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特許7536715電子デバイス加工用テープ及び電子デバイス加工用テープの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電子デバイス加工用テープ及び電子デバイス加工用テープの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240813BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240813BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240813BHJP
   B26F 1/44 20060101ALI20240813BHJP
   B26F 1/38 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C09J7/38
H01L21/68 N
H01L21/78 M
B26F1/44 B
B26F1/44 J
B26F1/38 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021105334
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023003940
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】土屋 貴徳
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-210301(JP,A)
【文献】特開2009-188323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/38
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離フィルムと、
基材フィルムの主面に粘着剤層が形成された基材テープであって、前記剥離フィルムと積層された基材テープと、を備えた電子デバイス加工用テープであって、
前記基材テープが、前記電子デバイス加工用テープの搬送方向に所定の間隔にて形成された、所定の平面視形状を有するラベル部と、該ラベル部の平面視外側を囲み、且つ前記所定の間隔を形成する間隔部分を有するカス部が、剥がされたカス剥離部と、平面視にて該カス剥離部の外縁と接した周辺部と、を備え、
前記搬送方向の前方から伸延した前記カス部の外縁を形成するカット線と前記搬送方向の後方から伸延した前記カス部の外縁を形成するカット線は交差せず、
前記カス部の前記間隔部分にて、一方向から伸延した前記カット線の終端が、他方向から伸延した前記カット線の終端に対して、前記搬送方向に直交した方向において、同じ位置または前記周辺部の方向に位置し
前記カス部の前記間隔部分にて、一方向から伸延した前記カット線が、前記終端から前記搬送方向に対して平行な前記基材テープの中心線方向へ伸延したターン部を有し、他方向から伸延した前記カット線が、前記終端から前記搬送方向に対して平行な前記基材テープの中心線方向へ伸延したターン部を有している電子デバイス加工用テープ。
【請求項2】
前記ターン部が、平面視曲部を有する請求項に記載の電子デバイス加工用テープ。
【請求項3】
前記ターン部の平面視曲部が、R1.0mm以上の曲率半径の円弧状曲線部となっている部位を有する請求項に記載の電子デバイス加工用テープ。
【請求項4】
前記ターン部が、平面視直線部を有する請求項に記載の電子デバイス加工用テープ。
【請求項5】
前記搬送方向に対して平行方向における、一方向から伸延した前記カット線の終端と他方向から伸延した前記カット線の終端との距離が、0.1mm以上10mm以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子デバイス加工用テープ。
【請求項6】
一方向から伸延した前記カット線の終端を通る前記搬送方向に対して平行方向の仮想線と一方向から伸延した前記カット線との先端におけるなす角度θが、10°以上150°以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子デバイス加工用テープ。
【請求項7】
一方向から伸延した前記カット線の終端が、他方向から伸延した前記カット線の終端よりも前記周辺部の方向に位置し、前記搬送方向に対して直交方向における、一方向から伸延した前記カット線の終端と他方向から伸延した前記カット線の終端との距離が、0.1mm以上10mm以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子デバイス加工用テープ。
【請求項8】
前記剥離フィルムの主面の一部に設けられた接着剤層を、さらに備え、
前記基材テープが、前記接着剤層を覆い、該接着剤層の周囲で前記剥離フィルムと接した請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子デバイス加工用テープ。
【請求項9】
基材フィルム上に粘着剤層を塗布して基材テープを作製する工程と、
前記基材テープを剥離フィルムと重ね合わせる工程と、
前記基材テープに、該基材テープの搬送方向に所定の間隔にて形成された、所定の平面視形状を有するラベル部と、該ラベル部の平面視外側を囲み、且つ前記所定の間隔を形成する間隔部分を有するカス部と、平面視にて該カス部の外縁と接した周辺部との区画を形成し、且つ前記搬送方向の前方から伸延した前記カス部の外縁を形成するカット線と前記搬送方向の後方から伸延した前記カス部の外縁を形成するカット線は交差せず、前記カス部の前記間隔部分にて、一方向から伸延した前記カット線の終端が、他方向から伸延した前記カット線の終端よりも前記周辺部の方向に位置、または一方向から伸延した前記カット線の終端と他方向から伸延した前記カット線の終端が、前記搬送方向に対して平行に位置し、前記カス部の前記間隔部分にて、一方向から伸延した前記カット線が、前記終端から前記搬送方向に対して平行な前記基材テープの中心線方向へ伸延したターン部を有し、他方向から伸延した前記カット線が、前記終端から前記搬送方向に対して平行な前記基材テープの中心線方向へ伸延したターン部を有している、プリカットを、回転打抜き刃を用いて行う工程と、
前記カス部をカス上げ処理して、前記基材テープにカス剥離部を形成する工程と、
を有する電子デバイス加工用テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス加工用テープに関し、特に、半導体ウエハのダイシング、ピックアップに使用される電子デバイス加工用テープ及び電子デバイス加工用テープの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの加工用テープとして、長尺の基材テ-プ上に複数の所定の平面視形状を有するラベル部が所定間隔で形成されたダイシングテープやダイボンディングフィルムを備えた電子デバイス加工用テープが使用されている。基材テープのラベル部に対応する部位には、粘着剤層が設けられている。粘着剤層が設けられているラベル部に半導体ウエハが貼合されることで、半導体ウエハがラベル部にて位置決めされる。位置決めされた半導体ウエハは、ラベル部に貼合された状態でダイシングされることで、半導体チップが製造される。製造された半導体チップは、紫外線による硬化処理等によって粘着剤層の粘着力を低下させることで、ラベル部からピックアップされる。
