(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】偽造防止媒体
(51)【国際特許分類】
B41M 3/14 20060101AFI20240813BHJP
B42D 25/337 20140101ALI20240813BHJP
【FI】
B41M3/14
B42D25/337
(21)【出願番号】P 2020199251
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】木村 健一
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-058274(JP,A)
【文献】特開2016-203627(JP,A)
【文献】特開平03-182387(JP,A)
【文献】特開2001-010231(JP,A)
【文献】特開2014-032376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00- 3/18
7/00- 9/04
B42D 15/02
25/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一部に画像を有し、前記画像を観察する際、観察角度と両眼視差によって立体画像が動的に観察できる偽造防止媒体であって、
前記基材上の一部に、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する第1の光学的変化層が形成され、
前記第1の光学的変化層と前記基材に跨る位置に、前記画像を形成する画像形成領域を有し、
前記画像は、始点、頂点及び終点を有する円弧状の情報画線が万線状に配置されて形成されるとともに、前記情報画線の断面形状が凹形状又は凸形状であることを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項2】
前記画像は、前記円弧状の情報画線と、前記円弧状の情報画線の始点及び終点を結ぶ基準線に対して反転した反転円弧状の情報画線から成る円形状の情報画線が複数配置されて形成されたことを特徴とする請求項1記載の偽造防止媒体。
【請求項3】
前記基材の断面形状は、前記情報画線に対応した凹形状又は凸形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止媒体。
【請求項4】
前記基材における前記画像形成領域が、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項5】
前記基材における前記画像形成領域が、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する第2の光学的変化層を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の偽造防止媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性を有する転写箔が貼付された銀行券、有価証券、パスポート、身分証明書等において、転写箔を剥離しようとした際に、転写箔の再利用が困難になると同時に、剥離した転写箔を用いた偽造・改ざんも、容易に判定することが可能となる偽造防止媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券、有価証券、パスポート、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の貴重品は、その価値を保証・維持するために、偽造防止技術が施されている。特に複写・複製防止の観点から有効な偽造防止エレメントとして、転写箔からなるスレッド、ホログラム等を基材に形成するものがあり、多くの貴重品に適用されてきている。
【0003】
しかしながら、スレッド、ホログラム等の転写箔が設けられた銀行券、有価証券等の偽造を、悪意のある人間が行った場合、類似の光輝性を持つ金属箔などで代用して簡易的な偽造品を作製し、その光輝性のみを観察したユーザーが偽造品を真正品と判断してしまう問題があった。また、真正品に貼付された転写箔を何らかの方法で剥離し、偽造・改ざんに用いられてしまう問題があった。したがって、より偽造防止効果を高めた転写箔を設けた貴重品が求められるようになった。
【0004】
そこで、基材に貼付された転写箔に対し、より効果のある偽造防止技術として、本出願人は、文字や画像が立体的に観察可能な、意匠性に優れた立体画像形成体を出願している。(特許文献1参照)
【0005】
特許文献1は、基材上に積層された転写箔に対して、凹形状又は凸形状の刻印を施すことで、光輝性を有する画線が、万線状に配置されて成る画像を形成した立体画像形成体であり、定位置の光源下で観察角度を連続的に変化させると、光源からの入射光を反射する位置が、円弧状の光輝性画線上で徐々に移動し、左右の目で視認される画像の位相が異なることで、観察角度の変化前に平面的に視認される画像が、両眼視差により立体的かつ観察角度の変化に伴い、動的に視認することができる技術である。
【0006】
また、転写箔にエンボス加工を施すことで剥離防止と、転写箔を剥離した際、箔の再利用を不可能にさせるような技術が提案されている。(特許文献2参照)
【0007】
特許文献2は、基材の所定箇所に転写箔を有し、偽造防止凹凸構造をエンボス加工により転写箔に形成することで、偽造防止効果が向上した書類に関する発明である。偽造防止凹凸構造が転写箔の少なくとも一部に形成されることによって、偽造防止凹凸構造に光が照射されると光の反射による輝きが視認でき、転写箔に跨るように偽造防止凹凸構造が基材にも形成されることで割印の役割も果たしている。この構成により、偽造防止マークを書類から剥がすと、偽造防止マークが著しく変形して、剥がした偽造防止マークを他の有価書類に取り付けた際には、偽造防止マークの変形を検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5799431号
【文献】特許第3053209号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1は、従来、両眼視差を用いて、立体的かつ動的に視認するためには、同一画像を2つ並べる必要があった課題に対し、一つの画像で、立体的、かつ、動的に裸眼で視認することが可能な立体画像を提供することを目的としており、割印の効果を有することで箔の剥離防止を目的としたものではなかった。
【0010】
特許文献2は、転写箔上に形成された凹凸構造が、光源からの光の反射により容易に識別可能であるが、基材上に形成された凹凸構造については、光源による凹凸の陰影が視認されることから、光源の光量や角度によっては識別が難しかった。したがって、何らかの方法で転写箔の凹凸構造が壊れないように剥がし、偽造品に転写箔を再び貼り直した場合、仮に箔に形成された凹凸形状と、基材に形成された凹凸形状の画線が連続していない場合でも、識別性が低いことから誤って真正品と判断される恐れがあり、割印としての効果が薄かった。
【0011】
