(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】振動ふるい用回収装置及び回収方法
(51)【国際特許分類】
B07B 1/28 20060101AFI20240813BHJP
B07B 1/46 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B07B1/28 Z
B07B1/46 K
(21)【出願番号】P 2024500071
(86)(22)【出願日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 JP2023014034
(87)【国際公開番号】W WO2023233811
(87)【国際公開日】2023-12-07
【審査請求日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2022088225
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】白井 聖
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-312860(JP,A)
【文献】登録実用新案第3045293(JP,U)
【文献】特開2008-007194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動ふるい装置の篩の上面に残存するふるい上粉体を回収する振動ふるい用回収装置であって、
水平面に沿う面内に位置する前記篩の上方に、鉛直方向に沿う方向を軸として配置される中空の中空軸と、
前記中空軸の下端に取り付けられ前記中空軸から半径方向に延び、底面に第1吸込口及び前記半径方向に延びた先の側面に第2吸込口を有し前記中空軸の前記中空と連通する空洞を有するノズルと、
前記ノズルの前記空洞内及び前記中空軸の前記中空内の空気を吸引する吸引部と、
前記振動ふるい装置の前記篩が振動しているときに前記吸引部が前記空気を吸引するよう制御する吸引制御部と、
を備え
、
前記ふるい上粉体を排出する排出口を有さない前記振動ふるい装置に取り付けられる振動ふるい用回収装置。
【請求項2】
振動ふるい装置の篩の上面に残存するふるい上粉体を回収する振動ふるい用回収装置であって、
水平面に沿う面内に位置する前記篩の上方に、鉛直方向に沿う方向を軸として配置される中空の中空軸と、
前記中空軸の下端に取り付けられ前記中空軸から半径方向に延び、底面に
、前記篩の上面に残存する前記ふるい上粉体を吸い込む第1吸込口及び前記半径方向に延びた先の側面に、
前記篩の縁部に立設する胴部の内壁面に残存する前記ふるい上粉体を吸い込む第2吸込口を有し前記中空軸の前記中空と連通する空洞を有するノズルと、
前記ノズルの前記空洞内及び前記中空軸の前記中空内の空気を吸引する吸引部と、
前記振動ふるい装置の前記篩が振動しているときに前記吸引部が前記空気を吸引するよう制御する吸引制御部と、
を備える振動ふるい用回収装置。
【請求項3】
前記中空軸を昇降する昇降部を備える請求項1
または請求項2記載の振動ふるい用回収装置。
【請求項4】
前記中空軸を軸として前記中空軸を回動する回動部を備える請求項1または請求項2記載の振動ふるい用回収装置。
【請求項5】
前記ふるい上粉体を排出する排出口を有さない前記振動ふるい装置に取り付けられる
請求項2記載の振動ふるい用回収装置。
【請求項6】
前記第1吸込口及び前記第2吸込口は一体に形成されている請求項1または請求項2記載の振動ふるい用回収装置。
【請求項7】
請求項1
または請求項2記載の振動ふるい用回収装置を用いて振動ふるい装置の篩の上面に残存するふるい上粉体を回収する回収方法であって、
前記振動ふるい装置の前記篩が振動しているとき、前記振動ふるい用回収装置の前記ノズルの前記第2吸込口が前記振動ふるい装置の外側に向いた状態で、前記振動ふるい用回収装置の前記中空軸を昇降する昇降部により前記中空軸を下降する下降工程と、
前記下降工程において前記中空軸の下降が終了してから第1所定時間が経過したか否かを判定する第1判定工程と、
前記第1所定時間経過後、前記ノズルの前記第2吸込口が前記振動ふるい装置の内側に向くまで、前記振動ふるい用回収装置の回動部により前記中空軸を軸として前記中空軸を回動する第1回動工程と、
