(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
H01L21/306 E
(21)【出願番号】P 2020143252
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】野中 純
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067995(JP,A)
【文献】特開2009-094455(JP,A)
【文献】特開2012-018983(JP,A)
【文献】特開2006-041372(JP,A)
【文献】特開2019-029417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
H01L 21/3063
H01L 21/308
H01L 21/465-21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有し、基板を処理液に浸漬させる内槽と、
前記内槽の外側に配置され、前記開口部から流出する前記処理液を受ける外槽と、
前記開口部を開閉する蓋体と、
疎水性を有し、泡を含む前記処理液が前記内槽から前記外槽に流出する際に前記処理液と接触する位置に配置される接液部材と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記接液部材は、前記外槽の内壁面に配置される
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記外槽は、前記内槽の四方を囲むように配置され、
前記接液部材は、前記外槽における四方の内壁面のうち、少なくとも二方の内壁面に配置される
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記接液部材は、板状であり、前記外槽の内部に立設される
請求項1~3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記外槽は、前記内槽の四方を囲むように配置され、
前記接液部材は、前記内槽の少なくとも二方を囲むように配置される
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記接液部材は、前記蓋体の底面に配置される
請求項1~5のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記接液部材は、平面視で前記処理液が流出する前記内槽の縁部に沿って配置される
請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記接液部材は、前記処理液が流出する前記内槽の縁部に配置される
請求項1~7のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記接液部材は、前記内槽から前記外槽に流出する前記処理液を遮るように配置される
請求項1~8のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記基板を保持して前記内槽に搬入出する基板昇降機構をさらに備え、
前記接液部材は、前記基板昇降機構の表面の一部に配置される
請求項1~9のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記接液部材の材質は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)およびPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)のいずれかである
請求項1~10のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項12】
泡を含む前記処理液が前記内槽から前記外槽に流出する際に前記処理液と接触する接触面の少なくとも一部が疎水面である
請求項1~11のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記処理液は、アルコールを含む添加剤が添加されたリン酸である
請求項1~12のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記アルコールは、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールのいずれか1種である
請求項13に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板処理システムにおいて、添加剤が添加されたリン酸水溶液に基板を浸漬することで、かかる基板にエッチング処理を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、添加剤が添加されたリン酸水溶液によるエッチング処理を安定して実施することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、内槽と、外槽と、蓋体と、接液部材とを備える。内槽は、上部に開口部を有し、基板を処理液に浸漬させる。外槽は、前記内槽の外側に配置され、前記開口部から流出する前記処理液を受ける。蓋体は、前記開口部を開閉する。接液部材は、疎水性を有し、泡を含む前記処理液が前記内槽から前記外槽に流出する際に前記処理液と接触する位置に配置される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、添加剤が添加されたリン酸水溶液によるエッチング処理を安定して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る基板処理システムの構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るエッチング処理装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る処理槽の構成を示す拡大断面図である。
【
図4A】
図4Aは、疎水性の接液部材による泡の消泡メカニズムについて説明するための図である。
【
図4B】
図4Bは、疎水性の接液部材による泡の消泡メカニズムについて説明するための図である。
【
図4C】
図4Cは、疎水性の接液部材による泡の消泡メカニズムについて説明するための図である。
【
図4D】
図4Dは、疎水性の接液部材による泡の消泡メカニズムについて説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る処理槽における接液部材の配置の一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る処理槽における接液部材の配置の別の一例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態の変形例1に係る処理槽の構成を示す拡大断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の変形例1に係る処理槽における接液部材の配置の一例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例1に係る処理槽における接液部材の配置の別の一例を示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例1に係る接液部材の別の形状の一例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例1に係る接液部材の別の形状の一例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態の変形例2に係る処理槽の構成を示す拡大断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の変形例2に係る処理槽における接液部材の配置の一例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態の変形例3に係る処理槽の構成を示す拡大断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態の変形例3に係る処理槽における接液部材の配置の一例を示す平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態の変形例4に係る処理槽の構成を示す拡大断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態の変形例4に係る処理槽における接液部材の配置の一例を示す平面図である。