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、観察角度を変化させることによって動的かつ立体的に動くことが可能な凹又は凸形状の構造から成る画像を、基材と箔に跨るように形成することで、箔を剥がして再使用しようとしても、基材に形成されている画像の一部を再現できないことを用いた、箔の剥離防止効果を付与した偽造防止媒体を提供することであり、更なる効果として、基材と箔に跨った画像が、動的かつ立体的に連続して観察することが可能となり、偽造・改ざんの判別が容易となる偽造防止媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的を達成するために、請求項1記載の発明の偽造防止媒体は、基材の一部に画像を有し、画像を観察する際、観察角度と両眼視差によって立体画像が動的に観察できる偽造防止媒体であって、基材上の一部に、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する第1の光学的変化層が形成され、第1の光学的変化層と基材に跨る位置に、画像を形成する画像形成領域を有し、画像は、始点、頂点及び終点を有する円弧状の情報画線が万線状に配置されて形成されるとともに、情報画線の断面形状が凹形状又は凸形状であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の偽造防止媒体において、画像が、円弧状の情報画線と、円弧状の情報画線の始点及び終点を結ぶ基準線に対して反転した反転円弧状の情報画線から成る円形状の情報画線が複数配置されて形成されたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の偽造防止媒体において、基材の断面形状は、情報画線に対応した凹形状又は凸形状であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、基材における画像形成領域が、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、基材における画像形成領域が、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する第2の光学的変化層を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のような構成の本発明に係る偽造防止媒体は、基材と、金属箔やOVD箔といった第1の光学的変化層に跨って、円弧状の凹凸画線が形成されることにより、割印としても箔の剥離による改ざんを困難にし、さらに偽造防止媒体の偽造・改ざんを容易に判別することが可能となる。また、箔を剥がした際に、箔に施した凹凸の画線が剥がす力が加わることによって変形し、再使用が不可能となる。さらに、光輝性を持った基材と、第1の光学的変化層に跨るように、円弧状の凹凸画線を形成することで、基材と第1の光学的変化層の両方で、立体的、かつ、連続的に動く立体画像を肉眼で視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】基材(1)と光学的変化層(2)に跨って形成される画像(3)の平面図
【
図4】画像(3)と要素領域(3E)の詳細を示す平面図
【
図10】基材(1)が光輝性を有する基材(1b)である偽造防止媒体(S2)
【
図11】基材(1)に第2の光学的変化層(6)が付与された偽造防止媒体(S3)
【
図12】画像(3)と画像(3)から視認できる立体画像(7)の平面図
【
図13】画像(3)が付与された基材(1)を観察するための視点を示す図
【
図14】第2の観察角度(E2)における情報画線(4)の視認原理を示す模式図
【
図15】左右の視点で観察される情報画線(4)と、画像(3L,3R)と立体画像(7)の平面図
【
図16】基材(2)に対する観察角度(θ4)の連続的な変化を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明は、以下に述べる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施形態が含まれる。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、画像(3)が基材(1)と第1の光学的変化層(2)に跨るように付与された偽造防止媒体(S1)を示す平面図である。偽造防止媒体(S1)は一例として商品券としている。偽造防止媒体(S1)は、基材(1)上に、店舗名、券種等の偽造防止媒体(S1)に関する情報が、シアン、マゼンタ、イエロー等の一般的に用いられるインキにより付与されている。第1の光学的変化層(2)は明暗フリップフロップ性及びまたはカラーフリップフロップ性を有する。偽造防止媒体(S1)は、基材(1)と第1の光学的変化層(2)上において少なくとも一部に、画像形成領域(5)を備えている。画像形成領域(5)内には、画像(3)が配置されている。
【0021】
(基材)
偽造防止媒体(S1)に用いられる基材(1)は、一般的な印刷に用いられる紙や、プラスチックなどが挙げられ、第1の光学的変化層(2)が貼付でき、押圧によって凹凸模様を付与できるような基材であれば、特に限定はなく、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有していてもよい。
【0022】
明暗フリップフロップ性とは、光源(Q)からの反射光を観察する観察角度の変化により明度の変化が生じることであり、カラーフリップフロップ性とは、光源(Q)からの反射光を観察する観察角度の変化により色相の変化が生じることである。観察角度は大きく2つあり、
図12で示す、光源(Q)からの光が基材(1)で正反射されたものが観察できる観察角度(E2)と、それ以外の観察角度(E1)がある。なお、詳しくは後述する観察原理の中で説明する。
【0023】
以下、カラーフリップフロップ性及び又はカラーフリップフロップ性を総称して光輝性という。
【0024】
第1の実施形態では、基材(1)に光輝性を有さない構成について説明する。
【0025】
(第1の光学的変化層について)
偽造防止媒体(S1)に貼付される第1の光学的変化層(2)は、光輝性を有するOVD(Optically Variable Deviceの略称)箔や金属箔がある。
これらは基材(1)に熱と圧力によって貼付される。
図2は一般的に用いられる回折格子を用いたOVD箔(2)の断面図である。
【0026】
OVD箔(2)は、光源と観察する角度に応じて、色彩や図柄等の要素が光学的に変化する素子が薄いプラスチックフィルムに加工された箔のような形態のものをいう。一般的なOVD箔(2)は保護層(2a)、回折格子加工層(2b)及び接着層(2c)から構成されている。回折格子加工層(2b)は、透明又は半透明なものであり、その表面には回折格子が施されている。回折格子は、潜像を持たない回折格子非潜像部及び潜像を表す回折格子潜像部から成り、接着層を介して基材(1)と接着する。OVD箔(2)には、回折格子による潜像をより明確に出現させるために金属箔による金属層を設けてあってもよい(図示せず)。また、回折格子自体は必須の構成ではなく、光輝性を有するプラスチックフィルムと接着層のみで構成されていてもよい(図示せず)。
【0027】
金属箔は金、銀、アルミ等の金属材料から成る箔である。基材(1)に接着することが可能となる接着層を設けてあることが好ましいが、基材(1)に接着可能であれば必須の構成ではない。
【0028】
第1の光学的変化層(2)の厚さは、エンボス加工又はレーザー加工等で凹凸のある画線を形成することが可能であれば厚みに制限はない。例えば一般的なOVD箔は、数μmの厚さであり、それを用いることができる。
【0029】
(画像)
