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特許7538328シリカエアロゲルブランケットの製造方法及びその製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】シリカエアロゲルブランケットの製造方法及びその製造装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/158 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
C01B33/158
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023507350
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 KR2021010332
(87)【国際公開番号】W WO2022031074
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】10-2020-0099296
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミン、キョン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】ペク、セ-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン-ウ
(72)【発明者】
【氏名】オ、キョン-シル
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2002-0027749(KR,A)
【文献】特開2013-062417(JP,A)
【文献】特開2012-204656(JP,A)
【文献】特開2010-024069(JP,A)
【文献】特表2019-524611(JP,A)
【文献】特開2020-192511(JP,A)
【文献】特開2007-083122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00-33/193
B01D 11/00-12/00
F26B 5/00,7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)シリカ湿潤ゲルを超臨界抽出器を用いて超臨界乾燥工程を介して乾燥する段階; (2)前記超臨界抽出器から排出された抽出液を、分離器(separator)を介してCO2を含む気相と溶媒を含む液相に分離して排出する段階;及び
(3)前記分離器から排出されたCO2を含む気相を凝縮器(condenser)で凝縮する段階を含むシリカエアロゲルブランケットの製造方法であって、
前記分離器における分離は、60bar(6.0MPa)から90bar(9.0MPa)の圧力条件でなされ、
前記分離器から排出されたCO2を含む気相は、前記凝縮器を介して10℃以上の温度及び60bar(6.0MPa)から90bar(9.0MPa)の圧力を有するように凝縮され
前記分離器から分離され排出された溶媒を含む液相を2次分離器に投入してさらにCO 2 を含む気相と溶媒を含む液相に分離して排出する段階をさらに含み、
前記2次分離器における分離は、5bar(0.5MPa)から50bar(5.0MPa)の圧力条件でなされる、シリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項2】
前記2次分離器から分離され排出されたCO2を含む気相を前記凝縮器に供給して10℃以上の温度及び50bar(5.0MPa)から100bar(10.0MPa)の圧力を有するように凝縮する過程をさらに含む、請求項に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項3】
前記超臨界抽出器から排出された抽出液を分離器に投入する前、50bar(5.0MPa)から100bar(10.0MPa)の圧力を有するように調節する過程をさらに含む、請求項1又は2に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項4】
前記抽出液の圧力は、前記超臨界抽出器と連結されており、前記超臨界抽出器から排出される抽出液の圧力を調節するための圧力調節バルブを介して調節される、請求項に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項5】
前記圧力調節バルブの前端は前記超臨界抽出器と連結されており、後端は前記超臨界抽出器から排出される抽出液を濾過するための濾過装置と連結されている、請求項に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項6】
前記CO2を含む気相は、凝縮器を介してCO2で回収され、回収されたCO2は、さらにポンプを介して100から190bar(10.0から19.0MPa)の圧力で再圧縮されて超臨界抽出器で再使用される、請求項1~のいずれかに記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項7】
シリカ湿潤ゲルが投入され、CO2が注入される超臨界抽出器;
前記超臨界抽出器と配管を介して連結されており、前記超臨界抽出器から排出された抽出液をCO2を含む気相と溶媒を含む液相に分離して排出するための分離器(separator);及び
前記分離器と配管を介して連結されており、前記分離器から排出されたCO2を含む気相を凝縮するための凝縮器(condenser)を含み、
前記分離器は、60bar(6.0MPa)から90bar(9.0MPa)の圧力条件で運転され、
前記凝縮器は、前記分離器から排出されたCO2を含む気相を10℃以上の温度及び60bar(6.0MPa)から90bar(9.0MPa)の圧力を有するように凝縮し、
