~90%はミクロ細孔に属し、全細孔容積の10%~60%はメソ細孔に属し、全細孔容積の10%未満は20nmを超える細孔に属する。
いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~90%のミクロ細孔を含む。更に他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、45%~90%のミクロ細孔、例えば55%~85%のミクロ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は65%~85%のミクロ細孔、例えば75%~85%のミクロ細孔又は77%~83%のミクロ細孔を含む。更に他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、65%~75%のミクロ細孔、例えば67%~73%のミクロ細孔を含む。いくつかの特定の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約80%のミクロ細孔又は約70%のミクロ細孔を含む。
【0099】
炭素材料のメソ細孔性は高いイオン移動性及び低い抵抗に寄与する。いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔構造は10%~90%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は20%~80%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は30%~70%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は50%~60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は53%~57%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約55%のメソ細孔を含む。
いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は50%~80%のメソ細孔を含む。更に他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、60%~80%のメソ細孔、例えば65%~75%のメソ細孔、又は67%~73%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では炭素材料の細孔構造は、50%~70%のメソ細孔、例えば55%~65%のメソ細孔、又は57%~53%のメソ細孔を含む。いくつかの特定の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約30%のメソ細孔又は約40%のメソ細孔を含む。
いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は10%~60%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、10%~55%のメソ細孔、例えば15%~45%のメソ細孔、又は15%~40%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、15%~35%のメソ細孔、例えば15%~25%のメソ細孔、又は17%~23%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、25%~35%のメソ細孔、例えば27%~33%のメソ細孔を含む。いくつかの特定の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約20%のメソ細孔を含み、他の実施形態では、炭素材料は約30%のメソ細孔を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、方法は、炭素材料の電気化学的性能の向上に寄与する最適化されたブレンドのミクロ細孔とメソ細孔とを有する炭素材料を提供する。従って、いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔構造は10%~90%のミクロ細孔と10%~90%のメソ細孔とを含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は20%~80%のミクロ細孔と20%~80%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は30%~70%のミクロ細孔と30%~70%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~60%のミクロ細孔と40%~60%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~50%のミクロ細孔と50%~60%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は43%~47%のミクロ細孔と53%~57%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約45%のミクロ細孔と約55%のメソ細孔とを含む。
更に他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~90%のミクロ細孔と10%~60%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は45%~90%のミクロ細孔と10%~55%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~85%のミクロ細孔と15%~40%のメソ細孔とを含む。更に他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、55%~85%のミクロ細孔と15%~45%のメソ細孔、例えば65%~85%のミクロ細孔と15%~35%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、65%~75%のミクロ細孔と15%~25%のメソ細孔、例えば67%~73%のミクロ細孔と27%~33%のメソ細孔とを含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、75%~85%のミクロ細孔と15%~25%のメソ細孔、例えば83%~77%のミクロ細孔と17%~23%のメソ細孔とを含む。他の特定の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、約80%のミクロ細孔と約20%のメソ細孔とを含み、又は他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、約70%のミクロ細孔と約30%のメソ細孔とを含む。
更に他の実施形態では、細孔構造は、20%~50%のミクロ細孔と50%~80%のメソ細孔とを含む。例えば、いくつかの実施形態では、全細孔容積の20%~40%はミクロ細孔に属し、全細孔容積の60%~80%はメソ細孔に属する。他の実施形態では、全細孔容積の25%~35%はミクロ細孔に属し、全細孔容積の65%~75%はメソ細孔に属する。例えば、いくつかの実施形態では、全細孔容積の約30%はミクロ細孔に属し、全細孔容積の約70%はメソ細孔に属する。
更に他の実施形態では、全細孔容積の30%~50%はミクロ細孔に属し、全細孔容積の50%~70%はメソ細孔に属する。他の実施形態では、全細孔容積の35%~45%はミクロ細孔に属し、全細孔容積の55%~65%はメソ細孔に属する。例えば、いくつかの実施形態では、全細孔容積の約40%はミクロ細孔に属し、全細孔容積の約60%はメソ細孔に属する。
【0101】
上記の方法のいずれかの他の変形では、炭素材料は、20nm超の細孔を大きな容積で含まない。例えば、特定の実施形態では、炭素材料は、全細孔容積の50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満又は更には1%未満が20nm超の細孔に含まれる。
【0102】
いくつかの実施形態では、方法は、電気化学的性能の強化に寄与する多孔度を有する炭素材料をもたらす。従って、一実施形態では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に属する細孔容積が、少なくとも1.8cc/g、少なくとも1.2cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、少なくとも0.20cc/g、又は少なくとも0.15cc/gである。他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム超の細孔に属する細孔容積が、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、又は少なくとも0.5cc/gである。
【0103】
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~300オングストロームの範囲の細孔に関して、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、又は少なくとも0.50cc/gの細孔容積を有する。
【0104】
更に他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.55cc/g、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.45cc/g、少なくとも0.40cc/g、少なくとも0.35cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、又は少なくとも0.20cc/gの全細孔容積を有する。
【0105】
一実施形態では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に関して、少なくとも0.35cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、少なくとも0.20cc/g、少なくとも0.15cc/gの細孔容積を有する。他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム超の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~500オングストロームの範囲の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~1000オングストロームの範囲の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~2000オングストロームの範囲の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~5000オングストロームの範囲の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~1ミクロンの範囲の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~2ミクロンの範囲の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~3ミクロンの範囲の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~4ミクロンの範囲の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム~5ミクロンの範囲の細孔に関して、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を有する。
【0106】
更に他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの全細孔容積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積(例えば、メソ細孔容積)を有する。
【0107】
更に他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に属する細孔容積が少なくとも0.2cc/gであり、20~300オングストロームの細孔に属する細孔容積が少なくとも0.8cc/gである。更に他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に属する細孔容積が少なくとも0.5cc/gであり、20~300オングストロームの細孔に属する細孔容積が少なくとも0.5cc/gである。更に他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に属する細孔容積が少なくとも0.6cc/gであり、20~300オングストロームの細孔に属する細孔容積が少なくとも2.4cc/gである。更に他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に属する細孔容積が少なくとも1.5cc/gであり、20~300オングストロームの細孔に属する細孔容積が少なくとも1.5cc/gである。
