(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】波長間隔が広い多焦点イメージング
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G03F7/20 502
(21)【出願番号】P 2023519806
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2021059964
(87)【国際公開番号】W WO2022125289
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-06-09
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】プライス,マイケル,レスリー
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-511074(JP,A)
【文献】特表2011-525711(JP,A)
【文献】特表2019-532335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G02B 5/00
H01S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光ビームを生成するパルス光源のための波長選択装置であって、
前記パルス光ビームの入射角に従って前記パルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択する中心波長選択光学系と、
前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構であって、前記パルス光ビームと光学的に相互作用し、前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への前記入射角を選択する同調機構と、
受動的かつ透過的であり、前記パルス光ビームの少なくとも大部分が拡大される場所に前記パルス光ビームの前記経路に沿って配置されている回折光学素子であって、前記パルス光ビームと相互作用し、それぞれが個別の波長と関連付けられ前記パルス光ビームの光学スペクトルが各個別の波長にピークを有するように、それぞれが前記中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられた複数のパルス光サブビームを前記パルス光ビームから生成する回折光学素子と、を備えた波長選択装置。
【請求項2】
前記回折光学素子が、回折ビームスプリッタ、回折格子、位相格子、バイナリ位相格子、又はブレーズ位相格子である、請求項1の波長選択装置。
【請求項3】
前記同調機構が4つの屈折光学素子を備える、請求項1の波長選択装置。
【請求項4】
各屈折光学素子が直角プリズムである、請求項3の波長選択装置。
【請求項5】
前記パルス光ビームの各パルスの前記中心波長が約248ナノメートル(nm)又は約193nmである、請求項1の波長選択装置。
【請求項6】
前記回折光学素子の前記パルス光ビームの前記経路に対する位置を調整するアクチュエータを更に備え、これにより前記回折光学素子があるときには前記パルス光ビームの前記経路に沿った位置にあり、他のときには前記パルス光ビームの前記経路に沿った位置になく、前記回折光学素子が前記パルス光ビームの前記経路に沿った位置にある場合にのみ前記回折光学素子が前記パルス光ビームと相互作用する、請求項1の波長選択装置。
【請求項7】
前記アクチュエータが更に、前記回折光学素子における前記回折光学素子の前記パルス光ビームの前記経路の方向に対する角度を調整し、これにより生成された各パルス光サブビームの前記中心波長選択光学系への前記個別の入射角が調整される、請求項
6の波長選択装置。
【請求項8】
前記同調機構及び前記中心波長選択光学系が、リトロー配置において前記パルス光ビームと相互作用するように配置されている、請求項1の波長選択装置。
【請求項9】
前記中心波長選択光学系が反射光学素子である、請求項1の波長選択装置。
【請求項10】
制御システムと、前記同調機構と関連付けられた1つ以上のアクチュエータとを更に備え、前記制御システムが、前記1つ以上のアクチュエータへの信号を調整することによって、前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への前記入射角を調整する、請求項1の波長選択装置。
【請求項11】
前記回折光学素子が、前記経路に沿った前記パルス光ビームの伝搬方向に垂直に配置されている、請求項1の波長選択装置。
【請求項12】
前記回折光学素子が更に、前記パルス光ビームを形成するために前記中心波長選択光学系からの前記複数のパルス光サブビームを再結合する、請求項1の波長選択装置。
【請求項13】
前記同調機構が4つの直角プリズムを備えており、前記パルス光ビームの少なくとも大部分が拡大される前記場所が、前記中心波長選択光学系に最も近い前記直角プリズムと前記中心波長選択光学系に2番目に近い前記直角プリズムとの間の前記
経路にある、請求項1の波長選択装置。
【請求項14】
経路に沿ってリソグラフィ露光装置に向けられるパルス光ビームを生成する光源と、
前記パルス光ビームと相互作用するリソグラフィ露光装置と、
前記光源に対して配置された波長選択装置とを備えた光学システムであって、前記波長選択装置が、
前記パルス光ビームの入射角に従って前記パルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択する中心波長選択光学系と、
前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への前記経路に沿って配置された同調機構であって、前記パルス光ビームと光学的に相互作用し、前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への前記入射角を選択する同調機構と、
受動的かつ透過的であり、前記パルス光ビームが完全に拡大されるか又は少なくとも大部分が拡大される場所に前記パルス光ビームの前記経路に沿って配置されている回折光学素子であって、前記パルス光ビームと相互作用し、空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビームを前記パルス光ビームから生成するものであり、各パルス光サブビームが、それぞれが個別の波長と関連付けられ、前記パルス光ビームの光学スペクトルが各個別の波長にピークを有するように前記中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられた回折光学素子と、を備えた光学システム。
【請求項15】
前記回折光学素子が、回折ビームスプリッタ、回折格子、位相格子、バイナリ位相格子、又はブレーズ位相格子である、請求項
14の光学システム。
【請求項16】
前記同調機構が4つの屈折光学素子を備える、請求項
14の光学システム。
【請求項17】
各屈折光学素子が直角プリズムである、請求項
16の光学システム。
【請求項18】
前記パルス光ビームの各パルスの前記中心波長が約248ナノメートル(nm)又は約193nmである、請求項
14の光学システム。
【請求項19】
前記波長選択装置が、前記回折光学素子の前記パルス光ビームの前記経路に対する位置を、前記回折光学素子があるときには前記パルス光ビームの前記経路に沿った位置にあり、他のときには前記パルス光ビームの前記経路に沿った位置になく、前記回折光学素子が前記パルス光ビームの前記経路に沿った位置にある場合にのみ前記回折光学素子が前記パルス光ビームと相互作用するように調整するアクチュエータを更に備える、請求項
14の光学システム。
【請求項20】
前記回折光学素子の前記パルス光ビームの前記経路に対する前記位置を調整するように前記波長選択装置を制御する制御システムを更に備えた、請求項
19の光学システム。
【請求項21】
前記リソグラフィ露光装置が、前記光源からの前記パルス光ビームと相互作用するように位置付けられたマスクと、ウェーハを保持するウェーハホルダとを備える、請求項
14の光学システム。
【請求項22】
前記ウェーハホルダにある前記ウェーハ上に、それぞれが伝搬方向に沿って前記マスクを通過する前記関連付けられたパルス光サブビームの前記個別の波長に基づく複数の個別の空間像が形成される、請求項
21の光学システム。
【請求項23】
制御システムと、前記同調機構と関連付けられた1つ以上のアクチュエータとを更に備え、前記制御システムが、前記1つ以上のアクチュエータへの信号を調整することによって、前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への前記入射角を調整する、請求項
14の光学システム。
【請求項24】
単一のパルス光ビームで複数の空間像を形成する方法であって、
ウェーハに向かう経路に沿って前記パルス光ビームを発生させること、
前記パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を、前記パルス光ビームを前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構と光学的に相互作用させることによって、前記パルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択するために選択すること、
前記パルス光ビームを前記パルス光ビームの前記経路に沿って配置された回折パターンと相互作用させることによって前記パルス光ビームを複数のパルス光サブビームに分割することを含む、それぞれが少なくとも10ピコメートル(pm)だけ分離されている個別の波長の対応する1つと関連付けられるようにそれぞれが前記中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられている、空間的に分離され時間的に分離されていない前記複数のパルス光サブビームを前記パルス光ビームから生成すること、及び
それぞれが個別の波長に基づいて形成される前記複数の空間像を前記単一のパルス光ビームで前記ウェーハ上に形成することを含む方法。
【請求項25】
前記パルス光ビームを前記回折パターンと相互作用させることが、前記パルス光ビームを回折光学素子に透過させることを含む、請求項
24の方法。
【請求項26】
前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への前記入射角を選択することが、前記同調機構内の屈折光学素子の1つ以上の角度を調整することを含む、請求項
24の方法。
【請求項27】
前記複数のパルス光サブビームを前記パルス光ビームから生成することが、前記回折パターンの前記パルス光ビームの前記経路に対する位置を調整することを含む、請求項
24の方法。
【請求項28】
前記回折パターンの前記位置を調整することが、前記回折パターンを含む回折光学素子を移動させることによって制御することを含む、請求項
27の方法。
【請求項29】
前記パルス光サブビームを前記パルス光ビームの前記経路に沿って配置された前記回折パターンと相互作用させることによって、前記中心波長選択光学系を離れる前記複数のパルス光サブビームを再結合することを更に含み、これにより前記複数のパルス光サブビームが、前記パルス光ビームが前記経路に沿って前記中心波長選択光学系に進みながら前記回折パターンと相互作用するときに生成され、前記複数のパルス光サブビームが、前記パルス光サブビームが前記経路に沿って前記中心波長選択光学系から離れて進みながら前記回折パターンと相互作用するときに前記パルス光ビームを形成するために再結合される、請求項
24の方法。
【請求項30】
パルス光ビームを生成するパルス光源のための波長選択装置であって、
前記パルス光ビームの入射角に従って前記パルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択する中心波長選択光学系と、
