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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】トナー収容容器および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240814BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240814BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G03G15/08 330
G03G15/08 341
G03G21/16 176
G03G15/00 680
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020134822
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030671
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】今野 理一
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-197157(JP,A)
【文献】特開2013-130804(JP,A)
【文献】特開2011-197159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信が可能な情報記録素子を備えたトナー収容容器において、
前記トナー収容容器は、容器本体の一端側に回転可能に支持され前記情報記録素子を保持するホルダ部材を備え、
前記ホルダ部材は、回転中心から離れた位置に磁性部材を有し、
前記磁性部材が磁性体であり、
前記磁性体は、前記ホルダ部材の回転中心に対して周方向に配設され、配設された範囲の中央を通る直線上に最も多く、前記直線から前記周方向に離れるに従って少なくなるように偏在して配設されていることを特徴とするトナー収容容器。
【請求項2】
通信が可能な情報記録素子を備えたトナー収容容器において、
前記トナー収容容器は、容器本体の一端側に回転可能に支持され前記情報記録素子を保持するホルダ部材を備え、
前記ホルダ部材は、回転中心から離れた位置に磁性部材を有し、
前記ホルダ部材は、前記磁性部材と前記トナー収容容器との間に、磁気を遮蔽するシールド部材を備えることを特徴とするトナー収容容器。
【請求項3】
通信が可能な情報記録素子を備えたトナー収容容器において、
前記トナー収容容器は、容器本体の一端側に回転可能に支持され前記情報記録素子を保持するホルダ部材を備え、
前記ホルダ部材は、回転中心から離れた位置に磁性部材を有し、
前記ホルダ部材は、前記容器本体の一端側に係合固定される容器保持部と、前記容器保持部と相対回転可能に嵌合し、前記情報記録素子を保持する情報記録素子保持部とからなることを特徴とするトナー収容容器。
【請求項4】
前記磁性部材が磁石であることを特徴とする請求項2または3に記載のトナー収容容器。
【請求項5】
前記磁性部材は、前記ホルダ部材の回転中心に対して周方向に90°以上の範囲に配設され、
前記磁性部材の磁界の向きは、同一極性が前記ホルダ部材の外観側の一方向を向くことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項6】
前記磁性部材は、前記ホルダ部材の回転中心に対して周方向に180°以上の範囲に配設されていることを特徴とする請求項に記載のトナー収容容器。
【請求項7】
前記磁性部材は、前記ホルダ部材の回転中心に対して周方向に配設され、配設された範囲の中央を通る直線上の磁束密度が、当該直線上から前記周方向に離れた端部側の磁束密度より高いことを特徴とする請求項からのいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項8】
前記磁性部材は、前記ホルダ部材の回転中心に対して周方向に所定の角度範囲で配設された第一の磁石と、残余の角度範囲に配設された第二の磁石とを有し、
前記第一の磁石と前記第二の磁石とで極性が異なることを特徴とする請求項からのいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項9】
前記ホルダ部材は、前記トナー収容容器の回転軸と直交する面に、前記トナー収容容器と反対側に突出する凸状部を有することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項10】
前記ホルダ部材は、前記トナー収容容器の回転軸と直交する面に、前記トナー収容容器と反対側に突出する凸状部を有し、
前記凸状部は、前記磁性部材の磁界の方向と直交する方向及び前記磁性部材の磁界の方向と平行な方向のいずれかに延びる延在部を有することを特徴とする請求項からのいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項11】
前記情報記録素子は、対応する情報受信手段と当接して該情報受信手段との間で情報を伝達可能な接触部を有し、
前記磁性部材は、前記情報記録素子の近傍に配設されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のトナー収容容器が装着される画像形成装置であって、
前記情報記録素子の情報を受信する情報受信手段と、前記トナー収容容器の前記情報記録素子が前記情報受信手段と対向する位置に配設されるように前記ホルダ部材を案内するガイド部材と、を備え、前記ガイド部材が磁性部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記トナー収容容器のホルダ部材が前記ガイド部材に近接したとき、前記ホルダ部材の前記磁性部材と前記ガイド部材の前記磁性部材との間に吸引力または斥力が作用することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記ガイド部材の前記磁性部材が磁石であることを特徴とする請求項12または13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記トナー収容容器の前記ホルダ部材が、前記トナー収容容器の回転軸と直交する面に、前記トナー収容容器と反対側に突出する凸状部を有し、前記凸状部の周縁かつ回転中心に対して周方向であって、挿入方向の前方側の少なくとも一部に前記磁性部材を備え、
前記ガイド部材は、前記ホルダ部材の前記凸状部がスライド可能に嵌合するU字溝部を有し、前記U字溝部を形成する両側壁部の前記ホルダ部材と対向する面に前記磁性部材を備え、
