(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】基板搬送装置及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240814BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
(21)【出願番号】P 2021032793
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】李 東偉
(72)【発明者】
【氏名】新藤 健弘
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504784(JP,A)
【文献】特開2008-227505(JP,A)
【文献】特開2013-42112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送室に設けられ、配列されたコイルを有する平面モータと、
前記平面モータ上を移動する搬送ユニットと、
前記コイルの通電を制御する制御部と、を備え、
前記搬送ユニットは、
配列された第1磁石を有し、前記平面モータ上を移動する第1ベースと、
配列された第2磁石を有し、前記平面モータ上を移動し、前記第1ベースと同軸に配置される第2ベースと、
前記第1ベースに対して前記第2ベースを回転させることにより伸縮するアームと、を備える、
基板搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ユニットは、
前記第1ベースと接続される基台と、
前記第2ベースと接続され、前記基台に対し回転可能な駆動アームと、
前記駆動アームの動作に伴って、伸縮する前記アームと、を有する、
請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記搬送ユニットは、
一対の前記アームを有し、
前記駆動アームの動作に伴って、一方の前記アームが伸び、他方の前記アームが縮む、
請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記アームは、基板を保持するピックを有し、
前記制御部は、
前記第1ベース及び前記第2ベースの浮上量を制御して、前記ピックを昇降させる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記搬送ユニットを移動させる際、前記第1ベース及び前記第2ベースの浮上量を制御して、前記第1ベース及び前記第2ベースを傾斜させ、前記ピックを傾斜させる、
請求項4に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
複数の室と、
前記室を連結する搬送室と、
前記搬送室に設けられる、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の基板搬送装置と、
を備える、基板処理システム。
【請求項7】
前記搬送室は、真空雰囲気の真空搬送室である、
請求項6に記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記平面モータは、
前記真空搬送室の壁面を介して、大気雰囲気の空間に配置される、
請求項7に記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記平面モータは、
前記搬送室の床部に配置される第1平面モータと、
前記搬送室の天井部に配置される第2平面モータと、を有し、
前記搬送ユニットは、
前記第1平面モータ上を移動する第1搬送ユニットと、
前記第2平面モータ上を移動する第2搬送ユニットと、
を有する、
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送装置及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の処理室と、処理室と接続する真空搬送室と、を備える基板処理システムが知られている。真空搬送室内には、基板を搬送するための基板搬送装置が設けられている。
【0003】
特許文献1には、真空雰囲気内で被処理物を搬送し、真空処理を施す真空処理装置であって、内部を真空雰囲気に設定可能とされた真空チャンバと、前記真空チャンバ内で移動するとともに、常圧雰囲気に設定可能な気密室が内部に形成された移動体と、前記移動体の上部に設けられ、前記被処理物を支持して搬送する搬送アームと、ケーブル類を収容可能とされ常圧雰囲気とされた収容部が内部に形成されるとともに、前記移動体に一端が接続され、他端が前記真空チャンバに係止され、かつ、前記収容部と前記気密室とが連通され、前記移動体の動きに応じて屈伸するアーム機構とを具備したことを特徴とする真空処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された真空処理装置において、搬送アームを駆動するモータは、常圧雰囲気に設定された移動体の気密室の内部に配置される。このため、気密室と真空チャンバ内とをシールする構成が必要となる。また、搬送基台をチャンバの長手方向に沿って移動させるリニアガイドとボールねじ等の直進機構が設けられている。このため、搬送モジュール内を高真空に保持することが困難であるという課題がある。また、真空チャンバが大型化するという課題がある。
