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特許7536939強度が可変的なダイオードを備えた空間光変調器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】強度が可変的なダイオードを備えた空間光変調器
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240813BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240813BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240813BHJP
   F21W 131/40 20060101ALN20240813BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240813BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240813BHJP
【FI】
G03F7/20 501
F21S2/00 600
F21S2/00 310
F21V7/00 590
F21W131:40
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061225
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2020549761の分割
【原出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2023098934
(43)【公開日】2023-07-11
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】15/933,147
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, ジョセフ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ベンチャー, クリストファー デニス
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-233427(JP,A)
【文献】特表2014-510419(JP,A)
【文献】特表2016-541009(JP,A)
【文献】特開2005-072368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
9/00
H01L 33/00
H01S 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に画像を生成する方法であって、
GaN層に複数のエミッタアレイを備える画像投影システムに命令を送信することであって、
前記命令は、前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含む、命令を送信することと、
前記基板の第1の部分を露光するために、オン状態で前記エミッタに、約1ナノ秒から約50マイクロ秒の範囲の期間の間、パルスを送ることと、
前記基板の第2の部分を露光するために、前記基板を、稼働中に約5mmのステップサイズ分平行移動で走査させて、前記オン状態で前記エミッタにパルスを送ることと、
前記基板が処理されるまで、前記基板の後続の部分を露光するために前記オン状態で前記エミッタにパルスを送ることを繰り返すこと
を含み、
GaN層に複数のエミッタアレイを含む画像投影システムに命令を送信することであって、前記命令は前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含む、命令を送信することは、
露光のためのピクセル数を決定することと、
露光のための前記ピクセル数に対応するエミッタの1つ以上のアレイ内で、各エミッタを設定すること
を含み、
露光のための前記ピクセル数に対応するエミッタの1つ以上のアレイ内で、各エミッタを設定することは、エミッタの少なくとも1つのアレイ内の各エミッタに対する少なくとも1つのトランジスタへの入力を選択的に提供して、各エミッタ内で可変的な強度を生成することを含む、方法。
【請求項2】
各エミッタ内の前記可変的な強度が、ベース電流xの倍数から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
複数のエミッタアレイを含む画像投影システムに命令を送信することであって、前記命令は前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含む、命令を送信することは、
エミッタを選択的にオン状態にすることにより、エミッタアレイのパターンを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1の量の信号が第1のエミッタアレイに伝達され、第2の量の信号が第2のエミッタアレイに伝達される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
基板上で画像を生成するシステムであって、
前記システムと通信するコントローラを備え、
前記コントローラは、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されると、基板上に画像を生成する操作を実行する命令が格納されたメモリと
を有し、
前記操作は、
GaN層に複数のエミッタアレイを備える前記システムに命令を送信することであって、前記命令は、前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含む、命令を送信することと、
前記基板の第1の部分を露光するために、オン状態で前記エミッタに約1ナノ秒から約50マイクロ秒の範囲の期間の間、パルスを送ることと、
前記基板の第2の部分を露光するために、前記基板を、走査モードで稼働中に約5mmのステップサイズ分平行移動させ、前記オン状態で前記エミッタに約1ナノ秒から約50マイクロ秒の範囲の期間の間、パルスを送ることと、
前記基板が処理されるまで、前記基板の後続の部分を露光するために前記オン状態で前記エミッタにパルスを送ることを繰り返すこと
を含み、
GaN層に複数のエミッタアレイを含む画像投影システムに命令を送信することであって、前記命令は、前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含む、命令を送信することは、
露光のためのピクセル数を決定することと、
露光のための前記ピクセル数に対応するエミッタの1つ以上のアレイ内で、各エミッタを設定すること
を含み、
露光のための前記ピクセル数に対応するエミッタの1つ以上のアレイ内で、各エミッタを設定することは、エミッタの少なくとも1つのアレイ内の各エミッタに対する少なくとも1つのトランジスタへの入力を選択的に提供して、各エミッタ内で可変的な強度を生成することを含む、方法。
【請求項6】
複数のエミッタアレイを含む画像投影システムに命令を送信することであって、前記命令は、前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含む、命令を送信することは、