前記磁性部材同士の吸引力または斥力により、前記凸状部が前記ガイド部材の前記U字溝部に嵌合する方向に案内されることを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
請求項から11のいずれかに記載のトナー収容容器が装着される画像形成装置であって、
前記情報記録素子の情報を受信する情報受信手段と、前記情報受信手段が前記トナー収容容器の前記情報記録素子に当接する位置に移動可能な情報受信手段保持部材を有し、
前記トナー収容容器の前記ホルダ部材及び前記情報受信手段保持部材は、それぞれ磁性部材を備え、
前記情報受信手段保持部材は、前記磁性部材同士の吸引力により移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
前記情報受信手段保持部材を、前記情報記録素子と当接する当接位置から前記情報記録素子と当接しない待機位置へ移動させる手段を備えることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
複数の前記トナー収容容器が装着される画像形成装置であって、
複数の前記トナー収容容器の前記ホルダ部材が、それぞれ位置及び/又は極性の異なる前記磁性部材を備え、
前記画像形成装置は、複数の前記情報記録素子と対応する複数の前記情報受信手段保持部材を備え、複数の前記情報受信手段保持部材は、対応する複数の前記ホルダ部材毎に位置及び/又は極性の異なる前記磁性部材を備えることを特徴とする請求項16または17に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー収容容器および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置では、像担持体の表面に形成した静電潜像に現像装置によって現像剤であるトナーを付着させ、形成されたトナー像を転写材に直接転写、あるいは中間転写体に1次転写した後に転写材に2次転写している。そして転写後の像担持体の表面の転写残トナーをクリーニング装置で除去し、次のトナー像形成に移行する。
【0003】
潜像担持体に形成された静電潜像をトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いた現像装置によって可視像化する画像形成装置において、画像形成に伴って現像装置内のトナーが消費されていくと、消費された量のトナーを順次補給する必要がある。そのため、従来の画像形成装置では、トナーを収納したトナーボトルを設け、そのトナーボトルから現像装置へ消費分のトナーを補給するようにしたものがある。また、このような構成においては、トナーボトル内のトナーが無くなると空になったトナーボトルを交換する必要があり、その交換作業は一般にユーザーによって行われている。
【0004】
この画像形成装置に用いられるトナー収容容器には、ICチップ(IDチップ、ICタグ等を含む)などの情報記録素子が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。情報記録素子としてのICチップには、トナー量に関する情報や、個体識別番号などの情報が記録されている。これらの情報をICチップに記録させることで、容器内のトナー量の表示や、異なる容器をセットした際のアラーム表示等の機能を、画像形成装置に付加することができる。
画像形成装置が動作している間は、ICチップと情報の交換を行い、例えば本体側で純正トナーであるかどうかの検知や、装置の媒体の使用枚数(或いはトナーモータ回転時間等)の積算を行い、ICチップにモード終了時の使用累積情報の登録などを行っている。
【0005】
ICチップのような情報記録素子の読み取りにおいて、例えば、RFIDのような非接触方式による場合は、情報のやり取りが可能な距離が限定される。また、ICチップの小型化が進むことによりトナー収容容器をセットする際の高い位置精度が要求される。
【0006】
トナー収容容器のセット時には、ICチップが画像形成装置側の情報の読み取りを行う手段と対向する位置に配置されるように、位置合わせが必要となる。位置合わせとしては、例えば、トナー収容容器を画像形成装置へ挿入する前、または挿入した後にICチップが適切な位置となるようにトナー収容容器を回動させる動作が挙げられる。
【0007】
しかしながら、ユーザーが狙いを定めて位置合わせを行うのは煩雑であり、またトナー収容容器を回動させる操作によっては摺動による部材の破損や損傷を招くおそれがある。
これに対し、特許文献1には、位置合わせの際、ICチップが画像形成装置側の電気接触子と摺動し、損傷してしまうのを防ぐ技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
トナー収容容器のICチップの位置合わせは精度よく、かつ容易に行えることが求められる。また、ICチップの位置合わせのための操作中のみならず、トナー収容容器のICチップが画像形成装置側の情報の読み取りを行う手段と対向する位置に配置された後も、ICチップが容器の回転などに影響されることなく、当該所定の位置に保持されることが必要となる。
【0009】
そこで本発明は、情報受信手段を備えた画像形成装置に対する位置合わせを正確かつ容易に行うことができるとともに、容器の回転に影響されることなく情報記録素子を所定の位置に維持可能なトナー収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のトナー収容容は、通信が可能な情報記録素子を備えたトナー収容容器において、前記トナー収容容器は、容器本体の一端側に回転可能に支持され前記情報記録素子を保持するホルダ部材を備え、前記ホルダ部材は、回転中心から離れた位置に磁性部材を有し、前記磁性部材が磁性体であり、前記磁性体は、前記ホルダ部材の回転中心に対して周方向に配設され、配設された範囲の中央を通る直線上に最も多く、前記直線から前記周方向に離れるに従って少なくなるように偏在して配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、情報受信手段を備えた画像形成装置に対する位置合わせを正確かつ容易に行うことができるとともに、容器の回転に影響されることなく情報記録素子を所定の位置に維持可能なトナー収容容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】トナー収容容器が画像形成装置に装着された状態の一例を示す説明図である。
図2】ガイド部材の一例を示す斜視図である。
図3】ホルダ部材の一例を示す斜視図である。
図4】ホルダ部材の一例の分解斜視図である。
図5】トナー収容容器に装着されたホルダ部材の一例を示す説明図である。
図6】ホルダ部材の移動方向を示す説明図である。
