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特許7538231超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022545294
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2021011415
(87)【国際公開番号】W WO2022044404
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2020142449
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝也
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134386(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0157831(US,A1)
【文献】国際公開第2015/150932(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 ー 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブと、
前記超音波プローブに接続されたハンドヘルド型の診断装置本体と、
前記診断装置本体に接続された遠隔装置と
を備え、
前記超音波プローブは、前記超音波プローブによる測定位置を検出する位置センサを有し、
前記診断装置本体は、
前記超音波プローブを用いて超音波ビームの送受信を行うことにより被検体の超音波画像を生成する画像生成部と、
第1モニタと
前記画像生成部により生成された前記超音波画像と、前記超音波画像を撮像する際に前記位置センサにより検出された前記測定位置とを前記遠隔装置に送信する本体側通信部を有し、
前記遠隔装置は、
第2モニタと、
前記超音波画像を解析することにより撮像された前記被検体の臓器を検出する臓器検出部と、
前記遠隔装置の操作者による、前記臓器検出部により検出された前記臓器を前記超音波プローブにより測定する際の最適位置に対する前記測定位置のスコアの入力を受け付ける入力装置と、
前記スコアを前記診断装置本体に送信する遠隔装置側通信部を有し、
前記超音波画像は、前記診断装置本体の前記第1モニタと前記遠隔装置の前記第2モニタのうち、前記第2モニタのみに表示され、
前記遠隔装置は、前記超音波画像および前記測定位置を前記第2モニタに表示し、
前記診断装置本体は、前記測定位置の前記スコアを前記第1モニタに表示
超音波診断システム。
【請求項2】
前記超音波プローブは、体腔内プローブであり、
前記本体側通信部は、前記診断装置本体に前記体腔内プローブが接続された場合に、前記超音波画像と前記測定位置とを前記遠隔装置に送信する請求項に記載の超音波診断システム。
【請求項3】
前記診断装置本体は、前記臓器検出部により検出された前記臓器の模式図を前記第1モニタに表示する請求項1または2に記載の超音波診断システム。
【請求項4】
前記診断装置本体は、前記模式図に重畳して前記位置センサにより検出された前記測定位置を前記第1モニタに表示する請求項に記載の超音波診断システム。
【請求項5】
前記模式図は、前記被検体に対するプレスキャンにより取得された再構成像からなる請求項またはに記載の超音波診断システム。
【請求項6】
前記遠隔装置は、前記超音波プローブを前記測定位置から前記最適位置に移動するためのガイドを作成するガイド作成部を有し、
前記ガイド作成部により作成された前記ガイドが、前記遠隔装置から前記診断装置本体に送信されて前記第1モニタに表示される請求項1~のいずれか一項に記載の超音波診断システム。
【請求項7】
前記診断装置本体は、前記スコアを色分けにより前記第1モニタに表示する請求項1~のいずれか一項に記載の超音波診断システム。
【請求項8】
前記診断装置本体は、前記超音波画像が前記第1モニタに表示される第1モードと、前記模式図および前記スコアが前記第1モニタに表示される第2モードのいずれかを選択するモード選択部を有する請求項3~5のいずれか一項に記載の超音波診断システム。
【請求項9】
超音波プローブと、ハンドヘルド型の診断装置本体と、遠隔装置とを備える超音波診断システムの制御方法であって、
超音波プローブによる測定位置を検出し、
前記診断装置本体において、
前記超音波プローブを用いて超音波ビームの送受信を行うことにより、被検体の超音波画像を生成し、
前記超音波画像と前記超音波プローブによる前記測定位置を前記遠隔装置に送信し、
前記遠隔装置において、
前記超音波画像を解析することにより、撮像された前記被検体の臓器を検出し、
前記遠隔装置の操作者による、検出された前記臓器を前記超音波プローブにより測定する際の最適位置に対する前記測定位置のスコアの入力を受け付け、
前記測定位置の前記スコアを前記診断装置本体に送信し、
前記超音波画像は、診断装置本体の第1モニタと前記遠隔装置の第2モニタのうち、前記第2モニタにのみ表示され、
前記遠隔装置において、前記超音波画像および前記測定位置を前記第2モニタに表示し、
前記診断装置本体において、前記スコアを前記第1モニタに表示する
超音波診断システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドヘルド型の診断装置本体を備えた超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波診断装置を用いて被検体の断層を表す超音波画像を撮影することにより、被検体内の臓器の測定が行われている。超音波画像の撮影において、被検体内への超音波ビームの送信と被検体内で反射した超音波エコーの受信を行うために、超音波プローブが用いられる。このような超音波プローブとしては、例えば、被検体の体表上に配置された状態で被検体内に超音波ビームの送信を行う超音波プローブと、被検体内に挿入された状態で被検体内に超音波ビームの送信を行ういわゆる体腔内プローブと呼ばれる超音波プローブが知られている。測定者は、超音波プローブを被検体の体表上または被検体内の適切な測定位置に移動させることにより、被検体内の目的の臓器の超音波画像を撮影し、その臓器の測定を行う。
【0003】