【0006】
本開示の一態様は、基板を搬送する基板搬送装置及び基板処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る基板搬送装置は、搬送室に設けられ、配列されたコイルを有する平面モータと、前記平面モータ上を移動する搬送ユニットと、前記コイルの通電を制御する制御部と、を備え、前記搬送ユニットは、配列された第1磁石を有し、前記平面モータ上を移動する第1ベースと、配列された第2磁石を有し、前記平面モータ上を移動し、前記第1ベースと同軸に配置される第2ベースと、前記第1ベースに対して前記第2ベースを回転させることにより伸縮するアームと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、基板を搬送する基板搬送装置及び基板処理システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る基板処理システムの一例の構成を示す平面図。
【
図2】一実施形態に係る搬送ユニットの一例を示す平面図。
【
図3】一実施形態に係る搬送ユニットの一例を示す平面図。
【
図4】基板搬送機構の駆動原理を説明する斜視図の一例。
【
図6】ウェハの搬送時の基板搬送装置の側面図の一例。
【
図9】基板処理システムの他の一例の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
<基板処理システム100>
一実施形態に係る基板処理システム100の全体構成の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、一実施形態に係る基板処理システム100の一例の構成を示す平面図である。
【0012】
図1に示す基板処理システム100は、クラスタ構造(マルチチャンバタイプ)のシステムである。基板処理システム100は、複数の処理室110、真空搬送室120、ロードロック室130、大気搬送室140及び制御部160を備えている。
【0013】
処理室110は、所定の真空雰囲気に減圧され、その内部にて半導体ウェハW(以下、「ウェハW」ともいう。)に所望の処理(エッチング処理、成膜処理、クリーニング処理、アッシング処理等)を施す。処理室110は、真空搬送室120に隣接して配置される。処理室110と真空搬送室120とは、ゲートバルブ112の開閉により連通する。処理室110は、ウェハWを載置する載置台111を有する。なお、処理室110における処理のための各部の動作は、制御部160によって制御される。
【0014】
真空搬送室120は、ゲートバルブ112,132を介して、複数の室(処理室110、ロードロック室130)と連結され、所定の真空雰囲気に減圧されている。また、真空搬送室120の内部には、ウェハWを搬送する基板搬送装置125(平面モータ10、搬送ユニット20)が設けられている。基板搬送装置125は、ウェハWを保持するピック260A,260B(後述する
図2参照。なお、ピック260A,260Bを区別しない場合、ピック260とも称する。)を有している。基板搬送装置125は、ゲートバルブ112の開閉に応じて、処理室110と真空搬送室120との間でウェハWの搬入及び搬出を行う。また、基板搬送装置125は、ゲートバルブ132の開閉に応じて、ロードロック室130と真空搬送室120との間でウェハWの搬入及び搬出を行う。なお、基板搬送装置125の動作、ゲートバルブ112,132の開閉は、制御部160によって制御される。なお、基板搬送装置125については、
図2から
図4を用いて後述する。
【0015】
ロードロック室130は、真空搬送室120と大気搬送室140との間に設けられている。ロードロック室130は、ウェハWを載置する載置台131を有する。ロードロック室130は、大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えることができるようになっている。ロードロック室130と真空雰囲気の真空搬送室120とは、ゲートバルブ132の開閉により連通する。ロードロック室130と大気雰囲気の大気搬送室140とは、ドアバルブ133の開閉により連通する。なお、ロードロック室130内の真空雰囲気または大気雰囲気の切り替えは、制御部160によって制御される。
【0016】
大気搬送室140は、大気雰囲気となっており、例えば清浄空気のダウンフローが形成されている。また、大気搬送室140の内部には、ウェハWを搬送する搬送装置(図示せず)が設けられている。搬送装置(図示せず)は、ドアバルブ133の開閉に応じて、ロードロック室130と大気搬送室140との間でウェハWの搬入及び搬出を行う。なお、搬送装置(図示せず)の動作、ドアバルブ133の開閉は、制御部160によって制御される。
【0017】
また、大気搬送室140の壁面には、ロードポート150が設けられている。ロードポート150は、ウェハWが収容されたキャリア(図示せず)又は空のキャリアが取り付けられる。キャリアとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)等を用いることができる。
