(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】異方性パターンエッチングおよび処理のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/09 20060101AFI20240808BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20240808BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H01J37/09 A
H01J37/305 A
H01L21/302 101C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023052500
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2020525870の分割
【原出願日】2018-11-02
【審査請求日】2023-04-03
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン・セオクミン
(72)【発明者】
【氏名】ホワン・シュオガン
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ジミン
(72)【発明者】
【氏名】メリル・マーク
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-116865(JP,A)
【文献】特開2012-142398(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0058898(KR,A)
【文献】特開2007-250523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H05H 1/00- 1/54
H01L 21/302
21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するためのシステムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置されているチャックアセンブリであって、
基板支持体と、
前記基板支持体を傾斜させるための傾斜アセンブリと、
前記基板支持体を回転させるための回転アセンブリと、備える、チャックアセンブリと、
前記チャンバに接続され、前記チャックアセンブリの前記基板支持体の方向に向けられているイオン源であって、プラズマが点火された時にイオンを生成するよう構成されている、イオン源と、
一方の側で前記チャンバと接続され、他方の側で前記イオン源と接続されているグリッドシステムとを備え、前記グリッドシステムは、前記イオン源からイオンを抽出してイオンビームを形成するための孔の配列を備え、前記グリッドシステムは、前記イオンビームが前記チャンバ内へ方向付けられ前記基板支持体に向かうように配置され、前記グリッドシステムは、電圧について個別に制御される複数の部分によって規定され、前記イオンビームのエネルギ密度が、前記グリッドシステムの前記複数の部分のそれぞれの電圧によって規定されてお
り、前記グリッドシステムは、y軸によって垂直に規定され、x軸によって水平に規定されており、前記複数の部分の前記それぞれの電圧は、前記グリッドシステムのために電圧勾配が生成されるように、前記部分の各々に関連付けられているy座標が増大するにつれて低くされ、前記グリッドシステムの前記電圧勾配は、さらに、前記y座標が増大するにつれて、前記イオンビームの前記エネルギ密度を減少させる、システム。
【請求項2】
請求項
1に記載のシステムであって、前記基板支持体は、前記基板支持体の第1領域が前記基板支持体の第2領域よりも前記グリッドシステムに近くなるように傾斜され、前記基板支持体の前記第1領域および前記第2領域は、前記グリッドシステムの電圧勾配によって少なくとも部分的に引き起こされる前記イオンビームの同等のエネルギ密度を経験する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記複数の部分の各々のための前記それぞれの電圧は、リアルタイムで個別に制御される、システム。
【請求項4】
基板を処理するためのシステムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置されているチャックアセンブリであって、
基板支持体と、
前記基板支持体を傾斜させるための傾斜アセンブリと、
前記基板支持体を回転させるための回転アセンブリと、備える、チャックアセンブリと、
前記チャンバに接続され、前記チャックアセンブリの前記基板支持体の方向に向けられているイオン源であって、プラズマが点火された時にイオンを生成するよう構成されている、イオン源と、
一方の側で前記チャンバと接続され、他方の側で前記イオン源と接続されているグリッドシステムとを備え、前記グリッドシステムは、前記イオン源からイオンを抽出してイオンビームを形成するための孔の配列を備え、前記グリッドシステムは、前記イオンビームが前記チャンバ内へ方向付けられ前記基板支持体に向かうように配置され、前記グリッドシステムは、電圧について個別に制御される複数の部分によって規定され、前記イオンビームのエネルギ密度が、前記グリッドシステムの前記複数の部分のそれぞれの電圧によって規定されており、前記グリッドシステムは、前記孔の配列の各孔が電圧について個別に規定可能になるように、前記各孔が前記複数の部分の個々の部分に関連付けられているように構成されている、システム。
【請求項5】
請求項
4に記載のシステムであって、各孔は、それぞれのビームレットに関連付けられており、各それぞれのビームレットは、ビームレットエネルギについて個別に規定可能である、システム。
【請求項6】
基板を処理するためのシステムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置されているチャックアセンブリであって、
基板支持体と、
前記基板支持体を傾斜させるための傾斜アセンブリと、
前記基板支持体を回転させるための回転アセンブリと、備える、チャックアセンブリと、
前記チャンバに接続され、前記チャックアセンブリの前記基板支持体の方向に向けられているイオン源であって、プラズマが点火された時にイオンを生成するよう構成されている、イオン源と、
一方の側で前記チャンバと接続され、他方の側で前記イオン源と接続されているグリッドシステムとを備え、前記グリッドシステムは、前記イオン源からイオンを抽出してイオンビームを形成するための孔の配列を備え、前記グリッドシステムは、前記イオンビームが前記チャンバ内へ方向付けられ前記基板支持体に向かうように配置され、前記グリッドシステムは、電圧について個別に制御される複数の部分によって規定され、前記イオンビームのエネルギ密度が、前記グリッドシステムの前記複数の部分のそれぞれの電圧によって規定されており、前記グリッドシステムの前記複数の部分の前記それぞれの電圧は、y軸上方に近接する部分を低い正電圧に設定し、y軸下方に近接する部分を高い正電圧に設定するように制御される、システム。
【請求項7】
請求項
6に記載のシステムであって、各前記部分は、前記グリッドシステムを水平に横切るように配置されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体製造チャンバでのエッチングを改善するための方法、システム、および、プログラムに関し、特に、高傾斜角エッチング処理でのイオンビームエッチングの均一性を改善するための方法、システム、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造では、エッチング処理が、一般的に、繰り返し行われている。当業者に周知のとおり、エッチング処理には以下の2つのタイプがある:ウェットエッチングおよびドライエッチング。ドライエッチングの1つのタイプは、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング装置を用いて実行されるプラズマエッチングである。
【0003】
プラズマは、様々なタイプのラジカルならびに陽イオンおよび陰イオンを含む。様々なラジカル、陽イオン、および、陰イオンの化学反応が、基板のフィーチャ、表面、および、材料をエッチングするために用いられる。
【0004】
望まれているのは、イオンビームの方向に対して大きく傾いた基板に対する均一なイオンビームエッチングである。実施形態は、この文脈に起因する。
【発明の概要】
【0005】
基板に入射するイオンビームのイオンビーム密度の勾配を制御するための方法、デバイス、システム、および、コンピュータプログラムが提示されている。本実施形態は、方法、装置、システム、デバイス、または、コンピュータ読み取り可能な媒体に記録されているコンピュータプログラムなど、種々の形態で実施できることを理解されたい。以下に、いくつかの実施形態を記載する。
【0006】
一実施形態において、基板を処理するためのシステムは、チャンバと、チャックアセンブリと、イオン源と、グリッドシステムと、を備える。チャックアセンブリは、基板支持体と、基板支持体を傾斜させるための傾斜アセンブリと、基板支持体を回転させるための回転アセンブリと、備える。イオン源は、基板支持体の方向に向けられており、プラズマが点火された時にイオンを生成するよう構成されている。グリッドシステムは、チャンバおよびイオン源の両方に接続されており、イオンビームを形成するためにイオン源からイオンが抽出される際に通る複数の孔を備える。複数の孔のサイズは、イオンビームのイオン密度も軸に沿って変化するように、軸に沿って変化する。
【0007】
一実施形態において、基板を処理するためのシステムは、チャンバと、チャックアセンブリと、イオン源と、グリッドシステムと、を備える。チャックアセンブリは、基板支持体と、基板支持体を傾斜させるための傾斜アセンブリと、基板支持体を回転させるための回転アセンブリと、備える。イオン源は、基板支持体の方向に向けられており、プラズマが点火された時にイオンを生成するよう構成されている。グリッドシステムは、チャンバおよびイオン源の両方に接続されており、イオンビームを形成するためにイオン源からイオンが抽出される際に通る複数の孔を備える。複数孔の密度は、イオンビームのイオン密度も軸に沿って変化するように、軸に沿って変化する。
【0008】
