(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】バイパス・ゲート式トランジスタを備える高出力MMICデバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240814BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240814BHJP
H01L 21/8232 20060101ALI20240814BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240814BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240814BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240814BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20240814BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20240814BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20240814BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20240814BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240814BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240814BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20240814BHJP
H03F 3/213 20060101ALI20240814BHJP
H03F 3/60 20060101ALI20240814BHJP
H03F 3/195 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01L27/04 P
H01L27/06 F
H01L27/04 D
H01L27/06 102A
H01L27/088 D
H01L21/82 W
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L21/90 B
H01L29/58 Z
H03F3/213
H03F3/60
H03F3/195
(21)【出願番号】P 2023035192
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2021131203の分割
【原出願日】2018-05-03
【審査請求日】2023-03-08
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、サイモン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ミリガン、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】フラワーズ、ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ファレル、ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】フェイド、カーレッド
【審査官】石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-297849(JP,A)
【文献】特開平11-045891(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0313653(US,A1)
【文献】特開2002-299351(JP,A)
【文献】特開2009-111016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0102077(US,A1)
【文献】特開2001-094094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/8232
H01L 21/8234
H01L 21/82
H01L 21/338
H01L 21/768
H01L 27/04
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 29/423
H03F 3/213
H03F 3/60
H03F 3/195
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在し、当該第1の方向と直交する第2の方向に互いに間隔を空けて配置された複数のゲート・フィンガと、
ゲート
・バスと、
前記ゲート
・バスと前記複数のゲート・フィンガのうちの第1のゲート・フィンガの第1のセグメントとの間に介在される第1の抵抗器と、
前記ゲート
・バスと前記第1のゲート・フィンガの第2のセグメントとの間に介在される第2の抵抗器と、
を備える、トランジスタ。
【請求項2】
前記ゲート・バスを前記第1のゲート・フィンガの前記第2のセグメントに電気的に接続するゲート・ジャンパをさらに備える、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項3】
前記第2の抵抗器は、前記ゲート・バスと前記ゲート・ジャンパの間に介在されることを特徴とする請求項2記載のトランジスタ。
【請求項4】
ソース接点をさらに有し、前記ゲート・ジャンパが前記ソース接点上に延在していることを特徴とする
請求項2または3に記載のトランジスタ。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載のトランジスタにおいて、前記第1のゲート・フィンガの前記第1のセグメントと前記第2
のセグメントは、間隙領域によって前記第1の方向に互いに分離されていることを特徴とするトランジスタ。
【請求項6】
前記ゲート
・ジャンパ
と前記第1ゲート・フィンガの前記第2セグメントとの間に延在するゲート信号分配バーをさらに備える、請求項2に記載のトランジスタ。
【請求項7】
前記ゲート信号分配バーは、前記第2の方向に延在することを特徴とする請求項6に記載のトランジスタ。
【請求項8】
前記第2の抵抗器は、前記ゲート信号分配バーに沿って介在されることを特徴とする請求項6に記載のトランジスタ。
【請求項9】
前記第2の抵抗器は、前記第1のゲート・フィンガの前記第2のセグメントの第1の端部に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項10】
前記第1抵抗器は、前記ゲート・バスと前記複数のゲート・フィンガにおける第2のゲート・フィンガの第1のセグメントとの間にも介在されることを特徴とする請求項2に記載のトランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明する本発明の概念は、マイクロ電子デバイスに関し、より詳細には、単位セル・ベースの構造を有する高電力高周波トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線周波数(500MHz)、Sバンド(3GHz)、及びXバンド(10GHz)などの高周波数で動作しながら、高電力の処理能力を必要とする電気回路が、より普及している。高電力、高周波回路の増加により、それに対応して、無線周波数及びマイクロ波周波数で確実に動作可能で、それでもなお、より高い電力負荷を処理できるトランジスタの需要が増加してきた。
【0003】
増大した出力電力を提供するために、より大きいゲート周辺部を備えるトランジスタが開発されてきた。トランジスタの実効ゲート周辺部を増加させる1つの技法は、並列に接続された複数のトランジスタ・セルを設けることである。たとえば、高電力トランジスタは、
図1に示すように、それぞれの細長いソース接点とドレイン接点との間で並列に延在する複数のゲート・フィンガを備えることができる。
【0004】
特に、
図1は、半導体構造体20上にゲート・パッド12と、ソース・パッド22と、ドレイン・パッド32とを備える、従来のトランジスタ構造10の金属レイアウトを示す。
図1は、デバイスの平面図である(すなわち、デバイスを上から見下ろしている)。
図1に示すように、従来のトランジスタ10では、ゲート・パッド12は、ゲート・バス14を通って第1の方向(たとえば、
図1に示すy方向)に並列に延在する、複数のゲート・フィンガ16に接続される。ソース・パッド22は、ソース・バス24を介して複数の並列のソース接点26に接続され、ドレイン・パッド32は、ドレイン・バス34を介して複数のドレイン接点36に接続される。各ゲート・フィンガ16は、一対の隣接するソース接点26とドレイン接点36との間を、y方向に沿って走る。トランジスタ10の単位セルを枠40で示しており、隣接するソース接点26とドレイン接点36との間に延在するゲート・フィンガ16を備える。「ゲート長」は、x方向のゲート金属化部の距離を指し、一方「ゲート幅」は、ソース接点26及びドレイン接点26がy方向に並行する距離である。すなわち、ゲート・フィンガ16の「幅」は、隣接するソース接点26/ドレイン接点36に並列に延在するゲート・フィンガ16の寸法(y方向に沿った距離)を指す。デバイスのゲート周辺部は、デバイス10の各ゲート・フィンガ16のゲート幅の合計を指す。
【0005】
単位セルを追加することに加えて、多セル・トランジスタ・デバイスのゲート周辺部を、ゲート・フィンガをより広くする(つまり、y方向に長くする)ことにより増加させることができる。ただし、デバイスのゲート・フィンガがより広くなると、デバイスの高周波性能が悪影響を受ける可能性がある。さらに、ゲート・フィンガをより広くすることは、通常、ゲート・フィンガが増加した電流密度を処理する必要があることを意味し、ゲート・フィンガ金属化部のエレクトロマイグレーションを引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2002/0066908(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2002/0167023(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2004/0061129号
【文献】米国特許第7,906,799号
【文献】米国特許第6,316,793号
【文献】米国特許出願公開第2003/0102482(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施例によるトランジスタ・デバイスは、第1の方向に延在するソース接点と、第1の方向に延在しソース接点に隣接するゲート・フィンガと、ゲート・フィンガに隣接するドレイン接点とを備える。ゲート・フィンガは、ドレイン接点とソース接点との間にある。ゲート・パッドは、ゲート・フィンガに沿った複数の箇所で、ゲート・フィンガに電気的に接続される。
【0008】
このデバイスは、第1の方向に延在し、ゲート・パッドに導電的に接続されたゲート・ジャンパをさらに備える。ゲート・パッドは、ゲート・ジャンパを介して、ゲート・フィンガに沿った複数の箇所のうちの少なくとも1箇所に導電的に接続される。
【0009】
このデバイスは、ゲート・ジャンパ及びゲート・フィンガに接続されたゲート・バスと、ゲート・バスから第1の方向に間隔を空けて配置され、ゲート・ジャンパをゲート・フィンガに接続するゲート信号分配バーとをさらに備えることができる。
【0010】
さらなる実施例によるトランジスタ・デバイスは、ゲート・パッドと、ゲート・フィンガ上の第1の位置でゲート・パッドと導電的に接触し、第1の方向に延在するゲート・フィンガと、ゲート・パッドと導電的に接触し、第1の方向に延在するゲート・ジャンパとを備える。ゲート・ジャンパは、ゲート・パッドで受信したゲート信号がゲート・フィンガに第1の位置及び第2の位置で印加されるように、第1の位置から間隔を空けて配置されたゲート・フィンガ上の第2の位置でゲート・フィンガと導電的に接続される。
【0011】
さらなる実施例によるトランジスタ・デバイスは、ゲート・バスと、ゲート・バスと接触し、第1の方向に延在するゲート・フィンガと、ゲート・バスと接触し、第1の方向に延在するゲート・ジャンパとを備え、ここでゲート・ジャンパは、第1の方向にゲート・バスから間隔を空けて配置されたゲート・フィンガに沿った位置で、ゲート・フィンガと導電的に接触する。
【0012】
さらなる実施例によるトランジスタ・デバイスは、基板と、基板上のゲート・バスと、基板上で第1の方向に延在する第1及び第2のソース接点セグメントとを備える。第1及び第2のソース接点セグメントは、間隙によって第1の方向に互いに分離される。デバイスは、基板上でゲート・バスに接続されたゲート・フィンガをさらに備える。ゲート・フィンガは、第1の方向に延在し、ソース接点セグメントに隣接する。デバイスは、基板上でゲート・フィンガに隣接するドレイン接点をさらに備え、ここでゲート・フィンガは、ドレイン接点とソース接点セグメントとの間にあり、ゲート・ジャンパはゲート・バスに接続され、ここでゲート・ジャンパは、ソース接点セグメントを覆って設けられ、第1の方向に延在し、
ゲート信号分配バーは基板上で第1のソース接点セグメントと第2のソース接点セグメントとの間隙からゲート・フィンガへ延出する。ゲート信号分配バーは、第1の方向にゲート・バスから間隔を空けて配置されたゲート信号分配箇所でゲート・フィンガに接触し、ゲート信号分配バーは、ゲート・ジャンパに導電的に接続される。
【0013】
さらなる実施例によるトランジスタは、第1の軸に沿って延在するドレイン接点と、第1の軸に平行な第2の軸に沿って延在するソース接点と、ソース接点とドレイン接点との間に延在するゲート・フィンガと、ゲート・フィンガに電気的に接続され、空間を空けて配置される複数のゲート抵抗器とを備える。少なくとも第1のゲート抵抗器は、トランジスタを上から見たときに、ゲート・フィンガの第1の端部と第2の端部との間にある、第1の軸と第2の軸との間の領域の一部に配置される。
【0014】
ある実施例では、ゲート・フィンガは、互いに電気的に接続された複数の不連続な同一直線上のゲート・フィンガ・セグメントを備えることができる。トランジスタは、ゲート・バスと第1のゲート・フィンガ・セグメントとの間に電気的に接続されたゲート・ジャンパをさらに備えることができる。第1のゲート抵抗器は、ゲート・ジャンパと第1のゲート・フィンガ・セグメントとの間の電気経路に沿って、挿置することができる。トランジスタは、ゲート・ジャンパと第1のゲート・フィンガ・セグメントとの間の電気経路に沿って挿置される、第1のゲート信号分配バーも備えることができる。第1のゲート抵抗器は、第1のゲート信号分配バーと第1のゲート・フィンガ・セグメントとの間の電気経路に沿って、挿置することができる。各ゲート・フィンガ・セグメントは、それぞれのゲート分割の一部であってもよく、トランジスタは、2つの隣接するゲート分割間に配置される奇モード抵抗器(odd mode resistor)をさらに備えることができる。
