(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】トランス結合容量性同調切り替えを用いたトランス結合プラズマパルス化のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240813BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240813BHJP
H05H 1/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 L
H01L21/302 101C
H05H1/00 A
(21)【出願番号】P 2019567599
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(86)【国際出願番号】 US2018035026
(87)【国際公開番号】W WO2018226468
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-05-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-24
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロング・マオリン
(72)【発明者】
【氏名】パターソン・アレックス
【合議体】
【審判長】秋田 将行
【審判官】松川 直樹
【審判官】山村 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-9733号公報(JP,A)
【文献】特開2010-238881号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0009545号明細書(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0135058号明細書(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0000887号明細書(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0000888号明細書(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0179948号明細書(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0126069号明細書(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J37/00-37/36
H05H1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムであって、
基板を支持するための基板支持体を備えた処理チャンバと、
前記処理チャンバの周りに配置されたコイルと、
第1振幅および第1
パルス化周波数の第1RF電力を供給するための第1RF源と、
デューティサイクルを前記第1RF源に適用するための第1パルス化回路と、
前記第1パルス化回路の出力を受信するための同調回路であって、第1可変キャパシタを備え、前記処理チャンバ内でプラズマを生成するために前記コイルと通信する出力を有する、同調回路と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
フィードバックを生成するためのデータ取得モジュールと、
前記フィードバック
を受け取り、ゲイン値に基づいて前記第1
パルス化周波数および前記第1可変キャパシタの少なくとも一方を
調整するためのフィードバック制御モジュールと、
を備え、
前記コントローラは、前記第1
パルス化周波数および前記第1可変キャパシタの少なくとも一方の
調整に先だって、
前記第1パルス化周波数および前記デューティサイクルの少なくとも一方に基づいて前記ゲイン値を選択する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理システムであって、さらに、
前記プラズマの電流および電圧を検知するためのVIプローブと、
前記プラズマの位相および振幅を検出するための位相/振幅検出器と、
を備え、
前記データ取得モジュールは、前記VIプローブおよび前記位相/振幅検出器の出力に基づいて、前記フィードバックを生成する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記デューティサイクルおよび前記第1
パルス化周波数の少なくとも一方でインデックス付けされたゲインルックアップテーブルを備え、前記ゲインルックアップテーブルから前記ゲイン値を選択する、システム。
【請求項4】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記第1
パルス化周波数および前記デューティサイクルの少なくとも一方でインデックス付けされたマスク期間ルックアップテーブルを備え、前記データ取得モジュールへ出力するために前記マスク期間ルックアップテーブルからマスク期間を選択する、システム。
【請求項5】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記第1
パルス化周波数および前記デューティサイクルの少なくとも一方でインデックス付けされたデータ取得ルックアップテーブルを備え、前記データ取得モジュールへ出力するために前記データ取得ルックアップテーブルからデータ取得期間を選択する、システム。
【請求項6】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記第1
パルス化周波数および前記デューティサイクルに基づいて、前記フィードバックに対して前記データ取得モジュールによって実行される平均化のためのサンプル数を調整する、システム。
【請求項7】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記第1可変キャパシタの可変静電容量と前記第1
パルス化周波数との粗同調を決定するためのフィードフォワードコントローラを備える、システム。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理システムであって、前記フィードフォワードコントローラは、チャンバ圧、ガス混合物、ガス流量、パルス化周波数、RF電力、および、RFバイアス電力、の内の少なくとも3つでインデックス付けされた学習済みルックアップテーブルを備える、システム。
【請求項9】