【0003】
基材テ-プ上に複数のラベル部が所定間隔で形成された半導体ウエハの加工用テープとして、例えば、特許文献1では、半導体ウエハの加工用テープに所定のプリカット加工を施し、所定間隔で配置されたラベル部間の不要部分をプリカット加工のカット線に沿って剥離して除去した半導体ウエハの加工用テープが開示されている。
【0004】
このように、基材テープは、プリカット加工によって、半導体ウエハが貼合されるラベル部と、ラベル部の平面視外側を囲む不要部であるカス部と、平面視にてカス部の外縁と接した周辺部とに区画されている。プリカット加工は、基材テープに対して対向配置された回転打抜き刃を用いて、基材フィルムと該基材フィルム面上に設けられた粘着剤層とに対し行う(特許文献2)。
【0005】
また、基材テープのカス部は、半導体ウエハをダイシングする前に、予め、巻き取り手段にて、基材テープの長尺方向(基材テープの搬送方向)に沿って巻き取られることで、電子デバイス加工用テープから引き剥がされている。従って、電子デバイス加工用テープから基材テープのカス部が除去された状態で、電子デバイス加工用テープは半導体ウエハの貼合機にセットされる。
【0006】
基材テープは、エキスパンド性やピックアップ性等、電子デバイス加工工程上の観点から、その材質や厚さが最適化される。そのため、電子デバイス加工用テープから基材テープのカス部が除去されるにあたり、次のような不具合を生じる場合があった。
【0007】
例えば、基材テープが薄肉の場合、基材テープの引裂強度が低下する。基材テープの引裂強度が低下すると、電子デバイス加工用テープから基材テープのカス部が引き剥がされる際にカス部にかかる張力によって、カス部、特に、所定間隔で形成されたラベル部間のカス部に大きな引き裂き部が発生、場合によってはラベル部間においてカス部が分断して電子デバイス加工用テープから円滑にカス部を引き剥がすことができないことがあるという問題があった。また、基材テープの引裂強度が低下すると、電子デバイス加工用テープから基材テープのカス部が引き剥がされる際にプリカットのカット線から外れてカス部に引き裂き部が発生してラベル部間においてカス部が残ってしまうという場合があった。また、電子デバイス加工用テープの使用条件によっては、基材テープの材質として、カス部が引き剥がされる際にカス部にかかる張力に十分に耐え得る引裂強度を有さない材料が用いられることがある。基材テープの材質が十分な引裂強度を有さない場合にも、電子デバイス加工用テープから基材テープのカス部が引き剥がされる際にカス部にかかる張力によって、カス部、特に、所定間隔で形成されたラベル部間のカス部に大きな引き裂き部が発生、場合によってはラベル部間においてカス部が分断して電子デバイス加工用テープから円滑にカス部を引き剥がすことができないことがあった。また、基材テープの材質が十分な引裂強度を有さないと、電子デバイス加工用テープから基材テープのカス部が引き剥がされる際にプリカットのカット線から外れてカス部に引き裂き部が発生してラベル部間においてカス部が残ってしまうという場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-111530号公報
【文献】特開2014-017357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、基材テープが薄肉化され、または基材テープの材質によって引裂強度が低下しても、カス部に大きな引き裂き部が発生することを防止し、またプリカットのカット線から外れてカス部に引き裂き部が発生することを防止して円滑にカス部を引き剥がすことで、カス剥離部にカス部が残置されていることが防止された電子デバイス加工用テープおよび電子デバイス加工用テープの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
[1]剥離フィルムと、
基材フィルムの主面に粘着剤層が形成された基材テープであって、前記剥離フィルムと積層された基材テープと、を備えた電子デバイス加工用テープであって、
前記基材テープが、前記電子デバイス加工用テープの搬送方向に所定の間隔にて形成された、所定の平面視形状を有するラベル部と、該ラベル部の平面視外側を囲み、且つ前記所定の間隔を形成する間隔部分を有するカス部が、剥がされたカス剥離部と、平面視にて該カス剥離部の外縁と接した周辺部と、を備え、
前記搬送方向の前方から伸延した前記カス部の外縁を形成するカット線と前記搬送方向の後方から伸延した前記カス部の外縁を形成するカット線は交差せず、
前記カス部の前記間隔部分にて、一方向から伸延した前記カット線の終端が、他方向から伸延した前記カット線の終端に対して、前記搬送方向に直交した方向において、同じ位置または前記周辺部の方向に位置している電子デバイス加工用テープ。
[2]前記カス部の前記間隔部分にて、一方向から伸延した前記カット線と他方向から伸延した前記カット線の少なくとも一方が、前記終端から前記搬送方向に対して平行な前記基材テープの中心線方向へ伸延したターン部を有する[1]に記載の電子デバイス加工用テープ。
[3]前記ターン部が、平面視曲部を有する[2]に記載の電子デバイス加工用テープ。
[4]前記ターン部の平面視曲部が、R1.0mm以上の曲率半径の円弧状曲線部となっている部位を有する[3]に記載の電子デバイス加工用テープ。
[5]前記ターン部が、平面視直線部を有する[2]に記載の電子デバイス加工用テープ。
[6]前記搬送方向に対して平行方向における、一方向から伸延した前記カット線の終端と他方向から伸延した前記カット線の終端との距離が、0.1mm以上10mm以下である[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の電子デバイス加工用テープ。
[7]一方向から伸延した前記カット線の終端を通る前記搬送方向に対して平行方向の仮想線と一方向から伸延した前記カット線との先端におけるなす角度θが、10°以上150°以下である[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の電子デバイス加工用テープ。
[8]一方向から伸延した前記カット線の終端が、他方向から伸延した前記カット線の終端よりも前記周辺部の方向に位置し、前記搬送方向に対して直交方向における、一方向から伸延した前記カット線の終端と他方向から伸延した前記カット線の終端との距離が、0.1mm以上10mm以下である[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の電子デバイス加工用テープ。
[9]前記剥離フィルムの主面の一部に設けられた接着剤層を、さらに備え、
前記基材テープが、前記接着剤層を覆い、該接着剤層の周囲で前記剥離フィルムと接した[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の電子デバイス加工用テープ。
[10]基材フィルム上に粘着剤層を塗布して基材テープを作製する工程と、
前記基材テープを剥離フィルムと重ね合わせる工程と、
