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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】クリーニング方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H01L21/302 101H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020171095
(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2022062903
(43)【公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】永山 晃
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晋哉
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0201945(US,A1)
【文献】特表2013-512564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板処理装置のクリーニング方法であって
基板を載置可能な静電チャックの載置部を覆う小径部と、前記載置部の外周に配置されるエッジリングと離間して配置され前記小径部よりも大きい径を有する大径部と、前記小径部上に配置され、前記小径部と前記大径部との間に配置され、前記小径部と前記大径部とを接続する中間部と、を有する保護部材を前記載置部に載置する工程と、
クリーニングガスを供給して、前記載置部と前記エッジリングとの間に堆積する副生成物を除去する工程と、を有し、
前記大径部は、前記中間部上に配置され、
前記小径部は、前記載置部の上面と同一径または前記載置部の上面よりも小さい径を有し、
前記中間部は、前記小径部と同一径または前記小径部よりも小さい径を有し、かつ、前記大径部よりも小さい径を有し、
前記載置部と前記エッジリングとの間の隙間の上方の前記大径部の下面は、前記載置部の上面よりも高く配置されている、
クリーニング方法。
【請求項2】
前記クリーニングガスを供給する工程は、前記クリーニングガスのプラズマを生成することを含む
請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項3】
前記大径部は、前記載置部よりも大きいを有する、
請求項1または請求項に記載のクリーニング方法。
【請求項4】
前記保護部材は、シリコン、炭化ケイ素、アルミナ、サファイアのうち少なくとも1つで形成される、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項5】
前記載置部と前記エッジリングとの間の前記隙間の上方の前記大径部の下面は、前記載置部の上面から前記小径部の厚み以上の距離で離れて配置されている、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項6】
前記隙間は、前記載置部の側壁と前記エッジリングの内側側壁との間にある、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項7】
前記隙間が前記小径部と前記大径部とによって塞がれないように、前記載置部と前記エッジリングとの間の前記隙間の上方の前記大径部の下面は、前記載置部の上面よりも高く配置される、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項8】
前記小径部、前記中間部及び前記大径部が一体に形成されている、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項9】
前記中間部は、複数の柱状部材を含む、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項10】
保護部材とクリーニングガス供給部とを備える基板処理装置であって、
前記保護部材は、
前記基板処理装置に設けられた静電チャックの載置部を覆うように構成され、前記基板処理装置をクリーニングする際に前記載置部に載置される小径部と、
前記載置部の外周に配置されるエッジリングと離間して配置され前記小径部よりも大きい径を有する大径部と、
前記小径部上に配置され、前記小径部と前記大径部との間に配置され、前記小径部と前記大径部とを接続する中間部と、を有し、
前記大径部は、前記中間部上に配置され、
前記小径部は、前記載置部の上面と同一径または前記載置部の上面よりも小さい径を有し、