前記分離器と凝縮器の間に配管を介して連結されており、前記分離器から分離され排出された溶媒が流入されてCO 2 を含む気相と溶媒を含む液相にさらに分離するための2次分離器をさらに含み、
前記2次分離器は、5bar(0.5MPa)から50bar(5.0MPa)の圧力条件で運転される、シリカエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項8】
前記分離器は、第1分離装置及び第2分離装置を含む、請求項に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項9】
前記超臨界抽出器から排出される抽出液の圧力を調節するための圧力調節バルブをさらに含み、
前記圧力調節バルブは、前端が配管を介して前記超臨界抽出器と連結されており、後端が前記配管を介して前記分離器と連結されている、請求項またはに記載のシリカエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項10】
前記圧力調節バルブの後端に連結されている濾過装置をさらに含む、請求項に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項11】
前記超臨界抽出器から排出される抽出液は、前記圧力調節バルブを通過して前記濾過装置を介して濾過される、請求項10に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項12】
前記濾過装置を介して濾過された抽出液は、前記分離器に供給される、請求項10に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項13】
前記超臨界抽出器と前記圧力調節バルブの前端との間に追加的にプレフィルタを含む、請求項10に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項14】
記2次分離器は、配管を介して2次分離されたCO2を含む気相を凝縮器に供給する、請求項13のいずれかに記載のシリカエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項15】
前記凝縮されたCO2を再圧縮するためのポンプをさらに含み、
前記ポンプは、前記凝縮器から回収されたCO2が流入され、再圧縮されたCO2を超臨界抽出器に供給するものである、請求項14のいずれかに記載のシリカエアロゲルブランケットの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月7日付韓国特許出願第10-2020-0099296号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、シリカエアロゲルブランケットの製造方法及びその製造装置に関し、より詳細には、シリカエアロゲルブランケットの製造工程中、超臨界乾燥段階で用いられたCO2を効率的に回収するための方法、及びそれに用いられる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
エアロゲル(aerogel)は、ナノ粒子からなる高多孔性物質であって、高い気孔率と比表面積、そして低い熱伝導度を有するため、高効率の断熱材、防音材等の用途として注目されている。かかるエアロゲルは、多孔性構造によって非常に低い機械的強度を有するため、既存の断熱繊維である無機繊維又は有機繊維等の繊維状ブランケットにエアロゲルを含浸して結合させたエアロゲル複合体が開発されている。一例として、シリカエアロゲルを用いたシリカエアロゲル含有ブランケットの場合、シリカゾルの製造段階、ゲル化段階、熟成(Aging)段階、表面改質段階及び乾燥段階を介して製造される。
【0004】
従来の技術は、超臨界乾燥段階において、高温高圧の超臨界CO2を用いてシリカエアロゲル内に含有されたエタノール等の溶媒を抽出するようになり、抽出されたエタノール等の溶媒と使用されたCO2を分離するために分離器(separator)が用いられている。回収された液相のエタノール等の溶媒は、精製工程等を介してシリカゾルの製造段階及びゲル化段階に再使用される。一方、溶媒を抽出するために用いられるCO2は、分離器を介して分離され、凝縮された後、再び再圧縮されて超臨界乾燥段階に用いられ、前記再圧縮の過程で多量のエネルギーが用いられるようになる。
【0005】
本発明は、かかる超臨界乾燥の過程を効率化して全体的に所要されるエネルギーを節減するための方法、及びそれに用いられる装置の提供を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】KR10-2019-0056818A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、シリカエアロゲルブランケットの製造工程中、超臨界乾燥段階で用いられた超臨界抽出液の分離器による分離条件を調節し、回収されたCO2を凝縮するための凝縮条件を調節することにより、全体的な超臨界乾燥の工程を効率化して使用エネルギーを低減することができるシリカエアロゲルブランケットの製造方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の解決しようとする課題は、前記シリカエアロゲルブランケットの製造方法に用いられ得るシリカエアロゲルブランケットの製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために、(1)シリカ湿潤ゲルを超臨界抽出器を用いて超臨界乾燥工程を介して乾燥する段階;(2)前記超臨界抽出器から排出された抽出液を、分離器(separator)を介してCO2を含む気相と溶媒を含む液相に分離して排出する段階;及び(3)前記分離器から排出されたCO2を含む気相を凝縮器(condenser)で凝縮する段階を含むシリカエアロゲルブランケットの製造方法であって、前記分離器における分離は、60barから90barの圧力条件でなされ、前記分離器から排出されたCO2を含む気相は、前記凝縮器を介して10℃以上の温度及び60