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特許7535967管理装置、データ処理方法、プログラム、半導体装置の製造方法および処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】管理装置、データ処理方法、プログラム、半導体装置の製造方法および処理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240809BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240809BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20240809BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H01L21/02 Z
G06Q10/06
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021046690
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022145329
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂元 優介
(72)【発明者】
【氏名】浅井 一秀
(72)【発明者】
【氏名】屋敷 佳代子
(72)【発明者】
【氏名】上田 修
(72)【発明者】
【氏名】袁 帥
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-283169(JP,A)
【文献】特開2003-283556(JP,A)
【文献】特開昭57-019846(JP,A)
【文献】特開2003-122605(JP,A)
【文献】特開平09-248739(JP,A)
【文献】特開2010-165170(JP,A)
【文献】特開2018-078271(JP,A)
【文献】特開2009-260130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H01L 21/02
G06Q 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置からの要求データを記憶する第1記憶部と、
処理装置からの前記要求データに沿った情報を記憶する第2記憶部と、
受信した前記要求データに基づき前記第2記憶部を検索し、前記第2記憶部に前記情報が有る場合は前記第2記憶部に記憶された前記情報を用いて前記要求データの内容に対応する処理装置の情報を取得し、前記第2記憶部に前記情報が無い場合は、前記第1記憶部を用いて前記第1記憶部を検索して前記第1記憶部内に同一の前記要求データの有無を確認し、前記要求データがなければ、前記第1記憶部に前記要求データを追加し、前記第1記憶部に記憶された前記要求データは、前記要求データの種別ごとに設定された優先度に応じて、前記処理装置へ要求する順番の変更と、前記要求する順番を後回しにされた前記要求データのみの前記優先度を上げるよう制御可能に構成されている制御部と、
を備えた管理装置であって、
前記優先度は、最も優先度の高い前記要求データの種別は装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧の取得要求する要求データであり、次に優先度の高い前記要求データの種別はユーザ指示による装置からのファイル取得要求する要求データであり、また、優先度の最も低い前記要求データの種別は、装置ログファイル取得要求する要求データであり、次に優先度の低い前記要求データの種別には装置へのファイル送信要求する要求データが定義されている、管理装置
【請求項2】
前記要求データに沿った情報はキャッシュ情報である、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1記憶部内に同一の要求データが無ければ、前記第1記憶部内に要求項目を追加し、前記第1記憶部内の先頭の要求データを取得するよう構成されている請求項に記載の管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記処理装置に前記第1記憶部内に格納されている複数の要求データから先頭の要求データを取り出して送信し、この要求データに対応した結果を取得し、前記第2記憶部に保存するように構成されている請求項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1記憶部内に同一の要求データがあれば、前記要求データを前記同一の要求データに纏めてしまうように構成されている請求項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記処理装置からイベント情報を取得すると、前記第2記憶部に保存している前記キャッシュ情報が古くなるイベントか否かを確認し、該イベントに該当する場合は、前記キャッシュ情報を破棄するように構成されている請求項2に記載の管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記処理装置からイベント情報を取得すると、前記第1記憶部に保存している前記要求データが古くなるイベント情報か否かを確認し、該イベント情報に該当する場合は、前記要求データを削除するように構成されている請求項1に記載の管理装置。
【請求項8】
前記要求データは、前記装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧の取得要求、前記ユーザ指示による装置からのファイル取得要求、前記装置ログファイル取得要求、前記装置へのファイルの送信要求の少なくとも1つ以上から選択される請求項1に記載の管理装置。
【請求項9】
前記装置ログファイル取得要求により取得される装置ログファイルには、装置で作成されたスクリーンショット、装置の通信を保存した通信ログ、装置の稼働状況やイベントを保存したイベントログ、発生したエラー情報を保存したエラーログの少なくとも1つ以上から選択される請求項に記載の管理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記端末装置との接続時のユーザとパスワード認証を保有するように構成されている請求項1に記載の管理装置。
【請求項11】
前記制御部は、接続されている前記処理装置毎に複数の要求データを格納するタスクキューが設けられた前記第1記憶部を有するように構成されている請求項1に記載の管理装置。
【請求項12】
複数の端末装置からの要求データを受信する工程と、
前記要求データを第1記憶部に記憶する工程と、
処理装置からの前記要求データに沿った情報を第2記憶部に記憶する工程と、
受信した前記要求データに基づき前記第2記憶部を検索し、前記第2記憶部に必要な情報が存在しないとき前記第1記憶部を検索する工程と、
前記第2記憶部の検索により前記第2記憶部を用いて、前記要求データの内容に対応する前記処理装置の情報を取得させる、または、前記第1記憶部の検索により前記第1記憶部を用いて前記要求データの内容に対応する前記処理装置の情報を取得させる工程と、
前記要求データの種別ごとに設定された優先度に応じて、前記処理装置へ要求する順番を変更する工程と、
前記要求する順番を後回しにされた前記要求データのみの前記優先度を上げる工程と、
を有するデータ処理方法であって、
前記優先度は、最も優先度の高い前記要求データの種別は装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧の取得要求する要求データであり、次に優先度の高い前記要求データの種別はユーザ指示による装置からのファイル取得要求する要求データであり、また、優先度の最も低い前記要求データの種別は、装置ログファイル取得要求する要求データであり、次に優先度の低い前記要求データの種別には装置へのファイル送信要求する要求データが定義されている、データ処理方法
【請求項13】
複数の端末装置からの要求データを受信する手順と、
前記要求データを第1記憶部に記憶する手順と、
処理装置からの前記要求データに沿った情報を第2記憶部に記憶する手順と、
受信した前記要求データに基づき前記第2記憶部を検索し、前記第2記憶部に必要な情報が存在しないとき前記第1記憶部を検索する手順と、
前記第2記憶部の検索により前記第2記憶部を用いて、前記要求データの内容に対応する前記処理装置の情報を取得させる、または、前記第1記憶部の検索により前記第1記憶部を用いて前記要求データの内容に対応する前記処理装置の情報を取得させる手順と、
前記要求データの種別ごとに設定された優先度に応じて、前記処理装置へ要求する順番を変更する手順と、
前記要求する順番を後回しにされた前記要求データのみの前記優先度を上げる手順と、
を管理装置に実行させるプログラムであって、