前記中間部は、前記小径部と同一径または前記小径部よりも小さい径を有し、かつ、前記大径部よりも小さい径を有し、
前記載置部と前記エッジリングとの間の隙間の上方の前記大径部の下面は、前記載置部の上面よりも高く配置されている、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クリーニング方法及び保護部材に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置において、基板にエッチング処理を施した際、副生成物が生成される。生成された副生成物は、処理容器内に堆積する。このため、エッチング処理により処理容器をクリーニングするクリーニング方法が知られている。
【0003】
特許文献1には、クリーニングプロセスを実施して、処理容器内の各部材から副生成物を取り除くプラズマクリーニング方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-140944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一の側面では、本開示は、基板を載置する載置部周辺に堆積した副生成物を除去するクリーニング方法及び基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板処理装置のクリーニング方法であって、基板を載置可能な静電チャックの載置部を覆う小径部と、前記載置部の外周に配置されるエッジリングと離間して配置され前記小径部よりも大きい径を有する大径部と、前記小径部上に配置され、前記小径部と前記大径部との間に配置され、前記小径部と前記大径部とを接続する中間部と、を有する保護部材を前記載置部に載置する工程と、クリーニングガスを供給して、前記載置部と前記エッジリングとの間に堆積する副生成物を除去する工程と、を有し、前記大径部は、前記中間部上に配置され、前記小径部は、前記載置部の上面と同一径または前記載置部の上面よりも小さい径を有し、前記中間部は、前記小径部と同一径または前記小径部よりも小さい径を有し、かつ、前記大径部よりも小さい径を有し、前記載置部と前記エッジリングとの間の隙間の上方の前記大径部の下面は、前記載置部の上面よりも高く配置されている、クリーニング方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、基板を載置する載置部周辺に堆積した副生成物を除去するクリーニング方法及び基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るプラズマ処理装置の一例を示す断面模式図。
図2】基板にエッチング処理を施した後のプラズマ処理装置の載置台上部の部分拡大断面図の一例。
図3】クリーニングを行う際のプラズマ処理装置の載置台上部の部分拡大断面図の一例。
図4】他の保護部材の形状を説明する断面図の一例。
図5】更に他の保護部材の形状を説明する断面図の一例。
図6】第1参考例におけるクリーニングを行う際のプラズマ処理装置の載置台上部の部分拡大断面図。
図7】第2参考例におけるクリーニングを行う際のプラズマ処理装置の載置台上部の部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[プラズマ処理装置]
一実施形態に係るプラズマ処理装置1について、図1を参照して説明する。図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置1の一例を示す断面模式図である。一実施形態に係るプラズマ処理装置1は、容量結合型の平行平板処理装置であり、チャンバ10を有する。チャンバ10は、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなる円筒状の容器であり、接地されている。
【0011】
チャンバ10の底部には、セラミックス等からなる絶縁板12を介して円柱状の支持台14が配置され、この支持台14の上に例えば載置台16が設けられている。載置台16は、静電チャック20と基台16aとを有し、静電チャック20の上面にウェハWを載置する。ウェハWの周囲には、例えばシリコンからなる環状のエッジリング24が配置されている。エッジリング24は、フォーカスリングとも呼ぶ。エッジリング24は、載置台16の周囲に配置される外周部材の一例である。基台16a及び支持台14の周囲には、例えば石英からなる環状のインシュレータリング26が設けられている。静電チャック20の中央側の内部では、導電膜からなる第1の電極20aが絶縁層20bに挟まれている。第1の電極20aは電源22と接続する。電源22から第1の電極20aに印加した電圧によって、静電チャック20の表面と被吸着物であるウェハWとの間に電位差が生じ、静電チャック20のウェハ載置面に被吸着物であるウェハWを吸着する。また、静電チャック20の外周側の内部では、導電膜からなる第2の電極20cが絶縁層20bに挟まれている。第2の電極20cは電源23と接続する。電源23から第2の電極20cに印加した電圧によって、静電チャック20の表面と被吸着物であるエッジリング24との間に電位差が生じ、静電チャック20のエッジリング載置面に被吸着物であるエッジリング24を吸着する。なお、静電チャック20は、ヒータを有し、これにより温度を制御してもよい。
