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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電源装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240814BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20240814BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G03G21/00 398
G01R31/50
H02M3/28 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020049955
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021148995
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】岡村 悠
(72)【発明者】
【氏名】萩原 芳輝
(72)【発明者】
【氏名】山堀 俊太
(72)【発明者】
【氏名】本田 秀一
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-187570(JP,A)
【文献】特開平10-068754(JP,A)
【文献】特開2007-327989(JP,A)
【文献】特開平11-252931(JP,A)
【文献】特開2006-330506(JP,A)
【文献】特開2006-266844(JP,A)
【文献】特開2019-184783(JP,A)
【文献】特開2003-228419(JP,A)
【文献】特開2001-228056(JP,A)
【文献】特開平03-054577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
15/00
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
G01R 31/50
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続する負荷に対して、出力電流を出力する出力部と、
前記出力電流の電流値を計測する計測部であって、第1計測部を有する計測部と、
第1状態で前記第1計測部によって計測される前記電流値である第1電流値を記憶する記憶部と、
前記第1状態より時間が経過した状態である第2状態で前記第1計測部によって計測される前記電流値である第2電流値を前記第1電流値と比較して、前記第2電流値が前記第1電流値に対して所定値以上に変化しているか否かを判断する判断部と、
を備える電源装置であって、
前記第1計測部は前記電源装置内に設けられ
前記判断部は、前記第2状態において、前記第1状態で前記第1電流値が計測された前記負荷の動作条件と同じ動作条件で計測された前記第2電流値が前記第1電流値に対して所定値以上に変化していると、経年劣化による異常が発生していると判断し、
前記第1計測部で計測される電流と、前記負荷側に設けられた第2計測部で計測される電流の差が、あらかじめ設定される基準値以上の値であると、異常を検知
前記第1電流値は、前記負荷の動作条件ごとに記憶され、
前記計測部は、前記第1電流値及び前記第2電流値を同じ動作条件で計測する、電源装置。
【請求項2】
前記判断部による判断結果に基づいて、シャットダウンを行う制御部を更に備える
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1状態は、初期状態である
請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記判断部による判断結果に基づいて警告を出力する警告部を更に備える
請求項1乃至のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の電源装置を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源ユニット等の電源装置において漏電による故障を予知する技術が知られている。
【0003】
