(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ヒドロハロオレフィン(HFO)含有ポリウレタン(PU)製剤
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240814BHJP
C08G 18/50 20060101ALI20240814BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20240814BHJP
C08G 18/18 20060101ALI20240814BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20240814BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20240814BHJP
C08J 9/14 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
C08G18/00 H
C08G18/50 021
C08G18/48 004
C08G18/18
C08G18/42
C08G18/40 009
C08J9/14 CFF
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022183866
(22)【出願日】2022-11-17
(62)【分割の表示】P 2019541193の分割
【原出願日】2018-01-30
【審査請求日】2022-12-14
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ロルフゼン,クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】グレファー,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】エスラバ,ジュゼップ-ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】エルビンク,マルク
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/105657(WO,A1)
【文献】特表2011-505471(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136769(WO,A1)
【文献】特表2015-529264(JP,A)
【文献】特表2016-531196(JP,A)
【文献】特開2016-155905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
C08G71/00-71/04
C08J 9/00- 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含
むポリオール組成物であって、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて60質量部超の量で前記ポリオール混合物中に存在し、
ポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1
質量部以上40質量部
未満の量で前記ポリオール混合物中に存在し、
前記ヒドロハロオレフィンが、前記ポリオール組成物の総質量に基づいて3~40質量部の量で存在し、
前記ポリエーテルオール(P2)が、100~1000mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールである
ポリオール組成物。
【請求項2】
前記多価アルコールが、スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
前記ヒドロハロオレフィンが、trans-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン(HCFO-1233zd(E))、cis-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン(HCFO-1233zd(Z))、trans-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-ブタ-2-エン(HFO-1336mzz(E))、cis-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-ブタ-2-エン(HFO-1336mzz(Z))、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234ze(E))、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234ze(Z))からなる群から選択される請求項1~2のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
前記ポリオール組成物が、触媒として少なくとも1種の第三級アミンを含む請求項1~3のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて
60質量部超80質量部
以下の量で前記ポリオール混合物中に存在する請求項1~4のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項6】
前記ポリオール混合物(PM)が、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含む請求項1~5のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項7】
前記ポリオール(P3)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する請求項6に記載のポリオール組成物。
【請求項8】
前記組成物が、難燃剤、紫外線安定剤、界面活性剤又は充填剤のうちの少なくとも1種をさらに含む請求項1~7のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項9】
ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて60質量部超の量で前記ポリオール混合物中に存在し、
ポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1
質量部以上40質量部
未満の量で前記ポリオール混合物中に存在し、
前記ポリエーテルオール(P2)が、100~1000mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールである
ポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載のポリオール組成物と、少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応物である、ポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(hydrohaloolefin)(HFO)を含むポリオール組成物を対象にする。さらに、本発明は、前記ポリオール組成物を用いるポリウレタンフォーム(foam)を調製する方法、及び前記方法によって得られる、又は得られうるポリウレタンフォームを対象にする。
【背景技術】
【0002】
当技術分野においては、発泡剤、触媒、界面活性剤及び任意に他の材料の存在下で、ポリイソシアネートをポリオールと反応させることによって、硬質ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォームを製造することが知られている。
【0003】
低密度、硬質ポリウレタン又はイソシアヌレートフォームとして知られるフォームの種類は、屋根システム、建築用パネル、建築用断熱材、冷蔵庫緒及び冷凍庫を含む多種多様な絶縁材用途において有用性がある。硬質ポリウレタンフォームの大規模な商業的な受け入れにおける重要な要因は、それらが良好な特性のバランスを提供することが可能なことである。硬質ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォームは、かなり低い密度で、極めて優れた断熱性、優れた耐火性、及び優れた構造特性を提供することが知られている。前記フォーム産業は、それらの加工条件における使用の容易さから、液体フルオロカーボン発泡剤を歴史的に使用している。フルオロカーボンは、それらの揮発性のために発泡剤の機能を果たすだけでなく、前記硬質フォームの独立気泡(closed cell)構造中に封入されるか、又は同伴され、前記硬質ウレタンフォームの低い熱伝導率特性の主要な要因である。
【0004】
発泡剤として、クロロフルオロカーボン及びヒドロクロロフルオロカーボンの使用を制限する環境法により、炭化水素は、硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造における実行可能な代替発泡剤として使用される場合が多い。炭化水素は、容易に入手可能であり、クロロフルオロカーボン及びヒドロクロロフルオロカーボンの費用効率の高い代替品を提供する。
