(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】検査装置及びプローブの研磨方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20240808BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20240808BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G01R31/26 Z
G01R31/28 K
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2020177874
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小林 将人
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-092885(JP,A)
【文献】特開2004-288928(JP,A)
【文献】特開2007-155369(JP,A)
【文献】特開平11-054574(JP,A)
【文献】特開2007-227840(JP,A)
【文献】特開2007-170835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 31/28
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象基板を検査する検査装置であって、
前記検査対象基板が載置される検査用載置台と、
少なくとも前記検査対象基板を搬送する搬送機構と、
検査時に基板に接触するプローブを研磨する部材であり且つ前記搬送機構により搬送可能な形状及び大きさを有する研磨用基板が載置される研磨用載置台と、
前記検査用載置台を移動させ、前記プローブに対して進退させる第1進退機構と、
前記研磨用載置台を移動させ、前記プローブに対して進退させる第2進退機構と、を有し、
前記研磨用載置台は、前記検査用載置台とは別に設けられ、
前記検査用載置台の退避領域は、平面視で、前記プローブを間に挟んで、前記研磨用載置台の退避領域と反対側の位置であり、
前記第2進退機構は、前記研磨用載置台に載置された前記研磨用基板のうち
、当該研磨用基板を平面視で2分割したときにおける前記研磨用
載置台の
前記退避領域側と反対側
である手前側は平面視で前記プローブに重ねることができるが
前記研磨用
載置台の
前記退避領域側
である奥側は平面視で前記プローブに重ねることができないように構成され
、
前記研磨用載置台を回転させる回転機構をさらに有し、
前記回転機構及び前記第2進退機構により、前記研磨用載置台に載置された前記研磨用基板における、前記奥側となっており平面視で前記プローブに重ねることができなかった領域を、前記手前側の領域として平面視で前記プローブに重ねる、検査装置。
【請求項2】
検査対象基板を検査する検査装置であって、
前記検査対象基板が載置される検査用載置台と、
少なくとも前記検査対象基板を搬送する搬送機構と、
検査時に基板に接触するプローブを研磨する部材であり且つ前記搬送機構により搬送可能な形状及び大きさを有する研磨用基板が載置される研磨用載置台と、
前記検査用載置台を移動させ、前記プローブに対して進退させる第1進退機構と、
前記研磨用載置台を移動させ、前記プローブに対して進退させる第2進退機構と、を有し、
前記研磨用載置台は、前記検査用載置台とは別に設けられ、
前記検査用載置台の退避領域は、平面視で、前記プローブを間に挟んで、前記研磨用載置台の退避領域と反対側の位置であり、
前記第2進退機構は、前記研磨用載置台に載置された前記研磨用基板のうち、当該研磨用基板を平面視で2分割したときにおける前記研磨用載置台の前記退避領域側と反対側である手前側は平面視で前記プローブに重ねることができるが前記研磨用載置台の前記退避領域側である奥側は平面視で前記プローブに重ねることができないように構成され、
前記研磨用載置台に載置される前記研磨用基板の向きを調整する調整機構をさらに有
し、
前記調整機構及び前記第2進退機構により、前記研磨用載置台に載置された前記研磨用基板における、前記奥側となっており平面視で前記プローブに重ねることができなかった領域を、前記手前側の領域として平面視で前記プローブに重ねる、検査装置。
【請求項3】
前記研磨用載置台は、当該研磨用載置台に載置された前記研磨用基板の温度調節を行う温度調節機構を有する、請求項1
または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記温度調節機構は、前記研磨用載置台に載置された前記研磨用基板の温度を、前記検査用載置台に載置された前記検査対象基板の、検査時の設定温度に調節する、請求項