前記優先度は、最も優先度の高い前記要求データの種別は装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧の取得要求する要求データであり、次に優先度の高い前記要求データの種別はユーザ指示による装置からのファイル取得要求する要求データであり、また、優先度の最も低い前記要求データの種別は、装置ログファイル取得要求する要求データであり、次に優先度の低い前記要求データの種別には装置へのファイル送信要求する要求データが定義されている、プログラム
【請求項14】
所定のレシピを実行して、基板を処理する基板処理工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板処理工程では、
複数の端末装置からの要求データを受信する工程と、
前記要求データを第1記憶部に記憶する工程と、
処理装置からの前記要求データに沿った情報を第2記憶部に記憶する工程と、
受信した前記要求データに基づき前記第2記憶部を検索し、前記第2記憶部に必要な情報が存在しないとき前記第1記憶部を検索する工程と、
前記第2記憶部の検索により前記第2記憶部を用いて、前記要求データの内容に対応する前記処理装置の情報を取得させる、または、前記第1記憶部の検索により前記第1記憶部を用いて前記要求データの内容に対応する前記処理装置の情報を取得させる工程と、
前記要求データの種別ごとに設定された優先度に応じて、前記処理装置へ要求する順番を変更する工程と、
前記要求する順番を後回しにされた前記要求データのみの前記優先度を上げる工程と、
を更に有する半導体装置の製造方法であって、
前記優先度は、最も優先度の高い前記要求データの種別は装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧の取得要求する要求データであり、次に優先度の高い前記要求データの種別はユーザ指示による装置からのファイル取得要求する要求データであり、また、優先度の最も低い前記要求データの種別は、装置ログファイル取得要求する要求データであり、次に優先度の低い前記要求データの種別には装置へのファイル送信要求する要求データが定義されている、半導体装置の製造方法
【請求項15】
複数の端末装置からの要求データを記憶する第1記憶部と、
処理装置からの前記要求データに沿った情報を記憶する第2記憶部と、
受信した前記要求データに基づき前記第2記憶部を検索し、前記第2記憶部に前記情報が有る場合は前記第2記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記要求データの内容に応じた前記処理装置の情報を取得し、前記第2記憶部に前記情報が無い場合は、前記第1記憶部を用いて前記第1記憶部を検索して前記第1記憶部内に同一の前記要求データの有無を確認し、前記要求データがなければ、前記第1記憶部に前記要求データを追加し、前記第1記憶部に記憶された前記要求データは、前記要求データの種別ごとに設定された優先度に応じて、前記処理装置へ要求する順番の変更と、前記要求する順番を後回しにされた前記要求データのみの前記優先度を上げるよう制御可能に構成されている管理装置と、
を備えた処理システムであって
前記優先度は、最も優先度の高い前記要求データの種別は装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧の取得要求する要求データであり、次に優先度の高い前記要求データの種別はユーザ指示による装置からのファイル取得要求する要求データであり、また、優先度の最も低い前記要求データの種別は、装置ログファイル取得要求する要求データであり、次に優先度の低い前記要求データの種別には装置へのファイル送信要求する要求データが定義されている、処理システム
【請求項16】
処理装置と接続可能に構成される第1クライアントと、
前記第1クライアントと離間した位置に配置される第2クライアントと、
前記第1クライアントおよび前記第2クライアントからの要求データを記憶する記憶する第1記憶部と、
前記処理装置からの前記要求データに沿った情報を記憶する第2記憶部と
前記第1クライアントおよびまたは前記第2クライアントからの要求データを受信し
受信した前記要求データに基づき前記第2記憶部を検索し、前記第2記憶部に前記情報が有る場合は前記第2記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記要求データの内容に応じた前記処理装置の情報を取得し、前記第2記憶部に前記情報が無い場合は、前記第1記憶部を用いて前記第1記憶部を検索して前記第1記憶部内に同一の前記要求データの有無を確認し、前記要求データがなければ、前記第1記憶部に前記要求データを追加し、前記第1記憶部に記憶された前記要求データは、前記要求データの種別ごとに設定された優先度に応じて、前記処理装置へ要求する順番の変更と、前記要求する順番を後回しにされた前記要求データのみの前記優先度を上げるよう制御可能に構成されている管理装置と、
を備えた処理システムであって、
前記優先度は、最も優先度の高い前記要求データの種別は装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧の取得要求する要求データであり、次に優先度の高い前記要求データの種別はユーザ指示による装置からのファイル取得要求する要求データであり、また、優先度の最も低い前記要求データの種別は、装置ログファイル取得要求する要求データであり、次に優先度の低い前記要求データの種別には装置へのファイル送信要求する要求データが定義されている、処理システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、データ処理方法、プログラム、半導体装置の製造方法および処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置等の製造工場では、基板(半導体ウエハ)に処理を施す複数の基板処理装置と、複数の基板処理装置の稼働状態の監視及び生産履歴等の保存を行う管理装置と、複数のクライアント(端末装置)と、を含む基板処理システムを利用する場合がある。この種の基板処理システムの提案として、例えば、特許文献1~特許文献4がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-277752号公報
【文献】特開2013-201299号公報
【文献】特開2002-027567号公報
【文献】特開2010-219246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板処理システムに接続された複数のクライアント(端末装置)が同時に1つの基板処理装置に情報取得を要求する要求データを送信すると、その基板処理装置に負荷を掛けてしまうことがある。基板処理装置の負荷を避けるためにそれらの要求を適宜順次処理すると、クライアント応答に時間がかかり、クライアントの画面表示のレスポンスが悪くなる場合がある。
【0005】
本開示の目的は、複数の工場で稼働している半導体製造装置群を遠隔監視することが可能な構成を提供することにある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、端末装置からの要求データを記憶する第1記憶部と、処理装置からの情報を記憶する第2記憶部と、受信した前記要求データに基づき前記第1記憶部および前記第2記憶部のうちいずれか一方を検索し、前記第1記憶部及び前記第2記憶部のうち少なくともいずれかを用いて、前記要求データの内容に対応する処理装置の情報を取得させることが可能なように構成されている制御部と、を備えた構成が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、複数のクライアント(端末装置)からの要求が集中した場合であっても、各クライアントに対するレスポンスの低下を低減しつつ、半導体製造装置群を遠隔監視することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態に係る基板処理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る基板処理装置10の斜視図である。
図3図3は、端末装置のハードウェアの構成例を示す図である。
図4図4は、1つの半導体製造工場における1つの管理システムのネットワークの構成例を説明する図である。
図5図5は、複数の半導体製造工場における複数の管理システムのネットワーク構成例を説明する図である。
図6図6は、管理システムの回路ブロックの概念的構成例を説明する図である。
図7図7は、基板処理装置に対する要求データの優先度を説明する図である。
図8図8は、端末装置からの要求データの受付フローを説明する図である。
図9図9は、管理システムから基板処理装置への要求データの要求処理フローを説明する図である。
図10図10は、基板処理装置から送信されたイベントを管理システムで受信したときの受信フローを説明する図である。
図11図11は、タスクキューの動作の概要を説明する図である。
図12図12は、タスクキューにおける同一要求データのまとめ処理を説明する図である。
図13図13は、基板処理装置からのイベントによる要求データの削除を説明する図である。
図14図14は、タスクキュー内の要求データの優先度を考慮した並び替えを説明する図である。
