(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240813BHJP
B01J 2/20 20060101ALI20240813BHJP
C08J 3/075 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C08J3/12 A CER
B01J2/20
C08J3/075
(21)【出願番号】P 2023509442
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2022008727
(87)【国際公開番号】W WO2022265477
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0079644
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0080345
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0074877
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウイ・ソク・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ジェ・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ギチュル・キム
(72)【発明者】
【氏名】テ・ユン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒチャン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】サンウォン・ハン
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/075921(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/054564(WO,A1)
【文献】特表2018-527453(JP,A)
【文献】特開平03-076721(JP,A)
【文献】特開2017-197703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-99/00
C08C 19/00-19/44
C08F 6/00-301/00
B01J 2/00-2/30
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
B29B 7/00-15/06
B29C 31/00-71/02
B02C 9/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に含水ゲルが移送される移送空間と、粉砕された含水ゲルを排出する排出空間が形成されたボディ;
前記移送空間に回転可能に配置され、その外周面に少なくとも一つのスクリュが形成されて含水ゲルをボディの長手方向に沿って移送する第1回転軸;
前記ボディの内部に固定して取り付けられ、複数の貫通孔が形成されたホールプレート;
前記ホールプレートから設定されたギャップだけ離隔し、前記ボディの内部に回転可能に配置されてスクリュによって移送された含水ゲルを粉砕するようになっているカッタ;そして
前記排出空間に回転可能に配置され、前記カッタに連結されてカッタを回転させる第2回転軸;
を含み、
前記第1回転軸の回転速度と前記第2回転軸の回転速度は独立して制御され
、
前記カッタは前記ホールプレートの長手方向の一側に配置されて前記第2回転軸の一端はホールプレートを貫通してカッタに連結される、高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置。
【請求項2】
前記第1回転軸に駆動力を伝達する第1駆動モータ;そして
前記第2回転軸に駆動力を伝達する第2駆動モータ;
をさらに含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置。
【請求項3】
前記第1駆動モータはボディの長手方向の一側に配置されて第1回転軸はボディの一側面を貫通して第1駆動モータに連結され、
前記第2駆動モータはボディの長手方向の他側に配置されて第2回転軸はボディの他側面を貫通して第2駆動モータに連結される、請求項2に記載の高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置。
【請求項4】
前記第2回転軸の回転速度は第1回転軸の回転速度より速い、請求項1から
3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置。
【請求項5】
前記ボディの長手方向の一側の上部に形成されて移送空間に連結されて含水ゲルが投入される入口;そして
前記ボディの長手方向の他側の下部に形成されて排出空間に連結されて含水ゲルが排出される出口;
をさらに含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置。
【請求項6】
前記ボディの長手方向の一側部には移送空間が形成され、前記ボディの長手方向の他側部には排出空間が形成され、前記カッタとホールプレートは移送空間と排出空間の境界を定義する、請求項
5に記載の高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2021年6月18日付韓国特許出願第10-2021-0079644号、2021年6月21日付韓国特許出願第10-2021-0080345号および2022年6月20日付韓国特許出願第10-2022-0074877号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置に関し、より詳細にはカット部への含水ゲルの移送速度とカット部から粉砕された含水ゲルの排出速度を独立して制御することによって含水ゲル粒子の凝集による損傷を最小化し、かつ粒子を小型化できる高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(super absorbent polymer;SAP)は、アクリル酸と苛性ソーダを反応させて製造する白色粉末形態の高分子物質であり、SAP自体の重量の五百倍ないし千倍程度の水分を吸収することができる。高吸水性樹脂は水を吸収するとゼリーのような形態に変形され、外部からある程度の圧力が加えられても水を排出せずに保存できる機能を有する合成高分子物質である。
【0004】
高吸水性樹脂分子は網状の網状構造を有しており、分子間の多くの穴によって水をよく吸収することができる。水と高吸水性樹脂の内部のイオン濃度差異によって水は高吸水性樹脂の内部に移動(浸透圧現象によって)する。水分子が高吸水性樹脂内部に流入すると内部に固定された陰イオンが反発力によって一定の空間を占めようとして、高分子鎖の空間が膨張して水をより多く吸収(静電気的反発力)できるようになる。
【0005】
このような高吸水性樹脂は生理用品として実用化され始めて現在は子供用紙おむつなど衛生用品の他に園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野における鮮度保持剤、および湿布用などの材料として広く使用されている。
【0006】
高吸水性樹脂は重合反応を経て得た含水ゲル(hydrogel)または含水ゲル状重合体(hydrogel polymer)を乾燥および粉砕した後、粉末状の製品にして市販される。前記のような乾燥工程を効率的に行うためには含水ゲル状重合体の表面積をできるだけ大きくすることが重要である。したがって、前記乾燥工程前に含水ゲル状重合体の表面積をできるだけ大きくするために、熱重合または光重合により重合された含水ゲル状重合体を粉砕して含水ゲル状重合体の表面積を増やす方法を考慮することができる。上記のように含水ゲル状重合体の表面積を増やすために、含水ゲル状重合体の重合後にこれを一次的に粉砕する工程が開示されている。
【0007】
このような含水ゲルの1次粉砕工程では主にチョッパー(chopper)が用いられている。
【0008】
このようなチョッパーは含水ゲルを移動させるスクリュと、含水ゲルを切断するカッタと、切断された含水ゲルが排出されるホールプレートを含む。従来のチョッパーによれば、スクリュとカッタが一つのモータに連結されて同じ速度で回転する。
