(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】反射防止スラットのための調整機構を備えた、仮想イメージを生成するための装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20240807BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20240807BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240807BHJP
【FI】
H04N5/64 521Z
G02B27/01
B60K35/23
(21)【出願番号】P 2023517701
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 DE2021200109
(87)【国際公開番号】W WO2022057983
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102020211662.8
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1, 30175 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フェリツィタス ヴィレ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ザイファート
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165163(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014214510(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017219069(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018213061(DE,A1)
【文献】国際公開第2019/238885(WO,A1)
【文献】特開平10-149713(JP,A)
【文献】米国特許第05077649(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
G02B 27/01
B60K 35/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想イメージ(VB)を生成するためのデバイスであって、
イメージを生成するためのディスプレイ要素(11)と、
射出瞳を拡大するための光導波路(
5)と、
ビーム経路において前記光導波路(5)の下流に配置された防眩要素(81)と、
を有し、
前記防眩要素(81)が、複数のスラット(82)を有するシャッター(83)であり、前記スラット(82)が、いずれの場合も少なくとも1つの単一片ばね(7、7’、7a)の
遷移傾斜(73、73’、73”、74)上で静止する、デバイス。
【請求項2】
前記単一片ばね(7、7’、7a)が、第1の平面(71)及び第2の平面(72)を有し、前記第1の平面(71)及び前記第2の平面(72)が、
前記遷移傾斜(73、73’、73”、74)によって互いに接続される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
互いからオフセットして配置された
前記遷移傾斜(73、74)の少なくとも2つの平行な列(
733、743)を有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の平面(71)及び前記第2の平面(72)の少なくとも1つへの遷移領域内の前記遷移傾斜(73、74)が、穿孔(731、732、741、742)、溝(734)、又は周辺切り欠き(735)を有する、請求項
2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記単一片ばね(7)の前記遷移傾斜(73、73’、73”)が、異なる長さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
複数のばね(7、7a)が、互いに入れ子にされるか、又は互いに隣に配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記スラット(82)が、可変設定可能な取付角(α)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記防眩要素(81)は、少なくとも1つの単一片ばね(7、7’、7a)を有しており、