このように、測定者が観察したい被検体内の臓器に対応した適切な測定位置に超音波プローブを配置することは、熟練度の低い測定者にとって難しい場合がある。そのため、例えば特許文献1に開示されているように、測定者が超音波画像を撮影する際の支援を行う超音波診断装置が開発されている。特許文献1の超音波診断装置では、熟練者が予め撮影した超音波画像と、その超音波画像が撮影された際の超音波プローブの位置情報が測定者に向けて表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-16268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、いわゆるタブレット型端末等の薄型のコンピュータからなるいわゆるハンドヘルド型の診断装置本体と超音波プローブを有する、携帯型の超音波診断装置が開発されており、この携帯型の超音波診断装置を用いて、在宅看護の現場等の、病院から離れた場所で被検体内の測定が行われる場合がある。病院から離れた場所で被検体内の測定が行われる場合には、超音波診断装置に対する熟練度の低い測定者が被検体内の測定を行うことがあった。そこで、例えば特許文献1に開示されている技術を用いることが考えられるが、通常、ハンドヘルド型の診断装置本体に備えられているモニタは、いわゆる据え置き型の超音波診断装置に備えられているモニタと比較して小さいサイズを有しているため、測定者が行う超音波画像の撮影を支援するための情報を十分に表示できず、測定者が円滑に測定を行うことが困難なことがあった。
【0006】
また、近年では、被検体に対して、被検体内の断層を表す超音波画像を見せたくないという要求が高まっている。しかしながら、特許文献1に開示されている技術を用いたとしても、被検体内の断層を表す超音波画像をモニタに表示せずに、被検体内の目的の臓器を測定するように支援を行うことは、困難であった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、撮影された超音波画像が被検体に見られることを防ぎつつ、ハンドヘルド型の診断装置本体を用いて測定者が被検体内の臓器の測定を円滑に行うことができる超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波診断システムは、超音波プローブと、超音波プローブに接続されたハンドヘルド型の診断装置本体と、診断装置本体に接続された遠隔装置とを備え、超音波プローブは、超音波プローブによる測定位置を検出する位置センサを有し、診断装置本体は、超音波プローブを用いて超音波ビームの送受信を行うことにより被検体の超音波画像を生成する画像生成部と、モニタとを有し、遠隔装置は、超音波画像を解析することにより撮像された被検体の臓器を検出する臓器検出部を有し、臓器検出部により検出された臓器を超音波プローブにより測定する際の最適位置に対する測定位置のスコアが、遠隔装置に入力され、遠隔装置から診断装置本体に送信されてモニタに表示されることを特徴とする。
【0009】
診断装置本体は、画像生成部により生成された超音波画像と、超音波画像を撮像する際に位置センサにより検出された測定位置とを、遠隔装置に送信する本体側通信部を有し、遠隔装置は、スコアを診断装置本体に送信する遠隔装置側通信部を有することができる。
さらに、超音波プローブは、体腔内プローブであり、本体側通信部は、診断装置本体に体腔内プローブが接続された場合に、超音波画像と測定位置とを遠隔装置に送信することができる。
【0010】
診断装置本体は、臓器検出部により検出された臓器の模式図をモニタに表示することができる。
また、診断装置本体は、模式図に重畳して位置センサにより検出された測定位置をモニタに表示することができる。
ここで、模式図は、被検体に対するプレスキャンにより取得された再構成像からなることができる。
【0011】
遠隔装置は、超音波プローブを測定位置から最適位置に移動するためのガイドを作成するガイド作成部を有し、この場合に、ガイド作成部により作成されたガイドが、遠隔装置から診断装置本体に送信されてモニタに表示されることができる。
【0012】
また、診断装置本体は、スコアを色分けによりモニタに表示することができる。
また、診断装置本体は、超音波画像がモニタに表示される第1モードと、模式図およびスコアがモニタに表示される第2モードのいずれかを選択するモード選択部を有することができる。
【0013】
本発明の超音波診断システムの制御方法は、超音波プローブと、ハンドヘルド型の診断装置本体と、遠隔装置とを備える超音波診断システムの制御方法であって、超音波プローブによる測定位置を検出し、診断装置本体において、超音波プローブを用いて超音波ビームの送受信を行うことにより、被検体の超音波画像を生成し、遠隔装置において、超音波画像を解析することにより、撮像された被検体の臓器を検出し、検出された臓器を超音波プローブにより測定する際の最適位置に対する測定位置のスコアを遠隔装置から診断装置本体に送信し、スコアを診断装置本体のモニタに表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、超音波診断システムが、超音波プローブと、超音波プローブに接続されたハンドヘルド型の診断装置本体と、診断装置本体に接続された遠隔装置とを備え、診断装置本体は、超音波プローブを用いて超音波ビームの送受信を行うことにより被検体の超音波画像を生成する画像生成部と、モニタとを有し、遠隔装置は、超音波画像を解析することにより撮像された被検体の臓器を検出する臓器検出部を有し、臓器検出部により検出された臓器を超音波プローブにより測定する際の最適位置に対する測定位置のスコアが、遠隔装置に入力され、遠隔装置から診断装置本体に送信されてモニタに表示されるため、撮影された超音波画像が被検体に見られることを防ぎつつ、ハンドヘルド型の診断装置本体を用いて測定者が被検体内の臓器の測定を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1における送受信回路の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1における画像生成部の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態1において超音波画像と臓器の模式図が表示された遠隔装置のモニタの例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態1においてスコアとガイドが表示された診断装置本体のモニタの例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態1において、測定者が超音波プローブの種類を選択するためのプローブ選択ボタンの例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態1において、測定者が測定のプリセットを選択するためのプリセット選択ボタンの例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態1における、色分けによりスコアを表すスコアマークの例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態1における、スコアを表すメータの例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態1において表示される超音波プローブの画像と矢印の例を示す図である。