barから90barの圧力を有するように凝縮されるシリカエアロゲルブランケットの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記他の課題を解決するために、シリカ湿潤ゲルが投入され、CO2が注入される超臨界抽出器;前記超臨界抽出器と配管を介して連結されており、前記超臨界抽出器から排出された抽出液をCO2を含む気相と溶媒を含む液相に分離して排出するための分離器(separator);及び前記分離器と配管を介して連結されており、前記分離器から排出されたCO2を含む気相を凝縮するための凝縮器(condenser)を含み、前記分離器は、60barから90barの圧力条件で運転され、前記凝縮器は、前記分離器から排出されたCO2を含む気相を10℃以上の温度及び60barから90barの圧力を有するように凝縮するシリカエアロゲルブランケットの製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシリカエアロゲルブランケットの製造方法は、超臨界乾燥工程において、超臨界抽出器から排出された抽出液を分離器で分離する過程の圧力条件を調節し、前記分離器から排出されたCO2を含む気相を一定温度以上及び特定範囲の圧力を有するように凝縮することで、全体的な超臨界乾燥工程を効率化して使用エネルギーを低減することができ、本発明のシリカエアロゲルブランケットの製造装置を介して効果的に前記本発明のシリカエアロゲルブランケットの製造方法が行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に添付される次の図等は、本発明の好ましい実施例を例示するものであり、前述した発明とともに本発明の技術思想をより理解させる役割を担うものであるため、本発明は、かかる図に記載されている事項にのみ限定され解釈されてはならない。
図1】本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置を概略的に示した図である。
図2】本発明の他の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置を概略的に示した図である。
図3】本発明のまた他の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をさらに詳細に説明する。このとき、本明細書及び特許請求の範囲で用いられた用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に合致する意味と概念として解釈されなければならない。
【0014】
建設又は産業の現場において断熱材として広範囲で用いられているシリカエアロゲルは、その表面を疎水化させない場合、シリカ表面のシラノール基(Si-OH)の親水性により空気中の水を吸収するようになり熱伝導率が徐々に高くなるという短所があり、乾燥工程において気孔の崩壊が深まりスプリングバック(spring back)現象を期待しにくいため、マイクロポア(micro pore)を有する超断熱製品の製造が困難な問題がある。
【0015】
したがって、空気中の水気吸収を抑制させて低い熱伝導率を維持するためには、シリカエアロゲルの表面を疎水性に改質する段階が必須である。一般的に、シリカエアロゲルは、シリカゾル製造段階、ゲル化段階、熟成段階、表面改質段階及び超臨界乾燥段階を介して製造される。このとき、前記表面改質段階の順序は、必要に応じて変更されてよい。
【0016】
前記超臨界乾燥段階においては、高温高圧の超臨界CO2を用いてシリカエアロゲル内に含有されたエタノール等の溶媒を抽出するようになり、抽出されたエタノール等の溶媒と使用されたCO2を分離するために分離器(separator)が用いられている。
【0017】
回収された液相のエタノール等の溶媒は、精製工程等を介してシリカゾルの製造段階及びゲル化段階に再使用され、溶媒を抽出するために用いられるCO2は、分離器を介して分離され、凝縮された後、再び再圧縮されて超臨界乾燥段階に用いられる。
【0018】
超臨界乾燥段階は、抽出されたエタノール等の溶媒と用いられたCO2を分離するための分離段階、及び回収されたCO2を凝縮するための凝縮段階に比べて高圧条件でなされ、このために回収されたCO2を超臨界乾燥段階で再使用するためには、圧力を合わせるために高圧で圧縮するための再圧縮過程を経なければならず、前記再圧縮の過程で多量のエネルギーが用いられるようになる。
【0019】
本発明のシリカエアロゲルブランケットの製造方法は、(1)シリカ湿潤ゲルを超臨界抽出器を用いて超臨界乾燥工程を介して乾燥する段階;(2)前記超臨界抽出器から排出された抽出液を、分離器(separator)を介してCO2を含む気相と溶媒を含む液相に分離して排出する段階;及び(3)前記分離器から排出されたCO2を含む気相を凝縮器(condenser)で凝縮する段階を含むシリカエアロゲルブランケットの製造方法であって、前記分離器における分離は、60barから90barの圧力条件でなされ、前記分離器から排出されたCO2を含む気相は、前記凝縮器を介して10℃以上の温度及び60barから90barの圧力を有するように凝縮がなされることを特徴とする。
【0020】
前記分離器における圧力条件である60barから90barの圧力、及び前記凝縮器における温度条件及び圧力条件である10℃以上の温度及び60barから90barの圧力は、従来の分離器を用いた分離段階及び凝縮器を介した凝縮段階に比べていずれも圧力、又は温度及び圧力が高い値を有するものであって、これを介して凝縮過程で必要とするエネルギー消費量及びその後の再圧縮過程で必要なエネルギーの消費量を節減することができる。また、前記凝縮段階の温度は、追加的に吸収式冷凍器を適用することができる条件なので、周辺工程の廃熱を用いて追加的なエネルギー低減を図ることができる。
【0021】
