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  • 特許-マンホール蓋受枠 図1
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  • 特許-マンホール蓋受枠 図4
  • 特許-マンホール蓋受枠 図5A
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  • 特許-マンホール蓋受枠 図6A
  • 特許-マンホール蓋受枠 図6B
  • 特許-マンホール蓋受枠 図7
  • 特許-マンホール蓋受枠 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】マンホール蓋受枠
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20240808BHJP
   E03F 5/02 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
E02D29/14 Z
E03F5/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021148915
(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公開番号】P2023041507
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227593
【氏名又は名称】日之出水道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】原 和明
(72)【発明者】
【氏名】玉松 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】堀ノ内 卓
(72)【発明者】
【氏名】安東 健史
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 尚也
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-075277(JP,A)
【文献】特開2001-152474(JP,A)
【文献】特開2003-138590(JP,A)
【文献】実開平05-089540(JP,U)
【文献】特開2006-200259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/14
E03F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浅層区間にあるマンホールの上床板の上に設置されるマンホール蓋受枠であり、前記マンホール蓋受枠は、
マンホール蓋を支持し、直径が前記マンホールの直径よりも小さい支持部と、
前記支持部から、前記マンホールの前記直径を越えて前記マンホール蓋受枠の径方向に延在する単一のフランジと、
を備え
前記フランジにおいて前記上床板に載置される面である載置面側に凹部が形成され、
前記載置面は、前記凹部に対して、前記マンホール蓋受枠の径方向外側にのみ配置される、マンホール蓋受枠。
【請求項2】
前記支持部は、上蓋接合側面と、前記上蓋接合側面の下方に配置され前記上蓋接合側面よりも内径が小さい内蓋接合側面と、を含む、請求項1に記載のマンホール蓋受枠
【請求項3】
前記マンホール蓋受枠を補強する補強リブを更に備える、請求項1又は2に記載のマンホール
蓋受枠。
【請求項4】
前記補強リブが前記フランジの載置面側に配置される、請求項に記載のマンホール蓋
受枠。
【請求項5】
前記補強リブが前記凹部の一部に配置される、請求項3又は4に記載のマンホール蓋受枠。
【請求項6】
前記フランジの下面が前記マンホール蓋受枠の前記径方向に対して傾斜する、請求項1~5のいずれか一項に記載のマンホール蓋受枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マンホール蓋受枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンホール鉄蓋は大きく分けて大型と小型の2種類に分類される。大型マンホール鉄蓋の直径は例えば900ミリメートルである。一方で、小型マンホール鉄蓋の直径は例えば700ミリメートルである。
【0003】
マンホール鉄蓋の材料費等の経済性の観点から、大型マンホール鉄蓋の小型マンホール鉄蓋への一本化が進められている。大型マンホール鉄蓋の劣化等により交換が必要となったタイミングで、小型マンホール鉄蓋への交換が実施される。
【0004】
土被りの深い区間(以下、「深層区間」という)において、図5Aに示す大型マンホール鉄蓋500から、図5Bに示す小型マンホール鉄蓋100へ交換することを考える。大型マンホール鉄蓋500が覆う開口部510の開口径dОは、小型マンホール鉄蓋100の受枠径d’よりも大きい。そのため、マンホールの上床板511に築造ブロック520を設置する。これにより、開口部510の開口径を、小型マンホール鉄蓋100の受枠径dよりも小さいdО’に縮径した上で、築造ブロック520の上に小型マンホール鉄蓋100を設置している。
【0005】