【
図18】
図18は、実施形態の変形例4に係る接液部材の形状の一例を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、実施形態の変形例4に係る接液部材の別の形状の一例を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、実施形態の変形例4に係る接液部材の別の形状の一例を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、実施形態の変形例5に係る基板昇降機構の構成を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、実施形態の変形例5に係る基板処理部の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
従来、基板処理システムにおいて、添加剤が添加されたリン酸水溶液に基板を浸漬することで、かかる基板にエッチング処理を行う技術が知られている。
【0010】
たとえば、リン酸(H3PO4)水溶液に基板を浸漬することで、基板上に積層されたシリコン窒化膜(SiN)およびシリコン酸化膜(SiO2)のうち、シリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができる。
【0011】
また、シリコンを含有するシリコン溶液をリン酸水溶液に添加することにより、シリコン窒化膜のエッチング選択比を向上させることができる。さらに、シリコン酸化物の析出を抑制する添加剤(以下、「析出抑制剤」とも呼称する。)をリン酸水溶液に添加することにより、エッチング処理の際にシリコン酸化膜上にシリコン酸化物が析出することを抑制することができる。
【0012】
しかしながら、上述した従来技術では、上記の添加剤において溶媒として用いられるアルコールが高温のエッチング液内で沸騰することにより、エッチング液内に多量の泡が発生する場合があった。
【0013】
さらに、エッチング液には界面活性剤として機能するアルコールが含まれていることから、一度発生した泡はなかなか消泡しないため、多量の泡を含んだエッチング液が処理槽から溢れてしまう場合があった。
【0014】
これにより、処理層内の液量が大きく減少してしまうことから、エッチング処理を安定して実施することが困難となる恐れがあった。
【0015】
そこで、上述の問題点を克服し、添加剤が添加されたリン酸水溶液によるエッチング処理を安定して実施することができる技術の実現が期待されている。
【0016】
<基板処理システムの構成>
まず、実施形態に係る基板処理システム1の構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理システム1の構成を示す概略ブロック図である。基板処理システム1は、基板処理装置の一例である。
【0017】
図1に示すように、実施形態に係る基板処理システム1は、キャリア搬入出部2と、ロット形成部3と、ロット載置部4と、ロット搬送部5と、ロット処理部6と、制御部7とを備える。
【0018】
キャリア搬入出部2は、キャリアステージ20と、キャリア搬送機構21と、キャリアストック22、23と、キャリア載置台24とを備える。
【0019】
キャリアステージ20は、外部から搬送された複数のキャリア9を載置する。キャリア9は、複数(たとえば、25枚)のウェハWを水平姿勢で上下に並べて収容する容器である。キャリア搬送機構21は、キャリアステージ20、キャリアストック22、23およびキャリア載置台24の間でキャリア9の搬送を行う。
【0020】
キャリア載置台24に載置されたキャリア9からは、処理される前の複数のウェハWが後述する基板搬送機構30によりロット処理部6に搬出される。また、キャリア載置台24に載置されたキャリア9には、処理された複数のウェハWが基板搬送機構30によりロット処理部6から搬入される。
【0021】
ロット形成部3は、基板搬送機構30を有し、ロットを形成する。ロットは、1または複数のキャリア9に収容されたウェハWを組合せて同時に処理される複数(たとえば、50枚)のウェハWで構成される。1つのロットを形成する複数のウェハWは、互いの板面を対向させた状態で一定の間隔をあけて配列される。
【0022】
基板搬送機構30は、キャリア載置台24に載置されたキャリア9とロット載置部4との間で複数のウェハWを搬送する。
【0023】
ロット載置部4は、ロット搬送台40を有し、ロット搬送部5によってロット形成部3とロット処理部6との間で搬送されるロットを一時的に載置(待機)する。ロット搬送台40は、ロット形成部3で形成された処理される前のロットを載置する搬入側載置台41と、ロット処理部6で処理されたロットを載置する搬出側載置台42とを有する。搬入側載置台41および搬出側載置台42には、1ロット分の複数のウェハWが起立姿勢で前後に並んで載置される。
【0024】
ロット搬送部5は、ロット搬送機構50を有し、ロット載置部4とロット処理部6との間やロット処理部6の内部でロットの搬送を行う。ロット搬送機構50は、レール51と、移動体52と、基板保持体53とを有する。
【0025】
レール51は、ロット載置部4およびロット処理部6に渡って、X軸方向に沿って配置される。移動体52は、複数のウェハWを保持しながらレール51に沿って移動可能に構成される。基板保持体53は、移動体52に配置され、起立姿勢で前後に並んだ複数のウェハWを保持する。
【0026】
ロット処理部6は、1ロット分の複数のウェハWに対し、エッチング処理や洗浄処理、乾燥処理などを一括で行う。ロット処理部6には、2台のエッチング処理装置60と、洗浄処理装置70と、洗浄処理装置80と、乾燥処理装置90とが、レール51に沿って並んで配置される。
【0027】
エッチング処理装置60は、1ロット分の複数のウェハWに対してエッチング処理を一括で行う。洗浄処理装置70は、1ロット分の複数のウェハWに対して洗浄処理を一括で行う。洗浄処理装置80は、基板保持体53の洗浄処理を行う。乾燥処理装置90は、1ロット分の複数のウェハWに対して乾燥処理を一括で行う。なお、エッチング処理装置60、洗浄処理装置70、洗浄処理装置80および乾燥処理装置90の台数は、
図1の例に限られない。
【0028】
エッチング処理装置60は、エッチング処理用の処理槽61と、リンス処理用の処理槽62と、基板昇降機構63、64とを備える。
【0029】
処理槽61は、起立姿勢で配列された1ロット分のウェハWを収容可能であり、エッチング処理用の薬液(以下、「エッチング液」とも呼称する。)が貯留される。処理槽61の詳細については後述する。
【0030】
処理槽62には、リンス処理用の処理液(脱イオン水等)が貯留される。基板昇降機構63、64には、ロットを形成する複数のウェハWが起立姿勢で前後に並んで保持される。
【0031】
エッチング処理装置60は、ロット搬送部5で搬送されたロットを基板昇降機構63で保持し、処理槽61のエッチング液に浸漬させてエッチング処理を行う。エッチング処理は、たとえば、1時間~3時間程度行われる。
【0032】
処理槽61においてエッチング処理されたロットは、ロット搬送部5によって処理槽62に搬送される。そして、エッチング処理装置60は、搬送されたロットを基板昇降機構64にて保持し、処理槽62のリンス液に浸漬させることによってリンス処理を行う。処理槽62においてリンス処理されたロットは、ロット搬送部5で洗浄処理装置70の処理槽71に搬送される。
【0033】
洗浄処理装置70は、洗浄用の処理槽71と、リンス処理用の処理槽72と、基板昇降機構73、74とを備える。洗浄用の処理槽71には、洗浄用の薬液(以下、「洗浄薬液」とも呼称する)が貯留される。洗浄薬液は、たとえば、SC-1(アンモニア、過酸化水素および水の混合液)などである。