図7】ホルダ部材の凸状部がガイド部材のU字溝部に嵌合する方向を向くように回動する態様を示す説明図である。
図8】ホルダ部材の凸状部がガイド部材のU字溝部に嵌合する方向を向くように回動する態様を示す説明図である。
図9】ホルダ部材の磁性部材の配置の一例を示す側面図である。
図10】ホルダ部材の磁性部材の配置の一例を示す側面図である。
図11】ホルダ部材の磁性部材の配置の一例を示す側面図である。
図12】ホルダ部材の磁性部材の配置の一例を示す側面図である。
図13】ホルダ部材の磁性部材の配置の一例を示す側面図である。
図14】第二の実施形態におけるトナー収容容器の装着前の状態(A)及びトナー収容容器が装着された状態(B)を示す説明図である。
図15】ホルダ部材の移動方向を示す説明図である。
図16】本発明に係る画像形成装置の一実施形態の全体構成である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るトナー収容容器および画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0014】
本発明に係る画像形成装置の一実施形態の全体構成を図16に示す。
図16に示すように、画像形成装置100の上方にあるトナー収容容器設置部31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つの本発明に係るトナー収容容器38(38Y,38M,38C,38K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。
トナー収容容器設置部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。中間転写ユニット15の中間転写ベルト8の下方には、中間転写ベルト8に対向する各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6(6Y,6M,6C,6K)がベルト移動方向に並設されている。
【0015】
トナー収容容器38(38Y,38M,38C,38K)は、後述するトナー収容容器取付機構によって画像形成装置100のトナー収容容器設置部31に装着され、トナー補給装置160(160Y,160M,160C,160K)に保持される。
トナー収容容器38に収容された現像剤は、それぞれ、トナー補給装置160によって、作像部6の現像装置内に供給(補給)される。
なお、トナー収容容器38内に収容される現像剤としては、トナー単体に限定されるものではなく、トナーとキャリアを混合させたものでも良い。
【0016】
トナー収容容器38は、内部にトナーを収容する略円柱形状の容器であり、通信が可能な情報記録素子を保持したホルダ部材40が一端側に装着されている。
図1に示す一実施態様では、トナー収容容器取付機構39として画像形成装置100側にホルダ部材40を案内するガイド部材50を備えているが、ホルダ部材40に対応する部材は、情報記録素子の情報を受信する情報受信手段を備えた部材であればこれに限定されない。
【0017】
トナー収容容器38のトナー収容部は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は、ポリエチレンポリカーボネートなどの合成樹脂製であり、その内壁に底部からトナー排出口に向けてトナー搬送機構としての螺旋溝が形成されている。内壁の螺旋溝は外周に螺旋溝として現れる。このトナー収容容器を回転させることにより螺旋溝に案内されてトナー排出口からトナーが吐出される。
【0018】
ホルダ部材40に保持される情報記録素子(ICチップ)は、接触または非接触により通信が可能なIDチップであり、例えば、非接触により通信が可能なRFID等が挙げられる。
情報記録素子には、例えば、トナー色、トナーの容量、トナーの製造番号(製造ロット)、トナーの製造年月等のトナーに係わる情報や、リサイクル回数、リサイクル年月日、リサイクルメーカ等のトナー収容容器38のリサイクルに係わる情報などが記憶されている。
情報記録素子の情報は、画像形成装置本体側に設けられた情報受信手段により読み取られ、送信される。
【0019】
本発明に係るトナー収容容器38は、通信が可能な情報記録素子43を備えたトナー収容容器であり、トナー収容容器38は、容器本体の一端側に回転可能に支持され情報記録素子43を保持するホルダ部材40を備えている。
ホルダ部材40の一例を図3に示す。図3は、ホルダ部材40の一例を示す斜視図であって、図3(A)はトナー収容容器38が取り付けられる面の図であり、図3(B)は図3(A)の反対面の図である。
ホルダ部材40は、図3(B)に示すように、回転中心から離れた位置に磁性部材61を有する。
また、ホルダ部材40は、図6(A)~(C)に示すように回転する。
【0020】
以下、トナー収容容器38が備えるホルダ部材40の態様を図に基づき説明する。
ホルダ部材40は、図3及び図4に示すようにトナー収容容器38に係合固定される容器保持部41と、容器保持部41と相対回転可能に嵌合し、情報記録素子43を保持する情報記録素子保持部42とからなる。
ホルダ部材40が備える磁性部材は、磁性体または磁石である。
【0021】
図9は、ホルダ部材40が備える磁性部材61が磁性体の例を示している。
磁性体61は、ホルダ部材40の回転中心40aに対して周方向に配設され、配設された範囲の中央を通る直線上(図中Lで示す)に最も多く、直線Lから周方向に離れるに従って少なくなるように偏在して配設されている。
【0022】
図10は、ホルダ部材40が備える磁性部材61が磁石の例を示している。
図10の例において、磁性部材61は、ホルダ部材の回転中心40aに対して周方向に90°以上の範囲に配設され、磁性部材61の磁界の向きは、同一極性がホルダ部材40の外観側の一方向を向いている。
また、磁性部材61は、ホルダ部材の回転中心40aに対して周方向に180°以上の範囲に配設されていてもよい。
【0023】
図12(A)は、ホルダ部材40が備える磁性部材61が磁石の例を示している。図12(B)は磁性部材の部分拡大図である。
図12の例において、磁性部材61は、ホルダ部材の回転中心40aに対して周方向に配設され、配設された範囲の中央を通る直線上(図中Lで示す)の磁束密度が、当該直線上から周方向に離れた端部側の磁束密度より高くなっている。
【0024】
図13は、ホルダ部材40が備える磁性部材61が磁石の例を示している。
図13の例において、磁性部材61は、ホルダ部材の回転中心40aに対して周方向に所定の角度範囲で配設された第一の磁石61aと、残余の角度範囲に配設された第二の磁石61bとを有し、第一の磁石61aと第二の磁石61bとで極性が異なっている。
【0025】