エミッタを選択的にオン状態にすることにより、エミッタアレイのパターンを生成することを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
第1の量の信号が第1のエミッタアレイに伝達され、第2の量の信号が第2のエミッタアレイに伝達される、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記命令は、前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含み、前記状態情報は、各エミッタアレイについての線量情報を含み、前記線量情報は、各エミッタアレイに伝達される信号量を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
非一過性のコンピュータ可読媒体であって、
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに基板上に画像を生成する方法を実行させる命令が格納されており、
前記基板上に画像を生成する方法は、
GaN層に複数のエミッタアレイを備える画像投影システムに命令を送信することであって、前記命令は、前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含む、命令を送信することと、
前記基板の第1の部分を露光するために、オン状態で前記エミッタに約1ナノ秒から約50マイクロ秒の範囲の期間の間、パルスを送ることと、
前記基板の第2の部分を露光するために、前記基板を、走査モードで稼働中に約5mmのステップサイズ分平行移動させ、前記オン状態で前記エミッタに約1ナノ秒から約50マイクロ秒の範囲の期間の間、パルスを送ることと、
前記基板が処理されるまで、前記基板の後続の部分を露光するために前記オン状態で前記エミッタにパルスを送ることを繰り返すこと
を含み、
GaN層に複数のエミッタアレイを含む画像投影システムに命令を送信することであって、前記命令は前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含む、命令を送信す
ることは、
露光のためのピクセル数を決定することと、
露光のための前記ピクセル数に対応するエミッタの1つ以上のアレイ内で、各エミッ
タを設定すること
を含み、
露光のための前記ピクセル数に対応するエミッタの1つ以上のアレイ内で、各エミッタを設定することは、エミッタの少なくとも1つのアレイ内の各エミッタに対する少なくとも1つのトランジスタへの入力を選択的に提供して、各エミッタ内で可変的な強度を生成することを含む、
非一過性のコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
複数のエミッタアレイを含む画像投影システムに命令を送信することであって、前記命
令は、前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含む、命令を送信
することは、
エミッタを選択的にオン状態にすることにより、エミッタアレイのパターンを生成す
ることを含む、請求項に記載の非一過性のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記命令は、前記複数のエミッタアレイ内の各エミッタについての状態情報を含み、前
記状態情報は、各エミッタアレイについての線量情報を含み、前記線量情報は、各エミッ
タアレイに伝達される信号量を含む、請求項に記載の非一過性のコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記第1の量の信号は第1の量の電流であり、前記第2の量の信号は第2の量の電流である、請求項に記載に方法。
【請求項13】
前記第1の量の信号は第1の量の電流であり、前記第2の量の信号は第2の量の電流である、請求項に記載にシステム。
【請求項14】
前記命令によって実行される前記方法が、
第1の量の信号が第1のエミッタアレイに伝達され、第2の量の信号が第2のエミッタアレイに伝達されることを含む、請求項に記載の非一過性のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記第1の量の信号は第1の量の電流であり、前記第2の量の信号は第2の量の電流である、請求項14に記載の非一過性のコンピュータ可読媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は概して、基板上に画像を生成する装置に関し、特には、改良された空間光変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィは、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)といった、半導体素子及びディスプレイデバイスの製造に広く使用されている。大面積基板は、LCDの製造に利用されることが多い。LCD又はフラットパネルは、一般的に、コンピュータ、タッチパネルデバイス、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)、携帯電話、及びテレビモニタ等といった、アクティブマトリクスディスプレイに使用される。一般に、フラットパネルは、2枚のプレートの間に挟まれたピクセルを形成する液晶材料の層を含みうる。電源からの電力が液晶材料全体に印加されるときには、液晶材料を透過する光の量がピクセル位置において制御され、画像の生成が可能となりうる。
【0003】
ピクセルを形成する液晶材料層の一部として組み込まれた電気的特徴を作り出すために、一般的にマイクロリソグラフィ技法が用いられる。この技法により、典型的には、基板の少なくとも1つの表面に感光性フォトレジストが付けられる。次いで、パターン生成装置が、パターンの一部として選択された感光性フォトレジストの領域に光を照射して、選択領域内のフォトレジストに化学変化を引き起こし、これらの選択領域に、電気的特徴を作り出す後続の材料除去及び/又は材料追加のプロセスのための準備を行う。
【0004】
従来のマイクロリソグラフィーシステムは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD:digital micromirror device)を利用して、フォトレジストに向かって光を反射させることにより複数の光ビームを形成する。DMDは複数のミラーを含み、DMDの各ミラーは「オン」位置または「オフ」位置のいずれかにあり、システムをバイナリエミッタの画質に制限する。画質がより精密なディスプレイデバイス及びその他のデバイスを提供し続けるために、新たな装置、手法、及びシステムが、大面積基板といった基板上に正確かつコストパフォーマンス良くパターンを生成するために必要とされている。
【0005】
先に示したように、基板上に精密かつ良好なコストパフォーマンスでパターンを生成するための改良された技術が絶え間なく必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