【0034】
リンス処理用の処理槽72には、リンス処理用の処理液(脱イオン水等)が貯留される。基板昇降機構73、74には、1ロット分の複数のウェハWが起立姿勢で前後に並んで保持される。
【0035】
洗浄処理装置70は、ロット搬送部5で搬送されたロットを基板昇降機構73にて保持し、処理槽71の洗浄液に浸漬させることによって洗浄処理を行う。
【0036】
処理槽71において洗浄処理されたロットは、ロット搬送部5によって処理槽72に搬送される。そして、洗浄処理装置70は、搬送されたロットを基板昇降機構74にて保持し、処理槽72のリンス液に浸漬させることによってリンス処理を行う。処理槽72においてリンス処理されたロットは、ロット搬送部5で乾燥処理装置90の処理槽91に搬送される。
【0037】
乾燥処理装置90は、処理槽91と、基板昇降機構92とを有する。処理槽91には、乾燥処理用の処理ガスが供給される。基板昇降機構92には、1ロット分の複数のウェハWが起立姿勢で前後に並んで保持される。
【0038】
乾燥処理装置90は、ロット搬送部5で搬送されたロットを基板昇降機構92で保持し、処理槽91内に供給される乾燥処理用の処理ガスを用いて乾燥処理を行う。処理槽91で乾燥処理されたロットは、ロット搬送部5でロット載置部4に搬送される。
【0039】
洗浄処理装置80は、ロット搬送機構50の基板保持体53に洗浄用の処理液を供給し、さらに乾燥ガスを供給することで、基板保持体53の洗浄処理を行う。
【0040】
制御部7は、基板処理システム1の各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6など)の動作を制御する。制御部7は、スイッチや各種センサなどからの信号に基づいて、基板処理システム1の各部の動作を制御する。
【0041】
制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御部7は、図示しない記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0042】
制御部7は、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体8を有する。記憶媒体8には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御する上記プログラムが格納される。プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体8に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部7の記憶媒体8にインストールされたものであってもよい。
【0043】
コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体8としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0044】
<エッチング処理装置の構成>
次に、ウェハWのエッチング処理を実施するエッチング処理装置60の構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、実施形態に係るエッチング処理装置60の構成を示す概略ブロック図である。
【0045】
エッチング処理装置60は、エッチング液供給部100と、基板処理部110とを備える。エッチング液供給部100は、エッチング液Lを生成して基板処理部110に供給する。エッチング液Lは、処理液の一例である。
【0046】
エッチング液供給部100は、リン酸水溶液供給部101と、シリコン溶液供給部102と、析出抑制剤供給部103と、混合機構104と、エッチング液供給路105と、流量調整器106とを備える。
【0047】
リン酸水溶液供給部101は、リン酸水溶液を混合機構104に供給する。かかるリン酸水溶液供給部101は、リン酸水溶液供給源101aと、リン酸水溶液供給路101bと、流量調整器101cとを有する。
【0048】
リン酸水溶液供給源101aは、たとえば、リン酸水溶液を貯留するタンクである。リン酸水溶液供給路101bは、リン酸水溶液供給源101aと混合機構104とを接続し、リン酸水溶液供給源101aから混合機構104にリン酸水溶液を供給する。
【0049】
流量調整器101cは、リン酸水溶液供給路101bに配置され、混合機構104に供給されるリン酸水溶液の流量を調整する。流量調整器101cは、開閉弁、流量制御弁および流量計などを有する。
【0050】
シリコン溶液供給部102は、シリコン溶液を混合機構104に供給する。かかるシリコン溶液供給部102は、シリコン溶液供給源102aと、シリコン溶液供給路102bと、流量調整器102cとを有する。
【0051】
シリコン溶液供給源102aは、たとえば、シリコン溶液を貯留するタンクである。シリコン溶液供給路102bは、シリコン溶液供給源102aと混合機構104とを接続し、シリコン溶液供給源102aから混合機構104にシリコン溶液を供給する。
【0052】
流量調整器102cは、シリコン溶液供給路102bに配置され、混合機構104に供給されるシリコン溶液の流量を調整する。流量調整器102cは、開閉弁、流量制御弁および流量計などを有する。実施形態に係るシリコン溶液は、たとえば、コロイダルシリコンを分散させた溶液である。
【0053】
析出抑制剤供給部103は、析出抑制剤を混合機構104に供給する。かかる析出抑制剤供給部103は、析出抑制剤供給源103aと、析出抑制剤供給路103bと、流量調整器103cとを有する。
【0054】
析出抑制剤供給源103aは、たとえば、析出抑制剤を貯留するタンクである。析出抑制剤供給路103bは、析出抑制剤供給源103aと混合機構104とを接続し、析出抑制剤供給源103aから混合機構104に析出抑制剤を供給する。
【0055】
流量調整器103cは、析出抑制剤供給路103bに配置され、混合機構104に供給される析出抑制剤の流量を調整する。流量調整器103cは、開閉弁、流量制御弁および流量計などを有する。
【0056】
実施形態に係る析出抑制剤は、シリコン酸化物の析出を抑止する成分を含むものであればよい。析出抑制剤は、たとえば、リン酸水溶液に溶解したシリコンイオンを溶解した状態で安定化させてシリコン酸化物の析出を抑制するような成分を含んでもよい。また、析出抑制剤は、その他の公知の方法でシリコン酸化物の析出を抑制するような成分を含んでもよい。
【0057】
実施形態に係る析出抑制剤には、たとえば、フッ素成分を含むヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)水溶液を用いることができる。また、析出抑制剤は、水溶液中のヘキサフルオロケイ酸を安定化させるため、アンモニアなどの添加物を含んでもよい。
【0058】
実施形態に係る析出抑制剤としては、たとえば、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(NH4)2SiF6や、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム(Na2SiF6)などを用いることができる。
【0059】
また、実施形態に係る析出抑制剤は、イオン半径が0.2Åから0.9Åの陽イオンである元素を含む化合物であってもよい。ここで、「イオン半径」とは、結晶格子の格子定数から得られる陰イオンと陽イオンの半径の和から経験に求められたイオンの半径である。
【0060】
実施形態に係る析出抑制剤は、たとえば、アルミニウム、カリウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、モリブデン、ハフニウム、ニッケルおよびクロムのいずれかの元素の酸化物を含んでもよい。
【0061】
また、実施形態に係る析出抑制剤は、上述のいずれかの元素の酸化物に代えてまたは加えて、上述のいずれかの元素の窒化物、塩化物、臭化物、水酸化物および硝酸塩のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0062】