図12】本発明の実施の形態1において遠隔装置のモニタに表示されるプローブマークの他の例を示す図である。
図13】本発明の実施の形態2に係る超音波診断システムの構成を示す図である。
図14】本発明の実施の形態2において診断装置本体のモニタに表示されるスコアと臓器の模式図の例を示す図である。
図15】本発明の実施の形態2において診断装置本体のモニタに表示される超音波画像の例を示す図である。
図16】本発明の実施の形態2において診断装置本体のモニタに表示されるプローブマークの例を示す図である。
図17】本発明の実施の形態2において診断装置本体のモニタに表示されるプローブマークの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
【0017】
実施の形態1
図1に、本発明の実施の形態1に係る超音波診断システム1の構成を示す。超音波診断システム1は、超音波プローブ2と、診断装置本体3と、遠隔装置4を備えている。超音波プローブ2と診断装置本体3は、無線通信により互いに接続されている。診断装置本体3と遠隔装置4は、ネットワークNWを介して互いに接続されている。なお、診断装置本体3とネットワークNWとの接続方法、および、遠隔装置4とネットワークNWとの接続方法は、無線通信または有線通信が用いられる。
【0018】
超音波プローブ2は、振動子アレイ11を備えており、振動子アレイ11に、送受信回路12およびプローブ側通信部13が順次接続されている。また、超音波プローブ2には、位置センサ14が取り付けられており、位置センサ14は、プローブ側通信部13に接続されている。また、送受信回路12およびプローブ側通信部13に、プローブ制御部15が接続されている。
【0019】
診断装置本体3は、本体側通信部21を有しており、本体側通信部21に、画像生成部22、表示制御部23およびモニタ24が順次接続されている。また、表示制御部23は、本体側通信部21に接続されている。
【0020】
本体側通信部21、画像生成部22および表示制御部23に、本体制御部25が接続されている。また、本体制御部25に入力装置26が接続されている。
また、本体側通信部21、画像生成部22、表示制御部23および本体制御部25により、本体側プロセッサ27が構成されている。
【0021】
遠隔装置4は、遠隔装置側通信部31を備えており、遠隔装置側通信部31に、臓器検出部32、表示制御部33およびガイド作成部34が接続されている。臓器検出部32は、表示制御部33およびガイド作成部34に接続されている。また、ガイド作成部34は、遠隔装置側通信部31に接続されている。また、表示制御部33に、モニタ35が接続されている。
【0022】
また、遠隔装置側通信部31、臓器検出部32、表示制御部33およびガイド作成部34に、遠隔装置制御部36が接続されている。また、遠隔装置制御部36に、入力装置37が接続されている。
また、遠隔装置側通信部31、臓器検出部32、表示制御部33、ガイド作成部34および遠隔装置制御部36により、遠隔装置側プロセッサ38が構成されている。
【0023】
図1に示す超音波プローブ2の振動子アレイ11は、1次元または2次元に配列された複数の振動子を有している。これらの振動子は、それぞれ送受信回路12から供給される駆動信号にしたがって超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
【0024】
送受信回路12は、プローブ制御部15による制御の下で、振動子アレイ11から超音波を送信し且つ振動子アレイ11により取得された受信信号に基づいて音線信号を生成する。送受信回路12は、図2に示すように、振動子アレイ11に接続されるパルサ41と、振動子アレイ11から順次直列に接続される増幅部42、AD(Analog Digital)変換部43およびビームフォーマ44を有している。
【0025】
パルサ41は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、プローブ制御部15からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ11の複数の振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の振動子に供給する。このように、振動子アレイ11の振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0026】
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ2の振動子アレイ11に向かって伝搬する。このように振動子アレイ11に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子により受信される。この際に、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生させ、これらの受信信号を増幅部42に出力する。
【0027】
増幅部42は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部43に送信する。AD変換部43は、増幅部42から送信された信号をデジタルの受信データに変換し、これらの受信データをビームフォーマ44に送信する。ビームフォーマ44は、プローブ制御部15からの制御信号に応じて選択された受信遅延パターンに基づいて設定される音速または音速の分布に従い、AD変換部43により変換された各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部43で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が取得される。
【0028】
プローブ側通信部13は、電波の送信および受信を行うためのアンテナ等を含んでおり、プローブ制御部15の制御の下で、診断装置本体3の本体側通信部21と無線通信を行う。この際に、プローブ側通信部13は、送受信回路12により生成された音線信号に基づいてキャリアを変調することにより音線信号を表す伝送信号を生成し、生成された伝送信号を、診断装置本体3の本体側通信部21に無線送信する。
【0029】
キャリアの変調方式としては、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調)、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)または16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation:16直角位相振幅変調)等が用いられる。
