IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京応化工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光硬化性組成物及びパターン形成方法 図1
  • 特許-光硬化性組成物及びパターン形成方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】光硬化性組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240809BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20240809BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B82Y30/00
C08F2/44 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020205329
(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公開番号】P2022092497
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】昆野 健理
(72)【発明者】
【氏名】森 莉紗子
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-026515(JP,A)
【文献】特開2011-063710(JP,A)
【文献】特開2016-074867(JP,A)
【文献】国際公開第2019/074015(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B82Y 30/00
C08F 2/00-2/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(X)成分:チタニアナノ粒子と、
(T)成分:トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群より選択される紫外線吸収剤と、
(B)成分:重合性官能基を有する光重合性モノマーと、
(C)成分:光重合開始剤と、
を含有
前記(X)成分と前記(B)成分との合計100質量部に対して、前記(X)成分が40~90質量部である、
光硬化性組成物。
【請求項2】
更に、(S)成分:溶剤を含有する、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
前記(T)成分の分子量が400以上である、請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。
【請求項4】
前記光硬化性組成物を用いて形成した硬化膜の、波長530nmにおける屈折率が1.7以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
光インプリントリソグラフィ用である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
基板上に、請求項1~5のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を用いて光硬化性膜を形成する工程と、
凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する工程と、
前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する工程と、
前記硬化膜から前記モールドを剥離する工程と、
を有する、パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性組成物及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ技術は、半導体デバイスの製造プロセスにおけるコアテクノロジーであり、近年の半導体集積回路(IC)の高集積化に伴い、さらなる配線の微細化が進行している。微細化手法としては、より短波長の光源、例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fレーザー、EUV(極端紫外光)、EB(電子線)、X線等を用いる光源波長の短波長化や、露光装置のレンズの開口数(NA)の大口径化(高NA化)等が一般的である。
【0003】
このような中、半導体の微細パターン形成方法として、所定のパターンを有するモールドを、基板上に形成された硬化性膜に押圧して、当該硬化性膜に前記モールドのパターンを転写する、ナノインプリントリソグラフィが生産性等の点から期待されている。
ナノインプリントリソグラフィでは、光(紫外線、電子線)で硬化する光硬化性化合物を含有する光硬化性組成物が用いられている。かかる場合、所定のパターンを有するモールドを、光硬化性化合物を含む硬化性膜に押圧し、次いで、光を照射して光硬化性化合物を硬化させ、その後、硬化膜からモールドを剥離することにより転写パターン(構造体)が得られる。
【0004】
ナノインプリントリソグラフィに用いられる光硬化性組成物には、要求される特性として、スピン塗布などにより基板上に塗布する際の塗布性、加熱や露光による硬化性が挙げられる。基板への塗布性が悪いと、基板上に塗布された光硬化性組成物の膜厚にばらつきが生じて、モールドを硬化性膜に押圧した際にパターン転写性の低下を招きやすい。また、硬化性は、モールド押圧により形成されたパターンを所望の寸法に維持する上で重要な特性である。加えて、光硬化性組成物には、硬化膜からモールドを剥離する際のモールド離型性が良いことも求められる。
【0005】
近年、自動運転用の3DセンサーやAR(拡張現実)グラスのAR導波路の高機能化のために、ナノインプリントリソグラフィを適用することが検討されている。3DセンサーやARグラスにおいては、デバイスの一部を構成する永久膜材料の高屈折率化が求められている。ナノインプリント材料の高屈折率化の一つの手段として、金属酸化物ナノ粒子を添加することが知られている。例えば、特許文献1には、酸化ジルコニウム等の無機粒子を配合することにより高屈折率化を図った光硬化性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-160285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ナノインプリント材料のさらなる高屈折率化のために、金属酸化物ナノ粒子としてチタニアナノ粒子(酸化チタンナノ粒子)を用いることが考えられる。しかしながら、チタニアナノ粒子は、光触媒作用を有し、紫外光の照射により強い酸化作用を発揮して有機物を分解する。そのため、チタニアナノ粒子を用いる場合、硬化膜の耐光性に課題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高屈折率で且つ耐光性が良好な硬化膜を形成可能な、光硬化性組成物、及びパターン形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、(X)成分:チタニアナノ粒子と、(T)成分:トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群より選択される紫外線吸収剤と、(B)成分:重合性官能基を有する光重合性モノマーと、(C)成分:光重合開始剤と、を含有する、光硬化性組成物である。
