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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】光ファイバプローブおよび医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/067 20060101AFI20240813BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20240813BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240813BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20240813BHJP
   G02B 6/04 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A61N5/067
A61B18/20
G02B6/02 421
G02B6/02 461
G02B6/036
G02B6/04 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020092695
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021186105
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 俊一
(72)【発明者】
【氏名】八木 健
(72)【発明者】
【氏名】樋村 敦司
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533990(JP,A)
【文献】実開平04-128762(JP,U)
【文献】特開平01-141671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0282404(US,A1)
【文献】米国特許第05303324(US,A)
【文献】米国特許第07344528(US,B1)
【文献】特開2012-118560(JP,A)
【文献】特開2011-104199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/067
A61B 18/20
G02B 6/02
G02B 6/036
G02B 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと、
前記光ファイバの先端部としての拡散部を内部に収容する穿刺針と、
を備え、
前記拡散部は、前記光ファイバを伝搬した光が徐々に漏洩し、前記光ファイバから拡散して放出される部分であり、
前記光ファイバは、前記先端部の先端面および外周面のそれぞれにおいて、前記穿刺針の外側領域との間で光を入出力する光入出力部を有し、
前記穿刺針は、前記内部と前記外側領域とに連通する開口部を有し、
前記開口部は、前記穿刺針の先端および外周のそれぞれに設けられており、
前記光ファイバの先端面に在る前記光入出力部は、前記穿刺針の先端に設けられた前記開口部に面し
前記光ファイバの外周面に在る前記光入出力部は、前記穿刺針の外周に設けられた前記開口部に面している
光ファイバプローブ。
【請求項2】
前記光ファイバは、コア部と、前記コア部の外周を取り囲むクラッド部と、前記クラッド部の外周を取り囲む被覆部を有する
請求項1に記載の光ファイバプローブ。
【請求項3】
複数の前記開口部が前記穿刺針の外周に設けられている
請求項に記載の光ファイバプローブ。
【請求項4】
複数の前記開口部は前記穿刺針の軸心回りの位置が互いに異なる
請求項に記載の光ファイバプローブ。
【請求項5】
前記穿刺針は前記光に対して透明な材質からなる
請求項1~のいずれか一つに記載の光ファイバプローブ。
【請求項6】
前記光ファイバは複数のコア部を有し、
前記複数のコア部のそれぞれに対応する光入出力部は、前記光ファイバの長手方向において互いに位置が異なる
請求項1~のいずれか一つに記載の光ファイバプローブ。
【請求項7】
前記光ファイバはマルチコア光ファイバである
請求項に記載の光ファイバプローブ。
【請求項8】
前記光ファイバはバンドル型光ファイバである
請求項に記載の光ファイバプローブ。
【請求項9】
前記光ファイバはダブルクラッド型光ファイバである
請求項1~のいずれか一つに記載の光ファイバプローブ。
【請求項10】
前記光ファイバの先端面は光軸に対して傾斜している
請求項1~のいずれか一つに記載の光ファイバプローブ。
【請求項11】
前記穿刺針のゲージサイズは21G以下である
請求項1~10のいずれか一つに記載の光ファイバプローブ。
【請求項12】
前記光ファイバの外径は、前記穿刺針の内部に収容される部分において480μm以下である
請求項1~11のいずれか一つに記載の光ファイバプローブ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一つに記載の光ファイバプローブと、
前記光ファイバの基端側において前記光ファイバのコア部と光学的に結合する光電部と、
を備える医療装置。
【請求項14】
前記光電部は発光装置および受光装置の少なくとも一つを有する
請求項13に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバプローブおよび医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の技術として、光線力学的な治療法(Photodynamic Therapy:PDT)や診断法(Photodynamic Diagnosis:PDD)また、光免疫療法(Photoimmuno Therapy:PIT)が知られている。PDTやPDDでは、特定の光感受性の薬剤が、腫瘍や新生血管などの特定の生体組織に対して特異な集積性を有することを利用している。なお、生体組織は、以下単に組織と略記する場合がある。
【0003】
PDTやPITでは、患者に特定の薬剤を投与した後、組織に集積した薬剤に治療用の波長400nm~800nmの範囲の光を照射して光励起し、たとえばPDTでは一重項酸素(活性酸素の一種)を発生させ、その一重項酸素によって組織の細胞を変性または壊死させることによって、PITでは光励起した薬剤が組織の細胞と化学反応を起こして壊死させることによって、治療を行う。一方、PDDでは、患者に特定の薬剤を投与した後、組織に集積した光感受性物質に励起光を照射して光励起し、光感受性物質が緩和時に発する蛍光を観測することによって診断を行う。
【0004】
PDTやPDDを実行する場合、光ファイバプローブや内視鏡カメラを用いる方法が知られている。たとえば、PDTやPITの場合、光ファイバプローブの光ファイバの先端から治療用の光をスポット照射したり、光ファイバの外周面から光を拡散照射したりする構成が知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-624号公報
【文献】米国特許第10295719号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