【0015】
ある実施例では、ソース接点は、複数の同一直線上の不連続なソース接点セグメントを備え、ゲート・ジャンパはソース接点を覆って延在する。第1のゲート信号分配バーは、2つの隣接するソース接点セグメントの間隙内に延在することができる。奇モード抵抗器は、第1のゲート信号分配バーと、第1のゲート信号分配バーと同一直線上にある第2のゲート信号分配バーとの間に挿置され得る。さらに、トランジスタは、ゲート・ジャンパがそれを覆って延在しない、同一直線上の不連続な複数のソース接点セグメントを具備する第2のソース接点を備えることができ、奇モード抵抗器は、この第2のソース接点のソース接点セグメントのうちの2つの隣接するものの間にあり得る。
【0016】
さらに別の実施例によるトランジスタは、第1の方向に延在するソース接点と、第1の方向に延在するゲート・ジャンパと、互いに同一直線上にあり得る複数の不連続なゲート・フィンガ・セグメントとを具備するゲート・フィンガを備える。トランジスタは、ゲート・ジャンパに電気的に接続され、間隔を空けて配置された複数のゲート抵抗器をさらに備える。第1のゲート・フィンガ・セグメントは、第1のゲート抵抗器を介してゲート・ジャンパに接続される。
【0017】
ある実施例では、ソース接点は、複数の不連続なソース接点セグメントを備え、第1のゲート抵抗器は、2つの隣接するソース接点セグメントの間隙内にある。ゲート・ジャンパは、ソース接点セグメントの少なくとも一部を覆って延在し得る。トランジスタは、ゲート・フィンガがソース接点及びドレイン接点の間に延在するように、ゲート・フィンガに隣接して第1の方向に延在するドレイン接点と、ドレイン接点がゲート・フィンガ及び第2のゲート・フィンガの間に延在するように、第1の方向に延在し、不連続で同一直線上にある複数のゲート・フィンガ・セグメントを具備する第2のゲート・フィンガと、第2のゲート・フィンガに隣接して第1方向に延在する不連続な複数のソース接点セグメントを具備する第2のソース接点とをさらに備える。奇モード抵抗器は、第2のソース接点の2つの隣接するソース接点セグメントの間隙内に設けられ得る。
【0018】
ゲート信号分配バーは、ゲート・ジャンパと第1のゲート・フィンガの第1のゲート・フィンガ・セグメントとの間、並びにゲート・ジャンパと第2のゲート・フィンガの第1のゲート・フィンガ・セグメントとの間に延在することができる。ゲート信号分配バーは、ソース接点の2つの隣接するソース接点セグメントの間隙内に配置され得る。奇モード抵抗器は、ゲート信号分配バーと、さらなる複数のゲート・フィンガのゲート・フィンガ・セグメントを第2のゲート・ジャンパに接続する、第2のゲート信号分配バーとの間に接続され得る。
【0019】
さらなる実施例によるトランジスタは、第1の方向に延在し、第1の方向と直角をなす第2の方向に互いに間隔を空けて配置される複数のゲート・フィンガを備える。ゲート・フィンガはそれぞれ、少なくとも間隔を空けてほぼ同一直線上に配置された第1及び第2のゲート・フィンガ・セグメントを備え、ここで第1のゲート・フィンガ・セグメントは、第2の方向に延在する間隙領域によって、第2のゲート・フィンガ・セグメントから第1の方向へ分離される。抵抗器が間隙領域内に配置される。
【0020】
ある実施例では、トランジスタは、第1の方向に延在する複数のソース接点であって、各ソース接点は、複数の不連続なソース接点セグメントを具備し、各ソース接点は、ゲート・フィンガのそれぞれのペアのゲート・フィンガ間に延在するソース接点と、第1の方向に延在する複数のドレイン接点であって、各ドレイン接点は、ゲート・フィンガのそれぞれのペア間に延在するドレイン接点とをさらに備える。ゲート・バスを、ゲート・フィンガに電気的に接続することができ、ゲート・ジャンパを、ゲート・バスに電気的に接続することができ、ここでゲート・ジャンパは、ゲート・フィンガ・セグメントの少なくとも一部とゲート・バスとの間の電気経路に沿って挿置される。
【0021】
ある実施例では、抵抗器は、ソース接点の1つの、ソース接点セグメントのうちの2つの隣接するものの間に配置される奇モード抵抗器であり得る。他の実施例では、抵抗器は、ゲート・ジャンパと、第1のゲート・フィンガの第1のゲート・フィンガ・セグメントとの間の電気経路に沿って挿置されるゲート抵抗器であり得る。これらの実施例では、ゲート抵抗器は、ゲート・ジャンパと、第1のゲート・フィンガの第1のゲート・フィンガ・セグメントとの間に延在する第1のゲート信号分配バーに沿って挿置され得る。
【0022】
本発明のさらなる実施例によれば、その上に形成されたトランジスタ及び少なくとも1つの追加回路を具備する基板を備える、モノリシック・マイクロ波集積回路が提供される。トランジスタは、第1の方向に延在するドレイン接点と、ドレイン接点と並列に第1の方向に延在するソース接点と、ソース接点とドレイン接点との間で第1の方向に延在するゲート・フィンガと、第1の方向に延在するゲート・ジャンパとを備える。ソース接点は、第1の方向と直角をなす第2の方向に、ドレイン接点から間隔を空けて配置される。ゲート・ジャンパは、第1の方向に沿って互いに間隔を空けて配置される2箇所以上の位置で、ゲート・フィンガに導電的に接続する。第2の方向に広がり、第1の方向と直角をなす平面内のゲート・ジャンパの断面積は、この平面内のゲート・フィンガの断面積より少なくとも5倍大きい。ある実施例では、ゲート・ジャンパのこの断面積は、ゲート・フィンガの対応する断面積よりも10倍、20倍、又は30倍大きい場合さえある。
【0023】
ある実施例では、少なくとも1つの追加の回路はインピーダンス整合回路であり得る。またトランジスタは、高電子移動度トランジスタであり得る。
【0024】
ある実施例では、ゲート・フィンガは、ゲート・ジャンパを介して互いに電気的に接続される、物理的に不連続な複数のゲート・フィンガ・セグメントを備える。不連続なゲート・フィンガ・セグメントは、同一直線上にあり得る。
【0025】
ある実施例では、ゲート・ジャンパは、基板より上でゲート・フィンガとは相異なるレベルにあり得る。
【0026】
ある実施例では、ソース接点は、互いに電気的に接続される、不連続な複数のソース接点セグメントを備えることができる。かかる実施例では、ゲート・ジャンパは、ソース接点セグメントの少なくとも1つを覆って延在することができ、ソース接点から電気的に絶縁され得る。ゲート・ジャンパは、すべてのソース接点セグメントを覆って延在する必要はない。
【0027】
ある実施例では、モノリシック・マイクロ波集積回路は増幅器であり得る。この増幅器は、少なくとも1つの駆動段及び出力段を備えることができ、出力段は、少なくとも1つのトランジスタを備えることができる。
【0028】
ある実施例では、ゲート・ジャンパは、ドレイン接点、ソース接点、及び/又はゲート・フィンガのうちの少なくとも1つと、垂直に並行することができる。
【0029】
本発明のさらなる実施例によれば、その上に形成されたトランジスタ及び少なくとも1つの追加回路を具備する基板を備える、モノリシック・マイクロ波集積回路が提供される。少なくとも1つのトランジスタは、第1の方向に延在し、第1の方向と直角をなす第2の方向に互いに間隔を空けて配置された複数のゲート・フィンガを備え、ゲート・フィンガはそれぞれ、間隔を空けてほぼ同一直線上に配置され、互いに電気的に接続されている第1及び第2のゲート・フィンガ・セグメントを備え、ここで第1のゲート・フィンガ・セグメントは、第2のゲート・フィンガ・セグメントから、第2の方向に延在する間隙領域によって第1の方向に分離されている。ゲート・ジャンパは、ドレイン接点、ソース接点、及び/又はゲート・フィンガのうちの少なくとも1つと、垂直に並行することができる。
【0030】
ある実施例では、トランジスタは、第1の方向に延在する複数のソース接点であって、各ソース接点はゲート・フィンガのそれぞれのペア間に延在するソース接点と、第1の方向に延在する複数のドレイン接点であって、各ドレイン接点はゲート・フィンガのそれぞれのペアのゲート・フィンガ間に延在するドレイン接点とをさらに備える。モノリシック・マイクロ波集積回路は、ゲート・フィンガに電気的に接続されたゲート・バスと、ゲート・バスに電気的に接続されたゲート・ジャンパとをさらに備えることができ、ここでゲート・ジャンパは、第2のゲート・フィンガ・セグメントの少なくとも1つとゲート・バスとの間の電気経路に沿って挿置される。第2の方向に広がり、第1の方向と直角をなす平面内のゲート・ジャンパの断面積は、この平面内のゲート・フィンガの断面積より少なくとも5倍大きい。他の実施例では、ゲート・ジャンパのこの断面積は、ゲート・フィンガの対応する断面積よりも10倍、20倍、又は30倍大きい場合さえある。ゲート・ジャンパは、基板より上でゲート・フィンガとは相異なるレベルにあり得る。ゲート・ジャンパは、第1のソース接点の少なくとも一部を覆って延在することができる。ある実施例では、第1のソース接点は、複数の不連続なソース接点セグメントを備えることができる。かかる実施例では、ゲート・ジャンパは、ゲート・バスから最も遠いソース接点セグメントの1つを覆って延在しない場合がある。
【0031】
ある実施例では、少なくとも1つの追加回路は、インピーダンス整合回路であり得る。このモノリシック・マイクロ波集積回路は、増幅器を備える。この増幅器は、少なくとも1つの駆動段及び出力段を備えることができ、ここで出力段は、トランジスタを備える。
【0032】
ある実施例では、このトランジスタは、高電子移動度トランジスタであり得る。
【0033】
添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、この出願に組み込まれ、この出願の一部を構成し、本発明の特定の実施例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】従来の多セル・トランジスタの金属レイアウトの平面図である。
【
図2】ある実施例による、トランジスタの金属レイアウトの平面図である。
【
図4】
図2の線A-A’に沿って切り取った、
図2のトランジスタの部分断面図である。
【
図5】
図2のトランジスタのより大きいバージョンの平面図である。
【
図6】
図5のトランジスタの小さい部分の詳細平面図である。
【
図7A】
図2の線B-B’に沿って切り取った、トランジスタ・デバイスの単位セルの断面図である。
【
図7B】
図2の線C-C’に沿って切り取った、トランジスタ・デバイスの単位セルの断面図である。
【
図8】さらなる実施例による、トランジスタの金属レイアウトの平面図である。
【
図9A】
図8の線A-A’に沿って切り取った部分断面図である。
【
図9B】
図8の線B-B’に沿って切り取った部分断面図である。
【
図10】
図8のトランジスタのより大きいバージョンの平面図である。
【
図11】
図10のトランジスタの小さい部分の詳細平面図である。
【
図12】さらなる実施例による、トランジスタの金属レイアウトの平面図である。
【
図13】まだその上にさらなる実施例による、トランジスタの金属レイアウトの平面図である。
【
図14】やはり別の実施例による、トランジスタの金属レイアウトの平面図である。
【
図15】さらなる実施例による、トランジスタの金属レイアウトの平面図である。
【
図16】その上に形成された複数のMMICデバイスを備える、従来のウェハの概略図である。
【
図17】従来の2段MMIC増幅器の平面図である。
【
図18A】従来の2段MMIC増幅器の概略平面図である。
【
図18B】それぞれがセグメント化されたゲート・フィンガを具備する単位セルFETトランジスタを具備する、FET駆動段及びFET出力段を備えるMMIC増幅器の概略平面図である。
【
図19B】
図18Aの従来の2段MMIC増幅器と、本発明の実施例による2段MMIC増幅器との、相対的なサイズを比較する概略図である。
【
図20A】本発明のさらなる実施例による、いくつかの例示的なMMIC増幅器の概略図である。
【
図20B】本発明のさらなる実施例による、いくつかの例示的なMMIC増幅器の概略図である。
【
図20C】本発明のさらなる実施例による、いくつかの例示的なMMIC増幅器の概略図である。
【
図20D】本発明のさらなる実施例による、MMICスイッチの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の概念の実施例を、本発明の実施例を示す添付図面を参照しながら、以下でより十分に説明する。しかし、本発明の概念は、多くの相異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に示す実施例に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、こうした実施例は、この開示が充分且つ完全で、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えることになるよう提供される。同じ番号は、全体を通して同じ要素を指す。
【0036】
本発明の概念の実施例は、大きい実効ゲート幅を有する多セル・トランジスタ・デバイスを提供する。ゲート・フィンガの幅に沿った複数の位置でゲート・フィンガにゲート信号を供給することにより、トランジスタの高周波利得性能が向上し、通常広いゲート・フィンガに伴うエレクトロマイグレーションの懸念を、軽減することができる。ある実施例によれば、多セル・トランジスタ・デバイスのより大きいゲート幅は、単位セルのソース領域を覆って第2の金属層を追加し、ゲート・ジャンパとして機能させることにより適応することができる。ゲート・ジャンパは、ゲート・フィンガに沿った様々な位置でゲート・フィンガに接続され、ゲート・フィンガを複数のセグメントに効果的に分割する。ゲート・ジャンパを、ソース接点を覆って、その上に延在する金属の第2層を使って提供することができる。ゲート・ジャンパは、ゲート・パッドとゲート・フィンガ・セグメントの少なくとも一部との間に挿置されてもよく、ゲート・パッドをゲート・フィンガ・セグメントに電気的に接続することができる。ある実施例では、ゲート・ジャンパは、ソース接点を覆って、その上に延在するのではなく、ドレイン接点又はゲート・フィンガを覆って、その上に延在することができる。
【0037】
ゲート・フィンガをセグメントに効果的に分割し、ゲート・ジャンパを用いて各ゲート・フィンガ・セグメントにゲート信号を分配することによって、トランジスタの利得性能を向上させることができ、またエレクトロマイグレーションの懸念を軽減することができる。
【0038】