特定の実施形態では、ミクロ細孔領域の細孔容積が低い(例えば、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満のミクロ細孔性)メソ細孔炭素材料が提供される。いくつかの実施形態では、炭素材料は、100m2/g、少なくとも200m2/g、少なくとも300m2/g、少なくとも400m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも600m2/g、少なくとも675m2/g又は少なくとも750m2/gの比表面積を有する。他の実施形態では、メソ細孔炭素材料は、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.90cc/gの全細孔容積を有する。更に他の実施形態では、メソ細孔炭素材料は、少なくとも0.30g/cc、少なくとも0.35g/cc、少なくとも0.40g/cc、少なくとも0.45g/cc、少なくとも0.50g/cc、又は少なくとも0.55g/ccのタップ密度を有する。
【0108】
本方法の実施形態は、全PIXE不純物(電気化学的変性剤を除く)が低い炭素材料を提供する。従って、いくつかの実施形態では、炭素材料中の全ての他のPIXE元素の全PIXE不純物含有量(電気化学的変性剤を除く)(プロトン励起X線放出法によって測定)は、1000ppm未満である。他の実施形態では、炭素材料中の全ての他のPIXE元素の全PIXE不純物含有量(電気化学的変性剤を除く)は、800ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、又は1ppm未満である。上記の更なる実施形態では、方法は、炭素材料を活性化するステップを更に含む。
本方法の実施形態は、全TXRF不純物(電気化学的変性剤を除く)が低い炭素材料を提供する。従って、いくつかの実施形態では、炭素材料中の全ての他のTXRF元素の全TXRF不純物含有量(電気化学的変性剤を除く)(全反射蛍光X線によって測定)は、1000ppm未満である。他の実施形態では、炭素材料中の全ての他のTXRF元素の全TXRF不純物含有量(電気化学的変性剤を除く)は、800ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、又は1ppm未満である。上記の更なる実施形態では、方法は、炭素材料を活性化するステップを更に含む。
【0109】
一実施形態では、炭素材料は、プロトン励起X線放射によって測定したときに11~92の範囲の原子番号を有する元素の全不純物含有量が500ppm未満である。別の実施形態では、炭素材料は、プロトン励起X線放射によって測定したときに11~92の範囲の原子番号を有する元素の全不純物含有量が100ppm未満である。
一実施形態では、炭素材料は、全反射蛍光X線によって測定したときに11~92の範囲の原子番号を有する元素の全不純物含有量が500ppm未満である。別の実施形態では、炭素材料は、全反射蛍光X線によって測定したときに11~92の範囲の原子番号を有する元素の全不純物含有量が100ppm未満である。
【0110】
不要なPIXE又はTXRF不純物の含有量が低いことに加え、本方法の特定の実施形態の炭素材料は、全炭素含有量が高くなり得る。炭素に加えて、炭素材料は、酸素、水素、窒素及び電気化学的変性剤も含み得る。いくつかの実施形態では、炭素材料は、質量/質量基準で、少なくとも75%の炭素、80%の炭素、85%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも95%の炭素、少なくとも96%の炭素、少なくとも97%の炭素、少なくとも98%の炭素又は少なくとも99%の炭素を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料は、質量/質量基準で、10%未満の酸素、5%未満の酸素、3.0%未満の酸素、2.5%未満の酸素、1%未満の酸素又は0.5%未満の酸素を含む。他の実施形態では、炭素材料は、質量/質量基準で、10%未満の水素、5%未満の水素、2.5%未満の水素、1%未満の水素、0.5%未満の水素又は0.1%未満の水素を含む。他の実施形態では、炭素材料は、質量/質量基準で、5%未満の窒素、2.5%未満の窒素、1%未満の窒素、0.5%未満の窒素、0.25%未満の窒素又は0.01%未満の窒素を含む。本開示の炭素材料の酸素、水素及び窒素の含有量は、燃焼分析により決定できる。燃焼分析によって元素組成を決定する技術は、当技術分野において周知である。
本方法の特定の実施形態は、場合によっては炭素材料の電気化学的性能に影響し得る全灰分を有する炭素材料をもたらす。従って、いくつかの実施形態では、炭素材料の灰分は、灰の質量%で0.1%~0.001%の範囲であり、例えば、いくつかの具体的な実施形態では、炭素材料の灰分は、0.1%未満、0.08%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満又は0.001%未満である。
いくつかの実施形態では、炭素材料の灰分は、全反射蛍光X線データから計算したときに0.03%未満である。別の実施形態では、炭素材料の灰分は、全反射蛍光X線データから計算したときに0.01%未満である。
他の実施形態では、炭素材料は、全PIXE又は全TXRF不純物含有量が500ppm未満であり、灰分が0.08%未満である。更なる実施形態では、炭素材料は、全PIXE又は全TXRF不純物含有量が300ppm未満であり、灰分が0.05%未満である。他の更なる実施形態では、炭素材料は、全PIXE又は全TXRF不純物含有量が200ppm未満であり、灰分が0.05%未満である。他の更なる実施形態では、炭素材料は、全PIXE又は全TXRF不純物含有量が200ppm未満であり、灰分が0.025%未満である。他の更なる実施形態では、炭素材料は、全PIXE又は全TXRF不純物含有量が100ppm未満であり、灰分が0.02%未満である。他の更なる実施形態では、炭素材料は、全PIXE又は全TXRF不純物含有量が50ppm未満であり、灰分が0.01%未満である。
【0111】
提供される方法の実施形態から得られる炭素材料中に存在する個々のPIXE又はTXRF不純物の量は、それぞれプロトン励起X線放射又は全反射蛍光X線によって決定できる。個々のPIXE又はTXRF不純物は、製造される炭素材料の全体的な電気化学的性能に対して様々な形で寄与し得る。従って、いくつかの実施形態では、炭素材料中に存在するナトリウムのレベルは、1000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満である。上述のように、いくつかの実施形態では、水素、酸素及び/又は窒素等の他の不純物は、10%未満~0.01%未満の範囲のレベルで存在し得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、炭素材料は、不要なPIXE又はTXRF不純物を、それぞれプロトン励起X線放射又は全反射蛍光X線分析の検出限界に近い量又は検出限界より低い量で含む。例えば、いくつかの実施形態では、炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、15ppm未満のマグネシウム、10ppm未満のアルミニウム、8ppm未満のケイ素、4ppm未満のリン、3ppm未満の硫黄、3ppm未満の塩素、2ppm未満のカリウム、3ppm未満のカルシウム、2ppm未満のスカンジウム、1ppm未満のチタン、1ppm未満のバナジウム、0.5ppm未満のクロム、0.5ppm未満のマンガン、0.5ppm未満の鉄、0.25ppm未満のコバルト、0.25ppm未満のニッケル、0.25ppm未満の銅、0.5ppm未満の亜鉛、0.5ppm未満のガリウム、0.5ppm未満のゲルマニウム、0.5ppm未満のヒ素、0.5ppm未満のセレン、1ppm未満の臭素、1ppm未満のルビジウム、1.5ppm未満のストロンチウム、2ppm未満のイットリウム、3ppm未満のジルコニウム、2ppm未満のニオブ、4ppm未満のモリブデン、4ppm未満のテクネチウム、7ppm未満のルビジウム、6ppm未満のロジウム、6ppm未満のパラジウム、9ppm未満の銀、6ppm未満のカドミウム、6ppm未満のインジウム、5ppm未満のスズ、6ppm未満のアンチモン、6ppm未満のテルル、5ppm未満のヨウ素、4ppm未満のセシウム、4ppm未満のバリウム、3ppm未満のランタン、3ppm未満のセリウム、2ppm未満のプラセオジム、2ppm未満のネオジム、1.5ppm未満のプロメチウム、1ppm未満のサマリウム、1ppm未満のユウロピウム、1ppm未満のガドリニウム、1ppm未満のテルビウム、1ppm未満のジスプロシウム、1ppm未満のホルミウム、1ppm未満のエルビウム、1ppm未満のツリウム、1ppm未満のイッテルビウム、1ppm未満のルテチウム、1ppm未満のハフニウム、1ppm未満のタンタル、1ppm未満のタングステン、1.5ppm未満のレニウム、1ppm未満のオスミウム、1ppm未満のイリジウム、1ppm未満の白金、1ppm未満の銀、1ppm未満の水銀、1ppm未満のタリウム、1ppm未満の鉛、1.5ppm未満のビスマス、2ppm未満のトリウム、又は4ppm未満のウランを含む。
【0113】
いくつかの具体的な実施形態では、炭素材料は、プロトン励起X線放射又は全反射蛍光X線により測定したときに100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロム及び5ppm未満の亜鉛を含む。他の具体的な実施形態では、炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、30ppm未満の硫黄、100ppm未満のケイ素、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロム及び2ppm未満の亜鉛を含む。
他の具体的な実施形態では、炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロム及び1ppm未満の亜鉛を含む。
いくつかの他の具体的な実施形態では、炭素材料は、100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロム及び1ppm未満のマンガンを含む。
いくつかの実施形態では、炭素材料は、10ppm未満の鉄を含む。他の実施形態では、炭素材料は3ppm未満のニッケルを含む。他の実施形態では、炭素材料は30ppm未満の硫黄を含む。他の実施形態では、炭素材料は1ppm未満のクロムを含む。他の実施形態では、炭素材料は1ppm未満の銅を含む。他の実施形態では、炭素材料は1ppm未満の亜鉛を含む。
【0114】
開示される方法の実施形態は、高表面積の炭素材料も製造する。理論に束縛されるものではないが、このような高表面積は、少なくともある程度、ブレンドの優れた電気化学的性能に寄与し得ることが考えられる。従って、いくつかの実施形態では、方法は、BET比表面積が少なくとも100m2/g、少なくとも300m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも1000m2/g、少なくとも1500m2/g、少なくとも2000m2/g、少なくとも2400m2/g、少なくとも2500m2/g、少なくとも2750m2/g、又は少なくとも3000m2/gの炭素材料をもたらす。他の実施形態では、BET比表面積は約100m2/g~約3000m2/g、例えば約500m2/g~約1000m2/g、約1000m2/g~約1500m2/g、約1500m2/g~約2000m2/g、約2000m2/g~約2500m2/g又は約2500m2/g~約3000m2/gの範囲である。例えば、前述のいくつかの実施形態では、炭素材料は活性化されている。
特定の実施形態では、炭素材料は、少なくとも5m2/gのBET比表面積を有する。特定の実施形態では、炭素材料は少なくとも10m2/gのBET比表面積を有する。特定の実施形態では、炭素材料は少なくとも50m2/gのBET比表面積を有する。特定の実施形態では、炭素材料は少なくとも100m2/gのBET比表面積を有する。特定の実施形態では、炭素材料は少なくとも500m2/gのBET比表面積を有する。別の実施形態では、炭素材料は少なくとも1500m2/gのBET比表面積を有する。
【0115】
更に他の例では、炭素材料は、プロトン励起X線放射又は全反射蛍光X線により測定したときに、100ppm未満のナトリウム、100ppm未満のケイ素、10ppm未満の硫黄、25ppm未満のカルシウム、1ppm未満の鉄、2ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロム、50ppm未満のマグネシウム、10ppm未満のアルミニウム、25ppm未満のリン、5ppm未満の塩素、25ppm未満のカリウム、2ppm未満のチタン、2ppm未満のマンガン、0.5ppm未満のコバルト及び5ppm未満の亜鉛を含み、11~92の範囲の原子番号を有する全ての他の元素は、プロトン励起X線放射又は全反射蛍光X線によって検出されない。
【0116】
別の実施形態では、本方法は、0.1~1.0g/cc、0.2~0.8g/cc、0.3~0.5g/cc又は0.4~0.5g/ccのタップ密度を有する炭素材料をもたらす。別の実施形態では、炭素材料は、少なくとも0.1cm3/g、少なくとも0.2cm3/g、少なくとも0.3cm3/g、少なくとも0.4cm3/g、少なくとも0.5cm3/g、少なくとも0.7cm3/g、少なくとも0.75cm3/g、少なくとも0.9cm3/g、少なくとも1.0cm3/g、少なくとも1.1cm3/g、少なくとも1.2cm3/g、少なくとも1.3cm3/g、少なくとも1.4cm3/g、少なくとも1.5cm3/g又は少なくとも1.6cm3/gの全細孔容積を有する。