【0010】
本発明の第2の態様は、基板上に、前記第1の態様の光硬化性組成物を用いて光硬化性膜を形成する工程と、凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する工程と、前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜から前記モールドを剥離する工程と、を有することを特徴とする、パターン形成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高屈折率で且つ耐光性が良好な硬化膜を形成可能な、光硬化性組成物、及びパターン形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ナノインプリントパターン形成方法の一実施形態を説明する概略工程図である。
図2】任意工程の一例を説明する概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【0014】
(光硬化性組成物)
本発明の第1の態様の光硬化性組成物は、(X)成分:チタニアナノ粒子と、(T)成分:トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群より選択される紫外線吸収剤と、(C)成分:光重合開始剤と、を含有する。
【0015】
<(X)成分>
(X)成分は、チタニアナノ粒子である。
「ナノ粒子」とは、ナノメートルオーダー(1000nm未満)の平均一次粒子径を有する粒子を意味する。チタニアナノ粒子とは、ナノメートルオーダーの平均一次粒子径を有するチタニア(TiO)粒子である。
【0016】
(X)成分の平均一次粒子径は、0.1~100nmであることが好ましく、1~60nmであることがより好ましく、1~50nmであることがさらに好ましく、1~45nmであることがさらにより好ましく、1~40nmであることが特に好ましい。(X)成分のチタニアナノ粒子の平均一次粒子径が上記好ましい範囲内であることにより、光硬化性組成物中においてチタニアナノ粒子が良好に分散する。前記平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定した値である。
【0017】
(X)成分としては、市販の金属酸化物ナノ粒子を用いることができる。
市販のチタニアナノ粒子としては、例えば石原産業(株)製TTOシリーズ(TTO-51(A)、TTO-51(C)など)、TTO-S、Vシリーズ(TTO-S-1、TTO-S-2、TTO-V-3など)、石原産業(株)製チタニアゾルLDB-014-35、テイカ(株)製MTシリーズ(MT-01、MT-05、MT-100SA、MT-500SAなど)、日記触媒化成(株)製ELECOM V-9108、堺化学工業(株)製STR-100A-LPなどが挙げられる。
【0018】
本実施形態の光硬化性組成物中、(X)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本実施形態の光硬化性組成物における(X)成分の含有量は、(X)成分と後述の(B)成分との合計100質量部に対して、10~99質量部が好ましく、20~95質量部がより好ましく、30~95質量部がさらに好ましく、40~90質量部がさらにより好ましく、45~85質量部が特に好ましい。
(X)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、光硬化性組成物を用いた形成した樹脂硬化膜の光学特性がより良好となる。一方、(X)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、光硬化性組成物の、モールドへの充填性が良好になる。
【0020】
<(T)成分>
(T)成分は、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群より選択される紫外線吸収剤である。
【0021】
本実施形態において、(T)成分の分子量は400以上であることが好ましい。(T)成分の分子量が前記の好ましい下限値以上であると、光硬化性組成物を用いて形成した硬化膜の耐熱性が向上する。(T)成分の分子量としては、例えば、400~1000、400~800、又は400~700等が挙げられる。
【0022】
≪トリアジン系紫外線吸収剤≫
トリアジン系紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤である。トリアジン系紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤又はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤として市販されているものを特に制限なく用いることができる。トリアジン系紫外線吸収剤又はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤として用いられているものは、通常、分子量400以上である。
【0023】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン及び2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(分子量647)、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(分子量583.8)、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ビス-ブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン(分子量630)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(分子量426)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール(分子量512)、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(分子量700)、2-[4,6-ビス(1,1’-ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[(2-エチルヘキシル)オキシ]フェノール(分子量605.782)、イソオクチル2-[4-[4,6-ビス[(1,1’-ビフェニル)-4-イル]-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシフェノキシ]プロパン酸(分子量677.83)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
上記の中でも、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2-[4,6-ビス(1,1’-ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[(2-エチルヘキシル)オキシ]フェノール(分子量605.782)が好ましい。
【0025】
トリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社製の「TINUVIN400」、「TINUVIN405」、「TINUVIN460」、「TINUVIN477」、「TINUVIN479」、「TINUVIN1577」、「TINUVIN1600」、ADEKA社製の「アデカスタブLA46」、「アデカスタブLA-F70」等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
トリアジン系紫外線吸収剤は、下記一般式(t-1)で表される化合物であってもよい。
【0027】
【化1】
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基である。n及びnは、それぞれ独立に、0~5の整数である。nが2以上の整数であるとき、2以上のRは、同じであってもよく、異なっていてもよい。nが2以上の整数であるとき、2以上のRは、同じであってもよく、異なっていてもよい。Rは、置換基を有してもよいアルキル基である。]
【0028】
式(t-1)中、R及びRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基である。
前記アルコキシキ基及びアルキル基は、鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。前記アルコキシキ及びアルキル基は、炭素数1~20が好ましく、炭素数1~15がより好ましく、炭素数1~10がさらに好ましい。
前記アルコキシ基及びアルキル基は、置換基を有してもよい。前記置換基は、炭化水素鎖の水素原子(-H)を置換するものであってもよく、メチレン基(-CH-)を置換するものであってもよい。水素原子を置換する置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。メチレン基を置換する置換基としては、例えば、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、等が挙げられる。
【0029】
前記アリール基は、炭素数6~20が好ましく、炭素数6~15がより好ましく、炭素数6~10がより好ましい。前記アリール基は、置換基を有してもよい。前記置換基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0030】
及びnは、それぞれ独立に、0~5の整数である。n及びnは、0~4が好ましく、0~3がより好ましい。nが2以上の整数であるとき、2以上のRは、同じであってもよく、異なっていてもよい。nが2以上の整数であるとき、2以上のRは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0031】
式(t-1)中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基である。前記アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。前記アルキル基は、炭素数1~20が好ましく、炭素数1~15がより好ましく、炭素数1~10がさらに好ましい。
前記アルキル基は、置換基を有してもよい。前記置換基は、炭化水素鎖の水素原子を置換するものであってもよく、メチレン基を置換するものであってもよい。水素原子を置換する置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。メチレン基を置換する置換基としては、例えば、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、等が挙げられる。
【0032】
≪ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤≫
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収剤である。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として市販されているものを特に制限なく用いることができる。
【0033】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(分子量267.3)、ベンゼンプロパン酸および3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ(C7-9側鎖および直鎖アルキル)のエステル化合物(分子量451.6)、3-[3-tert-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸オクチル(分子量486)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(分子量447.6)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(分子量441.6)、メチル-3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(分子量637,975)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール(分子量225)、2(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(分子量448)、2-〔5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル〕-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール(分子量316)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール(分子量351)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(分子量323)、2-2’-メチレンビス〔6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール〕(分子量659)、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール(分子量393.6)、2,2’-メチレンビス[6-(ベンゾトリアゾール-2イル)-4-tert-オクチルフェノール](分子量659)、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(分子量447)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
