(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240808BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240808BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101B
H01L21/302 101C
H01L21/302 101D
H01L21/31 C
H05H1/46 M
(21)【出願番号】P 2020182790
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2020033167
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-535074(JP,A)
【文献】特開2020-004710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置され、電極を含む基板支持器と、
前記電極に結合され、1周期内の第1の期間において第1の電圧レベルを有し、該1周期内の第2の期間及び該第2の期間の後の第3の期間において第2の電圧レベルを有する電気バイアスを発生するように構成されたバイアス電源であり、該第1の電圧レベルの絶対値は該第2の電圧レベルの絶対値よりも大きい、バイアス電源と、
前記プラズマ処理チャンバに結合され、前記1周期内の前記第1の期間において第1の電力レベルを有し、前記1周期内の前記第2の期間において第2の電力レベルを有し、前記1周期内の前記第3の期間において第3の電力レベルを有
し、前記1周期内の前記第2の期間と前記第3の期間との間の第4の期間において第4の電力レベルを有する高周波電力を発生するように構成された高周波電源であり、前記第2の電力レベルは前記第3の電力レベルよりも大きく、前記第3の電力レベルは前記第1の電力レベルよりも大き
く、
前記第4の電力レベルは前記第1の電力レベルと前記第3の電力レベルとの間のレベルである、該高周波電源と、
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記電気バイアスは、矩形、台形、三角形、又はこれらの組み合わせのパルス波形を有する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記電気バイアスは、整形パルスを有する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1の電圧レベルは、負の極性を有する、請求項1~3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第2の電圧レベルは、ゼロ電圧レベルである、請求項1~4の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第1の電力レベルは、ゼロ電力レベルである、請求項1~5の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
プラズマ処理装置で使用するプラズマ処理方法であって、前記プラズマ処理装置は、プラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内に配置され、下部電極を含む基板支持器と、前記下部電極の上方に配置された上部電極とを備え、該プラズマ処理方法は、
前記基板支持器上に基板を載置する工程と、
電気バイアスを前記下部電極に供給する工程であり、該電気バイアスは、1周期内の第1の期間において第1の電圧レベルを有し、該1周期内の第2の期間及び該第2の期間の後の第3の期間において第2の電圧レベルを有し、該第1の電圧レベルの絶対値は該第2の電圧レベルの絶対値よりも大きい、該工程と、
高周波電力を前記上部電極又は前記下部電極に供給する工程であり、該高周波電力は、前記1周期内の前記第1の期間において第1の電力レベルを有し、前記1周期内の前記第2の期間において第2の電力レベルを有し、前記1周期内の前記第3の期間において第3の電力レベルを有し、
前記1周期内の前記第2の期間と前記第3の期間との間の第4の期間において第4の電力レベルを有し、前記第2の電力レベルは前記第3の電力レベルよりも大きく、前記第3の電力レベルは前記第1の電力レベルよりも大き
く、
前記第4の電力レベルは前記第1の電力レベルと前記第3の電力レベルとの間のレベルである、該工程と、
を含む、プラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が基板に対する加工のために用いられている。一種のプラズマ処理装置は、チャンバ、載置台、第1の高周波電源、及び第2の高周波電源を備える。載置台は、チャンバ内で基板を支持するように構成されている。載置台は、下部電極を含む。第1の高周波電源は、チャンバ内でガスからプラズマを生成するための高周波電力を発生するように構成されている。第2の高周波電源は、プラズマからのイオンを基板に引き込むための高周波バイアス電力を発生するように構成されている。高周波バイアス電力は、下部電極に供給される。下記の特許文献1は、高周波電力及び高周波バイアス電力のうち少なくとも一方をパルス状の電力として供給するように構成されたプラズマ処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマの径方向の密度分布の均一性を高め、プラズマの密度の低下又は消失を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、プラズマ処理チャンバ、基板支持器、バイアス電源、及び高周波電源を備える。