前記少なくとも1つの単一片ばね(7、7’、7a)のそれぞれは、遷移傾斜(73、73’、73”、74)によって互いに接続される第1の平面(71)および第2の平面(72)を有しており、
前記防眩要素(81)は、複数のスラット(82)を有するシャッター(83)であり、各スラット(82)は、前記少なくとも1つの単一片ばね(7、7’、7a)の遷移傾斜(73、73’、73”、74)上で静止する、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージを表示するためのディスプレイ要素を含むピクチャ生成ユニット及び投影面上にイメージを投影するための光学ユニットを有するディスプレイ装置の反射防止スラットのための調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなディスプレイ装置は、例えば、輸送手段のためのヘッドアップディスプレイに使用され得る。ヘッドアップディスプレイは、HUDとも呼ばれ、表されるコンテンツが見る人の視野に重畳されるので、見る人が視線方向を維持し得るディスプレイシステムを意味するように意図される。このようなシステムは、その複雑性及びコストのために元来航空宇宙分野において主に使用されていたが、現在は自動車分野の大量生産においても使用されている。
【0003】
ヘッドアップディスプレイは、概して、イメージ生成器、光学ユニット、及びミラーユニットから構成される。イメージ生成器は、イメージを作り出す。光学ユニットは、イメージをミラーユニット上へ向ける。イメージ生成器は、ピクチャ生成ユニット、即ちPGUとも呼ばれることがよくある。ミラーユニットは、部分的に反射する光透過性鏡板である。見る人は、したがって、イメージ生成器によって表されるコンテンツを仮想イメージとして見て、同時に、鏡板の後ろに現実世界を見る。自動車分野では、フロントガラスがミラーユニットとして使用されることが多く、フロントガラスの湾曲形状が、表現において考慮されなければならない。光学ユニットとミラーユニットとの相互作用を原因として、仮想イメージはイメージ生成器によって作られたイメージの拡大表現である。
【0004】
見る人は、仮想イメージをいわゆるアイボックスの位置からのみ見ることができる。高さ及び幅が理論上の視界窓に対応する領域がアイボックスと呼ばれる。見る人の眼の片方がアイボックス内にある限り、その眼には仮想イメージの全ての要素が見える。一方、眼がアイボックスの外側にある場合、見る人には仮想イメージが部分的にのみ見えるか、又は全く見えない。アイボックスが大きいほど、見る人が着座位置を選択する際の制限が小さくなる。
【0005】
従来のヘッドアップディスプレイのアイボックスのサイズは、光学ユニットのサイズによって制限されている。アイボックスを拡大するための1つの手法は、ピクチャ生成ユニットから来る光を光導波路にカップリングすることである。光導波路にカップリングされた光は、光導波路の境界面において内部全反射を経て、それによって光導波路内に導かれる。加えて、光の一部は、伝播方向に沿って多様な位置においてアウトカップリングされる。光導波路によって、このように射出瞳が拡大される。有効な射出瞳は、ここではイメージ生成システムの開口のイメージから構成される。
【0006】
この背景技術に対して、米国特許出願公開第2016/0124223A1号明細書には、仮想イメージのためのディスプレイ装置が記載されている。ディスプレイ装置は、ピクチャ生成ユニットから発出し、第1の光入射面を通して入射する光を、第1の光入射面から離れて第1の方向に進行するように繰り返し内部全反射させる、光導波路を含む。光導波路は、また、光導波路において導かれる光の一部が、第1の方向に拡大する第1の光出射面の領域を通って外側に出射する効果を有する。ディスプレイ装置は、光入射側に第1の回折格子をさらに含み、第1の回折格子は、回折光が光導波路及び第1の光出射回折格子に入るように入射光を回折し、第1の光出射回折格子は、光導波路から入射する光を回折する。米国特許出願公開第2012/0224062A1号明細書もまた、光導波路を用いた仮想イメージのためのディスプレイ装置に関連する。
【0007】
