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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
G01N30/86 D
G01N30/86 Q
G01N30/86 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020040572
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021143836
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503460323
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 真人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正人
(72)【発明者】
【氏名】松下 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 誠
(72)【発明者】
【氏名】早川 克己
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-029270(JP,A)
【文献】国際公開第2010/143397(WO,A1)
【文献】特開平01-313764(JP,A)
【文献】特開昭63-212859(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196041(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/86,
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、制御部と、記憶部と、外部の画像読取装置を接続可能な外部インターフェースと、を備えた液体クロマトグラフ装置であって、
前記記憶部は、前記液体クロマトグラフ装置の複数の動作に関する動作情報を記憶し、
前記液体クロマトグラフ装置の起動後に、該液体クロマトグラフ装置に接続された前記画像読取装置により、所定の画像のデータが読み取られると、
前記制御部は、前記データに対応する前記動作情報を取得し、取得した情報に応じてユーザが設定するよう前記動作情報に割り当てられている前記動作を、前記画像読取装置が読取り可能な表示画像として前記表示部に表示させ、
前記液体クロマトグラフ装置を構成する部材の近傍に、当該部材に関する情報を含み、前記画像読取装置で読み取り可能な前記画像が表示されており、
前記動作情報は、前記部材の設定情報を含み、
前記部材に関する情報を含む前記画像のデータが画像読取装置により読み取られると、
前記制御部は、前記読み取られた画像のデータに含まれる情報が、前記設定情報に適合するか否かを判定し、
否定判定であれば、前記部材が不適である旨を前記表示部に表示させ、
肯定判定であれば、前記部材が適合する場合に前記ユーザが設定を行うよう前記動作情報に設定されている前記動作を、前記画像読取装置が読取り可能な前記表示画像として前記表示部に表示させることを特徴とする液体クロマトグラフ装置。
【請求項2】
前記表示部に表示させる前記表示画像は、前記ユーザによる決定、又は選択に関する動作を画像として表すものである請求項1に記載の液体クロマトグラフ装置。
【請求項3】
前記部材は、カラム、移動相容器、廃液容器、試料容器、及び、試料容器を個々に保持するホルダ、の群から選ばれる1種以上を含む請求項1又は2に記載の液体クロマトグラフ装置。
【請求項4】
前記記憶部は、時系列的な複数の動作に関する前記動作情報を記憶し、
前記制御部は、前記ユーザが設定を行うよう前記動作情報に設定されている前記動作を、前記画像読取装置が読取り可能な前記表示画像として前記表示部に表示させると共に、当該動作と時系列的に前後する一連の前記動作を、前記表示画像の近傍に前記画像読取装置が読取り不能に表示する、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフ装置。
【請求項5】
前記画像は、前記試料容器、及び前記ホルダにおける前記試料容器の近傍位置に表示され、
前記画像読取装置により、前記試料容器及び前記ホルダに表示された前記画像のデータが読み取られると、
前記制御部は、測定対象の試料の種類及び前記ホルダ内の位置を自動的に取得して前記試料容器の測定を前記動作として実行させる請求項3に記載の液体クロマトグラフ装置。
【請求項6】
測定を行った後、
前記制御部は、前記表示部に表示させた測定結果であるクロマトグラムの近傍に、前記クロマトグラムのデータ処理条件を変更するための変更指示画像を表示させ、
ユーザが前記変更指示画像を前記画像読取装置により読み取らせると、前記制御部は、データ処理条件を変更する旨の変更画像を表示させ、
前記変更画像が前記画像読取装置により読み取られると、前記制御部は、前記測定結果である前記クロマトグラムのデータ処理条件を変更する請求項1~5のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフ装置。
【請求項7】
測定を行った後、
前記制御部は、測定結果であるクロマトグラムのデータを確定するための承認指示画像を前記表示部に表示させ、
ユーザが前記承認指示画像を前記画像読取装置により読み取らせると、前記制御部は、前記測定結果である前記クロマトグラムのデータを確定する請求項1~6のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフ装置。
