(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240809BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240809BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240809BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20240809BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20240809BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/205
H01L21/316 X
H01L21/318 B
C23C16/505
C23C16/44 B
(21)【出願番号】P 2022552063
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2021035033
(87)【国際公開番号】W WO2022065422
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2020159571
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】江尻 靖則
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-531269(JP,A)
【文献】特開2008-270477(JP,A)
【文献】特開2003-218040(JP,A)
【文献】特開2004-263292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
H01L 21/316
H01L 21/318
C23C 16/505
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室と、
前記処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記処理室にプラズマを供給するプラズマ発生構造と、
少なくとも一部に導電性を有し前記処理室内で複数の基板を保持するボートを、回転可能に支持する回転軸と、
前記回転軸の内部に設けられ、前記ボートと電気的に接続される内部導体と、
前記回転軸の端部に設けられ、前記ボートを支持するとともに前記ボートと前記内部導体とを電気的に接続するボート支持台と、を備え、
前記ボート支持台は、前記ボートを上面で支持する絶縁部材と、前記絶縁部材の内部に設けられる金属部材と、を有し、
前記金属部材は、前記絶縁部材の上面から露出し、前記ボートと接触する接触面を有し、前記ボートと前記内部導体とを電気的に接続する基板処理装置。
【請求項2】
前記処理室外に設けられ、前記内部導体と直流電源とを電気的に接続するスリップリングを備える、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
処理室と、
前記処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記処理室にプラズマを供給するプラズマ発生構造と、
少なくとも一部に導電性を有し前記処理室内で複数の基板を保持するボートと、
前記ボートを回転可能に支持する回転軸と、
前記回転軸の内部に設けられ、前記ボートと電気的に接続される内部導体と、
を備え、
前記プラズマ発生構造は、上下方向に延び、高周波電源若しくはアースに接続され、前記処理室の下部から上部に亘ってプラズマを生成する複数の電極を有する基板処理装置。
【請求項4】
処理室と、
前記処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記処理室にプラズマを供給するプラズマ発生構造と、
少なくとも一部に導電性を有し前記処理室内で複数の基板を保持するボートを、回転可能に支持する回転軸と、
前記回転軸の内部に設けられ、前記ボートと電気的に接続される内部導体と、
を備え、
前記プラズマ発生構造は、高周波電力によって間欠的に励起され、前記複数の基板には前記ボートを介して正の直流バイアスが印加される基板処理装置。
【請求項5】
前記接触面は、前記ボートの底板により、覆われる様に構成される請求項1
又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記回転軸は筒状に形成され、前記回転軸と前記内部導体の間には、絶縁碍子管が設けられる請求項1、2、3及び4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記内部導体の上端は、前記回転軸の上面よりも突出し、前記金属部材に接触する請求項1
又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記ボートは、導電性を有する炭化珪素製である請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項9】
処理室と、
前記処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記処理室にプラズマを供給するプラズマ発生構造と、
少なくとも一部に導電性を有し前記処理室内で複数の基板を保持するボートを、回転可能に支持する回転軸と、
前記回転軸の内部に設けられ、前記ボートと電気的に接続される内部導体と、
を備え、
前記ボートは、非金属製であり少なくとも表面の一部に導電性を有し、前記内部導体と前記複数の基板との間を電気的に接続する基板処理装置。
【請求項10】
処理室と、
前記処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記処理室にプラズマを供給するプラズマ発生構造と、
少なくとも一部に導電性を有し前記処理室内で複数の基板を保持するボートと、
前記ボートを回転可能に支持する回転軸と、
前記回転軸の内部に設けられ、前記ボートと電気的に接続される内部導体と、
を備え、
前記ボートは、リング状に形成された水平姿勢の電極板を、保持する前記複数の基板と同数有する基板処理装置。
【請求項11】
前記ボートは、複数の前記電極板の上面に、前記複数の基板をそれぞれ載置する請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記複数の基板と対向する対向壁を有し、ガス分散空間を構成するバッファ室を更に備え、
前記複数の電極は、バッファ室内に3本設けられる請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記対向壁には、上下方向に隣り合う基板間に形成される処理空間に対応して開口する複数のガス供給孔が設けられる請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記内部導体は、-10kV~10kVの範囲の電圧の直流若しくは交流のバイアスが供給される請求項1、3、4、9及び10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
少なくとも一部に導電性を有するボートによって複数の基板を処理室内で保持する工程と、
処理ガス供給系から前記処理室に処理ガスを供給し、プラズマ発生構造から前記処理室にプラズマを供給して、基板を処理する工程と、
排気系が前記処理室内を排気する工程と、を有し、
前記処理する工程では、
内部に前記ボートと電気的に接続される内部導体を有し、前記ボートを回転可能に支持する回転軸と、
前記回転軸の端部に設けられ、前記ボート
を上面の絶縁部材で支持するとともに前記ボートと前記内部導体とを金属部材で電気的に接続するボート支持台
とが用いられ、
前記絶縁部材の内部に設けられつつ、前記絶縁部材の上面から露出して前記ボートと接触する接触面を有する前記金属部材が、前
記内部導体を、前記ボートと電気的に接続する、基板処理方法。
【請求項16】
少なくとも一部に導電性を有するボートによって複数の基板を処理室内で保持する工程と、
処理ガス供給系から前記処理室に処理ガスを供給し、プラズマ発生構造から前記処理室にプラズマを供給して、基板を処理する工程と、
排気系が前記処理室内を排気する工程と、を有し、
前記処理する工程では、
前記処理室の内外に亘って設けられ前記ボートを支持する回転軸が、前記ボートを回転させ、
前記回転軸の内部に設けられる内部導体を、前記ボートと電気的に接続し、
プラズマ発生構造が有する、上下方向に延び高周波電源若しくはアースに接続される複数の電極が、前記処理室の下部から上部に亘ってプラズマを生成する、基板処理方法。
【請求項17】
少なくとも一部に導電性を有するボートによって複数の基板を処理室内で保持する工程と、
処理ガス供給系から前記処理室に処理ガスを供給し、プラズマ発生構造から前記処理室にプラズマを供給して、基板を処理する工程と、
排気系が前記処理室内を排気する工程と、を有し、
前記処理する工程では、
前記プラズマ発生構造は、高周波電力によって間欠的に励起され、
前記処理室の内外に亘って設けられ前記ボートを支持する回転軸が、前記ボートを回転させ、
前記回転軸の内部に設けられる内部導体を、前記ボートと電気的に接続し、
前記複数の基板には前記ボートを介して正の直流バイアスが印加される、基板処理方法。
【請求項18】
少なくとも一部に導電性を有するボートによって複数の基板を処理室内で保持する工程と、
処理ガス供給系から前記処理室に処理ガスを供給し、プラズマ発生構造から前記処理室にプラズマを供給して、基板を処理する工程と、
排気系が前記処理室内を排気する工程と、を有し、
前記処理する工程では、
非金属製であり少なくとも表面の一部に導電性を有するボートが用いられ、
前記処理室の内外に亘って設けられ前記ボートを支持する回転軸が、前記ボートを回転させ、
前記回転軸の内部に設けられる内部導体を、前記ボートと電気的に接続し、
前記ボートは前記内部導体と前記複数の基板との間を電気的に接続する、基板処理方法。
【請求項19】
少なくとも一部に導電性を有するボートによって複数の基板を処理室内で保持する工程と、
処理ガス供給系から前記処理室に処理ガスを供給し、プラズマ発生構造から前記処理室にプラズマを供給して、基板を処理する工程と、
排気系が前記処理室内を排気する工程と、を有し、
前記処理する工程では、
リング状に形成された水平姿勢の電極板を、保持する前記複数の基板と同数有する前記ボートが用いられ、
前記処理室の内外に亘って設けられ前記ボートを支持する回転軸が、前記ボートを回転させ、
前記回転軸の内部に設けられる内部導体を、前記ボートと電気的に接続する、基板処理方法。