【0030】
プローブ制御部15は、予め記憶しているプログラムに基づいて超音波プローブ2の各部の制御を行う。
位置センサ14は、超音波プローブ2に取り付けられており、超音波プローブ2の測定位置を検出する。位置センサ14は、例えば、磁気センサ、ジャイロセンサまたは加速度センサ等を含むことができる。
また、図示しないが、超音波プローブ2には、超音波プローブ2の各部に電力を供給するバッテリが内蔵されている。
【0031】
診断装置本体3は、携帯可能な、いわゆるハンドヘルド型の装置であり、例えば、タブレット型端末と呼ばれる薄型のコンピュータにより構成される。
【0032】
診断装置本体3の本体側通信部21は、プローブ側通信部13と同様に電波の送信および受信を行うためのアンテナ等を含んでおり、本体制御部25の制御の下で、超音波プローブ2のプローブ側通信部13との無線通信、および、ネットワークNWを介した遠隔装置4の遠隔装置側通信部31との通信を行う。本体側通信部21とネットワークNWとの接続には、無線通信または有線通信が用いられる。
【0033】
本体側通信部21は、プローブ側通信部13との無線通信の際に、プローブ側通信部13から無線送信された伝送信号を復調して音線信号を得る。本体側通信部21は、得られた音線信号を画像生成部22に送出する。
【0034】
また、本体側通信部21は、入力装置26を介して測定者により入力された、超音波プローブ2を制御するための制御情報等に基づいてキャリアを変調することにより制御信号等を表す伝送信号を生成し、生成された伝送信号をプローブ側通信部13に無線送信する。キャリアの変調方式としては、プローブ側通信部13により用いられる変調方式と同様に、例えば、ASK、PSK、QPSKまたは16QAM等が用いられる。
【0035】
画像生成部22は、図3に示すように、信号処理部45、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)46および画像処理部47が順次直列に接続された構成を有している。
信号処理部45は、本体側通信部21から送出された音線信号に対し、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
【0036】
DSC46は、信号処理部45で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部47は、DSC46から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、本体制御部25による指令に応じて、Bモード画像信号を本体側通信部21または表示制御部23に送出する。以降は、画像処理部47により画像処理が施されたBモード画像信号を、単に、超音波画像と呼ぶ。
【0037】
表示制御部23は、本体制御部25の制御の下、画像生成部22により生成された超音波画像等に対して所定の処理を施して、モニタ24に表示する。
モニタ24は、表示制御部23による制御の下、種々の表示を行う。モニタ24は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を含む。
入力装置26は、測定者が入力操作を行うためのものであり、モニタ24に重ねて配置されたタッチパネルおよび図示しないボタン、図示しないスイッチ等を含む。
【0038】
本体制御部25は、予め記憶している制御プログラム等に基づいて、診断装置本体3の各部の制御を行う。
【0039】
なお、画像生成部22、表示制御部23および本体制御部25を含む本体側プロセッサ27は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、または、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
【0040】
また、本体側プロセッサ27の画像生成部22、表示制御部23および本体制御部25は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成されることもできる。
【0041】
遠隔装置4は、例えば病院等に設置され、病院から離れた在宅看護の現場等において被検体の臓器の測定を行う測定者を支援するために、被検体の臓器の測定に対して熟練した医師等の操作者により操作される。
【0042】
遠隔装置4の遠隔装置側通信部31は、プローブ側通信部13および本体側通信部21と同様に、電波の送信および受信を行うためのアンテナ等を含んでおり、ネットワークNWを介した本体側通信部21との通信を行う。遠隔装置側通信部31とネットワークNWとの接続には、無線通信または有線通信が用いられる。遠隔装置側通信部31は、ネットワークNWを経由して本体側通信部21から、画像生成部22により生成された超音波画像および本体制御部25により生成された、遠隔装置4を制御するための指示情報等を受信する。
【0043】
臓器検出部32は、画像生成部22によって生成された超音波画像を解析することにより、超音波画像に写る被検体の臓器を検出する。臓器検出部32は、被検体の臓器を検出する方法として、例えば、いわゆるディープラーニングの方法、いわゆるテンプレートマッチングの方法、SVM(Support vector machine:サポートベクターマシン)およびadaboost(アダブースト)等を用いた機械学習手法、Csurka et al.: Visual Categorization with Bags of Keypoints, Proc. of ECCV Workshop on Statistical Learning in Computer Vision, pp.59-74 (2004)に記載されている機械学習手法等を用いることができる。
【0044】
表示制御部33は、遠隔装置制御部36の制御の下、画像生成部22により生成された超音波画像および位置センサ14により検出された超音波プローブ2の測定位置の情報等に対して所定の処理を施して、遠隔装置4のモニタ35に表示する。
モニタ35は、表示制御部33による制御の下、種々の表示を行う。モニタ35は、モニタ24と同様に、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を含む。
【0045】
ガイド作成部34は、臓器検出部32により検出された被検体の臓器の画像と、位置センサ14により検出された超音波プローブ2の測定位置の情報を用いて、超音波プローブ2の操作を測定者に対して案内するためのガイド情報を作成する。ガイド作成部34により作成されたガイド情報は、遠隔装置側通信部31、ネットワークNW、本体側通信部21、画像生成部22および表示制御部23を経由して、診断装置本体3のモニタ24に表示される。
【0046】