前記第1回動工程による前記中空軸の回動が終了してから第2所定時間が経過したか否かを判定する第2判定工程と、
前記第2所定時間経過後、前記ノズルの前記第2吸込口が前記振動ふるい装置の外側に向くまで、前記回動部により前記中空軸を軸として前記中空軸を回動する第2回動工程と、
前記ノズルの前記第2吸込口が前記振動ふるい装置の外側に向いた状態で、前記昇降部により前記中空軸を上昇する上昇工程と、
少なくとも前記第1所定時間及び前記第2所定時間の間、前記振動ふるい用回収装置の前記吸引部により、前記ノズルの前記空洞内及び前記中空軸の前記中空内の空気を吸引する吸引工程と、
を含む回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動ふるい装置の篩の上面に残存するふるい上粉体を回収する振動ふるい用回収装置及び該振動ふるい用回収装置を用いた回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
篩上に粉体を投入し篩を振動させることにより、篩の孔を通過する粉体(篩の孔より径の小さい粉体)と篩上に残存するふるい上粉体(篩の孔より径の大きい粉体)とに分ける振動ふるい装置が知られている。
【0003】
上述の振動ふるい装置においては、篩の目詰まり等を抑制するために、篩上をブラシでクリーニングする振動篩クリーニングシステム(例えば特許文献1参照)、篩に付着した粉粒体を篩上に圧縮空気を噴射することにより払い落とす振動篩機(例えば特許文献2参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-532557号公報
【文献】特開平5-146757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1及び2記載の装置においては、篩上をブラッシングまたは篩の上面に残存するふるい上粉体を吹き飛ばすことにより篩の目詰まりを抑制しているが、ふるい上粉体を回収するまでには至っていない。長期的に篩の目詰まりを防止するためには、定期的にふるい上粉体を回収することが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、振動ふるいの篩の上面に残存するふるい上粉体を良好に回収することができる振動ふるい用回収装置及び該振動ふるい用回収装置を用いた回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の振動ふるい用回収装置は、振動ふるい装置の篩の上面に残存するふるい上粉体を回収する振動ふるい用回収装置であって、水平面に沿う面内に位置する前記篩の上方に、鉛直方向に沿う方向を軸として配置される中空の中空軸と、前記中空軸の下端に取り付けられ前記中空軸から半径方向に延び、底面に第1吸込口及び前記半径方向に延びた先の側面に第2吸込口を有し前記中空軸の前記中空と連通する空洞を有するノズルと、前記ノズルの前記空洞内及び前記中空軸の前記中空内の空気を吸引する吸引部と、前記振動ふるい装置の前記篩が振動しているときに前記吸引部が前記空気を吸引するよう制御する吸引制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の振動ふるい回収装置は、前記中空軸を昇降する昇降部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の振動ふるい回収装置は、前記中空軸を軸として前記中空軸を回動する回動部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の振動ふるい回収装置は、前記ふるい上粉体を排出する排出口を有さない前記振動ふるい装置に取り付けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の振動ふるい回収装置は、前記第1吸込口及び前記第2吸込口が一体に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の回収方法は、本発明の振動ふるい用回収装置を用いて振動ふるい装置の篩の上面に残存するふるい上粉体を回収する回収方法であって、前記振動ふるい装置の前記篩が振動しているとき、前記振動ふるい