前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構であって、前記パルス光ビームと光学的に相互作用し、前記パルス光ビームの前記中心波長選択光学系への前記入射角を選択する、4つの屈折光学素子を備えた同調機構と、
前記同調機構と前記中心波長選択光学系との間の場所に前記パルス光ビームの前記経路に沿って配置された受動的かつ透過的回折光学素子であって、前記パルス光ビームと相互作用し、空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビームを前記パルス光ビームから生成するものであり、各パルス光サブビームが、それぞれが個別の波長と関連付けられ、前記パルス光ビームの光学スペクトルが各個別の波長にピークを有するように前記中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられた回折光学素子と、を備えた波長選択装置。
【請求項31】
前記回折光学素子が、回折ビームスプリッタ、回折格子、位相格子、バイナリ位相格子、又はブレーズ位相格子である、請求項
30の波長選択装置。
【請求項32】
前記同調機構が4つの屈折光学素子を備える、請求項
30の波長選択装置。
【請求項33】
前記複数のパルス光サブビームの前記個別の波長間の波長間隔が、約10ピコメートル(pm)、約30pm、又は約45pmより大きい、請求項
30の波長選択装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、MULTIFOCAL IMAGING WITH INCREASED WAVELENGTH SEPARATIONと題する2020年12月10日出願の米国出願第63/123,833号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 開示される主題は、単一リソグラフィ露光パスで複数の空間像を形成するために単一のパルス光ビームの複数の波長を選択するための波長選択装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] フォトリソグラフィとは、半導体回路をシリコンウェーハなどの基板上にパターニングするプロセスである。フォトリソグラフィ光源が、ウェーハ上のフォトレジストを露光するのに使用される深紫外(DUV)光(DUV光ビーム)を提供する。フォトリソグラフィのためのDUV光ビームはエキシマ光源が発生させる。光源はレーザ源であり、レーザ源の出力はパルスレーザビームであることが多い。DUV光ビームはビームデリバリユニット、レチクル又はマスクを通過した後、準備されたシリコンウェーハ上に投影される。このようにして、後に現像、エッチング及び洗浄されるフォトレジスト上にチップ設計がパターニングされ、そしてプロセスは繰り返す。
【0004】
[0004] 一般的に、エキシマレーザが、アルゴン、クリプトン、又はキセノンを含み得る1種類以上の希ガスと、フッ素又は塩素を含み得る反応性ガスとの組み合わせを使用する。エキシマレーザは、電気的シミュレーション(供給されるエネルギー)及び(ガス混合物の)高圧の適切な条件下でエキシマ、疑似分子を生成することができ、エキシマは励起状態でのみ存在する。励起状態のエキシマは、DUV範囲の増幅光を生じさせる。エキシマ光源は、単一のガス放電チャンバ又は複数のガス放電チャンバを使用することができる。DUV光ビームは、例えば、約100ナノメータ(nm)~約400nmの波長を含むDUV範囲の波長を有する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一部の一般的態様では、波長選択装置が、パルス光ビームを生成するパルス光源に対して配置される。波長選択装置は、パルス光ビームの入射角に従ってパルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択するように構成された中心波長選択光学系と、パルス光ビームの中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構であって、パルス光ビームと光学的に相互作用し、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を選択するように構成された同調機構と、受動的かつ透過的であり、パルス光ビームが完全に拡大されるか又は少なくとも大部分が拡大される場所にパルス光ビームの経路に沿って配置されている回折光学素子とを備える。回折光学素子は、パルス光ビームと相互作用し、それぞれが個別の波長と関連付けられ、パルス光ビームの光学スペクトルが各個別の波長にピークを有するようにそれぞれが中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられた複数のパルス光サブビームをパルス光ビームから生成するように構成されている。
【0006】
[0006] 実施例が以下の特徴の1つ以上を備える可能性がある。例えば、回折光学素子は、回折ビームスプリッタ、回折格子、位相格子、バイナリ位相格子、又はブレーズ位相格子である可能性がある。
【0007】
[0007] 同調機構は4つの屈折光学素子を備える可能性がある。各屈折光学素子は直角プリズムである可能性がある。同調機構は4つの直角プリズムを備える可能性があり、パルス光ビームの少なくとも大部分が拡大される場所は、中心波長選択光学系に最も近い直角プリズムと中心波長選択光学系に2番目に近い直角プリズムとの間の光路にある。同調機構は、パルス光ビームの回折光学素子への経路に沿って配置された4つの直角プリズムを備える可能性があり、パルス光ビームは4つの直角プリズムと中心波長選択光学系との間で完全に拡大される。
【0008】
[0008] 複数のパルス光サブビームの個別の波長間の波長間隔が、約10ピコメートル(pm)、約30pm、又は約45pmより大きい可能性がある。パルス光ビームの各パルスの中心波長は、約248ナノメートル(nm)又は約193nmである可能性がある。複数のパルス光サブビームの個別の波長間の波長間隔は、回折光学素子の周期的な形状に依存する可能性がある。
【0009】
[0009] 波長選択装置はまた、回折光学素子のパルス光ビームの経路に対する位置を調整するように構成されたアクチュエータを備える可能性があり、これにより回折光学素子があるときにはパルス光ビームの経路に沿った位置にあり、他のときにはパルス光ビームの経路に沿った位置になく、回折光学素子がパルス光ビームの経路に沿った位置にある場合にのみ回折光学素子はパルス光ビームと相互作用する。アクチュエータは、回折光学素子における回折光学素子のパルス光ビームの経路の方向に対する角度を調整するように更に構成される可能性があり、これにより生成された各パルス光サブビームの中心波長選択光学系への個別の入射角が調整される。
【0010】
[0010] 複数のパルス光サブビームは、3つ以上のパルス光サブビームを含む可能性がある。
【0011】
[0011] 同調機構及び中心波長選択光学系は、リトロー配置においてパルス光ビームと相互作用するように配置される可能性がある。中心波長選択光学系は反射光学素子である可能性がある。
【0012】
[0012] 空間像がパルス光ビームの各個別の波長について形成される可能性がある。
【0013】
[0013] 波長選択装置はまた、制御システムと、同調機構と関連付けられた1つ以上のアクチュエータとを備える可能性がある。制御システムは、1つ以上のアクチュエータへの信号を調整することによって、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を調整するように構成される可能性がある。
【0014】
[0014] 回折光学素子は、パルス光ビームの経路に沿った伝搬方向に垂直に配置される可能性がある。回折光学素子は、パルス光ビームを形成するために中心波長選択光学系からの複数のパルス光サブビームを再結合するように構成される可能性がある。
【0015】
[0015] 他の一般的な態様では、光学システムは、経路に沿ってリソグラフィ露光装置に向けられるパルス光ビームを生成するように構成された光源と、パルス光ビームと相互作用するように構成されたリソグラフィ露光装置と、光源に対して配置された波長選択装置とを備える。波長選択装置は、パルス光ビームの入射角に従ってパルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択するように構成された中心波長選択光学系と、パルス光ビームの中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構であって、パルス光ビームと光学的に相互作用し、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を選択するように構成された同調機構と、受動的かつ透過的であり、パルス光ビームが完全に拡大されるか又は少なくとも大部分が拡大される場所にパルス光ビームの経路に沿って配置されている回折光学素子とを備える。回折光学素子は、パルス光ビームと相互作用し、空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビームをパルス光ビームから生成するように構成されている。各パルス光サブビームは、それぞれが個別の波長と関連付けられ、パルス光ビームの光学スペクトルが各個別の波長にピークを有するように中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられている。
【0016】
[0016] 実施例が以下の特徴の1つ以上を備える可能性がある。例えば回折光学素子は、回折ビームスプリッタ、回折格子、位相格子、バイナリ位相格子、又はブレーズ位相格子である可能性がある。
【0017】
[0017] 同調機構は4つの屈折光学素子を備える可能性がある。各屈折光学素子は直角プリズムである可能性がある。
【0018】
[0018] 複数のパルス光サブビームの個別の波長間の波長間隔が、約10ピコメートル(pm)、約30pm、又は約45pmより大きい可能性がある。パルス光ビームの各パルスの中心波長は、約248ナノメートル(nm)又は約193nmである可能性がある。
【0019】
[0019] 波長選択装置は、回折光学素子があるときにはパルス光ビームの経路に沿った位置にあり、他のときにはパルス光ビームの経路に沿った位置になく、回折光学素子がパルス光ビームの経路に沿った位置にある場合にのみ回折光学素子がパルス光ビームと相互作用するように、回折光学素子のパルス光ビームの経路に対する位置を調整するように構成されたアクチュエータを備える可能性がある。光学システムはまた、回折光学素子のパルス光ビームの経路に対する位置を調整するように波長選択装置を制御するように構成された制御システムを備える可能性がある。
【0020】
[0020] リソグラフィ露光装置は、光源からのパルス光ビームと相互作用するように配置されたマスクと、ウェーハを保持するように構成されたウェーハホルダとを備える可能性がある。ウェーハホルダにあるウェーハ上に、それぞれが伝搬方向に沿ってマスクを通過する関連付けられたパルス光サブビームの個別の波長に基づく複数の個別の空間像が形成される可能性がある。
【0021】
[0021] 光学システムは、制御システムと、同調機構と関連付けられた1つ以上のアクチュエータとを備える可能性がある。制御システムは、1つ以上のアクチュエータへの信号を調整することによって、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を調整するように構成される可能性がある。
【0022】