入力装置37は、遠隔装置4の操作者が入力操作を行うためのものであり、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等を備えて構成することができる。
遠隔装置制御部36は、予め記憶している制御プログラム等に基づいて、遠隔装置4の各部の制御を行う。
【0047】
なお、遠隔装置側通信部31、臓器検出部32、表示制御部33およびガイド作成部34を含む遠隔装置側プロセッサ38は、CPU、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA、DSP、ASIC、GPU、または、その他のICを用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
また、遠隔装置側プロセッサ38の遠隔装置側通信部31、臓器検出部32、表示制御部33およびガイド作成部34は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成されることもできる。
【0048】
以下では、図4に示すフローチャートを用いて、実施の形態1の超音波診断システム1の基本的な動作を詳細に説明する。
ここで、一般的な超音波プローブの種類として、被検体の体表上に配置された状態で超音波画像の撮影を行うための超音波プローブと、被検体内に挿入された状態で超音波画像の撮影を行うための、体腔内プローブと呼ばれる超音波プローブが知られている。以下の動作説明では、本発明の実施の形態1における超音波プローブ2が体腔内プローブである例が説明されるが、被検体の体表上に配置された状態で超音波画像の撮影を行うための超音波プローブである場合も同様の動作が行われる。
【0049】
また、在宅看護の現場等において、測定者により、超音波プローブ2と診断装置本体3を使用して被検体の臓器の測定が行われ、測定者の位置に対する病院等の遠隔地において、被検体の臓器の測定に熟練した医師等の操作者により、遠隔装置4の操作が行われているとする。
【0050】
まず、ステップS1において、測定者により、超音波プローブ2が被検体内に挿入されて、目的の臓器を測定するための測定位置に、超音波プローブ2が移動される。この際に、超音波プローブ2に取り付けられた位置センサ14は、超音波プローブ2の測定位置を検出する。
【0051】
次に、ステップS2において、ステップS1で検出された測定位置に超音波プローブ2が配置された状態で超音波画像が撮影される。この際に、送受信回路12のパルサ41からの駆動信号にしたがって振動子アレイ11の複数の振動子から被検体内に超音波ビームが送信され、被検体からの超音波エコーを受信した各振動子から受信信号が送受信回路12の増幅部42に出力される。受信信号は、増幅部42で増幅され、AD変換部43でAD変換された後、ビームフォーマ44で整相加算されて、音線信号が生成される。この音線信号は、プローブ側通信部13から本体側通信部21に無線通信され、画像生成部22に送出される。音線信号は、画像生成部22において、画像生成部22は、音線信号に対して各種の処理を施すことにより、超音波画像を生成する。
【0052】
このようにして生成された超音波画像は、本体側通信部21、ネットワークNWおよび遠隔装置側通信部31を経由して臓器検出部32と表示制御部33に送出される。
【0053】
ステップS3において、臓器検出部32は、ステップS2で生成された超音波画像を解析することにより、超音波画像内に含まれる被検体の臓器を検出する。この際に、臓器検出部32は、例えば、ディープラーニングの方法、テンプレートマッチングの方法、SVMおよびadaboost等を用いた機械学習手法等を用いて臓器を検出することができる。
【0054】
ステップS4において、図5に示すように、ステップS1で検出された超音波プローブ2の測定位置とステップS2で生成された超音波画像Uが遠隔装置4のモニタ35に表示される。図5の例では、超音波プローブ2の先端部の位置を表すプローブマークM1がステップS3で検出された被検体の臓器の模式図Dに重畳して表示されることにより、ステップS1で検出された超音波プローブ2の測定位置が示されている。
【0055】
この際に、例えば、遠隔装置制御部36は、複数の臓器の模式図を予め記憶しており、複数の臓器の模式図から、ステップS3で検出された被検体の臓器の模式図Dを選出し、さらに、ステップS1で検出された測定位置の情報に基づいて、測定位置に対応する模式図D上の位置にプローブマークM1を配置することができる。
【0056】
続くステップS5において、遠隔装置4の入力装置37を介して操作者により、ステップS3で検出された被検体の臓器を、超音波プローブ2を用いて測定する際の最適位置に対する、ステップS1で検出された超音波プローブ2の測定位置のスコアが入力される。この際に、遠隔装置4の操作者は、ステップS4で遠隔装置4のモニタ35に表示された超音波プローブ2の測定位置と超音波画像Uを観察することにより、現在の超音波プローブ2の測定位置が最適位置に対してどの程度近い位置に配置されているかを判断して、スコアを入力する。
【0057】
このスコアは、ステップS3で検出された臓器の測定において、その臓器を含む超音波画像Uが撮影された超音波プローブ2の測定位置の最適度合いを示す指標である。例えば、ステップS3で検出された臓器を含む超音波画像Uが撮影された超音波プローブ2の測定位置がその臓器を測定するための最適位置に近いほど大きいスコアが入力され、最適位置から遠いほど小さいスコアが入力される。
【0058】
また、スコアとして、例えば、数値が入力されることができる。また、例えば、測定位置が最適位置に近い順に、A、B、C、・・・等の文字が割り当てられることにより、スコアとして、これらの文字が入力されることもできる。
このようにして入力されたスコアの情報は、遠隔装置側通信部31、ネットワークNW、本体側通信部21、画像生成部22、表示制御部23を経由して診断装置本体3のモニタ24に送出される。
【0059】
ステップS6において、ガイド作成部34は、ステップS1で検出された超音波プローブ2の測定位置を表す情報と、ステップS3で検出された被検体の臓器の画像を用いて、超音波プローブ2の操作を測定者に対して案内するためのガイド情報を作成する。ガイド作成部34は、例えば、ステップS3で検出された臓器を、超音波画像Uにおいてより鮮明に描出するために、超音波プローブ2を移動すべき方向を測定者に案内する旨のガイド情報を作成することができる。
このようにして作成されたガイド情報は、遠隔装置側通信部31、ネットワークNW、本体側通信部21、画像生成部22および表示制御部23を経由してモニタ24に送出される。
【0060】