上記の中でも、分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ベンゼンプロパン酸および3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ(C7-9側鎖および直鎖アルキル)のエステル化合物(分子量451.6)、3-[3-tert-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸オクチル(分子量486)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(分子量447.6)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(分子量441.6)、メチル-3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(分子量637,975)、2(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(分子量448)、2-2’-メチレンビス〔6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール〕(分子量659)、2,2’-メチレンビス[6-(ベンゾトリアゾール-2イル)-4-tert-オクチルフェノール](分子量659)、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(分子量447)等が挙げられる。
【0035】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社製の「TINUVIN PS」、「TINUVIN384-2」、「TINUVIN109」、「TINUVIN900」、「TINUVIN928」、「TINUVIN1130」、「TINUVIN234」、「TINUVIN326」、「TINUVIN328」、「TINUVIN329」、「TINUVIN360」、「TINUVIN213」、「TINUVIN571」、ADEKA社製の「アデカスタブ LA-31RG」、「アデカスタブ LA-31G」、「アデカスタブ LA-24」等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、下記一般式(t-2)で表される化合物であってもよい。
【0037】
【化2】
[式中、Rは、有機基を表す。nは、1~4の整数を表す。nが2以上の整数であるとき、2以上のRは、同じであってもよく、異なっていてもよい。]
【0038】
式中、Rは、有機基を表す。前記有機基は、炭素数1~30が好ましく、炭素数1~20がより好ましい。前記有機基としては、置換基を有してもよい炭化水素基が挙げられる。前記炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
前記脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよいが、飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
前記脂肪族炭化水素基は、置換基を有してもよい。前記置換基は、炭化水素鎖の水素原子(-H)を置換するものであってもよく、メチレン基(-CH-)を置換するものであってもよい。水素原子を置換する置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。メチレン基を置換する置換基としては、例えば、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、等が挙げられる。
【0039】
前記芳香族炭化水素基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよいが、単環式基が好ましい。前記芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよい。前記置換基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0040】
は、1~4の整数である。nは、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。nが2以上の整数であるとき、2以上のRは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0041】
本実施形態の光硬化性組成物中、(T)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(T)成分は、トリアジン系紫外線吸収剤を用いてもよく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いてもよく、トリアジン系紫外線吸収剤とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とを組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤の中でも、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群より選択される紫外線吸収剤を(X)成分と組み合わせて用いることにより、光硬化性組成物により形成される硬化膜の耐光性を向上させることができる。
【0042】
本実施形態の光硬化性組成物における(T)成分の含有量は、前述の(X)成分と、後述の(B)成分との合計100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましく、0.05~15質量部がより好ましく、0.1~10質量部がさらに好ましい。
(T)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、光硬化性組成物を用いて形成した硬化膜の耐光性が良好となる。一方、(T)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、光硬化性組成物の硬化性が良好となる。
【0043】
本実施形態の光硬化性組成物において、(X)成分に対する(T)成分の質量比((T)成分/(X)成分)は、0.0001~0.5が好ましく、0.001~0.2がより好ましく、0.0014~0.15がさらに好ましい。
(X)成分に対する(T)成分の質量比が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、光硬化性組成物を用いて形成した硬化膜の耐光性が良好となる。一方、(X)成分に対する(T)成分の質量比が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、光硬化性組成物の硬化性が良好になる。
【0044】
<(B)成分>
(B)成分は、重合性官能基を有する光重合性モノマーである。
「重合性官能基」とは、化合物同士がラジカル重合等により重合することを可能とする基であり、例えばエチレン性二重結合などの炭素原子間の多重結合を含む基をいう。
【0045】
重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フルオロビニル基、ジフルオロビニル基、トリフルオロビニル基、ジフルオロトリフルオロメチルビニル基、トリフルオロアリル基、パーフルオロアリル基、トリフルオロメチルアクリロイル基、ノニルフルオロブチルアクリロイル基、ビニルエーテル基、含フッ素ビニルエーテル基、アリルエーテル基、含フッ素アリルエーテル基、スチリル基、ビニルナフチル基、含フッ素スチリル基、含フッ素ビニルナフチル基、ノルボルニル基、含フッ素ノルボルニル基、シリル基等が挙げられる。これらの中でも、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基がより好ましい。
【0046】