回折格子又はホログラムがその中に配置されるガラス板から光導波路が構成される、そのようなデバイスの現在既知の設計では、光が外部から入射する場合に問題が生じる。外部から入射する光の反射に起因して、迷光がユーザの眼に入ることがある。ユーザにより知覚される仮想イメージのコントラストが、さらに低下する。
【0008】
従来のデバイスでは、したがって、運転者の眼があると予期される領域に反射が到達しないように、反射する可能性のある構成要素が傾斜され、グレアトラップと組み合わされる。代替として、反射防止コーティングが採用され、反射強度を低下させるために構造の粗さが用いられる。
【0009】
構成要素を傾斜させることによって設置空間が著しく占有され、自動車の中に限定される。さらに、構成要素の性能は、傾斜した設置で概して低下する。レイヤ及び構造は達成可能な強度を低下させるが、反射は概してはっきり眼に見えるままであり、コントラストを著しく低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
迷光の影響が減少する、仮想イメージを生成するための改善されたデバイスを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を有するデバイスによって達成される。本発明の好適な構成が、従属請求項の主題である。
【0012】
仮想イメージを生成するための本発明に係るデバイスは、イメージを作り出すためのディスプレイ要素と、射出瞳を拡大するための光導波路と、ビーム経路において光導波路の下流に配置され、且つ取付角が少なくとも1つの単一片ばねを用いて定義される複数のスラットを有するシャッターである、防眩要素と、を有する。単一片ばねは、可撓性機構を有する。これは、ヒステリシス及びバックラッシュから逃れることを可能にする利点を有し、それが正確な取り付けにつながる。本発明に係る解決策では、単一片ばねの熱拡張がその基本形状ではなくその全体的な長さを変更し得るため、取付角は温度に依存しない。定義された角度の傾斜で方向付けられたスラットは、ばねが熱で拡張してもその角度を維持する。スラットが、定義された角度の傾斜上で静止し、それらのそれぞれの端部に可動的に懸架されるようになっている。これに対する代替手段として、少なくとも2つの設定可能なばねが設けられ、定義された角度のばねの傾斜において、スラットがそれらの端部領域において固定される。
【0013】
本発明によれば、単一片ばねは、第1の平面及び第2の平面を有し、第1の平面及び第2の平面は、遷移傾斜によって互いに接続される。これは、遷移傾斜が、一定の傾斜の2次元領域、及びしたがって、スラットが静止する大きな領域を表すという利点を有する。これは、より正確な角度設定すら可能にする。本発明によれば、ばねは、薄い2次元材料からパンチングされ、それが、パンチング後折り畳まれて、元は同一の開始平面内にある第1の平面及び第2の平面を開始平面に垂直にシフトすることによって3次元構成要素部分を形成し、それによって、第1の平面及び第2の平面が互いから離隔され、遷移傾斜によって互いに接続される。
【0014】
本発明によれば、遷移傾斜の少なくとも2つの平行な列が設けられ、それらは、互いからオフセットして配置される。これは、有利なことに、スラットのより高密度な配置を可能にする。これは、不要な光のより良好な遮光につながる。
【0015】
遷移傾斜は、有利なことに、その傾斜領域において、第1の平面及び第2の平面の少なくとも1つに穿孔及び/又は溝及び/又は周辺切り欠きを有する。このようにして、有効な弾性の向上が、この遷移領域において達成される。これは、ばねを製造する際の2次元形状から3次元形状への形成を簡易化する。
【0016】
本発明によれば、単一片ばねの遷移領域は、異なる長さを有する。その結果、有利なことに、異なるスラットに対して異なる取付角が実現される。これによって、デバイスの特定の構成において望ましい、取付角勾配の形成が可能となる。
【0017】
有利なことに、複数のばねは、互いに入れ子にされるか、又は互いに隣に配置される。これによって、ばねを繊細に作り過ぎなくても、スラットがより高密度に配置されることが可能となる。単位長さ毎の繰り返しは、したがって有利なことに倍増される。
【0018】
本発明のさらなる特徴は、図面と併せて以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】自動車のための先行技術に係るヘッドアップディスプレイを概略的に示す。
【
図3】光導波路を有するヘッドアップディスプレイを概略的に示す。
【
図4】自動車における光導波路を有するヘッドアップディスプレイを概略的に示す。
【