用回収装置の前記ノズルの前記第2吸込口が前記振動ふるい装置の外側に向いた状態で、前記振動ふるい用回収装置の前記中空軸を昇降する昇降部により前記中空軸を下降する下降工程と、前記下降工程において前記中空軸の下降が終了してから第1所定時間が経過したか否かを判定する第1判定工程と、前記第1所定時間経過後、前記ノズルの前記第2吸込口が前記振動ふるい装置の内側に向くまで、前記振動ふるい用回収装置の回動部により前記中空軸を軸として前記中空軸を回動する第1回動工程と、前記第1回動工程による前記中空軸の回動が終了してから第2所定時間が経過したか否かを判定する第2判定工程と、前記第2所定時間経過後、前記ノズルの前記第2吸込口が前記振動ふるい装置の外側に向くまで、前記回動部により前記中空軸を軸として前記中空軸を回動する第2回動工程と、前記ノズルの前記第2吸込口が前記振動ふるい装置の外側に向いた状態で、前記昇降部により前記中空軸を上昇する上昇工程と、少なくとも前記第1所定時間及び前記第2所定時間の間、前記振動ふるい用回収装置の前記吸引部により、前記ノズルの前記空洞内及び前記中空軸の前記中空内の空気を吸引する吸引工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、振動ふるいの篩の上面に残存するふるい上粉体を良好に回収することができる振動ふるい用回収装置及び該振動ふるい用回収装置を用いた回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態に係る振動ふるい用回収装置の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る振動ふるい用回収装置の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る振動ふるい用回収装置の構成を示す図である。
【
図4】実施の形態に係るノズルの構成を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る振動ふるい用回収装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態に係る振動ふるい用回収装置を用いて篩の上面に残存するふるい上粉体を回収する回収方法について説明するためのフローチャートである。
【
図7】振動中における篩上の粉体の流れについて説明するための図である。
【
図8】他の実施の形態に係るノズルの構成を示す図である。
【
図9】他の実施の形態に係る第1吸込口の構成を示す図である。
【
図10】他の実施の形態に係る第1吸込口の構成を示す図である。
【
図11】他の実施の形態に係る第2吸込口の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施の形態に係る振動ふるい用回収装置について説明する。
図1~
図3は、この実施の形態に係る振動ふるい用回収装置の構成を示す図である。この実施の形態に係る振動ふるい用回収装置2は、振動ふるい装置4の篩6の上面に残存するふるい上粉体8を回収する装置であって、
図1~
図3に示すように、中空軸12、ノズル14、吸引装置16、昇降装置18及び回動装置20を備えている。なお、この実施の形態において、振動ふるい装置4は篩6を通過した粉体(ふるい下粉体)を排出する粉体排出口9を備えているが、振動ふるい用回収装置2により篩6の上面に残存するふるい上粉体8は回収されるため、ふるい上粉体8を排出するための粉体排出口を備えていない。但し、本発明の振動ふるい用回収装置2は、ふるい上粉体8を排出するための粉体排出口を有する振動ふるい装置4に取り付けられてもよい。
【0016】
篩6は、水平面に沿う面内(水平面内または略水平面内)に位置し、振動ふるい装置4の粉体投入口10より投入された粉体を、振動することにより篩い分ける。この実施の形態では、篩6の形状は円形状であるが、その他の形状、例えば四角形状を含む多角形状、楕円形状であってもよい。
【0017】
中空軸12は、
図1~
図3に示すように、鉛直方向に沿う方向(鉛直方向または略鉛直方向)を軸として、粉体投入口10と接触しない領域且つ篩6の上方に配置されている。中空軸12は、中空の棒状であって、昇降装置18により昇降可能且つ回動装置20により回動可能に構成されている。中空軸12は、昇降または回動した場合であっても、粉体投入口10と接触しない。中空軸12の中空内の空気は、少なくとも振動ふるい用回収装置2によりふるい上粉体8を回収している間、吸引装置16により吸い上げられる。