公知の技術では、組織の表面から治療用の光を照射したり、組織の表面からの蛍光を観察したりしているので、組織の深部に腫瘍などの病変がある場合には、その治療や診断が困難である。たとえば、治療用の光の波長が630nm~670nmの場合、組織への深達深さは表層から5mm程度である。しかし、深部の治療や診断のために組織の一部を切除して深部を露出させることは、侵襲性の点で問題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、組織の深部に対して低侵襲性にて光線力学的な治療や診断をすることができる光ファイバプローブおよび医療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、光ファイバと、前記光ファイバの先端部を内部に収容する穿刺針と、を備え、前記光ファイバは、前記先端部の少なくとも一部において、前記穿刺針の外側領域との間で光を入出力する光入出力部を有する光ファイバプローブである。
【0009】
前記光ファイバは、コア部と、前記コア部の外周を取り囲むクラッド部と、前記クラッド部の外周を取り囲む被覆部を有するものでもよい。
【0010】
前記穿刺針は、前記内部と前記外側領域とに連通する開口部を有し、前記光入出力部は前記開口部に面しているものでもよい。
【0011】
前記光入出力部は前記光ファイバの先端面であり、前記開口部は前記穿刺針の先端に設けられているものでもよい。
【0012】
前記光入出力部は前記光ファイバの外周面に在り、前記開口部は前記穿刺針の外周に設けられているものでもよい。
【0013】
複数の前記開口部が前記穿刺針の外周に設けられているものでもよい。
【0014】
前記複数の開口部は前記穿刺針の軸心回りの位置が互いに異なるものでもよい。
【0015】
前記穿刺針は前記光に対して透明な材質からなるものでもよい。
【0016】
前記光ファイバは複数のコア部を有し、前記複数のコア部のそれぞれに対応する光入出力部は、前記光ファイバの長手方向において互いに位置が異なるものでもよい。
【0017】
前記光ファイバはマルチコア光ファイバであるものでもよい。
【0018】
前記光ファイバはバンドル型光ファイバであるものでもよい。
【0019】
前記光ファイバはダブルクラッド型光ファイバであるものでもよい。
【0020】
前記光ファイバの先端面は光軸に対して傾斜しているものでもよい。
【0021】
前記穿刺針のゲージサイズは21G以下であるものでもよい。
【0022】
記光ファイバの外径は、前記穿刺針の内部に収容される部分において480μm以下であるものでもよい。
【0023】
本発明の一態様は、前記光ファイバプローブと、前記光ファイバの基端側において前記コア部と光学的に結合する光電部と、を備える医療装置である。
【0024】
前記光電部は発光装置および受光装置の少なくとも一つを有するものでもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、組織の深部に対して低侵襲性にて光線力学的な治療や診断をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態1に係る医療装置の模式的な構成図である。
図2図2は、図1に示す医療装置の動作を説明する模式図である。
図3図3は、光ファイバプローブの第1変形例の模式図である。
図4図4は、光ファイバプローブの第2変形例の模式図である。
図5図5は、実施形態2に係る医療装置の模式的な構成図である。
図6図6は、図5に示す光ファイバプローブの模式図である。
図7図7は、図5に示す医療装置の動作を説明する模式図である。
図8図8は、光ファイバプローブの第3変形例の模式図である。
図9図9は、光ファイバプローブの第4変形例の模式図である。
図10図10は、光ファイバプローブの第5変形例の模式図である。
図11図11は、光ファイバプローブの第6変形例の模式図である。
図12図12は、光ファイバプローブの第7変形例の模式図である。
図13図13は、実施形態3に係る医療装置の模式的な構成図である。
図14図14は、図13に示す医療装置の動作を説明する模式図である。
図15図15は、実施形態4に係る医療装置の模式的な構成図である。
図16図16は、図15に示す光ファイバプローブの構成と医療装置の動作とを説明する模式図である。
図17図17は、実施形態5に係る医療装置の模式的な構成図である。
図18図18は、図17に示す医療装置の動作を説明する模式図である。
図19図19は、実施形態6に係る医療装置の模式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する構成要素には適宜同一の符号を付している。
【0028】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る医療装置の模式的な構成図である。この医療装置100は、たとえばPDTやPDDを実行する装置であり、光ファイバプローブ10と、接続光ファイバ20と、光電装置30とを備える。
【0029】
光ファイバプローブ10は、光ファイバ11と、穿刺針12とを備える。なお、説明のために穿刺針12は透明に表している。光ファイバ11は、1つのコア部と、コア部の外周を取り囲むクラッド部と、クラッド部の外周を取り囲む被覆部とを有する、いわゆるシングルコアの光ファイバである。光ファイバ11は、たとえばマルチモード光ファイバであるが、シングルモード光ファイバでもよい。また、光ファイバ11のコア部およびクラッド部の材質は、ガラスでもよいし、プラスチックなどの樹脂でもよいし、一部がガラスであり、その他の部分が樹脂であってもよい。被覆部の材質は樹脂でもよい。
【0030】
穿刺針12は、中空円筒状であり、組織に刺せるように先端が刃状になっている。穿刺針12のサイズは特に限定されないが、たとえばゲージサイズが21G以下であれば好ましい。なお、21Gの穿刺針のサイズは、外径0.81±0.02mm、内径0.51±0.03mmである。穿刺針12の材質は、金属や樹脂でもよい。金属としては、ステンレス鋼、チタン合金、コバルト・モリブデン含有合金などが例示される。また、樹脂としては、透明性ポリプロピレン、透明性ABS樹脂,ポリカーボネート、PMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂)、PSU(ポリサルフォン)、PES(ポリエーテルサルフォン)、PPSU(ポリフェニルスルホン)、PMP(ポリメチルペンテン)、COP(シクロオレフィンポリマー)などが例示される。
【0031】
中空円筒状である穿刺針12は、その内部に光ファイバ11の先端部を収容する。したがって、光ファイバ11の外径は、少なくとも穿刺針12の内部に収容される部分において、穿刺針12の内径よりも小さく、たとえば480μm以下である。穿刺針12はたとえば接着剤などで光ファイバ11に固定されている。なお、光ファイバ11の先端部とは、光ファイバ11の長手方向の一方の端部における先端面から所定の長さの部分である。また、光ファイバ11の先端面ではコア部およびクラッド部は露出している。光ファイバ11の被覆部は、少なくとも穿刺針12の内部に収容されている部分以外の部分、たとえば光ファイバ11の基端から穿刺針12に収容される部分の一部までに設けられており、光ファイバ11のコア部およびクラッド部を保護する。
【0032】