図3(B)に示すように、ホルダ部材40は、トナー収容容器38の回転軸と直交する面に、トナー収容容器38と反対側に突出する凸状部44を有している。
凸状部44は、磁性部材61の表面における磁界の向きと直交する方向及び磁性部材61の磁界の向きと平行な方向のいずれかに延びる延在部を有している。
図10は、凸状部44が磁性部材61の磁界の向きと直交する方向に延在している例を示している。
図10の例では、磁石の磁界の向き(着磁方向)は、図にあらわれている表面全体がN極(またはS極)、その裏面がS極(またはN極)である。
この態様において、凸状部44は磁界の向きと直交する方向に延在している。
図11は、凸状部44が磁性部材61の磁界の向きと平行に延在している例を示している。図11の例では、方向Dの前方がN極であり、その裏面がS極である。
なお、S極とN極の配置はこの逆であってもよい。
【0026】
情報記録素子43は、対応する情報受信手段53と当接して該情報受信手段53との間で情報を伝達可能な接触部を有する。すなわち、少なくとも接触部が外部に露出している。
例えば、図15に示すように、磁性部材63は、情報記録素子43の近傍に配設されていてもよい。
【0027】
また図5に示すように、ホルダ部材40は、トナー収容容器38内にトナーとキャリアが含まれる場合はキャリアが磁性部材の磁気による影響を受けないよう、磁性部材とトナー収容容器38との間に、磁気を遮蔽するシールド部材45を備えることが好ましい。
【0028】
次に、本発明に係るトナー収容容器38が装着される画像形成装置について、トナー収容容器38が装着される機構を中心に説明する。
画像形成装置100は、図1に示すように、情報記録素子43の情報を受信する情報受信手段53と、トナー収容容器38の情報記録素子43が情報受信手段53と対向する位置に配設されるようにホルダ部材40を案内するガイド部材50と、を備える。
【0029】
ガイド部材50の一例を図2に示す。ガイド部材50は磁性部材62を備えている。
トナー収容容器38のホルダ部材40がガイド部材50に近接したとき、ホルダ部材40の磁性部材61とガイド部材50の磁性部材63との間に吸引力または斥力が作用する。
ガイド部材50の磁性部材62としては、磁石であることが好ましい。
【0030】
図7及び図8は、トナー収容容器38が画像形成装置100に装着される際のホルダ部材40の動きを示したものである。
トナー収容容器38のホルダ部材40は、トナー収容容器38の回転軸と直交する面に、トナー収容容器38と反対側に突出する凸状部44を有し、凸状部44の周縁かつ回転中心40aに対して周方向であって、挿入方向Dの前方側の少なくとも一部に磁性部材61を備えている。
ガイド部材50は、ホルダ部材40の凸状部44がスライド可能に嵌合するU字溝部51を有し、U字溝部51を形成する両側壁部52a、52bのホルダ部材40と対向する面に前記磁性部材62a、62bを備えている。両側壁部52a、52bは、U字溝部51の先端から離れる方向に拾い形状を有している。
磁性部材同士の吸引力または斥力により、凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向に案内される。
【0031】
ガイド部材50の磁性部材62の磁束密度は、トナー収容容器38のホルダ部材40の磁性部材61の磁束密度よりも高いことが好ましい。
磁性部材(磁石)同士の引き付け合う力でホルダ部材40が回転するが、その後はホルダ部材40の凸状部44がU字溝部51に沿ってセットされるため、ホルダ部材40側の磁石を弱めることで、ホルダ部材40の円滑な回転が可能となる。
【0032】
他の実施形態に係る画像形成装置を図14に示す。
図14の画像形成装置は、図15に示すトナー収容容器38が装着される。
図14に示す画像形成装置は、情報記録素子43の情報を受信する情報受信手段53と、情報受信手段53がトナー収容容器38の情報記録素子43に当接する位置に移動可能な情報受信手段保持部材55を有している。
トナー収容容器38のホルダ部材40及び情報受信手段保持部材55は、それぞれ磁性部材を備えている。図中情報受信手段保持部材の磁性部材を64(64a、64b)、ホルダ部材40の磁性部材を63(63a、63b)で示している。
情報受信手段保持部材55は、磁性部材同士(63及び64)の吸引力により移動する。
本実施形態では情報受信手段保持部材55が吸引力により移動可能な構成であるが、トナー収容容器38側の情報記録素子43と磁性部材63(63a、63b)が一体となって容器本体に対して移動可能な構成としてもよい。
【0033】
本実施形態の画像形成装置は、情報受信手段保持部材55を、情報記録素子43と当接する当接位置から情報記録素子43と当接しない待機位置へ移動させる手段を備えることが好ましい。
【0034】
また、本実施形態の画像形成装置は、複数のトナー収容容器38(例えばK(黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のトナー収容容器)が装着される態様であってもよい。
複数のトナー収容容器38が装着される画像形成装置において、複数のトナー収容容器38のホルダ部材40は、それぞれ情報記録素子43を備えるとともに、それぞれ位置及び/又は極性の異なる磁性部材63を備えていることが好ましい。
画像形成装置は、複数の情報記録素子43と対応する複数の情報受信手段保持部材55を備え、複数の情報受信手段保持部材55は、対応する複数のホルダ部材40毎に位置及び/又は極性の異なる磁性部材64を備えることが好ましい。
このような構成とすることにより、誤ったトナー収容容器38が装着されても情報記録素子43が認識されず、誤セット防止することができる。
また、情報受信手段保持部材55の磁性部材64も上記と同様に複数のトナー収容容器38に対応する極性とすることが好ましい。情報受信手段保持部材55の磁性部材64を複数のトナー収容容器38に対応する極性とすることにより、トナー収容容器38のセットを試みる初期の段階(情報受信手段保持部材55とホルダ部材40の磁性部材同士が力を及ぼす距離になった段階)で磁力を介してユーザーが誤セットを察知することができ、さらには誤セットの際に磁力によってホルダ40が挿入方向を向かないことでユーザーが誤セットに気付くことができる。
【0035】
複数のトナー収容容器38を装着可能な画像形成装置における、磁性部材の極性による誤セット防止の一例を表1に示す。
表1は、図14の例におけるトナー収容容器38の磁性部材63(63a、63b)と、情報受信手段保持部材55の磁性部材64(64a、64b)の極性の組合せ例を示したものである。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示すように、トナー収容容器38とその対向部(ガイド部材50、情報受信手段保持部材55)の複数の磁石の組み合わせを、対応する場合のみ互いが引き付け合う構成とすることにより、誤セットを防止することができる。
