(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】エッチング方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
(21)【出願番号】P 2020163637
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】横山 喬大
(72)【発明者】
【氏名】松橋 泰平
(72)【発明者】
【氏名】細谷 正徳
(72)【発明者】
【氏名】松本 大宇
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121685(JP,A)
【文献】特開2010-283213(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235398(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の基板支持器上に基板を提供する工程であり、前記基板はシリコン含有膜を含む、工程と、
(b)前記基板支持器の温度を-20℃以下に調整する工程と、
(c)前記チャンバ内に窒素含有ガスを含む処理ガスを供給する工程と、
(d)前記処理ガスから生成されたプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングする工程であり、前記シリコン含有膜をエッチングすることにより凹部が形成され、前記シリコン含有膜をエッチングすることにより前記凹部の側壁にシリコン及び窒素を含有する副生成物が付着する、工程と、
を含み、
(e)前記(b)の前に、前記副生成物の付着量によって前記凹部の底部の幅を調整するように、前記基板支持器の温度と前記処理ガスに含まれる窒素含有ガスの流量とのうち少なくとも1つのエッチングパラメータを設定する工程と、
を含
み、
前記凹部の底部の幅と前記窒素含有ガスの流量との相関関係を用いて、前記窒素含有ガスの流量の設定値が決定される、エッチング方法。
【請求項2】
前記
凹部の底部の幅と前記基板支持器の温度との相関関係を用いて、前記基板支持器の温度の設定値が決定される、請求項
1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
(f)前記凹部が形成された前記シリコン含有膜を用いて、前記基板に含まれる膜をエッチングする工程を更に含む、請求項1
又は2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記(f)において、前記副生成物の揮発温度未満の温度で前記膜をエッチングする、請求項
3に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記基板は、前記シリコン含有膜上に開口を有するマスクを更に有し、
前記エッチング方法は、
(g)前記(a)の前に、前記マスクの開口幅を測定する工程と、
(h)前記マスクの開口幅の測定値と、前記マスクの開口幅の設定値とを比較する工程と、
(i)前記測定値が前記設定値を超える場合に、前記測定値と前記設定値との差分を算出する工程と、
(j)前記差分に基づいて、前記少なくとも1つのエッチングパラメータの設定値を決定する工程と、
を更に含む、請求項1~
4の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記シリコン含有膜が反射防止膜である、請求項1~
5の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記凹部のアスペクト比が5以下である、請求項1~
6の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記窒素含有ガスが、N
2、NF
3及びNH
3のうち少なくとも1つを含む、請求項1~
7の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記処理ガスが、炭素及びフッ素を含む、請求項1~
8の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記処理ガスが、ハイドロカーボンガスとフッ素含有ガスとのガス混合物、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスのうち少なくとも1つを含む、請求項
9に記載のエッチング方法。
【請求項11】
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持器であり、前記基板はシリコン含有膜を含む、基板支持器と、
前記シリコン含有膜をエッチングするための処理ガスであり、窒素含有ガスを含む前記処理ガスを前記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部と、
前記チャンバ内の前記処理ガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記基板支持器の温度を-20℃以下に調整するように構成され、
前記制御部は
、前記処理ガスに含まれる窒素含有ガスの流
量が設定値となるように
、前記ガス供給
部を制御するように構成され、前記シリコン含有膜をエッチングすることにより生成されシリコン及び窒素を含有する副生成物は、前記シリコン含有膜をエッチングすることにより形成される凹部の側壁に付着し、前記設定値は、前記副生成物の付着量によって前記凹部の底部の幅を調整するように、設定される、プラズマ処理装置。
【請求項12】
前記基板支持器は、複数の領域を有し、前記複数の領域は互いに異なる温度に加熱可能である、請求項1
1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記基板を観察するための観察装置を更に備える、請求項1
1又は1