従って、本発明の概念の実施例は、ゲート・フィンガごとに複数の単位セルを直列に画定するトランジスタのレイアウトを提供する。個々に、各単位セルの実効ゲート幅は、より短い。ただし、単位セルは、直列に接続すると、単一のゲート・フィンガの有効幅を増やすことができる。直列に接続された単位セルのゲート・フィンガは、単位セルのソース接点の上を走る第2の金属ブリッジを用いて、ゲート・バスに接続される。金属ブリッジは、ソース接点間で、ソース接点間を基板の表面に沿って走り、ゲート・フィンガに接続する接続バーに接続される。
【0039】
本明細書で説明するレイアウトを有するトランジスタは、より高い周波数性能及びより大きい出力電力を有しながらも、同時に電流密度が低減され、デバイスの信頼性を向上することができる。
【0040】
本発明のさらなる実施例によれば、複数の直列ゲート抵抗器(本明細書では「ゲート抵抗器」とも呼ばれる)がデバイス全体に分散される、大きい実効ゲート幅を有する多セル・トランジスタが提供される。たとえば、トランジスタはセグメント化されたゲート・フィンガを備えることができ、各ゲート・フィンガ・セグメント又はゲート・フィンガ・セグメントのペアに対して直列ゲート抵抗器が提供され得る。この手法は、帰還ループを、高レベルの不安定性を回避させるのに十分な損失の大きさにすることにより、トランジスタ構造のゲート・フィンガ及びドレイン内の長い帰還ループを分断する。分散される直列ゲート抵抗器は、たとえば、ゲート・フィンガのゲート・フィンガ・セグメント間に設けられる間隙領域内に配置され得る。
【0041】
従って、ある実施例では、第1の軸に沿って延在するドレイン接点、第1の軸に平行な第2の軸に沿って延在するソース接点、及びソース接点とドレイン接点との間に延在するゲート・フィンガを備えるトランジスタが提供される。ゲート・フィンガは、1つ又は複数の他の構造体(たとえば、ゲート・ジャンパ)を使って互いに電気的に接続される、物理的に不連続で同一直線上にある複数のゲート・フィンガ・セグメントを備えることができる。トランジスタは、ゲート・フィンガに電気的に接続され、間隔を空けて配置された複数のゲート抵抗器をさらに備える。少なくとも1つのゲート抵抗器は、トランジスタを上から見たときに、ゲート・フィンガの第1の端部と第2の端部との間にある、第1の軸と第2の軸との間の領域の一部に配置される。ある実施例では、ゲート・ジャンパを、ゲート・フィンガに電気的に接続することができ、ゲート・ジャンパを、ゲート・バスに電気的に接続することができる。ゲート・ジャンパを、第1のゲート・フィンガ・セグメントとゲート・バスとの間の電気経路に沿って挿置することができ、第1のゲート抵抗器を、ゲート・ジャンパと第1のゲート・フィンガ・セグメントとの間の電気経路に沿って挿置することができる。
【0042】
他の実施例では、第1の方向に延在するソース接点と、第1の方向に延在するゲート・ジャンパと、第1の方向に延在する複数の不連続なゲート・フィンガ・セグメントを具備するゲート・フィンガとを備えるトランジスタが提供される。トランジスタは、そのそれぞれがゲート・ジャンパに電気的に接続され、間隔を空けて配置された複数のゲート抵抗器をさらに備える。第1のゲート・フィンガ・セグメントは、第1のゲート抵抗器を介してゲート・ジャンパに接続される。
【0043】
本発明のさらに別の実施例によれば、複数の奇モード抵抗器がデバイス全体に分散される、大きい実効ゲート幅を有する多セル・トランジスタが提供される。例示的な実施例では、奇モード抵抗器は、「ゲート分割」間に形成される間隙領域内に設けられてもよく、ここでゲート分割は、複数のゲート・フィンガ・セグメントが互いに並列に延在する領域を指す。トランジスタの安定性をさらに向上させるために、こうした間隔領域全体に奇モード抵抗器を分散することができる。上記のゲート抵抗器は、こうした間隙領域内に配置されてもよい。
【0044】
従って、さらなる実施例では、第1の方向に延在し、第1の方向と直角をなす第2の方向に互いに間隔を空けて配置された複数のゲート・フィンガを備え、ゲート・フィンガはそれぞれ、少なくとも間隔を空けてほぼ同一直線上に配置され、互いに電気的に接続されている第1及び第2のゲート・フィンガ・セグメントを備え、ここで第1のゲート・フィンガ・セグメントは、第2のゲート・フィンガ・セグメントから、第2の方向に延在する間隙領域によって第1の方向に分離されているトランジスタが提供される。少なくとも1つの抵抗器が、間隙領域内に配置される。少なくとも1つの抵抗器は、奇モード抵抗器及び/又は直列ゲート抵抗器であり得る。
【0045】
本発明の概念の実施例によるトランジスタは、従来のトランジスタと比較して、大きい実効ゲート幅を有し、増大した電力密度レベルに対応し、改善された周波数応答を示すことができる。さらに、ゲート直列抵抗器及び奇モード抵抗器が設けられている場合、これらの抵抗器は、トランジスタの動作周波数範囲に近い、又は動作周波数範囲内にある十分低い周波数で、好ましからざる信号を生成する可能性がある帰還ループの防止に役立つことができる。従って、このトランジスタは、安定性が増すことも示すことができ、従って、生産歩留まりを改善し、且つ/又は信頼性を向上させることができる。
【0046】
上記の実施例は、何らかのやり方で組み合わせられ得ることが理解されよう。たとえば、分散されたゲート抵抗器と分散された奇モード抵抗器との両方を備えるトランジスタを提供することができる。同様に、セグメント化されていないゲート・フィンガを備えるトランジスタは、分散されたゲート抵抗器及び分散された奇モード抵抗器のいずれか又は両方を備えることができる。
【0047】
本発明のさらに別の実施例によれば、1つ又は複数のバイパス・ゲート式トランジスタを使用するFETベースのMMICデバイスが実現される。たとえば、増幅器の1つ又は複数の段にバイパス・ゲート式トランジスタを使用するMMIC増幅器が実現される。例示的な実施例では、MMIC増幅器は入力インピーダンス整合ネットワークと、FET駆動段と、段間インピーダンス整合ネットワークと、FET出力段と、出力インピーダンス整合ネットワークとを備えることができる。少なくともFET出力段は、バイパス・ゲート式トランジスタを備えることができる。ゲート・バイパス・トランジスタは従来のFETトランジスタと比較してゲート幅を増加させ得るので、MMIC増幅器は、物理的により大きい、従って電力処理能力が向上したFET出力段を備えることができる。
【0048】
ここで、本発明の実施例による、バイパス・ゲート式トランジスタの例示的な実施例を、
図2~
図15を参照してより詳細に説明することにする。
【0049】
図2は、ある実施例による、トランジスタ100の金属レイアウトの平面図である。トランジスタは、以下でより詳細に説明する1つ又は複数のデバイス・エピタキシャル層を備える半導体構造120上に形成される。
図2のレイアウトは、理解を容易にするために簡略化されており、ゲート・バス114に接続されたゲート・パッド112、及びドレイン・バス134に接続されたドレイン・パッド132を備える。図を見やすくするために、ソース・パッド及びソース・バスは
図2から省略しているが、ソース・パッド及びソース・バスを
図5及び6に示す。
【0050】
複数のゲート・フィンガ116がゲート・バス114に接続され、y方向に延在する。同様に、複数のドレイン接点136がドレイン・バス134に接続され、ゲート・フィンガ116のそれぞれと並列に、隣接して延出する。
図2には4つのゲート・フィンガ116と3つのドレイン接点136だけを示しているが、トランジスタ100がもっとより多くのゲート・フィンガ116及びドレイン接点136を備え、従ってトランジスタが、多数の単位セルを備え得ることが理解されよう。
【0051】
ソース接点162も設けられ、ゲート・フィンガ116の隣接するものと並列に、y方向に延出する。ソース接点162は、y方向に、それぞれのソース接点セグメント162a、162b、及び162cに分割される。ソース接点セグメントは、デバイス構造全体に横方向に(x方向に)延在するソース接点バーによって接続され得る。ソース接点セグメント162a、162b、162cは、他の手段によって接続されてもよい。たとえば、各ソース接点セグメント162a、162b、162cを、たとえばデバイスのより低いレベルに配置される共通の導電層に電気的に接続する、ソース接点プラグを設けることができる。
【0052】
ソース接点セグメント162a~162cの隣接するものは、間隙162gによって分離されている。
図2は、ソース接点162ごとに3つのソース接点セグメント162a~162cを示しているが、本発明の概念はかかる構成に限定されず、ソース接点162は2つ以上のソース接点セグメント162a~162cを備え得ることが理解されよう。
【0053】
ゲート・フィンガ116は、ソース接点162の全長にわたってソース接点162と並列に延出することができる。ただしソース接点162は、ソース接点セグメント162a~162cに分割されるので、ソース接点セグメント162a、162b、及び162cは、ゲート・フィンガ116のそれぞれに対する複数の直列の単位セル40a、40b、40cを画定する。すなわち、各ゲート・フィンガ116は、ゲート・フィンガ116がそれに沿って延在する方向(y方向)にレイアウトされ、ゲート・フィンガ116の幅を画定する複数の単位セル40a、40b、40cのゲート接点として機能する。従って、各ゲート・フィンガ116がデバイス全体のゲート周辺部に寄与する全幅は、ゲート・フィンガ116がy方向に隣接するソース接点セグメント162a、162b、及び162cと並行する距離に等しい。
【0054】
トランジスタ100は、ゲート・フィンガ116と並列にy方向に沿って延在する複数のゲート・ジャンパ172をさらに備える。ゲート・ジャンパ172を、ソース接点162を覆って形成することができ、たとえば、誘電体層及び/又は空隙によってソース接点162から絶縁することができる。従って、各ゲート・ジャンパ172は、ソース接点162のそれぞれに「垂直に並行する」ことができ、これは、基板の主面と直角をなす軸が、各ゲート・ジャンパ172、及びソース接点162の少なくとも1つを通って延出することを意味する。他の実施例では、各ゲート・ジャンパ172は、以下でさらに詳細に説明するように、追加的且つ/又は代替的に、それぞれのドレイン接点126及び/又はそれぞれのゲート・フィンガ116に垂直に並行することができる。ゲート・ジャンパ172は、ゲート・バス114に電気的に接続され、ゲート・フィンガ116に沿った複数の位置で、各ゲート・フィンガ116をゲート・バス114に接続する。
【0055】
具体的には、ゲート・ジャンパ172は、デバイスの幅に沿った複数の位置に設けられ、ソース接点セグメント162a、162b、及び162cの隣接するものの間隙162g内で横方向(x方向)に延出する、ゲート信号分配バー174を介してゲート・フィンガ116に接続する。ゲート信号分配バー174は、それぞれのゲート信号分配点176でゲート・フィンガ116に接触する。従って、ゲート・パッド112に印加される電気信号(「ゲート信号」)は、ゲート・バス114に、次いでゲート・ジャンパ172に伝搬され、ゲート・ジャンパは、ゲート信号を、ゲート・フィンガ116の幅に沿った複数の位置(ゲート信号分配点176)でゲート・フィンガ116に分配する。各ゲート・フィンガ116の一端は、
図2に示すように、ゲート・バス114に直接接続することもできる。従って
図2の実施例では、ゲート・フィンガ116に、デバイスの全幅に対してゲート信号を伝搬させるのではなく、ゲート信号は、ゲート・バス114から各ゲート・フィンガ116上に進んでもよく、またゲート・ジャンパ172を通って、デバイスの幅の大部分にわたって伝搬され、次いで、デバイスの幅に沿った様々な位置でゲート・フィンガ116に分配されてもよい。
【0056】
ゲート・ジャンパ172は、ゲート・フィンガ116よりも大きい断面積を有することができ、従って、エレクトロマイグレーション及び高周波利得性能の低下などの、通常ゲート幅の増加に伴う問題なしに、ゲート・フィンガ116より大きい電流密度をよりよく処理することができる可能性がある。たとえば、ある実施例では、x軸方向及びz軸方向に広がる第1の平面(すなわち、x軸方向に広がり、y軸方向と直角をなす平面)におけるゲート・ジャンパ172の断面積は、第1の平面におけるゲート・フィンガ116の断面積より少なくとも5倍大きい。他の実施例では、第1の平面におけるゲート・ジャンパ172のこの断面積は、第1の平面におけるゲート・フィンガ116の対応する断面積よりも10倍、20倍、又は30倍大きい場合さえある。ゲート・ジャンパ172を、x軸方向及び/又はz軸方向のいずれかにゲート・フィンガ116よりもさらに広げることにより、ゲート・ジャンパ172が、ゲート・フィンガ116の断面積と比較して、このように増加した断面積を有するように設計できることが理解されよう。ある実施例では、ゲート・ジャンパ172を、x軸方向及び/又はz軸方向の両方に、ゲート・フィンガ116よりもさらに広がるように設計することは、最も好都合であり得る。たとえば、ある実施例では、x軸方向のゲート・ジャンパ172の長さは、x軸方向の対応するゲート・フィンガ116の長さの少なくとも2倍であり得る。他の実施例では、x軸方向のゲート・ジャンパ172の長さは、x軸方向の対応するゲート・フィンガ116の長さの少なくとも3倍であり得る。さらに他の実施例では、x軸方向のゲート・ジャンパ172の長さは、x軸方向の対応するゲート・フィンガ116の長さの少なくとも5倍であり得る。以下で論じる
図7Aは、第1の平面におけるゲート・ジャンパ172の断面積が、第1の平面におけるゲート・フィンガ116の断面積よりも、どのように大きくなり得るかを示している。
図7Aでは、ゲート・ジャンパ172の断面積は、おそらくゲート・フィンガ116の断面積よりも5倍大きい。上記のように、他の実施例では、断面積のこの差は、はるかにより大きくなり得る(たとえば、10倍、20倍、30倍、又は50倍の差となることさえある)。本明細書で開示するすべての実施例においてゲート・ジャンパは、対応するゲート・フィンガに対して、こうした拡大された断面積を有することができる。
【0057】
図3は、トランジスタ100の金属レイアウトの部分等角図であり、
図4は、
図2の線A-A’に沿って切り取った部分断面図である。
図3及び
図4を見て分かるように、ゲート・ジャンパ172は、ソース接点セグメント162a、162b、162c、ゲート・フィンガ116、ゲート・バス114、及びゲート信号分配バー174の金属レベルよりも高い金属レベルに形成される。ゲート・ジャンパ172は、垂直接点プラグ178によってゲート・バス114及びゲート信号分配バー174に接続される。
【0058】
ゲート・ジャンパ172、ゲート・バス114、垂直接点プラグ178、及びゲート信号分配バー174は、非常に低い抵抗値を有する銅又はアルミニウムなどの導電性材料で形成され得る。
【0059】
図5は、トランジスタ100のより大きいバージョンの平面図であり、
図6は、
図5の金属レイアウトの小さい部分150(すなわち、