基板支持器は、プラズマ処理チャンバ内に配置され、電極を含む。バイアス電源は、電極に結合され、第1の周波数を有するバイアス電力を発生するように構成されている。高周波電源は、プラズマ処理チャンバに結合され、第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する高周波電力を発生するように構成されている。高周波電力は、バイアス電力の1周期内の第1の期間に第1の電力レベルを有し、バイアス電力の1周期内の第2の期間に第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルを有する。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、プラズマの径方向の密度分布の均一性を高め、プラズマの密度の低下又は消失を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置で用いられる高周波電力及び電気バイアスの一例のタイミングチャートである。
【
図3】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置で用いられる高周波電力及び電気バイアスの別の例のタイミングチャートである。
【
図4】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置で用いられる電気バイアスの更に別の例のタイミングチャートである。
【
図5】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図6】
図5に示すプラズマ処理装置において用いられ得る一例のエッジリングを示す図である。
【
図8】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、プラズマ処理チャンバ、基板支持器、バイアス電源、及び高周波(RF;Radio Frequency)電源を含む。基板支持器は、プラズマ処理チャンバ内に配置され、下部電極を含む。バイアス電源は、下部電極に結合され、第1の周波数を有するバイアス電力を発生するように構成される。高周波電源は、プラズマ処理チャンバに結合され、第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する高周波電力を発生するように構成される。一実施形態において、高周波電源は、二つの対向する電極、例えば上部電極及び下部電極のうち少なくともいずれかに結合される。高周波電力は、バイアス電力の1周期内の第1の期間に第1の電力レベルを有し、バイアス電力の1周期内の第2の期間に第1の電力レベルよりも低い第2の電力レベルを有する。バイアス電力の1周期は、第1の周波数により規定される固有周期である。即ち、固有周期は、第1の周波数の逆数である。例えば、第1の周波数が400kHzの場合、固有周期は2.5μsである。第1の期間は、第2の期間と異なる。第2の期間は、第1の期間の前であってもよく、第1の期間の後であってもよい。
【0010】
一つの例示的実施形態において、バイアス電力は、1周期内に少なくとも一つのバイアスパルスを含む。少なくとも一つのバイアスパルスは、矩形、台形、三角形、又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよく、US2018/0166249A1に開示されているような整形(Shaped)パルス(テーラード(Tailored)パルスとも呼ばれる)を有してもよい。少なくとも一つのバイアスパルスは、正又は負の極性を有する。また、少なくとも一つのバイアスパルスは、正及び/又は負の極性を有する複数のバイアスパルスを含んでもよい。一実施形態において、バイアス電力は、1周期内に少なくとも一つの正バイアスパルスと少なくとも一つの負バイアスパルスとを含む。
【0011】
一つの例示的実施形態において、バイアス電力は、第1の周波数を有する高周波バイアス電力である。一実施形態において、バイアス電源は、高周波バイアス電力を連続的に発生するように構成される。この場合、高周波バイアス電力は、Off期間を含まない。
【0012】
別の例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、バイアス電源、及び高周波電源を備える。基板支持器は、下部電極を含み、チャンバ内で基板を支持するように構成されている。バイアス電源は、基板にイオンを引き込むための電気バイアスを発生するように構成されており、下部電極に電気的に接続されている。電気バイアスは、第1の周波数で規定される周期内で基板の電位を変動させる。高周波電源は、チャンバ内でガスからプラズマを生成するための第2の周波数を有する高周波電力を発生するように構成されている。高周波電源は、第1の期間において高周波電力の第1のパルスを供給し、第2の期間において高周波電力の第2のパルスを供給するように構成されている。第1の期間は、第1の周波数で規定される周期と少なくとも部分的に重複し、該周期の時間長よりも短い時間長を有する。第2の期間は、第1の周波数で規定される周期と少なくとも部分的に重複し、該周期の時間長よりも短い時間長を有する。第2のパルスは、第1のパルスの電力レベルよりも低い電力レベルを有する。