【0018】
ノズル14は、
図1~
図3に示すように、中空軸12の下端に取り付けられ、中空軸12から半径方向(水平面に沿う方向)に延びている。ノズル14の側面(ノズル14を
図1の紙面手前方向から視た側面)は、
図1~
図3に示すように、中空軸12から半径方向に向けて細くなる形状、即ち三角形状である。
図4(A)はノズル14の構成を示す底面図(ノズル14を
図1の紙面下方から上方を視た図)、
図4(B)はノズル14の構成を示す側面図(ノズル14を
図1の紙面左方から右方を視た図)である。
図4(A)に示すように、ノズル14の矩形状の底面には、第1吸込口14aが設けられている。第1吸込口14aは、2枚の板状部材を所定の厚さとなるように離間させて配置させることによりノズル14の底面全体が開放されている開口であって、篩6の上面に残存するふるい上粉体8を吸い込む。
【0019】
また、
図4(B)に示すように、ノズル14の先端部であって、中空軸12の半径方向に延びた先の側面には、第2吸込口14bが設けられている。第2吸込口14bは、2枚の板状部材を所定の厚さとなるように離間させて配置させることによりノズル14の先端部全体が開放されている開口であって、篩6の縁部に立設する胴筒部7の内壁面に残存するふるい上粉体8を吸い込む。この実施の形態では、第1吸込口14a及び第2吸込口14bは、一体に形成されており、連結されているが、それぞれ独立した開口であってもよい。ノズル14の内部は、第1吸込口14a及び第2吸込口14bと中空軸12の中空とを連通する空洞になっている。ノズル14の空洞内の空気は、吸引装置16により吸い上げられる。
【0020】
中空軸12及びノズル14は、振動ふるい装置4が篩6で粉体を篩っている間、
図1に示す位置(篩6の上方)に退避している。また、中空軸12及びノズル14は、振動ふるい装置4が篩6で粉体を篩い終えた後、
図2に示す位置(篩6上の近傍)まで下降する。なお、
図2に示す位置において、ノズル14の第2吸込口14bの先端及び胴筒部7の内壁面の間には、篩6が振動中であっても互いに接触しないように、隙間が設けられている。中空軸12及びノズル14は、篩6の上面に残存するふるい上粉体8を回収する間、
図2に示す位置に留まり、回収の途中、
図3に示す位置まで略180度回動する。中空軸12及びノズル14は、篩6の上面に残存するふるい上粉体8を回収し終えるまで、
図3に示す位置に留まり、回収を終えた後、
図2に示す位置まで回動し、
図1に示す位置まで上昇する。
【0021】
吸引装置16は、中空軸12の上端部もしくは中央部に、またはホース15等を介して中空軸12に接続されており、ノズル14の空洞内及び中空軸12の中空内の空気を吸引する。吸引装置16は、制御部22(
図5参照)により吸引のオンオフを制御されている。制御部22は、振動ふるい装置4による篩い分け終了後であって振動ふるい装置4の篩6が振動しているときに、吸引装置16がノズル14の空洞内及び中空軸12の中空内の空気を吸引するよう制御する。なお、吸引装置16はバグフィルターを含むことが望ましい。
【0022】
昇降装置18は、振動ふるい装置4外に設置されており、中空軸12、ひいては中空軸12の下端に取り付けられているノズル14を昇降する。昇降装置18は、制御部22によりその駆動を制御されている。昇降装置18は、振動ふるい用回収装置2が篩6の上面に残存するふるい上粉体8を回収する際、制御部22の指示に従い、中空軸12及びノズル14を
図1に示す位置から
図2に示す位置まで下降移動させる。また、昇降装置18は、振動ふるい用回収装置2が回収を終えた後、制御部22の指示に従い、中空軸12及びノズル14を
図2に示す位置から
図1に示す位置まで上昇移動させる。
【0023】
回動装置20は、振動ふるい装置4外に設置されており、中空軸12,ひいては中空軸12の下端に取り付けられているノズル14を、中空軸12を軸として回動する。回動装置20は、制御部22によりその駆動を制御されている。回動装置20は、振動ふるい用回収装置2が篩6の上面の外側(中央部でない部分)に残存するふるい上粉体8を回収した後、制御部22の指示に従い、中空軸12及びノズル14を
