(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】後処理装置、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/36 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B65H31/36
(21)【出願番号】P 2020051430
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 宏太
(72)【発明者】
【氏名】曽我 茂文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-075647(JP,A)
【文献】特開2001-240304(JP,A)
【文献】特開2015-078024(JP,A)
【文献】特開2019-137550(JP,A)
【文献】特開2003-073012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/00-29/10
B65H 29/26-29/30
B65H 29/34-29/51
B65H 31/00-31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートの幅方向に移動可能であって、前記シートの少なくとも幅方向の両端部をそれぞれで積載するとともに、前記幅方向における前記シートの外側の方向にそれぞれが移動されることで、積載している前記シートを落下させる一対のシート積載手段と、
前記一対のシート積載手段の下に設けられ、前記一対のシート積載手段から落下されたシートを蓄積するシート蓄積手段と、
前記一対のシート積載手段に積載されているシートに力を加える外力付加手段と、
積載している前記シートを前記一対のシート積載手段上から落下させるとき、前記一対のシート積載手段のそれぞれを前記幅方向における前記シートの外側の方向に移動させている間に、前記外力付加手段によって前記シートに力を加えるように、前記外力付加手段を制御する制御手段と、
を有
し、
前記外力付加手段は、前記シート積載手段に積載されるシートの搬送方向の先端を揃える先端ストッパであり、当該先端ストッパが前記一対のシート積載手段に積載されている前記シートに干渉することで、前記シートに力を加える、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記シート積載手段に積載される前記シートの搬送方向の後端を揃える後端ストッパを有し、
前記先端ストッパは、前記シートの搬送方向に移動可能であって、前記先端ストッパを前記後端ストッパに近づく方向に移動させ、前記シート積載手段に積載されたシートの搬送方向の先端と後端を前記先端ストッパと前記後端ストッパによって挟むことで、前記シートに力を加えることを特徴とする、
請求項
1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記シートに力を加えるときの前記後端ストッパに対する前記先端ストッパの移動位置は、前記シートの積載枚数またはシート1枚あたりの厚さのいずれか一方もしくは両方に基づき変化することを特徴とする、
請求項
2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記シート積載手段にシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段より搬送方向の下流側で前記シート積載手段に搬送されたシートの前記搬送方向の後端部を前記シートの上方から下方に押圧可能に移動される後端ガイド手段を有し、
前記外力付加手段は、前記後端ガイド手段であり、
当該後端ガイド手段が前記一対のシート積載手段に積載されている前記シートに干渉することで、前記シートに力を加えることを特徴とする、
請求項1に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記外力付加手段は、前記一対のシート積載手段のそれぞれを前記幅方向における前記シートの外側の方向に移動させる前に前記シートに力を加えることを特徴とする、
請求項
4に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記外力付加手段は、積載されている前記シートが前記一対のシート積載手段から落下するとき、前記シートに力を加えていることを特徴とする、
請求項
4に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記外力付加手段は、積載されている前記シートが前記一対のシート積載手段から落下してから前記シート蓄積手段上に蓄積されるまでの間に、前記シートに力を加える前の状態に戻る退避動作が開始されることを特徴とする、
請求項
5又は
6に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記外力付加手段は、前記シート積載手段に積載されているシートの下面を持ち上げることを特徴とする、
請求項1に記載の後処理装置。
【請求項9】
シートの面に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された後のシートに対して後処理を行う、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の後処理装置と、
を有する画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置が知られている。当該画像形成装置において画像が形成された媒体に綴じ処理などの後処理を行う後処理装置も知られている。後処理装置を含む、又は後処理装置と連結する画像形成システムも知られている。
【0003】
画像が形成されたシートを処理トレイ上に複数枚積載して端部を整合し、ステイプルなどを用いて綴じ処理を行った後に、綴じられたシート束を処理トレイの下側に位置する排紙トレイに落下させてスタック(蓄積)する技術が知られている。
【0004】