図15図15は、優先度の変更処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであるため、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
本明細書において、キャッシュメモリ(cache memory)及びタスクキュー(task queue)は、以下の説明の構成とすることができる。
【0012】
キャッシュメモリ(cache memory)とは、例えば、マイクロプロセッサなどの制御部の内部に設けられた高速な記憶装置であり、使用頻度の高いデータ(または、使用乃至アクセスされたデータ)を蓄積しておくものである。端末装置から発行された要求データに対する応答データがキャッシュメモリに蓄積されたデータに一致する場合、キャッシュメモリに蓄積された応答データを要求元の端末装置へ送信(送付)することにより、相対的に低速なメインメモリ(主記憶装置)または基板処理装置へのアクセスを減らすことができ、端末装置からの要求データに対する処理の応答時間を高速化することができる。ここで、キャッシュメモリに蓄積される応答データは、処理装置からの情報、例えば、基板処理装置10に関するすべての情報であり、後述する基板処理装置10の基板処理情報(温度情報、圧力情報等を含む)、障害情報、イベント情報を少なくとも含む。
【0013】
タスクキュー(task queue、待ち行列とも呼ぶ)とは、コンピュータの基本的なデータ構造の一つであり、端末装置からの発行されたタスクなどの要求データを先入れ先出しのリスト構造で保持するものである。タスクキューから要求データを取り出すときには、先に入れられた要求データから順に取り出される。タスクキューに要求データを入れることをエンキューまたはプッシュ(push)、タスクキューから要求データを取り出すことをデキューまたはポップ(pop)という。
【0014】
(実施態様)
(基板処理システムの全体構成例)
本開示の実施形態に係る基板処理システム2を説明する。図1は、本開示の実施形態に係る基板処理システム2の構成例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、基板処理システム2は、複数の基板処理装置10(10-1~10-n)、表示手段及び指示手段としての第1端末装置6、及び、管理装置としての管理システム7を有する。基板処理装置10、第1端末装置6、及び、管理システム7は、例えばLANやWANなどのネットワーク12を介して接続されている。したがって、データは、基板処理装置10及び管理システム7の間で、ネットワーク12を介して送信及び受信される。また、基板処理システム2には、表示手段及び指示手段としての第2端末装置8がネットワーク12を介して接続されている。第1端末装置6は第1クライアントであり、第2端末装置8は第2クライアントまたは横断接続クライアントである。
【0016】
基板処理システム2において、基板処理装置10、管理システム7、端末装置6及び端末装置8のそれぞれを、ハードウェアとも称する。基板処理システム2内のそれぞれの構成例については、後述するように図3図6を用いて説明し、ここでは以下簡単にそれぞれのハードウェアについて記載する。
【0017】
管理システム7は、基板処理システム2の構成情報を記憶する。構成情報には、各ハードウェアの名称、各ハードウェアの接続構成等が含まれている。構成情報は、他のハードウェアが、自身の役割や他のハードウェアとの関連を認識するために用いられる。また、管理システム7は、基板処理システム2全体で共有する情報(共有情報)を蓄積する。共有情報は、基板処理装置10において発生する発生頻度が少ない情報、又は突発的に発生する情報であり、例えば基板処理装置10の障害情報やイベント情報などがある。
【0018】
管理システム7は、構成情報に基づいて複数の基板処理装置10の少なくともいずれかとの間で通信を行う。管理システム7は、基板処理装置10からの情報を受信し、他のハードウェア(例えば、端末装置6、端末装置8)からの要求に応じて、該ハードウェアに対して基板処理装置10に関する情報を送信する。
【0019】
管理システム7は、基板処理装置10に関する情報を格納する。管理システム7は、基板処理装置10から受信するデータ(イベント情報及びプロセス情報)を、取得して蓄積する。当該情報は、発生頻度が高く、多くのデータを含む情報であり、例えば基板処理装置10の温度情報、圧力情報等である。
【0020】
端末装置6は、各ハードウェアにより蓄積されている情報を表示画面に表示し、ユーザに対して情報の提供を行うインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を構成する。端末装置6は、キーボード又はマウスなどを介してユーザの要求を受け付け、当該要求に関する情報を対応するハードウェアから取得し、当該取得した情報を表示画面に表示する。
【0021】
端末装置8は、端末装置6と離間した位置に配置されている。端末装置8は、端末装置6と同様に、各ハードウェアにより蓄積されている情報を表示画面に表示し、ユーザに対して情報の提供を行うインタフェース(GUI)を構成する。端末装置6と端末装置8との構成例については、後で図3を用いて説明する。なお、端末装置6、8は、後述するように要求データによりファイルを取得することにより、基板処理装置10の情報を取得可能に構成される。
【0022】
基板処理装置10は、プロセスレシピ等に基づいてウエハ(基板)の処理を実行する。具体的には、プロセスレシピには、基板を処理するための手順が記載されており、基板処理装置10は、この手順に基づいて装置内の構成要素の制御を行う。基板処理装置10は、温度情報、圧力情報、障害情報等を含む装置自体の運転状態に関するデータを、ネットワーク12を介して管理装置7に対して送信する。基板処理装置10は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理装置を実施する半導体製造装置として構成されている。なお、以下の説明では、基板処理装置として基板に酸化、拡散処理やCVD処理などを行なう縦型の装置を適用した実施例について述べる。
【0023】
(基板処理装置の構成例)
次に、基板処理装置10の詳細な構成を説明する。図2は、本開示の実施形態に係る基板処理装置10の斜視図である。
【0024】
図2に示されているように、シリコン等からなるウエハ(基板)200を収納したウエハキャリアとしてフープ(基板収容器。以下ポッドという。)110が使用されている本開示の実施形態に係る基板処理装置10は、筐体111を備えている。筐体111の正面壁の正面前方部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口が開設され、この正面メンテナンス口を開閉する正面メンテナンス扉104、104がそれぞれ建て付けられている。
【0025】
筐体111の正面壁にはポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)によって開閉されるようになっている。ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつ、ロードポート114上から搬出されるようになっている。
【0026】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、回転式ポッド棚105は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱と、支柱に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)とを備えており、複数枚の棚板はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
【0027】
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されている。ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0028】
筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁にはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口には一対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123、123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0029】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されており、ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125a及びウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。図2に模式的に示されているようにウエハ移載装置エレベータ125bは耐圧筐体111右側端部とサブ筐体119の移載室124前方領域右端部との間に設置されている。これら、ウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウエハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウエハ200を装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0030】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成されている。待機部126の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)により開閉されるように構成されている。