図2に示す位置から
図3に示す位置まで回動させる。また、回動装置20は、振動ふるい用回収装置2が篩6の上面の中央部に残存するふるい上粉体8を回収した後、制御部22の指示に従い、中空軸12及びノズル14を
図3に示す位置から
図2に示す位置まで回動させる。
【0024】
図5は、実施の形態に係る振動ふるい用回収装置2のシステム構成を示すブロック図である。振動ふるい用回収装置2は、
図5に示すように、振動ふるい用回収装置2の各部を統括的に制御する制御部22を備えている。制御部22には、吸引装置16、昇降装置18、回動装置20、計時部24、及び入力部26が接続されている。
【0025】
計時部24は、時計またはタイマーであって、第1所定時間及び第2所定時間を計時する。計時部24は、中空軸12及びノズル14が
図2に示す位置に移動した後、制御部22の指示に従い、第1所定時間の計時を開始する。そして、計時部24は、第1所定時間経過後、制御部22に対して第1所定時間経過したことを知らせる情報を送信する。また、計時部24は、中空軸12及びノズル14が
図3に示す位置に移動した後、制御部22の指示に従い、第2所定時間の計時を開始する。そして、計時部24は、第2所定時間経過後、制御部22に対して第2所定時間経過したことを知らせる情報を送信する。なお、第1所定時間及び第2所定時間は、ふるい上粉体8の回収に要する時間として入力部26等を介して入力され、図示しない記憶部等に記憶される。
【0026】
入力部26は、タッチパネル、キーボード及び/またはマウス等の入力装置であり、ユーザーにより操作される。ユーザーにより入力部26を介して入力された情報は、制御部22に送信される。
【0027】
次に、この実施の形態に係る振動ふるい用回収装置2を用いて、振動ふるい装置4の篩6の上面に残存するふるい上粉体8を回収する回収方法について説明する。
図6は、振動ふるい装置4による篩い分けが終了した後、制御部22が篩6の上面に残存するふるい上粉体8を回収するために実行する処理について説明するためのフローチャートである。
【0028】
まず、制御部22は、振動ふるい装置4の篩6が振動しているとき、吸引装置16によるノズル14の空洞内及び中空軸12の中空内の空気の吸引を開始する(ステップS10)。ここで、振動ふるい装置4の篩6には複数の加振器(図示せず)が取り付けられており、各加振器が振動することにより篩6は振動する。各加振器の振動の周波数及び位相等は変更可能であり、周波数は篩い分けする粉体の性質等により適切な値が選択される。また、各加振器の振動の位相に差を設けることにより、振動中における篩6の上面の粉体が流れる方向を制御することができる。例えば、篩6の中央部に集める方向、篩6の外周に集める方向または篩6の中心を軸として渦巻き状に回転させる方向に粉体を移動させること等が可能である。この実施の形態では、振動ふるい装置4による篩い分け中及び振動ふるい用回収装置2によるふるい上粉体回収中において篩6が振動しているとき、粉体の流れが
図7の矢印に示すような方向、即ち篩6の中心を軸として渦巻き状に回転する方向となるように、各加振器の振動の位相(位相差)は適宜設定される。なお、振動ふるい用回収装置2の中空軸12及びノズル14は、振動ふるい装置4による篩い分けの間、
図1に示す位置に退避している。
【0029】
次に、制御部22は、
図1及び
図2に示すように、ノズル14の第2吸込口14bが振動ふるい装置4の外側に向いた状態で、
図1に示す位置から
図2に示す位置まで、昇降装置18により中空軸12及びノズル14を下降する(ステップS11)。ノズル14の第2吸込口14bが振動ふるい装置4の外側に向いた状態で中空軸12が下降するため、ノズル14は振動ふるい装置4の粉体投入口10に接触しない。
【0030】