一方で、土被りの浅い区間(以下、「浅層区間」という)において、図6Aに示す大型マンホール鉄蓋500から、図6Bに示す小型マンホール鉄蓋100への交換することを考える。土被りが浅い場合、図5Bのような築造ブロック520を設置することはできない。そのため、現場施工により縮径部620を設けて、開口部510の開口径をdО’に縮径する。そして、縮径部620の上に小型マンホール鉄蓋100を設置している。
【0006】
以下、現場施工により縮径部620を設けて、開口部510を縮径する方法の例について説明する。まず、開口部510の全内周にアンカーボルト等により鉄筋を配置する。次に、開口部510よりも縮径に形成した型枠内にセメントコンクリートを流し入れる。その後、養生したのちに脱型し、表面仕上げすることで完成となる。この方法の実施には、鉄筋の配置に約3時間、セメントコンクリートが凝固するまでに約3時間の養生が必要であり、その他の関係作業を含めると1か所あたりに要する時間は約1日である。また、鉄筋の配置、型枠の形成等において緻密な技術スキルが必要である。
【0007】
縮径部を設けずに大型マンホール鉄蓋500から小型マンホール鉄蓋100に交換するため、特許文献1に記載される技術では、マンホール鉄蓋の受枠の径方向に、受枠よりも外方に突出させるアダプターを取り付けている。この技術では、アダプターを組み付けることで、組付物の外径をより大きくすることができる。これにより、マンホールの径よりも小さいマンホール鉄蓋を縮径部を設けることなく設置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-75277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、現場施工時に受枠にアダプターを取
り付ける必要があり、施工作業が煩雑であった。
【0010】
そこで本開示は、施工作業を簡略化できるマンホール蓋受枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態に係るマンホール蓋受枠は、浅層区間にあるマンホールの上床板の上に設置されるマンホール蓋受枠であり、前記マンホール蓋受枠は、マンホール蓋を支持し、直径が前記マンホールの直径よりも小さい支持部と、前記支持部から、前記マンホールの前記直径を越えて前記マンホール蓋受枠の径方向に延在する単一のフランジと、を備え、前記フランジにおいて前記上床板に載置される面である載置面側に凹部が形成され、前記載置面は、前記凹部に対して、前記マンホール蓋受枠の径方向外側にのみ配置される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、施工作業を簡略化できるマンホール蓋受枠を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態に係るマンホール蓋受枠を示す。
図2図1のマンホール蓋受枠10の平面図と、当該平面図において線A-Aで切断した断面図と、を示す。
図3図1のマンホール蓋受枠10の片側断面図を示す。
図4図1のマンホール蓋受枠10の底面図である。
図5A】深層区間において、大型マンホール鉄蓋及び従来のマンホール蓋受枠が設置されている様子を示す。
図5B】深層区間において、小型マンホール鉄蓋及び従来のマンホール蓋受枠が設置されている様子を示す。
図6A】浅層区間において、大型マンホール鉄蓋及び従来のマンホール蓋受枠が設置されている様子を示す。
図6B】浅層区間において、小型マンホール鉄蓋及び従来のマンホール蓋受枠が設置されている様子を示す。
図7】従来のマンホール蓋受枠の平面図と、当該平面図において線A-Aで切断した断面図と、を示す。
図8】従来のマンホール蓋受枠の片側断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の一実施形態に係るマンホール蓋受枠について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、マンホール蓋受枠10の上床板接合面(載置面)11は、大型開口部510の上床板511に、縮径部620を設けることなく設置可能である。このことは、マンホール蓋受枠10の外径dを、開口部510の直径dОよりも大きくすることで実現できる。また、上蓋接合側面12sの直径dが、小型マンホール鉄蓋100の直径とほぼ等しくなるようにする。マンホール蓋受枠10により、浅層区間において、大型マンホール鉄蓋500を小型マンホール鉄蓋100へ交換することができる。なお本実施形態では、上蓋接合側面12sにテーパが形成されている。
【0016】
本開示によれば、開口部510に縮径部620を設ける工程が不要となるため、スキルレスでの施工が可能となるとともに、従来の技術に比べ施工時間が短縮される。施工時間が短縮されることにより、施工のために道路を占有する時間が短くなり、道路規制上施工が困難だった国道等でも施工を比較的容易に行うことができる。また、施工時間が短縮されることにより、工事費の低減に繋がる。さらに、マンホール蓋受枠10は従来の大型受枠よりも小型化されているため、物品費を低減できる。
【0017】
上蓋接合側面12sの下側に、内蓋接合側面13sも設けられている。内蓋接合側面13sの直径は、例えば施錠可能な更なるマンホール鉄蓋とほぼ同じ寸法とすることができる。なお本実施形態では、内蓋接合側面13sにテーパが形成されている。