【0117】
孔径分布は、炭素材料の電気化学的性能に影響を及ぼし得る1つのパラメータである。例えば、本方法の特定の実施形態は、イオン拡散距離を短縮し、イオン輸送強化及び出力最大化に有用となり得る、有効長が短い(即ち、TEMによる測定で10nm未満、5nm未満、又は3nm未満の)メソ細孔を有する炭素材料をもたらす。
従って、一実施形態では、炭素材料は、100nm以下の細孔の細孔容積率が、全細孔容積の少なくとも50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%である。他の実施形態では、炭素材料は、50nm以下の細孔の細孔容積率が、全細孔容積の少なくとも50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%である。他の実施形態では、炭素材料は、20nm以下の細孔の細孔容積率が、全細孔容積の少なくとも50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%である。他の実施形態では、炭素材料は、50~20nmの範囲の細孔の細孔容積率が、全細孔容積の少なくとも50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%である。
別の実施形態では、炭素材料は、100nm以下の細孔の細孔表面積率が、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%である。別の実施形態では、炭素材料は、50nm以下の細孔の細孔表面積率が、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%である。別の実施形態では、炭素材料は、20nm以下の細孔の細孔表面積率が、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%である。別の実施形態では、炭素材料は、50~20nmの範囲の細孔の細孔表面積率が、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%である。
別の実施形態では、本方法は、20~300オングストロームの細孔の細孔容積率が、全細孔表面積の少なくとも40%、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも70%、又は全細孔表面積の少なくとも80%である炭素材料をもたらす。別の実施形態では、本方法は、20nm以下の細孔の細孔容積率が、全細孔表面積の少なくとも20%、全細孔表面積の少なくとも30%、全細孔表面積の少なくとも40%、又は全細孔表面積の少なくとも50%である炭素材料をもたらす。
別の実施形態では、本方法は、主に1000オングストローム以下の範囲、例えば100オングストローム以下、例えば50オングストローム以下の細孔を有する炭素材料をもたらす。あるいは、炭素材料は、0~20オングストロームの範囲のミクロ細孔と20~300オングストロームの範囲のメソ細孔とを含む。ミクロ細孔領域の細孔容積(例えば、メソ細孔容積)又は細孔表面をメソ細孔領域と比較した比は、95:5~5:95の範囲であり得る。あるいは、ミクロ細孔領域の細孔容積(例えば、メソ細孔容積)又は細孔表面をメソ細孔領域と比較した比は、20:80~60:40の範囲であり得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、炭素材料(例えば、粒子)は、Boehm滴定で測定したときに炭素材料100グラム当たり20mEq未満、炭素材料100グラム当たり10mEq未満、炭素材料100グラム当たり5mEq未満、炭素材料100グラム当たり1mEq未満の表面官能性を示す。他の実施形態では、炭素材料は、Boehm滴定で測定したときに炭素材料100グラム当たり20mEq超の表面官能性を示す。
メソ細孔炭素材料の比容量(Q、Ah/グラム炭素)は、細孔表面上に形成し得る反応生成物の量によって画定される。反応生成物の混合物が一定である場合、反応生成物形成中に発生する電流は、反応生成物の容積に正比例する。メソ細孔炭素材料のメソ細孔容積が高いと、材料中に存在する細孔の電気化学的活性をなおも維持しながら、反応生成物(例えば、過酸化リチウム)のリザーバを提供する。かかる高いメソ細孔容積は、炭素材料を含むデバイス(例えば、金属空気電池)のエネルギー密度の大幅な増加をもたらす。いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔構造は、2~50nm、10~50nm、15~30nm又は更には20~30nmの範囲の細孔を有する。
【0119】
本開示の更に他の態様は、異なる電解質湿潤性を有する炭素材料を調製する方法を提供する。特定の実施形態では、かかる炭素材料はメソ細孔性であるが、他の実施形態では、炭素材料はミクロ細孔性であるか、又はミクロ細孔とメソ細孔のブレンドを有する。例えば、いくつかの実施形態では、細孔の内表面は電解質で湿潤されるが、粒子の外表面は比較的電解質で湿潤されないままであり、その結果、粒子間でガス拡散が起こり得る。更に他の実施形態では、細孔の内表面は、粒子の外表面と比較して溶媒に対する親和性が高い。更に他の実施形態では、粒子の外表面は、細孔の内表面と比較して溶媒に対する親和性が高い。
このため、本明細書に開示される方法によって調製されたメソ細孔炭素材料を用いて、広範な応用が可能である。例えば、細孔の内表面がリチウムイオン溶媒に対して高い親和性を有する場合、リチウム-空気電池の反応生成物は、かかる材料の細孔内に捕捉される可能性が高くなる。別のアプローチでは、異なる湿潤特性を有する炭素材料を1つのブレンドに組合せることができ、それによって、電解質を撥く特定の粒子をガス拡散チャネルに使用でき、電解質で容易に湿潤できる他の粒子をイオン伝導及び電気化学反応に使用できる。
【0120】
本開示の方法によって調製された炭素材料を、ガス拡散電極及びメソ細孔(即ち、粒子内細孔を有する)として使用できる。いくつかの実施形態では、粒子内細孔の大部分はメソ細孔であり、例えばいくつかの実施形態では、細孔の50%超、60%超、70%超、80%超又は90%超がメソ細孔である。
更に他の実施形態では、本開示の方法に従って調製された炭素材料は、少なくとも1cc/g、少なくとも2cc/g、少なくとも3cc/g、少なくとも4cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも6cc/g、又は少なくとも7cc/gの細孔容積(例えば、メソ細孔容積)を有する。特有の一実施形態では、炭素材料は、1cc/g~7cc/gの細孔容積(例えば、メソ細孔容積)を有する。他の実施形態では、試料の多孔度(例えば、メソ細孔性)は、50%超又は60%超、又は70%超、又は80%超、又は90%超、又は95%超となり得る。他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも100、少なくとも500m2/g、少なくとも1000m2/g、少なくとも1500m2/g、少なくとも2000m2/g、少なくとも2400m2/g、少なくとも2500m2/g、少なくとも2750m2/g又は少なくとも3000m2/gのBET比表面積を有する。
いくつかの実施形態では、炭素材料の平均粒子径は1~1000ミクロンの範囲である。他の実施形態では、炭素材料の平均粒子径は、1~100ミクロンの範囲である。更に他の実施形態では、炭素材料の平均粒子径は、5~50ミクロンの範囲である。更に他の実施形態では、炭素材料の平均粒子径は、5~15ミクロンの範囲である。更に他の実施形態では、炭素材料の平均粒子径は、約10ミクロンである。
【0121】
別の実施形態では、細孔、例えばメソ細孔のサイズは、所望の細孔構造(例えば、利用可能な表面を最大化するため)を生じるように制御される。いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔分布は、以下に説明するように、ゲル中の細孔分布を制御することによって制御される。上記の更なる実施形態では、炭素材料はメソ細孔炭素である。
いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔は、2nm~10nmの範囲のピーク細孔容積を有する。他の実施形態では、ピーク細孔容積は10nm~20nmの範囲である。また他の実施形態では、ピーク細孔容積は20nm~30nmの範囲である。更に他の実施形態では、ピーク細孔容積は30nm~40nmの範囲である。また更に他の実施形態では、ピーク細孔容積は40nm~50nmの範囲である。他の実施形態では、ピーク細孔容積は50nm~100nmの範囲である。
他の実施形態では、炭素材料はメソ細孔であり、かつ単分散メソ細孔を含む。本明細書で使用するとき、用語「単分散」は、孔径に関連して使用されるとき、約3以下、典型的には約2以下、多くの場合は約1.5以下のスパン(更に(Dv90-Dv10)/Dv50、と定義され、式中、Dv10、Dv50及びDv90とは、容積分布の10%、50%及び90%における孔径を表す)を一般的に指す。
【0122】
他の実施形態では、方法は、全細孔容積の少なくとも50%が50Å~5000Åの範囲の直径を有する細孔に属する炭素材料を提供する。いくつかの例では、炭素材料は、全細孔容積の少なくとも50%が、50Å~500Åの範囲の直径を有する細孔に属する。更に他の例では、炭素材料は、全細孔容積の少なくとも50%が、500Å~1000Åの範囲の直径を有する細孔に属する。更にまた他の例では、炭素材料は、全細孔容積の少なくとも50%が、1000Å~5000Åの範囲の直径を有する細孔に属する。
いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔構造は10%~80%のミクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は30%~70%のミクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~60%のミクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~50%のミクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は43%~47%のミクロ細孔を含む。特定の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約45%のミクロ細孔を含む。
いくつかの他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は10%~80%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は30%~70%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は50%~60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は53%~57%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約55%のメソ細孔を含む。
いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔構造は10%~80%のミクロ細孔と10%~80%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は30%~70%のミクロ細孔と30%~70%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~60%のミクロ細孔と40%~60%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は40%~50%のミクロ細孔と50%~60%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は43%~47%のミクロ細孔と53%~57%のメソ細孔とを含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は約45%のミクロ細孔と約55%のメソ細孔とを含む。
【0123】
他の変形では、炭素材料は、20nm超の細孔を大きな容積で含まない。例えば、特定の実施形態では、炭素材料は、全細孔容積の25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満又は更には1%未満が20nm超の細孔である。
更に他の実施形態では、本方法に従って調製された炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に属する細孔容積が少なくとも0.2cc/gであり、20~300オングストロームの細孔に属する細孔容積が少なくとも0.8cc/gである。更に他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に属する細孔容積が少なくとも0.5cc/gであり、20~300オングストロームの細孔に属する細孔容積が少なくとも0.5cc/gである。更に他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に属する細孔容積が少なくとも0.6cc/gであり、20~300オングストロームの細孔に属する細孔容積が少なくとも2.4cc/gである。更に他の実施形態では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔に属する細孔容積が少なくとも1.5cc/gであり、20~300オングストロームの細孔に属する細孔容積が少なくとも1.5cc/gである。