【0018】
搬送装置(図示せず)は、ロードポート150に取り付けられたキャリアに収容されたウェハWを取り出して、ロードロック室130の載置台131に載置することができる。また、搬送装置(図示せず)は、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを取り出して、ロードポート150に取り付けられたキャリアに収容することができる。
【0019】
制御部160は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)を有する。制御部160は、HDDに限らずSSD(Solid State Drive)等の他の記憶領域を有してもよい。HDD、RAM等の記憶領域には、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件が設定されたレシピが格納されている。
【0020】
CPUは、レシピに従って各処理室110におけるウェハWの処理を制御し、ウェハWの搬送を制御する。HDDやRAMには、各処理室110におけるウェハWの処理やウェハWの搬送を実行するためのプログラムが記憶されてもよい。プログラムは、記憶媒体に格納して提供されてもよいし、ネットワークを通じて外部装置から提供されてもよい。
【0021】
次に、基板処理システム100の動作の一例について説明する。ここでは、基板処理システム100の動作の一例として、ロードポート150に取り付けられたキャリアに収容されたウェハWを処理室110で処理を施し、ロードポート150に取り付けられた空のキャリアに収容する動作に沿って説明する。なお、動作の開始時点において、ゲートバルブ112,132、ドアバルブ133は閉じており、ロードロック室130内は大気雰囲気となっている。
【0022】
制御部160は、ドアバルブ133を開ける。制御部160は、大気搬送室140内の搬送装置を制御して、ロードポート150のキャリアからウェハWを取り出し、ロードロック室130の載置台131に載置する。ウェハWがロードロック室130の載置台131に載置され、搬送装置がロードロック室130から退避すると、制御部160は、ドアバルブ133を閉じる。
【0023】
制御部160は、ロードロック室130の排気装置(図示せず)を制御して室内の空気を排気し、ロードロック室130を大気雰囲気から真空雰囲気へと切り替える。
【0024】
次に、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを、処理室110に搬送して、載置台111に載置する。具体的には、制御部160は、ゲートバルブ132を開ける。制御部160は、後述する基板搬送装置125を制御して、予め設定された受渡位置までピック260をロードロック室130に挿入し、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを保持して、真空搬送室120へと搬送する。ピック260がロードロック室130から退避すると、制御部160は、ゲートバルブ132を閉じる。
【0025】
制御部160は、搬送先の処理室110のゲートバルブ112を開ける。制御部160は、基板搬送装置125を制御して、予め設定された受渡位置までピック260を処理室110に挿入し、保持しているウェハWを処理室110の載置台111に載置する。ピック260が処理室110から退避すると、制御部160は、ゲートバルブ112を閉じる。
【0026】
制御部160は、処理室110を制御して、ウェハWに所望の処理を施す。
【0027】
ウェハWの処理が終了すると、処理室110の載置台111に載置されたウェハWを、ロードロック室130に搬送して、載置台131に載置する。具体的には、制御部160は、ゲートバルブ112を開ける。制御部160は、基板搬送装置125を制御して、予め設定された受渡位置までピック260を処理室110に挿入し、処理室110の載置台111に載置されたウェハWを保持して、真空搬送室120へと搬送する。ピック260が処理室110から退避すると、制御部160は、ゲートバルブ112を閉じる。
【0028】
制御部160は、ゲートバルブ132を開ける。制御部160は、基板搬送装置125を制御して、予め設定された受渡位置までピック260をロードロック室130に挿入し、保持しているウェハWをロードロック室130の載置台131に載置する。ピック260がロードロック室130から退避すると、制御部160は、ゲートバルブ132を閉じる。
【0029】
制御部160は、ロードロック室130のカス供給装置(図示せず)を制御して室内に例えば清浄空気を供給し、ロードロック室130を真空雰囲気から大気雰囲気へと切り替える。
【0030】
制御部160は、ドアバルブ133を開ける。制御部160は、搬送装置(図示せず)を制御して、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを取り出し、ロードポート150のキャリアに収容する。ウェハWがロードロック室130の載置台131から取り出され、搬送装置(図示せず)がロードロック室130から退避すると、制御部160は、ドアバルブ133を閉じる。