【請求項20】
請求項15乃至19のいずれか一項の基板処理方
法を備える半導体装置の製造方法。
【請求項21】
コンピュータ上で動作し基板処理装置を制御するためのプログラムを記憶する記録媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項15乃至19のいずれか一項の基板処理方法が行われるように、コンピュータに前記基板処理装置を制御させる記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及び記録媒体に関し、特に、プラズマを利用して基板を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置製造工程において、プラズマを利用した基板処理の一例として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて基板上に所定の薄膜を堆積する成膜処理がある(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第18/016131号
【文献】特開2020-188237号公報
【文献】国際公開第19/035223号
【文献】特開2020-161539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プラズマを用いた基板処理では、プラズマ源で発生させたプラズマ或いは活性種を、基板の表面全体に行き渡らせることが難しい場合がある。特に複数の基板を多段状に保持して処理する場合に、基板の側方からプラズマを供給しても、基板の中心部では活性種の濃度が低下し、基板の表面上に形成される薄膜の面内均一性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の事情を考慮し、基板の表面上に生成される薄膜の面内均一性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、処理室と、前記処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、前記処理室内を排気する排気系と、前記処理室にプラズマを供給するプラズマ発生構造と、導電性を有し前記処理室内で複数の基板を保持するボートを、回転可能に支持する回転軸と、前記筒状回転軸の内部に設けられ、前記ボートと電気的に接続される内部導体と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板の表面上に生成される薄膜の面内均一性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る基板処理装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されるボート、及びボート回転機構を示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示される基板処理装置で用いられるコントローラと、コントローラによって制御される各部材を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、
図1に示される基板処理装置において、ウエハの表面に酸化シリコン膜を生成する製造プロセスの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る基板処理装置について説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(基板処理装置の構成)
図1に示されるように、基板処理装置101は、例えば、半導体装置の製造に使用される半導体製造装置とされる。基板処理装置101では、基板の一例となるウエハ200を収納したポッド110が使用される。ウエハ200は、半導体シリコン等の材料から構成されている。
【0011】
基板処理装置101は、筐体111を備えている。筐体111の内部には、ポッドステージ114が設置されている。ポッド110は、工程内搬送装置(図示省略)によって、ポッドステージ114上に搬入され、又はポッドステージ114上から搬出される。
【0012】
なお、
図1に示される矢印は、基板処理装置101(筐体111)の上下方向、前後方向、及び左右方向をそれぞれ示している。
【0013】
ポッド110は、工程内搬送装置(図示省略)によって、ポッドステージ114上に載置される。この際、ポッド110は、ポッド110内のウエハ200が垂直姿勢で、かつ、ポッド110のウエハ出し入れ口が上方を向くようにポッドステージ114上に載置される。
【0014】
ポッドステージ114は、ポッド110内のウエハ200が水平姿勢で、かつ、ポッド110のウエハ出し入れ口が基板処理装置101の筐体111の後方を向くように、ポッド110を筐体111の後方に90°回転可能に構成されている。
【0015】
筐体111内の前後方向の略中央部には、ポッド棚105が設置されている。ポッド棚105は、複数段、複数列にて、複数のポッド110を保管可能に構成されている。ポッド棚105には、ポッド110が収納される移載棚123が設けられている。
【0016】
ポッドステージ114の上方には、予備ポッド棚107が設けられている。予備ポッド棚107には、予備的にポッド110が保管される。ポッドステージ114とポッド棚105との間には、ポッド搬送装置118が設置されている。
【0017】
ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ118aと、搬送機構としてのポッド搬送機構118bとを備えている。ポッド搬送装置118は、ポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連動動作により、ポッドステージ114、ポッド棚105、及び予備ポッド棚107の間で、ポッド110を搬送可能に構成されている。
【0018】
ポッド棚105の後方には、ウエハ移載装置125が設置されている。ウエハ移載装置125は、ウエハ200を水平方向に移動可能なウエハ移載機構125aと、ウエハ移載機構125aを昇降させるためのエレベータ125bとを備えている。
【0019】
ウエハ移載機構125aには、ウエハ200をピックアップするためのツイーザ125cが設けられている。ウエハ移載装置125は、ウエハ移載機構125aとエレベータ125bとの連動動作により、ボート217に対してウエハ200を装填(チャージング)し、又はボート217からウエハ200を脱装(ディスチャージング)可能に構成されている。
【0020】
筐体111の後部上方には、ウエハ200を熱処理する処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部の開口は、炉口シャッタ147によって開閉可能とされる。
【0021】
処理炉202の下方には、処理炉202に対してボート217を昇降させる昇降機構としてのボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115の昇降台には、アーム128が連結されている。アーム128には、シールキャップ219が水平に据え付けられている。
【0022】
シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持するとともに、処理炉202の下端部の開口を閉塞可能なように構成されている。このシールキャップ219をボートエレベータ115によって昇降させることにより、シールキャップ219に支持されたボート217が処理室201内に搬出入される。また、ボート217に保持された複数のウエハ200は、処理室201に挿入された状態で、後述するヒータ207によって所定の温度に加熱される。
【0023】
ボート217は、非金属製であり、複数(例えば50~150枚程度)のウエハ200を水平姿勢で、かつ、上下方向(垂直方向)に所定の間隔(等間隔)を空けて保持可能に構成されている。また、ボート217は、複数のウエハ200の中心が同軸上に位置するように、複数のウエハ200を保持する。
【0024】
ポッド棚105の上方には、クリーンエアを供給するクリーンユニット134aが設置されている。筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するクリーンユニット134bが設置されている。
【0025】
(処理炉の構成)
次に、基板処理装置101の処理炉202の構成について詳説する。
【0026】
図2に示されるように、処理炉202には、ウエハ200を加熱するための加熱装置(加熱手段)であるヒータ207が設けられている。ヒータ207は、上方が閉塞された円筒形状の断熱部材と、断熱部材に設けられた複数のヒータ素線とを備えている。ヒータ207の内側には、石英製の反応管203がヒータ207と同心円状に設けられている。
【0027】
反応管203の下方には、反応管203の下端部の開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、反応管203の下端部に上下方向(垂直方向)の下側から当接される。また、シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。
【0028】
反応管203の下端部には、環状のフランジが設けられている。このフランジの下面とシールキャップ219の上面との間には、気密部材(以下Oリング)220が配置される。このOリング220によって、フランジとシールキャップ219との隙間が気密にシールされる。
【0029】
なお、本実施形態の処理室201は、反応管203及びシールキャップ219を含んで構成されている。
【0030】
図1に示されるように、シールキャップ219の上方には、複数のウエハ200を保持するボート217が配置されている。ボート217は、後述するボート支持台218に支持されている。ボート217は、底板210と、天板211と、複数の支柱212と、複数の電極板214(
図3参照)とを有している。底板210の上には、複数の支柱212が立てられている。これらの支柱212の上端部には、天板211が設けられている。
【0031】
図3に示されるように、複数の支柱212には、複数の電極板214が設けられている。複数の電極板214は、リング状に形成されている。また、複数の電極板214の中央部には、貫通孔214Aが形成されている。これらの電極板214は、水平姿勢で、かつ、上下方向に所定の間隔を空けた状態で、複数の支柱212に支持されている。これらの電極板214の上面には、ウエハ200が載置される。
【0032】