1つの重合性官能基を有する光重合性モノマー(単官能モノマー)としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等の脂肪族多環構造を含む(メタ)アクリレート(以下「(B1)成分」という);ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン等の脂肪族単環構造を含む(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の鎖状構造を含む(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p-クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2-ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4-ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート等の芳香族環構造を含む(メタ)アクリレート(以下「(B2)成分」という);テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、t-オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;片末端メタクリルシロキサンモノマー等が挙げられる。
【0047】
当該単官能モノマーの市販品としては、例えば、アロニックスM101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO-1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成株式会社製);MEDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、LA、IBXA、2-MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業株式会社製);ライトアクリレートBO-A、EC-A、DMP-A、THF-A、HOP-A、HOA-MPE、HOA-MPL、HOA(N)、PO-A、P-200A、NP-4EA、NP-8EA、IB-XA、エポキシエステルM-600A(以上、共栄社化学株式会社製);KAYARAD TC110S、R-564、R-128H(以上、日本化薬株式会社製);NKエステルAMP-10G、AMP-20G(以上、新中村化学工業株式会社製);FA-511A、FA-512A、FA-513A、FA-BZA(以上、日立化成株式会社製);PHE、CEA、PHE-2、PHE-4、BR-31、BR-31M、BR-32(以上、第一工業製薬株式会社製);VP(BASF製);ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、株式会社興人製);X-22-2404(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0048】
2つの重合性官能基を有する光重合性モノマー(2官能モノマー)としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
当該2官能モノマーの市販品としては、例えば、ライトアクリレート3EG-A、4EG-A、9EG-A、NP-A、DCP-A、BP-4EAL、BP-4PA(以上、共栄社化学株式会社製)等が挙げられる。
【0050】
3つ以上の重合性官能基を有する光重合性化合物としては、光重合性シロキサン化合物、光重合性シルセスキオキサン化合物、3つ以上の重合性官能基を有する多官能モノマー等が挙げられる。
【0051】
光重合性シロキサン化合物としては、例えば、分子内にアルコキシシリル基と重合性官能基とを有する化合物が挙げられる。
当該光重合性シロキサン化合物の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の製品名「KR-513」、「X-40-9296」、「KR-511」、「X-12-1048」、「X-12-1050」等が挙げられる。
【0052】
光重合性シルセスキオキサン化合物としては、主鎖骨格がSi-O結合からなる、次の化学式:[(RSiO3/2](式中、Rは有機基を表し、nは自然数を表す。)で表される化合物が挙げられる。
Rは、1価の有機基を示し、1価の有機基としては、置換基を有してもよい1価の炭化水素基が挙げられる。この炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1~20のアルキル基が挙げられ、炭素数1~12のアルキル基が好ましい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、トリル基、スチリル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
1価の炭化水素基が有してもよい置換基としては、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシ基、スルファニル基、カルボキシ基、イソシアナト基、アミノ基、ウレイド基等が挙げられる。また、1価の炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、カルボニル基等に置き換わっていてもよい。
但し、光重合性シルセスキオキサン化合物は、3つ以上の重合性官能基を有する。ここでの重合性官能基としては、ビニル基、アリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
【0053】
化学式:[(RSiO3/2]で表される化合物は、カゴ型、ハシゴ型又はランダム型のいずれでもよい。カゴ型のシルセスキオキサン化合物は、完全なカゴ型であってもよいし、カゴの一部が開いているような不完全なカゴ型でもよい。
【0054】
当該光重合性シルセスキオキサン化合物の市販品としては、例えば、東亜合成株式会社製の製品名「MAC-SQ LP-35」、「MAC-SQ TM-100」、「MAC-SQ SI-20」、「MAC-SQ HDM」等が挙げられる。
【0055】
3つ以上の重合性官能基を有する多官能モノマーとしては、例えば、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス-(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレートトリアクリレート、トリス-(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレートトリメタクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー;ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能モノマー;ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の5官能以上のモノマー等が挙げられる。
【0056】
当該多官能モノマーの市販品としては、例えば、新中村化学工業株式会社製の製品名「A-9300-1CL」、「AD-TMP」、「A-9550」、「A-DPH」、日本化薬株式会社製、製品名「KAYARAD DPHA」、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトアクリレートTMP-A」等が挙げられる。