複数のトナー収容容器38を備える態様において、適切な組合せの場合にのみ磁石が引き付け合う構成は、図1図8に示した態様におけるホルダ部材40を案内するガイド部材50の磁性部材62においても適用することができる。
【0038】
以下、本発明に係るトナー収容容器を画像形成装置に取り付ける機構を、「トナー収容容器取付機構」として説明する。
【0039】
[トナー収容容器取付機構]
(第一の実施形態)
本実施形態のトナー収容容器取付機構を、図1図13に基づき説明する。
図1は、トナー収容容器取付機構39によってトナー収容容器38が画像形成装置100に装着された状態の一例を示す図である。
図1に示す一実施態様では、トナー収容容器取付機構39として画像形成装置100側にホルダ部材40を案内するガイド部材50を備えているが、ホルダ部材40に対応する部材は、情報記録素子の情報を受信する情報受信手段を備えた部材であればこれに限定されない。
【0040】
本実施形態のトナー収容容器取付機構は、通信が可能な情報記録素子43を備えたトナー収容容器38を、情報記録素子43の情報を受信する情報受信手段53を備えた画像形成装置100本体に取り付けるトナー収容容器取付機構39であって、トナー収容容器38側に、情報記録素子43を保持し、略円柱形状の容器の一端側に回動可能に装着されるホルダ部材40を有し、画像形成装置100本体側に、情報記録素子43が情報受信手段53と対向する位置に配設されるようにホルダ部材40を案内するガイド部材50を有し、ホルダ部材40及びガイド部材50は、それぞれ磁性部材61、62を備え、ホルダ部材40は、ガイド部材50に近接したとき、磁性部材同士の吸引力または斥力により所定の方向を向くように回動する。
【0041】
図3は、ホルダ部材40の一例を示す斜視図であって、図3(A)はトナー収容容器38が取り付けられる面の図であり、図3(B)は図3(A)の反対面の図である。図3中の矢印Dは、画像形成装置100(ガイド部材50)に対して適切に装着される方向であって、情報記録素子43が情報受信手段53と対向する位置となる方向を示している。
また図4(A)は、ホルダ部材40の一例の分解斜視図であり、図4(B)はホルダ部材40がトナー収容容器38に装着された状態の断面図である。図4(A)中の破線はトナー収容容器の回転中心を示す。
図6はホルダ部材40の移動方向を示す説明図であり、図6(A)は情報記録素子43が適切な位置で画像形成装置100(ガイド部材50)に対して適切に装着される方向Dを示し、図6(B)は下向きの情報記録素子43が適切な向きとなるようにR1で示す時計回りの方向R1に回動する例を示し、図6(C)は上向きの情報記録素子43が適切な向きとなるようにR2で示す反時計回りの方向に回動する例を示している。
【0042】
図3図4及び図6に示すように、ホルダ部材40は、トナー収容容器38の回転軸と直交する面に、トナー収容容器と反対側に突出する凸状部44を有し、凸状部44の周縁かつ回転中心に対して周方向であって、挿入方向Dの前方側の少なくとも一部に磁性部材61を備えている。
磁性部材61としては、例えば、磁石または磁性体が挙げられる。
【0043】
図5は、トナー収容容器38端部に装着されたホルダ部材40の一例を示す説明図である。
図5に示すように、ホルダ部材40は、トナー収容容器38内にトナーとキャリアが含まれる場合はキャリアが磁性部材61の磁気による影響を受けないよう、磁性部材61とトナー収容容器38との間に、磁気を遮蔽するシールド部材45を備えることが好ましい。
【0044】
また、図4(A)及び図4(B)に示すように、ホルダ部材40は、トナー収容容器38に係合固定される容器保持部41と、容器保持部41と相対回転可能に嵌合し、情報記録素子43を保持する情報記録素子保持部42とからなる。
図4(B)に示すように、トナー収容容器38は端部近傍に径が細く断面凹状となった部位を有し、ここに容器保持部41の爪部が係合することにより回転可能に保持される。
容器保持部41と情報記録素子保持部42とは、トナー収容容器38の回転中心で一体化されている。
なお、回転中心部には、回転効率を高める目的で適宜ベアリング等を配置してもよい。
【0045】
図2は、ガイド部材50の一例を示す斜視図である。
図2に示すように、ガイド部材50は、ホルダ部材40の凸状部44がスライド可能に嵌合するU字溝部51を有し、U字溝部51を形成する両側壁部52(52a、52b)のホルダ部材40と対向する面に磁性部材62(62a、62b)を備えている。
磁性部材62としては、例えば、磁石または磁性体が挙げられる。
【0046】
ガイド部材50は、傾斜面50a、ガイド形状50b、及び凹部50cを有する。
傾斜面50aは、U字溝部51から延びてホルダ部材40の凸状部44を拾う形状となっている。これにより傾斜面50aに当接した凸状部44がU字溝部51の先端まで円滑に案内される。
ガイド形状50bは、ホルダ部材40の矢尻形状40bと係合し、トナー収容容器38の回転軸に沿った方向におけるホルダ部材40の位置を規制する。
凹部50cは、ホルダ部材40のレバー形状40cと係合し、ホルダ部材40を着脱可能に固定する。
また、情報受信手段53は突起部を有し、情報記録素子43に形成された孔部と嵌合する。
【0047】
ホルダ部材40は、磁性部材同士の吸引力または斥力により、凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向を向くように回動する。
図7及び図8は、ホルダ部材40の凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向を向くように回動する態様を示す説明図である。
図7及び図8は、ホルダ部材40の磁性部材61と、ガイド部材50の磁性部材62(62a、62b)との間に吸引力が働くことによりホルダ部材40が回動する例を示しているが、磁性部材間に働く力は、ホルダ部材40の凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向に誘導されるものであれば斥力であってもよい。
【0048】
図7(A)に示すように、ホルダ部材40の情報記録素子43が下向きの状態でトナー収容容器38が画像形成装置100側にセットされた場合、ホルダ部材40の磁性部材61がガイド部材50の磁性部材62bに吸引され、図7(B)に示すように凸状部44の先端がU字溝部51の方向へ向くように時計回り(図中R1で示す方向)に回動する。そして、図7(C)に示すように、凸状部44はガイド部材50の傾斜面に沿ってU字溝部51へ向かって案内される。