3に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置及びプローブの研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板を載置するステージと、ステージに対向するプローブカードとを備え、プローブカードが上記載置された基板に向けて突出する複数のプローブ針を有するプローバが開示されている。このプローバは、複数のプローブ針の針先を研磨する針先研磨装置を備え、針先研磨装置が、上記針先に接触する針先接触部と、針先接触部を支持する支持部とを有し、針先接触部における上記針先と接触する部分には上記針先を研磨する針先研磨面が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、装置の大型化を抑制しながら、スループットを低下させずに、検査対象基板を搬送する搬送機構で搬送可能な研磨用基板を用いてプローブを研磨する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、検査対象基板を検査する検査装置であって、前記検査対象基板が載置される検査用載置台と、少なくとも前記検査対象基板を搬送する搬送機構と、検査時に基板に接触するプローブを研磨する部材であり且つ前記搬送機構により搬送可能な形状及び大きさを有する研磨用基板が載置される研磨用載置台と、前記検査用載置台を移動させ、前記プローブに対して進退させる第1進退機構と、前記研磨用載置台を移動させ、前記プローブに対して進退させる第2進退機構と、を有し、前記研磨用載置台は、前記検査用載置台とは別に設けられ、前記検査用載置台の退避領域は、平面視で、前記プローブを間に挟んで、前記研磨用載置台の退避領域と反対側の位置であり、前記第2進退機構は、前記研磨用載置台に載置された前記研磨用基板のうち、当該研磨用基板を平面視で2分割したときにおける前記研磨用載置台の前記退避領域側と反対側である手前側は平面視で前記プローブに重ねることができるが前記研磨用載置台の前記退避領域側である奥側は平面視で前記プローブに重ねることができないように構成され、前記研磨用載置台を回転させる回転機構をさらに有し、前記回転機構及び前記第2進退機構により、前記研磨用載置台に載置された前記研磨用基板における、前記奥側となっており平面視で前記プローブに重ねることができなかった領域を、前記手前側の領域として平面視で前記プローブに重ねる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、装置の大型化を抑制しながら、スループットを低下させずに、検査対象基板を搬送する搬送機構で搬送可能な研磨用基板を用いてプローブを研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかる検査装置の構成の概略を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態にかかる検査装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【
図3】収容室とローダが内蔵する構成要素を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス(以下、「デバイス」という。)の製造プロセスでは、多数のデバイスが半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板上に同時に形成される。形成されたデバイスは、電気的特性等の検査が行われ、良品と不良品とに選別される。デバイスの検査は、例えば、各デバイスに分割される前の基板の状態で、検査装置を用いて行われる。
【0009】
プローバ等と称される検査装置には、半導体デバイスが形成された基板が載置される載置台や、基板を搬送する搬送機構が設けられ、また、多数のプローブを有するプローブカードが取り付けられる。検査の際、検査装置では、載置台とプローブカードとを相対的に移動させることにより、半導体デバイスの電極パッドや半田バンプとプローブとを位置合わせして接触させる。このように接触させた状態で、テスタからプローブを介して半導体デバイスに電気信号が供給される。そして、プローブを介して半導体デバイスからテスタが受信した電気信号に基づいて、当該半導体デバイスが不良品か否か判別される。
【0010】
上述のような検査が繰り返し行われると、プローブの針先に電極パッド等の表面の酸化物が付着したり、プローブの針先が摩耗したりするため、その針先の研磨が行われている(特許文献1参照)。
【0011】
ただし、特許文献1の検査装置において、針先研磨面が設けられ支持部に支持される針先接触部を搬送する機構は設けられておらず、したがって、この検査装置は針先接触部の自動交換の点で改善の余地がある。また、針先接触部を搬送する機構を別途設ければ、自動交換は可能となるが、検査装置が大型化してしまう。
【0012】