本発明の一例において、前記超臨界抽出器に注入されるCO2の圧力は、100barから190barであってよく、具体的に120barから180barであってよく、さらに具体的に150barから170barであってよい。前記CO2が前記範囲より低い圧力で注入される場合、CO2が気相/液相の界面を形成して均一にブランケットの内部に拡散(Diffusion)されないことがあり、前記範囲より高い圧力で注入される場合、エネルギー所要量が増加され工程コストが過度に所要される。特に、前記CO2が前記範囲より低い圧力で注入される場合、追って抽出液の圧力を低下させた際に前記抽出液を適切な温度範囲まで冷却させるのが困難となり得る。
【0022】
また、前記超臨界乾燥工程の温度は、40℃から110℃であってよく、具体的に50℃から100℃であってよく、さらに具体的に70℃から90℃であってよい。前記超臨界乾燥工程が前記範囲より低い温度で行われる場合、CO2のエアロゲル気孔(pore)への拡散が低下され乾燥効率が下がるので、乾燥時間が遅延され得る。
【0023】
前記超臨界乾燥段階においては、高温高圧の超臨界CO2を用いてシリカ湿潤ゲル内に含有されたエタノール等の溶媒を抽出して乾燥させるようになる。
【0024】
前記超臨界乾燥段階の後、前記超臨界抽出器では抽出に用いられた抽出液を排出するようになり、排出された抽出液は、分離器(separator)を介してCO2を含む気相と溶媒を含む液相に分離され、分離器から分離排出される。
【0025】
本発明の明細書において、前記超臨界抽出器から排出される抽出液とは、超臨界乾燥工程の後で発生する廃液を意味し、これは、水、有機溶媒及びCO2を含んでよく、追加的にシリカエアロゲルの製造過程で用いられた触媒から由来した残留物、表面疎水化のための工程で用いられた表面改質剤をはじめとしたアンモニウムイオン(NH4 +)等を含んでよい。前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、ヘキサン、ペンタン及びイソプロパノールよりなる群から選択される1種以上であってよく、より具体的にエタノールであってよい。
【0026】
前記分離器は、超臨界抽出器から排出される抽出液からCO2とエタノール等を分離するための装置であって、例えば、フラッシュセパレーター(flash separator)又は多段蒸溜器等を含む気液分離器であってよい。本発明の一例において、前記分離器としてフラッシュセパレーターが複数連結されて用いられるか、前記多段蒸溜器が用いられる場合、前記複数のフラッシュセパレーター及び多段蒸溜器を構成する蒸溜器は、それぞれ互いに同一であるか異なる温度条件及び圧力条件で運転されてよい。
【0027】
前記分離器は、例えば、装置の上部を介してCO2を含む気相を分離排出し、装置の下部を介して溶媒を含む液相を分離排出するものであってよい。前記CO2を含む気相は、具体的に、分離された気相のCO2であってよく、前記溶媒を含む液相は、エタノール等の有機溶媒と追加的に水及びアンモニウムイオン(NH4 +)等のその他の成分を含んでよい。
【0028】
上部に分離排出されたCO2を含む気相は、凝縮器(condenser)で凝縮され、前記凝縮器を介して液相に凝縮され超臨界抽出器に再循環されてよく、液相で排出された溶媒等は、精製過程等を経た後、ゲル化過程の原料に再使用されてよい。また、前記精製過程以前に追加的な気液分離過程がなされてよい。
【0029】
前記分離器における分離は、60barから90barの圧力条件でなされてよく、具体的に60barから80bar、さらに具体的に60barから70barの圧力条件でなされてよい。また、前記分離器における分離は、20℃から60℃の温度条件でなされてよく、具体的に30℃から50℃、さらに具体的に35℃から45℃の温度条件でなされてよい。前記分離器における圧力条件は、通常運転される分離器の圧力条件より上昇された圧力条件であり、これを介して回収されるCO2が追って超臨界抽出器に再循環される前に加圧される再圧縮過程において必要とする圧力範囲との差を減少させることにより、再圧縮に必要なエネルギー所要量を顕著に減少させることができる。
【0030】
そのために、前記分離器から排出されたCO2を含む気相は、前記凝縮器を介して10℃以上の温度及び60barから90barの圧力を有するように凝縮がなされる。前記凝縮器における凝縮温度は、具体的に17℃以上であってよく、さらに具体的に17℃から25℃であってよい。また、前記凝縮器における凝縮圧力は、具体的に60barから80bar、さらに具体的に60barから70barであってよい。前記凝縮器においては、凝縮時に前記CO2を含む気相を前記温度範囲で凝縮するようになり、前記凝縮器における凝縮温度を前記範囲にすることにより、凝縮に必要なエネルギーの使用量を節減することができ、追加的に前記温度範囲の凝縮には吸収式冷凍器の適用が可能なので、周辺工程の廃熱の活用が可能であり追加的なエネルギー節減が可能である。
【0031】
本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造方法において、前記分離器は、第1分離装置及び第2分離装置が多段に連結されたものが用いられてよい。よって、前記段階(2)におけるCO2を含む気相と溶媒を含む液相に分離して排出する過程は、多段に連結された第1分離装置及び第2分離装置を介した多段分離によりなされてよい。
【0032】
前記第1分離装置及び第2分離装置は、同一の温度条件及び圧力条件で運転されてよく、またそれぞれ異なる温度条件及び圧力条件で運転されてよい。前記第1分離装置及び第2分離装置は、同一の温度条件及び圧力条件で運転される場合、前記第1分離装置及び第2分離装置の温度条件及び圧力条件は、分離器に関して前述した温度条件及び圧力条件と同一であってよい。
【0033】