【0005】
炭化水素の非極性疎水性特性により、それらは、硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを製造するために使用される多くのポリオール中に、部分的にしか溶解しない。炭化水素発泡剤の低い溶解度の結果として、前記発泡剤は、通常、混合ヘッド(mixing head)を介して前記ポリオールを分注する直前に、前記ポリオールに添加される必要がある。炭化水素-ポリオール混合物の限られた保存可能期間(shelf life)が、後に使用するためのバッチを保存する能力を制限している。
【0006】
これらの混合物の別の問題は、それらのプロセス相の安定性が制限される可能性、又は異なる組成物の層への分離に対する抵抗性が制限される可能性である。前記プロセス中に相分離が生じる場合、前記炭化水素発泡剤は、混合物の上部に上昇し、気化する傾向があり、これにより、前記炭化水素濃度が爆発限界に達するという潜在的な安全上の危険をもたらす。
【0007】
前記プロセス中の相分離は、結果として得られるポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームにおける非均一で、一様でない気泡構造(cell structure)を引き起こす場合が多い。そのような非均一な気泡構造は、熱伝導率又は断熱値(insulation value)等のフォーム製品の特性における変動を引き起こし得る。
【0008】
好ましい発泡剤は、低い地球温暖化係数(global warming potential)を有する。これらの中には、ヒドロハロオレフィンがある。前記製造方法が、US7,230,146及びUS7,189,884、並びにUS6,844,475及びUS6,403,847に開示されている。
【0009】
多くの用途において、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム用の成分を事前に混合された製剤(formulation)で提供することが便利である。最も典型的には、前記フォーム製剤は、2種の成分に事前に混合されている。前記ポリイソシアネート及び任意のイソシアネート相溶性原材料が、一般に「A」成分と称される第一成分を構成する。ポリオール又はポリオールの混合物、界面活性剤、触媒、発泡剤、並びに他のイソシアネート反応性及び非反応性成分が、一般に「B」成分と称される第二成分を構成する。したがって、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームは、少量の調製のためには手による混合(hand mix)、及び好ましくは機械混合技術によって、A側成分及びB側成分を一緒にして、ブロック、スラブ、薄板(laminate)、現場打ち(pour-in-place)パネル及び他の製品、吹き付けフォーム(spray applied foam)、フロス(forth)等を形成することによって容易に調製される。任意に、難燃剤、着色剤、補助発泡剤、及び他のポリオール等の他の材料が、前記混合ヘッド、又は塗布部位に添加され得る。しかしながら、最も便利なことには、それらが全て、B成分1種に組み込まれていることである。
【0010】
2成分系、特にHFO-1234ze及びHCFO-1233zdを含む特定のヒドロハロオレフィンを使用する系の欠点は、B側組成物の保存可能期間である。通常、フォームが、A側成分及びB側成分を一緒にすることによって製造される場合、良好なフォームが得られる。しかしながら、前記ポリオールプレミックス(polyol premix)組成物が、ポリイソシアネートとの処理の前に時効した(age)場合、前記フォームは、低品質であり、前記フォームの形成中に崩壊することさえあり得る。
【0011】
前記問題の原因は、前記発泡剤の部分的な分解をもたらす、特定のアミン触媒とHFO-1234ze及びHCFO-1233zdを含む特定のヒドロハロオレフィンとの反応であることが見出されている。WO2009/048807A2においては、前記発泡剤の分解に続いて、存在する場合、高分子シリコーン界面活性剤の分子量が、有害に変化され、不十分なフォーム構造を引き起こすことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】US7,230,146
【文献】US7,189,884
【文献】US6,844,475
【文献】US6,403,847
【文献】WO2009/048807A2
【文献】US4,868,224
【文献】US3,401,190
【文献】US3,454,606
【文献】US3,277,138
【文献】US3,492,330
【文献】US3,001,973
【文献】US3,394,164
【文献】US3,124,605
【文献】US3,201,372
【非特許文献】
【0013】
【文献】「Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry」A21巻、VCH,Weinheim、第4版、1992年、665~715頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ポリウレタンを調製するための多数の方法が、最先端技術において存在しているにもかかわらず、良好な貯蔵安定性を有する硬質ポリウレタンフォームを調製するためのポリオール組成物に対する必要性が依然として存在する。
【0015】
本発明の目的は、良好な貯蔵安定性を有するヒドロハロオレフィンを含むポリウレタンフォームの調製のためのポリオール組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、この目的は、
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物によって解決される。
【0017】
驚くべきことに、ジアミンに基づくポリエーテルオールの存在下で、反応性アミン触媒の存在によるHFOの分解が、ジアミンに基づくポリエーテルオールを含まないポリオール組成物と比較して有意に低減されることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に従うポリオール組成物は、ポリオール混合物(PM)及び発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)を含む。
【0019】
前記発泡剤成分は、ヒドロハロオレフィンを含むが、任意に、炭化水素、ペンタン、水、ジメトキシメタン、ギ酸、ギ酸メチル、又はそれらの組み合わせ等のさらなる発泡剤含み得る。
【0020】
前記ヒドロハロオレフィンは、2~5個、好ましくは3~4個の炭素原子、及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有するフルオロアルケン又はクロロアルケン等の少なくとも1種のハロアルケンを、好ましくは含む。適切なヒドロハロオレフィンは、トリフルオロプロペン、(HFO-1234)等のテトラフルオロプロペン、(HFO-1225)等のペンタフルオロプロペン、(HFO-1233)等のクロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン、及びこれらの組み合せを含む。本発明の化合物は、不飽和末端炭素が1個以下のF又はCl置換基を有するテトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、及びクロロトリフルオロプロペン化合物であることがより好ましい。1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)、1,1,1-トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロブタ-2-エン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yez)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン又はそれらの組み合わせ、及びこれらの任意の全ての構造異性体、幾何異性体、又は立体異性体が含まれる。