一実施形態において、基板を処理するためのシステムは、チャンバと、チャックアセンブリと、イオン源と、グリッドシステムと、を備える。チャックアセンブリは、基板支持体と、基板支持体を傾斜させるための傾斜アセンブリと、基板支持体を回転させるための回転アセンブリと、備える。イオン源は、基板支持体の方向に向けられており、プラズマが点火された時にイオンを生成するよう構成されている。グリッドシステムは、チャンバおよびイオン源の両方に接続されており、イオン源からイオンを抽出してイオンビームを形成するための孔の配列を備える。グリッドシステムは、イオンビームがチャンバ内へ方向付けられ基板支持体に向かうように配置される。グリッドシステムは、y軸によって垂直に規定され、x軸によって水平に規定されている。グリッドシステムは、平坦であってよい。さらに、グリッドシステムは、電圧について個別に規定可能であるまたは制御される複数の部分によって規定されている。結果として得られるイオンビームは、グリッドシステムの複数の部分のそれぞれの電圧によって規定されるビーム断面に関するエネルギ密度を有する。結果として、実施形態は、複数の部分のそれぞれの電圧を個別に制御することによって、ビーム断面に関する任意の数のエネルギ密度を規定できるよう想定される。
【0009】
添付の図面を参照して行う以下の詳細な説明から、別の態様が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施形態は、添付の図面に関連して行う以下の説明を参照することによって最も良好に理解できる。
【0011】
【
図1A】一実施形態に従って、エッチング動作に利用されるプラズマ処理システムを示す概略断面図。
【0012】
【
図1B】一実施形態に従って、動作中のチャンバを示す図。
【0013】
【
図2】一実施形態に従って、イオンビームエッチングのために構成されている基板wの様々なフィーチャを示す図。
【0014】
【
図3】一実施形態に従って、180°の回転の前後の基板wを示す図。
【0015】
【
図4A】一実施形態に従って、等方性イオンビームを用いて、大きく傾斜された基板のイオンビームエッチングを行う様子を示す図。
【
図4B】一実施形態に従って、等方性イオンビームを用いて、大きく傾斜された基板のイオンビームエッチングを行う様子を示す図。
【0016】
【
図5A】一実施形態に従って、異方性イオンビームを用いて、大きく傾斜された基板のイオンビームエッチングを行う様子を示す図。
【
図5B】一実施形態に従って、異方性イオンビームを用いて、大きく傾斜された基板のイオンビームエッチングを行う様子を示す図。
【0017】
【
図6】一実施形態に従って、本明細書に記載の様々な実施形態で利用できるグリッドシステムを示す断面図。
【0018】
【
図7A】軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる抽出孔密度を有する部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【
図7B】軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる抽出孔密度を有する部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【
図7C】軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる抽出孔密度を有する部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【0019】
【
図8A】軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる抽出孔サイズを有する部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【
図8B】軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる抽出孔サイズを有する部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【
図8C】軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる抽出孔サイズを有する部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【0020】
【
図9A】1以上の軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる電圧を供給される部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【
図9B】1以上の軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる電圧を供給される部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【
図9C】1以上の軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる電圧を供給される部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【
図9D】1以上の軸に沿ってイオン密度の勾配を有する異方性イオンビームの生成を可能にする異なる電圧を供給される部分によって規定されたグリッドシステムの実施形態を示す図。
【0021】
【
図10】イオン密度の勾配を有する異方性イオンビームを生成するために利用できる区分磁場を有する誘導結合プラズマイオン源のさらなる実施形態を示す図。
【0022】
【
図11A】電圧について局所的に制御できる区分グリッドを有するイオン源を用いて、基板をイオンビームエッチングで処理する方法の全体フローを示す図。
【
図11B】電圧について局所的に制御できる区分グリッドを有するイオン源を用いて、基板をイオンビームエッチングで処理する方法の全体フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態は、基板のイオンビームエッチングまたはミリングまたはスパッタリングのための異方性イオンビームを提供する。いくつかの実施形態において、異方性イオンビームは、傾けられた基板をエッチングするために用いられてよい。イオンビームエッチング中の高い基板傾斜は、側壁パターンエッチングと、抑制された垂直エッチングとを可能にする。例えば、高傾斜イオンビームエッチング(IBE)構成では、エッチング角が、より水平方向(例えば、側壁)に向けられて、あまり垂直方向(例えば、パターンの高さ方向)へは向けられないので、基板の上部に蒸着されたフォトレジストのエッチングが抑制されうる。
【0024】
いくつかの実施形態において、基板は、垂直エッチングに用いられる基板角度に対して10~89°傾斜されてよい。すなわち、基板は、基板の平面に直交する軸がイオンビームの方向に対して10~89°の角度になるように傾斜されてよい。イオンビームエッチング中の高傾斜構成の下、基板は、基板上の異なる位置で異なるイオン密度および/またはエネルギ密度を経験しうる。誘導結合プラズマ(ICP)源に近づくように傾斜された基板の領域は、ICP源から離れるように傾斜された領域よりも高いイオン密度を経験しうる。
【0025】
一般に、イオンビームのイオン密度(およびエネルギ密度)は、イオンビームの発散のために、ICP源からの距離の関数として減少する。例えば、グリッドを用いるICP源から抽出されたイオンは、完璧に平行な軌道をたどることはない。これにより、イオンビームの発散が起きる。さらに、グリッドによってプラズマ源から抽出された(陽)イオンは、それらの電荷が同じであるため、斥力を経験する傾向がある。これも、イオンビームの発散につながる。
【0026】
イオンビームの発散の結果として、ICP源に距離が近くなるように傾斜されたイオンビームエッチング中の傾斜基板の領域は、ICPイオン源から離れるように傾斜された領域よりも高いエネルギ密度を経験することになる。これは、エッチングにおける「位置バイアス」を生み出し、その時、ICP源に近くなるように傾斜された基板の領域には、より高いイオンビームエネルギ密度(例えば、イオン密度および/またはイオンエネルギ)によって、より高いエッチング速度が提供される。
【0027】
いくつかの実施形態において、基板は、エッチングの位置バイアスにより、エッチング速度の不均一性を補償するために回転されてよい。しかしながら、回転されても、エッチング速度の特定の非対称性が起こりうる。例えば、基板の中心に向いた側壁(例えば、垂直面)は、基板が連続的に回転されても、より小さいイオンビームエネルギ密度を一貫して経験する。逆に、基板の外周または周囲に向いた側壁は、基板が回転されても、より大きいイオンビームエネルギ密度を一貫して経験する。結果として、パターンの所与の側壁が基板の中心に向くか外周に向くかによって、エッチング速度の非対称性が存在する。側壁エッチング速度におけるこの非対称性は、外周または周囲に向いた側壁をバイアスする「方向バイアス」と呼んでもよい。方向バイアス(例えば、外周に向いた側壁のエッチングバイアス)は、基板に回転を提供しても明らかであるが、エッチングのいくらかの位置バイアスについては回転で制御できる。
【0028】
外周向きバイアスは、基板の中心からの半径方向距離の関数としてより顕著になる。例えば、基板の中心からの半径方向距離が大きい領域は、基板の中心に近い領域よりも大きい外周向きバイアスを経験することになる。
【0029】
本明細書に記載の実施形態は、後に詳細に論じるように、イオンビーム密度勾配に改善を与える結果として、一次元水平エッチングも可能にする。水平エッチング(例えば、平面基板のx軸およびy軸におけるエッチング)は、多くの理由で有利である。利点の1つは、基板の上部に蒸着されたフォトレジストまたはその他のマスキング層の高さを減少させることなく側壁などの垂直フィーチャをエッチングすることである。
【0030】
一次元エッチングにおいては、例えば、基板のエッチングまたはミリングが、一度に1つの軸に沿ってのみなされる。例えば、基板は、最初に-y方向にエッチングされてよい。次いで、基板を180°回転させた後に、基板は、+y方向にエッチングされてよい。一次元エッチングについて、側壁の方向によっては、エッチング速度のバイアスも明らかになる。すなわち、基板の中心線に向いた側壁(例えば、直線y=0に向いた側壁。ここで、基板の平面は、(0,0)を中心としてx軸およびy軸によって定義される)は、2つの側壁が、基板上の実質的に同じ位置にある場合でも、中心線から離れる方向を向いた側壁(例えば、直線y=±∞に向いた側壁)よりも低い速度でエッチングされる。これは、内向きの側壁(例えば、y=0に向いた側壁)が、高傾斜応用例では、外向きの側壁(例えば、y=±∞に向いたう側壁)よりもイオン源から一貫して遠い距離でエッチングされるからである。