【0049】
図8(A)に示すように、ホルダ部材40の情報記録素子43が上向きの状態でトナー収容容器38が画像形成装置100側にセットされた場合、ホルダ部材40の磁性部材61がガイド部材50の磁性部材62aに吸引され、図8(B)に示すように凸状部44の先端がU字溝部51の方向へ向くように反時計回り(図中R2で示す方向)に回動する。そして、図8(C)に示すように、凸状部44はガイド部材50の傾斜面に沿ってU字溝部51へ向かって案内される。
【0050】
ホルダ部材40の磁性部材61の磁力が強すぎると、ガイド部材50側の磁性部材62との引きつけ合いが強くなり、凸状部44がガイド部材50の傾斜に沿ってU字溝部51へ移動する動作が妨げられてしまうおそれがある。
そこで、ホルダ部材40の磁性部材61の磁束密度が、ガイド部材50の磁性部材62の磁束密度よりも低いことが好ましい。
【0051】
ホルダ部材40の磁性部材61の態様(例えば、形状、極性、着磁方向、磁束密度等)は限定されず、所望の吸引力または斥力が得られるように適宜選択することができる。
以下、ホルダ部材40の磁性部材61の例について図9図13に基づき説明する。
【0052】
図9は、ホルダ部材40の磁性部材61の配置の一例を示す側面図であり、本例において磁性部材61は磁性体である。
本実施形態におけるホルダ部材40の磁性部材61は、回転中心40aに対して周方向に、回転中心40aを通って凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向Dの直線L上に最も多く、直線Lから離れるに従って少なくなるように偏在して配設されている。
磁性部材61は、ガイド部材50の磁性部材62からの吸引力により回動及び/又は移動する。
磁性部材61をこのような配置とすることにより、凸状部44がU字溝部51へ嵌合する方向への回動及び/又は移動が円滑となり、情報記録素子43の位置合わせが容易となる。
【0053】
図10は、ホルダ部材40の磁性部材61の配置の一例を示す側面図であり、本例において磁性部材61は磁石である。
本実施形態のホルダ部材40の磁性部材(磁石)61は、回転中心40aに対して周方向に90°以上の範囲に配設されている。
「回転中心40aに対して周方向に90°以上の範囲」とは、例えば、回転中心40aを通って凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向Dの直線Lを基準として±45°以上の範囲である。
【0054】
また、磁石の磁界の向き(着磁方向)は、凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向Dの直線に対して直交し、ガイド部材50の磁性部材(磁石)62と対向する面全体が同一極性である。すなわち、図にあらわれている表面全体がN極(またはS極)、その裏面がS極(またはN極)である。
なお、ガイド部材50の磁石62は、ホルダ部材40の磁石61と引き付け合うように、ホルダ部材40の磁石61に対向する向きがホルダ部材40の磁石61(N極)と反対の極性(S極)とする。
この態様において、凸状部44は磁界の向きと直交する方向に延在している。
【0055】
図10に示す態様において、トナー収容容器38のホルダ部材40をガイド部材50に装着する際に、ガイド部材50の磁石62(S極)により、ホルダ部材40の磁石61(N極)が引き寄せられ、ホルダ部材40の向きが挿入方向に定まる。そしてガイド部材50に沿って装着する過程において、ホルダ部材40の磁石61がL方向でガイド部材50の磁石62の位置を超えたところで、今度はホルダ部材40の磁石61(S極)がガイド部材50の磁石62(S極)と対向することになる。これにより、ホルダ部材40が装着方向の奥側(装着位置方向)に押されることになり、ホルダ部材40のセット感(磁力が反転する際にユーザーが感じる力)を持たせることができ、トナー収容容器38を引き抜く際にも逆のメカニズムで程よいセット解除感を持たせることができる。また、反発力によりホルダ部材40の情報記録素子43と本体側の情報受信手段53のレシーバとが押し付けられる(圧接する)ことで接点のがたつきを抑えて接触精度を高めることができる。
【0056】
なお、磁性部材61は、回転中心40aに対して周方向に180°以上の範囲に配設することができる。
「回転中心40aに対して周方向に180°以上の範囲」とは、例えば、回転中心40aを通って凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向Dの直線Lを基準として±90°以上の範囲である。
磁性部材61を周方向に広く配設することにより、磁力によるホルダ部材40の回転方向の位置修正を高感度(周方向の広範囲)で行うことができる。
【0057】
図11は、ホルダ部材40の磁性部材61の配置の一例を示す側面図であり、本例において磁性部材61は磁石である。
本実施形態におけるホルダ部材40の磁性部材(磁石)61は、回転中心40aに対して周方向に配設され、磁界の向き(着磁方向)は、凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向Dの直線と平行である。図11に示すように、方向Dの前方がN極であり、その裏面がS極である。なお、この逆であってもよい。
この態様において、凸状部44は磁界の向きと平行に延在している。
【0058】
図11に示す磁性部材61によれば、まず初めに磁力によってホルダ部材40の向きが適当な位置に定まったのちに凸状部44を嵌合することができる。これにより、凸状部44を位置合わせする必要がなくなりユーザビリティが向上する。磁力により凸状部44をガイド部材50が拾える程度に大まかに位置合わせされた後、凸状部44とガイド部材50との嵌合により正確な位置に規制されるからである。
【0059】
図12は、ホルダ部材40の磁性部材61の配置の一例を示す側面図であり、本例において磁性部材61は磁石である。
本実施形態におけるホルダ部材40の磁性部材(磁石)61は、回転中心40aに対して周方向に配設され、回転中心40aを通って凸状部44がガイド部材50のU字溝部51に嵌合する方向Dの直線L上の磁束密度が最も高く、当該直線L上の領域から周方向に離れるに従って磁束密度が低くなっている。
図12(B)は、図12(A)の磁性部材61の拡大図であり、磁束密度の数値の例を示したものである。
図12(B)に示すように、例えば、方向Dの直線L上の磁束密度を150mTとし、当該直線L上の領域から周方向に離れた領域の磁束密度を100mTとし、さらに周方向に離れた領域の磁束密度を50mTとすることができる。
【0060】