請求項7に記載の基板処理システムであって、前記フィードフォワードコントローラは、チャンバ圧、ガス混合物、ガス流量、パルス化周波数、RF電力、および、RFバイアス電力、の内の少なくとも3つを含む入力を有するニューラルネットワークを備える、システム。
【請求項10】
請求項1に記載の基板処理システムであって、
前記第1RF源は、第2振幅および第2
パルス化周波数の第2RF電力を供給し、
前記第1パルス化回路は、前記第1
パルス化周波数および前記第1振幅で前記デューティサイクルの第1部分を出力し、前記第2
パルス化周波数および前記第2振幅で前記デューティサイクルの第2部分を出力する、システム。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理システムであって、前記フィードバック制御モジュールは、さらに、前記第2
パルス化周波数を
調整する、システム。
【請求項12】
請求項10に記載の基板処理システムであって、さらに、
第3振幅および第3周波数の第3RF電力と、第4振幅および第4周波数の第4RF電力とを出力するための第2RF源と、
前記デューティサイクルを前記第2RF源に適用するための第2パルス化回路であって、前記基板支持体と通信する出力を有する、第2パルス化回路と、
を備える、システム。
【請求項13】
請求項12に記載の基板処理システムであって、前記フィードバック制御モジュールは、さらに、前記第3周波数および前記第4周波数を制御する、システム。
【請求項14】
請求項12に記載の基板処理システムであって、前記第2パルス化回路は、前記第3周波数および前記第3振幅で前記デューティサイクルの第1部分を出力し、前記第4周波数および前記第4振幅で前記デューティサイクルの第2部分を出力する、システム。
【請求項15】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コイルは、第1および第2コイルを含み、
前記同調回路は、
前記第1可変キャパシタおよび第2可変キャパシタを備えた整合回路と、
前記第1および第2コイルの間で電力を分割するための電力分割器であって、第3可変キャパシタおよび第4可変キャパシタを備える、電力分割器と、
を備える、システム。
【請求項16】
請求項15に記載の基板処理システムであって、前記フィードバック制御モジュールは、前記フィードバックおよび前記ゲイン値の少なくとも一方に基づいて、前記第1
パルス化周波数と、前記第1可変キャパシタ、前記第2可変キャパシタ、前記第3可変キャパシタ、および、前記第4可変キャパシタの静電容量値とを
調整する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2017年6月8日出願の米国特許出願第15/617,366号の優先権を主張する。上記出願の開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、基板処理システムに関し、特に、トランス結合容量性同調(TCCT)切り替えを用いたトランス結合プラズマ(TCP)パルス化のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示するためのものである。ここに名を挙げられている発明者の業績は、この背景技術に記載された範囲において、出願時に従来技術として通常見なされえない記載の態様と共に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【0004】
半導体ウエハなどの基板上の薄膜をエッチングするために、通例は、基板処理システムが用いられる。エッチングは、通常、ウェット化学エッチングまたはドライエッチングのいずれかを含む。ドライエッチングは、誘導結合プラズマ(ICP)によって生成されたプラズマを用いて実行されうる。誘導結合プラズマは、処理チャンバの外側に誘電体窓と隣接して配置されたコイルによって生成されうる。プラズマを生成するために、処理チャンバの内部に流れる処理ガスに点火される。
【発明の概要】
【0005】
基板処理システムが、基板を支持するための基板支持体を備えた処理チャンバを備える。コイルが、処理チャンバの周りに配置されている。第1RF源が、第1振幅および第1周波数の第1RF電力を供給する。第1パルス化回路が、デューティサイクルを第1RF源に適用する。同調回路が、第1パルス化回路の出力を受信し、第1可変キャパシタを備え、処理チャンバ内でプラズマを生成するためにコイルと通信する出力を有する。コントローラが、フィードバックを生成するためのデータ取得モジュールを備える。フィードバック制御モジュールが、フィードバックおよびゲイン値に基づいて、第1周波数および第1可変キャパシタの少なくとも一方を制御する。コントローラは、第1周波数およびデューティサイクルの少なくとも一方に基づいて、ゲイン値を選択する。
【0006】
別の特徴において、VIプローブが、プラズマの電流および電圧を検知する。位相/振幅検出器が、プラズマの位相および振幅を検出する。データ取得モジュールは、VIプローブおよび位相/振幅検出器の出力に基づいて、フィードバックを生成する。
【0007】
別の特徴において、コントローラは、デューティサイクルおよび第1周波数の少なくとも一方でインデックス付けされてゲイン値を出力するゲインルックアップテーブルを備える。コントローラは、第1周波数およびデューティサイクルの少なくとも一方でインデックス付けされてデータ取得モジュールへマスキング期間を出力するマスキング期間ルックアップテーブルを備える。コントローラは、周波数およびデューティサイクルの少なくとも一方でインデックス付けされてデータ取得モジュールへデータ取得期間を出力するデータ取得ルックアップテーブルを備える。
【0008】
別の特徴において、コントローラは、周波数およびデューティサイクルの少なくとも一方に基づいて、フィードバックに対してデータ取得モジュールによって実行される平均化のためのサンプル数を調整する。コントローラは、さらに、可変静電容量と第1周波数との粗同調を決定するためのフィードフォワードコントローラを備える。フィードフォワードコントローラは、チャンバ圧、ガス、ガス流量、パルス化周波数、RF電力、および、RFバイアス電力、の内の少なくとも3つでインデックス付けされた学習済みルックアップテーブルを備える。
【0009】
別の特徴において、フィードフォワードコントローラは、チャンバ圧、ガス、ガス流量、パルス化周波数、RF電力、および、RFバイアス電力、の内の少なくとも3つを含む入力を有するニューラルネットワークを備える。第1RF源は、第2振幅および第2周波数の第2RF電力を供給する。第1パルス化回路は、第1周波数および第1振幅でデューティサイクルの第1部分を出力し、第2周波数および第2振幅でデューティサイクルの第2部分を出力する。
【0010】