【0031】
本明細書に記載の実施形態は、イオンビームの断面の1以上の軸に沿って規定された制御可能なイオンビームエネルギ密度勾配を有する異方性イオンビームを提供する異方性イオンビーム構成のためのものである。本明細書で用いられているように、異方性イオンビームは、1以上の軸にわたって不均一または不均質なエネルギ密度を有するイオンビームである。異方性イオンビームは、前の処理工程の不均一性を補償するため、または、1以上の将来の工程で予測される不均一性を事前に阻止するために、基板において均一なイオンビームエネルギ密度を生み出すことによって、または、不均一なイオンビームエネルギ密度を生み出すことによって、基板にわたってイオンビームエッチングの均一性を改善するのに実施されることが想定される。
【0032】
想定されるイオンビームエネルギ密度勾配は、イオンビームの断面の1以上の軸にわたってイオン密度および/またはイオンエネルギの勾配を規定することによって、制御されてよい。イオン密度および/またはイオンエネルギ(本明細書では、集合的にイオンビームエネルギ密度と呼ぶ)の勾配は、後述ずるグリッドシステムの実施形態を用いることによって制御されてよい。イオンビームエネルギ密度勾配を有する結果としての異方性イオンビームは、高傾斜イオンビームエッチング応用例で基板軸にわたるエッチング速度均一性を提供することができる。本明細書に記載の実施形態は、エッチングの位置バイアスおよび/または方向バイアスの両方を改善する。例えば、特定の実施形態は、連続的な基板回転を用いるおよび用いないイオンビームエッチングに対して、基板の中心に向いた側壁と、基板の外周に向いた側壁との間で、エッチング速度の対称性が高くなるように、方向バイアスを改善する。
【0033】
一次元エッチング(基板は、連続的に回転されず、定期的に180°回転される)について、本明細書に記載の実施形態は、内向きの側壁よりも外向きの側壁に対してエッチングバイアスを改善する。換言すると、本明細書に記載の異方性イオンビームの実施形態は、連続的な基板回転を伴うイオンビームエッチング応用例および連続的な基板回転を伴わない一次元エッチングの応用例の両方を改善しうる。
【0034】
イオンビームの異方性は、y軸の一端に向かって大きくなり他端に向かって小さくなるイオンビームエネルギ密度の勾配を生み出すようにICP源のグリッドのy軸(または任意に定義された軸)の関数としてイオンビーム密度を制御することによって、実施されうることが想定される。一実施形態において、勾配は、yが負の方向に行くほどイオンビーム密度が大きくなる(例えば、勾配がy軸に反比例する、または、y座標が大きくなるほどエネルギ密度が小さくなる)ような勾配である。この実施形態において、ICP源に近づくように傾斜された基板の領域は、ICP源から離れるように傾斜された領域と同等のイオンビーム密度を経験することになる。したがって、基板のy軸にわたるエッチング速度の均一性が改善される。さらに、外周向きバイアスも、イオンビーム密度の勾配の結果として改善される。
【0035】
以下の実施形態は、大きく傾斜された基板のイオンビームエッチングのためのイオンビーム密度の勾配を制御するための方法、デバイス、システム、および、コンピュータプログラムを記載する。本実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部またはすべてがなくとも実施可能であることが明らかである。また、本実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略した。
【0036】
図1Aは、一実施形態に従って、エッチング動作に利用されるプラズマ処理システムを示す概略断面図である。システムは、基板112を運ぶ搬送モジュール110と、ゲートバルブと、イオンビームチャンバ114と、を備える。基板112は、基板ロード154を通してチャンバに入り、基板112は、基板がイオンビームチャンバ114に入る時に水平位置にある。チャンバは、チャックアセンブリ115および傾斜アクチュエータ136を備える。チャックアセンブリ115は、基板支持体116を備える。いくつかの実施形態では、誘電体窓106も、チャンバに存在する(図示せず)。基板支持体116は、基板112を支持するための静電チャックであってよい。
【0037】
アクチュエータ136は、基板が傾斜位置にある状態で基板の処理を実行するために、基板がロードされた後にチャックアセンブリを傾斜させる。上述のように、基板は、傾斜アクチュエータ136およびチャック115によって、イオンビームの方向に対して側壁の水平エッチングを行うためにほぼ90°まで傾斜されてよい。すなわち、チャック115および基板支持体116は、ロード位置からほぼ180°傾斜されてよい。
図1Aには、回転機117も示されており、基板をその中心に関して回転させるために実装されてよい。
【0038】
基板支持体に電力を提供するため、または、動作中に基板を冷却する液体または気体を提供するために、設備104が、チャックアセンブリに接続されている。イオン源空洞134が、基板を処理するためにプラズマを生成する。いくつかの実施形態において、内部ファラデーシールド(図示せず)が、イオンビームチャンバ114内部に配置される。いくつかの実施形態において、イオン源空洞134は、整合回路102に接続されているトランス結合プラズマ(TCP)を備える。
【0039】
さらに、バイアスRF発生器120が示されており、これは、1以上の発生器から規定されうる。複数の発生器が提供される場合、異なる周波数を用いて、様々な同調特性を達成することができる。バイアス整合器118が、RF発生器120と、基板支持体116を規定するアセンブリの導体板との間に接続されている。基板支持体116は、基板のチャッキングおよびデチャッキングを可能にするために、静電電極も備える。概して、フィルタおよびDCクランプ電源が提供されうる。基板を基板支持体116から持ち上げるための他の制御システムが提供されてもよい。
【0040】
ガス源128は、マニホルド122を通して混合できる複数のガス源を含む。ガス源は、1以上の反応ガス(本明細書では主ガスとも呼ばれる)と、1以上の調整ガスと、を含む。反応ガスは、エッチングに用いられる活性ガスであり、反応ガスは、基板上のエッチングに必要な種の供給源である。反応ガスの例は、Cl2、HBr、および、SF6を含むが、その他の反応ガスも用いられてもよい。様々なタイプの動作(基板に対する処理動作、基板レス自動洗浄動作、および、その他の動作など)のために、チャンバに異なるガスを供給するための複数のガス供給部が提供されてよいことを理解されたい。
【0041】
動作プラズマ処理中、真空圧制御、および、チャンバからのガス副生成物の除去を可能にするために、真空ポンプ130がイオンビームチャンバ114に接続されている。バルブ126が、チャンバに印加される真空吸引の量を制御するために、排気口124と真空ポンプ130との間に配置されている。図示していないが、1以上の真空装置もイオン源空洞134へ真空を提供する。
【0042】
また、イオンビームチャンバ114は、約0.1mTorr(mT)~約1mTorr(mT)の範囲の真空条件で動作する。イオン源空洞134は、約1mT~約10mTの範囲の真空条件で動作してよいが、その他の仕様が用いられてもよい。すべてが具体的に図示されてはいないが、イオンビームチャンバ114は、通例、クリーンルームまたは製造施設に設置される時に、設備に接続される。設備は、処理ガス、真空、温度制御、および、環境粒子制御を提供する配管を備える。
【0043】
プログラム可能なコントローラ108が、イオンビームチャンバ114およびその関連構成要素の動作を制御するために提供されている。概して、コントローラ108は、レシピによって規定されたチャンバ動作を実行するようプログラムできる。所与のレシピが、TCPコイルへの電力の印加、チャンバへのガスの流量、および、真空の印加など、動作のための様々なパラメータを指定してよい。タイミング、持続期間、大きさ、もしくは、任意のその他の調節可能パラメータまたは制御可能な特性が、イオンビームチャンバ114およびその関連構成要素の動作を制御するために、レシピによって規定され、コントローラによって実行されうることを理解されたい。さらに、一連のレシピが、コントローラ108へプログラムされてもよい。
【0044】
図1Bは、一実施形態に従って、動作中のチャンバを示す。一実施形態において、基板112は、基板支持体116へロードされ、基板がロードされた後、位置アクチュエータが、基板支持体116を100°~179°回転させて、プラズマが点火される前に基板支持体116および基板112を傾斜位置に配置する。傾斜位置は、10°からほぼ90°の間であってよい角度θによって規定されている。いくつかの実施形態において、傾斜角θは、約85°である。イオン源空洞134は、チャンバの側面に垂直の向きで配置される。
【0045】
図2は、高傾斜イオンビームエッチング処理に利用できる基板200の様々なフィーチャを示す。基板200は、円形ウエハとして図示されているが、その他の形状も、本明細書で提供する方法およびシステムに適合する。基板200は、x軸およびy軸によって規定され、基板200の中心202は、基板軸のX=0およびy=0に規定されている。基板軸に加えて、基板200の平面のx軸およびy軸も規定されている。基板が「デフォルト」位置にある時、基板200のy軸は、平面のy軸と同じ方向である。したがって、基板200のこの向きは、デフォルト位置(すなわち、y=0°の向き)と呼ばれてよい。基板200がその中心の周りに180°回転されると、基板200は、回転位置にある(すなわち、基板200のy軸が、基板200の存在する平面のy軸に対して180°である)と言ってよい。すなわち、回転位置は、y=-180°またはy=+180°の向きである。
【0046】
参考のため、基板は、「上部」および「下部」を備える。上部206は、極座標で(φ=0,r=r)の基板200の座標に関連付けられている点または領域を指し、基板の下部208は、(φ=180°,r=r)の座標に関連付けられている。基板200のさらなる特徴は、半径210および外周204を含む。半径210は、約20mm~約1000mmの間、または、約100mm~約250mmの間、であってよい。