[0022] 他の一般的な態様では、単一のパルス光ビームで複数の空間像を形成する方法が実行される。方法は、ウェーハに向かう経路に沿ってパルス光ビームを発生させること、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を、パルス光ビームをパルス光ビームの中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構と光学的に相互作用させることによって、パルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択するために選択すること、パルス光ビームをパルス光ビームの経路に沿って配置された回折パターンと相互作用させることによってパルス光ビームを複数のパルス光サブビームに分割することを含む、それぞれが少なくとも10ピコメートル(pm)だけ分離されている個別の波長の対応する1つと関連付けられるようにそれぞれが中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられている、空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビームをパルス光ビームから生成すること、及びそれぞれが個別の波長に基づいて形成される複数の空間像を単一のパルス光ビームでウェーハ上に形成することを含む。
【0023】
[0023] 実施例が以下の特徴の1つ以上を備える可能性がある。例えばパルス光ビームは、パルス光ビームを回折光学素子に透過させることによって、回折パターンと相互作用される可能性がある。
【0024】
[0024] 各パルス光サブビームと関連付けられた中心波長選択光学系への各個別の入射角が、回折パターンの周期的な形状によって決定される可能性がある。
【0025】
[0025] パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角は、同調機構内の屈折光学素子の1つ以上の角度を調整することによって選択される可能性がある。
【0026】
[0026] 複数のパルス光サブビームは、回折パターンのパルス光ビームの経路に対する位置を調整することによってパルス光ビームから生成される可能性がある。回折パターンの位置を調整することは、回折パターンを含む回折光学素子を動かすことによって制御することを含む可能性がある。
【0027】
[0027] 複数の空間像は、ウェーハにおけるパルス光ビームの強度プロファイルを平坦化することによってウェーハ上に形成される可能性がある。
【0028】
[0028] 方法はまた、パルス光サブビームをパルス光ビームの経路に沿って配置された回折パターンと相互作用させることによって、中心波長選択光学系を離れる複数のパルス光サブビームを再結合することを含む可能性があり、これにより複数のパルス光サブビームは、経路に沿って中心波長選択光学系に進むパルス光ビームが回折パターンと相互作用するときに生成され、複数のパルス光サブビームは、経路に沿って中心波長選択光学系から離れて進むパルス光サブビームが回折パターンと相互作用するときにパルス光ビームを形成するために再結合される。
【0029】
[0029] 他の一般的な態様では、波長選択装置が、パルス光ビームを生成するパルス光源と関連付けられている。波長選択装置は、パルス光ビームの入射角に従ってパルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択するように構成された中心波長選択光学系と、パルス光ビームの中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構であって、パルス光ビームと光学的に相互作用し、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を選択するように構成され、4つの屈折光学素子を備えた同調機構と、同調機構と中心波長選択光学系との間の場所にパルス光ビームの経路に沿って配置された受動的かつ透過的回折光学素子とを備える。回折光学素子は、パルス光ビームと相互作用し、空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビームをパルス光ビームから生成するように構成されている。各パルス光サブビームは、それぞれが個別の波長と関連付けられ、パルス光ビームの光学スペクトルが各個別の波長にピークを有するように中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】[0030] パルス光ビームを生成するように構成された光源と、パルス光ビームと相互作用するように構成されたリソグラフィ露光装置と、パルス光ビームの複数の個別の中心波長を選択するように構成された波長選択装置とを備えた光学システムのブロック図である。
【
図2A】[0031] 中心波長選択光学系と、同調機構と、回折光学素子とを備えた
図1の波長選択装置の実施例のブロック図である。
【
図2B】[0032]
図2Aの中心波長選択光学系と、位相格子である
図2Aの回折光学素子の実施例とのブロック図である。
【
図2C】[0033] パルス光ビームの各個別の中心波長にピークを有する
図1のパルス光ビームの光学スペクトルの一例のグラフである。
【
図3A】[0034]
図1の光源からのパルス光ビームと相互作用するように構成された投影光学システムと、パルス光ビームと相互作用するように位置付けられたマスクと、ウェーハを保持するように構成されたウェーハホルダとを備えた
図1のリソグラフィ露光装置の実施例のブロック図である。
【
図3B】[0035] スリットと、
図3Aのマスクと、レンズを含む投影対物系とを備えた
図3Aの投影光学システムの実施例のブロック図である。
【
図3C】[0036] それぞれが単一露光パスで
図3Bの投影光学システムにより形成される、ウェーハのz軸に沿った異なる平面にある複数の空間像を含む、
図3Aのウェーハの模式図である。
【
図4A】[0037] パルス光ビームと光学的に相互作用するように配置された一セットの光学コンポーネントを備えた同調機構の実施例と、回折光学素子の実施例と、中心波長選択光学系の実施例とを含む
図2Aの波長選択装置の実施例のブロック図である。
【
図4B】[0038]
図4Aの波長選択装置の光学コンポーネントの1つによるビーム拡大及びビーム屈折角を示すブロック図である。
【
図5A】[0039] Z方向が光ビームの進行経路に垂直である場合の、
図4Aの波長選択装置のZ軸に沿って上から見たブロック図である。
【
図5B】[0040]
図2Aの波長選択装置の別の実施例のZ軸に沿って上から見たブロック図である。
【
図6A】[0041] パルス光ビームの経路に沿った回折光学素子のパルス光ビームの経路に対する位置を調整するように構成されたアクチュエータを備えた
図4Aの波長選択装置のY軸に沿って側面から見たブロック図である。
【
図6B】[0042] 回折光学素子がパルス光ビームの経路の外側にある、
図6Aのアクチュエータを備えた
図4Aの波長選択装置のY軸に沿って側面から見たブロック図である。
【
図7A】[0043] 回折光学素子における回折光学素子のパルス光ビームの経路の方向に対する角度を調整するように構成されたアクチュエータと、同調機構における1つの光学コンポーネントの角度を調整することによってパルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を調整するように構成された別のアクチュエータとを備えた
図4Aの波長選択装置のZ軸に沿って側面から見たブロック図である。
【
図7B】[0044] それぞれが調整された位置に配置された
図7Aのアクチュエータを備えた
図4Aの波長選択装置のZ軸に沿って側面から見たブロック図である。
【
図8】[0045]
図1の単一のパルス光ビームで
図3Cの複数の空間像を形成する手順のフローチャートである。
【
図9】[0046]
図2Aの波長選択装置を備えた
図1の光学システムの実施例の一例のブロック図である。
【
図10A】[0047] ブレーズ格子である回折光学素子の実施例を含む
図4Aの波長選択装置のZ軸に沿って上から見たブロック図である。
【
図10B】[0048] ブレーズ格子である
図10Aの回折光学素子のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0050]
図1を参照すると、光学システム100が、光ビーム102を生成するように構成されたパルス光源である光源105と、パルス光ビーム102と相互作用するように構成されたリソグラフィ露光装置107と、光源105に対して配置された波長選択装置110とを備える。光ビーム102は、経路104に沿ってリソグラフィ露光装置107に向けられる。光ビーム102は、時間的に互いに分離された光のパルスを含むパルス光ビームである。光ビーム102のパルスは、深紫外線(DUV)領域内の波長、例えば248ナノメートル(nm)又は193nmの波長を中心とする。パルス光ビーム102は、マイクロ電子フィーチャをリソグラフィ露光装置107に収容されている基板又はウェーハにパターニングするのに使用される。ウェーハにパターニングされるマイクロ電子フィーチャのサイズはパルス光ビーム102の波長に依存し、波長が低くなると最小フィーチャサイズ又はクリティカルディメンジョンが小さくなる。例えばパルス光ビーム102の波長が248nm又は193nmである場合、マイクロ電子フィーチャの最小サイズは、例えば50nm以下である可能性がある。
【0032】
[0051] 波長選択装置110は、光105のソースにより生成された光ビーム102と相互作用するために光源105の第1の端部に配置されている。光ビーム102は、光源105内の共振器の一端部で生成されるビームである。例えば光ビーム102は、主発振器により生成されるシードビームである可能性がある。波長選択装置110は、パルス光ビーム102の波長を含むパルス光ビーム102のスペクトル特性を細かく調整又は調節するように構成されている。
【0033】
[0052] 具体的には
図2Aも参照すると、波長選択装置110は同調機構112及び中心波長選択光学系116を備える。光ビーム102は波長選択装置110に開口211から出入りする。中心波長選択光学系116は、経路104に沿って方向付けられるパルス光ビーム102が中心波長選択光学系116と相互作用する入射角に従ってパルス光ビーム102の各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択するように構成されている。中心波長選択光学系116は、例えば反射格子などの反射光学素子である可能性がある。同調機構112は、パルス光ビーム102の中心波長選択光学系116への経路104に沿って配置されている。同調機構112は、パルス光ビーム102と光学的に相互作用し、パルス光ビーム102の中心光線の中心波長選択光学系116への入射角を選択するように構成されている。
【0034】
[0053] 波長選択装置110は、リソグラフィ露光装置107内のウェーハに複数の空間像を形成し得るパルス光ビーム102を生成するように設計されており、各空間像は、以下でより詳細に考察するようにウェーハのz軸に沿った空間的に異なる場所にある。空間像のこのウェーハのz軸に沿った場所は、光ビーム102の波長に少なくとも部分的に依存する。したがって、光ビーム102の波長を変化させるあるいは制御することによって、ウェーハ内の1つ以上の空間像の位置を制御することができる。更に、単一露光パスの間に光の異なる一次波長を有するパルスを提供することによって、それぞれがウェーハのz軸に沿った異なる場所にある複数の空間像が、リソグラフィ露光装置107のコンポーネント及びウェーハをウェーハのz軸に沿って互いに動かす必要なく単一露光パスで形成される可能性がある。
【0035】
[0054] パルス光ビーム102の波長は、各パルス又はあらゆる整数個のパルスでパルス光ビーム102の波長を交番させるか又はディザリングするために、ある繰り返し率で回転するように構成された、反射プリズム及び直角プリズムを含む反射光学コンポーネントなどの光学コンポーネントを備え得る同調機構112を使用して調整される可能性がある。例えば同調機構112内で直角プリズムを回転させることで、15ピコメートル(pm)の最大波長間隔を達成することができる。しかしながら、この最大波長間隔より大きい波長間隔が、所望の又は所要のマイクロ電子フィーチャに依存して望まれるか又は必要とされる可能性がある。更に、ウェーハ内に複数の空間像を同時に生成するために、ある時点にパルス光ビーム102に複数の異なる波長を生成したいという要望がある。このために波長選択装置110は回折光学素子114も備える。回折光学素子114は、パルス光ビーム102と相互作用し、パルス光ビーム102から複数のパルス光サブビーム221、223、225を生成するように構成されている。各パルス光サブビーム221、223、225は、対応する個別の中心波長w1、w2、w3(
