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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】浮体式垂直軸型タービン
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/70 20160101AFI20240808BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20240808BHJP
【FI】
F03D80/70
F03D13/25
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021519391
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2020018524
(87)【国際公開番号】W WO2020230686
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2019089828
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム「次世代浮体式洋上風車開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願 平成25年度、国立研究開発法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーションプログラム「革新材料による次世代インフラシステムの構築~安全・安心で地球と共存できる数世紀社会の実現~」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】秋元 博路
(72)【発明者】
【氏名】千賀 英敬
(72)【発明者】
【氏名】飯島 一博
(72)【発明者】
【氏名】鵜澤 潔
(72)【発明者】
【氏名】金崎 真人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 康宏
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-061218(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012218859(DE,A1)
【文献】特開2003-314429(JP,A)
【文献】特開2004-076715(JP,A)
【文献】特表2018-520297(JP,A)
【文献】特表2009-503337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/70
F03D 13/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体と、
該浮体に連結され、軸回りに回転可能なシャフトと、
該シャフトに連結された翼と、
前記シャフトの外周を囲むように、前記シャフトの周方向に並ぶ複数の軸受ユニットを含み、前記シャフトを支持する軸受装置と
を備え、
前記軸受ユニットは、前記シャフトに作用する波浪荷重を受けるための支持機構を有し、
前記シャフトから径方向に突出した突出部を備え、
前記支持機構は、
前記シャフトの外周面を支持し、前記シャフトに平行な軸回りに回転する第一ローラと、
前記突出部の翼側を支持し、前記シャフトに交差する軸回りに回転する第二ローラと
を有する
浮体式垂直軸型タービン。
【請求項2】
前記軸受ユニットは、
前記シャフトの位置決めを行う位置決め機構を有する
請求項に記載の浮体式垂直軸型タービン。
【請求項3】
前記位置決め機構は、
前記突出部の浮体側を支持し、前記シャフトに交差する軸回りに回転する第三ローラ
を有する請求項に記載の浮体式垂直軸型タービン。
【請求項4】
前記突出部は、外周にギヤ部を有する第一ギヤを含み、
前記第一ギヤに噛合し、発電部に出力する第二ギヤと、
該第二ギヤを前記第一ギヤに向けて付勢する付勢部と
を備える請求項からのいずれか一つに記載の浮体式垂直軸型タービン。
【請求項5】
浮体と、
該浮体に連結され、軸回りに回転可能なシャフトと、
該シャフトに連結された翼と、
前記シャフトの外周を囲むように、前記シャフトの周方向に並ぶ複数の軸受ユニットを含み、前記シャフトを支持する軸受装置と
を備え、
前記軸受ユニットは、前記シャフトに作用する波浪荷重を受けるための支持機構を有し、
前記シャフトは、軸体と、前記軸体の外側に同軸的に設けられた円筒部とを備え、
前記支持機構は、
径方向における前記円筒部の外側に配置され、前記シャフトに平行な軸回りに回転する
外側ローラと、