【0057】
本実施形態の光硬化性組成物中、(B)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
(B)成分の含有量は、前記(X)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、5~80質量部が好ましく、10~70質量部がより好ましく、20~60質量部がさらに好ましい。
(B)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、光硬化性組成物を用いた形成した樹脂硬化膜の硬化性や流動性が良好になる。一方、(B)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、(X)成分の光硬化性組成物中の分散性が良好となる。
【0059】
<(C)成分>
(C)成分は光重合開始剤である。
(C)成分には、露光により前記(B)成分の重合を開始させ、又は重合を促進させる化合物が用いられる。(C)成分としては、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0060】
(C)成分としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾル-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2-メルカプトベンゾイミダール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン;メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、ビス(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;p-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1-ビス(t-ブチルパ-オキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール類;t-ブチルパ-オキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルパーオキシネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;ジn-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物類等が挙げられる。
【0061】
上記のなかでも、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンが好ましい。
【0062】
(C)成分には、市販品を入手して用いることができる。
(C)成分の市販品としては、BASF社製の製品名「IRGACURE 907」、BASF社製の製品名「IRGACURE 369」、BASF社製、製品名「IRGACURE 819」、IGM Resins B.V.社製、製品名「Omnirad 184」、「Omnirad 651」等が挙げられる。
【0063】
本実施形態の光硬化性組成物中、(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
(C)成分の含有量は、前記(X)成分と前記(B)成分との合計100質量部に対して、0.01~15質量部であることが好ましく、0.1~10質量部がより好ましく、0.5~5質量部がさらに好ましい。(C)成分の含有量が、前記の好ましい範囲内であると、光硬化性組成物の光硬化性が良好となる。
【0065】
<任意成分>
実施形態の光硬化性組成物には、(X)成分、(T)成分、(B)成分、及び(C)成分に加えて、他の成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、溶剤((S)成分)、混和性のある添加剤(例えば、劣化防止剤、離型剤、希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、難燃剤、可塑剤、及び界面活性剤、その他硬化膜の特性を改良するための添加剤等)等が挙げられる。
【0066】
≪溶剤:(S)成分≫
本実施形態の光硬化性組成物は、溶剤((S)成分)を含有していてもよい。(S)成分は、上記(X)成分、(T)成分、(B)成分、(C)成分、及び所望の任意成分を溶解又は分散させ、混合するために用いられる。
【0067】
(S)成分としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ペンチルアルコール、s-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、2-メチル-1-プロパノール、2-エチルブタノール、ネオペンチルアルコール、n-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、1-プロパノール、n-ヘキサノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、5-メチル-1-ヘキサノール、6-メチル-2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール等の鎖状構造のアルコール類;シクロペンタンメタノール、1-シクロペンチルエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘキサンエタノール、1,2,3,6-テトラヒドロベンジルアルコール、exo-ノルボルネオール、2-メチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、3,5-ジメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピオネール等の環状構造を有するアルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい]などが挙げられる。
【0068】
本実施形態の光硬化性組成物中、(S)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、(S)成分としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0069】
(S)成分の使用量は、特に限定されず、光硬化性組成物の塗布膜厚に応じて適宜設定すればよい。例えば、前記(X)成分と前記(B)成分との合計100質量部に対して、100~500質量部程度となるように用いることができる。
【0070】
本実施形態の光硬化性組成物により形成される硬化膜は、通常、波長530nmにおける屈折率が1.7以上である。本実施形態の光硬化性組成物は、前記のような高い屈折率の硬化膜を形成できるため、3DセンサーやAR(拡張現実)グラスのAR導波路等の高屈折率化が要求される用途にも好適に用いることができる。硬化膜の屈折率は、分光エリプソメーターにより測定することができる。
【0071】