以下、画像(3)の構成について説明を行うが、画像(3)の構成は以下の説明に限定されるものではなく、定位置の光源に対して、所定の角度から異なる角度へと、連続的に変化させて観察した場合、後述する立体画像(7)が、立体的かつ動的に観察可能である画像(3)が基材(1)と第1の光学的変化層(2)に跨って形成されていれば、本発明の技術的思想に含まれる。
【0030】
例えば、特許第5799431号、特許第6097994号、特許第6583632号、特許第6061192号の中に記載の画線が、光学的変化層(2)と基材(1)の上に跨って形成されている場合も本発明の技術的思想に含まれる。
【0031】
図3は、偽造防止媒体(S1)が有する画像(3)の配置を示す平面図である。画像(3)は、
図4(a)に示すような、円弧状の万線から形成されており、画像が形成される画像形成領域(5)は、画像(3)が第1の光学的変化層(2)に形成される画像形成領域(5a)と、基材に画像が形成される画像形成領域(5b)で分けられる。画像形成領域(5a)上に形成された画像(3)は光輝性を有しており、所定の角度から光源に対して異なる角度へと、連続的に変化させることで、画像(3)は立体的かつ動的に観察できる立体画像(7)が観察することができる。立体的かつ動的に観察できることについては特許第5799431号で開示されている両眼視差による観察の原理と同様であり、詳細については後述する。
【0032】
(画像(3)の画線構成)
図4(a)は、画像(3)の詳細を示す平面図である。画像(3)は、少なくとも一つの要素領域(3E)から成る。要素領域(3E)は、それぞれが画像(3)を構成するパーツであり、例えば、
図4に示される画像(3)は「N」の形状をしており、太線で示す5個の要素領域(3E)からなる。なお、明確に説明するために、要素領域(3E)を示す線を図示しているが、これは仮想の線であり、実際の画像(3)には形成されない。また、画像(3)に対する、要素領域(3E)の分割方法の詳細については後述する。
【0033】
図4(b)は、
図4(a)に示す一つの要素領域(3E)の拡大図である。要素領域(3E)は、複数の円弧状の情報画線(4)が万線状に配置されることによって形成される。
図4において、情報画線(4)は、第1のピッチ(P1)で複数形成されている。
なお、万線状とは、複数の画線が(規則的に)所定のピッチで配列されている状態をいう。
【0034】
図4(b)は、要素領域(3E)内に配置された情報画線(4)において、始点(U)と終点(D)を結ぶ直線を基準線(H1)とした場合、基準線(H1)は同じ方向で万線状に配置される。その際、複数の情報画線(4)において、基準線(H1)は平行となる。基準線(H1)を同じ方向とすることで、情報画線(4)は、第1の要素領域(3E)内において、第1の方向(X1)に配置され、頂点(T)も第1の方向(X1)を向くように形成されている。このように、基準線(H1)を同じ方向で万線状に配置した複数の情報画線(4)から成る画像(3)は、後述する左右方向に動的に視認することができる立体画像(7)が視認できる。
【0035】
なお、
図4では、情報画線(4)の基準線(H1)を同じ方向として説明したが、異なる方向とすることも可能である。
図4(c)は基準線(H1a)を0度とした場合、基準線(H1b)から基準線(H1e)は要素領域(3E)内で徐々に角度が変わっている。言い換えると、要素領域内で情報画線(4)の方向がそれぞれ異なっている。この場合でも、頂点(T)が、要素領域(3E)内で基準線(H1)を中心として領域を分けた際、そのうちの上部もしくは下部のどちらかに統一して配置されていればよい。
【0036】
次に、
図5を用いて始点(U)における基準線(H1)に対する情報画線(4)の接線(H2)が成す角度(θ1)と、終点(D)における基準線(H1)に対する情報画線(4)の接線(H3)が成す角度(θ2)の範囲について説明する。
【0037】
角度(θ1)及び角度(θ2)がそれぞれ2度未満だと、情報画線(4)の始点(U)側と終点(D)側の反射光がほぼ同じ方向に反射するため、適当な観察距離において両眼視差が不可能となり、好ましくない。反対に、角度(θ1)及び角度(θ2)がそれぞれ90度を超える場合は、始点(U)側と終点(D)側の反射光は異なる方向に反射するが、両眼視差可能な範囲外となる。
【0038】
したがって、始点(U)における基準線(H1)に対する情報画線(4)の接線(H2)が成す角度(θ1)と、終点(D)における基準線(H1)に対する情報画線(4)の接線(H3)が成す角度(θ2)の範囲は、それぞれ2~90度の範囲内で、適宜設定することが可能である。
【0039】
要素領域(3E)内に配置された情報画線(4)は、始点(U)において、基準線(H1)と基準線(H1)に対する情報画線(4)の接線(H2)が成す角度(θ1)とは、すべての情報画線(4)において、同じであることが好ましい。また、終点(D)において、基準線(H1)と基準線(H1)に対する情報画線(4)の接線(H3)は成す角度(θ2)においても、全ての情報画線(4)において、同じ角度とすることが好ましい。
【0040】
前述のとおり、情報画線(4)は、要素領域(3E)内に配置される。画像(3)を両眼視差により立体視する際に、始点(U)側の角度(θ1)と、終点(D)側の角度(θ2)が同じ角度である場合、第1の情報画線(4)からの反射光の方向はすべての情報画線(4)において、同一方向となる。よって、肉眼において、明瞭に画像(3)を視認することが可能となる。一方、始点(U)側の角度(θ1)と、終点(D)側の角度(θ2)が異なる角度である場合、情報画線(4)からの反射光の方向にバラつきが生じる。それにより、画像(3)はぼやけた画像として視認され、好ましくない。
【0041】
以下、本実施形態においては、情報画線(4)の基準線(H1)を、
図4に示した同じ方向である第1の方向(X1)に配置し、かつ、始点(U)における基準線(H1)に対する情報画線(4)の接線(H2)が成す角度(θ1)と、終点(D)における基準線(H1)に対する情報画線(4)の接線(H3)が成す角度(θ2)を、それぞれ基材(2)上に複数配置された、情報画線(4)において、同じ角度とした場合について説明する。
【0042】
次に、情報画線(4)を配置するピッチ(P1)について説明する。ピッチ(P1)は、情報画線(4)の形成方法、用いる基材(1)及び画線幅を考慮し、5~1000μmの範囲内で適宜設定することが可能である。
【0043】
ピッチ(P1)が5μm未満である場合には、基材(1)上に情報画線(4)を形成しづらくなり、好ましくない。
【0044】
反対に、ピッチ(P1)が1000μmを超える場合には、隣り合う情報画線(4)間の光輝性を有しない領域が肉眼で視認可能となる。それにより、画像(3)内において、光輝性を有しない面積が存在し、画像(3)を立体的に視認する際の視認性が低下することから、好ましくない。
【0045】
なお、
図4では、ピッチ(P1)を、すべて同じ規則的なピッチであるピッチ(P1)で図示しているが、ランダムなピッチとすることも可能である。ただし、立体視される画像の視認性を考慮すると、情報画線(4)から成る画像(3)が均一な光輝性を有して視認された場合、立体画像(7)として視認しやすくなる。よって、情報画線(4)のピッチは規則的なピッチ(P1)で形成することが、好ましい。
【0046】
情報画線(4)の画線幅は、ピッチ(P1)を考慮し、5~1000μmの範囲内で適宜設定する。