例えば、光電センサ、近接センサ、リミットスイッチ、及び、押しボタンスイッチ等の入力機器は、クーラントが降り注ぐような環境では、クーラントが侵入して漏電する故障が起きる場合がある。そこで、センサに生じる漏電故障を予知する目的で、信号入力装置は、まず、内部グランドラインに流れる電流値を計測する。次に、信号入力装置は、弁別二値化回路の出力がOFFの状態において、計測される計測電流値と、あらかじめ設定する設定電流値とに基づいて、漏洩の程度を示す情報を生成する。このようにして、漏電による故障が発生する以前に、漏洩による故障を的確に予知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、経年劣化によるハーネス等の電気部品の異常が想定されていない。そのため、電気部品に異常が起きた場合であっても、異常が検出されない。ゆえに、電気部品の異常を起因とする事故を十分に防げない場合がある。
【0005】
本発明の一態様は、電源装置及び画像形成装置において、電気部品の異常を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による、電源装置は、
接続する負荷に対して、出力電流を出力する出力部と、
前記出力電流の電流値を計測する計測部と、
第1状態で計測される前記電流値である第1電流値を記憶する記憶部と、
前記第1状態より時間が経過した状態である第2状態で計測される前記電流値である第2電流値を前記第1電流値と比較して、前記第2電流値が前記第1電流値に対して所定値以上に変化しているか否かを判断する判断部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によって、電源装置及び画像形成装置において、電気部品の異常を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電源装置及び画像形成装置の構成例を示す図である。
図2】全体処理例を示す図である。
図3】第1電流値の例を示す図である。
図4】第2電流値が所定値以上に変化していないと判断される例を示す図である。
図5】第2電流値が所定値以上に変化していると判断される例を示す図である。
図6】第2実施形態の構成例を示す図である。
図7】異常が検知される場合の電流値及び比較結果例を示す図である。
図8】機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための最適かつ最小限な形態について、図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の符号を付す場合には、同様の構成であることを示し、重複する説明を省略する。また、図示する具体例は、例示であり、図示する以外の構成が更に含まれる構成であってもよい。
【0010】
<第1実施形態>
<電源装置及び画像形成装置の構成例>
図1は、電源装置及び画像形成装置の構成例を示す図である。例えば、電源装置200は、電源1、1次側整流回路2、スイッチング回路3及び2次側整流回路4等を有するハードウェア構成である。なお、電源装置200は、図示するようなハードウェア構成に限られず、ハーネス等を介して、出力電流204を負荷MDに出力できる装置であればよい。
【0011】
以下、負荷MDを画像形成に用いる装置等である場合を例に説明する。したがって、この例では、画像形成装置500は、電源装置200を有し、電源装置200から出力電流204を出力することで、負荷MDに電力を供給する。そして、画像形成装置500は、供給される電力で負荷MDを動作させて画像形成を行う。
【0012】
以下、図示するように、電源装置200がハーネスを介して負荷MDと接続する接続関係である例で説明する。具体的には、電源装置200が有するコネクタ201にハーネスが接続される。そして、ハーネスには、電気的に負荷MDが接続する。なお、負荷MDは、図示するように、複数あってもよい。
【0013】
この例では、まず、電源1は、1次電圧となる電力を発生させる。そして、1次側整流回路2、スイッチング回路3及び2次側整流回路4により、2次電圧となるように処理され、仕様等で定まる電圧値及び電流値となるように制御されて、出力電流204が出力される。
【0014】
電源装置200は、図示するような位置に、出力電流204の電流値を計測する電流検出素子202を有する。例えば、電流検出素子202は、ホール素子である。なお、電流検出素子202は、出力電流204の電流値を計測できるのであれば、設置される位置は図示する以外の位置でもよい。
【0015】
制御装置203は、例えば、スイッチング回路3等に対して制御信号STを送信して制御を行う。例えば、制御信号STは、電源装置200、又は、画像形成装置500全体を停止させる信号等である。
【0016】