【請求項8】
前記測定結果であるクロマトグラムのデータが確定された場合に、
前記制御部は、前記クロマトグラムのデータを自動的に出力させる請求項7に記載の液体クロマトグラフ装置。
【請求項9】
前記画像はバーコードであり、前記画像読取装置はバーコードリーダである請求項1~8のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ(HPLC)装置に使用される薬液や溶媒には毒劇物に指定されているものがあり、安全衛生の面から、作業者が測定中に手袋を着用することがある。そのため、装置を動作させるためのキーボードやマウス等に接触する際には、その都度手袋を外す必要があり、作業性や安全性の点で適切ではない。
又、血液検査等の健康診断においては、複数の被験者の体液等を測定する必要があり、キーボードやマウス等にそれら体液が付着するおそれがあり、衛生上の問題もある。
【0003】
一方、イムノクロマトグラム装置に接続したバーコードリーダにより、被験者の腕に取り付けたバーコードを読み取り、そのバーコード情報に基づいて被験者の検体を自動的に装置の所定位置に装填して測定する技術が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5462567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術の場合、バーコードを読み取った後、検体毎に決められた装填部に検体を自動的に装填してそのまま測定するが、その後にユーザ(作業者)が測定条件を変更したりすることはできない。又、一旦バーコードを読み取ると、予め決められた手順で自動測定するので、例えば装置の状態等に応じて測定前にメンテナンスを行う等の変更や割り込み動作ができない。
一方、液体クロマトグラフ装置は、移動相が液体であることから、装置の安定化に時間を要し、移動相や分離カラムの状態変化や劣化等が生じ易く、これら移動相や分離カラムを交換した場合には標準試料を用いた測定により装置の正常性を確認したり、検量線を測定し直す等の手順の変更が必要となる。
しかしながら、かかる変更の設定をキーボードやマウス等で行うと、上記したようにその都度手袋を外す必要が生じたり、被験者の体液が付着して入力装置が汚れる問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、装置の状態等に応じて装置が行う動作を変更できると共に、作業性や安全性を向上できる液体クロマトグラフ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の液体クロマトグラフ装置は、表示部と、制御部と、記憶部と、外部の画像読取装置を接続可能な外部インターフェースと、を備えた液体クロマトグラフ装置であって、前記記憶部は、前記液体クロマトグラフ装置の複数の動作に関する動作情報を記憶し、前記液体クロマトグラフ装置の起動後に、該液体クロマトグラフ装置に接続された前記画像読取装置により、所定の画像のデータが読み取られると、前記制御部は、前記データに対応する前記動作情報を取得し、取得した情報に応じてユーザが設定するよう前記動作情報に割り当てられている前記動作を、前記画像読取装置が読取り可能な表示画像として前記表示部に表示させ、前記液体クロマトグラフ装置を構成する部材の近傍に、当該部材に関する情報を含み、前記画像読取装置で読み取り可能な前記画像が表示されており、前記動作情報は、前記部材の設定情報を含み、前記部材に関する情報を含む前記画像のデータが画像読取装置により読み取られると、前記制御部は、前記読み取られた画像のデータに含まれる情報が、前記設定情報に適合するか否かを判定し、否定判定であれば、前記部材が不適である旨を前記表示部に表示させ、肯定判定であれば、前記部材が適合する場合に前記ユーザが設定を行うよう前記動作情報に設定されている前記動作を、前記画像読取装置が読取り可能な前記表示画像として前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0008】
この液体クロマトグラフ装置によれば、ユーザが所定の画像のデータを画像読取装置により読取ると、制御部はこれらに対応してユーザが設定する動作として、表示部に表示画像を表示させる。これにより、ユーザは表示部の表示画像を読み込めば次の動作に進めることができ、一方で表示画像を読み込まなければ前の動作に戻すことができる。その結果、装置が起動後の動作が一律に決められることなく、装置100の状態(メンテナンス不足)等に応じて装置が行う動作を変更できる。
又、制御部は、画像から取得した情報に応じてユーザが設定する次の動作を表示画像として表示部に表示させる。これにより、起動後に手袋を着用したユーザは、画像読取装置のみを把持して表示画像の読取り作業を行えば済み、動作を指示する都度手袋を外してキーボードやマウス等の入力装置を操作しなくてよく、又、これら入力装置に薬液や試料等が付着することも回避できるので、作業性や安全性を向上できる。
また、この液体クロマトグラフ装置によれば、画像を上記部材の近傍に表示することで、液体クロマトグラフ装置の各部材の状態をユーザが画像読取装置により読取ることができ、手袋を外す必要がなくなる。
【0009】
本発明の液体クロマトグラフ装置において、前記表示部に表示させる前記表示画像は、前記ユーザによる決定、又は選択に関する動作を画像として表すものであってもよい。
この液体クロマトグラフ装置によれば、ユーザによる決定、又は選択動作を、画像読取装置のみを用いて行える。