別の特徴において、フィードバック制御モジュールは、さらに、第2周波数を制御する。
【0011】
別の特徴において、第2RF源が、第3振幅および第3周波数の第3RF電力と、第4振幅および第4周波数の第4RF電力とを出力する。第2パルス化回路が、デューティサイクルを第2RF源に適用し、基板支持体と通信する出力を有する。
【0012】
別の特徴において、フィードバック制御モジュールは、さらに、第3周波数および第4周波数を制御する。第2パルス化回路は、第3周波数および第3振幅でデューティサイクルの第1部分を出力し、第4周波数および第4振幅でデューティサイクルの第2部分を出力する。
【0013】
別の特徴において、コイルは、第1および第2コイルを含み、同調回路は、第1可変キャパシタおよび第2可変キャパシタを備えた整合回路を備える。電力分割器が、第1および第2コイルの間で電力を分割し、第3可変キャパシタおよび第4可変キャパシタを備える。
【0014】
別の特徴において、フィードバック制御モジュールは、フィードバックおよびゲイン値の少なくとも一方に基づいて、第1周波数と、第1可変キャパシタ、第2可変キャパシタ、第3可変キャパシタ、および、第4可変キャパシタの静電容量値とを制御する。
【0015】
詳細な説明、特許請求の範囲、および、図面から、本開示を適用可能なさらなる領域が明らかになる。詳細な説明および具体的な例は、単に例示を目的としており、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示は、詳細な説明および以下に説明する添付図面から、より十分に理解できる。
【0017】
【
図1】本開示に従って、誘導結合プラズマ(ICP)基板処理システムの一例を示す機能ブロック図。
【0018】
【
図2】本開示に従って、内側コイルおよび外側コイルの一例を示す平面図。
【0019】
【
図3】本開示に従って、トランス結合容量性同調(TCCT)回路の一例を示す電気接続図。
【0020】
【
図4A】本開示に従って、或る動作モード中のRF入力信号およびTCPおよびRFバイアス信号の例を示すグラフ。
【
図4B】本開示に従って、或る動作モード中のRF入力信号およびTCPおよびRFバイアス信号の例を示すグラフ。
【
図4C】本開示に従って、或る動作モード中のRF入力信号およびTCPおよびRFバイアス信号の例を示すグラフ。
【
図4D】本開示に従って、或る動作モード中のRF入力信号およびTCPおよびRFバイアス信号の例を示すグラフ。
【0021】
【
図5A】本開示に従って、TCP RF電力およびバイアスRF電力のためのパルス化回路の例を示す図。
【0022】
【
図5B】異なるモード中の時間の関数として
図5Aのスイッチのためのスイッチ制御信号の例を示すグラフ。
【
図5C】異なるモード中の時間の関数として
図5Aのスイッチのためのスイッチ制御信号の例を示すグラフ。
【
図5D】異なるモード中の時間の関数として
図5Aのスイッチのためのスイッチ制御信号の例を示すグラフ。
【
図5E】異なるモード中の時間の関数として
図5Aのスイッチのためのスイッチ制御信号の例を示すグラフ。
【0023】
【
図6】パルス化エンベロープ中のマスクおよびデータ取得期間の例を時間の関数として示すグラフ。
【0024】
【
図7】本開示に従って、適応フィードバックコントローラの一例を示す機能ブロック図。
【0025】
【
図8】本開示に従って、フィードバックコントローラを用いて、可変キャパシタ、ならびに/もしくは、TCP RF電力および/またはバイアスRF電力のパルス化周波数を制御するための方法の一例を示すフローチャート。
【0026】
【
図9】本開示に従って、フィードフォワードコントローラの一例を示す機能ブロック図。
【0027】
【
図10】本開示に従って、フィードフォワードコントローラを用いて、可変キャパシタ、ならびに/もしくは、TCP RF電力および/またはバイアスRF電力のパルス化周波数を制御するための方法の一例を示すフローチャート。
【0028】
【
図11】本開示に従って、フィードフォワードコントローラおよび適応フィードバックコントローラを備えたコントローラを示す機能ブロック図。
【0029】
【
図12】本開示に従って、
図11のコントローラの動作を示すフローチャート。
【0030】
図面において、同様および/または同一の要素を特定するために、同じ符号を用いる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示に従った基板処理システムおよび方法は、インピーダンス整合および/または電力分割のための可変キャパシタを備えたトランス結合容量性同調(TCCT)回路を含む。本開示に従った基板処理システムおよび方法は、混合モードパルシング(MMP)動作モードで動作し、そのモードの間、TCP RF電力および/またはバイアスRF電力が、或るデューティサイクルならびに1または複数のパルス化周波数でパルス化される。MMP動作モードのデューティサイクルは、1%から99%まで変更されうる。
【0032】
一部の例において、電圧および電流の測定が、パルス化周波数および/またはデューティサイクルの少なくとも1つに基づいて選択された調節可能なマスク期間およびデータ取得期間を用いて行われる。一部の例において、コントローラは、学習能力(学習済みルックアップテーブルまたはトレーニング済みニューラルネットワークなど)を備えたフィードフォワード制御を用いて、フィードバックコントローラが通常必要とする反復を行うことなしに、定常位置に直接同調させる。一部の例において、コントローラは、粗同調およびその後の適応フィードバック制御のためにフィードフォワード制御を用いる。さらに別の例において、(デューティサイクルおよびパルス化周波数によって規定された)パルス化条件に固有の可変データ平均化が利用される。
【0033】
ここで、
図1を参照すると、本開示に従った基板処理システムの一例10が示されている。基板処理システム10は、コイル駆動回路11を備える。いくつかの例において、コイル駆動回路11は、パルス化回路14、RF源12、および、同調回路13を備える。パルス化回路14は、RF信号のTCPエンベロープを制御し、動作中にTCPエンベロープのデューティサイクルを1%~99%の間で変化させる。理解できるとおり、パルス化回路14およびRF源12は、一体化されてもよいし、別個であってもよい。
【0034】
同調回路13は、1または複数の誘導コイル16に直接接続されてよい。あるいは、同調回路13は、コイル16の内の1または複数に任意選択的な反転回路15によって接続されてもよい。同調回路13は、RF源12の出力を所望の周波数および/または所望の位相に同調させ、コイル16のインピーダンスを整合して、コイル16の間で電力を分割する。反転回路15は、コイル16の内の1または複数を通して電流の極性を選択的に切り替えるために用いられる。