2に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板処理方法を開示する。処理対象層、中間層及びマスク層が順に積層され、マスク層は中間層の一部を露出させる開口部を有する。ガス付着係数Sが、S=0.1乃至1.0のデポ性ガスから生成されたプラズマによってマスク層の開口部の側壁面にデポが堆積される。これにより、開口部の開口幅が縮小される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、シリコン含有膜のプラズマエッチングにおいて、エッチングにより形成される凹部の底部の幅を調整できるエッチング方法及びプラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の基板支持器上に基板を提供する工程であり、前記基板はシリコン含有膜を含む、工程と、(b)前記基板支持器の温度を-20℃以下に調整する工程と、(c)前記チャンバ内に窒素含有ガスを含む処理ガスを供給する工程と、(d)前記処理ガスから生成されたプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングする工程であり、前記シリコン含有膜をエッチングすることにより凹部が形成され、前記シリコン含有膜をエッチングすることにより前記凹部の側壁にシリコン及び窒素を含有する副生成物が付着する、工程と、(e)前記(b)の前に、前記副生成物の付着量によって前記凹部の底部の幅を調整するように、前記基板支持器の温度と前記処理ガスに含まれる窒素含有ガスの流量とのうち少なくとも1つのエッチングパラメータを設定する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、シリコン含有膜のプラズマエッチングにおいて、エッチングにより形成される凹部の底部の幅を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法が適用され得る一例の基板の部分拡大断面図である。
【
図2】
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の流れ図である。
【
図4】
図4の(a)、(b)及び(c)は、
図3に示すエッチング方法が適用された一例の基板の部分拡大断面図である。
【
図5】
図5は、処理ガス中のNF
3ガスの流量とシリコン含有膜に形成される凹部の底部の幅との相関関係の例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、基板支持器の温度とシリコン含有膜に形成される凹部の底部の幅との相関関係の例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、一例の基板支持器を示す上面図である。
【
図8】
図8は、別の一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図9】
図9は、別の一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法が提供される。エッチング方法は、(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の基板支持器上に基板を提供する工程を含む。前記基板はシリコン含有膜を含む。エッチング方法は、(b)前記基板支持器の温度を-20℃以下に調整する工程を含む。エッチング方法は、(c)前記チャンバ内に窒素含有ガスを含む処理ガスを供給する工程を含む。エッチング方法は、(d)前記処理ガスから生成されたプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングする工程を含む。前記シリコン含有膜をエッチングすることにより凹部が形成され、前記シリコン含有膜をエッチングすることにより前記凹部の側壁にシリコン及び窒素を含有する副生成物が付着する。エッチング方法は、(e)前記(b)の前に、前記副生成物の付着量によって前記凹部の底部の幅を調整するように、前記基板支持器の温度と前記処理ガスに含まれる窒素含有ガスの流量とのうち少なくとも1つのエッチングパラメータを設定する工程を含む。
【0010】
上記実施形態のエッチング方法によれば、基板支持器の温度と窒素含有ガスの流量とのうち少なくとも1つのエッチングパラメータの設定値を変更することによって、凹部の側壁に付着する副生成物の量を調整できる。その結果、凹部の底部の幅も調整できる。例えば、基板支持器の温度を上げると、副生成物の揮発が促進されるので、凹部の側壁に付着する副生成物の量が減少する。その結果、凹部の底部の幅が大きくなる。一方、基板支持器の温度を下げると、副生成物の揮発が抑制されるので、凹部の側壁に付着する副生成物の量が増加する。その結果、凹部の底部の幅が小さくなる。また、副生成物は窒素を含有するので、処理ガスに窒素含有ガスの流量を増加させると、凹部の側壁に付着する副生成物の量が増加する。その結果、凹部の底部の幅が小さくなる。一方、窒素含有ガスの流量を減少させると、凹部の側壁に付着する副生成物の量が減少する。その結果、凹部の底部の幅が大きくなる。したがって、上記エッチング方法によれば、シリコン含有膜のプラズマエッチングにおいて、エッチングにより形成される凹部の底部の幅を調整できる。
【0011】
前記凹部の底部の幅と前記少なくとも1つのエッチングパラメータとの相関関係を用いて、前記少なくとも1つのエッチングパラメータの設定値が決定されてもよい。
【0012】
前記相関関係を用いて、前記基板支持器の温度の設定値が決定されてもよい。この場合、基板支持器の温度を調整することによって、所望の幅を有する底部を備える凹部を形成できる。
【0013】
前記相関関係を用いて、前記窒素含有ガスの流量の設定値が決定されてもよい。この場合、窒素含有ガスの流量を調整することによって、所望の幅を有する底部を備える凹部を形成できる。
【0014】
上記実施形態のエッチング方法は、(f)前記凹部が形成された前記シリコン含有膜を用いて、前記基板に含まれる膜をエッチングする工程を更に含んでもよい。この場合、シリコン含有膜をマスクとして膜がエッチングされる。
【0015】
前記(f)において、前記副生成物の揮発温度未満の温度で前記膜をエッチングしてもよい。この場合、(f)において膜をエッチングする際に、シリコン含有膜の凹部を画定する側壁上に付着した副生成物の揮発を抑制できる。そのため、シリコン含有膜の凹部の底部の幅が変化し難いので、膜に形成される凹部の幅も変化し難い。
【0016】
前記基板は、前記シリコン含有膜上に開口を有するマスクを更に有してもよい。上記実施形態のエッチング方法は、(g)前記(a)の前に、前記マスクの開口幅を測定する工程を更に含んでもよい。エッチング方法は、(h)前記マスクの開口幅の測定値と、前記マスクの開口幅の設定値とを比較する工程を更に含んでもよい。エッチング方法は、(i)前記測定値が前記設定値を超える場合に、前記測定値と前記設定値との差分を算出する工程を更に含んでもよい。エッチング方法は、前記差分に基づいて、前記少なくとも1つのエッチングパラメータの設定値を決定する工程を更に含んでもよい。この場合、凹部の底部の幅を目標値に近づけることができる。