径方向における前記円筒部の内側に配置され、前記シャフトに平行な軸回りに回転する
内側ローラと
を備える浮体式垂直軸型タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、浮体式垂直軸型タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸を垂直な姿勢にした垂直軸型風車が開示されている。垂直軸型風車は、風向が変化した場合でも、風力を回転力に変換することができ、風向きに左右されない(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第2080899号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大型の垂直軸型風車を使用し、洋上にて風力発電を行う場合、垂直軸型風車には波浪荷重が作用し、垂直軸型風車のシャフトは変形する。シャフトの支持には軸受が使用されるが、従来の軸受はシャフトが高い剛性を有することを前提にして設計されており、シャフトが変形することを前提にしていない。そのため、従来の軸受を垂直軸型風車のシャフトに適用させることは難しい。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、大型のシャフトに対して適用可能な軸受装置を有する浮体式垂直軸型タービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る浮体式垂直軸型タービンは、浮体と、該浮体に連結され、軸回りに回転可能なシャフトと、該シャフトに連結された翼と、前記シャフトを支持し、複数の軸受ユニットを含む軸受装置とを備える。
【0007】
本開示においては、波浪荷重を複数の軸受ユニットに分散して負担させ、シャフトの変形に対応させる。
【0008】
本開示に係る浮体式垂直軸型タービンは、前記軸受ユニットは、前記シャフトに作用する波浪荷重を受けるための支持機構を有する。
【0009】
本開示においては、軸受ユニットは支持機構によって波浪荷重を負担する。
【0010】
本開示に係る浮体式垂直軸型タービンは、前記シャフトから径方向に突出した突出部を備え、前記支持機構は、前記シャフトの外周面を支持し、前記シャフトに平行な軸回りに回転する第一ローラと、前記突出部の翼側を支持し、前記シャフトに交差する軸回りに回転する第二ローラとを有する。
【0011】
本開示においては、支持機構は、第一ローラによってラジアル荷重を負担し、第二ローラによってアキシアル荷重を負担する。
【0012】
本開示に係る浮体式垂直軸型タービンは、前記軸受ユニットは、前記シャフトの位置決めを行う位置決め機構を有する。
【0013】
本開示においては、位置決め機構によって、シャフト及び軸受ユニットの相対位置を調整する。
【0014】
本開示に係る浮体式垂直軸型タービンは、前記位置決め機構は、前記突出部の浮体側を支持し、前記シャフトに交差する軸回りに回転する第三ローラを有する。
【0015】
本開示においては、第三ローラによって、突出部の浮体側を支持し、波力によって揺動するシャフトの位置決めを行う。
【0016】
本開示に係る浮体式垂直軸型タービンは、前記突出部は、外周にギヤ部を有する第一ギヤを含み、前記第一ギヤに噛合し、発電部に出力する第二ギヤと、該第二ギヤを前記第一ギヤに向けて付勢する付勢部とを備える。
【0017】
本開示においては、第一ギヤ及び第二ギヤの隙間を付勢部の付勢力によって調整し、シャフトの回転力を発電部に効率良く伝達させる。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る浮体式垂直軸型タービンにあっては、波浪荷重を複数の軸受ユニットに分散して負担させる。またシャフトの変形を許容するように設計しやすくなり、シャフトの変形に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1に係る浮体式風力発電機の略示斜視図である。
図2】シャフトの周囲に配置された発電装置の略示斜視図である。
図3】シャフトの周囲に配置された発電装置の略示展開図である。
図4】発電ユニットの略示斜視図である。
図5】単一の発電ユニット及びシャフトの略示斜視図である。
図6】単一の発電ユニット及びシャフトの略示平面図である。
図7図6に示すVII-VII線を切断線とした略示断面図である。
図8】実施の形態2に係る浮体式風力発電機の単一の発電ユニット及びシャフトの略示縦断面図である。