【0124】
いくつかの実施形態では、炭素材料の平均粒子径は1~1000ミクロンの範囲である。他の実施形態では、炭素材料の平均粒子径は、1~100ミクロンの範囲である。更に他の実施形態では、炭素材料の平均粒子径は、1~50ミクロンの範囲である。更にまた他の実施形態では、炭素材料の平均粒子径は、5~15ミクロン又は1~5ミクロンの範囲である。更に他の実施形態では、炭素材料の平均粒子径は、約10ミクロンである。更に他の実施形態では、炭素材料の平均粒子径は、4ミクロン未満、3ミクロン未満、2ミクロン未満、又は1ミクロン未満である。
いくつかの実施形態では、炭素材料は1nm~10nmの範囲の平均粒子径を呈する。他の実施形態では、平均粒子径は10nm~20nmの範囲である。また他の実施形態では、平均粒子径は20nm~30nmの範囲である。更に他の実施形態では、平均粒子径は30nm~40nmの範囲である。また更に他の実施形態では、平均粒子径は40nm~50nmの範囲である。他の実施形態では、平均粒子径は50nm~100nmの範囲である。
【0125】
炭素材料(例えば、粒子)のpHは変動し得る。例えば、いくつかの実施形態では、炭素材料のpHは塩基性である。例えば、いくつかの実施形態では、炭素材料のpHは7超、8超、又は9超である。他の実施形態では、炭素材料のpHは酸性である。例えば、特定の実施形態では、炭素材料のpHは7未満、6未満又は5未満である。更に他の実施形態では、炭素材料のpHは、炭素材料を水に懸濁し、得られたpHを測定することによって決定され得る。
本方法の実施形態によって調製される炭素材料を組合わせてブレンドを形成してもよい。かかるブレンドは、複数の炭素材料(例えば、粒子)と複数の鉛粒子とを含んでもよく、この炭素材料の静電容量は変動する。いくつかの実施形態では、1mAのレートで測定した炭素材料の静電容量は、600F/g超、550F/g超、500F/g超、450F/g超、400F/g超、350F/g超、300F/g超、250F/g超、200F/g超、又は100F/g超である。他の実施形態では、1mAのレートで測定した炭素材料の静電容量は、300F/g未満又は250F/g未満である。上記の特定の実施形態では、静電容量は、硫酸電解質中で測定される。例えば、いくつかの実施形態では、静電容量は、0.1A/g炭素~10A/g炭素の範囲の対称型の電流密度において0.9V及び0Vまでの定電流充放電特性の放電データに基づいて測定される。
【0126】
特定の実施形態では、炭素材料の吸水特性(即ち、複数の炭素粒子が吸収できる水の全量)により、炭素-鉛ブレンドに組み込まれたときの炭素材料の電気化学的性能が予測される。水は、炭素材料中の細孔容積及び/又は個々の炭素粒子間の空間に吸収され得る。吸水が多いほど、水分子に曝露される表面積が大きくなり、その結果、液体-固体界面において利用可能な鉛-硫酸塩核形成部位が増加する。水が到達可能な細孔は、追加の材料利用のための鉛ペースト極板の中心への電解質の輸送も可能とする。
従って、いくつかの実施形態では、炭素材料は活性炭粒子として調製され、0.2gH2O/cc(cc=炭素粒子中の細孔容積)超、0.4gH2O/cc超、0.6gH20/cc超、0.8gH2O/cc超、1.0gH2O/cc超、1.25gH2O/cc超、1.5gH2O/cc超、1.75gH2O/cc超、2.0gH2O/cc超、2.25gH2O/cc超、2.5gH2O/cc超、又は更には2.75gH2O/cc超の吸水率を有する。他の実施形態では、炭素材料は不活性粒子として調製され、0.2gH2O/cc超、0.4gH2O/cc超、0.6gH2O/cc超、0.8gH2O/cc超、1.0gH2O/cc超、1.25gH2O/cc超、1.5gH2O/cc超、1.75gH2O/cc超、2.0gH2O/cc超、2.25gH2O/cc超、2.5gH2O/cc超、又は更には2.75gH2O/cc超の吸水率を有する。例示的な炭素粒子の吸水率の決定方法は、当技術分野で公知である。
【0127】
炭素材料の吸水率は、R因子の項でも測定でき、このRは、炭素1グラム当たりに吸収される水の最大グラムである。いくつかの実施形態では、R因子は、2.0超、1.8超、1.6超、1.4超、1.2超、1.0超、0.8超、又は0.6超である。他の実施形態では、R値は1.2~1.6の範囲であり、更に他の実施形態では、R値は1.2未満である。
炭素材料のR因子は、長期間(例えば、2週間)多湿環境に曝露されたときの炭素材料の吸水能力に基づいて決定することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、R因子は相対湿度に関連して表される。この点に関して、いくつかの実施形態では、炭素材料は、10%~100%の範囲の相対湿度において、約0.1~約1.0の範囲のR因子を有する。いくつかの実施形態では、R因子は、10%~100%の範囲の相対湿度において、0.1未満、0.2未満、0.3未満、0.4未満、0.5未満、0.6未満、0.7未満又は更に0.8未満である。前述の実施形態では、炭素材料は、約0.1cc/g~2.0cc/g、約0.2cc/g~1.8cc/g、約0.4cc/g~1.4cc/g、約0.6cc/g~1.2cc/gの全細孔容積を有する。前述の他の実施形態では、相対湿度は、約10%~約20%、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%若しくは約90%~約99%の範囲、又は更には100%である。上記のR因子は、炭素材料を、室温で2週間、規定湿度に曝露することにより決定されてもよい。
【0128】
本明細書に記載の様々なパラメータの組合せが他の実施形態を形成することは理解されるべきである。例えば、特定の一実施形態では、炭素は少なくとも約2cc/gの細孔容積(例えば、メソ細孔容積)及び少なくとも2000m2/gの比表面積を有する。このようにして、様々な実施形態が本発明の範囲内に包含される。
【0129】
C.硬化ポリマー組成物及び炭素材料の特性決定
最終的な炭素材料、硬化ポリマー組成物、ポリマー組成物、及び反応混合物の特性は、当該技術分野で公知の技術を使用して測定され得る。例えば、炭素材料の構造特性は、当該技術分野で公知の方法である77Kでの窒素吸着を使用して測定できる。完成した炭素材料の最終性能及び特徴は重要であるが、当業者に公知のように、中間生成物(即ち、反応混合物、ポリマー組成物及び硬化ポリマー組成物)も、特に品質管理の観点から評価され得る。Micromeretics社のASAP2020を使用して詳細なミクロ細孔及びメソ細孔分析が実施され、その結果、いくつかの実施形態では0.35nm~50nmの孔径分布が明らかにされている。このシステムは10-7atmの圧力から出発する窒素等温線を作成し、1nm以下の範囲の高分解度の孔径分布を可能にする。レポートを作成したソフトウェアは、密度汎関数理論法(DFT)を利用して、特定の孔径範囲内の孔径分布、表面積分布、全表面積、全細孔容積、及び細孔容積等の特性を算出する。
炭素材料の不純物含有量は、当業者に公知の多くの分析技術によって決定できる。本開示に関連して有用な1つの具体的な分析方法は、プロトン励起X線放射(PIXE)である。この技術は、11~92の範囲の原子番号を有する元素の濃度を低ppmレベルで測定できる。従って、一実施形態では、炭素材料中に存在する不純物の濃度は、PIXE分析によって決定される。
別の有用な分析方法は、全反射蛍光X線(TXRF)である。この技術は、11~92の範囲の原子番号を有する元素の濃度を低ppmレベルで測定できる。従って、一実施形態では、炭素材料中に存在する不純物の濃度は、TXRF分析によって決定される。
【0130】
本方法の実施形態の他のパラメータ(例えば、温度及び時間)を測定するための技法及び装置は周知であり、当業者に容易に明らかであろう。更に、該当する場合には、本明細書に開示の方法の特定の態様は自動化される(例えば、保持時間及び昇温時間を含む温度プログラム)。
【0131】
D.炭素材料を含むデバイス
1.EDLC
本開示の方法は、多くの電気的エネルギー貯蔵及び分配デバイスにおいて電極材料として使用できる炭素材料をもたらす。かかるデバイスの1つはウルトラキャパシタである。炭素材料を含むウルトラキャパシタは、その全体が本願に援用される共有の米国特許第7,835,136号明細書に詳述されている。本方法の特定の実施形態は、その全体が本願に援用される共有の米国特許第8,293,818号明細書;米国特許第7,816,413号明細書;米国特許第8,404,384号明細書;米国特許第8,916,296号明細書;米国特許第8,654,507号明細書;米国特許第9,269,502号明細書;米国特許第9,409,777号明細書;及び国際公開第2007/061761号、国際公開第2017/066703号に記載の特性を有する炭素材料又は関連組成物をもたらす。
EDLCは、電解質溶液に浸漬された電極をエネルギー貯蔵素子として用いる。典型的には、電解質に浸漬されて電解質が含浸した多孔質セパレータは、電極同士が互いに接触しないことを確実とし、これによって電極間に電流が直接流れるのを防ぐ。同時に、この多孔質セパレータは、電解質を介して、電極間をイオン電流が双方向に流れることを可能にしており、これによって、電極と電解質との間の界面に電荷の二重層が形成される。
EDLCの電極対の間に電位を印加すると、電解質内に存在するイオンが、逆に荷電した電極の表面に引き寄せられ、電極に向かって移動する。その結果、逆に荷電したイオンの層が作られ、各電極表面の近くに維持される。電気エネルギーは、これらのイオン層と対応する電極表面の電荷層との間の電荷分離層に貯蔵される。実際には、電荷分離層は本質的に静電キャパシタとして振る舞う。静電エネルギーは、電位によって誘起された電界の影響下で、電解質溶液の分子の配向及び配列を介して、EDLCSに貯蔵することもできる。しかしながら、このエネルギー貯蔵モードは二次的なものである。
本開示の方法の炭素材料を含むEDLCは、大電力を必要とする様々な電子デバイスにおいて使用可能である。更に、かかる電子デバイスを製造するコストは、本明細書に開示される炭素材料を調製する改良された方法に基づいて、劇的に削減される。
従って、一実施形態では炭素材料を含む電極が提供される。別の実施形態では、電極は、活性炭材料を含む。更なる実施形態では、本炭素材料を含む電極を備えたウルトラキャパシタが提供される。上記の更なる実施形態では、超高純度炭素材料は、上記の最適化されたバランスのミクロ細孔とメソ細孔とを有する。
【0132】
開示される炭素材料の製造方法は、多数の電子デバイス、例えば無線の消費者用及び商業用デバイス、例えばデジタルスチルカメラ、ノートPC、医療用デバイス、位置追跡デバイス、自動車用デバイス、コンパクトフラッシュデバイス、携帯電話、PCMCIAカード、種々の携帯デバイス、及びデジタル音楽プレーヤーの製造に有用である。ウルトラキャパシタは、重機、例えば掘削機及び他の土木装置、フォークリフト、ごみ運搬車、港湾及び建設用クレーン、並びに輸送システム、例えばバス、自動車、及び列車にも用いられる。
【0133】
従って、特定の実施形態では、本開示は、上記方法及びそれにより提供される炭素材料、例えば、ある細孔構造を有する炭素材料のいずれかを含む電気エネルギー貯蔵デバイスの調製方法を提供し、上記細孔構造は、ミクロ細孔、メソ細孔、及び全細孔容積を含み、全細孔容積の20%~80%がミクロ細孔に属し、全細孔容積の20%~80%がメソ細孔に属し、全細孔容積の10%未満が20nm超の細孔に属する。
【0134】
いくつかの実施形態では、電気二重層コンデンサ(EDLC)デバイスを製造する方法が提供され、当該EDLCは、
a)その各々が炭素材料を含む正電極及び負電極、
b)不活性多孔質セパレータ、及び
c)電解質、を含み、
正電極と負電極とは不活性多孔質セパレータによって隔てられている。
【0135】
一実施形態は、少なくとも5W/g、少なくとも10W/g、少なくとも15W/g、少なくとも20W/g、少なくとも25W/g、少なくとも30W/g、少なくとも35W/g、少なくとも50W/gの質量出力を有するウルトラキャパシタデバイスを調製する方法を提供する。別の実施形態では、少なくとも2W/g、少なくとも4W/cc、少なくとも5W/cc、少なくとも10W/cc、少なくとも15W/cc又は少なくとも20W/ccの体積出力を有するウルトラキャパシタデバイスを調製する方法が提供される。別の実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも2.5Wh/kg、少なくとも5.0Wh/kg、少なくとも7.5Wh/kg、少なくとも10Wh/kg、少なくとも12.5Wh/kg、少なくとも15.0Wh/kg、少なくとも17.5.Wh/kg、少なくとも20.0Wh/kg、少なくとも22.5Wh/kg、又は少なくとも25.0Wh/kgの質量エネルギーを有する。別の実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも1.5Wh/リットル、少なくとも3.0Wh/リットル、少なくとも5.0Wh/リットル、少なくとも7.5Wh/リットル、少なくとも10.0Wh/リットル、少なくとも12.5Wh/リットル、少なくとも15Wh/リットル、少なくとも17.5Wh/リットル、又は少なくとも20.0Wh/リットルの体積エネルギーを有する。