1つ以上の実施形態において、画像投影システムが本明細書で開示される。画像投影システムは、アクティブマトリクス固体エミッタ(SSE:solid state emitter)デバイスを備える。アクティブマトリクス固体エミッタは、基板、シリコン層、およびエミッタ基板を含む。シリコン層が、複数のトランジスタが形成された基板の上に堆積される。エミッタ基板が、シリコン層と基板との間に配置される。エミッタ基板は、複数のエミッタアレイを備える。各エミッタアレイがピクセルを画定し、1つのピクセルは、複数のトランジスタからの1つ以上のトランジスタを含む。各トランジスタは、可変量の電流を受け取るよう構成される。
【0007】
他の実施形態において、基板上に画像を生成する方法が本明細書に開示される。命令が画像投影システムに送信される。画像投影システムは、複数のエミッタアレイを備える。命令は、複数のエミッタアレイ内の各アレイについての状態情報を含む。ON状態のエミッタには、基板の第1の部分を露光するためにパルスが送られる。基板が、ステップサイズ分平行移動させられる。ON状態のエミッタには、基板の第2の部分を露光するためにパルスが送られる。基板が処理されるまで、オン状態のエミッタにパルスを送ることが、基板の後続部分を露光するためのステップサイズ分の各平行移動の後に繰り返される。
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示しており、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つ以上の実施形態に係る処理システムの斜視図を示す。
図2】1つ以上の実施形態に係る図1の処理システムの側方断面図を示す。
図3】1つ以上の実施形態に係る複数の画像投影システムの斜視図を示す。
図4A図3の複数の画像投影システムのうちの1つの画像投影システムの概略的な斜視図を示す。
図4B】1つ以上の実施形態に係る複数のDMDアセンブリの斜視図を示す。
図5】1つ以上の実施形態に係る複数の改良された画像投影システムの斜視図を示す。
図6図5の複数の画像投影システムのうちの1つの改良された画像投影システムの斜視図を示す。
図7A】1つ以上の実施形態に係るアクティブマトリクス放射エミッタの概略的な側面図を示す。
図7B】1つ以上の実施形態に係るAMSSEの回路図である。
図7C】1つ以上の実施形態に係るAMSSEの一構成を示す図である。
図7D】他の実施形態に係るAMSSEの一構成を示す図である。
図8図6の改良された画像投影システムを用いて基板上に画像を生成する方法を示す。
図9図6の改良された画像投影システムを用いて基板上に画像を生成する方法を示す。
図10図6の改良された画像投影システムを用いて基板上に画像を生成する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の構成要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると想定されている。
【0011】
しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面は本開示の典型的な実施形態しか例示しておらず、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【0012】
本開示の実施形態は概して、画像投影システムに関する。1つの画像投影システムは、アクティブマトリクス固体エミッタ(SSE:solid state emitter)デバイスを備える。アクティブマトリクス固体エミッタは、基板、シリコン層、およびエミッタ基板を含む。シリコン層が、複数のトランジスタがその中/その上に形成された基板の上に堆積される。エミッタ基板が、シリコン層と基板との間に配置される。エミッタ基板は、複数のエミッタアレイを備える。各エミッタアレイがピクセルを画定し、1つのピクセルは、複数のトランジスタからの2つ以上のトランジスタを含む。各トランジスタは、可変量の電流を受け取るよう構成される。各エミッタの強度を制御することが可能であり、ピクセルアドレス指定可能システムにおいてグレーレベルの制御が提供される。実施形態及び態様を以下において詳細に説明する。
【0013】
図1は、本明細書で開示されている実施形態から恩恵を受けうるシステム100の斜視図である。システム100は、ベースフレーム110、板状体(slab)120、1つ以上のステージ130、及び処理装置160を含む。ベースフレーム110は、製造施設のフロアに置かれ、フロア上で板状体120を支持する。受動空気アイソレータ112が、ベースフレーム110と板状体120の間に位置付けられる。1つ以上の実施形態において、板状体120は花崗岩の一枚板であり、ステージ130は、板状体120の上に配置される。基板140が、ステージ130によって支持される。複数の孔(図示せず)が、複数のリフトピン(図示せず)がそれらを通って延在することを可能にするために、ステージ130に形成される。幾つかの実施形態において、リフトピンは、例えば1つ以上の移送ロボット(図示せず)から基板140を受け取るために、伸長位置まで上昇する。基板140をロードし及びステージ130からアンロードするために、1つ以上の移送ロボットが使用される。
【0014】
基板140は、平坦なパネルディスプレイの一部として使用される任意の適切な材料を含む。他の実施形態において、基板140は他の材料で作製される。基板140上には、フォトレジスト層が形成される。フォトレジストは、少なくとも或る一定の波長の電磁放射に曝露されたときに感応する。ポジ型フォトレジストには、電磁放射に曝露されると、電磁放射を用いてフォトレジストにパターンが書き込まれた後に、フォトレジストに塗布されたフォトレジスト現像液にそれぞれが溶けるフォトレジストの部分が含まれている。ネガ型フォトレジストには、電磁放射に曝露されると、電磁放射パターンがフォトレジストに書き込まれた後に、フォトレジストに塗布されたフォトレジスト現像液にそれぞれが溶けないフォトレジストの部分が含まれている。フォトレジストの化学組成により、そのフォトレジストがポジ型フォトレジストであるか、又はネガ型フォトレジストであるかが決まる。例えば、フォトレジストは、ジアゾナフトキノン、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルグルタルイミド)、及びSU-8のうちの少なくとも1つを含むが、これらには限定されない。このように、パターンが、基板140上のフォトレジスト層の表面上に生成されて、電子回路が形成される。
【0015】
システム100は、一対の支持体122と、一対の軌道124とを含む。一対の支持体122は板状体120の上に配置され、一対の板状体120と一対の支持体122は単一材料片である。一対の軌道124は一対の支持体122によって支持され、ステージ130は、軌道124に沿ってX方向に可動である。1つ以上の実施形態において、一対の軌道124は、一対の平行な磁気チャネルである。図示されるように、一対の軌道124の各軌道124は直線経路上に延在している。エンコーダ126が、ステージ130の位置についての情報をコントローラ(図示せず)に提供するために各ステージ130に結合されている。
【0016】