前記基材テープに、該基材テープの搬送方向に所定の間隔にて形成された、所定の平面視形状を有するラベル部と、該ラベル部の平面視外側を囲み、且つ前記所定の間隔を形成する間隔部分を有するカス部と、平面視にて該カス部の外縁と接した周辺部との区画を形成し、且つ前記搬送方向の前方から伸延した前記カス部の外縁を形成するカット線と前記搬送方向の後方から伸延した前記カス部の外縁を形成するカット線は交差せず、前記カス部の前記間隔部分にて、一方向から伸延した前記カット線の終端が、他方向から伸延した前記カット線の終端よりも前記周辺部の方向に位置、または一方向から伸延した前記カット線の終端と他方向から伸延した前記カット線の終端が、前記搬送方向に対して平行に位置している、プリカットを、回転打抜き刃を用いて行う工程と、
前記カス部をカス上げ処理して、前記基材テープにカス剥離部を形成する工程と、
を有する電子デバイス加工用テープの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子デバイス加工用テープの態様によれば、カス部の間隔部分にて、一方向から伸延したカット線の終端が、他方向から伸延したカット線の終端に対して、電子デバイス加工用テープの搬送方向に直交した方向において、同じ位置またはカス剥離部となるカス部の外縁と接した周辺部の方向に位置していることにより、基材テープのカス部が引き剥がされる際に、一方向から伸延したカット線の終端と他方向から伸延したカット線の終端間の引き裂きが円滑化される。従って、カス上げ処理の際に、ラベル部間の外縁が確実につながり、カス部の外縁部から基材テープの中心線方向へ引き裂き部が発生することが防止され、またカット線から外れてカス部に引き裂き部が発生することが防止される。カス部の外縁部から中心線方向への引き裂きの発生が防止され、またカット線から外れてカス部に引き裂き部が発生することが防止されることにより、基材テープが薄肉化され、または基材テープに引っ張り強度が低下する材料が使用されても、カス部の引き剥がしを円滑化することができるので、電子デバイス加工用テープのカス剥離部にカス部が残置されていることが防止される。
【0012】
本発明の電子デバイス加工用テープの態様によれば、カス部の間隔部分にて、一方向から伸延したカット線と他方向から伸延したカット線の少なくとも一方が、カット線の終端から電子デバイス加工用テープの搬送方向に対して平行な基材テープの中心線方向へ伸延したターン部を有することにより、一方向から伸延したカット線と他方向から伸延したカット線間の引き裂きがより確実となり、カス部の引き剥がしをより確実に円滑化することができる。
【0013】
本発明の電子デバイス加工用テープの態様によれば、電子デバイス加工用テープの搬送方向に対して平行方向における、一方向から伸延したカット線の終端と他方向から伸延したカット線の終端との距離が、0.1mm以上10mm以下であることにより、カス部の外縁部から基材テープの中心線方向への引き裂き部の発生をより確実に防止し、また一方向から伸延したカット線と他方向から伸延したカット線間の引き裂きをより確実とすることができるので、カス部の引き剥がしをより確実に円滑化することができる。
【0014】
本発明の電子デバイス加工用テープの態様によれば、一方向から伸延した前記カット線の終端を通る前記搬送方向に対して平行方向の仮想線と一方向から伸延した前記カット線との先端におけるなす角度θが、10°以上150°以下であることにより、他方向から伸延したカット線の先端からのカス部の引き裂きが一方向から伸延したカット線により確実に到達しつつ、カス部の引き裂きしが他方向から伸延したカット線の先端から一方向から伸延したカット線の先端付近にさしかかった際に、基材フィルムに大きな張力が作用して想定している引き裂き位置からずれた位置に引き裂きが生じてカス部の先端部が残ってしまうこと等を防止してカス部の引き剥がしをより確実に円滑化することができる。
【0015】
本発明の電子デバイス加工用テープの態様によれば、電子デバイス加工用テープの搬送方向に対して直交方向における、一方向から伸延したカット線の終端と他方向から伸延したカット線の終端との距離が、0.1mm以上10mm以下であることにより、一方向から伸延したカット線と他方向から伸延したカット線間の引き裂きがより確実となり、カス部の引き剥がしをより確実に円滑化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープのカス上げ処理前における積層構造の概要を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープのカス上げ処理前における平面視の概要を示す説明図である。
図3】本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープのカス上げ処理前における平面視の概要を示す拡大図である。
図4】本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープにプリカット加工を実施する回転打ち抜き刃の概要を示す説明図である。
図5】本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープのカス上げ処理前における平面視の概要を示す拡大図である。
図6】本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープの使用方法例の説明図である。
図7】本発明の他の実施形態例に係る電子デバイス加工用テープのカス上げ処理前における積層構造の概要を示す断面図である。
【0017】
先ず、本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープについて、図面を用いながら説明する。なお、図1は、本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープのカス上げ処理前における積層構造の概要を示す断面図である。図2は、本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープのカス上げ処理前における平面視の概要を示す説明図である。図3は、本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープのカス上げ処理前における平面視の概要を示す拡大図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープ1は、剥離フィルム11と、剥離フィルム11の主面61の一部に設けられた接着剤層12と、接着剤層12を覆い、接着剤層12の周囲で剥離フィルム11と接した基材テープ13とが積層された積層体である。基材テープ13は、後述するように、基材フィルム14の主面71に粘着剤層15が形成された積層構造物である。
【0019】
剥離フィルム11の形状は、矩形の長尺状であり、長手方向の長さが、長手方向に対して直交方向(幅方向)の長さに対して、十分に長くなるように形成されている。剥離フィルム11は、電子デバイス加工用テープ1の製造時及び使用時に支持体として機能する。電子デバイス加工用テープ1に半導体ウエハを貼合する際には、電子デバイス加工用テープ1から剥離フィルム11を剥離する。剥離フィルム11を剥離して露出した接着剤層12に半導体ウエハを貼合する。
【0020】
剥離フィルム11の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系等を挙げることができる。剥離フィルム11の厚さは、特に限定されず、電子デバイス加工用テープ1の使用条件等により、適宜選択可能であるが、例えば、25μm~50μmが挙げられる。また、剥離フィルム11の幅方向の寸法は、特に限定されず、半導体ウエハの大きさ等、電子デバイス加工用テープ1の使用条件により、適宜選択可能であるが、例えば、20cm~70cmが挙げられる。