【0047】
画線幅が5μm未満である場合には、基材(1)上に情報画線(4)を形成しづらいため、好ましくない。
【0048】
反対に、画線幅が1000μm以上である場合には、画線幅に対応して画像(3)の形状も大きくする必要がある。画像(3)を大きくした際には、画像(3)を両眼視差により立体視しづらくなり、好ましくない。
【0049】
図6(a)は、
図4に示す情報画線(4)の一つを拡大した図である。情報画線(4)を図示するA-A’で切断した場合、情報画線(4)の断面図は
図6(b)、(d)に示す凸形状または
図6(c)、(e)に示す凹形状であり、どちらでもよい。その際、断面形状はスムーズな動的効果を奏するため、四角形、三角形等といった角を有する角張った形状ではなく、蒲鉾形状、半円形状又は半楕円形状等、角を有さない滑らかな形状とする方が好ましい。また、(b)、(c)に示すように情報画線(4)の断面は、第1の光学的変化層(2)のみが凸形状または凹形状であってもよいが、(d)、(e)に示すように情報画線(4)が形成される箇所の基材(1)も、第1の光学的変化層(2)に形成された凸形状または凹形状に対応した、凸形状または凹形状を有している方が、改ざん防止効果が高いので好ましい。
【0050】
情報画線(4)を凸形状で形成した場合の高さについては、情報画線(4)の画線幅によるが、基材表面から、20μmから30μmであることが好ましい。また、情報画線(4)を凹形状で形成した場合、基材の表面から20μmから30μm凹んでいることが好ましい。ただし、本発明はこの数値に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0051】
図4に示す、基準線(H1)の長さは、画像(3)の大きさや、画像(3)と観察者との距離に合わせて適宜設定するが、0.5~65mmの範囲内とすることが、好ましい。本発明の画像(3)は、両眼視差を用いることで、立体視することが可能な画像である。したがって、一般的な人間の両目間の距離である65mm以下に留めなければならない。また、万人がそれと感じる適当な遠近感を生み出すためには、0.5mm以上の所定距離で形成する必要がある。よって、基準線(H1)の長さを、前述の範囲内とすることで、両眼視差により画像(3)を視認しやすくなる。
【0052】
なお、画像(3)を、セキュリティ製品等に用いる場合には、小さい方が改ざんしにくく、偽造防止効果が向上することから、基準線(H1)の長さは、短い方が好ましい。
【0053】
また、画像(3)は、前述した文字形状に限らず、情報画線(4)を複数配置することが可能であれば、円形状、楕円形状、星形、多角形や数字、文字、万線、動植物といった有意情報であってもよく、特段限定はされない。
図7は、画像(3)の他の形状を示す平面図である。画像(3)は、
図7(a)に示す円形状や、
図7(b)に示す文字形状「A」や、
図7(c)に示す顔形状とすることも可能である。
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)においても、要素領域(3E)は太線に示すように、画像(3)を構成するパーツそれぞれを言い、画像(3)が立体視可能とするように、適宜形成する。
【0054】
なお、好ましくは、画像(3)を形成する複数の情報画線(4)の各基準線(H1)の中心を結ぶ仮想線(J)が、一つの要素領域(3E)内で一本となるようにするものである。
【0055】
例えば、
図7(a)において、画像(3)を形成する複数の情報画線(4)の各基準線(H1)の中心を結ぶ仮想線(J)は一本である。よって、画像(3)は、一つの要素領域(3E)から構成される。
【0056】
また、
図7(b)において、画像(3)を形成する複数の情報画線(4)を、要素領域(3E
1)の下側から配置した場合、情報画線(4)の配列がくずれる箇所が発生する。この配列がくずれる箇所を、要素領域(3E
2)に示すように分割することで、各要素領域(3E)内において、各基準線(H1)の中心を結ぶ仮想線(J)が一本となり、画像(3)は、立体視可能な画像(3)となる。
【0057】
なお、複数の要素領域(3E)は、領域ごとに異なる方向に情報画線(4)を配置することも可能である。
【0058】
例えば、
図7(c)に示す画像(3)において、要素領域(3E)である目、鼻及び口において、それぞれの要素領域(3E)内において、情報画線(H1)の基準線は、いずれも直線状の方向で配置されているが、目をX1
1の方向(X1
1)で配置し、鼻をX1
2の方向(X1
2)で配置し、口をX1
3の方向(X1
3)で配置し、X1
1の方向(X1
1)、X1
2の方向(X1
2)及びX1
3の方向(X1
3)を互いに異なる方向とすることも可能である。
【0059】
また、
図4において説明したように、画像(3)は、一つの要素領域(3E)内において、情報画線(4)の基準線(H1)は異なる方向とすることも可能である。
【0060】
例えば、
図7(c)に示す画像(3)において、要素領域(3E)である目、鼻及び口において、目は情報画線(4)の基準線(H1)を
図4において前述した異なる方向で配置し、鼻及び口は、
図3において前述した基準線(H1)を同じ方向で配置することも可能である。
【0061】
基準線(H1)が同じ方向で配列した要素領域(3E)と、異なる方向で配列した要素領域(3E)は、観察角度の変化により、互いに異なる方向に動的に視認される。よって、
図7(c)においては、鼻及び口は同じ方向に動的に視認されるが、目は鼻及び口とは異なる方向に動的に視認され、画像(3)は、より複雑に動的に視認される。
【0062】
また、本出願人が以前に出願した特許第5799431号、特許第6097994号、特許第6583632号、特許第6061192号の中に記載の画線構成についても、選択することができる。
【0063】
特許6583632号に記載されている発明を示した画像が、
図8の画像(a1)である。この画像(a1)は情報画線(4)が始点(U)頂点(T)終点(D)を有し、始点から頂点と頂点から終点にかける画線の比率が複数の情報画線(4)において同一であり、
図8(a2)で示される原画像が立体的かつ動的に視認されるものである。
【0064】
また、特許6583632号では、
図8(b1)に示す、情報画線(4a)と情報画線(4b)の円弧の始点(U)と終点(D)のそれぞれが連結し、情報画線(4a)の基準線(H1)の中心から点対称に頂点(T)が2つ存在することで円形状の情報画線(4)から画像(3)を形成してよいとの記載がある。
図8(b1)に示すように、本発明における円弧状の情報画線(4)は、頂点(T)が始点(U)と終点(D)を結ぶ基準線(H1)よりも上側にある情報画線(4a)と、基準線(H1)を境に反転し、頂点(T)が基準線(H1)よりも下側にある反転の円弧状の情報画線(4b)を配置して円形状の情報画線(4)を形成することもできる。
【0065】
図8(b1)の円形状の情報画線(4)は、基準線(H1)が円の全ての直径となっているが、情報画線(4a)の立ち上がり線(H2)と基準線(H1)がなす角度(θ1)及び情報画線(4a)の立ち下がり線(H3)と基準線(H1)がなす角度(θ2)により楕円形状となるが、本発明においては、これも円形状の情報画線(4)となる。
【0066】
この円弧状の情報画線(4a)と反転の円弧状の情報画線(4b)から成る円形状の情報画線(4)を複数配置して形成した画像(3)が、
図8(b2)である。そして、