接続光ファイバ20は、光ファイバプローブ10と光電装置30とを接続する光ファイバである。接続光ファイバ20は、光ファイバプローブ10の長手方向の他方の端部である基端部にコネクタ等で光学的に接続されている。接続光ファイバ20は、たとえば光ファイバ11と同じ種類の光ファイバである。
【0033】
光電装置30は、光電部31と、光結合部32と、制御部33とを備える。光電部31は、光エネルギーと電気エネルギーとを相互に変換する機能を有する。光電部31はたとえば光を出力する発光装置、および光を受光する受光装置の少なくとも一方を含む。発光装置はたとえばレーザ装置を含む。レーザ装置は、固体レーザ装置、色素レーザ装置、半導体レーザ装置などから適宜選択できる。受光装置は、フォトダイオード、フォトダイオードアレイ、CCD、CMOSなどから適宜選択できる。光結合部32は、接続光ファイバ20と光電部31とを光学的に結合させる機能を有する。光結合部32は空間光学系や光ファイバなどを含んで構成されている。制御部33は、たとえばマイクロコンピュータを含んで構成されており、光電部31の発光または受光の動作を制御したり、受光により発生する電流信号を受信し、受光状態の情報を得るための演算処理を行ったりする。なお、光電装置30は、オペレータが光電装置30の動作を操作するための入力装置や、光電装置30の動作状態などを表示する表示装置を備えていてもよい。
【0034】
つぎに、医療装置100がPDTを実行する装置である場合の動作について、図2を参照して説明する。なお、医療装置100がPDTを実行する装置である場合、光電部31は発光装置を含む。
【0035】
まず、PDTの対象である患者には、たとえばポルフィマーナトリウムやタラポルフィンナトリウムなどの、光感受性の薬剤が静脈投与される。薬剤はたとえば悪性腫瘍に集積する。
【0036】
つづいて、薬剤が悪性腫瘍に停滞している期間に、図2に示すように、光ファイバプローブ10を、気管支などの管腔臓器から患者に体内に侵入させて、部位Pに到達させ、穿刺針12を部位Pに穿刺する。部位Pには病変として悪性腫瘍Cが深部に存在する。なお、ガイドワイヤを用いると光ファイバプローブ10の侵入や到達や穿刺が容易である。
【0037】
つづいて、薬剤が悪性腫瘍Cに停滞している期間に、医療装置100の制御部33により光電部31を動作させて治療光を発光させる。治療光の波長は薬剤の種類によって選択されるが、たとえば波長600nm~800nmの赤色光である。光結合部32は治療光を接続光ファイバ20に結合させる。接続光ファイバ20は治療光を光ファイバプローブ10の光ファイバ11に出力する。
【0038】
図2に矢印で示す治療光が、光ファイバ11の長手方向における基端側から入力されると、光ファイバ11は治療光を先端側に伝搬させ、先端面から出力する。穿刺針12は中空円筒状であり、先端に開口部を有する。この開口部は、穿刺針の内部と外側領域とに連通する開口部の一例である。治療光は、この開口部から穿刺針12の外側領域に出力されて悪性腫瘍Cに到達し、悪性腫瘍Cの細胞を変性または壊死させる。光ファイバ11の先端面は先端部の一部であって、開口部に面している光入出力部の一例である。すなわち、光ファイバプローブ10では、穿刺針12の内部に収容された光ファイバ11の先端面が、穿刺針12の外側領域との間で光を入出力する光入出力部となっている。
【0039】
以上のように構成された、光ファイバプローブ10を備える医療装置100では、光ファイバプローブ10において、光ファイバ11が、穿刺針12の外側領域との間で光を入出力する光入出力部を有する。これにより、穿刺針12を部位Pに穿刺して深部に在る悪性腫瘍Cに治療光を照射させることができる。その結果、部位Pの一部を切除すること無く治療ができるので、低侵襲性の観点から良好である。また、光ファイバ11は穿刺針12に収容されることによって保護されているので、光ファイバ11を直接に部位Pに穿刺する場合などと比較して光ファイバ11の折損をきわめて抑制しつつ穿刺ができ、かつ穿刺をスムーズに行うことができる。
【0040】
また、光ファイバプローブ10では、穿刺針12が開口部を有し、光ファイバ11の光入出力部が開口部に面している。これにより穿刺針12が不透明な材質であっても治療光の照射を行うことができるので、材質の選択の自由度が高い。また、光入出力部が光ファイバ11の先端面であり、開口部が穿刺針12の先端に設けられた簡易な構成であるので、光ファイバプローブ10を容易に作製することができる。
【0041】
(第1変形例)
つぎに、医療装置100において光ファイバプローブ10に置き換えて用いることができる光ファイバプローブの変形例について説明する。図3は、光ファイバプローブの第1変形例の模式図である。この第1変形例に係る光ファイバプローブ10Aは、光ファイバ11Aと、穿刺針12Aとを備える。なお、説明のために穿刺針12Aは透明に表している。
【0042】
光ファイバ11Aは、1つのコア部と、コア部の外周を取り囲むクラッド部と、クラッド部の外周を取り囲む被覆部とを有する、シングルコアの光ファイバである。また、光ファイバ11Aは、拡散光ファイバと呼ばれる種類の光ファイバである。すなわち、光ファイバ11Aは、先端部として拡散部11Aaを有する。拡散部11Aaは、被覆部が除去されてクラッド部が露出した部分であり、コア部を伝搬した光が徐々に漏洩し、クラッド部から拡散して放射される部分である。拡散部11Aaの外周面は、光ファイバの外周面に在る光入出力部の一例である。なお、光ファイバ11Aは、たとえばマルチモード光ファイバであるが、シングルモード光ファイバでもよい。また、光ファイバ11Aのコア部、クラッド部および被覆部の材質は、光ファイバ11と同様でよい。
【0043】
穿刺針12Aは、中空円筒状であり、組織に刺せるように先端が刃状になっているとともに、開口部12Aaが外周に設けられている。開口部12Aaは、穿刺針12Aの長手方向に沿ってスリット状に設けられている。なお、開口部12Aaは、図示する位置とは違う位置にあってもよい。穿刺針12Aは、その内部に光ファイバ11Aの先端部としての拡散部11Aaを収容する。穿刺針12Aのサイズは特に限定されないが、たとえばゲージサイズが21G以下であれば好ましい。穿刺針12Aの材質は、穿刺針12と同様でよい。
【0044】
この光ファイバプローブ10Aによれば、穿刺針12Aを部位PAに穿刺して、穿刺針12Aの前方および側方に在る悪性腫瘍CA1、CA2に、矢印で示した治療光を照射することができる。また、光ファイバプローブ10Aによれば、光ファイバプローブ10を用いる場合と同様に、低侵襲性の観点から良好であり、かつ光ファイバ11Aの折損をきわめて抑制しつつ穿刺ができ、かつ穿刺をスムーズに行うことができる。
【0045】
(第2変形例)
図4は、光ファイバプローブの第2変形例の模式図である。この第2変形例に係る光ファイバプローブ10Bは、光ファイバプローブ10Aにおいて穿刺針12Aを穿刺針12Bに置き換えた構成を有する。なお、説明のために穿刺針12Bは透明に表している。図4(a)は光ファイバプローブ10Bの全体構成を示し、図4(b)は穿刺針12Bの側面図を示す。
【0046】
穿刺針12Bは、中空円筒状であり、組織に刺せるように先端が刃状になっているとともに、複数の開口部12Ba、12Bb、12Bc、12Bdが外周に設けられている。開口部12Ba、12Bb、12Bc、12Bdは、穿刺針12Bの軸心回りの位置が互いに異なる。穿刺針12Bは、その内部に光ファイバ11Aの先端部としての拡散部11Aaを収容する。穿刺針12Bのサイズは特に限定されないが、たとえばゲージサイズが21G以下であれば好ましい。穿刺針12Bの材質は、穿刺針12と同様でよい。