【0031】
図2に模式的に示されているように、耐圧筐体111右側端部とサブ筐体119の待機部126右端部との間にはボート217を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台に連結された連結具としてのアームには蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50~125枚程度)のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0032】
図2に模式的に示されているように移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側及びボートエレベータ115側と反対側である左側端部には、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134が設置されている。ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、図示はしないが、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置が設置されている。
【0033】
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ノッチ合わせ装置及びウエハ移載装置125a、待機部126にあるボート217に流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、筐体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出されるように構成されている。
【0034】
(半導体装置の製造工程)
基板処理装置10を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理(以下、成膜処理ともいう)に係る基板処理の例について説明する。
【0035】
図2に示されているように、ポッド110がロードポット114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタによって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
【0036】
搬入されたポッド110は回転式ポッド棚105の指定された棚板へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板から一方のポッドオープナ121に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0037】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁におけるウエハ搬入搬出口の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口を開放される。
【0038】
ポッド110がポッドオープナ121によって開放されると、ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ノッチ合わせ装置にてウエハを整合した後、移載室124の後方にある待機部126へ搬入され、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217に装填する。
【0039】
この一方(上段又は下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハのボート217への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ121には回転式ポッド棚105から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0040】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、炉口シャッタによって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタによって、開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0041】
ローディング後、処理炉202にて、所定のレシピに基づいて、成膜処理がウエハ200に対して実施される。成膜処理後は、ノッチ合わせ装置でのウエハの整合工程を除き、概上述の逆の手順で、ウエハ200及びポッド110は筐体の外部へ払出される。
【0042】
基板処理装置10は、このような基板処理の間、温度情報、圧力情報など基板処理装置10の状態に関するデータを管理システム7に送信する。さらに、基板処理装置10は、イベント情報、障害情報及びロギング情報を管理システム7に送信する。
【0043】
(端末装置6、8のハードウェアの構成例)
図3は、端末装置6のハードウェアの構成例を示す図である。端末装置8は、図3に示す端末装置6のハードウェア構成と同様な構成とされているので、重複する説明は省略する。なお、管理装置7も同様な構成にしてもよいのは言うまでもない。
【0044】
図3に示すように、端末装置6は、CPU18及びメモリ20などを含む制御装置16と、ネットワーク12を介して外部のハードウェアなどとデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)22と、ハードディスクドライブなどの記憶装置26と、液晶ディスプレイなどの表示装置並びにキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含む表示・入力装置24とを有する。
【0045】
(管理システム(管理装置)7のネットワークの構成例)
図4は、半導体製造工場における1つの管理システムのネットワークの構成例を説明する図である。図5は、複数の半導体製造工場における複数の管理システムのネットワーク構成例を説明する図である。
【0046】
図4に示すように、半導体製造工場FAの基板処理システム2には1つの管理システム(管理装置)7が設けられ、管理システム7には複数の第1インタフェースIF1、複数の第2インタフェースIF2、及び、少なくも1つ第3インタフェースIF3が設けられる。
【0047】
複数の第1インタフェースIF1には、基板処理装置10(10-1~10-n)が接続可能(最大n台)とされ、複数の第2インタフェースIF2には、第1端末装置6(6-1~6-m)が接続可能(最大m台)とされている。第1インタフェースIF1及び第2インタフェースIF2は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格のHSMS通信(HSMS:High Speed SECS Message Services、SECS:SEMI Equipment Communications Standard)を採用し、管理システム7と基板処理装置10及び管理システム7と第1端末装置6との間の接続が常時維持された通信方式とされている。
【0048】
第3インタフェースIF3には、複数の第2端末装置8(8-1~8-L)が接続可能とされている。第3インタフェースIF3は、その通信方式としてHTTP(Hypertext Transfer Protocol)通信を採用し、必要な時のみ接続を行う通信方式にした。これにより、複数の第2端末装置8を1つの第3インタフェースIF3に接続することができる。第1インタフェースIF1及び第2インタフェースIF2しか持たない管理システム7では、接続される端末装置の総接続数の上限の問題があった。管理システム7に第3インタフェースIF3を追加することにより、端末装置の総接続数の上限の問題を解消することができる。
【0049】
図5に示すように、複数の半導体製造工場FA1-FAnの各々の基板処理システム2には、図4に示した1つの管理システム7が設けられている。各管理システム(管理装置)7に設けられた第3インタフェースIF3には、複数の第2端末装置8が接続されている。つまり、複数の第2端末装置8の各々は、複数の半導体製造工場FA1-FAnの各々の管理システム7に接続することができる。このため、第2端末装置8は横断接続クライアントと呼ぶこともできる。
【0050】