図2C)と関連付けられている。光ビーム102の経路に沿って波長選択装置110内に配置された回折光学素子114を使用すれば、複数のパルス光サブビーム221、223、225の個別の中心波長w1、w2、w3間の波長間隔220sが、約10ピコメートル(pm)より大きくなる可能性がある。例えば波長間隔220sは約30pm又は約45pmである可能性がある。波長間隔220sのサイズは回折光学素子114の特性に依存する。
【0036】
[0055] 回折光学素子114は、パルス光ビーム102が完全に拡大されるか又は少なくとも大部分が拡大される場所にパルス光ビーム102の経路104に沿って配置されている。この配置の利点には、パルス光ビーム102の光ピークパワーが、(経路104沿いの他の位置と比較して)経路104沿いのビームが完全に拡大される位置において少なく又は小さくなることが含まれる。例えば
図2Aに示す一部の実施例では、回折光学素子114は、経路104に沿って同調機構112と中心波長選択光学系116との間に配置されている。
図2Aの例では、回折光学素子114は、パルス光ビーム102の経路104に沿った伝搬方向に垂直に配置されている。つまり、回折光学素子114の面法線は経路104と平行である。他の例では、回折光学素子114は、回折光学素子114がパルス光ビーム102の伝搬方向に垂直にならないように配置される可能性がある。具体的には、回折光学素子114は、例えばその面法線がパルス光ビーム102の伝搬方向の10度以内となるように配置される可能性がある。
【0037】
[0056] 回折光学素子114は受動的であるため、回折光学素子114が動作するのに追加のエネルギーが必要とされないという意味で、受動的に光ビーム102に作用する。回折光学素子114は、パルス光ビーム102を個別の角度に沿って方向付けられたサブビーム221、223、225に分離することによってパルス光ビーム102に作用する。回折光学素子114はまたパルス光ビーム102が透過するものであり、パルス光ビーム102は、回折光学素子114を通過することによって回折光学素子114と相互作用する。
図2Aの例では、回折光学素子114は、それぞれが個別の方向及び角度に沿って方向付けられた3つのパルス光サブビーム221、223、225を生成する。他の例では、回折光学素子114は、2つのパルス光サブビーム又は4つ以上のパルス光サブビームを生成する可能性がある。更に
図2Aの例では、回折光学素子114は、経路104に沿ってリソグラフィ露光装置107に向けられるパルス光ビーム102を形成するために、中心波長選択光学系116から戻る複数のパルス光サブビーム221、223、225を再結合するように更に構成されている。
【0038】
[0057] 各パルス光サブビーム221、223、225は、対応する経路222、224、226に沿って中心波長選択光学系116に進む。各パルス光サブビーム221、223、225は、各パルス光サブビーム221、223、225が個別の中心波長w1、w2、w3と関連付けられるように、(曲線の両側矢印で示される)中心波長選択光学系116への個別の入射角222A、224A、226Aと関連付けられている。複数のパルス光サブビーム221、223、225の個別の中心波長w1、w2、w3間の波長間隔220s(
図2C)は、回折光学素子114の周期的フィーチャ間の周期的間隔114sに少なくとも部分的に依存する。パルス光サブビーム221、223、225のそれぞれは、その経路に沿って進むときにその角度オフセットを維持する。更に、パルス光ビーム102が角度移動又は並進移動する場合、これによって全てのサブビームは、各パルス光サブビーム221、223、225間の角度間隔を変化させることなく、また各個別の中心波長間の波長間隔を変化させることなく一斉に角度移動又は並進移動する。ただしこの状況では、中心波長w1、w2、w3は、パルス光ビーム102がどれだけ移動又は並進移動するかにより決定される量だけシフトすることになる。
【0039】
[0058]
図2Bに示される例では、回折光学素子114は、周期的表面レリーフ214g間の周期的間隔214sを有する、バイナリ位相格子又はブレーズ位相格子などの位相格子214である。位相格子を透過した光は、同様に表面レリーフから、あるいはホログラフィ(干渉)パターンから生じ得る位置依存の位相変化を得る。ブレーズ位相格子には1次(m=-1)への効率が100%という利点がある。更に、ブレーズ位相格子は、(両側に1つずつ)2つの異なるブレーズ角を有し、基本的に光ビーム102を2つのサブパルス(それぞれが50%のエネルギーを有する)に分割するように構成される可能性がある。すなわち高次モードへのエネルギー寄与がない。また、ブレーズ位相格子214は、光ビーム102のより多くを一方の次数か他方の次数にシフトするために水平方向に(例えば、
図5Aに示すXY平面内で)スライドされる可能性がある。空間像間の(したがって、ある空間像から別の空間像への)光パワーの制御又はシフトを行うこの能力は、ウェーハにおける多焦点イメージングを最適化する又は改善するのに役立つ。位相格子は、媒体の屈折率の変化、つまり屈折率の変調によって機能する。位相格子は、媒体の厚さ及び屈折率変調を調整することによって様々な波長で機能するように設計されている。バイナリ位相格子の一例は、イスラエル国ネスジオナのHOLO/OR社製のバイナリ位相格子である。
【0040】
[0059] 他の実施例では、回折光学素子114は、パルス光ビーム102と相互作用するための溝を有する回折ビームスプリッタ又は回折格子である可能性がある。1次元の回折ビームスプリッタの一例は、イスラエル国ネスジオナのHOLO/OR社製の1Dビームスプリッタである。
【0041】
[0060] パルス光ビーム102の光学スペクトル220(
図2C)は、各個別の中心波長w1、w2、w3にピークを有する。光学スペクトル220は、光ビーム102の光エネルギー又はパワーがどのように様々な波長(又は周波数)に分布しているかについての情報を含む。回折光学素子114(回折ビームスプリッタ/格子及び位相格子214の両方を含む)は、物理的特徴の周期的変化によって影響される。例えば回折ビームスプリッタ及び格子が溝を備えるのに対して、位相格子は、(例えば
図2Bに示す)周期的表面レリーフ又は干渉パターンを備える可能性がある。どちらの場合も、これらのフィーチャ間の間隔114s、214sは、これらの個別の中心波長w1、w2、w3間の間隔を決定する。例えば、いずれの2つの隣接する中心波長の差Δλ(pk2pk)も、(回折光学素子114がない場合の)パルス光ビーム102の入射角に対する中心波長選択光学系116におけるサブビームの入射角の変化(ΔαL)に正比例する。更に、サブビームの入射角の変化(ΔαL)は、このフィーチャ間隔及びサブビームの次数に依存する。最後に、差(Δλ(pk2pk))は、(回折光学素子114がない場合の)パルス光ビーム102の中心波長選択光学系116への入射角に対する(回折光学素子114がない場合の)パルス光ビーム102の波長の変化率であるdλ/dαLにも比例する。したがって、回折光学素子114の設計は、各サブビームの中心波長選択光学系116への入射角の変化の大きさを決定する。
【0042】
[0061] また
図3Aから
図3Cを参照すると、一部の実施例では、リソグラフィ露光装置107は、投影光学システム327と、ウェーハ328を保持するように構成されたウェーハホルダ329とを備える。投影光学システム327は、光源105からのパルス光ビーム102と相互作用するように位置付けられたマスク336bを備える。リソグラフィ露光装置107は、液浸システム又はドライシステムである可能性がある。パルス光ビーム102は、投影光学システム327内のマスク336b及びウェーハ328と相互作用するために、経路104に沿って開口311からリソグラフィ露光装置107に入る。マイクロ電子フィーチャが、例えばウェーハ328上の反射感応性フォトレジスト材料の層をパルス光ビーム102で露光することによってウェーハ328上に形成される。
【0043】
[0062]
図3Bに示すように、投影光学システム327は、スリット336aと、マスク336bと、レンズ336cを含む投影対物系とを備える。パルス光ビーム102は投影光学システム327に入りスリット336aに衝突し、パルス光ビーム102の少なくとも一部はスリット336aを通過する。
図3Aから
図3Cの例では、スリット336aは長方形であり、パルス光ビーム102を細長い長方形の光ビームに成形する。マスク336b上にパターンが形成され、パターンは、成形された光ビームのどの部分がマスク336bによって透過され、どの部分がマスク336bによって遮られるのかを決定する。パターンの設計は、ウェーハ328上に形成される具体的なマイクロ電子回路設計によって決定される。
【0044】
[0063] 成形された光ビームはマスク336bと相互作用する。成形された光ビームのマスク336bにより透過される部分は、投影レンズ336cを通過し(投影レンズ336cによって集束される可能性があり)ウェーハ328を露光する。成形された光ビームのマスク336bにより透過される部分は、ウェーハ328のxy平面に空間像を形成する。空間像は、マスク336bと相互作用した後にウェーハ328に到達する光によって形成された強度パターンである。空間像はウェーハ328にあり、概ねxy平面に延びる。
【0045】
[0064] 波長選択装置110を備えた光学システム100は、単一露光パスの間に、それぞれがウェーハ328内のz軸に沿った空間的に異なる場所にある複数の空間像を形成することができる。この例では、投影光学システム327は、単一露光パスでウェーハ328のz軸に沿った異なる平面に3つの空間像331、333、335を形成する。空間像331、333、335のそれぞれは、空間像331、333、335の他の1つの中心波長と異なる中心波長を有する光から形成される。具体的には、空間像331、333、335のそれぞれは、それぞれが対応する個別の中心波長w1、w2、w3を有するパルス光サブビーム221、223、225の対応する1つから形成される。したがって、1つの空間像331、333、335が、パルス光ビーム102の各個別の中心波長w1、w2、w3について形成される。
【0046】
[0065] 以上で説明したように、空間像331、333、335のz軸に沿った場所は、(投影レンズ336c及びマスク336bを備えた)投影光学システム327の特性及びパルス光ビーム102の波長に依存する。一般に、単一中心波長のマスク336bを通過する光が投影レンズ336cによって焦点面に集束される。投影レンズ336cの焦点面は投影レンズ336cとウェーハホルダ329との間にあり、ウェーハ328のz軸に沿った焦点面の位置は投影光学システム327の特性及びパルス光ビーム102の中心波長に依存する。したがって、パルス光ビーム102の中心波長を変化させるあるいは制御することによって、空間像331、333、335の位置を制御することが可能になる。空間像331、333、335は、異なる中心波長w1、w2、w3を有するパルス光ビーム102から形成される。このようにして、空間像331、333、335はウェーハ328の異なる場所にある。空間像331、333は、ウェーハ328のz軸に沿って互いに分離距離330aだけ分離されており、空間像333、335は、z軸に沿って互いに分離距離330bだけ分離されている。分離距離330aは、パルス光ビーム102の空間像331を形成する中心波長w1とパルス光ビーム102の空間像333を形成する中心波長w2との差に依存する。分離距離330bは、パルス光ビーム102の空間像333を形成する中心波長w2とパルス光ビーム102の空間像335を形成する中心波長w3との差に依存する。