【0021】
接着剤層12は、剥離フィルム11の主面61の一部領域に設けられており、接着剤層12に貼合されてダイシングされる半導体ウエハの平面視の形状に対応した平面視の形状を有している。なお、本明細書中、「平面視」とは、剥離フィルム11の主面61及び基材フィルム14の主面71に対向する位置から視認した状態を意味する。
【0022】
また、接着剤層12は、剥離フィルム11と基材テープ13との間に配置されている。接着剤層12は、基材テープ13の粘着剤層15と接触しており、半導体チップのピックアップ時に、半導体チップに付着した状態で粘着剤層15から剥離される。
【0023】
接着剤層12の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。接着剤層12の厚さは、特に限定されず、電子デバイス加工用テープ1の使用条件等により、適宜選択可能であるが、例えば、5μm~100μmが挙げられる。
【0024】
基材テープ13は、基材フィルム14の主面71の全体にわたって粘着剤層15が形成された、基材フィルム14と粘着剤層15の積層構造物であり、接着剤層12全体を覆うとともに、接着剤層12の周囲全域で剥離フィルム11と接触可能となっている。基材テープ13は、剥離フィルム11と同じく、矩形の長尺状であり、長手方向の長さが長手方向に対して直交方向(幅方向)の長さに対して、十分に長くなるように形成されている。基材テープ13は、半導体ウエハをダイシング処理する際の固定手段として機能する。
【0025】
基材フィルム14の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのα-オレフィンの単独重合体若しくは共重合体、またはこれらの混合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、スチレン-エチレン-ブテン若しくはペンテン系共重合体、ポリアミド-ポリオール共重合体等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0026】
基材フィルム14の厚さは、特に限定されず、電子デバイス加工用テープ1の使用条件等により、適宜選択可能であるが、例えば、50μm~200μmが挙げられる。基材フィルム14の幅方向の寸法は、特に限定されず、半導体ウエハの大きさ等、電子デバイス加工用テープ1の使用条件により、適宜選択可能であるが、例えば、剥離フィルム11の幅方向の寸法と同じ寸法を挙げることができる。基材フィルム14の幅方向の寸法として、具体的には、例えば、20cm~70cmが挙げられる。
【0027】
粘着剤層15の材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、紫外線硬化性化合物を粘着剤層15に配合して、紫外線照射による粘着剤層15の硬化処理により接着剤層12から剥離しやすい粘着剤層15としてもよい。紫外線硬化性化合物を配合することで、半導体チップのピックアック性が向上する。
【0028】
紫外線硬化性化合物としては、例えば、紫外線照射によって三次元に網状化し得る、分子内に光重合性の炭素-炭素二重結合を少なくとも2個以上有する化合物が用いられる。紫外線硬化性化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、オリゴエステル(メタ)アクリレート等の2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。
【0029】
紫外線硬化性化合物の具体例としては、上記(メタ)アクリレートモノマーの他に、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを挙げることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物と多官能イソシアナート化合物(例えば、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、1,3-キシリレンジイソシアナート、1,4-キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4-ジイソシアナートなど)とを反応させて得られる末端にイソシアナート基を有するウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等)を反応させて得ることができる。
【0030】
また、紫外線硬化性化合物を配合する場合には、紫外線硬化性化合物の硬化を円滑化するために、必要に応じて、光重合開始剤を配合してもよい。光重合開始剤としては、具体的には、例えば、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシメチルフェニルプロパン等を挙げることができる。
【0031】
図2に示すように、電子デバイス加工用テープ1の基材テープ13は、カス部31が引き剥がされる前においては、半導体ウエハが貼合されるラベル部21と、平面視にてラベル部21の平面視外縁22を囲んでいる不要部分であるカス部31と、平面視にてカス部31の外縁34と接し、基材テープ13の幅方向の縁部に位置する周辺部41とに区画されている。基材テープ13に対してカス部31が引き剥がされるカス上げ処理を行って、カス部31であった領域をカス剥離部とすることで、本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープ1が形成される。電子デバイス加工用テープ1では、周辺部41は、平面視にてカス剥離部の外縁と接している。なお、本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープ1を説明する図面では、説明の便宜上、カス部31が引き剥がされずに残されている形態としている。基材テープ13のうち、平面視において接着剤層12と重なり合う部分と必要に応じて前記重なり合う部分の近傍とが、ラベル部21に対応する。従って、ラベル部21は、剥離フィルム11と接着剤層12と粘着剤層15と基材フィルム14が、上記順序で積層された構造となっている。一方で、カス部31と周辺部41には、接着剤層12が設けられていない。従って、カス部31と周辺部41は、剥離フィルム11と粘着剤層15と基材フィルム14が、上記順序で積層された構造となっている。
【0032】
図2では、カス部31が引き剥がされる前における電子デバイス加工用テープ1は、ロール体に巻かれた形態となっている。
【0033】
ラベル部21は、電子デバイス加工用テープ1の搬送方向Dに所定の間隔にて複数形成されている。ラベル部21の平面視の形状及び面積は、特に限定されず、例えば、貼合されてダイシングされる半導体ウエハの平面視の形状に略対応した形状及び面積となっている。電子デバイス加工用テープ1では、ラベル部21の平面視の形状は、円形状となっている。
【0034】
カス部31は、それぞれのラベル部21の平面視外縁22を囲む外周部33と、隣接するラベル部21の所定の間隔を形成する間隔部分32と、を有する。外周部33の外縁34は、ラベル部21の平面視外縁22に沿って延在している部分である。また、外周部33と間隔部分32は連続して形成されている。上記から、それぞれのラベル部21の平面視外縁22を囲む外周部33は、所定のラベル部21-1と間隔部分32を介して隣接する他のラベル部21-2の平面視外縁22を囲む外周部33と連続している。