【0018】
上蓋接合側面12sと内蓋接合側面13sとの間の空間に、土砂を逃がすことができる。
【0019】
図2は、図1のマンホール蓋受枠10の平面図と、当該平面図において線A-Aで切断した断面図と、を示す。
【0020】
マンホール蓋受枠10は、ボルト穴19に挿入されるボルトを介して、開口部510の上床版511へ設置可能である。このことを実現するために、図1を参照して、マンホール蓋受枠10の外径dは、大型開口部510の直径dOよりも大きい。なお本実施形態では、dは1170mmであり、dOは900mmである。マンホール蓋受枠10の外径dは、図7に示す従来の小型マンホール蓋受枠710の外径d’(φ840mm)よりも拡径されている。
【0021】
図7に、従来の小型マンホール蓋受枠710の平面図と、当該平面図において線A-Aで切断した断面図と、を示す。図8は、図7の小型マンホール蓋受枠710の片側断面図を示す。上蓋接合側面12sの径(φ700mm)は、小型マンホール鉄蓋100の径にほぼ等しい。ここで、上蓋接合側面12sと小型マンホール鉄蓋100との間にクリアランスを設けることができる。上蓋接合側面12sと、上蓋接合側面12sの下端部に存在する上蓋接合底面12bとは、小型マンホール鉄蓋100を支持する支持部を構成する。
【0022】
本開示では、マンホール蓋受枠10が、支持部から、マンホールの開口部510の直径dOを越えてマンホール蓋受枠10の径方向に延在する単一のフランジ16を備える。すなわち、上蓋接合側面12sの直径dを小型マンホール鉄蓋100の直径にほぼ等しくする一方で、マンホール蓋受枠10の外径dを、開口部510の直径dOよりも大きくする。なおここでいう「単一」とは、フランジを構成する一体で分離できない特定の部分が、マンホールの開口部の直径を越えて延在することをいう。フランジ16が単一であることにより、現場施工時にフランジの組立作業が不要となり、施工作業を簡略化できる。
【0023】
図3は、図2のマンホール蓋受枠10の片側断面図を示す。マンホール蓋受枠10の外径dは1170mmであり、図8に示す小型マンホール蓋受枠710の外径(840mm)よりも330mm拡径している。
【0024】
図3に示すように、フランジ16は、支持部に接続されるとともに当該径方向に対して傾斜する傾斜部16aと、傾斜部16aの径方向外側に配置されるとともに当該径方向に対して平行に延在する径方向延在部16bと、を含む。
【0025】
(補強リブ)
次に、図3を参照して補強リブについて説明する。本実施形態では、支持部の一部からフランジ16の傾斜部16aの一部にわたり、補強リブ17が形成されている。補強リブ17は、図3の紙面に直交する方向の厚さが、マンホール蓋受枠10の他の部分よりも薄い。マンホール蓋受枠10の底面図である図4に示すように、本実施形態では、補強リブ17はマンホール蓋受枠10に放射状に12か所配置される。
【0026】
厚みが比較的薄い補強リブ17を形成することで、マンホール蓋受枠10の強度を確保しつつ、マンホール蓋受枠10の重量を軽減することができる。
【0027】
図1に示すように、フランジ16の載置面11の反対側は例えばアスファルト110等で舗装され、当該舗装は転圧され固められる。本実施形態のように、補強リブ17をフランジ16の載置面側に配置することで、舗装をより均一に転圧することができ、舗装の転圧性を向上させることができる。
【0028】
本実施形態では、フランジ16の載置面側(下側)に凹部18が形成される。これにより、マンホール蓋受枠10の強度を確保しつつ、マンホール蓋受枠10の重量を軽減できる。
【0029】
本実施形態では、補強リブ17が凹部18の一部に配置される。これにより、マンホール蓋受枠10の強度をより高めることができる。
【0030】
補強リブ17の上縁は、マンホール蓋受枠10の径方向の内端部から一定の長さにわたって、当該径方向に沿って延在する。その外側では、補強リブ17の上縁は、当該径方向に対して下向きに傾斜して延在する。
【0031】
フランジ16の厚さに関して、マンホール蓋受枠10の径方向の内端部及び外端部では比較的肉厚となり、内端部と外端部との間の傾斜部分は比較的に肉薄となる。これにより、マンホール蓋受枠10において大きな応力が加わる角部及び径方向端部の強度を高めつつ、マンホール蓋受枠10の重量を軽減することができる。
【0032】
マンホール蓋受枠10の下面に関して、上床板接合面11はマンホール蓋受枠10の径方向に対して平行である。補強リブ17は当該径方向に対して下向きに傾斜し、さらに当該径方向外側では径方向に対して平行である。
【符号の説明】
【0033】
10 マンホール蓋受枠
11 上床板接合面(載置面)
12b 上蓋接合底面
12s 上蓋接合側面
13s 内蓋接合側面
16 フランジ
16a 傾斜部
16b 径方向延在部
17 補強リブ
18 凹部
19 ボルト穴
100 小型マンホール鉄蓋
110 アスファルト
500 大型マンホール鉄蓋
510 開口部
511 上床版
620 縮径部
710 小型マンホール蓋受枠
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8