前記第1分離装置及び第2分離装置がそれぞれ異なる温度条件及び圧力条件を有する場合、前記第1分離装置は、50barから100barの圧力条件を有してよく、具体的に60barから80bar、さらに具体的に60barから70barの圧力条件を有してよい。また、前記分離器における分離は、20℃から60℃の温度条件でなされてよく、具体的に30℃から50℃、さらに具体的に35℃から45℃の温度条件でなされてよい。また、前記第2分離装置は、5barから30barの圧力条件を有してよく、具体的に8barから25bar、さらに具体的に8barから20barの圧力条件を有してよい。さらに、前記分離器における分離は、10℃から60℃の温度条件でなされてよく、具体的に20℃から50℃、さらに具体的に25℃から40℃の温度条件でなされてよい。
【0034】
また、本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造方法は、前記分離器から分離され排出された溶媒を含む液相を2次分離器に投入してCO2を含む気相と溶媒を含む液相に追加で分離して排出する段階をさらに含んでよい。
【0035】
前記2次分離器における分離は、0barから65barの圧力条件でなされてよく、具体的に5barから50bar、さらに具体的に10barから20barの圧力条件でなされてよい。また、前記2次分離器における分離は、0℃から40℃の温度条件でなされてよく、具体的に10℃から30℃、さらに具体的に20℃から30℃の温度条件でなされてよい。前記2次分離器では、前記分離器での1次分離より低い圧力条件での気液分離がなされ、これを介して前記分離器を介した1次分離で分離されていない前記溶媒を含む液相内に溶解されたCO2を追加的に回収することができる。
【0036】
一方、本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造方法は、前記超臨界抽出器から排出された抽出液を分離器に投入する前に、50barから100barの圧力を有するように調節する過程をさらに含んでよい。
【0037】
前記抽出液の圧力の調節は、前記超臨界抽出器と連結されており、前記超臨界抽出器から排出される抽出液の圧力を調節するための圧力調節バルブを介して調節されてよい。
【0038】
前記超臨界抽出器から排出される抽出液の圧力が低下する場合、抽出液の温度が下降し、これにより前記分離器の温度条件に到達することができる。また、追加的に抽出液の温度が下降する場合、前記抽出液に含まれている触媒から由来した残留物、表面改質剤から由来した残留物が二酸化炭素と反応して炭酸塩を形成して析出され得る。例えば、前記抽出液にアンモニウムイオンが含まれている場合、前記アンモニウムイオンが固相の炭酸アンモニウム、炭化水素アンモニウム又はこれらの混合物を形成して析出されることがあり、また、前記抽出液に水酸化ナトリウム触媒から由来したナトリウムイオンが含まれている場合は、前記ナトリウムイオンが固相の炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はこれらの混合物を形成して析出され得る。前記固相の炭酸アンモニウム、炭化水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はこれらの混合物などの析出された炭酸塩は、濾過装置を介して除去され得る。
【0039】
したがって、前記超臨界抽出器から排出される抽出液は、濾過装置を経て濾過されてよく、このために、前記圧力調節バルブの前端は前記超臨界抽出器と連結されており、後端は前記超臨界抽出器から排出される抽出液を濾過するための濾過装置と連結されていてよい。
【0040】
従来は、蒸溜、イオン交換樹脂又は酸を添加して中和させる方法によって超臨界廃液を再生して再使用したが、前記蒸溜又はイオン交換樹脂を用いる方法は、追加設備及び設備稼動コストの投資が必要なので、経済性、工程性が不良であり、中和反応による方法は、激しい中和反応及び中和熱により安全性が下がり、酸の使用により配管及び機械装置等の腐食が起こるという短所があった。
【0041】
これに比べ、前記のように、超臨界乾燥工程中、超臨界抽出器から排出される抽出液の圧力を前記超臨界抽出器と連結されている圧力調節バルブの調節を介して低下させ、炭酸アンモニウム、炭化水素アンモニウム又はこれらの混合物の形成を誘導した後、これを濾過装置で濾過する場合、簡単かつ安定的で経済的な方法により、回収される抽出液内に含有されたアンモニウムイオンの含量を減少させることができた。
【0042】
前記圧力調節バルブの前端は前記超臨界抽出器と連結されており、後端は濾過装置と連結されていてよく、前記超臨界抽出器から排出される抽出液は、前記圧力調節バルブを通過して前記濾過装置を介して濾過されてよい。前記濾過装置は、析出された固相の炭酸アンモニウム、炭化水素アンモニウム又はこれらの混合物を濾過し出すことができる装置であれば制限されず、例えば、フィルタであってよい。前記フィルタの規格は、特に制限されない。可能な限り小さい析出物を濾過し出せるよう、前記フィルタのメッシュ単位の上限は特に制限されないが、例えば、10メッシュから100,000メッシュ、具体的に50メッシュから10,000メッシュ、100メッシュから5,000メッシュ、100メッシュから2,000メッシュ、さらに具体的に100メッシュから1,000メッシュ、100メッシュから400メッシュの規格を満たすものであってよい。
【0043】
前記CO2を含む気相は、凝縮器を介してCO2で回収され、回収されたCO2は、追加でポンプを介して100barから190barの圧力で再圧縮されて超臨界抽出器に再使用されてよい。
【0044】
前記再圧縮される圧力は、前述した超臨界抽出器に注入されるCO2の圧力であってよく、100barから190barであってよく、具体的に120barから180barであってよく、さらに具体的に150barから170barであってよい。
【0045】
また、本発明の一例において、前記ポンプを介して再圧縮されたCO2は、追加的にヒータを介して前記超臨界乾燥工程の温度範囲に加熱されてよい。前記加熱温度の範囲は、40℃から90℃であってよく、具体的に50℃から90℃であってよく、さらに具体的に70℃から90℃であってよい。
【0046】
また、本発明は、シリカエアロゲルブランケットの製造方法に適用され得るシリカエアロゲルブランケットの製造装置を提供する。