画像形成装置500は、図示するように、様々な負荷MDを有する。そして、画像形成装置500は、あらかじめ仕様等で定まる処理を行うために、ハーネスを介して供給される電力で負荷MDを動作させて、様々な処理を実行する。
【0017】
画像形成装置500は、ハーネスにより供給される電力を用いて、負荷MDを動作させて画像形成を行う。
【0018】
<全体処理例>
図2は、全体処理例を示す図である。以下、初期状態等といった電源装置200、画像形成装置500、及び、これらを構成する電気部品が、仕様通りに動作する「正常」な状態を「第1状態」という。一方で、第1状態より、ある程度の時間が経過した状態を「第2状態」という。なお、第1状態は、第2状態よりも前の状態であって、電源装置200、画像形成装置500、及び、これらを構成する電気部品が「正常」な状態であればいつでもよい。また、全体処理は、「第1状態」における処理(すなわち、ステップS1及びステップS2である。)と、「第2状態」における処理(すなわち、ステップS3以降の処理である。)が連続してなくともよい。したがって、「第1状態」における処理は、「第2状態」における処理が行われる前に完了していればよい。
【0019】
ステップS1では、電源装置200は、電流値を計測する。以下、「第1条件」下で計測される電流値を「第1電流値」という。
【0020】
ステップS2では、電源装置200は、第1電流値を記憶する。
【0021】
例えば、第1電流値は、以下のように記憶される。
【0022】
図3は、第1電流値の例を示す図である。例えば、第1電流値D1は、図示するように計測され、記憶される。
【0023】
なお、第1電流値D1は、動作条件ごとに分けて計測及び記憶される。動作条件が異なると、用いられる負荷MDが異なる場合があるため、動作条件ごとに、「正常」な状態における第1電流値D1が異なる場合がある。例えば、動作条件は、画像形成装置500のモード等である。なお、動作条件は、モードに限られず、「正常」な状態において用いられる負荷又は第1電流値が異なる条件であればよい。
【0024】
図示する例は、動作条件が、コピーモードMCPの場合において第1電流値D1を計測及び記憶する例である。
【0025】
例えば、第1電流値D1は、コピーモードMCPにおける電流値の平均値等である。この例では、図示するように、コピーモードMCPに切り替わってから、値が安定した時点等で計測される電流値が第1電流値D1として計測及び記憶される。なお、第1電流値D1は、平均値に限られず、コピーモードMCPにおいて計測される最大値及び最小値等でもよい。また、第1電流値D1は、ある程度の誤差及びばらつきを想定して許容値が設定されてもよい。このように、第1電流値D1は、「正常」であるか否かを判断する基準となる値であればよく、値に幅があってもよい。
【0026】
以上のように、第1電流値D1を計測及び記憶すると、電源装置200は、「正常」な場合の電流値を把握できる。
【0027】
「第2状態」は、「第1状態」より時間が経過した状態である。なお、ステップS3以降の処理は、所定条件ごとに行われるのが望ましい。
【0028】
所定条件は、例えば、時間的な条件、負荷で発生する負荷量に基づく条件、又は、これらの組み合わせで定まる条件である。
【0029】
所定条件は、定期的な点検を実現するための基準となる条件である。したがって、定期的に、電流値を点検したい場合において、時間的な条件で点検を行う間隔を設定したいような場合には、例えば、「1か月ごと」等のように所定条件が設定される。このような所定条件であると、「1か月ごと」にステップS3以降の処理が実行される。
【0030】
また、所定条件は、負荷MDで発生する負荷量等でもよい。負荷量は、負荷MDの種類によって定まる。例えば、画像形成装置500の場合には、印刷を行った記録媒体の枚数等が負荷量となる。なお、負荷量は、記録媒体の枚数に限られず、負荷量は、負荷MDの稼働時間、印刷に用いたトナー量、電源がON状態の累積時間等のように、画像形成装置500がカウント可能な数量であればよい。そして、所定条件は、あらかじめ設定される。
【0031】
したがって、ステップS3以降の処理は、所定条件ごとに、繰り返し行われる。このようにすると、電気部品の異常がないかを定期的にチェックできる。
【0032】
ステップS3では、電源装置200は、電流値を計測する。以下、「第2条件」下で計測される電流値を「第2電流値」という。
【0033】
ステップS4では、電源装置200は、第2電流値が第1電流値D1に対して所定値以上に変化しているか否かを判断する。
【0034】
所定値は、「正常」とする第1電流値D1を基準に、電流値にどの程度の乖離があると「異常」と判断するかを定める基準値である。例えば、所定値は、あらかじめ設定される。