実施形態に係る析出抑制剤は、たとえば、Al(OH)3、AlCl3、AlBr3、Al(NO3)3、Al2(SO4)3、AlPO4およびAl2O3のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0063】
また、実施形態に係る析出抑制剤は、KCl、KBr、KOHおよびKNO3のうち少なくとも1つを含んでもよい。さらに、実施形態に係る析出抑制剤は、LiCl、NaCl、MgCl2、CaCl2およびZrCl4のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0064】
混合機構104は、リン酸水溶液と、シリコン溶液と、析出抑制剤とを混合して、エッチング液Lを生成する。すなわち、実施形態に係るエッチング液Lは、リン酸水溶液と、析出抑制剤と、シリコン溶液とを含有する。
【0065】
また、実施形態に係るシリコン溶液および析出抑制剤の少なくとも一方は、溶媒としてアルコールを含有する。かかる溶媒として含まれるアルコールは、たとえば、メタノール、エタノール、プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコールのいずれかである。このように、実施形態に係るエッチング液Lは、リン酸水溶液と、上記のアルコールとを含有する。
【0066】
エッチング液供給路105は、混合機構104と処理槽61の外槽112とを接続し、混合機構104から外槽112にエッチング液Lを供給する。
【0067】
流量調整器106は、エッチング液供給路105に配置され、外槽112に供給されるエッチング液Lの流量を調整する。流量調整器106は、開閉弁、流量制御弁および流量計などを有する。
【0068】
基板処理部110は、エッチング液供給部100から供給されたエッチング液LにウェハWを浸漬して、かかるウェハWにエッチング処理を施す。ウェハWは、基板の一例である。実施形態では、たとえば、ウェハW上に形成されたシリコン窒化膜およびシリコン酸化膜のうち、シリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができる。
【0069】
基板処理部110は、処理槽61と、基板昇降機構63と、循環路120と、DIW供給部130と、バブリングガス供給部140と、処理液排出部150とを備える。処理槽61は、内槽111と、外槽112と、蓋体113とを有する。
【0070】
内槽111は、エッチング液L中にウェハWを浸漬させるための槽であり、浸漬用のエッチング液Lを収容する。内槽111は、上部に開口部111aを有し、エッチング液Eが開口部111a付近まで貯留される。
【0071】
内槽111では、基板昇降機構63を用いて複数のウェハWがエッチング液Lに浸漬され、ウェハWにエッチング処理が行われる。かかる基板昇降機構63は、昇降可能に構成され、複数のウェハWを垂直姿勢で前後に並べて保持する。
【0072】
外槽112は、内槽111を囲むように内槽111の外側に配置され、内槽111の開口部111aから流出するエッチング液Lを受ける。
図2に示すように、外槽112の液位は、内槽111の液位よりも低く維持される。
【0073】
また、外槽112は、図示しない温度センサおよびリン酸濃度センサを有する。かかる温度センサは、エッチング液Lの温度を検出し、リン酸濃度センサは、エッチング液Lのリン酸濃度を検出する。外槽112の温度センサおよびリン酸濃度センサで生成された信号は、上述の制御部7に送信される。
【0074】
蓋体113は、内槽111の開口部111aを開閉する。すなわち、蓋体113は、内槽111の開口部111aを覆う閉鎖位置と、開口部111aを開放する開放位置との間で移動することができる。
【0075】
制御部7(
図1参照)は、蓋体113を閉鎖位置に配置することにより、内槽111内のエッチング液Lの揮発を抑制することができる。また、制御部7は、蓋体113を開放位置に配置することにより、ウェハWを内槽111に搬入および搬出することができる。
【0076】
なお、
図2の例では、2枚の蓋体113で開口部111aを開閉するように構成される例について示しているが、蓋体113の構成はかかる例に限られず、たとえば、1枚の蓋体113で開口部111aが開閉するように構成されてもよい。
【0077】
内槽111、外槽112および蓋体113は、たとえば、石英などの耐熱性および耐薬品性の高い材料で構成される。これにより、制御部7は、高温(たとえば、150℃以上)に保持されたエッチング液LでウェハWをエッチング処理することができることから、ウェハWを効率よくエッチング処理することができる。
【0078】
外槽112と内槽111とは、循環路120によって接続される。循環路120の一端は外槽112の底部に接続され、循環路120の他端は内槽111内に位置する処理液供給ノズル125に接続される。
【0079】
循環路120には、外槽112側から順に、ポンプ121と、ヒータ122と、フィルタ123と、シリコン濃度センサ124とが位置する。
【0080】
ポンプ121は、外槽112から循環路120を経て内槽111に送られるエッチング液Lの循環流を形成する。また、エッチング液Lは、内槽111の開口部111aからオーバーフローすることで、再び外槽112へと流出する。このようにして、基板処理部110内にエッチング液Lの循環流が形成される。すなわち、かかる循環流は、外槽112、循環路120および内槽111において形成される。
【0081】
ヒータ122は、循環路120を循環するエッチング液Lの温度を調整する。フィルタ123は、循環路120を循環するエッチング液Lを濾過する。シリコン濃度センサ124は、循環路120を循環するエッチング液Lのシリコン濃度を検出する。シリコン濃度センサ124で生成された信号は、制御部7に送信される。
【0082】
DIW供給部130は、DIW供給源130aと、DIW供給路130bと、流量調整器130cとを有する。DIW供給部130は、処理槽61に貯留されるエッチング液Lの濃度を調整するため、外槽112にDIW(DeIonized Water:脱イオン水)を供給する。
【0083】
DIW供給路130bは、DIW供給源130aと外槽112とを接続し、DIW供給源130aから外槽112に所定温度のDIWを供給する。
【0084】
流量調整器130cは、DIW供給路130bに配置され、外槽112へ供給されるDIWの供給量を調整する。流量調整器130cは、開閉弁、流量制御弁および流量計などを有する。流量調整器130cによってDIWの供給量が調整されることで、エッチング処理装置60内のエッチング液Lの温度、リン酸濃度、シリコン濃度および析出抑制剤濃度が調整される。
【0085】
バブリングガス供給部140は、内槽111に貯留されるエッチング液L中に不活性ガス(たとえば窒素ガス)の気泡を吐出する。バブリングガス供給部140は、不活性ガス供給源140aと、不活性ガス供給路140bと、流量調整器140cと、ガスノズル140dとを有する。
【0086】
不活性ガス供給路140bは、不活性ガス供給源140aとガスノズル140dとを接続し、不活性ガス供給源140aからガスノズル140dに不活性ガス(たとえば窒素ガス)を供給する。
【0087】
流量調整器140cは、不活性ガス供給路140bに配置され、ガスノズル140dへ供給される不活性ガスの供給量を調整する。流量調整器140cは、開閉弁、流量制御弁および流量計などを有する。
【0088】
ガスノズル140dは、たとえば、内槽111内においてウェハWおよび処理液供給ノズル125の下方に位置する。ガスノズル140dは、内槽111に貯留されるエッチング液Lに不活性ガスの気泡を吐出する。
【0089】
実施形態に係るエッチング処理装置60は、ガスノズル140dから不活性ガスの気泡を吐出することにより、内槽111内に並んで位置する複数のウェハWの間の隙間に速い流れのエッチング液Lを供給することができる。したがって、実施形態によれば、複数のウェハWを効率よくかつ均等にエッチング処理することができる。
【0090】
処理液排出部150は、エッチング処理で使用されたエッチング液Lの全部、または一部を入れ替える際などに、エッチング液LをドレインDRに排出する。処理液排出部150は、排出路150aと、流量調整器150bと、冷却タンク150cとを有する。