図8(b2)を所定の観察角度から観察した際、視認される画像が、
図8(b3)である。
図8(b3)は立体画像(7)である円の一部が重なった状態で2つ視認することができる。情報画線(4)が円形状であった場合、始点(U)、頂点(T)終点(D)を情報画線(4)から見出すことはできないが、円弧状の情報画線(4)から成る画像(3)と同様に、立体画像(7)を動的に視認できる。
【0067】
図8(b1)では、円弧状の情報画線(4a)及び反転の円弧状の情報画線(4b)を、双方の始点(U)と終点(D)を連結して円形状の情報画線(4)を形成しているが、必ずしも始点(U)と終点(D)を連結する必要はなく、
図8(b4)に示すように、それぞれの円弧状の情報画線(4a、4b)が若干離れて形成されていてもよい。円形状の情報画線(4)では、円弧状の情報画線が二つ(4a、4b)配置されて形成しているため、観察者が視認できる光源からの反射光は、頂点(T)が上側にある円弧状の情報画線(4a)と、頂点(T)が下側にある円弧状の情報画線(4b)の二つとなる。そのため、構成される画像はその2点で形成されることとなり、形成された画像形成領域(5)を観察角度を変化させると、二つの画像が円形の円周上の軌道を回転するように視認できる。
【0068】
また、
図8(b4)に示した形状は、
図8(c)に示した円形状の情報画線(4)の一部(2箇所)に切れ目を有したものであり、若干の切れ目であれば、
図8(c)の円形状の情報画線(4)で形成した画像と同等の効果である、円周上の軌道を画像が動いて視認できる効果を奏することから、本発明における円形状の情報画線(4)とすることができる。この切れ目による情報画線同士の距離が長ければ、当然、本発明における円弧状の情報画線(4a、4b)となる。
【0069】
なお、頂点(T)が始点(U)と終点(D)を結ぶ基準線(H1)よりも上側にある円弧状の情報画線(4a)と、頂点(T)が始点(U)と終点(D)を結ぶ基準線(H1)よりも下側にある円弧状の情報画線(4b)を配置することで形成される二つの画像は、情報画線(4)上で動いて視認される際に、一方が手前に、他方が奥に視認できることから、奥行き感を備えることでより一層の立体効果を奏することとなる。この奥行き感による立体効果については、
図8(b1)に示した円形状の情報画線(4)で形成しても同様となる。
【0070】
また、
図8(b5)に示すように、円形状の情報画線(4)に切り目を入れた
図8(b4)において、更に横方向にずらした形態でもよい。この場合には、円形状の情報画線(4)ではなく、あくまでも頂点(T)が始点(U)と終点(D)を結ぶ基準線(H1)よりも上側にある円弧状の情報画線(4a)と、頂点(T)が始点(U)と終点(D)を結ぶ基準線(H1)よりも下側にある円弧状の情報画線(4b)をずらして配置した形態となるため、効果としては、奥行き感による立体効果となる。
【0071】
また、特許第6097994号で記載の発明を示した画像が
図9の画像(a1)であり、画像(a1)の点線で囲まれた箇所を拡大したものが画像(a2)であり、画像(a1)を観察すると視認される原画像が(a3)で示されている。
図9の画像(a1)は円弧状の仮想線を複数配置した上に、
図9の画像(a3)を一方向に圧縮して複数配列した圧縮画像を重ね、重なり合った画線部分だけを抽出し、抽出した画線を基材上に形成したものである。
【0072】
また、特許第6061192号に記載の発明を示した画像が、
図9(b1)であり、
図9(b2)は、画像(b1)を観察すると視認される原画像を示している。画像(b1)は、微小な情報画線(4)がマトリクス状に複数配列され、微小な情報画線(4)は
図9(b2)に示される原画像を構成するパーツの集合体となっている。
【0073】
これらの画線構成を、第1の光学的変化層(2)と基材(1)の上に凹形状又は凸形状の断面を持つ画線で形成することにより、第1の光学的変化層(2)の上に形成された箇所は立体的かつ動的効果を持ち、かつ基材(1)と第1の光学的変化層(2)に割印の役割を付与することができる。ただし、画像(c1)が基材(1)と第1の光学的変化層(2)に跨っている場合であっても、構成する情報画線(4)が第1の光学的変化層(2)と基材(1)に跨って形成されない構成であった場合、割印としての効果は薄い。また、画像(b1)の情報画線(4)の構成では、画像(b1)が基材(1)と第1の光学的変化層(2)に跨っていたとしても、第1の実施形態においては、微小な情報画線(4)の集合体であることから、基材(1)に形成された情報画線(4)の視認は凹凸による陰影によるものだけであることから、割印としての効果は薄い。しかしながら、後述する第2の実施形態や、第3の実施形態においては、画像(a1)や画像(b1)が上記の構成でも、基材(1)や第2の光学的変化層(6)に光輝性を有することから、立体画像(7)が第1の光学的変化層と、基材(1)や第2の光学的変化層(6)に跨って発現する。このことから、割印としての効果がある。
【0074】
(画像を付与する位置について)
図1及び
図3に示すとおり、画像(3)は、基材(1)と第1の光学的変化層(2)に跨るように、それぞれを凹形状又は凸形状に変形することで形成する。基材(1)と第1の光学的変化層(2)に跨っていれば特に位置に限定はなく、適宜設定してよい。しかし、本発明の課題である第1の光学的変化層(2)の剥離防止という観点からすれば、第1の光学的変化層に多く画像(3)が形成されている方が、故意に第1の光学的変化層を剥離しようとした場合、第1の光学的変化層に形成された情報画線(4)の凹凸が変形しやすくなる。したがって画像(3)が第1の光学的変化層(1)に複数の情報画線(4)の50%以上が形成されていることが好ましい。
【0075】
また、基材(1)又は基材上に光輝性を有していない場合、基材(1)に画像(3)の大部分が形成されると、立体画像(7)が視認できない。したがって、基材(1)又は基材上に光輝性を有さない場合、画像(3)を形成する位置は第1の光学的変化層(2)に画像(3)の80%~90%が形成されるような位置であれば、立体画像(7)が観察できることから好ましい。
【0076】
(画像の形成方法)
次に、情報画線(4)の形成方法について説明する。情報画線(4)は、基材(1)と第1の光学的変化層(2)を凹形状又は凸形状に形成することで形成する。
【0077】
形成する方法として、光輝性を有する基材(2)に、エンボス加工を施すことが可能な公知の加工機を用いて、情報画線(4)の形状に合わせて凹凸を付与するものがある。その際、第1の光学的変化層(2)の下にある基材も併せて変形させると第1の光学的変化層(2)を偽造の目的で剥離し、別の光輝性を有する光学的変化層を貼る困難性が上がることから好ましい。
【0078】
また、第1の光学的変化層(2)を公知の箔押機を用いて熱圧着する際と同時に、画像(3)が形成されたエンボス型を用いて第1の光学的変化層(2)と画像(3)を基材(1)に形成してもよい。
【0079】
(立体画像の発現原理)
次に画像(3)を肉眼で視認した際、発現する立体画像(7)の発現原理について説明する。
【0080】
図12(a)は画像(3)を示す平面図であり、基材(1)に第1の光学的変化層(2)が形成され、その上にエンボス等により、複数の情報画線(4)を第1の方向(X1)に形成することで、文字の「N」の形状の画像(3)が形成されている。そして、画像(3)を、適切な光源の位置と、観察角度を設定し観察することで発現する立体画像(7)を