以上説明した本実施形態の光硬化性組成物は、(X)成分、(T)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する。このように、(X)成分と(T)成分とを併用することにより、硬化膜の高屈折率化を実現しつつ、耐光性を向上させることができる。これは、(X)成分を含有することにより屈折率が向上し、且つ(T)成分が紫外線を吸収することで、(X)成分の光触媒活性が抑制されるためと推測される。
【0072】
かかる光硬化性組成物は、インプリント技術で基板上に微細パターンを形成する材料として有用であり、光インプリントリソグラフィ用として特に好適なものである。特に、自動運転用の3DセンサーやAR(拡張現実)グラスのAR導波路等の高屈折率化が要求される用途において有利な効果を奏する。
また、本実施形態の光硬化性組成物は、例えば反射防止膜の材料としても有用である。
【0073】
(パターン形成方法)
本発明の第2の態様のパターン形成方法は、基板上に、上述した第1の態様の光硬化性組成物を用いて光硬化性膜を形成する工程(以下「工程(i)」という)と、凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する工程(以下「工程(ii)」という)と、前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する工程(以下「工程(iii)」という)と、前記硬化膜から前記モールドを剥離する工程(以下「工程(iv)」という)と、を有する。
【0074】
図1は、パターン形成方法の一実施形態を説明する概略工程図である。
【0075】
[工程(i)]
工程(i)では、基板上に、上述した第1の態様の光硬化性組成物を用いて光硬化性膜を形成する。
図1(A)に示すように、基板1に、上述した第1の態様の光硬化性組成物を塗布し、光硬化性膜2を形成する。尚、図1(A)においては、光硬化性膜2の上空にモールド3が配置されている。
【0076】
基板1は、種々の用途によって選択可能であり、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコン、窒化シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が挙げられる。
また、基板1の形状は、特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、基板1としては、モールドとの組み合わせ等に応じて、光透過性、又は非光透過性のものを選択することができる。
【0077】
基板1に光硬化性組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、スプレー法、インクジェット法、ロールコート法、回転塗布法等が挙げられる。光硬化性膜2は、その後に行われてもよい基板1のエッチング工程でマスクとして機能するため、基板1に塗布されたときの膜厚が均一であることが好ましい。この点から、基板1に光硬化性組成物を塗布する際には、スピンコート法が好適である。
光硬化性膜2の膜厚は、用途によって適宜選択すればよく、例えば、0.05~30μm程度とすればよい。
【0078】
[工程(ii)]
工程(ii)では、凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する。
図1(B)に示すように、光硬化性膜2が形成された基板1に、表面に微細な凹凸パターンを有するモールド3を、光硬化性膜2に対向して押し当てる。これにより、光硬化性膜2を、モールド3の凹凸構造に合わせて変形させる。
【0079】
モールド3の押圧時の光硬化性膜2に対する圧力は、10MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましく、1MPa以下が特に好ましい。
モールド3を光硬化性膜2に押圧することにより、モールド3の凸部に位置する光硬化性組成物がモールド3の凹部の側に容易に押しのけられ、モールド3の凹凸構造が光硬化性膜2に転写される。
【0080】
モールド3が有する凹凸パターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じて形成できる。
モールド3は、光透過性モールドが好ましい。光透過性モールドの材料は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであればよい。具体的には、ガラス、石英、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂膜、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。
【0081】
[工程(iii)]
工程(iii)では、前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、樹脂硬化膜を形成する。
図1(C)に示すように、モールド3を光硬化性膜2に押圧した状態で、凹凸パターンが転写された光硬化性膜2に露光を行う。具体的には、紫外線(UV)などの電磁波が光硬化性膜2に照射される。露光により、モールド3が押圧された状態で光硬化性膜2が硬化し、モールド3の凹凸パターンが転写された硬化膜(硬化パターン)が形成される。
なお、図1(C)におけるモールド3は、電磁波に対して透過性を有する。
【0082】
光硬化性膜2を硬化させるために用いられる光は、特に限定されず、例えば、高エネルギー電離放射線、近紫外線、遠紫外線、可視光線、赤外線等の領域の波長の光又は放射線が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、EUV、LED、半導体レーザー光、または248nmのKrFエキシマレーザー光もしくは193nmのArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でもよい。
【0083】
[工程(iv)]
工程(iv)では、前記硬化膜から前記モールドを剥離する。
図1(D)に示すように、硬化膜からモールド3を剥離する。これにより、凹凸パターンが転写された硬化膜からなるパターン2’(硬化パターン)が基板1上にパターニングされる。
【0084】
以上説明した本実施形態のパターン形成方法においては、上述した(X)成分、(T)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する光硬化性組成物を用いる。かかる光硬化性組成物を用いるため、高屈折率を有し、且つ耐光性に優れたパターンを形成することができる。
【0085】
本実施形態においては、モールド3の光硬化性膜2と接する面31に、離型剤を塗布してもよい(図1(A))。これにより、モールドと硬化膜との離型性を高められる。
ここでの離型剤としては、例えば、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。これらの中でも、フッ素系離型剤が好ましい。例えば、ダイキン工業株式会社製のオプツールDSX等の市販の塗布型離型剤を好適に用いることができる。離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0086】
また、本実施形態においては、基板1と光硬化性膜2との間に有機物層を設けてもよい。これにより、光硬化性膜2及び有機物層をマスクとして基板1をエッチングすることで、基板1上に所望のパターンを簡便かつ確実に形成することができる。有機物層の膜厚は、基板1が加工(エッチング)される深さに応じて適宜調整すればよく、例えば0.02~2.0μmが好ましい。有機物層の材料は、光硬化性組成物に比べて酸素系ガスに対するエッチング耐性が低く、かつ、基板1よりもハロゲン系ガスに対するエッチング耐性が高いものが好ましい。有機物層を形成する方法は、特に限定されないが、例えばスパッタ法やスピンコート法が挙げられる。