【0035】
例えば、電源装置200は、以下のように判断する。
【0036】
図4は、第2電流値が所定値以上に変化していないと判断される例を示す図である。
【0037】
図5は、第2電流値が所定値以上に変化していると判断される例を示す図である。
【0038】
ステップS4では、電源装置200は、図4及び図5に示すように、第1電流値D1と第2電流値D2を比較して、第2電流値が第1電流値に対して所定値以上に変化しているか否かを判断する。
【0039】
まず、ステップS1及びステップS2によって、例えば、電源装置200は、図4(A)又は図5(A)に示すような第1電流値D1を計測及び記憶する。このような第1電流値D1が計測及び記憶された後、ステップS3によって、電源装置200が、図4(B)又は図5(B)に示すような第2電流値D2を計測したとする。以下、このような第1電流値D1及び第2電流値D2の場合を例に説明する。
【0040】
図4に示す例では、第2電流値D2が第1電流値D1に対して、あまり変化がない。すなわち、図4は、第2電流値D2と第1電流値D1にあまり差異がないため、第2電流値D2が所定値以上に変化していないと判断される例である。
【0041】
図5に示す例では、第2電流値D2が第1電流値D1に対して、所定値以上に変化がある。すなわち、図5は、第2電流値D2と第1電流値D1に所定値以上の差異があるため、第2電流値D2が所定値以上に変化していると判断される例である。
【0042】
例えば、経年劣化による異常が発生すると、図5(B)に示すように、電流値が増加する場合がある。したがって、電源装置200は、第2電流値D2を計測し、第1電流値D1と比較することで、経年劣化による異常が発生しているか否かを判断できる。
【0043】
なお、電源装置200は、第2電流値が第1電流値に対して所定値以上に変化しているか否かの判断を同じ動作条件で計測した第2電流値D2と第1電流値D1によって判断するのが望ましい。具体的には、図4及び図5に示す例は、第1電流値D1及び第2電流値D2のいずれも、コピーモードMCPという同じ動作条件の下で計測した例である。一方で、モード等の動作条件が異なると、判断の基準となる第1電流値D1が異なる場合がある。したがって、電源装置200は、同じ動作条件で計測した電流値同士を比較して判断が行われると、精度良く異常が検出できる。
【0044】
次に、所定値以上に変化していると判断すると(ステップS4でYES)、電源装置200は、ステップS5に進むのが望ましい。一方で、所定値以上に変化していないと判断すると(ステップS4でNO)、電源装置200は、全体処理を終了する。
【0045】
ステップS5では、電源装置200は、警告の出力、及び、シャットダウン等の制御を行う。
【0046】
例えば、図5のような異常が検出され、異常が発生しているという判断結果に基づいて、電源装置200は、警告の出力を行う。警告は、例えば、画像形成装置500が有する出力装置に警告を示すメッセージを出力する、警告ランプを点灯させる信号を出力する、又は、警告を他の装置に通知する等である。このように、警告が出力されると、ユーザに電源装置200に異常が起きていることを速やかに知らせることができる。
【0047】
シャットダウンは、電源装置200、画像形成装置500、又は、これらが有する機器の一部を停止させる制御である。例えば、制御装置203等は、制御信号STにより、電源装置200による電力の供給を停止させるように制御するのが望ましい。すなわち、図5のような異常がある場合には、焼損等のリスクがある場合が多い。そこで、制御装置203等は、電源装置200による出力を停止させて、電源装置200、画像形成装置500及び外部装置等を保護するように動作するのが望ましい。このような動作があると、焼損等のリスクを回避できる。
【0048】
また、シャットダウンは、電流値の値等によって異なってもよい。例えば、電流値が大きな値である場合等には、制御装置203等は、速やかに警告を出力及び電源装置の出力を停止させる処理を行う。一方で、電流値が小さい値であれば、制御装置203等は、画像形成装置がコピー等の画像形成を実行中の場合には、実行中の処理を終了した後に、警告を出力及び電源装置の出力を停止させる処理を行う。このような場合には、まず、警告を速やかに出力して、画像形成等の処理が完了したタイミングで電源装置の出力を停止させる等の表示がされるように段階的に警告及び制御が行われてもよい。
【0049】