【0013】
高周波電力が連続的に供給される場合、即ち高周波電力の連続波が供給される場合には、チャンバ内のプラズマの密度は、中央で高くなり径方向外側において低くなる。上記実施形態では、高周波電力は、第1のパルスとして供給される。したがって、上記実施形態によれば、プラズマの径方向の密度分布の均一性が高くなる。また、上記実施形態では、第1のパルスの供給後に、比較的低い電力を有する高周波電力の第2のパルスが供給される。したがって、上記実施形態によれば、プラズマの密度の低下又は消失を抑制することが可能となる。
【0014】
一つの例示的実施形態において、電気バイアスは、第1の周波数で規定される周期で周期的に発生されるパルス波であってもよい。パルス波は、負の直流電圧のパルスを含む。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第1の期間及び第2の期間の各々は、第1の周波数で規定される周期内でバイアス電源からの負の直流電圧のパルスが供給されていない期間内の期間であってもよい。この実施形態によれば、第1のパルス及び第2のパルスの各々に対する反射が低減される。
【0016】
一つの例示的実施形態において、高周波電源は、第1の期間と第2の期間との間の期間において、第1のパルスの電力レベル及び第2のパルスの電力レベルよりも低く、0Wよりも大きい電力レベルを有する高周波電力を供給するように構成されていてもよい。
【0017】
一つの例示的実施形態において、第1の期間は、バイアス電源からの負の直流電圧のパルスが供給されている期間と重複してもよい。第2の期間は、周期内でバイアス電源からの負の直流電圧のパルスが供給されていない期間内の期間であってもよい。
【0018】
一つの例示的実施形態において、高周波電源は、第1の周波数で規定される周期内の第2の期間と当該周期の終了時点との間の期間において、高周波電力を供給するように構成されていてもよい。第2の期間と当該周期の終了時点との間の期間において供給される高周波電力は、第1のパルスの電力レベル及び第2のパルスの電力レベルよりも低く、0Wよりも大きい電力レベルを有する。
【0019】
一つの例示的実施形態において、電気バイアスは、第1の周波数を有する高周波バイアス電力であってもよい。
【0020】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、バイアス電源と下部電極との間で接続された整合器を更に備えていてもよい。第1のパルス及び第2のパルスは、バイアス電源に対する負荷のインピーダンスが略整合状態にあるときに供給されてもよい。
【0021】
更に別の例示的実施形態においては、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内に設けられた基板支持器上に基板を準備する工程を含む。プラズマ処理装置は、バイアス電源及び高周波電源を備える。バイアス電源は、第1の周波数で規定される周期内で基板の電位を変動させる電気バイアスを発生するように構成されている。高周波電源は、第2の周波数を有する高周波電力を発生するように構成されている。プラズマ処理方法は、基板支持器の下部電極にバイアス電源からの電気バイアスを供給する工程を含む。プラズマ処理方法は、第1の期間において、高周波電源から高周波電力の第1のパルスを供給する工程を更に含む。第1の期間は、第1の周波数で規定される周期と少なくとも部分的に重複し、該周期の時間長よりも短い時間長を有する。プラズマ処理方法は、第1の周波数で規定される周期内の第2の期間において、高周波電源から高周波電力の第2のパルスを供給する工程を更に含む。第2の期間は、第1の周波数で規定される周期と少なくとも部分的に重複し、該周期の時間長よりも短い時間長を有する。第2のパルスは、第1のパルスの電力レベルよりも低い電力レベルを有する。
【0022】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0023】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図1に示すプラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。内部空間10sの中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXである。一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は、電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面、即ち内部空間10sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0024】
チャンバ本体12の側壁には通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gがチャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0025】
プラズマ処理装置1は、基板支持器16を更に備える。基板支持器16は、チャンバ10の中で、その上に載置された基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有する。基板支持器16は、支持部17によって支持されている。支持部17は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部17は、略円筒形状を有している。支持部17は、石英といった絶縁材料から形成されている。