【0047】
図2は、基板200が第1パターン201および第2パターン203を備えることを示している。第1パターン201は、中心向きエッジ201aおよび外周向きエッジ201bを有することが示されている。本明細書で用いられているように、エッジとは、垂直エッチングによって形成されている側壁、または、基板200の平面と平行ではない任意の平面、を意味しうる。第2パターン203も、中心向きエッジ203aおよび外周向きエッジ203bを有することが示されている。
図2は、基板200の断面図も示している。
【0048】
図3は、180°の回転の前後の基板wを示す。非回転位置において、基板のY軸は、平面の二次元空間のy軸と同一線上にある(Y=0°)。また、非回転位置において、平面の二次元空間内で、基板上部206は、(0,+r)の座標を有し、基板下部は、(0,-r)の座標を有する。
【0049】
回転位置において、基板は、基板のY軸が平面の二次元空間の-y方向を指す(Y=180°)ように、その中心の周りに180°回転されている。さらに、基板が回転されると、基板上部は、平面の二次元空間内の座標(0,-r)と関連付けられ、基板下部は、平面の二次元空間内の座標(0、+r)と関連付けられている。
【0050】
図4は、一実施形態に従って、高傾斜応用例中の基板400のイオンビームエッチング処理を示す図である。基板400は、基板支持体402およびチャック406によって所定位置に保持される。チャック406は、後の180°回転のための回転軸404を有することが図示されている。図の実施形態において、基板400は、非回転位置にあり、イオンビームエッチング工程中(例えば、約0.1秒以下から約100秒以上の間)、非回転位置(例えば、Y=0°)で所定位置に保持される。
【0051】
基板400は、例示の目的で、おおよそ45°の傾斜角θに傾斜された様子が示されている。上述のように、基板は、85°まで、そして、85°を超えて傾斜されうることが想定される。
【0052】
図4は、イオンビーム424のためにプラズマ416および関連イオンを生成する誘導結合プラズマ(ICP)イオン源408を示す。ICPイオン源408は、石英またはアルミナなどで形成されているチャンバ410と、静電シールド412と、RF場を生成するための高周波(RF)コイルアンテナ414と、を備える。ガス420がチャンバに供給され、RFコイルアンテナ414のRF場の磁場に暴露され、磁場は、ガス原子をイオン化するのに十分なガス内の電子を励起することにより、プラズマ416を生成および維持する。いくつかの実施形態において、ガス420は、希ガス(Ar、Xe、Ne、または、Krなど)、もしくは、その他のガスを含んでよい。
【0053】
また、ICPイオン源408は、イオンビーム424を生成するために、プラズマ416からイオンを抽出して所定のエネルギおよび方向でイオンを推進する役割を担うグリッド418を備えることが図示されている。イオンビーム424は、イオンビームチャンバ114に入って基板支持体402および基板400に向かうように方向付けられることが示されている。グリッド418は、イオンビーム424の生成のために所定の孔パターンおよび電圧を有する2または3またはそれより多くの部子のグリッドを含んでよい。グリッド418の個々の孔は、イオンビーム424を形成するために、他のイオンビームレットとコリメートされた個々のイオンビームレットを生成する。個々のイオンビームレットは、単位時間あたりに孔を通過するイオンの数を指すビームレット電流によって特徴付けられうる。個々のビームレットは、ビームレットエネルギ密度によっても特徴付けられ、これは、単位面積あたりのビームレットによって運ばれるエネルギの量を指す。
【0054】
発散422(縮尺通りではない)が、イオンビーム424と関連付けられている様子が図示されている。上述のように、発散422は、個々のイオン軌道の間および個々のビームレットの間の不完全なコリメーションと、イオンビーム424内のイオンが経験した斥力とを表しうる。
図4Aに示す実施形態において、イオンビーム424は、等方性イオンビームである。すなわち、イオンビーム424は、イオンビーム424の断面のどの方向でも、イオンビームエネルギ密度が大きく変化しない。イオンビーム424のこの等方性は、グリッド418から出て基板400に向かう矢印が等間隔かつ均一な密度であることによって示されている。
【0055】
イオンビーム424は、およそ(90°-傾斜角θ)に等しい入射角で基板400の表面と接触する様子が示されている。傾斜角θが約85°まで増大されると、いくつかの実施形態で当てはまりうるように、基板400上のイオンビームの入射角は、約5°に近くなる。さらなる実施形態において、入射角は、90°に近づいてもよい。
【0056】
再び、ICPイオン源408およびグリッド418によって生成されたイオンビーム424は、イオンビーム断面にわたってほぼ等方性である様子が示されている。したがって、イオンビームの等方性は、イオンビームの等方性のイオン密度およびイオンビームの等方性のイオンエネルギ密度の両方によって規定されうる。しかしながら、発散422により、基板400の様々な領域が経験するイオン密度は、ICPイオン源408からの距離に依存する。例えば、ICPイオン源408に近づくように傾斜された領域401は、ICPイオン源408から離れるように傾斜された領域403よりも大きいイオンビームエネルギ密度を経験する。曲線426は、基板400のY座標と、経験されるイオン密度との間の近似的関係を示す。領域401(例えば、ICPイオン源408に近い領域)へのイオン密度バイアスは、傾斜角θが90°に近づくように増大されるにつれて、さらにいっそう顕著になる。
【0057】
基板400上への不均一なイオンビームエネルギ密度の結果として、基板400の不均一なエッチング速度が発生する。例えば、領域401は、領域403よりも大きい速度でエッチングされる。
【0058】
拡大
図432および334は、それぞれ、基板400の領域403および領域401での水平エッチングに関してイオンビームエネルギ密度を示している。矢印の数または密度が、領域401および403に局所的に入射するイオンビームのエネルギ密度を表すために用いられている。拡大
図432は、ICP源408から離れるように傾斜された領域403内のフィーチャ430を示す。フィーチャ430は、中心向き側壁403aおよび外周向き側壁430bを備えることが図示されている。拡大
図434は、中心向き側壁428aおよび外周向き側壁428bを備えたフィーチャ428を有するICP源408に近づくように傾斜された領域401の図である。
【0059】
基板400のイオンビームエッチング(回転なし)の間、フィーチャ430は、ICP源408から離れるように傾斜された領域403にあるので、比較的小さいイオンビームエネルギ密度424bを経験する様子が示されている。逆に、フィーチャ428は、ICPイオン源408に近づくように傾斜された領域401にあるので、比較的大きいイオンビームエネルギ密度424aを経験する様子が示されている。基板400の回転なしでのイオンビームエッチング中、ICPイオン源408の方を向いた側壁はエッチングされるが、ICPイオン源408の方を向いていない側壁はその時エッチングされていないことに注意されたい。例えば、フィーチャ430の中心向き側壁430aがエッチングされており、その時、フィーチャ428の外周向き側壁428bがイオンビーム424によってエッチングされている。外周向き側壁430bおよび中心向き側壁428aは、この工程ではエッチングされず、基板400を回転させた後に後続の工程でエッチングされてよい。
【0060】
図4Bは、基板が180°回転された(例えば、Y=180°)後のイオンビームエッチング中の
図4Aの基板を示す。イオンビームは、180°の回転中に遮断または抑制されることが想定される。結果として、+y方向および-y方向のエッチングだけが実行される。領域401は、
図4BにおいてはICPイオン源408から離れるように傾斜された様子が示されているが、
図4Aにおいては、領域401がICPイオン源408に近づくように傾斜されている様子が示されていた。同様に、領域403は、
図4BにおいてはICPイオン源408に近づくように傾斜された様子が示されているが、
図4Aにおいては、領域403がICPイオン源408から離れるように傾斜されている様子が示されていた。結果として、回転前に比較的大きいイオンビームエネルギ密度を経験していた領域401のフィーチャは、回転後には、比較的小さいイオンビームエネルギ密度を経験する。同様に、回転前に比較的小さいイオンビーム密度を経験していた領域403のフィーチャは、回転後には、比較的大きいイオンビーム密度を経験する。
【0061】
したがって、基板400の回転は、様々なY座標を有する領域で経験されるイオンビームエネルギ密度をより均一に分散させうる(例えば、位置バイアスエッチング速度を改善する)。例えば、領域401が経験する平均イオンビームエネルギ密度は、基板400を回転させることによって、領域403が経験する平均イオンビームエネルギ密度と同等にされうる。これは、回転前および回転後のエッチングに関連付けられている時間の量がおおよそ同じであることを前提とする。
【0062】
しかし、回転を伴うイオンビームエッチングは、エッチング速度の方向バイアスを必ずしも改善しない場合がある。例えば、回転を行っても、特定の側壁が基板400の中心(または基板の中心線)に向くのか、または、基板400の外周(または直線y=±∞)に向くのか、に依存する水平エッチングについては、平均イオンビームエネルギ密度(または総イオン束)にバイアスが存在する。
【0063】
例えば、拡大
図434は、180°の方向および0°の初期方向に回転された領域401を示す。0°の方向では(例えば、回転前には)、フィーチャ428は、より多くの破線矢印で示した比較的大きいイオンビームエネルギ密度424aを外周向き側壁428bで経験した。回転後、フィーチャ428は、少ない数の実線矢印で表す比較的小さいイオンエネルギビーム密度424bを中心向き側壁428aで経験する。
【0064】
拡大
図432は、180°の以前の方向から0°の方向へ回転された領域401を示す。
図4Aに示したように(例えば、回転前には)、フィーチャ428は、中心向き側壁430aで比較的小さいイオンビームエネルギ密度424bを経験した(比較的少ない破線矢印)。回転後、フィーチャ430は、外周向き側壁で比較的大きいイオンビーム密度424aを経験する(比較的多い実線矢印)。