好ましくは、前記ヒドロハロオレフィンは、trans-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン(HCFO-1233zd(E))、cis-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン(HCFO-1233zd(Z))、trans-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mzz(E ))、cis-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-ブタ-2-エン(HFO-1336mzz(Z))、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO -1234ze(E))、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234ze(Z))、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、前記ヒドロハロオレフィンが、trans-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン(HCFO-1233zd(E))、cis-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン(HCFO-1233zd(Z))、trans-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mzz(E ))、cis-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-ブタ-2-エン(HFO-1336mzz(Z))、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO -1234ze(E))、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234ze(Z))から成る群から選択される、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0022】
本発明によれば、前記ポリオール混合物(PM)は、多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含む。
【0023】
本発明との関連で、「に基づく」は、所定の反応物に対する反応によって得られる、又は得られうる化合物として理解されるものとする。したがって、「多価アルコールに基づく」は、前記ポリエーテルオールが、多価アルコールの反応、例えば多価アルコールとアルキレンオキシドとの反応によって得られる、又は得られうることを意味する。
【0024】
本発明によれば、多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)は、任意の適切なポリエーテルオールであり得る。好ましくは、前記多価アルコールは、スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセロール、ソルビトール、グリコール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。スターター(starter)の適切な組み合わせは、スクロース及びグリセロールの混合物、スクロース及びジエチレングリコール(DEG)の混合物、又はスクロース、ペンタエリスリトール及びジエチレングリコール(DEG)の混合物等の2種以上の多価アルコールの混合物も含む。したがって、ポリエーテルオール(P1)は、好ましくはスクロース、ペンタエリスリトール、グルコース及びソルビトールからなる群から選択される多価アルコールに基づく。適切なポリエーテルオールは、当業者に公知であり、任意の適切な方法によって調製され得る。
【0025】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、前記多価アルコールが、スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトールからなる群から選択される、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0026】
ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを形成する方法は、例えば、多価アルコール等の反応性水素を含む開始剤分子(initiator molecule)へのアルキレンオキシドの塩基触媒付加(base catalyzed addition)によって、周知である。
【0027】
有用なアルキレンオキシドの例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、およびそれらの混合物を含む。本発明との関連で、多価アルコールに基づく前記ポリエーテルオール(P1)は、好ましくはポリオキシエチレン若しくはポリオキシプロピレンブロック、又はポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン構造を含む混合ブロックを含む。
【0028】
ポリエーテルオール(P2)は、ジアミンに基づく。適切なジアミンは、当業者に公知である。好ましくは、前記ジアミンは、トルエンジアミン(TDA)、エチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(MDA)、ポリフェニレンポリメチレンポリアミン(PMDA)、及びそれらの混合物から選択される。本発明との関連で、ジアミンに基づく前記ポリエーテルオール(P2)は、好ましくはポリオキシエチレン若しくはポリオキシプロピレンブロック、又はポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン構造を含む混合ブロックを含む。さらに好ましくは、ポリエーテルオール(P2)の前記ポリエーテルブロックは、プロピレンオキシドのブロック、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合ブロックを含む。原則として、全てのTDA異性体を使用することが可能である。TDAを使用する場合、全ての異性体を単独でも、又は互いの任意の混合物でも使用することが可能である。特に、2,4-TDA、2,6-TDA、2,4-TDA及び2,6-TDAの混合物、2,3-TDA、3,4-TDA、3,4-TDA及び2,3-TDAの混合物、並びに言及した全ての異性体の混合物も使用することが可能である。2,3-TDA及び3,4-TDAは、オルト-TDA(ortho-TAD)又は隣接TDA(vicinal TDA)とも称される場合が多い。少なくとも70質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、特に少なくとも85質量%の含有量の隣接TDAを有するTDAを使用することが好ましい。適切な混合物は、例えば、TDIの調製におけるTDAの仕上げ処理(work-up)で得られる。
【0029】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、前記ジアミンが、エチレンジアミン、トルエンジアミン(TDA)、ジアミノジフェニルメタン(MDA)、ポリフェニレンポリメチレンポリアミン(PMDA)、及びそれらの混合物からなる群から選択され、特に前記ジアミンが、エチレンジアミン及びトルエンジアミン(TDA)からなる群から選択される、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0030】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、前記ポリエーテルオール(P2)が、トルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオール(toluene diamine-initiated alkylene oxide polyether polyol)である、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0031】
前記ポリエーテルオール(P2)は、好ましくは100~1000mgKOH/g、特に好ましくは115~900mgKOH/g、特に130~800mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0032】
本発明によれば、前記ポリオール混合物(PM)は、ポリエーテルオール又はポリエステルオール等のさらなるポリオールを含み得る。さらなる実施形態によれば、ポリオール混合物(PM)は、好ましくはポリエステルオール(P3)を含む。したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、前記ポリオール混合物(PM)が少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含む、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0033】
前記ポリオール混合物中の前記ポリオールの比及び量は、広範囲に変化し得る。本発明のポリオール混合物は、前記ポリオール混合物(PM)の質量に基づいて、好ましくは10~80質量部のポリエーテルオール(P1)を含む。一実施形態によれば、前記ポリオール混合物は、前記ポリオール混合物(PM)の質量に基づいて、10~75質量部、さらに好ましくは12~75質量部のポリエーテルオール(P1)を含み得る。他の実施形態によれば、前記ポリオール混合物は、前記ポリオール混合物(PM)の質量に基づいて、50~80質量部、さらに好ましくは60~70質量部のポリエーテルオール(P1)を含み得る。
【0034】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0035】