次に、制御部22は、ステップS11において中空軸12及びノズル14の下降が終了してから第1所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、制御部22は、ステップS11において中空軸12及びノズル14の下降が終了した後、計時部24に対して第1所定時間の計時を開始するよう指示し、第1所定時間経過後、計時部24より第1所定時間経過したことを知らせる第1所定時間経過情報を受信する。なお、制御部22により第1所定時間が経過していないと判定されている間(ステップS12,No)、即ち第1所定時間が経過するまでの間、吸引装置16による吸引は継続中であるから、篩6の上面の外側に残存するふるい上粉体8は第1吸込口14aに吸い込まれ、胴筒部7の内壁面に残存するふるい上粉体8は第2吸込口14bに吸い込まれることにより、回収される。第1所定時間は、粉体の性質及び篩い分けする粉体の量等により適宜決定され、例えばユーザーにより入力部26を介して入力され、記憶部等に記憶される。制御部22は、記憶部等に記憶された情報から第1所定時間を取得する。
【0031】
なお、篩6の上面に残存するふるい上粉体8は、
図7に示すように篩6の上面を渦巻き状に回転移動し、回転移動中に第1吸込口14a下方に到達したふるい上粉体8は、第1吸込口14aに吸い込まれ、回収される。同様に、回転移動中に第2吸込口14b近傍(胴筒部7の内壁面)に到達したふるい上粉体8は、第2吸込口14bに吸い込まれ、回収される。第1所定時間の間、回収を継続させることにより、篩6の上面の外周及び胴筒部7の内壁面にあるふるい上粉体8は、全量または略全量回収される。
【0032】
次に、制御部22は、第1所定時間経過後(ステップS12,Yes)、
図2に示す位置から
図3に示す位置まで、即ちノズル14の第2吸込口14bが振動ふるい装置4の外側から内側に向くまで、回動装置20により中空軸12を軸として中空軸12を略180度回動(略半回転)する(ステップS13)。ノズル14が篩6上の近傍に配置されているため、ノズル14は振動ふるい装置4の粉体投入口10に接触しない。
【0033】
次に、制御部22は、ステップS13において中空軸12の回動が終了してから第2所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS14)。具体的には、制御部22は、ステップS13において中空軸12の回動が終了した後、計時部24に対して第2所定時間の計時を開始するよう指示し、第2所定時間経過後、計時部24より第2所定時間経過したことを知らせる第2所定時間経過情報を受信する。なお、制御部22により第2所定時間が経過していないと判定されている間(ステップS14,No)、即ち第2所定時間が経過するまでの間、吸引装置16による吸引は継続中であるから、篩6の上面の内側に残存するふるい上粉体8は第1吸込口14aに吸い込まれることにより、回収される。篩6の上面上に残存するふるい上粉体8は、
図7に示すように篩6の上面を渦巻き状に回転移動し、回転移動中に第1吸込口14a下方に到達したふるい上粉体8は、第1吸込口14aに吸い込まれ、回収される。第2所定時間の間、回収を継続させることにより、篩6の上面の中央部に残存するふるい上粉体8は、全量または略全量回収される。第2所定時間は、粉体の性質及び篩い分けする粉体の量等により適宜決定され、例えばユーザーにより入力部26を介して入力され、記憶部等に記憶される。制御部22は、記憶部等に記憶された情報から第2所定時間を取得する。
【0034】
次に、制御部22は、第2所定時間経過後(ステップS14,Yes)、
図3に示す位置から
図2に示す位置まで、即ちノズル14の第2吸込口14bが振動ふるい装置4の内側から外側に向くまで、回動装置20により中空軸12を軸として中空軸12を略180度回動(略半回転)する(ステップS15)。そして、制御部22は、ノズル14の第2吸込口14bが振動ふるい装置4の外側に向いた状態で、
図2に示す位置から
図1に示す位置まで、昇降装置18により中空軸12及びノズル14を上昇する(ステップS16)。最後に、制御部22は、吸引装置16によるノズル14の空洞内及び中空軸12の中空内の空気の吸引を停止する(ステップS17)。
【0035】
この実施の形態に係る振動ふるい用回収装置2及び振動ふるい用回収装置2を用いたふるい上粉体8の回収方法によれば、篩6の上面に残存するふるい上粉体8を良好に回収することができる。また、中空軸12及びノズル14は振動ふるい用回収装置2による回収時にのみ篩6上の近傍に移動し、回収時以外は篩6の上方に退避するため、振動ふるい装置4による篩い分けの妨げとならない。また、中空軸12及びノズル14は必要に応じて回動するため、振動ふるい装置4の粉体投入口10等に接触することもない。また、第1吸込口14aだけでなく第2吸込口14bも備えているため、篩6の上面に残存するふるい上粉体8だけでなく胴筒部7の内壁面に残存するふるい上粉体8も回収することができる。