【0065】
結果として、領域401および403の両方が、基板400の回転後に、同等の平均イオンビーム密度(または総イオン束)を経験するようにされうるが、イオンビームエネルギ密度(または総イオン束)は、異なる方向を向いた側壁の間で均一に分布しない。すなわち、フィーチャの中心向き側壁は、外周向き側壁よりも、イオンビームから一貫して小さいイオンビームエネルギ密度(または総イオン束)を経験する。イオンビームエネルギ密度のこの方向バイアスは、中心向き側壁よりも外周向き側壁にエッチングおよびエッチング速度の方向バイアスを引き起こす。方向バイアスは、基板外周に近いフィーチャに対してより顕著であり、基板の中心に近いフィーチャに対してはあまり顕著になりえない。
【0066】
図5Aは、y軸に沿って規定されたイオンビームエネルギ密度勾配を有する異方性イオンビーム504を用いた基板500のイオンビームエッチングを示す。イオンビームエネルギ密度の勾配は、矢印の密度で表されている。密度の高い間隔の矢印を有するイオンビーム504の領域は、より高いイオンビームエネルギ密度を示し、密度の低い間隔の矢印を有する領域は、より低いイオンビームエネルギ密度を示す。
【0067】
例えば、異方性イオンビーム504は、グリッド502によって実現され、負のy方向に向かってより高いエネルギ密度を有し、正のy方向に向かってより低いエネルギ密度を有する。結果として、基板500によって経験されるイオンビームエネルギ密度は、その表面に沿って均一になる。曲線506は、グリッド502が達成できる基板500のy軸にわたるイオンビームエネルギ密度の目標均一性を示す。したがって、例えば、ICPイオン源408に近づくように傾斜された(例えば、0°に向けられている)領域501が、ICPイオン源408から離れるように傾斜された(例えば、180°に向けられている)領域503と同等のイオンビーム密度を経験する。
【0068】
拡大
図510は、領域503内のフィーチャ514を示す。拡大
図512は、領域501内のフィーチャ516を示す。フィーチャ514の中心向き側壁514aおよびフィーチャ516の外周向き側壁516bによって経験されるイオンビームエネルギ密度は、フィーチャ514がフィーチャ516よりもICPイオン源408から離れているにもかかわらず、同等であることが図示されている。
【0069】
図5Bは、基板500が180°回転された後に異方性イオンビーム504で処理されている
図5Aの基板500を示す。上述のように、特定の実施形態は、回転中にイオンビームエッチングを行わなくてよい。すなわち、イオンビームエッチングは、基板が非回転位置(例えば、Y=0°)または回転位置(例えば、Y=180°)のいずれかにある時にのみ行われる。結果として、いくつかの実施形態において、イオンビームエッチングは、+yまたは-y方向で行われる。
【0070】
基板500が180°回転された後、領域501は、180°に向けられ、領域503は、0°に向けられている。拡大
図512は、回転前の0°位置でイオンビームによって最初に処理され、回転後に180°位置で処理される領域501のフィーチャ514を示す。再び、フィーチャ514の中心向き側壁514aによって経験されるイオンビームエネルギ密度は、フィーチャ516の外周向き側壁516bによって経験されるイオンビームエネルギ密度と同等であることが図示されている。したがって、平均イオンビームエネルギ密度(または総イオン束)は、ICPイオン源408に近くまたは遠くに向かって傾斜された基板500上の複数の位置の間でも均一にされる。これは、エッチングの位置バイアスの改善を示す。
【0071】
さらに、フィーチャ514は、回転前に外周向き側壁514bで経験した(波線)のと同等なイオンビームエネルギ密度(実線)を中心向き側壁514a上で経験することが図示されている。同様に、拡大
図510のフィーチャ516は、中心向き側壁516aで経験した(破線)のと同等なイオンビーム密度(実線)を外周向き側壁516b上で経験することが図示されている。結果として、等方性イオンビームエッチングによって
図4Bで見られた外周向き側壁に対するイオンビーム密度のバイアスはもはや存在しない。これは、エッチングの方向バイアスの改善を示す。フィーチャ514および515は、典型であり、例示の目的で示されており、縮尺通りに描かれていないことに注意されたい。さらに、エッチングに向けて基板500上には任意の数のフィーチャが存在してよい。
【0072】
図6は、ICPイオン源からイオンを抽出して推進することでイオンビームを生成するために利用できるグリッドの一例600の断面図を示す。グリッド600は、スクリーン604部分と、加速器606部分と、減速器608部分と、を備えることが図示されている。スクリーン604(シールドとしても知られる)は、接地に対して正の電位V
Bに設定され、加速器606は、負の電位V
Aに設定され、減速器608は、接地電位に設定される。スクリーン604の電圧V
Bは、一般に、イオンビームエネルギを決定する。
【0073】
グリッド600は、さらに、複数の孔を備えており、孔602が図示されている。陽イオンが、グリッド600の孔602を通してプラズマから抽出され、加速器606によって加速され、その後、減速器608によって減速される。孔602を通して抽出されたイオンの最終的なエネルギは、スクリーン604の電圧VBに近くなる。
【0074】
例えば、y軸などの軸にわたって変化するエネルギ密度勾配を有する異方性イオンビームの生成を支援するのに、複数の改良グリッドが想定される。
図7A~C、
図8A~C、および、
図9A~Dに示す特定の実施形態は、イオンビームの断面内で変化するエネルギ勾配を有する異方性イオンビームを生成できる。
【0075】
例えば、
図7Aは、第1部分702および第2部分704を有するグリッド700を示しており、ここで、第1部分702は、第2部分704よりも低い孔密度に関連している。孔密度とは、グリッドに規定された単位面積あたりの孔の数のことである。孔密度は、関連するグラフにおいてグリッドのy座標によって決まることが図示されている。また、
図7A~
図7Cの実施形態によれば、孔サイズは一定であるが、孔密度は変化する。さらに、孔密度は、グリッドの幅にわたって一定であることが図示されている。幅は、y軸にわたって変化し、グリッドが存在する平面を規定する。したがって、y軸に沿ってまたはy方向に孔密度を変化させることは、グリッドの幅がy軸に沿って変化することを意味すると理解される。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、孔密度と、孔を通して抽出される結果としてのイオンビームエネルギ密度との間には正の相関がある。いくつかの実施形態において、孔密度を増大させることは、結果として得られるイオンビームのイオン密度をそれに応じて増大させると想定される。結果として、グリッド700は、負のy方向により大きいイオン密度を有し、正のy方向により小さいイオン密度を有する異方性イオンビームを生成する。
【0077】
図7Bでは、グリッド706が、第1部分708、第2部分710、および、第3部分712を有することが図示されている。第3部分712の孔密度は第2部分710の孔密度よりも大きく、同様に、第2部分710は第1部分712の孔密度よりも大きいことが示されている。グリッド706によって生成される結果としてのイオンビームは、yがより正方向に大きくなるにつれて減少するイオン密度を有することが想定される。例えば、第1部分708によって生み出されるイオン密度は第2部分710よりも低く、同様に、第2部分710の密度は部分712よりも小さい。上述のように、他のパラメータ(孔サイズなど)が同等のままである場合、孔密度とイオンビーム密度との間には正の相関がある。
【0078】
図7Cでは、グリッド714が、n個の部分を有することが図示されている。各部分は、異なる孔密度によって規定されてよい。nは、2から約100以上までの間でありうることが想定される。グリッドの孔密度およびy軸の間に想定される関係性をグラフ716に示す。例えば、孔密度は、yが正方向に大きくなるにつれて線形的に減少しうることが想定される。別の実施形態において、孔密度は、yが正方向に大きくなるにつれて、対数的、指数関数的、または、S字状に減少してもよい。別の実施形態において、y軸に沿った孔密度勾配は、最適化技術と、結果としての異方性イオンビームの調整とに基づいて決定され、
図7Cに示されていない関係性を有してもよい。さらに、y軸に関する正確な孔密度勾配は、基板のサイズおよび基板の傾斜角によって決まる。例えば、基板のより大きい傾斜を伴うイオンビームエッチング応用例のために、より顕著な孔サイズ勾配が用いられてもよい。様々な実施形態において、孔密度は、10
-3孔/mm
2未満から約10
3孔/mm
2超の間の範囲であってよい。また、
図7A、
図7B、または、
図7Cのいずれも、縮尺通りに描かれていないことに注意されたい。
【0079】
図8A~
図8Cに示す実施形態によれば、孔密度は一定に保たれるが、孔サイズはy軸方向で変化する。様々な実施形態において、孔サイズと、結果として得られるイオンビーム密度との間には正の相関がある。例えば、より大きい抽出孔は、大きいビームレット電流に関連し、それにより、高いイオン密度につながる。結果として、他のパラメータが同等のままであれば、より大きい抽出孔を有するグリッドの領域が、より小さい抽出孔を有するグリッドの領域よりも高いイオンビーム密度を生み出す。
図8Aは、第2部分802よりも小さい孔を備えた第1部分802を有するグリッド800を示す。グリッド800は、第1部分802と比べて第2部分804の孔サイズが大きいことにより、イオンビームの下半分でイオン密度が高く、イオンビームの上半分でイオン密度が低いイオンビームを生成する。
【0080】
図8Bは、第1部分808、第2部分810、および、第3部分812を有するグリッド806を示す。孔密度は、3つの部分にわたって一定であることが図示されている。しかしながら、第1部分808は、部分810よりも小さい孔サイズによって規定されていることが図示されており、同様に、部分810は、第3部分812よりも小さい孔サイズによって規定されていることが図示されている。結果として、グリッド806によって生成されたイオンビームは、中央の3分の1よりも低いイオン密度を持つ上部の3分の1を有し、同様に、中央の3分の1は、下部の3分の1よりも低いイオン密度を持つ。したがって、グリッド806によって抽出されたイオンビームは、y方向のイオン密度が異方性であり、y方向にイオンビームエネルギ密度勾配を有する。