図5】光導波路を有するヘッドアップディスプレイ及び防眩要素としての反射防止材を概略的に示す。
【
図7】仮想イメージを生成するための本発明に係るデバイスを概略的に示す。
【
図13】力を加えた状態及び力を加えていない状態のばねの側面図を示す。
【
図14】力を加えた状態及び力を加えていない状態の防眩要素の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の原理のより良い理解のために、本発明の実施形態について、図面を参照して以下でより詳細に説明する。同一の参照符号は、図面中で同一又は機能的同一の要素に対して使用され、必ずしも各図面に対して再度記載されなくてもよい。本発明が例示した実施形態に限定されないこと、及び記載した特徴もまた、添付の特許請求の範囲で定義されるように本発明の保護の範囲から逸脱することなく結合又は修正されてもよいことが、理解されるべきである。
【0021】
最初に、光導波路を有するヘッドアップディスプレイの基本概念が、
図1~
図4を参照して説明される。
【0022】
図1は、自動車のための先行技術に係るヘッドアップディスプレイの概略図を示す。ヘッドアップディスプレイは、イメージ生成器1、光学ユニット2、及びミラーユニット3を含む。光束SB1は、ディスプレイ要素11から発出し、折り返しミラー21によって曲面ミラー22上に反射され、曲面ミラー22は、それをミラーユニット3の方向に反射する。ミラーユニット3は、ここでは自動車のフロントガラス31として表される。そこから先に、光束SB2は、見る人の眼61の方向に進行する。
【0023】
見る人は、自動車の外側、エンジンフードの上、又は自動車の正面にすら位置する仮想イメージVBを見る。光学ユニット2及びミラーユニット3の相互作用によって、仮想イメージVBは、ディスプレイ要素11によって表示されるイメージの拡大表現である。ここでは、制限速度、現在の自動車の速度、及びナビゲーション命令が、象徴的に表されている。眼61が、長方形で示されるアイボックス62の範囲内にある限り、仮想イメージの全ての要素が、眼61に見える。眼61がアイボックス62の外側にある場合、見る人には仮想イメージVBが部分的にのみ見えるか、又は全く見えない。アイボックス62が大きいほど、見る人が着座位置を選択する際の制限が小さくなる。
【0024】
曲面ミラー22の曲率は、ビーム経路を調節し、それによってより大きなイメージ及びより大きなアイボックス62を確保する役割をする。加えて、曲率は、フロントガラス31の曲率を補償し、その結果、仮想イメージVBは、ディスプレイ要素11によって表されるイメージの拡大された複製に対応する。曲面ミラー22は、ベアリング221を用いて回転可能に取り付けられている。これによって可能な曲面ミラー22の回転は、アイボックス62を変位させること、及びそれによってアイボックス62の位置を眼61の位置に適合させることを可能にする。折り返しミラー21は、ディスプレイ要素11と曲面ミラー22との間の光束SB1が進行する経路が長くなるが同時に光学ユニット2がそれにもかかわらずコンパクトであることを保証する役割をする。光学ユニット2は、透明カバー23によって周囲環境から区切られている。光学ユニット2の光学素子は、それによって例えば、車両内にある埃から保護される。さらに、入ってくる日光SLがミラー21、22を介してディスプレイ要素11に到達することを妨げるように意図した光学フィルム24又はコーティングが、カバー23上にある。上記ディスプレイ要素11は、それがなければ結果として生じる熱の発達によって一時的又は恒久的に損傷される場合がある。これを防止するために、例えば、日光SLの赤外線成分が、光学フィルム24を用いて除去され、又は光学フィルム24によって少なくとも一部反射される。防眩材25は、正面からの入射光がカバー23によってフロントガラス31の方向に反射して見る人の目をくらませることがないように、正面からの入射光を遮る役割をする。日光SLに加えて、別の迷光源64からの光もまた、ディスプレイ要素11に到達することがある。
【0025】