処理装置160は、支持体162及び処理ユニット164を含む。支持体162は、板状体120の上に配置され、ステージ130が処理ユニット164の下を通るための開口166を含む。処理ユニット164は、板状体120の上方で支持体162によって支持される。1つ以上の実施形態において、処理ユニット164は、フォトリソグラフィプロセスでフォトレジストを露光するよう構成されたパターン生成装置である。幾つかの実施形態において、パターン生成装置は、マスクレスリソグラフィプロセスを実施するよう構成される。処理ユニット164は、(図5に図示する)複数の画像投影装置を含む。1つ以上の実施形態において、処理ユニット164は84個の画像投影装置を包む。各画像投影装置は、ケース165に配置される。処理装置160は、フォトレジスト又は他の電磁放射に感応する材料にマスクレスで直接パターンを書き込むために役立つ。
【0017】
稼働中に、ステージ130は、図1に示すローディング位置から処理位置へと、X方向に移動する。処理位置は、ステージ130が処理ユニット164の下を通る際の、ステージ130の1つ以上の位置である。稼働中に、ステージ130は、複数の空気軸受202(図2に示す)によって軌道124から上昇し、軌道124から上げられている間は、ローディング位置から処理位置へと、一対の軌道124に沿って移動する。ステージ130の動きを安定させるために、複数の垂直ガイド空気軸受(図示せず)が、各ステージ130に結合され、各支持体122の内壁128の近傍に位置付けられている。ステージ130はまた、基板140の処理及び/又は割り出し(index)のために、軌道150に沿って移動することによって、Y方向にも移動する。ステージ130は、独立した動作が可能であり、基板140を1の方向に走査し及び他の方向に進むことが可能である。
【0018】
計測システムは、複数の画像投影装置の各々がフォトレジストで覆われた基板上の正しい位置に書き込まれたパターンを精確に位置特定することができるように、各ステージの、ステージ130のX及びYの横位置座標をリアルタイムで測定する。計測システムは、垂直軸又はZ軸の周りの、ステージ130の角度位置のリアルタイムの測定も提供する。角度位置の測定は、サーボ機構を用いたスキャン中に、ステージ130の角度位置を一定に保つために利用することが可能であり、又は、図5に示している画像投影装置270によって基板140に書き込まれるパターンの位置に補正を加えるために利用することが可能である。これらの技法を、組み合わせて使用することが可能である。
【0019】
図2は、1つ以上の実施形態に係る図1の処理システム100の側方断面図である。上述のように、各ステージ130は、ステージ130を上昇させるための複数の空気軸受202を含む。各ステージ130はまた、軌道124に沿ってステージ130を移動させるための、モータといったアクチュエータも含みうる。温度及び圧力の制御を行うために、2つ以上のステージ130及び処理装置160は、囲い(図示せず)によって囲まれうる。
【0020】
システム100はまたコントローラ190も含む。コントローラ190は、通常、本明細書に記載の処理技法の制御及び自動化を容易にするよう設計される。コントローラ190は、1つ以上の処理装置160、ステージ130、及びエンコーダ126に連結されうるか、又はそれらと通信可能でありうる。処理装置160及びステージ130は、基板処理及び基板の位置合わせに関して、コントローラ190に情報を提供しうる。例えば、処理装置160は、コントローラ190に基板処理が完了したことを警告するために、コントローラ190に情報を提供しうる。
【0021】
コントローラ190は、中央処理装置(CPU:central processing unit)192、メモリ194、及びサポート回路(又はI/O)196を含みうる。CPUは、様々な処理を制御するために産業用設定で使用される任意の形態のコンピュータプロセッサとハードウェア(パターン生成装置、モータ、及びその他のハードウェアなど)のうちの1つであり、プロセス(処理時間や基板位置など)を監視しうる。メモリ194は、CPU192に接続されており、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、読取り専用メモリ(ROM:read only memory)、フロッピーディスク、ハードディスク、または任意の他の形態のローカルもしくは遠隔のデジタルストレージなど、容易に利用可能な1つ以上のメモリであってよい。CPU192に命令するために、ソフトウェア命令及びデータは、コード化され、メモリ194内に格納されうる。サポート回路196はまた、従来のやり方でプロセッサをサポートするように、CPUに接続される。サポート回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、及びサブシステム等を含んでよい。コントローラによって可読なプログラム(又はコンピュータ命令)が、どのタスクが基板で実施可能であるかを決定する。このプログラムは、コントローラによって可読なソフトウェアであってよく、例えば処理時間及び基板位置を監視し制御するためのコードを含みうる。
【0022】
図3は、1つ以上の実施形態に係る処理システム100内で利用しうる複数の従来の画像投影システム301の斜視図である。図3に示しているように、各画像投影システム301は、基板140の表面304に向けて複数の書き込みビーム302を発する。基板140がX方向及びY方向に移動するにつれて、表面304の全体が、書き込みビーム302によってパターニングされうる。画像投影システム301の数は、基板140のサイズ及び/又はステージ130のスピードに基づいて変動しうる。
【0023】
図4Aは、1つ以上の実施形態に係る、図3の複数の画像投影システム301のうちの1つの従来の画像投影システム301の概略斜視図である。画像投影システム301は、1つ以上の光源402、開孔404、レンズ406、ミラー408、DMD(digital micromirror device)410、光ダンプ412、カメラ414、及び投影レンズ416を含みうる。光源402は、LED又はレーザでありうる。光源402は、所定の波長の光を生成することが可能でありうる。1つ以上の実施形態において、所定の波長とは、青色範囲又は近紫外(UV:ultraviolet)範囲内(例えば約450nm未満)のものである。ミラー408は、球面ミラー又は他の適切なミラーでありうる。投影レンズ416は、10倍の対物レンズでありうる。代替的に、投射レンズ416は他の倍率を有しうる。
【0024】
稼働中に、光源402によって、青色範囲内の波長などの所定の波長を有するビーム403が生成される。ビーム403はミラー408に反射して、DMD410に至る。
【0025】
DMD410は、個別に制御されうる複数のミラーを含み、DMDの複数のミラーの各ミラーは、コントローラ(図示せず)によりDMDに提供されるマスクデータに基づいて、「オン(on)」位置又は「オフ(off)」位置にありうる。ビーム403がDMD410の鏡に到達すると、「オン」位置のミラーがビーム403を反射させ、例えば、複数の書き込みビーム302が形成されて、投影レンズ416に至る。投影レンズ416は次いで、基板140の表面304に書き込みビーム302を投影する。「オフ」の位置にあるミラーは、基板140の表面304の代わりに、光ダンプ412に向けて、ビーム403を反射する。
【0026】