【0091】
排出路150aは、循環路120に接続される。流量調整器150bは、排出路150aに配置され、排出されるエッチング液Lの排出量を調整する。流量調整器150bは、開閉弁、流量制御弁および流量計などを有する。
【0092】
冷却タンク150cは、排出路150aを流れてきたエッチング液Lを一時的に貯留するとともに冷却する。冷却タンク150cでは、流量調整器150bによってエッチング液Lの排出量が調整される。
【0093】
ここまで説明したエッチング処理装置60では、シリコン溶液および析出抑制剤(以下、総称して「添加剤」とも呼称する。)の少なくとも一方に用いられるアルコールが高温のエッチング液L内で沸騰して、エッチング液L内に多量の泡B(
図4A参照)が発生する場合がある。
【0094】
また、エッチング処理装置60では、バブリングガス供給部140から吐出される不活性ガスの気泡に起因して、エッチング液L内に多量の泡Bが発生する場合がある。
【0095】
さらに、エッチング液Lには界面活性剤として機能するアルコールが含まれていることから、一度発生した泡Bはなかなか消泡しないため、多量の泡Bを含んだエッチング液Lが外槽112から外部に溢れてしまう恐れがあった。
【0096】
そこで、実施形態に係る基板処理システム1では、処理槽61を以下に説明する構成にすることにより、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。
【0097】
<処理槽の詳細>
つづいて、実施形態に係る処理槽61の詳細な構成について、
図3~
図6を参照しながら説明する。
図3は、実施形態に係る処理槽61の構成を示す拡大断面図である。なお、
図3は、蓋体113が閉鎖位置に配置され、内槽111の縁部111bと蓋体113との間の隙間からエッチング液Lが外槽112に流出する場合の状態を示している。
【0098】
実施形態に係る処理槽61は、上述した内槽111、外槽112および蓋体113に加えて、接液部材114を備える。かかる接液部材114は、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが内槽111から外槽112に流出する際に、かかるエッチング液Lと接触する位置に配置される。
【0099】
たとえば、
図3に示すように、接液部材114は、外槽112の内壁面112aに配置される。かかる接液部材114は、たとえば、外槽112の内壁面112aにおいて、あらかじめ設定されている外槽112の液位よりも下の位置から、外槽112の縁部112bまでの間に配置される。
【0100】
また、実施形態に係る接液部材114は、疎水性を有する材料で構成される。そして、実施形態に係る処理槽61は、疎水性の接液部材114に泡Bを含むエッチング液Lを接触させることにより、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。そのメカニズムについて、以下に説明する。
【0101】
図4A~
図4Dは、疎水性の接液部材114による泡Bの消泡メカニズムについて説明するための図である。
図4Aは、接液部材114の表面114aに泡Bが付着した直後の状態を示している。
【0102】
図4Aに示すように、添加剤のアルコールが界面活性剤Sとして泡Bの表面を覆うことにより、接液部材114の表面114aに付着した後も泡Bは発泡せずに維持される。一方で、接液部材114の表面114aは疎水面であり、接液部材114の表面114aには液膜が形成されないことから、界面活性剤Sもほぼ存在しない。
【0103】
これにより、泡Bと接液部材114の表面114aとの接触部において界面活性剤Sの濃度勾配が生じるため、かかる接触部近傍の界面活性剤Sが接液部材114の表面114aに移動する。そのため、
図4Bに示すように、泡Bにおいて、接液部材114の表面114aとの接触部とそれ以外の部位との間に界面活性剤Sの濃度勾配(すなわち、表面張力の局所的な勾配)が生じる。
【0104】
そして、泡Bでは、表面張力の局所的な勾配を無くそうとする効果(いわゆるマランゴニ効果)が生じるため、
図4Cに示すように、泡Bの全体で界面活性剤Sの分布が略均等になる。
【0105】
しかしながら、泡Bでは、泡Bと接液部材114の表面114aとの接触部において界面活性剤Sの濃度勾配が再度生じるため、かかる接触部近傍の界面活性剤Sが接液部材114の表面114aに移動する。
【0106】
このように、接液部材114の表面114aに吸着した泡Bでは、接触部近傍の界面活性剤Sが接液部材114の表面114aに移動する現象と、マランゴニ効果に起因する現象とが交互にくり返し発生する。
【0107】
これにより、泡Bの表面を覆う界面活性剤Sの量が次第に減少することから、泡Bの表面張力が徐々に上昇し、最終的には
図4Dに示すように、接液部材114の表面114aに付着した泡Bが発泡する。
【0108】
このように、実施形態に係る処理槽61は、疎水性の接液部材114に泡Bを含むエッチング液Lを接触させることにより、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。したがって、実施形態によれば、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0109】
なお、内槽111、外槽112および蓋体113の母材として用いられる石英は、表面が親水性を有することから、それ自体では
図4A~
図4Dで説明した泡Bの消泡現象は生じ難い。
【0110】
接液部材114の材質は、たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)およびPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)のいずれかであるとよい。
【0111】
実施形態では、接液部材114が上記の材質のように疎水性および高い耐薬品性を有することにより、リン酸水溶液を含んだエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0112】
図5は、実施形態に係る処理槽61における接液部材114の配置の一例を示す平面図である。
図5に示すように、処理槽61において、外槽112は、平面視で内槽111の四方を囲むように配置される。
【0113】
また、
図5の例では、内槽111における四方の縁部111bのうち、エッチング液Lが流出する内槽111の二方の縁部111b(図では左右の縁部111b)からエッチング液Lが外槽112に流出する。
【0114】
そして、実施形態に係る接液部材114は、外槽112における四方の内壁面112aのうち、二方の内壁面112aに配置されるとよい。また、この接液部材114は、エッチング液Lが流出する内槽111の二方の縁部111bと向かい合って配置されるとよい。
【0115】
このように、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが流出する内槽111の縁部111bの近傍に接液部材114を配置することにより、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0116】
なお、実施形態に係る接液部材114の配置は、
図5の例に限られない。
図6は、実施形態に係る処理槽61における接液部材114の配置の別の一例を示す平面図である。
図6の例では、内槽111における四方の縁部111bのすべてからエッチング液Lが外槽112に流出する。
【0117】
そして、実施形態に係る接液部材114は、外槽112における四方の内壁面112aのすべてに配置されるとよい。すなわち、この接液部材114は、エッチング液Lが流出する内槽111の四方の縁部111bのすべてと向かい合って配置されるとよい。
【0118】
このように、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが流出する内槽111の縁部111bの近傍に接液部材114を配置することにより、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0119】