【0026】
基板支持器16は、下部電極18及び静電チャック20を有する。下部電極18及び静電チャック20は、チャンバ10の中に設けられている。下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。
【0027】
下部電極18内には、流路18fが形成されている。流路18fは、熱交換媒体用の流路である。熱交換媒体としては、液状の冷媒、或いは、その気化によって下部電極18を冷却する冷媒(例えば、フロン)が用いられる。流路18fには、熱交換媒体の供給装置(例えば、チラーユニット)が接続されている。この供給装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fには、供給装置から配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介して供給装置に戻される。
【0028】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、内部空間10sの中で処理されるときに、静電チャック20上に載置され、静電チャック20によって保持される。
【0029】
静電チャック20は、本体及び電極を有している。静電チャック20の本体は、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムといった誘電体から形成されている。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有している。静電チャック20の中心軸線は、軸線AXに略一致している。静電チャック20の電極は、本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、膜形状を有している。静電チャック20の電極には、直流電源がスイッチを介して電気的に接続されている。直流電源からの電圧が静電チャック20の電極に印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
【0030】
静電チャック20は、基板載置領域を含んでいる。基板載置領域は、略円盤形状を有する領域である。基板載置領域の中心軸線は、軸線AXに略一致している。基板Wは、チャンバ10内で処理されるときには、基板載置領域の上面の上に載置される。
【0031】
一実施形態において、静電チャック20は、エッジリング載置領域を更に含んでいてもよい。エッジリング載置領域は、静電チャック20の中心軸線の周りで基板載置領域を囲むように周方向に延在している。エッジリング載置領域の上面の上には、エッジリングERが搭載される。エッジリングERは、環形状を有している。エッジリングERは、軸線AXにその中心軸線が一致するように、エッジリング載置領域上に載置される。基板Wは、エッジリングERによって囲まれた領域内に配置される。即ち、エッジリングERは、基板Wのエッジを囲むように配置される。エッジリングERは、導電性を有し得る。エッジリングERは、例えばシリコン又は炭化ケイ素から形成されている。エッジリングERは、石英といった誘電体から形成されていてもよい。
【0032】
プラズマ処理装置1は、ガス供給ライン25を更に備え得る。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック20の上面と基板Wの裏面(下面)との間の間隙に供給する。
【0033】
プラズマ処理装置1は、絶縁領域27を更に備え得る。絶縁領域27は、支持部17上に配置されている。絶縁領域27は、軸線AXに対して径方向において下部電極18の外側に配置されている。絶縁領域27は、下部電極18の外周面に沿って周方向に延在している。絶縁領域27は、石英といった絶縁体から形成されている。エッジリングERは、絶縁領域27及びエッジリング載置領域上に載置される。
【0034】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、基板支持器16の上方に設けられている。即ち、上部電極30は、下部電極18の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共にチャンバ本体12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、この部材32を介してチャンバ本体12の上部に支持されている。
【0035】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、内部空間10sを画成している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。この天板34は、限定されるものではないが、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の部材の表面に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0036】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持している。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成されている。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入ポート36cが形成されている。ガス導入ポート36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入ポート36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0037】