【0035】
反転回路15の例は、2015年3月30日出願のSato et al.による同一出願人の米国特許出願第14/673,174号「Systems And Methods For Reversing RF Current Polarity At One Output Of A Multiple Output RF Matching Network」に図示および記載されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0036】
いくつかの例において、プレナム20が、温風および/または冷風の流れで誘電体窓の温度を制御するために、コイル16と誘電体窓24との間に配置される。誘電体窓24は、処理チャンバ28の片側に沿って配置される。処理チャンバ28は、さらに、基板支持体(すなわち、ペデスタル)32を備える。基板支持体32は、静電チャック(ESC)、機械式チャック、または、その他のタイプのチャックを含みうる。処理ガスが、処理チャンバ28に供給され、プラズマ40が、処理チャンバ28の内部で生成される。プラズマ40は、基板34の露出面をエッチングする。RF源50、パルス化回路51、および、バイアス整合回路52が、動作中に基板支持体32をバイアスしてイオンエネルギを制御するために用いられてよい。
【0037】
ガス供給システム56が、処理チャンバ28に処理ガス混合物を供給するために用いられてよい。ガス供給システム56は、処理ガス/不活性ガス源57と、ガス計量システム58(バルブおよびマスフローコントローラなど)と、マニホルド59とを備えてよい。ガス供給システム60が、バルブ61を介してガス62をプレナム20へ供給するために用いられてよい。ガスは、コイル16および誘電体窓24を冷却するために用いられる冷却ガス(空気)を含みうる。ヒータ/クーラ64が、所定の温度まで基板支持体32を加熱/冷却するために用いられてよい。排気システム65が、バルブ66およびポンプ67を備え、パージまたは排出によって処理チャンバ28から反応物質を除去する。
【0038】
電圧(V)/電流(I)プローブ(すなわち、VIプローブ)71が、プラズマの電圧および電流を検出するために、処理チャンバ内に配置されている。さらに、位相/振幅検出器73が、プラズマの位相および振幅を検出するために、処理チャンバ内に配置されている。
【0039】
コントローラ54が、エッチング処理を制御するために用いられてよい。コントローラ54は、システムパラメータを監視し、ガス混合物の供給、プラズマの点火、維持、および、消火、反応物質の除去、冷却ガスの供給などを制御する。さらに、後に詳述するように、コントローラ54は、様々な態様のコイル駆動回路11、RF源50、および、バイアス整合回路52などを制御してよい。
【0040】
ここで、
図2を参照すると、コイル16の一例が示されている。特定のコイル構成が
図2に示されているが、他のコイル構成が用いられてもよい。コイル16は、内側コイル80および外側コイル82を備えてよい。内側コイル80は、入力端In
1および出力端Out
1を有する第1導電体80-1と、入力端In
2および出力端Out
2を有する第2導電体80-2とを備える。第1導電体80-1および第2導電体80-2は、互いに隣接する略円形またはループ状の経路に巻かれている。外側コイル82は、入力端In
3および出力端Out
3を有する第1導電体82-1と、入力端In
4および出力端Out
4を有する第2導電体82-2とを備える。第1導電体82-2および第2導電体82-2は、互いに隣接する略円形またはループ状の経路に巻かれている。
【0041】
ここで、
図3を参照すると、TCCT回路の一例90(同調回路13など)は、コイル16を駆動する整合回路92および電力分割器94を備える。整合回路92は、RF源12からRF入力信号RF
INを受信する。整合回路92は、複数のキャパシタC
1、C
2、および、C
3と、インダクタL
5とを備える。RF入力信号RF
INは、キャパシタC
1の第1端子で受信される。キャパシタC
1の第2端子は、キャパシタC
2およびC
3の第1端子に接続されている。キャパシタC
3の第2端子は、インダクタL
5の第1端子に接続されている。
【0042】
いくつかの例において、キャパシタC1およびC3は、コイル(およびプラズマ)のインピーダンスを整合するために調整される容量値を有する可変キャパシタである。いくつかの例において、キャパシタC1およびC3は、2以上のキャパシタと少なくとも1つのスイッチとを備えたスイッチドキャパシタ回路である。スイッチドキャパシタの例が、2016年12月6日発行の同一出願人による米国特許第9,515,633号「Transformer Coupled Capacitive Tuning Circuit With Fast Impedance Switching for Plasma Etch Chambers」に図示および記載されており、この特許は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの例において、キャパシタC1およびC3は、モータ制御された真空キャパシタを含む。整合回路92は、RF源12のインピーダンスをコイル16のインピーダンスに整合させる。可変キャパシタC1およびC3の値は、後に詳述するように、動作中にコイル16のインピーダンスを整合するために変更される。整合回路92の出力は、電力分割器94に接続される。
【0043】
電力分割器94は、図に示すように、内側および外側コイル80、82(すなわち、コイル16)に接続されている。電力分割器94は、整合回路92から受けたRF電力を、内側および外側コイル80、82に供給する。電力分割器94は、複数のキャパシタC4、C5、C6、C7と、(ストラップの)インダクタLstrayおよびL3とを備える。インダクタL5の第2端子は、キャパシタC4およびC6の第1端子に接続されている。キャパシタC4の第2端子は、(漂遊インダクタンスLstrayを有する)ストラップを介してコイルL2の第1端に接続されている。コイルL2の第2端は、キャパシタC7に接続されている。キャパシタC6の第2端子は、キャパシタC5の第1端子に接続されている。キャパシタC5の第2端子は、コイルL1の第1端子に接続されている。コイルL1の第2端は、インダクタL3に接続されている。
【0044】
いくつかの例において、キャパシタC4およびC5は、可変キャパシタである。いくつかの例において、可変キャパシタC4およびC5は、2以上のキャパシタと少なくとも1つのスイッチとを備えたスイッチドキャパシタ回路である。いくつかの例において、キャパシタC4およびC5は、モータ制御された真空キャパシタを含む。キャパシタC4およびC5の値は、可変キャパシタC1およびC3の値に関連して(または独立して)変更されてよい。