【0011】
本発明の液体クロマトグラフ装置において、前記部材は、カラム、移動相容器、廃液容器、試料容器、及び、試料容器を個々に保持するホルダ、の群から選ばれる1種以上を含んでもよい。
この液体クロマトグラフ装置によれば、カラム、移動相容器、廃液容器、試料容器、ホルダなどの、状態が変化すると測定精度に影響が大きい部材の状態をユーザが画像読取装置により容易に把握できる。
【0012】
本発明の液体クロマトグラフ装置において、前記記憶部は、時系列的な複数の動作に関する前記動作情報を記憶し、前記制御部は、前記ユーザが設定を行うよう前記動作情報に設定されている前記動作を、前記画像読取装置が読取り可能な前記表示画像として前記表示部に表示させると共に、当該動作と時系列的に前後する一連の前記動作を、前記表示画像の近傍に前記画像読取装置が読取り不能に表示してもよい。
この液体クロマトグラフ装置によれば、動作と時系列的に前後する一連の動作を、画像を読み取ることで誤って設定することを防止できる。
【0013】
本発明の液体クロマトグラフ装置において、前記画像は、前記試料容器、及び前記ホルダにおける前記試料容器の近傍位置に表示され、前記画像読取装置により、前記試料容器及び前記ホルダに表示された前記画像のデータが読み取られると、前記制御部は、測定対象の試料の種類及び前記ホルダ内の位置を自動的に取得して前記試料容器の測定を前記動作として実行させてもよい。
この液体クロマトグラフ装置によれば、画像のデータが読み取られると、試料容器の測定を自動的に実行できる。
【0014】
本発明の液体クロマトグラフ装置において、測定を行った後、前記制御部は、前記表示部に表示させた測定結果であるクロマトグラムの近傍に、前記クロマトグラムのデータ処理条件を変更するための変更指示画像を表示させ、ユーザが前記変更指示画像を前記画像読取装置により読み取らせると、前記制御部は、データ処理条件を変更する旨の変更画像を表示させ、前記変更画像が前記画像読取装置により読み取られると、前記制御部は、前記測定結果である前記クロマトグラムのデータ処理条件を変更してもよい。
液体クロマトグラフは、液体である移動相によって移動する試料をカラムで分離するため、検出時間が長く(ピーク検出範囲が広く)、移動相及び検出器のノイズやドリフトの影響を受けやすい。そして、液体クロマトグラフの分離分析では分離された成分のピーク検出が重要であるが、ノイズやドリフトが生じると、予め指定したピーク検出のデータ処理条件が実際の測定状況と一致せずに、ピーク判定が正しくない場合がある。
そこで、測定結果のクロマトグラフの付近に像を表示させれば、データ処理条件の変更が画像読取装置によって可能になる。
【0015】
本発明の液体クロマトグラフ装置において、測定を行った後、前記制御部は、測定結果であるクロマトグラムのデータを確定するための承認指示画像を前記表示部に表示させ、ユーザが前記承認指示画像を前記画像読取装置により読み取らせると、前記制御部は、前記測定結果である前記クロマトグラムのデータを確定してもよい。
この液体クロマトグラフ装置によれば、画像を用いて、ユーザが測定結果であるクロマトグラフのデータを確定でき、データの変更や改ざんを防止できる。
【0016】
本発明の液体クロマトグラフ装置において測定結果であるクロマトグラのデータが確定された場合に、前記制御部は、前記クロマトグラのデータを自動的に出力させてもよい。
この液体クロマトグラフ装置によれば、画像を用いて、ユーザが測定結果であるクロマトグラフのデータを確定すると、そのデータを自動的に出力できる。
【0017】
本発明の液体クロマトグラフ装置において、前記画像はバーコードであり、前記画像読取装置はバーコードリーダであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、液体クロマトグラフ装置の状態等に応じて装置が行う動作を変更できると共に、作業性や安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る液体クロマトグラフ装置の構成を示す図である。
図2】液体クロマトグラフ装置の動作情報を含む時系列的な測定手順を示す図である。
図3】画像が付された液体クロマトグラフ装置の正面図(左側)、及び表示部10の画面(右側)を示す図である。
図4図3に続く図である。
図5】P4の手順完了を表す画像のデータを取得した制御部が、表示部に表示させた次の手順(動作)に関する画像を示す図である。
図6】コンディショニング動作の状況の画面を示す図である。
図7】QC測定動作の決定を促す画像を示す図である。
図8】QC測定動作の試料設定を示す図である。
図9】QC測定を行うか否かの最終決定を促す画像を示す図である。
図10】QC測定の結果、及びこの結果を承認するか否かの決定をユーザに促す画像を示す図である。
図11】検量線測定動作の決定を促す画像を示す図である。
図12】検量線測定結果を表す画像を示す図である。
図13】未知試料を設定、選択する動作の状況を示す図である。
図14】測定動作中の表示部の画面を示す図である。
図15図14に続く図である。
図16図14図15の画像を読み取って表示される画面を示す図である。
図17図14図15の画像を読み取って表示される別の画面を示す図である。
図18図17の画像を読み取って表示される画面を示す図である。
図19】測定結果の承認動作の決定を促す画像を示す図である。
図20】測定結果の印刷先を指定する画像を示す図である。
図21】測定結果の保存先を指定する画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る液体クロマトグラフ装置100の構成を示す図である。