【0012】
支持台14の内部では、例えばリング状又は渦巻状の冷媒室28が形成されている。チラーユニット(図示せず)から供給される所定温度の冷媒、例えば冷却水が、配管30a、冷媒室28、配管30bを通り、チラーユニットに戻される。冷媒がかかる経路を循環することにより、冷媒の温度によってウェハWの温度を制御できる。さらに、伝熱ガス供給機構(図示せず)から供給される伝熱ガス、例えばHeガスが、ガス供給ライン32を介して静電チャック20の表面とウェハWの裏面とのすき間に供給される。この伝熱ガスによって、静電チャック20の表面とウェハWの裏面の間での熱伝達係数が上がり、冷媒の温度によるウェハWの温度の制御がより効果的になる。また、静電チャック20にヒータを有する場合、ヒータによる加熱と冷媒による冷却によって、ウェハWの温度を応答性が高く、且つ精度の高い制御が可能となる。また、伝熱ガス供給機構(図示せず)から供給される伝熱ガス、例えばHeガスが、ガス供給ライン(図示せず)を介して静電チャック20の表面とエッジリング24の裏面とのすき間にも供給される構成であってもよい。また、静電チャック20の表面と被吸着物(ウェハW、エッジリング24)の裏面とのすき間に供給されるHeガスの圧力を制御することで、静電チャック20と被吸着物(ウェハW、エッジリング24)との伝熱特性を制御し、被吸着物(ウェハW、エッジリング24)の温度を制御してもよい。
【0013】
上部電極34は、載置台16に対向してチャンバ10の天井部に設けられる。上部電極34と載置台16の間はプラズマ処理空間となる。上部電極34は、絶縁性の遮蔽部材42を介してチャンバ10の天井部の開口を閉塞する。上部電極34は、電極板36と電極支持体38とを有する。電極板36は、載置台16との対向面に形成された多数のガス吐出孔37を有し、シリコンやSiC等のシリコン含有物から形成される。電極支持体38は、電極板36を着脱自在に支持し、導電性材料、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムから形成される。電極支持体38の内部では、多数のガス通流孔41a、41bがガス拡散室40a、40bから下方に延び、ガス吐出孔37に連通している。
【0014】
ガス導入口62は、ガス供給管64を介して処理ガス供給源66に接続する。ガス供給管64には、処理ガス供給源66が配置された上流側から順にマスフローコントローラ(MFC)68および開閉バルブ70が設けられている。処理ガスは、処理ガス供給源66から供給され、マスフローコントローラ68および開閉バルブ70により流量及び開閉を制御され、ガス供給管64を介してガス拡散室40a、40b、ガス通流孔41a、41bを通りガス吐出孔37からシャワー状に吐出される。
【0015】
プラズマ処理装置1は、第1の高周波電源90及び第2の高周波電源48を有する。第1の高周波電源90は、第1の高周波電力(以下、「HFパワー」ともいう。)を発生する電源である。第1の高周波電力は、プラズマの生成に適した周波数を有する。第1の高周波電力の周波数は、例えば27MHz~100MHzの範囲内の周波数である。第1の高周波電源90は、整合器88及び給電ライン89を介して基台16aに接続されている。整合器88は、第1の高周波電源90の出力インピーダンスと負荷側(基台16a側)のインピーダンスを整合させるための回路を有する。なお、第1の高周波電源90は、整合器88を介して上部電極34に接続されていてもよい。
【0016】