また、シート束にステイプル処理を行う目的で、上下3段のシート保持部に順に落下させる構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シート束が落下する際、シート束が水平に維持したまま落下するのが好ましい。しかし、従来技術では、シート束を落下させる際の処理トレイの可動において、処理トレイとシート束との摩擦などより、シート束の水平を維持したままの落下には課題がある。例えば、シート束の片辺が処理トレイから外れてたときに他辺はまだ処理トレイに残る状態から、シート束が落下することがある。この場合、排紙トレイにおいてシート束のスタック不良が生じることになる。
【0006】
特許文献1の技術においても、上記の課題を解消することができない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、落下させたシート束のスタック精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は後処理装置に関し、搬送されるシートの幅方向に移動可能であって、前記シートの少なくとも幅方向の両端部をそれぞれで積載するとともに、前記幅方向における前記シートの外側の方向にそれぞれが移動されることで、積載している前記シートを落下させる一対のシート積載手段と、前記一対のシート積載手段の下に設けられ、前記一対のシート積載手段から落下されたシートを蓄積するシート蓄積手段と、前記一対のシート積載手段に積載されているシートに力を加える外力付加手段と、積載している前記シートを前記一対のシート積載手段上から落下させるとき、前記一対のシート積載手段のそれぞれを前記幅方向における前記シートの外側の方向に移動させている間に、前記外力付加手段によって前記シートに力を加えるように、前記外力付加手段を制御する制御手段と、を有し、前記外力付加手段は、前記シート積載手段に積載されるシートの搬送方向の先端を揃える先端ストッパであり、当該先端ストッパが前記一対のシート積載手段に積載されている前記シートに干渉することで、前記シートに力を加える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、落下させたシート束のスタック精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】画像形成システムの概略を示す模式図である。
【
図3】ステイプルモードの動作を説明するための後処理装置の側面図である。
【
図4】ステイプルモード時の後処理装置の動作遷移を示す上面図である。
【
図5】ステイプルモード時の後処理装置の動作遷移を示す上面図である。
【
図6】ステイプルモード時の後処理装置の動作遷移を示す上面図である。
【
図7】ステイプルモード時の後処理装置の動作遷移を示す上面図である。
【
図8】ステイプルモードの動作例を示すフローチャートである。
【
図10】第1実施形態の先端ストッパを示す図である。
【
図11】第1実施形態の先端ストッパの動作を説明する図である。
【
図12】第1実施形態で用いるデータを例示する図である。
【
図13】第1実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【
図14】第2実施形態の先端ストッパを示す図である。
【
図16】第2実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【
図17】第3実施形態の先端ストッパを示す図である。
【
図19】第3実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【
図20】第4実施形態の先端ストッパおよび先端ストッパの動作を説明する図である。
【
図22】第5実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ実施形態に係る後処理装置、画像形成システムについて説明する。また以下の説明では、シート状の媒体としてのシートの一例として紙媒体(用紙)を例示しているが、例えばプラスチック製、布製、金属製のシートなどでも適用可能である。また以下の説明では、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0012】
<全体構成>
図1は、画像形成システムの概略を示す図である。画像形成システム1は、画像形成装置100、少なくともシート積載機能を有する後処理装置200、及び画像読み取り装置300を有する。
【0013】
画像形成装置100は、カラー画像を形成する間接転写方式タンデム型の画像形成ユニットであり、シートの面に画像を形成する画像形成部として機能する。画像形成装置100は、4色の作像ステーション111が配置された作像部110、作像部110の下方に隣接して設けられた光書き込み部113を有する。画像形成装置100は、作像部110の下方に設けられた給紙部120、給紙部120でピックアップされたシートを2次転写部140及び定着部150に搬送させるために案内する給紙搬送路130を有する。画像形成装置100は、画像が定着されたシートを後処理装置200に搬送させるために案内する排紙経路160、一面に画像が形成されたシートを反転(スイッチバック)し、他方面に画像形成させるために給紙搬送路130に案内する両面搬送路170を有する。
【0014】
作像部110の作像ステーション111は、YMCK各色用の感光体ドラムと、この感光体ドラムの外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニット等を有する。作像部110は、感光体ドラムに形成された画像が1次転写ユニットによって転写される中間転写ベルト112と、感光体ドラムに色毎に画像を書き込む光書き込み部113とを有する。光書き込み部113は、作像ステーション111の下側に配置され、中間転写ベルト112は作像ステーション111の上側に配置されている。中間転写ベルト112は、複数の支持ローラによって回転可能に支持されている。そのうちの1つの支持ローラ114は、2次転写部140で中間転写ベルト112を介して2次転写手段としての2次転写ローラ115と対向し、中間転写ベルト112上の画像をシートの面に2次転写できるようになっている。尚、このような画像形成プロセスとして、上記以外に公知なものを採用してもよい。