このように、異常の程度に応じて、制御装置203等は、保護する処理を段階的又は実行するタイミングを決めてもよい。なお、異常の程度を判断するのに用いる閾値及び段階等は、あらかじめ設定される。このように、異常の程度に応じて、警告及び制御等によって保護が行われると、電源装置200は、リスクに応じた処理を行うことができる。
【0050】
また、画像形成装置500では、電源装置200は、画像形成装置のモードに応じた基準値に基づいて、異常の検出及び保護等を行うのが望ましい。
【0051】
なお、電源装置200は、経年劣化の傾向に基づいて、異常が発生する時点を予測してもよい。図5に示すように、経年劣化によって電流値は、増加する傾向である場合が多い。したがって、計測結果に基づいて、初期状態から現時点までに経過した時間に基づいて、単位時間あたりにどの程度電流値が増加したかが計算できる。そして、単位時間あたりに増加する電流値増加量を一定と仮定して、電源装置200は、現時点の第2電流値D2が今後同じような傾向で増加し、第1電流値D1に対して所定値以上の値になる時点を予測する。このように、電源装置200は、異常が発生しそうな時点を予測してもよい。なお、異常が発生しそうな時点は、時間によらず、負荷量を単位にして予測されてもよい。このように、異常が発生しそうな時点が予測されると、故障を予防できる。
【0052】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態と比較すると、以下のような構成である点が異なる。
【0053】
図6は、第2実施形態の構成例を示す図である。第1実施形態と比較すると、図示するように、ハーネス300において、電源側に第1ホール素子HL1、負荷側に第2ホール素子HL2が設置され、かつ、比較器2001が追加されるハードウェア構成である点が異なる。以下、異なる点を中心に説明して第1実施形態と同様の構成は重複する説明を省略する。
【0054】
第1ホール素子HL1、及び、第2ホール素子HL2があると、ハーネス300の複数個所で電流値を検出できる。以下、第1ホール素子HL1で計測される電流値を「上流電流値」、第2ホール素子HL2で計測される電流値を「下流電流値」という。
【0055】
図7は、異常が検知される場合の電流値及び比較結果例を示す図である。
【0056】
図7(A)は、上流電流値の例である。
【0057】
図7(B)は、下流電流値の例である。
【0058】
図7(C)は、上流電流値と下流電流値を比較した結果の例である。例えば、比較結果は、上流電流値と下流電流値の差を算出して得られる。
【0059】
例えば、ハーネス300に、ショート等の異常があると、図示するような電流値が検出、及び、異常が検知される。
【0060】
ショートは、例えば、レアショート(断続するショートである。)等である。このような異常が起きると、例えば、図1及び図6に示すように、レアショートによる電流(以下「ショート電流205」という。)等が発生する。
【0061】
例えば、このようなレアショート等の異常があると、図7(B)に示すように、異常によって発生する電流(以下「異常電流ED」という。)となる。例えば、このような異常があると、図7(C)に示すように、上流電流値と下流電流値に差が発生する。
【0062】
この差は、図7(C)に示すように、上流電流値と下流電流値を比較した比較差異DFとなる。この比較差異DFが、あらかじめ設定される基準値BV以上の値であると、比較器2001は、異常を検知する。
【0063】
また、上流電流値と下流電流値のうち、少なくとも一方が閾値TH以上の電流であると、比較器2001は、異常を検出するのが望ましい。まず、図示するように、閾値THがあらかじめ設定される。そして、上流電流値と下流電流値のうち、いずれか一方の電流値が閾値TH以上の値、すなわち、過電流が流れた場合には、比較器2001は、異常を検出してもよい。
【0064】
異常電流EDとは別に、上流電流値又は下流電流値が閾値TH以上の高い電流値である場合も、ハーネス300等に異常が発生している場合が高い。そのため、上流電流値と下流電流値のうち、少なくとも一方が閾値TH以上の電流であるか否かといった判断が更にされると、より異常を精度良く検出できる。
【0065】
図示するように、上流電流値と下流電流値を比較して異常電流EDを検出できる構成であると、レアショート等の異常を検出できる。このような検出ができると、ヒューズ等では検出できない電流の範囲であっても、異常な電流を検出できる。そのため、ハーネスの焼損等を防止できる。
【0066】