【0081】
図8Cは、
図8Aおよび
図8Bで適用された原理の拡張であるグリッド814を示す。グリッド814は、図に示すように、y軸に沿ってn個の部分に分割されている。様々な実施形態に応じて、nは、2から約100以上の間でありうることが想定される。いくつかの実施形態において、nは、104よりも大きくてよい。n個の部分の内の各部分は、y座標が大きくなるにつれて孔サイズが小さくなるように、異なる孔サイズによって規定されてよい。様々な実施形態において、大きくなるy座標に対する小さくなる孔サイズの関係性は、線形的な減少、指数関数的な減少、対数的な減少、または、S字状の減少によって表されうる。実際的には、孔サイズとy座標との間の関係性は、多くの要因に依存し、グラフ816に示した関係性の1つに従わなくてもよい。上述のように、異方性イオンビームの目標勾配は、基板の傾斜、基板のサイズ、プラズマ源、および、様々なエッチングパラメータを含む様々な要因によって決まる。
【0082】
図8A~
図8Cのいずれも、縮尺通りに描かれていないことに注意されたい。その代わり、
図8A~
図8Cは、イオンビームエッチング中にイオンを抽出および加速するためのグリッドのy軸に沿って孔サイズを変えることがどのように異方性イオンビームを可能にするのかを示す例示目的で描かれている。また、グリッド800、806、および、814の各々が、互いにスタックされている2または3の別個のグリッドを含んでもよいことにも注意されたい。例えば、上述のグリッドの各々は、例えば、電圧V
Bのスクリーングリッド、電圧V
Aの加速器グリッド、および、接地電位の減速器グリッドを含むと解釈される。各グリッドは、いくつかの実施形態において、孔位置、孔サイズ、および、孔密度の点で同じ孔プロファイルを共有する。
【0083】
図7A~
図7Cは、孔サイズが一定で孔密度が変化する例を示し、
図8A~
図8Cは、孔サイズが変化して孔密度が一定である例を示しているが、局所的に規定されたイオンビームエネルギを有する所望のイオンビームエネルギ密度を生み出すために、様々な孔密度および様々な孔サイズを併用しうることも想定される。例えば、いくつかの実施形態において、グリッドは、yが増大するにつれて減少する孔サイズおよび孔密度を有してよいが、孔サイズまたは孔密度の減少率または減少方法は異なってもよい。
【0084】
図9A~
図9Dは、エネルギ密度が異方性のイオンビームを可能にし得る異なる電圧を供給される複数の部分を有するグリッドを示す。例えば、グリッド900は、電圧V
0の第1部分902、電圧V
1の第2部分904、および、電圧V
2の第3部分906を備えることが図示されている。グリッド900のスクリーングリッド(
図6を参照)の電圧を操作することによって、隣接するプラズマから抽出されるイオンに関連付けられているエネルギが制御されうることが想定される。上述のように、スクリーングリッドに供給される電圧は、ビームエネルギに比例する。スクリーングリッドの電圧がグリッドの特定の領域で増大されると、結果として得られるビームエネルギが増大される。スクリーングリッド電圧を低下させると、それに対応して、ビームエネルギが低下する。
【0085】
ここで、結果としてのイオンビームエネルギ密度勾配を制御するために電圧の局所操作を可能にする区分グリッドと共に、複数のイオン源が用いられることが想定される。いくつかの実施形態において、区分グリッドは、以前および/または将来の処理工程によって引き起こされる基板フィーチャの不均一性を補正するために用いられてよい。結果として、本明細書に記載の区分グリッドは、より均一に処理(エッチング)された基板が得られるように、以前または将来の不均一な加工処理に対抗するかまたは事前に阻止するために、基板上に不均一なエッチングを意図的に引き起こすよう調整されてよい。結果として、基板にわたってより均一なエッチングを提供するグリッドに加えて、基板に不均一なエッチングを提供するグリッドが、本明細書で想定される。本明細書で想定されるいくつかののグリッド(
図9A~9D)は、両方を行うことが可能にされている。すなわち、電圧について局所的に制御可能な区分グリッドが、例えば、或る処理工程で基板の平面にわたって不均一なエッチングを提供し、異なる工程で基板の平面にわたって均一なエッチングを提供することを可能にされている。これは、本明細書に記載の区分グリッドが、区分グリッドの各部分の電圧を操作する機能により、工程の間でエネルギ密度に対して異なる断面プロファイルを有するイオンビームを供給することを可能にされるからである。
【0086】
不均一性は、基板に対する処理の位置バイアスおよび/または方向バイアス、ならびに、処理装置に関連付けられているその他のバイアスに起因しうる。さらに、不均一性は、蒸着、除去またはエッチングまたはミリングまたはスパッタリング、パターニング、もしくは、その他の基板処理動作に関連付けられている処理に起因しうる。
【0087】
以前の処理工程に起因する以前の不均一性について、不均一性を補償するために用いられるイオンビームエネルギ密度の断面プロファイルを決定するために、不均一性が測定および/または計算されうることが想定される。かかる実施形態において、結果として得られるイオンビームエネルギ密度勾配は、不均一に処理された基板をより均一にする。
【0088】
別の実施形態において、本明細書に記載の区分グリッドは、将来の不均一な処理工程を事前に補償するために、基板にわたって不均一なエッチング速度を意図的に生み出すよう調整されてもよい。これらの実施形態において、将来の不均一な処理工程を前もって補償するために用いられるイオンビームエネルギ密度の断面プロファイルを決定するために、将来の不均一性が予測されてよい。かかる実施形態において、結果として得られるイオンビームエネルギ密度勾配は、より均一に処理された基板を生み出すように将来の不均一な処理に合わせて不均一にエッチングされた基板を「意図的に」形成するように規定されている。
【0089】
したがって、第1部分902は、第2部分904より低い電圧を有し、同様に、第2部分904の電圧は、第3部分906よりも低いことが想定される(V0<V1<V2)。結果として得られるイオンビームは、y方向のビームエネルギが異方性である。具体的には、結果として得られるイオンビームの断面は、イオンエネルギの低い(例えば、イオンの移動が遅い)上部の3分の1と、イオンエネルギの高い(例えば、イオンの移動が速い)下部の3分の1と、中間のイオンエネルギ(中間のイオン速度)を有する中央の3分の1と、を有する。結果として、グリッド(グリッド900など)は、より均一なエッチング速度を傾斜した基板に提供しうるy方向のイオンエネルギ勾配を有する異方性イオンエネルギを供給できる。3つの部分902、904、および、906の各々は、互いに電気的に絶縁されてよいことに注意されたい。
【0090】
図9Bは、
図9Aに示した原理の拡張であるグリッド908を示す。グリッド908は、n個の部分を備え、各部分は、異なる電圧を供給されてよい。上述のように、操作される電圧は、スクリーン電圧V
Bであってよい。しかしながら、別の実施形態において、加速器および減速器の電圧が、スクリーン電圧に加えてまたはその代わりに操作されてもよい。
図9Bにおいて、各部分の電圧は、y座標が増大するにつれて減少するように想定される。すなわち、V
1は、V
2より低く(高くなく)、V
2は、V
3よりも低く、V
3は、V
n-1より低く、V
n-1は、V
nより低い。nは、2から約1000超までの間でありうることが想定される。電圧とy軸との間の関係性は、多くの要因で決まる。いくつかの実施形態において、y座標の減少に伴う電圧の増大は、非線形であってよい。別の実施形態において、y軸に対する電圧の増大は、線形または準線形であってもよい。
【0091】
図9Cは、半径方向に規定された部分912、914、および、916を有するグリッド910の一実施形態を示す。半径方向に規定された部分912、914、および、916の各々は、V
0、V
1、および、V
2に対して異なる電圧を有してよい。グリッド910によって形成される結果としてのイオンビームは、半径方向に規定されたエネルギ勾配を有してよい。例えば、V
0>V
1>V
2である場合、結果として得られるイオンビームは、半径方向距離が増大するにつれてバイアスされる(例えば、減少する)イオンエネルギの勾配を有する。例えば、部分912に由来するイオンビームの一部は、部分9016に由来するイオンビームの一部よりも大きいエネルギを有する。一方で、グリッド910に対してV
0<V
1<V
2である場合、結果として得られるイオンビームは、グリッド910の外周に向かってバイアスされたイオン密度の勾配を有する。イオンビームエネルギ密度の半径方向に規定されたエネルギ勾配を生成できるグリッド(グリッド910など)は、傾斜された基板および傾斜されていない基板のイオンビームエッチング応用例の両方で有用でありうる。
【0092】
図9Dは、n個の部分のアレイを備えたグリッド918を示す。各部分は、x軸およびy軸の一方または両方において電圧勾配が提供されるように、電圧について独立制御されてよい。グリッド918は、さらに、グリッドの電圧がどのように制御されると想定されるのかを示す。xおよびyにおいて細かく制御可能であるエネルギ勾配を備えた異方性イオンビームを生成するために、任意の特定の領域に対する電圧が局所的に制御されうることが想定される。様々な実施形態に応じて、部分の数nは、2から約106以上の間であることが想定される。
【0093】
いくつかの実施形態において、部分の数nは、各孔が別個に規定可能な電圧(例えば、スクリーン電圧)を有しうるように、抽出孔の数に等しくてよいことが想定される。結果として、各抽出孔からの励起された各イオンビームレットのビームレットエネルギは、個別に規定されうる。
【0094】
異なる電圧を有する異なる部分によって規定されたグリッドの利用は、異なる孔サイズおよび/または異なる孔密度を有する部分と共に実施されうることも想定される。例えば、グリッド908は、電圧Vnによって規定された部分が電圧Vn-1などによって規定された部分よりも大きい抽出孔サイズおよび/または大きい孔密度に関連するように実施されてよい。大きい孔サイズおよび/または大きい孔密度は、プラズマ内に存在する所与のイオンがスクリーンを横切るのに許容可能な軌道を有する可能性を高めるために、Vnのより高い電圧を補完しうる。
【0095】
図7A~
図7C、
図8A~
図8C、および、
図9A~