図12(b)で示す。なお、本発明において、基材(1)と光学的変化層(2)に画像(3)が跨っていることが必須であるが、立体画像(7)の発現原理を説明するため、画像(3)全体に光輝性を有している方が説明しやすいことから、この形態で説明する。
【0081】
図12の画像(3)の観察角度について、
図13を用いて説明する。
図13は、画像(3)が付与された基材(1)を観察するための観察角度(E1及びE2)を示す図である。
【0082】
一般的に、基材(2)、定位置の光源(Q)及び視点が、
図13(a)に示す位置関係にあるとき、第1の観察角度(E1)から観察したとし、
図13(b)に示す位置関係にあるとき、第2の観察角度(E2)から観察したとする。
【0083】
第1の観察角度(E1)とは、情報画線(4)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して、光輝性に変化がない観察角度のことであり、その観察角度(E1)の範囲を、拡散反射領域(θ3)として図示する。例えば、情報画線(4)は、拡散反射領域(θ3)においては、光源(Q)からの入射光の反射を視認できない。よって、情報画線(4)は、所定の反射光量未満の反射光であり、肉眼において光輝性に変化がない画線として視認される。
【0084】
第2の観察角度(E2)とは、情報画線(4)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して光輝性が変化して視認される観察角度のことであり、その領域は正反射領域(θ4)として図示する。正反射領域(θ4)においては、光源(Q)からの入射光の反射が視認できる。よって、情報画線(4)は、所定の反射光量以上の反射光を有し、肉眼において光輝性に変化がある画線として視認される。
【0085】
なお、第1の観察角度(E1)及び第2の観察角度(E2)は、情報画線(4)を形成する第1の光学的変化層(2)により、基材(2)、光源(Q)及び始点の位置関係が変化し、更には正反射領域(θ4)及び拡散反射領域(θ3)に限らない。
【0086】
図14は、第2の観察角度(E2)における情報画線(4)の視認原理を示す模式図である。
図14(a)に示すように、第2の観察角度(E2)において、情報画線(4)を形成する光輝性の材料は、光源(Q)からの入射光を反射する。
【0087】
情報画線(4)が、基材(1)に対して凹形状又は凸形状の場合、光源(Q)からの反射光(V1、V2、V3、V4及びV5)は、一方向ではなく多方向に反射する。
【0088】
観察者の左目(L)の視野角度はθLであることから、左目(L)には、視野角度θL内にある反射光(V1及びV2)が視認される。一方、反射光(V3、V4及びV5)は、視野角度θLの範囲外であることから、視認されない。よって、情報画線(4)は、観察者の左目(L)において、
図14(b)に示すように、視野角度θL内となる図面左(U)側の点線部は、光輝性を有して視認されるが、視野角度θL外となる図面右(D)側の実線部は、光輝性を有さない画線として視認される。
【0089】
一方、観察者の右目(R)の視野角度はθRであることから、右目(R)には、視野角度θR内にある反射光(V4及びV5)が視認される。一方、反射光(V1、V2及びV3)は、視野角度θRの範囲外であることから、視認されない。よって、情報画線(4)は、観察者の右目(R)において、
図14(c)に示すように、視野角度θR内となる図面右(D)側の点線部は、光輝性を有して視認されるが、視野角度θR外となる図面左(U)側の実線部は、光輝性を有さない画線として視認される。
【0090】
図14(b)に示す左目(L)で視認される情報画線(4)の光輝性を有して視認される箇所と、
図14(c)に示す右目(R)で視認される情報画線(4)の光輝性を有して視認される箇所は、図面左(U)側と図面右(D)側を結ぶ直線に対して、左右に位相差を持った画線として視認される。よって、同一画像を複数並んで形成しなくても両眼視差により、観察者には、
図14(d)に示すように、情報画線(4)の両方が視認される。
【0091】
図14では情報画線(4)が1本で示されているが、複数の情報画線(4)によって形成される画像(3)の場合を
図15に示す。
【0092】
図15(a1)は、観察者の左目(L)に視認される画像(3L)を示す平面図であり、
図15(a2)は、
図15(a1)の一部を拡大した図である。
図15(a2)に示すように、第2の観察角度(E2)において観察者の左目(L)には、情報画線(4)における点線部が光輝性を有して視認される。一方、
図15(a2)における実線部は、光輝性を有さない画線として視認される。よって、点線部が光輝性を有し、かつ、実線部が光輝性を有さない複数の情報画線(4)から成る画像(3L)が視認される。
【0093】
図15(b1)は、観察者の右目(R)に視認される画像(3)を示す平面図であり、
図15(b2)は、
図15(b1)の一部を拡大した図である。
図15(b2)に示すように、第2の観察角度(E2)において観察者の右目(R)には、情報画線(4)における点線部が光輝性を有して視認される。一方、
図15(b2)における実線部は、光輝性を有しない画線として視認される。よって、点線部が光輝性を有し、かつ、実線部が光輝性を有さない複数の情報画線(4)から成る画像(3R)が視認される。
【0094】
図15(c1)は、観察者の両目(L、R)に視認される立体画像(7)を示す平面図であり、
図15(c2)は、
図15(c1)の一部を拡大した図である。前述したように、第2の観察角度(E2)において観察者の左目(L)には、
図15(a1)に示す画像(3L)が視認され、右目(R)には、
図15(b1)に示す画像(3R)が視認される。
【0095】
前述のとおり、左目(L)で視認される情報画線(4)と、右目で視認される情報画線(4)は、始点(U)と終点(D)を結ぶ直線である基準線(H1)に対して、位相差を持った画線として視認される。よって、複数の情報画線(4)から成る画像(3)は、左目で観察される画像(3L)と、右目で観察される画像(3R)は、位相が異なることで、両眼視差により観察者には、
図15(c1)に示すように、画像(3)は立体画像(7)として観察される。
【0096】
さらに、観察角度を変化させることで、その観察角度の変化に伴い、動的に第1の画像(3)を視認することが可能である。次に、立体画像(7)が動的に視認される原理について説明する。
【0097】
図16(a)は、
図12に示す画像(3)における、基材(1)に対する観察角度の変化を示す模式図であり、
図16(b1)及び
図16(b2)は、
図16(a)において視認される立体画像(7)を示す平面図及び拡大図である。
【0098】
図16(a)に示すように、情報画線(4)が光輝性を有する画線として視認される正反射領域(θ4)内において、基材(1)に対する観察角度を、第2
1の観察角度(E2
1)から第2
2の観察角度(E2
2)へと連続的に変化させて観察した場合、観察角度の変化に伴い、情報画線(4)における光源(Q)からの入射光を反射する位置が始点側から終点側へと徐々に変化する。それにより、
図16(b2)に点線で示す、第1の情報画線(4)の光輝性を有する箇所も、
図16(b2)に示す矢印方向に連続的に動いているように視認される。
【0099】