【0136】
上記のいくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスの質量出力、体積出力、質量エネルギー、及び体積エネルギーは、2.7V~1.89Vの定電流放電によって、テトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.0Mアセトニトリル溶液(AN中1.0MのTEATFB)電解質及び0.5秒の時間定数を用いて測定される。
一実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも10W/gの質量出力、少なくとも5W/ccの体積出力、少なくとも100F/gの質量比容量(@0.5A/g)、及び少なくとも10F/ccの体積比容量(@0.5A/g)を有する。一実施形態では、上記のウルトラキャパシタデバイスは、炭素材料、導電性向上剤、バインダー、電解質溶媒、及び電解質塩を含むコインセル二重層ウルトラキャパシタである。更なる実施形態では、上記の導電性向上剤は、カーボンブラック及び/又は当該技術分野において公知の他の導電性向上剤である。更なる実施形態では、上記のバインダーは、テフロン及び/又は当該技術分野において公知の他のバインダーであり得る。更なる上記の実施形態では、電解質溶媒は、アセトニトリル又はプロピレンカーボネート又は当該技術分野において公知の他の電解質溶媒(複数可)である。更なる上記の実施形態では、電解質塩は、テテトラエチルアミノテトラフルオロボラート又はトリエチルメチルアミノテトラフルオロボラート又は当該技術分野において公知の他の電解質塩、又は当該技術分野において公知の液状電解質である。
一実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも15W/gの質量出力、少なくとも10W/ccの体積出力、少なくとも110F/gの質量比容量(@0.5A/g)、及び少なくとも15F/ccの体積比容量(@0.5A/g)を有する。一実施形態では、上記のウルトラキャパシタデバイスは、炭素材料、導電性向上剤、バインダー、電解質溶媒、及び電解質塩を含むコインセル二重層ウルトラキャパシタである。更なる実施形態では、上記の導電性向上剤は、カーボンブラック及び/又は当該技術分野において公知の他の導電性向上剤である。更なる実施形態では、上記のバインダーは、テフロン及び/又は当該技術分野において公知の他のバインダーであり得る。更なる上記の実施形態では、電解質溶媒は、アセトニトリル又はプロピレンカーボネート又は当該技術分野において公知の他の電解質溶媒(複数可)である。更なる上記の実施形態では、電解質塩は、テトラエチルアミノテトラフルオロボラート又はトリエチルメチルアミノテトラフルオロボラート又は当該技術分野において公知の他の電解質塩、又は当該技術分野において公知の液状電解質である。
一実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも90F/g、少なくとも95F/g、少なくとも100F/g、少なくとも105F/g、少なくとも110F/g、少なくとも115F/g、少なくとも120F/g、少なくとも125F/g、又は少なくとも130F/gの質量比容量を有する。別の実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは少なくとも5F/cc、少なくとも10F/cc、少なくとも15F/cc、少なくとも20F/cc、又は少なくとも25F/ccの体積比容量を有する。上記のいくつかの実施形態では、質量比容量と体積比容量は2.7V~0.1Vの定電流放電によって、5秒の時間定数で、テトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.8Mアセトニトリル溶液(AN中1.8MのTEATFB)の電解質と0.5A/g、1.0A/g、4.0A/g、又は8.0A/gの電流密度とを用いて測定される。
更に他の実施形態では、EDLCデバイスは、2.7V~0.1Vの定電流放電によって、少なくとも0.24Hzの周波数応答で、テトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.8Mアセトニトリル溶液の電解質及び0.5A/gの電流密度を用いて測定したときに、少なくとも13F/ccの質量比容量を有する。他の実施形態はEDLCデバイスを含み、当該EDLCデバイスは、2.7V~0.1Vの定電流放電によって、少なくとも0.24Hzの周波数応答で、テトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.8Mアセトニトリル溶液の電解質及び0.5A/gの電流密度を用いて測定したときに、少なくとも17F/ccの質量比容量を有する。
【0137】
上記のように、本方法の実施形態は、ウルトラキャパシタデバイスに組み込むために炭素材料を変更するステップを含み得る。いくつかの実施形態では、炭素材料は、当該技術分野の技術に従って、ジェットミルを使用して約10ミクロンの平均粒径まで粉砕される。理論に束縛されるものではないが、この微細な粒径は粒子間の導電性を向上し、更には極薄シート電極の製造を可能にすると考えられる。ジェットミルは、本質的には、高圧窒素によって推進されるディスク形チャンバの内側で炭素を回転させることにより、炭素同士をこすり合わせて粉砕する。より大きな粒子が供給されると、それは遠心力によってチャンバの外側に押される。粒子同士が互いにこすり合わさって粉砕されるにつれて、粒子は中心に向かって移動し、最終的に、適切な寸法に達した時点で、粉砕チャンバから外に出る。
【0138】
更なる実施形態では、ジェットミル処理後に、炭素材料は繊維性のテフロンバインダー(3質量%)と混合されて、粒子を合わせて1枚のシートに保持する。炭素材料/テフロン混合物は、均一な粘稠度に到達するまで混錬される。次に、混合物は高圧ローラー成形機を用いてシート状にローラー加工されて、50ミクロンの最終厚さを得る。これらの電極をディスク状に打ち抜き、乾燥アルゴン雰囲気下で195℃に加熱して、水及び/又は他の空気中汚染物質を除去する。電極を秤量し、その寸法をノギスで測定する。
EDLCの炭素電極は適切な電解質溶液によって湿潤される。本出願のデバイスに使用するための電解質溶液に使用するための溶媒の例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、及びアセトニトリルが挙げられるがこれらに限定されない。かかる溶媒は、一般的に、テトラアルキルアンモニウム塩、例えば、TEATFB(テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラート);TEMATFB(トリ-エチルメチルアンモニウムテトラフルオロボラート);EMITFB(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート)、テトラメチルアンモニウム又はトリエチルアンモニウム系の塩等の溶質と混合される。更に、電解質は、希硫酸又は水酸化カリウムなどの水性の酸又は塩基性電解質であり得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、電極は、テトラエチルアンモニウム-テトラフルロボラートの1.0Mアセトニトリル溶液(AN中1.0MのTEATFB)の電解質によって湿潤される。他の実施形態では、テトラフルオロボラートテトラエチルアンモニウムの1.0Mプロピレンカーボネート溶液(PC中1.0MのTEATFB)の電解質によって湿潤される。これらは研究及び産業の両方で用いられる一般的な電解質であり、デバイス性能を評価するための標準と見なされる。他の実施形態では、対称型の炭素-炭素(C-C)キャパシタが不活性雰囲気下(例えばアルゴングローブボックス内)で組み立てられ、NKK多孔質膜(30ミクロン厚)がセパレータとして働く。組み立てられると、試料は、試料の多孔性に応じて約20分間以上電解質中に浸漬され得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、静電容量及び電力は、サイクリックボルタメトリー(CV)、クロノポテンシオメトリー(CP)、及びインピーダンス分光法を用いて、種々の電圧(1.0~2.5Vの最大電圧の範囲)及び電流レベル(1~10mA)で、Biologic社VMP3電気化学ワークステーションによって測定される。この実施形態では、静電容量は、次式を用いてポテンショグラムの放電曲線から計算できる。
式1
【数1】
式中、Iは電流(A)であり、ΔVは電圧降下であり、Δtは時間差である。この実施形態では試験キャパシタが対称型の炭素-炭素(C-C)電極であることから、比容量は、
式2 C
s=2C/m
e
(式中、m
eは単電極の質量である)から求められる。比エネルギー及び電力は
式3
【数2】
式4 P
s=E
s/4ESR
を用いて求められ、式中、Cは測定された静電容量、V
maxは最大試験電圧、ESRは放電開始時の電圧降下から得られる等価直列抵抗である。ESRはインピーダンス分光法から交互に誘導できる。
【0141】
2.電池
開示される炭素材料を提供する方法は、多数の種類の電池において電極の製造にも使用できる。かかる電池の1つは、金属空気電池、例えばリチウム空気電池である。リチウム空気電池は、一般に、正電極と負電極との間に挿入された電解質を含む。正電極は、通常、リチウム化合物、例えば酸化リチウム又は過酸化リチウムを含み、酸素を酸化又は還元する働きをする。負電極は、通常、リチウムイオンを吸収及び放出する炭素質の物質を含む。スーパーキャパシタと同様に、本明細書に開示される方法の実施形態を含むリチウム空気電池等の電池を調製する方法は、他の公知の炭素材料を含む電池よりも優れていると予想される。従って、一実施形態は、金属空気電池、例えば、リチウム空気電池を調製する方法を提供する。多数の他の電池、例えば亜鉛-炭素電池、リチウム/炭素電池、鉛酸電池等も、本方法により性能が向上すると予想される。当業者は、開示される方法が有益となる炭素含有電池の他の具体的な種類も認識するであろう。
例えば、本方法の実施形態は、鉛酸電池に特に有用な炭素材料を製造し得る。具体的には、本方法の実施形態は、鉛酸及び関連電池システムに使用するための低ガス発生性炭素材料(例えば、粒子)を製造できる。これらの炭素材料は、電荷受容性の増加及びサイクル寿命の改善を含むがこれらに限定されない、特定の電気化学的強化をもたらす一方で、この目的で以前開示された炭素材料と比較して、ガス発生が非常に低くなる。低ガス発生性炭素は、低ガス発生性炭素粒子からなる粉末として提供でき、この粉末を鉛粒子とブレンドして、低ガス発生性炭素と鉛粒子とのブレンドを作ることができる。
従って、別の実施形態では、本発明は、本明細書に開示の方法を含む、電池、特に亜鉛/炭素、リチウム/炭素電池、又は鉛酸電池を調製する方法を提供する。
【0142】
一実施形態は、電気エネルギー貯蔵デバイス、例えば、鉛/酸電池を調製する方法に関し;いくつかの実施形態は、
a)第1の集電体と電気的に接触している第1の活物質を含む少なくとも1つの正電極、
b)第2の集電体と電気的に接触している第2の活物質を含む少なくとも1つの負電極、及び
c)電解質、を含む鉛/酸電池であって、
上記正電極及び負電極は、不活性多孔質セパレータによって互いに隔てられており、第1及び第2の活物質のうち少なくとも1つが炭素材料を含む、鉛/酸電池を調製する方法を提供する。
他の実施形態では、電気エネルギー貯蔵デバイスは1つ以上の鉛系正電極と1つ以上の炭素系負電極とを含み、炭素系電極は炭素-鉛ブレンドを含む。本開示のデバイスの他の実施形態では、正電極及び負電極の両方の構成要素が、任意で炭素(例えば、本明細書に開示の実施形態に従って調製された炭素材料)を含む。
上記の更なる実施形態では、正電極及び/又は負電極は、活物質の性能を強化する作用がある1つ以上の他の要素を、鉛及び炭素材料に加えて更に含む。かかる他の元素としては、鉛、スズ、アンチモン、ビスマス、ヒ素、タングステン、銀、亜鉛、カドミウム、インジウム、硫黄、ケイ素及びこれらの組合せ、並びにこれらの酸化物及びこれらを含む化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
炭素材料と鉛のブレンドは、鉛酸電池に使用するための電極に使用できる。従って、一実施形態は、少なくとも1個のセルを含む複合型鉛-炭素-酸電気的エネルギー貯蔵デバイスを提供し、その少なくとも1個のセルは、複数の炭素材料-鉛系正電極と、1つ以上の炭素材料-鉛系負電極とを含む。当該デバイスは、更に、セル間のセパレータ、酸電解質(例えば、硫酸水溶液)、及びデバイスを収容するケーシングを備える。
複合型鉛-炭素-酸エネルギー貯蔵デバイスのいくつかの実施形態では、炭素系負電極はそれぞれ、高伝導性集電体;集電体の少なくとも1面に接着されかつ電気的に接触している炭素材料-鉛ブレンド、及び負電極又は正電極の上端の上方に延在するタブ要素を含む。例えば、炭素材料-鉛系正電極は各々、鉛系集電体と、集電体表面に接着され、かつ電気的に接触している二酸化鉛系活物質ペーストと、正電極の上端の上方に延在するタブ要素とを備えてもよい。通常は、ブレンド中の鉛又は酸化鉛は、カソード用のエネルギー貯蔵活物質としての役割を果たす。