液体クロマトグラフ装置100は、全体を制御するデータ処理装置(制御部)7、移動相(溶離液と溶媒の混合溶液)1、移動相1を送液するポンプ2、試料を注入するオートサンプラ3、成分を分離するカラム4、カラム4を恒温にするカラムオーブン5、分離された成分を検出する検出器6、表示部10を備える。
データ処理装置7は、分析を実行し分析結果を解析する制御部(CPU)9、分析結果または解析結果を保存する記憶部(ハードディスク等)8、ユーザ(作業者)が指示を入力するキーボード等の入力部22を有するコンピュータから構成される。表示部(モニタ)10は、分析結果や解析結果を表示する。
【0021】
又、データ処理装置7は図示しない外部インターフェース(USBポート等)を備え、この外部インターフェースに、外部の画像読取装置(バーコードリーダ)20が接続されている。
そして、制御部9は、画像読取装置20が読み取った画像(バーコード)のデータを取得することが可能である。
【0022】
検出器6は信号強度を検出する素子を有し、時間に対する信号強度を検出する。検出器として、検出素子を複数有し、複数波長において同時に取得可能な3次元検出器を用いることも可能である。
試料は、オートサンプラ3のインジェクタ(図示せず)から注入され、ポンプ2から送液される移動相1とともにカラム4を通過し、試料中の種々の成分に分離される。
成分に分離された試料は、検出器6で検出される。検出器6の信号はデータ処理装置7に送られてデータ処理が行われる。
カラム4は、移動相1中に存在する試料の成分を分離する分離部として一般的に使用される装置である。カラム4としては、充填型カラムやモノリスカラム等がある。カラム4のカラム充填剤としては、吸着型、分配型、イオン交換型等の種々のタイプのものを使用することができる。カラム4を恒温に保ち、再現性よく試料の分離ができるように、カラム4は、カラムオーブン5内に設置されていることが望ましい。
【0023】
試料を定量分析又は定性分析するため、記憶部8は、試料の種類毎の測定条件や、検量線データ等を記憶する。
又、記憶部8は、液体クロマトグラフ装置100の複数の動作に関する動作情報を記憶する。動作としては、例えば、移動相やカラム等の状態確認やメンテナンス、調整(コンディショニング)、測定の種類(QC測定、検量線測定、未知試料の測定)の選択や決定、測定条件の設定、再測定の有無の決定、測定結果の表示や確定、測定結果の出力や保存、が挙げられる。
【0024】
又、本例では各動作は、液体クロマトグラフ装置100の測定手順に関連づけられており、一の動作のユーザによる設定(決定、選択等)の結果に応じて、次にユーザが設定すべき動作が動作情報に割り当てられている。ユーザが設定した動作は、制御部9によって自動的に実行される。
具体的には、図2に示すように、本例では液体クロマトグラフ装置100の測定手順P4~P22が時系列的に動作情報として決められている。
まず、装置100の電源がON(起動)されると、最初の手順としてメンテナンス(始業点検)P4が行われ、続いて測定条件の設定(選択)P6、コンディショニングP8がこの順で行われる。
詳しくは後述するが、メンテナンスP4は、移動相やカラムの状態、廃液の量等の確認を動作の内容とする手順である。測定条件の設定(選択)P6は、試料の測定条件を設定することを動作の内容とする手順である。コンディショニングP8は、カラムに所定の溶液を流して平衡化させる前処理(準備)の手順であり、動作としてはコンディショニングを行うか否かの決定がある。
【0025】
コンディショニングP8に続き、QC測定(測定精度確認)P10は、標準試料を用いて所定の測定を行い、装置の測定精度が十分であるかを確認する手順であり、QC測定を行う標準試料を決定(選択)し、QC測定の実行及び再測定の要否を決定することを動作の内容とする。
QC測定P10に続き、標準試料による検量線測定P12は、標準試料を用いた検量線測定を行う手順であり、検量線測定を行う標準試料を決定することを動作の内容とする。
検量線測定P12に続き、未知試料の設定P14は、未知試料の登録や、測定条件の設定を動作の内容とする手順である。
未知試料の設定P14に続き、測定P16は、未知試料の測定の開始及び停止を決定することを動作の内容とする手順である。
【0026】
測定結果の表示P18は、未知試料の測定結果を表示する手順であり、表示したい測定を決定(選択)することを動作の内容とする。
データ処理条件の変更P20は、測定結果を求めるためのベースライン等の条件を変更する手順であり、これら条件を設定(選択)することを動作の内容とする。
測定結果の承認
・印刷・保存P22は、測定結果を正しいものとして承認したり、印刷したり、データとして保存する手順であり、承認の有無、印刷先のプリンタや保存先の指定(選択)を動作の内容とする。
【0027】
次に、図3図21を参照し、各手順における動作内容と、制御部9が行う処理について説明する。
まず、図2のメンテナンス(始業点検)P4手順、測定条件の設定(選択)P6手順に含まれる動作を図3図5により説明する。なお、それぞれ図3図4の左側は液体クロマトグラフ装置100の正面図、右側は表示部10の画面を示す。
図3に示すように、液体クロマトグラフ装置100の正面扉には、3つの画像110、112、114の印刷物が貼付されている。このうち、画像110は、図4の標準試料12及び図示しない廃液タンクを収容する左下扉に貼付され、画像112は、図4の移動相3を載置する棚の前面に貼付され、画像114は図4のカラム4を収容する右扉に貼付されている。