【0047】
シリカ湿潤ゲルが投入され、CO2が注入される超臨界抽出器;前記超臨界抽出器と配管を介して連結されており、前記超臨界抽出器から排出された抽出液をCO2を含む気相と溶媒を含む液相に分離して排出するための分離器(separator);及び前記分離器と配管を介して連結されており、前記分離器から排出されたCO2を含む気相を凝縮するための凝縮器(condenser)を含み、前記分離器は、50barから100barの圧力条件で運転され、前記凝縮器は、前記分離器から排出されたCO2を含む気相を10℃以上の温度及び50barから100barの圧力を有するように凝縮することを特徴とする。
【0048】
前記分離器は、第1分離装置及び第2分離装置を含んでよく、第1分離装置及び第2分離装置は多段に連結されたものであってよく、前記第1分離装置及び第2分離装置は、互いに同一の温度条件及び圧力条件で運転されてよく、またそれぞれ異なる温度条件及び圧力条件で運転されてよい。
【0049】
また、前記シリカエアロゲルブランケットの製造装置は、前記超臨界抽出器から排出される抽出液の圧力を調節するための圧力調節バルブをさらに含んでよく、前記圧力調節バルブは、前端が配管を介して前記超臨界抽出器と連結されており、後端が前記配管を介して前記分離器と連結されていてよい。
【0050】
前記圧力調節バルブは、超臨界乾燥段階において超臨界抽出器内部の圧力を維持させ、その後、超臨界抽出器から排出される抽出液の圧力を調節することができ、具体的に超臨界抽出器から排出される抽出液の圧力を低下させて抽出液の温度を下降させるためのものであってよい。
【0051】
また、前記シリカエアロゲルブランケットの製造装置は、前記圧力調節バルブの後端に連結されている濾過装置をさらに含んでよい。
【0052】
前記圧力調節バルブの前端は前記超臨界抽出器と連結されており、後端は濾過装置と連結されていてよく、前記圧力調節バルブは、前記抽出液の流量を調節することにより前記抽出液の圧力を調節するものであってよい。前記超臨界抽出器から排出される抽出液は、前記圧力調節バルブを通過して前記濾過装置を介して濾過されてよい。例えば、前記抽出液は、前記圧力調節バルブを通過して圧力が低下し、体積膨張により温度が下降することがあり、このように温度が下降する場合、前記抽出液内に含まれているアンモニウム塩が炭酸アンモニウム、炭化水素アンモニウム又はこれらの混合物として析出され、前記濾過装置を介して濾過されて除去され得る。
【0053】
本発明の一例において、前記シリカエアロゲルブランケットの製造装置で前記濾過装置を介して濾過された抽出液は、前記分離器に供給され気液分離がなされ得る。
【0054】
また、本発明の一例において、前記シリカエアロゲルブランケットの製造装置は、前記超臨界抽出器と前記圧力調節バルブ前端との間に追加的にプレフィルタを含んでよい。前記プレフィルタは、前記超臨界乾燥工程において、CO2の投入により形成され得る炭酸アンモニウム、炭化水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はこれらの混合物などの炭酸塩、エアロゲルの形成時及び/又はブランケットから分離されたシリカ微粒子、又はその他の微粒子等を一次的に濾過することによりさらに効果的にアンモニウム塩が除去されるようにすることができ、また、前記圧力調節バルブに炭酸アンモニウム、炭化水素アンモニウム又はこれらの混合物が析出される等の現象を防止することができる。
【0055】
前記プレフィルタは、前記炭酸アンモニウム、炭化水素アンモニウム又はこれらの混合物を一次的に濾過することができる装置であれば制限されず、例えば、フィルタであってよい。前記プレフィルタがフィルタであるとき、前記フィルタの規格は特に制限されない。可能な限り小さい析出物を濾過し出すことができるよう、前記フィルタのメッシュ単位の上限は特に制限されないが、例えば、10メッシュから100,000メッシュ、具体的に50メッシュから10,000メッシュ、100メッシュから5,000メッシュ、100メッシュから2,000メッシュ、さらに具体的に100メッシュから1000メッシュ、100メッシュから400メッシュの規格を満たすものであってよい。
【0056】
また、本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置は、前記分離器と凝縮器の間に配管を介して連結されており、前記分離器から分離され排出された溶媒が流入され、CO2を含む気相と溶媒を含む液相に追加で分離するための2次分離器をさらに含み、前記2次分離器は、配管を介して2次分離されたCO2を含む気相を凝縮器に供給することができる。前記2次分離器は、前記抽出器から排出される抽出液を分離する分離器に比べて低い圧力範囲で運転されてよく、これを介して前記分離器から分離され排出された溶媒から追加的にCO2を含む気相を分離し出すことができる。
【0057】
また、本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置は、前記凝縮されたCO2を再圧縮するためのポンプをさらに含んでよく、前記ポンプは、前記凝縮器から回収されたCO2が流入され、再圧縮されたCO2を超臨界抽出器に供給するものであってよい。また、前記ポンプから超臨界抽出器に再圧縮されたCO2を供給する前に、これを加熱するためのヒータをさらに含んでよい。
【0058】
前記ポンプは、前記超臨界抽出器が要求する圧力範囲で前記CO2を圧縮することができ、前記ヒータは、前記超臨界抽出器が要求する温度範囲で前記CO2を加熱することができる。
【0059】
以下、本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置に対して図を参照しつつ説明する。ただし、例示された図は、本発明の一実施形態を示したものであり、前述した発明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を担うものなので、本発明が図に記載されている事項にのみ限定され解釈されてはならない。