本発明のポリオール混合物は、前記ポリオール混合物(PM)の質量に基づいて、好ましくは1~70質量部のポリエーテルオール(P2)を含む。さらにいっそう好ましくは、本発明のポリオール混合物は、前記ポリオール混合物(PM)の質量に基づいて、5~50質量部、特に好ましくは8~40質量部のポリエーテルオール(P2)を含む。
【0036】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、ポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0037】
前記ポリオール混合物が、ポリエステルオール(P3)を含む場合、これは、例えば、前記ポリール混合物(PM)の質量に基づいて、1~50質量部の範囲の量で存在し得る。さらにいっそう好ましくは、本発明のポリオール混合物は、前記ポリール混合物(PM)の質量に基づいて、5~45質量部、特に好ましくは10~40質量部のポリエステルオール(P3)を含む。
【0038】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、前記ポリオール(P3)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0039】
使用される発泡剤の量もまた、広範囲に変化し得る。前記ヒドロハロオレフィンの量は、好ましくは、前記ポリオール組成物の総質量に基づいて3~40質量部の範囲であり、さらにいっそう好ましくは、前記ポリオール組成物の総質量に基づいて5~35質量部の範囲であり、前記ポリオール組成物の総質量に基づいて8~30質量部の範囲が特に好ましい。
【0040】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、前記ヒドロハロオレフィンが、前記ポリオール組成物の総質量に基づいて3~40質量部の量で存在する、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0041】
本発明によれば、例えば、1種以上のヒドロハロオレフィンと水との温合物、又は1種以上のヒドロハロオレフィンとペンタンとの混合物等の、適切な発泡剤の混合物もまた、使用され得る。
【0042】
前記ポリオール混合物は、例えば、触媒又は添加剤等のさらなる成分を含み得る。本発明のポリオール混合物は、アミンの付加物(adduct)である触媒をさらに含み得る。
【0043】
好ましくは、前記アミンは、立体障害アミンである。第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンが有用である。有用な第三級アミン触媒は、非限定的に、ジシクロヘキシルメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルイソプロピルベンジルアミン、メチルシクロペンチルベンジルアミン、イソプロピル-sec-ブチル-トリフルオロエチルアミン、ジエチル-(α-フェニルエチル)アミン、トリ-n-プロピルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N ’,N’-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、又はそれらの組み合わせを含む。有用な第二級アミン触媒は、非限定的に、ジシクロヘキシルアミン、t-ブチルイソプロピルアミン、ジ-t-ブチルアミン、シクロヘキシル-t-ブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ-(α-トリフルオロメチルエチル)アミン、ジ-(α-フェニルエチル)アミン、又はそれらの組み合わせを含む。有用な第一級アミン触媒は、非限定的に、トリフェニルメチルアミン及び1,1-ジエチル-n-プロピルアミンを含む。
【0044】
他の有用なアミンは、モルホリン、イミダゾール、エーテル含有化合物等を含む。これらは、ジモルホリノジエチルエーテル、N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、ジモルホリノジメチルエーテル、N,N,N’,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’,N”,N”-ペンタエチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’,N”,N”-ヘキサメチル-1,3,5-トリアジン-1,3,5(2H,4H,6H)-トリプロパンアミン、ジエチレントリアミン、ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル、及びビス(ジメチルアミノプロピル)エーテルを含む。
【0045】
前記ポリオール混合物は、任意に非アミン触媒をさらに含み得る。適切な非アミン触媒は、ビスマス、鉛、スズ、チタニウム、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、ナトリウム、カリウム、若しくはそれらの組み合わせを含む有機金属化合物又は塩を含み得る。これらは、非限定的に、硝酸ビスマス、2-エチルへキサン酸鉛、安息香酸鉛、塩化第二鉄、三塩化アンチモン、グリコール酸アンチモン、カルボン酸の第一スズ塩、カルボン酸の亜鉛塩、カルボン酸のジアルキルスズ塩、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、グリシン塩、第四級アンモニウムカルボキシレート、アルカリ金属カルボン酸塩、及びN-(2-ヒドロキシ-5-ノニルフェノール)メチル-N-メチルグリシネート、2-エチルへキサン酸スズ(II)、ジブチルスズジラウレート、ジメチルジネオデカン酸スズ、又はそれらの組み合わせを含む。前記任意の非アミン触媒が使用される場合、それは通常、前記ポリオール混合物の約0.01質量%~約2.5質量%、好ましくは約0.05質量%~約2.25質量%、さらに好ましくは約0.10質量%~約2.00質量%の量で前記ポリオール混合物中に存在する。これらは通常の量であるものの、金属触媒の量は広範囲に変化し得、前記適切な量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0046】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、前記ポリオール組成物が、触媒として少なくとも1種の第三級アミンを含む、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0047】
前記ポリオール混合物は、さらなる添加剤及び成分を含み得る。適切な成分は、一般に当業者に公知である。前記ポリオール混合物は、例えば、難燃剤、紫外線安定剤等の安定剤、界面活性剤、又は充填剤等の添加剤を含み得る。
【0048】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、前記組成物が、難燃剤、紫外線安定剤、界面活性剤又は充填剤のうちの少なくとも1種をさらに含む、上記で開示されたポリオール組成物を対象にする。
【0049】
用語「フォーム安定剤」はまた、フォーム形成中に均一な(regular)気泡構造の形成を促進する材料のことも称する。言及され得る例は、シロキサン-オキシアルキレンコポリマー及び他のオルガノポリシロキサン等のシリコーン含有フォーム安定剤である。2種以上の安定剤、特にフォーム安定剤の混合物もまた、使用され得る。フォーム安定剤は、前記ポリオール組成物の成分の総質量に基づいて、好ましくは0.5~4質量%、特に好ましくは1~3質量%の量で使用される。
【0050】
添加され得る適切な界面活性物質は、例えば、前記出発材料の均質化を助ける働きをし、且つ前記気泡構造を調節するために適切でもあり得る化合物を含む。言及され得る例は、ヒマシ油硫酸エステル(castor oil sulfate)又は脂肪酸のナトリウム塩、さらには、例えばオレイン酸ジエチルアミン、ステアリン酸ジエチルアミン、リシノール酸ジエチルアミン等の脂肪酸のアミン塩、例えばドデシルベンゼン又はジナフチルメタンジスルホン酸のアルカリ金属又はアンモニウム塩等のスルホン酸の塩及びリシノール酸等の乳化剤、シロキサン-オキシアルキレンコポリマー及び他のオルガノポリシロキサン、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪アルコール、パラフィン油、ヒマシ油又はリシノール酸エステル、トルコ赤油(Turkey red oil)及び落下生油等のフォーム安定剤である。添加剤はまた、パラフィン、脂肪アルコール、ジメチルポリシロキサン等の気泡調節剤(cell regulator)も含み得る。側基としてポリオキシアルカン及びフルオロアルカン基を有するオリゴマーポリアクリレートもまた、前記乳化作用、前記気泡構造を改善するため、及び/又は前記フォームを安定させるために適切である。前記界面活性物質は、通常、イソシアネート成分以外の成分100質量部に基づいて0.01~5質量部の量で使用される。
【0051】