【0047】
この光ファイバプローブ10Bによれば、穿刺針12Bを部位PBに穿刺して、穿刺針12Bの前方、および側方のいろいろな方向に、矢印で示す治療光を出力することができる。なお、図4では側方については開口部12Ba、12Bcから出力する治療光を図示したが、開口部12Bb、12Bdからも治療光が出力される。これにより、悪性腫瘍CB1、CB2、CB3など、穿刺針12Bの前方、および側方のいろいろな方向に在る悪性腫瘍に治療光を照射することができる。また、光ファイバプローブ10Bによれば、光ファイバプローブ10を用いる場合と同様に、低侵襲性の観点から良好であり、かつ光ファイバ11Aの折損をきわめて抑制しつつ穿刺ができ、かつ穿刺をスムーズに行うことができる。
【0048】
なお、医療装置100はPDDを実行する装置であってもよい。医療装置100がPDDを実行する装置である場合、光電部31は発光装置および受光装置を含む。また、光結合部32は、発光装置からの発光を接続光ファイバ20に結合させ、接続光ファイバ20からの蛍光を受光装置に結合できるように構成されている。PDDの対象である患者には、たとえば5-アミノレブリン酸などの薬剤が投与される。薬剤は患者の体内でプロトポルフィリンIX(PpIX)に生合成される。PpIXは光感受性物質であり、たとえば悪性腫瘍に集積する。
【0049】
つづいて、PpIXが悪性腫瘍に停滞している期間に、図2と同様に、光ファイバプローブ10の穿刺針12を、悪性腫瘍が在ると思われる部位に穿刺する。この際にガイドワイヤを用いると侵入や到達や穿刺が容易である。
【0050】
つづいて、PpIXが悪性腫瘍に停滞している期間に、医療装置100の制御部33により光電部31を動作させて励起光を発光させる。励起光の波長は光感受性物質の種類によって選択されるが、PpIXではたとえば波長375nm~445nmの青色光である。光結合部32は励起光を接続光ファイバ20に結合させる。接続光ファイバ20は励起光を光ファイバプローブ10の光ファイバ11に出力する。
【0051】
励起光は、光ファイバ11を伝搬し、穿刺針12の開口部から穿刺針12の外側領域に出力されて悪性腫瘍に到達し、PpIXを光励起する。するとPpIXは蛍光を発する。PpIXの蛍光の波長は600nm~740nmである。蛍光は、穿刺針12の開口部から光ファイバ11に入力されて伝搬し、光電部31の受光装置にて受光される。制御部33は、受光により発生する電流信号を受信し、受光の有無などの受光状態の情報を得るための演算処理を行ない、表示装置に受光状態を表示する。これにより、オペレータは、受光状態に応じて悪性腫瘍の有無を診断できる。すなわち、光ファイバプローブ10では、先端部が穿刺針12の内部に収容された光ファイバ11の先端面が、穿刺針12の外側領域との間で光(励起光および蛍光)を入出力する光入出力部となっている。
【0052】
PDDを実行する医療装置100においても、低侵襲性かつ光ファイバ11の折損をきわめて抑制しつつ、穿刺をスムーズに行うことなど、PDTを実行する装置である場合と同じ効果を得ることができる。また、同様の効果は、光ファイバプローブ10を光ファイバプローブ10Aや10Bに置き換えても得られる。
【0053】
また、医療装置100は、PDDとPDTとの両方を実行可能に構成されていてもよい。この場合、まずPDDを実行して診断を行い、その後PDTを実行して治療を行うことができる。また、PDT実行の後にさらにPDDを実行して、治療の結果を確認してもよい。
【0054】
(実施形態2)
図5は、実施形態2に係る医療装置の模式的な構成図である。この医療装置100Cは、たとえばPDTやPDDを実行する装置であり、光ファイバプローブ10Cと、接続光ファイバ20Cと、光電装置30Cと、を備える。光ファイバプローブ10Cは、光ファイバ11Cと、穿刺針12Cとを備える。なお、説明のために穿刺針12Cは透明に表している。
【0055】
図6は、光ファイバプローブ10Cの模式図であって、図6(a)は先端側を拡大して示す図であり、図6(b)は図6(a)のX-X線断面図である。光ファイバ11Cは、7本のシングルコア型の単位光ファイバが、長手方向に垂直な断面において三角格子を形成するように束ねられて構成された、バンドル型光ファイバである。7本の単位光ファイバのうち長手方向に垂直な方向に並べられた3本の単位光ファイバを単位光ファイバ11Ca、11Cb、11Ccとし、図6(a)では単位光ファイバ11Ca、11Cb、11Ccのみを図示している。
【0056】
単位光ファイバ11Caは、1つのコア部11Caaと、コア部11Caaの外周を取り囲むクラッド部11Cabと、クラッド部11Cabの外周を取り囲む被覆部とを有する。なお、図6に図示された部分では被覆部は除去されている。その他の単位光ファイバも、コア部とクラッド部と被覆部とを有する。したがって、光ファイバ11Cは、複数のコア部を有する。各単位光ファイバは、たとえばマルチモード光ファイバであるが、シングルモード光ファイバでもよい。また、各単位光ファイバのコア部およびクラッド部の材質は、ガラスでもよいし、プラスチックなどの樹脂でもよいし、一部がガラスであり、その他の部分が樹脂であってもよい。被覆部の材質は樹脂でもよい。各単位光ファイバは、同じ構成を有するものでもよいし、互いに異なる構成を有するものでもよい。
【0057】
穿刺針12Cは、内径D2を有する中空円筒状であり、組織に刺せるように先端が刃状になっている。穿刺針12Cのサイズは特に限定されないが、たとえばゲージサイズが21G以下であれば好ましい。穿刺針12Cの材質は、穿刺針12と同様でよい。
【0058】
中空円筒状である穿刺針12Cは、その内部に光ファイバ11Cの先端部を収容する。したがって、光ファイバ11の外径D1は、穿刺針12Cの内部に収容される部分において、穿刺針12Cの内径よりも小さく、たとえば480μm以下である。穿刺針12Cはたとえば接着剤などで光ファイバ11Cに固定されている。また、各単位光ファイバの先端面は光軸に対して傾斜している。たとえば、単位光ファイバ11Ca、11Cb、11Ccはそれぞれ光軸に対して傾斜した先端面11Cac、11Cbc、11Cccを有する。各先端面ではコア部およびクラッド部は露出している。各単位光ファイバの先端面は光入出力部の一例である。先端面の傾斜は、各単位光ファイバの斜め切断、機械的研磨、または化学的研磨によって形成することができる。また、複数のコア部のそれぞれに対応する光入出力部(先端面)は、光ファイバ11Cの長手方向において互いに位置が異なる。たとえば、単位光ファイバ11Ca、11Cb、11Ccのそれぞれの先端面11Cac、11Cbc、11Cccは、長手方向において先端側から基端側に向かう方向でこの順番に並んでいる。その他の単位光ファイバの先端面は、長手方向において先端面11Cacと先端面11Cccとの間に位置している。
【0059】
また、各単位光ファイバの被覆部は、少なくとも穿刺針12Cの内部に収容されている部分以外の部分、たとえば光ファイバ11Cの基端から穿刺針12Cに収容される部分の一部までに設けられており、各単位光ファイバのコア部およびクラッド部を保護する。