複数の支柱212には、ウエハ200の外周部が挿入される支持溝213がそれぞれ形成されている。各支持溝213は、電極板214の外周部の上面に隣接して配置されている。これにより、各支持溝213内に、電極板214の外周部の上面が露出している。そして、各支持溝213にウエハ200の外周部が挿入されると、電極板214の上面にウエハ200の外周部が載置される。また、電極板214の外周部の上面にウエハ200の外周部が載置されると、ウエハ200によって電極板214の貫通孔214Aが閉塞される。これにより、上下方向に隣り合うウエハ200の間に、処理空間215が形成される。各処理空間215には、後述する処理ガス及びプラズマが供給される。
【0033】
ボート217を構成する底板210、複数の支柱212、及び複数の電極板214は、例えば、導電性及び耐熱性を有するドープ炭化珪素等によって形成されている。これにより、複数の電極板214にウエハ200がそれぞれ載置されると、ボート217と複数のウエハ200とが電気的に接続(導通)されうる。
【0034】
なお、ボート217は、少なくとも電極板214と底板210の裏面が電気的に導通していれば良く、表面の一部のみが導電性を有しても良い。そのため、ボート217は、例えば、耐熱性を有する石英又は炭化珪素等の表面を、導電性を有する高融点金属コートによって被覆することにより形成されても良い。また電極板214と天板211は必須ではない。特にウエハ200の裏面がオーミック接触若しくはトンネル効果による導通が可能である場合、ウエハ200は支持溝213に直接載置されうる。
【0035】
シールキャップ219には、ボート217を回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267は、回転軸264と、回転軸264を回転させるモータ等の図示しない駆動源とを有している。回転軸264は、シールキャップ219を上下方向に貫通し、処理室201の内外に亘って配置されて、図示しない軸受けを介してボート回転機構267のボディと接続されうる。また回転軸264とボート回転機構267のボディとの隙間は、例えば磁性流体によってシールされうる。
【0036】
回転軸264は、筒状回転軸265と、内部導体266と、絶縁碍子管266aとを有している。筒状回転軸265は、円筒状に形成されている。この筒状回転軸265は、例えば、強磁性体の金属等によって形成され、ボート支持台218と機械的に接続し、回転を伝達する。この筒状回転軸265の内部には、内部導体266が設けられている。
【0037】
内部導体266は、導電性を有する金属等によって円柱状に形成されている。また、内部導体266は、筒状回転軸265の内部に同心に配置され、その上端は、筒状回転軸265の上面よりも突出する。絶縁碍子管266aは、例えばアルミナによって形成され、筒状回転軸265と内部導体266の間に設けられ、両者を電気的に絶縁する。絶縁碍子管266aの内周側の一部及び外周側の一部は金属が蒸着され、内部導体266及び筒状回転軸265とのロウ付けにより一体化されかつ封止される。また、内部導体266の下部には、スリップリング268を介して直流電源269が電気的に接続されている。これにより、回転する内部導体266に対して、直流電源269からスリップリング268を介して電圧(直流バイアス)が安定的に供給される。直流電源269は、例えば-10kV~10kVの範囲の電圧を発生可能であり、電圧は後述するコントローラ280によって制御可能に構成されている。
【0038】
回転軸264(筒状回転軸265)の上端部には、ボート217を支持するボート支持台218が設けられている。ボート支持台218は、回転軸264と一体に回転可能とされている。このボート支持台218の上面には、ボート217の底板210が固定される。これにより、回転軸264を回転させることにより、ボート支持台218及びボート217が一体に回転される。
【0039】
ボート支持台218は、シールキャップ219の上方に配置されている。このボート支持台218は、絶縁部材221と、金属部材222とを有している。絶縁部材221は、例えば、円盤状に形成されている。また、絶縁部材221は、例えば、絶縁性及び耐熱性を有する石英又は炭化珪素等によって形成されている。この絶縁部材221の上面221Uには、凹部が形成され、そこに金属部材222が嵌め込まれており、上面221Uにボート217の底板210の下面が固定される。
【0040】
金属部材222は、例えば、導電性を有する金属(高融点金属)によって形成される。この金属部材222は、接点部223と、接続部224とを有している。接点部223は、例えば、円盤状に形成される。この接点部223は、絶縁部材221の上部に埋設されている。また、接点部223の上面は、絶縁部材221の上面221Uから露出し、ボート217の底板210の下面と接触する接触面223Uとされている。この接点部223の接触面223Uに底板210の下面を接触させることにより、ボート217と金属部材222とが電気的に接続(導通)されている。
【0041】
また、接点部223の接触面223Uは、ボート217の底板210の下面よりも小さくされている。これにより、接点部223の接触面223Uの全面が、底板210の下面によって被覆されうる。この底板210の下面によって、接点部223の接触面223Uが後述する処理ガス及びプラズマ等から保護される。
【0042】
接続部224は、例えば、円柱状に形成される。この接続部224は、接点部223の下面から下方へ延出し、内部導体266の上端部と電気的に接続(導通)されている。これにより、ボート217に支持されたウエハ200と内部導体266とが、金属部材222を介して電気的に接続されている。なおこの文脈において、電気的に接続とはウエハ200が導電性を有することを要件としておらず、内部導体266から続く何らかの導体がウエハ200に達していれば十分である。
【0043】
図4に示されるように、処理室201には、処理ガス(原料ガス)を供給するための3本のガス供給管310,320,330が接続されている。
【0044】
処理室201内には、ノズル410,420,430が設けられている。ノズル410,420,430は、反応管203の下部を貫通している。ノズル410には、ガス供給管310が接続されている。ノズル420には、ガス供給管320が接続されている。ノズル430には、ガス供給管330が接続されている。
【0045】
(処理ガス供給系301)
図2に示されるように、ガス供給管310には、上流側から順に、開閉弁であるバルブ314、液体原料の流量制御装置である液体マスフローコントローラ312、気化ユニット(気化装置)である気化器315、及び開閉弁であるバルブ313が設けられている。
【0046】
ガス供給管310の下流側の端部は、ノズル410の下端部に接続されている。ノズル410は、反応管203の内壁面に沿って上下方向に延びている。また、ノズル410の側面には、処理ガス(原料ガス)をウエハ200に供給する複数のガス供給孔411が設けられている。
【0047】
図3に示されるように、複数のガス供給孔411は、反応管203内に挿入されたウエハ200側を向くように、ノズル410の側面を開口している。また、複数のガス供給孔411は、ボート217内に形成された複数の処理空間215と対向するように、上下方向に間隔を空けて配置されている。これにより、複数のガス供給孔411から、複数の処理空間215に処理ガスがそれぞれ供給される。
【0048】
図2に示されるように、ガス供給管310におけるバルブ313と気化器315との間には、後述する排気管232に接続されたベントライン610、及びバルブ612が設けられている。なお、本実施形態では、主に、ガス供給管310、バルブ314、液体マスフローコントローラ312、気化器315、バルブ313、ノズル410、ベントライン610、及びバルブ612によって処理ガス供給系301が構成されている。
【0049】
ガス供給管310におけるバルブ313の下流側には、キャリアガス(不活性ガス)を供給するためのキャリアガス供給管510が接続されている。キャリアガス供給管510には、マスフローコントローラ512、及びバルブ513が設けられている。なお、本実施形態では、主に、キャリアガス供給管510、マスフローコントローラ512、バルブ513によりキャリアガス供給系(不活性ガス供給系)501が構成されている。
【0050】
処理ガス供給系301では、液体マスフローコントローラ312によって流量調整された液体原料が気化器315に供給される。そして、気化器315によって気化された液体原料が、処理ガスとなってガス供給管310に供給される。
【0051】
ここで、処理ガスを処理室201に供給しない場合は、バルブ313を閉じるとともにバルブ612を開けて、処理ガスをベントライン610に流す。
【0052】
一方、処理ガスを処理室201に供給する場合は、バルブ612を閉じるとともにバルブ313を開けて、処理ガスをガス供給管310に供給する。また、キャリアガス供給系501では、マスフローコントローラ512で流量調整されたキャリアガスが、バルブ513を介してキャリアガス供給管510に供給される。そして、キャリア、及び原料ガスは、バルブ313の下流側のガス供給管310で合流され、ノズル410を介して処理室201に供給される。
【0053】
(ガス供給系302)
図2に示されるように、ガス供給管320には、上流側から順に、流量制御装置であるマスフローコントローラ322、及び開閉弁であるバルブ323が設けられている。ガス供給管320におけるバルブ323とマスフローコントローラ322との間には、排気管232に接続されたベントライン620及びバルブ622が設けられている。ガス供給系302は、主に、ガス供給管320、マスフローコントローラ322、バルブ323、ノズル420、バッファ室423、ベントライン620、及びバルブ622によって構成されている。そして、ガス供給管320の下流側の端部は、ノズル420の下端部に接続されている。
【0054】
ノズル420は、ガス分散空間(放電室、放電空間)であるバッファ室423内に設けられている。バッファ室423内には、後述する電極保護管451,452が設けられている。このバッファ室423内には、ノズル420、電極保護管451、電極保護管452がこの順序で配置されている。
【0055】
図4に示されるように、バッファ室423は、反応管203の内壁と、バッファ室壁424とによって形成されている。バッファ室壁424は、反応管203の内壁に沿って上下方向に延びている。バッファ室壁424の水平断面形状は、C字形状とされている。バッファ室壁424は、反応管203の内壁の下部から上部に亘って設けられている。
【0056】
バッファ室壁424は、反応管203に挿入されたウエハ200と対向する対向壁を有している。対向壁には、ウエハ200にプラズマを供給する複数のガス供給孔425が設けられている。複数のガス供給孔425は、電極保護管451と電極保護管452との間で対向壁を開口している。