使用され得る適切な鎖延長剤/架橋剤は、約400未満の分子量を有するジオール及び/又はトリオールを含む。適切な鎖延長剤/架橋剤の例は、例えばエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,10-デカンジオール、o-、m-、p-ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、並びに好ましくは1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及びビス(2-ヒドロキシエチル)ヒドロキノン等の2~14個、好ましくは4~10個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ジオール、1,2,4-及び1,3,5-トリヒドロキシシクロへキサン等のトリオール、並びに開始剤分子として上記のジオール及び/又はトリオール中のエチレンオキシド及び/又は1,2-プロピレンオキシドに基づく低分子量ヒドロキシル含有ポリアルキレンオキシドである。これらの化合物は、好ましくは前記ポリオール混合物の総質量に基づいて0~20質量%の量で使用される。
【0052】
使用され得る難燃剤は、ペンタブロモジフェニルオキシド、ジブロモプロパノール、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、2,2-ビス(ブロモエチル)1,3-プロパンジオール、テトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(β-クロロエチル)ホスフェート、トリス(1,2-ジクロロプロピル)ホスフェート、ビス-(2-クロロエチル)2-クロロエチルホスホネート、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ペンタブロモジフェニルオキシド、トリクレシルホスフェート、ヘキサブロモシクロドデカン、メラミン、及びジブロモエチルジブロモシクロヘキサンを含む。使用され得る難燃剤化合物の濃度は、ポリオール混合物100部当たり5~50部の範囲である。
【0053】
前記フォームは、有機、無機の強化充填剤等の充填剤さらに含み得る。具体的な例は、例えばアンチゴライト、蛇紋石(serpentine)、ホーンブレンド、角閃石(amphibole)、クリソタイル、ゼオライト、タルク等の層状ケイ酸塩等のケイ質鉱物、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化鉄等の金属酸化物、チョーク、重晶石(barite)、ケイ酸アルミニウム等のメタ塩(meta salt)、硫化カドミウム、硫化亜鉛等の無機顔料、さらにはガラス粒子である。有機充填剤の例は、カーボンブラック、メラミン、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂である。前記有機及び無機充填剤は、単独で、又は混合物として使用され得、有利には、前記ポリオール及び前記イソシアネート成分の質量に基づいて0.5~50質量%の量で前記反応混合物中に組み込まれる。
【0054】
さらなる態様によれば、本発明はまた、ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物とを反応させる
工程(i)を含む方法も対象にする。
【0055】
前記ポリオール混合物の好ましい成分に関しては、上記の開示が参照される。
【0056】
本発明のフォームを形成するため、前記ポリオール混合物、触媒、及び任意の他の成分が、予混合される。前記プレミックスは、例えば混合ヘッドで前記ポリイソシアネート成分と混合され、前記混合物は、当技術分野で一般に公知の方法のいずれかによって処理される。例えば、フォームは、開放金型若しくは密閉金型中で、反応射出成形を使用して、又は前記反応混合物と接触する表面が、完成品の一部となる現場打ち塗布で製造され得る。
【0057】
本発明の方法において、ポリウレタンフォーム,特に硬質ポリウレタンフォームを製造する方法は、公知の手順に従って、例えば、手による混合、及び好ましくは発泡機を用いて実行可能である。前記方法が発泡機を用いて実行される場合、高圧又は低圧機が使用可能である。本発明の方法は、連続式でもバッチ式でも実施され得る。
【0058】
最先端の使用され得る原材料、及び使用され得る方法の包括的な調査は、「Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry」A21巻、VCH,Weinheim、第4版、1992年、665~715頁に見られる。
【0059】
フォームはまた、連続積層プロセス(continuous laminate process)によっても製造され得、このプロセスは当業界で周知である。
【0060】
本明細書に記載の組成物を使用するポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの調製は、当技術分野で周知の任意の方法のいずれかが使用され得る(Saunders and Frisch,Volume I and II Polyurethanes Chemistry and technology,1962、John Wiley and Sons,New York,N.Y.or Gum,Reese,Ulrich,Reaction Polymers,1992、Oxford University Press,New York,N.Y.or Klempner and Sendijarevic,Polymeric Foams and Foam Technology,2004、Hanser Gardner Publications,Cincinnati,Ohio参照)。一般に、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームは、イソシアネート、前記ポリオールプレミックス組成物、及び任意の難燃剤、着色剤、又は他の添加剤等の他の材料を混合することによって調製される。これらのフォームは、硬質、柔軟、又は半硬質であり得、独立気泡構造、連続気泡(open cell)構造、又は独立気泡及び連続気泡の混合系を有し得る。
【0061】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを形成するために適切な発泡性組成物は、有機ポリイソシアネート及び上記のポリオールプレミックス組成物を反応させることによって形成され得る。脂肪族及び芳香族ポリイソシアネートを含めて、任意の有機ポリイソシアネートが、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム合成に使用され得る。適切な有機ポリイソシアネートは、ポリウレタン化学の分野で周知である脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、及び複素環式イソシアネートを含む。これらは、例えばUS4,868,224、US3,401,190、US3,454,606、US3,277,138、US3,492,330、US3,001,973、US3,394,164、US3,124,605及びUS3,201,372に記載されている。芳香族ポリイソアシアネートが種類として好ましい。
【0062】
前記イソシアネート成分は、好ましくは、本明細書においては2個以上のイソシアネート官能基を有すると定義される、ポリイソシアネートであり、これらの例は、慣例の脂肪族、脂環式、及び好ましくは芳香族イソシアネートを含む。具体的な例は、1,12-ドデカンジイソシアネート、2-エチル-1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート及び1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等のアルキレン基中に4~12個の炭素を有するアルキレンジイソシアネート、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジイソシアネート並びにこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、2,4-及び2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート並びに対応する異性体混合物、4,4’-、2,2’-及び2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート並びに対応する異性体混合物等の脂環式ジイソシアネート、並びに好ましくは2,4-及び2,6-トルエンジイソシアナート及び対応する異性体混合物、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及び対応する異性体混合物、4,4 ’-、2,4’-、及び2,2-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(粗MDI(crude MDI))等の芳香族ジイソシアネート及びポリイソシアネートを含む。
【0063】