【0060】
接続光ファイバ20Cは、光ファイバプローブ10Cと光電装置30Cとを接続する光ファイバである。接続光ファイバ20Cは、光ファイバプローブ10の長手方向の他方の端部である基端部にコネクタ等で光学的に接続されている。接続光ファイバ20Cは、たとえば光ファイバ11Cと同じ種類のバンドル型光ファイバである。
【0061】
光電装置30Cは、光電部31Cと、光結合部32Cと、制御部33Cとを備える。光電部31Cは、たとえば発光装置および受光装置の少なくとも一方を含む。光結合部32Cは、接続光ファイバ20Cと光電部31Cとを光学的に結合させる機能を有する。なお、光電部31Cは、光ファイバ11Cの各単位光ファイバに個別に光を出力する複数の発光装置を含んでいてもよいし、各単位光ファイバに一括して光を出力する一つの発光装置を含んでいてもよい。または、光電部31Cは、光ファイバ11Cの各単位光ファイバからの光を個別に受光する、フォトダイオードアレイ、CCD、CMOSのような1次元または2次元の受光装置を含んでいてもよいし、各単位光ファイバからの光を一括して受光する1次元または2次元の受光装置を含んでいてもよい。光結合部32Cは上記の個別のまたは一括した受発光を実行できるように構成されている。制御部33Cは、たとえばマイクロコンピュータを含んで構成されており、光電部31Cの発光または受光の動作を制御する。なお、光電装置30Cは、入力装置や表示装置を備えていてもよい。
【0062】
つぎに、医療装置100CがPDDを実行する装置である場合の動作について、図7を参照して説明する。なお、医療装置100CがPDDを実行する装置である場合、光電部31Cは発光装置および受光装置を含む。
【0063】
まず、PDTの対象である患者には、たとえば5-アミノレブリン酸などの薬剤が投与される。薬剤は患者の体内でPpIXに生合成される。PpIXはたとえば悪性腫瘍に集積する。
【0064】
つづいて、薬剤が悪性腫瘍に停滞している期間に、図7に示すように、光ファイバプローブ10Cを、気管支などの管腔臓器から患者の体内に侵入させて、病巣である悪性腫瘍CC1、CC2が深部に存在すると思われる部位PCに到達させ、穿刺針12Cを部位PCに穿刺する。この際にガイドワイヤを用いると侵入や到達や穿刺が容易である。
【0065】
つづいて、薬剤が悪性腫瘍に停滞している期間に、医療装置100Cの制御部33Cにより光電部31Cを動作させて励起光を発光させる。光結合部32Cは励起光を接続光ファイバ20Cに結合させる。接続光ファイバ20Cは励起光を光ファイバプローブ10Cの光ファイバ11Cの各単位光ファイバに出力する。
【0066】
励起光は、光ファイバ11Cの各単位光ファイバを伝搬し、穿刺針12Cの開口部から穿刺針12Cの外側領域に出力される。このとき、励起光は単位光ファイバ11Ca、11Cb、11Ccによって領域Aa1、Ab1、Ac1にそれぞれ照射される。これらの領域Aa1、Ab1、Ac1は部位PCにおいて深さ方向に位置が異なる。ここで、図7では領域Aa1、Ab1のそれぞれに悪性腫瘍CC1、CC2が在るので、励起光は悪性腫瘍CC1、CC2に集積したPpIXを光励起する。するとPpIXは蛍光を発する。蛍光LC1、LC2は、それぞれ、穿刺針12Cの開口部から単位光ファイバ11Ca、11Cbに入力されて伝搬し、光電部31Cの受光装置にて受光される。制御部33Cは受光により発生する電流信号を処理し、たとえば表示装置に受光状態を表示する。これにより、オペレータは、受光状態に応じて悪性腫瘍の有無を診断できるのみならず、悪性腫瘍が、領域Aa1、Ab1に在ることを知得することができる。
【0067】
以上のように構成された、光ファイバプローブ10Cを備える医療装置100Cでは、部位PCの一部を切除すること無く診断ができるので、低侵襲性の観点から良好である。また、光ファイバ11Cの折損をきわめて抑制しつつ穿刺ができ、かつ穿刺をスムーズに行うことができる。
【0068】
また、光ファイバプローブ10Cでは、穿刺針12Cが不透明な材質であっても励起光の照射や発光の取得を行うことができるので、材質の選択の自由度が高く、かつ容易に作製することができる。
【0069】
さらに、光ファイバプローブ10Cを備える医療装置100Cでは、部位PCの深さ方向における悪性腫瘍の有無や悪性腫瘍の存在の分布を知得することができるので、より高度な診断をすることができる。
【0070】
なお、上記の例では励起光は単位光ファイバ11Ca、11Cb、11Ccによって、互いに重なり合わない領域Aa1、Ab1、Ac1にそれぞれ照射される。しかしながら、励起光の照射される領域は、たとえば励起光の波長やパワー、部位の種類などによっては、図7に示す領域Aa2、Ab2、Ac2のように、重なり合う領域にそれぞれ照射される場合がある。この場合、制御部33Cが、たとえば単位光ファイバ11Ca、11Cb、11Ccのそれぞれからの受光量を加減算するなどの演算処理を行うことによって、悪性腫瘍の有無や悪性腫瘍の存在の分布に対する、より正確な情報を知得することができるので、さらに高度な診断をすることができる。
【0071】
また、各単位光ファイバにより励起光の照射される領域は、たとえば先端面の傾斜角度を調整することによって変更することもできる。
【0072】
また、医療装置100CはPDTを実行可能に構成されていてもよいし、PDDとPDTとの両方を実行可能に構成されていてもよい。
【0073】
(第3変形例)
図8は、光ファイバプローブの第3変形例の模式図である。この第3変形例に係る光ファイバプローブ10Dは、光ファイバプローブ10Cにおいて穿刺針12Cを穿刺針12Dに置き換えた構成を有する。
【0074】
穿刺針12Dは、有底中空円筒状であり、組織に刺せるように先端が刃状になっている。また、穿刺針12Dは、励起光および蛍光、または治療光に対して透明な材質からなる。したがって、穿刺針12Dは開口部に開口部が無くても、光ファイバ11は穿刺針12Dの外側領域との間で光を入出力することができる。穿刺針12Dのサイズは特に限定されないが、たとえばゲージサイズが21G以下であれば好ましい。
【0075】
この光ファイバプローブ10Dによれば、図8のように穿刺針12Dを部位PCに穿刺した状態で、励起光は単位光ファイバ11Ca、11Cb、11Ccから出力された後、穿刺針12Dの側壁を透過し、領域Aa3、Ab3、Ac3にそれぞれ照射される。図8では領域Aa3、Ab3のそれぞれに悪性腫瘍CC1、CC2が在るので、悪性腫瘍CC1、CC2に集積した光感受性物質が蛍光を発する。蛍光LC1、LC2は、それぞれ、穿刺針12Dの側壁を透過して単位光ファイバ11Ca、11Cbに入力されて伝搬し、光電部31Cの受光装置にて受光される。制御部33Cは受光により発生する電流信号を処理し、たとえば表示装置に受光状態を表示する。これにより、オペレータは、受光状態に応じて悪性腫瘍の有無を診断できるのみならず、悪性腫瘍が、領域Aa3、Ab3に在ることを知得することができる。
【0076】
(第4変形例)
図9は、光ファイバプローブの第4変形例の模式図である。この第4変形例に係る光ファイバプローブ10Eは、光ファイバプローブ10Cまたは10Dにおいて光ファイバ11Cを光ファイバ11C1に置き換えた構成を有する。なお、穿刺針は図示を省略しているが、光ファイバプローブ10Eはたとえば穿刺針12Cや12Dなどの穿刺針を備えている。