なお、本例では画像は二次元バーコードである。
【0028】
最初にユーザ(作業者)は、入力部22を操作して、液体クロマトグラフ装置100の起動を行う。この起動作業は、薬液や溶媒に触れる前であり、まだ手袋を着用する必要はないので入力部22を操作してよい。そして、起動後に手袋を着用することになる。
そして、起動後、ユーザは手袋を着用し、表示部10の画面から、装置100の正面扉に貼付された3つの画像110、112、114の画像読取装置20による読取りを促されることになる。ユーザは手袋を着用した状態で、画像読取装置20を把持する。
【0029】
具体的には、表示部10に「廃液タンクは空か」と表示されるので、ユーザは廃液タンクが収容された左下扉を開いて確認し、OKであれば画像110を画像読取装置20により読取る。これにより、制御部9は「廃液タンクは空」とみなして表示部10の「廃液タンクは空か」に確認済のチェックを表示する。
同様に、表示部10にそれぞれ「移動相はある」、「液漏れはないか」と表示されるので、ユーザはそれぞれ移動相容器1vが載置された棚を目視し、カラム4を収容する右扉を開いて確認し、OKであればそれぞれ画像112、114を画像読取装置20により読取る。これにより、制御部9は「移動相はある」、「液漏れはなか」とみなして表示部10の「移動相はある」、「液漏れはないか」に確認済のチェックを表示する。
【0030】
次に、制御部9は、上記前準備の動作に基づき、図4に示すように表示部10にさらに「カラム:C18」、「移動相:A」、「標準試料:CBZ20」を表示する。
ユーザは、この表示を視認し、それぞれカラム4、移動相容器1v、標準試料容器12に貼付された画像120、122a、122b、124を画像読取装置20により読取る。
制御部9は、読み取った各画像のデータが、「カラム:C18」、「移動相:A」、「標準試料:CBZ20」に適合するか否かを判定する。
具体的には、例えば今回の測定がカラムの種類「C18」を使用するよう設定されている場合に、画像120のデータが「C18」であるか否かを判定する。画像122a、122b、124も同様である。なお、本例では移動相容器1vは2種類(2つの容器)あり、画像122a、122bをともに読み取ることで、2種類の溶液を含む品番「A」との適否を判定する。
【0031】
各画像のデータが、「カラム:C18」、「移動相:A」、「標準試料:CBZ20」に適合する場合、制御部9は表示部10の「カラム:C18」、「移動相:A」、「標準試料:CBZ20」に確認済のチェックを表示する。
又、制御部9は、これによりメンテナンス(始業点検)P4手順が完了したとみなし、表示部10に、ユーザにP4の手順完了の承認を促す「確認完了」の表示の近傍に画像126を表示させる。
ユーザは、画像126を画像読取装置20により読取る。これにより制御部9は、P4の手順完了と判断して、次の手順P6(図2参照)に含まれる動作情報を記憶部8から読み出す。
一方、ユーザが画像126を画像読取装置20により所定時間内に読取れなかった場合、制御部9は、メンテナンスが終了していないと判断し、画像120、122a、122b、124の読み込みを促す画面(図3図4の右側)を表示部10に再表示させる。
【0032】
以上のように、液体クロマトグラフ装置100の起動後に、装置100(制御部9)が行う動作をユーザが設定する際、表示部10に表示された画像を画像読取装置20により読取って行えばよい。
具体的には、図3図4のように、ユーザが画像110~124を画像読取装置20により読取ると、制御部9はこれらに対応してユーザが設定する動作として、表示部10に「確認完了」を選択させる画像126を表示させる。これにより、ユーザは「確認完了」の画像126を読み込めば次の手順P6に進めることができ、一方で画像126を読み込まなければ前の手順P4に戻すことができる。その結果、装置が起動後の動作が一律に決められることなく、装置100の状態(メンテナンス不足)等に応じて装置が行う動作を変更できる。
【0033】
又、制御部9は、画像110~124から取得した情報に応じてユーザが設定する次の動作を画像126として表示部10に表示させる。これにより、起動後に手袋を着用したユーザは、画像読取装置20のみを把持して画像126の読取り作業を行えば済み、動作を指示する都度手袋を外してキーボードやマウス等の入力装置22を操作しなくてよく、又、これら入力装置22に薬液や試料等が付着することも回避できるので、作業性や安全性を向上できる。
なお、画像読取装置20は、装置100に外付けで接続されるので、薬液や試料等が付着しても測定終了後に装置100から取り外して容易に洗浄等できる。
【0034】
標準試料容器12、カラム4、移動相容器1vが特許請求の範囲の「部材」に相当する。又、画像120、122a、122b、124が特許請求の範囲の「部材に関する情報を含む画像」に相当する。
「カラム:C18」、「移動相:A」、「標準試料:CBZ20」が特許請求の範囲の「部材の設定情報」に相当する。
このように、画像110~124を上記部材の近傍に表示することで、液体クロマトグラフ装置100の各部材の状態をユーザが画像読取装置20により読取ることができ、手袋を外す必要がなくなる。
【0035】
以下、P6以降の手順に含まれる動作について説明するが、発明の趣旨と効果はP4の手順及び動作と同様である。
【0036】
図5は、P4の手順完了を表す画像126のデータを取得した制御部9が、表示部10に表示させた、次の手順(動作)である「測定条件の設定(選択)P6」に関する画像130~134である。