【0057】
図3及び
図4に示されるように、複数のガス供給孔425は、ウエハ200側を向くように、対向壁を開口している。複数のガス供給孔425は、複数の処理空間215と対向するように、上下方向に間隔を空けて配置されている。これにより、複数のガス供給孔425から、複数の処理空間215にプラズマがそれぞれ供給される。複数のガス供給孔425は、開口面積及びピッチが同一とされている。
【0058】
図4に示されるように、ノズル420は、バッファ室423の一端側に配置されている。ノズル420は、反応管203の内壁に沿って上下方向に延びている。ノズル420の側面には、ガスを噴射する複数のガス供給孔421が設けられている。複数のガス供給孔421は、バッファ室423の中心を向くように、ノズル420の側面を開口している。
【0059】
複数のガス供給孔421は、バッファ室423のガス供給孔425と同様に、上下方向に間隔を空けて配置されている。複数のガス供給孔421の開口面積及びピッチは、ノズル420の上流側(下部)から下流側(上部)に亘って、同一とすることができる。或いは、ノズル420の上流側から下流側に向かって、複数のガス供給孔421の開口面積を大きくし、又は複数のガス供給孔421のピッチを小さくしてもよい。
【0060】
このように複数のガス供給孔421の開口面積及びピッチを調節することにより、複数のガス供給孔421から噴射するガスの流量をほぼ同量にすることができる。もし複数のガス供給孔421から噴出するガスの流速に差があったとしても、複数のガス供給孔425から処理室201内に噴射されるガスの流量及び流速は、均一化される。
【0061】
図2に戻り、ガス供給管320におけるバルブ323の下流側には、キャリアガス(不活性ガス)を供給するためのキャリアガス供給管520が接続されている。キャリアガス供給管520には、マスフローコントローラ522及びバルブ523が設けられている。なお、本実施形態では、主に、キャリアガス供給管520、マスフローコントローラ522、及びバルブ523によってキャリアガス供給系(不活性ガス供給系)502が構成されている。
【0062】
ガス供給管320には、マスフローコントローラ322によって流量調整された気体原料ガスが供給される。
【0063】
ここで、処理ガスを処理室201に供給しない場合は、バルブ323を閉じるとともにバルブ622を開けて、処理ガスをベントライン620に流す。
【0064】
一方、処理ガスを処理室201に供給する場合は、バルブ622を閉じるとともにバルブ323を開けて、処理ガスをガス供給管320に供給する。また、キャリアガス供給系502では、マスフローコントローラ522で流量調整されたキャリアガスが、バルブ523を介してキャリアガス供給管520に供給される。そして、キャリア、及び処理ガスは、バルブ323の下流側のガス供給管320で合流され、ノズル420及びバッファ室423を介して処理室201に供給される。
【0065】
(ガス供給系303)
ガス供給系303の構成は、基本的にはガス供給系302と同一である。
図2に示されるように、ガス供給管330には、上流側から順に、流量制御装置であるマスフローコントローラ332、及び開閉弁であるバルブ333が設けられている。ガス供給管330におけるバルブ333とマスフローコントローラ332との間には、排気管232に接続されたベントライン630及びバルブ632が設けられている。ガス供給系303は、主に、ガス供給管330、マスフローコントローラ332、バルブ333、ノズル430、バッファ室433、ベントライン630、及びバルブ632によって構成されている。そして、ガス供給管330の下流側の端部は、ノズル430の下端部に接続されている。
【0066】
ノズル430は、ガス分散空間(放電室、放電空間)であるバッファ室433内に設けられている。バッファ室433内には、後述する電極保護管461,462が設けられている。バッファ室433内には、ノズル430、電極保護管461、及び電極保護管462が、この順序で配置されている。後述するように、バッファ室433及びその内部構成は、バッファ室423と面対称に形成されており、詳細な説明は省略する。
【0067】
バッファ室433は、反応管203の内壁と、バッファ室壁434とによって形成されている。バッファ室壁434は、反応管203の内壁に上下方向に延びている。バッファ室433の平断面形状は、C字形状とされている。
【0068】
バッファ室壁434は、反応管203に挿入されたウエハ200と対向する対向壁を有している。対向壁には、ウエハ200にプラズマを供給する複数のガス供給孔435が設けられている。複数のガス供給孔435は、電極保護管461と電極保護管462との間で対向壁を開口している。
【0069】
複数のガス供給孔435は、ウエハ200側を向くように開口している。複数のガス供給孔435は、複数の処理空間215と対向するように、上下方向に間隔を空けて配置されている。
【0070】
ノズル430は、バッファ室433の一端側に配置されている。ノズル430は、反応管203の内壁に沿って上下方向に延びている。ノズル430の側面には、ガスを噴射する複数のガス供給孔431が上下方向に間隔を空けて設けられている。複数のガス供給孔431は、バッファ室433の中心を向くように、ノズル430の側面を開口している。
【0071】
図2に戻り、ガス供給管330におけるバルブ333の下流側には、キャリアガス(不活性ガス)を供給するためのキャリアガス供給管530が接続されている。キャリアガス供給管530には、マスフローコントローラ532及びバルブ533が設けられている。なお、本実施形態では、主に、キャリアガス供給管530、マスフローコントローラ532、及びバルブ533によってキャリアガス供給系(不活性ガス供給系)503が構成されている。キャリアガス供給系503の構成は、基本的にはキャリアガス供給系502と同一である。
【0072】
ガス供給管330には、マスフローコントローラ332で流量調整された気体原料ガスが供給される。
【0073】
(リモートプラズマ源)
図4に示されるように、バッファ室423内には、細長い構造を有する棒状電極471及び棒状電極472が設けられている。棒状電極471及び棒状電極472は、反応管203の下部から上部に亘って上下方向に延びている。棒状電極471及び棒状電極472は、ノズル420と略平行に設けられている。棒状電極471及び棒状電極472は、保護管としての電極保護管451、452によって覆われている。
【0074】
棒状電極471は、整合器271を介して高周波(RF:Radio Frequency)電源270に接続されている。棒状電極472は、基準電位であるアース272に接続されている。そして、高周波電源270から棒状電極471に電力が供給されると、棒状電極471と棒状電極472との間のプラズマ生成領域に、プラズマが生成される。
【0075】
なお、本実施形態では、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423、及びガス供給孔425によって第1のリモートプラズマ発生構造429が構成される。また、本実施形態では、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、整合器271、及び高周波電源270によってプラズマ発生器(プラズマ発生部)としての第1のリモートプラズマ源が構成される。第1のリモートプラズマ源は、ガスをプラズマで活性化させる活性化機構として機能する。バッファ室423は、プラズマ発生室として機能する。
【0076】
バッファ室433内には、細長い構造を有する棒状電極481及び棒状電極482が設けられている。棒状電極481及び棒状電極482は、反応管203の下部から上部に亘って上下方向に延びている。棒状電極481及び棒状電極482は、ノズル430と略平行に設けられている。棒状電極481及び棒状電極482は、保護管としての電極保護管461、462によって覆われている。
【0077】
棒状電極481は、整合器271を介して高周波電源270に接続されている。棒状電極482は、基準電位であるアース272に接続されている。そして、高周波電源270から棒状電極481に電力が供給されると、棒状電極481と棒状電極482との間のプラズマ生成領域に、プラズマが生成される。
【0078】
なお、本実施形態では、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433、及びガス供給孔435によって第2のリモートプラズマ発生構造439が構成される。また、本実施形態では、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、整合器271、及び高周波電源270によってプラズマ発生器(プラズマ発生部)としての第2のリモートプラズマ源が構成される。第2のリモートプラズマ源は、ガスをプラズマで活性化させる活性化機構として機能する。バッファ室433はプラズマ発生室として機能する。
【0079】
図5に示されるように、電極保護管461及び電極保護管462は、ボート支持台218の下部付近において、反応管203に形成された貫通孔204,205を介してバッファ室423内に挿入されている。電極保護管461及び電極保護管462は、貫通孔204,205において反応管203に固定されている。電極保護管461及び電極保護管462は、バッファ室423内に設けられた取付板401の穴402、403を貫通した状態で、取付板401に固定されている。取付板401は、反応管203及びバッファ室壁424に固定されている。
【0080】
なお、電極保護管451及び電極保護管452は、電極保護管461及び電極保護管462と同様の構成とされている。
【0081】
図4に示されるように、電極保護管451及び電極保護管452の内部は、バッファ室423の雰囲気と隔離されている。これと同様に、電極保護管461及び電極保護管462の内部は、バッファ室433の雰囲気と隔離されている。
【0082】
ここで、電極保護管451,452,461,462にそれぞれ挿入された棒状電極471,472,481,482は、ヒータ207の熱によって酸化する可能性がある。そこで、電極保護管451,452,461,462には、棒状電極471,472,481,482の酸化を抑制するための不活性ガスパージ機構が設けられている。
【0083】
不活性ガスパージ機構は、電極保護管451,452,461,462の内部に窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、電極保護管451,452,461,462の内部の酸素濃度を下げる。これにより、棒状電極471,472,481,482の酸化が抑制される。
【0084】