【0017】
前記シリコン含有膜が反射防止膜であってもよい。
【0018】
前記凹部のアスペクト比が5以下であってもよい。
【0019】
前記窒素含有ガスが、N2、NF3及びNH3のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0020】
前記処理ガスが、炭素及びフッ素を含んでもよい。
【0021】
前記処理ガスが、ハイドロカーボンガスとフッ素含有ガスとのガス混合物、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0022】
他の一つの例示的実施形態において、エッチング方法が提供される。エッチング方法は、(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の基板支持器上に基板を提供する工程を含む。前記基板は、シリコン及び窒素を含有する膜を含む。エッチング方法は、(b)前記基板支持器の温度を-20℃以下に調整する工程を含む。エッチング方法は、(c)前記チャンバ内に、水素及びフッ素を含む処理ガスを供給する工程を含む。エッチング方法は、(d)前記処理ガスから生成されたプラズマを用いて前記シリコン及び窒素を含有する膜をエッチングする工程を含む。前記シリコン及び窒素を含有する膜をエッチングすることにより凹部が形成され、前記シリコン及び窒素を含有する膜をエッチングすることにより前記凹部の側壁にシリコン及び窒素を含有する副生成物が付着する。エッチング方法は、(e)前記(b)の前に、前記副生成物の付着量によって前記凹部の底部の幅を調整するように、前記基板支持器の温度を設定する工程を含む。
【0023】
上記実施形態のエッチング方法によれば、基板支持器の温度を変更することによって、副生成物の付着量を調整できる。その結果、凹部の底部の幅も調整できる。例えば、基板支持器の温度を上げると、副生成物の揮発が促進されるので、凹部の側壁に付着する副生成物の量が減少する。その結果、凹部の底部の幅が大きくなる。一方、基板支持器の温度を下げると、副生成物の揮発が抑制されるので、凹部の側壁に付着する副生成物の量が増加する。その結果、凹部の底部の幅が小さくなる。したがって、上記エッチング方法によれば、シリコン含有膜のプラズマエッチングにおいて、エッチングにより形成される凹部の底部の幅を調整できる。
【0024】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバを備える。プラズマ処理装置は、前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持器を備える。前記基板はシリコン含有膜を含む。プラズマ処理装置は、前記シリコン含有膜をエッチングするための処理ガスであり、窒素含有ガスを含む前記処理ガスを前記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部を備える。プラズマ処理装置は、前記チャンバ内の前記処理ガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部を備える。プラズマ処理装置は、制御部を備える。前記制御部は、前記基板支持器の温度を-20℃以下に調整するように構成される。前記制御部は、前記基板支持器の温度と前記処理ガスに含まれる窒素含有ガスの流量とのうち少なくとも1つのエッチングパラメータが設定値となるように、前記基板支持器と前記ガス供給部とのうち少なくとも1つを制御するように構成される。前記シリコン含有膜をエッチングすることにより生成されシリコン及び窒素を含有する副生成物は、前記シリコン含有膜をエッチングすることにより形成される凹部の側壁に付着する。前記設定値は、副生成物の付着量によって凹部の底部の幅を調整するように、設定される。
【0025】
上記実施形態のプラズマ処理装置によれば、基板支持器の温度と窒素含有ガスの流量とのうち少なくとも1つのエッチングパラメータの設定値を変更することによって、凹部の側壁に付着する副生成物の量を調整できる。その結果、凹部の底部の幅も調整できる。したがって、シリコン含有膜のプラズマエッチングにおいて、エッチングにより形成される凹部の底部の幅を調整できる。
【0026】
前記基板支持器は、複数の領域を有し、前記複数の領域は互いに異なる温度に加熱可能であってもよい。この場合、シリコン含有膜に形成される凹部の底部の幅を基板の領域毎に異ならせることができる。
【0027】
上記実施形態のプラズマ処理装置は、前記基板を観察するための観察装置を更に備えてもよい。この場合、例えば凹部の形状を観察し、凹部の底部の幅を測定することができる。
【0028】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0029】
図1は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法が適用され得る一例の基板の部分拡大断面図である。基板Wは、シリコン含有膜SFを有する。シリコン含有膜SFは、シリコン及び窒素を含有する膜であり得る。シリコン含有膜SFは、反射防止膜であり得る。シリコン含有膜SFは、シリコン含有誘電体膜であり得る。シリコン含有誘電体膜は、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜を含み得る。シリコン含有誘電体膜は、シリコンを含有する膜であれば、他の膜種を有する膜であってもよい。また、シリコン含有膜SFは、シリコン膜(例えば多結晶シリコン膜)を含んでいてもよい。また、シリコン含有膜SFは、互いに異なる膜種を有する二つ以上のシリコン含有膜を含んでいてもよい。二つ以上のシリコン含有膜は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を含んでいてもよい。シリコン含有膜SFは、例えば、交互に積層された一つ以上のシリコン酸化膜及び一つ以上のシリコン窒化膜を含む多層膜であってもよい。或いは、二つ以上のシリコン含有膜は、シリコン酸化膜及びシリコン膜を含んでいてもよい。シリコン含有膜SFは、例えば、交互に積層された一つ以上のシリコン酸化膜及び一つ以上のシリコン膜を含む多層膜であってもよい。或いは、二つ以上のシリコン含有膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、及びシリコン膜を含んでいてもよい。
【0030】
基板Wは、下地領域としての膜URを更に有していてもよい。シリコン含有膜SFは、膜UR上に設けられ得る。膜URは、シリコン含有膜SFのエッチングレートよりも高いエッチングレートを有する材料から形成される。膜URは有機膜であり得る。