図4Bは、一実施形態に係るDMD410の2つのミラー452、454を示している。図示しているように、DMD410の各ミラー452、454はチルト機構456に載置され、チルト機構456はメモリセル458に載置されている。稼働中に、メモリセルにマスクデータをロードすることによって、各ミラー452、454が制御される。マスクデータは、ミラー452、454の傾斜を二進法で静電制御する。ミラー452、454がリセットモードにあり、又は給電されていないときには、当該ミラーは、どの二進数にも対応しない平坦位置に設定されうる。二進法におけるゼロは、「オフ」の位置に対応しうる。つまり、ミラーが、-10度、-12度、又は他の適切な負の傾斜度で傾けられる。二進法における1は、「オン」の位置に対応しうる。つまり、ミラーが、+10度、+12度、又は他の適切な正の傾斜度で傾けられる。図4Bに示しているように、ミラー452は「オフ」位置にあり、鏡454は「オン」位置にある。
【0027】
画像投影システム301のような現在の画像投影システムは、いくつかの制限を受ける。例えば、従来の画像投影システムは、DMD410内の各ミラーが「オン」状態と「オフ」状態との間でのみ設定可能であり、したがって2つの可能な露光のみを提供するという点で制限される。さらに、従来の画像投影システムは、DMD410内の各ミラーが「オン」または「オフ」状態のいずれかになるように適所に移動する必要があるという点で制限される。例えば、稼働中に、各ミラーの各メモリセル458がコントローラからデータを受信して、「オン」位置または「オフ」位置のいずれかに切り替える準備時間がある。このアプリケーションの目的のために、各メモリセル458に命令を送信するのに要する時間は、「データロード」時間と呼ばれる。幾つかの例では、これは約10マイクロ秒掛かりうる。データロード時間に加えて、各ミラーをオンまたはオフ位置に設定するのに掛かる後続の時間、例えば「フリップ時間」がある。各ミラーは、それぞれのメモリセル458に送られた命令に基づいて、その正しい位置に移動する必要がある。幾つかの例において、このことには10~15マイクロ秒掛かる。最後に、各ミラーがその正しい位置に置かれた後に、システムが各ミラーが安定するのを待つ期間、例えば「整定時間」もある。この整定時間は、機械的運動の結果として揺れたり振動したりするミラーが存在しないことを保証する。従って、各露光に対して、データロード時間+フリップ時間+整定時間の合計準備時間が存在する。各ミラーを所与の位置に設定し、続いて安定させる必要があるため、改良しうる唯一の変数はデータロード時間であり、これはより強いメモリセル458によって改良されうる。しかしながら、フリップ時間と整定時間は、従来の画像投影システムの制約として残るであろう。
【0028】
図5は、1つ以上の実施形態に係る、処理システム100内での利用のための複数の改良された画像投影システム500の斜視図である。図5に示しているように、各画像投影システム500は、基板140の表面504に向けて複数の書き込みビーム502を発する。基板140がX方向及びY方向に移動するにつれて、表面504の全体が、書き込みビーム502によってパターニングされうる。画像投影システム500の数は、基板140のサイズ及び/又はステージ130のスピードに基づいて変動しうる。
【0029】
図6は、1つ以上の実施形態に係る、図5の複数の画像投影システム500のうちの1つの改良された画像投影システム500の概略斜視図である。画像投影システム500は、アクティブマトリクス固体エミッタディスプレイ(AMSSE:active matrix solid state emitter display)602、カメラ614、焦点センサ616、光学素子606、および投影光学系618を含みうる。AMSSE602は少なくとも(図7と併せて以下で論じ、かつ示される)複数の放出素子を含み、各放出素子は、基板140に向かって放射線604を放出するよう構成される。放出素子は、放射線を放出することが可能な任意の十分な素子でありうる。1つ以上の実施形態において、各放出素子は、ダイオードなどのマイクロエミッタ素子である。従って、画像投影システム500は、画像投影システム301のDMD410のような従来の機械的構成要素を含まず、また、画像投影システム500は、各放出素子がそれ自身のエネルギー源であるため、別個のエネルギー源402を含まない。1つ以上の実施形態において、画像投影システム500は、さもなければ従来の画像投影システム301のDMD410内の1つのミラーであったであろう少なくとも1つの放出素子を含むよう構成される。
【0030】
図示の実施形態では、ビーム604がカメラ614に向かって放出される。カメラ614と投影光学系618は、図4Aおよび4Bと関連して先に検討したカメラ414および投影レンズ416と類似している。1つ以上の実施形態において、投影レンズ618は投影レンズである。光学素子606は、AMSSE602とカメラ614と間に配置される。光学素子606は、送信される画像の照射野サイズの、基板140への縮小をもたらす。1つ以上の実施形態において、光学素子606はレンズである。焦点センサ616が、AMSSE602とカメラ614との間に配置されうる。他の実施形態において、焦点センサ616は、カメラ614の近傍に配置されうる。焦点センサ616は、画像投影システム500の位置合わせ及び検査に関するフィードバックを提供する。1つ以上の実施形態において、焦点センサ616は1つ以上の放射線源を含み、当該放射線源は、カメラ614のレンズを通して方向付けられ、次いでカメラ614のレンズを透過して戻ってセンサ上で結像し、放射線源から投影されるビームスポットがフォトレジストの平面に焦点が合っているかどうかが検出される。
【0031】
図7Aは、1つ以上の実施形態に係る、図6のAMSSE602の部分断面図である。AMSSE602は、基板700上に形成されうる。1つ以上の実施形態において、基板700はサファイアで形成されうる。GaN層702が基板700の上に堆積されている。シリコン層706が、GaN層702の上に堆積されている。GaN層702は、p-GaN層720、i-GaN層722、およびn-GaN層724を含みうる。1つ以上のトランジスタ704が、GaN層702内に延在する複数の接点726を通してシリコン層706内に形成されている。複数の光変調素子が、GaN層702内に配置されている。複数の光変調素子及びGaN層702は、エミッタ基板711と総称される。例えば、光変調素子は、行及び列に配置された複数のエミッタ708を含みうる。各エミッタ708は、放射を放出するよう構成可能な任意のエミッタでありうる。1つ以上の実施例において、各エミッタ708はマイクロエミッタである。或るアレイに配置された1つ以上のエミッタ708が、ピクセル710を画定しうる。例えば,エミッタ708は,総計約2,073,600ピクセルの1920ピクセル×1080ピクセルのアレイを含む1080pディスプレイを画定しうる。本実施例における2,073,600ピクセルの各ピクセルは、エミッタ708のアレイを含みうる。本実施例で続けると、2,073,600ピクセルの各ピクセルは、シリコン層706内に形成された1つ以上のトランジスタ704に対応しうる。幾つかの例において、エミッタ708は、合計8,294,400ピクセルの3840ピクセル×2160ピクセルのアレイを含む超高精細(UHD:ultra-high-definition)ディスプレイを画定しうる。概して、エミッタ708は、任意の適切なディスプレイ(例えば、UHD、1080p、及び720p等)を画定しうる。