複合型鉛-炭素-酸エネルギー貯蔵デバイスの他の実施形態では、鉛系集電体の前面及び後面の各々は、鉛系集電体の中間平面に対して高くなった部分及び低くなった部分のマトリックスを備え、かつ集電体の高くなった部分と低くなった部分との間に形成されたスロットを更に備える。この実施形態では、鉛系集電体の集合体厚さは、集電体を形成している鉛系材料の厚さよりも大きい。
【0143】
負電極は、導電性集電体;炭素材料-鉛ブレンド;及び側面から(例えば負電極の上端の上方から)延在するタブ要素を含み得る。負電極タブ要素は、キャストオンストラップにより電気的に互いに固定されてもよく、コネクタ構造を有し得る。活物質は、集電体マトリックスに接着され、かつ電気的に接触しているシートの形態であってもよい。ブレンドが集電体マトリックスに接着されかつ電気的に接触するために、ブレンドは、PTFE又は超高分子量ポリエチレン(例えば、数百万、通常は約200万~約600万の分子量を有する)等の好適なバインダー物質と混合されてもよい。いくつかの実施形態では、バインダー材料は、熱可塑特性を呈さないか又は最小限の熱可塑特性を呈する。
特定の実施形態では、各電池セルは4つの正電極を含み、該正電極は鉛系であり、二酸化鉛活物質を含む。各正電極は、正電極の各面に接着された多孔質炭素材料(例えば、炭素-鉛ブレンド)及び炭素内に含有される二酸化鉛を含む高導電性集電体を含む。また、この実施形態では、電池セルは3つの負電極を含み、その各々は負電極の各面に接着された多孔質炭素材料を含む高導電性集電体を備え、この多孔質炭素材料は炭素内に鉛を含む。
【0144】
他の実施形態では、各セルは、交互に置かれる複数の正電極と複数の負電極とを含む。それぞれの隣接する正電極と負電極の対の間に、セパレータが置かれる。正電極のそれぞれが、個々の各電極の上端の上方に延在するタブを有するように構成され;負電極のそれぞれが、個々の各負電極の上端の上方に延在するタブを有する。特定の変形では、セパレータは、酸電解質との使用を意図した好適なセパレータ材料から作製され、セパレータは、不織布若しくはフェルト製材料又はこれらの組合せ等の織布材料から作製されてもよい。他の実施形態では、集電体の材料は鉛シートであり、鉛シートはキャスト又は圧延されていてもよく、かつ打ち抜き又は機械加工されていてもよい。
セルはそれぞれ、交互の正極板と負極板とを有してもよく、電解質は、正極板と負極板との間の容積部分に配置されてもよい。加えて、電解質は、正極板及び負極板に含まれる材料中の細孔空間の一部又は全てを占めることができる。一実施形態では、電解質は、その中に正極板及び負極板が浸され得る電解質水溶液を含む。電解質溶液組成物は、特定の電池化学作用に対応するように選択され得る。例えば、鉛酸電池では、電解質は硫酸及び蒸留水の溶液を含み得る。しかしながら、他の酸を使用して、本開示の電池の電解質溶液を形成してもよい。
別の実施形態では、電解質はシリカゲルを含んでもよい。このシリカゲル電解質は、ゲルが、セルの正極板と負極板(複数可)との間の容積を少なくとも部分的に満たすように、電池に添加できる。
【0145】
いくつかの他の変形では、各セルの正極板及び負極板は、化学的活物質で充満又はコーティングされた集電体を備えてもよい。電池の集電体上に配置された活物質中の化学反応により、電気的エネルギーの貯蔵及び放出が可能になる。集電体材料ではなく、この活物質の組成が、特定の集電体が正極板として機能するか負極板として機能するかを決定する。
化学的活物質の組成はまた、装置の化学作用にも依存する。例えば、鉛酸電池は、例えば鉛の酸化物又は塩を含む化学的活物質を含み得る。特定の実施形態では、化学的活物質は、二酸化鉛(PbO2)を含み得る。化学的活物質は、例えば、様々な割合の遊離鉛、構造繊維、導電性材料、炭素、及び電池寿命にわたる容積変化に適応するための増量剤等の様々な添加剤も含み得る。特定の実施形態では、鉛酸電池用の化学的活物質の構成要素は、硫酸及び水と混合されて、ペースト、スラリー、又は任意の他の種類のコーティング材料を形成し得る。
ペースト又はスラリーの形態の化学的活物質は、例えば、正及び負の極板の集電体に塗布され得る。化学的活物質は、浸漬、塗布、又は任意の他の好適なコーティング技術を介することにより、集電体に適用され得る。
特定の実施形態では、電池の正及び負の極板は、極板を作製するのに対応する集電体に最初に化学的活物質を堆積することにより形成される。全ての用途に必要なわけではないが、特定の実施形態では、集電体に堆積された化学的活物質に、硬化及び/又は乾燥プロセスが施されてもよい。例えば、硬化プロセスは、化学的活物質の化学的及び/又は物理的特性における変化を促進するために、化学的活物質を昇温及び/又は湿潤状態に曝露することを含み得る。
正極板と負極板を組み立ててセルを形成した後、電池に、充電(即ち、形成)プロセスが施され得る。この充電プロセス中に、化学的活物質の組成は、セルの正極板と負極板との間に電気化学電位をもたらす状態に変化し得る。例えば、鉛酸電池では、正極板のPbO活物質は、電気的に二酸化鉛(PbO2)へと変化する場合があり、負極板の活物質は、スポンジ鉛へと変換し得る。逆に、後の鉛酸電池の放電中に、正極板及び負極板の両方の化学的活物質は、硫酸鉛へと変換する。
【0146】
本開示の実施形態によって調製される炭素材料を含むブレンドは、細孔のネットワークを含み、これは各集電体に大きな表面積を提供できる。例えば、上記のデバイスの特定の実施形態では、炭素材料はメソ細孔性であり、他の実施形態では、炭素材料はミクロ細孔性である。更に、炭素層は、上記の物理的特性の任意の組合せを呈するように製作され得る。
活物質用の基材(即ち、支持体)は、いくつかの異なる材料及び物理的構成を含み得る。例えば、特定の実施形態では、基材は、導電性材料、ガラス、又はポリマーを含み得る。特定の実施形態では、基材は、鉛又はポリカーボネートを含み得る。基材は材料の単一シートとして形成され得る。あるいは、基材は、クロスメンバー及びストラットを有するグリッドパターン等の開放構造を備え得る。
基材は、集電体との電気的接続を確立するためのタブも備え得る。あるいは、特に、基材が低伝導性のポリマー又は材料を含む実施形態では、炭素材料層は、集電体との電気的接続を確立するための材料のタブを備えるように構成され得る。かかる実施形態では、タブ及び炭素材料層を形成するために使用される炭素材料に、炭素材料層に対する良好な機械的及び電気的接触を補佐又は提供するための鉛、銀、又は任意の他の好適な金属等の金属を注入してもよい。
【0147】
本開示の実施形態によって調製される炭素材料を含むブレンドは、基材がブレンドへの支持を提供できるように、基材に物理的に結合されていてもよい。一実施形態では、ブレンドは基材に積層されてもよい。例えば、ブレンド及び基材には、ブレンドが物理的に基材と結合するように、熱及び/又は圧力の印加を含み得る任意の好適な積層プロセスが施されてもよい。特定の実施形態では、積層プロセスを補助するために、感熱性及び/又は感圧性の積層フィルム又は接着剤が使用されてもよい。
他の実施形態では、ブレンドは、機械的ファスナーシステムを介して、基材に物理的に結合されてもよい。このファスナーシステムは、炭素材料層を支持体に固定することができる任意の好適な種類のファスナーを備えてもよい。例えば、ブレンドは、ステープル、ワイヤ又はプラスチック面ファスナー、リベット、カシメファスナー、ねじ等を使用して支持体に接合されてもよい。或いは、ブレンドは、ワイヤ糸、又は他の種類の糸を使用して、支持体に縫い付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ブレンドは、ブレンドの基材への結合を促進するために、更にバインダー(例えば、テフロン等)を含んでもよい。
【0148】
別の実施形態は、金属空気電池を調製するための方法を提供する。例えば、金属空気電池は、
a)二官能性触媒を含む開示されるメソ細孔性炭素材料を含む空気カソード;
b)金属アノード;及び
c)電解質、を含む。
別の実施形態では、本開示は、
a)金属を含む開示されるメソ細孔炭素材料を含む空気カソードであって、当該金属が、鉛、スズ、アンチモン、ビスマス、ヒ素、タングステン、銀、亜鉛、カドミウム、インジウム又はこれらの組合せを含む、空気カソード;
b)金属アノード;及び
c)電解質
を含む、金属空気電池を提供する。
上記電池の具体的な一実施形態では、金属は銀を含む。
本開示の範囲内の活物質には、電気を貯蔵及び/又は伝導する能力がある材料が含まれる。活物質は、当該技術分野で公知であって鉛酸電池に有用な任意の活物質であってよく、例えば、活物質は鉛、酸化鉛(II)、酸化鉛(IV)、又はこれらの組合せを含んでよく、ペースト状であってもよい。
一実施形態では、本開示は、
a)二官能性触媒を含む開示されるメソ細孔性炭素材料を含む空気カソード;
b)金属アノード;
c)二次炭素アノード;及び
d)電解質
を含む、金属空気電池を提供する。
上記の実施形態では、二次炭素アノードはウルトラキャパシタ又は電気二重層コンデンサ(EDLC)アノードとして作用する。特定の実施形態では、この二次アノードに使用される炭素は、ミクロ細孔性であり、高い静電容量を提供する。特定の実施形態では、炭素は高純度であるか又は最適化されたブレンドのミクロ細孔とメソ細孔を含む。
上記デバイスのいずれかの別の実施形態では、炭素材料は、ミクロ細孔対メソ細孔の分布は同じであるが、より低い表面積領域にある。この実施形態は、熱分解後(ただし活性化せず)の表面官能性が低く、同じ最適化されたミクロ細孔対メソ細孔容積分布を生じる同じベース高純度ポリマー組成物及び/又は硬化ポリマー組成物を合成することによって、炭素材料を調製するステップを含む。鉛酸電池のような電池用途において、表面積が低く最適化された細孔構造は、高い導電性ネットワークを有する電極配合物を最大限にもたらす。大きなメソ細孔容積が、多くの他のエネルギー貯蔵システム(鉛酸、リチウムイオン等)で高いイオン移動度を可能にする優れた構造になりうることも理論化されている。
上記の金属空気電池のいくつかの他の実施形態では、金属アノードは、リチウム、亜鉛、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムバリウム、ラジウム、アルミニウム、ケイ素、又はこれらの組合せを含む。他の実施形態では、電解質は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル又はこれらの混合物を、1つ以上の溶質と組合せて含み、この溶質は、リチウム塩、LiPF6、LiBF4、LiClO4テトラアルキルアンモニウム塩、TEATFB(テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラート)、MTEATFB(メチルトリエチルアンモニウムテトラフルオロボラート)、EMITFB(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート)、テトラエチルアンモニウム又はトリエチルアンモニウム系の塩である。
【0149】
上記電池の更に他の実施形態では、二官能性触媒は、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、金、ハフニウム、白金、チタン、レニウム、タンタル、タリウム、バナジウム、ニオブ、スカンジウム、クロム、ガリウム、ジルコニウム、モリブデン又はこれらの組合せを含む。例えば、いくつかの具体的な実施形態では、二官能性触媒はニッケルを含む。他の実施形態では二官能性触媒は鉄を含み、他の実施形態では二官能性触媒はマンガンを含む。
他の実施形態では、二官能性触媒はカーバイド化合物を含む。例えば、いくつかの態様では、カーバイド化合物は、リチウムカーバイド、マグネシウムカーバイド、ナトリウムカーバイド、カルシウムカーバイド、ボロンカーバイド、シリコンカーバイド、チタンカーバイド、ジルコニウムカーバイド、ハフニウムカーバイド、バナジウムカーバイド、ニオブカーバイド、タンタルカーバイド、クロムカーバイド、モリブデンカーバイド、タングステンカーバイド、鉄カーバイド、マンガンカーバイド、コバルトカーバイド、ニッケルカーバイド又はこれらの組合せを含む。特定の実施形態では、カーバイド化合物はタングステンカーバイドを含む。
【0150】
カソードは、電解質をメソ細孔炭素の表面の湿潤特性に基づいて制御できる環境を作るように加工できる。例えば、メソ細孔炭素を製造できるのは、メソ細孔炭素の外表面は電解質を撥いてガス拡散を可能にする傾向があるが、内部細孔表面は電解質を引き付け、細孔内の良好なイオン拡散を促進する場合である。いくつかの実施形態では、メソ細孔炭素の細孔の内表面は電解質で湿潤されるが、メソ細孔炭素の外表面は電解質でそれほど湿潤されない。更に他の実施形態では、メソ細孔炭素の細孔の内表面は電解質で湿潤されないが、メソ細孔炭素の外表面は電解質で湿潤される。いくつかの実施形態では、一部の粒子が電解質で湿潤されず、ガス拡散チャネルとして作用し、他の粒子は優先的に電解質で湿潤されてイオン拡散チャネルとして作用する、粒子の混合物が存在する。