ここまで説明したように、実施形態に係る接液部材114は、外槽112における四方の内壁面112aのうち、少なくとも二方の内壁面112aに配置されるとよい。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0120】
なお、
図5および
図6には示していないが、外槽112における四方の内壁面112aのうち、三方の内壁面112aに接液部材114が配置されていてもよい。
【0121】
また、実施形態に係る処理槽61は、外槽112の内壁面112aに疎水性の接液部材114が配置される場合に限られず、かかる外槽112の内壁面112a自体が疎水面であってもよい。
【0122】
すなわち、実施形態に係る処理槽61は、泡Bを含むエッチング液Lが内槽111から外槽112に流出する際にエッチング液Lと接触する接触面の少なくとも一部(ここでは、外槽112の内壁面112a)が疎水面であってもよい。
【0123】
これによっても、上述したように、疎水面である外槽112の内壁面112aで泡Bを消泡させることができることから、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。したがって、実施形態によれば、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0124】
なお、親水性を有する母材(石英)の表面を疎水面にする手法としては、疎水性を有する材料のコーティング処理またはライニング処理といった既存の手法を用いることができる。
【0125】
<変形例1>
つづいて、実施形態に係る基板処理システム1の各種変形例について、
図7~
図22を参照しながら説明する。
図7は、実施形態の変形例1に係る処理槽61の構成を示す拡大断面図である。なお、以下の各種変形例では、実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0126】
変形例1に処理槽61は、接液部材114の配置が上述の実施形態と異なる。具体的には、変形例1では、接液部材114が板状であり、外槽112の内部に立設される。かかる接液部材114は、たとえば平板状であり、外槽112の底面から、あらかじめ設定されている外槽112の液位よりも上の位置までの間に配置される。
【0127】
変形例1では、
図7に示す位置に接液部材114を配置することにより、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが内槽111から外槽112に流出する際に、エッチング液Lを疎水性の接液部材114に接触させることができる。
【0128】
これにより、変形例1では、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができることから、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0129】
図8は、実施形態の変形例1に係る処理槽61における接液部材114の配置の一例を示す平面図である。なお、
図8の例では、内槽111における四方の縁部111bのうち、エッチング液Lが流出する内槽111の二方の縁部111b(図では左右の縁部111b)からエッチング液Lが外槽112に流出する。
【0130】
そして、変形例1に係る接液部材114は、内槽111の四方に位置する外槽112のうち、二方の外槽112に配置されるとよい。また、この接液部材114は、エッチング液Lが流出する内槽111の二方の縁部111bと向かい合って配置されるとよい。
【0131】
このように、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが流出する内槽111の縁部111bの近傍に接液部材114を配置することにより、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0132】
なお、変形例1に係る接液部材114の配置は、
図8の例に限られない。
図9は、実施形態の変形例1に係る処理槽61における接液部材114の配置の別の一例を示す平面図である。
図9の例では、内槽111における四方の縁部111bのすべてからエッチング液Lが外槽112に流出する。
【0133】
そして、変形例1に係る接液部材114は、内槽111の四方に位置する四方の外槽112のすべてに配置されるとよい。すなわち、この接液部材114は、エッチング液Lが流出する内槽111の四方の縁部111bのすべてと向かい合って配置されるとよい。
【0134】
このように、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが流出する内槽111の縁部111bの近傍に接液部材114を配置することにより、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0135】
ここまで説明したように、変形例1に係る接液部材114は、内槽111の四方に位置する四方の外槽112のうち、少なくとも二方の外槽112に配置されるとよい。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0136】
なお、
図8および
図9には示していないが、内槽111の四方に位置する外槽112のうち、三方の外槽112に接液部材114が配置されていてもよい。
【0137】
また、上記の例では、接液部材114が平板状である場合について示したが、接液部材114の形状は平板状に限られない。
図10および
図11は、実施形態の変形例1に係る接液部材114の別の形状の一例を示す斜視図である。
【0138】
図10に示すように、変形例1に係る接液部材114は、柱状部材が組み合わせられて構成されていてもよい。これにより、接液部材114の表面積を増やすことができることから、エッチング液L内で発生した泡B(
図4A参照)をさらに効率よく消泡することができる。
【0139】
また、
図11に示すように、変形例1に係る接液部材114は、ジグザグ状に構成されていてもよい。これによっても、接液部材114の表面積を増やすことができることから、エッチング液L内で発生した泡B(
図4A参照)をさらに効率よく消泡することができる。
【0140】
なお、変形例1において接液部材114の表面積を増やす手法は、
図10および
図11の例に限られない。たとえば、板状部材が中抜きにされた形状であってもよいし、板状部材の表面が粗面になっていてもよい。これによっても、接液部材114の表面積を増やすことができることから、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0141】
<変形例2>
図12は、実施形態の変形例2に係る処理槽61の構成を示す拡大断面図であり、
図13は、実施形態の変形例2に係る処理槽61における接液部材114の配置の一例を示す平面図である。なお、
図13では、蓋体113の図示が省略されている。
【0142】
図12に示すように、変形例2に係る接液部材114は、蓋体113の底面113aに配置される。また、
図13に示すように、変形例2に係る接液部材114は、たとえば、内槽111における四方の縁部111bのうち、エッチング液Lが流出する内槽111の二方の縁部111b(図では左右の縁部111b)に沿って配置される。
【0143】
変形例2では、上述の位置に接液部材114を配置することにより、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが内槽111から外槽112に流出する際に、エッチング液Lを疎水性の接液部材114に接触させることができる。
【0144】
これにより、変形例2では、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができることから、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0145】
また、変形例2に係る接液部材114は、エッチング液Lが流出する内槽111の二方の縁部111bに沿って配置されるとよい。すなわち、変形例2に係る接液部材114は、底面113bにおいて、エッチング液Lが流出する縁部111bと蓋体113との間の隙間に隣接する部位以外の部位には配置されないとよい。
【0146】