【0032】
各エミッタ708は、「オン」状態と「オフ」状態との間で設定可能である。「オン」状態では、各エミッタ708がエネルギーを放出しうる。エネルギーは、あらゆる形態の電磁放射でありうる。例えば、1つ以上の実施形態において、約300nm~約800nmのスペクトル内の波長を有する電磁放射が利用されうる。他の実施形態において、上記スペクトル以外の波長(赤外線、及びX線等)も利用しうる。他の実施形態において、複数のエミッタ708の各エミッタ708は、異なった波長を有する。コントローラ190のようなコントローラが、各エミッタ708をオン状態またはオフ状態のいずれかに設定しうる。加えて、コントローラ190はまた、エミッタ708に供給される電流量も制御しうる。DMDを用いた従来の映像投影システムで以前必要であったように、各エミッタ708を機械的に動かす必要がもはやないため、フリップ時間および整定時間が無くなり、従って全準備時間が短縮されて、スループットが向上する。加えて、各エミッタ708の強度を変調して、時間の経過と共に露光を制御することが可能である。従来の画像投影システムでは、各ミラーは「オン」状態または「オフ」状態のいずれかにあり、それらの間の中間状態は存在しない。
【0033】
図7Bは、1つ以上の実施形態に係るAMSSE602の回路図701である。図701は、第1のトランジスタ744aと、第2のトランジスタ744bと、エミッタ708とを含む。エミッタ708は、第1のトランジスタ744aおよび/または第2のトランジスタ744bから電流を受け取る。幾つかの例において、どのトランジスタ744a、744bがオンまたはオフであるかを決定することで、ピクセルに対応するエミッタのアレイに印加される電流の量が決まる。ピクセルは、エミッタにより受け取られる電流に従って、様々な階調を表示するよう設定可能である。1つ以上の実施形態において、各トランジスタは、Xアンペアから2Xアンペアの電流を受け取るよう構成される。1つ以上の実施形態において、ピクセルに対応するエミッタ708のアレイに供給される可能な電流量は、3Xアンペア(両方のトランジスタがオン)、2Xアンペア(一方のトランジスタがオン)、X(一方のトランジスタがオン)、および0アンペア(両方のトランジスタがオフ)である。トランジスタが受け取れる電流の量は、そのトランジスタ内のゲートの幅に依存し、これにより、ゲートの幅が広ければ広いほど、より多くの電流が流れうる。1つ以上の実施形態において、トランジスタ744aはオンで、Xアンペアの電流を受け取るよう構成され、トランジスタ744bはオンで、2Xアンペアの電流を受け取るように構成され、ピクセルの第1の明るさに対応するエミッタ708のアレイに印加される全電流は合計3Xアンペアとなる。他の実施形態において、トランジスタ744aがオフにされ、トランジスタ744bはオンにされて2Xアンペアの電流を受け取り、ピクセルの第2の明るさに対応するエミッタのアレイに印加される全電流は合計2Xアンペアとなる。幾つかの実施形態において、トランジスタ744aがオンにされ、トランジスタ744bがオフにされている間にXアンペアの電流を受け取り、ピクセルの第3の明るさに対応するエミッタのアレイに印加される全電流は合計Xアンペアとなる。他の実施形態において、各トランジスタは、可変量の電流を受け取るよう構成されてうる。前述の例を総括すると、各ピクセルは、2n+1階調を表示するよう構成可能であり、但し、nは、ピクセルに対応するトランジスタの数を表す。したがって、AMSSE602は、ピクセルアドレス指定可能なフォトリソグラフィシステムにおいて階調制御を提供する、ピクセル単位のグレースケールを獲得することが可能である。他の実施形態において、各エミッタは、グレーレベルスケールの代わりにカラースケールが生成されるように、様々な波長を放出しうる。
【0034】
図7Cは、1つ以上の実施形態に係るAMSSE602の一構成を示す図750である。図示されるように、エミッタ708と電気的に連通するp-GaN層720内に形成された単一の金属接点740が存在する。図750には、3つのトランジスタ752a、752b、及び752cが含まれている。トランジスタ752aは、接続線754aを介して金属接点740に接続されている。トランジスタ752bは、接続線754bを介して金属接点740に結合されている。トランジスタ752cは、接続線754cを介して金属接点740に結合されている。すべてのトランジスタ752a~752cが、金属接点740と電気的に接触している。したがって、各トランジスタ752a~752cは、金属接点740に可変量の信号を供給しうる。例えば、金属接点740に供給される可変量の信号は、可変量の電圧、可変量の電流、または、高/低電気線内の可変量でありうる。例えば,トランジスタ752aは、100mAの電流を供給するよう構成され、トランジスタ752bは、200mAの電流を供給するよう構成され、トランジスタ752cは、400mAの電流を供給するよう構成される。
【0035】
コントローラ190は、各トランジスタ752a~752cを選択的にオン/オフする。1つ以上の実施例において、コントローラ190は、電流が金属接点に流れうるようにトランジスタ752aをオンにするだけである。上記の実施例でさらに続けると、オン位置にあるトランジスタ752aのみを用いて、金属接点740は100mAの電流を受け取る。幾つかの例において、コントローラ190は、トランジスタ752bおよび752cをオンにして、電流がトランジスタ752bから金属接点740に流れ及びトランジスタ752cから金属接点740に流れるようにする。したがって、トランジスタ752bおよび752cは、金属接点740に合計500mAの電流を供給する。
【0036】
図7Dは、1つ以上の実施形態に係るAMSSE602の一構成を示す図760である。図示されるように、p-GaN層720内で画定された金属接点領域770が存在する。金属接点領域770内には複数の金属接点772a~772cが形成されている。例えば、金属接点772a、772b、および772cが金属接触領域770内に配置されている。図760には、3つのトランジスタ762a、762b、及び762cがさらに含まれている。トランジスタ762aは、接続線764aを介して金属接点772aに接続されている。トランジスタ762bは、接続線764bを介して金属接点772bに結合されている。トランジスタ762cは、接続線764cを介して金属接点772cに結合されている。すべてのトランジスタ762a~762cが、金属接点740と電気的に接触している。したがって、各トランジスタ762a~762cは、そのそれぞれの金属接点772a~772cに可変量の信号を供給しうる。例えば、ランジスタ762aは、100mAの電流を金属接点772aに供給するよう構成され、トランジスタ762bは、200mAの電流を金属接点772bに供給するよう構成され、トランジスタ762cは、400mAの電流を金属接点772cに供給するよう構成される。金属接点領域770は、複数の金属接点772a~772cを含むが、金属接点772a~772cは、光学的には単一のエミッタとして見られ、したがって、可変電流を可能とする。
【0037】