具体的には、測定する試料(化合物)の種類として、CBZ,PHT,LTGの3種があり、それぞれの表示部位の近傍にそれぞれ画像130、132、134が表示されている。
そして、ユーザは、画像130、132、134の中から、測定したい試料の画像を画像読取装置20により読取る。
【0037】
制御部9は、ユーザが読取った画像から、測定する試料(化合物)の種類を認識し、次の手順P8(図2参照)に含まれる動作情報を記憶部8から読み出す。
具体的には、図6に示すように、コンディショニングP8の動作として、制御部9は、コンディショニングを行うか否かの決定を促す画像140を表示部10に表示させる。
ユーザは、コンディショニングを行いたい場合は画像140を画像読取装置20により読取り、制御部9は、コンディショニング動作を実行する。
図6の左側は、表示部10に表示された画像140を示し、右側は、画像140が読み取られた場合に制御部9が表示部10に表示させるコンディショニング動作の状況の画面である。
次に、上述のようにユーザが画像140を画像読取装置20により読取ることで、制御部9は、手順(動作)を実行し、さらに次の手順P10(図2参照)に含まれる動作情報を記憶部8から読み出す。
具体的には、図7に示すように、QC測定(測定精度確認)P10の動作として、制御部9は、QC測定を行うか否かの決定を促す画像150を表示部10に表示させる。
ユーザは、QC測定を行いたい場合は画像150を画像読取装置20により読取り、次に制御部9は、図8にてユーザが行う動作(QC測定試料の設定、選択)を促す画面(以下、「試料設定画面」)を表示部10に表示させる(図示を省略)。
【0038】
図8に示すように、ユーザは、QC測定試料容器14の設置位置(左から2つ目)となる標準ラック(ホルダ)16側面に貼付された印刷物の画像152aを、画像読取装置20により読取る。さらに、ユーザは、QC測定試料容器14のバイアル外面に貼付された印刷物の画像152bを画像読取装置20により読取り、QC測定試料容器14を標準ラック16の設置位置(左から2つ目)に設置する。
画像152aにより、制御部9は、標準ラック16におけるQC測定試料容器14の設置位置を取得する。さらに、画像152bにより、制御部9は、QC測定をする試料の種類(本例では「QC」)を認識する。これにより、どのような種類のQC測定試料をオートサンプラ3のどの位置から採取すればよいかを自動的に認識でき、設定ミスを防止できる。
【0039】
さらに、画像152a、152bを取得すると、制御部9は、図9に示すようにQC測定を行うか否かの最終決定を促す画像154を表示部10に表示させる。
そして、ユーザが画像154を画像読取装置20により読取ると、制御部9は、QC測定の動作を実行する。
ここで、QC測定試料容器14、標準ラック16が特許請求の範囲の「部材」に相当する。又、画像152a、152bが特許請求の範囲の「部材に関する情報を含む画像」に相当する。
画像152aに含まれる標準ラック16における試料位置(本例では左から2つ目)、及び画像152bに含まれるQC測定試料の種類(本例では「QC」)が特許請求の範囲の「部材の設定情報」に相当する。
【0040】
このように、画像152a、152bを読み取ることで、制御部9は、測定をする試料の種類及び試料容器のラック内の位置を自動的に取得してオートサンプラ3による試料採取を行える。
【0041】
さらに図10に示すように、QC測定が終了すると、制御部9は測定結果を表示部10に表示させると共に、この結果を承認するか否かの決定をユーザに促す画像156を表示部10に表示させる。
そして、ユーザが画像156を画像読取装置20により読取ると、制御部9は、QC測定が終了したと判断し、さらに次の手順P12(図2参照)に含まれる動作情報を記憶部8から読み出す。
一方、ユーザが画像156を画像読取装置20により所定時間内に読取れなかった場合、制御部9は、QC測定を再測定したいと判断し、図8のQC測定試料の選択を促す画面を表示部10に再表示させる(図示を省略)。
【0042】
又、QC測定が正常に行われなずにエラー(異常値検出等)の場合には、制御部9は、図9の画像154を再表示し、再測定を行うことをユーザに促す。
【0043】
これにより、ユーザは「QC測定終了」の画像156を読み込めば次の手順P12に進めることができ、一方で画像156を読み込まなければ前の手順P10に戻すことができる。その結果、装置100の状態(QC測定の終了の有無)等に応じて装置が行う動作を変更できる。
又、ユーザは「QC測定終了」の有無の設定に、画像読取装置20のみを把持して画像156の読取り作業を行えば済み、動作を指示する都度手袋を外す必要がない。
【0044】
次に、画像156を読取ることで、制御部9は次の手順P12(図2参照)に含まれる動作情報を記憶部8から読み出す。
具体的には、図11に示すように、標準試料を用いた検量線測定P12の動作として、制御部9は、検量線測定を行うか否かの決定を促す画像160を表示部10に表示させる。
ユーザは、検量線測定を行いたい場合は画像160を画像読取装置20により読取り、制御部9は、次にユーザが行う動作(検量線測定試料の設定、選択)を促す「試料設定画面」又は、次の動作を示す画像を表示部10に表示させる(図示を省略)。
【0045】
なお、図11において、コンディショニング、QC測定、及び検量線測定は、時系列的に並ぶ動作(手順)P8~P12である。
そして、図11に示すように、制御部9は、ユーザが行うよう検量線測定の選択動作を、画像160として表示部10に表示させると共に、当該動作と時系列的に前後するコンディショニング、QC測定を、画像160の近傍に読取り不能に(つまり画像を表示させずに、「コンディショニング、QC測定」という項目のみを)表示する。