ガス供給管38には、ガスソース群40が、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して接続されている。ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43は、ガス供給部を構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数のバルブ(例えば開閉バルブ)を含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応のバルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応のバルブを介して、ガス供給管38に接続されている。プラズマ処理装置1は、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスを、個別に調整された流量で、内部空間10sに供給することが可能である。
【0038】
基板支持器16又は支持部17とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウム製の部材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフルプレート48には、多数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方においては、排気管52がチャンバ本体12の底部に接続されている。この排気管52には、排気装置50が接続されている。排気装置50は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、内部空間10sの圧力を減圧することができる。
【0039】
プラズマ処理装置1は、高周波電源61を更に備えている。高周波電源61は、高周波電力RFを発生する電源である。高周波電力RFは、チャンバ10内のガスからプラズマを生成するために用いられる。高周波電力RFは、第2の周波数を有する。第2の周波数は、13~200MHzの範囲内の周波数、例えば40MHz又は60MHzの周波数である。高周波電源61は、高周波電力RFを下部電極18に供給するために、整合回路63を介して下部電極18に接続されている。整合回路63は、高周波電源61の負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを、高周波電源61の出力インピーダンスに整合させるよう構成されている。なお、高周波電源61は、下部電極18に電気的に接続されていなくてもよく、整合回路63を介して上部電極30に接続されていてもよい。
【0040】
プラズマ処理装置1は、バイアス電源62を更に備えている。バイアス電源62は、下部電極18に回路64を介して接続されている。バイアス電源62は、電気バイアス(バイアス電力)EBを発生する。電気バイアスEBは、基板Wにイオンを引き込むために用いられる。電気バイアスEBは、静電チャック20上に載置された基板Wの電位を第1の周波数で規定される周期CP内で変動させるように設定されている。周期CPは、第1の周波数の逆数である。第1の周波数は、第2の周波数よりも低い周波数であり得る。第1の周波数は、例えば50kHz以上、27MHz以下の周波数である。
【0041】
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置で用いられる高周波電力及び電気バイアスの一例のタイミングチャートである。
図3は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置で用いられる高周波電力及び電気バイアスの別の例のタイミングチャートである。一実施形態においては、
図2又は
図3に示すように、パルス波PLWが、電気バイアスEBとして用いられる。パルス波PLWが電気バイアスEBとして用いられる場合には、回路64は高周波電力RFを遮断するか低減させるフィルタ回路を含む。パルス波PLWは、パルス周期CPで周期的に下部電極18に与えられる。パルス波PLWは、少なくとも一つのバイアスパルスを含む。一実施形態では、パルス波PLWは、負直流電圧パルスNPLを含む。パルスNPLも、周期CPで周期的に下部電極18に与えられる。パルスNPLは、周期CP内の期間PAにおいて下部電極18に与えられる。周期CP内の期間PA以外の期間PBでは、パルス波PLWの電圧レベルは、0Vであってもよい。或いは、パルス波PLWの電圧レベルは、期間PBにおいてパルスNPLの電圧の絶対値よりも小さい絶対値を有していてもよい。また、パルス波PLWの電圧レベルは、期間PBにおいてパルスNPLの電圧の値よりも小さい正の値を有していてもよい。なお、周期CPの開始タイミング及び時間長、パルス波PLWの電圧のレベル、並びに周期CPにおいて期間PAが占める割合(即ち、デューティ比)は、後述する制御部MCからの制御信号によりバイアス電源62に指定され得る。