また、針先研磨部材の形状及び大きさを、検査対象基板を搬送する搬送機構で搬送可能な形状及び大きさとし、具体的には、検査対象基板と同様な形状及び大きさとし、この針先研磨部材すなわち研磨用基板を検査対象基板の代わりに載置台に載置し、プローブの針先の研磨に用いる構成が考えられている。この構成では、針先研磨部材を自動交換可能であるが、研磨のために、検査対象基板を載置台から取り除いておく必要があるため、検査のスループットが低下してしまう。
【0013】
この検査のスループットの低下を避けるために、検査対象基板が載置される載置台とは別に、研磨用基板が載置される載置台を設ける構成が考えられる。しかし、この構成では、研磨用基板で研磨する時に検査対象基板及びその載置台を退避させるスペースが必要となるため、単純に、研磨用基板が載置される載置台を別途設けるだけでは、上記スペースの分、検査装置のフットプリントが増加してしまう。
【0014】
そこで、本開示にかかる技術は、装置の大型化を抑制しながら、スループットを低下させずに、検査対象基板を搬送する搬送機構で搬送可能な研磨用基板を用いてプローブを研磨する。
【0015】
以下、本実施形態にかかる検査装置及びプローブの研磨方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
まず、本実施形態にかかる検査装置の構成について説明する。
図1及び
図2はそれぞれ、本実施形態にかかる検査装置1の構成の概略を示す斜視図及び縦断面図である。
図3は、後述の収容室とローダが内蔵する構成要素を示す平面図である。
図4は、後述の研磨用ウェハを説明する平面図である。
図5は、後述の移動機構の説明図である。
【0017】
検査装置1は、検査対象基板としての検査対象ウェハWを検査するものであり、具体的には、検査対象ウェハWに形成されたデバイス(図示せず)の電気的特性の検査を行うものである。検査対象ウェハWにはデバイスがn個(nは2以上の自然数)すなわち複数形成されており、検査装置1は、一度の検査でm個(mはn未満の自然数)のデバイスを同時に検査する。また、検査対象ウェハWは、例えば直径300mmの円板状に形成されている。
【0018】
検査装置1は、
図1及び
図2に示すように、検査時に検査対象ウェハWが収容される収容室2と、収容室2に隣接して配置されるローダ3と、収容室2の上方を覆うように配置されるテスタ4とを備える。
【0019】
収容室2は、
図2に示すように、内部が空洞の筐体であり、検査対象ウェハWが載置される検査用載置台10をその内部に有する。検査用載置台10は、該検査用載置台10に対する検査対象ウェハWの位置がずれないように検査対象ウェハWを吸着保持する。また、検査用載置台10は、当該検査用載置台10に載置された検査対象ウェハWの温度を調節する温度調節機構が設けられている。上記温度調節機構は、検査用載置台10を加熱することにより当該検査用載置台10に載置された検査対象ウェハWを加熱する加熱機構(例えば抵抗ヒータ)や、検査用載置台10を冷却することにより当該検査用載置台10に載置された検査対象ウェハWを冷却する冷却機構(例えば冷却用の冷媒が流れる流路)の少なくともいずれか一方を含む。
【0020】
さらに、収容室2の内部には、移動機構20が設けられている。移動機構20は、検査用載置台10を移動させることができ、具体的には、検査用載置台10を水平方向及び鉛直方向に移動させることができる。この移動機構20により、後述のプローブカードPと検査対象ウェハWの相対位置を調整して検査対象ウェハWの表面の電極をプローブカードPのプローブP1と接触させることができる。また、移動機構20により、検査用載置台10を、後述のプローブP1に対して進退させることができ、後述の研磨用ウェハKによるプローブP1の研磨の際に、検査用載置台10及びそれに載置された検査対象ウェハWを、平面視でプローブP1から離間した退避領域T1(
図3参照)に退避させることができる。
【0021】
移動機構20は、例えば、Xステージ21と、Yステージ22と、を下からこの順で有する。
【0022】
Xステージ21は、収容室2の底壁上に設けられた図中X方向(装置幅方向)に延伸するガイドレール21aに沿って移動自在に構成されている。Yステージ22は、Xステージ21上に設けられた図中Y方向(装置奥行き方向)に延伸するガイドレール22aに沿って移動自在に構成されている。
Xステージ21やYステージ22に対しては、例えば、ボールねじ(図示せず)が設けられている。エンコーダが組み合わされたモータ(図示せず)による上記ボールねじの回転量を調節することにより、Xステージ21のX方向にかかる位置やYステージ22のY方向にかかる位置を調整することができる。
【0023】
また、移動機構20は、Zステージ23を例えばYステージ22上に有する。
Zステージ23は、図中Z方向(鉛直方向)に伸縮自在に構成された伸縮軸23aを介してYステージ22上に設けられており、これによりZステージ23は昇降自在となっている。伸縮軸23aに対しては、例えば、エンコーダが組み合わされたモータが設けられており、上記モータの回転量を調節することにより、伸縮軸23aの長さを調整しZステージ23のZ方向にかかる位置を調整することができる。