【0077】
光ファイバ11C1は、光ファイバ11Cと同様に、7本のシングルコア型の単位光ファイバが束ねられて構成された、バンドル型光ファイバであるが、単位光ファイバのコア部のそれぞれに対応する光入出力部(先端面)の全てが、光ファイバ11C1の長手方向において互いに位置が異なる。たとえば、光ファイバ11C1の外周側に配置された6本の単位光ファイバの先端面は、長手方向に延びる螺旋状に配置されている。
【0078】
この光ファイバプローブ10Eによれば、深さ方向において7段階の位置でPDDによる診察またはPDTによる治療またはその両方を実行することができる。
【0079】
(第5変形例)
図10は、光ファイバプローブの第5変形例の模式図である。この第5変形例に係る光ファイバプローブ10Fは、光ファイバプローブ10Cまたは10Dにおいて光ファイバ11Cを光ファイバ11Fに置き換えた構成を有する。なお、穿刺針は図示を省略しているが、光ファイバプローブ10Fはたとえば穿刺針12Cや12Dなどの穿刺針を備えている。
【0080】
光ファイバ11Fは、複数のコア部である7つのコア部11Faと、7つのコア部11Faの外周を取り囲むクラッド部11Fbと、クラッド部11Fbの外周を取り囲む被覆部とを有する、いわゆるマルチコア光ファイバである。7つのコア部11Faは長手方向に垂直な断面において三角格子を形成するように配置されている。また、光ファイバ11Fの先端面11Fcは光軸に対して傾斜している。先端面11Fcではコア部11Faおよびクラッド部11Fbは露出している。先端面11Fcにおいて露出した各コア部11Faの長手方向における位置は互いに異なるものがある。なお、先端面11Fcの傾斜は、斜め切断や研磨によって形成することができる。先端面11Fcの傾斜角度によって、先端面11Fcにおける露出した各コア部11Faの長手方向における位置が変わる。被覆部は、少なくとも穿刺針の内部に収容されている部分以外の部分、たとえば光ファイバ11Fの基端から穿刺針に収容される部分の一部までに設けられており、コア部11Faおよびクラッド部11Fbを保護する。
【0081】
この光ファイバプローブ10Eによれば、1本のマルチコアファイバによって、深さ方向において3段階以上の位置でPDDによる診察またはPDTによる治療またはその両方を実行することができる。
【0082】
なお、光ファイバ11Fは7つのコア部を有するが、マルチコアファイバのコア部の数は特に限定されず、2以上であればよいが、たとえば19でもよい。
【0083】
(第6変形例)
図11は、光ファイバプローブの第6変形例の模式図である。この第6変形例に係る光ファイバプローブ10Gは、光ファイバプローブ10Dにおいて光ファイバ11Cを光ファイバ11Gに置き換えた構成を有する。なお、穿刺針は図示を省略しているが、光ファイバプローブ10Gはたとえば穿刺針12Dを備えている。
【0084】
光ファイバ11Gは、光ファイバ11Fと同じマルチコアファイバの先端部を、斜円錐状に加工した構成を有する。すなわち、光ファイバ11Gは、複数のコア部である7つのコア部と、7つのコア部の外周を取り囲むクラッド部と、クラッド部の外周を取り囲む被覆部とを有する、いわゆるマルチコア光ファイバである。7つのコア部は長手方向に垂直な断面において三角格子を形成するように配置されている。図11では7つのコア部のうちのコア部11Ga、11Gb、11Gcと、クラッド部11Gdとを示している。また、斜円錐状である先端面11Geは光出力部の一例である。先端面11Geにおいてコア部11Ga、11Gb、11Gcが露出している面である露出面11Gaa、11Gba、11Gcaは、長手方向において互いに位置が異なる。
【0085】
この光ファイバプローブ10Gによれば、1本のマルチコアファイバによって、深さ方向において3段階以上の位置でPDDによる診察またはPDTによる治療またはその両方を実行することができる。
【0086】
なお、光ファイバ11Gは7つのコア部を有するが、マルチコアファイバのコア部の数は特に限定されず、2以上であればよいが、たとえば19でもよい。
【0087】
(第7変形例)
図12は、光ファイバプローブの第7変形例の模式図である。この第7変形例に係る光ファイバプローブ10Hは、光ファイバプローブ10Dにおいて光ファイバ11Cを光ファイバ11Hに置き換えた構成を有する。なお、穿刺針は図示を省略しているが、光ファイバプローブ10Hはたとえば穿刺針12Dを備えている。
【0088】
光ファイバ11Hは、光ファイバ11Cと同様に、7本のシングルコア型の単位光ファイバ11H1が束ねられて構成された、バンドル型光ファイバであるが、各単位光ファイバ11H1の外周面に切欠11H1aが形成されている。各切欠11H1aは、コア部を伝搬する光が出力する、または単位光ファイバ11H1の外部から入力された光がコア部に結合して伝搬するように形成されている。切欠11H1aは光入出力部の一例である。また、各切欠11H1aは、光ファイバ11Hの長手方向において互いに位置が異なる。
【0089】
この光ファイバプローブ10Hによれば、切欠11H1aによって、深さ方向において7段階の位置でPDDによる診察またはPDTによる治療またはその両方を実行することができる。
【0090】
なお、光ファイバ11Gは7つのコア部を有するが、マルチコアファイバのコア部の数は特に限定されず、2以上であればよいが、たとえば19でもよい。
【0091】
また、光ファイバプローブ10Hの穿刺針が透明な材質からなる場合、たとえば悪性腫瘍から穿刺針の側壁に達した蛍光がエバネッセント光として側壁に分布し、切欠11H1aからコア部に結合して伝搬し、受光装置によって受光されるように医療装置を構成することができる。このような場合はより高感度または広範囲な診察が可能である。
【0092】
(実施形態3)
図13は、実施形態3に係る医療装置の模式的な構成図である。この医療装置100Iは、実施形態2に係る医療装置100Cにおいて、光電装置30Cを光電装置30Iに置き換えた構成を有する。
【0093】
光電装置30Iは、光電部31Iと、光結合部32Iと、制御部33Iとを備える。光電部31Iは、発光部31Iaと受光部31Ibとを備える。発光部31Iaは、励起光を出力する発光装置と治療光を出力する発光装置とを備える。受光部31Ibは、蛍光を受光する受光装置を備える。光結合部32Iは、接続光ファイバ20Cと光電部31Iとを光学的に結合させる機能を有する。なお、光電部31Iの発光部31Iaは、光ファイバ11Cの各単位光ファイバに個別に励起光や治療光を出力する発光装置を含んでいてもよいし、各単位光ファイバに一括して励起光や治療光を出力する発光装置を含んでいてもよい。また、受光部31Ibは、光ファイバ11Cの各単位光ファイバからの光を個別に受光するフォトダイオードアレイ、CCD、CMOSのような1次元または2次元の受光装置を含んでいてもよいし、各単位光ファイバからの光を一括して受光する1次元または2次元の受光装置を含んでいてもよい。光結合部32Iは上記の個別のまたは一括した受発光を実行できるように構成されている。制御部33Iは、たとえばマイクロコンピュータを含んで構成されており、光電部31Iの発光または受光の動作を制御する。なお、光電装置30Iは、入力装置や表示装置を備えていてもよい。
【0094】