例えば、観察角度を第21の観察角度(E21)から第22の観察角度(E22)へと連続的に変化させて観察した場合、立体画像(7)は、右から左へと動いているように視認され、反対に、第22の観察角度(E22)から第21の観察角度(E21)へと連続的に変化させて観察した場合、立体画像(7)は、左から右へと動いているように視認される。なお、立体画像(7)の左右に動く最大幅(動き量)は、情報画線(4)の光輝性を有する箇所の変化量と同一であることから、基準線(H1)の長さと同一の範囲内で、左右に動く。
【0100】
なお、画像(3)を観察する際には、
図14(a)に示す、左右の視点を結ぶ線と、情報画線(4)の始点(U)と情報画線(5)の終点(D)側を結ぶ直線が略平行となるように観察することで、情報画線(4)及び立体画像(7)を立体的に視認することが可能となる。よって、観察時に、左右の視点を結ぶ線(G)と情報画線(4)の始点(U)と情報画線(5)の終点(D)側を結ぶ直線(H1)が略平行となるように、偽造防止媒体(S1)及び/又は視点を調節する。
【0101】
以上が、本発明において、共通して光学的変化層上に形成された場合に生じる立体画像(7)の発現原理である。
【0102】
(第1の実施形態における発明の効果)
第1の実施形態における偽造防止媒体(S1)は、観察角度を変えて観察すると動的かつ立体的な立体画像(7)が第1の光学的変化層上に観察され、基材(1)には立体的かつ動的効果をもたない画像(3)の一部が視認される。
【0103】
第1の光学的変化層(2)に立体画像(7)が視認されることで、通常の凹凸画線を割印のように配置した場合よりも、より画像(3)が注視されることとなり、偽造防止媒体(S1)の使用の際の注意が高まることで、結果として偽造防止効果が高まる。そして、偽造目的で、第1の光学的変化層を剥離し、再利用しようとした場合、第1の光学的変化層に剥がす力がかかることで変形し、情報画線(4)も変形するので、剥がした第1の光学的変化層を再び貼り付けても、立体画像(7)が再現できない。また、第1の光学的変化層を剥がし、別のOVD箔や金属箔等を貼付した際は、情報画線(4)が存在していないことから立体画像(7)が発現しないため、改ざんがわかる。また、本物とは異なるOVD箔や金属箔を後から貼付したものに、情報画線(4)をエンボスで施すことは可能ではあるが、基材(1)に形成された情報画線(4)と、後から偽造した情報画線(4)を違和感なく合わせることは困難であるため改ざんがわかる。
【0104】
(第2の実施形態)
図10は、偽造防止媒体(S2)の構成を示す図である。第1の実施形態と異なる点は基材(1b)に光輝性を有している点である。
【0105】
例えば、高光沢なプラスチックといった光輝性を有しているものを基材(1b)として選択することができる。その際の光輝性は少なくとも画像形成領域(5)にあればよい。
【0106】
基材(1)以外の、第1の光学的変化層(2)や、画像(3)の構成や付与の方法、観察方法の原理については第1の実施の形態と同様であることから説明を省略する。
【0107】
(第2の実施形態における発明の効果)
第2の実施形態は、基材(1)に光輝性を有する点が特徴であり、これによって、第1の実施形態では、基材(1)に付与された情報画線(4)に光輝性がないことから立体画像(7)が第1の光学的変化層(2)に形成された画像形成領域(5a)の範囲でしか視認することができなかった問題が解決される。
【0108】
基材(1)に光輝性があることによって、基材(1)に付与された画像(3)と第1の光学的変化層(2)に付与された画像(3)が一体となり、立体画像(7)が基材と第1の光学的変化層を跨って動的かつ立体的効果をもって視認できるようになる。
【0109】
この効果により、第1の実施の形態と比較すると、偽造防止媒体(S2)を使用する人の注意が高まり、結果として、偽造防止効果が高まる。そして、偽造目的で偽造防止媒体(S2)から第1の光学的変化層(2)を剥がし、本物とは異なるOVD箔や金属箔を貼付し、その後からエンボス加工によって情報画線(4)を付与した場合であっても、基材にある情報画線(4)と後からエンボスを施した画線が正確に一致しなければ、立体画像(7)の発現に変化が生じる。このことから容易に改ざんを確認できる。また基材(1)上にある情報画線(4)と後から偽造するエンボス模様を一致させることは困難である。
【0110】
(第3の実施形態)
図11は、偽造防止媒体(S3)を示す図である。偽造防止媒体(S3)は、基材(1)の一部に第1の光学的変化層(2)があり、さらに第2の光学的変化層(6)がある。そして、第1の光学的変化層(2)と第2の光学的変化層(6)に跨る位置に、画像(3)を形成する画像形成領域(5)があり、画像形成領域(5)は、第1の光学的変化層(2)にある画像形成領域(5a)と、第2の光学的変化層にある画像形成領域(5c)があり、画像形成領域(5a)と画像形成領域(5c)に跨るように画像(3)が形成される。その他の基材(1)、第1の光学的変化層(2)、画像(3)の構成は同様である。したがって第2の光学的変化層(6)の構成について説明する。
【0111】
第2の光学的変化層(6)は基材(1)に光輝性を有するインキやニスを付与することで形成する。光輝性の中でも明暗フリップフロップ性を付与する方法の一例としては、高光沢なインキ樹脂を用いたり、インキ中に金属顔料を混合したインキを用いたりして印刷することで容易に実現することができる。
【0112】
カラーフリップフロップ性を有するインキの一例としては、パールインキや液晶インキ、OVI、CSI(Color Shifting Ink)等のインキがある。多くのインキは物体色を有するが、虹彩色パールインキは無色透明である。例えば、赤色の虹彩色パールインキは、拡散反射光下では無色透明だが、正反射光下では赤色の干渉色を発する。このようにカラーフリップフロップ性を備えたインキは、正反射光下で色相が変化する。
【0113】
また、第2の光学的変化層(6)を形成する方法はインキやニスに限らず、第1の光学的変化層(2)と同様に、OVD箔や金属箔や光輝性を有するフィルムなどで形成してもよい。ただし、インキやニスで第2の光学的変化層(6)を形成した方が、第2の光学的変化層が剥離されることがなくなり、第2の光学的変化層(6)に形成された情報画線(4)が確実に基材に残ることから、好ましい。
【0114】
第2の光学的変化層(6)を形成する形状及び面積については、特に制限はなく偽造防止媒体(S3)の上に適宜形成できる。第2の光学的変化層(6)を形成する位置については、画像形成領域(5c)を含んだ位置に形成する。
【0115】
(第3の実施形態における発明の効果)
第3の実施形態における発明の効果は、第2の光学的変化層(6)に光輝性があることによって、第2の光学的変化層(6)に付与された画像(3)と、第1の光学的変化層(2)に付与された画像(3)が一体となり、立体画像(7)が第2の光学的変化層と第1の光学的変化層に跨って動的、かつ、立体的効果をもって視認できるようになる。
【0116】
この効果により、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態よりも、偽造防止媒体(S1)を使用する人の注意が高まり、結果として、偽造防止効果が高まる。そして、偽造防止媒体(S3)から第1の光学的変化層(2)を剥がし、本物と異なるOVD箔や金属箔を貼付し、後からエンボスを施し情報画線(4)を形成した場合であっても、基材にある情報画線(4)と後からエンボスを施した画線が正確に一致しなければ、立体画像(7)の発現に変化が生じることから容易に改ざんを確認でき、また基材(1)上にある情報画線(4)と後から偽造するエンボス模様を一致させることは困難である。