【0024】
Zステージ23上には、回転機構24を介して、検査用載置台10が支持されている。回転機構24は、検査用載置台10を鉛直軸周りに回転させる機構であり、例えば、エンコーダが組み合わされたモータを有し、上記モータの回転量を調節することにより、検査用載置台10に載置された検査対象ウェハWの向きを調整することができる。
【0025】
上述のXステージ21、Yステージ22、Zステージ23によって、検査用載置台10をX方向、Y方向、Z方向に移動させることができる。また、回転機構24によって、上述のように検査用載置台10に載置された検査対象ウェハWの向きを調整することができる。
【0026】
収容室2における検査用載置台10の上方には、プローブカードPが配置される。プローブカードPは、検査対象ウェハWに形成されたデバイスの電気的特性検査の際に、当該デバイスの電極に電気的に接触するプローブP1を有する。プローブP1は、平面視におけるプローブカードPの中央部のプローブ配設領域Pa(
図3参照)に設けられている。
また、プローブカードPは、インターフェース30を介してテスタ4へ接続されている。各プローブP1は、電気的特性検査時に、検査対象ウェハWに形成された各デバイスの電極に接触し、テスタ4からの電力をインターフェース30を介してデバイスへ供給し、且つ、デバイスからの信号をインターフェース30を介してテスタ4へ伝達する。
【0027】
ローダ3は、
図3に示すように、複数の検査対象ウェハWを収納する収納部3aと、検査対象ウェハWを搬送する搬送機構3bと、検査対象ウェハWの向きを調整するプリアライメント機構3cとを有する。
収納部3aは、具体的には、複数の検査対象ウェハWを収容する搬送容器であるFOUP(図示せず)を収納する。収納部3aは、作業者が作業をしやすい、手前側(図のY方向負側)に設けられている。
搬送機構3bは、収納部3a内のFOUPから検査対象ウェハWを取り出して、収容室2に搬入する。また、搬送機構3bは、デバイスの電気的特性検査が終了した検査対象ウェハWを収容室2から搬出し、収納部3a内のFOUPへ戻す。
プリアライメント機構3cは、検査対象ウェハWを鉛直軸周りに回転させる回転載置台3dや、検査対象ウェハWのノッチを検知する受発光部(図示せず)等を有する。
【0028】
テスタ4は、デバイスが搭載されるマザーボードの回路構成の一部を再現するテストボード(図示せず)を有する。テストボードは、検査対象ウェハWに形成されたデバイスからの信号に基づいて、該デバイスの良否を判断するテスタコンピュータ(図示せず)に接続される。テスタ4では、上記テストボードを取り替えることにより、複数種のマザーボードの回路構成を再現することができる。
【0029】
検査装置1では、検査対象ウェハWに形成されたデバイスの電気的特性の検査の際、上記テスタコンピュータが、デバイスと各プローブP1を介して接続された上記テストボードへデータを送信する。そして、テスタコンピュータが、送信されたデータが当該テストボードによって正しく処理されたか否かを当該テストボードからの電気信号に基づいて判定する。
【0030】
さらに、検査装置1の収容室2の内部には、
図2に示すように、研磨用基板としての研磨用ウェハKが載置される研磨用載置台40が検査用載置台10とは別に設けられている。研磨用載置台40は、該研磨用載置台40に対する研磨用ウェハKの位置がずれないように研磨用ウェハKを吸着保持する。
【0031】
研磨用ウェハKは、プローブP1(具体的にはその針先)を研磨する部材であり、搬送機構3b(
図3参照)により搬送可能な大きさ及び形状を有する。具体的には、研磨用ウェハKは、例えば、
図4に示すように、検査対象ウェハWと同様、円板状の部材であり、その直径は約150mm~300mmである。なお、検査装置1のフットプリントの観点では、研磨用ウェハKの直径は小さいことが好ましいが、150mmより小さいと既存の搬送機構3bの搬送アームで保持することができなくなる。また、研磨用ウェハKは、例えば、円板状の部材の表面に、研磨シート(ラッピングシート)を貼り付けることにより作製することができる。
【0032】
研磨用ウェハKは、検査対象ウェハWと同様、ノッチK1を有していてもよい。なお、以下の説明では、研磨用ウェハKを平面視で2分割したときにおけるノッチK1側の領域を第1領域R1、もう一方を第2領域R2とする。
【0033】
このような研磨用ウェハKを用いることにより、研磨用ウェハKを、搬送機構3bを用いて、作業者の手によらず、自動で交換することが可能となる。
なお、研磨用載置台40は、研磨用ウェハKの形状に合わせて、円柱形状に形成されており、その平面視での直径は研磨用ウェハKの直径より若干大きい。
【0034】
また、