つぎに、医療装置100IがPDDおよびPDTを実行する動作について、図14を参照して説明する。
【0095】
まず、患者には、たとえば5-アミノレブリン酸などの薬剤が投与される。薬剤は患者の体内でPpIXに生合成される。PpIXはたとえば悪性腫瘍に集積する。
【0096】
つづいて、PpIXが悪性腫瘍に停滞している期間に、図14(a)に示すように、光ファイバプローブ10Cを患者の体内に侵入させて、悪性腫瘍CI1、CI2が深部に存在する部位PIに到達させ、穿刺針12Cを部位PIに穿刺する。この際にガイドワイヤを用いると侵入や到達や穿刺が容易である。
【0097】
つづいて、PpIXが悪性腫瘍に停滞している期間に、医療装置100Iの制御部33Iにより光電部31Iを動作させて励起光を発光させる。光結合部32Iは励起光を接続光ファイバ20Cに結合させる。接続光ファイバ20Cは励起光を光ファイバプローブ10Cの光ファイバ11Cの各単位光ファイバに出力する。
【0098】
励起光は、光ファイバ11Cの各単位光ファイバを伝搬し、穿刺針12Cの開口部から穿刺針12Cの外側領域に出力される。図14では励起光は悪性腫瘍CI1、CI2に集積したPpIXを光励起する。するとPpIXは蛍光を発する。蛍光LI1、LI2は、それぞれ、穿刺針12Cの開口部から単位光ファイバ11Ca、11Ccに入力されて伝搬し、光電部31Iの受光部31Ibにて受光される。制御部33Iは受光により発生する電流信号を処理し、たとえば表示装置に受光状態を表示する。これにより、オペレータは、受光状態に応じて悪性腫瘍の有無を診断できるのみならず、悪性腫瘍が、単位光ファイバ11Ca、11Ccにて励起光が照射される領域に在ることを知得することができる。
【0099】
その後、PDTを行う際には、患者には、たとえばポルフィマーナトリウムやタラポルフィンナトリウムなどの、光感受性の薬剤が静脈投与される。薬剤はたとえば悪性腫瘍に集積する。
【0100】
つづいて、薬剤が悪性腫瘍に停滞している期間に、図14(b)に示ように、医療装置100Iの制御部33Iにより光電部31Iを動作させて治療光を発光させる。治療光LI3、LI4はそれぞれ単位光ファイバ11Ca、11Ccを伝搬し、穿刺針12Cの外側領域に出力されて悪性腫瘍CI1、CI2に到達し、悪性腫瘍CI1、CI2の細胞を変性または壊死させる。
【0101】
以上のように構成された医療装置100Iでは、PDDとPDTとを実行することができる。
【0102】
(実施形態4)
図15は、実施形態4に係る医療装置の模式的な構成図である。この医療装置100Jは、たとえばPDTやPDDを実行する装置であり、光ファイバプローブ10Jと、接続光ファイバ20Jと、光電装置30Jとを備える。光ファイバプローブ10Jは、光ファイバ11Jと、穿刺針12Jとを備える。
【0103】
図16は、光ファイバプローブ10Jの構成と医療装置100Jの動作とを説明する模式図である。光ファイバ11Jは、7本のダブルクラッド型光ファイバである単位光ファイバが、長手方向に垂直な断面において三角格子を形成するように束ねられて構成された、バンドル型光ファイバである。7本の単位光ファイバのうち長手方向に垂直な方向に並べられた3本の単位光ファイバを単位光ファイバ11Ja、11Jb、11Jcとし、図16では単位光ファイバ11Ja、11Jb、11Jcのみを図示している。
【0104】
単位光ファイバ11Jaは、1つのコア部11Jaaと、コア部11Jaaの外周を取り囲む内側クラッド部11Jabと、内側クラッド部11Jabの外周を取り囲む外側クラッド部11Jacと、先端面11Jadとを有する。その他の単位光ファイバも、コア部と内側クラッド部と外側クラッド部とを有する。各単位光ファイバの材質は、ガラスでもよいし、プラスチックなどの樹脂でもよいし、一部がガラスであり、その他の部分が樹脂であってもよい。外側クラッド部の材質は樹脂でもよい。各単位光ファイバは、同じ構成を有するものでもよいし、互いに異なる構成を有するものでもよい。
【0105】
穿刺針12Jは、たとえば穿刺針12Cなどと同様に、中空円筒状であり、組織に刺せるように先端が刃状になっている。穿刺針12Jのサイズは特に限定されないが、たとえばゲージサイズが21G以下であれば好ましい。穿刺針12Jの材質は、穿刺針12Cと同様でよい。
【0106】
穿刺針12Jは、その内部に光ファイバ11Jの先端部を収容する。穿刺針12Jはたとえば接着剤などで光ファイバ11Jに固定されている。また、各単位光ファイバの先端面は光軸に対して傾斜している。各先端面ではコア部、内側クラッド部および外側クラッド部は露出している。各単位光ファイバの先端面は光入出力部の一例である。先端面の傾斜は、各単位光ファイバの切断や研磨によって形成することができる。また、複数のコア部のそれぞれに対応する光入出力部(先端面)は、光ファイバ11Jの長手方向において互いに位置が異なる。
【0107】
接続光ファイバ20Jは、光ファイバプローブ10Jと光電装置30Jとを接続する光ファイバである。接続光ファイバ20Jは、光ファイバプローブ10Jの長手方向の他方の端部である基端部にコネクタ等で光学的に接続されている。接続光ファイバ20Jは、たとえば光ファイバ11Jと同じ種類のダブルクラッド型かつバンドル型の光ファイバである。
【0108】
光電装置30Jは、図13の光電装置30Jにおける光結合部32Iを光結合部32Jに置き換えた構成を有する。光結合部32Iは、接続光ファイバ20Jと光電部31Iとを光学的に結合させる機能を有する。たとえば、光結合部32Iは、発光部31Iaからの治療光や励起光を、接続光ファイバ20Jや光ファイバプローブ10Jの各単位光ファイバのコア部に結合させるように構成されるとともに、接続光ファイバ20Jや光ファイバプローブ10Jの各単位光ファイバの内側クラッド部からの蛍光を、受光部31Ibに結合させるように構成されている。
【0109】
つぎに、医療装置100JがPDDおよびPDTを実行する動作について、図16を参照して説明する。
【0110】
まず、患者には、たとえば5-アミノレブリン酸などの薬剤が投与される。薬剤は患者の体内でPpIXに生合成される。PpIXはたとえば悪性腫瘍に集積する。
【0111】
つづいて、PpIXが悪性腫瘍に停滞している期間に、図16に示すように、光ファイバプローブ10Jを患者の体内に侵入させて、病巣である悪性腫瘍CJ1が深部に存在する部位PJに到達させ、穿刺針12Jを部位PJに穿刺する。この際にガイドワイヤを用いると侵入や到達や穿刺が容易である。
【0112】
つづいて、薬剤が悪性腫瘍に停滞している期間に、医療装置100Jの制御部33Iにより光電部31Iを動作させて励起光を発光させる。光結合部32Jは励起光を接続光ファイバ20Jのコア部に結合させる。接続光ファイバ20Jは励起光を光ファイバプローブ10Jの光ファイバ11Jの各単位光ファイバのコア部に出力する。
【0113】
励起光は、光ファイバ11Jの各単位光ファイバのコア部を伝搬し、先端面から出力され、穿刺針12Jの開口部から穿刺針12Jの外側領域に出力される。図16では励起光は悪性腫瘍CJ1に集積したPpIXを光励起する。するとPpIXは蛍光を発する。蛍光LJ1は、穿刺針12Cの開口部から単位光ファイバ11Jaの内側クラッド部11Jabに入力されて伝搬し、光結合部32Iによって光電部31Iの受光部31Ibに結合し、そこで受光される。制御部33Iは受光により発生する電流信号を処理し、たとえば表示装置に受光状態を表示する。これにより、オペレータは、受光状態に応じて悪性腫瘍の有無を診断できるのみならず、悪性腫瘍が、単位光ファイバ11Jaにて励起光が照射される領域に在ることを知得することができる。