【0031】
基板Wは、マスクMKを更に有していてもよい。マスクMKは、シリコン含有膜SF上に設けられている。マスクMKは、シリコン含有膜SFのエッチングレートよりも低いエッチングレートを有する材料から形成される。マスクMKは、有機材料から形成され得る。マスクMKは、例えば、アモルファスカーボン膜、フォトレジスト膜、又はSOC膜(スピンオンカーボン膜)から形成され得る。或いは、マスクMKは、窒化チタン、タングステン、炭化タングステンのような金属含有材料から形成された金属含有マスクであってもよい。マスクMKは、100nm以下の厚みを有し得る。
【0032】
マスクMKは、パターニングされている。即ち、マスクMKは、シリコン含有膜SFに転写されるパターンを有している。マスクMKのパターンがシリコン含有膜SFに転写されると、シリコン含有膜SFにはホール又はトレンチのような開口が形成される。
【0033】
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図2に示すプラズマ処理装置1は、チャンバ10を備える。チャンバ10は、チャンバ10の中に内部空間10sを提供する。チャンバ10はチャンバ本体12を含む。チャンバ本体12は、略円筒形状を有する。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから形成される。チャンバ本体12の内壁面上には、耐腐食性を有する膜が設けられている。耐腐食性を有する膜は、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなどのセラミックから形成され得る。
【0034】
チャンバ本体12の側壁には、通路12pが形成されている。基板Wは、通路12pを通して内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送される。通路12pは、ゲートバルブ12gにより開閉される。ゲートバルブ12gは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられる。
【0035】
チャンバ本体12の底部上には、支持部13が設けられている。支持部13は、絶縁材料から形成される。支持部13は、略円筒形状を有する。支持部13は、内部空間10sの中で、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部13は、基板支持器14を支持している。基板支持器14は、内部空間10sの中で基板Wを支持するように構成されている。
【0036】
基板支持器14は、下部電極18及び静電チャック20を有する。基板支持器14は、電極プレート16を更に有し得る。電極プレート16は、アルミニウムなどの導体から形成されており、略円盤形状を有する。下部電極18は、電極プレート16上に設けられている。下部電極18は、アルミニウムなどの導体から形成されており、略円盤形状を有する。下部電極18は、電極プレート16に電気的に接続されている。
【0037】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、静電チャック20の上面の上に載置される。静電チャック20は、基板Wを加熱するための1つ以上のヒータを含み得る。静電チャック20は、本体及び電極を有する。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有し、誘電体から形成される。静電チャック20の電極は、膜状の電極であり、静電チャック20の本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、スイッチ20sを介して直流電源20pに接続されている。静電チャック20の電極に直流電源20pからの電圧が印加されると、静電チャック20と基板Wとの間に静電引力が発生する。基板Wは、当該静電引力によって静電チャック20に引き付けられて、静電チャック20によって保持される。
【0038】
基板支持器14上には、エッジリング25が配置される。エッジリング25は、リング状の部材である。エッジリング25は、シリコン、炭化シリコン、又は石英などから形成され得る。基板Wは、静電チャック20上、且つ、エッジリング25によって囲まれた領域内に配置される。
【0039】
下部電極18の内部には、流路18fが設けられている。流路18fには、チャンバ10の外部に設けられているチラーユニットから配管22aを介して熱交換媒体(例えば冷媒)が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管22bを介してチラーユニットに戻される。プラズマ処理装置1では、静電チャック20上に載置された基板Wの温度が、熱交換媒体と下部電極18との熱交換により、調整される。
【0040】
プラズマ処理装置1には、ガス供給ライン24が設けられている。ガス供給ライン24は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、静電チャック20の上面と基板Wの裏面との間の間隙に供給する。
【0041】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備える。上部電極30は、基板支持器14の上方に設けられている。上部電極30は、部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。部材32は、絶縁性を有する材料から形成される。上部電極30と部材32は、チャンバ本体12の上部開口を閉じている。
【0042】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34の下面は、内部空間10sに面する下面であり、内部空間10sを画成する。天板34は、発生するジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から形成され得る。天板34は、天板34を天板34の板厚方向に貫通する複数のガス吐出孔34aを有する。
【0043】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する。支持体36は、アルミニウムなどの導電性材料から形成される。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。支持体36は、ガス拡散室36aから下方に延びる複数のガス孔36bを有する。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入口36cが形成されている。ガス導入口36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0044】