ここで、本実施形態の基板処理には、リモートプラズマが用いられる。リモートプラズマでは、処理室201と区画されたバッファ室423,433で発生したプラズマを処理室201に供給し、処理室201内のウエハ200をプラズマ処理する。本実施形態では、バッファ室423内に2本の棒状電極471及び472が収容され、バッファ室433内に2本の棒状電極481及び482が収容されている。棒状電極472及び482は接地されており、非平衡給電されるため、棒状電極471及び481から伸びる電気力線の大部分は棒状電極472及び482へ向かうが、他の一部は接地されたヒータ筐体207のカバーや筐体111に向かう。
【0085】
この結果、2本の棒状電極471及び472を取り囲むように強電場の領域が形成され、より具体的には、電極保護管451及び452を取り囲むように強電場の領域が形成され、そこではプラズマが生成される。これと同様に、2本の棒状電極481及び482を取り囲むように、より具体的には、2本の電極保護管461及び462を取り囲むように電場が発生し、プラズマが生成される。つまり、ノズル420、430から供給されバッファ室423,433に充満しているガスがプラズマ化され、活性種(プラズマ活性種)が生じる。なお、処理室201内のバッファ室423,433以外の場所でも弱い電場が生じており、少量のプラズマが生成されうる。このような手法はソフトプラズマと呼ばれる。このようにして生成された活性種は、各ウエハ200の表面に到達する。
【0086】
バッファ室423,433を反応管203の内壁面に設けたことと、ソフトプラズマを用いたことで、本実施形態では、バッファ室423,433が反応管203の外壁面に設けられた場合やソフトプラズマを用いない場合と比較して、プラズマ活性種を失活させずに、ウエハ200の表面に到達させることができる。
【0087】
ここで、プラズマを使用したウエハ200の処理温度を下げるためには、プラズマを形成する際の高周波電力を大きくする必要がある。しかし、プラズマを形成する際の高周波電力を大きくすると、ウエハ200、又はウエハ200の表面上に形成する膜に与えるダメージが大きくなる可能性がある。
【0088】
これに対して本実施形態の基板処理装置101は、
図4に示されるように、第1のリモートプラズマ発生構造429及び第2のリモートプラズマ発生構造439の2つのリモートプラズマ発生構造を備えている。そのため、本実施形態では、リモートプラズマ発生構造が1つの場合に比べて、第1のリモートプラズマ発生構造429及び第2のリモートプラズマ発生構造439にそれぞれ供給する高周波電力が小さくても、充分な量のプラズマを発生させることができる。したがって、本実施形態では、ウエハ200をプラズマ処理する際に、ウエハ200、又はウエハ200の表面上に形成する膜に与えるダメージを小さくすることができる。しかも、本実施形態では、ウエハ200の処理温度を下げることができる。
【0089】
また、第1のリモートプラズマ発生構造429と第2のリモートプラズマ発生構造439は、ウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る垂直面に対して、面対称に設けられている。これにより、第1のリモートプラズマ発生構造429及び第2のリモートプラズマ発生構造439からウエハ200の上面に、より均一にプラズマが供給することができる。この結果、ウエハ200の表面上に、より均一な膜を形成することができる。
【0090】
また、排気口230は、ウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る水平線上に設けられている。これにより、ウエハ200の上面の全面に、より均一にプラズマを供給することができる。さらに、ノズル410のガス供給孔411は、ウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る水平線上に設けられている。これにより、ウエハ200の上面の全面に、より均一に原料ガスを供給することができる。この結果、ウエハ200の上面上に、より均一な膜を形成することができる。
【0091】
また、ノズル410のガス供給孔411からバッファ室423のガス供給孔425までの距離と、ノズル410のガス供給孔411からバッファ室433のガス供給孔435までの距離とが同じに設定されている。これにより、ウエハ200の表面上に、より均一な膜を形成することができる。
【0092】
図2に示されるように、反応管203の下部の排気口230には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245、及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。この真空ポンプ246によって、処理室201内の圧力が、所定の圧力(真空度)に減圧される。
【0093】
真空ポンプ246の下流側の排気管232は、図示しない排ガス処理装置等に接続されている。なお、APCバルブ243は、弁の開閉により処理室201内の真空排気の開始及び停止を制御可能に構成されている。また、APCバルブ243は、弁の開度及びコンダクタンスを調整することにより、処理室201内の圧力を調整可能に構成されている。
【0094】
ノズル410のガス供給孔411と排気口230は、ウエハ200を間において対向して配置されている。これにより、ガス供給孔411から供給される処理ガスが、ウエハ200の表面上を排気管231の方向に向かって横切るように流れるため、ウエハ200の表面全面に、より均一に処理ガスを供給することができる。この結果、ウエハ200の表面上に、より均一な膜を形成することができる。
【0095】
なお、本実施形態では、主に、排気管231、APCバルブ243、真空ポンプ246、及び圧力センサ245により排気系が構成される。
【0096】
(温度センサ)
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263(
図6参照)が設置されている。温度センサ263には、後述するコントローラ280が電気的に接続されている。コントローラ280は、温度センサ263で検出された温度情報に基づき、処理室201内の温度分布が所望の温度分布となるように、ヒータ207への供給電力を調整する。温度センサ263は、L字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0097】
(コントローラ)
図6に示されるように、コントローラ280は、また、コントローラ280は、基板処理装置101全体の動作を司るCPU281と、制御プログラムを含む各種プログラムやデータ等が予め記録されたROM282及びHDD284と、各種データを一時的に記憶するRAM283と、それらを相互に接続するシステムバスBUS286とを備えた工業用コンピュータとして、構成されている。コントローラ280は更に、通信インタフェース(I/F)部285と、ディスプレイ288への各種情報の表示を制御するとともに、ディスプレイ288からの操作情報を受け付けるディスプレイドライバ287と、操作入力部290に対する操作状態を検出する操作入力検出部289とを備えている。
【0098】
コントローラ280は、操作メニュー等を表示するディスプレイ288と、複数のキーを有し、各種の情報及び操作指示が入力される操作入力部290とを備えうる。ROM282及びHDD284は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の一種であり、コントローラ280は、これらに記録されたプログラム等を読み込んで所定の機能を発揮する。なおROM282やHDD284へは、外部記録媒体に記録された新たなプログラム等がロードされうる。
【0099】
温度制御部291、圧力制御部294、真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、液体マスフローコントローラ312、マスフローコントローラ322,332,512,522,532、及びバルブ制御部299は、通信インタフェース部285を介して相互に接続されており、通信インタフェース部285を介して各種情報の送受信を行う。
【0100】
CPU281、ROM282、RAM283、HDD284、ディスプレイドライバ287、操作入力検出部289、及び通信I/F部285は、システムバスBUS286を介して相互に接続されている。従って、CPU281は、ROM282、RAM283、及びHDD284にアクセスすることができる。CPU281は、ディスプレイドライバ287を介してディスプレイ288への各種情報の表示を制御するとともに、ディスプレイ288からの操作情報を把握することができる。また、CPU281は、通信I/F部285を介して各部材との間で、各種情報を送受信することができる。また、CPU281は、操作入力検出部289を介して、操作入力部290に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0101】
温度制御部291は、ヒータ207と、ヒータ207に電力を供給する加熱用電源250と、温度センサ263と、コントローラ280との間で設定温度情報等の各種情報を送受信する通信I/F部293と、受信した設定温度情報と温度センサ263からの温度情報等に基づいて加熱用電源250からヒータ207への供給電力を制御するヒータ制御部292とを備えている。ヒータ制御部292は、コンピュータによって実現されている。温度制御部291の通信I/F部293とコントローラ280の通信I/F部285は、ケーブル751で接続されている。
【0102】
圧力制御部294は、通信I/F部296と、APCバルブ制御部295とを備えている。通信I/F部296は、APCバルブ243、圧力センサ245、及びコントローラ280との間で、設定圧力情報、及びAPCバルブ243の開閉情報等の各種情報を送受信する。APCバルブ制御部295は、設定圧力情報、APCバルブ243の開閉情報等、及び圧力センサ245からの圧力情報等に基づいて、APCバルブ243の開閉及び開度を制御する。APCバルブ制御部295は、コンピュータによって実現されている。圧力制御部294の通信I/F部296とコントローラ280の通信I/F部285とは、ケーブル752で接続されている。
【0103】
真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、液体マスフローコントローラ312、マスフローコントローラ322,332,512,522,532、及び高周波電源270と、コントローラ280の通信I/F部285とは、ケーブル753,754,755,756,757,758,759,760,761,762を介してそれぞれ接続されている。