【0009】
含水ゲル粒子をより小さくするか含水ゲル粒子の球形度を増加させるためにはカッタと含水ゲルの衝突回数を増加させるべきであり、このためにカッタの回転速度を増加させなければならなかった。しかし、カッタの回転速度を増加させてカッタと含水ゲルの衝突回数を増加させてもチョッパー内のカット部で排出される含水ゲルの速度は回転速度の増加ほど増加しない。すなわち、カット部に投入される含水ゲルの移送速度はスクリュの回転速度の増加に比例して増加するが、カット部から排出される含水ゲルの排出速度は前記回転速度の増加に比例して増加できず、含水ゲルはチョッパー内のカット部に堆積することになる。含水ゲルがカット部に継続して堆積するとカット部に強い圧力がかかる。そのため、含水ゲル粒子に加えられる損傷が増加して粒子の水可溶成分の含有量(E/C)が増加して、粒子の凝集によってボルテックス(Vortex)も遅くなる。
【0010】
この背景技術欄に記載された内容は発明の背景に対する理解を深めるために作成されたものであり、この技術が属する分野で通常の知識を有する者にすでに知られている従来技術でない内容を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施例は、カット部への含水ゲルの移送速度とカット部から粉砕された含水ゲルの排出速度を独立して制御することによって含水ゲル粒子の凝集による損傷を最小化し、かつ粒子を小型化できる高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施例による高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置は、内部に含水ゲルが移送される移送空間と、粉砕された含水ゲルを排出する排出空間が形成されたボディ;前記移送空間に回転可能に配置され、その外周面に少なくとも一つのスクリュが形成されて含水ゲルをボディの長手方向に沿って移送する第1回転軸;前記ボディの内部に固定して取り付けられ、複数の貫通孔が形成されたホールプレート;前記ホールプレートから設定されたギャップだけ離隔し、前記ボディの内部に回転可能に配置されてスクリュによって移送された含水ゲルを粉砕するようになっているカッタ;そして前記排出空間に回転可能に配置され、前記カッタに連結されてカッタを回転させる第2回転軸を含み、前記第1回転軸の回転速度と前記第2回転軸の回転速度は独立して制御され得る。
【0013】
前記微粒化装置は前記第1回転軸に駆動力を伝達する第1駆動モータ;そして前記第2回転軸に駆動力を伝達する第2駆動モータをさらに含み得る。
【0014】
前記第1駆動モータはボディの長手方向の一側に配置されて第1回転軸はボディの一側面を貫通して第1駆動モータに連結され、前記第2駆動モータはボディの長手方向の他側に配置されて第2回転軸はボディの他側面を貫通して第2駆動モータに連結され得る。
【0015】
前記カッタは前記ホールプレートの長手方向の一側に配置されて前記第2回転軸の一端はホールプレートを貫通してカッタに連結され得る。
【0016】
前記第2回転軸の回転速度は第1回転軸の回転速度より速くてもよい。
【0017】
前記微粒化装置は前記ボディの長手方向の一側の上部に形成されて移送空間に連結されて含水ゲルが投入される入口;そして前記ボディの長手方向の他側の下部に形成されて排出空間に連結されて含水ゲルが排出される出口をさらに含み得る。
【0018】
前記ボディの長手方向の一側部には移送空間が形成され、前記ボディの長手方向の他側部には排出空間が形成され、前記カッタとホールプレートは移送空間と排出空間の境界を定義し得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施例によれば、カッタの回転速度とスクリュの回転速度を異なるようにして含水ゲル粒子の凝集による損傷を最小化し、かつ含水ゲル粒子を小型化することができる。
【0020】
すなわち、カッタの回転速度を速く制御してスクリュの回転速度を遅く制御することによってカット部内に含水ゲルが堆積することを防止してカット部にかかる圧力を低くすることができ、そのため、含水ゲル粒子の凝集を抑制することができ、含水ゲルとカッタの衝突回数のみ増加させることができる。
【0021】
また、含水ゲル粒子を小型化できるので、後続する粉砕工程を省略することができ、ボルテックスが遅くなることを防止することができる。
【0022】
その他に本発明の実施例によって得られるか予測される効果については本発明の実施例に係る詳細な説明で直接的または暗示的に開示する。すなわち、本発明の実施例により予測される多様な効果については後述する詳細な説明内で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書の実施例は類似の参照符号が同一または機能的に類似の要素を指称する添付する図面と関連する以下の説明を参照してよりよく理解されることができる。
【0024】
【
図1】本発明の実施例による高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施例による高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置の断面図である。
【0025】
上記で参照された図面は必ずしも縮尺に合わせて図示されたものではなく、本発明の基本原理を例示する多様な好ましい特徴の多少簡略な表現を提示するものとして理解されなければならない。例えば、特定のサイズ、方向、位置、および形状を含む本発明の特定の設計の特徴が特定の意図された応用と使用環境によって一部決定される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで使用される用語は単に特定の実施例を説明するための目的であり、本発明を制限することを意図しない。ここで使用される単数形は文脈上明らかに別に表示されない限り、複数形をまた含むことを意図する。「備える」、「含む」、「含有する」および/または「有する」という用語は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、段階、作動、構成要素および/またはコンポーネントの存在を特定するが、他の特徴、整数、段階、作動、構成要素、コンポーネントおよび/またはこれらのグループのうちの一つ以上の存在または追加を排除しないことを理解することができる。ここで使用される用語の「および/または」は、関連して羅列された項目の任意の一つまたはすべての組み合わせを含む。
【0027】
本発明の明細書に使用される用語の「重合体」、または「高分子」は水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された状態であることを意味し、すべての水分含量範囲または粒径範囲を包括することができる。前記重合体のうち、重合後乾燥前状態のものとして含水率(水分含量)が約40重量%以上の重合体を含水ゲル状重合体と指称することができる。
【0028】
また、「高吸水性樹脂」は文脈によって前記重合体またはベース樹脂自体を意味するか、または前記重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば表面架橋、微粉再造粒、乾燥、粉砕、分級などを経て製品化に適した状態にしたものをすべて包括するものとして使用される。
【0029】
また、用語の「微粉」は高吸水性樹脂粒子のうち150μm未満の粒径を有する粒子を意味する。このような樹脂粒子の粒径は欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Association,EDANA)規格のEDANA WSP 220.3方法に従って測定することができる。
【0030】
また、用語の「チョッピング(chopping)」は乾燥効率を上げるために含水ゲル重合体をミリメートル単位の小片に切断することであり、マイクロメートルまたは正常粒子水準まで粉砕することとは区別して使用される。
【0031】
また、用語の「微粒化(micronizing,micronization)」は、含水ゲル重合体を数十ないし数百マイクロメートルの粒径に粉砕することであり、「チョッピング」とは区別して使用される。
【0032】
本発明の実施例による高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置は、微粒化装置内のカット部に含水ゲルを移送する移送速度とカット部から粉砕された含水ゲルを排出する排出速度を独立して制御することによって含水ゲル粒子の凝集による損傷を最小化し、かつ粒子を小型化することができる。