図5の点線枠内の部分)の詳細平面図である。トランジスタ100は、縦(y方向)に延在する複数の単位セル40を備える。各単位セル40は、デバイスの全幅にわたって延在する1つのゲート・フィンガ116を備え、上記のように縦方向(y方向)に配置された直列の単位セル40a、40b、40cに細分される。
図5及び
図6に示す実施例では、各単位セル40は1120ミクロンの全幅を有し、直列の単位セル40a、40b、及び40cはそれぞれ370ミクロン、380ミクロン、及び370ミクロンの幅を有するが、本発明の概念はこうした特定の寸法に限定されない。このようにして、デバイスの実効ゲート幅を増加させることができる。
【0060】
図6を参照すると、ゲート・パッド112及びゲート・バス114が構造体の一端に設けられ、一方ドレイン・パッド132とドレイン・バス134が構造体の他端に設けられている。ソース・パッド122は、構造体の側部に設けられ、ソース・バス124に接続されている。ソース・バス124は、ソース接点セグメント162a、162b、162cに接触するように、横方向(x方向)に延在する複数のソース接点バーに接続されている。上記のように、ソース接点セグメント162a、162b、162cを、各ソース接点セグメント162a、162b、162cを共通の導電層に電気的に接続するソース接点プラグの使用によるなど、他のやり方で電気的に接続することができる。
【0061】
図6における、トランジスタ100のデバイス・レイアウトの一部150の詳細図も、ゲート・フィンガ116、ゲート・ジャンパ172、ゲート信号分配バー174、及びゲート信号分配バー174がゲート・フィンガ116に接触するゲート信号分配点176を示している。
【0062】
図7Aは、
図2の線B-B’に沿って切り取ったトランジスタ・デバイス100の単位セル40の断面図である。
図7Bは、
図2の線C-C’に沿って切り取った単位セル40の断面図である。
図7A~
図7Bに示すように、トランジスタ構造体100は、たとえば、4H-SiC又は6H-SiCを含むことができる基板200を具備する半導体構造体120を備える。基板200上にチャネル層210が形成され、チャネル層210上にバリア層220が形成される。チャネル層210及びバリア層220は、III族窒化物ベースの材料を含むことができ、バリア層220の材料は、チャネル層210の材料よりも高いバンドギャップを有する。たとえば、チャネル層210はGaNを含むことができ、一方バリア層220はAlGaNを含むことができる。
【0063】
バリア層220とチャネル層210との間のバンドギャップの違い、及びバリア層220とチャネル層210との間の界面での圧電効果により、チャネル層210とバリア層220との間の接合部で、2次元電子ガス(2DEG:two dimensional electron gas)がチャネル層210内に誘導される。2DEGは、それぞれソース接点セグメント162b及びドレイン接点136の下にある、デバイスのソース領域とドレイン領域との間の伝導を可能にする高導電層として機能する。ソース接点セグメント162b及びドレイン接点136は、バリア層220上に形成される。ゲート・フィンガ116は、バリア層220上で、ドレイン接点136とソース接点セグメント162bとの間に形成される。ゲート・ジャンパ172は、ソース接点セグメント162bを覆って設けられ、垂直接点プラグ178及びゲート信号分配バー174を介してゲート・フィンガ116に接続される。垂直接点プラグ178及びゲート信号分配バー174は、ソース接点セグメント162a~162cの隣接するものの間隙162g内に設けられ、ソース接点セグメント162a~162cと物理的に接触しない。
【0064】
第1の層間絶縁層232は、ドレイン接点136、ゲート・フィンガ116、ソース接点セグメント162b、及びゲート信号分配バー174を覆って形成される。層間絶縁層232は、SiN、SiO2などの誘電材料を含むことができる。垂直接点プラグ178は、第1の層間絶縁層232を貫通する。ゲート・ジャンパ172は、ゲート・ジャンパ172をソース接点セグメント162bから絶縁する第1の層間絶縁層232上に形成される。第1の層間絶縁層232及びゲート・ジャンパ172の上に、第2の層間絶縁層234が形成され得る。第2の層間絶縁層234は、SiN、SiO2などの誘電材料を含むことができる。
【0065】
ゲート・フィンガ116の材料は、バリア層220の組成に基づいて選択され得る。しかし特定の実施例では、窒化物ベースの半導体材料にショットキー接触することができる、Ni、Pt、NiSiX、Cu、Pd、Cr、W、及び/又はWSiNなど、従来の材料を使用することができる。ドレイン接点136及びソース接点セグメント162は、GaNへのオーミック接触を形成することが可能なTiAlNなどの金属を含むことができる。
【0066】
直列ゲート抵抗器及び奇モード抵抗器を、デバイスのゲート・フィンガ及びドレイン内の帰還ループを安定させるために、本発明の実施例による高電力トランジスタ内に備えることができる。高電力デバイスでは、デバイスのゲート周辺部を大きくするために、ゲートの、ゲート幅が長くなる場合があり、それによって、長い帰還ループが生じる。こうした高電力トランジスタは、大きい相互コンダクタンス値を有するため、帰還ループは不安定になりがちであり得る。具体的には、帰還ループは、トランジスタの動作の周波数帯域内又は帯域外にあり得る、望ましからざる信号を生成する可能性がある。いずれの場合でも、かかる信号の生成は問題となる可能性があり、トランジスタが使用できなくなる場合がある。帰還ループの不安定性は、帰還ループの長さに従って増加する傾向がある。
【0067】
本発明のさらなる実施例によれば、デバイス全体にわたって、特に長いゲート・フィンガに沿って分散される複数の直列ゲート抵抗器及び/又は奇モード抵抗器を備える高電力トランジスタが提供される。分散される直列ゲート抵抗器及び/又は奇モード抵抗器は、かかるデバイスが、ゲート・フィンガの幅に沿って直列ゲート抵抗器及び/又は奇モード抵抗器を配置するのに自然な位置である、「ゲート分割」の間隙領域を有することができるので、セグメント化されたゲート・フィンガを備えるトランジスタでは特に有利であり得る。本明細書では、「ゲート分割」という用語は、
図2~
図7を参照して上記で論じたように、長いゲート・フィンガが複数のゲート・フィンガ・セグメントにセグメント化されるときに生成される、ゲート・フィンガ・セグメントのより短いアレイを指す。以下により詳細に論じるように、隣接するゲート分割間に存在する間隙領域は、分散される直列ゲート抵抗器及び奇モード抵抗器を実装するのに好都合な位置であり得る。
【0068】
ゲート・フィンガの延出された幅に沿って直列ゲート抵抗器及び/又は奇モード抵抗器を分散することにより、帰還ループの損失が十分に大きくなる可能性があり、その結果潜在的な不安定性が克服されることが判明した。従って、ゲート・フィンガの延出された幅に沿って直列ゲート抵抗器及び/又は奇モード抵抗器を分散することにより、デバイスの歩留まりを向上させ、且つ/又は現場でのデバイスの故障率を低減することが可能であり得る。さらに、直列ゲート抵抗器及び/又は奇モード抵抗器が、セグメント化されたゲート・フィンガのゲート・フィンガ・セグメントに沿って、且つゲート・フィンガ・セグメント間に分散される場合、比較的小さな抵抗レベル(resistance level)が使用され得る。たとえば、トランジスタが3つのゲート分割を備える場合、抵抗レベルは、ゲート・フィンガがセグメント化されていない場合に使用される抵抗レベルの約3分の1のサイズになり得る。さらに、実際には、抵抗値の低減はさらに大きいことが判明した。たとえば、3つのゲート分割が使用されるとき、各ゲート・セグメントに沿って備えられる直列抵抗器の抵抗値は、ゲート・パッドに実装される直列ゲート抵抗器の抵抗値の4分の1から5分の1であり得る。より低い抵抗値を有する抵抗器を使用すると、損失が減少し、それによってトランジスタの利得がより大きくなり、一方で向上した安定性も示すという結果になる。
【0069】
図8は、直列ゲート抵抗器と奇モード抵抗との両方を、上記で論じたように分散するやり方で実装する、さらなる実施例によるトランジスタ300の金属レイアウトの平面(上面)図である。トランジスタ300は、1つ又は複数のデバイス・エピタキシャル層を備える半導体構造体320上に形成される。半導体構造体320は、
図7A及び
図7Bを参照して上記で論じた、半導体構造体120と同じであり得る。前の図と同様に、
図8のレイアウトは、理解を容易にするために簡略化されており、ゲート・バス314のそれぞれのペアに接続された一対のゲート・パッド312ばかりでなく、ドレイン・バス334に接続されたドレイン・パッド332も備える。トランジスタ300はソース・パッド322及びソース・バスも備えるが、図を見やすくするために
図8から省略している。ソース・パッド322は、
図10に示す。
【0070】
複数のゲート・フィンガ316が各ゲート・バス314に接続され、y方向に延在する。各ゲート・フィンガ316は、y方向に、3つのゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、及び316cに分割される。第1のゲート・フィンガ・セグメントは、ゲート・ジャンパ372が間に挿置されることなく、ゲート・バス314に直接接続することができる(しかし、直接接続する必要はない)。ゲート・ジャンパは、ゲート・フィンガ・セグメント316b、316cとゲート・バス314との間に挿置され得る。後述するように、各ゲート・フィンガ316のゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cは、ゲート・ジャンパ372、ゲート信号分配バー374、及び垂直接点プラグ378(
図9A)を介して互いに電気的に接続され得る。複数のドレイン接点336がドレイン・バス334に接続され、ゲート・フィンガ316のそれぞれと並列に、隣接して延出する。ゲート信号分配バー374は、以下で説明するように、トランジスタ100のゲート分配バー174とは異なるデバイス内の垂直レベルに形成され、ゲート信号分配バー374がドレイン接点336の上を通過することを可能にし得る。ソース接点362も設けられ、ゲート・フィンガ316の隣接するものと並列に、y方向に延出する。ソース接点362も、y方向に、それぞれのソース接点セグメント362a、362b、及び362cに分割される。ソース接点セグメント362a、362b、362cは、ソース接点プラグ364を介して互いに電気的に接続され得る。各ソース接点プラグ364は、それぞれのソース接点セグメント362a、362b、362cを、ソース・バスとして機能する共通の導電層に電気的に接続することができる。このソース・バスは、たとえばデバイスのより低いレベル内に配置され得る。ある実施例では、ソース接点セグメント362a、362b、362cごとに、複数のソース接点プラグ364を設けることができる。
図8において、1つのソース接点セグメント362c上に、2つの典型的なソース接点プラグ364を示す。他のソース接点セグメント362a、362b、362cのソース接点プラグ364は、図面を簡略化するために
図8から(並びに
図9A~
図9B、及び
図12~
図13から)省略している。
図10及び
図11は、たとえば、各ソース接点セグメント362a、362b、362cに対して1対のソース接点プラグ364をどのように設けることができるかを示している。ソース接点セグメント362a、362b、362cは、たとえばソース接点バーなどの他の手段によって電気的に接続することもできる。
図8において、合計16個のセグメント化されたゲート・フィンガ316、8個のセグメント化されたソース接点362、及び8個のドレイン接点336を示す。しかし、トランジスタ300は、さらに多くのゲート・フィンガ316、ソース接点362、及びドレイン接点336を具備することができ、それによりトランジスタ300が多数の単位セルを備えることが理解されよう。他の実施例では、より少ないゲート・フィンガ316、ソース接点362、及びドレイン接点336が設けられる場合がある。
【0071】
ゲート・フィンガ・セグメント316a~316cのうちの隣接するものは、間隙316gにより分離され、ソース接点セグメント362a~362cのうちの隣接するものは、間隙362gにより分離されている。
図8は、各ゲート・フィンガ316及びソース接点362ごとに、3つのゲート・フィンガ・セグメント316a~316c及び3つのソース接点セグメント362a~362cを示すが、本発明の概念はかかる構成に限定されない。このように、ゲート・フィンガ316は2つ以上のゲート・フィンガ・セグメントを備えることができ、ソース接点362は2つ以上のソース接点セグメントを備えることができることが理解されよう。
【0072】
ゲート・フィンガ316は、ソース接点362の全長にわたってソース接点362と並列に延出することができる。ゲート・フィンガ316及びソース接点362はセグメント化されているため、複数の単位セル340a、340b、340cが各ゲート・フィンガ316に沿って画定される。すなわち、各ゲート・フィンガ・セグメント316a~316cは、それに沿ってゲート・フィンガ316が延在する方向(y方向)にレイアウトされたそれぞれの単位セル340a、340b、340cのゲート接点として機能する。ゲート・フィンガ・セグメント316a~316cの幅の合計は、各ゲート・フィンガ316の全幅を画定する。すなわち、各ゲート・フィンガ316がデバイス全体のゲート周辺部に寄与する全幅は、ゲート・フィンガ・セグメント316a~316cのy方向の幅の合計に等しい。
【0073】
トランジスタ300は、ゲート・フィンガ316と並列にy方向に沿って延在する複数のゲート・ジャンパ372をさらに備える。ゲート・ジャンパ372は、ソース接点セグメント362、ゲート・フィンガ316、及びゲート・バス314の金属レベルよりも高い金属レベルに形成され得る。ゲート・ジャンパ372を、ソース接点362の上に形成することができ、たとえば、誘電体層及び/又は空隙によってソース接点362から絶縁することができる。ゲート・ジャンパ372は、ゲート・バス314から最も遠いソース接点セグメント362cの上に延出する必要はない。ゲート・ジャンパ372は、ゲート・バス314に電気的に接続されている。ゲート・ジャンパ372は、各ゲート・フィンガ316のゲート・フィンガ・セグメント316a~316cの一部又はすべてを、ゲート・バス314の1つに電気的に接続することができる。
図8に示す実施例では、各ゲート・ジャンパ372は、ゲート・フィンガ・セグメント316b及び316cをゲート・バス314に電気的に接続し、一方ゲート・フィンガ・セグメント316aは、より直接的な接続部を介してゲート・バス314に接続される。他の実施例では、ゲート・フィンガ・セグメント316aは、ゲート・ジャンパ372を介してゲート・バス314に接続されてもよい。ある実施例では、ゲート・ジャンパ372は、ソース接点362を覆うのではなく、ドレイン接点336又はゲート・フィンガ316を覆って配置されてもよい。