図2は、2次元拡大した光導波路5の概略的空間図を示す。左下領域は、入力カップリングホログラム53を示し、入力カップリングホログラム53を用いて、ピクチャ生成ユニット(図示せず)から来る光L1が、光導波路5にインカップリングされる。光は、矢印L2に従って、その中で図面中の右上に伝播する。光導波路5のこの領域には、前後に配置された多くの部分透過ミラーと同様に作用し、Y方向に広幅化し且つX方向に伝播する光ビームを作り出す、折り返しホログラム51がある。これは、3つの矢印L3で示されている。図面中右に延びる光導波路5の部分において、同じく前後に配置された多くの部分透過ミラーと同様に作用し、矢印L4によって示される光を光導波路5から上向きのZ方向にアウトカップリングする、出力カップリングホログラム52がある。この場合、広幅化がX方向に行われ、それによって、元の入射光ビームL1は、2次元で拡大される光ビームL4として光導波路5を出る。
【0026】
図6は、2次元拡大した光導波路の概略図を示し、これは
図2に対する代替案である。ここで、出力カップリングホログラム52は、矢印L4によって示されるように、光導波路5の表面に垂直ではなくZ方向に対してある角度を成して光をアウトカップリングするように構成される。このようにして、光導波路5は、2次元で拡大された光ビームの垂直出射を見込まなくとも、利用可能な設置空間に従って配置され得る。
【0027】
図3は、3つの光導波路5R、5G、5Bを有するヘッドアップディスプレイの空間図を示し、光導波路5R、5G、5Bは、上下に配置され、それぞれが原色の赤、緑、及び青を表す。それらは共に、光導波路5を形成する。光導波路5に存在するホログラム51、52、53は、波長依存であり、それによって1つの光導波路5R、5G、5Bが原色のうちの1つにそれぞれ使用される。イメージ生成器1及び光学ユニット2は、光導波路5の上に示されている。光学ユニット2は、ミラー20を有し、ミラー20を用いて、イメージ生成器1によって作り出され、且つ光学ユニット2によって成形された光が、それぞれの入力カップリングホログラム53の方向に偏向される。イメージ生成器1は、3原色に対する3つの光源14R、14G、14Bを有する。図示される全ユニットが、その発光面と比較して小さな全高を有することが分かる。
【0028】
図4は、
図1と類似の自動車のヘッドアップディスプレイを、ここでは光導波路5と共に空間図で示す。
図4は、概略的に示されるイメージ生成器1を示し、イメージ生成器1は、ミラー平面523を用いて光導波路5にインカップリングされる平行光束SB1を作り出す。簡略化のため、光学ユニットは図示しない。複数のミラー平面522はそれぞれ、その上に入射する光のいくらかをフロントガラス31、ミラーユニット3の方向に反射する。ここから、光は、眼61の方向に反射される。見る人は、エンジンフードの上、又は自動車の正面のさらに遠くの距離に、仮想イメージVBを見る。
【0029】
図5は、光導波路を有するヘッドアップディスプレイ及び防眩要素としての反射防止材を概略的に示す。
【0030】
図7は、本発明に係るデバイスを示し、デバイスでは光導波路5が
図6に対応する方式で使用される。
図7は、ディスプレイ要素11を有するイメージ生成器1及び光導波路5を示し、光導波路5から、光L4が光導波路5の光出射面54の法線Nに対して角度αで出射し、角度αは0°より大きい。出射光L4は、シャッター83の光入射面85上に入射し、シャッター83のスラット82は、出射光L4に平行であり、それによって、出射光L4は、スラット82の間の中間空間84を通して妨げられることなく通過し得る。シャッター83から出射する光L6は、角度βでフロントガラス31上に入射し、それによって反射され、車両に乗っている人、ここでは運転者の眼61に光L8として入る。したがって、運転者は、仮想イメージVBを見る。この例示的実施形態では、シャッター83は、光学ユニット用のカバーを形成し、存在し得る任意の別個のカバー要素は、運転中移動されなければならない。シャッター83は、したがって、車両内に位置する物体又は人とも直接接触し得る。それによって、シャッター83への損傷は妨げられない。したがって、シャッター83は、必要な場合に、多くの労力を掛けることなく除去され、且つ新たな又は修理されたシャッター83と交換可能であるように、好ましくは着脱自在に配置される。
【0031】
図8は、シャッター83及び詳細な拡大
図830を示す。