【0031】
なお、基板処理システム100において、基板搬送装置125は、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを処理室110の載置台111に搬送し、処理済のウェハWを処理室110の載置台111からロードロック室130の載置台131に搬送する構成を例に説明したが、これに限られるものではない。基板搬送装置125は、一の処理室110の載置台111に載置されたウェハWを他の処理室110の載置台111に搬送する構成であってもよい。
【0032】
<基板搬送装置125>
次に、基板搬送装置125について、
図2から
図4を用いて更に説明する。
図2及び
図3は、一実施形態に係る搬送ユニット20の一例を示す平面図である。なお、
図2は、搬送ユニット20の姿勢の一例を示す。
図3は、搬送ユニット20の姿勢の他の一例を示す。
【0033】
基板搬送装置125は、真空搬送室120に配置される平面モータ(リニアユニット)10と、平面モータ10上を移動可能な搬送ユニット20と、を有する。
【0034】
搬送ユニット20は、2つのベース(第1ベース)21及びベース(第2ベース)22(後述する
図4参照)と、基台210と、駆動アーム220と、リンク230A,230B,240A,240B,250A,250Bと、ピック260A,260Bと、を有する。
【0035】
駆動アーム220の一端は、基台210に対し回転自在に接続されている。駆動アーム220の他端とリンク230Aの一端とは、回転自在に接続されている。リンク230Aの他端は、リンク240Aの中央部(基台210とリンク240Aとの関節と、リンク240Aとリンク250Aとの関節との間)に回転自在に接続されている。また、リンク240Aの一端は、基台210に対し回転自在に接続されている。これにより、基台210、駆動アーム220、リンク230A、リンク240Aは、4節リンク機構を形成し、基台210に対して駆動アーム220を回転させることで、基台210に対してリンク240Aを回転させることができるように構成されている。
【0036】
また、リンク240A、リンク250A、ピック260Aは、第1アームを形成する。リンク240Aの一端は、基台210に対し回転自在に接続されている。リンク240Aの他端とリンク250Aの一端とは、回転自在に接続されている。リンク250Aの他端とピック260Aの基部とは、回転自在に接続されている。ピック260Aは、ウェハWを保持する保持部を有する。また、基台210とリンク240Aとの関節、リンク240Aとリンク250Aとの関節、リンク250Aとピック260Aとの関節は、それぞれタイミングベルト(図示せず)で接続されており、1つの関節を動かすことで、他の関節が連動して動くように構成されている。これにより、基台210に対してリンク240Aを回転させることで、第1アームを伸縮(
図2及び
図3参照)させることができるように構成されている。即ち、駆動アーム220の回転動作に伴って、第1アームを伸縮(
図2及び
図3参照)させることができるように構成されている。
【0037】
同様に、駆動アーム220の他端とリンク230Bの一端とは、回転自在に接続されている。リンク230Bの他端は、リンク240Bの中央部(基台210とリンク240Bとの関節と、リンク240Bとリンク250Bとの関節との間)に回転自在に接続されている。また、リンク240Bの一端は、基台210に対し回転自在に接続されている。これにより、基台210、駆動アーム220、リンク230B、リンク240Bは、4節リンク機構を形成し、基台210に対して駆動アーム220を回転させることで、基台210に対してリンク240Bを回転させることができるように構成されている。
【0038】
同様に、リンク240B、リンク250B、ピック260Bは、第2アームを形成する。リンク240Bの一端は、基台210に対し回転自在に接続されている。リンク240Bの他端とリンク250Bの一端とは、回転自在に接続されている。リンク250Bの他端とピック260Bの基部とは、回転自在に接続されている。ピック260Bは、ウェハWを保持する保持部を有する。また、基台210とリンク240Bとの関節、リンク240Bとリンク250Bとの関節、リンク250Bとピック260Bとの関節は、それぞれタイミングベルト(図示せず)で接続されており、1つの関節を動かすことで、他の関節が連動して動くように構成されている。これにより、基台210に対してリンク240Bを回転させることで、第2アームを伸縮させることができるように構成されている。即ち、駆動アーム220の回転動作に伴って、第2アームを伸縮させることができるように構成されている。
【0039】
また、搬送ユニット20は、第1アーム及び第2アームのうち、一方のアームを伸ばした際、他方のアームが縮むように構成されている。
【0040】
次に、平面モータ10及び搬送ユニット20のベース21,22について、
図4を用いて更に説明する。
図4は、基板搬送装置125の駆動原理を説明する斜視図である。
【0041】
平面モータ10は、複数のコイル10aが配列されている。コイル10aは、電流が供給されることにより、磁場を発生する。制御部160(
図1参照)は、各コイル10aに通電する電流値を個別に制御可能に構成されている。