【0015】
給紙部120は、給紙トレイ121、ピックアップローラ122、給紙搬送ローラ123を有し、給紙トレイ121からピックアップしたシートを給紙搬送路130に沿って上方に送り出す。送り出されたシートは、2次転写部140で画像が転写され、定着部150に送られる。定着部150は、定着ローラと加圧ローラを備え、シートが両者間のニップを通過する過程で、加熱及び加圧が行われ、トナーがシートに定着される。
【0016】
定着部150の下流には、排紙経路160と両面搬送路170が設けられ、分岐部材としての分岐爪161によってどちらか一方の搬送路にシートが導かれるように切り替えられることで、後処理装置200側に搬送される場合と、両面搬送路170に搬送される場合とで搬送路が選択される。尚、分岐爪161のシート搬送方向上流側の直近には分岐搬送ローラ162が設けられ、シートへ搬送力を付与している。
【0017】
後処理装置200は、画像形成装置100から搬送された画像形成済みシートに所定の処理(例えば揃え処理や綴じ処理)を施し、最下流に位置するシート蓄積手段としての排紙トレイ204に蓄積(積載)するもので、詳細については後述する。尚、
図1に示すように画像読み取り装置300を備えた場合には、後処理装置200は、画像形成装置100と画像読み取り装置300との間であって、画像形成装置100の筐体に形成された、本来はシート排出先として利用される空間部に装着される。これにより、空間の有効利用を図り、省スペース化を促進することができる。
【0018】
後処理装置200内に配置される制御部260は、例えば中央演算装置、主記憶装置、補助記憶装置などを含む基板であり、ソフトウェア処理により各ハードウェアを動作させるユニットである。制御手段としての制御部260は、各搬送路に設置されるセンサから、シートの有無を示す検出信号を入力し、検出信号に基づき後処理装置200内でのシートの搬送制御を行うとともに、後述の各ユニットの動作制御を行う。尚、画像形成装置100内に備えられる制御部が、制御部260と通信することによって、画像形成システム1が制御されるようになっているが、これに代えて、統括的に後処理装置200内の各ユニットの制御を行ってもよい。
【0019】
画像読み取り装置300は、コンタクトガラス上にセットされた原稿を光走査して原稿面の画像を読み取る。画像読み取り装置300自体の構成及び機能は公知なものを採用してもよい。
【0020】
上記のように構成された画像形成装置100は、画像読み取り装置300から読み取られた原稿データあるいは外部のパーソナルコンピュータなどから転送された印刷データに基づいて、書き込みに使用する画像データを生成する。そして、画像データに基づいて光書き込み部113が各感光体ドラムに対して光書き込みを行い、各作像ステーション111で色毎に形成された画像が順次、中間転写ベルト112に転写される。これにより中間転写ベルト112上に4色の画像が重畳されたカラー画像が形成される。一方、給紙トレイ121からは画像形成に応じてシートが給送される。シートは、2次転写部140の直前のレジストローラ位置で一旦停止し、中間転写ベルト112上の画像先端とタイミングを合わせて送り出され、2次転写部140で2次転写され、定着部150へと送り込まれる。
【0021】
定着部150で画像が定着されたシートは、片面印刷の場合及び両面印刷の両面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排紙経路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。両面搬送路170に搬送されたシートは、反転後、2次転写部140に再度送り込まれて他側の面に画像が形成され、排紙経路160に搬送される。排紙経路160に搬送されたシートは、後処理装置200に搬送され、後処理装置200で綴じ処理などの所定処理が施され、あるいは処理なしで排紙トレイ204に排紙される。
【0022】
<後処理装置>
図2(A)は後処理装置200の概略構成を示す上面図、
図2(B)は先端ストッパ207の側から視認した場合における後処理装置200の概略構成を示す後方側面図である。
図2は、以降に説明する各実施形態に適用される基本的な構成を示している。
【0023】
後処理装置200は、シート搬送方向上流側から入口ローラ対202、紙面検出センサ211、後端基準フェンス210、搬送手段である排出ローラとしての排紙ローラ対203、シート束の幅方向の側端((シートの少なくとも幅方向の両端部)をそれぞれで積載するとともに、端部を揃えるシート揃え手段としての奥側及び手前側の一対のジョガーフェンス205、206、後端ガイド手段としての後端ガイド208、綴じ手段としてのステイプルユニット209、シートの搬送方向の先端を揃える先端揃え手段としての先端ストッパ207を有する。また後処理装置200は、これら各ユニットの下側にシート蓄積手段としての排紙トレイ204を有する。
【0024】
図2(B)に示すように、一対のジョガーフェンス205、206は、排紙ローラ対203からのシートの排紙(搬送)方向側から見た断面形状(Y-Z断面形状)が、互いに異なる形状を有している。シートの排紙方向において左側に配置されるジョガーフェンス206は、シート積載手段としてのシート積載部262と、シート揃え部261を有する。シート積載部262は、搬送されたシートを下方向から支えて積載する部位であり、シート揃え部261は、搬送されたシートを側面から揃える部位である。
【0025】
一方、シートの排紙方向において右側に配置されるジョガーフェンス205もジョガーフェンス206と同様に、シート積載手段としてのシート積載部252と、シート揃え部251とを有している。
【0026】