コントローラ190は、各トランジスタ762a~762cを選択的にオン/オフする。1つ以上の実施例において、コントローラ190は、電流が金属接点772aに流れうるようにトランジスタ762aをオンにするだけである。上記の実施例で更に続けると、オン位置にあるトランジスタ762aのみを用いて、金属接点772aは100mAの電流を受け取る。幾つかの例において、コントローラ190は、トランジスタ762bおよび762cをオンにして、電流がトランジスタ762bから金属接点772bに流れ及びトランジスタ762cから金属接点772cに流れるようにする。したがって、トランジスタ762bおよび762cは、金属接触領域770に合計500mAの電流を供給する。
【0038】
図8は、1つ以上の実施形態に係る、先の図5図7Bに開示されたもののような改良された画像投影システムで基板を露光する方法800である。本方法は、ブロック802で開始される。ブロック802において、AMSSE602は、露光パターンを含む命令をコントローラ190から受信する。例えば、コントローラ190は、どのエミッタが「オン」位置にあるべきかをAMSSE602に指示し、例えば、コントローラ190は、受け取った露光パターンに基づいて、どのエミッタ708がオンまたはオフになるかをAMSSE602に指示する。例えば、コントローラ190は、どのエミッタ708をオンまたはオフにしうるかを選択的に選択することによって、エミッタ708の形状を作りうる。エミッタ708の形状は、露光プロセスのためにどのエミッタ708を「オン」状態にするかについてのパターンを指している。本実施例で続けると、n×mのエミッタ構成があるとすると、コントローラ190は、n×mのエミッタ708の100×20の部分集合を選択的にオンにして、細長い矩形を得ることが可能である。他の実施例において、コントローラは、エミッタ708を選択的にオンにして、円形パターンまたは他の所望のパターンを得ることが可能である。基本的に、ユーザは、AMSSE602から放出される放射の形状を変更することが可能であり、その際に、AMSSE602内のエミッタ708の配置を変更する必要はない。
【0039】
ブロック804において、基板140の第1の部分が露光される。基板140を露光することで、基板140上にパターンが形成され、基板140上のフォトレジストが露光される。各露光は、約2マイクロ秒~約85マイクロ秒の間、例えば約5マイクロ秒~約75マイクロ秒の範囲の期間継続しうる。例えば、コントローラは、基板140の第1の部分を露光するために、オン状態の各エミッタにパルスを送りうる。パルスは、始点と終点とを有するものとして定義することが可能であり、ここで、始点と終点とはそれらの間の継続時間を有する。例えば、継続時間は、数マイクロ秒以内に短くても、数日以上の長さであってよい。
【0040】
ブロック806では、基板140がステップサイズ分平行移動させられ、基板140の第2の部分が露光される。各露光は、約2マイクロ秒~約85マイクロ秒の間、例えば約5マイクロ秒~約75マイクロ秒の範囲の期間継続しうる。例えば、コントローラは、基板140の第1の部分を露光するために、オン状態の各エミッタ708にパルスを送りうる。幾つかの実施形態において、基板140がステップサイズ分平行移動させられるのではなく、基板140は静止したままで、AMSSE602がステップサイズ分平行移動されてもよい。
【0041】
ブロック808において、基板をステップサイズ分平行移動させて、第2の部分を電磁放射の第2のショットに露光するプロセスが、基板が完全に処理されるまで繰り返される。各露光により、基板140上にパターニングされたグラフィカルオブジェクトに関係するデータセットが生成されうる。各データセットは、コントローラのメモリに格納されうる。各データセットは組み合わされて、基板140上に画像パターンを形成しうる。各露光により、基板140の一部の空中像が形成されうる。
【0042】
図9は、1つ以上の実施形態に係る、先の図5図7Bに開示されたもののような改良された画像投影システムで基板を露光する方法900である。本方法は、ブロック902で開始される。ブロック902において、AMSSE602は、露光パターンを含む命令をコントローラ190から受信する。例えば、コントローラ190は、どのエミッタ708が「オン」位置になるかをAMSSE602に指示し、例えば、コントローラ190は、受け取った露光パターンに基づいて、どのエミッタ708がオンまたはオフになるかに関してAMSSE602に指示する。例えば、コントローラ190は、どのエミッタ708をオンまたはオフにしうるかを選択的に選択することによって、エミッタ708の形状を作りうる。エミッタの形状は、露光プロセスのためにどのエミッタ708を「オン」状態にするかについてのパターンを指している。本実施例で続けると、n×mのエミッタ708の構成があるとすると、コントローラ190は、n×mのエミッタ708の100×20の部分集合を選択的にオンにして、細長い矩形を得ることが可能である。他の実施例において、コントローラは、エミッタ708を選択的にオンにして、円形パターンまたは他の所望のパターンを得ることが可能である。基本的に、ユーザは、AMSSE602から放出される放射の形状を変更することが可能であり、その際に、AMSSE602内のエミッタ708の配置を変更する必要はない。
【0043】
ブロック904において、AMSSE602は、エミッタ708のアレイごとのトランジスタ情報を含む命令をコントローラ190から受け取る。例えば、第1のピクセルを画定するエミッタ708の第1のアレイについて第1の集合のトランジスタがあるとすると、AMSSE602は、どのトランジスタがオンにされ、どのトランジスタがオフされるかに関する命令を受け取る。具体例を用いると、第1のピクセルを画定するエミッタ708の第1のアレイに関連付けられた3つのトランジスタの集合について、3つのトランジスタの全てがオンにされるという命令が送られたと仮定すると、第1のピクセルは、2=8階調を表示することが可能であろう。
【0044】
ブロック906において、基板140の第1の部分が露光される。基板140を露光することで、基板140上にパターンが形成され、基板140上のフォトレジストが露光される。各露光は、おおよそ、約2マイクロ秒~約85マイクロ秒の間、例えば約5マイクロ秒~約75マイクロ秒の間継続しうる。例えば、コントローラは、基板140の第1の部分を露光するために、オン状態の各エミッタ708にパルスを送る。
【0045】
ブロック908では、基板140がステップサイズ分平行移動させられ、基板140の第2の部分が露光される。各露光は、おおよそ、約2マイクロ秒~約85マイクロ秒の間、例えば約5マイクロ秒~約75マイクロ秒の間継続しうる。例えば、コントローラは、基板140の第1の部分を露光するために、オン状態の各エミッタ708にパルスを送りうる。幾つかの実施形態において、基板140がステップサイズ分平行移動させられるのではなく、基板140は静止したままで、AMSSE602がステップサイズ分平行移動されてよい。
【0046】
ブロック910において、基板をステップサイズ分平行移動させて、第2の部分を電磁放射の第2のショットに露光するプロセスが、基板が完全に処理されるまで繰り返される。各露光により、基板140上にパターニングされたグラフィカルオブジェクトに関係するデータセットが生成されうる。各データセットは、コントローラのメモリに格納されうる。各データセットは、組み合わされて、基板140上に画像パターンを形成しうる。各露光により、基板140の一部の空間像が形成されうる。