【0033】
以下、本発明の実施例による高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置を添付する図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
本発明の実施例による高吸水性樹脂の製造装置は、重合反応器、微粒化装置、乾燥器、粉砕装置、そして表面架橋装置を含む。
【0035】
前記重合反応器は内部架橋剤、および重合開始剤の存在下で単量体組成物の重合反応を起こして含水ゲル状重合体を形成する。
【0036】
前記重合反応は含水ゲル状重合体を形成する反応として、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を形成する反応である(段階1)。
【0037】
架橋重合体を構成する前記水溶性エチレン系不飽和単量体は高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意の単量体であり得る。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は下記化学式1で表される化合物であり得る。
【0038】
[化学式1]
R1-COOM1
【0039】
前記化学式1において、R1は不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、M1は水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0040】
好ましくは、前記単量体はアクリル酸、メタクリル酸、およびこれら酸の1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選ばれた1種以上であり得る。このように水溶性エチレン系不飽和単量体としてアクリル酸またはその塩を使用する場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができるため有利である。この他にも前記単量体としては無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどを使用することができる。
【0041】
ここで、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は酸性基を有する。従来の高吸水性樹脂の製造では、前記酸性基のうち少なくとも一部が中和剤によって中和した単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成した。具体的には、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、重合開始剤および中和剤を混合する段階で前記水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基のうち少なくとも一部を中和した。
【0042】
しかし、本発明の一実施形態によれば、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基が中和していない状態で重合を先に行って重合体を形成する。
【0043】
酸性基が中和していない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体(例、アクリル酸)は常温で液体状態であり、溶媒(水)と混和性(miscibility)が高くて単量体組成物で混合溶液の状態で存在する。しかし、酸性基が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体は常温で固体状態であり、溶媒(水)の温度によって他の溶解度を有し、低温であるほど溶解度が低くなる。
【0044】
このように酸性基が中和していない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基が中和した単量体より溶媒(水)に対する溶解度または混和度が高くて低い温度でも析出されず、そのため、低温で長時間重合をすることに有利である。これにより、前記酸性基が中和していない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体を用いて長時間重合を行ってより高分子量を有して分子量分布が均一な重合体を安定的に形成することができる。
【0045】
また、より長い鎖の重合体形成が可能で、重合や架橋化が不完全で架橋化されていない状態で存在する水可溶成分の含有量が減る効果を達成することができる。
【0046】
また、このように単量体の酸性基が中和していない状態で重合を先に行って重合体を形成し、中和後に界面活性剤の存在下で微粒化するか、微粒化と同時に前記重合体に存在する酸性基を中和させると、界面活性剤が前記重合体の表面に多量に存在して重合体の粘着性を低くする役割を十分に果たすことができる。
【0047】
前記単量体組成物のうち前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適宜調節することができ、約20~約60重量%、または約40~約50重量%にすることができる。
【0048】
本明細書で使用する用語の「内部架橋剤」は後述する高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区別するために使用する用語であり、上述した水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合の間に架橋結合を導入して、架橋構造を含む重合体を形成する役割をする。
【0049】
前記段階での架橋は表面または内部を区別せずに行われるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終的に製造された高吸水性樹脂粒子の表面は表面架橋剤によって新しく架橋した構造を含むことができ、高吸水性樹脂粒子の内部は前記内部架橋剤によって架橋した構造がそのまま維持されることができる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記内部架橋剤として多官能アクリレート系化合物、多官能アリル系化合物、または多官能ビニル系化合物のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0051】
多官能アクリレート系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、およびグリセリントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
【0052】
多官能アリル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、テトラエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ブタンジオールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、およびグリセリントリアリルエーテルなどが挙げられ、単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
【0053】
多官能ビニル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールジビニルエーテル、ジペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、グリセリンジビニルエーテル、およびグリセリントリビニルエーテルなどが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルを使用することができる。
【0054】
前述した多官能アリル系化合物、または多官能ビニル系化合物は、分子内に含まれる2以上の不飽和基が水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合、あるいは他の内部架橋剤の不飽和結合とそれぞれ結合して、重合過程で架橋構造を形成することができ、分子内にエステル結合(-(C=O)O-)を含むアクリレート系化合物とは異なり、前述した重合反応以後の中和過程でも架橋結合をより安定的に維持することができる。