ここでは、シート積載部とシート揃え部とが一体的な構成としたジョガーフェンス205、206を例示しているが、これに限定されるものでなく、シート積載部とシート揃え部とを別体としてそれぞれ独立して移動するような構成にしてもよい。なお、シート積載部262とシート積載部252は、一対のシート積載手段を構成するが、シート積載部262の方がシート積載部252よりも、シートを支える部分の長さが長くなっている。
【0027】
後処理装置200のシート受け入れ部には、画像形成装置100の排紙搬送路からシートを受け入れるガイド板201が配置され、このガイド板201のシート搬送方向最上流側に入口ローラ対202が配置される。またガイド板201のシート搬送方向最下流側には、排紙ローラ対203が設けられている。入口モータにより入口ローラ対202及び排紙ローラ対203が回転することで、ガイド板201に沿ってシートが後処理装置200内を搬送される。
【0028】
後処理装置200の排紙動作としては、シートをジョブごとにシートの幅方向の異なる位置にシフトして排紙するシフトモードと、そのまま排紙するストレート排紙モードと、複数枚のシートを綴じて排紙するステイプルモードとの3つのモードがある。ストレート排紙モードの動作は常に排紙トレイ204に排紙するだけなので、説明を省略し、以降、シフトモードとステイプルモードにおける各部の構成や動作について説明する。
【0029】
<ステイプルモード>
図3~
図8を用いて、ステイプルモードについて説明する。尚、
図3はステイプルモードを説明するための後処理装置200の側面図であり、
図4~
図7はステイプルモード時の各動作遷移を示した上面図である。また
図8は、ステイプルモード時の動作例を示すフローチャートである。以下では、
図8のフローチャートに沿って説明する。
【0030】
ステイプルモードは、シートを排紙する際に所定枚数毎にステイプラによって綴じて、排紙するモードである。
【0031】
ステイプルモード時には、まず
図3、4に示すように、排紙トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207が、イニシャル位置から規定のシート受け位置へと移動され、ステイプルユニット209も、イニシャル位置から規定のステイプル位置に移動される(
図12のS1201)。尚、排紙トレイ204のシート受け位置は、排紙トレイ204の上面又は排紙トレイ204上のシートの最上面の位置がジョガーフェンス205、206の底面から30mm程度下方となる。またジョガーフェンス205、206のシート受け位置は、シート揃え部261の内側の面の位置が排紙される紙幅に対しそれぞれ7mm外側となる。先端ストッパ207はジョガーフェンス205、206のシート後端受け部205B、206Bから、排紙されるシートの長さに25mm程度加えた分排紙方向下流側に退避(待機)させた位置となる。
【0032】
紙面検出センサ211は、排紙トレイ204の移動が終了すると後端基準フェンス210内に退避させる(S1202)。ステイプルモードの場合、紙面検出センサ211は、検知位置に位置している場合、排紙トレイ204の上面又は排紙トレイ204上のシートの最上面の位置がジョガーフェンス205、206の底面から30mm以下になった場合はON、30mmより大きい場合にはOFFになるようなシフトモードの検知部とは別の検知部を有していて、ON/OFFの切り替わりにより高さの検出を可能としている。
【0033】
各ユニットの移動完了後、排紙ローラ対203からシートが排紙トレイ204に排紙され(S1203)、シート後端が排紙ローラ対203から抜けるタイミングで、上部に待機していた後端ガイド手段としての後端ガイド208が排紙トレイ204に向けて下降される(下方に移動される)(S1204)。この動作により、シート後端が排紙ローラ対203から落下しないまま排紙ローラ対203に引っ掛かっていた場合、シートの後端部の上面を押圧し、排紙ローラ対203に引っ掛かっていない状態にすることで、排出されたシートの後端とぶつかることなく次のシートが排紙されジャム発生の原因となることを防ぐことができる。
【0034】
後端ガイド208の下降後、
図5のように先端ストッパ207が矢印で示すシートの排紙方向と逆方向(X方向)の点線で示した揃え位置(シートを先端ストッパ207とシート後端受け部205B、206Bとで挟み込む位置)に移動され、及びジョガーフェンス205、206のシート揃え部261が相互に近接するように移動されてシートを挟み込むことで、シートの排紙方向と幅方向の位置揃えが行われる(S1205)。位置揃えの完了後、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207、後端ガイド208は再びシート受け位置へと移動される(S1206)。
【0035】
上記の位置揃え動作を1枚目から最終紙まで繰り返し(S1207:NOのループ)、最終紙の位置揃えが完了すると(S1207:YES)、先端ストッパ207がジョガーフェンス205、206間から退避される(S1208)。そしてジョガーフェンス205、206は、幅方向の挟み込み位置を相対的に保持したまま、シート束をステイプルユニット209の設置位置(ステイプル位置)まで移動させる(
図6参照)。
【0036】
ジョガーフェンス205、206がステイプルの設置位置まで移動された後、ステイプルユニット209により綴じ処理が行われる(S1210)。
【0037】
ステイプルユニット209による綴じ処理が完了した後、
図7のようにジョガーフェンス205、206はシートの幅方向の位置揃えを行っていた位置まで移動され(S1211)、先端ストッパ207もシート搬送方向の位置揃え位置まで移動される。ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207の移動完了後、ジョガーフェンス205、206の下部に位置する排紙トレイ204にシート束を自重で落下させるため、ジョガーフェンス205、206が、相互に離間するように移動される(S1212)。シート束落下後、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207は上記のシート受け位置へと移動される。またジョガーフェンス205、206からシート束落下後、紙面検出センサ211が退避位置から検出位置に復帰(移動)される(S1213)。