【0074】
図9Aは、
図8の線A-A’に沿って切り取った部分断面図である。
図9Bは、
図8の線B-B’に沿って切り取った部分断面図である。
図8及び
図9Aを見て分かるように、複数のゲート・ジャンパ372、ゲート信号分配バー374、及び垂直接点プラグ378が設けられている。ゲート・ジャンパ372は、垂直接点プラグ378によってゲート・バス314及びゲート信号分配バー374に接続される。ゲート・ジャンパ372、ゲート信号分配バー374、及び垂直接点プラグ378を使用して、各ゲート・フィンガ・セグメント316b~316cをゲート・バス314の1つに接続する。ゲート信号分配バー374は、デバイス内のゲート・フィンガ316よりも高い金属層に形成され得る。たとえば、ゲート信号分配バー374は、
図9Aに示すように、ゲート・ジャンパ372と同じ、デバイスの金属層に形成され得る。垂直接点プラグ378は、ゲート・ジャンパ372をゲート・バス314に接続することができる。さらなる垂直接点プラグ378(
図9Aの断面では見えないが、
図8の平面図では、各ゲート信号分配バーがゲート抵抗器380の上を通過する箇所に配置される)は、ゲート信号分配バー374を、ゲート抵抗器及びゲート抵抗器に接続されるゲート・フィンガ・セグメント316a~316cに、物理的且つ電気的に接続することができる。上記のように、ゲート・ジャンパ372は、ソース接点362を覆って、その上に延在することができる。
図8を見て分かるように、ゲート・ジャンパ372は、あらゆるソース接点162を覆って延在するゲート・ジャンパ172を備えた
図2~
図7のトランジスタ100とは対照的に、他のあらゆるソース接点362を覆って設けられる。従って、
図8~
図9Bのトランジスタ300内の各ゲート・ジャンパ372は、トランジスタ100の場合の2つのゲート・フィンガ116の代わりに、4つのゲート・フィンガ316に給電する。ゲート信号分配バー374は、トランジスタ100のゲート分配バー174より高い、デバイス内の金属層に形成され、各ゲート信号分配バー374が、4つのゲート・フィンガ・セグメント316a~316cの外側のものに接続するために2つのドレイン接点336の上を通過できるようにする。
【0075】
ゲート・ジャンパ372、ゲート・バス314、垂直接点プラグ378、及びゲート信号分配バー374は、非常に低い抵抗値を有する銅又はアルミニウムなどの導電性材料で形成され得る。
【0076】
さらに
図8及び
図9Aを参照すると、ゲート信号分配バー374は、ソース接点セグメント362a、362b、及び362cのうちの隣接するものの間隙362g内を、横方向(x方向)に延在する。第1のゲート・フィンガ・セグメント316aに結合されたゲート信号分配バー374は、ゲート・フィンガ・セグメント316aのうちの2つに結合され得る。第2又は第3のゲート・フィンガ・セグメント316b、316cに結合されたゲート信号分配バー374のそれぞれは、ゲート・フィンガ・セグメント316b又は316cのうちの4つに結合され得る。
図8を見て分かるように、第1のゲート・フィンガ・セグメント316aに結合された各ゲート信号分配バー374は、ゲート抵抗器380を介してゲート・バス314の1つに接続することができる。ゲート・フィンガ・セグメント316aに接続するゲート信号分配バー374は、ゲート・フィンガ316と同じ金属層の一部、又はゲート・ジャンパ372と同じ金属層の一部であってもよい。というのは、これらのゲート信号分配バー374は、ドレイン接点336と交差する必要がないからである。第2のゲート・フィンガ・セグメント316b又は第3のゲート・フィンガ・セグメント316cのいずれかに結合される各ゲート信号分配バー374は、
図8及び
図9Aを見て分かるように、ゲート・ジャンパ372の1つを介してゲート・バス314の1つに接続することができ、それぞれの垂直接点プラグ378を介して、ゲート・フィンガ・セグメント316b、316cに接続することができる。直列ゲート抵抗器380は、各ゲート・フィンガ・セグメント316b、316cとそれに結合されるゲート信号分配バー374との間の電気経路上に設けられる。
【0077】
さらに
図8及び
図9Aを参照して、ここで、
図8の左側のゲート・パッド312に印加される電気信号の、
図8の最も左側のゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cへの配電について論じることにする。ゲート信号がゲート・パッド312に印加されると、ゲート信号は左側のゲート・バス314に伝搬される。ゲート信号は、左側ゲート・バス314から第1のゲート信号分配バー374及び第1の直列ゲート抵抗器380を通って第1のゲート・フィンガ・セグメント316aに進む。ゲート信号はまた、左側ゲート・バス314から、ゲート・バス314に接続する第1の垂直接点プラグ378を通ってゲート・ジャンパ372へ、ゲート・ジャンパ372を通って第2のゲート信号分配バー374へ、そして第2のゲート信号分配バー374を通って、第2の直列ゲート抵抗器380を介して最も左側の第2のゲート・フィンガ・セグメント316bに接続する第2の垂直接点プラグ378へ進む。ゲート信号は同様に、左側ゲート・バス314から、第1の垂直接点プラグ378を通ってゲート・ジャンパ372へ、ゲート・ジャンパ372を通って第3のゲート信号分配バー374へ、そして第3のゲート信号分配バー374を通って、第3の直列ゲート抵抗器380を介して最も左側の第3のゲート・フィンガ・セグメント316cに接続する第3の垂直接点プラグ378へ進む。
【0078】
従って、
図8及び
図9Aに示すように、ゲート信号は、あらゆるゲート・フィンガ316の全幅を進むのではなく、代わりに、ゲート・フィンガ・セグメントの幅に沿って(たとえば、ゲート・フィンガ・セグメント316a)、又はゲート・フィンガ・セグメントの幅及びゲート・ジャンパ372の一部に沿って(たとえば、ゲート・フィンガ・セグメント316b)、又はゲート・フィンガ・セグメントの幅及びゲート・ジャンパ372の全幅に沿って(たとえば、ゲート・フィンガ・セグメント316c)進むだけである。上記のように、ゲート・ジャンパ372は、ゲート・フィンガ316よりも大きい断面積を有することができ、従って、エレクトロマイグレーション及び高周波利得性能の低下などの、通常ゲート幅の増加に伴う問題なしに、ゲート・フィンガ316より大きい電流密度をよりよく処理することができる可能性がある。ゲート信号はまた、ゲート信号分配バー374の一部及び垂直接点プラグ378に沿って進む。しかし、
図8は原寸に比例して描かれておらず、ゲート信号が任意のゲート信号分配バー374に沿って進む距離は、
図10~
図11を見て分かるように、y方向のゲート・フィンガ・セグメントの幅と比較して非常に短くなり得る(たとえば5%未満)ことに留意されたい。垂直接点プラグ378に沿って進む距離も非常に短い。従って、ゲート信号が狭い導電性のトレースに沿って進む距離を短くすることができる。
【0079】
上記で論じたように、トランジスタ300は、デバイス全体に分散される複数の直列ゲート抵抗器380を備える。具体的には、直列ゲート抵抗器380は、各ゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cの一端に、又はその近くに設けられる。
図8に示すように、ゲート・フィンガ316は、3つの「ゲート分割」、すなわち、ゲート・フィンガ・セグメント316aを備える第1のゲート分割382a、ゲート・フィンガ・セグメント316bを備える第2ゲート分割382b、及びゲート・フィンガ・セグメント316cを備える第3のゲート分割382cに分けられる。ゲート・バス314と第1のゲート分割382aとの間に第1の間隙領域384aが設けられ、ゲート分割382aと382bとの間に第2の間隙領域384bが設けられ、且つゲート分割382bと382cとの間に第3の間隙領域384cが設けられる。
【0080】
図8に示すように、直列ゲート抵抗器380は、上記の間隙領域384a~384c内に形成され得る。直列ゲート抵抗器380は、たとえば、ゲート・フィンガ316、ドレイン接点336、ソース接点362などを形成するために使用される導電性材料と比較して、より高い抵抗率の導電性材料を堆積することにより形成され得る。直列ゲート抵抗器380は、トランジスタ300の任意の適切な垂直レベルに設けられ得る。例示的な実施例では、直列ゲート抵抗器380は、
図8及び
図9Aから見て分かる、又は推測できるように、ソース接点362、ドレイン接点336、及びゲート・フィンガ316と同じ金属化レベルに形成され得る。ゲート抵抗器380(又は以下で論じる奇モード抵抗器390)は、たとえばインダクタとコンデンサとの直列回路など、抵抗器と機能的に同等なものとして機能することができる他の損失性要素で置き換えられ得ることも理解されよう。
【0081】
図12を参照して以下で論じるように、本発明の特定の実施例に従ってトランジスタ内に備えられる分散された直列ゲート抵抗器380の代わりに、各ゲート・パッド312と、それに結合されるゲート・バス314との間に、単一の直列ゲート抵抗器80を備えることができる。直列ゲート抵抗器が、各ゲート・パッド312とその対応するゲート・バス314との間に単一の直列ゲート抵抗器80として実装される場合、各直列ゲート抵抗器80は、デバイスの不安定性を低減又は防止するために、比較的高い抵抗値を必要とする可能性がある。トランジスタ300では、複数の直列ゲート抵抗器380がデバイスのゲート分割382間に配置されている。各ゲート抵抗器380は、ゲート抵抗器80がゲート・パッド312とゲート・バス314との間にのみ配置される場合に必要とされるゲート抵抗器80と比較して、はるかに小さな抵抗値であり得る。
【0082】
ある実施例では、各ゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cごとに直列ゲート抵抗器380を設けることができ、一方他の実施例では、いくつかのゲート・フィンガ・セグメントが直列ゲート抵抗器380を共有することができる。
図8に示す特定の実施例では、ゲート・フィンガ・セグメント316b、316cのすべては、それら自体が結合される直列ゲート抵抗器380を備え、一方、ゲート・フィンガ・セグメント316aのペアは、単一の直列ゲート抵抗器380を共有する。他の実施例では、ゲート・フィンガ・セグメント316a~316のいくつかは、結合されるゲート抵抗器380を備えていない場合があることも理解されよう。
【0083】
ゲート・フィンガ316に沿った2箇所以上の位置に直列ゲート抵抗を分散することにより、トランジスタのゲート・フィンガ及びドレイン内の帰還ループを、不安定性を低減又は排除し得るのに十分な損失の大きさにすることができる。これにより、デバイスの歩留まりを改善し、且つ/又は現場でのデバイス故障の発生率を低減することができる。さらに、上記のように、且つ
図8を見て分かるように、どの特定のゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cに沿った電流経路も、単一の直列ゲート抵抗器380を横切るだけでよい。直列ゲート抵抗器380は比較的小さな抵抗値を有することができるので、電力損失が低減され、従ってトランジスタ300は、所与のサイズのデバイスについてより高い利得レベルに対応することができる。
【0084】
図8を見て分かるように、トランジスタ300は、第1の軸に沿ってy方向に延在するドレイン接点336、第1の軸に平行な第2の軸に沿ってy方向に延在するソース接点362、並びにソース接点362とドレイン接点336との間に延在するゲート・フィンガ316を備える。ゲート・フィンガ316は、互いに電気的に接続された複数の不連続で同一直線上にあるゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cを備える。トランジスタ300は、ゲート・フィンガ316に電気的に接続され、間隔を空けて配置された複数のゲート抵抗器380をさらに備える。各ゲート抵抗器380は、ゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cのそれぞれとゲート信号分配バー374のそれぞれとの間に結合され得る。ゲート抵抗器380の少なくとも1つは、第1の軸と第2の軸との間に配置される。ゲート・ジャンパ372が、ゲート・バス314とゲート・フィンガ316との間の電気経路に沿って挿置される。ゲート・ジャンパ372は、ゲート・フィンガ・セグメント316b及び316cとゲート・バス314との間のそれぞれの電気経路に沿って挿置され、それぞれのゲート抵抗器380は、ゲート・ジャンパ372とゲート・フィンガ・セグメント316b、316cとの間のそれぞれの電気経路に沿って挿置される。
【0085】
やはり
図8を見て分かるように、トランジスタ300は、y方向に延在するソース接点362と、y方向に延在するゲート・ジャンパ372と、複数の不連続で電気的に接続されたゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cとを含むゲート・フィンガ316を備える。トランジスタ300は、間隔を空けて配置された複数のゲート抵抗器380をさらに備える。ゲート・フィンガ・セグメント316b及び316cは、それぞれ第1及び第2のゲート抵抗器380を介してゲート・ジャンパ372に接続される。ゲート・フィンガ・セグメント316aのペアは、それぞれのゲート抵抗器380を介してゲート・バス314に接続される。
【0086】
図8にさらに示すように、奇モード抵抗器390もトランジスタ300内に備えられる。奇モード抵抗器390は、デバイス内の長い奇モードの不安定な帰還ループを分断するために設けられる。具体的には、ゲート・ジャンパ372を使って給電するゲート・フィンガ316の数が増加するにつれて、不安定性が生じる可能性がある。たとえば、ゲート・ジャンパ372が4つのゲート・フィンガ316に給電するとき、トランジスタは安定し得るが、ゲート・ジャンパ372を使って8つのゲート・フィンガ316に給電する場合、不安定性を示し始める可能性がある。不安定性が生じるとき、不安定性は、ゲート・フィンガの幅とデバイスの動作周波数との関数であり得る。奇モード抵抗器390は、隣接するゲート信号分配バー374間に挿置され得る。トランジスタ300が正常に動作するとき、各奇モード抵抗器390の両側の電圧は同じでなければならず、従って、隣接するゲート信号分配バー374間に電流が流れてはならない。
【0087】
奇モード抵抗器390は、隣接するゲート分割382間にある間隙領域384内に設けられ得る。
図8及び
図9Bに示すように、奇モード抵抗器390を、たとえば、ゲート信号分配バー374及びソース接点362と同じ金属化レベルに実装することができ、2つの隣接するゲート分配バー374間に直接接続することができる。奇モード抵抗器390は、隣接するゲート・バス314間に挿置されてもよい。
【0088】