ガス供給管38には、流量制御器群41及びバルブ群42を介して、ガスソース群40が接続されている。流量制御器群41及びバルブ群42は、ガス供給部GSを構成している。ガス供給部GSは、ガスソース群40を更に含んでいてもよい。ガスソース群40は、複数のガスソースを含む。複数のガスソースは、処理ガスに含まれる複数のガスのソースを含む。流量制御器群41は、複数の流量制御器を含む。流量制御器群41の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。バルブ群42は、複数の開閉バルブを含む。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、流量制御器群41の対応の流量制御器及びバルブ群42の対応の開閉バルブを介して、ガス供給管38に接続されている。
【0045】
プラズマ処理装置1では、チャンバ本体12の内壁面及び支持部13の外周に沿って、シールド46が着脱自在に設けられている。シールド46は、チャンバ本体12に反応副生物が付着することを防止する。シールド46は、例えば、アルミニウムから形成された母材の表面に耐腐食性を有する膜を形成することにより構成される。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウムなどのセラミックから形成され得る。
【0046】
支持部13とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウムから形成された部材の表面に耐腐食性を有する膜(酸化イットリウムなどの膜)を形成することにより構成される。バッフルプレート48には、複数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方、且つ、チャンバ本体12の底部には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを含む。
【0047】
プラズマ処理装置1は、第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64を備えている。第1の高周波電源62は、第1の高周波電力を発生する電源である。第1の高周波電力は、プラズマの生成に適した周波数を有する。第1の高周波電力の周波数は、例えば27MHz~100MHzの範囲内の周波数である。第1の高周波電源62は、整合器66及び電極プレート16を介して下部電極18に接続されている。整合器66は、第1の高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるための回路を有する。なお、第1の高周波電源62は、整合器66を介して、上部電極30に接続されていてもよい。第1の高周波電源62は、一例のプラズマ生成部PGを構成している。
【0048】
第2の高周波電源64は、第2の高周波電力を発生する電源である。第2の高周波電力は、第1の高周波電力の周波数よりも低い周波数を有する。第2の高周波電力が第1の高周波電力と共に用いられる場合には、第2の高周波電力は基板Wにイオンを引き込むためのバイアス用の高周波電力として用いられる。第2の高周波電力の周波数は、例えば400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数である。第2の高周波電源64は、整合器68及び電極プレート16を介して下部電極18に接続されている。整合器68は、第2の高周波電源64の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるための回路を有する。
【0049】
なお、第1の高周波電力を用いずに、第2の高周波電力を用いて、即ち、単一の高周波電力のみを用いてプラズマを生成してもよい。この場合には、第2の高周波電力の周波数は、13.56MHzよりも大きな周波数、例えば40MHzであってもよい。また、この場合には、プラズマ処理装置1は、第1の高周波電源62及び整合器66を備えなくてもよい。この場合には、第2の高周波電源64は一例のプラズマ生成部PGを構成する。
【0050】
プラズマ処理装置1においてプラズマ処理が行われる場合には、処理ガスがガス供給部GSから内部空間10sに供給される。ガス供給部GSは、シリコン含有膜SFをエッチングするための処理ガスをチャンバ10内に供給するように構成される。また、第1の高周波電力及び/又は第2の高周波電力が供給されることにより、上部電極30と下部電極18との間で高周波電界が生成される。生成された高周波電界が内部空間10sの中の処理ガスからプラズマを生成する。プラズマ生成部PGは、チャンバ10内の処理ガスからプラズマを生成するように構成される。
【0051】
プラズマ処理装置1は、制御部80を更に備え得る。制御部80は、プロセッサ、メモリなどの記憶部、入力装置、表示装置、信号の入出力インターフェイス等を備えるコンピュータであり得る。制御部80は、例えば、基板支持器14の温度、処理ガスに含まれる各ガスの流量、チャンバ10内の圧力、高周波電力等のエッチングパラメータが設定値となるように、プラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部80では、入力装置を用いて、オペレータがプラズマ処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部80では、表示装置により、プラズマ処理装置1の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、記憶部には、制御プログラム及びレシピデータが格納されている。レシピデータは、エッチングパラメータの設定値を含む。制御プログラムは、プラズマ処理装置1で各種処理を実行するために、プロセッサによって実行される。プロセッサは、制御プログラムを実行し、レシピデータに従ってプラズマ処理装置1の各部を制御する。
【0052】
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の流れ図である。