画像形成装置500におけるモードは、例えば、待機モード、読取モード、プリントモード、又は、コピーモード等である。すなわち、モードは、どのような負荷を用いる構成であるかを示す情報であればよい。例えば、待機モードでは、転写装置、読取装置及び給紙装置等の負荷があまり電力を消費しない状態である。一方で、プリントモード又はコピーモードでは、転写装置及び給紙装置等の負荷が動作する動作モードであるため、待機モード等と比較すると、大きな電力を消費する場合が多い。
【0067】
したがって、モードに応じて、異常と検出される基準は、異なるのが望ましい。具体的には、基準値BV等は、「正常」とされる状態の30%以上の電流値が流れた場合等を検出するように設定されるのが望ましい。このような電流値であると、ハーネス300及びモータ等の部品にも規定を超える過電流が流れてしまう場合が多い。したがって、モードによって電流値が変化しても、異常を精度よく検知できる。そして、検出により、焼損及び部品の劣化等を防ぐことができる。
【0068】
<変形例>
異常の検出は、異常が継続している時間によって行われてもよい。具体的には、まず、異常と検出される時間の閾値となる「検出継続時間」があらかじめ設定される。そして、「異常」と判断される状態、すなわち、異常が検出継続時間以上継続した場合を検出すると異常と検出してもよい。このように、異常な状態が、ある程度、長時間継続するような場合には、異常が起きている可能性が高い。したがって、このような場合に、警告の出力及び電源装置の出力を停止させるような保護が行われると、より電気部品等を保護できる。また、ノイズ等により、瞬間的に「異常」な状態となっても、ハーネス300等の電気部品には影響が少ない場合もある。一方で、異常が継続して検出されるような場合には、影響が大きい場合が多い。すなわち、時間を基準に異常を検出すると、ノイズ等があっても、精度良く異常を検知できる。
【0069】
さらに、異常の検出は、画像形成装置のような複数の負荷を有する装置の場合には、複数の負荷がすべて動作している間に行われるのが望ましい。
【0070】
複数の負荷がすべて動作している間は、負荷が消費する電力も最大となる場合が多い。このように、消費する電力が大きい場合には、複数のハーネス、経路及び電源装置があると、多くのハーネス、経路及び電源装置等が使用される可能性が高くなる。そのため、複数の負荷がすべて動作している間に異常を検出すると、様々な箇所で異常を検出できる場合が多い。したがって、電源装置は、複数の負荷がすべて動作している間に異常を検出すると、短時間で様々な箇所で異常を検出できる。
【0071】
<機能構成例>
図8は、機能構成例を示す図である。図示するように、電源装置200は、例えば、出力部FN1、計測部FN2、記憶部FN3及び判断部FN4等を備える機能構成である。また、電源装置200は、例えば、図示するように、制御部FN5及び警告部FN6等を備える機能構成である。
【0072】
出力部FN1は、電源1等で実現する。また、計測部FN2は、電流検出素子202等の電流値を計測する計測機器で実現する。さらに、記憶部FN3、判断部FN4、制御部FN5及び警告部FN6等は制御装置203が有する演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、及び、出力装置等が協働して動作することで実現する。
【0073】
<その他の実施形態>
上記に説明する装置は、1つの装置でなくともよい。すなわち、それぞれの装置は、複数の装置で構成されてもよい。
【0074】
なお、電源装置200は、画像形成装置以外の装置に適用されてもよい。すなわち、負荷MDの種類は、画像形成を行う以外に用いる装置でもよい。
【0075】
以上、実施形態における一例について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 電源
2 1次側整流回路
3 スイッチング回路
4 2次側整流回路
200 電源装置
201 コネクタ
202 電流検出素子
203 制御装置
204 出力電流
205 ショート電流
300 ハーネス
500 画像形成装置
2001 比較器
BV 基準値
D1 第1電流値
D2 第2電流値
DF 比較差異
ED 異常電流
FN1 出力部
FN2 計測部
FN3 記憶部
FN4 判断部
FN5 制御部
FN6 警告部
HL1 第1ホール素子
HL2 第2ホール素子
MCP コピーモード
MD 負荷
ST 制御信号
TH 閾値
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【文献】特開2006-48481号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8