【0060】
図1には、本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置が示されている。図1を参照すると、本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置は、シリカ湿潤ゲルが投入され、CO2が注入される超臨界抽出器100;超臨界抽出器100と配管を介して連結されており、超臨界抽出器100から排出された抽出液を、CO2を含む気相と溶媒を含む液相に分離して排出するための分離器200;及び分離器200と配管を介して連結されており、分離器200から排出されたCO2を含む気相を凝縮するための凝縮器300を含んでいる。本発明の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置が含む分離器200は、2つの分離装置201、202が多段で連結されているものであってよく、このとき、2つの分離装置201、202は、同一の温度及び圧力条件で運転されてよい。分離器200が2つの分離装置201、202を含むとき、第1分離装置201から分離されたCO2を含む気相は第2分離装置202に移送され、第2分離装置202から分離されたCO2を含む気相は、凝縮器300に供給され、凝縮器300を介して10℃以上の温度及び50barから100barの圧力を有するように凝縮がなされる。
【0061】
超臨界抽出器100から排出される抽出液の圧力は、圧力調節バルブ400を介して調節されてよく、圧力調節バルブ400の前端は超臨界抽出器100と連結されており、後端は分離器200と連結されている。このとき、圧力調節バルブ400の後端には濾過装置410が連結されていてよく、この場合、超臨界抽出器100から排出される抽出液は、圧力調節バルブ400を通過し濾過装置410を介して濾過され、濾過装置410を介して濾過された抽出液は分離器200に供給される。必要に応じて、超臨界抽出器100と圧力調節バルブ400の前端の間には追加的にプレフィルタ(図示せず)が設置されてよい。
【0062】
本発明の一例において、第1分離装置201及び第2分離装置202から分離されそれぞれの分離装置201、202の下端から排出される液相はそのまま回収されてよいが、追加的に2次分離器500に供給されて追加分離過程を経てよい。
【0063】
2次分離器500は、2次分離されたCO2を含む気相を凝縮器300に供給し、凝縮器300を介して10℃以上の温度及び50barから100barの圧力を有するように凝縮がなされるようになる。
【0064】
CO2を含む気相は、凝縮器300を介して凝縮されてCO2で回収され、回収されたCO2は、追加でポンプ600を介して100から190barの圧力に再圧縮されて超臨界抽出器100で再使用される。また、再圧縮されたCO2は、ヒータ700を介して超臨界抽出器100に供給される前に再加熱されてよい。
【0065】
図2には、本発明の他の一例によるシリカエアロゲルブランケットの製造装置が示されている。図2を参照すると、シリカエアロゲルブランケットの製造装置において、圧力調節バルブ400の後端に連結されている濾過装置410の後端にはヒータ405が連結されている。ヒータ405は、分離器200と連結されており、ヒータ405から排出された抽出液は、分離器200に供給される。ヒータ405を介して、CO2を含む気相と溶媒を含む液相を分離するための分離器200の分離温度を調節することができ、また、圧力調節バルブ400を介して超臨界抽出器100の圧力を調節することができ、分離器200での分離圧力を調節することができる。
【0066】
また、分離器200の第1分離装置201及び第2分離装置202の下端は圧力調節バルブ420と連結されており、圧力調節バルブ420の後端は2次分離器500と連結されている。第1分離装置201及び第2分離装置202と連結された圧力調節バルブ420を経て溶媒を含む液相が2次分離器500に供給され、圧力調節バルブ420を介して第1分離装置201及び第2分離装置202の圧力が調節され得る。
【0067】
圧力調節バルブ420と2次分離器500の間にはヒータ425が設置されており、圧力調節バルブ420を通過した溶媒を含む液相は、ヒータ425によって加熱され2次分離器500に供給され、これによりヒータ425を介して2次分離器の温度が調節され得る。
【0068】
2次分離器500の上端には圧縮器510が連結されており、2次分離器500の下端には圧力調節バルブ520が連結されており、圧縮器510及び圧力調節バルブ520を介して2次分離器500の圧力が調節される。
【0069】
図3には、本発明のまた他の一例によるシリカエアロゲルブランケット製造装置が示されている。図3を参照すると、圧縮器510の後端には追加凝縮器515が設置されているので、2次分離器500から排出された気相を凝縮するようになる。凝縮器300は、1次分離器200から排出された気相のみを凝縮するように位置されていてよく、この場合、1次分離器200を通過した気相及び2次分離器500を通過した気相は、それぞれ別個の凝縮器を介して凝縮され得る。
【0070】
また、2次分離器500から排出された液相を回収するための溶媒回収タンク800が圧力調節バルブ520の後端に連結されており、これを介して回収された溶媒が貯蔵される。
【実施例
【0071】
以下、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるよう、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0072】
下記実施例及び比較例は、商用の工程模写プログラムASPEN PLUSを用いて本発明に係るシリカエアロゲルの製造方法をシミュレーションした。シミュレーションに必要な定数は、前記プログラム上に内蔵されている値、文献上に記載された値等を用いた。
【0073】
(実施例1)