一実施形態において、ウレタンフォームを生成するために本発明のポリオール混合物と共に使用される前記ポリイソシアネート成分は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、又は例えばポリエステルポリオールとMDIとの反応生成物を含むイソシアネート末端プレポリマー(isocyanate terminated prepolymer)である。一般に、前記イソシアネート及び前記ポリマー混合物は、100~350のイソシアネートインデックスで、好ましくは105~300のインデックスで混合される。
【0064】
硬質ポリウレタンフォームを製造するため、特に粗MDIが使用される。適切なイソシアネートは、例えばBASFのLupranat M20及びM50である。
【0065】
さらなる態様によれば、本発明はまた、少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物との反応を含む方法よって得られる、又は得られうるポリウレタンフォームも対象にする。
【0066】
本発明のポリウレタンフォームは、特に良好な断熱性を有する。
【0067】
本発明に従うフォームは、屋根及び壁用の吹き付けフォーム(sprayfoam)、建築用パネル、建物外面絶縁材、冷蔵庫及び冷凍庫、給湯器及びボイラー、LNGタンク、保冷コンテナ(reefer container)、トレーラー、並びにパイプにおいて有利に使用され得る。
【0068】
本発明は、以下の実施形態、並びにそれぞれの従属性及び後方参照(back- references)によって示されるような実施形態の組み合わせによってさらに説明される。特に、実施形態の範囲が、例えば「実施形態1~4のいずれかの方法」等の用語との関連で言及されるいずれの場合も、この範囲の全ての実施形態が当業者に明確に開示されることを意図しており、すなわち、この用語の表現は、「実施形態1、2、3、及び4のいずれかの方法」と同義であると当業者に理解されるものであることに留意する。
【0069】
1.(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物。
【0070】
2.前記多価アルコールが、スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される実施形態1に記載のポリオール組成物。
【0071】
3.前記ジアミンが、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(MDA)、ポリフェニレンポリメチレンポリアミン(PMDA)、及びそれらの混合物からなる群から選択される実施形態1又は2に記載のポリオール組成物。
【0072】
4.前記ヒドロハロオレフィンが、trans-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン(HCFO-1233zd(E))、cis-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン(HCFO-1233zd(Z))、trans-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mzz(E ))、cis-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-ブタ-2-エン(HFO-1336mzz(Z))、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO -1234ze(E))、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234ze(Z))からなる群から選択される実施形態1~3のいずれかに記載のポリオール組成物。
【0073】
5.前記ポリオール組成物が、触媒として少なくとも1種の第三級アミンを含む実施形態1~4のいずれかに記載のポリオール組成物。
【0074】
6.前記ポリエーテルオール(P2)が、トルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールである実施形態1~5のいずれかに記載のポリオール組成物。
【0075】
7.前記ポリエーテルオール(P2)が、100~1000mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する実施形態1~5のいずれかに記載のポリオール組成物。
【0076】
8.ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する実施形態1~7のいずれかに記載のポリオール組成物。
【0077】
9.ポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する実施形態1~8のいずれかに記載のポリオール組成物。
【0078】
10.前記ポリオール混合物(PM)が、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含む実施形態1~9のいずれかに記載のポリオール組成物。
【0079】
11.前記ポリオール(P3)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する実施形態10に記載のポリオール組成物。
【0080】
12.前記ヒドロハロオレフィンが、前記ポリオール組成物の総質量に基づいて3~40質量部の量で存在する実施形態1~11のいずれかに記載のポリオール組成物。
【0081】
13.前記組成物が、難燃剤、紫外線安定剤、界面活性剤又は充填剤のうちの少なくとも1種をさらに含む実施形態1~12のいずれかに記載のポリオール組成物。
【0082】
14.(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにエチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(MDA)、ポリフェニレンポリメチレンポリアミン(PMDA)、及びそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物。
【0083】
15.(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物。
【0084】
16.(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、及びポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在するポリオール組成物。
【0085】
17.(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在するポリオール組成物。
【0086】
18.(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、及びポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つ
前記ポリオール混合物(PM)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含むポリオール組成物。
【0087】
19.(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つ
前記ポリオール混合物(PM)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含むポリオール組成物。
【0088】
20.(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、及びポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)ポリオール組成物の総質量に基づいて3~40質量部の量で存在する、発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つ
前記ポリオール混合物(PM)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含むポリオール組成物。
【0089】
21.(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)ポリオール組成物の総質量に基づいて3~40質量部の量で存在する、発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つ
前記ポリオール混合物(PM)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含むポリオール組成物。
【0090】
22.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【0091】
23.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにエチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(MDA)、ポリフェニレンポリメチレンポリアミン(PMDA)、及びそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【0092】