図2の収容室2の内部に設けられている移動機構20は、検査用載置台10を移動させるだけでなく、研磨用載置台40も移動させることができる。具体的には、移動機構20は、研磨用載置台40を検査用載置台10と共に水平方向に移動させることができ、また、研磨用載置台40を検査用載置台10とは独立して鉛直方向に移動させることができる。この移動機構20により、プローブカードPのプローブP1と研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKとを接触させることができる。また、移動機構20により、研磨用載置台40を、プローブP1に対して進退させることができ、検査用載置台10に載置された検査対象ウェハWの検査の際に、研磨用載置台40及びそれに載置された研磨用ウェハKを、平面視でプローブP1から離間した退避領域T2(
図3参照)に移動させることができる。
【0035】
つまり、移動機構20は、検査用載置台10を移動させ、プローブP1に対して進退させる第1進退機構と、研磨用載置台40を移動させ、プローブP1に対して進退させる第2進退機構との両方を兼ねる。
【0036】
研磨用載置台40は、検査用載置台10と同様、Xステージ21、Yステージ22によって、X方向及びY方向に移動自在となっている。すなわち、研磨用載置台40と検査用載置台10とで、水平方向であるX方向及びY方向への移動機構を共有している。
移動機構20は、研磨用載置台40をZ方向に移動自在とするため、Zステージ25を例えばYステージ22上に有する。
Zステージ25は、図中Z方向(鉛直方向)に伸縮自在に構成された伸縮軸25aを介してYステージ22上に設けられており、これによりZステージ25は昇降自在となっている。伸縮軸25aに対しては、例えば、エンコーダが組み合わされたモータが設けられており、上記モータの回転量を調節することにより、伸縮軸25aの長さを調整しZステージ25のZ方向にかかる位置を調整することができる。
【0037】
Zステージ25上には、回転機構26を介して、研磨用載置台40が支持されている。回転機構26は、研磨用載置台40を鉛直軸周りに回転させる機構であり、例えば、エンコーダが組み合わされたモータを有し、上記モータの回転量を調節することにより、研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの向きを調整することができる。
【0038】
また、検査装置1では、
図3に示すように、ローダ3に、複数の研磨用ウェハKを複数収納する収納部3eが設けられている。収納部3eは、ローダ3の奥側(図のY方向正側)に設けられている。
【0039】
収納部3eに収納されていた研磨用ウェハKは、搬送機構3bにより取り出され、収容室2に搬入され、研磨用載置台40に載置される。
また、収容室2内の研磨用ウェハKの交換が必要な場合は、当該研磨用ウェハKが搬送機構3bにより搬出され、収納部3eに戻されると共に、収納部3e内の新しい研磨用ウェハKが搬送機構3bにより、収容室2に搬入される。
【0040】
さらに、検査装置1は、制御部100を有する。制御部100は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータにより構成され、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、検査装置1における各種処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な非一時的な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御部100にインストールされたものであってもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
【0041】
以上のように構成される検査装置1では、
図3に示すように、移動機構20による検査用載置台10の退避領域T1が、平面視で、プローブ配設領域Paを間に挟んで、移動機構20による研磨用ウェハKの退避領域T2と反対側に位置する。そして、検査装置1では、研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKのうち、当該研磨用ウェハKの退避領域側である奥側はプローブP1の研磨に利用できず、反対側である手前側(図のY方向負側)のみ、プローブP1の研磨に利用可能となっている。言い換えると、移動機構20が、以下の条件を満たすように構成されている。
【0042】
(移動機構20が満たす条件)
研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKのうち、手前側(
図5のY方向負側)を、
図5において実線で示すように平面視でプローブ配設領域Pa(すなわちプローブP1)に重ねることができるが、奥側(
図5のY方向正側)を、二点鎖線で示すように平面視でプローブ配設領域Paに重ねることはできない。
【0043】