【0055】
そのため、製造される高吸水性樹脂のゲル強度が高くなり、重合以後の吐出過程での工程安定性が高くなることができ、水可溶分の量を最小化することができる。
【0056】
このような内部架橋剤の存在下での前記水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合は、重合開始剤、必要に応じて増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの存在下で行われることができる。
【0057】
前記単量体組成物で、このような内部架橋剤は前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~5重量部で使用することができる。例えば、前記内部架橋剤は水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、または0.05重量部以上、または0.1重量部以上であり、5重量部以下、または3重量部以下、または2重量部以下、または1重量部以下、または0.7重量部以下で使用することができる。前記内部架橋剤の含有量が過度に低い場合、架橋が十分に起こらず適正水準以上の強度の実現が難しく、前記内部架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなり所望する保水能の実現が難しい。
【0058】
このような内部架橋剤を用いて形成された重合体は前記水溶性エチレン系不飽和単量体が重合されて形成された主鎖が前記内部架橋剤によって架橋する形態の3次元網状構造を有する。このように、重合体が3次元網状構造を有する場合、内部架橋剤によって追加架橋していない2次元線状構造の場合に比べて高吸水性樹脂の諸般物性である保水能および加圧吸収能が顕著に向上することができる。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、前記単量体組成物に対して重合を行って重合体を形成する段階は、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われることができる。
【0060】
通常の高吸水性樹脂の製造方法で重合方法は重合エネルギ源によって大きく熱重合および光重合に分かれ、通常熱重合を行う場合はニーダー(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行うことができ、光重合を行う場合は移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行うか、底が平らな容器で行うことができる。
【0061】
一方、前記のような重合方法は概して短い重合反応時間(例えば、1時間以下)により重合体の分子量が大きくなくて広い分子量分布を有する重合体が形成される。
【0062】
なお、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器または底が平らな容器で光重合を行う場合、通常得られる含水ゲル重合体の形態はベルトの幅を有するシート状の含水ゲル状の重合体が得られ、重合体シートの厚さは注入される単量体組成物の濃度および注入速度または注入量に応じて変わるが、通常約0.5~約5cmの厚さで得られる。
【0063】
しかし、シート状の重合体の厚さが過度に薄い程度の単量体組成物を供給する場合、生産効率が低くて好ましくなく、生産性のためにシート状の重合体厚さを厚くする場合には重合反応が全厚さにわたって等しく起きず、高品質の重合体形成が難しくなる。
【0064】
また、前記コンベヤーベルトを備えた反応器攪拌軸を有する反応器での重合は重合結果物が移動しながら新しい単量体組成物が反応器に供給されて連続式で重合が行われるので、重合率が異なる重合体が混ざり、そのため単量体組成物全体で均一な重合が行われにくく全体的な物性低下が起こる。
【0065】
しかし、本発明の一実施形態によれば、バッチ式反応器で静置式により重合を行うことによって重合率が異なる重合体が混ざる恐れが少なく、そのため、均一な品質を有する重合体を得ることができる。
【0066】
また、前記重合段階は所定の体積を有するバッチ式反応器で行われ、コンベヤーベルトを備えた反応器で連続式で重合を行う場合より長時間、例えば6時間以上の時間の間重合反応を行う。前記のような長時間の重合反応時間にもかかわらず、未中和状態の水溶性エチレン系不飽和単量体に対して重合を行うので、長時間重合を行っても単量体がよく析出されず、そのため、長時間重合をすることに有利である。
【0067】
なお、本発明のバッチ式反応器での重合は熱重合方法を用いるため前記重合開始剤は熱重合開始剤を使用する。
【0068】
前記熱重合開始剤としては過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤群より選ばれる一つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane) dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロリド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitrile)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane] dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノバレリン酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などがある。より多様な熱重合開始剤についてはOdianの著書である「Principle of Polymerization(Wiley、1981)」,p203によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0069】
このような重合開始剤は前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して2重量部以下で使用することができる。すなわち、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなり、最終製品に残存するモノマーが多量に抽出され得るので好ましくない。逆に、前記重合開始剤の濃度が前記範囲より高い場合、ネットワークをなす高分子鎖が短くなって水可溶成分の含有量が高くなり加圧吸収能が低くなるなど樹脂の物性が低下し得るので好ましくない。
【0070】
一方、本発明の一実施形態では前記開始剤とレドックス(Redox)カップルをなす還元剤を共に投入して重合を開始することができる。
【0071】
具体的には、前記開始剤と還元剤は重合体溶液に投入されたとき、互いに反応してラジカルを形成する。
【0072】
形成されたラジカルは単量体と反応し、前記開始剤と還元剤の間の酸化-還元反応は反応性が非常に高いので、微量の開始剤および還元剤のみ投入されても重合が開始されて工程温度を高める必要がなく低温重合が可能であり、重合体溶液の物性変化を最小化させることができる。
【0073】
前記酸化-還元反応を用いた重合反応は常温(25℃)付近またはそれ以下の温度でも円滑に起こり得る。一例として前記重合反応は5℃以上25℃以下、または5℃以上20℃以下の温度で行われることができる。
【0074】
本発明の一実施形態で、前記開始剤として過硫酸塩系開始剤を使用する場合、還元剤はメタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAの混合物(FeSO4/EDTA);ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(Sodium formaldehyde sulfoxylate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium 2-hydroxy-2-sulfinoacteate)からなる群より選ばれた1種以上を使用することができる。
【0075】