【0087】
第2の態様のパターン形成方法は、工程(i)~(iv)に加えて、さらに、その他の工程(任意工程)を有してもよい。
任意工程としては、エッチング工程(工程(v))、エッチング処理後の硬化膜(硬化パターン)除去工程(工程(vi))等が挙げられる。
【0088】
[工程(v)]
工程(v)では、例えば、上述の工程(i)~(iv)で得られたパターン2’をマスクとして基板1をエッチングする。
図2(E)に示すように、パターン2’が形成された基板1に対して、プラズマおよび反応性イオンの少なくとも一方を照射すること(矢印で図示)により、パターン2’側に露出した基板1部分を、所定深さまでエッチングにより除去する。
工程(v)で使用されるプラズマまたは反応性イオンのガスは、ドライエッチング分野で通常用いられているガスであれば、特に限定されるものではない。
【0089】
[工程(vi)]
工程(vi)では、工程(v)におけるエッチング処理後に残存する硬化膜を除去する。
図2(F)に示すように、基板1のエッチング処理後、基板1上に残存する硬化膜(パターン2’)を除去する工程である。
基板1上に残存する硬化膜(パターン2’)を除去する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、硬化膜が溶解する溶液を用いて基板1を洗浄する処理等が挙げられる。
【実施例
【0090】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0091】
<光硬化性組成物の調製>
表1~3に示す各成分を配合して、各例の光硬化性組成物をそれぞれ調製した。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
表1~3中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
【0096】
・(X)成分(金属酸化物ナノ粒子)
(X)-1:チタニア粒子、石原産業株式会社製、製品名「チタニアゾルLDB-012」。平均一次粒子径15nm。
(X)-2:チタニア粒子、テイカ株式会社製、製品名「MT-05」。平均一次粒子径10nm。
(X)-3:チタニア粒子、テイカ株式会社製、製品名「MT-100SA」。平均一次粒子径15nm。
(X)-4:チタニア粒子、テイカ株式会社製、製品名「MT-500SA」。平均一次粒子径35nm。
(X)-5:チタニア粒子、日揮触媒化成株式会社製、製品名「ELECOM V-9108」。平均一次粒子径15nm。
【0097】
・(T)成分(トリアジン系紫外線吸収剤又はベンゾトリアジン系紫外線吸収剤)
(T)-1:下記式(T)-1で表されるトリアジン系紫外線吸収剤。分子量605.782。
(T)-2:下記式(T)-2で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤。分子量637,975。
(T)-3:下記式(T)-3で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量451.6。
(T)-4:下記式(T)-4で表されるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、分子量677.83。
【0098】
【化3】
【0099】
・(T2)成分((T)成分以外の紫外線吸収剤)
(T2)-1:下記式(T2)-1で表されるベンゾフェノンシュウ酸アニリド系紫外線吸収剤。分子量452.6288。
【0100】
【化4】
【0101】
・(B)成分(光重合性モノマー)
(B)-1:多官能アクリレート、日本化薬株式会社製、製品名「KAYARAD DPHA」。
(B)-2:トリメチロルプロパントリアクリレート、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトアクリレートTMP-A」。
(B)-3:メタクリロイル基含有シルセスキオキサン、東亞合成株式会社製、製品名「MAC-SQ TM-100」。
【0102】
・(C)成分(光重合開始剤)
(C)-1:2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、IGM Resins B.V.社製、製品名「Omnirad 651」。
【0103】
・(S)成分(溶剤)
(S)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
(S)-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
【0104】
<評価>
各例の光硬化性組成物について、以下に示す各方法により、インプリント転写性、及び耐光性を評価した。これらの結果を表4~6に示す。
【0105】
[インプリント転写性]
光硬化性組成物をシリコン基板上に膜厚600nmになるように調整してスピンコート塗布した。次いで、プレベークを100℃で1分間行い、東芝機械社製インプリント装置ST-200を用いて、転写圧力0.5MPa、転写時間30秒、露光量1J/cm(真空200Pa雰囲気下)で転写試験を行い、微細パターンの転写性、及び、充填性を下記基準に従って評価した。モールドは綜研化学社製標準フィルムモールドLSP70-140(70nm Line & Space)を使用した。いずれの例の光硬化性組成物でも、微細パターンの転写性及び充填性が良好であることが確認できた。
【0106】
[耐光性]
・耐光性試験
光硬化性組成物をシリコン基板上に膜厚600nmになるように調整してスピンコート塗布した。次いで、プレベークを100℃で1分間行い、東芝機械社製インプリント装置ST-200を用いて、露光量1J/cm(真空200Pa雰囲気下)で硬化膜を得た。得られた硬化膜について、キセノンウェザーメーターによる耐光性試験を実施した。試験期間は36時間とした。キセノンウェザーメーターとしてスガ試験機社製XT1500テーブルサンを用いた。
【0107】
・屈折率の評価
耐光性試験前と耐光性試験後の硬化膜について、J.A.woollam社製分光エリプソメーターM2000を用いて、波長530nmでの屈折率を測定した。
【0108】
・膜厚の評価
耐光性試験前と耐光性試験後の硬化膜について、J.A.woollam社製分光エリプソメーターM2000を用いて、膜厚を測定した。
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】
【表6】
【0112】
表4~6の結果から、本願発明を適用した実施例1~19の光硬化性組成物は、屈折率が1.7以上であり、高い屈折率を有していた。また、耐光性試験の前後で、屈折率及び膜厚に大きな変化はなく耐光性も良好であった。一方、比較例1~8及び11~13の光硬化性組成物は、耐光性試験後に屈折率が低下し、膜厚も減少した。比較例9及び10の光硬化性組成物は、耐光性試験の前後で屈折率及び膜厚に大きな変化はなく耐光性は良好であったが、屈折率は1.7未満であった。
【符号の説明】
【0113】
1 基板、2 光硬化性膜、3 モールド
図1
図2