具体的には、上述の条件を満たすように移動機構50や収容室2が構造上制限されており、例えば、移動機構20のYステージ22に対するガイドレール22aの長さ及び配設位置等が上述の条件を満たすように設定されている。
【0044】
ここで、本実施形態と異なる、以下の比較の形態を考える。比較の形態とは、研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの奥側(
図5のY方向正側)も二点鎖線で示すように平面視でプローブ配設領域Paに重ねることができるように移動機構20が構成されている形態である。
本実施形態では、上記比較の形態に比べて、研磨時に研磨用載置台40が手前側(
図5のY方向負側)に移動してくる距離が少ないため、研磨時における、退避領域T1に位置する検査用載置台10からプローブP1までの平面視での距離を短くすることができる。そのため、本実施形態では、検査用載置台10の退避領域T1すなわち検査用載置台10の移動範囲を狭くすることができる。したがって、本実施形態では、検査装置1の大型化を抑制することができる。比較の形態では、装置が大型化することは、
図5において二点鎖線で示された検査用載置台10等が収容室2に収まっていないことからも明らかである。
【0045】
また、本実施形態のように研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの手前側(
図5等のY方向負側)のみプローブP1の研磨に利用する場合でも、以下のようにすれば、研磨用ウェハKの全面を無駄なく研磨に供させることができる。
研磨用載置台40を回転機構26によって回転させ、当該研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの向きを調整すれば、本実施形態においても、研磨用ウェハKの全面を無駄なく研磨に供させることができる。具体的には、手前側(
図5等のY方向負側)となっていた研磨用ウェハKの第1領域R1の全面が研磨に利用された後に、研磨用載置台40を回転させ研磨用ウェハKを半回転することにより、未使用であった研磨用ウェハKの第2領域R2を手前側(
図5等のY方向負側)にし研磨に供させることができる。
【0046】
次に、検査装置1を用いた検査処理の一例について説明する。
検査処理では、まず、ローダ3の収納部3a内のFOUPから、検査対象ウェハWが、搬送機構3bによって取り出されて、収容室2に搬入される。そして、搬送機構3bに保持されていた検査対象ウェハWが、検査用載置台10に対して設けられた複数の昇降ピン(図示せず)を介して、検査用載置台10に受け渡される。つまり、検査対象ウェハWが、検査用載置台10に載置される。
【0047】
次いで、カメラ(図示せず)によって、検査用載置台10とプローブP1の正確な位置が確認される。その後、検査用載置台10が移動機構20によって移動され、検査用載置台10の上方に設けられているプローブP1と、検査対象ウェハWの検査対象のデバイスの電極とが接触する。
そして、プローブP1に検査用の信号が入力される。これにより、検査対象のデバイスの電気的特性検査が開始される。電気的特性検査が終了すると、検査用載置台10が移動され、検査対象ウェハWの次の検査対象のデバイスについて同様なことが行われる。
以後、検査対象ウェハWに形成された全てのデバイスの電気的特性検査が完了するまで、検査対象ウェハWを載置する工程以降の工程が繰り返され、完了すると、搬入時と逆の手順で、検査対象ウェハWが収容室2から搬出され、ローダ3の収納部3a内のFOUPに戻される。
【0048】
続いて、検査装置1を用いたプローブP1の研磨処理の一例について説明する。
【0049】
(載置)
まず、研磨用ウェハKが研磨用載置台40に載置される。具体的には、ローダ3の収納部3eから、研磨用ウェハKが、搬送機構3bによって取り出されて、収容室2に搬入される。そして、搬送機構3bに保持されていた研磨用ウェハKが、研磨用載置台40に対して設けられた複数の昇降ピン(図示せず)を介して、研磨用載置台40に受け渡される。
【0050】
(検査及び研磨用載置台40の退避)
その後、上述の検査処理が行われる。このとき、移動機構20によって、研磨用載置台40が退避領域T2に移動しプローブP1から退避させられる。
【0051】
(研磨)
例えば、上述の検査処理の間に、プローブP1と検査対象ウェハW上の電極との間で電気的接続が得られない等、プローブP1に異常が生じると、デバイスの電気的特性検査が中断され、以下のようにプローブP1の研磨が行われる。すなわち、移動機構20によって、検査用載置台10が退避領域T1に移動しプローブP1から退避させられると共に、移動機構20によって、研磨用載置台40が移動し、当該研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの手前側(