これにより、石英で構成される蓋体113の中央部(接液部材114が配置されない部位)を介して、外部から内槽111の内部を視認することができる。したがって、変形例2によれば、エッチング処理中のウェハWの状態を視認することができることから、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理をさらに安定して実施することができる。
【0147】
なお、変形例2において、内槽111の三方または四方の縁部111bからエッチング液Lが流出する場合、かかる内槽111の三方または四方の縁部111bに沿って接液部材114が配置されるとよい。
【0148】
また、変形例2に係る処理槽61は、蓋体113の底面113bに疎水性の接液部材114が配置される場合に限られず、かかる蓋体113の底面113b自体が疎水面であってもよい。
【0149】
これによっても、疎水面である蓋体113の底面113bで泡Bを消泡させることができることから、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。したがって、変形例2によれば、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0150】
<変形例3>
図14は、実施形態の変形例3に係る処理槽61の構成を示す拡大断面図であり、
図15は、実施形態の変形例3に係る処理槽61における接液部材114の配置の一例を示す平面図である。
【0151】
図14に示すように、変形例3に係る接液部材114は、内槽111の縁部111bに配置される。また、
図15に示すように、変形例3に係る接液部材114は、たとえば、内槽111における四方の縁部111bのうち、エッチング液Lが流出する内槽111の二方の縁部111b(図では左右の縁部111b)に配置される。
【0152】
これにより、変形例3では、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが内槽111から外槽112に流出する際に、エッチング液Lを疎水性の接液部材114に接触させることができる。
【0153】
したがって、変形例3によれば、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができることから、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0154】
また、変形例3に係る接液部材114は、
図14に示すように、縁部111bに隣接する内槽111の内壁面111cと、縁部111bに隣接する内槽111の外壁面111dとに配置されてもよい。
【0155】
すなわち、変形例3に係る接液部材114は、内槽111の縁部111bの近傍に配置されてもよい。これにより、変形例3では、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0156】
なお、変形例3において、内槽111の三方または四方の縁部111bからエッチング液Lが流出する場合、かかる内槽111の三方または四方の縁部111bに接液部材114が配置されるとよい。
【0157】
また、変形例3に係る処理槽61は、内槽111の縁部111bに疎水性の接液部材114が配置される場合に限られず、かかる内槽111の縁部111b自体が疎水面であってもよい。
【0158】
これによっても、疎水面である内槽111の縁部111bで泡Bを消泡させることができることから、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。したがって、変形例3によれば、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0159】
<変形例4>
図16は、実施形態の変形例4に係る処理槽61の構成を示す拡大断面図であり、
図17は、実施形態の変形例4に係る処理槽61における接液部材114の配置の一例を示す平面図である。また、
図18は、実施形態の変形例4に係る接液部材114の形状の一例を示す斜視図である。
【0160】
図16に示すように、変形例4に係る接液部材114は、内槽111から外槽112に流出するエッチング液Lを遮るように配置される。たとえば、
図16に示すように、変形例4に係る接液部材114は、あらかじめ設定されている外槽112の液位よりも上の位置であり、かつエッチング液Lが流出する内槽111の縁部111bよりも下の位置に配置される。
【0161】
また、
図17に示すように、変形例4に係る接液部材114は、たとえば、内槽111における四方の縁部111bのうち、エッチング液Lが流出する内槽111の二方の縁部111b(図では左右の縁部111b)に沿って配置される。さらに、
図18などに示すように、変形例4に係る接液部材114は、梯子状の形状を有する。
【0162】
変形例4では、上述の位置に梯子状の接液部材114を配置することにより、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが内槽111から外槽112に流出する際に、エッチング液Lを疎水性の接液部材114に接触させることができる。
【0163】
これにより、変形例4では、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができることから、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0164】
また、変形例4では、接液部材114が梯子状であるとよい。これにより、接液部材114の表面積を増やすことができることから、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0165】
なお、変形例4に係る接液部材114の形状は梯子状に限られない。
図19および
図20は、実施形態の変形例4に係る接液部材114の別の形状の一例を示す斜視図である。
【0166】
図19に示すように、変形例4に係る接液部材114は、傾斜面を有する構造であってもよい。これによっても、接液部材114の表面積を増やすことができることから、エッチング液L内で発生した泡B(
図4A参照)をさらに効率よく消泡することができる。
【0167】
また、
図20に示すように、変形例4に係る接液部材114は、格子状の形状を有していてもよい。これによっても、接液部材114の表面積を増やすことができることから、エッチング液L内で発生した泡B(
図4A参照)をさらに効率よく消泡することができる。
【0168】
なお、変形例4において、内槽111の三方または四方の縁部111bからエッチング液Lが流出する場合、かかる内槽111の三方または四方の縁部111bに沿って接液部材114が配置されるとよい。
【0169】
<変形例5>
図21は、実施形態の変形例5に係る基板昇降機構63の構成を示す斜視図である。
図21に示すように、基板昇降機構63は、背板部63aと、支持部63bとを有する。背板部63aは、略平板状であり、鉛直方向に延びる。支持部63bは、背板部63aから水平方向に延び、起立姿勢のウェハWを支持する。
【0170】
図22は、実施形態の変形例5に係る基板処理部110の構成を示す拡大断面図である。なお、
図22は、基板昇降機構63が下降位置に配置され、ウェハW(
図21参照)がエッチング液Lに浸漬されている場合の状態を示している。
【0171】
図22に示すように、変形例5に係る接液部材114は、基板昇降機構63の表面の一部に配置される。変形例5に係る接液部材114は、たとえば、基板昇降機構63の背板部63aにおいて、あらかじめ設定されている内槽111の液位よりも下の位置から、背板部63aの上端部までの間に配置される。
【0172】
変形例5では、上述の位置に接液部材114を配置することにより、泡B(
図4A参照)を含むエッチング液Lが内槽111から外槽112に流出する際に、エッチング液Lを疎水性の接液部材114に接触させることができる。
【0173】
これにより、変形例5では、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができることから、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0174】