【0038】
紙面検出センサ211が高さの検出を行うことで、排紙トレイ204は、積載しているシート束の厚み分下降される(排紙トレイ204の上面又は排紙トレイ204上のシートの最上面の位置が所定の位置となるように移動される)(S1214~S1216)。これによりジョガーフェンス205、206の底面から排紙トレイ204上の最上部のシートまでの距離が一定に保たれるため、多数枚の積載が可能になる。なお、ジョガーフェンス205、206のシート受入位置への移動は、S1213で行われるのではなく、S1217の直前に行われるようにしてもよい。
【0039】
印刷ジョブが全ての完了していない場合(S1217:NO)、処理はS1202まで戻る。全ての印刷ジョブが完了すると(S1217:YES)、排紙トレイ204は最下部(イニシャル位置)まで下降し、その他の部材やユニットも規定のイニシャル位置に移動される(S1218)。
【0040】
上記の後処理装置200の基本的な構成及び動作において、シート束を落下させる際に、ジョガーフェンス205、206が相互に離間する方向に移動する。このとき、シート束が積載されているシート積載面(シート積載部252及びシート積載部262)とシート束との摩擦によって、シート束の幅方向の端部の一方がシート積載部252又はシート積載部262の移動と共に、一緒に移動することがある。つまり、シート束がジョガーフェンス205側かジョガーフェンス206側の一方の側端部のみが滑って、シート束の片辺側が先に落下し、積載状態が水平状態から乱れることがある。この場合、反対側の辺側はジョガーフェンス205、206による積載位置に一旦留まってから遅れて落下することになる。この状態を「片残り」と称する。片残りが発生すると、排紙トレイ204におけるシート束のスタックの精度が低下することになる。
【0041】
以下の各実施形態では、上記にて説明をした「片残り」を解消する態様について図面を参照しながら説明する。
【0042】
<第1実施形態>
図9は、第1実施形態に係る構成や動作を説明する図である。
図9(A)~(D)の各図面において、左側は後処理装置200の側面図であり、右側は上面図である。
【0043】
まず、ジョガーフェンス205、206及び先端ストッパ207が搬送されるシートPを受け入れる位置まで移動される(
図9(A))。そしてシートPをジョガーフェンス205、206に受け入れるごとに先端ストッパ207がシートの搬送方向前後に可動(往復移動)されることで、先端ストッパ207は、後端ストッパとしてのシート後端受け部205B、206Bとでシート束PBの搬送方向の端部を揃える(
図9(B))。
【0044】
後続のシートPの排紙が終わった後、先端ストッパ207はホームポジションの位置に戻され、ジョガーフェンス205、206がシート束PBをステイプルユニット209まで移動させて、ステイプルユニット209がステイプル処理を行う(
図9(C))。
【0045】
ジョガーフェンス205、206がステイプルされたシート束PBを落下位置まで戻した(移動させた)後、先端ストッパ207がシートの搬送方向とは逆方向の上流側方向(シート後端受け部205B、206Bの方向)の、シート束PBの端部(搬送方向の先端)と当接する位置まで移動される(
図9(D))。そしてジョガーフェンス205、206が相互に離間する方向に移動され、ホームポジションの位置に戻されることで、シート束PBの幅方向の側端がシート積載部252及びシート積載部262から外れて(シート積載部252及びシート積載部262に積載されていない状態になって)、シート束PBを落下させる。
【0046】
このように、シート束PBの落下動作の際に、先端ストッパ207をシート束PBの搬送方向先端部と当接させることで、先端ストッパ207とシート束PBの先端部との間で外力としての摩擦力を発生させることができる。この先端ストッパ207とシート束PBの先端部との間で生ずる外力(摩擦力)により、ジョガーフェンス205、206が相互に離間してホームポジションの位置に戻される際に、シート束PBがジョガーフェンス205、206と一緒に動いてしまうことを抑制することができ、シート束PBの落下時に片残りとなることを低減させることができる。
【0047】
また、先端ストッパ207が搬送方向とは逆方向に移動される際、先端ストッパ207とジョガーフェンス205、206のシート後端受け部205B、206Bと間の距離が、シートサイズ以下になる位置まで(先端ストッパ207とシート後端受け部205B、206Bとでシートの搬送方向の先端と後端を挟んだ状態になるまで)、先端ストッパ207を移動させる。このように移動させることで、先端ストッパ207は、シート束PBをシート後端受け部205B、206Bの方向に押し込んで撓めることができ、シート束PBのジョガーフェンス205、206との当接面の面積を減らして摩擦力を減らすことができる。よって、ジョガーフェンス205、206が相互に離間してホームポジションの位置に戻る際に、シート束PBがジョガーフェンス205、206と一緒に動いてしまうことを解消することができ、シート束PBの落下時に片残りとなることを低減させることができる。
【0048】
図10は先端ストッパ207の斜視図である。先端ストッパ207のシート束PBの端面との接触面には、シート端面に接触する際の衝撃を緩和させる、摩擦係数の比較的高い緩和部材207mが設けられている。
【0049】
図11は先端ストッパ207の動作を説明する図である。第1実施形態において、制御部260は、シート束PBを落下させる直前に先端ストッパ207がシート後端受け部205B、206Bの方向に可動して、シート束PBと当接もしくは撓ませる制御を行う。このときの移動量X、又は先端ストッパ207とシート後端受け部205B、206Bとの間の距離は、シートの条件によって可変とすることができる。
【0050】
ここでは、例えば