図9Dに示したグリッドの実施形態は、平坦であり、y軸によって垂直に規定され、x軸によって水平に規定されていると想定される。いくつかの実施形態において、これらのグリッドの部分は、グリッドシステムの幅にわたって水平に伸びるように規定されてよい。
【0096】
図10は、エネルギ密度の勾配を有する異方性イオンビームを生成するために利用できる磁場部分B1、B2、および、B3によって提供される区分磁場を有する誘導結合プラズマイオン源のさらなる実施形態を示す。磁場部分B1、B2、および、B3は、磁気部分によって局所的に規定された磁場を生成するトロイダルまたは半トロイダル磁場の一部であってよい。磁場部分は、イオン源のプラズマチャンバ内、プラズマチャンバの壁の内側、または、プラズマチャンバの外側に配置されてよい。一実施形態において、磁場部分B1、B2、および、B3は、プラズマチャンバの背面に向かって配置されてよい。
【0097】
結果として得られる磁場は、正のy方向よりも負のy方向で大きい。結果として、生成されるプラズマは、正のy方向よりも負のy方向で大きい電子密度を有しうる。プラズマは、負のy方向で高い電子密度に維持されるので、結果として得られるイオンビームは、同様に、正のy方向よりも負のy方向で大きいエネルギ密度を有する。結果として、負のy方向で高いエネルギ密度を有し、正のy方向で低い密度を有する異方性イオンビームが生成されうる。B1、B2、および、B3によって生成される区分磁場は、例えばイオン源の負のy方向に向かって、イオン源内で局所的に磁場を強化するためのRFコイルアンテナに加えて実施されてよい。
【0098】
区分磁場は、結果として得られるイオンビームエネルギ密度勾配を操作するために、誘導結合プラズマイオン源のプラズマによって経験される磁場を局所的に変えるのに利用されうることが想定される。区分磁場は、イオン源空洞の特定の領域が、イオン源空洞のその他の領域と比べてその特定の領域において大きい電離度を生み出すために、より大きい磁場強度を経験するように、配置または構成されてよい。結果として、イオン源は、結果として得られるイオンビームのエネルギ密度勾配を制御できるように磁場強度を局所的に操作するために、区分磁場で調整されうることが想定される。
【0099】
図11Aは、基板の均一なエッチングを達成するために電圧を局所的に制御できる区分グリッドを利用する方法の全体フローを示す。方法は、基板の1以上の以前の処理動作に関連付けられている基板処理の不均一性を決定するための動作1100を備える。以前の処理動作は、蒸着工程、エッチング工程、または、パターニング工程、もしくは、その他の基板処理工程の内の1以上を含んでよい。方法は、不均一性の測定、不均一性の計算、または、不均一性の以前の測定の参照を図るものである。
【0100】
基板処理の決定された不均一性に応じて、方法は、決定された不均一性を補償するイオンビーム断面エネルギ勾配を計算する動作1110を実行する。例えば、より高い均一性を達成するために、断面の1領域が別の領域よりも大きいエネルギ密度によって規定されるように、イオンビームがその断面にわたってエネルギ勾配を有すると判定されてよい。方法の動作1120は、所望のイオンビームエネルギ密度勾配を達成する区分グリッドのための電圧勾配仕様を計算する。次いで、方法は、動作1130へ進み、この動作は、イオンビームエネルギ密度勾配を備えたイオンビームを生成するために計算された電圧勾配仕様をイオン源の区分グリッドに供給するよう機能する。
【0101】
電圧勾配は、特定の所望の電圧に対して個々に規定できる複数の部分を有する区分グリッドによって可能になる。結果として、イオンビームエッチングのための任意の数のエネルギ密度勾配が、本明細書に提示した方法およびシステムによって可能にされうる。上述のように、特定の実施形態において、区分グリッド上の孔と同じ数の電圧規定部分が存在してよい。それらの実施形態において、区分グリッド上の各孔のためのどのビームレットも、ビームレットエネルギについて個々に規定可能であってよい。これらの実施形態において、すべての部分が、1つのイオン抽出孔を有することが好ましく、その孔から、結果として得られるビームレットが、特定の部分の電圧を規定することによってエネルギを個々に規定されうる。結果として、本明細書に提示される方法およびシステムは、ビームエネルギ密度勾配を個々のビームレットに至るまで制御することを可能にされるように想定されている。
【0102】
動作1140において、不均一性を有する基板は、動作1140のイオンビームを受けて、それにより、以前の工程からの決定された基板の不均一性を補償するかまたはそれに適合させる。したがって、
図11Aに示す方法は、検出または計算された不均一性に基づいて、基板の均一性を達成することができる。
【0103】
図11Bは、将来の処理工程について基板処理の将来の不均一性を予測し、将来の処理工程の不均一性を補償するかまたはそれに整合するように、現在の工程のためのイオン密度勾配を前もって調整することができる方法の全体フローである。方法は、基板の1以上の将来の処理動作に関連付けられている基板処理工程の不均一性を予測するための動作1150を備える。不均一であると予測される基板処理工程は、蒸着、ドライまたはウェットエッチング、ミリング、スパッタリング、パターニング、リソグラフィ、インプランテーションなどのための工程であってよい。本明細書に提示される方法およびシステムは、上述した処理のいずれかに起因する不均一性を補償、予防、または、整合することを可能にされるように想定されている。予測動作は、以前のシーケンスからの不均一性のデータを参照してもよいし、処理工程のシーケンスに基づいて、発生の予測される不均一性のタイプおよび程度をリアルタイムに予測してもよい。再び、本明細書に記載の方法およびシステムは、基板上のフィーチャの位置バイアスおよび/または方向バイアスに起因する不均一性に対処するよう想定される。
【0104】
次の工程において、動作1160は、予測された不均一性を補償、整合、対抗、または、予防するイオンビーム断面エネルギ勾配を計算し、動作1170は、区分グリッドの電圧部分の各々に対して用いられる電圧勾配仕様を計算する。次の動作(動作1180)は、電圧勾配を生成するために、動作1170で計算された電圧勾配に基づいて区分グリッドの電圧部分の各々に指定の電圧を供給する。イオンビームは、動作1160の仕様に対応するエネルギ密度勾配を断面にわたって有する。次いで、動作1180は、基板を指定のイオンビームに暴露させる。これらの実施形態において、基板は、将来の不均一な処理を予防するために、意図的に不均一にされたイオンビームエッチングを受けてよい。結果として、本明細書に記載の方法およびシステムは、均一なエッチングを提供することに加えて、過去および/または将来の不均一な処理工程に対抗するための特定の不均一なエッチングに利用されうる様々なエネルギ密度勾配を有する微調整されたイオンビームを生成することが可能である。上述のように、
図9A~
図9Dに示したような単一の区分グリッドは、区分グリッドの個別に電圧制御される部分があることで、これらの様々な不均一および均一なエッチング工程を達成できる。
【0105】
図1aおよび
図1Bに示したような処理シーケンスにおける反応物質の供給、プラズマ処理、および、その他の処理を制御するためのコンピュータプログラムは、任意の従来のコンピュータ読み取り可能プログラミング言語、例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートランなどで書くことができる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトが、プラグラム内に特定されたタスクを実行するために、プロセッサによって実行される。
【0106】
制御モジュールパラメータは、例えば、フィルタ圧力差、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RF電力レベルおよび低周波RF周波数など)、冷却ガス圧、ならびに、チャンバ壁の温度などの処理条件に関連付けられている。
【0107】
システムソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成されうる。例えば、本発明の蒸着処理を実行するのに必要なチャンバ構成要素の動作を制御するために、様々なチャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトが書かれてよい。このためのプログラムまたはプログラムセクションの例は、基板配置コード、処理ガス制御コード、圧力制御コード、ヒータ制御コード、および、プラズマ制御コードを含む。
【0108】
上述の実施形態を念頭に置いて、本実施形態は、コンピュータシステムに格納されているデータを含め、コンピュータに実装された様々な動作を利用できることを理解されたい。これらの動作は、物理量の物理操作を必要とするものである。本実施形態の一部を形成する本明細書で説明した動作はいずれも、有用な機械動作である。本実施形態は、さらに、これらの動作を実行するためのデバイスまたは装置に関する。装置は、専用コンピュータなど、必要とされる目的向けに特別に構築されてよい。専用コンピュータとして規定された場合、コンピュータは、特殊目的に含まれない他の処理、プログラム実行、または、ルーチンも実行しつつ、特殊目的のために動作することができる。あるいは、動作は、コンピュータメモリ、キャッシュに格納されているまたはネットワークを介して取得された1または複数のコンピュータプログラムによって選択的にアクティベートまたは構成されている汎用コンピュータで処理されてもよい。データがネットワークを介して取得されると、そのデータは、ネットワーク(例えば、コンピューティングリソースのクラウド)上の他のコンピュータによって処理されてもよい。
【0109】
1または複数実施形態は、コンピュータ読み取り可能な媒体上にコンピュータ読み取り可能なコードとして製造されてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータシステムによって読み出し可能であるようにデータを格納できる任意のデータ記憶装置である。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、および、その他の光学および非光学式のデータ記憶装置が挙げられる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能なコードが分散的に格納および実行されるように、ネットワーク接続されているコンピュータシステム上に分散されているコンピュータ読み取り可能な有形の媒体を含みうる。