【0047】
[0066] ウェーハホルダ329及びマスク336b(又は投影光学システム327の他の部分)は概して、通常の性能補正及び動作のためのスキャン中にx、y、及びz方向に互いに対して動き、例えばその運動は、基本レベリング、レンズ歪みの補正を達成するため、及びステージ位置決め誤差の補正に使用されることがある。この相対運動は付随的作動運動と呼ばれる。しかしながら、
図3Aのシステムでは、分離距離330a、330bを形成するために、ウェーハホルダ329と投影光学システム327の相対運動に依拠することはない。その代わりに分離距離330a、330bは、露光パスの間にパルス光ビーム102のマスク336bを通過するパルスの一次中心波長w1、w2、w3を制御できることによって形成される。したがって、一部の従来システムと異なり、分離距離330a、330bは、投影光学システム327及びウェーハ328をz方向に沿って互いに対して動かすことのみによって生み出されるわけではない。更に、空間像331、333、335は全て同じ露光パスの間にウェーハ328に存在する。換言すれば、光学システム100は、空間像331が第1の露光パスで形成され、空間像333、335がそれに続く露光パスで形成されることを必要としない。
【0048】
[0067] 第1の空間像331の光は平面331aでウェーハと相互作用し、第2の空間像333の光は平面333aでウェーハと相互作用し、第3の空間像335の光は平面335aでウェーハと相互作用する。一部の実施形態では、ウェーハは、1つ以上の以前のレベルに既にパターニングされており、ウェーハ上の異なるトポグラフィ位置に、つまり、平面331a、331b及び331cなどのz軸に沿った異なる平面にフィーチャを備えることになる。前述の相互作用は、ウェーハ328上に、電子フィーチャ又は開口や孔などのその他の物理的特徴を形成することができる。空間像331、333、335がz軸に沿った異なる平面にあるため、空間像331、333、335は、ウェーハ328上に3次元フィーチャを形成するのに使用される可能性があるか又はウェーハの異なるトポグラフィレベルにフィーチャを形成するのに使用される可能性がある。例えば、空間像331は、周辺領域を形成するのに使用される可能性があり、空間像333は、周辺領域とz軸に沿った異なる場所にあるチャネルを形成するのに使用される可能性があり、空間像335は、周辺領域及びチャネルとz軸に沿って異なる場所にある窪みを形成するのに使用される可能性がある。このように、複数の個別の空間像331、333、335がウェーハ328上に形成され、各個別の空間像331、333、335は、経路104に沿った伝搬方向に沿ってマスク336bを通過する関連付けられたパルス光サブビーム221、223、225の個別の中心波長w1、w2、w3に基づいている。このように、様々な波長の光が、ウェーハトポグラフィの様々なレベルにパターンを形成するのに使用される可能性がある。したがって、本明細書で考察される技術は、3次元NANDフラッシュメモリコンポーネントなどの3次元半導体コンポーネントを形成するのに使用されることがある。
【0049】
[0068]
図4Aを参照すると、波長選択装置110の実施例410は、同調機構112の実施例412、回折光学素子114の実施例414、及び中心波長選択光学系116の実施例416を備える(
図1)。同調機構412は、経路104に沿ってパルス光ビーム102と光学的に相互作用するように配置された一セットの光学機構又はコンポーネント440a~440dを備える。光学コンポーネント440a~440dのそれぞれは直角プリズムなどの屈折光学素子である可能性がある。
図4Aの例では、同調機構412は4つの直角プリズム440a~440dを備える。他の例では、同調機構412は、4つよりも少ない又は4つよりも多い光学コンポーネントを備える可能性がある。直角プリズム440a~440dのそれぞれは、パルス光ビーム102の回折光学素子114への経路104に沿って配置されている。プリズム440a~440dのそれぞれは、パルス光ビーム102がプリズム440a~440dの本体を通過するときにパルス光ビーム102を分光し方向転換する役割を果たす透過性プリズムである。プリズム440a~440dのそれぞれは、パルス光ビーム102の波長の透過を可能にする材料(例えばフッ化カルシウムなど)で作られる可能性がある。
図4Aの例では、中心波長選択光学系416は、パルス光ビーム102を分光及び反射するように設計される反射格子であり、したがって、中心波長選択光学系416は、DUV範囲の波長を有するパルス光ビーム102と相互作用するのに適した材料で作られている。
【0050】
[0069]
図5Aに示すように、プリズム440a、440b、440c、440d、中心波長選択光学系416、及び回折光学素子414は、光ビーム102の経路が概ねXY平面を通るようにXY平面に沿って配置されている。
図5Aの図から、プリズム440aが中心波長選択光学系416から最も離れた位置にある一方、プリズム440dが中心波長選択光学系416に最も近い位置にあることが分かる。パルス光ビーム102は、波長選択装置410に開口411から入った後、中心波長選択光学系416の回折面416sに衝突する前に、プリズム440a、プリズム440b、プリズム440c、及びプリズム440dの順に通過する。パルス光ビーム102が連続したプリズム440a~440dを通過するごとに、光ビーム102は光学的に拡大され、次の光学コンポーネントに向けて方向転換される(ある角度で屈折される)。したがって、
図4Aの例では、パルス光ビーム102は4つの直角プリズム440a~440dと中心波長選択光学系416との間で完全に拡大される。そして回折光学素子414はこの場所に配置されている。パルス光ビーム102が回折光学素子414において完全に拡大されているため、パルス光ビーム102のエネルギー又はパワーは回折光学素子414の表面積全体により均等に分布される。
【0051】
[0070]
図5Bを参照すると、波長選択装置410の1つの実施例510では、パルス光ビーム102の少なくとも大部分が拡大されている場所が、中心波長選択光学系416に最も近い直角プリズム440dと中心波長選択光学系416に2番目に近い直角プリズム440cとの間の光路104にある可能性がある。したがって、これらの実施例では、回折光学素子414は、プリズム440dとプリズム440cの間の、パルス光ビーム102の少なくとも大部分が拡大されている場所に配置されている。
【0052】
[0071]
図4Aを再度参照すると、回折光学素子414は、パルス光ビーム102と相互作用し、それぞれ中心波長選択光学系416への対応する経路222、224、226に沿って方向付けられ、それぞれ中心波長選択光学系416への個別の入射角と関連付けられている複数のパルス光サブビーム221、223、225(
図2Aに示されている)を生成する。したがって、パルス光サブビーム221、223、225のそれぞれは個別の中心波長w1、w2、w3と関連付けられており、パルス光ビーム102の光学スペクトル220(
図2C)は、各個別の中心波長w1、w2、w3にピークを有する。回折光学素子414は、生成されたパルス光サブビーム440a~440dのそれぞれの光学倍率を変更することはない。
【0053】
[0072] パルス光ビーム102は、パルス光ビーム102が波長選択装置410を出るときに開口411を通過する前に、中心波長選択光学系416から回折及び反射されて回折光学素子414、プリズム440d、プリズム440c、プリズム440b、及びプリズム440aをこの順に通って戻る。回折光学素子414は、同調機構412と相互作用する前にパルス光ビーム102を再形成するために、中心波長選択光学系416から進んでくる3つのパルス光サブビーム221、223、225を再結合する。中心波長選択光学系416から同調機構412の連続したプリズム440a~440dを通過するごとに、パルス光ビーム102は開口411に向かって進むときに光学的に圧縮される。
【0054】
[0073]
図4Aの例では、プリズム440a~440dのそれぞれは、光ビーム102が通過する表面内に含まれるようにパルス光ビーム102の横断方向に十分に幅が広い。各プリズム440a~440dは、開口411から中心波長選択光学系416に向かう経路上で光ビーム102を光学的に拡大するものであり、したがって、各プリズム440a~440dはプリズム440aからプリズム440dに向かってサイズが連続的に大きくなる。したがって、プリズム440dはプリズム440cより大きく、プリズム440cはプリズム440bより大きく、プリズム440aは最も小さいプリズムである。
【0055】
[0074]
図4Bを参照すると、同調機構412のプリズムP(プリズム440a~440dのうちのいずれか1つであり得る)が回転すると、パルス光ビーム102がその回転したプリズムPの入射面H(P)に衝突する入射角が変化する。更に、2つの局所的光学品質、すなわち回転したプリズムPを通過する光ビーム102の光学倍率OM(P)及びビーム屈折角δ(P)は、回転したプリズムPの入射面H(P)に衝突する光ビーム102の入射角の関数である。プリズムPを通過する光ビーム102の光学倍率OM(P)は、プリズムPを出る光ビーム102の横幅Wo(P)のプリズムPに入る光ビーム102の横幅Wi(P)に対する比である。
【0056】
[0075] 同調機構412内のプリズムPの1つ以上におけるパルス光ビーム102の局所的光学倍率OM(P)の変化が、同調機構412を通過するパルス光ビーム102の光学倍率OM438の全体的な変化を引き起こす。同調機構412を通過する光ビーム102の光学倍率OM438は、同調機構412を出る光ビーム102の横幅Woの同調機構412に入る光ビーム102の横幅Wiに対する比である。
【0057】
[0076] また、同調機構内のプリズムPの1つ以上を通る局所的ビーム屈折角δ(P)の変化が、中心波長選択光学系416の表面416sにおけるパルス光ビーム102の入射角の全体的な変化を引き起こす。したがって、表面416sにおけるパルス光サブビーム221、223、225のそれぞれの入射角もまた、これらのプリズムのうちの1つのプリズムの回転と共に変化する。このようにして、パルス光ビーム102の中心波長もまた、パルス光ビーム102が中心波長選択光学系416の回折面416sに衝突する入射角を変化させることによって調整される可能性がある。
【0058】
[0077] 一部の実施例では、中心波長選択光学系416は高ブレーズ角エシェル格子であり、格子方程式を満たす任意の入射角で中心波長選択光学系416に入射するパルス光ビーム102は反射(回折)されることになる。更に、光ビーム102の中心波長選択光学系416への入射角が光ビーム102の中心波長選択光学系416からの出射角と等しくなるように中心波長選択光学系416が使用される場合に、中心波長選択光学系416及び同調機構412(プリズム440a~440d)はリトロー配置においてパルス光ビーム102と相互作用するように配置され、中心波長選択光学系416から反射される光ビーム102の波長はリトロー波長である。中心波長選択光学系416に入射する光ビーム102の垂直発散がゼロに近いと仮定される可能性がある。公称波長を反射するために、中心波長選択光学系416は、公称波長が(同調機構412が光学システム100で使用される場合に)光学システム100で増幅されるように反射して同調機構412(プリズム440a~440d)を通って戻るように、中心波長選択光学系416に入射する光ビーム102に対して位置合わせされる。そのときリトロー波長は、パルス光ビーム102の中心波長選択光学系416への入射角を変化させることによって、光学システム100内の共振器の利得帯域幅全体にわたって調整される可能性がある。
【0059】