一例として、開始剤として過硫酸カリウムを使用し、還元剤としてジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテートを使用するか;開始剤として過硫酸アンモニウムを使用し、還元剤としてテトラメチルエチレンジアミンを使用するか;開始剤として過硫酸ナトリウムを使用し、還元剤としてホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムを使用することができる。
【0076】
本発明の他の一実施形態で、前記開始剤として過酸化水素系開始剤を使用する場合、還元剤はアスコルビン酸(Ascorbic acid);スクロース(Sucrose);亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAの混合物(FeSO4/EDTA);ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(Sodium formaldehyde sulfoxylate);ジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium 2-hydroxy-2-sulfinoacteate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルホアセテート(Disodium 2-hydroxy-2-sulfoacteate)からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0077】
前記単量体組成物は必要に応じて増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0078】
そして、前記単量体を含む単量体組成物は、例えば、水などの溶媒に溶解した溶液状態であり得、このような溶液状態の単量体組成物中の固形分含有量、すなわち単量体、内部架橋剤および重合開始剤の濃度は重合時間および反応条件などを考慮して適宜調節することができる。例えば、前記単量体組成物内の固形分含有量は10~80重量%、または15~60重量%、または30~50重量%であり得る。
【0079】
この時、使用できる溶媒は上述した成分を溶解できればその構成の限定なく使用することができ、例えば水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどより選ばれた1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0080】
このような方法で得られた重合体は、未中和状態のエチレン系不飽和単量体を用いて重合することにより前述のように高分子量を有して分子量分布が均一な重合体を形成することができ、水可溶成分の含有量を低減することができる。
【0081】
このような方法で得られた重合体は含水ゲル重合体状態で、含水率が30~80重量%であり得る。例えば、前記重合体の含水率は30重量%以上、または45重量%以上、または50重量%以上であり、かつ、80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下であり得る。
【0082】
前記重合体の含水率が過度に低い場合、後の粉砕段階で適切な表面積を確保することが難しく効果的に粉砕されず、前記重合体の含水率が過度に高い場合、後の粉砕段階で受ける圧力が増加して所望の粒度まで粉砕しにくいこともある。
【0083】
一方、本明細書全体における「含水率」は、全体重合体重量に対して占める水分の含有量であり、重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱によってクラム状態の重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値で定義する。この時、乾燥条件は常温で約180℃まで温度を上昇させた後180℃で維持する方式で総乾燥時間は温度上昇段階の5分を含めて40分に設定して含水率を測定する。
【0084】
次に、前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2)が行われる。
【0085】
この時、中和剤としては酸性基を中和させ得る水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質を使用することができる。
【0086】
また、前記重合体に含まれた酸性基中の前記中和剤によって中和した程度を指す中和度は、50~90モル%、または60~85モル%、または65~85モル%、または65~75モル%であり得る。前記中和度の範囲は最終物性によって変わり得るが、中和度が過度に高いと高吸水性樹脂の吸収能が減少し得、粒子表面のカルボキシル基の濃度が過度に低くて後続工程での表面架橋がきちんと行われにくく加圧下吸収特性または通液性が減少し得る。逆に中和度が過度に低いと高分子の吸収力が大きく落ちるだけでなく取り扱いが困難な弾性ゴムのような性質を示し得る。
【0087】
前記段階2と同時に、または前記段階2の実行前後に界面活性剤の存在下で、前記重合体を微粒化して含水高吸水性樹脂粒子を製造する段階が行われる(段階3)。
【0088】
前記段階は界面活性剤の存在下で前記重合体を微粒化する段階であり、前記重合体をミリメートル大きさでチョッピングするのではない、細切と凝集が同時に行われる段階であって、重合体に適切な粘着性を付与することによって細切された1次粒子が凝集した形状の2次凝集粒子を製造する段階である。このような段階で製造された2次凝集粒子である含水高吸水性樹脂粒子は表面積が大きく増加して吸収速度が顕著に改善されることができる。
【0089】
このように前記重合体と界面活性剤を混合した後に、前記界面活性剤の存在下で前記重合体を微粒化して高吸水性樹脂粒子および界面活性剤が混合された状態で細切および凝集した2次凝集粒子形態である含水高吸水性樹脂粒子を製造することができる。
【0090】
ここで、「含水高吸水性樹脂粒子」は水分含量(含水率)が約30重量%以上の粒子であって、重合体が乾燥工程なしで粒子形態で細切および凝集したものであるから、前記重合体と同様に30~80重量%の含水率を有することができる。
【0091】
本発明の一実施形態によれば、前記界面活性剤は下記化学式2で表される化合物またはその塩を使用できるが、本発明はこれに限定されるものではない:
【0092】
【0093】
前記化学式2において、
A1、A2およびA3はそれぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0094】
【0095】
であり、ただし、これらのうちの一つ以上はカルボニルまたは
【0096】
【0097】
であり、ここで、m1、m2およびm3はそれぞれ独立して、1~8の整数であり、
【0098】
【0099】
はそれぞれ隣接した酸素原子と連結され、
【0100】
【0101】
は隣接したR1、R2およびR3とそれぞれ連結され、
R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖または分枝鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖または分枝鎖のアルケニルであり、
nは1~9の整数である。
【0102】
前記界面活性剤は重合体と混合されて微粒化段階が凝集現象なく容易に行われるように添加される。
【0103】
前記化学式2で表される界面活性剤は非イオン性の界面活性剤であって未中和された重合体とも水素結合力による表面吸着性能に優れ、そのため、目的とする凝集制御効果を実現することに適する。反面、非イオン性界面活性剤でないアニオン性界面活性剤の場合、NaOH、Na2SO4などの中和剤で中和した重合体と混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基にイオン化されているNa+イオンを媒介として吸着し、未中和重合体に混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基の陰イオンとの競争により重合体に対する吸着効率が相対的に低下する問題がある。
【0104】
具体的には、前記化学式2で表される界面活性剤における疎水性官能基は、末端官能基であるR1、R2、R3部分(水素ではない場合)であり、親水性官能基は鎖内のグリセロール由来の部分と、末端の水酸基(Anが単結合であり、同時にRnが水素の場合、n=1~3)をさらに含むが、前記グリセロール由来の部分と、末端の水酸基は親水性官能基として重合体表面に対する吸着性能を向上させる役割をする。そのため、高吸水性樹脂粒子の凝集を効果的に抑制することができる。