磁性部材61を図12に示すような磁束密度の分布とすることにより、周方向で離れた位置でガイド部材50の磁石に引き寄せられると、その後、磁力勾配(周囲の磁力が低く中央の磁力が高い)によってより中央がガイド部材50の磁石62に引き寄せられる方向、つまりホルダ部材40が正規の挿入方向を向くように回転する力が働くため磁石によるホルダ部材40の位置合わせの精度を向上させることができる。
【0061】
図13は、ホルダ部材40の磁性部材61の配置の一例を示す側面図であり、本例において磁性部材61は磁石である。
本実施形態におけるホルダ部材40の磁性部材(磁石)61は、回転中心40aに対して周方向に所定の角度範囲で配設された第一の磁石61aと、符合61bで示す残余の角度範囲に配設された第二の磁石とを有する。第二の磁石は61bの範囲に任意の範囲で設けることができる。
第二の磁石の極性は、第一の磁石と異なることが好ましく、具体的には、ガイド部材50の磁性部材62と対向する面の極性が、第一の磁石61aと第二の磁石とで異なっていることが好ましい。
【0062】
磁性部材61を図13に示すような構成とすることにより、ホルダ部材40の位置が反対方向を向いていた場合にはガイド部材50の磁石62から反発力を受け、ユーザーが方向が誤っていることを認知できると同時に反発力でホルダ部材40が回転し、正しい挿入方向を向くようになる。
また、ガイド部材50に沿って装着していく過程において、ホルダ部材40の磁石61がL方向でガイド部材50の磁石62の位置を超えたところで、今度はホルダ部材40の磁石61(S極)がガイド部材50の磁石62(S極)と対向することになる。これにより、ホルダ部材40が装着方向の奥側(装着位置方向)に押されることになり、ホルダ部材40のセット感(磁力が反転する際にユーザーが感じる力)を持たせることができ、トナー収容容器38を引き抜く際にも逆のメカニズムで程よいセット解除感を持たせることができる。また、反発力によりホルダ部材40の情報記録素子43と本体側の情報受信手段53のレシーバとが押し付けられる(圧接する)ことで接点のがたつきを抑えて接触精度を高めることができる。
【0063】
上述のように、本実施形態のトナー収容容器取付機構によれば、困難な位置合わせの作業を行うことなく情報記録素子43を情報受信手段53と対向する位置に配置することができ、ユーザビリティが大きく改善する。また、位置合わせされた後は、トナー収容容器38の回転に影響されることなく、情報記録素子43が所定の位置に保持される。
【0064】
(第二の実施形態)
本実施形態のトナー収容容器取付機構を、図14及び図15に基づき説明する。
本実施形態のトナー収容容器取付機構は、通信が可能な情報記録素子43を備えたトナー収容容器38を、情報記録素子43の情報を受信する情報受信手段53を備えた画像形成装置100本体に取り付けるトナー収容容器取付機構39であって、トナー収容容器38側に、情報記録素子43を保持し、略円柱形状の容器の一端側に回動可能に装着されるホルダ部材40を有し、画像形成装置100本体側に、情報記録素子43の情報を読み取る情報受信手段53を保持し、情報受信手段53が情報記録素子43に当接する位置に移動可能な情報受信手段保持部材55を有し、ホルダ部材40及び情報受信手段保持部材55は、それぞれ磁性部材61、62を備え、情報受信手段保持部材55は、磁性部材同士の吸引力により移動し、ホルダ部材40は、磁性部材同士の吸引力により所定の方向を向くように回動する。
【0065】
図14(A)は、トナー収容容器38が装着される前の状態を示したもので、情報受信手段保持部材55は、情報記録素子43と当接しない待機位置にある。図14(B)はトナー収容容器38が装着された状態を示したもので、情報受信手段保持部材55は、情報記録素子43と当接する当接位置にある。図中矢印Dは、トナー収容容器38が画像形成装置100に対して装着される適切な方向であって、情報記録素子43が情報受信手段53と対向する位置となる方向を示している。
情報受信手段53は突起部を有し、情報記録素子43に形成された孔部と嵌合する。
【0066】
情報受信手段保持部材55は、磁性部材64とホルダ部材40の磁性部材63との磁性部材同士の吸引力により当接位置へ向かう矢印D1の方向へ移動する。
本実施形態のトナー収容容器取付機構は、情報受信手段保持部材55を、情報記録素子43と当接する当接位置から情報記録素子43と当接しない待機位置へ移動させる手段を備え、当該手段により情報受信手段保持部材55は、待機位置へ向かう矢印D2の方向へ移動する。
【0067】
図15は、本実施形態におけるホルダ部材40の移動方向を示す説明図である。
図15(A)は情報記録素子43が適切な位置で画像形成装置100に対して装着される方向Dを示し、図15(B)は下向きの情報記録素子43が適切な向きとなるようにR1で示す時計回りの方向に回動する例を示し、図15(C)は上向きの情報記録素子43が適切な向きとなるようにR2で示す反時計回りの方向に回動する例を示している。
本実施形態において、ホルダ部材40の磁性部材63は、装着される方向の先端側に近い部位に設けられている。すなわち、図14及び図15に示すように、磁性部材63は情報記録素子43の近傍に配設されている。
【0068】
複数のトナー収容容器38を画像形成装置100本体に取り付ける態様におけるトナー収容容器取付機構は、複数のホルダ部材40及び対応する複数の情報受信手段保持部材55を備え、複数のホルダ部材40は、トナー収容容器38毎に位置及び/又は極性の異なる磁性部材63を備え、複数の情報受信手段保持部材55は、対応する複数のホルダ部材40毎に位置及び/又は極性の異なる磁性部材64を備える構成とすることができる。
所定のトナーとは異なるトナーが収容されたトナー収容容器38がセットされた場合は、当該容器の情報記録素子43が情報受信手段53によって認識されないため、誤セットを防止することができる。
【0069】
本明細書は、以下の発明をも開示している。
[1]
通信が可能な情報記録素子を備えたトナー収容容器を、前記情報記録素子の情報を受信する情報受信手段を備えた画像形成装置本体に取り付けるトナー収容容器取付機構であって、
前記トナー収容容器側に、前記情報記録素子を保持し、略円柱形状の容器の一端側に回動可能に装着されるホルダ部材を有し、
前記画像形成装置本体側に、前記情報記録素子が前記情報受信手段と対向する位置に配設されるように前記ホルダ部材を案内するガイド部材を有し、
前記ホルダ部材及び前記ガイド部材は、それぞれ磁性部材を備え、
前記ホルダ部材は、前記ガイド部材に近接したとき、前記磁性部材同士の吸引力または斥力により所定の方向を向くように回動することを特徴とする。
また、
[2]
前記ホルダ部材は、トナー収容容器の回転軸と直交する面に、前記トナー収容容器と反対側に突出する凸状部を有し、前記凸状部の周縁かつ回転中心に対して周方向であって、挿入方向の前方側の少なくとも一部に前記磁性部材を備え、