図5において、半導体製造工場FA1-FAnの各々の管理システム7は、データベースを有し、そのデータベースは、接続可能な第2端末装置8のユーザ名とそれに対応するパスワードの対を1または複数保有している。例えば、第2端末装置8-1が半導体製造工場FA1の管理システム7に接続するときには、第2端末装置8-1から半導体製造工場FA1の管理システム7へ第2端末装置8-1のユーザ名とパスワードとが送付される。半導体製造工場FA1の管理システム7は受信した第2端末装置8-1のユーザ名とパスワードと、データベースに保存されたユーザ名とパスワードとの一致または不一致の照合判定を行うことで、ユーザとパスワード認証を行うように構成されている。たとえば、第2端末装置8-1のユーザ名とパスワードが、AAAとBBBとする。半導体製造工場FA1の管理システム7のデータベースに保有される接続可能なユーザ名とパスワードとがAAAとBBBとする。また、半導体製造工場FA2の管理システム7のデータベースに保有される接続可能なユーザ名とパスワードとがAAAとCCCとする。この場合、第2端末装置8-1は、半導体製造工場FA1の管理システム7に接続可能であるが、半導体製造工場FA2の管理システム7には接続不可能である。したがって、半導体製造工場FA1-FAnの各々の管理システム7は、第2端末装置8の接続数および接続を制限することができる。つまり、管理システム7は、第2端末装置8との接続時のユーザとパスワード認証を保有するように構成されている。
【0051】
図4図5では、説明の便宜上、1つの半導体製造工場(FA、FA1-FAn)に1つの管理システム7を設けた構成例を示したが、これに限定されない。1つの半導体製造工場(FA、FA1-FAn)に複数の管理システム7が設けられてもよい。この場合でも、1つの半導体製造工場(FA、FA1-FAn)に設けられた複数の管理システム7の各々の第3インタフェースIF3には、複数の第2端末装置8を接続することができる。
【0052】
(管理システム(管理装置)7の回路ブロックの構成例)
図6は、管理システム7の回路ブロックの概念的構成例を説明する図である。図6に示すように、管理システム7は、タスクキュー部QUと、キャッシュメモリCMと、制御部CNTと、を含むように構成されている。ここで、タスクキュー部QUは第1記憶部とされ、キャッシュメモリCMは第2記憶部とされる。
【0053】
タスクキュー部QUは、基板処理装置10-1~10-nの各々に対応して設けられた複数のタスクキューQU1~QUnと、タスクキューQU1~QUnを制御するタスクキュー制御部QCNTとを有する。タスクキューQU1は、基板処理装置10-1に対して情報取得を要求する要求データの複数を格納することができるように構成されている。タスクキューQU2-QUnも、タスクキューQU1と同様に、対応する基板処理装置10-2~10-nに対する要求データの複数をそれぞれ格納することができるように構成されている。端末装置6-1~6-m、8-1~8-Lの各々は、ユーザの要求に基づいて、基板処理装置10-1~10-nに対する1または複数の要求データを生成する。端末装置6-1~6-m、8-1~8-Lから生成された複数の要求データはタスクキュー部QUへ供給され、タスクキュー制御部QCNTは受信した複数の要求データを基板処理装置10-2~10-n毎に分類して、対応するタスクキューQU1~QUnへ格納(push)する制御を行う。そして、タスクキュー制御部QCNTは、タスクキューQU1~QUnに格納された要求データを取り出して(pop)、基板処理装置10-1~10-nの各々へ送信する制御を行う。要求データは、タスク、命令、指令、指示などに言い換えることもできる。
【0054】
キャッシュメモリCMは、基板処理装置10-1~10-nの各々に対応して設けられた複数のメモリ部CMEM1~CMEMnと、メモリ部CMEM1~CMEMnを制御するメモリ制御部CCNTとを有する。メモリ制御部CCNTは、タスクキューQU1~QUnからの要求データに応答した基板処理装置10-1~10-nの各々が発生する応答データを、要求元の端末装置6-1~6-m、8-1~8-Lへ送信するように制御を行う。また、メモリ制御部CCNTは、基板処理装置10-1~10-nの各々が発生する応答データを対応するメモリ部CMEM1~CMEMnに格納するように制御を行う。
【0055】
制御部CNTは、例えば、基板処理装置10-1に対する要求データが端末装置6-1~6-m、8-1~8-Lのいずれかからタスクキュー部QUが受け取ったことをタスクキュー制御部QCNTから通知されると、その要求データに対応(合致)する応答データが基板処理装置10-1に対応するメモリ部CMEM1に格納されているか否かをメモリ制御部CCNTに対して確認する。そして、要求データに対応する応答データがメモリ部CMEM1に格納されていることをメモリ制御部CCNTから連絡された場合、制御部CNTは、タスクキューQU1に要求データを格納しないようにタスクキュー制御部QCNTを制御し、そして、メモリ部CMEM1に格納されている応答データを要求元の端末装置へ送信するようにメモリ制御部CCNTを制御する。一方、要求データに対応する応答データがメモリ部CMEM1に格納されていないことをメモリ制御部CCNTから連絡された場合、制御部CNTは、基板処理装置10-1に対応するタスクキューQU1に要求データを格納するようにタスクキュー制御部QCNTを制御する。上記では、基板処理装置10-1に対する要求データについて代表例として説明したが、基板処理装置10-2~10-nの各々に対する要求データについて、上記と同様な動作を行う。
【0056】
管理システム(管理装置)7は、タスクキュー部(第1記憶部)QUと、キャッシュメモリ(第2記憶部)CMと、制御部CNTと、を含む。管理システム(管理装置)7の制御部CNTは、端末装置6、8からの情報取得を指示する要求データを受信し、受信した要求データに基づきタスクキュー部(第1記憶部)QUに格納された要求データのタスクキュー情報およびキャッシュメモリ(第2記憶部)CMに格納された応答データのキャッシュ情報のうちいずれか一方を検索する。そして、管理システム(管理装置)7の制御部CNTは、タスクキュー部(第1記憶部)QU及びキャッシュメモリ(第2記憶部)CMのうち少なくともいずれか(要求データまたは応答データの少なくともいずれか)を用いて、受信した要求データの内容に対応する基板処理装置10の情報を取得することが可能なように構成されている。
【0057】
また、管理システム7は基板処理装置10-1~10-nのイベントを監視し、イベントによりキャッシュメモリCMに格納している基板処理装置の情報が古くなった場合、制御部CNTは、対応する装置情報をキャッシュメモリCMから破棄するように制御を行う。
【0058】
これにより、多数の接続クライアントである端末装置6-1~6-m、8-1~8-Lから同時に多数の要求データを受け付けても、基板処理装置10-1~10-nの負荷を最小限にしながら、各クライアントに高速なレスポンスを提供することが可能な管理システム7を提供することができる。
【0059】
ここで、基板処理システム2はつぎの構成としてまとめることができる。基板処理システム2は、基板処理装置10と接続可能に構成される第1クライアント6と、第1クライアント6と離間した位置に配置される第2クライアント8と、第1クライアント6および(または)第2クライアント8からの要求データを受信し、受信した要求データに基づき第1記憶部QUおよび第2記憶部CMのうちいずれか一方を検索し、第1記憶部QU及び第2記憶部CMのうち少なくともいずれかを用いて、要求データの内容に応じた基板処理装置10の情報を取得することが可能なように構成されている管理装置7と、を備える。
【0060】
また、管理装置7のデータ処理方法はつぎの構成としてまとめることができる。管理装置7のデータ処理方法は、端末装置6,8からの要求データを受信する工程と、受信した要求データに基づき第1記憶部QUおよび第2記憶部CMのうちいずれか一方を検索する工程と、第1記憶部QU及び第2記憶部CMのうち少なくともいずれかを用いて、要求データの内容に対応する基板処理装置10の情報を取得する工程と、を有する。
【0061】
管理装置7の制御部CNTの実行するプログラムはつぎの構成としてまとめることができる。管理装置7の制御部CNTにより実行されるプログラムは、端末装置6,8からの要求データを受信する手順と、受信した要求データに基づき第1記憶部QUおよび第2記憶部CMのうちいずれか一方を検索する手順と、第1記憶部QU及び第2記憶部CMのうち少なくともいずれかを用いて、要求データの内容に対応する基板処理装置10の情報を取得する手順と、を管理装置に実行させる。
【0062】
半導体装置の製造方法はつぎの構成としてまとめることができる。所定のレシピを実行して、基板を処理する基板処理工程を有する半導体装置の製造方法であって、基板処理工程では、端末装置6,8からの要求データを受信する工程と、受信した要求データに基づき第1記憶部QUおよび第2記憶部CMのうちいずれか一方を検索する工程と、第1記憶部QU及び第2記憶部CMのうち少なくともいずれかを用いて、要求データの内容に対応する基板処理装置10の情報を取得する工程と、を更に有する。
【0063】
(要求データの優先度)