これにより、検量線測定の設定画像160において、誤ってコンディショニングやQC測定を設定することを防止できる。
【0046】
ユーザは、検量線測定をする試料を設定、選択するため、QC測定と同様、図8の標準ラック16の検量線測定試料容器(図示せず)の設置位置(本例では、左から3つ目の「CBZ」の位置)に貼付された印刷物の画像162aを、画像読取装置20により読取る。さらに、ユーザは、検量線測定試料容器のバイアル外面に貼付された印刷物の画像(図示せず)を、画像読取装置20により読取る。
次に、制御部9は、図9のQC測定と同様、検量線測定を行うか否かの最終決定を促す画像(図示せず)を表示部10に表示させる。そして、ユーザがその画像を画像読取装置20により読取ると、制御部9は、検量線測定の動作を実行する。
【0047】
さらに図12に示すように、検量線測定が終了すると、制御部9は測定結果を表す画像164を表示部10に表示させる。画像164は色によって測定結果が正常(黒色)かエラー(赤色)かを表し、この結果を承認するか否かの決定をユーザに促す画像でもある。。測定結果がエラーとは、例えば予め濃度既知の標準試料のピーク面積等として妥当な値を規定しておき、測定値がこの範囲外である場合が挙げられる。
そして、ユーザが画像164を画像読取装置20により読取ると、制御部9は、検量線測定が終了したと判断し、さらに次の手順P14(図2参照)に含まれる動作情報を記憶部8から読み出す。
一方、ユーザが画像164を画像読取装置20により所定時間内に読取れなかった場合、制御部9は、検量線測定を再測定したいと判断し、上述の検量線測定試料の選択を促す画面を表示部10に再表示させる(図示を省略)。
又、検量線測定が正常に行われなずにエラー(異常値検出等)の場合には、制御部9は、図11の画像160を再表示し、再測定を行うことをユーザに促す。
【0048】
未知試料の設定P14では、まず、制御部9はユーザが行う動作(未知試料の設定、選択)を促す「試料設定画面」を表示部10に表示させる(図示を省略)。
【0049】
ユーザは、未知試料を設定、選択するため、QC測定と同様、図13の未知試料ラック30の未知試料容器31の設置位置(本例では、左から2つ目)に貼付された印刷物の画像170を、画像読取装置20により読取る。さらに、ユーザは、未知試料容器31のバイアル外面に貼付された印刷物の画像172を、画像読取装置20により読取る。
次に、制御部9は、図9のQC測定と同様、未知試料測定を行うか否かの最終決定を促す画像(図示せず)を表示部10に表示させる。そして、ユーザがその画像を画像読取装置20により読取ると、制御部9は、未知試料測定の動作を実行する。
【0050】
ここで、未知試料ラック30、未知試料容器31が特許請求の範囲の「部材」に相当する。又、画像170,172が特許請求の範囲の「部材に関する情報を含む画像」に相当する。
画像170に含まれる未知試料ラック30における試料位置(本例では左から2つ目)、及び画像172に含まれる未知試料の種類やその測定条件(本例では「UNK123」とその測定条件)が特許請求の範囲の「部材の設定情報」に相当する。
【0051】
このように、画像170,172を読み取ることで、制御部9は、測定をする試料の種類及び試料容器のラック内の位置を自動的に取得してオートサンプラ3による試料採取を行える。
又、図13に示すように、本例では、画像170を読み取ると、制御部9は、測定をする試料の試料容器のラック内の位置(「バイアル位置2」)を表示した試料設定画面11を表示部10に表示させる。そして、画像172を読み取ると、制御部9は、試料設定画面11内に、画像172の情報である未知試料の種類(本例では「UNK123」)を表示する。
これにより、未知試料設定情報をユーザが認識し易くなる。
【0052】
さらに、試料設定画面11には、未知試料の設定を承認する「設定」画像174aと、未知試料の設定をキャンセルする「キャンセル」画像174bが表示される。ユーザが画像174aを読み取ることで、制御部9は、未知試料の設定が承認されたと判断し、さらに次の手順P16(図2参照)に含まれる動作情報を記憶部8から読み出す。
一方、ユーザが174bを画像読取装置20により読取った場合、制御部9は、未知試料を再測定したいと判断し、現在(「バイアル位置2」)の設定情報を削除し、上述の試料設定画面」を表示部10に再表示させる(図示を省略)。
【0053】
これにより、ユーザは画像174aを読み込めば次の手順P16に進めることができ、一方で画像174bを読み込けば再設定をすることができる。その結果、装置が行う動作を変更できる。
なお、一般に、未知試料ラック30の複数の試料位置にそれぞれ別の未知試料容器31を先に設置して設定した後、次の手順P16である「測定」を複数の未知試料容器31について順番に行う。
そこで、図13の設定では、例えば「バイアル位置2」の設定を画像174aの読取りで承認すると、次の「バイアル位置3」の設定が表示部10の画面に促され、ユーザは「バイアル位置3」の設定を同様に行う。そして、未知試料ラック30のすべての設置位置(図13では5つ)の設定が終了すると、最後の「バイアル位置5」の設定を承認した時点で次の手順P16である「測定」に移行すればよい。
【0054】
図14は、「測定」動作中の表示部10の画面12を示す。図13の未知試料ラック30の各バイアル位置(図13では、バイアル位置1:一番左)を示す各丸囲み部12aの「1」から順に「5」まで自動で測定を行う。