このように、トランジスタ300は、y方向に延在し、x方向に互いに間隔を空けて配置された複数のゲート・フィンガ316を備えることができる。それぞれのゲート・フィンガ316は、互いに電気的に接続され、間隔を空けて配置された、ほぼ同一線上にある複数のゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cを備えることができ、ここでゲート・フィンガ・セグメント316a、316b、316cは、間隙領域384b、384cによって分離されたそれぞれのゲート分割382a、382b、382c内に配置される。奇モード抵抗器390は、間隙領域384b、384c内に配置される。例示的な実施例では、奇モード抵抗器390は、隣接するゲート信号分配バー374間に挿置され得る。
【0089】
ある実施例では、ソース接点362をセグメント化する必要がないことも理解されよう。特に、ゲート抵抗器380及び奇モード抵抗器は両方とも、ゲート信号分配バー374及びゲート・ジャンパ372と同じ金属層内に実装され得る。かかる実装では、ソース接点362はセグメント化される必要はない。すなわち、他の実施例では、抵抗器380、390を、他の実施例でのソース接点362の真上、又は上及び側部に実装することができ、各ソース接点362は、単一の連続した(すなわち、セグメント化されていない)ソース接点362であり得ることが理解されよう。
【0090】
図8は、セグメント化されたゲート・フィンガ316及びセグメント化されたソース接点362を備えるトランジスタ300を示しているが、本発明の実施例はそれに限定されないことが理解されよう。たとえば他の実施例では、各ドレイン接点が、たとえば3つの分離したセグメントを備えるように、ドレイン接点336を同様のやり方でセグメント化することができる。ドレイン接点336がセグメント化される場合、セグメント化されたドレイン接点は、たとえば、ドレイン接点プラグ及びデバイス内の別の金属化層を介して互いに電気的に接続され得る。ドレイン接点がセグメント化される実施例では、ソース接点362はセグメント化されてもされなくてもよい。さらに、ゲート・フィンガ316は、
図8に示すように、セグメント化されてもよく、
図2(並びに
図14~
図15)に示すようにセグメント化されなくてもよい。ドレイン接点をセグメント化することにより、ゲート分割間の領域内に、ゲート抵抗器380及び/又は奇モード抵抗器390用のさらなる空間を設けることができる。セグメント化されたドレイン接点336を備えるかかる実施例の1つの単純な実例として、
図8のトランジスタ300を、参照番号332、334及び336がそれぞれソース・パッド、ソース・バス、及びソース接点となるように、且つ参照番号362、362a/362b/362c、及び364がそれぞれ、ドレイン接点、ドレイン接点セグメント、及びドレイン接点プラグとなるように、修正することができる。言い換えれば、
図8を、単にソース及びドレインの特徴を逆にすることにより、セグメント化されたゲート・フィンガ316及びセグメント化されたドレイン接点362を備える実施例として見ることもできる。
【0091】
図10は、
図8のトランジスタ300のより大きいバージョンの平面図である。
図11は、
図10のトランジスタ300の小さい部分302の詳細平面図である。
【0092】
図10及び
図11を参照すると、トランジスタ300は、縦(y方向)に延在する複数の単位セルを備える。各単位セルは、デバイスの全幅にわたって延在するゲート・フィンガ316を備え、上記のように縦方向(y方向)に配置された直列の単位セル340a、340b、340cに細分される。
図10~
図11に示す実施例では、単位セル340のそれぞれは1120ミクロンの全幅を有し、直列の単位セル340a、340b、及び340cはそれぞれ370ミクロン、380ミクロン、及び370ミクロンの幅を有するが、本発明の概念はこうした特定の寸法に限定されない。
【0093】
複数のゲート・バス314が構造体の一端に設けられ、一方ドレイン・バス334が構造体の他端に設けられている。ソース・パッド322は構造体の側部に設けられ、たとえばデバイスのより低い金属化層上に配置されたソース・バス(図示せず)に接続される。ソース接点セグメント362a、362b、362cは、接点プラグ364を介してソース・バスに接続される。
【0094】
図11における、トランジスタ300のデバイス・レイアウトの一部302の詳細図は、ゲート・フィンガ316、ゲート・ジャンパ372、ゲート信号分配バー374、直列ゲート抵抗器380、及び奇モード抵抗器390も示している。
【0095】
本発明の概念の実施例によるトランジスタは、多層構造である半導体構造体を備えることができる。たとえば、
図7A及び
図7Bを参照して上記で論じたように、トランジスタ100の半導体構造体120は、少なくともチャネル層210及びバリア層220がその上に形成された基板200(たとえば、4H-SiC又は6H-SiC)を備えることができる。本明細書に示す本発明の概念の実施例に従って、他のトランジスタに関しても同じことが当てはまる。このように、
図7A及び
図7Bでの半導体構造体120の議論は、本明細書で説明する他のそれぞれの実施例の半導体構造体にも等しく適用されることが理解されるであろうが、デバイスの金属化部及び他の態様は、図に描かれた様々な実施例間の違いに基づいて変わることになる。従って、たとえば、本明細書に記載のすべてのトランジスタは、炭化ケイ素基板並びにIII族窒化物ベースのチャネル層及びバリア層を備えることができ、こうしたトランジスタの半導体構造体は、
図7A及び
図7Bを参照して説明したやり方で動作し得ることが理解されよう。
【0096】
図12は、本発明の概念のさらなる実施例による、トランジスタ400の金属レイアウトの平面図である。トランジスタ400が、トランジスタ300に備えられる分散された直列ゲート抵抗器380の代わりに、各ゲート・パッド312とそれぞれのゲート・バス314との間に接続された直列ゲート抵抗器80を使用することを除いて、トランジスタ400は、
図8~
図11を参照して上記で論じたトランジスタ300と同様である。この変更は別にして、2つのトランジスタ300、400は、その他の点では基本的に同一であり得るので、トランジスタ400のさらなる議論は省略することにする。
【0097】
図13は、本発明の概念のさらに別の実施例による、トランジスタ500の金属レイアウトの平面図である。トランジスタ500はやはり、トランジスタ500が、隣接するゲート・バス314のそれぞれのペア間に単一の奇モード抵抗器90を使用し、
図8のトランジスタ300の間隙領域384b、384c内に設けられている、分散された奇モード抵抗器390を備えないことを除いて、
図8~
図11を参照して上記で論じたトランジスタ300と同様である。この変更は別にして、2つのトランジスタ300、500は、その他の点では基本的に同一であり得るので、トランジスタ500のさらなる議論は省略することにする。
【0098】
上述の実施例の特徴を何らかのやり方で組み合わせて、さらなる複数の実施例を作り出すことができることが理解されよう。たとえば、
図14は、
図8の直列ゲート抵抗器380と同一であり得る直列ゲート抵抗器180を備えるよう修正されたことを除いて、上記のトランジスタ100と同一であるトランジスタ100’の金属レイアウトの平面図である。別の実例として、
図15は、ゲート・フィンガ316がもはやセグメント化されておらず、それに応じて直列ゲート抵抗器380の位置が修正されたことを除いて、上記のトランジスタ300と同様であるトランジスタ300’の金属レイアウトの平面図である。
図14及び
図15は、さらなる実施例をもたらす様々な実施例の可能な組合せのいくつかを示すために提供されていることが理解されよう。
【0099】
本発明の概念の実施例は、特に、III族窒化物ベースの高電子移動度トランジスタ(HEMT:high electron mobility transistor)デバイスに関連した使用に好適であり得る。本明細書で使用する「III族窒化物」という用語は、窒素と周期表のIII族の元素、通常はアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及び/又はインジウム(In)との間で形成される、それらの半導体化合物を指す。III族窒化物という用語は、AlGaN及びAlInGaNなどの3元系化合物及び4元系化合物も指す。こうした化合物はすべて、1モルの窒素が合計1モルのIII族元素と結合する実験式を有する。
【0100】
本発明の実施例を利用することができるGaNベースのHEMTに好適な構造は、たとえば、同一出願人による、2002年6月6日に公開された米国特許出願公開第2002/0066908(A1)号、「Aluminum Gallium Nitride/Gallium Nitride High Electron Mobility Transistors Having A Gate Contact On A Gallium Nitride Based Cap Segment And Methods Of Fabricating Same」、2002年11月14日に公開された米国特許出願公開第2002/0167023(A1)号、「Group-III Nitride Based High Electron Mobility Transistor (HEMT) With Barrier/Spacer Layer」、2004年4月1日に公開された米国特許出願公開第2004/0061129号、「Nitride-Based Transistors And Methods Of Fabrication Thereof Using Non-Etched Contact Recesses」、2011年3月15日に発行された米国特許第7,906,799号、「Nitride-Based Transistors With A Protective Layer And A Low-Damage Recess」、及び2001年11月13日に発行された米国特許第6,316,793号、名称「Nitride Based Transistors On Semi-Insulating Silicon Carbide Substrates」に説明され、これらの開示は、ここにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
本発明の特定の実施例では、基板200は、たとえば炭化ケイ素の4H結晶多形であり得る、半絶縁炭化ケイ素(SiC:silicon carbide)基板であり得る。他の炭化ケイ素の候補となる結晶多形には、3C、6H、及び15R結晶多形が含まれる。
【0102】
任意選択で、緩衝層、核形成層、及び/又は遷移層(図示せず)が、チャネル層210の下で基板200上に設けられ得る。たとえば、炭化ケイ素基板とデバイスの残りの部分との間に適切な結晶構造遷移(crystal structure transition)をもたらすように、AlN緩衝層が備えられ得る。さらにたとえば、同一出願人による、2003年6月5日に公開された米国特許出願公開第2003/0102482(A1)号、名称「Strain Balanced Nitride Hetrojunction Transistors And Methods Of Fabricating Strain Balanced Nitride Heterojunction Transistors」に説明される、歪平衡遷移層(strain balancing transition layer)も設けられてもよく、その開示は、あたかも本明細書に完全に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、SiNキャッピング層など、1層又は複数のキャッピング層をバリア層220上に設けることができる。
【0103】
炭化ケイ素は、III族窒化物デバイス用の非常に一般的な基板材料であるサファイア(Al2O3)よりも、III族窒化物に極めて近い結晶の格子整合を有する。SiCのより近い格子整合により、サファイア上で一般的に得られるものよりも高品質のIII族窒化物膜を得ることができる。また、炭化ケイ素は非常に高い熱伝導率を持っており、それにより炭化ケイ素上のIII族窒化物デバイスの総出力電力は、通常は、サファイア上に形成された同じデバイスの場合のように基板の放熱によって制限されることはない。また、半絶縁性の炭化ケイ素基板が利用できることにより、素子分離及び寄生容量の低減を実現することができる。適切なSiC基板は、たとえば、本発明の譲受人である、ノースカロライナ州ダーラムのCree, Inc.が製造している。
【0104】
炭化ケイ素を基板材料として使用してもよいが、本発明の実施例は、サファイア、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化ガリウム、シリコン、GaAs、LGO、ZnO、LAO、InPなど、任意の好適な基板を利用してもよい。ある実施例では、適切な緩衝層も形成され得る。
【0105】
本発明のある実施例では、チャネル層210は、AlxGa1-xN(ここで0≦x<1)などのIII族窒化物である。ただし、チャネル層210の伝導帯域のエッジのエネルギーが、チャネル層とバリア層との間の界面におけるバリア層220の伝導帯域のエッジのエネルギーよりも小さいことを条件とする。本発明の特定の実施例では、x=0であり、チャネル層210がGaNであることを示す。チャネル層210は、InGaN、AlInGaNなどの他のIII族窒化物であってもよい。チャネル層210は、ドープされなくても、意図せずにドープされてもよく、約20Åを超える厚さに成長させてもよい。チャネル層210はまた、超格子又はGaN、AlGaNなどの組合せなどの多層構造であってもよい。
【0106】
チャネル層210は、バリア層220のバンドギャップより小さいバンドギャップを有することができ、チャネル層210はまた、バリア層220より大きい電子親和力を有することができる。本発明の概念の特定の実施例では、バリア層220は、約0.1nmから約10nmの間の厚さを有するAlN、AlInN、AlGaN、又はAlInGaNである。本発明の概念の特定の実施例では、バリア層22は、チャネル層210とバリア層220との間の界面にかなりのキャリア濃度を誘導するのに十分厚く、十分高いAl組成を有するようドーピングを行う。
【0107】
バリア層220は、III族窒化物であってもよく、チャネル層210のバンドギャップよりも大きいバンドギャップ、及びチャネル層210よりも小さな電子親和力を有する。従って、本発明の特定の実施例では、バリア層220は、AlGaN、AlInGaN、及び/又はAlN、或いはそれらの層の組合せを含むことができる。バリア層220は、たとえば、約0.1nmから約30nmの厚さであり得る。本発明の特定の実施例では、バリア層220は、ドープされないか、又はn型ドーパントで約1019cm-3未満の濃度にドープされる。本発明のある実施例では、バリア層220はAlxGa1-xNであり、ここで0<x<1である。特定の実施例では、アルミニウム濃度は約25%である。しかし、本発明の他の実施例では、バリア層220は、約5%から約100%の間のアルミニウム濃度を有するAlGaNを含む。本発明の特定の実施例では、アルミニウム濃度は約10%より大きい。