[0078] 一部の実施例では、波長選択装置410はデータ接続452を介して制御システム450と通信状態にある。制御システム450は、ファームウェアとソフトウェアとの任意の組み合わせの形態をした電子回路を備える。更に、中心波長選択光学系416、回折光学素子414、及び同調機構412のプリズム440a~440dのいずれか1つ以上は、同調機構412と関連付けられ制御モジュール450に接続されているアクチュエータを含む各作動システムに結合される可能性がある。
図4Aの例では、制御モジュール450は、回折光学素子414及びプリズム440dにそれぞれ物理的に結合されるアクチュエータを含む作動システム414A、441Aに接続されている。他の例では、プリズム440a~440dの2つ以上が、制御モジュール450に接続される各作動システムに結合される可能性がある。
【0060】
[0079] 制御システム450は、電子プロセッサ、電子記憶装置、及び入出力(I/O)インターフェイスを備える。電子プロセッサは、汎用又は専用マイクロプロセッサなどのコンピュータプログラムの実行に適した1つ以上のプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの1つ以上の任意のプロセッサである。一般にプロセッサは、読み取り専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はその両方から命令及びデータを受け取る。電子プロセッサは、任意のタイプの電子プロセッサである可能性がある。電子記憶装置は、RAMなどの揮発性メモリ、又は不揮発性メモリである可能性がある。一部の実施例では、電子記憶装置は、不揮発性部分又はコンポーネント及び揮発性部分又はコンポーネントの両方を備える可能性がある。電子記憶装置は、実行されるときに、プロセッサに制御システム450内の他のコンポーネント又は波長選択装置410の他のコンポーネントと通信させる、場合によってコンピュータプログラムである命令を記憶する。I/Oインターフェイスは、制御システム450がデータ及び信号を受け取ること及び/又は波長選択装置410の他のコンポーネント、オペレータ、及び/又は別の電子デバイス上で動作する自動プロセスに提供することを可能にする任意の種類の電子インターフェイスである。例えばI/Oインターフェイスは、タッチスクリーン又は通信インターフェイスの1つ以上を含む可能性がある。
【0061】
[0080] 作動システム414A、441Aのアクチュエータのそれぞれは、対応する光学コンポーネントを動かす又は制御するための機械デバイスである。アクチュエータは、制御システム450からエネルギーを受け取り、そのエネルギーを対応する光学コンポーネントに与えられる何らかの運動に変換する。例えばアクチュエータは、力デバイス、及び同調機構のプリズムの1つ以上を回転させるための回転ステージのいずれか1つである可能性がある。アクチュエータは、例えばステッパモータなどのモータ、バルブ、圧力制御デバイス、ピエゾデバイス、リニアモータ、油圧アクチュエータ、音声コイルなどを含む可能性がある。
【0062】
[0081]
図6A及び
図6Bを参照すると、作動システム414A(
図4A)の1つ以上のアクチュエータ614Aは、回折光学素子414のパルス光ビーム102の経路104に対する位置を調整するように構成される可能性がある。具体的には、回折光学素子414の位置は、光ビーム102が進む経路(XY平面内にある)に垂直なZ軸に沿ってアクチュエータ614Aによって調整される。アクチュエータ614Aは、回折光学素子414があるときにはパルス光ビーム102の経路104に沿った位置にあり(
図6A)、他のときにはパルス光ビーム102の経路104に沿った位置にない(
図6B)ように回折光学素子414を動かすことができる。例えばアクチュエータ614Aは、リニアステッパモータなどのリニアモータを含む可能性がある。制御システム450は、例えば予めプログラムされたレシピ又はユーザ入力に基づいてアクチュエータ614Aを制御することができる。
【0063】
[0082] 回折光学素子414は、回折光学素子414がパルス光ビーム102の経路104に沿った位置にある(
図6A)場合にのみパルス光ビーム102と相互作用する。したがって、回折光学素子414がパルス光ビーム102の経路104に沿った位置にあるとき、複数のパルス光サブビーム221、223、225は、パルス光ビーム102がウェーハに複数の空間像331、333、335を形成するために関連付けられた中心波長w1、w2、w3を有するように回折光学素子414によって生成される。回折光学素子414がパルス光ビーム102の経路104に沿った位置にない(
図6B)とき、回折光学素子414は光ビーム102と相互作用せず、パルス光ビーム102は、ウェーハ328に単一の空間像を形成するために光の一次中心波長のみを含む。
【0064】
[0083]
図7A及び
図7Bを参照すると、作動システム414A(
図4A)の1つ以上のアクチュエータ714Aが、回折光学素子414のZ軸周りの角度を調整するように構成される可能性があり、これにより回折光学素子414の面法線はパルス光ビーム102の経路104の方向に対して回転する。生成された各パルス光サブビーム221、223、225の中心波長選択光学系416への個別の入射角もまた、回折光学素子414の経路104の方向に対する角度が調整されるときに調整される。
【0065】
[0084] 1つの例では、アクチュエータ714Aは、回折光学素子414がパルス光ビーム102の経路104の方向と著しく(例えば10°を超えて)位置がずれたときに、回折光学素子414の経路104の方向に対する角度を補正するように構成される可能性がある。例えば、波長選択装置410内の振動又は他の機械的外乱によって回折光学素子414が位置ずれする可能性があり、アクチュエータ714Aは、回折光学素子414のパルス光ビーム102の経路104の方向に対する角度を調整することによってこれらのずれを補正することができる。一例では、回折光学素子414は、回折光学素子414とパルス光ビーム102の経路104の方向とのなす角度が90度に等しくないか又は約90度の閾値範囲内にない場合に位置ずれと見なされる可能性がある。
【0066】
[0085] 更に、作動システム441A(
図4A)の同調機構412と関連付けられている1つ以上のアクチュエータ741Aが、1つ以上のアクチュエータ741Aへの信号を調整することによって、パルス光ビーム102の中心波長選択光学系416への入射角を調整するように構成される可能性がある。具体的には、この例においてプリズム440dは、プリズム440dをz軸周りに回転させるアクチュエータ741Aに物理的に結合されている。生成された各パルス光サブビーム221、223、225の中心波長選択光学系416への個別の入射角もまた、パルス光ビーム102の中心波長選択光学系416への入射角が調整されるときに調整される。
図7A及び
図7Bの例では、制御システム450は、例えば予めプログラムされたレシピ又はユーザ入力に基づいてアクチュエータ741A及びアクチュエータ714Aを制御することができる。アクチュエータ714A、741Aのそれぞれは、例えば回転ステッパモータなどの回転モータである可能性がある。
【0067】
[0086]
図8を参照すると、(パルス光ビーム102などの)単一のパルス光ビームで複数の空間像を形成する手順860が実行される。手順860は、波長選択装置110(
図2Aから
図2C)、光源105、及びウェーハ328を備えたリソグラフィ露光装置107(
図3Aから
図3C)を備えた光学システム100(
図1)について実行される可能性がある。手順860はまた、波長選択装置410(
図4A及び
図5A)及び波長選択装置510(
図5B)のいずれか1つについて実行される可能性がある。以下において手順860は光学システム100について説明される。
【0068】
[0087] 手順860は、ウェーハに向かう経路に沿ってパルス光ビーム102を発生させること(861)を含む。例えばパルス光ビーム102は、光源105によって発生され、経路104に沿ってリソグラフィ露光装置107内のウェーハ328に向けられる可能性がある。
図1の例では、パルス光ビーム102は、波長選択装置110と相互作用するために、(光ビーム102が光源105によって生成された後に)光源105から方向付けられる。次いでパルス光ビーム102は、波長選択装置110から空間像が形成され得るウェーハ328を含むリソグラフィ露光装置107に向けられる。
【0069】
[0088] パルス光ビームの中心波長選択光学系(116など)への入射角が選択されることによって、パルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択する(863)。各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択するために、パルス光ビーム102は、パルス光ビームの中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構と光学的に相互作用する(863)。例えば、パルス光ビーム102の中心波長選択光学系116への入射角は、パルス光ビーム102をパルス光ビーム102の中心波長選択光学系116への経路104に沿って配置された波長選択装置110の同調機構112と相互作用させることによって選択される可能性がある。
図1の(DUVシステムであり得る)光学システム100では、パルス光ビーム102の各パルスの中心波長は、約248ナノメートル(nm)又は193nmとなるように選択される可能性がある。
【0070】
[0089] 一部の実施例では、同調機構112は、(屈折直角プリズムである)光学素子440a~440dを備えた同調機構412(
図4A)である可能性があり、パルス光ビーム102の中心波長選択光学系416への入射角は、同調機構412の光学素子440a~440dの少なくとも1つのパルス光ビーム102の経路104に対する配置を変える又は調整することによって選択される(及び変化する)可能性がある。換言すれば、パルス光ビーム102の中心波長選択光学系416への入射角は、同調機構412内の屈折光学素子440a~440dの1つ以上の角度を調整することによって選択される。このように、パルス光ビーム102の中心波長は、同調機構112(又は
図4Aの同調機構412)を調整し、パルス光ビーム102を同調機構112と相互作用させることによって選択される。
【0071】
[0090] パルス光ビームからの空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビームが、パルス光ビームをパルス光ビームの経路に沿って配置された回折パターンと相互作用させることによりパルス光ビームを複数のパルス光サブビームに分割することによって生成される(865)。各パルス光サブビームは、各パルス光サブビームが異なる波長を有するように、つまり各パルス光サブビームが少なくとも10ピコメートル(pm)だけ分離されている個別の波長の対応する1つと関連付けられるように、中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられている(865)。例えば、空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビーム221、223、225は、パルス光ビーム102を複数のパルス光サブビーム221、223、225に分割することによって生成される可能性がある。パルス光ビーム102を分割するために、パルス光ビーム102は、パルス光ビーム102の経路104に沿って配置された回折光学素子114の回折パターンと相互作用することができる。換言すれば、パルス光ビーム102は、パルス光ビーム102を回折光学素子114に透過させることによって回折光学素子114の回折パターンと相互作用することができる。
【0072】
[0091] 更に、複数のパルス光サブビーム221、223、225は、回折パターンのパルス光ビーム102の経路104に対する位置を調整することによってパルス光ビーム102から生成される可能性がある。例えば回折光学素子114の位置は、例えばアクチュエータ614A、714A(
図6Aから