図7は、基板処理装置に対する要求データの優先度のテーブルを説明する図である。図7の優先度のテーブルに示すように、基板処理装置に対する要求データとして、この例では、4つの要求データが示されている。4つの要求データには、要求データの種別(タスク)ごとに優先度が設定されている。4つの要求データは、優先度のレベルが最高レベルの”5”であるタスクTK5と、優先度のレベルが”4”であるタスクTK4と、優先度のレベルが”2”であるタスクTK2と、優先度のレベルが最低レベルの”0”であるタスクTK0とである。
【0064】
ここで示す優先度のレベルは初期値であり、変更することが可能に構成されている。タスクTK5は、装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧の取得を要求する要求データである。タスクTK4は、ユーザ指示による装置からのファイル取得を要求する要求データである。タスクTK2は、装置へのファイル送信を要求する要求データである。タスクTK0は、装置ログファイル取得の要求を要求データである。したがって、要求データは、装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧取得要求(TK5)、ユーザ指示による装置からのファイル取得要求(TK4)、ログファイルの取得要求(TK0)、装置へのファイルの送信要求(TK2)の少なくとも1つ以上から選択されることになる。
【0065】
ここで、例えば、GUI上で装置10のファイル一覧の表示のためのファイル一覧取得要求(TK5)や、ユーザ指示による装置からのファイル取得(TK4)を高い優先度として処理するのが良い。一方、ログファイルの取得(TK0)や、装置へのファイルの送信(TK2)は、低い優先度として処理するのが良い。ログファイルには、装置で作成されたスクリーンショットや、装置の通信を保存した通信ログ、装置の稼働状況やイベントを保存したイベントログ、発生したエラー情報を保存したエラーログ等のデータがある。なお、ログファイルは、これらデータの少なくとも1つ以上を含む。また、ログファイルとして使用するデータは、これらデータの少なくとも1つ以上を選択することができる。基板処理装置に対する要求データは、必要に応じで追加して定義することができ、図7に示す4つのタスク(TK5,TK4,TK2,TK0)に限定されない。タスクの数は、5または5以上でもよいし、3、2でもよい。
【0066】
(端末装置からの要求データの受付フロー)
図8は、端末装置からの要求データの受付フローを説明する図である。図8には、代表例として、端末装置6、8から基板処理装置10-1に対する要求データを管理システム7で受け付けるときの受付フローが示されている。ここで、タスクキュー部QUのタスクキューQU1は基板処理装置10-1に対応して設けられたタスクキューであり、キャッシュメモリCMのメモリ部CMEM1は基板処理装置10-1に対応して設けられたメモリ部である。図8では、基板処理装置10-1が装置Aとして記載され、メモリ部CMEM1が装置A応答キャッシュとして記載され、タスクキューQU1が装置A要求キューとして記載されている。以下、各ステップについて説明する。
【0067】
(ステップS1)
端末装置6,8が操作され、端末装置6,8の表示・入力装置24のGUIに基板処理装置10-1に対する要求データが入力されて送信されると、管理システム7は、端末装置6,8の要求データを受け付ける。そして、ステップS2へ移行する。
【0068】
(ステップS2)
管理システム7の制御部CNTは、ステップS1で受け付けた要求データに対する応答データがメモリ部CMEM1に格納されているか否かを確認するために、キャッシュメモリCMへの問い合わせ(検索)を行う。そして、ステップS3へ移行する。
【0069】
(ステップS3)
要求データに対する応答データがメモリ部CMEM1内にキャッシュ情報として存在しているか否か確認する。キャッシュ情報として存在する場合(YES)、ステップS4へ移行する。キャッシュ情報として存在しない場合(No)、ステップS5へ移行する。
【0070】
(ステップS4)
管理システム7の制御部CNTは、メモリ部CMEM1に格納されるキャッシュ情報から、要求データに対する応答データを作成する。そして、ステップS9へ移行する。
【0071】
つまり、管理システム7の制御部CNTは、要求データを受付けると、キャッシュメモリ(第2記憶部)CMのメモリ部CMEM1を検索し、受信した要求データに沿ったキャッシュ情報がメモリ部CMEM1に格納されていれば、端末装置6,8に応答することが可能に構成されている。
【0072】
(ステップS5)
管理システム7の制御部CNTは、要求データと同一の要求データがタスクキュー部QUのタスクキューQU1に格納されているか否かを確認するために、タスクキュー部QUへの問い合わせ(検索)を行う。そして、ステップS6へ移行する。
【0073】
(ステップS6)
管理システム7の制御部CNTは、要求データと同一の要求データがタスクキューQU1に存在しているか否か確認する。同一の要求データが存在する場合(YES)、タスクキューQU1に後から追加された要求データ(受信された要求データに対応する)を、先に格納されていた要求データにまとめる制御が行われる。その後、ステップS7へ移行する。同一の要求データが存在しない場合(No)、ステップS8へ移行する。
【0074】
つまり、管理システム7の制御部CNTは、受信した要求データに沿ったキャッシュ情報(応答データ)がキャッシュメモリ(第2記憶部)CMのメモリ部CMEM1に格納されていなければ(メモリ部CMEM1に無ければ)、タスクキュー部(第1記憶部)QUのタスクキューQU1を検索し、タスクキュー部(第1記憶部)QUのタスクキューQU1内に受信した要求データと同一の要求データが存在するか否かを確認する(同一の要求データの有無を確認する)。そして、管理システム7の制御部CNTは、同一の要求データがタスクキューQU1内に存在する場合、同一の要求データに纏めてしまうように構成されている。
【0075】
(ステップS7)
管理システム7の制御部CNTは、端末装置6,8に対して要求データを基板処理装置10-1へ要求する旨の応答を作成する。そして、ステップS9へ移行する。
【0076】
(ステップS8)
管理システム7の制御部CNTは、タスクキューQU1に、要求項目として、要求データを追加する。そして、ステップS7へ移行する。
【0077】
つまり、管理システム7の制御部CNTは、タスクキュー部(第1記憶部)QUのタスクキューQU1内に受信した要求データと同一の要求データが無ければ、タスクキュー部(第1記憶部)QUのタスクキューQU1内に要求項目として受信した要求データを追加する。
【0078】
(ステップS9)
管理システム7の制御部CNTは、端末装置6,8の表示・入力装置24のGUIに対して、作成した応答データ(S4)または応答(S7)を送信し、応答を行う。
【0079】
つまり、管理システム7の制御部CNTは、受信した要求データに沿ったキャッシュ情報がキャッシュメモリ(第2記憶部)CMのメモリ部CMEM1に格納されていなければ(メモリ部CMEM1に無ければ)、基板処理装置10-1に受信した要求データを要求する旨を端末装置6,8に応答することが可能に構成されている。
【0080】
(管理システムから基板処理装置への要求データの要求処理フロー)
図9は、管理システムから基板処理装置への要求データの要求処理フローを説明する図である。図9には、代表例として、管理システム7から基板処理装置10-1への要求データの要求処理フローが示されている。図9では、装置Aは、たとえば、基板処理装置10-1とし、タスクキュー部QUのタスクキューは基板処理装置10-1に対応して設けられたタスクキューQU1とし、キャッシュメモリCMのメモリ部は基板処理装置10-1に対応して設けられたメモリ部CMEM1として説明する。図9では、基板処理装置10-1が装置Aとして記載され、メモリ部CMEM1が装置A応答キャッシュとして記載され、タスクキューQU1が装置A要求キューとして記載されている。以下、各ステップについて説明する。
【0081】
(ステップS10)
まず、要求データの処理がタスクキューQU1に追加される。その後、ステップS11へ移行する。
【0082】
(ステップS11)
管理システム7の制御部CNTは、タスクキューQU1から先頭の要求データを取得するように制御し、ステップS12へ移行する。
【0083】
(ステップS12)
管理システム7の制御部CNTは、タスクキューQU1から先頭の要求データの取得が成功したか否かを確認する。先頭の要求データの取得が成功した場合(YES)、ステップS13へ移行する。先頭の要求データの取得が成功しなかった場合(失敗した場合:No)、要求処理フローが終了する。
【0084】
(ステップS13)
管理システム7の制御部CNTは、基板処理装置10-1に対して先頭から取得した要求データの内容の要求を実施する。その後、ステップS14へ移行する。
【0085】
(ステップS14)
管理システム7の制御部CNTは、要求データに対する応答データを基板処理装置10-1から受信し、受信した応答データをメモリ部CMEM1に保存する。そして、ステップS11へ移行し、タスクキューQU1に格納された要求データがなくなるまで、ステップS12-S14を繰り返し実行する。
【0086】
(装置イベントの受信フロー)