【0045】
いくつかの例では、混合モードパルシング(MMP)が、コイル16および基板支持体32を駆動するために用いられてよい。MMPの例は、2015年9月23日出願のLong et al.による同一出願人の米国特許出願第14/863,331号「Systems And Methods For Reverse Pulsing」に図示および記載されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0046】
ここで、
図4A~
図4Dを参照すると、MMPのいくつかの例が示されている。概して、混合モードパルシングでは、RF源12および50からの信号は、デューティサイクルを規定するクロック(Clkと示されている)に同期される。RF源12からの信号(TCPと示されている)が、RF源50からの信号(RF Biasと示されている)と時間的に交互になるまたはオフセットされるようにパルス化される。2つの信号の信号レベルまたは振幅は様々であってよい。また、クロックのデューティサイクルは、1%~99%の間で変化してよい。
【0047】
いくつかの例において、
図1に示したコントローラ54は、クロックを生成し、RF源12からの信号が、
図4A~
図4Dに示すように、RF源50からの信号と時間的にオフセットされてパルス化されるように、2つの信号をクロックに同期させてよい。コントローラ54は、図に示すように、2つの信号の振幅も制御してよい。
【0048】
例えば、
図4Aにおいて、RF源50からの信号は、クロックの最初の部分中にレベル0を有し、クロックの2番目の部分中にレベルA1を有してよい。RF源12からの信号は、クロックの最初の部分中にレベルA2を有し、クロックの2番目の部分中にレベル0を有してよい。一部の例において、最初の部分および2番目の部分によって規定される期間が、1クロックサイクルに対応する。あるいは、
図4Bにおいて、RF源50からの信号は、クロックの最初の部分中にレベル0を有し、クロックの2番目の部分中にレベルA1を有してよい。RF源12からの信号は、クロックの最初の部分中にレベルA2を有し、クロックの2番目の部分中にレベルA3を有してよい。
【0049】
別の例で、
図4Cにおいて、RF源50からの信号は、クロックの最初の部分中にレベルA4を有し、クロックの2番目の部分中にレベルA1を有してよい。RF源12からの信号は、クロックの最初の部分中にレベルA2を有し、クロックの2番目の部分中にレベル0を有してよい。あるいは、
図4Dにおいて、RF源50からの信号は、クロックの最初の部分中にレベルA4を有し、クロックの2番目の部分中にレベルA1を有してよい。RF源12からの信号は、クロックの最初の部分中にレベルA2を有し、クロックの2番目の部分中にレベルA3を有してよい。
【0050】
いくつかの例において、Long et al.による同一出願人の米国特許出願第14/863,331号にさらに図示および記載されているように、RF源12および50の各々は、複数のRF信号発生器を備えてもよい。RF源12および50の各々において、複数のRF信号は、異なる周波数および異なる信号レベルを有してよい。複数のRF信号は、クロック信号に同期されてよい。複数のRF信号は、混合モードパルシングを用いてコイル16および基板支持体32をそれぞれ駆動する合成信号を生成するために合成されてよい。
【0051】
ここで、
図5Aを参照すると、TCP RF電力およびバイアスRF電力のためのパルス化回路14、51が図示されている。RF源12は、1または複数のRF源を含む。この例において、RF源12は、第1RF源RF1および第2RF源RF2を含む。パルス化回路14は、第1RF源RF1に接続された第1スイッチSW1と、第2RF源RF2に接続された第2スイッチSW2とを備える。スイッチSW1およびSW2は、選択的に、第1または第2RF源RF1およびRF2を供給するか、もしくは、どちらも供給しないように制御される。
【0052】
RF源50は、1または複数のRF源を含む。この例において、RF源50は、第3RF源RF3および第4RF源RF4を含む。パルス化回路51は、第3RF源RF3に接続された第3スイッチSW3と、第4RF源RF4に接続された第4スイッチSW4とを備える。スイッチSW3およびSW4は、選択的に、第3または第4RF源RF3およびRF4を供給するか、もしくは、どちらも供給しないように制御される。スイッチSW1および/またはSW2によって規定されるデューティサイクルは、スイッチSW3および/またはSW4によって規定されるデューティサイクルと同じであっても、異なってもよい。
【0053】
ここで、
図5B~
図5Eを参照すると、
図5Aのスイッチのためのスイッチ制御信号の例が、時間の関数として示されている。
図5Bには、
図4Aに対応する第1モード中のスイッチングが示されている。スイッチSW1は、1%~99%の間の選択されたデューティサイクル(この例では、約50%)でオンおよびオフされ、第2スイッチSW2は、オフのままである(0%のデューティサイクル)。第3スイッチSW3は、選択されたデューティサイクルで(第1スイッチSW1のタイミングと逆のタイミングで)オンおよびオフされ、第4スイッチSW4は、オフのままである。
【0054】
図5Cには、
図4Bに対応する第2モード中のスイッチングが示されている。スイッチSW1は、1%~99%の間の選択されたデューティサイクル(この例では、約50%)でオンおよびオフされ、第2スイッチSW2は、選択されたデューティサイクルでオフおよびオンされる(第1スイッチSW1と逆)。第3スイッチSW3は、選択されたデューティサイクルで(第1スイッチSW1のタイミングと逆であり、第2スイッチSW2と同じタイミングで)オンおよびオフされ、第4スイッチSW4は、オフである。
【0055】
図5Dには、
図4Cに対応する第3モード中のスイッチングが示されている。スイッチSW1は、1%~99%の間の選択されたデューティサイクル(この例では、約50%)でオンおよびオフされ、第2スイッチSW2は、オフである。第3スイッチSW3は、選択されたデューティサイクルで(第1スイッチSW1のタイミングと逆のタイミングで)オンおよびオフされ、第4スイッチSW4は、オフおよびオンされる(スイッチSW3と逆)。
【0056】
図5Eには、
図4Dに対応する第4モード中のスイッチングが示されている。スイッチSW1は、1%~99%の間の選択されたデューティサイクル(この例では、約50%)でオンおよびオフされ、第2スイッチSW2は、選択されたデューティサイクルでオフおよびオンされる(第1スイッチSW1と逆)。第3スイッチSW3は、選択されたデューティサイクルで(第1スイッチSW1のタイミングと逆のタイミングで)オンおよびオフされ、第4スイッチSW4は、オフおよびオンされる(スイッチSW3と逆)。