図7B)を制御することにより回折光学素子114を並進移動及び/又は回転させることによって調整される可能性があり、これにより回折光学素子114の回折パターンのパルス光ビーム102の経路104に対する位置も調整される。換言すれば、回折パターンの位置は、回折パターンを含む回折光学素子114の動きを制御することによって調整される可能性がある。
【0073】
[0092] 生成されたパルス光サブビーム221、223、225のそれぞれは、各パルス光サブビーム221、223、225が少なくとも10pmだけ分離されている個別の中心波長w1、w2、w3の対応する1つと関連付けられるように、中心波長選択光学系116への個別の入射角222A、224A、226Aとそれぞれ関連付けられている。具体的には、複数のパルス光サブビーム221、223、225の個別の中心波長w1、w2、w3間の波長間隔は、約10ピコメートル(pm)、約30pm、又は約45pmより大きい可能性がある。更に、各パルス光サブビーム221、223、225とそれぞれ関連付けられた、中心波長選択光学系116への各個別の入射角222A、224A、226Aは、(回折光学素子114内に含まれている)回折パターンの溝間隔114sによって決定される。
【0074】
[0093]
図1の例では、中心波長選択光学系116から離れる複数のパルス光サブビーム221、223、225は、パルス光サブビーム221、223、225をパルス光ビーム102の経路に沿って配置された回折パターンと相互作用させることによって再結合される。このようにして、複数のパルス光サブビーム221、223、225は、パルス光ビーム102が経路104に沿って中心波長選択光学系116に進みながら回折パターンと相互作用するときに生成され、パルス光サブビーム221、223、225が経路104に沿って中心波長選択光学系116から離れて進みながら回折パターンと相互作用するときにパルス光ビーム102を形成するために再結合される。
図1の例では、回折光学素子114は、経路104に沿ってウェーハ328に向けられる再結合されたパルス光ビーム102を形成するために、パルス光サブビーム221、223、225が中心波長選択光学系116と相互作用した後に複数のパルス光サブビーム221、223、225を再結合する。したがって、複数の個別の中心波長w1、w2、w3を有する再結合されたパルス光ビーム102は次に、複数の空間像331、333、335をウェーハ328上に形成するべくリソグラフィ露光装置107と相互作用するために方向付けられる可能性がある。
【0075】
[0094] 複数の空間像は、各空間像が個別の中心波長に基づいて形成されるように単一のパルス光ビームでウェーハ上に形成される(867)。例えば、複数の空間像331、333、335は、空間像331、333、335がウェーハのz軸上の異なる場所に形成され、各空間像331、333、335が個別の中心波長w1、w2、w3のうちの1つに基づくように単一のパルス光ビーム102でウェーハ328上に形成される。単一のパルス光ビーム102が再結合されたパルス光ビーム102の複数の中心波長w1、w2、w3を選択するために回折パターンと相互作用するため、複数の空間像331、333、335のそれぞれは単一の光ビーム102で単一露光パスで形成される。パルス光ビーム102の強度プロファイルはリソグラフィ露光装置107内のウェーハ328において平坦化される。強度は、それぞれが同じ光パワーを有するサブパルスの数が増加するためにウェーハ328において平坦化される。(それぞれが個別の中心波長を有する)サブパルスの数が多ければ多いほど、ウェーハ328におけるスルーフォーカスによるパワー分布がより平らになる。
【0076】
[0095] したがって、パルス光ビーム102を回折パターン(又は回折光学素子114)と相互作用させることによって、個別の中心波長w1、w2、w3とそれぞれ関連付けられる複数の空間像331、333、335は、ウェーハ328上に単一のパルス光ビーム102かつ単一リソグラフィ露光パスで形成される。
【0077】
[0096]
図9を参照すると、光学システム100の実施例900の一例のブロック図が示されている。光学システム100は、光源905を光源105として備えたフォトリソグラフィシステム900である。光源905は、リソグラフィ露光装置107に提供されるパルス光ビーム102を生成する。光源905は、例えば(レーザビームであり得る)パルス光ビーム102を出力するエキシマ光源である可能性がある。パルス光ビーム102は、リソグラフィ露光装置107に入るとき、
図3Aから
図3Cを参照して以上で考察したように投影光学システム327を通って方向付けられ、ウェーハ328に投影される。このようにして、1つ以上のマイクロ電子フィーチャがウェーハ328上のフォトレジストにパターニングされた後に、フォトレジストは後続のプロセスステップの前に現像及び洗浄され、プロセスは繰り返す。フォトリソグラフィシステム900はまた、システム900の様々な動作を制御するために、
図9の例では、(波長選択装置410を含む)光源905のコンポーネント及びリソグラフィ露光装置107に接続されている制御システム450(
図4A)を備える。
【0078】
[0097]
図9に示す実施例では、光源905は、シード光ビーム902sをパワー増幅器(PA)972に提供する主発振器(MO)970を備えた2ステージレーザシステムである。MO970及びPA972は、光源905の下位システム又は光源905の一部であるシステムと見なされる可能性がある。パワー増幅器972は、主発振器970からシード光ビーム902sを受光し、リソグラフィ露光装置107で使用するパルス光ビーム102を発生させるためにシード光ビーム902sを増幅させる。例えば、主発振器970は、シードパルスエネルギーが1パルス当たり約1ミリジュール(mJ)のパルスシード光ビームを照射することができ、これらのシードパルスはパワー増幅器972によって約10~15mJに増幅される可能性がある。
【0079】
[0098] 主発振器970は放電チャンバ971を備え、放電チャンバ971は2つの細長い電極974と、放電チャンバ971内に閉じ込められるガス混合物である利得媒体976と、ガス混合物を電極974間で循環させるためのファンとを有する。放電チャンバ971の一方の側にある波長選択装置410(
図4A)と放電チャンバ971の第2の側にある光出力カプラ978との間に共振器が形成される。波長選択装置410は、シード光ビーム902sを調整又は調節することによって、パルス光ビーム102の波長及び帯域幅を含むパルス光ビーム102のスペクトル特性を細かく調整又は調節する。
【0080】
[0099] 主発振器970はまた、出力カプラ978から出力光ビームを受光するライン中心解析モジュール979と、シード光ビーム902sを形成するために必要に応じて出力光ビームのサイズ又は形状を修正するビーム結合光学システム980とを備える可能性がある。ライン中心解析モジュール979は、シード光ビーム902sの波長及び/又は帯域幅を測定又はモニタするのに使用され得る測定システムである。ライン中心解析モジュール979は、光源905内の他の場所に配置される可能性があるか又は光源905の出力部に配置される可能性がある。
【0081】
[0100] 放電チャンバ971で使用されるガス混合物は、照射に必要な波長及び帯域幅の光ビームを生成するのに適した任意の気体である可能性がある。エキシマ源の場合、ガス混合物は、緩衝ガスであるヘリウム及び/又はネオン以外の、例えばアルゴンやクリプトンなどの貴ガス(希ガス)、例えばフッ素又は塩素及び微量のキセノンなどのハロゲンを含む可能性がある。ガス混合物の具体的な例には、約193nmの波長の光を発するフッ化アルゴン(ArF)、約248nmの波長の光を発するフッ化クリプトン(KrF)、又は約351nmの波長の光を発する塩化キセノン(XeCl)が含まれる。エキシマ利得媒体(ガス混合物)は、細長い電極974への電圧の印加によって、高圧放電において短い(例えばナノ秒)電流パルスで励起される。
【0082】
[0101] パワー増幅器972は、シード光ビーム902sを主発振器970から受光し、光ビーム902sを放電チャンバ973を通過させてビーム回転光学素子981に向けるビーム結合光学システム982を備え、ビーム回転光学素子981は、シード光ビーム902sが放電チャンバ973内に送り返されビーム結合光学システム982を通過するようにシード光ビーム902sの方向を修正又は変化させる。放電チャンバ973は、一対の細長い電極975と、ガス混合物である利得媒体977と、ガス混合物を電極975間で循環させるためのファンとを備える。
【0083】
[0102] 出力パルス光ビーム102は、ビーム102の様々なパラメータ(帯域幅や波長など)が測定され得る帯域幅解析モジュール983を通るように方向付けられる。出力光ビーム102はまた、ビーム準備システム984を通るように方向付けられる可能性がある。ビーム準備システム984は、例えば、出力光ビーム102のパルスのそれぞれが、例えば光学遅延ユニットにおいて時間的に引き伸ばされて、リソグラフィ露光装置107に衝突する光ビームの性能特性を調整するパルスストレッチャを備える可能性がある。ビーム準備システム984はまた、光ビーム102に作用することができる他のコンポーネント、例えば、反射及び/又は屈折光学素子(例えばレンズ及びミラーなど)、フィルタ、及び光学的開口(自動シャッタを含む)などを備える可能性がある。
【0084】
[0103] フォトリソグラフィシステム900はまた制御システム450を備える。
図9に示す実施例では、制御システム450は光源905の様々なコンポーネントに接続されている。例えば、制御システム450は、1つ以上の信号を光源905に送信することによって、光源905が1つの光パルス又は1つ以上の光パルスを含む光パルスのバーストを放出するタイミングを制御することができる。制御システム450はまたリソグラフィ露光装置107に接続されている。したがって、制御システム450は、リソグラフィ露光装置107から命令及び/又はデータを受け取ることもできる。リソグラフィ露光装置107は、ウェーハ328の露光を制御し得る、したがって、どのように電子フィーチャがウェーハ328に印刷されるかを制御するのに使用され得る(制御システム450と通信し得る)専用コントローラを備える可能性がある。一部の実施例では、リソグラフィコントローラは、スリット336aのxy平面における動き(
図3B)を制御することによってウェーハ328のスキャンを制御することができる。リソグラフィ露光装置107はまた、例えば(空調デバイス及び/又は加熱デバイスなどの)温度制御デバイス、及び/又はリソグラフィコントローラにより制御される様々な電気コンポーネント用の電源を備える可能性がある。一部の実施例では、リソグラフィコントローラは制御システム450の一部であり、制御システム450は2つ以上のサブ制御システムを備える可能性がある。
【0085】
[0104] 更に、制御システム450は波長選択装置410の様々なコンポーネントを制御することができる。例えば制御システム450は、プリズム440a~440dのそれぞれの位置、回折光学素子414の位置、及び中心波長選択光学系416の位置を制御することができる。
【0086】
[0105] 更に
図10Aから
図10Cを参照すると、回折光学素子114の実施例1014が示されている。この実施例1014では、回折光学素子114はプリズム440dと中心波長選択光学系416との間に配置されたブレーズ格子である。周期的構造又はフィーチャは、周期的構造がZ軸と平行な中心線1014cに関して線対称となるようにZ軸に沿って直線状に配置されている。以上で考察したように、ブレーズ格子1014を光ビーム102が進む方向に垂直な方向Dsに沿って(かつXY平面内で)移動させる場合、1つのサブビームか他のサブビームになる、つまり選択光学系416に衝突する光の量は調整される可能性がある。このようにして、ウェーハにおける1つの空間像の光パワーの量は他の空間像に対して変更される可能性がある。ウェーハにおける多焦点イメージングが制御される可能性がある。