図10は、基板処理装置から送信されたイベントを管理システム7で受信したときの受信フローを説明する図である。図10には、代表例として、基板処理装置10-1から送信されたイベントを管理システム7で受信した場合の受信フローが示されている。図10では、基板処理装置10-1が装置Aとして記載され、メモリ部CMEM1が装置A応答キャッシュとして記載され記載されている。以下、各ステップについて説明する。
【0087】
(ステップS20)
管理システム7は、基板処理装置10-1から送信されたイベントを受信する。
【0088】
(ステップS21)
管理システム7の制御部CNTは、受信したイベントが、メモリ部CMEM1に格納された複数のキャッシュ情報の内、いずれかのキャッシュ情報が古くなって使用できなくなるイベントか否かの判定を実施する。受信したイベントが、キャッシュ情報が古くなって使用できなくなるイベントである場合(YES)、ステップS22へ移行する。受信したイベントが、キャッシュ情報が古くなって使用できなくなるイベントでない場合(No)、受信フローが終了する。
【0089】
(ステップS22)
管理システム7の制御部CNTは、メモリ部CMEM1に格納された受信したイベントに関連するキャッシュ情報を破棄する。そして、受信フローが終了する。
【0090】
つまり、管理システム7の制御部CNTは、基板処理装置10-1からイベント情報を取得すると、キャッシュメモリ(第2記憶部)CMのメモリ部CMEM1に保存しているキャッシュ情報が古くなるイベントか否かを確認し、該イベントに該当する場合は、キャッシュ情報を破棄するように構成されている。
【0091】
(タスクキューの動作例)
次に、タスクキュー部QUの動作例について、図面を用いて説明する。以下の説明では、代表例として、タスクキュー部QU内のタスクキューQU1の動作について説明する。他のタスクキューQU2-QUnの各々の動作の説明は、タスクキューQU1の動作と同様なので、省略する。
【0092】
(タスクキューの基本動作概要)
図11は、タスクキューの動作の概要を説明する図である。タスクキューQU1は、基板処理装置10-1に対する複数の要求データ(TK0,TK5,TK4)を格納することができるように構成されている。図11には、タスクキューQU1の先頭HDから要求データTK2を取り出されて(pop)、基板処理装置10-1へ送付される状態、及び、端末装置6-1~6-m、8-1、8-2などから生成された新たな要求データTK2がタスクキューQU1へ格納(push)される状態を示している。
【0093】
(タスクキューの動作1:同一要求データのまとめ処理)
図12は、タスクキューにおける同一要求データのまとめ処理を説明する図である。図8のステップS6で説明したように、同一の要求データがタスクキューQU1に格納された場合の処理である。図12に示すように、タスクキューQU1aには、タスクTK5、TK4、TK5がヘッドHD側から後方ED側に向かって順に格納された状態である。ここで、2つのタスクTK5は同一の要求データであり、同じ要求TK5を基板処理装置10-1に2回要求することは、無駄が発生することになる。そこで、タスクキューQU1bに示すように、時間的に後からタスクキューQU1へ格納された後方ED側のタスクTK5を、先頭HD側のタスクTK5へまとめてしまう処理が実行される。これにより、基板処理装置10-1に対する負荷を低減することができる。
【0094】
(タスクキューの動作2:装置イベントによる要求データの削除)
図13は、基板処理装置からのイベントによる要求データの削除を説明する図である。基板処理装置10-1から、装置10-1内の所定ファイルの内容の変更されたことを示すイベント(編集・削除等)が通知された際、タスクキューQU1内に格納されている対応する所定ファイルへの要求データ(タスク)をすべてキャンセルする必要がある。図13には、時刻T1、時刻T2(時刻T1以降:T1<T2)、および時刻T3(時刻T2以降:T2<T3)の各々におけるタスクキューQU1の状態が示されている。
【0095】
時刻T1において、タスクキューQU1内には、たとえば、基板処理装置10-1のファイル1の更新(アップデート)を要求する要求データF1(UD)と、基板処理装置10-1のファイル2の更新(アップデート)を要求する要求データF2(UD)と、基板処理装置10-1のファイル3の取得を要求する要求データF3(AC)と、が格納されていたとする。要求データF1(UD)、F2(UD)は、図7のTK2に対応し、要求データF3(AC)は図7のTK4またはTK0に対応する。
【0096】
時刻T2において、基板処理装置10-1からファイル2が更新された旨を示すイベントI_F2UDが管理システム7に通知されたとする。この場合、タスクキューQU1内の要求データF2(UD)が基板処理装置10-1に要求されて実行されると、更新されたファイル2が不所望に更新されることになるので、要求データF2(UD)は不要であり、管理システム7の制御部CNTは、要求データF2(UD)を削除する判断を行う。
【0097】
その結果、時刻T3において、管理システム7の制御部CNTは、タスクキューQU1から要求データF2(UD)を削除する制御を行う。つまり、管理システム7の制御部CNTは、基板処理装置10-1からイベント情報を取得すると、タスクキュー部(第1記憶部)QUのタスクキューQU1内に保存している要求データが古くなるイベント情報か否かを確認し、該イベント情報に該当する場合は、タスクキューQU1内に保存している要求データを削除するように構成されている。
【0098】
(タスクキューの動作3:優先度(優先順位)を考慮した要求データの並び替え)
図14は、タスクキュー内の要求データの優先度を考慮した並び替えを説明する図である。
【0099】
図14の時刻T1には、優先度がレベル”2”の要求データTK2と優先度がレベル”0”の要求データTK0とを格納するタスクキューQU1内に、優先度のレベルが最高レベル”5”の要求データTK5が追加されて格納されたタスクキューQU1の状態が示されている。ここで、管理システム7の制御部CNTは、要求データTK5を要求データTK2、要求データTK0より優先的に処理させるため、あるいは、レスポンスに影響する要求データ(ここでは、TK5)を優先させるため、優先度を考慮してタスクキューQU1内の複数の要求データの並び替えを実施する制御を行う。
【0100】
時刻T2で示されるように、管理システム7の制御部CNTは、要求データTK5をタスクキューQU1の先頭HD側に移動させ、要求データTK2、要求データTK0を一つ後方ED側に移動させるように制御を行う。つまり、管理システム7の制御部CNTは、タスクキュー部(第1記憶部)QUのタスクキューQU1内の複数の要求データをその優先度に応じて基板処理装置10-1へ要求できるように、要求データの優先度に応じて要求する順番を変更するように構成されている。
【0101】
これにより、優先度の高い要求データまたはレスポンスに影響する要求データを優先的に処理することができるので、各クライアント(6、8)に対して高速なレスポンスを提供することが可能である。
【0102】
(タスクキューの動作4:優先度の変更処理)
図14で説明したように、タスクキュー内に要求データを追加するときに、優先度を考慮して並び替えを行うと、優先度が最低レベル”0”の要求データ(例えば、TK0)の実行が遅くなってしまい、各クライアント(6、8)に対して適切にレスポンスできない場合も想定される。そこで、タスクキュー内に要求データを追加した場合、並び替えにより処理順序が下がった要求データは、その優先度のレベルを”1”上げる処理を実行する。これにより、各クライアント(6、8)に対して適切にレスポンスすることが可能となる。図15は、優先度の変更処理を説明する図である。図15に示される数値(0,1、2)は、要求データの優先度のレベルを示している。
【0103】
図15の時刻T1で示すように、タスクキューQU1には、優先度が最低レベル”0”の複数の要求データが格納されているものとする。ここで、タスクキューQU1に、優先度がレベル”2”の要求データを追加する。この場合、図14で説明したように、タスクキューQU1内の複数の要求データは優先度順位に従って並べ替えられることになる。
【0104】
図15の時刻T2で示すように、タスクキューQU1において、優先度がレベル”2”の要求データがタスクキューQU1の先頭に追加される。これに伴い、時刻T1において優先度がレベル”0”であった複数の要求データが移動されることになるが、並び替えにより処理順序が下がった要求データの優先度のレベルが”0”から”1”へ一つ上げられて、優先度のレベルが”1”へ変更される。このように、管理システム7の制御部CNTは、タスクキュー部(第1記憶部)QUのタスクキューQU1内の要求データのうち、基板処理装置10-1へ要求する順番を後回しにされた要求データの優先度を一つ上げるように構成されている。
【0105】
実施形態によれは、以下の1または複数の効果を得ることができる。
【0106】