【0104】
バルブ制御部299は、エアバルブであるバルブ313,314,323,333,513,523,533,612,622,632と、バルブ313,314,323,333,513,523,533,612,622,632へのエアの供給を制御する電磁バルブ群298とを備えている。電磁バルブ群298は、バルブ313,314,323,333,513,523,533,612,622,632にそれぞれ対応する電磁バルブ297を備えている。電磁バルブ群298とコントローラ280の通信I/F部285は、ケーブル763を介して接続されている。
【0105】
以上のようにして、液体マスフローコントローラ312、マスフローコントローラ322,332,512,522,532、バルブ313,314,323,333,513,523,533,612,622,632、APCバルブ243、加熱用電源250、温度センサ263、圧力センサ245、真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、及び高周波電源270等の各部材は、コントローラ280に接続されている。
【0106】
コントローラ280は、液体マスフローコントローラ312、マスフローコントローラ322,332,512,522,532の流量制御、バルブ313,314,323,333,513,523,533,612,622,632の開閉動作制御、及びAPCバルブ243の開閉制御をそれぞれ行う。コントローラ280は、圧力センサ245からの圧力情報に基づく開度調整動作を介した圧力制御、温度センサ263からの温度情報に基づく加熱用電源250からヒータ207への電力供給量調整動作を介した温度制御、及び高周波電源270から供給される高周波電力の制御をそれぞれ行う。コントローラ280は、真空ポンプ246の起動と停止制御、ボート回転機構267の回転速度調節制御、及びボートエレベータ115の昇降動作制御等をそれぞれ行う。
【0107】
コントローラ280は、直流電源269から、ボート回転機構267を介してボート217に印加される直流バイアスを制御する。
【0108】
(半導体装置の製造方法)
次に、上述の基板処理装置を用いて大規模集積回路(LSI:Large Scale Integration)を製造する半導体装置(デバイス)の製造工程の一例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置101を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0109】
LSIは、シリコンウエハ上に処理を施すウエハプロセスを行なった後、組立工程、試験工程、及び信頼性試験工程を経て製造される。ウエハプロセスは、シリコンウエハに酸化、拡散などの加工を施す基板工程と、シリコンウエハの表面に配線を形成する配線工程とに区分される。配線工程では、リソグラフィ工程を中心に洗浄、熱処理、及び膜形成などが反復して行なわれる。リソグラフィ工程では、レジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとしてエッチングを行なうことにより、レジストパターンの下層を加工する。
【0110】
ここで、基板処理装置101を使用して、酸化シリコン膜を200℃以下の低温にて成膜する例について説明する。
【0111】
CVD法では、形成する膜を構成する複数の元素を含む複数種類のガス等をシリコンウエハに同時に供給する。また、サイクリックデポジション法では、形成する膜を構成する複数の元素を含む複数種類のガス等をシリコンウエハに交互に供給する。そして、ガス等の供給流量、供給時間、及びプラズマパワーなどの処理条件を制御することにより、酸化シリコン膜(SiO膜)、又は窒化シリコン膜(SiN膜)を形成する。CVD法及びサイクリックデポジション法では、例えば、SiO膜を形成する場合、膜の組成比が化学量論組成であるO/Si≒2となることを目的として、処理条件を制御する。また、例えば、SiN膜を形成する場合、膜の組成比が化学量論組成であるN/Si≒1.33となることを目的として、処理条件を制御する。
【0112】
一方、形成する膜の組成比が化学量論組成とは異なる所定の組成比となることを目的として、処理条件を制御することも可能である。すなわち、形成する膜を構成する複数の元素のうち少なくとも一つの元素が他の元素よりも化学量論組成に対し過剰となることを目的として、処理条件を制御する。このように形成する膜を構成する複数の元素の比率、すなわち、膜の組成比を制御しつつ成膜を行うことも可能である。以下では、異なる種類の元素を含む複数種類のガスを交互に供給して、化学量論組成を有する酸化シリコン膜を形成するシーケンス例について説明する。
【0113】
ここでは、第1の元素をシリコン(Si)とし、第2の元素を酸素(O)とする。第1の元素としてSiを含むガスをSi原料ガス、第2の元素としてOを含むガス(反応ガス)を酸素含有ガスと呼ぶ。そして、基板上に絶縁膜としての酸化シリコン膜を形成する例について、
図7を参照して説明する。
【0114】
まず、ヒータ207に電力を供給する加熱用電源250を制御し、処理室201内の温度を、200℃以下、より好ましくは100℃以下の温度であって、例えば100℃となるように保持する。
【0115】
その後、レジストパターンが形成された複数のウエハ200をボート217に装填(ウエハチャージ)する(ステップS201)。
【0116】
その後、真空ポンプ246を起動する。また、炉口シャッタ147(
図1参照)を開ける。複数のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される(ステップS202)。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。その後、ボート217をボート回転機構267により回転させ、ボート217に保持された複数のウエハ200を回転させる。
【0117】
その後、APCバルブ243を開いて真空ポンプ246により処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空引きする。そして、ウエハ200の温度が100℃に達して温度等が安定したら(ステップS203)、処理室201内の温度を100℃に保持した状態で、次のステップを順次実行する。
【0118】
なお、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定される。そして、測定された圧力に基づき、APCバルブ243の開度がフィードバック制御される(圧力調整)。また、処理室201内が所望の温度となるように、ヒータ207によって処理室201が加熱される。この際、処理室201内が所望の温度となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づき、加熱用電源250からヒータ207への電力供給具合がフィードバック制御される(温度調整)。
【0119】
次に、SI原料ガスと酸素含有ガスを処理室201内に供給することにより、酸化シリコン膜を成膜する酸化シリコン膜形成工程を行う。酸化シリコン膜形成工程では、次の4つのステップ(S204~S207)を順次繰り返して実行する。
【0120】
(SI原料ガス供給:ステップS204)
ステップS204では、処理ガス供給系301のガス供給管310及びノズル410を介してSI原料ガスを処理室201内に供給する。
【0121】
先ず、SI原料ガスを処理室201に供給する前は、バルブ313を閉じるとともにバルブ314,612を開ける。これにより、常温で液体のSI原料ガスが、液体マスフローコントローラ312で流量調整された後、気化器315に供給され、気化器315で気化される。気化器315で気化されたバルブ612を介してベントライン610へ流れる。
【0122】
次に、SI原料ガスを処理室201に供給する際には、バルブ612を閉じるとともにバルブ313を開けて、SI原料ガスをバルブ313の下流のガス供給管310に供給する。また、バルブ513を開けて、キャリアガス(N2)をキャリアガス供給管510から供給する。この際、キャリアガス(N2)の流量は、マスフローコントローラ512で調整される。そして、SI原料ガスとキャリアガス(N2)とは、バルブ313の下流側のガス供給管310で合流して混合され、ノズル410のガス供給孔411を介して処理室201に供給されつつ排気管231から排気される。
【0123】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して処理室201内の圧力を50~900Paの範囲であって、例えば300Paに維持する。また、液体マスフローコントローラ312で制御するSI原料ガスの供給量は、0.05~3.00g/minの範囲であって、例えば1.00g/minにする。なお、本明細書における「50~900Pa」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、「50~900Pa」とは「50Pa以上900Pa以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0124】
SI原料ガスにウエハ200を晒す時間は、2~6秒間で範囲であって、例えば3秒間である。また、ヒータ207に電力を供給する加熱用電源250を制御して処理室201内の温度を、200℃以下、より好ましくは100℃以下の温度であって、例えば100℃となるように保持する。
【0125】
ここで、処理室201内に流れるガスは、SI原料ガスと不活性ガスであるN2のみであり、O2は存在しない。したがって、SI原料ガスは、気相反応を起こすことはなく、ウエハ200の表面又は下地膜と表面反応(化学吸着)して、原料(SI原料ガス)の吸着層又はSi層(以下、Si含有層)を形成する。SI原料ガスの化学吸着層とは、SI原料ガス分子の連続的な吸着層の他、不連続な化学吸着層をも含む。Si層とは、Siにより構成される連続的な層の他、これらが重なってできるSi薄膜をも含む。なお、Siにより構成される連続的な層をSi薄膜という場合もある。
【0126】
また、バルブ523を開けてキャリアガス供給管520からガス供給管320の途中にN2(不活性ガス)を流すと、酸素含有ガス側のノズル420、バッファ室423、及びガス供給管320にSI原料ガスが回り込むことを防ぐことができる。これと同様に、バルブ533を開けてキャリアガス供給管530からガス供給管330の途中にN2(不活性ガス)を流すと、酸素含有ガス側のノズル430、バッファ室433、及びガス供給管330にSI原料ガスが回り込むことを防ぐことができる。なお、SI原料ガスが回り込むのを防止するためなので、マスフローコントローラ522、532で制御するN2(不活性ガス)の流量は、少なくてよい。