【0042】
プラズマ処理装置1においてプラズマエッチングが行われる場合には、内部空間10sにガスが供給される。そして、高周波電力RFが供給されることにより、内部空間10sの中でガスが励起される。また、電気バイアスEBが下部電極18に与えられることにより、プラズマからのイオンが基板Wに引き込まれる。そして、プラズマからのイオン及び/又はラジカルといった化学種により、基板Wが処理される。例えば、基板Wのプラズマエッチングが行われる。
【0043】
プラズマ処理装置1において、高周波電源61は、
図2又は
図3に示すように、第1の期間P1において、高周波電力RFの第1のパルスRFP1を供給する。第1の期間P1は、周期CPの時間長よりも短い時間長を有し、周期CPと少なくとも部分的に重複する。また、高周波電源61は、第2の期間P2において高周波電力RFの第2のパルスRFP2を供給する。第2の期間P2は、第1の期間P1とは別の期間である。第2の期間P2は、周期CPの時間長よりも短い時間長を有し、周期CPと少なくとも部分的に重複する。第2のパルスRFP2の電力レベル(第2の電力レベル)は、第1のパルスRFP1の電力レベル(第1の電力レベル)よりも低い。第1の期間P1及び第2の期間P2並びに高周波電力RFの電力レベルは、制御部MCからの制御信号により高周波電源61に対して指定され得る。高周波電源61に対して指定され得る高周波電力RFの電力レベルは、第1のパルスRFP1の電力レベル及び第2のパルスRFP2の電力レベルを含む。
【0044】
一実施形態においては、
図2に示すように、第1の期間P1及び第2の期間P2の各々は、周期CP内でパルスNPLが供給されていない期間(即ち、期間PB)内の期間である。期間PBでは、シース(プラズマシース)の厚さが薄くなり、インピーダンスが小さくなる。したがって、第1のパルスRFP1及び第2のパルスRFP2の各々に対する反射が抑制される。この実施形態においては、
図2に示すように、高周波電源61は、第1の期間P1と第2の期間P2との間の第3の期間P3において高周波電力RFを供給するように構成されていてもよい。期間P1と期間P2との間の期間P3において供給される高周波電力RFの電力レベルは、第1のパルスRFP1の電力レベル及び第2のパルスRFP2の電力レベルよりも低く、0Wよりも大きい第3の電力レベルを有し得る。なお、この実施形態では、期間PAにおける高周波電力RFの電力レベルは、0Wであってもよい。或いは、期間PAにおける高周波電力RFの電力レベルは、0Wよりも大きく、第1のパルスの電力レベル、第2のパルスの電力レベル、及び期間P3における高周波電力RFの電力レベルよりも低くてもよい。
【0045】
一実施形態においては、
図3に示すように、第1の期間P1は、パルスNPLが供給されている期間PAと重複する。この実施形態において、第2の期間P2は、周期CP内でパルスNPLが供給されていない期間(即ち、期間PB)内の期間である。この実施形態においては、
図3に示すように、高周波電源61は、第2の期間P2とこれを含む周期CPの終了時点(又は次の周期CPの開始時点)との間の第4の期間P4において、高周波電力RFを供給するように構成されていてもよい。期間P2の後の期間P4において供給される高周波電力RFの電力レベルは、第1のパルスRFP1の電力レベル及び第2のパルスRFP2の電力レベルよりも低く、0Wよりも大きい第4の電力レベルを有し得る。なお、この実施形態では、第1の期間P1と第2の期間P2との間の期間における高周波電力RFの電力レベルは、0Wであってもよい。或いは、第1の期間P1と第2の期間P2との間の期間における高周波電力RFの電力レベルは、0Wよりも大きく、第1のパルスの電力レベル、第2のパルスの電力レベル、及び期間P4における高周波電力RFの電力レベルよりも低くてもよい。
【0046】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、
図1に示すように、シース調整器74を更に備えていてもよい。シース調整器74は、基板Wのエッジに対するプラズマからのイオンの進行方向を垂直方向に補正するために、エッジリングERの上方でのシースの上端位置を調整するように構成されている。シース調整器74は、エッジリングERの上方でのシースの上端位置と基板Wの上方でのシースの上端位置との差を解消又は減少させるように、エッジリングERの上方でのシースの上端位置を調整する。
【0047】
一実施形態において、シース調整器74は、エッジリングERに電圧VNを印加するように構成された電源である。電圧VNは、負の電圧であり得る。なお、電圧VNは、電気バイアスEBと同じ波形を有する電圧であってもよい。この実施形態において、シース調整器74は、フィルタ75及び導線76を介してエッジリングERに接続されている。フィルタ75は、シース調整器74に流入する高周波電力を遮断するか又は低減させるためのフィルタである。
【0048】