1)第1クライアント(接続を維持するクライアント:端末装置6)と、第2クライアント(接続を維持しないクライアント:端末装置8)が混在し、複数のクライアント(6,8)から同時のタイミングで処理を要求する要求データ(タスク)が発生することが考えられる。実施例では、管理システム7にタスクキュー部QU及びキャッシュメモリを設ける。タスクキュー部QUにより各基板処理装置10への要求をタスクキュー部QUにキューイング(格納)、また、要求データ(タスク)に対する応答データをキャッシュメモリにキャッシュ(格納)するため、特定のクライアントが基板処理装置を占有し、他のクライアントが基板処理装置の情報を取得できない状態は発生しない。
【0107】
2)各クライアント(6,8)が同時に同一ファイルへ参照以外の要求を行った場合、後続の要求は拒否されるため、同時操作による不整合は発生しない。
【0108】
3)大量の同時接続クライアント(6,8)から同時に大量の要求を受け付けても装置の負荷を最小限にし、クライアントにも高速にレスポンスを提供する仕組みが提供できる。
【0109】
4)複数の工場や大量の半導体製造装置をもつ工場において、半導体製造装置の管理作業の効率化を実現できる。また、ユーザのネットワークが許せば、横断接続クライアント(8)を使用し、国内及び海外に点在する全ての管理システム7に接続し、各工場の各基板処理装置の保守を行う事が可能となる。
【0110】
本実施の形態では、管理装置7は、基板処理装置10と同じフロアやクリーンルームに設置される必要はなく、例えば、LAN接続して別のフロアに設置してもよい。例えば、管理装置7の端末装置6をクリーンルームから離れた事務所に配置し、管理装置7のデータベース内のデータを遠隔で検索してもよい。
【0111】
基板処理装置10として、半導体製造装置だけでなくLCD装置のようなガラス基板を処理する装置でも適用できる。
【0112】
また、成膜処理には、例えば、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理等を含む。更に、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等の処理でも構わない。
【0113】
基板処理装置10として、他の基板処理装置である、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置等でも構わない。
【0114】
以上、本件開示者によってなされた技術を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0115】
(本開示の好ましい態様)
以下に、付記として本開示の態様を記す。
【0116】
(付記1)
端末装置からの要求データを記憶する第1記憶部と、処理装置からの情報を記憶する第2記憶部と、受信した前記要求データに基づき前記第1記憶部および前記第2記憶部のうちいずれか一方を検索し、前記第1記憶部及び前記第2記憶部のうち少なくともいずれかを用いて、前記要求データの内容に対応する処理装置の情報を取得させることが可能なように構成されている制御部と、を備えた管理装置。
【0117】
(付記2)
前記制御部は、前記要求データを受付けると、前記第2記憶部を検索し、
前記要求データに沿ったキャッシュ情報があれば、前記端末装置に応答することが可能に構成されている(付記1)の管理装置。
【0118】
(付記3)
前記制御部は、前記要求データを受付けると、前記第2記憶部を検索し、前記要求データに沿ったキャッシュ情報が無ければ、前記処理装置に前記要求データを要求する旨を前記端末装置に応答することが可能に構成されている(付記2)の管理装置。
【0119】
(付記4)
前記制御部は、前記要求データに沿ったキャッシュ情報が無ければ、前記第1記憶部を検索し、前記第1記憶部内に同一の要求データの有無を確認する(付記3)の管理装置。
【0120】
(付記5)
前記制御部は、前記第1記憶部内に同一の要求データが無ければ、前記第1記憶部内に要求項目を追加し、前記第1記憶部内の先頭の要求データを取得するよう構成されている(付記4)の管理装置。
【0121】
(付記6)
前記制御部は、前記処理装置に前記第1記憶部内に格納されている複数の要求データから先頭の要求データを取り出して送信し、この要求データに対応した結果を取得し、前記第2記憶部に保存するように構成されている(付記5)の管理装置。
【0122】
(付記7)
前記制御部は、前記第1記憶部内に同一の要求データがあれば、前記同一の要求データに纏めてしまうように構成されている(付記4)の管理装置。
【0123】
(付記8)
前記制御部は、前記処理装置からイベント情報を取得すると、前記第2記憶部に保存している前記キャッシュ情報が古くなるイベントか否かを確認し、該イベントに該当する場合は、前記キャッシュ情報を破棄するように構成されている(付記2)の管理装置。
【0124】
(付記9)
前記制御部は、前記処理装置からイベント情報を取得すると、前記第1記憶部に保存している前記要求データが古くなるイベント情報か否かを確認し、該イベント情報に該当する場合は、前記要求データを削除するように構成されている(付記1)の管理装置。
【0125】
(付記10)
更に、前記要求データの種別(タスク)ごとに優先度が設定されるテーブルを有し、
前記 制御部は、前記第1記憶部内の前記要求データを前記優先度に応じて前記処理装置へ要求する順番を変更するように構成されている(付記1)の管理装置。
【0126】
(付記11)
前記制御部は、前記第1記憶部内の前記要求データのうち、前記処理装置へ要求する順番を後回しにされた前記要求データの優先度を(一つ)上げるように構成されている(付記10)の管理装置。
【0127】
(付記12)
前記要求データは、装置のファイル一覧の表示のためのファイル一覧取得要求、ユーザ指示による装置からのファイル取得要求、ログファイルの取得要求、装置へのファイルの送信要求の少なくとも1つ以上から選択される(付記10)の管理装置。
【0128】
(付記13)
前記ログファイルには、装置で作成されたスクリーンショット、装置の通信を保存した通信ログ、装置の稼働状況やイベントを保存したイベントログ、発生したエラー情報を保存したエラーログの少なくとも1つ以上から選択される(付記12)の管理装置。
【0129】
(付記14)
前記制御部は、前記端末装置との接続時のユーザとパスワード認証を保有するように構成されている(付記1)の管理装置。
【0130】
(付記15)
前記制御部は、接続されている前記処理装置毎に複数の要求データを格納するタスクキューが設けられた第1記憶部を有するように構成されている(付記1)の管理装置。
【0131】
(付記16)
端末装置からの要求データを記憶する第1記憶部と、
処理装置からの情報を記憶する第2記憶部と、
受信した前記要求データに基づき前記第1記憶部および前記第2記憶部のうちいずれか一方を検索し、前記第1記憶部及び前記第2記憶部のうち少なくともいずれかを用いて、前記要求データの内容に応じた前記処理装置の情報を取得することが可能なように構成されている管理装置と、
を備えた処理システム。
【0132】
(付記17)
端末装置からの要求データを受信する工程と、
受信した前記要求データに基づき第1記憶部および第2記憶部のうちいずれか一方を検索する工程と、
前記第1記憶部及び前記第2記憶部のうち少なくともいずれかを用いて、前記要求データの内容に対応する処理装置の情報を取得する工程と、
を有するデータ処理方法。
【0133】
(付記18)
端末装置からの要求データを受信する手順と、
受信した前記要求データに基づき第1記憶部および第2記憶部のうちいずれか一方を検索する手順と、
前記第1記憶部及び前記第2記憶部のうち少なくともいずれかを用いて、前記要求データの内容に対応する処理装置の情報を取得する手順と、
を管理装置に実行させるプログラム。
【0134】
(付記19)
所定のレシピを実行して、基板を処理する基板処理工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板処理工程では、
端末装置からの要求データを受信する工程と、
受信した前記要求データに基づき第1記憶部および第2記憶部のうちいずれか一方を検索する工程と、
前記第1記憶部及び前記第2記憶部のうち少なくともいずれかを用いて、前記要求データの内容に対応する処理装置の情報を取得する工程と、
を更に有する半導体装置の製造方法。
【0135】
(付記20)
処理装置と接続可能に構成される第1クライアントと、
前記第1クライアントと離間した位置に配置される第2クライアントと、
前記第1クライアントおよびまたは前記第2クライアントからの要求データを受信し、受信した前記要求データに基づき第1記憶部および第2記憶部のうちいずれか一方を検索し、前記第1記憶部及び前記第2記憶部のうち少なくともいずれかを用いて、前記要求データの内容に応じた前記処理装置の情報を取得することが可能なように構成されている管理装置と、
を備えた処理システム。
【符号の説明】
【0136】
2:基板処理システム
6:第1端末装置(第1クライアント)
7:管理システム(管理装置)
8:第2端末装置(第2クライアント)
10:基板処理装置
QU:タスクキュー部(第1記憶部)
CM:キャッシュメモリ(第2記憶部)
CNT:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15