図8は、スラット82を示し、スラット82は、光導波路5から発出して、スラット82に対して略平行に進行する光L5を通過させる。スラット82に対して平行に進行しない迷光SLは、スラット82によって遮断される。スラット82は、相互間隔ALを有し、シャッター83の光入射面85の法線NJに対して角度αだけ傾斜している。スラットは、高さHL及び厚さDLを有し、高さHLは厚さDLの倍数である。角度αは、後の方の光出射面54及びシャッター83の光入射面85が互いに平行に配置されるときの光導波路5からの光出射の角度に対応する。非平行配置の場合、これらの角度は、それに従って変換されるものとする。角度αは、特に、運転者の位置及び運転者の視野角に依存する。異なる車両の種類又は異なるフロントガラス31の傾斜に対して、特に、距離ALが適合される必要がある。スラット82は、好ましくは、無反射、即ち実質的に黒であるように構成される。スラットが傾斜可能であるように配置される、即ち、角度αが運転中に可変的に設定可能である場合、それらは、異なるアイボックスの位置又はアイボックスの内側の異なる眼61の位置に対して設定されてもよい。これは、光導波路5から発出する光が特定の角度範囲をカバーし、それによって、取付角α毎に、スラットに平行に整列された光線が後の方に到来し、それによってスラットを通過すると推測する。
【0032】
図9は、本発明に係るばね7の上面図を示す。ばね7は、それが製造中にその3次元形態にされる前に有する2次元形態でここでは示されている。図面は、第1の平面71及び第2の平面72を示し、2次元形態では、それらは両方とも、まだ同一平面、ここでは図面の平面にある。バー711は、第1の平面71から第2の平面72の方向に延びる。バー721は、第2の平面72から第1の平面71の方向に延びる。遷移傾斜73は、いずれの場合も1つのバー711をバー721に接続する。穿孔731は、第1の平面71のバー711と遷移傾斜73との間の遷移において配置される。穿孔732は、第2の平面72のバー721と遷移傾斜73との間の遷移において配置される。ばね7がその例示した2次元形状から3次元形状に移るときに、この穿孔731、732においてねじれを形成する。遷移傾斜73は、そのとき、平面71、72に対してある角度にあり、穿孔731、732の間に略平坦な面を形成する。ばね7を製造するためには、薄い長方形の金属シート又は対応するホイルが好ましくは使用され、それは、切断輪郭70を用いて何らかの他の適当な方式で切断、パンチング、又は加工される。図の左部分において、溝734が例として示されており、溝734は、穿孔731の代わりに、又は穿孔731に加えて設けられる。穿孔731の代替として、周辺切り欠き735が同じく示されている。通常、穿孔731又は溝734又は周辺切り欠き735のいずれかのみがばね7に設けられていることは言うまでもない。しかしながら、これらの要素のうちの2つ又は3つの組み合わせも、本発明の有用な構成であり得る。
【0033】
図10は、本発明に係るばね7を示し、ばね7には、互いからオフセットした遷移傾斜73、74がある。
図9に示されるように、遷移傾斜73は、バー711を用いて図面の上部領域に示される第1の平面71の一部、及びバー721を用いて図面の中間領域に示される第2の平面72に接続される。バー712は、図面の下部領域に示され、バー712は、バー711からオフセットして配置され、図面の下部領域に示される第1の平面71の領域から第2の平面72の方向に延びる。これに対応してオフセットバー722は、図面の下部領域に示される平面71の領域から平面72の方向に延びる。遷移傾斜74は、バー712とバー722との間に配置される。穿孔741、742は、前述した通り、対応して設けられる。切断輪郭は、
図9について説明した通りである。ばね7が2次元形状から3次元形状へと折り畳まれると、遷移傾斜73、74が、互いからオフセットされた平行な平面を形成する。遷移傾斜73は、列733を形成し、遷移傾斜74は、列734を形成し、列733及び列734は、互いに平行である。
【0034】
図11は、3次元形態の本発明に係るばね7の側面図を示す。
図11は、平面71、72を示し、平面71、72は、この形態では互いから離隔され、遷移傾斜73を用いて互いに接続される。遷移傾斜73は、例示した実施形態において、ある角度で配置され互いに平行である。
【0035】
図12は、本発明に係る2つのばね7、7aの側面図を示す。ばね7、7aは、互いからオフセットされ、それによって、それらのそれぞれのばね73、73aが互いに交互に配置される。スラット82のより高密度な連なりが、互いに挿入されるこれらのばね7、7aを用いて実現され、例えば、それによって遮光が改善される。
【0036】
図13は、ばね7の側面図を示し、平面71、72に力を加えていない状態を上に、平面71に力を加えた状態を下に示す。図面の上部、即ち元の状態の遷移傾斜73は、図面の下部とは異なる取付角αを有し、図面では、取付角α’はより小さいことが分かる。これは、2つの平面71、72のうちの1つに力Fを加えつつ、もう1つが機械的に固定されることによって、又は力が両方の平面71、72に反対方向に作用することによって、実現される。力Fは、平面71、72に平行に、垂直に、又はある角度でもたらされ得る。