【0105】
前記化学式2において、疎水性官能基であるR1、R2、R3部分(水素ではない場合)はそれぞれ独立して、炭素数6~18の直鎖または分枝鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖または分枝鎖のアルケニルである。この時、R1、R2、R3部分(水素ではない場合)が炭素数6未満のアルキルまたはアルケニルである場合は鎖長が短くて粉砕された粒子の凝集制御が効果的に行われないという問題があり、R1、R2、R3部分(水素ではない場合)が炭素数18超過のアルキルまたはアルケニルである場合は前記界面活性剤の移動性(mobility)が減少して重合体と効果的に混合されず、界面活性剤のコスト上昇によって組成物単価が高くなる問題があり得る。
【0106】
好ましくは、R1、R2、R3は水素であるか、または炭素数6~18の直鎖または分枝鎖のアルキルである場合、2-メチルヘキシル、n-ヘプチル、2-メチルヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-ウンデカニル、n-ドデカニル、n-トリデカニル、n-テトラデカニル、n-ペンタデカニル、n-ヘキサデカニル、n-ヘプタデカニル、またはn-オクタデカニルであり得、または炭素数6~18の直鎖または分枝鎖のアルケニルである場合、2-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテニル、2-ノネニル、n-デセニル、2-ウンデセニル、2-ドデセニル、2-トリデセニル、2-テトラデセニル、2-ペンタデセニル、2-ヘキサデセニル、2-ヘプタデセニル、または2-オクタデセニルであり得る。
【0107】
前記界面活性剤は下記化学式2-1~化学式2-14で表される化合物から選ばれることができる:
【0108】
【0109】
一方、前記界面活性剤は前記重合体100重量部に対して0.01~10重量部で使用することができる。前記界面活性剤が過度に少なく使用される場合、前記重合体表面にまんべんなく吸着せず粉砕後に粒子の再凝集現象が発生し得、前記界面活性剤が過度に多く使用される場合、最終的に製造された高吸水性樹脂の諸般物性が低下し得る。例えば、前記界面活性剤は前記重合体100重量部に対して0.01重量部以上、0.015重量部以上、または0.1重量部以上であり、かつ、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、または1重量部以下で使用することができる。
【0110】
このような界面活性剤を重合体に混合する方法は、前記重合体にこれらを均一に混合できる方法であれば特に限定されず、適宜採択して使用することができる。具体的には、前記界面活性剤を乾式で混合するか、溶媒に溶解させた後に溶液状態で混合するか、または前記界面活性剤を溶融させた後に混合することができる。
【0111】
この中で、例えば、前記界面活性剤は溶媒に溶解した溶液状態で混合されることができる。この時、溶媒としては無機溶媒または有機溶媒に制限なくすべての種類を用いることができるが、乾燥過程の容易性と溶媒回収システムのコストを考えると水が最も適切である。また、前記溶液は前記界面活性剤と重合体を反応槽に入れて混合するか、ミキサーに重合体を入れて溶液を噴射する方法、連続的に運転するミキサーに重合体と溶液を連続的に供給して混合する方法などを用いることができる。
【0112】
一方、本発明の一実施形態によれば、前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2)と、界面活性剤の存在下で、前記重合体を微粒化する段階(段階3)は順次に、または交互に、または同時に行われることができる。
【0113】
すなわち、重合体に中和剤を投入して酸性基を先に中和させた後、中和した重合体に界面活性剤を投入して界面活性剤が混合された重合体を微粒化するか(段階2→段階3の順に実行)、重合体に中和剤と界面活性剤を同時に投入して重合体に対して中和および微粒化を行うこともできる(段階2および段階3を同時に実行)。または、界面活性剤を先に投入して中和剤を後に投入することもできる(段階3→段階2の順に実行)。または、中和剤と界面活性剤を入れ替えて交互に投入することもできる。または、界面活性剤を先に投入して微粒化した後、中和剤を投入して中和し、中和した含水ゲル重合体に追加的に界面活性剤をさらに投入して微粒化工程を追加で行うこともできる。
【0114】
一方、重合体全体に対する均一な中和のために中和剤の投入と微粒化工程の間には一定の時間差を置くことが好ましい。
【0115】
前記界面活性剤のうち少なくとも一部ないし相当量は前記含水高吸水性樹脂粒子の表面に存在し得る。
【0116】
ここで、前記界面活性剤が含水高吸水性樹脂粒子の表面に存在することの意味は、前記界面活性剤のうち少なくとも一部または相当量が前記含水高吸水性樹脂粒子の表面に吸着または結合されていることを意味する。具体的には、前記界面活性剤は前記高吸水性樹脂の表面に物理的にまたは化学的に吸着していることができる。より具体的には、前記界面活性剤の親水性官能基は前記高吸水性樹脂表面の親水性の部分に双極子-双極子相互作用(Dipole-dipole interaction)などの分子間の力によって物理的に吸着している。このように、前記界面活性剤の親水性の部分は前記高吸水性樹脂粒子の表面に物理的に吸着して表面を囲み、界面活性剤の疎水性の部分は樹脂粒子の表面に吸着しないので、樹脂粒子は一種のミセル(micelle)構造の形態として界面活性剤がコートされている。これは前記界面活性剤が前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合工程中に投入されるのではなく、重合体形成後の微粒化段階で投入されるからであり、前記界面活性剤が重合工程中に投入されて重合体内部に前記界面活性剤が存在する場合に比べて界面活性剤としての役割を忠実に行うことができ、粉砕と凝集が同時に起こり微細粒子が凝集した形態で表面積が大きい粒子が得られることができる。
【0117】
本発明の一実施形態によれば、前記重合体を微粒化して含水高吸水性樹脂粒子を製造する段階は2回以上行われることができる。
【0118】
本発明の一実施形態によれば、前記微粒化段階は下記で説明する微粒化装置によって行われる。
【0119】
前記界面活性剤と混合された重合体を微粒化装置を用いて粉砕を行う場合、より小さい粒度分布が具現され、後の乾燥および粉砕工程をよりマイルドな条件で行うことができ、そのため微粉発生を防止し、かつ高吸水性樹脂の物性を向上させることができる。
【0120】
以下、
図1および
図2を参照して、本発明の実施例による高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置20をより詳細に説明する。
【0121】
図1は本発明の実施例による高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置の斜視図であり、
図2は本発明の実施例による高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置の断面図である。
【0122】
図1および
図2に示すように、本発明の実施例による高吸水性樹脂の含水ゲル微粒化装置20はボディ120と、第1,2駆動モータ100,130と、カット部160を含む。
【0123】
ボディ120はその内部に含水ゲルが移送される移送空間126と、粉砕された含水ゲルが排出される排出空間128が形成される。前記移送空間126はボディ120の長手方向の一側部に形成され、排出空間128はボディ120の長手方向の他側部に形成され、前記移送空間126と排出空間128の間のボディ120の内部にはカット部160が配置される。すなわち、前記カット部160は移送空間126と排出空間128の境界を定義することができる。
【0124】
前記ボディ120の一側の上部には移送空間126と連結された入口122が形成されて重合反応器から排出された含水ゲルは前記入口122を介してボディ120の内部、すなわち移送空間126に投入される。前記ボディ120の他側の下部には排出空間128と連結された出口124が形成されてカット部160によって粉砕された含水ゲルは前記出口124を介してボディ120の外部に排出される。
【0125】