前記ガイド部材は、前記ホルダ部材の前記凸状部がスライド可能に嵌合するU字溝部を有し、前記U字溝部を形成する両側壁部の前記ホルダ部材と対向する面に前記磁性部材を備え、
前記ホルダ部材は、前記磁性部材同士の吸引力または斥力により、前記凸状部が前記ガイド部材の前記U字溝部に嵌合する方向を向くように回動することを特徴とする[1]に記載のトナー収容容器取付機構。
[3]
前記磁性部材が、磁石または磁性体であることを特徴とする[1]または[2]に記載のトナー収容容器取付機構。
[4]
前記ホルダ部材の前記磁性部材は、回転中心に対して周方向に、回転中心を通って前記凸状部が前記ガイド部材の前記U字溝部に嵌合する方向の直線上に最も多く、前記直線から離れるに従って少なくなるように偏在して配設されていることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載のトナー収容容器取付機構。
[5]
前記ホルダ部材の前記磁性部材が磁石であり、
前記磁石は、回転中心に対して周方向に90°以上の範囲に配設され、
前記磁石の磁界の向きは、前記凸状部が前記ガイド部材の前記U字溝部に嵌合する方向の直線に対して直交し、前記ガイド部材の磁性部材と対向する面全体が同一極性であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載のトナー収容容器取付機構。
[6]
前記磁石は、回転中心に対して周方向に180°以上の範囲に配設されていることを特徴とする[5]に記載のトナー収容容器取付機構。
[7]
前記ホルダ部材の前記磁性部材が磁石であり、
前記磁石は、回転中心に対して周方向に配設され、回転中心を通って前記凸状部が前記ガイド部材の前記U字溝部に嵌合する方向の直線上の磁束密度が最も高く、当該直線L上の領域から前記周方向に離れるに従って磁束密度が低くなることを特徴とする[5]または[6]に記載のトナー収容容器取付機構。
[8]
前記ホルダ部材の前記磁性部材が磁石であり、
前記磁石は、回転中心に対して周方向に所定の角度範囲で配設された第一の磁石と、残余の角度範囲に配設された前記第二の磁石とを有し、
前記ガイド部材の前記磁性部材と対向する面の極性が前記第一の磁石と前記第二の磁石とで異なることを特徴とする[1]から[7]のいずれかに記載のトナー収容容器取付機構。
[9]前記ホルダ部材の前記磁性部材が磁石であり、
前記磁石は、回転中心に対して周方向に配設され、
前記磁石の磁界の向きが、前記凸状部が前記ガイド部材の前記U字溝部に嵌合する方向の直線と平行であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載のトナー収容容器取付機構。
[10]
前記ホルダ部材の前記磁性部材の磁束密度は、前記ガイド部材の前記磁性部材の磁束密度よりも低いことを特徴とする[1]から[9]のいずれかに記載のトナー収容容器取付機構。
[11]
前記ホルダ部材は、前記磁性部材と前記トナー収容容器との間に、磁気を遮蔽するシールド部材を備えることを特徴とする[1]から[10]のいずれかに記載のトナー収容容器取付機構。
[12]
通信が可能な情報記録素子を備えたトナー収容容器を、前記情報記録素子の情報を受信する情報受信手段を備えた画像形成装置本体に取り付けるトナー収容容器取付機構であって、
前記トナー収容容器側に、前記情報記録素子を保持し、略円柱形状の容器の一端側に回動可能に装着されるホルダ部材を有し、
前記画像形成装置本体側に、前記情報記録素子の情報を読み取る情報受信手段を保持し、前記情報受信手段が前記情報記録素子に当接する位置に移動可能な情報受信手段保持部材を有し、
前記ホルダ部材及び前記情報受信手段保持部材は、それぞれ磁性部材を備え、
前記情報受信手段保持部材は、前記磁性部材同士の吸引力により移動し、
前記ホルダ部材は、前記磁性部材同士の吸引力により所定の方向を向くように回動することを特徴とするトナー収容容器取付機構。
[13]
前記ホルダ部材の前記磁性部材が、前記情報記録素子の近傍に配設されていることを特徴とする[12]に記載のトナー収容容器取付機構。
[14]
前記情報受信手段保持部材を、前記情報記録素子と当接する当接位置から前記情報記録素子と当接しない待機位置へ移動させる手段を備えることを特徴とする[12]または[13]に記載のトナー収容容器取付機構。
[15]
複数の前記トナー収容容器を前記画像形成装置本体に取り付ける前記トナー収容容器取付機構であって、複数の前記ホルダ部材及び対応する複数の前記情報受信手段保持部材を備え、
複数の前記ホルダ部材は、前記トナー収容容器毎に位置及び/又は極性の異なる前記磁性部材を備え、複数の前記情報受信手段保持部材は、対応する複数の前記ホルダ部材毎に位置及び/又は極性の異なる前記磁性部材を備えることを特徴とする[12]から[14]のいずれかに記載のトナー収容容器取付機構。
[16]
前記ホルダ部材は、前記トナー収容容器に係合固定される容器保持部と、前記容器保持部と相対回転可能に嵌合し、前記情報記録素子を保持する情報記録素子保持部とからなることを特徴とする[1]から[15]のいずれかに記載のトナー収容容器取付機構。
[17]
[1]から[16]のいずれかに記載のトナー収容容器取付機構によりトナー収容容器が装着されることを特徴とする画像形成装置。
【0070】
上述のトナー収容容器取付機構によれば、トナー収容容器の位置決めをして画像形成装置100本体にセットしなくても、回転させることにより容易に情報記録素子43を情報受信手段53と対向する位置に配置することができる。
つまり、ユーザーがトナー収容容器38を画像形成装置100に装着する際に、情報記録素子43の位置を全く気にすることなく装着可能であり、装着後は情報記録素子43の情報のやり取りが可能となる最適な位置に配設される。
また、トナー収容容器38のトナーを排出する動作に影響されることなく、常に情報記録素子43を情報読み取りが可能な最適な位置に維持することができる。
【符号の説明】
【0071】
38 トナー収容容器
40 ホルダ部材
41 容器ホルダ
42 情報記録素子ホルダ
43 情報記録素子
44 凸状部
45 遮蔽部材
50 ガイド部材
51 U字溝部
52 壁部
53 情報受信手段
55 情報受信手段保持部材
61 磁性部材(ホルダ部材)
62 磁性部材(ガイド部材)
63 磁性部材(ホルダ部材)
64 磁性部材(情報受信手段保持部材)
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【文献】特開2017-78785号公報
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