【0036】
なお、この実施の形態に係るノズル14に代えて、側面形状が
図8(A)に示すような楕円を4分の1分割した形状のノズル30、
図8(B)に示すような四分円形状(扇形形状)のノズル32、
図8(C)に示すような矩形及び四分円を組み合わせた形状のノズル34、
図8(D)に示すような矩形状のノズル36等、三角形状以外の形状のノズルを備えてもよい。
【0037】
また、この実施の形態に係る第1吸込口14aに代えて、
図9(A)に示すような台形状の第1吸込口40、
図9(B)に示すような矩形及び半円を組み合わせた形状の第1吸込口42等、矩形状以外の形状の第1吸込口を備えてもよい。また、この実施の形態に係る第1吸込口14aに代えて、
図9(C)に示すようなスリット形状の第1吸込口44等、ノズルの底面の一部が開放されている開口である第1吸込口を備えてもよい。また、この実施の形態に係る第1吸込口14aに代えて、
図10に示すような一側面の下部にスリット形状の開口である第1吸込口46等、ノズルの底面以外の面の一部が開放されている開口である第1吸込口を備えてもよい。この場合、ノズルの一側面の一部及びノズルの底面の少なくとも一部の両方が開放されている開口で形成される第1吸込口であってもよいが、ノズルの一側面の一部のみが開放されている開口で形成される第1吸込口の方が望ましい。また、第1吸込口を設ける側面は、ふるい上粉体8が渦巻き状に回転する回転方向に対向する側面である。
【0038】
また、この実施の形態に係る第2吸込口14bに代えて、
図11(A)に示すようなスリット形状の第2吸込口50、
図11(B)に示すような矩形状の第2吸込口52等、ノズルの先端面の一部が開放されている開口である第2吸込口を備えてもよい。
【0039】
また、この実施の形態においては、中空軸12及びノズル14の下降前から吸引を開始し、ふるい上粉体8を回収後、中空軸12及びノズル14の上昇後に吸引を停止しているが、少なくとも第1所定時間の間及び第2所定時間の間、吸引すればよい。例えば、中空軸12及びノズル14の下降後に吸引を開始し、ふるい上粉体8を回収後、中空軸12及びノズル14の上昇前に吸引を停止してもよい。または、第1所定時間経過後、一旦吸引を停止し、ノズル14の回動後、第2所定時間開始前に吸引を再開してもよい。
【0040】
また、他の実施形態として制御部22が振動ふるい装置4の篩い分け終了を取得する構成にしてもよい。例えば、制御部22が振動ふるい装置4から篩い分け終了を知らせる情報を取得してもよい。または、振動ふるい用回収装置2が振動ふるい装置4の篩い分け終了を検知する検知部、例えばセンサー若しくはカメラ等を別途備えてもよい。この場合には、制御部22は、振動ふるい装置4または検知部より篩い分け終了を知らせる情報を取得すると、
図6に示すステップS10の処理を開始する。
【0041】
同様に、他の実施形態として制御部22が篩6の振動の有無を判別する構成にしてもよい。即ち、制御部22が振動ふるい装置4から篩6の振動の有無を知らせる情報を取得してもよい。または、振動ふるい用回収装置2が篩6の振動の有無を検知する振動検知部、例えばセンサー若しくはカメラ等を別途備えてもよい。この場合には、制御部22は、振動ふるい装置4または振動検知部より篩6の振動の有無を知らせる情報を取得し、篩6が振動していると判別したとき、
図6に示すステップS10の処理を開始する。
【0042】
さらに、この実施の形態において、胴筒部7は篩6と一体として表現したが、他の実施形態として、胴筒部7を上下に分離し、粉体投入口10や昇降装置18等に篩6の振動が伝わらない構造としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
2…振動ふるい用回収装置、4…振動ふるい装置、6…篩、7…胴筒部、8…ふるい上粉体、9…粉体排出口、10…粉体投入口、12…中空軸、14…ノズル、14a…第1吸込口、14b…第2吸込口、16…吸引装置、18…昇降装置、20…回動装置、22…制御部、24…計時部、26…入力部。