図3に示すエッチング方法(以下、「方法MT1」という)は、プラズマ処理装置1により実行され得る。方法MT1は、基板Wに適用される。方法MT1は、工程ST1、工程ST2、工程ST3、工程ST4及び工程ST5を含む。工程ST1、工程ST2、工程ST3、工程ST4及び工程ST5は、順に実行される。工程ST2は、工程ST1と同時に実行されてもよいし、工程ST1の前に実行されてもよい。
図4の(a)、(b)及び(c)は、
図3に示すエッチング方法が適用された一例の基板の部分拡大断面図である。
【0053】
以下、方法MT1について、方法MT1がプラズマ処理装置1を用いて基板Wに適用される場合を例にとって、説明する。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部80によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MT1が実行され得る。
【0054】
工程ST1では、プラズマ処理装置1のチャンバ10内の基板支持器14上に基板Wを提供する。
図4の(a)に示されるように、基板Wは、膜URと、膜UR上に設けられたシリコン含有膜SFと、シリコン含有膜SF上に設けられたマスクMKとを含み得る。マスクMKには、開口OP2が形成されている。開口OP2は、例えばホール又はトレンチである。開口OP2は幅W2を有する。基板Wは、チャンバ10内において静電チャック20上に載置されて、静電チャック20によって保持される。なお、基板Wは300mmの直径を有し得る。
【0055】
工程ST3では、基板支持器14の温度を-20℃以下に調整する。基板支持器14の温度は、チラーユニットを用いて冷却され得る。
【0056】
工程ST4では、チャンバ10内に処理ガスを供給する。処理ガスは、ガス供給部GSから供給される。
【0057】
処理ガスは、窒素含有ガスを含み得る。シリコン含有膜SFが窒素を含有する場合、処理ガスは、窒素含有ガスを含まなくてもよい。窒素含有ガスは、N2、NF3及びNH3のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0058】
処理ガスは、水素及びフッ素を含み得る。処理ガスは、炭素及びフッ素を含み得る。処理ガスは、ハイドロカーボン(CxHy)ガスとフッ素含有ガスとのガス混合物、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボン(CHxFy)ガスのうち少なくとも1つを含み得る。ここで、x及びyの各々は自然数である。ハイドロカーボンは、例えばCH4又はC3H6である。フルオロカーボンは、例えばCF4、C3F8、C4F6、又はC4F8の少なくとも一つである。ハイドロフルオロカーボンは、例えばCH2F2、CHF3、又はCH3Fの少なくとも一つである。処理ガスは、水素を含む分子として、H2、フッ化水素(HF)、ハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン及びNH3のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。処理ガスは、酸素を更に含んでいてもよい。処理ガスは、例えばO2を含んでいてもよい。
【0059】
工程ST5では、チャンバ10内に供給される処理ガスから生成されたプラズマを用いてシリコン含有膜SFをエッチングする。
【0060】
工程ST4において、制御部80は、処理ガスをチャンバ10内に供給するようにガス供給部GSを制御する。制御部80は、処理ガスに含まれる各ガスの流量が設定値となるようにガス供給部GSを制御する。工程ST3において、制御部80は、基板支持器14の温度(例えば静電チャック20内のヒータの温度)が-20℃以下の設定値となるように基板支持器14を制御する。工程ST5の前に、制御部80は、チャンバ10内のガスの圧力が設定値となるように排気装置50を制御する。工程ST5において、制御部80は、供給される第1の高周波電力及び/又は第2の高周波電力が設定値となるように第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64を制御する。
【0061】
工程ST5において、
図4の(b)に示されるように、シリコン含有膜SFをエッチングすることにより、シリコン含有膜SFに凹部OP1が形成される。凹部OP1は、開口OP2に対応する。シリコン含有膜SFをエッチングすることにより、シリコン及び窒素を含有する副生成物BPが生成される。副生成物BPは、凹部OP1の側壁上に付着した膜であってもよい。副生成物BPは、例えばケイフッ化アンモニウム((NH
4)
2SiF
6)等のアンモニウムケイ酸塩を含んでもよい。
【0062】
凹部OP1は、例えばホール又はトレンチである。凹部OP1の底部は幅W1を有する。幅W1は、開口OP2の幅W2よりも小さく、幅W2の半分以下であってもよい。幅W1は20nm以下であってもよい。凹部OP1は、凹部OP1の上端においてマスクMKの幅W2と同じ幅を有してもよい。凹部OP1は、凹部OP1の上端から下端に向かうに連れて徐々に幅が小さくなるテーパー形状を有してもよい。凹部OP1のアスペクト比は5以下であってもよい。アスペクト比(T/W2)は、凹部OP1の上端における凹部OP1の幅(幅W2と同じ)に対する凹部OP1の深さTである。
【0063】
工程ST2では、副生成物BPの付着量によって凹部OP1の底部の幅W1を調整するように、基板支持器14の温度と処理ガスに含まれる窒素含有ガスの流量とのうち少なくとも1つのエッチングパラメータを設定する。当該少なくとも1つのエッチングパラメータは、以下、エッチングパラメータPTFとも称される。例えば、オペレータによって、エッチングパラメータPTFの設定値がプラズマ処理装置1の制御部80に入力される。エッチングパラメータPTFの設定値は、凹部OP1の底部の幅W1とエッチングパラメータPTFとの相関関係を用いて、決定され得る。エッチングパラメータPTFの値をx、凹部OP1の幅W1の値をyとすると、yはxの関数である。すなわち、y=f(x)の関係を満たす。凹部OP1の底部の幅W1の目標値y1をy=f(x)に代入すると、エッチングパラメータPTFの設定値x1が得られる。このような関係及び各値のデータは、制御部80の記憶部に格納され得る。エッチングパラメータPTFの設定値は、制御部80によって決定される。
【0064】
エッチングパラメータPTFが基板支持器14の温度の場合、基板支持器14の温度の設定値は、凹部OP1の底部の幅W1と基板支持器14の温度との相関関係を用いて、決定され得る。当該相関関係は、基板支持器14の温度が高くなるに連れて、凹部OP1の底部の幅W1が単調増加する関係であってもよい。基板支持器14の温度の設定値は、-20℃以下であってもよく、-30℃以下であってもよく、-35℃以下であってもよい。