図9】実施の形態3に係る浮体式風力発電機の単一の発電ユニット及びシャフトの略示縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る浮体式風力発電機を示す図面に基づいて説明する。図1は、浮体式風力発電機1の略示斜視図である。浮体式風力発電機1は、中空の円柱状をなす浮体2と、シャフト3と、発電装置4と、ロープ5と、翼6と、アーム7とを備える。浮体2は海上又は湖上などの水上に浮かぶ。浮体2の内側には、水、鉄材及び岩などのバラスト材が投入され、一部が水面よりも下側に配置される。発電装置4は軸受装置を構成する。
【0021】
シャフト3は、浮体2の水面から突出した部分に同軸的に連なっている。シャフト3には、鋼材、強化繊維プラスチック材又はアルミニウム材が使用される。シャフト3から複数のアーム7が径方向に突出している。複数のアーム7は軸方向に沿って略等間隔を空けて並び、且つ周方向に略同じ位相間隔を空けて並ぶ。本実施例においては、周方向に約120度の位相間隔を空けて、三つのアーム7が並び、且つ軸方向に沿って四つのアームが並ぶ。各アーム7の長さは略同じであり、偏平な柱状をなす。
【0022】
軸方向に並んだ三つのアーム7の端部に翼6が取り付けられている。翼6はシャフト3に沿って延びた偏平な柱状をなし、平面視にて翼断面形状を有する。翼6及びアーム7には強化繊維プラスチック材が使用されており、翼6及びアーム7は偏平で長さ方向に一定な形状をなすことから、高速に連続して製造することができ、製造費用を削減することができる。また翼6及びアーム7の軽量化を図ることができる。なお強化繊維プラスチック材に代えて、アルミニウム材を使用してもよい。
【0023】
アーム7と浮体2との間において、発電装置4がシャフト3の外周に取り付けられている。発電装置4は複数のロープ5によって繋留されており、発電装置4の軸回りの回転が規制される。
【0024】
翼6に風力が作用した場合、浮体2及びシャフト3は軸回りに回転する。一方、発電装置4は回転しない。即ちシャフト3と発電装置4とは相対的に軸回りに回転し、発電装置4はシャフト3の回転によって発電する。
【0025】
図2は、シャフト3の周囲に配置された発電装置4の略示斜視図、図3は、シャフト3の周囲に配置された発電装置4の略示展開図、図4は、発電ユニット10の略示斜視図である。図2に示すように、発電装置4は複数(本実施例では三つ)の発電ユニット10を備え、複数の発電ユニット10はシャフト3の外周を囲む。発電ユニット10は軸受ユニットを構成する。
【0026】
図3に示すように、シャフト3は大径ギヤ30と、位置決め路31とを備える。大径ギヤ30はシャフト3から径方向外向きに突出した円環状をなす。位置決め路31はシャフト3の外周面に、外周全体に亘る円環状に形成されている。位置決め路31は軸方向にて大径ギヤ30に隣接する。大径ギヤ30は翼6側に配置され、位置決め路31は浮体2側に配置されている。大径ギヤ30は突出部及び第一ギヤを構成する。
【0027】
図4に示すように、発電ユニット10は直方体状の第一フレーム11を備える。第一フレーム11はシャフト3の軸方向に沿って延びる。第一フレーム11には二つの収納室12が形成されている。二つの収納室12は第一フレーム11の長手方向に並ぶ。収納室12は第一フレーム11をシャフト3の径方向に貫通している。各収納室12に、第一ローラ13が回転可能に収納されている。第一ローラ13の回転軸方向はシャフト3の軸方向に対応する。
【0028】
第一フレーム11の二つの長辺部から、連結部21及び被連結部22がそれぞれ突出している。連結部21及び被連結部22は第一フレーム11に対して傾斜しており、軸方向から視認した場合、第一フレーム11、連結部21及び被連結部22はU状をなす。第一フレーム11、連結部21及び被連結部22はシャフト3の外周の一部を囲むように配置される。
【0029】
第一フレーム11の短辺部に第二フレーム14が設けられている。第二フレーム14はシャフト3の径方向内側に突出した部分を有し、該突出した部分に収納室14aが形成されている。収納室14aはシャフト3の軸方向に貫通し、収納室14aに第二ローラ15が回転可能に収納されている。第二ローラ15の回転軸方向はシャフト3の径方向に対応する。第一ローラ13及び第二ローラ15は支持機構に対応する。
【0030】
被連結部22が突出した第一フレーム11の長辺部と、第二フレーム14が設けられた第一フレーム11の短辺部との連結部分に、支持部16が形成されている。支持部16は円柱状をなし、その軸方向はシャフト3の軸方向に対応する。支持部16の中心から枢軸17が軸方向に突出している。
【0031】
発電ユニット10は支持アーム18を備える。支持アーム18は枢軸17に直角な矩形板状をなし、支持アーム18の各短辺は外向きに突出した円弧状をなす。支持アーム18の一端部は枢軸17に回転可能に取り付けられている。支持アーム18の長辺部にフック18aが形成されている。フック18aは、径方向においてシャフト3の反対側に配置される。フック18aの先端は第二フレーム14側に向けられている。