【実施例1】
【0117】
以下、実施例1を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。実施例1として、第3の実施の形態で
図11に示される偽造防止媒体(S3)を作製した。基材(2)は、コート紙とした。
【0118】
最初に、表1に示すパールインキを用い、公知のスクリーン印刷機を用いて、基材(2)上に印刷することで、
図11に示される第2の光学的変化層(6)を形成した。なお、表1に示すパールインキは、第1の観察角度(E1)では半透明であり、第2の観察角度(E2)では、金色の干渉光を呈するインキである。なお、このインキを塗布する工程を省略すると第1の実施形態で説明した、
図1に示される偽造防止媒体(S1)となる。
【0119】
【0120】
次に、第1の光学的変化層として、OVD箔(凸版印刷製)をホットスタンピング装置(ナビタス製)で120℃で1秒押圧する条件で基材(1)の第2の光学的変化層(6)の隣接する位置に貼付した。
【0121】
その後、画像(3)を基材(1)と第1の光学的変化層(2)と第2の光学的変化層(6)に付与するための原版を作製した。原版は、ステンレス板(SUS302)にレーザマーカ(キーエンス製 MD-V9600)を用いてレーザ加工することで、
図4に示す「N」形状の凹状の情報画線(4)から成る画像(3)を形成した。なお、情報画線(4)をレーザ加工する際には、情報画線(4)の画像データを、公知の画像処理装置を用いて作製した後、その画像データをレーザマーカに入力し、原版に対して加工を行った。
【0122】
上記の原版を用い、基材(2)に対し第1の光学的変化層(2)と第2の光学的変化層(6)に跨るように熱プレス機(ダンベル製)によって、90℃の温度で、5MPaの圧を、30秒かける条件でエンボスを施すことによって、画像(3)を形成し、偽造防止媒体(S3)を作製した。
【0123】
情報画線(4)は、
図5に示す左右対称の凸状の円弧状画線とし、情報画線(4)の画線幅は200μmとし、第1のピッチ(P1)400μmで万線状に複数形成した。基準線(H1)の長さは2mm~4mmとした。
【0124】
始点(U)において、基準線(H1)に対する円弧状の第1の情報画線(4)の接線(H2)が成す角度(θ1)は、45度とし、終点(D)において、基準線(H1)に対する円弧状の第1の情報画線(4)の接線(H3)が成す角度(θ2)は、45度とした。
【0125】
実施例1にて作製した偽造防止媒体(S3)を、第1の観察角度(E1)から観察したところ、複数の情報画線(4)は第2の光学的変化層(6)では透明な画線として発現し、第1の光学的変化層上では光輝性を有さない画線として視認できた。よって、複数の情報画線(4)で形成された画像(3)が視認できた。
【0126】
次に、偽造防止媒体(S3)を、第2の観察角度(E2)から観察したところ、第2の光学的変化層における複数の情報画線(4)は、金色の干渉色を伴う光輝性を有する画線として視認でき、第1の光学的変化層(2)における複数の情報画線は光輝性を有して視認された。左目(L)で視認できる情報画線(4)と、右目で視認できる情報画線(4)は、始点(U)と終点(D)を結ぶ直線である基準線(H1)に対して、位相差を持った画線として視認できることから、第2の観察角度(E2)においては、両眼視差によりの画像(3)から、立体画像(7)が視認できた。
【0127】
さらに、情報画線(4)が光輝性を有する画線として視認される領域(θ4)内において、基材(2)に対する観察角度を、
図16に示した第2
1の観察角度(E2
1)から第2
2の観察角度(E2
2)へと連続的に変化して観察した場合、観察角度の変化に伴い、第1の情報画線(4)における光源(Q)からの入射光を反射する位置が始点側から終点側へと徐々に異なり、第1の画像(3)が、立体的、かつ、左右に連続的に動いているように視認できた。
【実施例2】
【0128】
実施例2として、第2の実施形態で説明した、
図10で示される偽造防止媒体(S2)を具体的に説明する。光輝性を有する基材(1a)にはプラスチック基材であるPETGシート(太平化学製)を用いた。
【0129】
まず、基材(1a)に、第1の光学的変化層(2)としてOVD箔(凸版印刷製)をホットスタンピング装置(ナビタス製)で、120℃、1秒の条件で基材(1a)に貼付した。
【0130】
次に、実施例1で説明した原版と同じものを用い、基材(1a)と第1の光学的変化層(2)に跨る様に、プレス機(ダンベル製)によって80℃、2.5MPa、30秒の条件で、エンボスを施すことによって、画像(3)を形成し、偽造防止媒体(S2)を作製した。
【0131】
実施例2にて作製した偽造防止媒体(S2)を、第1の観察角度(E1)から観察したところ、複数の情報画線(4)は,基材(1a)上では光輝性を有さない画線として視認され、第1の光学的変化層(2)上では光輝性を有さない画線として視認できた。よって、複数の情報画線(4)で形成された画像(3)が視認できた。
【0132】
次に、偽造防止媒体(S3)を、第2の観察角度(E2)から観察したところ、複数の情報画線(4)は、基材(1a)と第1の光学的変化層(2)上で、光輝性を有する画線として視認された。左目(L)で視認できる情報画線(4)と、右目で視認できる情報画線(4)は、始点(U)と終点(D)を結ぶ直線である基準線(H1)に対して、位相差を持った画線として視認できることから、第2の観察角度(E2)においては、両眼視差によりの画像(3)から、立体画像(7)が視認できた。
【0133】
さらに、情報画線(4)が光輝性を有する画線として視認される領域(θ4)内において、基材(1)に対する観察角度を、
図16に示した第2
1の観察角度(E2
1)から第2
2の観察角度(E2
2)へと連続的に変化して観察した場合、観察角度の変化に伴い、第1の情報画線(4)における光源(Q)からの入射光を反射する位置が始点側から終点側へと徐々に異なり、立体画像(7)が左右に連続的に動いているように視認できた。
【符号の説明】
【0134】
S1,S2,S3 偽造防止媒体
1 基材
1a 光輝性を有する基材
1b 光輝性を有さない基材
2 第1の光学的変化層 、OVD箔
2a 保護層
2b 回折層
2c 接着層
3 画像
3E 要素領域
3L 右目の視点から観察される画像(3)
3R 左目の視点から観察される画像(3)
4 情報画線
5 画像形成領域
5a 光学的変化層(2)に画像(3)が形成されている領域
5b 基材(1)に画像(3)が形成されている領域
5c 第2の光学的変化層(6)に画像(3)が形成されている領域
6 第2の光学的変化層
7 立体画像
P1 第1のピッチ
X1 第1の方向
U 始点
T 頂点
D 終点
H1 基準線
H2 立ち上がり線
H3 立ち下がり線
θ1 情報画線(4)の立ち上がり線(H2)と基準線(H1)がなす角度
θ2 情報画線(4)の立ち下がり線(H3)と基準線(H1)がなす角度
J 複数の情報画線(4)の基準線の中点を結んだ仮想の線
θ3 立体画像(7)が観察できない拡散反射領域
θ4 立体画像(7)が観察できる正反射領域
E1 第1の観察角度
E2 第2の観察角度
E21 第21の観察角度
E22 第22の観察角度
Q 光源
v1,v2,v3,v4,v5 光源(Q)からの反射光