【0042】
ベース21は、例えば円環形状に形成される。また、ベース21は、基台210(
図2,3参照)と接続される。また、ベース21は、複数の永久磁石(第1磁石)21aが配列されている。コイル10aが生成する磁場によって、ベース21は、平面モータ10上で磁気浮上する。また、コイル10aが生成する磁場によって、ベース21は、平面モータ10上を移動、回転する。
【0043】
ベース22は、例えば円柱形状に形成され、円環形状のベース21の内側に配置される。また、ベース22は、ベース21と同軸に配置され、ベース21に対し回転自在に配置されている。また、ベース22は、基台210を貫通し、駆動アーム220(
図2,3参照)と接続される。また、ベース22は、複数の永久磁石(第2磁石)22aが配列されている。コイル10aが生成する磁場によって、ベース22は、平面モータ10上で磁気浮上する。また、コイル10aが生成する磁場によって、ベース22は、平面モータ10上を移動、回転する。
【0044】
この様な構成により、制御部160(
図1参照)は、平面モータ10の各コイル10aの電流値を制御することで、ベース21,22の位置、向き、浮上量を制御することができるように構成されている。また、制御部160は、平面モータ10の各コイル10aの電流値を制御することで、ベース21に対し、ベース22を回転させることができるように構成されている。
【0045】
図5は、基板搬送装置125の側面模式図の一例である。なお、ベース21,22は、断面図として示している。また、各関節の回転軸を一点鎖線で示している。
【0046】
平面モータ10は、真空搬送室120の床部121に設けられている。なお、平面モータ10は、真空雰囲気となる真空搬送室120の床壁面を介して大気雰囲気の空間に配置されていてもよい。これにより、コイル10aに通電した際の発熱を大気に放熱することができる。この場合、真空搬送室120の床壁面は、磁場を通す材料で形成されている。
【0047】
ここで、ベース21は、基台210と接続されている。また、ベース22は、駆動アーム220と接続されている。
【0048】
制御部160(
図1参照)は、ベース21,22の位置、向き、浮上量を制御することにより、搬送ユニット20を平面モータ10上で移動及び回転させることができる。即ち、ベース21,22を同方向かつ同回転速度で回転させることにより、搬送ユニット20を旋回動作させることができる。また、ベース21,22を同方向かつ同速度で移動させることにより、搬送ユニット20を移動させることができる。
【0049】
また、制御部160(
図1参照)は、ベース21,22の位置、向き、浮上量を制御することにより、ベース21に対してベース22を回転させる、換言すれば、基台210に対して駆動アーム220を回転させることができる。これにより、第1アーム及び第2アームを伸縮させることができる。なお、第1アーム及び第2アームの伸縮量は、ベース21に対するベース22の相対的な回転で制御する。また、第1アーム及び第2アームが伸びる向きは、基台210の向き(ベース21,22を同方向かつ同回転速度で回転)で制御する。
【0050】
また、制御部160(
図1参照)は、ベース21,22の浮上量を制御することにより、搬送ユニット20を上下動させることができる、換言すれば、ピック260を上下動させることができる。これにより、例えば、ピック260に保持したウェハWを載置台111に受け渡す動作、ピック260で載置台111からウェハWを受け取る動作、等を行うことができる。
【0051】
また、真空搬送室120内には、複数の搬送ユニット20が設けられていてもよい。この場合、ピック260にウェハWを保持した搬送ユニット20を下降させる、及び/又は、ピック260でウェハWを受け取る搬送ユニット20を上昇させることにより、搬送ユニット20間でウェハWの受け渡しをすることができる。
【0052】
図6は、ウェハWの搬送時の基板搬送装置125の側面図の一例である。
図6の白抜き矢印に示すように、搬送ユニット20の移動方向の前後で浮上量を制御して、搬送ユニット20を傾斜させて移動させてもよい。例えば、加速時において、搬送ユニット20の移動方向の前側の浮上量を後側の浮上量よりも小さくしてもよい。これにより、搬送ユニット20は前傾した姿勢とすることができ、ピック260も前傾した姿勢とすることができる。
【0053】
ここで、ウェハWの搬送時の慣性力をFとし、搬送ユニット20の傾斜角をθとする。前傾した搬送ユニット20において、ウェハWの搬送時の慣性力Fは、ピック260の載置面に対して垂直な成分(Fsinθ)と、ピック260の載置面に対して水平な成分(Fcosθ)と、を持たせることができる。これにより、ウェハWを水平に運ぶ搬送ユニット20(
図5参照)と比較して、ピック260の載置面に対して水平な成分を低減することができる。換言すれば、搬送中のウェハWのずれを防止しつつ、搬送ユニット20をより高速に移動させることができる。
【0054】
なお、加速時は搬送ユニット20が前傾するものとして説明したが、同様に、減速時は搬送ユニット20が後傾してもよい。
【0055】