図12に示すようにシートの条件(シートの厚さや積載枚数等)によって移動させる移動量Xを決める対応情報を制御部260の記憶装置に記憶させておく。制御部260は、ジョガーフェンス205、206で積載されているシートの枚数(積載枚数)またはシート1枚あたりの厚さなどの情報を、本体部である画像形成装置100から取得し、いずれか一方もしくは両方を組み合わせて先端ストッパ207の移動量Xを決定し、移動量Xに基づく移動位置へ先端ストッパ207を移動させ。尚、
図12に示すような対応情報において、移動量についてはA>B>Cの関係が成立している。すなわち、厚いシートに対し処理が行われる場合や、積載する枚数が多い場合は、シート束PBがより撓むように定義付けられている。
【0051】
第1実施形態では、このようにシート束PBのたわみ量を可変とする構成となっている。本制御を有することで、ジョガーフェンス205、206が相互で離間してホームポジションへ退避されるときのシート束の連れ動きを抑制し、位置ずれや片残りの発生を低減することができる。
【0052】
図13は、第1実施形態の動作例を示すフローチャートである。尚、第1実施形態におけるステイプルモードの全体動作は、
図8で説明した動作のS1210~S1216を、この
図13に示す動作に置き替えた動作となる。
【0053】
図8のS1210と同様に、ステイプルユニット209がシート束PBの綴じ処理を行い(S1701)、その後シート束PBの幅方向の位置揃えを行っていた位置(=シート束PBを落下させる位置)に移動される(S1702)。次に先端ストッパ207がシート後端受け部205B、206Bの方向へ、移動量X分移動される(S1703)。この移動量Xは、上記のとおり
図12に示す対応情報に基づき制御部260が導出する値である。この移動により、先端ストッパ207はシート束PBの搬送方向先端と当接するか、もしくはシート束PBを撓ませるまで押し込むことができる。
【0054】
その後、ジョガーフェンス205、206が相互に離間して外側に開かれ(移動され)、シート束PBを排紙トレイ204に落下させる(S1704)。この時、先端ストッパ207はシート束PBがジョガーフェンス205、206に積載されていない状態から排紙トレイ204上に落下され、蓄積される前に次シートの受け入れ位置に退避する方向への移動が開始される(S1705)。
【0055】
シート束PBが排紙トレイ204に落下しされ、蓄積されたら、紙面検出センサ211が復帰され(排紙トレイ204の上面又は排紙トレイ204上のシートの最上面を検知する位置に移動され)、ジョガーフェンス205、206も次のシートを受け入れる位置へと移動される(S1706)。その後、排紙トレイ204が下降を開始し、紙面検出センサ211のオンまたはオフの状態を監視することで、排紙トレイ204の下降動作を制御する(S1707、S1708、S1709)。
【0056】
この第1実施形態では、シート束PBがジョガーフェンス205、206に片残りする問題を解決するために、先端ストッパ207が、シート束PBの搬送方向先端部を押さえる(先端部に力を加える)構成について説明した。
【0057】
また、
図8で説明した基本動作では、ジョブが完了していない場合(S1207:No)、その判定の後に先端ストッパ207がシート受け入れ位置へ移動している(S1202)。これに対し、第1実施形態では、先端ストッパ207がシート束PBと当接した後、またはシート束PBを撓ませた後、シート束PBが落下する前(少なくとも排紙トレイ204上にシート束PBが到達する(蓄積される)前)までの間に、先端ストッパ207が元のシート受け入れ位置へ退避する方向への移動が開始されている(S1705)。この動作により、次のジョブの動作開始までに要する待機時間を削減することができる。すなわち、生産性を損なうことなく、ジョガーフェンス205、206上にシート束PBが片残りする問題を解消することができる。
【0058】
<第2実施形態>
第2実施形態では、シート束PBの落下の際に、シート束PBの搬送方向先端側を持ち上げることで、片残りを解消する態様について説明する。
図14は、第2実施形態における先端ストッパ207を示す斜視図である。
【0059】
第2実施形態の先端ストッパ207は、シート束PBの先端部付近の裏面と当接し、上昇することで、シート束PBの裏面を支持して持ち上げる持ち上げ面207Xを備えている。第2実施形態では、持ち上げ面207Xのシート束PBとの接触面の部材として、例えばゴム材、シリコン材などの摩擦係数の比較的高い部材207Yを採用する。これにより、シート束の保持効果をさらに高めることができる。
【0060】
図15は、先端ストッパ207を用いたシート持ち上げ動作例を示す図であり、
図16はその時のフローチャートである。尚、第2実施形態におけるステイプルモードは、
図8のフローチャートのS1210~S1212を
図16のフローチャートに置き替えた動作となる。
【0061】
S2001、S2002は、
図8のS1210、S1211と同様である。
図16では、その後に先端ストッパ207がシート束PBの先端部(シート束側面)を押さえる位置に移動され(S2003)、
図15(B)のように先端ストッパ207を上昇させ、持ち上げ面207Xの上にシート束PBの先端部を載せて持ち上げ動作を行う(S2004)。このとき持ち上げ面207Xは、ジョガーフェンス205、206のシート積載面(シート積載部252、262)よりも高い位置まで移動される。シート束PBを持ち上げることで、シート束PBとジョガーフェンス205、206のシート積載面との間に空気が入り込み、これらの間で生ずる摩擦を低減させる。また、部材207Yによる摩擦により、シート束PBは持ち上げ面207Xからズレ落ちないように保持される。
【0062】
その後、ジョガーフェンス205、206は、シート束PBを落下させるために、外側に開く(移動する)動作が開始される(S2005)。先端ストッパ207は、このジョガーフェンス205、206が開く動作をしている間に、垂直に下降されて元の定位置(シート端部を押さえるときの位置)まで戻され(移動され)(S2006)、そこから水平に移動されてイニシャル位置まで退避(移動)される(S2007)。この先端ストッパ207の退避動作は、持ち上げ面207Xがシート束PBの落下領域外に移動することで、シート束PBの落下の妨げにならないことを目的に行われる。先端ストッパ207の退避後、ジョガーフェンス205、206はシート束PBを実際に落下させる(S2008)。