【0087】
[0106] 実施形態は以下の条項を使用して更に説明される可能性がある。1.パルス光ビームを生成するパルス光源のための波長選択装置であって、
パルス光ビームの入射角に従ってパルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択する中心波長選択光学系と、
パルス光ビームの中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構であって、パルス光ビームと光学的に相互作用し、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を選択する同調機構と、
受動的かつ透過的であり、パルス光ビームの少なくとも大部分が拡大される場所にパルス光ビームの経路に沿って配置されている回折光学素子であって、パルス光ビームと相互作用し、それぞれが個別の波長と関連付けられパルス光ビームの光学スペクトルが各個別の波長にピークを有するように、それぞれが中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられた複数のパルス光サブビームをパルス光ビームから生成する回折光学素子と、を備えた波長選択装置。
2.回折光学素子が、回折ビームスプリッタ、回折格子、位相格子、バイナリ位相格子、又はブレーズ位相格子である、条項1の波長選択装置。
3.同調機構が4つの屈折光学素子を備える、条項1の波長選択装置。
4.各屈折光学素子が直角プリズムである、条項3の波長選択装置。
5.複数のパルス光サブビームの個別の波長間の波長間隔が、約10ピコメートル(pm)、約30pm、又は約45pmより大きい、条項1の波長選択装置。
6.パルス光ビームの各パルスの中心波長が約248ナノメートル(nm)又は約193nmである、条項1の波長選択装置。
7.複数のパルス光サブビームの個別の波長間の波長間隔が、回折光学素子の周期的な形状に依存する、条項1の波長選択装置。
8.同調機構が、パルス光ビームの回折光学素子への経路に沿って配置された4つの直角プリズムを備え、パルス光ビームが4つの直角プリズムと中心波長選択光学系との間で完全に拡大される、条項1の波長選択装置。
9.回折光学素子のパルス光ビームの経路に対する位置を調整するアクチュエータを更に備え、これにより回折光学素子があるときにはパルス光ビームの経路に沿った位置にあり、他のときにはパルス光ビームの経路に沿った位置になく、回折光学素子がパルス光ビームの経路に沿った位置にある場合にのみ回折光学素子がパルス光ビームと相互作用する、条項1の波長選択装置。
10.アクチュエータが更に、回折光学素子における回折光学素子のパルス光ビームの経路の方向に対する角度を調整し、これにより生成された各パルス光サブビームの中心波長選択光学系への個別の入射角が調整される、条項9の波長選択装置。
11.複数のパルス光サブビームが、3つ以上のパルス光サブビームを含む、条項1の波長選択装置。
12.同調機構及び中心波長選択光学系が、リトロー配置においてパルス光ビームと相互作用するように配置されている、条項1の波長選択装置。
13.中心波長選択光学系が反射光学素子である、条項1の波長選択装置。
14.空間像がパルス光ビームの各個別の波長について形成される、条項1の波長選択装置。
15.制御システムと、同調機構と関連付けられた1つ以上のアクチュエータとを更に備え、制御システムが、1つ以上のアクチュエータへの信号を調整することによって、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を調整する、条項1の波長選択装置。
16.回折光学素子が、経路に沿ったパルス光ビームの伝搬方向に垂直に配置されている、条項1の波長選択装置。
17.回折光学素子が更に、パルス光ビームを形成するために中心波長選択光学系からの複数のパルス光サブビームを再結合する、条項1の波長選択装置。
18.同調機構が4つの直角プリズムを備えており、パルス光ビームの少なくとも大部分が拡大される場所が、中心波長選択光学系に最も近い直角プリズムと中心波長選択光学系に2番目に近い直角プリズムとの間の光路にある、条項1の波長選択装置。
19.経路に沿ってリソグラフィ露光装置に向けられるパルス光ビームを生成する光源と、
パルス光ビームと相互作用するリソグラフィ露光装置と、
光源に対して配置された波長選択装置とを備えた光学システムであって、波長選択装置が、
パルス光ビームの入射角に従ってパルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択する中心波長選択光学系と、
パルス光ビームの中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構であって、パルス光ビームと光学的に相互作用し、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を選択する同調機構と、
受動的かつ透過的であり、パルス光ビームが完全に拡大されるか又は少なくとも大部分が拡大される場所にパルス光ビームの経路に沿って配置されている回折光学素子であって、パルス光ビームと相互作用し、空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビームをパルス光ビームから生成するものであり、各パルス光サブビームが、それぞれが個別の波長と関連付けられ、パルス光ビームの光学スペクトルが各個別の波長にピークを有するように中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられた回折光学素子と、を備えた光学システム。
20.回折光学素子が、回折ビームスプリッタ、回折格子、位相格子、バイナリ位相格子、又はブレーズ位相格子である、条項19の光学システム。
21.同調機構が4つの屈折光学素子を備える、条項19の光学システム。
22.各屈折光学素子が直角プリズムである、条項21の光学システム。
23.複数のパルス光サブビームの個別の波長間の波長間隔が、約10ピコメートル(pm)、約30pm、又は約45pmより大きい、条項19の光学システム。
24.パルス光ビームの各パルスの中心波長が約248ナノメートル(nm)又は約193nmである、条項19の光学システム。
25.波長選択装置が、回折光学素子のパルス光ビームの経路に対する位置を、回折光学素子があるときにはパルス光ビームの経路に沿った位置にあり、他のときにはパルス光ビームの経路に沿った位置になく、回折光学素子がパルス光ビームの経路に沿った位置にある場合にのみ回折光学素子がパルス光ビームと相互作用するように調整するアクチュエータを更に備える、条項19の光学システム。
26.回折光学素子のパルス光ビームの経路に対する位置を調整するように波長選択装置を制御する制御システムを更に備えた、条項25の光学システム。
27.リソグラフィ露光装置が、光源からのパルス光ビームと相互作用するように位置付けられたマスクと、ウェーハを保持するウェーハホルダとを備える、条項19の光学システム。
28.ウェーハホルダにあるウェーハ上に、それぞれが伝搬方向に沿ってマスクを通過する関連付けられたパルス光サブビームの個別の波長に基づく複数の個別の空間像が形成される、条項27の光学システム。
29.制御システムと、同調機構と関連付けられた1つ以上のアクチュエータとを更に備え、制御システムが、1つ以上のアクチュエータへの信号を調整することによって、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を調整する、条項19の光学システム。
30.単一のパルス光ビームで複数の空間像を形成する方法であって、
ウェーハに向かう経路に沿ってパルス光ビームを発生させること、
パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を、パルス光ビームをパルス光ビームの中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構と光学的に相互作用させることによって、パルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択するために選択すること、
パルス光ビームをパルス光ビームの経路に沿って配置された回折パターンと相互作用させることによってパルス光ビームを複数のパルス光サブビームに分割することを含む、それぞれが少なくとも10ピコメートル(pm)だけ分離されている個別の波長の対応する1つと関連付けられるようにそれぞれが中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられている、空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビームをパルス光ビームから生成すること、及び
それぞれが個別の波長に基づいて形成される複数の空間像を単一のパルス光ビームでウェーハ上に形成することを含む方法。
31.パルス光ビームを回折パターンと相互作用させることが、パルス光ビームを回折光学素子に透過させることを含む、条項30の方法。
32.各パルス光サブビームと関連付けられた中心波長選択光学系への各個別の入射角が、回折パターンの周期的な形状によって決定される、条項30の方法。
33.パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を選択することが、同調機構内の屈折光学素子の1つ以上の角度を調整することを含む、条項30の方法。
34.複数のパルス光サブビームをパルス光ビームから生成することが、回折パターンのパルス光ビームの経路に対する位置を調整することを含む、条項30の方法。
35.回折パターンの位置を調整することが、回折パターンを含む回折光学素子を移動させることによって制御することを含む、条項34の方法。
36.複数の空間像をウェーハ上に形成することが、ウェーハにおけるパルス光ビームの強度プロファイルを平坦化することを含む、条項30の方法。
37.パルス光サブビームをパルス光ビームの経路に沿って配置された回折パターンと相互作用させることによって、中心波長選択光学系を離れる複数のパルス光サブビームを再結合することを更に含み、これにより複数のパルス光サブビームが、パルス光ビームが経路に沿って中心波長選択光学系に進みながら回折パターンと相互作用するときに生成され、複数のパルス光サブビームが、パルス光サブビームが経路に沿って中心波長選択光学系から離れて進みながら回折パターンと相互作用するときにパルス光ビームを形成するために再結合される、条項30の方法。
38.パルス光ビームを生成するパルス光源のための波長選択装置であって、
パルス光ビームの入射角に従ってパルス光ビームの各パルスの少なくとも1つの中心波長を選択する中心波長選択光学系と、
パルス光ビームの中心波長選択光学系への経路に沿って配置された同調機構であって、パルス光ビームと光学的に相互作用し、パルス光ビームの中心波長選択光学系への入射角を選択する、4つの屈折光学素子を備えた同調機構と、
同調機構と中心波長選択光学系との間の場所にパルス光ビームの経路に沿って配置された受動的かつ透過的回折光学素子であって、パルス光ビームと相互作用し、空間的に分離され時間的に分離されていない複数のパルス光サブビームをパルス光ビームから生成するものであり、各パルス光サブビームが、それぞれが個別の波長と関連付けられ、パルス光ビームの光学スペクトルが各個別の波長にピークを有するように中心波長選択光学系への個別の入射角と関連付けられた回折光学素子と、を備えた波長選択装置。
39.回折光学素子が、回折ビームスプリッタ、回折格子、位相格子、バイナリ位相格子、又はブレーズ位相格子である、条項38の波長選択装置。
40.同調機構が4つの屈折光学素子を備える、条項38の波長選択装置。
41.複数のパルス光サブビームの個別の波長間の波長間隔が、約10ピコメートル(pm)、約30pm、又は約45pmより大きい、条項38の波長選択装置。
【0088】
[0107] 他の実施例は特許請求の範囲内にある。