以上、本実施形態に係る基板搬送装置125によれば、搬送ユニット20の動作(搬送ユニット20の移動、回転、傾斜、及び、アームの伸縮)を制御することができる。これにより、ウェハWを搬送することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る基板搬送装置125によれば、第1アーム及び第2アームを駆動するための回転モータ、真空搬送室120内に配置され回転モータを大気雰囲気で収容する気密室、気密室のシール部材を不要とすることができる。これにより、真空搬送室120内に配置される回転モータ等が不要となり、搬送ユニット20の高さを低くすることができる。また、真空雰囲気の真空搬送室120内と大気雰囲気の空間(例えば、気密室)とを区画する壁面を貫通する回転モータの回転軸部等をなくすことができるので、真空搬送室120内の真空度を向上させることができる。
【0057】
また、回転モータと接続するケーブルと収容するダクトアームも削減することができる。これにより、真空搬送室120をの高さを低くすることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る基板搬送装置125によれば、搬送ユニットを真空搬送室120の長手方向に移動させる直進機構(例えば、リニアガイド、ボールねじ)を削減することができる。これにより、真空雰囲気に露出するリニアガイド、ボールねじ等から発生するパーティクル(例えば、グリス、摩耗粉等)を防止することができる。また、本実施形態に係る基板搬送装置125によれば、搬送ユニット20は、磁気浮上して移動することができるので、パーティクルの発生をさらに削減することができる。
【0059】
真空搬送室120の床部121に平面モータ10が設けられ、搬送ユニット20は、床部121上を移動する構成を例に説明したが、これに限られるものではない。
図7は、基板搬送装置125の他の一例の側面図である。
図8は、基板搬送装置125の他の一例の平面図である。
【0060】
図7に示すように、真空搬送室120は、床部121に平面モータ(第1平面モータ)10Aが設けられ、床部121上を搬送ユニット(第1搬送ユニット)20Aが移動する。また、真空搬送室120は、天井部122に平面モータ(第2平面モータ)10Bが設けられ、天井部122に沿って搬送ユニット(第2搬送ユニット)20Bが移動する。なお、搬送ユニット20Bは、天井部122の平面モータ10Bによって磁気で吸引され、天井部122との間に間隔を有して浮上している。
【0061】
これにより、
図8に示すように、床部121の搬送ユニット20Aの一方のピックを処理室110内に挿入するとともに、天井部122の搬送ユニット20Bの一方のピックを処理室110内に挿入することができる。これにより、2枚のウェハWの受け渡しや受け取りを同時に行うことができる。これにより、ウェハWの搬送時間を削減することができる。
【0062】
なお、搬送ユニット20A,20Bの動作は、これに限られるものではない。例えば、搬送ユニット20A,20Bのうち、一方の搬送ユニットのアームが、載置台111から処理済のウェハWを受け取る動作を行い、他方の搬送ユニットのアームが載置台111に未処理のウェハWを受け渡す動作を行うようにしてもよい。これにより、1回のゲートバルブ112の開放でウェハWの受け取りとウェハWの受け渡しを行うことができるので、ウェハWの搬送時間を削減することができる。
【0063】
図9は、基板処理システムの他の一例の構成を示す平面図である。
図9に示す基板処理システムにおいて、2つの真空搬送室120が連結されている。各真空搬送室120には、4つの処理室110が接続されている。
図9において、破線で示す搬送ユニット20に示すように、搬送ユニット20は、真空搬送室120間を移動することができる。一方の真空搬送室120の平面モータ10上から、他方の真空搬送室120の平面モータ10に移動することができる。これにより、基板搬送装置125は、基板処理システムの多様なレイアウトに対応することができる。例えば、真空搬送室120を後から増設した場合であっても、搬送ユニット20は、増設された真空搬送室120に移動することができ、増設された真空搬送室120と隣接する処理室110にウェハWを搬送することができる。
【0064】
以上、基板処理システム100について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0065】
W ウェハ
10 平面モータ
10a コイル
10A 平面モータ(第1平面モータ)
10B 平面モータ(第2平面モータ)
20 搬送ユニット
20A 搬送ユニット(第1搬送ユニット)
20B 搬送ユニット(第2搬送ユニット)
21 ベース(第1ベース)
22 ベース(第2ベース)
21a 永久磁石(第1磁石)
22a 永久磁石(第2磁石)
100 基板処理システム
110 処理室(複数の室)
111 載置台
120 真空搬送室
125 基板搬送装置
130 ロードロック室(複数の室)
160 制御部
210 基台
220 駆動アーム
230A リンク
230B リンク
240A,250A リンク(アーム、第1アーム)
240B,250B リンク(アーム、第2アーム)
260A ピック(アーム、第1アーム)
260B ピック(アーム、第2アーム)