【0063】
第2実施形態では、シート束PBがジョガーフェンス205、206の接触面から離れるように、シート束PBの下方向から外力を加えるため、シート束PBとジョガーフェンス205、206の下面との摩擦力を低減させることができる。よって、シート束PBとジョガーフェンス205、206の下面との摩擦力を低減させてからジョガーフェンス205、206を相互に離れる方向に移動させることで、シート束PBがジョガーフェンス205、206と一緒に移動されることが抑制でき、落下の際にシート束PBが片残りする問題を解消することができる。
【0064】
<第3実施形態>
第3実施形態では、シート束PBを落下させる際に、先端ストッパ207がシート束PBを上方から下方に押圧することで、片残りを解消する態様について説明する。
【0065】
図17(A)、(B)は、第3実施形態における先端ストッパ207の形状例を示す図である。
【0066】
図17(A)に示す先端ストッパ207において、垂直部207aは、シート束PBの先端を揃える本来の役割を担う部位である。垂直部207aの上部には、屋根状(水平方向)に突出する水平部207bが設けられており、水平部207bの下面に取り付けられている部材207cが、シート束PBの上面と接して押圧力を加える部位となる。
【0067】
この形状で先端ストッパ207の全体が上から下方向に向けて移動されることで、シート束PBの上面を押圧した状態でシート束PBを落下させる。また部材207cは、例えばゴム材、シリコン材などの摩擦係数の比較的高い部材であり、これにより水平部207bは、滑らずにシート束PBの上面を押圧した状態にすることができる。
【0068】
図17(B)に示す先端ストッパ207は、水平部207bの下側に、スプリングなどの付勢部材(
図18(B)に示すスプリング207f)を取り付け、さらにその付勢部材の下側に押下板207dと、押下板207dの下面に部材207cを取り付けた構成となっている。この構成により、先端ストッパ207の全体は上下方向においては固定したまま、押下板207dと部材207cを付勢部材の付勢力(バネ力)と不図示の可動手段(ソレノイド)で上下移動させることで、シート束PBの上面を押圧する。また、垂直部207aの押下板207dが設けられている面には、上下の向きに溝207eが形成されている。溝207eは、押下板207dが上下移動するためのガイドとして機能し、この溝207eに沿うことで、押下板207dの動きは上下方向のみに規制される。
【0069】
図18(A)は、
図17(A)に図示した先端ストッパ207を使った場合の動作を示す図である。先端ストッパ207は、シート束PBの先端を揃える方向(図の左から右へ向かう方向)への動作に加えて、下へ下がる(移動される)動作も可能な機構を備えている。この機構の駆動源としては、ステッピングモータやソレノイドなどのアクチュエータである。アクチュエータは、先端ストッパ207と一体となって図の左右方向に移動可能なように構成され、シート束PBの先端と接触する位置に移動された後、先端ストッパ207がシート束BPを押圧するように作動される。
【0070】
図18(A)に表すように、アクチュエータにより先端ストッパ207の水平部207bがジョガーフェンス205、206のシート積載面(シート積載部252、262)よりも下まで下げる(移動させる)ことによって、シート束PBがジョガーフェンス205、206と一緒に移動されることが抑制でき、シート束PBが排紙トレイ204に落下される。例えば上下に移動させるアクチュエータをステッピングモータとすることで、シート束PBの厚さや重さなどの違いに合わせて、上下動作の速度や位置などをきめ細かく制御することができる。尚、この制御を行うため、
図12の対応情報を用いた上記の実装を適用してもよい。
【0071】
図18(B)は、
図17(B)に図示した先端ストッパ207を使った場合の動作を示す図である。
図18(B)に表すように、可動手段(ソレノイド)によりスプリング207fが開放され、そのバネ力により押下板207dと部材207cはジョガーフェンス205、206のシート積載面(シート積載部252、262)より下の位置に移動させることによって、シート束PBがジョガーフェンス205、206と一緒に移動されることが抑制でき、シート束PBが排紙トレイ204に落下される。この例では、押下力にスプリングのバネ力のみを使うため、例えばアクチュエータはソレノイドによるON/OFFのみで制御できるようになり、上下に移動する機構を簡単な構成にすることができる。
【0072】
図19は、第3実施形態の動作例を示すフローチャートである。尚、第3実施形態では、
図12のフローチャートのS1210~S1212を
図23のフローチャートに置き替えることで、ステイプルモードの動作となる。
【0073】
ステイプルユニット209による綴じ処理が完了し(S2301)、ジョガーフェンス205、206がシート束PBを挟み込んだ状態のまま揃える位置に移動されると(S2302)、次に先端ストッパ207がシート後端受け部205B、206Bの方へ水平移動されて、先端と接触して揃える(S2303)。
【0074】
先端ストッパ207がシート束PBの先端を揃えた後、ジョガーフェンス205、206が外側に開らかれて(移動されて)シート束PBを排紙トレイ204に落下させる(S2304)。この時、先端ストッパ207の垂直方向の動作を制御するアクチュエータは、上記のとおりシート束PBの上面に向けて水平部207bもしくは押下板207dを上方の位置(非押圧位置)から下降させ、スプリング207fの押圧力によりシート束PBを下方向に押圧する(S2305)。尚、このS2305の動作タイミングは、ジョガーフェンス205、206が相互に離間し外側に退避動作している最中でもよいし、退避動作が完了した後開始される前に行ってもよい。また、S2305の動作における動作は、退避動作後にシート束PBが片残りしていたときは、退避動作が完了した後に再度アクチュエータを動作させて水平部207bもしくは押下板207dを上下移動させることで、そのシート束PBをジョガーフェンス205、206から掻き落とすことができる。