第2の高周波電源48は、第2の高周波電力(以下、「LFパワー」ともいう。)を発生する電源である。第2の高周波電力は、第1の高周波電力の周波数よりも低い周波数を有する。第1の高周波電力と共に第2の高周波電力が用いられる場合には、第2の高周波電力はウェハWにイオンを引き込むためのバイアス用の高周波電力として用いられる。第2の高周波電力の周波数は、例えば400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数である。第2の高周波電源48は、整合器46及び給電ライン47を介して基台16aに接続されている。整合器46は、第2の高周波電源48の出力インピーダンスと負荷側(基台16a側)のインピーダンスを整合させるための回路を有する。なお、ウェハWにイオンを引き込むためのバイアス用の電力として、DCパルスを用いてもよい。この場合、プラズマ処理装置1は、第2の高周波電源48に替えて、DCパルス電源(図示せず)を有する。DCパルス電源は、給電ライン47を介して基台16aに接続されている。また、ウェハWにイオンを引き込むためのバイアス用の電力として、DCパルス(矩形波)や三角波等の複数の入力電圧を合成した合成波を用いてもよい。この場合、プラズマ処理装置1は、第2の高周波電源48に替えて、合成波を出力する電源(図示せず)を有する。合成波を出力する電源は、給電ライン47を介して基台16aに接続されている。
【0017】
なお、第1の高周波電力を用いずに、第2の高周波電力を用いて、即ち、単一の高周波電力のみを用いてプラズマを生成してもよい。この場合には、第2の高周波電力の周波数は、13.56MHzよりも大きな周波数、例えば40MHzであってもよい。プラズマ処理装置1は、第1の高周波電源90及び整合器88を備えなくてもよい。かかる構成により、載置台16は下部電極としても機能する。また、上部電極34は、ガスを供給するシャワーヘッドとしても機能する。
【0018】
第2の可変電源50は上部電極34と接続し、直流電圧を上部電極34に印加する。第1の可変電源55はエッジリング24と接続し、直流電圧をエッジリング24に印加する。第1の可変電源55からエッジリング24の消耗量に応じた所定の直流電圧をエッジリング24に印加することで、エッジリング24上のシースの厚さを制御する。これにより、エッジリング24上のシースとウェハW上のシースの間の段差をなくし、ウェハWのエッジ部においてイオンの照射角度が斜めになることを防止して、ウェハW上に形成したパターンの断面形状が斜めになるチルティングの発生を回避する。
【0019】
排気装置84は、排気管82と接続する。排気装置84は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有し、チャンバ10の底部に形成された排気口80から排気管82を通して排気を行い、チャンバ10内を所望の真空度に減圧する。また、排気装置84は、図示しないチャンバ10内の圧力を計測する圧力計の値を用いながら、チャンバ10内の圧力を一定に制御する。搬入出口85はチャンバ10の側壁に設けられている。ゲートバルブ86の開閉により搬入出口85からウェハWを搬入出する。
【0020】
バッフル板83は、インシュレータリング26とチャンバ10の側壁の間に環状に設けられる。バッフル板83は、複数の貫通孔を有し、アルミニウムで形成され、その表面はY等のセラミックスで被覆されている。
【0021】
かかる構成のプラズマ処理装置1においてプラズマエッチング処理等の所定のプラズマ処理を行う際には、ゲートバルブ86を開き、搬入出口85を介してウェハWをチャンバ10内に搬入し、静電チャック20のウェハ載置面の上に載置し、ゲートバルブ86を閉じる。また、静電チャック20のエッジリング載置面には、エッジリング24が載置されている。処理ガスをチャンバ10の内部へ供給し、チャンバ10内を排気装置84により排気する。
【0022】
第1の高周波電力及び第2の高周波電力を載置台16に印加する。そして、電源22によって、静電チャック20の第1の電極20aに電圧を印加してウェハWを静電チャック20のウェハ載置面に吸着させる。また、電源23によって、静電チャック20の第2の電極20cに電圧を印加してエッジリング24を静電チャック20のエッジリング載置面に吸着させる。
【0023】
プラズマ処理空間に生成されたプラズマ中のラジカルやイオンによってウェハWの被処理面にエッチング等のプラズマ処理が施される。
【0024】
プラズマ処理装置1には、装置全体の動作を制御する制御部200が設けられている。制御部200に設けられたCPUは、ROM及びRAM等のメモリに格納されたレシピに従って、エッチング等の所望のプラズマ処理を実行する。レシピには、プロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、圧力(ガスの排気)、第1の高周波電力及び第2の高周波電力や電圧、各種ガス流量が設定されてもよい。また、レシピには、チャンバ内温度(上部電極温度、チャンバの側壁温度、ウェハW温度、静電チャック温度等)、チラーから出力される冷媒の温度などが設定されてもよい。なお、これらのプログラムや処理条件を示すレシピは、ハードディスクや半導体メモリに記憶されてもよい。また、レシピは、CD-ROM、DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で所定位置にセットされ、読み出されるようにしてもよい。