なお、変形例5に係る基板処理部110は、基板昇降機構63の表面の一部に疎水性の接液部材114が配置される場合に限られず、かかる基板昇降機構63の表面の一部自体が疎水面であってもよい。
【0175】
これによっても、疎水面である基板昇降機構63の表面の一部で泡Bを消泡させることができることから、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。したがって、変形例5によれば、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0176】
実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)は、内槽111と、外槽112と、蓋体113と、接液部材114とを備える。内槽111は、上部に開口部111aを有し、基板(ウェハW)を処理液(エッチング液L)に浸漬させる。外槽112は、内槽111の外側に配置され、開口部111aから流出する処理液(エッチング液L)を受ける。蓋体113は、開口部111aを開閉する。接液部材114は、疎水性を有し、泡Bを含む処理液(エッチング液L)が内槽111から外槽112に流出する際に処理液(エッチング液L)と接触する位置に配置される。これにより、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0177】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、接液部材114は、外槽112の内壁面112aに配置される。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。
【0178】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、外槽112は、内槽111の四方を囲むように配置される。また、接液部材114は、外槽112における四方の内壁面112aのうち、少なくとも二方の内壁面112aに配置される。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0179】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、接液部材114は、板状であり、外槽112の内部に立設される。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。
【0180】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、外槽112は、内槽111の四方を囲むように配置される。また、接液部材114は、内槽111の少なくとも二方を囲むように配置される。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bをさらに効率よく消泡することができる。
【0181】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、接液部材114は、蓋体113の底面113aに配置される。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。
【0182】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、接液部材114は、平面視で処理液(エッチング液L)が流出する内槽111の縁部111bに沿って配置される。これにより、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理をさらに安定して実施することができる。
【0183】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、接液部材114は、処理液(エッチング液L)が流出する内槽111の縁部111bに配置される。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。
【0184】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、接液部材114は、内槽111から外槽112に流出する処理液(エッチング液L)を遮るように配置される。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。
【0185】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)は、基板(ウェハW)を保持して内槽111に搬入出する基板昇降機構63をさらに備える。また、接液部材114は、基板昇降機構63の表面の一部に配置される。これにより、エッチング液L内で発生した泡Bを効率よく消泡することができる。
【0186】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、接液部材114の材質は、PTFE、PFAおよびPCTFEのいずれかである。これにより、リン酸水溶液を含んだエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0187】
実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)は、内槽111と、外槽112と、蓋体113とを備える。内槽111は、上部に開口部111aを有し、基板(ウェハW)を処理液(エッチング液L)に浸漬させる。外槽112は、内槽111の外側に配置され、開口部111aから流出する処理液(エッチング液L)を受ける。蓋体113は、開口部111aを開閉する。また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)は、泡Bを含む処理液(エッチング液L)が内槽111から外槽112に流出する際に処理液(エッチング液L)と接触する接触面の少なくとも一部が疎水面である。これにより、添加剤が添加されたエッチング液Lによる処理を安定して実施することができる。
【0188】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、処理液(エッチング液L)は、アルコールを含む添加剤が添加されたリン酸である。これにより、ウェハW上に積層されたシリコン窒化膜およびシリコン酸化膜のうち、シリコン窒化膜を高い選択比でエッチングすることができる。
【0189】
また、実施形態に係る基板処理装置(基板処理システム1)において、アルコールは、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールのいずれか1種である。これにより、添加剤をリン酸水溶液に良好に添加することができる。
【0190】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の実施形態では、リン酸水溶液、シリコン溶液および析出抑制剤を含有するエッチング液Lを処理液として用いた例について示したが、処理液の組成はかかる例に限られない。
【0191】
たとえば、本開示では、有機酸が処理液として用いられることにより、ウェハWが処理されてもよい。具体的には、たとえば、酢酸、蟻酸、シュウ酸およびマレイン酸のうち少なくとも1種が処理液として用いられることにより、ウェハWが処理されてもよい。
【0192】
このように、有機酸を処理液として用いる場合、かかる有機酸が界面活性剤として機能することから、処理液内で多量の泡が発生する場合がある。そこで、ここまで説明した本開示の技術を適用することにより、有機酸の処理液内で発生した泡を効率よく消泡することができる。
【0193】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0194】
1 基板処理システム(基板処理装置の一例)
61 処理槽
63 基板昇降機構
110 基板処理部
111 内槽
111a 開口部
111b 縁部
112 外槽
112a 内壁面
113 蓋体
113a 底面
114 接液部材
B 泡
W ウェハ(基板の一例)
L エッチング液(処理液の一例)