【0075】
<第4実施形態>
第4実施形態は、シート束PBの落下の際に上方から下方に回転動作を行う機構を設け、回転させてシート束PBを上方から下方向に押圧することで、片残りを解消する構成について説明する。
【0076】
図20(A)は、第4実施形態の先端ストッパ207を例示する図である。垂直部207a、水平部207b、部材207cは、第3実施形態で説明したものと同様であるが、第4実施形態では、回転動作のための支点軸207gが垂直部207aに設けられている。また部材207cの取り付け面は、シート束PBの面と接触するときの回転角に適合させた角度となっている。
【0077】
図20(B)は
図20(A)の先端ストッパ207を使った場合の動作を例示する図である。第4実施形態では、第3実施形態と同様に、先端ストッパ207がシート束PBの先端を揃える方向へ移動され、その後、付勢部材の付勢力(バネ力)と不図示の可動手段(ソレノイド等)で、支点軸207gを中心にした上下の回転動作により、部材207cが下へ下がる動作が行われる。この動作の駆動源は、ステッピングモータやソレノイドなどのアクチュエータである。アクチュエータは、第3実施形態と同様に、先端ストッパ207に一体となって図の左右方向に移動可能なように構成され、先端ストッパ207がシート束PBの先端と接触する位置に移動された後、シート束BPを下方に押圧するように作動される。シート束PBが落下した後、アクチュエータは、先端ストッパ207を元の姿勢に戻す(移動させる)。なお、先端ストッパ207の元の姿勢とは、垂直部207aが立設する姿勢をいう。
【0078】
また、支点軸207gに付勢部材としてのスプリングを取り付け、アクチュエータを作動させて先端ストッパ207が下方に回動された後に、スプリングのバネ力で先端ストッパ207が元の姿勢に戻るように逆回転される構成にしてもよい。この場合、アクチュエータをよりも簡単な構成になる。
【0079】
尚、第4実施形態における動作フローは、第3実施形態で説明したフローチャート(
図19)を流用することができる。この場合、
図19のS2305の下方向の押圧動作を、上記の支点軸207gを中心とした回転動作に置き替える。
【0080】
<第5実施形態>
図21は、は第5実施形態の態様を説明する図である。上記のとおり、排紙ローラ対203から排出される画像形成後のシートの後端部分が、排紙ローラ対203から確実に排出されるように、後端ガイド208に
図21に示す矢印A1の範囲の可動域を持たせている(
図3なども参照)。本実施形態に係る後端ガイド208は、先端208aがジョガーフェンス205、206のシート積載面(シート積載部252、262)よりも下側に位置するように、さらに矢印A2に示す範囲の可動域を広くして回動される。後端ガイド208の回動により、排紙ローラ対203からのシートの排出において、特にシート後端部をより確実に排出させる。
【0081】
シート後処理後に排紙トレイ204にシート束を落下させる際には、外力付加手段としての後端ガイド208が最大A2の範囲(最下方位置)まで回動して、片残りしないようにシート束PBに上からの外力を加える。これにより、シート束PBの落下時に、ジョガーフェンス205、206上に片残りする問題を解消する。また、シート束PBが片残りしたとしても、後端ガイド208を再度上下移動させてシート束PBに上からの外力を加えることで、片残りしたシート束PBを掻き落とすことができる。
【0082】
図22は、第5実施形態の動作例を示すフローチャートである。
図22のフローチャートは、第3実施形態のフローチャート(
図19)のS2305の先端ストッパ207による下方向への押圧動作を、後端ガイド208による下方向への押圧動作(S2701)に変更することで適用することができる。その他のステップは、
図19と同じである。尚、後端ガイド208は、シート束PBの落下が完了した後、イニシャル位置(
図21の実線で示す姿勢)まで上昇(移動)される。
【0083】
第5実施形態のように、シート束PBがジョガーフェンス205、206上に片残りしていた場合、再度後端ガイド208が上から外力を加え動作を行わせ、片残りしていたシート束PBを落下させるようにすることで、ジョガーフェンス205、206上に片残りする問題を解消することができる。
【0084】
上記の各実施形態を相互に組み合わせて実装してもよい。
【0085】
「外力付加手段」は、第1~第4実施形態では先端ストッパ207に相当し、第5実施形態では後端ガイド208に相当する。また「干渉」とは、接触、当接、押圧、持ち上げるなど、2つの物体のうち一方の物体が他方の物体に作用することを意味している。
【0086】
上記の実施形態では、先端ストッパ207や後端ガイド208が、シート積載部252、262の離間動作している間に、シート積載部252、262に積載されているシート(積載シート)に干渉することで、シートに力を加えることを説明した。
【0087】
以上、本実施形態により、排紙トレイ上でのスタック精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0088】
1:画像形成システム
100:画像形成装置
110:作像部
120:給紙部
200:後処理装置
204:排紙トレイ
205、206:ジョガーフェンス
205B、206B:シート後端受け部
207:先端ストッパ
207X:持ち上げ面
207Y:部材
207a:垂直部
207b:水平部
207c:部材
207d:押下板
207e:溝
207f:スプリング
207g:支点軸
207m:緩和部材
208:後端ガイド
209:ステイプルユニット
210:後端基準フェンス
211:紙面検出センサ
250:制御部
251:シート揃え部
252:シート積載部
261:シート揃え部
262:シート積載部
300:画像読み取り装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】