【0035】
図3に示すように、カス部31の間隔部分32は、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から上記所定のラベル部21-1に隣接した他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34と、所定のラベル部21-1に隣接した他のラベル部21-2(以下、単に「他のラベル部21-2」ということがある。)を囲む外周部33から上記所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34と、にて、幅方向が区画されている。他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63は、所定のラベル部21-1を囲む外周部33の外縁34には達していない。すなわち、他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の終端は、所定のラベル部21-1を囲む外周部33の外縁34までは伸延していない。また、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53は、他のラベル部21-2を囲む外周部33の外縁34には達していない。すなわち、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の終端は、他のラベル部21-2を囲む外周部33の外縁34までは伸延していない。
【0036】
また、所定のラベル部21-1を囲むカス部31の外周部33の外縁34と他のラベル部21-2を囲むカス部31の外周部33の外縁34は、交差していない。すなわち、電子デバイス加工用テープ1の搬送方向Dの前方から伸延したカス部31の外周部33の外縁34と搬送方向Dの後方から伸延したカス部31の外周部33の外縁34は交差していない。
【0037】
また、図3に示すように、カス部31の間隔部分32にて、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53は、他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63よりも周辺部41の方向に位置している。すなわち、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する(すなわち、一方向から伸延する)外縁34の終端は、他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する(すなわち、他方向から伸延する)外縁34の終端に対して、電子デバイス加工用テープ1の搬送方向Dに直交した方向において、周辺部41の方向に位置している。上記から、先端53は、先端63よりも基材テープ13の幅方向外側に位置している。
【0038】
図3では、電子デバイス加工用テープ1を形成するために、基材テープ13に対してカス部31が引き剥がされるカス上げ処理は、他のラベル部21-2を囲む外周部33の外縁34の先端63から、所定のラベル部21-1を囲む外周部33の外縁34の先端53の方向に行われる。
【0039】
カス部31の間隔部分32にて、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34は、終端である先端53から搬送方向Dに対して平行な基材テープ13の中心線C方向へ伸延したターン部50を有している。外縁34のターン部50は、所定のラベル部21-1を囲む部位における外縁34とは、伸延方向が異なる部位である。ターン部50は、カス部31の間隔部分32に形成されている。外縁34のターン部50は、外縁34の先端53から所定のラベル部21-1方向且つ基材テープ13の中心線C方向へ伸延している形状となっている。後述するように、ターン部50を含めて所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34は、基材テープ13を貫通して形成されたプリカット加工のカット線であり、剥離フィルム11と接着剤層12には、プリカット加工のカット線は形成されていなくてもよい。
【0040】
ターン部50を含めて所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34は、電子デバイス加工用テープ1の搬送方向Dに対して平行な基材テープ13の中心線Cよりも外側の部位にのみ形成されている。すなわち、ターン部50を含めて所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34は、搬送方向Dに対して平行な基材テープ13の中心線Cを横切るようには伸延していない。また、ターン部50は、1箇所の間隔部分32あたり、2つ形成されており、本実施形態においては中心線Cを境に略対称に配置されている。なお、ターン部50の配置は、中心線Cを境に対称でなくてもかまわない。
【0041】
ターン部50の平面視形状は、曲部51を有している形状となっている。また、ターン部50の曲部51は、曲部51の基点(中心線Cに最も近い部分)56から周辺部41の方向へ伸延した外方向部位52を有する。曲部51の外方向部位52は、間隔部分32において、中心線Cから基材テープ13の幅方向外側に向かって、すなわち、基材テープ13の中心線Cから搬送方向Dに対して直交方向の縁部に向かって、伸延している部位である。
【0042】
また、カス部31の間隔部分32にて、他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34は、終端である先端63から搬送方向Dに対して平行な基材テープ13の中心線C方向へ伸延したターン部60を有している。外縁34のターン部60は、他のラベル部21-2を囲む部位における外縁34とは、伸延方向が異なる部位である。ターン部60は、カス部31の間隔部分32に形成されている。外縁34のターン部60は、外縁34の先端63から他のラベル部21-2方向且つ基材テープ13の中心線C方向へ伸延している形状となっている。後述するように、ターン部60を含めて他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34は、基材テープ13を貫通して形成されたプリカット加工のカット線であり、剥離フィルム11と接着剤層12には、プリカット加工のカット線は形成されていなくてもよい。
【0043】
ターン部60を含めて他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34は、電子デバイス加工用テープ1の搬送方向Dに対して平行な基材テープ13の中心線Cよりも外側の部位にのみ形成されている。すなわち、ターン部60を含めて他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34は、搬送方向Dに対して平行な基材テープ13の中心線Cを横切るようには伸延していない。また、ターン部60は、1箇所の間隔部分32あたり、2つ形成されており、中心線Cを境に略対称に配置されている。なお、ターン部60の配置は、中心線Cを境に対称でなくてもかまわない。
【0044】