最後に、ステップS7において、ステップS5で入力されたスコアの情報とステップS6で作成されたガイド情報に基づいて、図6に示すように、スコアSとガイドG1が診断装置本体3のモニタ24に表示される。図6の例では、スコアSを表す数値と、「プローブを左に移動して下さい」というテキストからなるガイドG1がモニタ24に表示されている。被検体の臓器の測定を行う測定者は、このようにして表示されたスコアSとガイドG1を確認しながら超音波プローブ2を移動することにより、目的の臓器を測定するために最適な測定位置に超音波プローブ2を配置させて、超音波画像Uを撮影することが可能である。
【0061】
ここで、一般的に、ハンドヘルド型の診断装置本体と超音波プローブを有する超音波診断装置を用いて、在宅看護の現場等の、病院から離れた場所で被検体内の測定が行われる場合がある。このように、病院から離れた場所で被検体内の測定が行われる場合には、超音波診断装置に対する熟練度の低い測定者が被検体内の測定を行うために、被検体の測定が円滑に行われない場合があった。
【0062】
また、近年では、被検体に対して、その被検体内の断層を表す超音波画像を見せたくないという要求が高まっている。従来の超音波診断装置では、測定者は、現在、撮影されている超音波画像を確認しながら、目的とする部位の測定に最適な測定位置に超音波プローブを配置させる必要があり、この際に、被検体が超音波画像を見てしまうことがあった。
【0063】
本発明の実施の形態1に係る超音波診断システム1によれば、目的の臓器を超音波プローブ2により測定する際の最適位置に対する、超音波プローブ2の測定位置のスコアSが、医師等の熟練した操作者により入力されることができ、入力されたスコアSがモニタ24に表示され、且つ、生成された超音波画像Uはモニタ24に表示されないため、撮影された超音波画像Uが被検体に見られることを防ぎつつ、熟練度が低い測定者でも、ハンドヘルド型の診断装置本体3を用いて被検体内の目的の臓器の測定を円滑に行うことができる。
【0064】
なお、超音波プローブ2として、体腔内プローブの代わりに、被検体の体表上に配置された状態で超音波画像Uを撮影するための超音波プローブが用いられ得る。この場合でも、撮影された超音波画像Uが被検体に見られることを防ぎつつ、熟練度が低い測定者でも、ハンドヘルド型の診断装置本体3を用いて被検体内の目的の臓器の測定を円滑に行うことができる。しかしながら、超音波プローブ2として体腔内プローブが用いられる場合には、超音波プローブ2が被検体内に挿入されるため、測定者が超音波プローブ2の先端部を直接的に確認することが困難であるため、本発明がより有用である。
【0065】
そのため、例えば、本体制御部25により、超音波プローブ2として体腔内プローブが用いられたことが判定された場合に、ステップS1で検出された超音波プローブ2の測定位置の情報と、ステップS2で生成された超音波画像Uが、遠隔装置4に送信されることができる。例えば、本体制御部25は、図7に示すように、超音波プローブ2の種類を選択するためのボタンB1、B2およびB3をモニタ24に表示し、入力装置26を介して測定者により、体腔内プローブに対応するボタンB3を選択された場合に、ステップS1で検出された測定位置の情報とステップS2で生成された超音波画像Uを遠隔装置4に送信するように本体側通信部21に指令を送ることができる。
【0066】
図7の例では、「○○○(リニア)」の超音波プローブを選択するためのボタンB1、「×××(コンベックス)」の超音波プローブを選択するためのボタンB2および「△△△(経腟)」の超音波プローブを選択するためのボタンB3がモニタ24に表示されている。「○○○」、「×××」および「△△△」は、超音波プローブ2の型番、名称等の、超音波プローブ2の識別子である。
【0067】
また、本体制御部25により、体腔内プローブを使用する検査に対するプリセットが選択されたと判定された場合に、本体制御部25は、ステップS1で検出された測定位置の情報とステップS2で生成された超音波画像Uを遠隔装置4に送信するように本体側通信部21に指令を送ることもできる。ここで、プリセットとは、腹部の検査、婦人科の検査および産科の検査等の検査の種類に応じた、超音波画像Uを生成する際のゲイン等の画像化条件および超音波画像Uを表示する際のコントラスト等の画像表示条件を含む、予め設定された条件の組である。
【0068】
本体制御部25は、例えば、図8に示すように、腹部用のプリセットを選択するためのボタンB4、婦人科用のプリセットを選択するためのボタンB5、産科用のプリセットを選択するためのボタンB6をモニタ24に表示し、入力装置26を介して測定者により、体腔内プローブを使用する婦人科用のプリセットを選択するためのボタンB5が選択された場合に、ステップS1で検出された測定位置の情報とステップS2で生成された超音波画像Uを遠隔装置4に送信するように本体側通信部21に指令を送ることができる。
【0069】
また、ステップS7において、スコアSが数値としてモニタ24に表示される例が説明されているが、スコアSの表示方法は、特にこれに限定されない。
【0070】
本体制御部25は、例えば図9に示すように、スコアSを色で示すためのスコアマークRをモニタ24に表示し、スコアSの値によってスコアマークRの表示色を変更することで、スコアSを色分けによりモニタ24に表示することができる。本体制御部25は、例えば、測定位置が最適位置に近い順に、青色、黄色および赤色を割り当てて、遠隔装置4の入力装置37を介した操作者の入力操作に応じて、スコアマークRを青色、黄色または赤色に表示させることができる。
また、本体制御部25は、スコアマークRの色を変更する代わりに、診断装置本体3のモニタ24の全体すなわち背景の表示色を変更することもできる。
【0071】
また、本体制御部25は、例えば図10に示すように、遠隔装置4の入力装置37を介した操作者の入力操作に応じて、スコアSをメータPで表すこともできる。図9の例では、メータPは、針部Qを含んでおり、針部Qが左の「悪」に近い位置に配置されているほどスコアSが低いことを示し、針部Qが右の「良」に近い位置に配置されているほどスコアSが高いことを示す。
【0072】
また、「プローブを左に移動して下さい」というテキストからなるガイドG1がモニタ24に表示されることが説明されているが、ガイドG1としては、超音波プローブ2を上下または左右に移動することを促す内容だけではなく、超音波プローブ2を特定の方向に回転させることを促す内容が含まれていてもよい。
【0073】
また、テキストからなるガイドG1がモニタ24に表示されることに限定されず、例えば、図11に示すように、超音波プローブ2を表す画像F1と、超音波プローブ2を回転すべき方向を示す矢印F2が、測定者に対するガイドとしてモニタ24に表示されることもできる。なお、図示しないが、超音波プローブ2を回転すべき方向を示す矢印F2の代わりに、超音波プローブを移動すべき方向を示す矢印がモニタ24に表示されることもできる。