前記ボディ120の移送空間126には第1回転軸110が回転可能に配置され、前記ボディ120の排出空間128には第2回転軸132が回転可能に配置される。第1回転軸110と第2回転軸132は同軸上に配置されることができる。
【0126】
前記ボディ120の一側には第1駆動モータ100が配置され、前記第1駆動モータ100は第1回転軸110に連結される。すなわち、移送空間126に配置された第1回転軸110の一端は前記ボディ120の一側面を貫通して前記第1駆動モータ100に連結される。第1回転軸110の外周面には少なくとも一つのスクリュ112が形成されている。第1駆動モータ100が第1回転軸110に駆動力を提供して第1回転軸110が回転すると、スクリュ112が第1回転軸110と共に回転して移送空間126内の含水ゲルをカット部160に向かって長手方向の他側に移送する。
【0127】
前記ボディ120の他側には第2駆動モータ130が配置され、第2駆動モータ130は第2回転軸132に連結される。すなわち、排出空間128に配置された第2回転軸132の他端は前記ボディ120の他側面を貫通して前記第2駆動モータ130に連結される。
【0128】
前記第2回転軸132の一端は前記第1回転軸110の他端と長手方向に離隔して第1回転軸110の回転と第2回転軸132の回転は互いに独立的である。すなわち、第1駆動モータ100による第1回転軸110の回転速度は第2駆動モータ130による第2回転軸132の回転速度とは異なるように制御されることができる。
【0129】
カット部160はスクリュ112によって移送された含水ゲルを粉砕して排出空間128に排出する。カット部160はホールプレート140とカッタ150を含む。
【0130】
ホールプレート140は前記ボディ120に固定されており、複数の貫通孔142が長手方向に形成される。
【0131】
カッタ150は前記ホールプレート140の一側に設定されたギャップだけ離隔して配置される。前記カッタ150は複数のカッタ刃が備えられて前記第2駆動モータ130によって回転してスクリュ112によって移送された含水ゲルを細かく破砕する。このため、前記第2回転軸132の一端は前記ホールプレート140を貫通して前記カッタ150に結合する。
【0132】
カッタ150によって破砕された含水ゲルはホールプレート140の複数の貫通孔142を通過して排出空間128に排出され、その後出口124を介してボディ120の外部に排出される。
【0133】
以下、本発明の実施例による微粒化装置20の作動を説明する。
【0134】
重合反応器で排出された含水ゲルが入口122を介してボディ120の移送空間126に投入されると、第1駆動モータ100が作動する。そのため、第1回転軸110とスクリュ112が回転して含水ゲルをカット部160に向かって移送する。ここで、第1駆動モータ100の回転速度は含水ゲルの移送速度と指称する。
【0135】
また、含水ゲルがカット部160に向かって移送されるとき、第2駆動モータ130が作動する。そのため、第2回転軸132とカッタ150が回転する。ここで、第2駆動モータ130の回転速度は含水ゲルの排出速度と指称する。
【0136】
スクリュ112によって移送された含水ゲルがカット部160に到達すると、第2駆動モータ130によって回転するカッタ150に衝突して小さいサイズの粒子に粉砕される。カッタ150によって粉砕された粒子のサイズが貫通孔142の直径より小さくなると、前記粉砕された粒子は貫通孔142を通過して排出空間128に排出され、その後出口124を介してボディ120の外部に排出される。
【0137】
一方、スクリュ112の回転、すなわち、含水ゲルの移送速度は第1駆動モータ100によって制御され、カッタ150の回転、すなわち、含水ゲルの排出速度は第2駆動モータ130によって制御されるので、含水ゲルの移送速度と含水ゲルの排出速度は独立して制御されることができる。好ましくは、含水ゲルの移送速度、すなわち、第1駆動モータ100の回転速度は相対的に遅くて含水ゲルの排出速度、すなわち第2駆動モータ130の回転速度は相対的に速い。言い換えれば、第1駆動モータ100の回転速度は第2駆動モータ130の回転速度よりゆっくり制御されることができる。
【0138】
例えば、合計数ゲルの粒子をより小さくするか含水ゲルの粒子の球形度を増加させるために第2駆動モータ130の速度を増加させることによってカッタ150と含水ゲルの衝突回数を増加させる。この場合、第1駆動モータ100の速度を増加させないので含水ゲルの移送速度も増加しない。結局、カット部160への含水ゲルの移送速度に比べてカット部160で破砕された含水ゲルの排出速度を速くすることによってカット部160に含水ゲルが堆積しない。そのため、含水ゲル粒子の凝集による損傷を最小化し、かつ含水ゲル粒子を小型化することができる。
【0139】
また、含水ゲル粒子を小型化できるので、後続する粉砕工程を省略することができ、ボルテックスが遅くなることを防止することができる。
【0140】
本発明の実施例では二つの駆動モータを用いることを例示したが、必ずしもこれに限定されない。例えば、一つの駆動モータが第1ギア比を有する第1方向転換手段により第1回転軸110に連結され、第2ギア比を有する第2方向転換手段により第2回転軸132に連結されることができる。この場合にも、第1回転軸110の回転速度は相対的に遅く第2回転軸132の回転速度は相対的に速いように第1,2ギア比が設定されることができる。
【0141】
その後、微粒化された含水ゲルを乾燥して乾燥高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階4)を行う。
【0142】
前記段階は重合体の少なくとも一部の酸性基が中和し、界面活性剤の存在下で前記重合体を微粒化して得られた重合体である含水高吸水性樹脂粒子の水分を乾燥させる段階である。
【0143】
通常の高吸水性樹脂の製造方法で、前記乾燥段階は高吸水性樹脂の含水率が10重量%未満になるまで行うことが一般的であるが、本発明の一実施形態によれば、高吸水性樹脂の含水率が10重量%以上、例えば約10~約20重量%、または約10~約15重量%になるように乾燥する。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0144】
このために前記乾燥段階で使用される乾燥器内の温度は約150℃以下、例えば約80℃~約150℃であり、比較的低温で行われることができる。乾燥器内の温度が過度に低い場合、乾燥時間が過度に長くなり、前記乾燥温度が過度に高い場合、前記所望の含水率より低い含水率を有する高吸水性樹脂が得られる。
【0145】
この時、乾燥は流動式(moving type)で行われることができる。このような流動式(moving type)乾燥は、乾燥される間の物質の流動の有/無であり静置式乾燥とは区分される。
【0146】
前記流動式(moving type)乾燥は乾燥体を機械的に攪拌しながら乾燥させる方式をいう。この時、熱風が物質を通過する方向は物質の循環方向と同じであってもよく、異なってもよい。または、物質は乾燥器内部で循環し、乾燥器外部の別途のパイプ管に熱媒介流体(熱媒流)を通過させて物質を乾燥させることもできる。
【0147】
反面、静置式乾燥は空気が通る多孔鉄板のような底に乾燥させようとする物質を停止させた状態で、下から上へ熱風が物質を通過して乾燥させる方式をいう。
【0148】
したがって、前記段階で乾燥させようとする短い時間内に均一な乾燥を完了できるという側面から流動式乾燥方式で含水高吸水性樹脂を乾燥することが好ましい。
【0149】
このような流動式乾燥方式によって乾燥が可能な装置としては、横型ミキサー(Horizontal-type Mixer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤ(Paddle Dryer)、スチームチューブドライヤー(Steam tube dryer)、または一般的に用いられる流動式乾燥器などを用いることができる。
【0150】
次に、前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階5)を行う。
【0151】
具体的には、前記粉砕段階は乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して正常粒子水準の粒度、すなわち、150μm~850μmの粒径を有するように行われることができる。
【0152】