電圧VNのレベルは、エッジリングERの上方でのシースの上端位置の調整量を定める。エッジリングERの上方でのシースの上端位置の調整量、即ち電圧VNのレベルは、エッジリングERの厚さを表すパラメータに応じて決定される。このパラメータは、光学的又は電気的に測定されるエッジリングERの厚さの測定値、光学的又は電気的に測定されるエッジリングERの上面の鉛直方向における位置、又はエッジリングERがプラズマに晒された時間長であり得る。電圧VNのレベルは、かかるパラメータと電圧VNのレベルとの間の所定の関係を用いて決定される。例えば、パラメータと電圧VNのレベルとの間の所定の関係は、エッジリングERの厚さが減少すると電圧VNの絶対値が増加するように、予め定められている。この関係は、関数又はテーブル形式のデータとして後述する制御部MCの記憶装置に記憶されている。電圧VNのレベルは、制御部MCによって決定されて、シース調整器74に対して指定される。決定されたレベルを有する電圧VNがシース調整器74によってエッジリングERに印加されると、エッジリングERの上方でのシースの上端位置と基板Wの上方でのシースの上端位置との差が解消又は減少される。
【0049】
なお、シース調整器74によってエッジリングERに印加される電圧は、直流電圧又は高周波電圧であり得る。エッジリングERに印加される電圧は、電気バイアスEBと同じ波形を有する電圧であってもよい。シース調整器74によってエッジリングERに印加される電圧は、パルス状の高周波電圧又はパルス状の直流電圧であってもよい。即ち、電圧VNは、周期的にエッジリングERに印加されてもよい。電圧VNは、例えば、周期CP内の期間PAにおいて又は期間PAと重複する期間において、エッジリングERに印加されてもよい。電圧VNとしてパルス状の直流電圧が周期的にエッジリングERに印加される場合には、電圧VNがエッジリングERに印加されている期間において、電圧VNのレベルが変化してもよい。
【0050】
制御部MCは、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCによる制御により、レシピデータによって指定されたプロセスがプラズマ処理装置1において実行される。後述する例示的実施形態に係るプラズマ処理方法は、制御部MCによるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において実行され得る。
【0051】
高周波電力RFが連続的に供給される場合、即ち高周波電力RFの連続波が供給される場合には、チャンバ10内のプラズマの密度は、中央(即ち、軸線AX上の位置及びその近傍)で高くなり径方向外側において低くなる。プラズマ処理装置1では、高周波電力RFは、第1のパルスRFP1として供給される。したがって、プラズマ処理装置1によれば、プラズマの径方向の密度分布の均一性が高くなる。また、プラズマ処理装置1では、第1のパルスRFP1の供給後に、比較的低い電力を有する高周波電力RFの第2のパルスRFP2が供給される。したがって、プラズマ処理装置1によれば、プラズマの密度の低下又は消失を抑制することが可能となる。
【0052】
以下、
図4を参照する。
図4は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置で用いられる電気バイアスの更に別の例のタイミングチャートである。
図4に示すように、プラズマ処理装置1のバイアス電源62は、電気バイアスEBとして、高周波(RF)バイアス電力を下部電極18に供給してもよい。高周波バイアス電力は、上述した第1の周波数を有する。この実施形態において、回路64は、整合回路であり、バイアス電源62の負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを、バイアス電源62の出力インピーダンスと整合させるように構成されている。
【0053】
高周波バイアス電力が電気バイアスEBとして用いられる場合には、第1のパルスRFP1及び第2のパルスRFP2の各々は、バイアス電源62に対する負荷のインピーダンスが略整合状態にあるときに、供給され得る。即ち、第1の期間P1及び第2の期間P2の各々は、周期CP内においてバイアス電源62に対する負荷のインピーダンスがバイアス電源62の出力インピーダンスに対して略整合状態にある期間と重複し得る。なお、バイアス電源62に対する負荷は、チャンバ10内で生成されるプラズマを含む。
【0054】
以下、
図5及び
図6を参照する。
図5は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図6は、
図5に示すプラズマ処理装置において用いられ得る一例のエッジリングを示す図である。
図5に示すプラズマ処理装置1Bは、エッジリングERではなくエッジリングERBを用いる点で、プラズマ処理装置1と異なっている。また、プラズマ処理装置1Bは、シース調整器74ではなく、シース調整器74Bを備えている点で、プラズマ処理装置1と異なっている。その他の点において、プラズマ処理装置1Bの構成は、プラズマ処理装置1の構成と同一であり得る。
【0055】
図6に示すように、エッジリングERBは、第1環状部ER1及び第2環状部ER2を有している。第1環状部ER1及び第2環状部ER2は、互いから分離されている。第1環状部ER1は、環状且つ板状をなしており、軸線AXの周りで延在するようにエッジリング載置領域上に載置される。基板Wは、そのエッジが第1環状部ER1の上又は上方に位置するように基板載置領域上に載置される。第2環状部ER2は、環状且つ板状をなしており、軸線AXの周りで延在するようにエッジリング載置領域上に載置される。第2環状部ER2は、径方向において第1環状部ER1の外側に位置している。
【0056】