【0057】
ここで、
図6を参照すると、プラズマの電圧(V)および電流(I)が、VIプローブによって動作中にサンプリングされている。従来のTCPパルス化アプローチでは、マスク期間の後に起きる
データ取得期間中に、スイッチSW1~SW4の内の1つがアクティブである時に、RFの電圧および電流(VI)の測定値が取られる。マスク期間およびデータ取得期間は、固定された時間間隔またはON時間(T
ON)の特定の割合に対応する。さらに、インピーダンス同調およびTCCT比制御のための一般的なセットの制御ゲインが、
パルス化窓全体に適用される。測定値は、固定数の生データポイントにわたって平均される。このアプローチは、一般に、特定の周波数に対して、デューティサイクルが約50%である時に良好に機能する。
【0058】
しかしながら、パルス化周波数が数Hz~数kHzの範囲であり、デューティサイクルが1%(または300μSの最少ON時間)~99%の範囲である時、マスク期間およびデータ取得期間のための単一の設定(固定、または、ON時間の割合のいずれか)は、パルス化周波数およびデューティサイクルの全動作窓に対して良好に機能しない。
【0059】
例えば、1kHzおよび50%のパルス化条件では、10%すなわち50マイクロ秒のマスク時間、および、50%すなわち250マイクロ秒のデータ取得時間が、良好に機能しうる。しかしながら、50μSおよび250μSの同じ設定を用いると、10Hzおよび50%のデューティサイクルのパルス化条件では良好に機能しない。これは、10Hzでのパルス化では、1kHzでのパルス化よりも、各サイクル内に安定なプラズマを確立するのに時間が掛かるという事実による。それぞれ10%および50%の同じ割合を10Hzパルス化で用いると、10Hzでのデータ取得時間は、各サイクルについて1kHzパルス化よりもはるかに長くなる。
【0060】
一方、10Hzおよび50%のパルス化条件では、50%すなわち50mSのマスク時間、および、10%すなわち1mSのデータ取得時間が、良好に機能しうる。1kHzおよび10%デューティサイクルの同じ設定では、電圧および電流の測定を行うのに十分な時間がない(すなわち、10μSのみ)。極端な状況では、より高い周波数でのパルス化は、むしろ、RF周波数(中心周波数として)およびサイドバンドを含む複数の周波数によって駆動される連続波(CW)プラズマに近い。低デューティサイクルを用いた低周波数端でのパルス化は、各サイクルが著しい遷移性を有する一連のプラズマのオンオフ動作になりうる。結果として、マスク時間およびデータ取得時間の設定は、全パルス化動作窓のための特定のパルス化周波数およびデューティサイクルに基づいて調整可能である必要がある。
【0061】
データ取得期間中にVIプローブ71および位相/振幅検出器73によって得られた測定値は、インピーダンス同調およびTCCT比調整の閉ループ制御のためのフィードバックとして用いられる。例えば、コントローラが、1kHzの更新速度を有する場合、単一のTCCT比ステップアップまたはステップダウン調整が、良好な動的応答を持つ遷移(振動が最小限の速い遷移)を完了させるのに数百の制御サイクルを必要としうる。しかし、10%のデューティサイクルを用いて10Hzでパルス化する場合、ON時間は、10mSである。結果として、制御ループは、各パルス化サイクルに最大で10回しか更新しない(マスク時間が0%であり、データ取得時間がON時間の100%である時)。所与の制御システムおよびゲイン設定のためのTCCT比の設定点に到達するのに、最大で40~50パルスサイクルを要しうる。一部の例では、TCCT調整を完了させるのに、4~5秒を必要とする場合があり、これは、望まれるよりも長い。より高速の調整(1秒未満など)を達成するために、本明細書に記載のシステムおよび方法は、学習能力を有する。トレーニングの後、本明細書に記載のシステムおよび方法は、(特に、低パルス化周波数および低デューティサイクルの条件に対して)より高速に調整を行う。
【0062】
いくつかの例において、VIプローブ71および位相/振幅検出器73は、各測定値を得るのに1マイクロ秒(μs)以上掛かりうる。生測定値は、フィードバック制御ループで用いられる前にノイズをデジタル的にフィルタアウトするために平均されてよい。データ取得時間に応じて、各制御更新サイクル内に平均される生データポイントの数が十分である場合も十分でない場合もある。結果として、本明細書に記載のシステムおよび方法は、(デューティサイクルおよび/またはパルス周波数によって規定される)所望の設定点に基づいて、平均されるデータポイントの数を調整する。
【0063】
データ取得期間は、(高パルス化周波数条件のマスク時間を最小化することによって)ON時間が最も短い時に最大化される。いくつかの動作条件がブロックされる必要がある。例えば、下限のパルス化周波数(例えば、10Hz)を有する短いON時間(例えば、300μS)は、安定したプラズマを点火および/または維持するのに十分な平均RF電力を有しえない。
【0064】
ここで、
図7を参照すると、いくつかの例において、コントローラ54は、フィードバックコントローラ210を備える。フィードバックコントローラ210は、フィードバック信号を受信し、可変ゲイン222を用いて同調回路内の可変キャパシタおよび/またはパルス化周波数を調整する適応コントローラ220を備える。いくつかの例において、適応コントローラは、比例積分微分(PID)コントローラを備えるが、他のタイプのコントローラが用いられてもよい。
【0065】
所望設定点モジュール224が、ユーザによって設定された所望の設定点を格納する。所望の設定点は、TCP RF電力およびRFバイアス電力のために用いられるデューティサイクルならびに1または複数のパルス化周波数(f)を含みうる。DCは、1%~99%の間で変更されうる。
【0066】
所望設定点モジュール224は、ゲインルックアップテーブル228、マスク期間ルックアップテーブル238、データ取得(DA)ルックアップテーブル242、および/または、反復当たりサンプル数ルックアップテーブル248に、所望の設定点を出力する。ゲインルックアップテーブル228は、周波数および/またはデューティサイクルの設定点に基づいて、ゲイン値をルックアップし、そのゲイン値を適応コントローラ220に出力する。マスク期間ルックアップテーブルは、周波数および/またはデューティサイクルの設定点に基づいて、マスク期間をルックアップして、マスク期間をデータ取得モジュール232に出力する。データ取得期間ルックアップテーブル242は、周波数および/またはデューティサイクルの設定点に基づいて、データ取得期間をルックアップして、データ取得期間をデータ取得モジュール232に出力する。反復当たりサンプル数ルックアップテーブル248は、周波数および/またはデューティサイクルの設定点に基づいて、平均化のために用いられるサンプル数をルックアップして、サンプル数をデータ取得モジュール232に出力する。