【0037】
図14は、防眩要素81の上面図を示し、力が加えられた状態を図面の下部に、力が加えられていない状態を図面の上部に示す。防眩要素81は、左にばね7、及び右にばね7’を有する。上述の通り、これらは、第1の平面71、71’及び第2の平面72、72’を有する。スラット82は、ばね7及びばね7’の間に留められている。図示された実施形態では、スラット82は、遷移傾斜73にその端部が固定され、したがってそれらは図面では視認できない。図面の上部領域において平面71、71’及び72、72’は互いに対してシフトされていないことが分かる。図面の下部領域において、力Fは、平面72、72’に作用し、その結果、平面72、72’が第1の平面71、71’に対してシフトされる。遷移傾斜73は、それらの角度を変更し、それによってスラット82の角度を変更する。
【0038】
図15は、防眩要素81の概略空間図を示す。直線のみで表現された2つのばね7、7’が、遷移傾斜73と共に見えており、遷移傾斜73にスラット82が固定されている。取付角αも示されている。
【0039】
図16は、3次元形態の本発明に係るばね7の概略空間図を示す。
図16は、空間的に分離された平面71、72を示す。第1の平面71は、第2の平面72の上に位置する。遷移傾斜73は、左上から右下へある角度で傾いている。それらは、上部においてバー711に、それらの下端においてバー721に接続される。バー711、721の間の遷移領域及び遷移領域73に穿孔731がある。上部平面71が力を加えることによって左にシフトされる場合、取付角αがより小さくなり、遷移傾斜73の傾斜はほとんど明確ではなく、よってそれぞれのスラットの傾斜(ここでは図示せず)がそれに接触している。上部平面71が力を加えることによって右にシフトされる場合、取付角αがより大きくなり、遷移傾斜73はより勾配が大きく、対応するスラットもそうである。ばね7の単一片設計は、この場合遷移傾斜73が常に互いに平行であり、即ち同一の取付角αを有することを保証する。
【0040】
図17は、本発明に係るばね7の変形の側面図を示す。この変形は、異なる取付角を有する遷移傾斜73、73’、73”を有する。これは、異なる長さの遷移傾斜73、73’、73”によって達成され、遷移傾斜73、73’、73”は、ここでは明確化のために誇張して示される。図示される変形では、取付角勾配が実現される。遷移傾斜73、73’、73”の長さが互いに異なる程度に依存して、平面71、72が可撓性であるように設計されるようになっている。代替として、複数の適当に配置された穿孔731、対応する溝734、又は周辺切り欠き735がバー711、721の間の遷移領域及び遷移傾斜73に位置するようになっており、それは、この領域において増大した可撓性を保証し、次いで異なる取付角α、α’、α”を可能にする。
【0041】
言い換えると、発明は、以下に関連する。ヘッドアップディスプレイにおいて、反射防止は、曲面ホイルを有するグレアトラップを用いて実現される。この設計は、ホイル曲率に対応する最小設置深さを有する。フロントガラスをミラー要素又は投影面として使用するヘッドアップディスプレイの反射防止は、例えば
図5を参照して、スラット又は格子構造を終端アセンブリとして用いて実現される。フロントガラスの真下にある平坦なガラス構成要素は、特に反射を妨害しやすいため、平坦に設置した光導波路を有するヘッドアップディスプレイには反射防止解決策が特に必要である。この解決策は、アイボックス内の遮光を低下させるために、好ましくは角度調整可能である。フレームに留められたスラットは、好ましくは反射防止のために設けられる。
【0042】
本発明によれば、スラットの異なる取付角によって、異なるアイボックス位置が可能となる。これは、望ましくない遮光を回避することに役立つ。本発明は、スラットの角度調整を可能にするための確実な解決策を提案する。
【0043】
本発明によれば、構成要素部分の全てのスラットの均一な角度調整が実現される。角度調整には、ただ1つの要素のみが必要とされる。したがって、各個別のスラットを調整又は制御する必要はない。
【0044】