【0127】
(残留ガス除去:ステップS205)
ステップS205では、残留SI原料ガス等の残留ガスを処理室201内から除去する。ガス供給管310のバルブ313を閉めて処理室201へのSI原料ガスの供給を停止し、バルブ612を開けてベントライン610へSI原料ガスを流す。このとき、排気管231のAPCバルブ243を全開として、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、処理室201内に残留する残留SI原料ガス等の残留ガスを処理室201内から排除する。この際、SI原料ガス供給ラインであるガス供給管310,320,330から処理室201内へN2等の不活性ガスを供給すると、さらに残留SI原料ガス等の残留ガスを排除する効果が高まる。
【0128】
(活性化した酸素含有ガス供給:ステップS206)
ステップS206では、ガス供給系302のガス供給管320から、ノズル420のガス供給孔421を介してバッファ室423内に酸素含有ガスを供給する。このとき、高周波電源270から整合器271を介して、棒状電極471と棒状電極472との間に高周波電力を印加する。これにより、バッファ室423内に供給された酸素含有ガスがプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔425から処理室201内に供給されるとともに、排気管231から排気される。なお、バッファ室423内に供給される酸素含有ガスの流量は、マスフローコントローラ322で調整される。
【0129】
また、ガス供給系303のガス供給管330からノズル430のガス供給孔431を介してバッファ室433内に酸素含有ガスを供給する。このとき、高周波電源270から整合器271を介して、棒状電極481と棒状電極482との間に高周波電力を印加する。これにより、バッファ室433内に供給された酸素含有ガスがプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔435から処理室201内に供給されるとともに、排気管231から排気される。なお、バッファ室433内に供給される酸素含有ガスの流量は、マスフローコントローラ332で調整される。
【0130】
ここで、バッファ室423に酸素含有ガスを供給する前は、バルブ323を閉じるとともにバルブ622を開けて、バルブ622を介してベントライン620に酸素含有ガスを流す。これと同様に、バッファ室433に酸素含有ガスを供給する前は、バルブ333を閉じるとともにバルブ632を開けて、バルブ632を介してベントライン630に酸素含有ガスを流す。
【0131】
バッファ室423に酸素含有ガスを供給する際には、バルブ622を閉じるとともにバルブ323を開けて、バルブ323の下流のガス供給管320に酸素含有ガスを供給するとともに、バルブ523を開けてキャリアガス供給管520からガス供給管320にキャリアガス(N2)を供給する。なお、キャリアガス(N2)の流量は、マスフローコントローラ522で調整する。酸素含有ガス及びキャリアガス(N2)は、バルブ323の下流側のガス供給管320で合流して混合され、ノズル420を介してバッファ室423に供給される。
【0132】
酸素含有ガスをバッファ室433に供給する際には、バルブ632を閉じるとともにバルブ333を開けて、バルブ333の下流のガス供給管330に酸素含有ガスを供給するととともに、バルブ533を開けてキャリアガス供給管530からガス供給管330にキャリアガス(N2)を供給する。キャリアガス(N2)の流量は、マスフローコントローラ532で調整する。酸素含有ガス及びキャリアガス(N2)は、バルブ333の下流側のガス供給管330で合流して混合され、ノズル430を介してバッファ室433に供給される。
【0133】
酸素含有ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、APCバルブ243を適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば50~900Paの範囲内の圧力であって、例えば500Paとする。この際、マスフローコントローラ322で制御する酸素含有ガスの供給流量は、例えば2000~9000sccmの範囲内の流量であって、例えば6000sccmとする。これ同様に、マスフローコントローラ332で制御する酸素含有ガスの供給流量は、例えば2000~9000sccmの範囲内の流量であって、例えば6000sccmとする。また、酸素含有ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ200を晒す時間、すなわちガス供給時間は、例えば3~20秒間の範囲内の時間であって、例えば9秒とする。
【0134】
なお、高周波電源270から棒状電極471と棒状電極472との間に印加する高周波電力は、例えば20~600Wの範囲内の電力であって、例えば200Wとなるよう設定する。これと同様に、高周波電源270から棒状電極481と棒状電極482との間に印加する高周波電力は、例えば20~600Wの範囲内の電力であって、例えば200Wとなるよう設定する。高周波電力は、ガス供給時間中、連続若しくは断続的に供給されうる。数μsオーダーで間欠的に励起することで電子温度を下げ、負イオンの生成を促進できる。また、ヒータ207に電力を供給する加熱用電源250を制御して処理室201内の温度を、200℃以下、より好ましくは100℃以下の温度であって、例えば100℃となるように保持する。
【0135】
ここで、酸素含有ガスは、そのままでは反応温度が高く、上記のような処理室201内の温度及び圧力では反応し難い。そのため、酸素含有ガスをプラズマ励起し、活性種としてから処理室201に流すことにより、処理室201内の温度を上述のように低い温度範囲に設定可能となる。ただし、処理室201内の温度変更には時間がかかるため、処理室201内の温度は、Si原料ガスを供給する際の温度と同一とすることが好ましい。
【0136】
各バッファ室423,433で生成された活性種は、複数のガス供給孔425,435からボート217内の複数の処理空間215に、ガスの流れと共にそれぞれ供給される。処理室201内を流れるガスは、酸素含有とN2の混合ガスであり、励起された(準安定状態の)O2分子、O原子、O+イオン等を活性種として含む。このとき処理室201内には、SI原料ガスは流していない。したがって、酸素含有ガスは、気相反応を起こすことはない。そして、活性種となった、もしくは活性化された酸素含有ガスは、ステップS204でウエハ200上に形成された第1の層としてのシリコン含有層と反応する。これにより、シリコン含有層が酸化されて、シリコン(第1の元素)及び酸素(第2の元素)を含む第2の層としての酸化シリコン層(SiO層)へと改質される。
【0137】
また、バルブ513を開けてキャリアガス供給管510からガス供給管310の途中にN2(不活性ガス)を流すと、SI原料ガス側のノズル410及びガス供給管310に酸素含有が回り込むことを防ぐことができる。なお、酸素含有が回り込むのを防止するためなので、マスフローコントローラ512で制御するN2(不活性ガス)の流量は少なくてよい。
【0138】
ところで、ボート217内の各処理空間215では、プラズマ空間とウエハ200との電位差によって、ウエハ200の表面上にシース(イオンシース)が形成される。このシースによって、例えば、活性種(プラズマ活性種)がウエハ200側へ流れ難くなり、又は解離し難くなるため、ウエハ200の表面上に堆積される薄膜の面内均一性が低下する可能性がある。或いは、処理空間215がプラズマ空間から離れ過ぎていて、荷電粒子の密度が低くセルフバイアスによる活性種の入射の均一化が期待できない場合や、活性種の失活が進んでいる場合も面内均一性が低下する可能性がある。
【0139】
この対策として本実施形態では、直流電源269からボート回転機構267及びボート217を介して複数のウエハ200に直流バイアスをそれぞれ印加し、各ウエハ200の表面上に形成されるシース或いは周辺の電界を制御する。ウエハ200の裏側が絶縁体であっても、電極板214により、ウエハ200の周辺に回転対称のバイアス電界を形成し、実質的にウエハ200にバイアスを与えることができる。具体的には、ボート217は、導電性を有し、複数のウエハ200と電気的に接続されている。このボート217は、ボート支持台218の金属部材222、ボート回転機構267の内部導体266、及びスリップリング268を介して直流電源269と電気的に接続されている。
【0140】
コントローラ280は、ステップS206において、直流電源269を制御し、直流電源269からボート回転機構267及びボート217を介して複数のウエハ200に負の直流バイアスをそれぞれ印加する。これにより、ウエハ200の表面上に形成されたシース或いはバッファ室423,433とウエハ200との間に、正イオンのウエハ200への入射を促進する電界が形成されるほか、活性種がウエハ200に到達する時間が短縮されたり、入射エネルギーが増大したりする。逆に、複数のウエハ200に正の直流バイアスをそれぞれ印加すると、負イオンのウエハ200への入射を促進する電界が形成されるとともに、シースが縮小し、ウエハ200はより高密度のプラズマと接近若しくは接触することなり、イオンだけでなく電気的に中性なプラズマ活性種もウエハ200の表面と相互作用し易くなる。この結果、プラズマ活性種と、ウエハ200の表面上のシリコン含有層との反応が促進されうる。このとき、直流バイアスの極性及び電圧は、ウエハ200の表面上に堆積される酸化シリコン層の面内均一性の低下が抑制されるように選択されうる。
【0141】
(残留ガス除去:ステップS207)
ステップS207では、未反応もしくは酸化に寄与した後の残留酸素含有ガス等の残留ガスを処理室201内から除去する。具体的には、先ず、ガス供給管320のバルブ323を閉めて処理室201への酸素含有ガスの供給を停止し、バルブ622を開けてベントライン620へ酸素含有ガスを流す。これと同様に、ガス供給管330のバルブ333を閉めて処理室201への酸素含有ガスの供給を停止し、バルブ632を開けてベントライン630へ酸素含有ガスを流す。
【0142】
このとき、排気管231のAPCバルブ243を全開として、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、処理室201内に残留する残留酸素含有ガス等の残留ガスを処理室201内から排除する。この際、酸素含有ガス供給ラインであるガス供給管310,320,330から処理室201内へN2等の不活性ガスを供給すると、残留酸素含有ガス等の残留ガスを排除する効果がさらに高まる。
【0143】