電解質は当業者に公知の任意の電解質でよいが、いくつかの例では、電解質はプロピレンカーボネートを含む。他の実施形態では、電解質はジメチルカーボネートを含む。更に他の実施形態では、電解質はエチレンカーボネートを含む。また更に他の実施形態では、電解質はジエチルカーボネートを含む。他の実施形態では、電解質はイオン液体を含む。多種多様なイオン液体が当業者に公知であり、その例としては、イミダゾリウム塩、例えば、ヘキサフルオロリン酸エチルメチルイミダゾリウム(EMIPF6)及び1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム[(DMPIX)Im](例えば、McEwen et al,“Nonaqueous Electrolytes and Novel Packaging Concepts for Electrochemical Capacitors,” The 7th International Seminar on Double Layer Capacitors and Similar Energy Storage Devices,Deerfield Beach,FL(December 8-10,1997)参照)が挙げられるがこれらに限定されない。
再充電可能なLi-空気電池の場合、一般的に、酸素放出及び酸素還元を援助するために二官能性触媒(又は特定の実施形態では、別の金属)が組み込まれる。メソ細孔炭素処理は、メソ細孔炭素の内部細孔表面上に所望の触媒構造を生じるように変更できる。
本開示のメソ細孔炭素は、リチウム電極の高速充放電能力を補佐するために使用できる。メソ細孔炭素は、電解質二重層キャパシタの電極として使用できる。本発明のメソ細孔炭素は、リチウム電極との電気的接触において分離コンポーネントとして添加できる。いくつかの実施形態では、空気電極の二重層容量は、この二次炭素アノードによって少なくとも部分的に適合される。他の実施形態では、二重層は、メソ細孔炭素上に構築される。かかる構成は高速充放電を可能にし、急速なパルスも可能である。かかるパルスは高速充放電が電池寿命に与える悪影響を最小限に抑えると考えられる。メソ細孔炭素がリチウムと物理的に接触していること又はセパレータの同じ側にあることは、リチウム空気電池の高速放電能力に寄与するために必要ではない。上記の他の実施形態では、電気接点(例えば、電極)における分離コンポーネントはミクロ細孔炭素である。
【実施例】
【0151】
以下の実施例において開示される炭素材料は、本明細書において開示される方法に従って調製した。化学物質は商業的供給者から試薬級以上の純度で入手し、供給者から受領したままの状態で、更なる精製を行わずに使用した。
【0152】
実施例1
炭素材料の調製
例示の炭素材料は、水/酢酸溶媒中で、酢酸アンモニウム触媒の存在下、レゾルシノールとホルムアルデヒドとから調製したポリマーを使用して合成した。試薬は、下の表1に示す量で、反応混合物に添加した。
【表1】
【0153】
水、酢酸(氷酢酸)、レゾルシノール及び酢酸アンモニウムをケトル反応器内で混合し、30℃に加熱した。得られた混合物にホルムアルデヒド溶液を添加した。得られた反応混合物の温度を、39~50℃に0~6時間維持した。次いで、反応混合物を20~30℃に冷却し、デカンテーションにより250mL~1Lのポリプロピレンボトルに移した。
移した後の反応混合物の屈折率(RI)を測定した結果、1.4255~1.4369の範囲であった。反応混合物のRIは、温度が一定(例えば、39~40℃)に保持されているとき、混合が完了した時間(例えば、0~6時間)の関数として変化することが明らかになった。各試料の屈折率を下の表2に示す。
【表2】
【0154】
デカンテーションした反応混合物をドラフト内に置くか、又は熱電対を取り付けた断熱箱内に固定する。この保持ステップの間にポリマー組成物が生成するにつれて、発熱共重合反応による発熱が、その後0.1~10時間にわたり、温度上昇を引き起こした。下の表3に示すように、温度上昇の度合、温度上昇の平均速度、及び温度上昇の最大速度は、デカンテーション時のRI測定と相関した。加熱の度合いも、デカンテーションした反応混合物を受け取る反応容器の表面積対容積比の関数として変化した。
【表3】
【0155】
保持環境(例えば、断熱箱)で約24時間後、ポリマー組成物を取り出し、オーブンに入れて硬化した。オーブンは、30℃から95℃まで24~72時間かけて昇温し、更に95℃で24時間保持するように設定した。得られた硬化ポリマー組成物を破断し、ポリプロピレンボトルから取り出して、管状炉に入れ、窒素雰囲気下で熱分解した。
硬化ポリマー組成物の熱分解の間、窒素は管状炉内を流れるように設定し、炉は20℃から900℃まで45分かけて加熱し、更に900℃で60分保持するように設定した。熱分解の間に、硬化ポリマー組成物は乾燥及び熱分解され、それによって、水分、酸素及び水素が除去されて、純粋な炭素材料を生じた。
得られた炭素材料を試験して、メソ細孔容積、孔径分布、及び表面積をガス吸着により決定した。得られたメソ細孔容積及び孔径分布は、保持ステップ中に到達した最大温度及び昇温速度の関数であった。下の表4のデータに示すように、最終的な細孔容積は、最大保持温度と対比できる。
【表4】
【0156】
更に、相対的細孔完全性を、本明細書に開示の方法の特定の実施形態を用いて得られた硬化ポリマー組成物について比較した。表5のデータは、最大保持温度と、硬化ポリマー組成物におけるポリマーの相対的細孔完全性との比較を示す。データが示すように、開示される方法及び組成物の実施形態は、意外にも、いかなる従来の乾燥ステップも行うことなく、所望の全細孔容積を維持する。更に、所望のポリマー組成物は、約0.40~約1.00以上の範囲の相対的細孔完全性を生じ得る。結果を、
図9にも示す。
【表5】
【0157】
実施例2
炭素材料のメソ細孔容積変動と保持時間との関係-試験1
例示の炭素材料の試料調製品4点を、実施例1に記載の手順及び以下のパラメータに従って合成した。試薬は、下の表6に示す量で添加した。
【表6】
【0158】
ホルムアルデヒドを除く全ての試薬を合わせ、40℃まで加熱した。温度を39~40℃に維持しながら、ホルムアルデヒド溶液を145分かけて反応器内にポンプ輸送した。得られた反応混合物を22℃まで冷却した後、デカンテーションした。4点の試料調製品を、20℃~25℃で0、3、6、及び12時間保持した。
上記の各保持時間の後、試料を初期温度25℃に設定し、その後95℃まで1℃/時の昇温速度で昇温し、95℃で更に24時間保持したオーブン内で硬化した。試料を冷却、破断し、管状炉内に入れ、窒素雰囲気下で乾燥及び熱分解した。
試料の熱分解は、窒素流下、20℃で開始して900℃まで45分かけて昇温し、900℃で更に60分間保持して実施した。熱分解の間に、硬化ポリマー組成物は乾燥及び熱分解され、それによって、水分、酸素及び水素が除去されて、純粋な炭素材料を生じる。各試料について、得られたメソ細孔容積をガス吸着によって試験した。結果を下の表7及び
図1に示す。
【表7】
【0159】
上記の結果に示すように、保持時間が長いほど試料のメソ細孔容積が低くなり、試料1(保持時間0時間)は0.61cm
3/gという相対的に高いメソ細孔容積を有した。細孔容積分布を
図2に示す。
【0160】
実施例3
炭素材料のメソ細孔容積変動と保持時間との関係-試験2
例示の炭素材料の試料調製品4点を、実施例1及び2に記載の手順及び以下のパラメータに従って合成した。試薬は、下の表8に示す量で添加した。
【表8】
【0161】
ホルムアルデヒドを除く全ての試薬を合わせ、50℃まで加熱した。温度を49~50℃に維持しながら、ホルムアルデヒド溶液を145分かけて反応器内にポンプ輸送した。得られた反応混合物を25℃まで冷却した後、デカンテーションした。4点の試料調製品を、20℃~25℃で0、1.7、3、及び5日間保持した。
上記の各保持時間の後、試料を90℃に設定したオーブン内で硬化し、48時間保持した。次いで、試料を冷却、破断し、管状炉内に入れ、窒素雰囲気下で乾燥及び熱分解した。
試料の熱分解は、窒素流下、20℃で開始して900℃まで45分かけて昇温し、900℃で更に60分間保持して実施した。熱分解の間に、硬化ポリマー組成物は乾燥及び熱分解され、それによって、水分、酸素及び水素が除去されて、純粋な炭素材料を生じた。各試料について、得られたメソ細孔容積をガス吸着によって試験した。結果を下の表9及び
図3に示す。
【表9】
【0162】
上記の結果に示すように、保持時間が長いほど試料のメソ細孔容積が低くなり、試料5及び6(それぞれ保持時間0日及び1.7日)は、それぞれ0.78cm
3/g及び0.653cm
3/gという相対的に高いメソ細孔容積を有した。各例示的炭素材料の細孔容積分布を
図4に示す。
【0163】
実施例4
様々な硬化昇温速度で調製した炭素材料
例示の炭素材料の試料調製品4点を、実施例1~3に記載の手順及び以下のパラメータに従って合成した。試薬は、下の表10に示す量で添加した。
【表10】
【0164】
ホルムアルデヒドを除く全ての試薬を合わせ、50℃まで加熱した。温度を49~50℃に維持しながら、ホルムアルデヒド溶液を145分かけて反応器内にポンプ輸送した。得られた混合物を、ホルムアルデヒド添加完了後、更に95分間反応器内に維持した。得られた反応混合物を25℃まで冷却した後、試料をデカンテーション及び保持し、温度を20℃~25℃に1日維持した。
保持ステップの後、試料をオーブンに入れて硬化した。オーブンを25℃の初期温度に設定し、1、3、10及び110℃/時の昇温速度で95℃まで昇温した。95℃に達すると、各試料を95℃で更に24時間保持した。次いで、試料を冷却、破断し、管状炉内に入れ、窒素雰囲気下で乾燥及び熱分解した。
試料の熱分解は、窒素流下、20℃で開始して900℃まで45分かけて昇温し、900℃で更に60分間保持して実施した。熱分解の間に、硬化ポリマー組成物は乾燥及び熱分解され、それによって、水分、酸素及び水素が除去されて、純粋な炭素材料を生じた。各試料について、得られたメソ細孔容積をガス吸着によって試験した。結果を下の表11及び
図5に示す。
【表11】
【0165】
上記の結果に示すように、昇温速度が遅いほど試料のメソ細孔容積が低くなり、試料11(昇温速度110℃/時)は0.6318cm
3/gという相対的に高いメソ細孔容積を有した。昇温速度が3℃/時より低い場合(即ち、試料9及び10)、2Å~200Åの範囲には細孔性がほとんど残らなかった。各例示的炭素材料の細孔容積分布を
図6に示す。
【0166】
実施例5
相対的細孔完全性の比較
試料を上記実施例3に下記の変更を加えて調製した。試料5及び8を、保持ステップ及び熱分解の後に回収した。試料5調製品を、それぞれ試料5A及び5Bの2つの試料に分けた。試料8を同様に分けて試料8A及び8Bを得た。
試料の熱分解の前に、試料5Aを凍結乾燥して硬化ポリマー組成物から溶媒を除去したが、試料5Bについては行わなかった。いずれの試料も、その後、上記のように熱分解した。試料5Aから得られた炭素材料は全細孔容積が0.81cm
3/gであったが、試料5Bから得られた炭素材料は全細孔容積が0.78cm
3/gであった。即ち、試料5Bは、相対的細孔完全性が0.96であった。更に、試料5Bの細孔容積分布は、試料5A(即ち、凍結乾燥あり)の細孔容積分布と比較して有意差を示さない。試料パラメータ及びメソ細孔容積の結果を下の表12に示し、細孔容積分布を
図7に示す。
【表12】
【0167】
試料8Aを凍結乾燥して硬化ポリマー組成物から溶媒を除去したが、試料8Bは乾燥しなかった。いずれの試料も、その後、上記のように熱分解した。試料8Aから得られた炭素材料は全細孔容積が0.56cm
3/gであったが、試料5Bから得られた炭素材料は全細孔容積が0.022cm
3/gであった。即ち、試料8Aは、相対的細孔完全性が0.04であった。試料パラメータ及びメソ細孔容積の結果を下の表13に示し、細孔容積分布を
図8に示す。
【表13】
【0168】
実施例6
活性炭の製造
実施例1~4に従って調製した熱分解炭素材料を、900℃のバッチロータリーキルンで、CO2下、660分間活性化した。活性炭の表面積を、表面積及び多孔度分析装置を使用して、窒素表面分析により評価した。比表面積は、通常はBET法を用いて測定し、通常はm2/gとして報告し、全細孔容積はcc/g又はcm3/gとして報告し、タップ密度はg/ccとして報告する。
活性炭材料の孔径分布は、熱分解炭素材料の孔径分布の測定に用いたTristar 3020より分解能が高い(より小さい孔径容積を検出する)ミクロ細孔対応アナライザであるmicromeritics ASAP2020で測定した。
活性炭材料についてのDFT累積容積プロットを使用して、ミクロ細孔に属する細孔容積とメソ細孔に属する細孔容積を決定できる。異なる特性(例えば、表面積、細孔構造等)を有する炭素材料は、上記の活性化条件(例えば、温度、時間等)を変えることで調製できる。
【0169】
実施例7
ジェットミルによる活性炭の微粉化
実施例5に従って調製した活性炭を、Jet Pulverizer Micron Master 50.8mm(2インチ)径ジェットミルを用いてジェットミル処理した。条件は、活性炭が毎時約0.3kg(0.7lb)、窒素ガス流が毎分約0.56立方メートル(20scf)、圧力が約0.7Mpa(100psi)であった。ジェットミル後の平均粒径は、約8~10ミクロンである。
【0170】
実施例8
活性炭の純度分析
本明細書の一般的手順に従って調製した炭素試料の不純物含有量を、全反射蛍光X線(TXRF)によって調べた。TXRFは、同時元素分析のための、業界標準で高感度かつ正確な測定法で、試料中の原子の励発によって特徴的なX線が発生し、これを検出し、その強度を確認しかつ定量化する。TXRFは、11~92(即ち、ナトリウムからウランまで)の範囲の原子番号を有する全ての元素の検出が可能である。
【0171】
実施例9
炭素材料の電気化学特性