シリカ前駆体として水和されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)8.2Kg及びトリメチルエトキシシラン(TMES)2.0kgをエタノール8.7Kgと混合することでシリカゾル19Kg(ターゲット密度(TD)40kg/m3)を製造した。これと別に、エタノール13.1Kg及びNH4OH(30%水溶液)1.7Kgを混合することでゲル化触媒溶液を製造した。前記溶液をガラス繊維(glass fiber)マットに含浸させてゲル化させた。10分間ゲル化を行い、ゲル化完了後、常温(25℃)で10分間安定化させた後、常温でドライエージング及び表面改質を実施した。
【0074】
表面改質の完了後、70Lの超臨界抽出器に製造されたシリカゲル-繊維複合体を入れ、CO2を80℃、170barで6.1Kg/minの速度で連続して注入した。その後、20分間抽出した後、再び20分間CO2を80℃、160barで6.5L/minの速度で連続して注入し、排出される抽出液は、超臨界抽出器に連結された圧力調節バルブに供給され、圧力調節バルブを介して圧力を65barに低下させた。その後、1次分離器を介して65bar、40℃で気液分離し、2次分離器を介して20bar、25℃で気液分離し、これを介してガス相のCO2及び液相のエタノールを回収した。回収されたガス相のCO2は、凝縮器で17℃以下(65bar)で凝縮させた後、170barに再圧縮し、ヒータを介して80℃の水準に再加熱して循環させた。分離器の下部に分離した液相のエタノールは、再使用のために追加的な触媒(アンモニア)の除去過程を経て、ゾル及び触媒の製造とゲル化反応等に再使用することでシリカエアロゲルブランケットを製造した。
【0075】
(実施例2)
前記実施例1において、2次分離器を介して10bar、25℃で気液分離し、追加で回収されたCO2を65barに再圧縮した後、17℃以下で凝縮したことを除いては、実施例1と同一の方法を実施した。
【0076】
(実施例3)
シリカ前駆体として水和されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)8.3Kgをエタノール19Kgと混合し、シリカゾル40L(ターゲット密度(TD)40kg/m3)を製造した。これと別に、エタノール3.4Kg及びNH4OH(30%水溶液)0.18Kgを混合することでゲル化触媒溶液を製造した。前記溶液をガラス繊維(glass fiber)マットに含浸させてゲル化させた。10分間ゲル化を行い、ゲル化完了後、常温(25℃)で 10分間安定化させた後、エタノールとNH4OHの混合物(98:2の体積比)を製造してシリカゾル体積の1.6倍の量で添加し、70℃で1時間エージングしてヘキサメチルジシラザンを用いて表面改質を5時間実施した。
【0077】
表面改質の完了後、70Lの超臨界抽出器に製造されたシリカゲル-繊維複合体を入れてCO2を80℃、170barで6.1Kg/minの速度で連続して注入した。その後、20分間抽出した後、再び20分間CO2を80℃、160barで6.5L/minの速度で連続して注入し、排出される抽出液は、超臨界抽出器に連結された圧力調節バルブに供給され、圧力調節バルブを介して圧力を65barに低下させた。その後、1次分離器を介して65bar、40℃で気液分離し、2次分離器を介して10bar、25℃で気液分離し、これを介してガス相のCO2及び液相のエタノールを回収した。回収されたガス相のCO2は、凝縮器で17℃以下(65bar)で凝縮させた後、170barに再圧縮し、ヒータを介して80℃の水準に再加熱して循環させた。分離器の下部に分離した液相のエタノールは、再使用のために追加的な触媒(アンモニア)の除去過程を経て、ゾル及び触媒の製造とゲル化反応等に再使用してシリカエアロゲルブランケットを製造した。
【0078】
(比較例1)
前記実施例1と同一の過程を介してシリカゲル-繊維複合体を製造した。排出される抽出液の圧力を圧力調節バルブを介して50barに低下させ、分離器で50bar、40℃で気液分離し、上部に回収されたCO2を凝縮器で0℃に凝縮させた後、170barに再圧縮した。ヒータを介して80℃に再加熱して循環させたことを除いては、実施例1と同一の過程を行った。
【0079】
(実験例)
1)エネルギー消耗量
前記実施例1から3と比較例1で加熱、冷却及び凝縮のために所要された熱量(duty)をAspen Plusで計算し、下記表1に示した。
【0080】
2)熱伝導度の評価
前記実施例1から3と比較例1で回収されたエタノールを用いて製造されたシリカエアロゲルブランケットに対する熱伝導度を測定し、下記表2に示した。
【0081】
前記熱伝導度は、熱伝導度測定器(NETZSCH、HFM436 Lambda)を用いて25℃で測定した。
【0082】
【表1】
【0083】
前記表1で確認することができるように、実施例1から3は、比較例1対比70から86%のエネルギー消耗だけでも、超臨界乾燥段階において用いられたCO2及び溶媒を効率的に回収することができた。
【0084】
【表2】
【0085】
前記表2で確認することができるように、実施例1から3は、比較例1に比べて低い熱伝導度を示した。これを介し、実施例1から3により回収された液相のエタノールを用いてシリカエアロゲルブランケットを製造したとき、比較例1のような従来の通常の溶媒回収方法により回収された液相のエタノールを用いてシリカエアロゲルブランケットを製造したときに比べ、製造されたシリカエアロゲルブランケットの物性が同等水準又は優秀であることを確認することができた。このような結果を介し、本発明によるシリカエアロゲルブランケットの製造方法による場合、より少ないエネルギーの消耗だけでも超臨界乾燥段階において用いられたCO2をさらに効果的に回収できることを確認することができる。
【符号の説明】
【0086】
100:超臨界抽出器
200:分離器
201:第1分離装置
202:第2分離装置
300、515 :凝縮器
400、420、520:圧力調節バルブ
405、425、700:ヒータ
410:濾過装置
500:2次分離器
510:圧縮器
600:ポンプ
800:溶媒回収タンク
図1
図2
図3