【0032】
支持アーム18の他端部の一面に発電部19が支持され、前記他端部の他面に小径ギヤ20が支持されている。小径ギヤ20は第二ギヤを構成する。枢軸17の軸方向において、発電部19は第二フレーム14側に配置され、小径ギヤ20は第一フレーム11側に配置されている。発電部19は円筒状をなし、発電部19及び小径ギヤ20は同軸的に配置されている。小径ギヤ20に、位置決め円盤20aが同軸的に設けられている。軸方向において、位置決め円盤20aは発電部19の反対側に配置されている。小径ギヤ20は枢軸17の軸方向を回転軸方向として回転する。小径ギヤ20の回転によって、発電部19は発電し、位置決め円盤20aは小径ギヤ20と同方向に回転する。
【0033】
図5は、単一の発電ユニット10及びシャフト3の略示斜視図、図6は、単一の発電ユニット10及びシャフト3の略示平面図、図7は、図6に示すVII-VII線を切断線とした略示断面図である。図5に示すように、第二ローラ15が大径ギヤ30の側面に対向し、小径ギヤ20が大径ギヤ30に噛合し、位置決め円盤20aが位置決め路31に対向するように、また、図7に示すように、第一ローラ13がシャフト3の外周面に対向するように、発電ユニット10はシャフト3に取り付けられる。第一ローラ13及び第二ローラ15によって、シャフト3を回転可能に支持される。
【0034】
図2に示すように、複数の発電ユニット10それぞれが、上述したように、シャフト3に取り付けられる。シャフト3の周方向に隣接する二つの発電ユニット10において、一方の発電ユニット10の連結部21と、他方の発電ユニット10の被連結部22とが連結される。
【0035】
図2に示すように、一方の発電ユニット10の連結部21と、他方の発電ユニット10の被連結部22との間に付勢部50が設けられている。付勢部50は、連結部21からシャフト3の軸方向に突出したピン51と、ばね52とを備える。ばね52の両端部にそれぞれフック52a、52bが形成されている。一方のフック52aはピン51に掛止され、他方のフック52bはフック18aに掛止されている。
【0036】
ばね52は引っ張りばねであり、ばね52の付勢力によって、支持アーム18は回転し、小径ギヤ20は大径ギヤ30に接近する。位置決め円盤20aは位置決め路31に当接し、小径ギヤ20と大径ギヤ30との間の隙間(バックラッシュ)を確保する。換言すれば、位置決め円盤20a及び位置決め路31によって、小径ギヤ20及び大径ギヤ30の径方向における位置決めを行う。尚、ばね52に代えて、ゴム又は油圧シリンダなどの他の付勢部材を使用してもよく、また付勢部50の付勢力として磁力を使用してもよい。
【0037】
シャフト3は波力によって揺動し、シャフト3には波浪荷重(係留張力)が作用する。波浪荷重は風車が風から受ける推力の10倍以上になり、シャフト3は変形しうる。従来の軸受は、軸を剛体とみなして設計しており、変形するシャフト3に適用することはできない。仮に、全長100m程度のシャフト3を、鋼材などの剛性の高い材料によって構成した場合でも、シャフト3の直径は7m程度にもなり、軸受を大型化せざるを得ない。シャフト3を剛性の高い設計とすることは、製造費用の観点から現実的ではなく、シャフト3の変形をある程度許容し、強化繊維プラスチック材又はアルミニウム材などの軽量な複合材料によって、シャフト3を製造することが望ましい。
【0038】
一方、波浪荷重に拘わらず、効率的且つ持続的な発電を実現するためには、小径ギヤ20と大径ギヤ30との間の隙間を精度よく制御する必要があり、例えば数ミリメートルの誤差範囲内に隙間を収める必要がある。前述のシャフト3の変形量は、発電のために許容される、小径ギヤ20及び大径ギヤ30の間の隙間よりも大きい。そのため、波浪荷重を受けてシャフト3の変形を許容する構成と、小径ギヤ20と大径ギヤ30との間の隙間を制御する構成とを両立させることが必要となる。
【0039】
実施の形態1に係る浮体式風力発電機1にあっては、波浪荷重を複数の発電ユニット10に分散し、複数の発電ユニット10全体で負担させる。具体的には、複数の発電ユニット10それぞれにおいて、第一ローラ13は径方向の波浪荷重(ラジアル荷重)を受け、第二ローラ15は軸方向の波浪荷重(アキシアル荷重)を受ける。そのため、大きな波浪荷重が作用しても、各発電ユニット10における第一ローラ13及び第二ローラ15は、シャフト3の変形を許容しつつ、シャフト3を回転可能に支持することができる。
【0040】