【0110】
方法の動作は特定の順番で記載されているが、オーバーレイ動作の処理が望ましく実行される限りは、他のハウスキーピング動作が動作の合間に実行されてもよいし、動作が若干異なる時間に実行されるように調整されてもよいし、処理に関連した様々な間隔で処理動作が起きることを許容するシステムに分散されてもよいことを理解されたい。
【0111】
理解を深めるために、本実施形態について、ある程度詳しく説明したが、開示した実施形態の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。本発明の処理、システム、および、装置を実施する多くの他の方法が存在することに注意されたい。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、実施形態は、本明細書に示した詳細に限定されない。
[適用例1]基板を処理するためのシステムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置されているチャックアセンブリであって、
基板支持体と、
前記基板支持体を傾斜させるための傾斜アセンブリと、
前記基板支持体を回転させるための回転アセンブリと、備える、チャックアセンブリと、
前記チャンバに接続され、前記チャックアセンブリの前記基板支持体の方向に向けられているイオン源であって、プラズマが点火された時にイオンを生成するよう構成されている、イオン源と、
一方の側で前記チャンバと接続され、他方の側で前記イオン源と接続されているグリッドシステム、とを備え前記グリッドシステムは、前記イオン源からイオンを抽出してイオンビームを形成するための孔の配列を備え、前記グリッドシステムは、前記イオンビームが前記チャンバ内へ方向付けられ前記基板支持体に向かうように配置され、前記グリッドシステムの前記孔の配列は、y軸によって垂直に規定され、x軸によって水平に規定されており、前記孔の配列は、前記y軸において垂直に規定されたエネルギ密度勾配を前記イオンビームに持たせるように前記y軸において垂直方向に変化する孔サイズによって規定されている、システム。
[適用例2]適用例1に記載のシステムであって、前記孔の配列は、さらに、前記イオンビームが、水平方向に変化しないエネルギ密度によって特徴付けられるように、前記x軸において水平方向に変化しない孔サイズによって規定されている、システム。
[適用例3]適用例1に記載のシステムであって、前記孔の配列の前記孔サイズは、y座標が正方向に大きくなるにつれて減少するエネルギ密度によって前記イオンビームが特徴付けられるように、前記y座標が正方向に大きくなるにつれて減少するように規定されている、システム。
[適用例4]適用例1に記載のシステムであって、前記グリッドシステムは、前記グリッドシステムの幅にわたって水平に伸びる複数の部分によって規定され、前記複数の部分は、前記グリッドシステムを垂直方向に分割し、各部分は、各部分内の複数の孔のための孔サイズを規定する、システム。
[適用例5]適用例4に記載のシステムであって、前記グリッドシステムは、第1部分および第2部分によって規定され、前記第1部分は、前記第2部分よりも前記y軸の正の方向にあり、前記第1部分は、複数の第1孔を規定し、前記第2部分は、複数の第2孔を規定し、前記複数の第2孔は、前記複数の第1孔よりもサイズが大きく規定されている、システム。
[適用例6]適用例4に記載のシステムであって、前記複数の部分は、前記複数の部分の各々に関連付けられているy座標が正方向に大きくなるにつれて減少するそれぞれの孔サイズを規定する、システム。
[適用例7]適用例1に記載のシステムであって、前記基板支持体は、前記基板支持体の第1領域が前記基板支持体の第2領域よりも前記グリッドシステムに近くなるように傾斜され、前記基板支持体の前記第1領域および前記第2領域は、垂直方向に変化する孔サイズによって規定されている前記孔の配列によって少なくとも部分的に引き起こされる前記イオンビームの同等のエネルギ密度を経験する、システム。
[適用例8]適用例1に記載のシステムであって、前記イオン源は、さらに、前記プラズマが、負のy方向におけるより高い電子密度および正のy方向におけるより低い電子密度によって特徴付けられるように、磁場勾配を引き起こす区分磁気システムを備える、システム。
[適用例9]基板を処理するためのシステムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置されているチャックアセンブリであって、
基板支持体と、
前記基板支持体を傾斜させるための傾斜アセンブリと、
前記基板支持体を回転させるための回転アセンブリと、備える、チャックアセンブリと、
前記チャンバに接続され、前記チャックアセンブリの前記基板支持体の方向に向けられているイオン源であって、プラズマが点火された時にイオンを生成するよう構成されている、イオン源と、
一方の側で前記チャンバと接続され、他方の側で前記イオン源と接続されているグリッドシステムとを備え、前記グリッドシステムは、前記イオン源からイオンを抽出してイオンビームを形成するための孔の配列を備え、前記グリッドシステムは、前記イオンビームが前記チャンバ内へ方向付けられ前記基板支持体に向かうように配置され、前記グリッドシステムの前記孔の配列は、y軸によって垂直に規定され、x軸によって水平に規定されており、前記孔の配列は、前記y軸において垂直に規定されたエネルギ密度勾配を前記イオンビームに持たせるように前記y軸において垂直方向で変化する孔密度によって規定されている、システム。
[適用例10]適用例9に記載のシステムであって、前記孔の配列は、さらに、前記イオンビームが、水平方向に変化しないエネルギ密度によって特徴付けられるように、前記x軸において水平方向で変化しない孔密度によって規定されている、システム。
[適用例11]適用例9に記載のシステムであって、前記孔の配列の前記孔密度は、y座標が正方向に大きくなるにつれて減少するエネルギ密度によって前記イオンビームが特徴付けられるように、前記y座標が正方向に大きくなるにつれて減少するように規定されている、システム。
[適用例12]適用例9に記載のシステムであって、前記グリッドシステムは、前記グリッドシステムの幅にわたって水平に伸びる複数の部分によって規定され、前記複数の部分は、前記グリッドシステムを垂直方向で分割し、各部分は、各部分内の複数の孔のための孔密度を規定する、システム。
[適用例13]適用例12に記載のシステムであって、前記グリッドシステムは、第1部分および第2部分によって規定され、前記第1部分は、前記第2部分よりも前記y軸の正の方向にあり、前記第1部分は、複数の第1孔を規定し、前記第2部分は、複数の第2孔を規定し、前記複数の第2孔は、前記複数の第1孔よりも高い密度を前記グリッドシステムにおいて有するように規定されている、システム。
[適用例14]適用例12に記載のシステムであって、前記複数の部分は、前記複数の部分の各々に関連付けられているy座標が正方向に大きくなるにつれて減少するそれぞれの孔密度を規定する、システム。
[適用例15]適用例9に記載のシステムであって、前記基板支持体は、前記基板支持体の第1領域が前記基板支持体の第2領域よりも前記グリッドシステムに近くなるように傾斜され、前記基板支持体の前記第1領域および前記第2領域は、垂直方向に変化する孔密度によって規定されている前記孔の配列によって少なくとも部分的に引き起こされる前記イオンビームの同等のエネルギ密度を経験する、システム。
[適用例16]適用例9に記載のシステムであって、前記イオン源は、さらに、前記プラズマが、負のy方向におけるより高い電子密度および正のy方向におけるより低い電子密度によって特徴付けられるように、磁場勾配を引き起こす区分磁気システムを備える、システム。
[適用例17]基板を処理するためのシステムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置されているチャックアセンブリであって、
基板支持体と、
前記基板支持体を傾斜させるための傾斜アセンブリと、
前記基板支持体を回転させるための回転アセンブリと、備える、チャックアセンブリと、
前記チャンバに接続され、前記チャックアセンブリの前記基板支持体の方向に向けられているイオン源であって、プラズマが点火された時にイオンを生成するよう構成されている、イオン源と、
一方の側で前記チャンバと接続され、他方の側で前記イオン源と接続されているグリッドシステムとを備え、前記グリッドシステムは、前記イオン源からイオンを抽出してイオンビームを形成するための孔の配列を備え、前記グリッドシステムは、前記イオンビームが前記チャンバ内へ方向付けられ前記基板支持体に向かうように配置され、前記グリッドシステムは、電圧について個別に制御される複数の部分によって規定され、前記イオンビームのエネルギ密度が、前記グリッドシステムの前記複数の部分のそれぞれの電圧によって規定されている、システム。
[適用例18]適用例17に記載のシステムであって、前記グリッドシステムは、y軸によって垂直に規定され、x軸によって水平に規定されており、前記複数の部分の前記それぞれの電圧は、前記グリッドシステムのために電圧勾配が生成されるように、前記部分の各々に関連付けられているy座標が増大するにつれて低くされ、前記グリッドシステムの前記電圧勾配は、さらに、前記y座標が増大するにつれて、前記イオンビームの前記エネルギ密度を減少させる、システム。
[適用例19]適用例18に記載のシステムであって、前記基板支持体は、前記基板支持体の第1領域が前記基板支持体の第2領域よりも前記グリッドシステムに近くなるように傾斜され、前記基板支持体の前記第1領域および前記第2領域は、前記グリッドシステムの電圧勾配によって少なくとも部分的に引き起こされる前記イオンビームの同等のエネルギ密度を経験する、システム。
[適用例20]適用例17に記載のシステムであって、前記複数の部分の各々のための前記それぞれの電圧は、リアルタイムで個別に制御される、システム。
[適用例21]適用例17に記載のシステムであって、前記グリッドシステムは、前記孔の配列の各孔が電圧について個別に規定可能になるように、前記各孔が前記複数の部分の個々の部分に関連付けられているように構成されている、システム。
[適用例22]適用例21に記載のシステムであって、各孔は、それぞれのビームレットに関連付けられており、各それぞれのビームレットは、ビームレットエネルギについて個別に規定可能である、システム。