ターン部60の平面視形状は、曲部61を有している形状となっている。また、ターン部60の曲部61は、曲部61の基点(中心線Cに最も近い部分)66から周辺部41の方向へ伸延した外方向部位62を有する。曲部61の外方向部位62は、間隔部分32において、中心線Cから基材テープ13の幅方向外側に向かって、すなわち、基材テープ13の中心線Cから搬送方向Dに対して直交方向の縁部に向かって、伸延している部位である。
【0045】
他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63は、所定のラベル部21-1を囲む外周部33の外縁34には達しておらず、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53は、他のラベル部21-2を囲む外周部33の外縁34には達していないことにより、カス部31の間隔部分32における引っ張り強度及び破断強度が向上する。カス部31の間隔部分32にて、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53が、他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63よりも周辺部41の方向に位置している。カス上げ処理の際には基材テープ13に長手方向に引っ張り力が作用するため、基材テープ13の外縁34付近にはカス上げ方向に平行な方向および中心線Cに向かう方向に張力が作用する。そのため、カス上げの位置が先端63に達すると、基材テープ13の引き裂きが、カス上げ方向に平行な方向あるいはやや中心線Cに向かって進展する。先端53は先端63よりも中心線Cから離れた方向に位置しており、かつ、外方向部位52が先端63よりも中心線C側に位置していることにより、先端63から進展した引き裂きが確実に所定のラベル部21-1を囲む外周部33の外縁34に達する。これにより、先端63から先端53への引き裂きが円滑化される。一方で、先端53が先端63よりも中心線Cに近い方向に位置していると、先端63から進展した引き裂きが所定のラベル部21-1を囲む外周部33の外縁34に達することができない場合が生じ、先端63から先端53への引き裂きに支障を生じる。従って、カス上げ処理の際に、ラベル部21間の外縁34が確実につながり、カス部31の外縁34から基材テープ13の中心線C方向へ引き裂き部が発生することが防止され、また、外縁34から外れてカス部31に引き裂き部が発生することが防止される。カス部31の外縁34から中心線C方向への引き裂きの発生が防止され、また、外縁34から外れてカス部31に引き裂き部が発生することが防止されることにより、基材テープ13が薄肉化され、または基材テープ13に引っ張り強度が低下する材料が使用されても、カス部31の引き剥がしを円滑化することができるので、電子デバイス加工用テープ1のカス剥離部にカス部31が残置されていることが防止される。
【0046】
また、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34がターン部50を有する。ターン部50を有することにより、ラベル部21に沿った形状に外縁34を形成しながら、外方向部位52を形成することができる。そのため、ラベル部21の形状に関わらず、ラベル部34間の外縁34を確実につなげることができる。
【0047】
ターン部50の曲部51は、平面視円弧状の曲線部となっている。すなわち、曲部51の基点56から周辺部41の方向へ伸延した外方向部位52は、平面視円弧状の曲線部となっている。平面視円弧状の曲線部の曲率半径は、特に限定されないが、その下限値は、カス部31の間隔部分32において、外縁34から基材テープ13の中心線C方向への引き裂きの発生がより確実に防止される点から、R1.0mmが好ましく、R2.0mmが特に好ましい。一方で、曲部51の曲率半径の上限値は、電子デバイス加工用テープ1の寸法に応じて、適宜、選択可能であるが、例えば、ラベル部間の距離を最小にする観点から、R20mmが好ましい。
【0048】
ターン部60の曲部61は、平面視円弧状の曲線部となっている。すなわち、曲部61の基点66から周辺部41の方向へ伸延した外方向部位62は、平面視円弧状の曲線部となっている。平面視円弧状の曲線部の曲率半径は、特に限定されないが、その下限値は、カス部31の間隔部分32において、外縁34から基材テープ13の中心線C方向への引き裂きの発生がより確実に防止される点から、R1.0mmが好ましく、R2.0mmが特に好ましい。一方で、曲部61の曲率半径の上限値は、電子デバイス加工用テープ1の寸法に応じて、適宜、選択可能であるが、例えば、ラベル部間の距離を最小にする観点から、R20mmが好ましい。
【0049】
搬送方向Dに対して平行方向における、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53と他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63との距離L1は、特に限定されないが、その下限値は、カス部31の外縁34から基材テープ13の中心線C方向への引き裂き部の発生をより確実に防止する点から0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましく、0.5mmが特に好ましい。一方で、先端53と先端63との距離L1の上限値は、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34と他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34間の引き裂きがより確実となる点から10mmが好ましく、7.0mmがより好ましく、5.0mmが特に好ましい。
【0050】
所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53を通る搬送方向Dに対して平行方向の仮想線D1と外方向部位52との先端53におけるなす角度θは、特に限定されないが、その下限値は、他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63からの引き裂きが外方向部位52により確実に到達する点から、10°が好ましく、20°がより好ましく、30°が特に好ましい。一方で、上記なす角度θの上限値は、カス上げが先端63から先端53付近にさしかかった際に、基材フィルム14に大きな張力が作用して想定している引き裂き位置からずれた位置に引き裂きが生じてカス部31の先端部が残ってしまうこと等を防止してカス上げ処理をより確実に円滑化する点から、150°が好ましく、130°が特に好ましい。
【0051】
搬送方向Dに対して直交方向における、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53と他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63との距離は、特に限定されないが、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34と他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34間の引き裂きがより確実となり、カス部31の引き剥がしをより確実に円滑化することができる点から、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.2mm以上7.0mm以下がより好ましく、0.5mm以上5.0mm以下が特に好ましい。