【0074】
このようにして、超音波プローブ2を回転すべき方向または移動すべき方向が超音波プローブ2を表す画像F1と矢印F1がモニタ24に表示されることにより、測定者は、超音波プローブ2を回転すべき方向または移動すべき方向を、より明確に把握することができる。
【0075】
また、ステップS6においてガイド情報が作成され、ステップS7においてガイド情報に基づいたガイドG1がモニタ24に表示されているが、スコアSとガイドG1のうちスコアSのみがモニタ24に表示されてもよい。この場合でも、測定者は、診断装置本体3のモニタ24に表示されたスコアSを確認しながら超音波プローブ2を移動することにより、目的とする部位の測定に最適な測定位置に超音波プローブ2を配置させることが可能である。
【0076】
また、ステップS1で検出された超音波プローブ2の測定位置を遠隔装置4のモニタ35に表示する例として、図5のように、超音波プローブ2の測定位置を示すプローブマークM1が臓器の模式図Dに重畳されることが説明されているが、超音波プローブ2の測定位置を遠隔装置4のモニタ35に表示する方法は、特にこれに限定されない。
【0077】
例えば、遠隔装置制御部36は、ステップS1で検出された超音波プローブ2の測定位置と、ステップS3で検出された臓器の画像に基づいて、臓器に対する超音波プローブ2の向きを算出し、図12に示すように、算出された超音波プローブ2の向きとその測定位置の双方を表す矢印形状のプローブマークM2を、臓器の模式図Dに重畳させることができる。これにより、遠隔装置4の操作者は、目的の臓器に対する超音波プローブ2の位置と向きを容易に把握して、より精確なスコアSを入力することが可能である。
【0078】
ここで、例えば、超音波プローブ2の先端部と後端部のそれぞれに磁気センサを取り付けることにより、遠隔装置制御部36は、超音波プローブ2の後端部の位置から超音波プローブ2の先端部の位置に向かう方向を、超音波プローブ2の向きとして算出することもできる。
また、位置センサ14がジャイロセンサを含む場合には、ジャイロセンサを用いて超音波プローブ2の向きを検出することができる。
【0079】
また、遠隔装置4の入力装置37を介して操作者により、被検体の臓器の測定を行う測定者を支援するためのコメントが入力され、入力されたコメントが診断装置本体3のモニタ24に表示されることもできる。この場合に、本体制御部25は、例えば、ガイドG1の表示色を、操作者により入力されたコメントの表示色よりも薄くする等、操作者により入力されたコメントを、ガイド作成部34により作成されたガイドG1よりも優先してモニタ24に表示させることができる。
【0080】
また、ガイドG1が診断装置本体3のモニタ24に既に表示されている状態において、遠隔装置4の入力装置37を介して遠隔装置4の操作者によりコメントが入力された場合に、本体制御部25は、操作者により入力されたコメントを解析し、そのコメントが、「超音波プローブを右に移動して下さい」等の、超音波プローブ2の操作を案内する内容であるか否かを判定することができる。操作者により入力されたコメントが超音波プローブ2の操作を案内する内容であると判定された場合に、本体制御部25は、例えば、ガイドG1の代わりに、操作者により入力されたコメントを診断装置本体3のモニタ24に表示させることができる。
【0081】
なお、操作者により入力されたコメントの解析は、遠隔装置4の遠隔装置制御部36により行われた後で診断装置本体3Aに送信されてもよく、図示しないサーバ装置により行われた後で診断装置本体3Aに送信されてもよい。
このようにして、遠隔装置4の操作者によるコメントが診断装置本体3のモニタ24に表示されることで、より的確に測定者の支援を行うことが可能である。
【0082】
また、遠隔装置制御部36が複数の臓器の模式図Dを記憶していることが説明されているが、例えば、診断装置本体3に、複数の臓器の模式図Dを記憶している図示しないメモリが備えられ、遠隔装置制御部36からの指令により、臓器検出部32により検出された臓器の模式図Dが、本体側通信部21、ネットワークNW、遠隔装置側通信部31および表示制御部33を経由してモニタ35に表示されることもできる。また、例えば、図示しない複数の臓器の模式図Dを記憶するサーバ装置を設け、このサーバ装置から遠隔装置4に模式図Dが送信されてもよい。
【0083】
また、臓器の模式図Dとして、被検体に対するプレスキャンにより取得された再構成像が使用されてもよい。プレスキャンとは、被検体の臓器の測定が行われる前に、測定に使用する超音波プローブ2を用いて被検体内の様子を大雑把に確認するために行われるスキャンのことである。例えば、遠隔装置制御部36は、特開2002-209890号公報に開示される技術を用いて、撮影された複数フレームの超音波画像Uに基づいて、目的とする臓器の3次元のボクセルデータを生成することにより、再構成像を生成することができる。
【0084】
実施の形態2
実施の形態1では、スコアSを表す数値とテキストからなるガイドG1がモニタ24に表示される例が示されているが、被検体に超音波画像Uが見られることを防ぎ、且つ、測定者がより円滑に測定を行うために、現在測定している臓器の模式図Dがモニタ24に表示されてもよい。
【0085】
図13に、実施の形態2に係る超音波診断システム1Aの構成を示す。超音波診断システム1Aは、図1に示す実施の形態1の超音波診断システム1において、診断装置本体3の代わりに診断装置本体3Aを備えている。
【0086】
診断装置本体3Aは、実施の形態1における診断装置本体3において、モード選択部48が追加され、本体制御部25の代わりに本体制御部25を備えたものである。モード選択部48は、本体制御部25Aおよび入力装置26に接続されている。また、本体側プロセッサ27の代わりに、モード選択部48を含む本体側プロセッサ27Aが構成されている。
【0087】
本体制御部25は、複数の臓器の模式図を記憶しており、遠隔装置4の臓器検出部32により検出された臓器の模式図を選出して、図13に示すように、その模式図Dをモニタ24に表示する。図14には、スコアSと一緒に、被検体の子宮の模式図Dがモニタ24に表示されている。
測定者は、モニタ24に表示された模式図Dを確認することにより、現在、どの臓器の超音波画像Uが実際に撮影されているかを容易に把握することができる。
【0088】
また、モード選択部48は、診断装置本体3Aの入力装置26を介した測定者の入力操作に基づいて、図15に示すような、超音波画像Uがモニタ24に表示される第1モードと、図14に示すような、臓器の模式図DおよびスコアSが表示される第2モードのいずれかを選択する。例えば、モード選択部48は、測定者の入力操作に基づいて、被検体に超音波画像Uが見られてしまうおそれが低く、且つ、超音波画像Uを確認したい場合に第1モードを選択し、被検体に超音波画像Uが見られてしまうおそれが高い場合に第2モードを選択することができる。