【0047】
図10は、1つ以上の実施形態に係る、先の図5図7Bに開示されたもののような改良された画像投影システムで基板を露光する方法1000である。本方法は、ブロック1002で開始される。ブロック1002において、AMSSE602は、露光パターンを含む命令をコントローラ190から受信する。例えば、コントローラ190は、どのエミッタ708が「オン」位置になるかをAMSSE602に指示し、例えば、コントローラ190は、受け取った露光パターンに基づいて、どのエミッタ708がオンまたはオフになるかに関してAMSSE602に指示する。例えば、コントローラ190は、どのエミッタ708をオンまたはオフにしうるかを選択的に選択することによって、エミッタ708の形状を生成しうる。エミッタの形状は、露光プロセスのためにどのエミッタ708を「オン」状態にするかについてのパターンを指す。本実施例で続けると、n×mのエミッタ708の構成があるとすると、コントローラ190は、n×mのエミッタ708の100×20の部分集合を選択的にオンにして、細長い矩形を得ることが可能である。他の実施例において、コントローラは、エミッタ708を選択的にオンにして、円形パターンまたは他の所望のパターンを得ることが可能である。基本的に、ユーザは、AMSSE602から放出される放射の形状を変更することが可能であり、その際に、AMSSE602内のエミッタ708の配置を変更する必要はない。
【0048】
ブロック1004において、AMSSE602は、エミッタ708のアレイごとのトランジスタ情報を含む命令をコントローラ190から受け取る。例えば、第1のピクセルを画定するエミッタ708の第1のアレイについて第1の集合のトランジスタがあるとすると、AMSSE602は、どのトランジスタがオンにされ、どのトランジスタがオフされるかに関する命令を受け取る。具体例を用いると、第1のピクセルを画定するエミッタ708の第1のアレイに関連付けられた3つのトランジスタの集合について、3つのトランジスタの全てがオンにされるという命令が送られたと仮定すると、第1のピクセルは、2=8階調を表示することが可能であろう。
【0049】
ブロック1006において、AMSSE602は、ブロック1004のトランジスタごとの信号情報を含む命令をコントローラ190から受け取る。例えば、信号情報は、各トランジスタに供給されまたは各トランジスタを通して供給される電流の量、電圧の量、または可変的な「オン」状態情報を含みうる。一実施形態において、各エミッタ内の可変的な強度が、ベース電流xの倍数で選択される。他の実施形態において、各エミッタにおける可変的な強度が、x、2x、または3xから選択される。具体例を用いると、ブロック1004で論じた3つのトランジスタの集合について、命令は、エミッタによって引かれた450mAの電流、同じエミッタによって引かれた300mA、および同じエミッタによって引かれた0mAを含んでよい。このようにして、エミッタは、異なる階調を有するよう変調されうる。従って、各ピクセルは、可変的な輝度を生成するよう駆動されうる。
【0050】
ブロック1008において、基板140の第1の部分が露光される。基板140が露光されることで、基板140上にパターンが形成され、基板140上のフォトレジストが露光される。各露光は、約2マイクロ秒~約85マイクロ秒の間、例えば約5マイクロ秒~約50マイクロ秒の範囲の期間継続しうる。例えば、コントローラは、基板140の第1の部分を露光するために、オン状態の各エミッタにパルスを送りうる。
【0051】
ブロック1010では、基板140がステップサイズ分平行移動させられ、基板140の第2の部分が露光される。各露光は、おおよそ、約2マイクロ秒~約85マイクロ秒の間、例えば約5マイクロ秒~約75マイクロ秒の間、継続しうる。例えば、コントローラは、基板140の第1の部分を露光するために、オン状態の各エミッタにパルスを送りうる。一実施形態において、各エミッタには、基板の第1の部分を露光するために、オン状態で約1ナノ秒~約50マイクロ秒の範囲の期間の間パルスが送られる。
【0052】
幾つかの実施形態において、基板140が5mm以下のステップサイズ分平行移動させられるのではなく、基板140は静止したままで、AMSSE602がステップサイズ分平行移動されてよい。
【0053】
ブロック1012において、基板をステップサイズ分平行移動させて、第2の部分を電磁放射の第2のショットに露光するプロセスが、基板が完全に処理されるまで繰り返される。各露光により、基板140上にパターニングされたグラフィカルオブジェクトに関係するデータセットが生成されうる。各データセットは、コントローラのメモリに格納されうる。各データセットは、組み合わされて、基板140上に画像パターンを形成しうる。各露光により、基板140の一部の空間像が形成されうる。
【0054】
ピクセルごとの可変的な輝度を可能とすることによって、改良された画像投影システムが、以前に使用されたDMDベースのツールと比較して、改良されたリソグラフィ制御のために使用されうる。例えば、ピクセルの選択的な輝度を活用することによって、改良された画像投影システムは、露光される基板全体に亘る均一性をより良好に制御することが可能である。特定の実施形態において、エンドユーザは、基板全体にわたる任意の長さの範囲の輝度変動を補正するために、可変的な輝度を有するよう列の駆動信号を較正しうる。
【0055】
幾つかの例において、改良された画像投影システムは、エンドユーザが、グレースケール効果を生むために各ピクセルに異なる信号を供給することによる、ピクセル単位のレベル制御を有することを可能とする。このことは、リソグラフィフィーチャのエッジの配置を制御する際に役立ちうる。加えて、このような能力は、基板全体に階段状の対角ラインが、直交するアドレスグリッドに生じないようにするのに役立つ。ピクセル毎の輝度制御により、エンドユーザは、各ピクセルから放出される放射量を変えることによって、基板が露光されるときの階段状のラインを防止するように「線量」を制御することが可能である。
【0056】
幾つかの例において、レジストの現像後にレジストが2つの異なる深さにパターニングされるように、異なる線量が基板の異なる領域に伝達されうる。基板が異なる深さにエッチングされる具体的な例において、2つの異なる線量を伝達することによって、結果的に、ピクセル線量を2つの異なるレベルに駆動することにより、単一のリソグラフィ工程でデュアルダマシンパターンがもたらされる。
【0057】
幾つかの例において、改良された画像投影システムは、エンドユーザが、連続する帯状領域間のステッチが混ざり合っていることを確かめる必要がある帯状領域をプリントする際に使用されうる。このことは、ピクセルの線量を100%から0%に減衰させることにより利用されうる。
【0058】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
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図4A
図4B
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