【0065】
エッチングパラメータPTFが窒素含有ガスの流量の場合、窒素含有ガスの流量の設定値は、凹部OP1の底部の幅W1と窒素含有ガスの流量との相関関係を用いて、決定され得る。当該相関関係は、窒素含有ガスの流量が大きくなるに連れて、凹部OP1の底部の幅W1が単調減少する関係であってもよい。窒素含有ガスの流量の設定値は、5sccm以上であってもよく、20sccm以下であってもよい。
【0066】
エッチングパラメータPTFが基板支持器14の温度及び窒素含有ガスの流量の両方の場合、基板支持器14の温度の設定値及び窒素含有ガスの流量の設定値は、相関関係を用いて、決定され得る。当該相関関係は、凹部OP1の底部の幅W1と基板支持器14の温度と窒素含有ガスの流量との相関関係である。
【0067】
工程ST2では、他のエッチングパラメータが更に設定され得る。例えば、オペレータによって、各エッチングパラメータの設定値がプラズマ処理装置1の制御部80に入力される。他のエッチングパラメータは、処理ガス中に含まれる各ガスの流量(窒素含有ガスの流量を除く)と、チャンバ10内のガスの圧力と、第1の高周波電力及び/又は第2の高周波電力とを含む。チャンバ10内のガスの圧力は、10mTorr(1.3Pa)以上、100mTorr(13.3Pa)以下の圧力に設定され得る。第1の高周波電力のレベルは、1kW以下のレベルに設定され得る。第2の高周波電力のレベルは、1kW以下のレベルに設定され得る。工程ST2において設定された各エッチングパラメータの設定値を用いて、工程ST5のエッチングが行われる。
【0068】
方法MT1は、工程ST5の後に実行される工程ST6を含み得る。工程ST6では、
図4の(c)に示されるように、凹部OP1が形成されたシリコン含有膜SFを用いて、基板Wに含まれる膜URをエッチングする。シリコン含有膜SFをマスクとして膜URがエッチングされるので、シリコン含有膜SFの凹部OP1に対応する凹部OP3が膜URに形成される。凹部OP3の幅W3は、凹部OP1の幅W1と実質的に同じである。副生成物BPの揮発温度未満の温度(例えば100℃以下)で膜URをエッチングしてもよい。
【0069】
方法MT1によれば、エッチングパラメータPTFの設定値を変更することによって、凹部OP3の側壁に付着する副生成物BPの付着量を調整できる。その結果、凹部OP1の底部の幅W1も調整できる。例えば、基板支持器14の温度を上げると、副生成物BPの揮発が促進されるので、副生成物BPの付着量が減少する。その結果、凹部OP1の底部の幅W1が大きくなる。一方、基板支持器14の温度を下げると、副生成物BPの揮発が抑制されるので、副生成物BPの付着量が増加する。その結果、凹部OP1の底部の幅W1が小さくなる。また、処理ガスに窒素含有ガスが含まれる場合、副生成物BPは窒素を含有するので、窒素含有ガスの流量を増加させると、副生成物BPの付着量が増加する。その結果、凹部OP1の底部の幅W1が小さくなる。一方、窒素含有ガスの流量を減少させると、副生成物BPの付着量が減少する。その結果、凹部OP1の底部の幅W1が大きくなる。したがって、方法MT1によれば、シリコン含有膜SFのプラズマエッチングにおいて、エッチングにより形成される凹部OP1の底部の幅W1を調整できる。よって、所望の幅W1を有する底部を備える凹部OP1を形成できる。
【0070】
工程ST6において、副生成物BPの揮発温度未満の温度で膜URをエッチングすると、シリコン含有膜SFの凹部OP1を画定する側壁上に付着した副生成物BPの揮発を抑制できる。そのため、工程ST6において、シリコン含有膜SFの凹部OP1の底部の幅W1が変化し難いので、膜URに形成される凹部OP3の幅W3も変化し難い。
【0071】
図5は、処理ガス中のNF
3ガスの流量とシリコン含有膜に形成される凹部の底部の幅との相関関係の例を示すグラフである。
図5の例では、NF
3ガスの流量が5sccmでは凹部OP1の底部の幅W1が15.2nmであった。NF
3ガスの流量が10sccmでは凹部OP1の底部の幅W1が10.7nmであった。NF
3ガスの流量が20sccmでは凹部OP1の底部の幅W1が7.3nmであった。このように、処理ガス中のNF
3ガスの流量が大きくなるに連れて、シリコン含有膜SFに形成される凹部OP1の底部の幅W1が単調減少していた。本例において、凹部OP1はライン形状を有するトレンチであり、マスクMKの開口OP2の幅W2は26~27nm程度であり、基板支持器14の温度は-40℃であった。
【0072】
図6は、基板支持器の温度とシリコン含有膜に形成される凹部の底部の幅との相関関係の例を示すグラフである。
図6の例では、基板支持器14の温度が-40℃では凹部OP1の底部の幅W1が11.9nmであった。基板支持器14の温度が-35℃では凹部OP1の底部の幅W1が12.0nmであった。基板支持器14の温度が-30℃では凹部OP1の底部の幅W1が12.8nmであった。このように、基板支持器14の温度が高くなるに連れて、シリコン含有膜SFに形成される凹部OP1の底部の幅W1が単調増加していた。本例において、凹部OP1はホールであり、マスクMKの開口OP2の幅W2は26~27nm程度であり、NF
3ガスの流量は5~100sccmであった。
【0073】
図7は、一例の基板支持器を示す上面図である。
図7に示される基板支持器14Aは、
図2の基板支持器14に代えて使用され得る。基板支持器14Aは、複数の領域ZN1,ZN2,…,ZNnを有すること以外は基板支持器14と同じ構成を備える。nは2以上の整数である。複数の領域ZN1~ZNnは、互いに異なる温度に加熱可能である。複数の領域ZN1~ZNnは、複数のヒータHT1,HT2,…,HTnをそれぞれ含んでもよい。各ヒータHTkは、対応する領域ZNk内に埋め込まれる。kは1以上n以下の整数である。各ヒータHTkは、交流電力が供給されることにより領域ZNkを中心に基板支持器14Aを加熱することができる。各領域ZNkの温度を調整することにより、各領域ZNkに対応する基板Wの領域の温度を調整できる。よって、基板支持器14Aによれば、シリコン含有膜SFに形成される凹部OP1の底部の幅W1を基板Wの領域毎に異ならせることができる。
【0074】
図8は、別の一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図8に示されるプラズマ処理装置1Aは、