【0114】
その後、PDTを行う際には、患者には、たとえばポルフィマーナトリウムやタラポルフィンナトリウムなどの、光感受性の薬剤が静脈投与される。薬剤はたとえば悪性腫瘍に集積する。
【0115】
つづいて、薬剤が悪性腫瘍に停滞している期間に、医療装置100Jの制御部33Iにより光電部31Iを動作させて治療光を発光させる。治療光LJ2は単位光ファイバ11Jaのコア部を伝搬し、穿刺針12Jの外側領域に出力されて悪性腫瘍CJ1に到達し、悪性腫瘍CJ1の細胞を変性または壊死させる。
【0116】
以上のように構成された医療装置100Iでは、PDDとPDTとを実行することができる。また、光ファイバプローブの光ファイバ11Jにダブルクラッド型光ファイバを用いているので、たとえば光ファイバ11Jにおける励起光と蛍光との伝搬領域をある程度空間的に分けることができる。その結果、光結合部32Jにて励起光と蛍光とをそれぞれ発光部31Iaと受光部31Ibとに分けることが容易になる。
【0117】
(実施形態5)
図17は、実施形態5に係る医療装置の模式的な構成図である。この医療装置100Kは、図13に示す実施形態3に係る医療装置100Iにおいて光電装置30Iを光電装置30Kに置き換えた構成を有する。光電装置30Kは、光電装置30Iの光電部31I、光結合部32I、および制御部33Iをそれぞれ光電部31K、光結合部32K、および制御部33Kに置き換えた構成を有する。
【0118】
光電部31Kは、光電部31Iにさらに発光部31Kcを追加した構成を有する。発光部31Kcは試験光を発光する、レーザ装置などの発光装置を有する。試験光は治療光や励起光よりも組織への深達度が高い波長を有する光であり、たとえば近赤外線の光である。
【0119】
光結合部32Kは、接続光ファイバ20Cと光電部31Kとを光学的に結合させる機能を有する。また、制御部33Kは光電部31Kの発光または受光の動作を制御する。
【0120】
図18は、医療装置100Kの動作を説明する模式図である。この医療装置100Kでは、PDDやPDTの実行の前に、診察または治療対象である部位PKの内部の状態を試験光で調べることができる。
【0121】
たとえば、図18に示すように、穿刺針12Cを部位PKに穿刺した状態で、医療装置100Kの制御部33Kにより光電部31Kを動作させて試験光を発光させる。光結合部32Kは試験光を接続光ファイバ20Cに結合させる。接続光ファイバ20Cは試験光を光ファイバプローブ10Cの光ファイバ11Cの単位光ファイバ11Cbに出力する。
【0122】
単位光ファイバ11Cbは試験光LK1を部位PK内に出力する。試験光LK1は、比較的広い領域Ab4の範囲内に達するが、領域Ab4で試験光LK1がたとえば散乱されると、散乱光LK2、LK3がそれぞれ単位光ファイバ11Ca、11Cbに入力されて伝搬する。これらの散乱光LK2、LK3は光電装置30Kの光電部31Iの受光部31Ibによって受光される。制御部33Kは受光により発生する電流信号を処理し、たとえば表示装置に受光状態を表示する。これにより、オペレータは、受光状態に応じて部位PKの内部の状態を知得することができる。この内部状態に関する情報は、その後にPDDやPDTを実行する際に役立つ情報となる。
【0123】
(実施形態6)
図19は、実施形態6に係る医療装置の模式的な構成図である。この医療装置100Lは、図17に示す実施形態5に係る医療装置100Kにおいて光電装置30Kを光電装置30Lに置き換え、接続光ファイバ40Lと光学ヘッド50Lとを追加した構成を有する。光電装置30Lは、光電装置30Kの光結合部32Kおよび制御部33Kをそれぞれ光結合部32Lおよび制御部33Lに置き換えた構成を有する。
【0124】
光結合部32Lは、発光部31Kcからの試験光を接続光ファイバ40Lに出力する点で光結合部32Kとは異なる。制御部33Lは光電部31Kの発光または受光の動作を制御する。接続光ファイバ40Lはシングルモード光ファイバまたはマルチモード光ファイバであるが、その材質は特に限定されない。光学ヘッド50Lは接続光ファイバ40Lを伝搬した試験光を、試験光LL1として部位PLの表面に照射する。
【0125】
穿刺針12Cを部位PLに穿刺した状態で試験光LL1を部位PLの表面に照射すると、試験光LL1の一部は部位PLを透過し、光ファイバプローブ10Cまで到達し、光ファイバ11Cに結合して伝搬する。このような透過光は光電装置30Lの光電部31Kの受光部31Ibによって受光される。制御部33Lは受光により発生する電流信号を処理し、たとえば表示装置に受光状態を表示する。これにより、オペレータは、受光状態に応じて部位PLの内部の状態を知得することができる。この内部状態に関する情報は、その後にPDDやPDTを実行する際に役立つ情報となる。
【0126】
なお、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述の実施形態はPDDやPDTについて述べたが、PITにも適応が可能である。また上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0127】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10J :光ファイバプローブ
11、11A、11C、11C1、11F、11G、11H、11J :光ファイバ
11Aa :拡散部
11Ca、11Cb、11Cc、11H1、11Ja、11Jb、11Jc :単位光ファイバ
11Caa、11Fa、11Ga、11Gb、11Gc、11Jaa :コア部
11Cab、11Fb、11Gd :クラッド部
11Cac、11Cbc、11Ccc、11Fc、11Gaa、11Gba、11Gca、11Jad :先端面
11H1a :切欠
11Jab :内側クラッド部
11Jac :外側クラッド部
12、12A、12B、12C、12D、12J :穿刺針
12Aa、12Ba、12Bb、12Bc、12Bd :開口部
20、20C、20J :接続光ファイバ
30、30C、30I、30J、30K、30L :光電装置
31、31C、31I、31K :光電部
31Ia、31Kc :発光部
31Ib :受光部
32、32C、32I、32J、32K、32L :光結合部
33、33C、33I、33K、33L :制御部
40L :接続光ファイバ
50L :光学ヘッド
100、100C、100I、100J、100K、100L :医療装置
ABS :透明性
Aa1、Aa2、Aa3、Ab4 :領域
C、CA1、CA2、CB1、CB2、CB3、CC1、CC2、CI1、CI2、CJ1 :悪性腫瘍
LC1、LC2、LI1、LI2、LJ1 :蛍光
LI3、LI4 :治療光
LJ2 :治療光
LK1、LL1 :試験光
LK2、LK3 :散乱光
P、PA、PB、PC、PI、PJ、PK、PL :部位
図1
図2
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図5
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