このために用いられる粉砕機は具体的に竪型粉砕機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、ロータリーカッターミル(Rotary cutter mill)、カッターミル(Cutter mill)、ディスクミル(Disc mill)、シュレッドクラッシャー(Shred crusher)、クラッシャー(Crusher)、チョッパー(chopper)またはディスクカッター(Disc cutter)などであり得、上述した例に限定されない。
【0153】
または、粉砕機としてピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリュミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを用いることもできるが、上述した例に限定されるものではない。
【0154】
一方、本発明の製造方法では微粒化段階で従来のチョッピング段階でより小さい粒度分布の高吸水性樹脂粒子を実現することができ、流動式(moving type)乾燥を行う場合は乾燥後の含水率が10重量%以上で比較的高く維持されるので、より少ない粉砕力でマイルドな条件で粉砕を行っても150μm~850μmの正常粒度の含有量が非常に高い高吸水性樹脂を形成することができ、微粉生成比率が大きく減ることができる。
【0155】
上記のように製造された高吸水性樹脂粒子は、総重量に対して150μm~850μmの粒径を有する高吸水性樹脂粒子、すなわち正常粒子を80重量%以上、85重量%以上、89重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、または95重量%以上含むことができる。このような樹脂粒子の粒径は欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Association,EDANA)規格のEDANA WSP 220.3方法に従って測定することができる。
【0156】
また、前記高吸水性樹脂粒子は、総重量に対して150μm未満の粒径を有する微粉を約20重量%以下、または約18重量%以下、または約15重量%以下、または約13重量%以下、または約12重量%以下、または約11重量%以下、または約10重量%以下、または約9重量%以下、または約8重量%以下、または約5重量%以下で含むことができる。これは従来の製造方法により高吸水性樹脂を製造する場合、約20重量%超過~約30重量%の微粉を有することとは対照的である。
【0157】
前記高吸水性樹脂粒子を粉砕する段階の後に、前記粉砕された高吸水性樹脂粒子を粒径によって分級する段階をさらに含むことができる。
【0158】
また、前記高吸水性樹脂粒子を粉砕および/または分級した後に表面架橋剤の存在下で、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうち少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階をさらに含むことができる。前記段階によって、前記高吸水性樹脂粒子に含まれている架橋重合体が表面架橋剤を媒介に追加架橋し、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうち少なくとも一部に表面架橋層が形成されることができる。
【0159】
実施例1
攪拌機、温度計を取り付けた2Lガラス容器にアクリル酸100g、内部架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル(P-30)0.30gを投入して水226gを攪拌しながら混合した。この時、反応温度は5℃に維持し、前記結果の混合物に対して窒素1000cc/minを1時間の間流入した。その後0.3%過酸化水素水溶液1.3g、1%アスコルビン酸水溶液1.5g、2%の2,2’-アゾビスアミジノプロパンジヒドロクロリド水溶液3.0gおよび0.01%の硫酸鉄水溶液1.5gを添加して混合した。結果の混合物で重合反応が始まって重合体の温度が85℃に到達した後、90±2℃のオーブンで約6時間の間重合することによって含水ゲル重合体を製造した。
【0160】
前記で製造した含水ゲル重合体に界面活性剤として下記構造のグリセロールモノラウレート(Glycerol Mono Laurate)(GML)を前記含水ゲル重合体100重量部に対して0.3重量部になるように高温の水に水溶液形態で混合した後、含水ゲル微粒化装置20を用いて微粒化した。含水ゲル微粒化装置20は第1,2駆動モータ100,130と、カット部160を含み、第1駆動モータ100はスクリュ112を回転させて得られた含水ゲル重合体をカット部160に移送し、第2駆動モータ130はカット部160のカッタ150を回転させて移送された含水ゲル重合体を微粒化した。ここで、第1駆動モータ100の回転速度は30rpmであり、第2駆動モータ130の回転速度は2500rpmであった。
【0161】
【0162】
その後、前記微粒化した含水高吸水性樹脂粒子に50%NaOH水溶液を投入して重合体の酸性基の一部を中和し、回転ミキサー(Rotary Mixer)に投入した後、150℃で、100rpmの速度で60分間攪拌しながら乾燥させて高吸水性樹脂粒子(ベース樹脂)を得た。
【0163】
実施例2および実施例3
実施例1と同様の方法で含水ゲル重合体を得て、得られた含水ゲル重合体を含水ゲル微粒化装置20で微粒化した後乾燥して高吸水性樹脂に製造した。
【0164】
ただし、実施例2では第1駆動モータ100の回転速度は70rpmであり、第2駆動モータ130の回転速度は3000rpmであり、実施例3では第1駆動モータ100の回転速度は70rpmであり、第2駆動モータ130の回転速度は3300rpmであった。
【0165】
比較例1
実施例1と同様の方法で含水ゲル重合体を得て、得られた含水ゲル重合体を従来のチョッパーで微粒化した後、乾燥して高吸水性樹脂に製造した。ここで、チョッパーは複数の貫通孔が形成されたホールプレートと、前記ホールプレート近くに配置されるカッタを含み、スクリュとカッタが一つのモータに連結されて同じ速度(例えば150rpm)で回転する。
【0166】
<実験例>
前記実施例および比較例で製造した高吸水性樹脂について、次のような方法で物性を評価した。
【0167】
特記しない限り、下記物性評価はすべて恒温恒湿(23±1℃,相対湿度50±10%)で行い、生理食塩水または塩水は0.9重量%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味する。
【0168】
また、特記しない限り、物性評価はASTM規格のふるいで分級した300μm~400μmの粒径を有する樹脂に対して行った。
【0169】
(1)吸収速度(Vortex time)
吸収速度(vortex time)は国際公開第1987/003208号に記載された方法に準じて秒単位で測定した。
【0170】
具体的には、23℃~24℃の50mLの生理食塩水に2gの高吸水性樹脂(粒径300~400μm)を入れて、マグネチックバー(直径8mm、長さ30mm)を600rpmで攪拌して渦流(vortex)が消えるまでの時間を秒単位で測定して算出した。
【0171】
(2)水可溶成分(Extractable Contents,wt%)
2gの高吸水性樹脂に対してEDANA法WSP 270.3の方法により1時間膨潤した後に水可溶成分を測定した。
【0172】
上記のような方法で測定したボルテックスと水可溶成分測定結果を下記表1に記載した。
【0173】
【0174】
表1に示すように、スクリュに連結された第1駆動モータ100とカッタ150に連結された第2駆動モータ130を異なる速度で回転させるが、第2駆動モータ130の回転速度が第1駆動モータ100の回転速度より速い実施例1~実施例3では、ボルテックスが27秒以下で相対的に小さく、水可溶成分が3.4wt%で相対的に小さく維持される。
【0175】
これに対して、スクリュとカッタが同じ速度で回転する従来のチョッパーを用いた比較例1ではボルテックスが35秒以上で相対的に大きくて水可溶成分が5.2wt%で相対的に大きい。
【0176】
以上、本発明について好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されず、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により容易に変更されて均等であると認められる範囲のすべての変更を含む。