本発明は、角度調整可能な反射防止デバイス、防眩要素81のための弾性ばね機構に関する。現在、表面に対して主に垂直である固定角度を有する反射防止手段又は視覚保護方法のみが、望遠鏡、プロジェクタ、又はモニタに使用されるような結像方法に対して既知である。これらは、例えば、携帯電話用の視覚保護フィルム、望遠鏡用の反射防止デバイスなどである。大まかに調整可能な透過角を用いた解決策、例えば、窓用のシャッターも知られている。これらの調整不可能な方法は、システムが見る人に適合することを可能にしない。視覚/反射保護のための視野角及び角度範囲は、同一であるか、又は互いに依存している。特に狭い光入射角を可能にするように意図されるだけでなく、同時により大きな視野角/透過角範囲及び高い透過率を可能にするように意図された用途の場合、透過角の非常に微細な設定及び透過領域内の非常に小さなカバレッジが必要である。温度又は湿度などの、取付角への外部の影響に対する依存は、可能な限り小さくなるべきである。
【0045】
本発明によれば、スラット82は、可視領域の外側の3次元形状のばね7に基づく弾性機構を用いて実施される。ばね7は、一片のホイル又は金属板から切り取られる。切断パターンは、
図9(単一バージョン)及び
図10(オフセットありの2重バージョン)に示される。第1の平面71及び他の全ての平面も理想的には切れ目のない領域を形成する。各平面71、72は、遷移傾斜73、73’、73”、74を介したそれぞれの平面のバー711、712、721、722を介して次の平面に接続される。穿孔741、742は、領域内の有効弾性率を増大させるために、バー711、712、721、722と遷移傾斜73、73’、73”、74との間で使用され得る。
【0046】
金属板/ホイルは、次いで、2つ以上の平面に折り曲げられる。
図11は、その結果の側面図を示す。調整角度は、パターンに依存し、したがってスラット82毎に個々に定義され得る。このようにして、調整角度勾配は、ヘッドアップディスプレイの発光面上で実現され得る。平面の数及びオフセットは、所望により変更及び増加され得る。複数のばね7、7aは、
図12を参照して、単位長さ毎の反復単位の数を2倍又は複数倍するために、互いの中に挿入されてもよく、もう1つの隣に若しくはもう1つの上に取り付けられてもよい。
図13を参照すると、平面が固定され、且つそれぞれの隣の平面が平面に沿って力を受ける場合、又は両方の平面が、反対方向のせん断力又は張力を受ける場合に、スラット82の角度が変化する。
【0047】
図14を参照すると、ばね7自体が、光学機能領域の外側の製品上に位置する。一実施形態によれば、
図15を参照すると、スラット82は遷移領域に取り付けられる。
【0048】
さらなる実施形態の変形では、スラット82は、角度の点からのみ遷移傾斜73との接点によって調整され、何らかの方法で固定される。一実施形態の変形では、遷移傾斜73は、スラット82の高さに略対応してもよく、又は著しく長く作られてもよい。遷移傾斜73がスラット82より著しく長い場合、組み立て中のスラット82の位置決めを簡易化するために、遷移傾斜73において谷が有利に配置される。
【0049】
変更されたスラットの取付角は、
図14を参照すると、ビーム経路の有効カバレッジを変更する。有利なことに、異なる平面に接続された細長片が、追加的に補強材と接続される。
【0050】
本発明に係る解決策は、「シャッター」のスラット82のための取付角のヒステリシス及びバックラッシュのない取り付けを可能にする。透過領域の面積カバレッジは最小限であり、それゆえ、所望の光源から可能な限り多くの光が眼62に到達すると同時に、可能な限り多くの干渉光が見る人の眼62に到達することを防止する。本発明に係る解決策では、取付角は、原則として温度に依存しない。
【0051】
本発明に係る解決策は、(例えば、ミラーに基づいて)従来のヘッドアップディスプレイにおいても採用され得る。ここで、防眩要素は、好ましくは、終端アセンブリとして使用される。本発明に係る解決策は、また、モジュール内部の調整可能な反射防止材としても使用され得る。防眩要素は、そのとき、アセンブリに統合される。本発明に係る解決策は、適応型解決策としてのディスプレイ用視覚保護(プライバシーフィルタ)としても使用され得る。本発明に係る解決策は、輝度設定のためのウィンドウ/天井灯ウィンドウ(スマートウィンドウ)用の視覚保護としても使用され得る。本発明に係る解決策は、望遠照準器についての反射を回避すること、光学ユニットを概して反射防止にすること、又はlidarデバイス(lidar:光検知測距)、カメラ、及び監視カメラについての反射を回避すること若しくは又は防眩などの軍事用途にも使用され得る。本発明は、例えば、光学測定機器における防眩又は放射線源の正確な空間分解能のための航空宇宙分野においても使用され得る。