【0025】
次に、プラズマ処理装置1の動作の一例について説明する。
【0026】
まず、プラズマ処理装置1は、ウェハWにエッチング処理を施すエッチング処理工程を実行する。ここでは、載置台16にウェハWが載置され、静電チャック20によって吸着される。チャンバ10内には、排気装置84によって真空雰囲気に減圧される。処理ガス供給源66からチャンバ10内にエッチングガスが供給される。また、第1の高周波電源90及び第2の高周波電源48は、基台16aに高周波電力を印加して、プラズマを生成する。これにより、ウェハWは、エッチング処理が施される。
【0027】
図2は、ウェハWにエッチング処理を施した後のプラズマ処理装置1の載置台上部の部分拡大断面図の一例である。
【0028】
静電チャック20の中央部には、外周部よりも突出した基板載置部20dが形成されている。静電チャック20の外周部に円環状のエッジリング24が配置される。ウェハWは、基板載置部20dに載置され吸着される。プラズマ処理装置1において、ウェハWにエッチング処理を施すことにより副生成物が生成される。生成された副生成物は、基板載置部20dの側壁とエッジリング24の内側の側壁との間に副生成物600として堆積される。
【0029】
基板載置部20dの側壁とエッジリング24の内側の側壁との間に副生成物600が堆積されることで、例えば伝熱ガス(Heガス)の流れに影響を与えるおそれがある。これにより、ウェハWのエッチング処理の特性が変化するおそれがある。
【0030】
プラズマ処理装置1は、チャンバ10内に堆積した副生成物をクリーニングする。図3は、クリーニングを行う際のプラズマ処理装置1の載置台上部の部分拡大断面図の一例である。
【0031】
まず、基板載置部20dに保護部材500が載置され、静電チャック20によって吸着される。ここで、保護部材500は、小径部501と、大径部502と、中間部503と、を有する。
【0032】
小径部501は、保護部材500を基板載置部20dに載置して吸着させた際、基板載置部20dと接して、基板載置部20dの上面を覆う部材である。小径部501は、基板載置部20dと同径または基板載置部20dよりも僅かに小径の円板形状に形成される。また、小径部501は、大径部502よりも小径に形成される。また、小径部501は、ウェハW(図2参照)よりも小径に形成される。
【0033】
保護部材500を基板載置部20dに載置して吸着させた際、小径部501は、基板載置部20dの上面を覆う。一方、副生成物600が堆積している基板載置部20dの側壁とエッジリング24の内側の側壁との間の上方は、小径部501で塞がれないようになっている。
【0034】
大径部502は、保護部材500を基板載置部20dに載置して吸着させた際、基板載置部20dの上面から離間して配置される部材である。大径部502は、小径部501よりも拡径した円板形状に形成される。また、大径部502は、基板載置部20dよりも大径に形成される。また、大径部502は、ウェハW(図2参照)と同径に形成されてもよい。
【0035】
保護部材500を基板載置部20dに載置して吸着させた際、大径部502は、副生成物600が堆積する基板載置部20dの側壁とエッジリング24の内側の側壁との間の上方に配置される。これにより、大径部502とエッジリング24とが一定の距離を保って対向する対向構造700を有している。
【0036】
中間部503は、小径部501と大径部502との間に設けられ、小径部501と大径部502とを接続する。中間部503は、小径部501よりも小径の円板形状に形成される。
【0037】
保護部材500は、直径の異なる3枚の円板(小径部501、中間部503、大径部502)をそれぞれ加工し、それらを接着して作成することができる。このため、保護部材500は、加工及び作成を容易とすることができる。
【0038】
なお、保護部材500の形状は、図3に示す形状に限られるものではない。図4は、他の保護部材510の形状を説明する断面図の一例である。図4に示す保護部材510は、小径部511と、大径部512と、を有する。小径部511は、基板載置部20dの上面を覆う部材であり、基板載置部20dと同径または基板載置部20dよりも僅かに小径の円板形状に形成される。大径部512は、基板載置部20dの上面から離間して配置される部材であり、小径部511よりも拡径した円板形状に形成される。また、大径部512は、基板載置部20dよりも大径に形成される。保護部材500は、肉厚の小径部511及び大径部512を接着して作成することができる。また、保護部材500は、小径部511及び大径部512を一体に形成してもよい。