図2のプラズマ処理装置1に加えて、台122a、台122b、台122c、台122d、容器124a、容器124b、容器124c及び容器124dを更に備え得る。プラズマ処理装置1Aは、ローダモジュールLM、ロードロックモジュールLL1、ロードロックモジュールLL2、トランスファーモジュール121及び観察装置OCを更に備え得る。
【0075】
台122a~122dは、ローダモジュールLMの一縁に沿って配列されている。台122a~122dのそれぞれの上には、容器124a~124dがそれぞれ設けられている。容器124a~124dの各々の中には、基板Wが収容され得る。容器124a~124dの各々は、例えばFOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる容器である。
【0076】
ローダモジュールLMは、チャンバを提供している。ローダモジュールLMのチャンバの中には、搬送ロボットRb1が設けられている。搬送ロボットRb1は、容器124a~124dのうち任意の容器とロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち任意のロードロックモジュールの予備減圧室との間で、基板Wを搬送するように構成されている。搬送ロボットRb1は、任意のロードロックモジュールの予備減圧室と観察装置OCとの間で、基板Wを搬送するように構成されている。搬送ロボットRb1は、観察装置OCと容器124a~124dのうち任意の容器との間で、基板Wを搬送するように構成されている。
【0077】
ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2は、ローダモジュールLMの別の一縁に沿って設けられており、ローダモジュールLMに接続されている。ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、予備減圧室を提供している。ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2は、トランスファーモジュール121にそれぞれ接続されている。
【0078】
トランスファーモジュール121は、減圧可能なチャンバを提供している。トランスファーモジュール121のチャンバの中には、搬送ロボットRb2が設けられている。トランスファーモジュール121には、チャンバ10が接続されている。搬送ロボットRb2は、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち任意のロードロックモジュールの予備減圧室と内部空間10sとの間で基板Wを搬送するように構成されている。
【0079】
観察装置OCは、基板Wを観察するための装置である。観察装置OCは、チャンバ10の外部に設けられ得る。観察装置OCは、光学観察装置であってもよいし、超音波観察装置であってもよい。基板Wは、搬送ロボットRb1及び搬送ロボットRb2によって、観察装置OCとチャンバ10との間で移動され得る。搬送ロボットRb1によって基板Wが観察装置OC内に収容され、観察装置OC内において基板Wの位置合わせが行われた後に、観察装置OCは、シリコン含有膜SFの凹部OP1を観察する。観察装置OCは、凹部OP1の形状を観察し、凹部OP1の幅W1を測定することができる。観察装置OCは、マスクMKの開口OP2を観察してもよい。この場合、観察装置OCは、開口OP2の形状を観察し、開口OP2の幅W2を測定することができる。観察装置OCは、基板Wの複数の領域の各々において測定を行い、測定値を制御部80に送信する。制御部80は、プラズマ処理装置1Aの各部を制御する。
【0080】
図9は、別の一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の流れ図である。
図9に示すエッチング方法(以下、「方法MT2」という)は、
図8のプラズマ処理装置1Aにより実行され得る。方法MT2は、基板Wに適用される。方法MT2は、工程ST1~工程ST6に加えて、工程ST7、工程ST8、工程ST9及び工程ST10を含み得る。工程ST7、工程ST8、工程ST9及び工程ST10は、工程ST1の前において順に実行される。工程ST10は、工程ST1と同時に実行されてもよいし、工程ST1の後に実行されてもよいし、工程ST2と同時に実行されてもよい。工程ST1~工程ST6は、
図3の方法MT1と同じである。
【0081】
工程ST7では、マスクMKの開口OP2の幅W2を測定する。開口OP2の幅W2は、観察装置OCにより測定され得る。
【0082】
工程ST8では、工程ST7において得られた測定値と、マスクMKの開口OP2の幅W2の設定値とを比較する。工程ST8は、制御部80によって実行され得る。
【0083】
工程ST9では、工程ST7において得られた測定値がマスクMKの開口OP2の幅W2の設定値を超える場合に、測定値と設定値との差分を算出する。工程ST9は、制御部80によって実行され得る。
【0084】
工程ST10では、工程ST9において算出された差分に基づいて、エッチングパラメータPTFの設定値を決定する。開口OP2の幅W2が大きくなるに連れて凹部OP1の底部の幅W1も大きくなる。工程ST10は、制御部80によって実行され得る。
【0085】
方法MT2によれば、凹部OP1の底部の幅W1を目標値に近づけることができる。
【0086】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0087】
例えば、方法MT1及び方法MT2において用いられるプラズマ処理装置は、プラズマ処理装置1以外の容量結合型のプラズマ処理装置であってもよい。或いは、上記プラズマ処理装置は、誘導結合型のプラズマ処理装置又は電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ処理装置であってもよい。或いは、上記プラズマ処理装置は、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置等であってもよい。
【0088】
また、プラズマ処理装置は、第2の高周波電源64の代わりに又は第2の高周波電源64に加えて、負極性の直流電圧のパルスを断続的に又は周期的に下部電極18に印加するように構成された直流電源を備えていてもよい。
【0089】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0090】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、14…基板支持器、BP…副生成物、OP1…凹部、SF…シリコン含有膜、W…基板。