なお、画面12にて、測定終了した試料については、その丸囲み部12a内に画像12bが表示される。
同様に、図15は、バイアル位置1~3まで測定終了し、バイアル位置4の測定中を表す。
【0055】
なお、図14図15の測定中の試料につき表示される画像12d、13dを読み取ると、図16の画面14が表示部10に表示される。
画面14では、測定の停止画像14a、及び一時停止画像14bが表示され、いずれかを読み取ることで、測定の停止又は一時停止をすることができる。又、画像14a若しくは画像14bを再度読み取ると、測定の停止又は一時停止を解除することができる。
測定が終了すると、画像12d、13dは消え、丸囲み部12a、13a内に画像12b,13bが表示される。
【0056】
図17は、画面15にて、測定終了したバイアル位置3の試料の画像15bを読み取った状態を示す。画像15bは、画像12b、13bと同様である。
画像15bを読み取ると、表示部10の画面15上、又は別画面に、バイアル位置3の試料の測定結果のクロマトグラを示す画面16が表示される。
つまり、画像15bを読み取ると、測定結果の表示P18手順に移行するようになっている。
なお、画像15bは色によって測定結果が正常(黒色)かエラー(赤色)かを表している。測定結果がエラーとは、例えばその試料について予め妥当な濃度の範囲を規定しておき、測定結果がこの範囲外である場合が挙げられる
又、図17の画像15bは測定結果が正常(黒色)を示す。
【0057】
一方、図18は、図17の画像15bの測定結果がエラー(赤色)の場合に、この画像15bを読み取ったときに表示される画面16を示す。
液体クロマトグラフは、液体である移動相によって移動する試料をカラムで分離するため、検出時間が長く(ピーク検出範囲が広く)、移動相及び検出器のノイズやドリフトの影響を受けやすい。
そして、液体クロマトグラフの分離分析では分離された成分のピーク検出が重要であるが、ノイズやドリフトが生じると、予め指定したピーク検出のデータ処理条件が実際の測定状況と一致せずに、ピーク判定が正しくない場合がある。
【0058】
そこで、図18において、測定結果のクロマトグラのピーク付近に画像16aを表示させ、ベースライン付近に画像16bを表示させ、ピークから算出された試料濃度の表示部付近に画像16cを表示させている。
なお、エラーの画像15bを読み取ると、測定結果の表示P18手順、データ処理条件の変更P20に同時に移行するようになっている。
【0059】
例えば、ユーザがベースラインを変更したい場合、画像16bを読み取ると、「ベースライン検出改善」の画像16eが画面16Xに表示される。そして、画像16eを読み取ると、ベースライン検出条件が変更されたクロマトグラが画面16に表示されるとともに、変更したベースライン検出条件Aが参考のため画面16Xに表示される。
この変更をすると、測定結果の承認P22の手順に移行し、図19に示す承認画面17が表示される。承認画面17に表示された画像17aをユーザが読み取ると、変更後の測定結果が正しいものとして承認される。
なお、図17のように測定結果が正常(黒色)の画像15bを読み取って測定結果の画面16が表示されると、承認P22の手順に移行し、図19の承認画面17が同様に表示される。
【0060】
又、測定結果の画面16が表示された後、承認画面17に表示された画像17aをユーザが読み取ると、制御部9は、その後の測定結果の変更(例えば、画面16の画像16a等を表示させてベースライン検出条件を変更する等)を禁止するように制御してもよい。
又、画像17aをユーザが読み取ると、上述の変更禁止の処理と共に、制御部9は、承認された測定結果を自動的に出力するようにしてもよい。この出力は、以下の印刷、データの保存等が挙げられる。
【0061】
このようにして、測定された試料の測定結果が承認されるが、手順P22にて、この測定結果を印刷したり、データとして保存する場合は、図20図21のように行うことができる。
図20に示すように、3つのプリンタにはそれぞれ印刷された画像18a~18cが貼付されている。又、図21に示すように、ハードディスク及びUSBメモリには、それぞれ印刷された画像19a~19bが貼付されている。上記プリンタ、ハードディスク及びUSBメモリは液体クロマトグラフ装置100のコンピュータに直接又はネットワーク等を介して接続されている。
そして、測定結果を印刷したい場合は、画像18a~18cのいずれかを読み取って印刷先のプリンタを指定すればよい。測定結果をデータとして保存したい場合は、画像19a~19bのいずれかを読み取って保存先を指定すればよい。
【0062】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、動作情報は上記に限られない。
画像は二次元バーコード等のバーコードが挙げられ、画像読取装置はバーコードリーダが挙げられるが、これらに限定されない。
【符号の説明】
【0063】
1v 移動相容器
4 カラム
8 記憶部
9 制御部
10 表示部
12、14、31 試料容器
16,30 ホルダ
20 画像読取装置
12a~12d、13a~13d、14a、14b、15a、15b、16a~16e、17a、18a~18c、19a~19b、110、112、114、120、122a、122b、124、126、130~134、140、150、152a、152b、154、156、160、162a、164、170、172、174a、174b、 読取り可能な画像
100 液体クロマトグラフ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21