上記のステップS204~S207を1サイクルとし、少なくとも1回以上行なう(ステップS208)ことにより、ウエハ200の表面上に所定膜厚の酸化シリコン膜を成膜する。このときの処理室内の温度や圧力は、吸着層の厚さが1分子程度に自己制限されるように選ぶことができるほか、供給律速或いは、プラズマによる反応律速となるように選ぶこともできる。
【0144】
その後、N2等の不活性ガスを処理室201内へ供給しつつ排気することで、処理室201内を不活性ガスでパージする(ガスパージ:ステップS210)。なお、ガスパージでは、残留ガスを除去した後、APCバルブ243を閉じるとともにバルブ513,523,533を開いてN2等の不活性ガスを処理室201内へ供給する工程と、バルブ513,523,533を閉じてN2等の不活性ガスの処理室201内への供給を停止した状態で、APCバルブ243を開いて処理室201内の真空引きする工程とを繰り返して行うことが好ましい。
【0145】
その後、ボート回転機構267によるボート217の回転を停止する。その後、バルブ513,523,533を開いて処理室201内の雰囲気をN2等の不活性ガスで置換し(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力を常圧に復帰させる(大気圧復帰:ステップS212)。その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を下降して、反応管203の下端部の開口を開放するとともに、開放された開口から処理室201の外部にボート217を搬出(ボートアンロード:ステップS214)する。その後、反応管203の下端部の開口を炉口シャッタ147で閉じる。その後、真空ポンプ246を止める。その後、処理済の複数のウエハ200が、ボート217から取り出される(ウエハディスチャージ:ステップS216)。これにより、1回の成膜処理(バッチ処理)が終了する。
【0146】
(効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0147】
前述したように、本実施形態によれば、ステップS206において、コントローラ280が直流電源269を制御し、直流電源269からボート回転機構267及びボート217を介して複数のウエハ200に直流バイアスをそれぞれ印加する。これにより、ウエハ200の表面上に形成されたシースが縮小し、プラズマ活性種がウエハ200の表面に引き込まれ易くなるとともに、解離し易くなる。この結果、プラズマ活性種と、ウエハ200の表面上のシリコン含有層との反応が促進される。したがって、ウエハ200の表面上に堆積される酸化シリコン層の面内均一性の低下が抑制される。
【0148】
また、直流電源269は、スリップリング268を介して、ボート回転機構267の内部導体266と直流結合によって電気的に接続されている。このスリップリング268によって、回転する内部導体266に対して、直流電源269から直流電力を安定的に供給することができる。
【0149】
また、内部導体266には、ボート支持台218の金属部材222を介してボート217が電気的に接続されている。より具体的には、ボート支持台218は、絶縁部材221と、金属部材222とを有している。絶縁部材221の上面221Uには、ボート217の底板210の下面が載置された状態で固定されている。この絶縁部材221の内部には、金属部材222の接点部223が設けられている。接点部223の接触面223Uは、絶縁部材221の上面221Uから露出し、ボート217の底板210の下面と接触されている。
【0150】
ここで、接点部223の接触面223Uの全面は、ボート217の底板210の下面によって被覆されている。この底板210の下面によって、接点部223の接触面223Uが、処理ガス及びプラズマ等から保護される。
【0151】
また、内部導体266は、絶縁性を有する絶縁碍子管266aの内部に設けられている。この絶縁碍子管266aによって、内部導体266が処理ガス及びプラズマ等から保護される。
【0152】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0153】
上記実施形態では、ステップS206において、例えば、直流電源269から複数のウエハ200に正の直流バイアスをそれぞれ印加した。しかし、直流電源269から複数のウエハ200に印加する直流バイアスの大きさは、ウエハ200の表面上に形成されるシース(シース電圧)、又はウエハ200の表面上に生成される薄膜の状態等に応じて適宜変更可能である。したがって、例えば、直流電源269から複数のウエハ200に負の直流バイアスをそれぞれ印加することも可能である。また直流電源に限らず、高周波電源270の励振周波数及びプラズマ振動周波数よりも低周波の交流電源を用いても良い。
【0154】
また、上記実施形態では、ボート217は支柱212の支持溝213においてウエハ200を支持した。しかし、支柱212若しくは電極板214から突出したピンによってウエハ200を支持しても良い。また電極板214はウエハ200と物理的に接触してバイアスを印加するものに限らず、電極板214の周囲に生じる電界によって間接的にバイアスを印加しても良い。また電極板214は、リング状に限らず、円盤等の任意の形状に形成しても良い。電極板214を、ウエハ200の中心付近のみと対面する、ウエハ200より小径の円盤状に形成することで、円盤に対応する所望の範囲で、プラズマによるウエハ200上の膜の処理を促進し、面内均一性を改善することができる。このとき支柱212と電極板との間は導電性の棒などによって接続されるものとする。
【0155】
また、上記実施形態では、第1のリモートプラズマ発生構造429及び第2のリモートプラズマ発生構造439が反応管203の内側に設けられている。しかし、第1のリモートプラズマ発生構造429及び第2のリモートプラズマ発生構造439は、反応管203の外側に設けられても良い。
【0156】
また、上記実施形態では、第1のリモートプラズマ発生構造429及び第2のリモートプラズマ発生構造439は、一方の棒状電極が接地されたソフトプラズマ方式を採用する。しかし、両方の棒状電極が接地されない平衡給電を用いたプラズマ方式を用いてもよい。
【0157】
また、上記実施形態では、第1のリモートプラズマ発生構造429及び第2のリモートプラズマ発生構造439の2つのリモートプラズマ発生構造が反応管203に設けられる。しかし、反応管203には、少なくとも1つのリモートプラズマ発生構造を設けることができる。
【0158】
また、上記実施形態の第1のリモートプラズマ発生構造429及び第2のリモートプラズマ発生構造439は、酸素含有ガスを用いてウエハ200の表面上に酸化シリコン膜を生成する。しかし、第1のリモートプラズマ発生構造429及び第2のリモートプラズマ発生構造439は、窒素含有ガスを用いて、ウエハ200の表面上に窒化シリコン膜を生成しても良い。
【0159】
また、上記実施形態では、Si原料ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、トリシラン(Si3H8)等のシラン系ガスや、モノクロロシラン(SiH3Cl、略称:MCS)、ジクロロシラン(SiH2Cl2、略称:DCS)、トリクロロシラン(SiHCl3、略称:TCS)、テトラクロロシラン(SiCl4、略称:STC)、ヘキサクロロジシランガス(Si2Cl6、略称:HCDS)、オクタクロロトリシラン(Si3Cl8、略称:OCTS)等のクロロシラン系ガスを用いることができる。また、原料ガスとしては、例えば、テトラフルオロシラン(SiF4)、ジフルオロシラン(SiH2F2)ガス等のフルオロシラン系、テトラブロモシラン(SiBr4)、ジブロモシラン(SiH2Br2)等のブロモシラン系、テトラヨードシラン(SiI4)、ジヨードシラン(SiH2I2)ガス等のヨードシラン系ガスを用いることもできる。また、原料ガスとしては、例えば、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン(Si[N(CH3)2]4、略称:4DMAS)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(Si[N(CH3)2]3H、略称:3DMAS)、ビス(ジエチルアミノ)シラン(Si [N(C2H5)2]2H2、略称:BDEAS)、ビス(ターシャリーブチルアミノ)シラン(SiH2[NH(C4H9)]2、略称:BTBAS)等のアミノシラン系ガスを用いることもできる。また、原料ガスとしては、例えば、テトラエトキシシラン(Si (OC2H5)4、略称:TEOS)等の有機系シラン原料ガスを用いることもできる。原料ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。また、酸素含有ガスとしては、例えば、酸素(O2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)等のガスを用いることができる。酸素含有ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0160】
また、上記実施形態では、キャリアガスとして、N2(窒素)を使用した。しかし、上記実施形態では、窒素に代えて、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)等を使用してもよい。希ガスの中でHeガスは負イオンを生じやすい。
【0161】
また、上記実施形態では、ボート支持台218は、絶縁部材221と、金属部材222とを備えるものとした。しかし、ボート支持台218は、全体を金属で形成しても良い。その場合、ボート支持台218にも印加される直流バイアスは、ボート支持台218と雰囲気との間に流れる迷走電流を遮断する電気防食として作用しうる。例えば、処理室201をハロゲン系ガスによってクリーニングする際、比較的小さな負のバイアス電圧によって、ボート支持台218(金属部材222)や回転軸264の腐食を抑制することができる。このときハロゲン系ガスによってエッチングされやすい炭化珪素製のボートは取り外されることが望ましい。つまり金属部材の電気防食を目的とする場合は、導電性のボートは必須ではない。
【符号の説明】
【0162】
101 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
217 ボート
218 ボート支持台
221 絶縁部材
221U 上面(絶縁部材の上面)
222 金属部材
224U 接触面(金属部材の接触面)
265 筒状回転軸
266 内部導体
268 スリップリング
301 処理ガス供給系
429 第1のリモートプラズマ発生構造(リモートプラズマ発生構造)
439 第2のリモートプラズマ発生構造(リモートプラズマ発生構造)