図5等のY方向負側)における所望の部分でプローブP1が研磨される。研磨用ウェハKによるプローブP1の研磨は、研磨用載置台40をオーバドライブさせること、すなわち、研磨用ウェハKとプローブP1とが接触する位置から所定の距離、研磨用載置台40を上昇させることで行われる。なお、プローブP1の研磨前に、カメラ(図示せず)によって、プローブP1の正確な位置が確認される。カメラ(図示せず)によって、研磨用載置台40の正確な位置も確認されるようにしてもよい。この研磨で研磨用ウェハKのいずれの部分を用いたかの情報は制御部100の記憶部(図示せず)に記憶される。
なお、研磨に際し、検査対象ウェハWを検査用載置台10から取り除く必要はない。
また、研磨が完了すると、中断されていたデバイスの電気的特性検査が再開される。
【0052】
(手前側全面利用判定)
次いで、研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの手前側(
図5等のY方向負側)となっている領域の全面が研磨に利用されたか否かを制御部100が判定する。
【0053】
(奥側利用判定)
また、研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの手前側となっている領域の全面が研磨に利用されたと判定された場合、同ウェハKの奥側(
図5等のY方向正側)となっている領域が研磨に利用されたか否かを制御部100が判定する。
【0054】
(回転)
奥側となっている領域が研磨に利用されていなければ、回転機構26によって、研磨用載置台40が回転し、当該研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの向きが調整され、具体的には、例えば、上記研磨用ウェハKが半回転される。当該研磨用ウェハKを回転させたという情報は制御部100の記憶部(図示せず)に記憶され、前述の奥側利用判定工程での判定に用いられる。
【0055】
(交換)
奥側利用判定工程の結果、研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの奥側となっている領域も研磨に利用されていたと判定された場合、研磨用ウェハKの交換が行われる。具体的には、交換すべき研磨用ウェハKが、搬入時と逆の手順で、収容室2から搬出され、ローダ3の収納部3eに戻される。その後、ローダ3の収納部3eから、新しい研磨用ウェハKが、搬送機構3bによって取り出されて、収容室2内の研磨用載置台40に載置される。この研磨用ウェハKの交換は例えば検査対象ウェハWの入れ替えが行われるタイミングで行われる。
【0056】
以上のように本実施形態では、検査対象ウェハWを搬送する搬送機構3bで搬送可能でありそれ故自動交換可能な研磨用ウェハKを用いて、プローブP1を研磨している。
また、本実施形態では、研磨用ウェハKを載置する研磨用載置台40が、検査対象ウェハWを載置する検査用載置台10とは別に設けられている。そのため、研磨用ウェハKを用いたプローブP1の研磨のために、検査対象ウェハWを検査用載置台10から取り除いておく必要がないため、研磨用ウェハKを自動交換するようにしても、検査のスループットが低下することがない。
そして、本実施形態では、移動機構20が、研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKのうち、手前側(
図5等のY方向負側)を平面視でプローブP1に重ねることができるが、奥側(
図5等のY方向正側)を平面視でプローブP1に重ねることはできないように構成されている。そのため、検査用載置台10とは別に研磨用載置台40を設けても、検査装置1のフットプリントの増加を抑制することができる。
したがって、本実施形態によれば、装置の大型化を抑制しながら、検査のスループットを低下させずに、検査対象ウェハWを搬送する搬送機構3bで搬送可能な研磨用ウェハKを用いてプローブP1を研磨することができる。
【0057】
また、本実施形態の構成であっても、研磨用載置台40を回転機構26によって回転させ、当該研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの向きを調整すれば、研磨用ウェハKの全面を無駄なく有効に研磨に供させることができる。
なお、研磨用載置台40を回転機構26によって回転させ、当該研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの向きを調整することに代えて、以下のようにしてもよい。すなわち、調整機構としてのプリアライメント機構3cにより、研磨用載置台40に載置される研磨用ウェハKの向きを調整するようにしてもよい。具体的には、手前側(図のY方向負側)となっていた研磨用ウェハKの第1領域R1の全面が研磨に利用された後に、当該研磨用ウェハKを研磨用載置台40から搬送機構3bでプリアライメント機構3cに搬送する。そして、プリアライメント機構3cにより研磨用ウェハKを半回転させ、その後、当該研磨用ウェハKを搬送機構3bで研磨用載置台40に戻すことで、未使用であった第2領域R2が手前側にされた状態で当該研磨用ウェハKが研磨用載置台40に載置される。これによっても、研磨用ウェハKの全面を無駄なく研磨に供させることができる。