また複数の発電ユニット10を含むので、発電装置4をシャフト3の変形を許容するように設計しやすい。またいずれかの発電ユニット10に不具合が生じても、他の発電ユニット10によって発電を継続させることができ、また、不具合の生じた発電ユニット10のみを修理するか又は交換すればよく、発電装置4の信頼性を高めることができる。また第一ローラ13及び第二ローラ15によって、シャフト3及び発電ユニット10の相対位置を調整することができる。
【0041】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る浮体式風力発電機1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図8は、単一の発電ユニット10及びシャフト3の略示縦断面図である。発電ユニット10は、シャフト3の径方向を回転軸方向とした第三ローラ15aを備える。第三ローラ15aは、例えば連結部21又は被連結部22に連結されている。第三ローラ15aは、軸方向において第二ローラ15の反対側に配置され、大径ギヤ30の側面に対向する。即ち、大径ギヤ30の一方の側面に第二ローラ15は対向し、他方の側面に第三ローラ15aは対向する。
【0043】
実施の形態2にあっては、第三ローラ15aは、小径ギヤ20及び大径ギヤ30の相対的な位置決めを行うことができる。第三ローラ15aは位置決め機構を構成する。
【0044】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る浮体式風力発電機1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3に係る構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
図9は、単一の発電ユニット10及びシャフト3の略示縦断面図である。シャフト3は軸体3aと、円筒部3bとを備える。円筒部3bは大径ギヤ30の側面から浮体2側に軸方向に沿って突出している。円筒部3bは軸体3aの外側に同軸的に設けられている。位置決め路31は円筒部3bの外周面に形成されている。
【0046】
第一フレーム11は、円筒部3bの外側に配置される外側部11aと、円筒部3bの内側に配置される内側部11bとを備える。内側部11bは軸体3aと円筒部3bとの間に配置されている。外側部11a及び内側部11bは連結されている。外側部11aには、収納室12及び第一ローラ13が設けられている。
【0047】
内側部11bには、複数の第二収納室12aが形成されている。第二収納室12aの数は収納室12の数と同じである。複数の第二収納室12aは軸方向に並んでおり、内側部11bを径方向に貫通している。第二収納室12aは収納室12に径方向に対向している。軸方向を回転軸方向としたローラ13aが第二収納室12aに収納されている。
【0048】
実施の形態3にあっては、円筒部3bの内周側及び外周側にローラ13a及び第一ローラ13が対向配置されているので、径方向における波浪荷重を第一ローラ13のみならず、ローラ13aによっても受けることができる。
【0049】
図示は省略したが、上述の浮体式風力発電機1には、シャフト3、翼6、アーム7、連結環9又は発電装置4などを、水分、例えば海水飛沫から保護するためのカバーが設けられている。
【0050】
なお上述した浮体式風力発電機1は、浮体式垂直軸型タービンの一例に過ぎず、浮体式海流発電機又は浮体式潮流発電機に、上述の構成を適用してもよい。上述の浮体式風力発電機1は、シャフト3及び発電装置4それぞれに設けたギヤを噛合させることによって発電しているが、シャフト3及び発電装置4に、電磁石及びコイルを設けることによって発電してもよい。また大径ギヤ30と小径ギヤ20との接触箇所、又は第一ローラ13と位置決め路31との接触箇所など、部品の接触箇所に潤滑油を供給する装置を設けてもよい。
【0051】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、請求の範囲内での全ての変更及び請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 浮体式風力発電機
2 浮体
3 シャフト
3a 軸体
3b 円筒部
4 発電装置(軸受装置)
10 発電ユニット
13 第一ローラ(支持機構)
13b ローラ
15 第二ローラ(支持機構)
15a 第三ローラ(位置決め機構)
18 支持アーム
18a フック
19 発電部
20 小径ギヤ(第二ギヤ)
20a 位置決め円盤
30 大径ギヤ(第一ギヤ)
50 付勢部
51 ピン
52 ばね
52a、52b フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9