【0052】
次に、基材テープ13に、ラベル部21とカス部31と周辺部41の区画を形成する方法について説明する。基材テープ13に、半導体ウエハが貼合されるラベル部21と、ラベル部21の平面視外縁22を囲んでいるカス部31と、カス部31の外縁34と接し、基材テープ13の縁部に位置する周辺部41との区画を形成する方法には、例えば、回転打ち抜き刃を用いて基材テープ13をプリカット加工する方法が挙げられる。この場合、ラベル部21とカス部31と周辺部41との区画は、基材テープ13に設けられたカット線で形成されている。
【0053】
電子デバイス加工用テープ1を形成するためのカス部31を有する電子デバイス加工用テープは、図4に示す刃のパターンを有する回転打ち抜き刃100を用いて、基材テープ13にプリカット加工を施すことで、ラベル部21とカス部31と周辺部41との区画を形成でき、また、カス部31の間隔部分32に、ターン部50、60を形成することができる。回転打ち抜き刃100を円筒形のロール(図示せず)の外面に巻き付けて装着し、回転打ち抜き刃100に基材テープ13を押し当てながら円筒形のロールを回転させることで、基材テープ13にプリカット加工を施すことができる。円筒形のロールが1回転することで、プリカットされたラベル部21が1つ形成される。
【0054】
図4に示すように、回転打ち抜き刃100は、ラベル部21の平面視外縁22を形成するためのラベル部形成用刃110と、ラベル部形成用刃110の外周部に設けられた、カス部31の外縁34を形成するためのカス部形成用刃120とを備えている。電子デバイス加工用テープ1では、ラベル部21の平面視の形状が円形状となっていることに対応して、ラベル部形成用刃110は、円形状となっている。
【0055】
カス部形成用刃120には、ターン部50を形成するためのターン部形成用刃121と、ターン部60を形成するためのターン部形成用刃122と、ラベル部21を囲む外周部33の外縁34を形成するための外周部外縁形成用刃123と、を有している。ターン部形成用刃121は、ターン部形成用刃122と対向する位置に形成されている。また、外周部外縁形成用刃123は、ターン部形成用刃121及びターン部形成用刃122と連設されている。また、ターン部形成用刃121は、外周部外縁形成用刃123を介してターン部形成用刃122と連設されている。
【0056】
所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53は他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63よりも周辺部41の方向に位置していることに対応して、ターン部形成用刃121の間隔S1は、ターン部形成用刃122の間隔S2よりも広く設定されている。
【0057】
また、ターン部50に曲部51が形成されていることに対応して、ターン部形成用刃121には、ターン部形成用刃121の伸延方向に曲げ部124が設けられている。曲げ部124の曲率半径は、ターン部50の曲部51の曲率半径に対応している。さらに、ターン部50の曲部51に外方向部位52が形成されていることに対応して、ターン部形成用刃121の曲げ部124には、外方向に伸延した、外方向部125が設けられている。
【0058】
また、ターン部60に曲部61が形成されていることに対応して、ターン部形成用刃122には、ターン部形成用刃122の伸延方向に曲げ部224が設けられている。曲げ部224の曲率半径は、ターン部60の曲部61の曲率半径に対応している。さらに、ターン部60の曲部61に外方向部位62が形成されていることに対応して、ターン部形成用刃122の曲げ部224には、外方向に伸延した、外方向部225が設けられている。
【0059】
回転打ち抜き刃100の1回転目で、ラベル部形成用刃110により所定のラベル部21-1が形成され、外周部外縁形成用刃123により所定のラベル部21-1を囲む外周部33の外縁34が形成され、ターン部形成用刃121によりターン部50が形成される。そして、回転打ち抜き刃100の2回転目で、ターン部50が形成された部分の近傍に、ターン部形成用刃122によりターン部60が形成されるとともに、ラベル部形成用刃110により所定のラベル部21-1に隣接した他のラベル部21-2が形成され、外周部外縁形成用刃123により他のラベル部21-2を囲む外周部33の外縁34が形成される。上記プリカット加工の操作を繰り返すことで、基材テープ13にラベル部21とカス部31と周辺部41との区画を連続的に形成することができる。
【0060】
なお、図2、3に示す第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープ1では、カス部31の間隔部分32にて、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53は、他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63よりも周辺部41の方向に位置していたが、図5に示すように、カス部31の間隔部分32にて、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53と他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63が、搬送方向Dに対して平行に位置している電子デバイス加工用テープ2でもよい。
【0061】
なお、図5は、先端53と先端63が搬送方向Dに対して平行に位置している点で図2、3とは異なる、本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープのカス上げ処理前における平面視の概要を示す拡大図である。
【0062】
すなわち、図5に示す第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープ2では、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する(すなわち、一方向から伸延する)外縁34の終端と他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する(すなわち、他方向から伸延する)外縁34の終端が、搬送方向Dに対して平行に位置している。上記から、先端53と先端63は、基材テープ13の幅方向において同じ位置となっている。
【0063】
電子デバイス加工用テープ2では、回転打ち抜き刃100のターン部形成用刃121の間隔S1とターン部形成用刃122の間隔S2を同じ間隔とすることで、先端53と先端63を、基材テープ13の幅方向において同じ位置に設定することができる。
【0064】
カス部31の間隔部分32にて、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53と他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63が、搬送方向Dに対して平行に位置していることにより、電子デバイス加工用テープ1と同様に、基材テープ13のカス部31が巻き取り手段等にて引き剥がされるカス上げ処理の際に、先端63から先端53への引き裂きが円滑化される。従って、カス部31に張力が負荷されても、カス部31の外縁34から基材テープ13の中心線C方向へ引き裂き部が発生することが防止され、また、外縁34から外れてカス部31に引き裂き部が発生することが防止される。