24.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、及びポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物とを反応させる工程(i)を含む方法。
【0093】
25.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【0094】
26.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、及びポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する、
ポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【0095】
27.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する、
ポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【0096】
28.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つ
前記ポリオール混合物(PM)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含む、
ポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【0097】
29.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、及びポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)ポリオール組成物の総質量に基づいて3~40質量部の量で存在する、発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つ
前記ポリオール混合物(PM)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含む、
ポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【0098】
30.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)スクロース、ペンタエリスリトール、グルコース、グリセロール、グリコール、トリメチロールプロパン(TMP)及びソルビトール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)、並びにポリエーテルオール(P2)としてトルエンジアミン開始アルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)ポリオール組成物の総質量に基づいて3~40質量部の量で存在する、発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含み、
ポリオール(P1)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて10~80質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つポリオール(P2)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~70質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在し、且つ
前記ポリオール混合物(PM)が、前記ポリオール混合物の総質量に基づいて1~50質量部の範囲の量で前記ポリオール混合物中に存在する少なくとも1種のポリエステルポリオール(P3)を含む、
ポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【0099】
31.ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、実施形態1~21のいずれかに記載のポリオール組成物とを反応させる、
工程(i)を含む方法。
【0100】
32.実施形態22~31のいずれかに記載の方法によって得られる、又は得られうるポリウレタンフォーム。
【0101】
33.少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(a)多価アルコールに基づくポリエーテルオール(P1)及びジアミンに基づくポリエーテルオール(P2)を含むポリオール混合物(PM)、並びに
(b)発泡剤として少なくとも1種のヒドロハロオレフィン(HFO)
を含むポリオール組成物との反応を含む方法よって得られる、又は得られうるポリウレタンフォーム。
【実施例】
【0102】
以下に実施例を用いて本発明を説明する。
【0103】
1.方法:
1.1 ヒドロキシル価の測定:
ヒドロキシル価は、DIN53240(1971-12)に従って測定した。
【0104】
1.2 離型挙動の測定(demolding behavior)(冷蔵用のみ):
離型挙動は、寸法700×400×90mm3を有するボックス金型を用いて、45±2℃の温度で製造されたフォーム体の後膨張(post-expansion)を、離型時間(demolding time)及びオーバーパッキング(overpacking)(OP=全体のフォーム密度の最小充填密度(minimum fill density)に対する比)の関数として測定することによって測定された。前記後膨張は、24時間後にフォーム直法体(cuboid)の高さを測定することによって測定した。前記フォーム直方体の測定された高さが、90mmと異ならないほど、離型挙動は良好である。
【0105】
1.3 最小充填密度の測定(冷蔵用のみ):
最小充填密度の測定のため、寸法2000×200×50mm3を有する金型ボックスに、45±2℃の温度で、前記金型の端に直接接触せず、前記金型を丁度満たすのに十分なポリウレタン反応混合物を充填した。前記流動距離(flow distance)を測定した。その後、MFDを、MFD=(m*L/V*s))[式中、m=射出質量、L=金型の長さ、s=流動距離=フォームの有効長さ(effective length)、V=金型の体積]に従って計算した。
【0106】
1.4 自由上昇密度(free rise density)の測定:
1.4.1 冷凍:約900gの反応混合物をPEバッグ(直径約30cm)に注入する。硬化後(24時間後)フォームの自由上昇コア密度を測定するため、試料を、試料の中央部を切り取る。それらの質量を計量し、それらの体積を水浴に浸漬することによって測定する。それらの密度を計算するため、これらの量を使用し、平均値を記録する。
【0107】
1.4.2 吹き付けフォーム:3種類の異なる自由上昇密度を、吹き付けフォームによって測定する。
【0108】
ビーカー自由上昇密度:これは、既知の体積のビーカー中での手による混合フォーム(hand-mix foam)によって得られるフォーム密度である。系の成分を、ビーカー中で直接混合する。フォームが硬化後に、前記ビーカーの周縁上に立ち上がる前記フォームの一部を切り取る。前記ビーカー自由上昇密度は、前記ビーカーに含まれる前記フォームの質量と、その体積との間の商である。
【0109】
コア自由上昇密度:反応混合物のいくつかの層を、PEプレート上に吹き付ける。前記自由上昇コア密度を測定するため、前記フォームの硬化後、皮部なしで前記フォームの中央部から試料を切り取る。それらの質量を計量し、それらの体積を、ノギス(caliper)で切り取った試験片の3寸法を測定して求める。それらの密度を計算するため、これらの量を使用し、平均値を記録する。
【0110】
総自由上昇密度:コア自由上昇密度を得るためのPEプレート上に吹き付けた同じフォームから、底部~頂部の全ての皮部を有する試料の中央部から別のフォーム試験片を切り取る。それらの質量を計量し、それらの体積を水浴に浸漬することによって測定する。それらの密度を計算するため、これらの量を使用し、平均値を記録する。
【0111】
1.5 クリーム(cream)時間の測定:
クリーム時間は、射出(shot)開始から前記反応混合物の体積膨張の開始までの時間間隔(interval time)として定義される。
【0112】
1.6 ストリング時間(string time)の測定(ゲル化時間としても知られる)
ストリング時間は、射出開始から、フォームストリップ(strip)又はロッド(rod)を使用して前記反応混合物から繊維状のもの(fiber)が引き出され得る瞬間までの時間間隔として定義される。
【0113】
1.7 上昇時間の測定
上昇時間は、射出開始から体積膨張の終了までの時間間隔として定義される。
【0114】
1.8 タックフリー時間の測定(吹き付けフォームのみ)
タックフリー時間は、射出開始から、前記フォームの表面の頂部が、フォームストリップ又はロッドを用いて決定されるタッカー(tacker)ではなくなった瞬間までの時間間隔として定義される。
【0115】
1.9 熱伝導率の測定:
1.9.1 冷凍:熱伝導率は、熱流測定プレート機器Taurus TCA300DTXを用いて、平均温度10℃で測定する。試験片を作製するため、前記ポリウレタン反応混合物を、寸法2000×200×50mm3を有する加熱した金型中に導入し(14.5%オーバーパッキング)、5分後(→表1)又は7分後(→表2)に前記金型から除去する。標準条件の温度及び湿度下で24時間保存後、約200×200×50mm3をの大きさの複数の直方体を中央部(金型の開始位置に基づいて10、900及び1700mmの位置)から切り取る。その後、試験片が寸法200×200×30mm3になるように、上側及び下側を除去する。
【0116】
1.9.2 吹き付けフォーム:熱伝導率を、欧州標準EN12667に従って、熱流測定プレート機器Lasercomp FOX314又はTaurus TCA300 DTXを用いて、平均温度10℃で測定する。試験片を作製するため、反応混合物のいくつかの層をPEプレート上に吹き付ける。
【0117】
吹き付けフォームのために3種類の熱伝導率値を測定する:
(a)熱伝導率の初期値(EN14315-1-C.3に従う):300×300×30mmの寸法を有する試験片を、最大8日経過したコアフォーム試料から切り取る。23±3℃、50±10%の相対湿度で、切り取った試験片を少なくとも16時間調整した(conditioning)後、熱伝導率を前述の通り測定する。
(b)熱伝導率の経時値を計算するための固定増分法用の熱伝導率の正規性検定値(normality test value)(EN14315-1-C.5に従う):300×300×(20~22)mmの寸法を有する試験片を、最大8日経過したコアフォーム試料から切り取る。このより薄い試験片の熱伝導率の初期値を前述と同じ方法で測定する。その後、この試験片を、70±2℃で21±1日間保存する。時効(ageing)後、前記試料を、23±3℃、50±10%の相対湿度で、少なくとも16時間再調整した(recondition)後、熱伝導率を再度測定する。正規性検定値は、初期と時効後の値の差である。
(c)熱伝導率の加速時効値(accelerated aged value)(EN14315-1-C.4に従う):この場合、頂部~底部の全ての皮部を有する、切り取られていない(uncut)吹き付けフォーム全体を、70±2℃で175±5日間保存する。時効後、前記フォームを23±3℃、50±10%の相対湿度で、少なくとも16時間調整する。その後、300×300×30mmの寸法を有する試験片を、時効したコアフォーム試料から切り取り、熱伝導率を前述の通り測定する。
【0118】
2.出発材料:
ポリオールA1:vic-TDA及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:400mgKOH/g
ポリオールA2:vic-TDA、EO及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:160mgKOH/g
ポリオールA3:vic-TDA、EO及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:390mgKOH/g
ポリオールB1:スクロース、グリセロール及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:450mgKOH/g
ポリオールB2:ソルビトール及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:490mgKOH/g
ポリオールB3:グリセロール、EO及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:158mgKOH/g
ポリオールC1:スクロース、ペンタエリスリトール、DEG及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:403mgKOH/g
ポリオールC2:PG及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:104mgKOH/g
ポリオールC3:グリセロール及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:400mgKOH/g
ポリオールD1:テレフタル酸、オレイン酸、無水フタル酸、グリセロール及びDEGに基づくポリエステルオール、OH価:245mgKOH/g
ポリオールD2:TMP及びEOに基づくポリエーテル、OH価:605mgKOH/g
ポリオールE:スクロース、DEG、EO及びPOに基づくポリエーテルオール、OH価:400mgKOH/g
触媒F1):ジメチルシクロヘキシルアミン
触媒F2):ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル
触媒F3):酢酸カリウム
を含む触媒混合物F):
実施例において使用される触媒混合物F)は、前記触媒F1~F3を含み、50~95%の触媒F1、5~30%の触媒F2及び0~35%の触媒F3を含有する。
【0119】
触媒G1):1,1,3,3-テトラメチルグアニジン
触媒G2):1,2-ジメチルイミダゾール
触媒G3):ジブチルスズジラウレート
触媒G4):ペンタメチルジエチレントリアミン
を含む触媒混合物G):
実施例において使用される触媒混合物G)は、触媒G1~G4を含み、50~70%の触媒G1、20~40%の触媒G2、1~10%の触媒G3及び1~10%の触媒G4を含有する。
【0120】
界面活性剤H1):シリコーン界面活性剤、Evonik製Tegostab(登録商標)B8467、Tegostab(登録商標)B8474及び/又はTegostab(登録商標)B8491
界面活性剤H2):シリコーン界面活性剤、Momentive製Niax(登録商標)Silicone L-6906MB及び/又はAirProducts製Dabco(登録商標)DC193
架橋剤I):グリセロール、OH価:1825mgKOH/g
難燃剤J):リン酸トリス(2-クロロイソプロピル)
イソシアネート:ポリマーMDI、NCO含有量:31.5pbw(Lupranat(登録商標)M20)
【0121】
3.調製手順
3.1 冷凍
ポリオール成分を指示した原材料から生成した。前記ポリオール成分を、高圧Puromat(登録商標)KM 16/40(KraussMaffei)を用いて、250g/秒の放出速度(discharge rate)で、表1又は表2に指示した通りのイソシアネートインデックス(必要とするイソシアネートの理論量に対する使用したイソシアネートの実際の量の比)を達成するために必要な量の指示したイソシアネートと混合した。
【0122】
前記反応混合物を、2000mm×200mm×50mm、又は400mm×700mm×90mmの寸法を有する温度制御金型中に注入し、そこで発泡させた。オーバーパッキングは17.5%であった。
【0123】
表1及び2に、各組成物及び得られたポリウレタンフォームの結果をまとめる。発泡剤(HCFO-1233zd(E))の量は、前記ポリオール成分100質量部に基づく質量部で(→表1)、又は前記ポリオール成分100質量部中の質量部で(→表2)示す。
【0124】
【0125】
【0126】
表1にまとめられたデータは、本発明に従うポリオール組成物を使用して調製されたフォームが、改善された後膨張を示すことを表す。TDAに基づくポリオールを使用した初期組成物の後膨張は、比較例の初期組成物の後膨張より低い。時効後、TDAに基づくポリオールを使用した組成物の後膨張は、比較例の時効した組成物の後膨張より、絶対値及び相対値で低い。
【0127】
表2にまとめられたデータは、本発明に従うポリオール組成物を使用して調製されたフォームが、改善された後膨張を示すことを表す。本発明の実施例と比較例の初期の後膨張は同等であるが、時効後、TDAに基づくポリオールを使用した組成物の後膨張は、比較例の時効した組成物の後膨張より低い。さらに、時効後、比較例のストリング時間は、本発明の実施例のストリング時間より有意に長い。時効後の本発明の実施例の反応性は、初期のものと同レベルのままであった。
【0128】
3.2吹き付けフォーム
ポリオール成分を、指示した原材料から生成した。前記ポリオール成分を、高圧Graco reactor H-25を用いて、80g/秒の放出速度(discharge rate)で、108のイソシアネートインデックスを達成するために必要な量の指示したイソシアネートと混合した。
【0129】
前記反応混合物を、80×80mm2の寸法を有する温度制御していないPEプレート上に少なくとも50mmの高さまで、オーバーパッキングなしで、数層に吹き付けた。
【0130】
表3に、各組成物及び得られたポリウレタンフォームの結果をまとめる。発泡剤(HCFO-1233zd(E))の量は、前記ポリオール成分100質量部に基づく質量部で示す。
【0131】
【0132】
実施例は、TDA-ポリオールを含む組成物が、TDA-ポリオールを含まない組成物ほど時効しないことを表す。前記時効後の組成物のクリーム時間、ストリング時間及び上昇時間は、本発明の実施例のクリーム時間、ストリング時間及び上昇時間より有意に長い。