炭素試料の電気化学性能(具体的には、EDLCコインセルデバイスの電極材料としての特性)を分析した。電極の組み立て、EDLC、及びこれらの試験に関する具体的詳細を以下に記す。
キャパシタ電極は、99質量部の炭素材料粒子(平均粒径5~15ミクロン)と1質量部のテフロンとを含む。この炭素とテフロンを、テフロンが十分に分散して複合物がある程度の物理的一体性を呈するまで、乳鉢と乳棒ですりつぶす。混合後、複合物を約50ミクロン厚の平坦なシート状に圧延する。このシートから直径約1.59cmの電極ディスクを打ち抜く。電極を、ドライボックスに取り付けた真空オーブンに入れ、195℃で12時間にわたって加熱する。これにより、電極調製中に大気から吸着された水を除去する。乾燥後、電極を室温まで冷まし、オーブン内の雰囲気をアルゴンで満たし、電極をドライボックスに入れて、そこでキャパシタを作製する。
炭素電極を、直径2.54cm(1インチ)の炭素コーティングしたアルミホイルディスクと50ミクロン厚のアルミニウムで熱融着したポリエチレンガスケットリングとで形成されたキャビティ内に入れる。次に、第2の電極を、同じ方法で調製する。アセトニトリル中に1.8Mのテトラエチレンアンモニウムテトラフルオロボラートを含む電解質2滴を各電極に加える。各電極を、直径約2.10cm(0.825インチ)の多孔質ポリプロピレンセパレータで覆う。電極の半分2つを、対向するセパレータではさみ、構造全体を合わせてホットプレスする。
完成すると、キャパシタは、ポテンショスタット/関数発生器/周波数応答アナライザによる電気的試験ができる状態である。静電容量は、定電流放電法により測定した。この方法は電流パルスを既知の持続時間にわたって印加し、得られる電圧プロファイルを測定する。所与の時間及び終了電圧を選択し、C=It/ΔV(式中、C=静電容量、I=電流、t=所望の電圧に到達するまでの時間、ΔV=初期電圧と最終電圧との間の電圧差)から静電容量を計算する。この静電容量をそれぞれ質量及び容積で除算することにより、2つの炭素電極の質量及び容積に基づく比容量が得られる。
【0172】
実施例10
炭素材料を含むキャパシタ電極の特性及び性能
上記の一般的手順に従って調製した炭素材料を、カーボネートベースの有機電解質を有する対称型電気化学キャパシタの電極としての特性及び性能について評価した。本材料を用いて組み立てた試験用キャパシタで、包括的な一連の特性及び性能の測定を実施した。
試料は、非常に粒状であり、比較的大きな粒子を含んでいた。結果として、評価のために形成したキャパシタの電極は、多孔質であり、非常に低密度(0.29g/cm3)である。本明細書に開示の方法の実施形態に従って調製した炭素材料は、質量ベースでは、市販デバイスと比べて非常に好ましい場合があり、これは主に、「ターンオン」周波数が比較的高いためである。本炭素材料の容積性能は、粉砕等の処理によって粒径を小さくすることで改善できると考えられる。
【0173】
試料調製は、60℃で乾燥するステップと、炭素材料を約3.0質量%のテフロンバインダーと混合するステップとを含む。この混合物を十分に混ぜ合わせて、約0.076mm(0.003インチ)厚の電極を形成する。この試料は、大きな粒子がかなりの割合を占め、多孔質で低密度の電極を生じるように見える場合がある。場合によっては、評価用として約0.05mm(0.002インチ)厚の電極を使用するが、この試料は、後続操作で要求される一体性を備えた状態ではこの薄さのシートに形成することができず、その結果、より厚みのある電極が調製される。このシート材料を鋼製ダイで打ち抜いて、直径約1.585cm(0.625インチ)のディスクを作製する。各材料の電極ディスク4つを、0.1mgの精度で秤量する。最後の調製ステップとして、これらの電極を、真空条件下(機械式粗引きポンプ)で、195℃で14時間にわたって乾燥する。
冷却後、(依然として真空下にある)電極を収容する真空容器を、ドライボックスに移す。その後の全ての組み立て作業をドライボックス内で実施する。電極ディスクを有機電解質に10分間浸漬し、その後、セルに組み立てた。電解質は、1.0Mのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TEATFB)塩を含む、プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)との等体積混合物である。
2層の連続気泡発泡体型セパレータ材料を用いて、試験セルを作成した。この二重セパレータは、試験セル内で圧縮される前に約0.1mm(0.004インチ)厚である。最初に、通常の単層のセパレータを使用して試験セルを作製するが、これらのセルは、おそらく電極内の微粒子が薄いセパレータに穴を開けるために漏れ電流が多かった。この試験セルの導電性フェースプレートは、(リチウムイオン電池業界で使用されているように)酸化を防止するための特殊な表面処理がなされたアルミニウム金属である。電解質適合性及び低水分透過性のために、熱可塑性エッジ封止材を選択し、ドライボックス内に直接配置したインパルスヒートシーラを用いて適用する。
実質的に同一の2つの試験セルを作製する。組み立てたセルを、試験のためにドライボックスから取り出す。金属板を各導電性フェースプレートにクランプで固定し、集電体として使用する。電極は各々約0.076mm(0.003インチ)厚であり、セパレータは約0.1mm(0.004インチ)厚(約0.05mm(0.002インチ)厚の材料の二重層)である。電極は、直径が約1.585cm(0.625インチ)である。キャパシタセルを1.0Vで10分間コンディショニングしてから特性を測定し、次に、2.0Vで10分間コンディショニングしてから特性を測定した。
【0174】
キャパシタセルの試験には、以下の試験機器を使用する。
1.周波数応答アナライザ(FRA)、Solartron model 1250
ポテンショスタット/ガルバノスタット、PAR273
2.デジタルマルチメーター、Keithley Model 197
3.静電容量試験ボックス、S/N005、500Ω設定
4.RCLメーター、Philips PM6303
5.電源、Hewlett-Packard Model E3610A
6.天秤、Mettler H10
7.マイクロメーター、Brown/Sharp
8.漏れ電流計
9.電池/キャパシタ試験器、Arbin Model EVTS
【0175】
全ての測定は、室温で実施する。試験用キャパシタを1.0Vでコンディショニングした後、短絡させて、以下の測定を実施する:RCLメーターを使用した1kHz等価直列抵抗(ESR)の測定、静電容量試験ボックスを使用した、500Ω直列抵抗をつないで1.0Vにおける充電容量の測定、漏れ電流計を使用した0.5V及び1.0Vで30分後の漏れ電流の測定、並びに電気化学インタフェース及びFRAを1.0Vバイアス電圧で使用した電気化学インピーダンス分光法(EIS)の測定。次に、試験用キャパシタを2.0Vでコンディショニングした後、短絡させて、以下の測定を実施する:RCLメーターを使用した1kHz等価直列抵抗(ESR)の測定、500Ω直列抵抗をつないで2.0Vにおける充電容量の測定、漏れ電流計を使用した1.5V及び2.0Vで30分後の漏れ電流の測定、2.0Vバイアス電圧におけるEISの測定。最後に、Arbinを使用して、充放電測定を実施する。これらの測定は、1mA、5mA、及び15mAの電流での0.1Vと2.0Vとの間の定電流充放電サイクル、及び0.01W~0.2Wの電力レベルでの2.0Vと0.5Vとの間の定電流充電/定電力放電を含む。
【0176】
実施例11
フェノール-レゾルシノール-ホルムアルデヒド細孔性炭素材料
下の表14に記載の成分のうち、ホルムアルデヒド溶液を除く全てを20cm
3試験管に投入し、この混合物を37℃に加熱し、撹拌して、プレポリマー組成物を調製することによって、5gのバッチのポリマー組成物を調製した。次いで、プレポリマー溶液成分が全て溶解した後、ホルムアルデヒド溶液を試験管に一度に添加した。溶液を37℃で3時間保持し、30分間かけて20℃まで冷却し、20℃で20分間保持し、6時間かけて95℃まで昇温し、95℃で12時間保持した。次いで、試験管から硬化ポリマー組成物を取り出し、管状炉内で熱分解した。
【表14】
【0177】
窒素は管状炉内を流れるように設定し、炉は20℃から900℃まで45分かけて加熱し、その後900℃で60分間保持するように設定した。このステップの間に、硬化ポリマー組成物は乾燥及び熱分解され、水分、酸素及び水素が硬化ポリマー組成物から除去されて、炭素のみが残る。
比細孔容積は0.552cm
3/gと測定され、表面積は638m
2/gであった。この孔径分布の結果は、窒素吸着によって求められたものであり、
図10に示す。
【0178】
実施例12
活性メソ細孔炭素材料
ホルムアルデヒド溶液を除く全ての成分を10m
3ケトルに投入し、撹拌しながら37℃に加熱することによって、ポリマー組成物の7200kgのバッチを調製した。ホルムアルデヒド溶液は、120分かけて反応器にポンプ輸送し、その間、ケトルの冷却コイル内に冷水を流すことで反応器の温度を36℃~38℃に維持した。ホルムアルデヒド添加の完了後、冷却の前に、得られた溶液をケトル内に更に5時間保持した。
溶液を20℃まで冷却した後、200Lドラムにデカンテーションした。
ドラムを室温で2.5日間保持した後、硬化オーブンに入れ、75℃~80℃に自己加熱(即ち、発熱反応により加熱)した。
ドラムを95℃に設定した硬化オーブン内に移動し、48時間加熱した。硬化後、硬化ポリマー組成物を破砕し、ドラムから取り出し、回転式管状炉に供給して、窒素下で熱分解した。
【表15】
【0179】
比細孔容積は0.632cm
3/g(σ=0.17;測定数6)で、表面積は665m
2/g(σ=21;測定数6)と求められた。炭素材料の孔径分布を窒素吸着によって決定した。その結果を
図11に示す。
次いで、炭素材料を、CO
2流動床内で、890℃で30時間活性化した。活性炭材料の比細孔容積は1.17cm
3/g(σ=0.10;測定数6)で、表面積は1644m
2/g(σ=11;測定数6)と求められた。炭素材料の孔径分布を窒素吸着によって決定した。その結果を
図12に示す。
【0180】
実施例13
活性メソ細孔炭素材料
全ての成分(下の表16に示す)をケトル内で混合し、35℃に加熱した。温度を35℃で155分間保持した。
【表16】
【0181】
反応混合物を、35℃で、保持用の250mLポリプロピレンボトルにデカンテーションした。デカンテーション時の反応混合物の屈折率(RI)は1.42718であった。反応混合物が入ったポリプロピレンボトルを断熱箱に入れ、反応混合物の温度を、断熱箱とボトルとの間に挟んだ熱電対で観測した。反応混合物がポリマー組成物へと変換する間に、断熱箱内の反応混合物の温度は3時間かけて115℃まで上昇した。
約24時間断熱箱内に置いた後、試料を破砕し、ポリプロピレンボトルから取り出して、13aと13bの2つの試料に分けた。試料13aは管状炉に入れて窒素下で熱分解し、試料14bは凍結乾燥機に入れて乾燥した後、管状炉に入れた。
これらの炭素の比細孔容積、孔径分布、及び表面積を、ガス吸着により試験した。試料13bから得た炭素材料は、細孔容積が1.11cm
3/gであった。試料13aから得た炭素材料は、硬化ポリマー組成物の全質量に対する溶媒含有量が59質量%の硬化ポリマー組成物から誘導されたもので、細孔容積が1.07cm
3/g(即ち、細孔容積保持率96%)であった。
【表17】
【0182】
図13は、凍結乾燥した試料と凍結乾燥しなかった試料とを比較したときに、孔径分布の有意な移動はないことを示す。
【0183】
実施例14
凍結乾燥なしの高細孔容積及び低細孔容積のポリマー
脱イオン水、レゾルシノール、酢酸アンモニウム、氷酢酸及びホルムアルデヒド(37質量%DI水溶液、メタノール0%)を、下の表18に記載の量で混合した。
【表18】
【0184】
試料14aは、40℃で4時間保持し、その後45℃/時の速度で95℃まで昇温した。次いで、試料を95℃で4時間保持した。
試料14bは、40℃で4時間保持し、次いで30分かけて20℃まで昇温した。これを20℃で63時間保持した。次いで、試料を3℃/時の昇温速度で95℃まで加熱した。
完了後、試料を試験管から取り出して破砕した。次いで、これらの硬化ポリマー組成物の比細孔容積、孔径分布、及び表面積を、ガス吸着により測定した。試料14aは、細孔容積が1.18cm
3/gであった。試料14bは、細孔容積が0.27cm
3/gであった。
【表19】
【0185】
図14は、試料14aと14bとの間の窒素吸着の差を示す。
【0186】
上記のさまざまな実施形態は、組合せてさらなる実施形態を提供することができる。本明細書に記載される及び/又は出願データシートに列記される全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物は、2018年1月24日出願の米国仮特許出願第62/621,467号明細書を含めて、その全容が参照により本明細書に組み込まれている。実施形態の態様は、様々な特許、出願及び出版物の概念を用いて更なる実施形態を提供するために必要であれば、変更できる。上記の詳細な記述に照らして、実施形態にこれらの変更及びその他の変更を加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、本明細書及び特許請求の範囲に開示される具体的な実施形態に限定するとみなされるべきではなく、全ての可能な実施形態を、かかる特許請求の範囲内の等価物の全範囲と共に包含するとみなされるべきである。従って、特許請求の範囲は開示によって制限されない。