【0058】
図6は、研磨用載置台の他の例を示す断面図である。
図6の研磨用載置台40は、トッププレート200と、温度調節機構としての冷却ユニット210及び加熱ユニット220とを有する。研磨用載置台40は、移動機構20(
図2等参照)上に、熱絶縁部材300を介して載置される
【0059】
トッププレート200は、研磨用ウェハKが載置される部材であり、例えば円板状に形成されている。トッププレート200には、1または複数の温度センサ(図示せず)が設けられている。
【0060】
冷却ユニット210は、トッププレート200を冷却することにより、トッププレート200に載置された研磨用ウェハKを冷却する部材である。この冷却ユニット210は、トッププレート200と加熱ユニット220との間に設けられている。
なお、冷却ユニット210の構成は特に限定されるものではなく、トッププレート200を冷却することができれば、任意の構成をとることができる。一例として冷却ユニット210には、内部に冷媒が流れる冷媒流路(図示せず)が形成されていてもよい。
【0061】
加熱ユニット220は、トッププレート200を加熱することにより、トッププレート200に載置された研磨用ウェハKを加熱する部材である。加熱ユニット220は、トッププレート200と、冷却ユニット210を介して対向するように配置されている。
なお、加熱ユニット220の構成は特に限定されるものではなく、トッププレート200を加熱することができれば、任意の構成をとることができる。一例として加熱ユニット220は、抵抗ヒータを有していてもよい。
【0062】
図6の研磨用載置台40は、冷却ユニット210及び加熱ユニット220により、当該研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの温度調節を行う。具体的には、
図6の研磨用載置台40は、冷却ユニット210及び加熱ユニット220により、当該研磨用載置台40に研磨用ウェハKの温度を、検査用載置台10に載置された検査対象ウェハWの、検査時の設定温度に調節する。
このように温度調節する理由は以下の通りである。
【0063】
検査時の検査対象ウェハWの設定温度を室温(例えば25℃)より高温又は低温とすることがある。
検査時の検査対象ウェハWの設定温度を高温とした場合、プローブカードPが、例えば検査時に、高温の検査対象ウェハWによってプローブP1を介して加熱され、中央部が下方に突出するように反ることがある。この場合、研磨用載置台40及びそれに載置された研磨用ウェハKが常温であると、検査時等に高温となったプローブカードPが、研磨用ウェハKによるプローブP1の研磨中に、常温の研磨用ウェハKによってプローブP1を介して冷却され、反りが解消される。その結果、研磨用ウェハKとプローブP1との研磨時の接触圧が所望の値よりも低下してしまい、プローブP1を充分に研磨できず、研磨後のプローブP1を用いて電気的検査を適切に行うことができない場合がある。
【0064】
また、検査時の検査対象ウェハWの設定温度を低温とした場合、プローブカードPが、例えば検査時に、低温の検査対象ウェハWによってプローブP1を介して冷却され、中央部が上方に突出するように反ることがある。この場合、研磨用載置台40及びそれに載置された研磨用ウェハKが常温であると、検査時等に低温となったプローブカードPが、研磨用ウェハKによるプローブP1の研磨中に、常温の研磨用ウェハKによってプローブP1を介して加熱され、反りが解消される。その結果、研磨用ウェハKとプローブP1との研磨時の接触圧が所望の値よりも増加してしまい、すなわち、プローブP1を余計に研磨してしまい、プローブカードPの寿命を縮めてしまうことがある。
【0065】
図6の研磨用載置台40では、冷却ユニット210及び加熱ユニット220により、当該研磨用載置台40に載置された研磨用ウェハKの温度調節を上述のように行うため、検査時等に高温または低温となったプローブカードPの、研磨用ウェハKによる研磨中の熱変動を最小限にすることができる。したがって、プローブP1を適切に研磨することができるため、プローブカードPの寿命を縮めてしまうことがなく、また、研磨後のプローブP1を用いて電気的検査を適切に行うことができる。
【0066】
なお、冷却ユニット210及び加熱ユニット220のいずれか一方を省略してもよい。例えば、電気的特性検査を高温のみで行う場合は、冷却ユニット210を省略してもよい。
【0067】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 検査装置
3b 搬送機構
10 検査用載置台
20 移動機構
40 研磨用載置台
K 研磨用ウェハ
P1 プローブ
T1 退避領域
T2 退避領域
W 検査対象ウェハ