【0089】
なお、第1モードにおいて、超音波画像Uの他に、超音波診断システム1Aの操作を行うための操作アイコンJ1~J5がモニタ24に表示され得る。例えば、操作アイコンJ1は、検査モードを切り替えるためのものであり、操作アイコンJ2は、一定時間内に連続して生成された複数フレームの超音波画像Uを保存するためのものであり、操作アイコンJ3は、超音波画像Uをモニタ24にフリーズ表示するためのものであり、操作アイコンJ4は、いわゆるゲインと深さを変更するためのものであり、操作アイコンJ5は、その他の図示しない複数の操作アイコンをモニタ24に表示するためのものである。
【0090】
以上から、本発明の実施の形態2に係る超音波診断システム1Aによれば、測定者が、モニタ24に表示された臓器の模式図Dを確認して、現在、測定されている臓器を容易に把握することができるため、測定者は、より円滑に被検体の臓器の測定を行うことができる。
【0091】
また、入力装置26を介した測定者の入力操作により、超音波画像Uが表示される第1モードと、臓器の模式図DおよびスコアSが表示される第2モードが切り替わるため、被検体に超音波画像Uが見られてしまうことを防ぎつつ、測定者が超音波画像Uを確認することが可能であり、これによっても、測定者は、より円滑に被検体の臓器の測定を行うことができる。
【0092】
なお、本体制御部25Aが複数の臓器の模式図Dを記憶していることが説明されているが、例えば、遠隔装置4の遠隔装置制御部36に複数の臓器の模式図Dが記憶されていてもよい。この場合に、例えば、本体制御部25Aからの指令により、臓器検出部32により検出された臓器の模式図Dが、遠隔装置制御部36から、遠隔装置側通信部31、ネットワークNW、本体側通信部21、画像生成部22および表示制御部23を経由してモニタ24に表示されることができる。
【0093】
また、臓器の模式図Dとして、被検体に対するプレスキャンにより取得された再構成像が使用されてもよい。例えば、本体制御部25Aは、特開2002-209890号公報に開示される技術を用いて、撮影された複数フレームの超音波画像Uに基づいて、目的とする臓器の3次元のボクセルデータを生成することにより、再構成像を生成することができる。
また、例えば、診断装置本体3Aで再構成像を生成する代わりに、遠隔装置4の遠隔装置制御部36が再構成像を生成してもよい。
【0094】
また、臓器の模式図Dに重畳して、位置センサ14により検出された超音波プローブ2の測定位置がモニタ24に表示されることもできる。
例えば、本体制御部25Aは、図16に示すように、超音波プローブ2の先端部の位置を表すプローブマークM1を臓器の模式図Dに重畳させることができる。これにより、測定者は、目的の臓器に対する超音波プローブ2の位置を容易に把握することができる。
【0095】
また、この際に、ガイド作成部34は、目的の臓器を精度よく測定するために超音波プローブ2を移動すべき方向を、矢印G2により示すことができる。測定者は、矢印G2を確認することにより、目的の臓器の測定に最適な測定位置に超音波プローブ2を容易に移動することが可能である。
【0096】
また、本体制御部25Aは、例えば、臓器検出部32により検出された臓器の画像と、位置センサ14により検出された超音波プローブ2の測定位置に基づいて、臓器に対する超音波プローブ2の向きを算出し、図17に示すように、算出された超音波プローブ2の向きとその測定位置の双方を表す矢印形状のプローブマークM2を、臓器の模式図Dに重畳させることができる。
【0097】
また、一般的に、超音波プローブの側部には、超音波プローブの回転方向を測定者に把握させるためのオリエンテーションマークが配置されていることが多い。このオリエンテーションマークが模式図D上に配置されたプローブマークM2の左右のいずれに配置されているかを示すために、プローブマークM2の右側または左側に、回転方向マークKが表示され得る。
【0098】
この際に、本体制御部25Aは、例えば、超音波画像Uの深さ方向に直交する方向における両端部のいずれがオリエンテーションマークの配置位置に対応しているかを記憶しており、画像生成部22により生成された超音波画像Uを解析することにより、模式図D上に配置される回転方向マークKの位置を算出することができる。
なお、図17では、星形の回転方向マークKが示されているが、回転方向マークKの形状は、これに限定されず、任意の形状を有することができる。
このようにして、超音波プローブ2の向きとその測定位置の双方がプローブマークM2で示されることにより、測定者は、目的の臓器に対する超音波プローブ2の位置と向きを容易に把握することができる。
【0099】
また、例えば、超音波プローブ2の先端部と後端部のそれぞれに位置センサ14を取り付けることにより、本体制御部25Aは、超音波プローブ2の後端部の位置から超音波プローブ2の前端部の位置に向かう方向を、超音波プローブ2の向きとして算出することもできる。
【0100】
このようにして、矢印形状のプローブマークM2が臓器の模式図Dに重畳される場合に、ガイド作成部34は、目的の臓器を精度よく測定するために超音波プローブ2を回転させるべき回転方向を、矢印G3により示すことができる。測定者は、矢印G3を確認することにより、目的の臓器の測定に最適な角度に超音波プローブ2を容易に回転することが可能である。
【0101】
また、模式図Dに重畳して、プローブマークM1またはM2が表示される代わりに、位置センサ14により検出された測定位置に対応する模式図D上の位置に、図11に示すような超音波プローブ2の画像F1が表示されることもできる。
【符号の説明】
【0102】
1,1A 超音波診断システム、2 超音波プローブ、3,3A 診断装置本体、4 遠隔装置、11 振動子アレイ、12 送受信回路、13 プローブ側通信部、14 位置センサ、15 プローブ制御部、21 本体側通信部、22 画像生成部、23 表示制御部、24,35 モニタ、25,25A 本体制御部、26,37 入力装置、27 本体側プロセッサ、31 遠隔装置側通信部、32 臓器検出部、33 表示制御部、34 ガイド作成部、36 遠隔装置制御部、38 遠隔装置側プロセッサ、41 パルサ、42 増幅部、43 AD変換部、44 ビームフォーマ、45 信号処理部、46 DSC、47 画像処理部、48 モード選択部、B1~B6 ボタン、D 模式図、F1 画像、F2,G2,G3 矢印、G1 ガイド、J1~J5 操作アイコン、K 回転方向マーク、M1,M2 プローブマーク、NW ネットワーク、P メータ、Q 針部、R スコアマーク、S スコア、U 超音波画像。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17