【0108】
本発明の実施例によるバイパス・ゲート式トランジスタの例示的な実施例を、GaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造を参照しながら示しているが、本発明の概念はかかるデバイスに限定されない。従って、本発明の実施例は、複数の単位セルを備え、電極を制御する他のトランジスタ・デバイスを含むことができる。本発明の実施例は、電極をより広く制御することが望まれ、デバイスの複数の単位セルが存在する、どんな半導体デバイスでの使用にも好適であり得る。従って、たとえば、本発明の実施例は、SiC、GaN、GaAs、シリコンなどを使用して製造されたMESFET、MMIC、SIT、LDMOS、BJT、pHEMTなど、様々な種類のデバイスでの使用に好適であり得る。
【0109】
本発明の概念のさらなる実施例に従って、大幅に高い出力電力レベルに対応できるモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC:monolithic microwave integrated circuit)デバイスが提供される。こうしたMMICデバイスは、所与の動作周波数に対して高い出力電力密度も示し得る。ある実施例では、このMMICデバイスは、従来のMMICデバイスに匹敵する同じ出力電力レベルに、大幅に小さいパッケージ内で対応することができる。本発明の実施例によるMMICデバイスは、強化された性能を示し、大幅なコスト節約をもたらし、且つ/又は向上した信頼性を有することができる。
【0110】
MMICデバイスは、レーダ、セルラ通信、衛星通信、電子戦争用途などを含む多種多様な用途で使用されている。MMICデバイスは高周波デバイス(つまり、約300MHzから約300GHzに及ぶマイクロ波周波数範囲で動作するデバイス)であり、MMICデバイスが使用される多くの用途で、高出力電力レベルに対応できなければならない。現在、ほとんどのMMICデバイスは、炭化ケイ素、砒化ガリウム、及び/又は窒化ガリウム・ベースの半導体材料システムなど、バンドギャップの広い半導体材料系で形成されている。こうした半導体材料系で形成されたMMICデバイスは、概して、より高い周波数で動作し、より高い電力密度レベルに対応し得る。
【0111】
多種多様なMMICデバイスには、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal oxide semiconductor field effect transistor)及び高電子移動度トランジスタ(HEMT)などの電界効果トランジスタ(FET:field effect transistor)が含まれる。たとえば、高電力RF増幅器、低ノイズRF増幅器、RFスイッチ、RFリミッタ、RFミキサ、及び他の様々な回路は、1つ又は複数のFETを備え得る。典型的には、上記のMMICデバイスはそれぞれ、複数の個々のFETトランジスタ・セルが並列に接続された単位セル構造を有するであろう。単位セル構造により、MMICデバイスは、より高い出力電力レベルに対応することができる。MMICデバイスが対応できる実際の出力電力レベルは、デバイスの出力段の製造に利用可能な「良好なゲート区域」の長さ、デバイスの動作周波数、及びMMICデバイスが動作する熱的環境を含む、いくつかの要因によって制限され得る。
【0112】
FETベースのMMICデバイスが対応する出力電力レベルは、MMICデバイスの出力段の通電性能に基づく。出力段の通電性能は、平面図で見たときの出力段の物理サイズ(面積)に正比例し得る。FETベースのMMICデバイスの「良好なゲート区域」とは、デバイスのFET出力段が形成される部分を指す。
【0113】
MMICデバイスの良好なゲート区域は、ウェハ・レベルの製造工程で使用される装置が、デバイス内の限られた区域にわたって微細パターンを形成することしかできないので、制約される場合がある。通常、良好なゲート区域のサイズに対する主な制約は、各単位セル内でFETトランジスタのゲート・フィンガが延在する方向と直角をなす方向にある。以下の
図16~
図20Dのx軸方向に対応するこの方向は、いくつの単位セル・トランジスタをFET出力段に備えることができるかを決定する(本明細書では、この方向は良好なゲート区域の「長さ」と呼ばれ、y軸方向は、良好なゲート区域の「幅」と呼ばれる。というのは、
図1を参照して上述したように、ゲート・フィンガの幅が、ゲート・フィンガがy軸方向に延在する距離を指すからである。)通常、良好なゲート区域の長さは、MMICデバイスが形成されるウェハの直径よりもはるかに短いため、多数の個々のMMICデバイスがウェハ上に形成され得る。多くの場合、従来の高電力MMICデバイスは、良好なゲート区域の全長を使用してFET出力段を形成し、従って良好なゲート区域を拡大するには、より大きい区域にわたって微細パターンを形成できる処理装置を、かかる装置が入手可能でさえあれば、取得する必要がある。
【0114】
出力段の物理サイズ、ひいては出力段が対応する出力電力レベルも、出力段のゲート・フィンガの幅を増大させることにより、上昇させることができるが、これは、出力段のy軸方向のサイズを大きくするよう作用する。ただし、各単位セルFETトランジスタの抵抗はFETトランジスタのゲート・フィンガの幅に正比例し、抵抗が増加すると電力損失も増加するので、ゲート・フィンガの幅は制限され得る。従って、出力段のゲート・フィンガの幅は、電力損失の懸念により事実上制限され得る。抵抗はマイクロ波信号の周波数の関数でもあり(周波数の増加は抵抗の増加に相当する)、従ってマイクロ波信号の周波数は(他の望ましい又は必要な性能パラメータと共に)ゲート・フィンガの最大の幅を事実上決め得る。
【0115】
MMICデバイスの熱的動作環境も、デバイスが対応できる最大出力電力レベルに影響する。というのは、通常、熱的動作環境が、MMICデバイスの性能を劣化させる可能性がある過度の相互加熱を回避するのに十分な、必要となる最小のゲート・フィンガの間隔を決めるからである。熱的動作環境は、MMICデバイスの種類、デバイスの効率、動作モード(たとえば、MMIC増幅器のパルス動作又は連続波動作)など、1つ又は複数のパラメータによって変わり得る。やはり、こうしたパラメータは通常、MMICデバイスの所期の用途、及び特定の性能パラメータによって決まる。従って、様々なMMICデバイスの対応可能な最大出力レベルは、良好なゲート区域の長さ、デバイスの動作周波数、及びデバイスの熱的動作環境など、様々な制約によって基本的に決まり得る。多くの場合に、より高い出力電力レベルに対応するMMICデバイスを、かかるデバイスを製造できる場合は、要求される。以下で詳細に論じるように、本発明の特定の実施例によるMMICデバイスは、従来の相当するMMICデバイスよりも著しく高い出力電力レベルに対応することができ得る。かかるMMICデバイスの例示的な実施例を、ここで
図16~
図20Dを参照してより詳細に論じることにする。
【0116】
図16は、その上に形成された複数のMMICデバイスを備える、従来のウェハ600の概略図である。ウェハは、たとえば、複数の窒化ガリウム・ベースの層(たとえば、GaN、AlGaNなど)及びその上に形成された金属化層を備える、炭化ケイ素又はサファイア・ウェハを含み得る。
図16に示すように、ウェハ600は通常、格子パターン610に分割され、MMICデバイス630は、格子パターン610の各「セル」620内に形成される(
図16では、図面を簡略化するために、3つのMMICデバイス630のみ描いている)。各セル620のサイズは、利用可能な処理装置に基づき得る。たとえば、各セル620の寸法は、例示的な実施例では10mm×10mmの正方形であり得る。別の例示的な実施例では、各セル620の寸法は、6mm×6mmであり得る。セル620は他の寸法を有してもよく、長さと幅とは同じである必要はない。MMICデバイスの特定の部分のみが、セル620内に収容される必要があることも理解されよう。たとえば、MMIC増幅器では、FET増幅段はセル620内に収容されてもよいが、入力及び/又は出力インピーダンス整合回路は、微細なパターン形成なしにこうした回路は形成され得るので、セル620の外部に形成されてもよい。
【0117】
上記のように、各セル620のサイズの制限、特にx軸方向の各セルの長さの制限は、各MMICデバイス630が対応できる最大出力電力を制限するように作用し得る。これは、従来の2段MMIC増幅器700の平面図である
図17を参照することで分かる。
図17に示すMMIC増幅器700は、
図16のウェハ600の1つ又は複数のセル620内のMMICデバイス630であり得る。
【0118】
図17に示すように、MMIC増幅器700は、2段MMIC増幅器700の2つの増幅段を表す、FET駆動段710及びFET出力段720を備える。MMIC増幅器700は、入力インピーダンス整合回路730と、段間インピーダンス整合回路740と、出力インピーダンス整合回路750とをさらに備える。入力パッド760及び出力パッド762も、MMICデバイス700に電源及び接地接続を与える他のパッド764と共に設けることができる。上記で論じたように、MMIC増幅器700の対応可能な最大出力電力は、FET出力段720が対応する最大電流レベルに基づくものとなる。
【0119】
マイクロ波信号の形態の入力信号(たとえば、700MHzのRF信号)が、入力パッド760でMMIC増幅器700に入力され得る。入力RF信号は、FET駆動段710の入力でのインピーダンスを、入力パッド760で見られるインピーダンスに整合させる、入力段インピーダンス整合回路730を通過する。FET駆動段710は、それに入力されるRF信号を増幅して、より高電力のRF信号を供給する。FET駆動段710によって出力されるより高電力のRF信号が、FET出力段720への入力信号として、(段間インピーダンス整合回路740による適切なインピーダンス整合の後に)供給され得る。FET出力段720は、それに入力されるRF信号を増幅して、その電力をさらに増大させる。FET出力段720によって出力される高電力RF信号は、出力段インピーダンス整合回路750を通過し、出力パッド762でMMICデバイス700から出力される。FET駆動段710は、たとえば、互いに電気的に並列に接続された複数の単位セルFETトランジスタ712(たとえば、HEMTトランジスタ)として実装され得る。FET出力段720は同様に、たとえば、互いに電気的に並列に接続された複数の単位セルFETトランジスタ712(たとえば、HEMTトランジスタ)として実装され得る。
図17に示すように、FET出力段720は、通常、MMIC増幅器700の効率を改善するために、FET駆動段710よりも多くの単位セルFETトランジスタ712を備える。
【0120】
入力インピーダンス整合回路730は、MMIC増幅器700に入力されるRF信号の入力パッド760でのインピーダンスを、FET駆動段710の入力で見られるインピーダンスに整合させるよう配置された、たとえば1つ又は複数のコンデンサ、インダクタ、抵抗器、及び/又は他の回路要素を備えることができる。同様に、段間インピーダンス整合回路740は、FET駆動段710から出力された信号のインピーダンスを、FET出力段720の入力で見られるインピーダンスに整合させるように配置された、たとえば1つ又は複数のコンデンサ、インダクタ、抵抗器、及び/又は他の回路要素を備えることができる。出力インピーダンス整合回路750は、FET出力段720から出力される信号のインピーダンスを、MMIC増幅器700の出力パッド762で見られるインピーダンスに整合させるよう配置された、たとえば1つ又は複数のコンデンサ、インダクタ、抵抗器、及び/又は他の回路要素を備えることができる。
【0121】
上記で論じたように、
図17の2段MMIC増幅器700などのMMIC増幅器で対応される最大出力電力レベルは、(1)FET出力段720の単位セルFETトランジスタ712の数と、(2)FET出力段720の各単位セルFETトランジスタ712で対応される電力との関数である。FET出力段720の単位セルFETトランジスタ712の数は、(1)良好なゲート区域の「長さ」(これは、
図17のx軸方向の、MMICデバイス700の長さである)と、(2)隣接する単位セルFETトランジスタ712のゲート・フィンガ間の間隔とで決定され得る。上記で論じたように、良好なゲート区域の長さは、処理装置の機能であり得るセル620のサイズによって設定され(
図16を参照)、ゲート・フィンガの最小間隔は、増幅器設計基準の関数であり得る、熱的に考慮すべき点に基づいて設定され得る。その結果として、FET出力段720内の単位セルFETトランジスタ712の数を、セル620のサイズ及び増幅器設計基準に基づいて設定される限度を超えて容易に増やすことはできない。
【0122】
FET出力段720の各単位セルFETトランジスタ712で対応される電力は、ゲート・フィンガ幅(すなわち、ゲート・フィンガがy軸方向に延在する距離)の関数であり、ゲート・フィンガの幅がより大きいほど、増大した出力電力レベルに対応する。各ゲート・フィンガの長さ(すなわち、ゲート・フィンガがx軸方向に延在する距離)は、通常、各単位セルFETトランジスタ712が高周波でスイッチングできるようにするため、非常に短くする。その結果、ゲート・フィンガの幅が増加するほどに、各ゲート・フィンガの抵抗も増加し、その結果電力損失が増加する。様々なマイクロ波周波数(たとえば3GHz)で、電力損失の懸念により、ゲート・フィンガの幅が、たとえば約500ミクロンに制限され得る。従って、特定のMMIC増幅器の設計では、上記の物理的な制約及び考慮すべき点により、デバイスの対応される最大出力電力に実際的な制限が課され得る。
【0123】
図2~
図15を参照して上述したように、本発明の実施例による、ゲート幅が増大した多セルFETトランジスタを提供することができる。上記のように、セグメント化されたゲート・フィンガ及び/又はゲート・ジャンパを使用して、より大きいゲート幅を実現することができる。こうした多セル・トランジスタを、その対応可能な最大出力電力を増大させるために、たとえば上記の2段MMIC増幅器などのMMICデバイスにおける従来の多セル・トランジスタの代わりに使用することができる。
【0124】
たとえば、
図18A及び
図18Bは、それぞれ、
図17の従来の2段MMIC増幅器700、並びにそれぞれがセグメント化されたゲート・フィンガ及び/又はゲート・ジャンパを具備する単位セルFETトランジスタを使用して実装されたFET駆動段及びFET出力段を備える、MMIC増幅器800の概略平面図である。
図18A及び
図18Bは、各MMIC増幅器の様々な領域のサイズ、及び各MMIC増幅器の全体サイズを視覚的に比較できるように、同じ相対スケールで描かれている。