【0065】
上記から、本発明の電子デバイス加工用テープでは、カス上げ処理の上流に位置する、他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延する外縁34の先端63が、カス上げ処理の下流に位置する、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34の先端53よりも周辺部41の方向に位置していない状態であればよい。
【0066】
次に、電子デバイス加工用テープ1の製造方法例を説明する。
【0067】
まず、剥離フィルム11の主面61上に接着剤層12を塗布した積層体に対し、回転打抜き刃を用いて、接着剤層12に対してプリカットを形成する1次プリカットを行う。1次プリカットの後、接着剤層12の不要部分(ラベル部21に対応する部分以外の部分)を除去する。これとは別に、基材フィルム14の主面71上に粘着剤層15を塗布した積層構造物である基材テープ13を作製しておく。次に、不要部分が除去された接着剤層12に粘着剤層15を対向させて、基材テープ13を剥離フィルム11と接着剤層12に対してラミネートして基材テープ13を剥離フィルム11と重ね合わせる。
【0068】
次に、基材テープ13と対向配置されている回転打抜き刃100を用いて、基材テープ13に、半導体ウエハが貼合されるラベル部21と、ラベル部21の平面視外縁22を囲んでいるカス部31と、カス部31の外縁34と接し、基材テープ13の縁部に位置する周辺部41との区画(カット線)を形成する2次プリカットを行う。2次プリカットにおいて、カス部31の間隔部分32に、カット線であるターン部50、60も形成される。また、2次プリカットにおいて、カス部31の間隔部分32にて、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延するカット線である外縁34の先端53と他のラベル部21-2を囲む外周部33から所定のラベル部21-1方向へ伸延するカット線である外縁34の先端63とが、所定の位置に形成される。また、2次プリカットにおいて、所定のラベル部21-1を囲むカス部31の外周部33のカット線である外縁34と他のラベル部21-2を囲むカス部31の外周部33のカット線である外縁34は、交差していない。
【0069】
次に、基材テープ13のカス部31を巻き取り手段等にて引き剥がすカス上げ処理を実施して、カス剥離部を形成する。これにより、電子デバイス加工用テープ1を製造することができる。
【0070】
次に、本発明の電子デバイス加工用テープの使用方法例を説明する。ここでは、第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープ1を用いて、本発明の電子デバイス加工用テープの使用方法例を説明する。なお、図6は、本発明の第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープの使用方法例の説明図である。
【0071】
図6に示すように、先ず、ロール状に巻かれた電子デバイス加工用テープ1を、剥離フィルム巻き取りローラ200にて、電子デバイス加工用テープ1のロール体から引き出す。電子デバイス加工用テープ1の引き出し経路には、剥離手段201が設けられており、剥離手段201の先端部を折り返し点として、電子デバイス加工用テープ1から剥離フィルム11のみが引き剥がされる。引き剥がされた剥離フィルム11は、電子デバイス加工用テープ1のロール体から引き出す機能を有する剥離フィルム巻き取りローラ200に巻き取られる。
【0072】
剥離手段201の先には、貼合部202が設けられている。貼合部202の上面には、半導体ウエハWと半導体ウエハWを囲んだリングフレーム205が載置されている。剥離フィルム11が引き剥がされた、接着剤層12と基材テープ13の積層体は、接着剤層12と対向した半導体ウエハW上に導かれ、貼合ローラ203によって接着剤層12に半導体ウエハWを貼合する。
【0073】
次に、接着剤層12と基材テープ13の積層体を半導体ウエハWとリングフレーム205に貼りつけた状態で、半導体ウエハWをダイシングして半導体チップとする(図示せず)。ダイシングして半導体チップとした後、基材テープ13に対して紫外線照射等の硬化処理を行って、基材テープ13の粘着剤層15を構成する粘着成分を硬化させて、粘着成分の粘着力を低下させる。粘着剤層15の粘着力が低下すると、接着剤層12は粘着剤層15から円滑に剥離して、半導体チップの裏面に接着剤層12が付着した状態で、半導体チップがピックアップされる。なお、半導体チップの裏面に付着した接着剤層12は、半導体チップをリードフレーム、パッケージ基板、他の半導体チップに接着する際に、ダイボンディングフィルムとして機能する。
【0074】
次に、本発明の電子デバイス加工用テープの他の実施形態例について説明する。上記第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープ1、2では、ターン部50、60の平面視形状には、曲部51、61を有していたが、これに代えて、ターン部50、60の平面視形状には、直線部を有していてもよい。
【0075】
また、上記第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープ1、2では、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34は、終端である先端53から搬送方向Dに対して平行な基材テープ13の中心線C方向へ伸延したターン部50を有していたが、これに代えて、先端53から基材テープ13の中心線C方向へ伸延したターン部50を有していなくてもよい。ターン部50を有していない場合、所定のラベル部21-1を囲む外周部33から他のラベル部21-2方向へ伸延する外縁34は、間隔部分32において、先端53から搬送方向Dに対して平行に所定のラベル部21-1方向へ伸延している形状となっている。
【0076】
また、上記第1実施形態例に係る電子デバイス加工用テープ1、2では、剥離テープ11と基材テープ13の間に接着剤層12が設けられていたが、これに代えて、図7に示すように、剥離テープ11と基材テープ13の間に接着剤層12が設けられていない電子デバイス加工用テープ3としてもよい。電子デバイス加工用テープ3では、ラベル部21でも、剥離テープ11に、直接、基材テープ13の粘着剤層15が接している。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の電子デバイス加工用テープは、基材テープが薄肉化され、または基材テープに引っ張り強度が低下する材料が使用されても、カス部の引き剥がしを円滑化することができるので、例えば、ダイシングボンディング一体型フィルムの分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0078】
1、2、3 電子デバイス加工用テープ
11 剥離フィルム
12 接着剤層
13 基材テープ
14 基材フィルム
15 粘着剤層
50、60 ターン部
53、63 先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7