【0067】
データ取得モジュール232は、VIプローブ71の出力および位相/振幅検出器73の出力を受信し、マスク期間、データ取得期間、および、平均化に用いられるサンプル数に基づいて、フィードバックデータを適応コントローラ220に提供する。
【0068】
ここで、
図8を参照すると、可変キャパシタならびに/もしくはTCP RF電力および/またはバイアスRF電力のRF周波数を制御するための方法280が示されている。工程284で、デーティサイクル、パルス化モード、パルス化周波数が、初期値に設定される。所望の設定点は、ゲイン、マスク期間、データ取得期間、および/または、平均化に用いられるサンプル数を選択するために用いられる。
【0069】
工程288で、適応コントローラのゲインが、デューティサイクル、パルス化モード、および/または、パルス化周波数の内の1以上に基づいて設定される。工程290で、適応コントローラのマスク期間が、デューティサイクル、パルス化モード、および/または、パルス化周波数の内の1以上に基づいて設定される。工程294で、適応コントローラのデータ取得期間が、デューティサイクル、パルス化モード、および/または、パルス化周波数の内の1以上に基づいて設定される。工程298で、同調回路内の可変キャパシタの静電容量、および/または、パルス化周波数が、マスク期間、データ取得期間、および/または、平均化のためのサンプル数を用いて取得されたフィードバックデータに基づいて、適応ゲインを用いて繰り返し制御される。
【0070】
ここで、
図9を参照すると、いくつかの例において、コントローラ54は、フィードフォワードコントローラ320を備える。フィードフォワードコントローラ320は、1または複数のトレーニング済みルックアップテーブルならびに/もしくは1または複数のニューラルネットワーク(符号324)を備える。トレーニング済みルックアップテーブルならびに/もしくは1または複数のニューラルネットワーク324は、既知の入力/出力データセットを用いてトレーニングされる。フィードフォワードコントローラ320は、デューティサイクル、パルス化周波数、および/または、チャンバ条件(チャンバ圧、ガス混合物、ガス流量、RFバイアス電力、および/または、TCP RF電力など)に関する入力データを受信する。さらなる入力は、VIプローブ71および位相/振幅検出器73の検知された出力を含みうる。トレーニング済みルックアップテーブルならびに/もしくは1または複数のニューラルネットワーク324は、同調回路14の可変静電容量値、RF源12および50のパルス化周波数、ならびに/もしくは、パルス化回路13および51の変化を制御する。
【0071】
ここで、
図10を参照すると、フィードフォワードコントローラを用いて、可変キャパシタならびに/もしくはTCP RF電力および/またはバイアスRF電力のRF周波数を制御するための方法400が示されている。工程410で、ニューラルネットワークおよび/またはトレーニング済みルックアップテーブルが、入力-出力データ値を用いて作成される。工程414で、静電容量値および/または周波数が、1または複数のパラメータ(TCP RF電力、パルス化周波数、パルスデューティサイクル、チャンバ圧、ガス混合物、ガス流量、バイアスRF電力など)に基づいて設定される。設定された静電容量値および/またはパルス化周波数は、プラズマ処理中に利用されうる。また、フィードフォワードコントローラからの静電容量値および/またはパルス化周波数は、後にフィードバックコントローラによって同調される粗値として機能しうる。
【0072】
ここで、
図11~
図12を参照すると、フィードバック制御およびフィードフォワード制御の両方が、コントローラ54によって用いられてもよい。
図11において、コントローラ54は、適応フィードバックコントローラ210およびフィードフォワードコントローラ320を備える。
図12において、方法420は、フィードフォワードコントローラ320を用いて粗同調を実行する工程を備える。粗同調が実行された後、フィードバックコントローラ210が、微同調を実行する。
【0073】
上述の記載は、本質的に例示に過ぎず、本開示、応用例、または、利用法を限定する意図はない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施されうる。したがって、本開示には特定の例が含まれるが、図面、明細書、および、以下の特許請求の範囲を研究すれば他の変形例が明らかになるため、本開示の真の範囲は、それらの例には限定されない。方法に含まれる1または複数の工程が、本開示の原理を改変することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして記載されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載された特徴の内の任意の1または複数の特徴を、他の実施形態のいずれかに実装することができる、および/または、組み合わせが明確に記載されていないとしても、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができる。換言すると、上述の実施形態は互いに排他的ではなく、1または複数の実施形態を互いに置き換えることは本開示の範囲内にある。
【0074】
要素の間(例えば、モジュールの間、回路要素の間、半導体層の間)の空間的関係および機能的関係性が、「接続される」、「係合される」、「結合される」、「隣接する」、「近接する」、「の上部に」、「上方に」、「下方に」、および、「配置される」など、様々な用語を用いて記載されている。第1および第2要素の間の関係性を本開示で記載する時に、「直接」であると明確に記載されていない限り、その関係性は、他に介在する要素が第1および第2の要素の間に存在しない直接的な関係性でありうるが、1または複数の介在する要素が第1および第2の要素の間に(空間的または機能的に)存在する間接的な関係性でもありうる。本明細書で用いられているように、「A、B、および、Cの少なくとも1つ」という表現は、非排他的な論理和ORを用いて、論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、および、Cの少なくとも1つ」という意味であると解釈されるべきではない。
【0075】