【0125】
上記の通り、
図18Aで概略的に示すように、従来のMMIC増幅器700は、FET増幅段710及びFET出力段720を備え、その各々は、500ミクロンのゲート・フィンガ幅を有する単位セルFETトランジスタ712を具備する。FET駆動段710及びFET出力段720は、おそらく20%から30%など、比較的小さいデバイスの面積を占有する。
図18Bに示すように、本発明の実施例によるMMIC増幅器800は、FET駆動段810と、FET出力段820と、入力インピーダンス整合回路830と、段間インピーダンス整合回路840と、出力インピーダンス整合回路850とを備えることができる。FET駆動段810及びFET出力段820はそれぞれ、本発明の実施例によるセグメント化されたゲート・フィンガ及び/又はゲート・ジャンパを具備する単位セルFETトランジスタ812を備える。図示のMMIC増幅器800では、各単位セルFETトランジスタ812は、3つの250ミクロンのゲート・フィンガ・セグメントを具備するゲート・フィンガを備える。他の実施例では、より大きい幅(たとえば、それぞれが400ミクロン)を有するゲート・フィンガ・セグメントを使用することができる。単位セルFETトランジスタ812は、従来のMMIC増幅器700が備える単位セルFETトランジスタ712よりも50%大きいゲート幅を有するゲート・フィンガを備えるので、MMIC増幅器800の対応可能な最大出力電力は、従来のMMIC増幅器700の対応可能な最大出力電力より約50%大きくなり得る。従って、本発明の実施例によるMMIC増幅器(及び他のMMICデバイス)は、従来の技法を使用して達成し得なかった出力レベルに対応することができる。
【0126】
さらに、
図18A及び
図18Bからも分かるように、本発明の実施例によるMMIC増幅器及び他のデバイスは、デバイスのサイズを比例的に増大させることなく、こうした強化された出力電力レベルを実現することができる。具体的には、インピーダンス整合回路のサイズは通常、出力電力レベルの増大と共に増加するが、この増加は、対応する最大出力電力レベルの増加に比例する必要がない。従って、
図18A及び
図18Bの概略図を見て分かるように、50%高い出力電力レベルに対応する本発明の実施例によるMMIC増幅器800は、たとえば、おそらく20%だけ面積が大きくなり得る。
【0127】
図19A及び
図19Bは、本発明の実施例によるMMICデバイスが、どのようにして、より小さい物理的占有面積を有しながら、従来のMMICデバイスと比較して向上した性能をもたらすことができるかを示す、別の比較を提供する。具体的には、
図19Aは、
図18Aの従来の2段MMIC増幅器700の概略図である。
図19Bは、本発明の実施例による、より小さい面積を占有しながらMMICデバイス700よりも高い出力電力レベルに対応する、2段MMIC増幅器900の概略図である。
図19A及び
図19Bは、各MMIC増幅器の様々な領域のサイズ、及び各MMIC増幅器の全体サイズを視覚的に比較できるように、同じ相対スケールで描かれている。
【0128】
図19Bに示すように、MMIC増幅器900は、本発明の実施例によるセグメント化されたゲート・フィンガ及び/又はゲート・ジャンパを具備する単位セルFETトランジスタ912をそれぞれが備える、FET駆動段910及びFET出力段920を備える。MMIC増幅器900は、入力インピーダンス整合回路930と、段間インピーダンス整合回路940と、出力インピーダンス整合回路950とをさらに備える。MMIC増幅器900では、各単位セルFETトランジスタ912は、従来のMMIC増幅器700が備える単位セルFETトランジスタ712のゲート・フィンガの幅よりも50%大きい、3つの250ミクロンのゲート・フィンガ・セグメントを具備するゲート・フィンガを備える。しかしMMIC増幅器900は、MMIC増幅器700よりも約25%少なくx方向に延在する。従って、MMIC増幅器900の対応可能な最大出力電力を、従来のMMIC増幅器700の対応可能な最大出力電力よりも約25%大きくすることができ、且つこの出力電力は、MMIC増幅器700よりも約25%小さいMMIC増幅器で実現される。
【0129】
図19BのMMIC増幅器900が示す性能の向上は、セグメント化された(又は「バイパスされた」)ゲート・フィンガ及び/又はゲート・ジャンパを備える単位セルFETトランジスタ912を使用して、FET駆動段910及びFET出力段920を形成することによって実現され得る。かかるバイパス・ゲート式FETトランジスタの使用により、たとえば、単位セル当たりの出力電力を50%増大させることができる各単位セル912のサイズが増大する。従って、
図19A及び
図19Bに示すように、MMIC増幅器900は、MMIC増幅器700よりも小さく、それでもなおより高い出力電流及び出力電力レベルに対応することができる。MMIC増幅器900は、MMIC増幅器900のFET出力段920が備えるFETトランジスタ912のより長いゲート幅のために、FET出力段920の物理的面積が、MMIC増幅器700のFET出力段720の物理的面積よりも大きくなり得るので、MMIC増幅器900のサイズがより小さいにもかかわらず、より高い出力電力レベルに対応することができる。
【0130】
MMICデバイスの処理の多くはウェハ・レベルで行われ、ウェハ上に含まれるMMICデバイスが多いほど、各MMICデバイスのコストは一層下がるので、MMICデバイスのコストはデバイスのサイズに正比例し得る。その結果として、本発明の実施例によるMMICデバイスは、従来のMMICデバイスと比較して、同等の又はさらに改善された性能を提供しながらも、著しいコスト上の利点を有することができる。デバイスサイズがより小さいこと(所与の対応される出力電力レベルに対して)は、システムの占有面積が比較的小さいデバイス内で多数のMMICデバイスが使用される、フェーズド・アレイ・レーダ・システム及び大規模なMIMOビーム形成アンテナ・アレイなど、様々な用途でのシステム統合の点からも有利であり得る。これは、それぞれ個々の放射要素が非常に小さくなる28GHz及び80GHz帯域など、より多くの応用分野がより高いマイクロ波周波数に移行するにつれて、ますます真実のこととなろう。
【0131】
ゲート・フィンガの幅が増大した本発明の実施例によるFETトランジスタは、2段MMIC増幅器だけでなく、多種多様なMMICデバイスで使用できることが理解されよう。たとえば、
図20A~
図20Dは、本発明のさらなる実施例による、いくつかの例示的なMMICデバイスを示す。
図20Aに示すように、セグメント化されたゲート・フィンガ及び/又はゲート・ジャンパを備える本発明の実施例による、多セルFETトランジスタを使用する単一段MMIC増幅器1000を提供することができる。
図20Aに示す例示的な単一段MMIC増幅器1000は、入力インピーダンス整合段1030と、本発明の実施例によるバイパス・ゲート式トランジスタを具備するFET増幅/出力段1020と、出力インピーダンス整合段1050とを備える。
【0132】
図20Bに示すように、3段以上を備えるMMIC増幅器も提供することができる。具体的には、
図20BのMMIC増幅器1100は、合計4つの増幅段、すなわち、第1から第3のFET駆動段1110、1114、1116と、FET出力段1120とを備える。MMIC増幅器1100は、入力インピーダンス整合回路1130と、出力インピーダンス整合回路1150と、第1~第3の段間インピーダンス整合回路1140、1142、1144とをさらに備える。他の実施例(図示せず)では、3段MMIC増幅器又は5段以上の増幅段を備えるMMIC増幅器を提供できることが理解されよう。第1から第3のFET駆動段1110、1114、1116、及びFET出力段1120のうちの1つ又は複数は、本発明の実施例によるバイパス・ゲート式トランジスタを備えることができる。
【0133】
本発明の実施例によるMMICデバイスが備えるFETトランジスタのすべてが、本明細書で開示するバイパス・ゲート式トランジスタの設計を使用する必要はないことも理解されよう。たとえば、
図20Cは、本発明の実施例によるバイパス・ゲート式単位セルFETトランジスタ1222を使用して形成されたFET出力段1220、及び従来のFETトランジスタ1212を使用して形成されたFET駆動段1210を備える、本発明の実施例によるMMIC増幅器1200の概略平面図である。従来のFETトランジスタ1212は、良好なゲート長が適切な数の従来の単位セルFETトランジスタ1212を可能にするのに十分であるので、FET駆動段1210内で使用することができる。MMIC増幅器1200は、入力インピーダンス整合回路1230と、段間インピーダンス整合回路1240と、出力インピーダンス整合回路1250とをさらに備える。
【0134】
さらに他の実施例では、
図20Dに示すように、所与の動作周波数に対して向上した電力処理能力を示す、又は従来のRFスイッチと比較して物理的サイズが減少したMMICスイッチ1300を提供することができる。MMICスイッチ1300は、たとえば、RF入力1302と、複数のRF出力1304と、制御入力1306とを備えることができる。MMICスイッチ1300は、複数の個々のRFスイッチ1310を備えることができる。RFスイッチ1310の一部又はすべてを、本発明の実施例によるバイパス・ゲート式トランジスタを使用して実装することができる。MMICスイッチ1300を、たとえば、フェーズド・アレイ・アンテナのRFスイッチング・ネットワーク内で使用することができる。
【0135】
上記で論じたように、現況技術のMMIC増幅器が対応する最大出力電力は、利用可能な良好なゲート区域の制限、並びにループ安定性及び電力損失への配慮に基づくゲート幅の制限のため制約される。本発明の実施例によるMMIC増幅器は、たとえば、最大6GHzの周波数で動作する増幅器について、3倍の最大電力密度の増加、及び6~15GHzの間の周波数で動作する増幅器について、2倍の最大電力密度の増加を実現することができる。本発明の実施例によるFETベースのMMICデバイスは、本明細書で開示するバイパス・ゲート式トランジスタの設計のいずれかを使用して、こうしたMMICデバイスが備えるFETトランジスタを実装することができる。たとえば、本明細書に開示する本発明の実施例によるFETベースのMMICデバイスはそれぞれ、
図2~
図7、
図8~
図9B、
図10~
図11、
図12、
図13、
図14及び/又は
図15を、上記で論じた実施例に対する各修正形態と共に参照して、上記で論じたバイパス・ゲート式トランジスタのいずれかを使用することができる。
【0136】
第1、第2などの用語は、本明細書では様々な要素を説明するために使用され得るが、こうした要素は、こうした用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。こうした用語は、ある要素を、別の要素から区別するためにのみ使用される。たとえば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の、ありとあらゆる組合せを含む。
【0137】
本明細書で使用される用語法は、特定の実施例を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」、及び「the(前記)」は、文脈上明らかにそうでないと示していない限り、複数の形態も同様に含むことを意図する。本明細書で使用されるときの用語「comprises(備える)」、「comprising(備え)」、「includes(含む)」、及び/又は「including(含み)」は、述べられた特徴、完全体、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、他の1つ又は複数の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の、存在又は追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0138】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的用語及び科学的用語を含む)は、この発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、本明細書で使用する用語は、この明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化された、又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されよう。
【0139】
層、領域、又は基板などの要素が別の要素の「上に」ある、又は「上へ」延出すると言われる場合、その要素は他の要素の上に直接あり得るか、又は他の要素の上へ直接延出できる、或いは介在要素も存在し得ることが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある、又は「直接上へ」延出すると言われる場合、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続」又は「結合」されていると言われる場合、その要素は他の要素に直接接続又は結合され得るか、又は介在要素が存在し得ることも理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続」されている、又は「直接結合」されていると言われる場合、介在する要素は存在しない。
【0140】
「below(「下」等)」、「above(「上」等)」、「upper(「高」等)」、「lower(「低」等)」、「horizontal(「水平」、「横」等)」、「lateral(「横」等)」、又は「vertical(「垂直」、「縦」等)」などの相対的な用語は、図に示す、ある要素、層、又は領域と別の要素、層、又は領域との関係を表すために、本明細書で使用され得る。これらの用語は、図に描かれている向きに加えて、デバイスの様々な向きを包含することを意図していることが理解されよう。
【0141】
本明細書では、本発明の理想化された実施例(及び中間構造体)の概略図である断面図を参照しながら、本発明の実施例を説明する。図面内の層及び領域の厚さは、明確にするために誇張されている場合がある。さらに、たとえば製造技法及び/又は許容誤差の結果、図の形状からの変形が予想されるべきである。従って、本発明の実施例は、本明細書に示す領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、たとえば、製造に起因する形状の差を含むべきである。
【0142】
図面及び明細書において、本発明の典型的な実施例を開示してきており、特定の用語が使用されているが、それらは一般的且つ説明的な意味でのみ使用され、限定する目的ではなく、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に示す。