シース調整器74Bは、第2環状部ER2の上面の鉛直方向における位置を調整するために第2環状部ER2を上方に移動させるように構成されている。一例において、シース調整器74Bは、駆動装置74a及びシャフト74bを含む。シャフト74bは、第2環状部ER2を支持しており、第2環状部ER2から下方に延在している。駆動装置74aは、シャフト74bを介して第2環状部ER2を鉛直方向に沿って移動させるための駆動力を発生するように構成されている。
【0057】
シース調整器74Bは、基板Wのエッジに対するプラズマからのイオンの進行方向を垂直方向に補正するために、エッジリングERBの上方でのシースの上端位置の調整量、即ち第2環状部ER2の上面の鉛直方向における位置を調整するように構成されている。シース調整器74Bは、第2環状部ER2の上面の鉛直方向における位置を静電チャック20上での基板Wの上面の鉛直方向における位置に一致させるように、第2環状部ER2を鉛直方向に沿って移動させる。
【0058】
エッジリングERBの上方でのシースの上端位置の調整量、即ち第2環状部ER2の移動量は、エッジリングERBの厚さ、即ち第2環状部ER2の厚さを反映するパラメータに応じて決定される。このパラメータは、光学的又は電気的に測定される第2環状部ER2の厚さの測定値、光学的又は電気的に測定される第2環状部ER2の上面の鉛直方向における位置、又はエッジリングERBがプラズマに晒された時間長であり得る。第2環状部ER2の移動量は、かかるパラメータと第2環状部ER2の移動量との間の所定の関係を用いて決定される。例えば、パラメータと第2環状部ER2の移動量との間の所定の関係は、第2環状部ER2の厚さが減少すると第2環状部ER2の移動量が増加するように、予め定められている。決定された移動量だけ第2環状部ER2が上方に移動されると、エッジリングERB上でのシースの上端位置と基板Wの上方でのシースの上端位置との差が解消又は減少される。
【0059】
プラズマ処理装置1Bにおいて、制御部MCは、上述したように第2環状部ER2の移動量を決定し得る。上述したパラメータと第2環状部ER2の移動量との間の所定の関係は、関数又はテーブル形式のデータとして、制御部MCの記憶装置に格納されていてもよい。制御部MCは、決定した移動量だけ第2環状部ER2を上方に移動させるよう、シース調整器74Bを制御し得る。
【0060】
図7は、エッジリングの別の例を示す図である。
図7に示すエッジリングERBでは、第1環状部ER1は、内周部及び外周部を有している。内周部の上面の鉛直方向における位置は、外周部の上面の鉛直方向における高さ方向の位置よりも低い。基板Wは、そのエッジが第1環状部ER1の内周部上に位置するように基板載置領域上に載置される。第2環状部ER2は、基板Wのエッジを囲むように、第1環状部ER1の内周部上に配置される。即ち、
図7に示すエッジリングERBでは、第2環状部ER2は、第1環状部ER1の外周部の内側に配置される。
図7に示すエッジリングERBが用いられる場合には、シース調整器74Bのシャフト74bは、第1環状部ER1の内周部に形成された貫通孔を通って、第2環状部ER2の下面に到達し得る。
【0061】
以下、
図8を参照する。
図8は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図8に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT」という)は、上述したプラズマ処理装置1、プラズマ処理装置1Bといった種々の実施形態に係るプラズマ処理装置の何れかを用いて実行される。
【0062】
方法MTは、工程ST1で開始する。工程ST1では、チャンバ10内に基板Wが準備される。チャンバ10内で、基板Wは、静電チャック20上に載置される。方法MTの工程ST2、工程ST3、及び工程ST4は、基板Wが静電チャック20上に載置された状態で実行される。方法MTでは、ガスがガス供給部からチャンバ10内に供給される。そして、チャンバ10内の圧力が指定された圧力に排気装置50によって設定される。
【0063】
工程ST2では、電気バイアスEBが下部電極18に供給される。工程ST3では、高周波電力RFの第1のパルスRFP1が、第1の期間P1において供給される。工程ST4では、高周波電力RFの第2のパルスRFP2が、第2の期間P2において供給される。
【0064】
工程ST5では、終了条件が満たされるか否かが判定される。終了条件は、周期CPの繰り返し回数が所定回数に達している場合に満たされる。工程ST5において終了条件が満たされないと判定されると、工程ST2、工程ST3、及び工程ST4が再び実行される。一方、工程ST5において終了条件が満たされていると判定されると、方法MTの実行が終了する。
【0065】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0066】
別の実施形態において、プラズマ処理装置は、誘導結合型プラズマ処理装置、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ処理装置、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置であってもよい。
【0067】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0068】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持器、18…下部電極、61…高周波電源、62…バイアス電源。