いくつかの実施例において、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0076】
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0077】
コントローラは、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、もしくは、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。一部の例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0078】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0079】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
基板処理システムであって、
基板を支持するための基板支持体を備えた処理チャンバと、
前記処理チャンバの周りに配置されたコイルと、
第1振幅および第1周波数の第1RF電力を供給するための第1RF源と、
デューティサイクルを前記第1RF源に適用するための第1パルス化回路と、
前記第1パルス化回路の出力を受信するための同調回路であって、第1可変キャパシタを備え、前記処理チャンバ内でプラズマを生成するために前記コイルと通信する出力を有する、同調回路と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
フィードバックを生成するためのデータ取得モジュールと、
前記フィードバックおよびゲイン値に基づいて前記第1周波数および前記第1可変キャパシタの少なくとも一方を制御するためのフィードバック制御モジュールと、
を備え、
前記コントローラは、前記第1周波数および前記デューティサイクルの少なくとも一方に基づいて前記ゲイン値を選択する、システム。
適用例2:
適用例1の基板処理システムであって、さらに、
前記プラズマの電流および電圧を検知するためのVIプローブと、
前記プラズマの位相および振幅を検出するための位相/振幅検出器と、
を備え、
前記データ取得モジュールは、前記VIプローブおよび前記位相/振幅検出器の出力に基づいて、前記フィードバックを生成する、システム。
適用例3:
適用例1の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記デューティサイクルおよび前記第1周波数の少なくとも一方でインデックス付けされたゲインルックアップテーブルを備え、前記ゲインルックアップテーブルから前記ゲイン値を選択する、システム。
適用例4:
適用例1の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記第1周波数および前記デューティサイクルの少なくとも一方でインデックス付けされたマスク期間ルックアップテーブルを備え、前記データ取得モジュールへ出力するために前記マスク期間ルックアップテーブルからマスク期間を選択する、システム。
適用例5:
適用例1の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記第1周波数および前記デューティサイクルの少なくとも一方でインデックス付けされたデータ取得ルックアップテーブルを備え、前記データ取得モジュールへ出力するために前記データ取得ルックアップテーブルからデータ取得期間を選択する、システム。
適用例6:
適用例1の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記第1周波数および前記デューティサイクルに基づいて、前記フィードバックに対して前記データ取得モジュールによって実行される平均化のためのサンプル数を調整する、システム。
適用例7:
適用例1の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記第1可変キャパシタの可変静電容量と前記第1周波数との粗同調を決定するためのフィードフォワードコントローラを備える、システム。
適用例8:
適用例8の基板処理システムであって、前記フィードフォワードコントローラは、チャンバ圧、ガス混合物、ガス流量、パルス化周波数、RF電力、および、RFバイアス電力、の内の少なくとも3つでインデックス付けされた学習済みルックアップテーブルを備える、システム。
適用例9:
適用例8の基板処理システムであって、前記フィードフォワードコントローラは、チャンバ圧、ガス混合物、ガス流量、パルス化周波数、RF電力、および、RFバイアス電力、の内の少なくとも3つを含む入力を有するニューラルネットワークを備える、システム。
適用例10:
適用例1の基板処理システムであって、
前記第1RF源は、第2振幅および第2周波数の第2RF電力を供給し、
前記第1パルス化回路は、前記第1周波数および前記第1振幅で前記デューティサイクルの第1部分を出力し、前記第2周波数および前記第2振幅で前記デューティサイクルの第2部分を出力する、システム。
適用例11:
適用例10の基板処理システムであって、前記フィードバック制御モジュールは、さらに、前記第2周波数を制御する、システム。
適用例12:
適用例10の基板処理システムであって、さらに、
第3振幅および第3周波数の第3RF電力と、第4振幅および第4周波数の第4RF電力とを出力するための第2RF源と、
前記デューティサイクルを前記第2RF源に適用するための第2パルス化回路であって、前記基板支持体と通信する出力を有する、第2パルス化回路と、
を備える、システム。
適用例13:
適用例12の基板処理システムであって、前記フィードバック制御モジュールは、さらに、前記第3周波数および前記第4周波数を制御する、システム。
適用例14:
適用例12の基板処理システムであって、前記第2パルス化回路は、前記第3周波数および前記第3振幅で前記デューティサイクルの第1部分を出力し、前記第4周波数および前記第4振幅で前記デューティサイクルの第2部分を出力する、システム。
適用例15:
適用例1の基板処理システムであって、前記コイルは、第1および第2コイルを含み、
前記同調回路は、
前記第1可変キャパシタおよび第2可変キャパシタを備えた整合回路と、
前記第1および第2コイルの間で電力を分割するための電力分割器であって、第3可変キャパシタおよび第4可変キャパシタを備える、電力分割器と、
を備える、システム。
適用例16:
適用例15の基板処理システムであって、前記フィードバック制御モジュールは、前記フィードバックおよび前記ゲイン値の少なくとも一方に基づいて、前記第1周波数と、前記第1可変キャパシタ、前記第2可変キャパシタ、前記第3可変キャパシタ、および、前記第4可変キャパシタの静電容量値とを制御する、システム。