【0039】
図5は、更に他の保護部材520の形状を説明する断面図の一例である。図5に示す保護部材520は、小径部521と、大径部522と、中間部523と、を有する。小径部521は、基板載置部20dの上面を覆う部材であり、基板載置部20dと同径または基板載置部20dよりも僅かに小径の円板形状に形成される。大径部522は、基板載置部20dの上面から離間して配置される部材であり、小径部521よりも拡径した円板形状に形成される。また、大径部522は、基板載置部20dよりも大径に形成される。中間部523は、小径部521と大径部522との間に設けられ、小径部521と大径部522とを接続する。中間部523は、複数の柱部材を有する。複数の柱部材で小径部521と大径部522を接続することにより、小径部521及び大径部522の反りを抑制することができる。
【0040】
また、保護部材500,510,520(小径部501,511,521、大径部502,512,513、中間部503,523)は、クリーニングガスのプラズマでエッチングされた際に、チャンバ10内を汚さない材料で形成される。例えば、保護部材500,510,520は、シリコンで形成されることが好ましい。また、保護部材500,510,520は、シリコン、炭化ケイ素、アルミナ、サファイアのうち少なくとも1つで形成されてもよい。
【0041】
次に、チャンバ10内のクリーニングが実行される。ここでは、チャンバ10内は、排気装置84によって真空雰囲気に減圧される。処理ガス供給源66からチャンバ10内にクリーニングガスが供給される。また、第1の高周波電源90及び第2の高周波電源48は、基台16aに高周波電力を印加して、プラズマを生成する。これにより、チャンバ10内に堆積した副生成物600は除去(アッシング)される。
【0042】
保護部材500の小径部501は、基板載置部20dの上面を覆う。これにより、プラズマを用いたドライクリーニングにおいて、基板載置部20dの上面(吸着面)がクリーニングガスのプラズマによって劣化することを抑制することができる。
【0043】
また、エッジリング24と大径部502とが一定の距離を保って対向する対向構造700を有している。対向構造700とすることにより、エッジリング24と大径部502との間の空間にプラズマが生成される。これにより、プラズマの密度が向上し、クリーニング時における副生成物600の除去速度が向上する。
【0044】
ここで、参考例に係るクリーニング方法について、図6及び図7を用いて説明する。
【0045】
図6は、第1参考例におけるクリーニングを行う際のプラズマ処理装置の載置台上部の部分拡大断面図である。保護部材550は、基板載置部20dの直径と等しい円板形状に形成される。また、クリーニング時において、保護部材550は、基板載置部20dに載置される。これにより、基板載置部20dの上面(吸着面)を保護することができる。一方、基板載置部20dの側壁とエッジリング24の内側の側壁との間に堆積している副生成物600の除去速度は、向上させることができない。
【0046】
図7は、第2参考例におけるクリーニングを行う際のプラズマ処理装置の載置台上部の部分拡大断面図である。保護部材560は、基板載置部20dの直径よりも大きな円板形状に形成される。また、クリーニング時において、保護部材560は、載置台16の支持ピン29で持ち上げられており、基板載置部20d及びエッジリング24から離間しており、対向構造700を形成する。これにより、基板載置部20dの側壁とエッジリング24の内側の側壁との間に堆積している副生成物600の除去速度を向上させることができる。一方、基板載置部20dの上面(吸着面)がエッチングガスのプラズマによって浸食される。
【0047】
これに対し、図3に示すように、保護部材500を用いたクリーニング方法によれば、基板載置部20dの上面(吸着面)を保護するとともに、基板載置部20dの側壁とエッジリング24の内側の側壁との間に堆積している副生成物600を効率よく除去することができる。
【0048】
以上、プラズマ処理装置1の実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 プラズマ処理装置(基板処理装置)
16 載置台
20 静電チャック
20d 基板載置部
24 エッジリング(環状部材)
500,510,520 保護部材
501,511,521 小径部
502,512,522 大径部
503,523 中間部
600 副生成物
700 対向構造
W ウェハ(基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7